説明

車両の制御装置

【課題】 衝突予知の誤判断によって乗員が違和感を受けるのを防止しつつ、衝突時にブレーキ装置を適正に作動させることができるようにする。
【解決手段】 自車両の前方に存在する前方物体と自車両との距離および相対速度を検出する前方物体検出手段9と、この前方物体検出手段9の検出結果に基づいて上記前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にブレーキ装置5を作動させる制御を実行する衝突予知制御手段2と、自車両の走行速度を検出する車速検出手段(車速センサ6)と、この車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合には走行速度が小さい場合に比べてブレーキ装置の作動タイミングを遅らせるように上記ブレーキ装置5の制御条件を補正する制御条件補正手段3とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の衝突が予知されたときに車両を適正に制御する車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、衝突予知制御手段により自車両が障害物に衝突する状態にあることが予知された場合に、プリテンショナー装置を作動させてシートベルトを巻き取るように駆動するとともに、このシートベルトの巻取張力を上記衝突予知制御手段による衝突の予知レベルに応じて変更するように構成したシートベルト装置が知られている。
【0003】
また、下記特許文献2に示されるように、車両に加わる加速度を二次元的に検出するGセンサの検出信号に応じて自車両が衝突状態になったことが検出された場合に、エアバッグを展開させるとともに、自動的にブレーキ装置を作動させて制動力を付与することにより、車両の二次衝突が発生するのを防止することが行われている。
【特許文献1】特開2003−182519号公報
【特許文献2】特開平6−234342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているように、衝突予知制御手段により自車両が障害物に衝突する状態にあることが予知された場合に、プリテンショナー装置を作動させてシートベルトを巻き取るように構成するとともに、このシートベルトの巻取張力を弱めの値に設定することにより、運転者が衝突回避動作を可能としつつ、乗員を適度に拘束して衝突時の衝撃から乗員を保護することが可能である。
【0005】
また、上記特許文献2に開示された発明では、衝突事故発生時に自車両のブレーキ装置を自動的に作動させるように構成されているため、追突事故の発生時に作用する衝撃荷重により自車両が前方に押されることに起因した二次衝突の発生を効果的に防止することができる。ところで、上記特許文献1に開示されたシードベルトのプリテンショナー装置を特許文献2の自動ブレーキ装置に置き換え、車両の衝突が予知された時点で自動ブレーキ装置を衝突検出時に比べて緩やかに作動させるように構成すれば、車両の衝突時における衝撃を緩和することが可能である。
【0006】
そして、衝突時における衝撃を効果的に緩和するためには、衝突前のなるべく早いタイミングで自動ブレーキ装置を作動させることが好ましい。しかし、自動ブレーキ装置の作動時期を過度に早く設定すると、換言すれば、衝突予知判断の条件を衝突予知が行われ易いように設定すると、衝突予知の誤判断が発生する等により、その後に衝突を回避できる可能性が高い場合においても、車両に制動力が付与されることになる。特に、車両が高速で走行している際に必要性の低い自動ブレーキ装置の作動を行うと、却って車両の挙動が不安定になり、運転者に違和感が生じる可能性が高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、衝突予知の誤判断によって乗員が違和感を受けるのを防止しつつ、衝突時にブレーキ装置を適正に作動させることができる車両の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、自車両の前方に存在する前方物体と自車両との距離および相対速度を検出する前方物体検出手段と、この前方物体検出手段の検出結果に基づいて上記前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にブレーキ装置を作動させる制御を実行する衝突予知制御手段と、自車両の走行速度を検出する車速検出手段と、この車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合には走行速度が小さい場合に比べてブレーキ装置の作動タイミングを遅らせるように上記ブレーキ装置の制御条件を補正する制御条件補正手段とを備えたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の車両の制御装置において、衝突予知制御手段は、前方物体検出手段の検出結果に基づいて前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前に警報装置を作動させて乗員に対する警告を行うように制御する機能を備えるとともに、制御条件補正手段は、車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合に、この走行速度が小さい場合に比べて上記警報装置の作動時期を早めるように制御条件を補正する機能を備えたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両の制御装置において、衝突予知制御手段は、前方物体検出手段の検出結果に基づいて前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にシートベルトテンショナーを作動させてシートベルトを巻き取るように制御する機能を備えるとともに、制御条件補正手段は、車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合に、この走行速度が小さい場合に比べて上記シートベルトテンショナーの作動時期を遅らせるように制御条件を補正する機能を備えたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の制御装置において、ステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角検出手段を備えるとともに、この操舵角度の検出値が予め設定された基準角度よりも大きい場合にのみ、制御条件補正手段による制御条件の補正を行うように構成したものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の制御装置において、自車両に衝突すると予知された前方物体と自車両との車幅方向におけるオフセット距離を測定するオフセット距離測定手段を備えるとともに、このオフセット距離が大きい場合には、衝突予知制御時におけるブレーキ装置の作動タイミングをオフセット距離が小さい場合に比べて遅らせるようにブレーキ装置の制御条件を補正するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、自車両の走行速度が早いことに起因して走行状況が顕著に変動するとともに、比較的早い時期に衝突予知が行われる高速走行時に、前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知された場合には、通常走行時よりも遅いタイミングでブレーキ装置が作動状態となるため、衝突が回避される可能性が高いにも拘わらず、上記ブレーキ装置が早期に作動状態となって所定の制動力が車両に付与されることによる悪影響、つまり車両の挙動が大きく悪化するという事態の発生を効果的に抑制しつつ、所定のタイミングで制動力を付与して衝突時の衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、車速検出手段により検出された自車両の走行速度が基準速度よりも早い高速走行時に、前方物体が自車両に衝突する状態にあることが予知された場合には、通常走行時よりも早い時期に警報装置が作動状態となるため、衝突対策を取るための時間的余裕が少ない高速走行時に、乗員に身構えさせる余裕を十分に与えることができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、自車両の走行速度が基準速度よりも早い高速走行時に、前方物体が自車両に衝突する状態にあることが予知された場合には、通常走行時よりも遅いタイミングでシートベルトテンショナーが作動状態となるため、衝突予知の誤判断の発生により必要性が低いにも拘わらずシートベルトテンショナーが作動状態となって乗員が違和感を受けるのを防止できるという利点がある。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、高速走行時に操舵角度の検出値が予め設定された基準角度よりも大きく、自車両の走行状態が大きく変化して衝突予知制御手段による衝突の誤判断が生じ易い傾向にある場合には、上記制御条件補正手段による制御条件の補正が行われるため、上記走行状態で衝突が回避される状態にあるにも拘わらず、上記シートベルトテンショナーおよびブレーキ装置が作動状態となって乗員が違和感を受けたり、車両の挙動が大きく悪化したりするという弊害の発生を効果的に防止することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、オフセット距離測定手段により測定されたオフセット距離が大きく、衝突予知制御手段による衝突の誤判断が生じ易い傾向にある場合には、上記オフセット距離が小さい場合に比べて、衝突予知制御時におけるブレーキ装置の作動タイミングを遅らせるように制御条件が補正されるため、上記走行状態で衝突が回避される状態にあるにも拘わらず、ブレーキ装置が作動状態となって車両の挙動が大きく悪化する等の弊害を効果的に防止できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る車両の制御装置の実施形態を示している。この車両の制御装置には、自車両の走行速度を自動的に調節して先行車両に追従する等の制御を実行する自動速度制御手段1と、自車両の前方に位置する前方物体と自車両とが衝突する状態にあることを予知して所定の衝突予知制御を実行する衝突予知制御手段2と、この衝突予知制御の実行時における制御条件を必要に応じて補正する制御条件補正手段3とを有する運転制御ユニット4が設けられている。
【0019】
上記運転制御ユニット4には、自車両の走行速度を検出する車速センサ6と、ステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角センサ7と、車体に作用するヨーレートを検出するヨーレートセンサ8と、自車両の前方に存在する前方物体と自車両との距離および相対速度を検出する前方物体検出手段9と、自動速度制御用のメインスイッチ(ACCメインSW)10、セット/コーストスイッチ11、キャンセルスイッチ12、リジューム/アクセルスイッチ13および目標車間距離設定スイッチ14と、上記前方物体と自動車とが衝突したことを検出するGセンサ等からなる衝突センサ15とがそれぞれ接続されている。
【0020】
上記前方物体検出手段9は、検出用のレーダー波(検出波)として例えばミリ波やレーザー波あるいは超音波等を車体の前方側に向けて送信する送信機と、自車両の前方に位置する先行車両または対向車両等の他車両に当たって反射した反射波を受信する受信機とを有し、上記検出波の送信時点から反射波の受信時点までの時間を順次計測することにより、上記他車両と自車両との車間距離および相対速度を演算して検出し、この検出信号を運転制御ユニット4の自動速度制御手段1および衝突予知制御手段2に出力するように構成されている。
【0021】
車体前部には、その車幅方向の中心位置にGセンサ等からなる衝突センサ15が配設されるとともに、上記中心位置から左右何れかの方向(図例では車体の左側に)にオフセットした位置に、前方物体検出手段9の送信機および受信機が配設されている。そして、この送信機から車体の前方側に向けて扇形に拡がるように検出波が照射されることにより、前方物体検出手段9による前方物体の検出範囲αが先広がりの扇形に設定されている。この前方物体の検出範囲αが広すぎると、進行路βの側方に位置する不必要な前方物体が検出されて衝突予知の誤判定が生じ易いという問題がある。一方、上記前方物体の検出範囲αが狭すぎると、前方物体の検出が不可能となる死角領域が大きくなり過ぎる傾向がある。このため、自車両の進行路βの幅寸法に応じて前方物体検出手段9による前方物体の検出範囲αが適正値となるように、上記検出波の照射範囲が設定されている。
【0022】
上記自動速度制御手段1は、自動速度制御用のメインスイッチ10が運転者によってON操作された場合に、上記車速センサ6、操舵角センサ7およびヨーレートセンサ8の出力信号に応じ、自車両の進行路を予測するとともに、この進行路内に適当な先行車両が存在しているか否かを前方物体検出手段9の検出結果に基づいて判別し、自車両の進行路内に適当な先行車両が存在していることが確認され場合に、エンジンのスロットル弁駆動装置19にエンジン回転数を調節するための制御信号を出力するとともに、車両のブレーキ装置5に制動力を調節するための制御信号を出力することにより、自車両の走行速度を調節して上記目標車間距離設定スイッチ14により設定された目標車間距離に、先行車両との車間距離を一致させる制御を実行するように構成されている。
【0023】
上記自動速度制御用のセット/コーストスイッチ11は、自動速度制御手段1の記憶手段に目標車速を記憶させるものであり、運転者による目標車速の設定が行われていない車両の走行状態で、運転者が上記セット/コーストスイッチ11の操作を行うと、この操作時点の走行速度が目標車速として設定されるように構成されている。また、運転者による目標車速の設定が既に行われた状態で、運転者によってセット/コーストスイッチ11が操作されると、目標車速が一定の割合で低減されるようになっている。
【0024】
上記キャンセルスイッチ12は、自動速度制御装置1による速度制御を停止させる制御機能を有するものであり、このキャンセルスイッチ12が運転者により操作されると、通常の速度制御状態に移行することになる。上記リジューム/アクセルスイッチ13は、キャンセルスイッチ12により停止された自動速度制御を復帰させる制御機能と、目標車速を増大させる制御機能とを備えたものであり、自動速度制御の実行状態で上記リジューム/アクセルスイッチ13が運転者により操作されると、目標車速が一定の割合で増大されるように構成されている。
【0025】
そして、上記前方物体検出手段9の出力信号等に応じて自車両の進行路内に適当な先行車両が存在していないことが確認された場合には、上記セット/コーストスイッチ11等により設定された目標車速に自車両の走行速度を一致させるための制御信号がスロットル弁駆動装置19およびブレーキ装置5に出力されることにより、上記目標車速に対応した速度制御が上記自動速度制御手段1において実行されるようになっている。
【0026】
また、上記自動速度制御手段1において、前方物体検出手段9により検出された先行車両と自車両との車間距離が、予め設定された所定の自動制動用閾値以下であることが確認された場合には、スロットル弁駆動装置19を作動させてスロットル弁を閉止状態とするとともに、ブレーキ装置5を作動させて自車両に所定の制動力を付与し、かつインストルメントパネルに設けられた表示ランプまたは車室内に設けられたアラーム等からなる警報装置20を作動させて自動制動状態にあることを乗員に報知する制御が実行されるように構成されている。
【0027】
さらに、上記自動速度制御手段1において、前方物体検出手段9により検出された先行車両と自車両との車間距離が、上記自動制動用閾値以上である走行状態において、この自動制動用閾値よりも大きい値に予め設定された警報用閾値以下であることが確認された場合には、上記警報装置20を作動させて車間距離が小さいことを乗員に報知する制御だけが実行されるようになっている。
【0028】
上記衝突予知制御手段2は、前方物体検出手段9により検出された前方物体と自車両との距離および相対速度に基づいて、前方物体と自車両とが衝突する状態にあること、つまり現時点から自車両のブレーキ操作およびハンドル操作を行っても衝突の発生が避けられない状態にあることを予知するとともに、この衝突が発生する時点を予知する予知機能と、この予知結果に基づいて乗員に対する警告を行うとともに、衝突時に作用する衝撃荷重から乗員を保護する制御を実行して乗員の安全を確保する制御機能を有している。
【0029】
具体的には、自車両と先行車両との車間距離および相対速度に基づいて自車両が先行車両に追突することが避けられない状態にあることが確認された場合に、その後に衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前に上記警報装置20を作動させて衝突予知状態にあることを乗員に報知する制御と、シートベルトテンショナー21を作動させてシートベルトを予め設定された第1張力で巻き取る制御と、ブレーキ装置5のホイールシリンダ等からなる駆動手段に作動油圧を供給することにより車両に所定の制動力を断続的に付与する制御とが上記衝突予知制御手段2において実行されるようになっている。
【0030】
上記制御条件補正手段3は、衝突予知制御手段2において前方物体が自車両に衝突する状態にあることが予知されたときに、車速センサ6により検出された自車両の走行速度が予め設定された所定の基準速度よりも大きいか否かを判別して、大きいことが確認された場合に、上記警報装置20の作動時期を早めるように制御条件を補正するとともに、ブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21の作動タイミングを遅らせるようにこれらの制御条件を補正する機能を有している。
【0031】
すなわち、自車両の走行速度が上記基準速度以下の通常運転時(低速走行時)に、前方物体が自車両に衝突する状態にあることが予知された場合には、この衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも予め設定された第1閾値に相当する時間だけ早いタイミングで、上記警報装置20を作動させて乗員に対する衝突予知の警告を行うとともに、上記第1閾値よりもよりも予め小さい値に設定された第2閾値に基づいて上記ブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21の作動タイミングが設定され、上記衝突予知時点よりも第2閾値に相当する時間だけ早いタイミングでシートベルトを巻き取るとともに、制動力を断続的に付与する制御が実行されるようになっている。
【0032】
そして、自車両の走行速度が上記基準速度よりも早い高速走行時に、前方物体が自車両に衝突する状態にあることが予知された場合には、上記第1閾値を通常走行時よりも大きな値に変更するとともに、第2閾値を小さな値に変更する補正が上記制御条件補正手段3において実行される。これによって上記通常走行時よりも早い時期に警報装置20が作動状態となり、衝突予知状態にあることが乗員に対して早期に報知された後、後述するように上記ブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21が通常走行時よりも遅い時期に作動状態となり、シートベルトが巻き取られるとともに車両に対して制動力が断続的に付与されることになる。
【0033】
上記車両用制御ユニット4に設けられた各制御手段1〜3による制御動作を、図3および図4に示すフローチャートに基づいて説明する。上記自動速度制御用のメインスイッチ10がON操作される等により制御動作がスタートすると、各センサおよびスイッチ等からの信号が入力された後(ステップS1)、上記車速センサ6、操舵角センサ7およびヨーレートセンサ8の出力信号に応じて自車両の進行路を予測する制御が実行されるとともに(ステップS2)、上記前方物体検出手段9の出力信号に応じて自車両の前方に位置する先行車両等からなる前方物体と自車両との車間距離および相対速度の演算が行われる(ステップS3)。
【0034】
次いで、上記ステップS2で予測された自車両の進行路と、ステップS3で演算された先行車両等と自車両との車間距離および相対速度とに基づき、自車両の進行路内に先行車両が存在するか否か、または自車両の進行路に向かう対向車両が存在するか否かを判定する等により、自車両に前方物体が接近している状態にあるか否かを判定し(ステップS4)、NOと判定された場合には、セット/コーストスイッチ11の操作があったか否かを判定する(ステップS5)。このステップS5でYESと判定されてセット/コーストスイッチ11が操作されたことが確認された場合には、その時点における自車両の走行速度(現車速)を目標車速VTとして設定した後(ステップS6)、下記ステップS7に移行する。
【0035】
上記ステップS5でNOと判定された場合には、ステップS6等において設定された目標車速VTと、車速センサ6により検出された実車速Vとの偏差(VT−V)が、予め設定された加速用基準値αよりも大きいか否かを判定し(ステップS7)、YESと判定されて実車速Vが目標車速VTよりも、ある程度低い状態にあることが確認された場合には、上記偏差(VT−V)に対応した加速度目標値を設定する(ステップS8)。
【0036】
上記ステップS7でNOと判定されて目標車速VTに比べて実車速Vがそれ程低い状態にないことが確認された場合には、実車速Vと目標車速VTとの偏差(V−VT)が予め設定された減速用基準値βよりも大きいか否かを判定し(ステップS9)、YESと判定されて実車速Vが目標車速VTよりも、ある程度高い状態にあることが確認された場合には、上記偏差(V−VT)に対応した減速度目標値を設定する(ステップS10)。
【0037】
次いで、上記ステップS8またはステップS10で設定された加速度目標値もしくは減速度目標値に応じて自車両の走行速度を上昇させ、あるいは低下させるための制御信号を上記スロットル弁駆動装置19またはブレーキ装置5に出力することにより、自車両の走行速度(実車速V)を目標車速VTに一致させる速度制御を実行する(ステップS11)。なお、上記ステップS9でNOと判定されて実車速Vと目標車速VTとが略等しいことが確認された場合には、上記速度制御を実行することなく下記ステップS21に移行することにより現在の走行速度を維持する。
【0038】
一方、ステップS4でYESと判定されて自車両の進行路内に先行車両等からなる前方物体が存在していることが確認された場合には、前方物体検出手段9により検出された先行車両等と自車両との車間距離が、予め設定された所定の自動制動用閾値K1よりも小さいか否かを判定し(ステップS12)、YESと判定されて先行車両等と自車両とがかなり接近した状態にあることが確認された場合には、スロットル弁駆動装置19を作動させてスロットル弁を閉止状態とするとともに、ブレーキ装置5を作動させて予め0.4G程度の減速度に対応した値に設定された制動力を自動的に付与し、かつ警報装置20を作動させて自動制動状態にあることを報知する制御を実行する(ステップS13)。
【0039】
上記ステップS12でNOと判定された場合には、前方物体検出手段9により検出された先行車両等と自車両との車間距離が、上記自動制動用閾値K1以上である状態において、この自動制動用閾値K1よりも大きい値に予め設定された警報用閾値K2よりも小さいか否かを判定し(ステップS14)、YESと判定されて先行車両と自車両とがやや接近した状態にあることが確認された場合には、警報装置20を作動させて車間距離が小さいことを報知する制御を実行する(ステップS15)。
【0040】
上記ステップS14でNOと判定されて先行車両等と自車両との車間距離が上記警報用閾値K2以上であることが確認された場合には、上記目標車間距離設定スイッチ14により設定された目標車間距離LTと、上記前方物体検出手段9により検出された実車間距離Lとの偏差(LT−L)が予め設定された加速用基準値γよりも大きいか否かを判定し(ステップS16)、YESと判定されて実車間距離Lが目標車間距離LTよりも、ある程度小さい状態にあることが確認された場合には、上記偏差(LT−L)に対応した加速度目標値を設定する(ステップS17)。
【0041】
上記ステップS15でNOと判定されて目標車間距離LTに比べて実車間距離Lが、それ程小さい状態にないことが確認された場合には、上記実車間距離Lと目標車間距離LTとの偏差(L−LT)が予め設定された減速用基準値δよりも大きいか否かを判定し(ステップS18)、YESと判定されて実車間距離Lが目標車間距離LTよりも、ある程度大きい状態にあることが確認された場合には、上記偏差(L−LT)に対応した減速度目標値を設定する(ステップS19)。
【0042】
その後、上記ステップS17またはステップS19で設定された加速度目標値もしくは減速度目標値に応じて自車両の走行速度を上昇させ、あるいは低下させるための制御信号を上記スロットル弁駆動装置19またはブレーキ装置5に出力することにより、先行車両と自車両との車間距離を目標車間距離に一致させるための速度制御を実行する(ステップS20)。なお、上記ステップS18でNOと判定されて先行車両と自車両との車間距離が目標車間距離に略等しいことが確認された場合には、上記速度制御を実行することなく下記ステップS21に移行することにより現在の車間距離を維持する。
【0043】
次いで、上記衝突予知制御手段2において前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたか否かを判定し(ステップS21)、NOと判定された場合には、リターンする。上記ステップS21でYESと判定されて上記の衝突予知状態にあることが確認された場合には、車速センサ6により検出された自車両の走行速度(自車速)Vが予め設定された基準値よりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。この基準値は、運転者が高度の注意を払う高車速状態にあるか、または運転者がある程度リラックスした通常の運転状態にあるかを判別するための値であり、例えば60km/h程度の速度に設定されている。
【0044】
上記ステップS22でNOと判定されて自車車速Vが基準値以下の通常走行状態にあることが確認された場合には、上記警報装置20の作動タイミングを設定するための第1閾値と、上記ブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21の作動タイミングを設定するための第2閾値として、通常値A1,B1を設定する(ステップS23)。上記第1閾値を設定するための通常値A1は、第2閾値用の通常値B1よりも大きな値に設定され、これにより警報装置20が後述するようにブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21よりも早い時期に作動状態となるように構成されている。
【0045】
一方、上記ステップS22でYESと判定されて自車両の走行速度Vが基準値よりも大きい高速走行状態にあることが確認された場合には、上記警報装置20の作動タイミングを設定するための第1閾値として、上記通常値A1よりも大きい補正値A2を設定するとともに、ブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21の作動タイミングを設定するための第2閾値として、上記通常値B1よりも小さい補正値B2を設定する(ステップS24)。このようにして、自車両が高速走行状態にある場合には、警報装置20が通常走行時よりも早い時期に作動状態となるとともに、ブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21が通常走行時よりも遅い時期に作動状態となるように上記第1,第2閾値がそれぞれ補正されることになる。
【0046】
次いで、先行車両または対向車両からなる前方物体と自車両との車間距離を、両者の相対速度で割った値からなる車頭時間Tが、上記ステップS23またはステップS24で設定された第1閾値よりも小さいか否かを判定することにより(ステップS25)、このままでは衝突状態となると予知された衝突予知時点よりも上記第1閾値に対応した時間だけ前の時点となったか否かを判別する。すなわち、ステップS25において上記車頭時間と第1閾値とを比較することにより、現時点の相対速度が維持された場合に、自車両が先行車両に追突し、あるいは対向車両と自車両とが衝突する予知される衝突予知時点を基準として、それよりも前の時期に設定された警報装置20の作動タイミングとなったか否かを判定し、YESと判定された時点で上記警報装置20を作動させてインストルメントパネルに設けられた表示ランプを点灯し、または車室内に設けられたアラームから警告音を出力する等により、衝突予知状態にあることを乗員に対して報知する(ステップS26)。
【0047】
上記ステップS25でNOと判定され、未だ警報装置20の作動タイミングとなっていないことが確認された場合には、ステップS21に戻り上記の制御動作を繰り返す。この過程においてステップS21でNOと判定され、衝突回避操作が行われる等により前方物体と自車両との衝突予知状態が解消されたことが確認された場合には、そのままリターンすることにより、上記衝突予知制御を終了する。
【0048】
次いで、前方物体と自車両との車頭時間Tが、上記ステップS23またはステップS24で設定された第2閾値よりも小さいか否かを判定することにより(ステップS27)、このままでは衝突状態となると予知された衝突予知時点よりも上記第2閾値に対応した時間だけ前の時期に設定されたシートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5の作動タイミングとなったか否かを判定し、NOと判定された場合には、ステップS21に戻って上記の制御動作を繰り返す。
【0049】
そして、上記ステップS27でYESと判定された時点でシートベルトテンショナー21を作動させてシートベルトを予め設定された第1張力、例えば乗員を過度に拘束することなくシートベルトの弛みを解消する程度に設定された張力でシートベルトを巻き取る制御を実行するとともに(ステップS28)、ブレーキ装置5を作動させることにより、予め0.45Gに設定された第1減速度に対応した制動力を断続的に付与する制御を実行する(ステップS29)。
【0050】
次いで、衝突センサ15の検出信号に応じて衝突の発生が検知されたか否かを判定し(ステップS30)、YESと判定された時点で、シートベルトテンショナー21を作動させてシートベルトを予め設定された第2張力、例えば乗員をかなりの拘束力で乗員用シートに保持させる程度に設定された張力でシートベルトを巻き取る制御を実行するとともに(ステップS31)、ブレーキ装置5を作動させて車両に付与される制動力を増大させる制御信号を上記衝突予知制御手段2からブレーキ装置5に出力することにより、予め0.6G程度に設定された第2減速度に対応した値の制動力を連続的に付与する(ステップS32)。
【0051】
上記のように自車両の前方に存在する前方物体と自車両との距離および相対速度を検出する前方物体検出手段9と、この前方物体検出手段9の検出結果に基づいて上記前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にブレーキ装置5を作動させる制御を実行する衝突予知制御手段2と、自車両の走行速度を検出する車速センサ7等からなる車速検出手段と、この車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合には走行速度が小さい場合に比べてブレーキ装置5の作動タイミングを遅らせるように上記ブレーキ装置5の制御条件を補正する制御条件補正手段3とを設けたため、衝突予知制御手段2の過剰な作動により乗員が違和感を受けるのを防止しつつ、衝突事故の発生時に衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0052】
すなわち、上記前方物体検出手段9の検出結果に基づいて先行車両等に自車両が衝突する状態にあることが予知された場合には、この衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも上記第1閾値に対応した時間だけ前の時点で警報装置20を作動させるとともに、上記衝突予知時点よりも第2閾値に対応した時間よりも前の時点でシートベルトの弛みを解消する程度に設定された第1張力でシートベルトを巻き取る制御と、第1減速度に対応した制動力を断続的に付与する制御とからなる乗員の保護制御を実行することにより、乗員に危険を察知させて身構えさせることができるとともに、衝突速度を低減して衝突時の衝撃を効果的に緩和することができる。
【0053】
そして、自車両の走行速度が早いことに起因して走行状況が顕著に変動するとともに、通常時に比べて早い時期に衝突予知が行われる傾向がある高速走行時には、ブレーキ装置5の作動タイミングを設定するための上記第2閾値を通常走行時よりも小さな値に補正することにより、ブレーキ装置5の作動タイミングを通常速走行時に比べて遅らせるように構成したため、衝突が回避される可能性が高いにも拘わらず、上記ブレーキ装置5が作動状態となって所定の制動力が車両に付与されることによる悪影響、つまり車両の挙動が大きく悪化するという事態の発生を効果的に防止しつつ、所定のタイミングで車両に制動力を付与して衝突時の衝撃を効果的に緩和することが可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、車速センサ6からなる車速検出手段により検出された自車両の走行速度(自車速)が基準速度よりも早い高速走行時に、前方物体が自車両に衝突する状態にあることが予知された場合に、警報装置20の作動タイミングを設定するための上記第1閾値を、通常走行時よりも大きな値に補正する制御を上記制御条件補正手段3において実行するように構成したため、上記通常走行時よりも早いタイミングで警報装置20を作動させることにより、衝突予知状態にあることを乗員に対して速やかに認識させることができる。
【0055】
なお、上記車速センサ6からなる車速検出手段により検出された自車両の走行速度(自車速)が基準速度よりも早いか否かを判別するとともに、この判別結果に応じて上記第1,第2閾値を予め設定された通常値A1,B1から高速時用の補正値A2,B2に変更することにより、上記第1,第2閾値を二段階に変化させるように構成した上記実施形態に代え、上記自車速の検出値に応じて第1,第2閾値を多段階に変化させ、あるいはリニアに変化させることにより、警報装置20およびブレーキ装置5の作動タイミングを自車速に応じて微調節し得るように構成してもよい。
【0056】
さらに、上記ブレーキ装置5の作動タイミングを調節するための第2閾値を変化させるようにした上記構成に代え、またはこの構成とともに、上記ブレーキ装置5から車両に付与される制動力を、上記車速センサ6の検出信号に応じて変化させることにより、ブレーキ装置5の実質的な作動タイミングを自車速に対応させて調節するようにしてもよい。例えば、車速センサ6の検出信号に応じて自車両が高速走行状態にあることが確認された場合には、通常の走行状態に比べて上記ブレーキ装置5から車両に付与される制動力を小さな値に設定するように制御条件を変化させるようにしてもよい。この結果、高速走行時に車速を顕著に変化させる制動力制御の実行が抑制され、これによりブレーキ装置5の作動時期を通常走行時に比べて実質的に遅延させることができるとともに、高速走行時に大きな制動力が付与されることに起因して乗員が違和感を受けるのを効果的に抑制できるという利点がある。
【0057】
また、上記実施形態では、前方物体検出手段9の検出結果に基づいて前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にシートベルトテンショナー21を作動させてシートベルトを巻き取る制御を衝突予知制御手段2において実行するとともに、車速センサ6からなる車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合に、この走行速度が小さい場合に比べて上記シートベルトテンショナー21の作動時期を遅らせるように、制御条件補正手段3においてシートベルトテンショナー21用の制御条件を補正するように構成したため、高速走行時に衝突が回避される可能性が高いにも拘わらず、上記シートベルトテンショナー21が作動状態となってシートベルトにより乗員が不必要に拘束されるという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0058】
なお、図5に示すように、ステップS22でYESと判定されて自車両の走行速度が基準値よりも大きい高速走行状態にあることが確認された場合に、ステップS41において操舵角センサ7からなる操舵角検出手段により検出されたステアリングホイールの操舵角度θが予め設定された基準角度よりも小さいか否かを判別し、この判別結果に応じて上記警報装置20の作動タイミングを設定するための第1閾値とブレーキ装置5およびシートベルトテンショナー21の作動タイミングを設定するための第2閾値とを変化させるように構成してもよい。
【0059】
すなわち、上記ステップS41でNOと判定されて操舵角度θが基準角度以上であることが確認された場合には、ステップS24に移行して上記第1閾値を通常値A1よりも大きい補正値A2に設定するとともに、上記第2閾値を通常値B1よりも小さい補正値B2に設定する補正を実行する。これに対して上記ステップS41でYESと判定されて操舵角度θが基準値よりも小さいことが確認された場合には、ステップS23に移行することにより、上記第1,第2閾値の補正を行うことなく、通常値A1,B1に設定された第1,第2閾値に基づいて警報装置20の作動タイミングを設定するとともに、シートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5の作動タイミングを設定するように構成してもよい。
【0060】
上記のように高速走行時に操舵角度の検出値が予め設定された基準角度よりも大きい場合には、自車両の走行状態が大きく変化して衝突予知の誤判定が生じ易い傾向があるため、このような状態にあることが確認された場合にのみ、上記制御条件補正手段3による制御条件の補正を行うように構成すれば、上記走行状態で衝突が回避される可能性が高いにも拘わらず、上記シートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5が作動状態となることによる弊害、つまりシートベルトにより乗員が不必要に拘束されて違和感を受けたり、車両の挙動が大きく悪化したりするという弊害の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0061】
また、自車両に衝突すると予知された前方物体と自車両との車幅方向におけるオフセット距離を測定するオフセット距離測定手段、例えば上記前方物体検出手段9または車体の前方側に位置する物体を撮像することにより前方物体の画像データを検出するCCDカメラ等からなる前方情報検出手段により検出された対向車両等からなる前方物体の位置と、上記操舵角センサ7およびヨーレートセンサ等により現出された自車両の進行路とに基づき、前方物体と自車両との車幅方向におけるオフセット距離を求めるオフセット距離測定手段を運転制御ユニット4に設けた構造としてもよい。
【0062】
そして、上記オフセット距離測定手段により測定されたオフセット距離が大きい場合には、オフセット距離の測定値が小さい場合に比べて衝突予知の誤判定が生じ易い傾向があるため、上記衝突予知制御時におけるシートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5の作動タイミングを遅らせるように制御条件を補正するように構成してもよい。これにより上記走行状態で衝突が回避される可能性が高いにも拘わらず、上記シートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5が作動状態となってシートベルトにより乗員が不必要に拘束されたり、車両の挙動が大きく悪化したりするという弊害の発生を効果的に防止することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、警報装置20の作動タイミングを設定する第1閾値を、シートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5の作動タイミングを設定する第2閾値よりも大きな値に設定することにより、車速センサ6からなる車速検出手段により検出された自車両の走行速度が基準値よりも小さい場合においても、警報装置20の作動後に所定時間が経過した時点でシートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5を作動させるように構成した例について説明したが、自車両の走行速度が基準値よりも小さい通常の走行時に、上記第1閾値と第2閾値とを同じ値に設定することにより、上記警報装置20と、シートベルトテンショナー21およびブレーキ装置5とを同時に作動させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る車両の制御装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】前方物体検出手段の検出範囲を示す説明図である。
【図3】上記制御装置による制御動作の前半部を示すフローチャートである。
【図4】上記制御装置による制御動作の後半部を示すフローチャートである。
【図5】上記制御装置による制御動作の後半部の別の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
2 衝突予知制御手段
3 制御条件補正手段
5 ブレーキ装置
6 車速センサ(車速検出手段)
7 操舵角センサ(操舵角検出手段)
20 警報装置
21 シートベルトテンショナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方に存在する前方物体と自車両との距離および相対速度を検出する前方物体検出手段と、この前方物体検出手段の検出結果に基づいて上記前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にブレーキ装置を作動させる制御を実行する衝突予知制御手段と、自車両の走行速度を検出する車速検出手段と、この車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合には走行速度が小さい場合に比べてブレーキ装置の作動タイミングを遅らせるように上記ブレーキ装置の制御条件を補正する制御条件補正手段とを備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
衝突予知制御手段は、前方物体検出手段の検出結果に基づいて前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前に警報装置を作動させて乗員に対する警告を行うように制御する機能を備えるとともに、制御条件補正手段は、車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合に、この走行速度が小さい場合に比べて上記警報装置の作動時期を早めるように制御条件を補正する機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
衝突予知制御手段は、前方物体検出手段の検出結果に基づいて前方物体と自車両とが衝突する状態にあることが予知されたときに、衝突が発生すると予知された衝突予知時点よりも前にシートベルトテンショナーを作動させてシートベルトを巻き取るように制御する機能を備えるとともに、制御条件補正手段は、車速検出手段により検出された自車両の走行速度が大きい場合に、この走行速度が小さい場合に比べて上記シートベルトテンショナーの作動時期を遅らせるように制御条件を補正する機能を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
ステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角検出手段を備えるとともに、この操舵角度の検出値が予め設定された基準角度よりも大きい場合にのみ、制御条件補正手段による制御条件の補正を行うように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
自車両に衝突すると予知された前方物体と自車両との車幅方向におけるオフセット距離を測定するオフセット距離測定手段を備えるとともに、このオフセット距離が大きい場合には、衝突予知制御時におけるブレーキ装置の作動タイミングをオフセット距離が小さい場合に比べて遅らせるようにブレーキ装置の制御条件を補正することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−347511(P2006−347511A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179817(P2005−179817)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】