車両の駐車支援装置およびそれを備える車両
【課題】車両の駐車位置の位置ずれを小さく抑えることができる車両の駐車支援装置およびそれを備える車両を提供する。
【解決手段】車両の駐車支援装置は、カメラ120と、カメラ120から得られる画像で車外の送電ユニット220の位置を認識して送電ユニット220に向けて車両100を誘導するための第1の車両誘導部と、送電ユニット220から非接触状態で電力の受電を行なう受電ユニット110と、受電ユニット110の受電した電力に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導部とを備える。制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから車両駆動部に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。
【解決手段】車両の駐車支援装置は、カメラ120と、カメラ120から得られる画像で車外の送電ユニット220の位置を認識して送電ユニット220に向けて車両100を誘導するための第1の車両誘導部と、送電ユニット220から非接触状態で電力の受電を行なう受電ユニット110と、受電ユニット110の受電した電力に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導部とを備える。制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから車両駆動部に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の駐車支援装置およびそれを備える車両に関し、特に、非接触状態で電力の受電を行なう受電部を用いて駐車支援を行なう駐車支援装置およびそれを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車など、外部から車載の蓄電装置に充電が可能に構成された車両が実用化されている。充電を自動で行なうことや、そのために駐車位置を誘導する技術も検討されている。
【0003】
特開2007−97345号公報(特許文献1)は、車両の周囲状況を撮影するバックモニタカメラの画像の目標駐車位置付近に送電装置の識別子が存在する場合に識別子の位置を認識して位置合わせ支援制御を行なう技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−97345号公報
【特許文献2】特開2004−291865号公報
【特許文献3】特開2006−345588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2007−97345号公報では、送電装置の識別子がバックモニタカメラの死角に入ってしまうことが考慮されていない。特に、送電装置に車両が近接しているときであっても車両の行き過ぎを防止しないと意図しないで送電装置等に車両が接触してしまう場合が考えられる。また、行き過ぎを防止するあまり送電装置の手前で車両を停止させるようにすると、充電するために不十分な位置となってしまう場合が考えられる。したがって、識別子がカメラの死角に入った後にも精度よく車両の誘導を行なうためには改善の余地がある。
【0006】
この発明の目的は、車両の駐車位置の位置ずれを小さく抑えることができる車両の駐車支援装置およびそれを備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、要約すると、車両の駐車支援装置であって、車両の周囲画像を撮影するカメラと、カメラから得られる画像で車外の送電装置の位置を認識して送電装置に向けて車両を誘導するための第1の車両誘導部と、送電装置から非接触状態で電力の受電を行なう受電部と、受電部の受電した電力に基づいて車両を誘導するための第2の車両誘導部と、第1および第2の車両誘導部の出力に基づいて車両を駆動する車両駆動部を制御して車両を移動させる制御部とを備える。制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電装置の位置を検出できなくなってから車両駆動部に所定距離を超えて車両を移動させても受電部が送電装置から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、車両の移動を停止させるための処理を行なう。
【0008】
好ましくは、制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電装置の位置を検出できなくなってから車両駆動部に所定距離を超えて車両を移動させても受電部が送電装置から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、受電部による電力の受電を停止させ第2の車両誘導部による誘導を中断する。
【0009】
より好ましくは、制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電装置の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電部が送電装置から受電する電力が第1の条件を満たした場合には、第2の車両誘導部による誘導を終了し、送電装置から車載の蓄電装置への充電を行なう準備を開始する。
【0010】
より好ましくは、制御部は、車両を自動停止させ第2の車両誘導部による誘導を中断した後に、運転者の指示に応じて再度受電部による電力の送信または受信を再開し、受電部が送電装置から受電する電力が第2の条件を満たした場合には送電装置から車載の蓄電装置への充電を開始し、受電部が送電装置から受電する電力が第2の条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう。
【0011】
さらに好ましくは、運転者の指示は、車両駆動部をパーキング状態に設定することによって与えられる。
【0012】
さらに好ましくは、第1の条件は、第2の条件よりも受電部が送電装置から受電する電力が大きくなる条件である。
【0013】
好ましくは、受電部は、送電装置の送電コイルから電磁共鳴により非接触で電力を受電する受電コイルを含む。
【0014】
この発明は、他の局面では、上記いずれかの車両の駐車支援装置を備える車両である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の駐車支援時に駐車位置に近接した後にも精度が良く誘導できるとともに、行き過ぎを監視して防止するので、車両の駐車位置の位置ずれを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態による車両用給電システムの全体構成図である。
【図2】共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
【図3】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図4】図1のカメラ120で駐車の誘導を行なう際の問題点を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に示される車両と給電装置の送受電に関する概略構成を示した図である。
【図6】図1、図5に示した車両100の詳細を示す構成図である。
【図7】車両側の受電ユニット110と給電装置側の送電ユニット220についてより詳細に説明するための回路図である。
【図8】図6に示した制御装置180の機能ブロック図である。
【図9】非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【図10】非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【図11】車両移動距離と受電電圧との関係を示す図である。
【図12】図10のステップS10における車両の移動距離の検出について説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートによって車速がゼロに設定された動作の一例を示す動作波形図である。
【図14】図10のステップS20で実行される動作モード2の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態による車両用給電システムの全体構成図である。
図1を参照して、車両用給電システム10は、車両100と、給電装置200とを備える。車両100は、受電ユニット110と、カメラ120と、通信ユニット130とを含む。
【0019】
受電ユニット110は、車体底面に設置され、給電装置200の送電ユニット220から送出される電力を非接触で受電するように構成される。詳しくは、受電ユニット110は、後に説明する自己共振コイルを含み、送電ユニット220に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより送電ユニット220から非接触で受電する。カメラ120は、受電ユニット110と送電ユニット220との位置関係を検知するために設けられ、たとえば車両後方を撮影可能に車体に取付けられる。通信ユニット130は、車両100と給電装置200との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
【0020】
給電装置200は、高周波電源装置210と、送電ユニット220と、発光部230と、通信ユニット240とを含む。高周波電源装置210は、たとえば系統電源から供給される商用交流電力を高周波の電力に変換して送電ユニット220へ出力する。なお、高周波電源装置210が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1MHz〜数十MHzである。
【0021】
送電ユニット220は、駐車場の床面に固定され、高周波電源装置210から供給される高周波電力を車両100の受電ユニット110へ非接触で送出するように構成される。詳しくは、送電ユニット220は、自己共振コイルを含み、受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより受電ユニット110へ非接触で送電する。発光部230は、送電ユニット220上に複数設けられ、送電ユニット220の位置を示すために設けられる。発光部230は、たとえば発光ダイオードなどを含む。通信ユニット240は、給電装置200と車両100との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
【0022】
この車両用給電システム10においては、給電装置200の送電ユニット220から高周波の電力が送出され、車両100の受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと送電ユニット220に含まれる自己共振コイルとが電磁場を介して共鳴することにより、給電装置200から車両100へ給電される。
【0023】
ここで、給電装置200から車両100への給電に際し、車両100を給電装置200へ誘導して車両100の受電ユニット110と給電装置200の送電ユニット220との位置合わせを行なう必要がある。
【0024】
位置合わせは、まず、第1段階においては、カメラ120によって撮影される画像に基づいて車両100の受電ユニット110と給電装置200の送電ユニット220との位置関係が検知され、その検知結果に基づいて送電ユニット220へ車両を誘導するように車両が制御される。より詳しくは、送電ユニット220上に設けられた複数の発光部230がカメラ120によって撮影され、複数の発光部230の位置および向きが画像認識される。そして、その画像認識の結果に基づいて送電ユニット220と車両との位置および向きが認識され、その認識結果に基づいて送電ユニット220へ車両が誘導される。
【0025】
ここで、受電ユニット110および送電ユニット220の対向面積は、車体底面の面積よりも小さいので、送電ユニット220が車体下部に入り込むことによってカメラ120により送電ユニット220を撮影できなくなる。すると、位置合わせ制御は第1段階から第2段階に切替わる。この第2段階においては、送電ユニット220から受電ユニット110への給電が行なわれ、その給電状況に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との距離が検知される。そして、その距離情報に基づいて、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせを行なうように車両が制御される。
【0026】
なお、上記の第2段階時に送電ユニット220からテスト信号として送出される電力の大きさは、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせの完了後に送電ユニット220から受電ユニット110へ供給される充電のための電力よりも小さく設定される。上記第2段階時に送電ユニット220から電力を送出するのは、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知するためであり、本格的な給電を行なう際の大電力は不要だからである。
【0027】
次に、この実施の形態による車両用給電システム10に用いられる非接触給電方法について説明する。この実施の形態による車両用給電システム10では、共鳴法を用いて給電装置200から車両100への給電が行なわれる。
【0028】
図2は、共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0029】
具体的には、高周波電源310に一次コイル320を接続し、電磁誘導により一次コイル320と磁気的に結合される一次自己共振コイル330へ1M〜数十MHzの高周波電力を給電する。一次自己共振コイル330は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル330と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル340と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル330から二次自己共振コイル340へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル340へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル340と磁気的に結合される二次コイル350によって取出され、負荷360へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル330と二次自己共振コイル340との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
【0030】
なお、図1との対応関係については、二次自己共振コイル340および二次コイル350が図1の受電ユニット110に対応し、一次コイル320および一次自己共振コイル330が図1の送電ユニット220に対応する。
【0031】
図3は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図3を参照して、電磁界は3つの成分を含む。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。
【0032】
この中でも波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域があるが、共鳴法では、この近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、近接場を利用して、同じ固有振動数を有する一対の共鳴器(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、一方の共鳴器(一次自己共振コイル)から他方の共鳴器(二次自己共振コイル)へエネルギー(電力)を伝送する。この近接場は遠方にエネルギー(電力)を伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によりエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0033】
図4は、図1のカメラ120で駐車の誘導を行なう際の問題点を説明するための図である。
【0034】
図4を参照して、位置220Aに送電ユニットがある場合には、カメラ120の視野に送電ユニットが入っており、カメラ120による駐車支援を行なうことができる。しかし、受電ユニット110が車両の底面に設置されている場合には、位置220Bに送電ユニットがくるように車両100を移動させる必要がある。位置220B付近はカメラ120の死角になるので、カメラ120の画像を利用した駐車支援は行なうことができない。
【0035】
また、カメラ120の駐車支援を途中まで行ない、その後は位置を推測することも考えられるが、位置ずれが生じる可能性があり、電力の送受電が良好に行なえない恐れがある。また、車両が後方に移動しすぎると送電ユニットを前輪で踏みつけてしまったり他の障害物に車両が接触してしまったりする可能性もある。
【0036】
そこで、本実施の形態では、送電ユニットがカメラ120の死角に入ってからは送電ユニット220と受電ユニット110とで微弱電力の送受電を行ないこれに基づいて駐車支援を行なう。これにより、位置220Bに示すように車両の下に送電ユニットが入ってからでも、駐車位置を精度よく指定することが可能となる。
【0037】
さらに、車両100を移動させすぎて送電ユニットを前輪で踏みつけてしまったり他の障害物に車両100が接触してしまったりしないように、位置220Cに示すくらいに送電ユニットが想定範囲を超えて車両100を移動させても受電ユニット110で良好な受電ができない場合には、車両100を停止させるように制御が行なわれる。たとえば、送電ユニットの一部がカメラ120の死角に入ってから、距離L1(たとえば1.5m)だけ車両100を移動させても受電ユニット110で良好に受電できる位置が見つからない場合には、車両100を停止するように運転者に警告するか、または自動的に車両を停止させる。距離L1は、受電ユニット110による位置合わせ精度のマージンに基づいて決定される。
【0038】
図5は、本実施の形態に示される車両と給電装置の送受電に関する概略構成を示した図である。
【0039】
図5を参照して、給電装置200は、送電ユニット220と、高周波電源装置210と、通信ユニット240とを含む。車両100は、通信ユニット130と、受電ユニット110と、整流器140と、リレー146と、抵抗負荷144と受電電圧計測部(電圧センサ)190と、図示しない蓄電装置に充電を行なう充電装置(DC/DCコンバータ142)とを含む。
【0040】
通信ユニット240と通信ユニット130とが無線で通信を行ない、受電ユニット110と送電ユニット220の位置合わせを行なうための情報をやり取りする。抵抗負荷144を一時的にリレー146で送電ユニットの出力に接続することによって、受電電圧計測部190が受電条件を満たすか否かの電圧情報を得ることができる。この電圧情報を得るための微弱電力の送電要求が通信ユニット130,240を介して車両100から給電装置200に伝えられる。
【0041】
図6は、図1、図5に示した車両100の詳細を示す構成図である。
図6を参照して、車両100は、蓄電装置150と、システムメインリレーSMR1と、昇圧コンバータ162と、インバータ164,166と、モータジェネレータ172,174と、エンジン176と、動力分割装置177と、駆動輪178とを含む。
【0042】
車両100は、さらに、二次自己共振コイル112と、二次コイル114と、整流器140と、DC/DCコンバータ142と、システムメインリレーSMR2と、電圧センサ190とを含む。
【0043】
車両100は、さらに、制御装置180と、カメラ120と、通信ユニット130と、給電ボタン122とを含む。
【0044】
この車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174を動力源として搭載する。エンジン176およびモータジェネレータ172,174は、動力分割装置177に連結される。そして、車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174の少なくとも一方が発生する駆動力によって走行する。エンジン176が発生する動力は、動力分割装置177によって2経路に分割される。すなわち、一方は駆動輪178へ伝達される経路であり、もう一方はモータジェネレータ172へ伝達される経路である。
【0045】
モータジェネレータ172は、交流回転電機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ172は、動力分割装置177によって分割されたエンジン176の運動エネルギーを用いて発電する。たとえば、蓄電装置150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)が予め定められた値よりも低くなると、エンジン176が始動してモータジェネレータ172により発電が行なわれ、蓄電装置150が充電される。
【0046】
モータジェネレータ174も、交流回転電機であり、モータジェネレータ172と同様に、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ174は、蓄電装置150に蓄えられた電力およびモータジェネレータ172により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、モータジェネレータ174の駆動力は、駆動輪178に伝達される。
【0047】
また、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、運動エネルギーや位置エネルギーとして車両に蓄えられた力学的エネルギーが駆動輪178を介してモータジェネレータ174の回転駆動に用いられ、モータジェネレータ174が発電機として作動する。これにより、モータジェネレータ174は、走行エネルギーを電力に変換して制動力を発生する回生ブレーキとして作動する。そして、モータジェネレータ174により発電された電力は、蓄電装置150に蓄えられる。
【0048】
動力分割装置177は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車を使用することができる。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン176のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータ172の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータ174の回転軸および駆動輪178に連結される。
【0049】
蓄電装置150は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池を含む。蓄電装置150は、DC/DCコンバータ142から供給される電力を蓄えるほか、モータジェネレータ172,174によって発電される回生電力も蓄える。そして、蓄電装置150は、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給する。なお、蓄電装置150として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電装置200(図1)から供給される電力やモータジェネレータ172,174からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0050】
システムメインリレーSMR1は、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間に配設される。システムメインリレーSMR1は、制御装置180からの信号SE1が活性化されると、蓄電装置150を昇圧コンバータ162と電気的に接続し、信号SE1が非活性化されると、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間の電路を遮断する。昇圧コンバータ162は、制御装置180からの信号PWCに基づいて、正極線PL2の電圧を蓄電装置150から出力される電圧以上の電圧に昇圧する。なお、この昇圧コンバータ162は、たとえば直流チョッパ回路を含む。
【0051】
インバータ164,166は、それぞれモータジェネレータ172,174に対応して設けられる。インバータ164は、制御装置180からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ172を駆動し、インバータ166は、制御装置180からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ174を駆動する。なお、インバータ164,166は、たとえば三相ブリッジ回路を含む。
【0052】
二次自己共振コイル112は、両端がスイッチ(リレー113)を介してコンデンサ111に接続されており、スイッチ(リレー113)が導通状態となったときに給電装置200の一次共振コイルと電磁場を介して共鳴する。この共鳴により給電装置200から受電が行なわれる。なお、図6ではコンデンサ111を設けた例を示したが、コンデンサに代えてコイルの浮遊容量によって共振するように、一次自己共振コイルとの調整をしてもよい。
【0053】
なお、二次自己共振コイル112については、給電装置200の一次自己共振コイルとの距離や、一次自己共振コイルと二次自己共振コイル112との共鳴強度を示すQ値(たとえばQ>100)およびその結合度を示すκなどが大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
【0054】
二次コイル114は、二次自己共振コイル112と同軸上に配設され、電磁誘導により二次自己共振コイル112と磁気的に結合可能である。この二次コイル114は、二次自己共振コイル112により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器140へ出力する。なお、二次自己共振コイル112および二次コイル114は、図1に示した受電ユニット110を形成する。
【0055】
整流器140は、二次コイル114によって取出された交流電力を整流する。DC/DCコンバータ142は、制御装置180からの信号PWDに基づいて、整流器140によって整流された電力を蓄電装置150の電圧レベルに変換して蓄電装置150へ出力する。
【0056】
システムメインリレーSMR2は、DC/DCコンバータ142と蓄電装置150との間に配設される。システムメインリレーSMR2は、制御装置180からの信号SE2が活性化されると、蓄電装置150をDC/DCコンバータ142と電気的に接続し、信号SE2が非活性化されると、蓄電装置150とDC/DCコンバータ142との間の電路を遮断する。電圧センサ190は、整流器140とDC/DCコンバータ142との間の電圧VRを検出し、その検出値を制御装置180へ出力する。
【0057】
整流器140とDC/DCコンバータ142との間には直列に接続された抵抗144およびリレー146が設けられる。リレー146は、後に説明するように、車両100が非接触給電を行なう場合に車両位置を調整する際に制御装置180によって導通状態に制御される。
【0058】
制御装置180は、アクセル開度や車両速度、その他種々のセンサからの信号に基づいて、昇圧コンバータ162およびモータジェネレータ172,174をそれぞれ駆動するための信号PWC,PWI1,PWI2を生成する。制御装置180は、生成した信号PWC,PWI1,PWI2をそれぞれ昇圧コンバータ162およびインバータ164,166へ出力する。そして、車両の走行時、制御装置180は、信号SE1を活性化してシステムメインリレーSMR1をオンさせるとともに、信号SE2を非活性化してシステムメインリレーSMR2をオフさせる。
【0059】
また、給電装置200(図1)から車両100への給電が行なわれるとき、制御装置180は、カメラ120によって撮影された画像をカメラ120から受ける。また、制御装置180は、給電装置200から送出される電力の情報(電圧および電流)を給電装置200から通信ユニット130を介して受け、電圧センサ190によって検出される電圧VRの検出値を電圧センサ190から受ける。そして、制御装置180は、これらのデータに基づいて、給電装置200の送電ユニット220(図1)へ当該車両を誘導するように後述の方法により車両の駐車制御を実行する。
【0060】
送電ユニット220への駐車制御が完了すると、制御装置180は、通信ユニット130を介して給電装置200へ給電指令を送信するとともに、信号SE2を活性化してシステムメインリレーSMR2をオンさせる。そして、制御装置180は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDをDC/DCコンバータ142へ出力する。
【0061】
図7は、車両側の受電ユニット110と給電装置側の送電ユニット220についてより詳細に説明するための回路図である。
【0062】
図7を参照して、高周波電源装置210は、高周波交流電源213と、電源のインピーダンスを示す抵抗211とで表わされる。
【0063】
送電ユニット220は、高周波電源装置210に接続される一次コイル232と、電磁誘導により一次コイル232と磁気的に結合される一次自己共振コイル234と、一次自己共振コイル234の両端に接続されたコンデンサ242とを含む。
【0064】
受電ユニット110は、一次自己共振コイル234と、電磁場を介して共鳴する二次自己共振コイル112と、二次自己共振コイル112の両端に直列に接続されるコンデンサ111およびリレー113とを含む。リレー113は、受電する場合に導通状態に制御される。
【0065】
受電ユニット110は、二次自己共振コイル112と磁気的に結合される二次コイル114をさらに含む。二次コイル114で受電された交流電力は整流器140で整流される。整流器140の出力にはコンデンサC1が接続されており、車両と給電設備との位置を調整する場合に用いられるリレー146および抵抗144がコンデンサC1の電極間に接続されている。整流器140の出力側にはさらに充電器(DC/DCコンバータ142)が接続され適切な充電電圧に電圧が変換され、変換後の充電電圧はバッテリ(蓄電装置150)に与えられる。
【0066】
抵抗144は、たとえば50Ωのインピーダンスに設定されており、この値は高周波電源装置210の抵抗211で表わされるインピーダンスとマッチングするように調整されている。
【0067】
電圧センサ190は、車両に非接触給電が行なわれる際に車両の停止位置を調整する際には抵抗144の両端の電圧を検出して、検出値VRを制御装置180に出力する。
【0068】
一方、車両位置の調整が完了し外部電源から車両に非接触給電により充電が行なわれている場合には、DC/DCコンバータ142に対する入力電圧を検出値VRとして電圧センサ190が検出する。
【0069】
図8は、図6に示した制御装置180の機能ブロック図である。
図8を参照して、制御装置180は、IPA(Intelligent Parking Assist)−ECU(Electronic Control Unit)410と、EPS(Electric Power Steering)420と、MG(Motor-Generator)−ECU430と、ECB(Electronically Controlled Brake)440と、EPB(Electric Parking Brake)450と、共鳴ECU460と、HV(Hybrid Vehicle)−ECU470とを含む。
【0070】
IPA−ECU410は、車両の動作モードが充電モードのとき、カメラ120から受ける画像情報に基づいて、給電装置200の送電ユニット220(図1)へ車両を誘導する誘導制御を実行する(第1の誘導制御)。
【0071】
具体的には、IPA−ECU410は、カメラ120から受ける画像情報に基づいて送電ユニット220を認識する。ここで、送電ユニット220には、送電ユニット220の位置および向きを示す複数の発光部230が設けられており、IPA−ECU410は、カメラ120に映し出された複数の発光部230の映像に基づいて送電ユニット220との位置関係(おおよその距離および向き)を認識する。そして、IPA−ECU410は、その認識結果に基づいて、送電ユニット220へ適切な向きで車両が誘導されるようにEPS420へ指令を出力する。
【0072】
また、IPA−ECU410は、送電ユニット220に車両が近づくことによって送電ユニット220が車体下部に入り込み、カメラ120によって送電ユニット220を撮影できなくなると、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の終了をHV−ECU470へ通知する。EPS420は、第1の誘導制御時、IPA−ECU410からの指令に基づいてステアリングの自動制御を行なう。
【0073】
MG−ECU430は、HV−ECU470からの指令に基づいて、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を制御する。詳しくは、MG−ECU430は、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を駆動するための信号を生成してそれぞれインバータ164,166および昇圧コンバータ162へ出力する。
【0074】
ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、車両の制動を制御する。詳しくは、ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、油圧ブレーキの制御を行なうとともに、油圧ブレーキとモータジェネレータ174による回生ブレーキとの協調制御を行なう。EPB450は、HV−ECU470からの指令に基づいて、電動パーキングブレーキの制御を行なう。
【0075】
共鳴ECU460は、給電装置200(図1)から送出される電力の情報を給電装置200から通信ユニット130を介して受ける。また、共鳴ECU460は、車両における受電電圧を示す電圧VRの検出値を電圧センサ190(図6、図7)から受ける。そして、共鳴ECU460は、たとえば給電装置200からの送電電圧と電圧VRとを比較することによって、給電装置200の送電ユニット220と車両の受電ユニット110との距離を検知する。そして、共鳴ECU460は、検出した距離に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導処理を行なう。
【0076】
HV−ECU470は、第1および第2の車両誘導処理のいずれかの結果に基づいて車両を駆動するMG−ECU430を制御して車両100を移動させる。HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。この処理は、自動でブレーキをかける処理であっても良いし、運転者にブレーキを踏むように指示する処理でも良い。
【0077】
HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たさない場合には、受電ユニット110による電力の受電を停止させ共鳴ECU460による誘導を中断する。
【0078】
HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たした場合には、共鳴ECU460による誘導を終了し、送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を行なう準備を開始する。
【0079】
より好ましくは、HV−ECU470は、車両100を自動停止させ共鳴ECU460による誘導を中断した後に、運転者による駐車位置の変更後に運転者の指示(パーキングレンジへの設定操作など)に応じて再度受電ユニット110による電力の送信または受信を再開し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が受電可能条件を満たした場合には送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を開始し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が受電可能条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう。
【0080】
図9は、非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【0081】
図10は、非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【0082】
図9、図10において左半分には車両側で実行される制御が示され、右半分には給電装置側で実行される制御が示されている。
【0083】
図1、図9を参照して、まず車両側でステップS1において停車処理が行なわれ、続いてステップS2において給電ボタン122がオン状態に設定されたか否かが検出される。給電ボタンがオン状態に設定されていない場合には制御装置180は給電ボタンがオンに設定されるまで待つ。ステップS2において給電ボタン122がオン状態に設定されたことが検出された場合にはステップS3に処理が進む。ステップS3では、制御装置180は通信ユニット130を使用して給電装置200と通信を開始する。
【0084】
ここで給電装置側においてはステップS51において処理が開始されると車両側から通信があるまでステップS52において待っており、通信の開始が要求された場合にはステップS53において通信を開始する。
【0085】
車両側ではステップS3の通信開始の処理に続いてステップS4においてリレー113をオン状態に設定する制御が実行される。そしてステップS5において駐車制御の開始が行なわれる。駐車制御は、第1段階では、カメラを用いたIPA(インテリジェントパーキングアシスト)システムが用いられる。
【0086】
そして車両が給電位置にある程度近づくと制御装置180内部で距離検出要求がオン状態に設定される(ステップS6でYES)。
【0087】
図1、図10を参照して、給電装置側では、ステップS53の次には、ステップS54においてテスト信号送電要求がオン状態になるのを待っている。
【0088】
一方、車両側では、ステップS6からステップS7に処理が進み、制御装置180はリレー146をオン状態に設定する。そしてステップS8において給電装置側にテスト信号送電要求をオン状態にしたことを送信する。すると給電装置はステップS54においてテスト信号送電要求がオン状態に設定されたことを検出してステップS55に処理を進めてテスト信号を車両に送電する。このテスト信号は、充電開始後に送電する場合と同様な電力を送信してもよいが、本格的な送電時に送る信号よりも弱い信号(微弱電力)に設定することが好ましい。
【0089】
そしてこのテスト信号を用いて抵抗144の両端に生じる電圧がある電圧に到達したことをもって、給電可能な距離に車両が到達したことが検出される。
【0090】
一定の一次側電圧(給電装置200からの出力電圧)に対して、二次側電圧(車両100の受電電圧)は、給電装置200の送電ユニット220と車両100の受電ユニット110との間の距離Lに応じて変化する。そこで、一次側電圧および二次側電圧の関係を予め測定するなどしてマップ等を作成しておき、二次側電圧を示す電圧VRの検出値に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検出することができる。
【0091】
なお、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離Lに応じて一次側電流(給電装置200からの出力電流)も変化するが、この関係を用いて、給電装置200からの出力電流の検出値に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知してもよい。
【0092】
共鳴ECU460は、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知すると、その距離情報をHV−ECU470へ出力する。また、共鳴ECU460は、HV−ECU470から充電開始指令を受けると、システムメインリレーSMR2へ出力される信号SE2を活性化することによってシステムメインリレーSMR2をオンさせる。そして、共鳴ECU460は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号を生成してDC/DCコンバータ142へ出力する。
【0093】
HV−ECU470は、車両の動作モードが走行モードのとき、アクセルペダル/ブレーキペダルの操作状況や車両の走行状況等に応じて、MG−ECU430およびECB440へ制御指令を出力する。また、パーキングブレーキスイッチが操作される等して運転者によりパーキングブレーキの作動が指示されると、HV−ECU470は、EPB450へ動作指令を出力する。
【0094】
一方、車両の動作モードが充電モードのとき、HV−ECU470は、通信ユニット130によって給電装置200(図1)との通信を確立し、給電装置200を起動するための起動指令を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力する。給電装置200が起動すると、HV−ECU470は、給電装置200の送電ユニット220上に設けられる発光部230の点灯指令を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力する。そして、発光部230が点灯すると、HV−ECU470は、車両100を送電ユニット220へ誘導する誘導制御を実行中であることを示す誘導制御中信号を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力するとともに、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の実行を指示する指令をIPA−ECU410へ出力する。
【0095】
さらに、HV−ECU470は、第1の誘導制御の終了通知をIPA−ECU410から受けると、送電ユニット220と受電ユニット110との距離情報に基づく誘導制御を実行する(第2の誘導制御)。具体的には、HV−ECU470は、給電装置200の送電ユニット220と車両の受電ユニット110との距離情報を共鳴ECU460から受け、その距離情報に基づいて、送電ユニット220と受電ユニット110との距離が最小となるように、車両の駆動および制動をそれぞれ制御するMG−ECU430およびECB440へ指令を出力する。
【0096】
図10のステップS10およびステップS11では駐車終了の判断が実行される。具体的には、ステップS10において、車両の移動距離が想定範囲内であるか否かが判断される。ここでの車両の移動距離は、車速と経過時間の積から算出される。
【0097】
ステップS10で車両の移動距離が想定範囲を超えていればステップS20(動作モード2)に処理が進む。想定範囲は、図4で説明したように、送電ユニット220がカメラ120の死角に入ってからたとえば1.5mとすることができる。ただし低速での車速センサは精度が高くないので車速センサの検出誤差も見込んでこの想定範囲を判断するしきい値を選択する必要がある。
【0098】
ステップS10で車両の移動距離が想定範囲を超えていなければステップS11に処理が進み、電圧センサ190で検出された電圧が、しきい値Vt1以上であるか否かが判断される。
【0099】
図11は、車両移動距離と受電電圧との関係を示す図である。
図11に示すように車両移動距離が位置ずれゼロの位置に近づく間は受電電圧Vは増加する。位置ずれゼロの位置を通り越すと受電電圧Vは下がり始める。しきい値Vt1は、車両に停止指示を出力する判定しきい値であり、あらかじめ距離と電圧の関係を計測しておいて決定される。
【0100】
一方、図11のしきい値Vt2は、最大出力で送受電を行なったときの漏洩許容電磁界強度に基づいて定められるしきい値であり、しきい値Vt1よりも小さい値である。
【0101】
再び図10を参照して、ステップS11において受電電圧がしきい値Vt1以上でなかった場合にはステップS10に処理が戻る。制御装置180は、受電コイル(二次自己共振コイル112)の位置が送電コイル(一次自己共振コイル234)に対して受電可能な位置であるか否かを判断することを繰返しながら、受電コイルが送電コイルに対して受電可能な位置となるように、車両を移動させる方向を決定する。
【0102】
ここで、ステップS10における車両の移動距離の算出において詳しく説明する。
図12は、図10のステップS10における車両の移動距離の検出について説明するためのフローチャートである。
【0103】
図12を参照してステップS101においてコイル電圧VRによる誘導が開始されると、コイル電圧VRによる位置の検出とは別に、ステップS102に示すように車速とサイクルタイム(たとえば8.192ms)との積によって距離の増加分が算出されるように設定される。車速は車速センサで検出される。
【0104】
ステップS103において距離の積算が実行され、そしてステップS104において距離の積算値がしきい値(たとえば150cm)以上であるか否かが判断される。ステップS104においてまだ積算値がしきい値に到達していない場合には、ステップS103に戻り再び距離の積算が継続される。このときは、駐車支援による駐車が継続される。
【0105】
ステップS104において距離の積算値が150cm以上となっていた場合には、図4で説明したように行き過ぎを防ぐために設定車速が0(km/h)に設定される。
【0106】
図13は、図12のフローチャートによって車速がゼロに設定された動作の一例を示す動作波形図である。
【0107】
図13を参照して、時刻t1においては、IPAフラグがONに設定されており、設定車速が1.8km/hに設定される。IPAフラグは、運転者がインテリジェントパーキングアシストモードを選択することによりON状態となる。時刻t1〜t2の間は、IPAモード(駐車支援モード)はカメラ120による誘導モードである。そして時刻t2において送電ユニット220がカメラ120の死角に入ると、時刻t2においてIPAモードはコイル電圧による誘導モードに変更される。そして図12のステップS103、S104距離がしきい値1.5mとなると、時刻t3においてフラグFがオフからオンに変更され、これに応じて設定車速は0km/hに設定され、車両は停止される。
【0108】
再び、図10を参照して、ステップS11において受電電圧がしきい値Vt1以上となった場合には、ステップS12において制御装置180は、停車指示を出力する。この停車指示は、運転者にブレーキを踏んで車両を停止させるように促す指示でも良いし、また自動でブレーキをかける処理でも良い。ただし、図11の矢印D1に示すように停車指令後も車両が移動する可能性もあるので、ステップS13において停止後に受電電圧がしきい値Vt2以上であり、かつ車両の移動距離が想定範囲内であり、かつ経過時間がタイムオーバーでなく温度が充電を実行するのに適温であった場合には、ステップS14に処理が進む。ステップS13においていずれかの条件が成立しなかった場合にはステップS20(モード2)に処理が進む。
【0109】
ステップS14では、シフトレンジがPレンジに移行したか否かが判断される。ステップS14においてシフトレンジがPレンジでなかった場合には、Pレンジへの移行が行なわれるまでステップS13の処理を実行し、車両の位置ずれを監視し続ける。
【0110】
ステップS14においてシフトレンジがPレンジに移行された場合には、ステップS15に処理が進む。ここでは、駐車位置が確定し駐車終了と判断され車両の制御装置180はテスト信号送電要求をオフ状態に設定する。つまりシフトレンジがPレンジに変更されたことをトリガとして微弱電力(テスト信号)の送電が中止される。
【0111】
その設定が通信によって給電装置に連絡されると、ステップS56においてテスト信号送電要求がオフ状態に変化したことが検出され、ステップS57においてテスト信号の送電が中止される。
【0112】
給電装置では、続いてステップS58において給電要求がオン状態に変化するか否かが検出される。
【0113】
車両側ではステップS15においてテスト信号送電要求をオフ状態に設定した後S16に処理が進む。
【0114】
ステップS16ではリレー146がオン状態からオフ状態に制御される。HV−ECU470は、その後、給電装置200からの給電を指示する給電指令を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力するとともに共鳴ECU460へ充電開始指令を出力する。そしてステップS17において、HV−ECU470は、給電装置に向けて給電要求をオン状態にしたことを通信する。
【0115】
給電装置側ではステップS58において給電要求がオン状態になったことが検出されてステップS59において大電力での給電を開始する。これに伴い車両側ではステップS18において受電が開始される。
【0116】
図14は、図10のステップS20で実行される動作モード2の処理を説明するためのフローチャートである。動作モード2は、微弱電力によりコイルでの距離検出を行なわず、運転者が駐車をやり直す場合などに実行されるモードである。
【0117】
図14を参照して、ステップS20で動作モード2の処理が開始されると、ステップS21においてテスト信号(微弱電力)の停止が要求される。そしてステップS22において運転者に対して、ディスプレイ表示やランプの点滅などで想定範囲を過ぎても受電が可能とならない旨の異常を報知する。これに応答して、運転者は駐車位置の手動調整を行なう。
【0118】
そしてステップS23において車両が停止したか否かが確認される。車両の停止が確認できなければステップS22において異常の報知が継続される。ステップS23において車両の停止が確認できた場合には、ステップS24に処理が進み、シフトポジションがPレンジであるか否かが判断される。
【0119】
ステップS24においてPレンジに設定されたことが確認できるまで処理が停止される。ステップS24においてPレンジに設定されたことが確認できた場合には、車両の移動はないと考えられるので、ステップS25においてごく短時間(1秒程度)の微弱電力の送電要求を行なう。そしてステップS26において受電電圧がしきい値Vt2以上であるか否かが判断される。ステップS26では、運転者による手動位置合わせの結果受電が可能となったか否かが判断される。なお、しきい値Vt2は、先に図11に示して説明したようにしきい値Vt1よりも小さな値に設定される。
【0120】
ステップS26において、受電電圧がしきい値Vt2以上であればステップS28に処理が進み、大電力の送電が開始される。一方、ステップS26において、受電電圧がしきい値Vt2以上でなければ、ステップS27に処理が進み、運転者に充電が不可能である旨の異常が報知される。
【0121】
以上説明したように、本実施の形態では、送電ユニット220がカメラ120の死角に入ってからは送電ユニット220と受電ユニット110とで微弱電力の送受電を行ないこれに基づいて駐車支援を行なう。これにより、車両の下に送電ユニットが入ってからでも、駐車位置を精度よく指定することが可能となる。
【0122】
さらに、送電ユニットが想定範囲を超えて車両100を移動させても受電ユニット110で良好な受電ができない場合には、車両100を停止させるように制御が行なわれる。したがって、車両100を移動させすぎて送電ユニット220を前輪で踏みつけてしまったり他の障害物に車両100が接触してしまったりすることを防止することができる。
【0123】
さらに、自動駐車がうまくいかなかった場合でも、運転者が手動で駐車位置を決定したときには受電可能か否かを確認して受電を実行するので、わずらわしい操作を増やさずに充電する機会を増やすことができる。
【0124】
最後に、本実施の形態について再び図面を参照して総括する。図1、図6、図8を参照して、本実施の形態に示される車両の駐車支援装置は、車両100の周囲画像を撮影するカメラ120と、カメラ120から得られる画像で車外の送電ユニット220の位置を認識して送電ユニット220に向けて車両100を誘導するための第1の車両誘導部(IPA−ECU410)と、送電ユニット220から非接触状態で電力の受電を行なう受電ユニット110と、受電ユニット110の受電した電力に基づいて送電ユニット220と車両100との距離を検出し、検出した距離に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導部(共鳴ECU460)と、第1および第2の車両誘導部の出力に基づいて車両を駆動する車両駆動部(MG−ECU430)を制御して車両100を移動させる制御部(HV−ECU470)とを備える。制御部(HV−ECU470)は、第1の車両誘導部(IPA−ECU410)が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから車両駆動部(MG−ECU430)に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。
【0125】
好ましくは、制御部(HV−ECU470)は、第1の車両誘導部(IPA−ECU410)が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから車両駆動部(MG−ECU430)に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、受電ユニット110による電力の受電を停止させ第2の車両誘導部(共鳴ECU460)による誘導を中断する。
【0126】
より好ましくは、制御部(HV−ECU470)は、第1の車両誘導部(IPA−ECU410)が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たした場合には、第2の車両誘導部(共鳴ECU460)による誘導を終了し、送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を行なう準備を開始する。
【0127】
より好ましくは、制御部(HV−ECU470)は、車両100を自動停止させ第2の車両誘導部(共鳴ECU460)による誘導を中断した後に、運転者の指示に応じて再度受電ユニット110による電力の送信または受信を再開し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第2の条件を満たした場合には送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を開始し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第2の条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう。
【0128】
さらに好ましくは、運転者の指示は、車両駆動部(MG−ECU430)をパーキング状態に設定する操作(たとえばシフトレバーをP位置に設定することや、パーキングボタンを押すこと)によって与えられる。
【0129】
さらに好ましくは、第1の条件は、第2の条件よりも受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が大きくなる条件である。この場合図11に示すようにしきい値Vt1>しきい値Vt2に設定される。
【0130】
好ましくは、図7に示すように、受電ユニット110は、送電ユニット220の送電コイルである一次自己共振コイル234から電磁共鳴により非接触で電力を受電する受電コイルである二次自己共振コイル112を含む。
【0131】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
10 車両用給電システム、100 車両、110 受電ユニット、111,242,C1 コンデンサ、112,340 二次自己共振コイル、113,146 リレー、114,350 二次コイル、120 カメラ、122 給電ボタン、130,240 通信ユニット、140 整流器、142 DC/DCコンバータ、144 抵抗、150 蓄電装置、162 昇圧コンバータ、164,166 インバータ、172,174 モータジェネレータ、176 エンジン、177 動力分割装置、178 駆動輪、180 制御装置、190 電圧センサ、200 給電装置、210 高周波電源装置、211 抵抗、213 高周波交流電源、220 送電ユニット、220A,220B,220C 位置、230 発光部、232,320 一次コイル、234,330 一次自己共振コイル、310 高周波電源、360 負荷、410 IPA−ECU、430 MG−ECU、460 共鳴ECU、470 HV−ECU、SMR1,SMR2 システムメインリレー。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の駐車支援装置およびそれを備える車両に関し、特に、非接触状態で電力の受電を行なう受電部を用いて駐車支援を行なう駐車支援装置およびそれを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車など、外部から車載の蓄電装置に充電が可能に構成された車両が実用化されている。充電を自動で行なうことや、そのために駐車位置を誘導する技術も検討されている。
【0003】
特開2007−97345号公報(特許文献1)は、車両の周囲状況を撮影するバックモニタカメラの画像の目標駐車位置付近に送電装置の識別子が存在する場合に識別子の位置を認識して位置合わせ支援制御を行なう技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−97345号公報
【特許文献2】特開2004−291865号公報
【特許文献3】特開2006−345588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2007−97345号公報では、送電装置の識別子がバックモニタカメラの死角に入ってしまうことが考慮されていない。特に、送電装置に車両が近接しているときであっても車両の行き過ぎを防止しないと意図しないで送電装置等に車両が接触してしまう場合が考えられる。また、行き過ぎを防止するあまり送電装置の手前で車両を停止させるようにすると、充電するために不十分な位置となってしまう場合が考えられる。したがって、識別子がカメラの死角に入った後にも精度よく車両の誘導を行なうためには改善の余地がある。
【0006】
この発明の目的は、車両の駐車位置の位置ずれを小さく抑えることができる車両の駐車支援装置およびそれを備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、要約すると、車両の駐車支援装置であって、車両の周囲画像を撮影するカメラと、カメラから得られる画像で車外の送電装置の位置を認識して送電装置に向けて車両を誘導するための第1の車両誘導部と、送電装置から非接触状態で電力の受電を行なう受電部と、受電部の受電した電力に基づいて車両を誘導するための第2の車両誘導部と、第1および第2の車両誘導部の出力に基づいて車両を駆動する車両駆動部を制御して車両を移動させる制御部とを備える。制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電装置の位置を検出できなくなってから車両駆動部に所定距離を超えて車両を移動させても受電部が送電装置から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、車両の移動を停止させるための処理を行なう。
【0008】
好ましくは、制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電装置の位置を検出できなくなってから車両駆動部に所定距離を超えて車両を移動させても受電部が送電装置から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、受電部による電力の受電を停止させ第2の車両誘導部による誘導を中断する。
【0009】
より好ましくは、制御部は、第1の車両誘導部が画像では送電装置の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電部が送電装置から受電する電力が第1の条件を満たした場合には、第2の車両誘導部による誘導を終了し、送電装置から車載の蓄電装置への充電を行なう準備を開始する。
【0010】
より好ましくは、制御部は、車両を自動停止させ第2の車両誘導部による誘導を中断した後に、運転者の指示に応じて再度受電部による電力の送信または受信を再開し、受電部が送電装置から受電する電力が第2の条件を満たした場合には送電装置から車載の蓄電装置への充電を開始し、受電部が送電装置から受電する電力が第2の条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう。
【0011】
さらに好ましくは、運転者の指示は、車両駆動部をパーキング状態に設定することによって与えられる。
【0012】
さらに好ましくは、第1の条件は、第2の条件よりも受電部が送電装置から受電する電力が大きくなる条件である。
【0013】
好ましくは、受電部は、送電装置の送電コイルから電磁共鳴により非接触で電力を受電する受電コイルを含む。
【0014】
この発明は、他の局面では、上記いずれかの車両の駐車支援装置を備える車両である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の駐車支援時に駐車位置に近接した後にも精度が良く誘導できるとともに、行き過ぎを監視して防止するので、車両の駐車位置の位置ずれを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態による車両用給電システムの全体構成図である。
【図2】共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
【図3】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図4】図1のカメラ120で駐車の誘導を行なう際の問題点を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に示される車両と給電装置の送受電に関する概略構成を示した図である。
【図6】図1、図5に示した車両100の詳細を示す構成図である。
【図7】車両側の受電ユニット110と給電装置側の送電ユニット220についてより詳細に説明するための回路図である。
【図8】図6に示した制御装置180の機能ブロック図である。
【図9】非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【図10】非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【図11】車両移動距離と受電電圧との関係を示す図である。
【図12】図10のステップS10における車両の移動距離の検出について説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートによって車速がゼロに設定された動作の一例を示す動作波形図である。
【図14】図10のステップS20で実行される動作モード2の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態による車両用給電システムの全体構成図である。
図1を参照して、車両用給電システム10は、車両100と、給電装置200とを備える。車両100は、受電ユニット110と、カメラ120と、通信ユニット130とを含む。
【0019】
受電ユニット110は、車体底面に設置され、給電装置200の送電ユニット220から送出される電力を非接触で受電するように構成される。詳しくは、受電ユニット110は、後に説明する自己共振コイルを含み、送電ユニット220に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより送電ユニット220から非接触で受電する。カメラ120は、受電ユニット110と送電ユニット220との位置関係を検知するために設けられ、たとえば車両後方を撮影可能に車体に取付けられる。通信ユニット130は、車両100と給電装置200との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
【0020】
給電装置200は、高周波電源装置210と、送電ユニット220と、発光部230と、通信ユニット240とを含む。高周波電源装置210は、たとえば系統電源から供給される商用交流電力を高周波の電力に変換して送電ユニット220へ出力する。なお、高周波電源装置210が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1MHz〜数十MHzである。
【0021】
送電ユニット220は、駐車場の床面に固定され、高周波電源装置210から供給される高周波電力を車両100の受電ユニット110へ非接触で送出するように構成される。詳しくは、送電ユニット220は、自己共振コイルを含み、受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより受電ユニット110へ非接触で送電する。発光部230は、送電ユニット220上に複数設けられ、送電ユニット220の位置を示すために設けられる。発光部230は、たとえば発光ダイオードなどを含む。通信ユニット240は、給電装置200と車両100との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
【0022】
この車両用給電システム10においては、給電装置200の送電ユニット220から高周波の電力が送出され、車両100の受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと送電ユニット220に含まれる自己共振コイルとが電磁場を介して共鳴することにより、給電装置200から車両100へ給電される。
【0023】
ここで、給電装置200から車両100への給電に際し、車両100を給電装置200へ誘導して車両100の受電ユニット110と給電装置200の送電ユニット220との位置合わせを行なう必要がある。
【0024】
位置合わせは、まず、第1段階においては、カメラ120によって撮影される画像に基づいて車両100の受電ユニット110と給電装置200の送電ユニット220との位置関係が検知され、その検知結果に基づいて送電ユニット220へ車両を誘導するように車両が制御される。より詳しくは、送電ユニット220上に設けられた複数の発光部230がカメラ120によって撮影され、複数の発光部230の位置および向きが画像認識される。そして、その画像認識の結果に基づいて送電ユニット220と車両との位置および向きが認識され、その認識結果に基づいて送電ユニット220へ車両が誘導される。
【0025】
ここで、受電ユニット110および送電ユニット220の対向面積は、車体底面の面積よりも小さいので、送電ユニット220が車体下部に入り込むことによってカメラ120により送電ユニット220を撮影できなくなる。すると、位置合わせ制御は第1段階から第2段階に切替わる。この第2段階においては、送電ユニット220から受電ユニット110への給電が行なわれ、その給電状況に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との距離が検知される。そして、その距離情報に基づいて、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせを行なうように車両が制御される。
【0026】
なお、上記の第2段階時に送電ユニット220からテスト信号として送出される電力の大きさは、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせの完了後に送電ユニット220から受電ユニット110へ供給される充電のための電力よりも小さく設定される。上記第2段階時に送電ユニット220から電力を送出するのは、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知するためであり、本格的な給電を行なう際の大電力は不要だからである。
【0027】
次に、この実施の形態による車両用給電システム10に用いられる非接触給電方法について説明する。この実施の形態による車両用給電システム10では、共鳴法を用いて給電装置200から車両100への給電が行なわれる。
【0028】
図2は、共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0029】
具体的には、高周波電源310に一次コイル320を接続し、電磁誘導により一次コイル320と磁気的に結合される一次自己共振コイル330へ1M〜数十MHzの高周波電力を給電する。一次自己共振コイル330は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル330と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル340と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル330から二次自己共振コイル340へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル340へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル340と磁気的に結合される二次コイル350によって取出され、負荷360へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル330と二次自己共振コイル340との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
【0030】
なお、図1との対応関係については、二次自己共振コイル340および二次コイル350が図1の受電ユニット110に対応し、一次コイル320および一次自己共振コイル330が図1の送電ユニット220に対応する。
【0031】
図3は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図3を参照して、電磁界は3つの成分を含む。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。
【0032】
この中でも波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域があるが、共鳴法では、この近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、近接場を利用して、同じ固有振動数を有する一対の共鳴器(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、一方の共鳴器(一次自己共振コイル)から他方の共鳴器(二次自己共振コイル)へエネルギー(電力)を伝送する。この近接場は遠方にエネルギー(電力)を伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によりエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0033】
図4は、図1のカメラ120で駐車の誘導を行なう際の問題点を説明するための図である。
【0034】
図4を参照して、位置220Aに送電ユニットがある場合には、カメラ120の視野に送電ユニットが入っており、カメラ120による駐車支援を行なうことができる。しかし、受電ユニット110が車両の底面に設置されている場合には、位置220Bに送電ユニットがくるように車両100を移動させる必要がある。位置220B付近はカメラ120の死角になるので、カメラ120の画像を利用した駐車支援は行なうことができない。
【0035】
また、カメラ120の駐車支援を途中まで行ない、その後は位置を推測することも考えられるが、位置ずれが生じる可能性があり、電力の送受電が良好に行なえない恐れがある。また、車両が後方に移動しすぎると送電ユニットを前輪で踏みつけてしまったり他の障害物に車両が接触してしまったりする可能性もある。
【0036】
そこで、本実施の形態では、送電ユニットがカメラ120の死角に入ってからは送電ユニット220と受電ユニット110とで微弱電力の送受電を行ないこれに基づいて駐車支援を行なう。これにより、位置220Bに示すように車両の下に送電ユニットが入ってからでも、駐車位置を精度よく指定することが可能となる。
【0037】
さらに、車両100を移動させすぎて送電ユニットを前輪で踏みつけてしまったり他の障害物に車両100が接触してしまったりしないように、位置220Cに示すくらいに送電ユニットが想定範囲を超えて車両100を移動させても受電ユニット110で良好な受電ができない場合には、車両100を停止させるように制御が行なわれる。たとえば、送電ユニットの一部がカメラ120の死角に入ってから、距離L1(たとえば1.5m)だけ車両100を移動させても受電ユニット110で良好に受電できる位置が見つからない場合には、車両100を停止するように運転者に警告するか、または自動的に車両を停止させる。距離L1は、受電ユニット110による位置合わせ精度のマージンに基づいて決定される。
【0038】
図5は、本実施の形態に示される車両と給電装置の送受電に関する概略構成を示した図である。
【0039】
図5を参照して、給電装置200は、送電ユニット220と、高周波電源装置210と、通信ユニット240とを含む。車両100は、通信ユニット130と、受電ユニット110と、整流器140と、リレー146と、抵抗負荷144と受電電圧計測部(電圧センサ)190と、図示しない蓄電装置に充電を行なう充電装置(DC/DCコンバータ142)とを含む。
【0040】
通信ユニット240と通信ユニット130とが無線で通信を行ない、受電ユニット110と送電ユニット220の位置合わせを行なうための情報をやり取りする。抵抗負荷144を一時的にリレー146で送電ユニットの出力に接続することによって、受電電圧計測部190が受電条件を満たすか否かの電圧情報を得ることができる。この電圧情報を得るための微弱電力の送電要求が通信ユニット130,240を介して車両100から給電装置200に伝えられる。
【0041】
図6は、図1、図5に示した車両100の詳細を示す構成図である。
図6を参照して、車両100は、蓄電装置150と、システムメインリレーSMR1と、昇圧コンバータ162と、インバータ164,166と、モータジェネレータ172,174と、エンジン176と、動力分割装置177と、駆動輪178とを含む。
【0042】
車両100は、さらに、二次自己共振コイル112と、二次コイル114と、整流器140と、DC/DCコンバータ142と、システムメインリレーSMR2と、電圧センサ190とを含む。
【0043】
車両100は、さらに、制御装置180と、カメラ120と、通信ユニット130と、給電ボタン122とを含む。
【0044】
この車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174を動力源として搭載する。エンジン176およびモータジェネレータ172,174は、動力分割装置177に連結される。そして、車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174の少なくとも一方が発生する駆動力によって走行する。エンジン176が発生する動力は、動力分割装置177によって2経路に分割される。すなわち、一方は駆動輪178へ伝達される経路であり、もう一方はモータジェネレータ172へ伝達される経路である。
【0045】
モータジェネレータ172は、交流回転電機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ172は、動力分割装置177によって分割されたエンジン176の運動エネルギーを用いて発電する。たとえば、蓄電装置150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)が予め定められた値よりも低くなると、エンジン176が始動してモータジェネレータ172により発電が行なわれ、蓄電装置150が充電される。
【0046】
モータジェネレータ174も、交流回転電機であり、モータジェネレータ172と同様に、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ174は、蓄電装置150に蓄えられた電力およびモータジェネレータ172により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、モータジェネレータ174の駆動力は、駆動輪178に伝達される。
【0047】
また、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、運動エネルギーや位置エネルギーとして車両に蓄えられた力学的エネルギーが駆動輪178を介してモータジェネレータ174の回転駆動に用いられ、モータジェネレータ174が発電機として作動する。これにより、モータジェネレータ174は、走行エネルギーを電力に変換して制動力を発生する回生ブレーキとして作動する。そして、モータジェネレータ174により発電された電力は、蓄電装置150に蓄えられる。
【0048】
動力分割装置177は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車を使用することができる。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン176のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータ172の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータ174の回転軸および駆動輪178に連結される。
【0049】
蓄電装置150は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池を含む。蓄電装置150は、DC/DCコンバータ142から供給される電力を蓄えるほか、モータジェネレータ172,174によって発電される回生電力も蓄える。そして、蓄電装置150は、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給する。なお、蓄電装置150として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電装置200(図1)から供給される電力やモータジェネレータ172,174からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0050】
システムメインリレーSMR1は、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間に配設される。システムメインリレーSMR1は、制御装置180からの信号SE1が活性化されると、蓄電装置150を昇圧コンバータ162と電気的に接続し、信号SE1が非活性化されると、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間の電路を遮断する。昇圧コンバータ162は、制御装置180からの信号PWCに基づいて、正極線PL2の電圧を蓄電装置150から出力される電圧以上の電圧に昇圧する。なお、この昇圧コンバータ162は、たとえば直流チョッパ回路を含む。
【0051】
インバータ164,166は、それぞれモータジェネレータ172,174に対応して設けられる。インバータ164は、制御装置180からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ172を駆動し、インバータ166は、制御装置180からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ174を駆動する。なお、インバータ164,166は、たとえば三相ブリッジ回路を含む。
【0052】
二次自己共振コイル112は、両端がスイッチ(リレー113)を介してコンデンサ111に接続されており、スイッチ(リレー113)が導通状態となったときに給電装置200の一次共振コイルと電磁場を介して共鳴する。この共鳴により給電装置200から受電が行なわれる。なお、図6ではコンデンサ111を設けた例を示したが、コンデンサに代えてコイルの浮遊容量によって共振するように、一次自己共振コイルとの調整をしてもよい。
【0053】
なお、二次自己共振コイル112については、給電装置200の一次自己共振コイルとの距離や、一次自己共振コイルと二次自己共振コイル112との共鳴強度を示すQ値(たとえばQ>100)およびその結合度を示すκなどが大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
【0054】
二次コイル114は、二次自己共振コイル112と同軸上に配設され、電磁誘導により二次自己共振コイル112と磁気的に結合可能である。この二次コイル114は、二次自己共振コイル112により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器140へ出力する。なお、二次自己共振コイル112および二次コイル114は、図1に示した受電ユニット110を形成する。
【0055】
整流器140は、二次コイル114によって取出された交流電力を整流する。DC/DCコンバータ142は、制御装置180からの信号PWDに基づいて、整流器140によって整流された電力を蓄電装置150の電圧レベルに変換して蓄電装置150へ出力する。
【0056】
システムメインリレーSMR2は、DC/DCコンバータ142と蓄電装置150との間に配設される。システムメインリレーSMR2は、制御装置180からの信号SE2が活性化されると、蓄電装置150をDC/DCコンバータ142と電気的に接続し、信号SE2が非活性化されると、蓄電装置150とDC/DCコンバータ142との間の電路を遮断する。電圧センサ190は、整流器140とDC/DCコンバータ142との間の電圧VRを検出し、その検出値を制御装置180へ出力する。
【0057】
整流器140とDC/DCコンバータ142との間には直列に接続された抵抗144およびリレー146が設けられる。リレー146は、後に説明するように、車両100が非接触給電を行なう場合に車両位置を調整する際に制御装置180によって導通状態に制御される。
【0058】
制御装置180は、アクセル開度や車両速度、その他種々のセンサからの信号に基づいて、昇圧コンバータ162およびモータジェネレータ172,174をそれぞれ駆動するための信号PWC,PWI1,PWI2を生成する。制御装置180は、生成した信号PWC,PWI1,PWI2をそれぞれ昇圧コンバータ162およびインバータ164,166へ出力する。そして、車両の走行時、制御装置180は、信号SE1を活性化してシステムメインリレーSMR1をオンさせるとともに、信号SE2を非活性化してシステムメインリレーSMR2をオフさせる。
【0059】
また、給電装置200(図1)から車両100への給電が行なわれるとき、制御装置180は、カメラ120によって撮影された画像をカメラ120から受ける。また、制御装置180は、給電装置200から送出される電力の情報(電圧および電流)を給電装置200から通信ユニット130を介して受け、電圧センサ190によって検出される電圧VRの検出値を電圧センサ190から受ける。そして、制御装置180は、これらのデータに基づいて、給電装置200の送電ユニット220(図1)へ当該車両を誘導するように後述の方法により車両の駐車制御を実行する。
【0060】
送電ユニット220への駐車制御が完了すると、制御装置180は、通信ユニット130を介して給電装置200へ給電指令を送信するとともに、信号SE2を活性化してシステムメインリレーSMR2をオンさせる。そして、制御装置180は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDをDC/DCコンバータ142へ出力する。
【0061】
図7は、車両側の受電ユニット110と給電装置側の送電ユニット220についてより詳細に説明するための回路図である。
【0062】
図7を参照して、高周波電源装置210は、高周波交流電源213と、電源のインピーダンスを示す抵抗211とで表わされる。
【0063】
送電ユニット220は、高周波電源装置210に接続される一次コイル232と、電磁誘導により一次コイル232と磁気的に結合される一次自己共振コイル234と、一次自己共振コイル234の両端に接続されたコンデンサ242とを含む。
【0064】
受電ユニット110は、一次自己共振コイル234と、電磁場を介して共鳴する二次自己共振コイル112と、二次自己共振コイル112の両端に直列に接続されるコンデンサ111およびリレー113とを含む。リレー113は、受電する場合に導通状態に制御される。
【0065】
受電ユニット110は、二次自己共振コイル112と磁気的に結合される二次コイル114をさらに含む。二次コイル114で受電された交流電力は整流器140で整流される。整流器140の出力にはコンデンサC1が接続されており、車両と給電設備との位置を調整する場合に用いられるリレー146および抵抗144がコンデンサC1の電極間に接続されている。整流器140の出力側にはさらに充電器(DC/DCコンバータ142)が接続され適切な充電電圧に電圧が変換され、変換後の充電電圧はバッテリ(蓄電装置150)に与えられる。
【0066】
抵抗144は、たとえば50Ωのインピーダンスに設定されており、この値は高周波電源装置210の抵抗211で表わされるインピーダンスとマッチングするように調整されている。
【0067】
電圧センサ190は、車両に非接触給電が行なわれる際に車両の停止位置を調整する際には抵抗144の両端の電圧を検出して、検出値VRを制御装置180に出力する。
【0068】
一方、車両位置の調整が完了し外部電源から車両に非接触給電により充電が行なわれている場合には、DC/DCコンバータ142に対する入力電圧を検出値VRとして電圧センサ190が検出する。
【0069】
図8は、図6に示した制御装置180の機能ブロック図である。
図8を参照して、制御装置180は、IPA(Intelligent Parking Assist)−ECU(Electronic Control Unit)410と、EPS(Electric Power Steering)420と、MG(Motor-Generator)−ECU430と、ECB(Electronically Controlled Brake)440と、EPB(Electric Parking Brake)450と、共鳴ECU460と、HV(Hybrid Vehicle)−ECU470とを含む。
【0070】
IPA−ECU410は、車両の動作モードが充電モードのとき、カメラ120から受ける画像情報に基づいて、給電装置200の送電ユニット220(図1)へ車両を誘導する誘導制御を実行する(第1の誘導制御)。
【0071】
具体的には、IPA−ECU410は、カメラ120から受ける画像情報に基づいて送電ユニット220を認識する。ここで、送電ユニット220には、送電ユニット220の位置および向きを示す複数の発光部230が設けられており、IPA−ECU410は、カメラ120に映し出された複数の発光部230の映像に基づいて送電ユニット220との位置関係(おおよその距離および向き)を認識する。そして、IPA−ECU410は、その認識結果に基づいて、送電ユニット220へ適切な向きで車両が誘導されるようにEPS420へ指令を出力する。
【0072】
また、IPA−ECU410は、送電ユニット220に車両が近づくことによって送電ユニット220が車体下部に入り込み、カメラ120によって送電ユニット220を撮影できなくなると、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の終了をHV−ECU470へ通知する。EPS420は、第1の誘導制御時、IPA−ECU410からの指令に基づいてステアリングの自動制御を行なう。
【0073】
MG−ECU430は、HV−ECU470からの指令に基づいて、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を制御する。詳しくは、MG−ECU430は、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を駆動するための信号を生成してそれぞれインバータ164,166および昇圧コンバータ162へ出力する。
【0074】
ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、車両の制動を制御する。詳しくは、ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、油圧ブレーキの制御を行なうとともに、油圧ブレーキとモータジェネレータ174による回生ブレーキとの協調制御を行なう。EPB450は、HV−ECU470からの指令に基づいて、電動パーキングブレーキの制御を行なう。
【0075】
共鳴ECU460は、給電装置200(図1)から送出される電力の情報を給電装置200から通信ユニット130を介して受ける。また、共鳴ECU460は、車両における受電電圧を示す電圧VRの検出値を電圧センサ190(図6、図7)から受ける。そして、共鳴ECU460は、たとえば給電装置200からの送電電圧と電圧VRとを比較することによって、給電装置200の送電ユニット220と車両の受電ユニット110との距離を検知する。そして、共鳴ECU460は、検出した距離に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導処理を行なう。
【0076】
HV−ECU470は、第1および第2の車両誘導処理のいずれかの結果に基づいて車両を駆動するMG−ECU430を制御して車両100を移動させる。HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。この処理は、自動でブレーキをかける処理であっても良いし、運転者にブレーキを踏むように指示する処理でも良い。
【0077】
HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たさない場合には、受電ユニット110による電力の受電を停止させ共鳴ECU460による誘導を中断する。
【0078】
HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たした場合には、共鳴ECU460による誘導を終了し、送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を行なう準備を開始する。
【0079】
より好ましくは、HV−ECU470は、車両100を自動停止させ共鳴ECU460による誘導を中断した後に、運転者による駐車位置の変更後に運転者の指示(パーキングレンジへの設定操作など)に応じて再度受電ユニット110による電力の送信または受信を再開し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が受電可能条件を満たした場合には送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を開始し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が受電可能条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう。
【0080】
図9は、非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【0081】
図10は、非接触給電を実行する際に車両位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【0082】
図9、図10において左半分には車両側で実行される制御が示され、右半分には給電装置側で実行される制御が示されている。
【0083】
図1、図9を参照して、まず車両側でステップS1において停車処理が行なわれ、続いてステップS2において給電ボタン122がオン状態に設定されたか否かが検出される。給電ボタンがオン状態に設定されていない場合には制御装置180は給電ボタンがオンに設定されるまで待つ。ステップS2において給電ボタン122がオン状態に設定されたことが検出された場合にはステップS3に処理が進む。ステップS3では、制御装置180は通信ユニット130を使用して給電装置200と通信を開始する。
【0084】
ここで給電装置側においてはステップS51において処理が開始されると車両側から通信があるまでステップS52において待っており、通信の開始が要求された場合にはステップS53において通信を開始する。
【0085】
車両側ではステップS3の通信開始の処理に続いてステップS4においてリレー113をオン状態に設定する制御が実行される。そしてステップS5において駐車制御の開始が行なわれる。駐車制御は、第1段階では、カメラを用いたIPA(インテリジェントパーキングアシスト)システムが用いられる。
【0086】
そして車両が給電位置にある程度近づくと制御装置180内部で距離検出要求がオン状態に設定される(ステップS6でYES)。
【0087】
図1、図10を参照して、給電装置側では、ステップS53の次には、ステップS54においてテスト信号送電要求がオン状態になるのを待っている。
【0088】
一方、車両側では、ステップS6からステップS7に処理が進み、制御装置180はリレー146をオン状態に設定する。そしてステップS8において給電装置側にテスト信号送電要求をオン状態にしたことを送信する。すると給電装置はステップS54においてテスト信号送電要求がオン状態に設定されたことを検出してステップS55に処理を進めてテスト信号を車両に送電する。このテスト信号は、充電開始後に送電する場合と同様な電力を送信してもよいが、本格的な送電時に送る信号よりも弱い信号(微弱電力)に設定することが好ましい。
【0089】
そしてこのテスト信号を用いて抵抗144の両端に生じる電圧がある電圧に到達したことをもって、給電可能な距離に車両が到達したことが検出される。
【0090】
一定の一次側電圧(給電装置200からの出力電圧)に対して、二次側電圧(車両100の受電電圧)は、給電装置200の送電ユニット220と車両100の受電ユニット110との間の距離Lに応じて変化する。そこで、一次側電圧および二次側電圧の関係を予め測定するなどしてマップ等を作成しておき、二次側電圧を示す電圧VRの検出値に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検出することができる。
【0091】
なお、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離Lに応じて一次側電流(給電装置200からの出力電流)も変化するが、この関係を用いて、給電装置200からの出力電流の検出値に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知してもよい。
【0092】
共鳴ECU460は、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知すると、その距離情報をHV−ECU470へ出力する。また、共鳴ECU460は、HV−ECU470から充電開始指令を受けると、システムメインリレーSMR2へ出力される信号SE2を活性化することによってシステムメインリレーSMR2をオンさせる。そして、共鳴ECU460は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号を生成してDC/DCコンバータ142へ出力する。
【0093】
HV−ECU470は、車両の動作モードが走行モードのとき、アクセルペダル/ブレーキペダルの操作状況や車両の走行状況等に応じて、MG−ECU430およびECB440へ制御指令を出力する。また、パーキングブレーキスイッチが操作される等して運転者によりパーキングブレーキの作動が指示されると、HV−ECU470は、EPB450へ動作指令を出力する。
【0094】
一方、車両の動作モードが充電モードのとき、HV−ECU470は、通信ユニット130によって給電装置200(図1)との通信を確立し、給電装置200を起動するための起動指令を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力する。給電装置200が起動すると、HV−ECU470は、給電装置200の送電ユニット220上に設けられる発光部230の点灯指令を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力する。そして、発光部230が点灯すると、HV−ECU470は、車両100を送電ユニット220へ誘導する誘導制御を実行中であることを示す誘導制御中信号を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力するとともに、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の実行を指示する指令をIPA−ECU410へ出力する。
【0095】
さらに、HV−ECU470は、第1の誘導制御の終了通知をIPA−ECU410から受けると、送電ユニット220と受電ユニット110との距離情報に基づく誘導制御を実行する(第2の誘導制御)。具体的には、HV−ECU470は、給電装置200の送電ユニット220と車両の受電ユニット110との距離情報を共鳴ECU460から受け、その距離情報に基づいて、送電ユニット220と受電ユニット110との距離が最小となるように、車両の駆動および制動をそれぞれ制御するMG−ECU430およびECB440へ指令を出力する。
【0096】
図10のステップS10およびステップS11では駐車終了の判断が実行される。具体的には、ステップS10において、車両の移動距離が想定範囲内であるか否かが判断される。ここでの車両の移動距離は、車速と経過時間の積から算出される。
【0097】
ステップS10で車両の移動距離が想定範囲を超えていればステップS20(動作モード2)に処理が進む。想定範囲は、図4で説明したように、送電ユニット220がカメラ120の死角に入ってからたとえば1.5mとすることができる。ただし低速での車速センサは精度が高くないので車速センサの検出誤差も見込んでこの想定範囲を判断するしきい値を選択する必要がある。
【0098】
ステップS10で車両の移動距離が想定範囲を超えていなければステップS11に処理が進み、電圧センサ190で検出された電圧が、しきい値Vt1以上であるか否かが判断される。
【0099】
図11は、車両移動距離と受電電圧との関係を示す図である。
図11に示すように車両移動距離が位置ずれゼロの位置に近づく間は受電電圧Vは増加する。位置ずれゼロの位置を通り越すと受電電圧Vは下がり始める。しきい値Vt1は、車両に停止指示を出力する判定しきい値であり、あらかじめ距離と電圧の関係を計測しておいて決定される。
【0100】
一方、図11のしきい値Vt2は、最大出力で送受電を行なったときの漏洩許容電磁界強度に基づいて定められるしきい値であり、しきい値Vt1よりも小さい値である。
【0101】
再び図10を参照して、ステップS11において受電電圧がしきい値Vt1以上でなかった場合にはステップS10に処理が戻る。制御装置180は、受電コイル(二次自己共振コイル112)の位置が送電コイル(一次自己共振コイル234)に対して受電可能な位置であるか否かを判断することを繰返しながら、受電コイルが送電コイルに対して受電可能な位置となるように、車両を移動させる方向を決定する。
【0102】
ここで、ステップS10における車両の移動距離の算出において詳しく説明する。
図12は、図10のステップS10における車両の移動距離の検出について説明するためのフローチャートである。
【0103】
図12を参照してステップS101においてコイル電圧VRによる誘導が開始されると、コイル電圧VRによる位置の検出とは別に、ステップS102に示すように車速とサイクルタイム(たとえば8.192ms)との積によって距離の増加分が算出されるように設定される。車速は車速センサで検出される。
【0104】
ステップS103において距離の積算が実行され、そしてステップS104において距離の積算値がしきい値(たとえば150cm)以上であるか否かが判断される。ステップS104においてまだ積算値がしきい値に到達していない場合には、ステップS103に戻り再び距離の積算が継続される。このときは、駐車支援による駐車が継続される。
【0105】
ステップS104において距離の積算値が150cm以上となっていた場合には、図4で説明したように行き過ぎを防ぐために設定車速が0(km/h)に設定される。
【0106】
図13は、図12のフローチャートによって車速がゼロに設定された動作の一例を示す動作波形図である。
【0107】
図13を参照して、時刻t1においては、IPAフラグがONに設定されており、設定車速が1.8km/hに設定される。IPAフラグは、運転者がインテリジェントパーキングアシストモードを選択することによりON状態となる。時刻t1〜t2の間は、IPAモード(駐車支援モード)はカメラ120による誘導モードである。そして時刻t2において送電ユニット220がカメラ120の死角に入ると、時刻t2においてIPAモードはコイル電圧による誘導モードに変更される。そして図12のステップS103、S104距離がしきい値1.5mとなると、時刻t3においてフラグFがオフからオンに変更され、これに応じて設定車速は0km/hに設定され、車両は停止される。
【0108】
再び、図10を参照して、ステップS11において受電電圧がしきい値Vt1以上となった場合には、ステップS12において制御装置180は、停車指示を出力する。この停車指示は、運転者にブレーキを踏んで車両を停止させるように促す指示でも良いし、また自動でブレーキをかける処理でも良い。ただし、図11の矢印D1に示すように停車指令後も車両が移動する可能性もあるので、ステップS13において停止後に受電電圧がしきい値Vt2以上であり、かつ車両の移動距離が想定範囲内であり、かつ経過時間がタイムオーバーでなく温度が充電を実行するのに適温であった場合には、ステップS14に処理が進む。ステップS13においていずれかの条件が成立しなかった場合にはステップS20(モード2)に処理が進む。
【0109】
ステップS14では、シフトレンジがPレンジに移行したか否かが判断される。ステップS14においてシフトレンジがPレンジでなかった場合には、Pレンジへの移行が行なわれるまでステップS13の処理を実行し、車両の位置ずれを監視し続ける。
【0110】
ステップS14においてシフトレンジがPレンジに移行された場合には、ステップS15に処理が進む。ここでは、駐車位置が確定し駐車終了と判断され車両の制御装置180はテスト信号送電要求をオフ状態に設定する。つまりシフトレンジがPレンジに変更されたことをトリガとして微弱電力(テスト信号)の送電が中止される。
【0111】
その設定が通信によって給電装置に連絡されると、ステップS56においてテスト信号送電要求がオフ状態に変化したことが検出され、ステップS57においてテスト信号の送電が中止される。
【0112】
給電装置では、続いてステップS58において給電要求がオン状態に変化するか否かが検出される。
【0113】
車両側ではステップS15においてテスト信号送電要求をオフ状態に設定した後S16に処理が進む。
【0114】
ステップS16ではリレー146がオン状態からオフ状態に制御される。HV−ECU470は、その後、給電装置200からの給電を指示する給電指令を通信ユニット130を介して給電装置200へ出力するとともに共鳴ECU460へ充電開始指令を出力する。そしてステップS17において、HV−ECU470は、給電装置に向けて給電要求をオン状態にしたことを通信する。
【0115】
給電装置側ではステップS58において給電要求がオン状態になったことが検出されてステップS59において大電力での給電を開始する。これに伴い車両側ではステップS18において受電が開始される。
【0116】
図14は、図10のステップS20で実行される動作モード2の処理を説明するためのフローチャートである。動作モード2は、微弱電力によりコイルでの距離検出を行なわず、運転者が駐車をやり直す場合などに実行されるモードである。
【0117】
図14を参照して、ステップS20で動作モード2の処理が開始されると、ステップS21においてテスト信号(微弱電力)の停止が要求される。そしてステップS22において運転者に対して、ディスプレイ表示やランプの点滅などで想定範囲を過ぎても受電が可能とならない旨の異常を報知する。これに応答して、運転者は駐車位置の手動調整を行なう。
【0118】
そしてステップS23において車両が停止したか否かが確認される。車両の停止が確認できなければステップS22において異常の報知が継続される。ステップS23において車両の停止が確認できた場合には、ステップS24に処理が進み、シフトポジションがPレンジであるか否かが判断される。
【0119】
ステップS24においてPレンジに設定されたことが確認できるまで処理が停止される。ステップS24においてPレンジに設定されたことが確認できた場合には、車両の移動はないと考えられるので、ステップS25においてごく短時間(1秒程度)の微弱電力の送電要求を行なう。そしてステップS26において受電電圧がしきい値Vt2以上であるか否かが判断される。ステップS26では、運転者による手動位置合わせの結果受電が可能となったか否かが判断される。なお、しきい値Vt2は、先に図11に示して説明したようにしきい値Vt1よりも小さな値に設定される。
【0120】
ステップS26において、受電電圧がしきい値Vt2以上であればステップS28に処理が進み、大電力の送電が開始される。一方、ステップS26において、受電電圧がしきい値Vt2以上でなければ、ステップS27に処理が進み、運転者に充電が不可能である旨の異常が報知される。
【0121】
以上説明したように、本実施の形態では、送電ユニット220がカメラ120の死角に入ってからは送電ユニット220と受電ユニット110とで微弱電力の送受電を行ないこれに基づいて駐車支援を行なう。これにより、車両の下に送電ユニットが入ってからでも、駐車位置を精度よく指定することが可能となる。
【0122】
さらに、送電ユニットが想定範囲を超えて車両100を移動させても受電ユニット110で良好な受電ができない場合には、車両100を停止させるように制御が行なわれる。したがって、車両100を移動させすぎて送電ユニット220を前輪で踏みつけてしまったり他の障害物に車両100が接触してしまったりすることを防止することができる。
【0123】
さらに、自動駐車がうまくいかなかった場合でも、運転者が手動で駐車位置を決定したときには受電可能か否かを確認して受電を実行するので、わずらわしい操作を増やさずに充電する機会を増やすことができる。
【0124】
最後に、本実施の形態について再び図面を参照して総括する。図1、図6、図8を参照して、本実施の形態に示される車両の駐車支援装置は、車両100の周囲画像を撮影するカメラ120と、カメラ120から得られる画像で車外の送電ユニット220の位置を認識して送電ユニット220に向けて車両100を誘導するための第1の車両誘導部(IPA−ECU410)と、送電ユニット220から非接触状態で電力の受電を行なう受電ユニット110と、受電ユニット110の受電した電力に基づいて送電ユニット220と車両100との距離を検出し、検出した距離に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導部(共鳴ECU460)と、第1および第2の車両誘導部の出力に基づいて車両を駆動する車両駆動部(MG−ECU430)を制御して車両100を移動させる制御部(HV−ECU470)とを備える。制御部(HV−ECU470)は、第1の車両誘導部(IPA−ECU410)が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから車両駆動部(MG−ECU430)に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。
【0125】
好ましくは、制御部(HV−ECU470)は、第1の車両誘導部(IPA−ECU410)が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから車両駆動部(MG−ECU430)に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、受電ユニット110による電力の受電を停止させ第2の車両誘導部(共鳴ECU460)による誘導を中断する。
【0126】
より好ましくは、制御部(HV−ECU470)は、第1の車両誘導部(IPA−ECU410)が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第1の条件を満たした場合には、第2の車両誘導部(共鳴ECU460)による誘導を終了し、送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を行なう準備を開始する。
【0127】
より好ましくは、制御部(HV−ECU470)は、車両100を自動停止させ第2の車両誘導部(共鳴ECU460)による誘導を中断した後に、運転者の指示に応じて再度受電ユニット110による電力の送信または受信を再開し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第2の条件を満たした場合には送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を開始し、受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が第2の条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう。
【0128】
さらに好ましくは、運転者の指示は、車両駆動部(MG−ECU430)をパーキング状態に設定する操作(たとえばシフトレバーをP位置に設定することや、パーキングボタンを押すこと)によって与えられる。
【0129】
さらに好ましくは、第1の条件は、第2の条件よりも受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が大きくなる条件である。この場合図11に示すようにしきい値Vt1>しきい値Vt2に設定される。
【0130】
好ましくは、図7に示すように、受電ユニット110は、送電ユニット220の送電コイルである一次自己共振コイル234から電磁共鳴により非接触で電力を受電する受電コイルである二次自己共振コイル112を含む。
【0131】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
10 車両用給電システム、100 車両、110 受電ユニット、111,242,C1 コンデンサ、112,340 二次自己共振コイル、113,146 リレー、114,350 二次コイル、120 カメラ、122 給電ボタン、130,240 通信ユニット、140 整流器、142 DC/DCコンバータ、144 抵抗、150 蓄電装置、162 昇圧コンバータ、164,166 インバータ、172,174 モータジェネレータ、176 エンジン、177 動力分割装置、178 駆動輪、180 制御装置、190 電圧センサ、200 給電装置、210 高周波電源装置、211 抵抗、213 高周波交流電源、220 送電ユニット、220A,220B,220C 位置、230 発光部、232,320 一次コイル、234,330 一次自己共振コイル、310 高周波電源、360 負荷、410 IPA−ECU、430 MG−ECU、460 共鳴ECU、470 HV−ECU、SMR1,SMR2 システムメインリレー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲画像を撮影するカメラと、
前記カメラから得られる画像で車外の送電装置の位置を認識して前記送電装置に向けて車両を誘導するための第1の車両誘導部と、
前記送電装置から非接触状態で電力の受電を行なう受電部と、
前記受電部の受電した電力に基づいて前記車両を誘導するための第2の車両誘導部と、
前記第1および第2の車両誘導部の出力に基づいて前記車両を駆動する車両駆動部を制御して前記車両を移動させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の車両誘導部が前記画像では前記送電装置の位置を検出できなくなってから前記車両駆動部に所定距離を超えて前記車両を移動させても前記受電部が前記送電装置から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、前記車両の移動を停止させるための処理を行なう、車両の駐車支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の車両誘導部が前記画像では前記送電装置の位置を検出できなくなってから前記車両駆動部に所定距離を超えて前記車両を移動させても前記受電部が前記送電装置から受電する電力が前記第1の条件を満たさない場合には、前記受電部による電力の受電を停止させ前記第2の車両誘導部による誘導を中断する、請求項1に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の車両誘導部が前記画像では前記送電装置の位置を検出できなくなってから所定距離だけ前記車両が移動する間に前記受電部が前記送電装置から受電する電力が前記第1の条件を満たした場合には、前記第2の車両誘導部による誘導を終了し、前記送電装置から車載の蓄電装置への充電を行なう準備を開始する、請求項2に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両を自動停止させ前記第2の車両誘導部による誘導を中断した後に、運転者の指示に応じて再度前記受電部による電力の送信または受信を再開し、前記受電部が前記送電装置から受電する電力が第2の条件を満たした場合には前記送電装置から車載の蓄電装置への充電を開始し、前記受電部が前記送電装置から受電する電力が前記第2の条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう、請求項2に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項5】
前記運転者の指示は、前記車両駆動部をパーキング状態に設定することによって与えられる、請求項4に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項6】
前記第1の条件は、前記第2の条件よりも前記受電部が前記送電装置から受電する電力が大きくなる条件である、請求項4に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項7】
前記受電部は、
前記送電装置の送電コイルから電磁共鳴により非接触で電力を受電する受電コイルを含む、請求項1に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の駐車支援装置を備える車両。
【請求項1】
車両の周囲画像を撮影するカメラと、
前記カメラから得られる画像で車外の送電装置の位置を認識して前記送電装置に向けて車両を誘導するための第1の車両誘導部と、
前記送電装置から非接触状態で電力の受電を行なう受電部と、
前記受電部の受電した電力に基づいて前記車両を誘導するための第2の車両誘導部と、
前記第1および第2の車両誘導部の出力に基づいて前記車両を駆動する車両駆動部を制御して前記車両を移動させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の車両誘導部が前記画像では前記送電装置の位置を検出できなくなってから前記車両駆動部に所定距離を超えて前記車両を移動させても前記受電部が前記送電装置から受電する電力が第1の条件を満たさない場合には、前記車両の移動を停止させるための処理を行なう、車両の駐車支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の車両誘導部が前記画像では前記送電装置の位置を検出できなくなってから前記車両駆動部に所定距離を超えて前記車両を移動させても前記受電部が前記送電装置から受電する電力が前記第1の条件を満たさない場合には、前記受電部による電力の受電を停止させ前記第2の車両誘導部による誘導を中断する、請求項1に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の車両誘導部が前記画像では前記送電装置の位置を検出できなくなってから所定距離だけ前記車両が移動する間に前記受電部が前記送電装置から受電する電力が前記第1の条件を満たした場合には、前記第2の車両誘導部による誘導を終了し、前記送電装置から車載の蓄電装置への充電を行なう準備を開始する、請求項2に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両を自動停止させ前記第2の車両誘導部による誘導を中断した後に、運転者の指示に応じて再度前記受電部による電力の送信または受信を再開し、前記受電部が前記送電装置から受電する電力が第2の条件を満たした場合には前記送電装置から車載の蓄電装置への充電を開始し、前記受電部が前記送電装置から受電する電力が前記第2の条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なう、請求項2に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項5】
前記運転者の指示は、前記車両駆動部をパーキング状態に設定することによって与えられる、請求項4に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項6】
前記第1の条件は、前記第2の条件よりも前記受電部が前記送電装置から受電する電力が大きくなる条件である、請求項4に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項7】
前記受電部は、
前記送電装置の送電コイルから電磁共鳴により非接触で電力を受電する受電コイルを含む、請求項1に記載の車両の駐車支援装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の駐車支援装置を備える車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−188679(P2011−188679A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53208(P2010−53208)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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