説明

車両ブレーキシステムの駆動ユニットに圧力を供給するための装置及びこの装置を制御するための方法

【課題】常用ブレーキ機能の信頼性を可能な限り高く保持し、特に電子又は電気回路システムのエラー又は故障について最大限可能な冗長性を得る。
【解決手段】本発明は、ポンプ6及びポンプ6を駆動するモータ7を有する空気モータポンプ組体3を具備し、モータポンプ組体3は、駆動ユニットの空気ブレーキブースター1内の圧力レベルあるいは圧力差に応じて電子制御ユニット10,12によって制御され、ブレーキブースター1のチャンバ内の圧力レベルあるいは2つのチャンバ間の圧力差がセンサ9によって検知される、車両ブレーキシステム、特に「ブレーキバイワイヤ」タイプの車両ブレーキシステムの駆動ユニットに圧力を供給するための装置に関する。
本発明により、モータポンプ組体3を制御するために用いられる制御ユニット10,12は論理モジュールと電力モジュールとを有し、論理モジュールと電力モジュールとは互いに独立して配置されている、ことが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ及びポンプを駆動するモータを有する空気モータポンプ組体を具備し、モータポンプ組体は、駆動ユニットの空気ブレーキブースター内の圧力レベルあるいは圧力差に応じて電子制御ユニットによって駆動され、ブレーキブースターのチャンバ内の圧力レベルあるいは2つのチャンバ間の圧力差がセンサによって検知される、車両ブレーキシステム、特に「ブレーキバイワイヤ(break by wire)」タイプの車両ブレーキシステムの駆動ユニットに圧力を供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置及び車両において圧力を供給するための方法が、例えば、独国特許出願公開第19929880A1号明細書に開示されており、モータポンプ組体が、駆動ユニットの作動状態に応じて追加で駆動される真空ポンプを有する。
【0003】
「ブレーキバイワイヤ」タイプの車両ブレーキシステムは、ドライバーの要求に応じて、部分的にはブレーキペダルによって、さらに、電気制御ユニット(ECU)によって、即ち、ドライバーに関係なく、作動可能である(機械的フォールバックモード)。昇圧による機械的フォールバックモードを備えないシステムでは、常用ブレーキ機能、即ち、昇圧によるブレーキが電力が供給されている場合にのみなされるという欠点がある。電力供給装置の故障、又は、電気制御ユニットの欠陥により、例えば、液圧ブレーキバイワイヤブレーキシステム、これは電子液圧ブレーキ(EHB)を意味する、において、適法な状況に合致した昇圧によらないブレーキのみが可能となる(500Nのペダル力により0.3g)。通常、電子素子、特に電力供給装置の故障確率は、従来の機械的なブレーキ要素の故障確立よりも大きく、常用ブレーキの機能の観点から、ブレーキバイワイヤ車両ブレーキシステムの信頼性を従来の車両ブレーキシステムと同程度に高く保持するために、より高度な技術的手段を用いる必要がある。
【0004】
とりわけ、ドライバーとは関係なく作動可能な、ブレーキブースターに基づく回生ブレーキの使用も、これ、即ち、EHBに対して常用ブレーキ機能の信頼性を高めることを目的としている。回生ブレーキは、主に、ハイブリッド車両及び電気車両に用いられる。このブレーキを電気モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に用いるために研究する場合には、内燃機関が駆動ユニットに圧力を供給せず、従って電気駆動ポンプが必要となる作動状態に直面することになる。
【0005】
特に、純粋な電気車両では、必要な圧力はこのようなポンプのみによって生成されなければならない。従って、常用ブレーキ機能は、また、電気回路システムの信頼性に依存することになる。コスト上の理由から、ブレーキシステムのECUによる真空ポンプの制御の実行が頻繁に試みられており、これにより、常用ブレーキ機能もブレーキ制御ユニットの信頼性に依存することになる。
【特許文献1】独国特許出願公開第19929880A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した観点に鑑み、本発明の目的は、特に電子又は電気回路システムのエラー又は故障に関して最大限に高率の冗長度を保持しつつ、常用ブレーキ機能の信頼性を可能な限り高く保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、モータポンプ組体を制御するための制御ユニットが論理モジュールと電力モジュールとを有し、論理モジュールと電力モジュールとは互いに独立して配置されている、ことにおいて達成される。これにより、一方のモジュールのエラーが自動的に他方のモジュールに影響を与え、結果として常用ブレーキの機能が自動的に作動不能となる、ことがなくなる。
【0008】
2つのモジュールの電力供給の冗長性が、論理モジュールと電力モジュールとは、互いに別々に、車両の電気回路システムに接続されている、ことにおいて達成される。
【0009】
本発明の好ましい改良形態により、制御ユニットはモータポンプ組体及びブレーキシステムを駆動するために、あるいは、車両のモータを駆動するために設けられており、論理モジュールは制御ユニットに配置されており、電力モジュールは制御ユニットの外部に設けられている、ことが提供される。これにより、モータポンプ組体のための独立した制御ユニットが必要なくなり、追加の素子、フェイルセーフ等のための余分なコストを低減することが可能である。モータポンプ組体を駆動するための論理モジュールは、既に提供されているブレーキシステムの制御ユニットに対して追加の労力なしに集積可能である。他方、電力モジュールは、リレーあるいはMOSFETのような大きな電気素子を有し、対応する大きな装着スペースを必要とし、好ましくは、モータポンプ組体あるいは車両の他の制御ユニットに設けられる。これに関し、電力モジュールを制御ユニットに集積する場合には、制御ユニットからの熱の発散のための対応する構造手段が必要となるため、電力モジュールの大きな温度上昇がモータポンプ組体の制御ユニット及びブレーキシステム、あるいは、モータの制御ユニットに影響を与えないという利点もある。
【0010】
独立したハウジングを省略するために、好ましい実施態様では、例えば、リレーが、電力モジュールとして与えられ、車両のリレーボックス内に収容されている。
【0011】
別の好ましい実施態様に従い、半導体素子、好ましくはFETが、電力モジュールとして与えられ、車両のリレーボックス内に収容されている。
【0012】
さらに、本発明の装置を制御するための方法が開示され、この方法の特徴は、モータポンプ組体は制御ユニットの故障時に作動される、ことにある。これにより、ブレーキブースターへの圧力の供給が確保される。これに関し、モータポンプ組体は、好ましくは、制御ユニットが故障した場合に、常閉スイッチによって駆動可能である。
【0013】
本発明の別の好ましい一実施態様の方法では、モータポンプ組体は、制御ユニットの故障時、ブレーキペダルの移動を検知するためのセンサの作動によって、例えば、ブレーキライトスイッチの作動によって作動可能となり、センサの非作動時には作動不能となり、センサは車両の駆動ユニットの制御装置に接続されている。従って、ドライバーによるブレーキへの要請が認識され、モータポンプ組体を駆動することにより、昇圧によるブレーキ作動のために必要な圧力がブレーキブースター内で利用可能となる。
【0014】
モータポンプ組体を慎重に扱い、温度の上昇を低減するために、本発明の好ましい一実施態様の方法として、モータポンプ組体は、制御ユニットの故障時、クロック制御方式により作動される。
【0015】
ブレーキ作動後にもブレーキブースターにおいて必要な圧力を保持するために、本発明の別の好ましい一実施態様では、モータポンプ組体は、ブレーキペダルの移動の検知のためのセンサの作動後、規定の時間だけ作動状態に保持される。
【0016】
車両が内燃機関と電気モータとを備えるハイブリッド車両である場合には、信号が、好ましくは、制御ユニットのエラーの発生時にモータ制御ユニットに送信され、制御ユニットはモータポンプ組体を駆動し、内燃機関は所定の作動状態をなし、この作動状態では、内燃機関のみにより駆動ユニットへの圧力の供給がなされる。これは、ハイブリッド車両の内燃機関が、ブレーキブースターへの必要な圧力の供給を確保するために、どのような作動状況であっても作動不能とならないことを示している。
【0017】
車両ブレーキシステムが最適化液圧ブレーキシステム(OHB)を有し、最適化液圧ブレーキシステムが、ブレーキブースターの複数のチャンバ間の圧力差に応じた追加のブレーキ昇圧機能を備える液圧増大ユニットを有し、圧力差が真空センサによって検知される場合には、本発明に従い、モータポンプ組体は独立したポンプ制御ユニットと独立したセンサとによって駆動され、独立したセンサは、真空センサに加えて、ブレーキブースターの圧力レベルを検知し、モータポンプ組体は独立したラインによって車両の電気回路システムに接続されている、ことが開示される。これにより、ブレーキシステムとは無関係に、モータポンプ組体の作動が可能となる。しかしながら、素子を削減するために、モータポンプ組体を、独立したセンサによるよりも、真空センサによって駆動することが可能である。
【0018】
冗長性を確保するために、モータポンプ組体を、リレーあるいはFETとして与えられている独立した電流供給装置を有する電力モジュールによって駆動することが可能であり、ポンプ制御ユニット及び/あるいはブレーキ制御ユニットはOHBシステムの真空センサの複数の信号を読み出すことが可能である。1つだけの制御ユニットが複数の信号を読み出す場合には、複数の信号は、好ましくは、夫々、バス接続によって他の制御ユニットに送信される。
【0019】
信号がブレーキ制御ユニットによって読み出される場合には、本発明の好ましい改良形態の方法に従い、モータポンプ組体は、いかなる場合にも圧力供給を確保するために、ブレーキ制御ユニットの故障時に完全に駆動される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を各実施形態を示す添付した図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態の、「ブレーキバイワイヤ」タイプの車両ブレーキシステムの駆動ユニットに圧力を供給するための装置の概略的なシステム構成を示す。駆動ユニットは、空気ブレーキブースター1と、これに配置されているマスターブレーキシリンダー2と、を有する。「ブレーキバイワイヤ」タイプの車両ブレーキシステムは、ドライバーの要求に従って、電子制御ユニット(ECU)によって、即ち、ドライバーとは無関係に、しかしながらまた、部分的にはブレーキペダル(不図示)によって、駆動可能である(機械的フォールバックモード)。駆動ユニットの主要な構成及び機能は周知であるため、以下では本発明の本質的な特徴のみを説明する。
【0022】
ブレーキブースター1の内部空間(不図示)は可動壁によって少なくとも2つのチャンバに分割されている。真空ブレーキブースターでは、内部空間は少なくとも1つの真空チャンバと少なくとも1つの作業チャンバに分割されており、一方、過圧ブレーキブースターでは、内部空間は少なくとも1つの高圧チャンバと少なくとも1つの低圧チャンバとに分割されている。マスターブレーキシリンダー2は2つのピストン(不図示)を有し、これらピストンはハウジング内で移動可能で、ハウジングと共同して、各液圧チャンバを規定する。これら圧力チャンバは、非加圧圧力流体タンク4に接続可能であり、また、出口5を介して、車両ブレーキシステムの不図示のホイールブレーキに接続可能である。
【0023】
空気モータポンプ組体3はポンプ6及びポンプ6を駆動するモータ7を有し、モータ7は例えば電気モータとして形成されている。ブレーキブースター1が真空と過圧とのいずれによって作動されるかに応じて、ポンプ6は真空ポンプあるいは過圧ポンプとして形成される。しかしながら、これは本発明にとって本質的なことではない。従って、以下の説明は、単に、真空チャンバと作業チャンバとを有する真空ブレーキブースター、及び、真空ポンプについてなされる。ブレーキブースターは単一タイプあるいは直列タイプの装置として形成可能である。
【0024】
ブレーキブースター1に真空を供給するために、真空ポンプ6は、吸引ライン8を介して、ブレーキブースター1の不図示の真空チャンバに接続されている。ブレーキブースター1あるいは真空ポンプ6に配置されているセンサ9は、真空チャンバの真空レベルあるいは真空チャンバと作業チャンバとの間の圧力差を検出し、この検出された圧力は、電気ブレーキ制御ユニット(ブレーキECU)10において演算される。また、本発明に従い、センサ9を吸引ライン8に配置することも可能である。
【0025】
モータポンプ組体3はブレーキECU10によって直接駆動され、ブレーキECU10を、例えば、電子安定プログラム(ESP)を有する制御ブレーキシステムのESP制御ユニットとして提供することが可能である。駆動のために、ブレーキECU10は論理モジュール(不図示)と電力モジュール(不図示)とを有し、2つのモジュールは、一方のモジュールでのエラーが他方のモジュールに影響を与えないように、互いに独立している。これは、常用機能即ちブレーキシステムの昇圧によるブレーキがいずれか1つのモジュールにおける欠陥の発生によっては自動的に停止しないことを意味している。さらに電力供給について冗長性を得るために、複数のモジュールは、互いに独立して、車両の電気回路システムに接続されている。
【0026】
論理モジュールは、主にモータポンプ組体3を駆動するためのソフトウェアを有し、追加の手間をほとんどかけずにブレーキECU10に集積可能である。
【0027】
電力モジュールは、駆動のためのスイッチユニットを有し、例えばリレーあるいはMOSFETとして提供可能であり、電気素子のために追加の装着スペースが必要なため、ブレーキECU10の外側に配置されている。さらに、独立した配置により、電力モジュールの大きな温度上昇によってもブレーキECU10がいかなる影響も受けないという追加の効果が得られる。その理由は、ブレーキECU10における追加の温度上昇によって、放熱のための対応する構造手段が必要となることである。電力モジュールは、モータポンプ組体3に、車両の別の制御ユニットに、車両のリレーボックスにおいて、あるいは、ブレーキEUCとモータ7との間に配置可能である。さらに、前述したリレー内の配置により、電力モジュールのための1つのケースを省略することが可能となる。
【0028】
図1に示されるように、ブレーキECU10は、バスシステムCAN(コントローラーエリアネットワーク)によって、電子モータ制御ユニット(モータECU)11に接続されている。加えて、ブレーキECU10とモータECU11とは、CANを介して、さらに車両の制御ユニットに接続可能である。
【0029】
図2は、本発明の第2実施形態の、「ブレーキバイワイヤ」タイプの車両ブレーキシステムの駆動ユニットに圧力を供給するための装置の概略的なシステム構成を示す。後者は、独立したポンプECU12がモータポンプ組体3を駆動するために設けられている点でのみ第1実施形態と異なり、ポンプECU12は、センサ9の信号を読み出し、CANを介して、ブレーキECU10及びモータECU11に接続されている。これにより、ブレーキECU10によるモータポンプ組体3の追加の駆動が可能となる。論理モジュール及び電力モジュールも互いに独立して設けられており、複数のモジュールへの電流の供給は独立してなされる。この実施形態でも、論理モジュールをポンプECU12に設けることが可能であり、電力モジュールをポンプECU12の外部に、例えば、リレーボックス内に設けることが可能である。
【0030】
センサ9の信号の読み出しとしては、図3に示される第3実施形態に従い、ブレーキECU10によって、センサ9の信号を読み出し、対応する信号をCAN接続を介してポンプECU12に供給することも可能である。
【0031】
上述した全ての実施形態において、モータポンプ組体3は、ブレーキブースター1への圧力の供給を確保するために、駆動制御ユニット10,12の故障時に作動可能となる。ここで、モータポンプ組体3は、例えば、制御ユニットが故障した場合に常閉スイッチによって作動可能である。
【0032】
モータポンプ組体3は、ブレーキペダルの移動を検知するためのセンサ、例えば、ブレーキライトスイッチの作動によって、駆動制御ユニット10,12の故障時に作動可能となり、センサの非作動時には作動不能となり、制御ユニット10,12とは無関係にモータECU11によってセンサ9からの読み出しが行われる。
【0033】
慎重な取り扱い及び温度上昇の低減のために、モータポンプ組体3は、制御ユニットの故障時にクロック制御方式により作動可能である。
【0034】
車両が内燃機関と電気モータ7とを備えるハイブリッド車両である場合には、信号は、制御ユニット(ブレーキECU10あるいは独立したポンプECU12)でのエラーの発生時に、モータECU11に送信され、モータポンプ組体3を駆動し、内燃機関は所定の作動状態をなし、この作動状態では、内燃機関のみによって駆動ユニットへと圧力が供給される。これは、ハイブリッド車両の内燃機関はブレーキブースター1への必要な圧力供給を確保するために、いかなる作動状況であっても作動不能とはならないことを示している。
【0035】
いわゆる回生ブレーキがハイブリッド車両において省エネのために特に用いられ、車両の回転の運動エネルギーがブレーキ時に電気エネルギーに変換され、知的エネルギー管理(intelligent energy management)により一時的に蓄積され、車両が牽引あるいは加速する場合に駆動電車へと導入され、この結果、内燃機関への負荷が軽減される。上述した本発明の実施形態の装置の全ては、ハイブリッド車両で実施することが可能である。
【0036】
車両ブレーキシステムに、常用ブレーキ機能の信頼性を増大するために最適化液圧ブレーキシステム(OHB)が備えられており、最適化液圧ブレーキシステムがブレーキブースターの複数のチャンバ間の圧力差に応じた追加のブレーキ力昇圧機能を備える場合には、圧力差はブレーキブースターに配置されている真空センサによって検知される。圧力増大ユニットは例えばポンプとして与えられており、ポンプはホイールブレーキ回路において圧力を調節する。これにより、ブレーキブースターの最大昇圧点を越えた場合にも昇圧効果を保持することが可能であり、液圧ブレーキ補助機能を提供し、あるいは、ブレーキブースターの故障を補償することが可能である。
【0037】
モータポンプ組体3は、独立したポンプ制御ユニット並びに図2及び図3に従い説明したセンサ9によって駆動可能であり、このセンサ9は、OHBシステムの真空センサに加えて、ブレーキブースターの圧力レベルを検知する。モータポンプ組体3は、独立したラインにより、車両の電気回路システムに接続されており、ブレーキシステムとは無関係なモータポンプ組体3の作動を可能とする。
【0038】
しかしながら、素子を削減するために、モータポンプ組体3を独立したセンサ9よりもむしろ真空センサによって駆動することが可能である。冗長性を確保するために、真空センサはリレーとして与えられている独立した電流供給装置を有する電力モジュールによって駆動可能であり、複数の信号はポンプECU12及びブレーキECU10によって読み出し可能である。一方の制御ユニットのみによって信号が読み出される場合には、複数の信号は、夫々、CAN接続によって他方の制御ユニットに供給される。
【0039】
信号がブレーキECU10によって読み出される場合には、いかなる場合にも圧力の供給を確保するために、モータポンプ組体3がブレーキECU10の故障時に完全に駆動されることが適切である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態の装置の概略的なシステム構成を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態の装置の概略的なシステム構成を示す。
【図3】本発明の第3の実施形態の装置の概略的なシステム構成を示す。
【符号の説明】
【0041】
1…ブレーキブースター、2…マスターシリンダー、3…モータポンプ組体、4…圧力流体タンク、5…出口、6…ポンプ、7…モータ、8…吸引ライン、9…センサ、10…ブレーキ制御ユニット、11…モータ制御ユニット、12…ポンプ制御ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ(6)及びポンプ(6)を駆動するモータ(7)を有する空気モータポンプ組体(3)を具備し、モータポンプ組体(3)は、駆動ユニットの空気ブレーキブースター(1)内の圧力レベルあるいは圧力差に応じて電子制御ユニット(10,11,12)によって駆動され、ブレーキブースター(1)のチャンバ内の圧力レベルあるいは2つのチャンバ間の圧力差がセンサ(9)によって検知される、車両ブレーキシステム、特に「ブレーキバイワイヤ」タイプの車両ブレーキシステムの駆動ユニットに圧力を供給するための装置において、モータポンプ組体(3)を制御するための制御ユニット(10,11,12)は論理モジュールと電力モジュールとを有し、論理モジュールと電力モジュールとは互いに独立して配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
論理モジュールと電力モジュールとは、互いに別々に、車両の電気回路システムに接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
制御ユニット(10)はモータポンプ組体(3)及びブレーキシステムを駆動するために設けられており、論理モジュールは制御ユニット(10)に配置されており、電力モジュールは制御ユニット(10)の外部に設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
制御ユニット(11)は車両のモータの駆動のために設けられており、論理モジュールは制御ユニット(11)に配置されており、電力モジュールは制御ユニット(11)の外部に設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
電力モジュールはモータポンプ組体(3)に配置されている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
電力モジュールは車両の別の制御ユニットに配置されている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項7】
リレーが、電力モジュールとして与えられ、車両のリレーボックス内に収容されている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項8】
半導体素子、好ましくはFETが、電力モジュールとして設けられ、車両のリレーボックス内に配置されている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置を制御するための方法において、モータポンプ組体(3)は制御ユニット(10,12)の故障時に作動される、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
モータポンプ組体(3)は、制御ユニット(10,12)が故障した場合に、常閉スイッチによって駆動される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
モータポンプ組体(3)は、制御ユニット(10,12)の故障時、ブレーキペダルの移動を検知するためのセンサの作動によって作動可能となり、センサの非作動時には作動不能となり、センサは車両の駆動ユニットの制御装置に接続されている、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
モータポンプ組体(3)は、制御ユニット(10,12)の故障時、クロック制御方式により作動される、ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
モータポンプ組体(3)は、ブレーキペダルの移動の検知のためのセンサの作動後、規定の時間だけ作動状態に保持される、ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
車両が内燃機関と電気モータとを備えるハイブリッド車両である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置を制御するための方法において、信号が制御ユニット(10,12)のエラーの発生時にモータ制御ユニット(11)に送信され、モータ制御ユニット(11)はモータポンプ組体(3)を駆動し、内燃機関は所定の作動状態をなし、この作動状態では、内燃機関のみにより駆動ユニットへの圧力の供給がなされる、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
車両ブレーキシステムが最適化液圧ブレーキシステム(OHB)を有し、最適化液圧ブレーキシステムは、ブレーキブースター(1)の複数のチャンバ間の圧力差に応じた追加のブレーキ昇圧機能を備える液圧増大ユニットを有し、圧力差は真空センサによって検知される、請求項1に記載の装置を制御するための方法において、モータポンプ組体(3)は独立したポンプ制御ユニット(12)と独立したセンサ(9)とによって駆動され、独立したセンサ(9)は、真空センサに加えて、ブレーキブースター(1)の圧力レベルを検知し、モータポンプ組体(3)は独立したラインによって車両の電気回路システムに接続されている、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
車両ブレーキシステムが最適化液圧ブレーキシステム(OHB)を有し、最適化液圧ブレーキシステムは、ブレーキブースター(1)の複数のチャンバ間の圧力差に応じた追加のブレーキ昇圧機能を備える液圧増加ユニットを有し、圧力差は真空センサによって検知される、請求項1に記載の装置を制御するための方法において、モータポンプ組体(3)は、独立したポンプ制御ユニット(12)と真空センサとによって駆動され、モータポンプ組体(3)は、独立したラインによって車両の電気回路システムに接続されている、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
モータポンプ組体(3)は、リレーあるいはFETとして与えられている独立した電流供給装置を有する電力モジュールによって駆動され、OHBシステムの真空センサの複数の信号が、ポンプ制御ユニット(12)及び/あるいはブレーキ制御ユニット(10)によって読み出される、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
モータポンプ組体(3)はブレーキ制御ユニット(10)の故障時に完全に駆動される、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ポンプ制御ユニット(12)は、バス接続によって車両の追加の制御ユニットに接続されている、ことを特徴とする請求項9乃至18のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−509035(P2008−509035A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524349(P2007−524349)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053835
【国際公開番号】WO2006/032571
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】