説明

車両情報提供装置及び車両用ナビゲーション装置

【課題】 車両の到着を待っている複数の人に車両情報を適切に提供することができる車両情報提供装置及び車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置1は、待ち人(A)の通信端末5から個人情報が入力したときは、個人情報を分析し、場所設定を行う。待ち人(A)が一人の場合は、待ち人(A)を目的地として経路1を設定し、到着予測時刻を待ち人(A)の通信端末5に送信する。待ち人(B)が参加した場合は、待ち人(B)を経由する経路2が変更することから、待ち人(A)の到着予測時刻が遅れる。そこで、待ち人(A)に到着する到着予測時刻を再演算し、待ち人(A)の通信端末5に送信する。これにより、待ち人(A)が苛立つことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の到着を待つ人に対して車両情報を提供する車両情報提供装置及び車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、車両の到着を待つ人(待ち人)の例えば電話番号(位置情報)を目的地として車両の誘導を行う場合に、待ち人が苛立つことを解消するために、待ち人から車両に問い合わせ、車両から現在位置及び到着予測時刻などの車両情報をユーザに通知することが提案されている。
【特許文献1】特開2002−296043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のものでは、車両側のユーザが予め連絡先などをナビゲーション装置に登録し、待ち人に対して通知するものであるが、一人の待ち人にのみ有効である。このため、複数の待ち人が同一の車両の到着を待つような場合には、適切に対応することができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、車両の到着を待っている複数の人に車両情報を適切に提供することができる車両情報提供装置及び車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によれば、ユーザ端末が登録された場合は、そのユーザ端末を目的地とする到着予測時刻がユーザ端末に送信されるので、ユーザは、車両の到着予測時刻を知ることができ、苛立つことを解消することができる。
複数のユーザ端末が登録された場合は、車両情報作成手段は、各ユーザ端末を経由して最終のユーザ端末に到達する経路に基づいて各ユーザ端末に到着する到着予測時刻を計算し、その到着予測時刻を各ユーザ端末に送信するので、ユーザ端末の台数が増加した場合であっても、各ユーザに車両が到着する到着予測時刻を適切に通知することができる。
【0006】
請求項2の発明によれば、車両が例えば渋滞により当初の到着予測時刻から変わることが予測される場合は、到着予測時刻を再演算し、到着予測時刻を含む車両情報をユーザ端末に送信するので、車両到着予測時刻の信頼性を維持することができる。
請求項3の発明によれば、ユーザ端末に送信したセキュリティコードの受信の有無によりユーザによる通知条件の変更を許可するようにしたので、面倒な認証を行うことなくユーザの要求に迅速に対処することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を車両用ナビゲーション装置に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を車両用ナビゲーション装置に適用した一実施例について図面を参照して説明する。図1は、車両用ナビゲーション装置の電気的構成を示す機能ブロック図である。車両用ナビゲーション装置(車両情報提供装置に相当)1において、無線部2は、送信機、受信機、アンテナからなり、公衆電話回線3の基地局4を介してユーザに設置された通信端末(ユーザ端末に相当)5と通信することができる。
【0008】
自車位置検出部(自位置検出手段に相当)6は、複数の衛星から受信した電波を演算することにより車両の現在位置(少なくとも緯度、経度)を求める。
センサ信号処理部7は、車輪の回転に応じたパルス信号を受信し、例えば車両の移動距離を演算するものである。また、トンネルや山間部といった自車位置検出部6の演算に必要な衛星からの電波が受信できない場合に自車位置の補正を行う。
【0009】
読取部8は、地図データが記録されたCD−ROM、DVD−ROM,HDDなどの記憶媒体から、地図データやタウン情報を読み出すものである。
記憶部9は、読取部8が記憶媒体から読みこんだデータや演算結果を記憶するメモリ(DRAM)を有する。この記憶部9には車両用ナビゲーション装置1への電源供給が停止した際にも、必要なデータを保持しておくためのバックアップメモリ(SRAM)が設けられている。
【0010】
音声発生部10は、設定した経路に沿って車両を案内するための音声をスピーカ10aから発生したり、確認用或いは異常報知用のビープ音を発生したりする。
液晶表示装置からなる表示部11は、少なくとも地図及び経路案内を表示する。また、無線部2が受取った受信データ内に画面表示データが記憶されている場合には、この記憶された画面表示データに従って、所定のデータ内容を表示する。
【0011】
操作部12は、表示部11に表示された地図上へ目的地を記憶部9に記憶させて登録したり、所定の時刻に通信を自動的に行うための設定時刻を入力したり、送信先の電話番号を入力したり、予め記憶された電話番号を読み込み表示部11に表示させるための操作を行ったり、さらには、表示部11の画面の拡大、縮小、およびスクロールなどナビゲーション装置の基本的な操作を行うためのものである。
【0012】
制御処理部(登録手段、車両情報作成手段、送信手段、セキュリティコード送信手段、通知条件変更許可手段に相当)13は、無線部2、センサ信号処理部7、記憶媒体からのデータの読み込み制御をはじめ、ナビゲーションに関する演算を行うと共に各部の制御を司る中央処理装置を有する。また、制御処理部13は、自車位置検出部6が求めた受信点の位置、センサ信号処理部7のデータ、或いは予め設定登録された目的地の位置データより、現在位置から予め設定登録された目的地までの所要時間を算出すると共に、到着予測時刻を推定し、無線部2を通じて通信端末5に送信する機能を有する。
【0013】
次に上記構成について説明する。
車両用ナビゲーション装置1は、本来の経路案内動作に加えて、本発明に関連して図2に示すように認証動作、地点登録動作、情報通知動作、変更依頼動作を繰返して実行するようになっている。尚、図2では、各動作が直列動作するように示しているが、実際には、並列動作を行っている。
【0014】
例えば所定のグループ(会社、団体、仲間など)で共同利用可能な車両の迎えを依頼する人(以後、待ち人(A))は、通信端末5を操作して車両に搭載されている車両用ナビゲーション装置1に個人情報を通知する。この個人情報とは、自分の居場所の電話番号である。
【0015】
図3は、車両用ナビゲーション装置1の認証動作を示している。この図3において、車両用ナビゲーション装置1は、無線部2を通じて個人情報を受信したときは(a1:YES)、個人情報を分析し(a2)、認証済みかを判断する(a3)。認証が済んでいない場合は(a3:未)、個人情報を表示する(a4)。
【0016】
乗員は、表示された個人情報に基づいて着信を許可するかを判断し、その判断結果を車両用ナビゲーション装置1に指示する。車両用ナビゲーション装置1は、乗員が着信を拒否したときは(a5:拒否)、拒否メッセージを作成し(a11)、通信端末5に送信する(a9)。これに対して、乗員が着信を許可した場合は(a5:許可)、セキュリティコードを待ち人(A)に対して歳番すると共に(a6)、受信した個人情報を認証情報へ追加してから(a7)、認証メッセージを作成し(a8)、待ち人(A)の通信端末5に送信する(a9)。
以上の動作により、待ち人(A)の通信端末5の表示部11にはセキュリティコードを示すメッセージが表示されるので、待ち人(A)は、表示されたセキュリティコードを記憶しておく。
【0017】
図4は、車両用ナビゲーション装置1の地点登録動作を示している。この図4において、車両用ナビゲーション装置1は、個人情報が入力したときは(b1:YES)、入力した個人情報を分析し(b2)、場所設定を判断する(b3)。この場合、個人情報として待ち人(A)しか登録されていないことから、待ち人(A)は必ず目的地となる(b3:目的地)。従って、待ち人(A)までの経路1(図7参照)を計算し(b4)、待ち人(A)への到着予測時刻を演算すると共に(b5)、到着時刻を示す到着メッセージを作成し(b6)、待ち人(A)の通信端末5に送信する(b7)。
以上の動作により、待ち人(A)は、車両用ナビゲーション装置1から通信端末5に送信された到着予測時刻を確認するようになるので、苛立つことなく車両の到着を待つことができる。
【0018】
図5は、車両用ナビゲーション装置1の情報通知動作を示している。この図5において、車両用ナビゲーション装置1は、登録されている個人情報に基づいて通知先(電話番号先)を検索すると共に(c1)、予め登録されている定期通知間隔を取得し(c2)、定期時間となったときは(c3)、車両の現在位置及び目的地に基づいて到着予測時刻を演算し(c4)、現在位置及び到着予測時刻を示す車両情報メッセージを作成し(c5)、通信端末5に送信する(c6)。そして、待ち人は一人であることから、メッセージを送付したところで(c7:YES)、通知済み情報をクリアする(c8)。
以上のような動作により、待ち人(A)に対して定期的に車両情報が通知されるので、待ち人(A)は、最新の車両位置及び到着予想時刻を知ることができ、苛立つことなく車両の到着を待つことができる。
【0019】
さて、登録された待ち人(A)は、上述した車両用ナビゲーション装置1が待ち人に車両情報を通知する定期通知間隔の変更及び地点の登録変更並びに削除を行うことができる。このような変更依頼を行う場合は、車両用ナビゲーション装置1に対して、個人情報に上述した認証動作時に通知されたセキュリティコードを付加して送信する。
車両用ナビゲーション装置1は、図3に示す認証動作において、受信した個人情報を分析した結果(a2)、個人情報が認証済みの場合は(a3:済)、個人情報に付加されているセキュリティコードを受信する。
【0020】
図6は、車両用ナビゲーション装置1の変更依頼動作を示している。この図6において、車両用ナビゲーション装置1は、通信端末5から変更依頼を受信したときは(d1:YES)、個人情報を分析してから(d2)、認証動作で取得したセキュリティコードが一致しているかを判断する(d3)。セキュリティコードが不一致の場合は(d3:不一致)、エラーメッセージを作成し(d7)、通信端末5に送信する(d15)。セキュリティコードが一致した場合は(d3:YES)、待ち人(A)からの変更依頼が定期通知間隔変更か(d4)、地点変更か(d5)、地点削除(d6)かを判断する。
【0021】
変更依頼が定期通知間隔変更の場合は(d4:YES)、定期通知間隔を変更し(d8)、変更メッセージを作成し(d9)、通信端末5に送信する(d15)。変更依頼が地点変更の場合は(d5:YES)、経路計算を行い(d10)、到着予想時刻がそれまでの到着予測時刻から遅れるかを判断する(d11)。遅れが無い場合は(d11:遅れ無)、変更或いは削除メッセージを作成し(d16)、通信端末5に送信する(d15)。遅れが有る場合は(d11:遅れ有)、遅れ時間を算出し(d12)、情報送付先を検索し(d13)、遅れメッセージを作成し(d14)、通信端末5に送信する(d15)。
【0022】
以上のようにして、待ち人(A)に対してセキュリティコードが載番された後においては、図8に示すように車両用ナビゲーション装置1側で個人認証を一々行うことなく待ち人(A)から送信されたセキュリティコードに基づいて変更依頼を実行することができる。
【0023】
ところで、例えばグループの他の人(以後、他の待ち人(B))が車両を呼び出すために、他の場所に設置された通信端末5から車両用ナビゲーション装置1にアクセスして個人情報を送信した場合、車両用ナビゲーション装置1は、待ち人(B)を図3に示した認証動作により認証する。この認証の結果、認証が済んでいないものの、乗員が着信を許可した場合は、上述したようにしてセキュリティコードを示すメッセージを待ち人(B)の通信端末5に通知する。従って、待ち人(B)も待ち人(A)と同様に車両用ナビゲーション装置1に対する変更依頼が可能となる。
【0024】
また、車両用ナビゲーション装置1は、図4に示した地点登録動作において、個人情報を分析した結果、待ち人(B)を登録した場合は、待ち人(A)と待ち人(B)の位置関係に基づいて目的地か経由地に設定するかを判断し、経由地を設定する場合は(b3:経由地)、経由地を経由して目的地に到達する経路を演算すると共に(b8)、到着予測時刻を演算し(b9)、当初の到着時刻に対する遅れを比較する(b10)。遅れが無いときは(b10:遅れ無)、遅れがないことを示すメッセージを作成し(b14)、そのメッセージを送信する(b7)。これに対して、遅れが有るときは(b10:遅れ有)、遅れ時間を算出すると共に(b11)、情報送信先を検索し(b12)、遅れメッセージを作成し(b13)、そのメッセージを送信する(b7)。
【0025】
以上の動作により、待ち人(B)の参加により待ち人(A)への車両の到着が遅れるような場合は、遅れ時間を示すメッセージが待ち人(A)に送信されるので、待ち人(A)は、車両の到着が遅れることが分り、苛立つことを解消することができる。つまり、図7に示すように車両用ナビゲーション装置1は、待ち人(A)の通信端末5から個人情報が入力したときは、待ち人(A)を目的地として経路1を設定し、到着予測時刻を待ち人(A)の通信端末5に送信するものの、待ち人(B)が参加した場合は、待ち人(B)を経由して待ち人(A)に到達する経路2を計算すると共に、到着予測時刻を再演算し、待ち人(A)及び待ち人(B)の通信端末5に送信するのである。
【0026】
また、待ち人が3人以上となった場合も、上述した動作により、各待ち人に対して到着予測時刻或いは遅れメッセージを適切に送信することができる。
このような実施例によれば、車両用ナビゲーション装置1は、複数の待ち人を登録した場合は、目的地及び経由地を設定し、目的地及び経由地に到達する到着予測時刻を演算し、演算した到着予測時刻を各通信端末5に送信するようにしたので、一人の待ち人しか対応できない従来例のものと違って、複数の待ち人に正確な到着予測時刻を通知することができ、待ち人の苛立つことを防止できる。
【0027】
また、車両用ナビゲーション装置1は、待ち人を認証した場合は、待ち人の通信端末5にセキュリティコードを送信し、その通信端末5からセキュリティコードが付加された個人情報を受信したときは、待ち人による変更依頼に応答するようにしたので、乗員が面倒な個人認証操作を行うことなく変更依頼に対処することができ、使い勝手に優れている。
【0028】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
GPS機能を有した携帯電話機から車両用ナビゲーション装置1にアクセスし、現在位置を含む個人情報を車両用ナビゲーション装置1に送信するようにしてもよい。
待ち人(B)が登録された場合は、待ち人(A)と待ち人(B)を目的地と経由地の何れに設定するかを乗員が設定するようにしてもよい。
渋滞で目的地或いは経由地への到達予測時刻が所定時間以上遅くなる場合に遅れメッセージを送信するようにしてもよい。
本発明を車両用ナビゲーション装置以外の車載端末に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例における車両用ナビゲーション装置を示す機能ブロック図
【図2】車両用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャート
【図3】車両用ナビゲーション装置の認証動作を示すフローチャート
【図4】車両用ナビゲーション装置の地点登録動作を示すフローチャート
【図5】車両用ナビゲーション装置の情報通知動作を示すフローチャート
【図6】車両用ナビゲーション装置の依頼変更動作を示すフローチャート
【図7】待ち人の増加による経路変更を説明するための図
【図8】通信端末と車両用ナビゲーション装置との間の通信を示すシーケンス
【符号の説明】
【0030】
図面中、1は車両用ナビゲーション装置(車両情報提供装置)、2は無線部、5は通信端末(ユーザ端末に相当)、6は自車位置検出部(自位置検出手段)、13は制御処理部(登録手段、車両情報作成手段、送信手段、セキュリティコード送信手段、通知条件変更許可手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する自位置検出手段と、ユーザ端末の位置を登録する登録手段と、所定の通知条件が成立したときは前記自位置検出手段が検出した現在位置に基づいて前記ユーザ端末への到着予測時刻を示す車両情報を作成する車両情報作成手段と、この車両情報作成手段が作成した車両情報を無線部を通じて前記登録手段に登録されているユーザ端末に送信する送信手段とを備え、
前記車両情報作成手段は、前記登録手段に複数のユーザ端末が登録された場合は、各ユーザ端末を経由して最終のユーザ端末に到達する経路に基づいて各ユーザ端末への到着予測時刻を演算することを特徴とする車両情報提供装置。
【請求項2】
前記車両情報作成手段は、前記ユーザ端末への到着予測時刻が変わると予測した場合は、到着予測時刻を再演算し、
前記送信手段は、前記演算手段が再演算した到着予測時刻を示す車両情報を前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1記載の車両情報提供装置。
【請求項3】
前記登録手段に前記ユーザ端末を登録した場合はユーザを特定するためのセキュリティコードを送信するセキュリティコード送信手段と、
前記セキュリティコード送信手段が前記ユーザ端末に送信したセキュリティコードを当該ユーザ端末から受信したときは、前記ユーザ端末への通知条件の変更を許可する通知条件変更許可手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の車両情報提供装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかの車両情報提供装置の機能を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−251887(P2006−251887A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63908(P2005−63908)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】