説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 使用者が車を降りてから目的の施設まで快適に到着できる駐車場を探索する車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 電子地図上で案内経路および車両の現在位置を示して車両を目的地に案内する車両用ナビゲーション装置において、目的地を設定する目的地設定手段と、目的地設定手段により設定された目的地周辺の駐車場の種類を含む立地情報を取得する立地情報取得手段と、少なくとも駐車場の種類および/又は天候情報を含む駐車場を選択するための選択条件を取得する選択条件取得手段と、取得した立地情報と選択条件に応じて最適な駐車場を選択する最適駐車場選択手段と、を有することを特徴とする車両用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に運転者が指定した目的地に到達するための最適な駐車場を検索する車両用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、運転者の効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
近年の車両用ナビゲーション装置は、単に目的地までの経路を探索して案内するだけではなく、経路探索に対するユーザの要求に柔軟に対応するために、例えば、ユーザの希望する駐車場(施設からの距離、料金、規模等)を検索し、車両を誘導する車両誘導システムが考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、特定の日時における局地気象情報を簡単に知ることのできる情報端末、気象予測情報サービスシステム及び気象予測情報サービス方法と、この局地気象情報を基に走行計画を変更可能な天気情報付きナビゲーションシステムが考案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−222527号公報
【特許文献2】特開2002−148061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の例は、ユーザの希望する駐車場の選択条件に気象条件は含まれておらず、目的地あるいはその近辺が悪天候の場合、使用者が選択した駐車場で降車してから目的施設まで移動する間に雨に濡れる、あるいは移動のためだけに雨具等を用意しなければならない等、不便を蒙ったり不快に感じることがある。
【0007】
特許文献2の例は、目的地周辺の天候は知ることはできても、悪天候の場合、駐車場で降車してから目的施設までの間の移動については、特許文献1の例と同様に不便を蒙ったり不快に感じることは避けられない。
【0008】
また、従来の駐車場探索では、料金、距離、駐車可能台数等の駐車場自体の情報を得ることはできても、その駐車場が施設と連絡通路で接続されているという情報がないという問題もあった。
【0009】
上記問題を背景として、本発明の課題は、使用者が車を降りてから目的の施設まで快適に到着できる駐車場を探索する車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための車両用ナビゲーション装置を提供するものである。即ち、請求項1によれば、電子地図上で案内経路および車両の現在位置を示して車両を目的地に案内する車両用ナビゲーション装置において、目的地を設定する目的地設定手段と、目的地設定手段により設定された目的地周辺の駐車場の種類を含む立地情報を取得する立地情報取得手段と、少なくとも駐車場の種類および/又は天候情報を含む駐車場を選択するための選択条件を取得する選択条件取得手段と、取得した立地情報と選択条件に応じて最適な駐車場を選択する最適駐車場選択手段と、を有することを特徴とする車両用ナビゲーション装置として構成される。
【0011】
本発明は、駐車場情報に駐車場から施設までどのような通路で接続されているかの情報を立地情報に付加することにより、目的地となる施設を設定したとき、目的地の天候の情報および目的地周辺に位置する駐車場の立地条件等に関する情報を入手し、例えば雨天のように天候が悪い場合は、当該施設まで雨具を使用しなくても濡れずに行くことのできる駐車場を選択するものである。上記構成によって、利用者が車を降りてから目的の施設まで快適に到着することが可能となる。
【0012】
請求項2によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置は、立地情報を記憶する立地情報記憶手段を有し、立地情報取得手段は立地情報記憶手段から立地情報を取得する構成をとることもできる。本構成によって、車両用ナビゲーション装置単体のみで上記課題を解決することが可能となる。
【0013】
請求項3によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置における立地情報はネットワーク通信可能に接続される外部機器に記憶されるものであり、立地情報取得手段は立地情報を外部機器から取得する構成をとることもできる。
【0014】
立地情報はリアルタイムで変化するものも含まれる。また、全国の駐車場のするためには膨大な記憶容量を要することもあり、コスト上昇要因となる。そこで、サーバ等の外部機器に立地情報を記憶する構成とすれば、車両用ナビゲーション装置のコストは上昇しない。また、外部機器における立地情報を常時最新のものに更新するようにすれば、使用者の要求に合った駐車場を選択することが可能となる。
【0015】
請求項4によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置における選択条件は外部機器に記憶されるものであり、選択条件取得手段は選択条件を外部機器から取得する構成をとることもできる。
【0016】
天候情報,駐車場の利用状況はリアルタイムで変化する。これらを使用者が車両用ナビゲーション装置に入力することは操作負荷の増大を招く。しかし、本発明の車両用ナビゲーション装置では選択条件を外部機器から取得するため、使用者の操作負荷は増大しない。
【0017】
請求項5によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置は、選択条件を入力する選択条件入力手段を有する構成をとることもできる。本構成によって、使用者の好みに応じた条件設定が可能となる。
【0018】
請求項6によれば、本発明の車両用ナビゲーション装置における立地情報は、駐車場と目的地との間に設けられる、悪天候を回避可能な連絡通路の有無に関する情報を含む構成をとることもできる。
【0019】
上記構成のように、立地情報に駐車場が施設と連絡通路で接続されているという情報が含まれていれば、駐車場と施設の距離に関わらず、駐車場から施設まで移動の間、悪天候による不快は感じないため、駐車場から目的地まで快適に移動することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
使用者が車を降りてから目的の施設まで快適に到着できる駐車場を探索する駐車場探索システムを提供するという目的を、目的施設周辺の駐車場を検索する際に、連絡通路で接続された駐車場を検索し、経路案内可能な駐車場探索システムにより実現した。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1は車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,半導体記憶装置9,表示装置10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0022】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0023】
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む各種データを記憶媒体20から入力するための装置である。記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【0024】
地図データは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0025】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置10の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサ、赤外線センサが検出した指等の接触を電気信号に変えるパネル部分、電気信号を外部機器へ送るための信号処理回路、および、これらを制御するコントローラを含んで構成される。例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。タッチスイッチとして、ガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線し、フィルム上を使用者がタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式を用いてもよい。あるいは、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【0026】
メカニカルスイッチ,タッチスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット30に接続されるマイク31から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット30は、マイク31から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をA/D変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、DSPにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路8に送られる。これら本発明の目的地設定手段,選択条件入力手段,最適駐車場選択手段である操作スイッチ群7,リモコン端末12,マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0027】
送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0028】
また、通信ユニット19に携帯電話機17を接続して外部ネットワークとの通信を行なう構成をとってもよい。さらに、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続することも可能である。これらETC車載器16あるいは携帯電話機17を介してVICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0029】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0030】
HDD21は本発明の立地情報記憶手段に相当し、データベース21dが構築されている。データベース21dには、全国の駐車場の名称,所在地,収容台数,駐車台数,立地条件,駐車料金を含む駐車場情報が記憶されている。一つの駐車場で屋内・屋外の駐車スペースがある場合は、収容台数は屋内・屋外の別に記憶される。また、立地条件には連絡通路の有無,連絡通路の接続先施設,連絡通路の屋根の有無が記憶される。収容台数と駐車台数とから駐車場の利用率を演算して記憶してもよい。
【0031】
上記の他に、データベース21dに駐車場に関する情報として、立体式,平面式,地下式等の構造、自走式,機械式等の形式、営業時間、「施設Aで5000円以上の買い物をすると駐車場PAの駐車料金を30分間無料とする」といった駐車料金割引サービスの内容を記憶してもよい。また、データベース21dを記憶媒体20内に構成してもよい。
【0032】
HDD21に地図データを記憶する構成をとってもよい。また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができる。これらのデータは、操作スイッチ群7およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、地図データ入力器6を用いて記憶媒体20から地図データ等を読み込んでHDD21の内容を更新することも可能である。また、車内の他の制御装置との間でデータの遣り取りを行なう車内LAN(Local Area Network)22を介して受信したデータを記録する構成をとってもよい。
【0033】
半導体記憶装置9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体によって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、半導体記憶装置9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態、すなわちナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0034】
また、半導体記憶装置9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを半導体記憶装置9とHDD21に分けて記憶してもよい。この場合、HDD21よりも半導体記憶装置9へのアクセス速度の方が速いため、読み書きの頻度が比較的多いものを半導体記憶装置9に記憶し、読み書きの頻度が比較的少ないものをHDD21に記憶するとよい。半導体記憶装置9に記憶された内容をHDD21にバックアップ保存するようにしてもよい。
【0035】
表示装置10は周知のカラー液晶表示器で、例えばドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうためのドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指示および表示画面データに基づいて表示を行なう。表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両の現在位置マークと、記憶媒体20から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行なうためのメニューボタンが表示される。
【0036】
スピーカ15は制御回路8のI/O34に接続される周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって半導体記憶装置9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式、音声波形を分析してパラメータに変換された形で蓄積し、それを繋ぎ合せて音声合成回路を駆動し音声を作り出すパラメータ編集方式、文字列あるいは音素記号列から、音声学的・言語学的規則に基づいて、音声を作り出す規則合成方式などがある。
【0037】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置と所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。車速データを車内LAN(Local Area Network)22を介して他の車載機器から取得する方法をとってもよい。
【0038】
外部データ入出力器26は、例えば取り外し可能な外部記憶装置と接続するための入出力回路,コネクタを含むものである。外部記憶装置を介して光磁気ディスク等に半導体記憶装置9あるいはHDD21に記憶されている内容の少なくとも一部をバックアップデータとして記憶することができる。
【0039】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、運転者が操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0040】
即ち、運転者が表示装置10上の地図に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機5から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示装置10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示装置10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0041】
ダイクストラ法では、リンク情報,ノード情報,リンク間接続情報を用いて、現在地から各ノードに至るまでの経路評価値(経路計算コスト)を算出し、目的地までの全ての経路評価値の計算が終了した段階で、総評価値が最小となるリンクを接続して目的地までの経路を設定している。この場合の評価値は、道路長・道路種別・道路幅員・車線数・交差点での右左折・信号機の有無などに応じて設定されている。例えば、道路幅員が広いほど評価値が低く、車線数が多いほど評価値が低い。
【0042】
各リンクでの経路計算コストの計算は、例えば次式を用いて行われる。経路計算コスト=リンク長×道路幅員係数×道路種別係数×渋滞度。ここで、道路幅員係数とは道路幅に応じて設定される係数であり、道路種別係数とは有料道路等の道路種別に応じて設定される係数である。そして、渋滞度とは、その道路の渋滞度合に応じて設定される係数である。
【0043】
最適な案内経路が求められると、制御回路8は案内経路の右左折する交差点あるいは案内の目印となる建物等の案内対象点を設定する。そして、設定された案内対象点に対し、車両がある一定距離まで近づいたときに音声により案内すべきポイントとして、案内実施点を決定する。案内実施点は、例えば、案内対象点が交差点の場合、一般道では700m手前,300m手前,100m手前、高速道路では2km手前,1km手前,500m手前といったように複数設定することができる。
【0044】
図5のフロー図を用いて、本発明の経路探索処理について説明する。なお、本処理はCPU81により実行されるナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0045】
まず、ナビゲーション装置100において、操作スイッチ群7、リモコン端末12、およびマイク31のいずれかによって、記憶媒体20に記憶されている地図データから、目的地となる図3の施設Aを設定する(S1)。目的地の探索方法は周知のものであるが、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を探索する方法,あるいは使用者がよく利用する施設として半導体記憶装置9に記憶されているものから探索する方法などがある。
【0046】
次に、記憶媒体20に記憶されている地図データから、例えば500m以内のように施設Aから所定の距離の範囲内にある駐車場を探索する(S2)。探索および演算の結果は図6(a)のように表示装置10の表示画面上に、施設Aからの距離とともに施設Aから近い順に表示される。図6(a)の例では、施設Aの内部にある屋内駐車場PA(以下、駐車場PAと略称),施設Aに隣接する施設Bの内部にある屋内駐車場PB(以下、駐車場PBと略称),施設Bに隣接する施設Cの内部にある屋内駐車場PC(以下、駐車場PCと略称),施設Aに隣接する屋外駐車場P1(以下、駐車場P1と略称),施設Aと駐車場P1を挟んで位置する施設Dの内部にある屋内駐車場PD(以下、駐車場PDと略称)が探索されている。施設Aと各駐車場との位置関係は図3のとおりである。
【0047】
図6(a)の駐車場探索結果表示画面で「情報」ボタンが押されると、データベース21dを参照し、上記駐車場に関する立地情報を取得する。次いで、施設Aおよびその周辺の天候情報を取得する(S3)。なお、天候情報および駐車場の利用状況等リアルタイムに更新が必要な情報は、送受信装置13を介してVICSセンタ14,あるいは当該駐車場等から取得する。また、使用者が操作スイッチ群7等によって入力してもよい。この場合、操作スイッチ群7,リモコン端末12,マイク31が本発明の立地情報取得手段,選択条件取得手段に相当する。
【0048】
取得した駐車場情報および天候情報は図6(b)および図6(c)のように表示装置10の画面に表示される。駐車場情報として、屋内あるいは屋根付/屋外の別,施設Aとの連絡通路の有無が表示される。
【0049】
取得した施設Aおよびその周辺の天候情報が晴天あるいは曇天で悪天候が予想されていない場合(S4:NO)、図6(b)のように施設Aから最も近い位置にある空きのある駐車場から施設Aに近い順に表示される。そして駐車場PAが第1候補として選択される(S7)。使用者が「距離優先」ボタンを押すと車両の現在位置から駐車場PAまでの案内経路が探索され、その案内経路にしたがって経路案内が行なわれる。また、駐車場PA以外の例えば駐車場PBに駐車したい場合には、画面表示の「駐車場PB」が表示されている領域を押せば駐車場PBまでの案内経路が探索され、その案内経路にしたがって経路案内が行なわれる。「料金優先」ボタンを表示させて、駐車料金の最も安い駐車場を選択して経路案内を行なうようにしてもよい。
【0050】
取得した施設Aおよびその周辺の天候情報が雨天あるいは強風等の悪天候あるいは悪天候が予想される場合(S4:YES)、図6(c)のように施設Aと連絡通路で接続されている空きのある屋内駐車場が施設Aから近い順に表示され、次に屋外駐車場、最後に空きのない駐車場が表示される。駐車場PAは施設Aから最も近い位置にある屋内駐車場であるが、満車であるためリストの最後に表示される。このときに、「天候優先」ボタンを押すと(S5:YES)、車両の現在位置から駐車場PBまでの案内経路が探索され(S6)、その案内経路にしたがって経路案内が行なわれる。
【0051】
一方、天候を優先条件としたくない場合(S5:NO)、図6(c)で「距離優先」ボタンを押すと、車両の現在位置から駐車場P1までの案内経路が探索され(S7)、その案内経路にしたがって経路案内が行なわれる。「料金優先」ボタンを表示させて、駐車料金の最も安い駐車場を選択して経路案内を行なうようにしてもよい。
【0052】
図6(b)および図6(c)の画面表示例において、例えば、「駐車場PC」のように駐車場の名前が表示されている領域を押すと、現在画面に表示されていない情報が表示されるようにしてもよい。図6の例では収容台数,利用率を表示してもよい。また、図6(b)および図6(c)の駐車場候補表示において駐車場に関する全ての情報を表示してもよい。
【0053】
図6(c)の例で駐車場PBを選択した場合、駐車場PBに到着したら、表示装置10の画面に図3のような目的地となる施設Aと駐車場PBを含む地図を表示させ、駐車場PBから施設Aまでの経路を地図に重ね合わせて示すようにしてもよい。図3のような地図が表示されているとすると、駐車場PB―連絡通路AB―施設Aの経路が誘導経路として示される。
【実施例2】
【0054】
図2は駐車場の立地情報を含むデータベースを外部機器内に構成する例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、本発明の立地情報取得手段,選択条件取得手段である通信ユニット19および携帯電話機17を介して携帯電話基地局40を経由し一般加入者電話網48に接続し、情報センタ41とデータ通信を行なう。一般加入者電話網48の代わりにインターネット等の他の通信網を利用してもよい。また、携帯電話機17以外の通信装置を用いてもよい。
【0055】
情報センタ41は送受信装置42によって一般加入者電話網48に接続され、本発明のサーバ装置である情報サーバ45が送受信装置42を介してネットワーク接続されている。ナビゲーション装置100から情報センタ41に対して駐車場についてのデータ検索要求が送られた場合には、情報センタ41内の情報サーバ45で該駐車場についてのデータ検索を行ない、その結果をナビゲーション装置100に返す。
【0056】
図4を用いて、情報サーバ45の動作について説明する。情報サーバ45は、CPU51,ROM52,RAM53および入出力インターフェースであるI/O54を有し、これらがバスライン55により送受信可能に接続されたコンピュータ本体50を備え、これに周辺機器として、キーボード56あるいはマウス57等の入力装置,CD−ROMドライブ58あるいはFDD59等の記録媒体読取装置,HDD60,モニタ制御部61を介して接続されるモニタ62,プリンタ63,および図1で示される送受信装置42等との通信を行なうネットワーク制御部64等が接続されたコンピュータシステムとして全体が構築されている。
【0057】
HDD60には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)60a及び情報サーバプログラム60bが格納されている。情報サーバプログラム60bは、情報サーバとしての機能を実現するため、OS60a上でRAM53に確保される情報サーバワークメモリ53bを作業領域とする形で作動するものである。これは、例えばCD−ROM65等にコンピュータ読み取り可能な状態で記憶され、HDD60上の所定の記憶領域にインストールされるものである。また、RAM53には、OS60aのワークメモリ53aも形成される。
【0058】
また、HDD60は本発明の立地情報記憶手段に相当し、データベース46が構築されている。データベース46には、全国の地図データ、全国各地の最新の天候情報と、全国の駐車場の名称,所在地,収容台数,駐車台数,立地条件,駐車料金を含む駐車場情報が記憶されている。一つの駐車場で屋内・屋外の駐車スペースがある場合は、収容台数は屋内・屋外の別に記憶される。また、立地条件には連絡通路の有無,連絡通路の接続先施設,連絡通路の屋根の有無が記憶される。収容台数と駐車台数とから駐車場の利用率を演算して記憶してもよい。
【0059】
上記の他に、データベース46に駐車場に関する情報として、立体式,平面式,地下式等の構造、自走式,機械式等の形式、営業時間、「施設Aで5000円以上の買い物をすると駐車場PAの駐車料金を30分間無料とする」といった駐車料金割引サービスの内容を記憶してもよい。
【0060】
このような構成を持つことにより、本情報サーバ45は、コンピュータ本体50のCPU51により情報サーバプログラム60bが起動されると、情報サーバとしての動作に必要な初期化処理を実行した後に、ナビゲーション装置100からの駐車場データ送信要求が発生した場合、データベース46に記憶されている該駐車場データおよび該駐車場の天候情報をナビゲーション装置100へ送る。
【0061】
また、データベース46の内容は必要に応じて更新される。これは定期的(例えば15分間隔)にネットワーク接続された他の情報センタに接続し最新情報を取得する方法、駐車場から一般加入者電話網48等のネットワークを経由して最新情報を取得する方法、情報サーバ45において、キーボード56,マウス57の入力装置によって最新情報を入力する方法、あるいはCD−ROMドライブ58あるいはFDD59等の記録媒体読取手段に該記録媒体を挿入して最新情報を読み取る方法がある。
【0062】
図5のフロー図を用いて、本発明の駐車場探索処理について説明する。なお、本処理は、ナビゲーション装置100においてはCPU81により実行されるナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。また、情報サーバ45においてはCPU51により実行される情報サーバプログラム60bに含まれ、情報サーバプログラム60bの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0063】
まず、ナビゲーション装置100において、操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作、あるいはマイク31からの音声入力によって、記憶媒体20に記憶されている地図データから、目的地となる図3の施設Aを設定する(S1)。次に、記憶媒体20に記憶されている地図データから、例えば500m以内のように施設Aから所定の距離の範囲内にある駐車場を探索する(S2)。目的地の探索方法、探索および演算の結果については上述の実施例1と同様であるため、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0064】
図6(a)の駐車場探索結果表示画面で「情報」ボタンを押すと、ナビゲーション装置100は通信ユニット19および携帯電話機19を介して情報サーバ45にアクセスし、上記駐車場に関する駐車場情報を送るよう要求して該駐車場情報を取得する。次いで、施設Aおよびその周辺の天候情報を送るよう要求して該天候情報を取得する(S3)。
【0065】
なお、ナビゲーション装置100から情報サーバ45にアクセスするにあたっては、予め情報サーバ45のデータベース46に利用者毎あるいはナビゲーション装置毎にユーザIDおよびパスワードを登録しておき、また、ナビゲーション装置100の半導体記憶装置9あるいはHDD21にもユーザIDおよびパスワードを設定・記憶して認証を行なう方法をとってもよい。すなわち。ナビゲーション装置100と情報サーバ45の接続が確立した際に、ナビゲーション装置100から情報サーバ45へ半導体記憶装置9あるいはHDD21に記憶されたユーザIDおよびパスワードを送信し、情報サーバ45はデータベース46に登録されている内容と照合を行なう。そして、照合結果をナビゲーション装置100へ送り、ナビゲーション装置100では、照合結果が正しい旨の情報を受信した場合に情報サーバ45へ駐車場情報および天候情報の送信要求を送る。
【0066】
取得した駐車場情報および天候情報は図6(b)および図6(c)のように表示装置10の画面に表示される。駐車場情報として、空車/満車の別,屋内あるいは屋根付/屋外の別,施設Aとの連絡通路の有無が表示される。
【0067】
空車/満車の表示の代わりに収容台数と駐車台数、あるいは駐車場の利用率を表示してもよい。この場合、収容台数と駐車台数,利用率は情報サーバ45のデータベース46に記憶され、ナビゲーション装置100は情報サーバ45にアクセスしてこれらの情報を取得する。
【0068】
ステップS4以降の処理については、上述の実施例1と同様のため、ここでの詳細な説明は割愛する。また、図6(b)および図6(c)の画面表示例のその他の構成も上述の実施例と同様のため、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0069】
上記の全ての実施の形態において、本駐車場探索機能を用いるかどうか、あるいは表示項目の選択は、使用者により設定を以下のように行なうことができる。使用者が操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作、あるいはマイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから機能設定メニューを表示装置10に表示させ、その中から駐車場探索に関する設定画面を選択して表示させる。そして、それぞれの項目について選択・設定を行なう。選択・設定された内容は、半導体記憶装置9あるいはHDD21の所定の領域に記憶される。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図(実施例1)。
【図2】駐車場探索システムの構成を示すブロック図(実施例2)。
【図3】施設および駐車場の位置関係の一例を示す図。
【図4】情報サーバの構成を示すブロック図。
【図5】駐車場探索処理を説明するためのフロー図。
【図6】駐車場探索処理実行時の画面表示の一例を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1 位置検出器
7 操作スイッチ群(目的地設定手段,選択条件入力手段,最適駐車場選択手段)
8 制御回路
9 半導体記憶装置
10 表示装置
12 リモコン端末(目的地設定手段,選択条件入力手段,最適駐車場選択手段)
17 携帯電話機(立地情報取得手段,選択条件取得手段)
19 通信ユニット(立地情報取得手段,選択条件取得手段)
20 記憶媒体
21 ハードディスク装置(立地情報記憶手段)
30 音声認識ユニット(目的地設定手段,選択条件入力手段,最適駐車場選択手段)
31 マイク(目的地設定手段,選択条件入力手段,最適駐車場選択手段)
45 情報サーバ(外部機器)
46 データベース
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子地図上で案内経路および車両の現在位置を示して車両を目的地に案内する車両用ナビゲーション装置において、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地設定手段により設定された目的地周辺の駐車場の種類を含む立地情報を取得する立地情報取得手段と、
少なくとも駐車場の種類および/又は天候情報を含む前記駐車場を選択するための選択条件を取得する選択条件取得手段と、
前記取得した立地情報と選択条件に応じて最適な駐車場を選択する最適駐車場選択手段と、
を有することを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記立地情報を記憶する立地情報記憶手段を有し、前記立地情報取得手段は前記立地情報記憶手段から前記立地情報を取得するものである請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記立地情報はネットワーク通信可能に接続される外部機器に記憶されるものであり、前記立地情報取得手段は前記立地情報を前記外部機器から取得するものである請求項1または2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記選択条件は外部機器に記憶されるものであり、前記選択条件取得手段は前記選択条件を前記外部機器から取得するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記選択条件を入力する選択条件入力手段を有するものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記立地情報は、前記駐車場と前記目的地との間に設けられる、悪天候を回避可能な連絡通路の有無に関する情報を含むものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−275738(P2006−275738A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94681(P2005−94681)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】