説明

車両用放送受信機の制御装置

【課題】ラジオ受信機の利便性を確保しつつ、複数地域の交通情報を同時に受信すること。
【解決手段】ナビゲーションシステム10は、交通情報専用受信機4が現在位置の地域における交通情報を受信しているときに、車両が現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、ラジオ受信機5が使用中であるか未使用であるかを判定し、その判定結果に応じて、交通情報専用受信機4、及びラジオ受信機5の何れか一方の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用放送受信機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載の技術によれば、複数のFM多重受信回路を備え、現在位置において複数の放送サービスエリアが抽出された場合には、複数のFM多重受信回路を個別に制御して、異なる放送サービスエリアに対応する受信チャンネルに同時に遷移させる。これにより、複数県の交通情報を同時に受信することを可能とする。
【特許文献1】特開2003−152575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、交通情報を受信する受信機としては、前述の従来技術のように、交通情報放送局からの交通情報を受信する交通情報専用受信機や、交通情報放送局からの交通情報とともに、ラジオ放送局からのラジオ放送を受信する共用のラジオ受信機がある。この交通情報専用受信機とラジオ受信機とを備えたシステムにおいて、予め区分された地域(都道府県、国等)毎に放送され、その地域において受信可能な交通情報について、複数地域の交通情報を同時に受信しようとする場合、次のような問題が生じる。
【0004】
すなわち、交通情報専用受信機とラジオ受信機の何れか一方の受信機で車両の現在位置の地域における交通情報を受信しているときに、車両が隣接する地域との境界に近づいた場合、他方の受信機で隣接する地域の交通情報を受信することで、複数地域の交通情報を同時に受信することができる。
【0005】
しかしながら、ラジオ受信機は、ユーザがラジオ放送を視聴する場合にも用いられる。従って、ラジオ受信機の受信放送局がラジオ放送局に設定されている場合、単に、車両の現在位置に応じて、ラジオ受信機の受信放送局をラジオ放送局から隣接する地域の交通情報放送局に設定変更すると、ユーザは、ラジオ放送を視聴することができなくなる。その結果、ラジオ受信機の利便性が確保されなくなる。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、ラジオ受信機の利便性を確保しつつ、複数の地域の交通情報を同時に受信することができる車両用放送受信機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車両用放送受信機の制御装置は、
予め区分された地域毎に受信可能な当該地域における交通情報を放送する交通情報放送局から、交通情報を受信する交通情報専用受信手段と、
交通情報放送局からの交通情報、及びラジオ放送局からのラジオ放送を受信するラジオ受信手段と、
交通情報放送局の放送する地域と、当該地域に放送される交通情報を受信する際の受信放送局との対応関係を記憶する記憶手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
位置検出手段の検出した現在位置に応じて、交通情報専用受信手段、及びラジオ受信手段の少なくとも一方の受信放送局を設定する受信放送局設定手段と、
交通情報専用受信手段が現在位置の地域における交通情報を受信しているときに、車両が現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、ラジオ受信手段が使用中であるか未使用であるかを判定する判定手段と、を備え、
受信放送局設定手段は、判定手段の判定結果に応じて、交通情報専用受信手段、及びラジオ受信手段の何れか一方の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定することを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、単に、車両の現在位置に応じてラジオ受信機の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定することがなくなるため、ラジオ受信機の利便性を確保しつつ、複数地域の交通情報を同時に受信することができるようになる。その結果、ユーザに対して複数地域の交通情報をリアルタイムに提供することが可能となる。
【0009】
なお、請求項2に記載のように、受信放送局設定手段は、判定手段が未使用であると判定した場合、ラジオ受信手段の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定し、ラジオ受信手段は、隣接地域における交通情報を受信することが好ましい。これにより、ユーザがラジオ受信手段を使用していない場合に、ラジオ受信手段を用いて、隣接地域における交通情報を受信することが可能となるからである。
【0010】
また、請求項3に記載のように、判定手段は、ラジオ受信手段が使用中であると判定した場合、交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、ラジオ設定手段に対して設定された受信放送局とが同一であるかどうかをさらに判定し、
受信放送局設定手段は、判定手段が同一であると判定した場合、交通情報専用受信手段の受信放送局を現在位置の地域における交通情報を放送する交通情報放送局から隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更し、
交通情報専用受信手段は、隣接地域における交通情報を受信するとよい。
【0011】
言うまでもなく、交通情報専用受信手段とラジオ受信手段とに対して同じ受信放送局が設定されている場合、双方の受信手段で同一の交通情報を受信することになる。従って、双方の受信手段に対して設定された受信放送局が同一であれば、同一の交通情報を受信する必要はないため、ラジオ受信手段の受信放送局の設定を維持したまま、交通情報専用受信手段の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更すればよい。
【0012】
請求項4に記載の車両用放送受信機の制御装置は、
予め区分された地域毎に受信可能な当該地域における交通情報を放送する交通情報放送局から、交通情報を受信する交通情報専用受信手段と、
交通情報放送局からの交通情報、及びラジオ放送局からのラジオ放送を受信するラジオ受信手段と、
交通情報放送局の放送する地域と、当該地域に放送される交通情報を受信する際の受信放送局との対応関係を記憶する記憶手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
位置検出手段の検出した現在位置を地域内に含む交通情報放送局に、交通情報専用受信手段の受信放送局を設定するとともに、交通情報専用受信手段が現在位置の地域における交通情報を受信しているときに車両が現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、ラジオ受信手段が未使用である場合には当該ラジオ受信手段の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定する受信放送局設定手段と、を備えるものであって、
交通情報専用受信手段が現在位置の地域における交通情報を受信しているときに車両が現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、ラジオ受信手段が使用中である場合には交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、ラジオ設定手段に対して設定された受信放送局とが同一であるかどうかを判定する判定手段を備え、
受信放送局設定手段は、判定手段が同一であると判定した場合、交通情報専用受信手段の受信放送局を現在位置の地域における交通情報を放送する交通情報放送局から隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更し、
交通情報専用受信手段は、隣接地域における交通情報を受信することを特徴とする。
【0013】
このように、本発明は、交通情報専用受信手段が現在位置の地域における交通情報を受信しているときに車両が現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、ラジオ受信手段が使用中であり、さらに、交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、ラジオ設定手段に対して設定された受信放送局とが同一である場合には、交通情報専用受信手段の受信放送局を現在位置の地域における交通情報を放送する交通情報放送局から隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更して、交通情報専用受信手段によって、隣接地域における交通情報を受信する。これにより、ラジオ受信手段によって現在位置の地域における交通情報を受信しながら、交通情報専用受信手段によって隣接地域における交通情報を受信することができるようになるため、ラジオ受信機の利便性を確保しつつ、複数地域の交通情報を同時に受信することができる。その結果、ユーザに対して複数地域の交通情報をリアルタイムに提供することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載のように、複数のラジオ受信手段を備える場合、判定手段は、交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、複数のラジオ受信手段のうち、1つのラジオ受信手段に対して設定された受信放送局とが同一であるかどうかを判定するとよい。これにより、複数のラジオ受信機のうち、1つのラジオ受信機で現在位置の地域における交通情報を受信しているかどうかがわかる。
【0015】
請求項6に記載のように、受信放送局設定手段は、判定手段が交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、1つのラジオ受信手段に対して設定された受信放送局とが同一でないと判定した場合、複数のラジオ受信手段のうち、1つのラジオ受信手段を除く他のラジオ受信手段の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定し、他のラジオ受信手段は、隣接地域における交通情報を受信するとよい。
【0016】
これにより、交通情報専用受信手段によって現在位置の地域における交通情報を受信するとともに、上記1つのラジオ受信手段によって所望の受信放送局からの交通情報やラジオ放送を受信しながら、他のラジオ受信手段によって隣接地域における交通情報を受信することができるようになる。
【0017】
請求項7に記載の車両用放送受信機の制御装置では、
車両の向かう目的地を設定する目的地設定手段と、
目的地の設定位置が交通情報専用受信手段の受信している交通情報の地域外であるかどうかを判定する目的地包含判定手段と、を備え、
判定手段は、目的地包含判定手段が地域外であると判定した場合に判定することを特徴とする。
【0018】
前記交通情報専用受信手段は、通常、現在位置の地域における交通情報を受信するため、目的地の設定位置が現在位置の地域内であれば隣接地域における交通情報を受信する必要性は少ない。しかしながら、目的地の設定位置が現在位置の地域外であれば、目的地周辺における交通情報は、ユーザにとって有益な情報となる。
【0019】
従って、目的地の設定位置が現在位置の地域外である場合に上記判定手段による判定をすることで、その判定結果に応じて、受信放送局設定手段がラジオ受信手段や交通情報専用受信手段の受信放送局を設定することで、目的地周辺における有益な交通情報を受信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態における車両用放送受信機の制御装置を内蔵したナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム10は、車両の現在位置を検出する位置検出器1、地図データや各種の情報を記録した外部記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器2、ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ(SW)群3を備える。
【0021】
また、ナビゲーションシステム10は、予め区分された都道府県(以下、地域と呼ぶ)毎に放送され、その地域において受信可能な交通情報を放送する交通情報放送局から、交通情報を受信する交通情報専用受信機4、上記交通情報放送局からの交通情報や、ラジオ放送局からのラジオ放送を受信するラジオ受信機5、地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示装置6、及び、位置検出器1、地図データ入力器2、操作SW群3、交通情報専用受信機4、ラジオ受信機5、表示装置6を制御する制御装置7を備えている。
【0022】
位置検出器1は、何れも図示しない、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置、方位、速度等を検出するGPS受信機、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ、車両の前後方向の加速度等から距離を検出するための距離センサ、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサを備えている。そして、これら各センサ等は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0023】
地図データ入力器2は、位置特定の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、マークデータを含む各種データを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクなどの磁気記憶装置やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
【0024】
地図データ中の道路データは、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したものであって、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx-y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)、道路を特定するための道路ID(例えば、国道1号線のような道路を特定する情報)のデータからなるリンク情報を備える。また地図データ中には、地名情報、交通情報、施設情報がその座標(x-y座標)とともに記憶されている。
【0025】
操作スイッチ群3としては、表示装置6と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置6の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置6とは積層一体化されており、タッチパネルには感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0026】
交通情報専用受信機4は、交通情報放送局からFM多重放送で放送される交通情報を受信する。この交通情報専用受信機4は、制御装置7から受信放送局の設定指示がなされ、その設定指示に従って受信放送局を設定する。制御装置7は、交通情報専用受信機4の受信したFM多重データを内部メモリに格納し、必要に応じて表示装置6にVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)の交通情報を表示させる。
【0027】
なお、制御装置7の内部メモリには、地域毎の放送局リストが格納されている。この放送局リストとは、各地域毎に受信可能な当該地域における交通情報を放送する交通情報放送局から、交通情報を受信する際の受信放送局(受信チャンネル)を示すものである。
【0028】
ラジオ受信機5は、交通情報放送局からFM多重放送で放送される交通情報や、AM/FMラジオ放送局からのラジオ放送を受信することができる共用の受信機である。このラジオ受信機5は、ユーザの操作によって受信放送局の設定がなされるとともに、制御装置7から受信放送局の設定指示がなされた場合、その設定指示に従って受信放送局を設定することが可能となっている。
【0029】
表示装置6は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置6の表示画面には、位置検出器1にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器2より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、上述した交通情報も表示できる。
【0030】
制御装置7は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器1からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器2を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置6に表示する地図表示機能や、地図データ入力器2に格納された地点データに基づき、操作スイッチ群3の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行って経路案内を行う経路案内機能を備える。このように自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0031】
また、案内経路の目的地として設定した位置など、ユーザが操作スイッチ群3を操作して設定した位置を制御装置7のRAMや内部メモリに記憶するメモリ機能を備える。なお、RAMはバッテリによってバックアップされており各種の設定情報等はナビゲーションシステム10の電源を切った場合でも保持される。
【0032】
次に、本実施形態のナビゲーションシステム10の制御装置7にて実行される、受信放送局の制御処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。同図に示すステップS10では、車両の現在位置を検出し、その検出した現在位置と地図データとから、現在位置の地域を特定する。
【0033】
ステップS20では、制御装置7の内部メモリに格納された地域毎の放送局リストを用いて、ステップS10にて特定した地域における交通情報を放送する交通情報放送局から交通情報を受信する際の受信放送局を把握する。そして、この把握した受信放送局の設定指示を交通情報専用受信機4に出力する。交通情報専用受信機4は、この設定指示に従って受信放送局を設定する。これにより、交通情報専用受信機4は、現在位置の地域における交通情報の受信を開始する。
【0034】
ステップS30では、現在位置の地域に隣接する隣接地域(隣接する都道府県)との境界に接近したか(近づいたか)どうか判断する。隣接地域との境界に接近したかどうかは、車両の現在位置と、地図データ入力器2を介して入力した地図データ等に基づいて判断する。この場合、地図データから得られる地域の境界を示す境界ラインから現在位置までの直線距離を求めて簡易的に判断しても良いし、地図データ中の道路データを用い、地域の境界を超えるのに最短の経路長を算出して判断しても良い。あるいは、距離ではなく車速を加味した所要時間で判断しても良い。
【0035】
但し、本実施形態では、現在位置の地域に居ながら、(受信できるのであれば)隣接地域における交通情報を同時に受信するようにしたいため、例えば数百メートル程度の距離ではなく、例えば数キロメートルあるいは数十キロメートル程度の距離になった時点で「隣接地域との境界に接近」と判断する。なお、現実的には、隣接地域の交通情報を受信できるのは、隣接地域との境界にある程度近づいた場合であり、現在位置の地域の中央付近に居る場合、物理的に受信できない場合が多いと考えられる。そのため、不要な処理を実行しないようにするため、隣接地域との境界に近づいたか否かを判断する。
【0036】
ステップS30において、肯定判定される場合にはステップS40へ処理を進め、否定判定される場合には、車両が隣接地域との境界に接近するまで、待機状態を保持する。ステップS40では、案内経路の目的地が設定されている場合、その目的地の設定位置が現在位置の地域外であるかどうかを判定する。ここで、肯定判定される場合にはステップS50へ処理を進め、否定判定される場合にはステップS30へ処理を移行し、上述した処理を繰り返し行う。
【0037】
ステップS50では、ラジオ受信機5が使用中であるか未使用であるかどうかを判定する。ここで、未使用であると判定される場合、すなわち、ユーザがラジオ受信機5を使用していない場合には、ラジオ受信機5を用いて隣接地域における交通情報を受信することが可能となるため、ステップS60へ処理を移行する。一方、使用中であると判定される場合にはステップS70へ処理を進める。
【0038】
ステップS60では、制御装置7の内部メモリに格納された地域毎の放送局リストを用いて、現在位置の地域外(すなわち、上記隣接地域)における交通情報を放送する交通情報放送局から交通情報を受信する際の受信放送局を把握する。そして、この把握した受信放送局の設定指示をラジオ受信機5に出力する。ラジオ受信機5は、この設定指示を受けて起動するとともに、設定指示された受信放送局を設定する。これにより、ラジオ受信機5は、現在位置の地域に隣接する隣接地域おける交通情報を受信するため、ユーザがラジオ受信機5を使用していない場合に、ラジオ受信機5を用いて隣接地域における交通情報を受信することが可能となる。
【0039】
ステップS70では、ラジオ受信機5の受信放送局と交通情報専用受信機4の受信放送局とが同一であるかどうかを判定する。ここで、肯定判定される場合にはステップS80へ処理を進め、否定判定される場合にはステップS30へ処理を移行し、上述した処理を繰り返し行う。
【0040】
ステップS80では、制御装置7の内部メモリに格納された地域毎の放送局リストを用いて、現在位置の地域外(すなわち、上記隣接地域)における交通情報を放送する交通情報放送局から交通情報を受信する際の受信放送局を把握する。そして、この把握した受信放送局の設定指示を交通情報専用受信機4に出力する。交通情報専用受信機4は、この設定指示を受けて起動するとともに、設定指示された受信放送局を設定する。これにより、交通情報専用受信機4は、現在位置の地域に隣接する隣接地域おける交通情報を受信する。
【0041】
言うまでもなく、交通情報専用受信機4とラジオ受信機5とに対して同じ受信放送局が設定されている場合、双方の受信機で同一の交通情報を受信することになる。従って、双方の受信機に対して設定された受信放送局が同一であれば、同一の交通情報を受信する必要はない。従って、ラジオ受信機5の受信放送局の設定を維持したまま、ステップS80において交通情報専用受信機4の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更する。これにより、ラジオ受信機5によって現在位置の地域における交通情報を受信しながら、交通情報専用受信機4によって隣接地域における交通情報を受信することができるようになる。
【0042】
このように、本実施形態のナビゲーションシステム10は、交通情報専用受信機4が現在位置の地域における交通情報を受信しているときに、車両が現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、ラジオ受信機5が使用中であるか未使用であるかを判定し、その判定結果に応じて、交通情報専用受信機4、及びラジオ受信機5の何れか一方の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定する。
【0043】
このような構成を採用することにより、単に、車両の現在位置に応じてラジオ受信機5の受信放送局を隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定することがなくなるため、ラジオ受信機5の利便性を確保しつつ、複数地域の交通情報を同時に受信することができるようになる。その結果、ユーザに対して複数地域の交通情報をリアルタイムに提供することが可能となる。
【0044】
なお、交通情報専用受信機4は、上述したように現在位置の地域における交通情報を受信するため、目的地の設定位置が現在位置の地域内であれば隣接地域における交通情報を受信する必要性は少ない。しかしながら、目的地の設定位置が現在位置の地域外であれば、目的地周辺における交通情報はユーザにとって有益な情報となる。
【0045】
従って、図2のステップS40において、目的地の設定位置が現在位置の地域外であると判定された場合に、ステップS60及びステップS80において、隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局にラジオ受信機5、若しくは交通情報専用受信機4の受信放送局を設定することで、このラジオ受信機5、若しくは交通情報専用受信機4によって、目的地周辺における有益な交通情報を受信することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0047】
例えば、本実施形態では、案内経路の目的地が設定された場合を想定しているが、目的地が設定されていない場合には、ステップS40の判定処理を行わずに、ステップS50以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、都道府県という行政区域毎に受信可能な交通情報を対象としているが、行政区域毎に限らず、例えば、国等、その他の地域毎に受信可能な交通情報を対象としたものであってもよい。
【0049】
また、例えば、図3に示すように、ナビゲーションシステム10にラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bの2つのラジオ受信機を備え、この2つラジオ受信機で切り替えて受信させることが可能な場合には、図4に示す制御処理を行うようにしてもよい。以下、図4に示すフローチャートについて説明する。
【0050】
なお、本変形例においては、ラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bの2つのラジオ受信機は、ラジオ受信機(メイン)5aがラジオ受信機(サブ)5bに優先して使用されるものとする。また、図4におけるステップS10〜ステップS40、及びステップS80の処理は、図2に示したフローチャートと同様であるので、その説明を省略する。
【0051】
図4に示すステップS40にて、目的地の設定位置が現在位置の地域外であると判定されると、ステップS50aでは、ラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bが使用中であるか未使用であるかどうかを判定する。ここで、未使用であると判定される場合、すなわち、ユーザがラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bを使用していない場合に、ラジオ受信機5(メイン)5a、若しくはラジオ受信機(サブ)5bを用いて、隣接地域における交通情報を受信することが可能となるため、ステップS60aへ処理を移行する。一方、否定判定される場合、ステップS70aへ処理を進める。
【0052】
ステップS60aでは、制御装置7の内部メモリに格納された地域毎の放送局リストを用いて、現在位置の地域外(すなわち、上記隣接地域)における交通情報を放送する交通情報放送局から交通情報を受信する際の受信放送局を把握する。そして、この把握した受信放送局の設定指示をラジオ受信機(メイン)5aに出力する。ラジオ受信機(メイン)5aは、この設定指示を受けて起動するとともに、設定指示された受信放送局を設定する。これにより、ラジオ受信機(メイン)5aは、現在位置の地域に隣接する隣接地域おける交通情報を受信する。
【0053】
ステップS70aでは、ラジオ受信機(メイン)5aの受信放送局と交通情報専用受信機4の受信放送局とが同一であるかどうかを判定する。ここで、肯定判定される場合にはステップS80へ処理を進め、否定判定される場合にはステップS90へ処理を移行する。このステップS70aの判定によって、ラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bのうち、ラジオ受信機(メイン)5aで現在位置の地域における交通情報を受信しているかどうかがわかる。
【0054】
ステップS90では、ラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bの2つのラジオ受信機で切り替えて受信する制御を一時中止し、制御装置7の内部メモリに格納された地域毎の放送局リストを用いて、現在位置の地域外(すなわち、上記隣接地域)における交通情報を放送する交通情報放送局から交通情報を受信する際の受信放送局を把握する。
【0055】
そして、この把握した受信放送局の設定指示をラジオ受信機(サブ)5bに出力する。ラジオ受信機(サブ)5bは、この設定指示された受信放送局を設定する。これにより、交通情報専用受信機4によって現在位置の地域における交通情報を受信するとともに、ラジオ受信機(メイン)5aによってユーザ所望の受信放送局からの交通情報やラジオ放送を受信しながら、ラジオ受信機(サブ)5bを用いて現在位置の地域に隣接する隣接地域おける交通情報を受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ナビゲーションシステム10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステム10の実行する受信放送局の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】ラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bの2つのラジオ受信機を備えたナビゲーションシステム10の全体構成を示すブロック図である。
【図4】ラジオ受信機(メイン)5a及びラジオ受信機(サブ)5bの2つのラジオ受信機を備えたナビゲーションシステム10の実行する受信放送局の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 位置検出装置
2 地図データ入力器
3 操作スイッチ(SW)群
4 交通情報専用受信機
5 ラジオ受信機
5a ラジオ受信機(メイン)
5b ラジオ受信機(サブ)
6 表示装置
10 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め区分された地域毎に受信可能な当該地域における交通情報を放送する交通情報放送局から、交通情報を受信する交通情報専用受信手段と、
前記交通情報放送局からの交通情報、及びラジオ放送局からのラジオ放送を受信するラジオ受信手段と、
前記交通情報放送局の放送する地域と、当該地域に放送される交通情報を受信する際の受信放送局との対応関係を記憶する記憶手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出した現在位置に応じて、前記交通情報専用受信手段、及び前記ラジオ受信手段の少なくとも一方の受信放送局を設定する受信放送局設定手段と、
前記交通情報専用受信手段が前記現在位置の地域における交通情報を受信しているときに、前記車両が前記現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、前記ラジオ受信手段が使用中であるか未使用であるかを判定する判定手段と、を備え、
前記受信放送局設定手段は、前記判定手段の判定結果に応じて、前記交通情報専用受信手段、及び前記ラジオ受信手段の何れか一方の受信放送局を前記隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定することを特徴とする車両用放送受信機の制御装置。
【請求項2】
前記受信放送局設定手段は、前記判定手段が未使用であると判定した場合、前記ラジオ受信手段の受信放送局を前記隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定し、
前記ラジオ受信手段は、前記隣接地域における交通情報を受信することを特徴とする請求項1記載の車両用放送受信機の制御装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記ラジオ受信手段が使用中であると判定した場合、前記交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、前記ラジオ設定手段に対して設定された受信放送局とが同一であるかどうかをさらに判定し、
前記受信放送局設定手段は、前記判定手段が同一であると判定した場合、前記交通情報専用受信手段の受信放送局を前記現在位置の地域における交通情報を放送する交通情報放送局から前記隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更し、
前記交通情報専用受信手段は、前記隣接地域における交通情報を受信することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用放送受信機の制御装置。
【請求項4】
予め区分された地域毎に受信可能な当該地域における交通情報を放送する交通情報放送局から、交通情報を受信する交通情報専用受信手段と、
前記交通情報放送局からの交通情報、及びラジオ放送局からのラジオ放送を受信するラジオ受信手段と、
前記交通情報放送局の放送する地域と、当該地域に放送される交通情報を受信する際の受信放送局との対応関係を記憶する記憶手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出した現在位置を地域内に含む交通情報放送局に、前記交通情報専用受信手段の受信放送局を設定するとともに、前記交通情報専用受信手段が前記現在位置の地域における交通情報を受信しているときに前記車両が前記現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、前記ラジオ受信手段が未使用である場合には当該ラジオ受信手段の受信放送局を前記隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定する受信放送局設定手段と、を備える車両用放送受信機の制御装置であって、
前記交通情報専用受信手段が前記現在位置の地域における交通情報を受信しているときに前記車両が前記現在位置の地域に隣接する隣接地域との境界に近づいた場合、前記ラジオ受信手段が使用中である場合には前記交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、前記ラジオ設定手段に対して設定された受信放送局とが同一であるかどうかを判定する判定手段を備え、
前記受信放送局設定手段は、前記判定手段が同一であると判定した場合、前記交通情報専用受信手段の受信放送局を前記現在位置の地域における交通情報を放送する交通情報放送局から前記隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定を変更し、
前記交通情報専用受信手段は、前記隣接地域における交通情報を受信することを特徴とする車両用放送受信機の制御装置。
【請求項5】
複数の前記ラジオ受信手段を備え、
前記判定手段は、前記交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、前記複数のラジオ受信手段のうち、1つのラジオ受信手段に対して設定された受信放送局とが同一であるかどうかを判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用放送受信機の制御装置。
【請求項6】
前記受信放送局設定手段は、前記判定手段が前記交通情報専用受信手段に対して設定された受信放送局と、前記1つのラジオ受信手段に対して設定された受信放送局とが同一でないと判定した場合、前記複数のラジオ受信手段のうち、前記1つのラジオ受信手段を除く他のラジオ受信手段の受信放送局を前記隣接地域における交通情報を放送する交通情報放送局に設定し、
前記他のラジオ受信手段は、前記隣接地域における交通情報を受信することを特徴とする請求項5記載の車両用放送受信機の制御装置。
【請求項7】
前記車両の向かう目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地の設定位置が前記交通情報専用受信手段の受信している交通情報の地域外であるかどうかを判定する目的地包含判定手段と、を備え、
前記判定手段は、前記目的地包含判定手段が地域外であると判定した場合に判定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用放送受信機の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−20145(P2007−20145A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49302(P2006−49302)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】