説明

車両用電池搭載構造

【課題】バッテリフレーム内への連結ビームの侵入を抑制することができる車両用電池搭載構造を提供することを目的とする。
【解決手段】ブラケット本体58の側壁部58Bには、ベース部58Cの車両上下方向の上端部から平壁部58Aの車両上下方向の下端部に向かって傾斜する荷重受け部58Dが設けられている。この荷重受け部58Dは、後壁部46と中間ビーム22との間に位置している。これにより、後突等に伴って車両前後方向前方へ中間ビーム22が移動した際に、中間ビーム22の前側壁部22Aが荷重受け部58Dに衝突するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電池搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の床下にバッテリ(電池)を搭載したバッテリ搭載構造が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−138753号公報
【特許文献2】特開2009−83597号公報
【特許文献3】特開平7−156826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、左右のリヤサスペンションを連結する連結ビーム(中間ビーム)に対し、バッテリが接近した状態で車両に搭載されると、車両後方から車両が他の車両等に追突(後突)等された際に、当該後突に伴って車両前方へ移動した連結ビームが、バッテリを支持するバッテリフレーム内へ侵入する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、バッテリフレーム内への連結ビームの侵入を抑制することができる車両用電池搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用電池搭載構造は、車両幅方向に延びると共に左右一対のリヤサスペンションを連結する連結ビームの車両前後方向前側に配置され、車両の床下でバッテリを支持するバッテリフレームと、前記バッテリフレームに設けられ、前記バッテリと前記連結ビームの間に車両幅方向に沿って配置される後壁部と、前記後壁部に設けられ、該後壁部と前記連結ビームとの間に配置されて前記車体に取り付けられる荷重受け部と、を備えている。
【0007】
請求項1に係る車両用電池搭載構造によれば、バッテリフレームに設けられた後壁部に、車体に取り付けられる荷重受け部が設けられている。この荷重受け部は、連結ビームとバッテリとの間に配置されている。従って、例えば、後突等に伴って車両前後方向前方へ移動した連結ビームが荷重受け部に衝突すると、連結ビームの車両前後方向前方の変位、即ち、連結ビームがバッテリに接近する方向の変位が制限される。
【0008】
また、例えば、荷重受け部の剛性を連結ビームの剛性よりも大きくするなどして、荷重受け部に連結ビームが衝突した際に当該連結ビームを変形させることにより、衝突エネルギーが吸収される。これにより、荷重受け部、及びバッテリフレームを介してバッテリに伝達される衝突荷重が低減される。
【0009】
請求項2に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1に記載の車両用電池搭載構造において、前記荷重受け部が、車両幅方向外側から見て、車両上下方向の下端部に対し車両上下方向の上端部が車両前後方向後側へ位置するように傾倒している。
【0010】
請求項2に係る車両用電池搭載構造によれば、車両幅方向外側から見たときに、車両上下方向の下端部に対し、車両上下方向の上端部が車両前後方向後側に位置するように荷重受け部が傾倒している。これにより、荷重受け部に連結ビームが衝突した際に、連結ビームの車両前後方向前方の変位だけでなく、車両上下方向上方の変位も制限される。従って、荷重受け部の車両上下方向上方の部材(例えば、フロアパネル、車体フレーム)に対する連結ビームの直接的な当接が抑制される。
【0011】
請求項3に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両用電池搭載構造において、前記荷重受け部の前記上端部が、前記連結ビームにおける車両上下方向の上端部よりも車両上下方向上側に位置している。
【0012】
請求項3に係る車両用電池搭載構造によれば、荷重受け部の車両上下方向の上端部が、連結ビームの車両上下方向の上端部よりも車両上下方向上側に位置している。即ち、連結ビームにおける車両上下方向の上端部の車両前後方向前側に、荷重受け部が配置されている。
【0013】
ここで、荷重受け部の車両上下方向の上端部が、連結ビームの車両上下方向の上端部よりも車両上下方向下側に位置する構成では、荷重受け部に衝突した連結ビームが荷重受け部を越えて、当該荷重受け部の車両上下方向上側の部材(例えば、フロアパネル、車体フレーム)に衝突する可能性がある。また、連結ビームは、後突等に伴って車両前後方向前方だけでなく、車両斜め上方へ移動する場合がある。この場合、連結ビームが荷重受け部を更に越え易くなる。
【0014】
これに対して本発明では、荷重受け部の車両上下方向の上端部を、連結ビームの車両上下方向の上端部よりも車両上下方向上側に位置させたことにより、連結ビームが荷重受け部を越え難くなる。従って、荷重受け部の車両上下方向上側の部材に対する連結ビームの直接的な当接が抑制される。
【0015】
請求項4に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造において、前記荷重受け部の前記下端部が、前記連結ビームにおける車両上下方向の下端部よりも車両上下方向下側に位置している。
【0016】
請求項4に係る車両用電池搭載構造によれば、荷重受け部の車両上下方向の下端部が、連結ビームの車両上下方向の下端部よりも車両上下方向下側に位置している。即ち、連結ビームにおける車両上下方向の下端部の車両前後方向前側に、荷重受け部が配置されている。
【0017】
ここで、荷重受け部の車両上下方向の下端部が、連結ビームの車両上下方向の下端部よりも車両上下方向上側に位置する構成では、荷重受け部に衝突した連結ビームが荷重受け部の下を通過して後壁部に衝突する可能性がある。また、連結ビームは、後突等に伴って車両前後方向前方だけでなく、車両斜め下方へ移動する場合がある。この場合、連結ビームが荷重受け部の下を更に通過し易くなる。
【0018】
これに対して本発明では、荷重受け部の車両上下方向の下端部を、連結ビームの車両上下方向の下端部よりも車両上下方向下側に位置させたことにより、連結ビームが荷重受け部の下を通過し難くなる。従って、後壁部に対する連結ビームの衝突が抑制される。
【0019】
請求項5に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造において、前記後壁部には、車両前後方向後側へ膨出し、前記バッテリとの間に空間を形成する膨出部が設けられている。
【0020】
請求項5に係る車両用電池搭載構造によれば、バッテリと連結ビームとの間に車両幅方向に沿って配置される後壁部に、車両前後方向後側へ膨出する膨出部が設けられている。従って、例えば、後突等に伴って車両前後方向前方へ移動した連結ビームが膨出部に衝突すると、連結ビームの車両前後方向前方の変位、即ち、連結ビームがバッテリに接近する方向の変位が制限される。
【0021】
また、膨出部の剛性を連結ビームの剛性よりも小さくするなどして、膨出部に連結ビームが衝突した際に当該膨出部を変形(潰れ等)させることにより、衝突エネルギーが吸収される。更に、膨出部とバッテリの間には、空間が形成されている。この空間によって膨出部の変形スペースを確保することにより、バッテリに対する変形した膨出部の当接が抑制される。
【0022】
更にまた、バッテリフレームには、荷重受け部が設けられている。従って、これらの荷重受け部及び膨出部によって連結ビームの車両前後方向前方の変位を制限することにより、バッテリフレーム内への連結ビームの侵入が抑制される。
【0023】
請求項6に記載の車両用電池搭載構造は、請求項5に記載の車両用電池搭載構造において、前記膨出部が、前記荷重受け部よりも車両前後方向後側へ膨出している。
【0024】
請求項6に係る車両用電池搭載構造によれば、膨出部が荷重受け部よりも車両前後方向後側へ膨出している。これにより、膨出部が荷重受け部よりも車両前後方向前側に位置する構成と比較して、車両前後方向前方へ移動した連結ビームが、荷重受け部よりも先に膨出部に衝突し易くなる。
【0025】
このように荷重受け部よりも先に連結ビームを膨出部に衝突させることにより、膨出部よりも先に連結ビームが荷重受け部に衝突する場合と比較して、膨出部に入力される衝突エネルギーが大きくなる。これにより、膨出部の変形量が大きくなる結果、膨出部の変形による衝突エネルギーの吸収効率が向上する。従って、膨出部、及び後壁部等を介して、バッテリに伝達される衝突エネルギーが低減される。
【0026】
更に、膨出部が変形した後に、連結ビームが荷重受け部に衝突すると、連結ビームの車両前後方向前方の変位が制限される。このように膨出部及び荷重受け部で連結ビームの車両前後方向前方の変位を制限することにより、バッテリフレーム内への連結ビームの侵入が抑制される。
【0027】
請求項7に記載の車両用電池搭載構造は、請求項5又は請求項6に記載の車両用電池搭載構造において、前記膨出部が、前記後壁部における車両幅方向の中間部に設けられ、前記荷重受け部が、前記膨出部の車両幅方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0028】
請求項7に係る車両用電池搭載構造によれば、後壁部における車両幅方向の中間部に膨出部が設けられている。この膨出部は、当該膨出部の車両幅方向の両側に設けられた荷重受け部よりも車両前後方向後側へ膨出している。このように荷重受け部よりも車両前後方向後側へ膨出する膨出部を、後壁部における車両幅方向の中間部に設けることにより、後壁部に対して連結ビームが角度を持って車両前後方向へ移動した場合に、荷重受け部よりも先に連結ビームが膨出部に衝突し易くなる。
【0029】
従って、膨出部よりも先に連結ビームが荷重受け部に衝突する場合と比較して、膨出部に入力される衝突エネルギーが大きくなる。これにより、膨出部の変形量が大きくなる結果、膨出部の変形による衝突エネルギーの吸収効率が向上する。従って、膨出部、及び後壁部等を介して、バッテリに伝達される衝突エネルギーが低減される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明に係る車両用電池搭載構造によれば、バッテリフレーム内への連結ビームの侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用電池搭載構造が適用された車両を車両幅方向外側から見た図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るバッテリフレーム、及びリヤサスペンションを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るバッテリフレーム、及び中間ビームを車両上下方向上側から見た図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る取付ブラケットを示す斜視図である。
【図6】中間ビームの移動状態、及び中間ビームの変形状態を示す、図4に相当する説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るバッテリフレーム、及び中間ビームを車両上下方向上側から見た図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るバッテリフレーム、及び中間ビームを車両上下方向上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両用電池搭載構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは車両前後方向前側を示し、矢印UPは車両上下方向上側を示し、矢印RHは車両幅方向外側(右側)を示し、矢印LHは車両幅方向外側(左側)を示している。
【0033】
先ず、第1実施形態に係る車両用電池搭載構造の構成について説明する。
【0034】
図1には、一例として、本実施形態に係る車両用電池搭載構造10が適用された車両12が示されている。車両12は図示しない電動機(モータ)を駆動源として走行する電気自動車であり、その床下に電動機へ供給する電力が蓄電されたバッテリとしてのバッテリパック14が搭載されている。このように車両12の床下、換言すると、図示しないフロアパネルの車両上下方向下側にバッテリパック14が搭載される車両12に、本実施形態に係る車両用電池搭載構造10が適用される。
【0035】
図2に示されるように、車両12の車両後部には、後輪16を支持する左右一対のリヤサスペンション18が設けられている。リヤサスペンション18は、車両前後方向に延びる左右一対のサスペンションアーム20と、車両幅方向に延びると共に左右一対のサスペンションアーム20の車両前後方向の中間部を連結する連結ビームとしての中間ビーム(アクスルビーム)22と、各サスペンションアーム20の車両前後方向の後端部に設けられるショックアブソーバ24と、ショックアブソーバ24の車両前後方向前側にそれぞれ設けられるコイルスプリング26等を含んで構成されている。
【0036】
各サスペンションアーム20の車両前後方向の前端部には、サスペンションアームブッシュ28がそれぞれ設けられている。サスペンションアームブッシュ28は図示しない車体フレームにそれぞれ回転可能に取り付けられており、これらのサスペンションアームブッシュ28を回転軸としてサスペンションアーム20が車体フレームにそれぞれ回転可能に取り付けられている。
【0037】
図3及び図4に示されるように、左右一対のサスペンションアーム20を連結する中間ビーム22は、開口30(図4参照)を車両上下方向下側に向けた断面逆V字形状の開断面を有し、円弧状に屈曲された屈曲部22Cと、屈曲部22Cから車両前後方向前側に延出する前側壁部22Aと、屈曲部22Cから車両前後方向後側に延出する後側壁部22Bを備えている。前側壁部22Aと後側壁部22Bとは所定の角度θをなしており、各々の車両上下方向の上端部22A2,22B2同士が屈曲部22Cを介して連結されている。
【0038】
また、前側壁部22Aは、水平面に対して所定の傾倒角θ(0<θ<90°)で傾倒され、車両上下方向下側の開口側端部22A1に対して車両上下方向の上端部22A2が車両前後方向後側に位置している。
【0039】
なお、本実施形態では、屈曲部22Cが、中間ビーム22の車両上下方向の上端部を構成し、前側壁部22Aの開口側端部22A1及び後側壁部22Bの開口側端部22B1が中間ビーム22の車両上下方向の下端部を構成している。
【0040】
図2に示されるように、中間ビーム22の車両前後方向前側には、バッテリパック14を車両上下方向下側から支持するバッテリフレーム40が配置されている。バッテリパック14は、ケース内に放充電可能な図示しない複数の蓄電池が収納されたものであり、図2ではバッテリパック14の外形が二点鎖線で示されている。このバッテリパック14は、バッテリフレーム40の上に載置されており、図示しないボルト等によってバッテリフレーム40に固定されている。
【0041】
バッテリフレーム40は、車両前後方向に延びる左右一対のバッテリサイドフレーム42と、車両幅方向に延びると共にバッテリサイドフレーム42の車両前後方向の前端部を連結するバッテリフロントフレーム44と、車両幅方向に延びると共にバッテリサイドフレーム42の車両前後方向の後端部を連結する後壁部46を備え、全体として枠状に構成されている。
【0042】
左右一対のバッテリサイドフレーム42の間には、車両幅方向に延びると共に車両前後方向に間隔を空けて配置された複数(本実施形態では、2本)のバッテリサブフレーム48が設けられている。これらのバッテリサブフレーム48によって左右一対のバッテリサイドフレーム42が連結され、バッテリフレーム40の剛性が確保されている。
【0043】
また、バッテリサイドフレーム42及びバッテリフロントフレーム44には、マウント部としての複数の取付孔50,52がそれぞれ形成されている。これらの取付孔50,52に貫通される図示しないボルト等を車体フレーム(図示省略)に固定することにより、バッテリサイドフレーム42及びバッテリフロントフレーム44が車体フレームに取り付けられている。
【0044】
バッテリフレーム40の車両上下方向下側には、バッテリパック14を車両上下方向下側から覆うバッテリアンダーカバー54が取り付けられている。バッテリアンダーカバー54は、車両前後方向に延びると共に車両幅方向に間隔を空けて複数(本実施形態では、2本)配置され、バッテリフロントフレーム44、バッテリサブフレーム48、後壁部46に溶接等でそれぞれ接合されている。
【0045】
図3に示されるように、後壁部46は、バッテリパック14と前述した中間ビーム22との間に、長手方向を車両幅方向にして配置されている。図4に示されるように、後壁部46は断面L字形状で、バッテリパック14を車両前後方向後側から覆う後側カバー部46Aと、後側カバー部46Aの車両上下方向の下端部から車両前後方向前側へ延出し、バッテリパック14を車両上下方向下側から覆う下側カバー部46Bを備えている。
【0046】
後側カバー部46Aの車両幅方向の両端部には、図示しない車体に取り付けられる一対の車体取付ブラケット56が設けられている。車体取付ブラケット56は、図5に示されるように、ブラケット本体58と、ブラケット本体58の上端部に取り付けられるフランジ60を備えている。
【0047】
ブラケット本体58は、後側カバー部46Aと略平行する平壁部58Aと、平壁部58Aの車両幅方向の両端部から車両前後方向前側へそれぞれ延出する一対の側壁部58Bと、各側壁部58Bの車両上下方向の下端部から車両上下方向下側へ延出するベース部58Cを備えている。側壁部58B及びベース部58Cの車両前後方向の前端部は後側カバー部46Aに突き当てられ、当該後側カバー部46Aに溶接等で接合されている。
【0048】
一方、フランジ60の車両幅方向の両端部には、車両上下方向下側へ向かって延出するリブ60Aがそれぞれ設けられている。これらのリブ60Aをブラケット本体58の側壁部58Bに溶接等で接合することにより、フランジ60がブラケット本体58に一体に取り付けられている。また、フランジ60にはマウント部としての取付孔62が形成されている。この取付孔62に貫通される図示しないボルトを車体フレーム(図示省略)に固定することにより、後壁部46が車体フレームに取り付けられている。
【0049】
ここで、図4に示されるように、ブラケット本体58の側壁部58Bには、ベース部58Cの車両上下方向の上端部から平壁部58Aの車両上下方向の下端部に向かって傾斜する荷重受け部58Dが設けられている。この荷重受け部58Dは、後側カバー部46Aと中間ビーム22との間に位置している。これにより、図3及び図4の二点鎖線で示されるように、後突等に伴って中間ビーム22が車両前後方向前方(矢印FR方向)へ移動した際に、中間ビーム22の前側壁部22Aが荷重受け部58Dに衝突するようになっている。
【0050】
なお、図3には、一例として、後壁部46に対して中間ビーム22が角度θを持って車両前後方向前方へ移動した状態と、後壁部46に対して中間ビーム22が平行(角度なし)に車両前後方向前方へ移動した状態の2種類の状態が二点鎖線で示されており、図4には、中間ビーム22が車両前後方向前方へ移動した状態と、中間ビーム22が車両斜め上方へ移動した状態の2種類の状態が二点鎖線で示されている。
【0051】
また、荷重受け部58Dの剛性は、構成材料等によって中間ビーム22の剛性よりも大きくなっており、荷重受け部58Dに中間ビーム22が衝突したときに、中間ビーム22が変形するようになっている。更に、荷重受け部58Dは、水平面に対して所定の傾倒角θ(0<θ<90°)で傾倒された斜面とされており、車両幅方向外側から見たときに、車両上下方向の下端部58D1(ベース部58C側の端部)に対して車両上下方向の上端部58D2(平壁部58A側の端部)が車両前後方向後側に位置している。これにより、後突等に伴って中間ビーム22が荷重受け部58Dに衝突した際に、荷重受け部58Dによって中間ビーム22の車両斜め上方が覆われ、中間ビーム22の車両前後方向前方(矢印FR方向)の変位だけでなく、車両上下方向上側(矢印UP方向)の変位も規制されるようになっている。
【0052】
なお、荷重受け部58Dは、車両幅方向外側から見たときに、車両上下方向の下端部58D1に対して車両上下方向の上端部58D2が車両前後方向後側に位置するように全体として傾いていれば良く、例えば、その少なくとも一部を車両前後方向前側に凸状に湾曲する湾曲面で構成しても良いし、一つ以上の段部が階段状に設けられた段付き面で構成しても良い。
【0053】
また、荷重受け部58Dの傾倒角θは、前述した中間ビーム22の前側壁部22Aの傾倒角θよりも大きくされている(θ>θ)。これにより、後突等に伴って中間ビーム22が車両前後方向前方へ移動した際に、中間ビーム22の屈曲部22Cよりも先に、中間ビーム22の前側壁部22Aにおける開口側端部22A1が、荷重受け部58Dに衝突するようになっている。
【0054】
更に、本実施形態では、荷重受け部58Dの車両上下方向の上端部58D2が、中間ビーム22の屈曲部22Cよりも車両上下方向上側に配置されると共に、荷重受け部58Dの車両上下方向の下端部58D1が、中間ビーム22の前側壁部22Aにおける開口側端部22A1よりも車両上下方向下側に位置している。
【0055】
具体的には、荷重受け部58Dの高さhが下記式(1)を満たすように設定されている。これにより、中間ビーム22全体を荷重受け部58Dで受けることが可能になっている。また、後突等に伴って中間ビーム22が車両斜め上方や車両斜め下方へ移動した際にも、荷重受け部58Dに中間ビーム22が衝突するようになっている。
【0056】
≧h+α+α ・・・ (1)
ただし、
:荷重受け部58Dの高さ
:中間ビーム22の高さ
α:後突等に伴う中間ビーム22の車両上下方向上側への最大変位量(α≧0)
α:後突等に伴う中間ビーム22の車両上下方向下側への最大変位量(α≧0)
である。
【0057】
なお、中間ビーム22が車両斜め上方や車両斜め下方へ移動を考慮しない場合は、α,αはゼロに設定される。また、上記式(1)は中間ビーム22の形状を問わない汎用式であり、本実施形態のように断面逆V字形状の中間ビーム22以外にも断面U字形状や、断面円形状の中間ビームにも適用可能である。更に、上記式(1)はあくまでも一例であって、この式(1)に限定されるものではない。即ち、荷重受け部58Dの少なくとも一部が、中間ビーム22の車両前後方向前側に配置されていれば良く、例えば、荷重受け部58Dの高さhが中間ビーム22の高さhよりも小さくても良い。
【0058】
次に、第1実施形態に係る車両用電池搭載構造の作用について説明する。
【0059】
図6に示されるように、後壁部46の後側カバー部46Aには、車体取付ブラケット56が設けられており、各車体取付ブラケット56のブラケット本体58には、バッテリフレーム40の後壁部46と中間ビーム22の間に配置される荷重受け部58Dが設けられている。従って、例えば、図3の二点鎖線で示されるように、後突等に伴って車両前後方向前方(矢印FR方向)へ移動した中間ビーム22が荷重受け部58Dに衝突すると、中間ビーム22の車両前後方向前方の変位、即ち、中間ビーム22がバッテリパック14に接近する方向の変位が制限される。
【0060】
また、荷重受け部58Dは、水平面に対して所定の傾倒角θ(図4参照)で傾倒され、車両幅方向外側から見たときに、車両上下方向の下端部58D1に対して車両上下方向の上端部58D2が車両前後方向後側に位置している。これにより、中間ビーム22が荷重受け部58Dに衝突した際に、荷重受け部58Dによって中間ビーム22の車両斜め上方が覆われるため、中間ビーム22の車両前後方向前方の変位だけでなく、車両上下方向上方の変位も規制される。従って、荷重受け部58Dの車両上下方向上方の部材(例えば、フロアパネル、車体フレーム等)に対する中間ビーム22の衝突等が抑制される。
【0061】
更に、荷重受け部58Dの剛性を中間ビーム22の剛性よりも大きくしたことにより、荷重受け部58Dに中間ビーム22が衝突した際に、中間ビーム22が変形する。この中間ビーム22の変形によって、衝突エネルギーが吸収される。従って、荷重受け部58D及び後壁部46等を介してバッテリパック14に伝達される衝突荷重が低減される。
【0062】
特に、本実施形態では、荷重受け部58Dの傾倒角θが、前述した中間ビーム22の前側壁部22Aの傾倒角θよりも大きくされている(θ>θ)。従って、後突等に伴って中間ビーム22が車両前後方向前方へ移動した際に、中間ビーム22の屈曲部22Cよりも先に、中間ビーム22の前側壁部22Aにおける開口側端部22A1が荷重受け部58Dに衝突する。この結果、図6の実線で示されるように、中間ビーム22の前側壁部22Aが屈曲部22Cを支点として開口30を閉じるように変形するため、中間ビーム22に作用するモーメントが大きくなる。これにより、中間ビーム22の変形効率が向上する結果、中間ビーム22の変形による衝突エネルギーの吸収効率が向上する。従って、荷重受け部58D及び後壁部46等を介してバッテリパック14に伝達される衝突荷重が更に低減される。
【0063】
なお、中間ビーム22の屈曲部22Cの外面(屈曲部22Cが屈曲されたときに引張り力が作用する側の面)に、中間ビーム22の長手方向に延びる溝(ビード)を設け、中間ビーム22を変形し易くしても良い。また、荷重受け部58Dの曲げ剛性を中間ビーム22の曲げ剛性(材軸周り)よりも大きくすることにより、荷重受け部58Dに中間ビーム22が衝突したときに、中間ビーム22が変形し易くなるようにしても良い。
【0064】
また、本実施形態では、荷重受け部58Dの車両上下方向の上端部58D2が、中間ビーム22の屈曲部22Cよりも車両上下方向上側に配置される。即ち、中間ビーム22の屈曲部22Cの車両前後方向前側に荷重受け部58Dが配置されている。
【0065】
ここで、荷重受け部58Dの車両上下方向の上端部58D2が、中間ビーム22の屈曲部22Cよりも車両上下方向下側に位置する構成では、例えば、荷重受け部58Dに中間ビーム22の前側壁部22Aの下部のみが衝突する。この場合、中間ビーム22が、前側壁部22Aの下部に対して屈曲部22Cが車両前後方向前方へ移動するように回転し、その後、荷重受け部58D及び平壁部58Aに沿って車両上下方向へ移動して車体取付ブラケット56を越える恐れがある。また、中間ビーム22は、車両前後方向前方だけでなく、車両斜め上方へ移動する場合がある。この場合、中間ビーム22が車体取付ブラケット56を更に越え易くなる。
【0066】
これに対して本実施形態では、荷重受け部58Dの車両上下方向の上端部58D2を、中間ビーム22の屈曲部22Cよりも車両上下方向上側に位置させたことにより、中間ビーム22全体を荷重受け部58Dで受けることが可能になる。更に、本実施形態では、上記式(1)における中間ビーム22の車両上下方向上側の最大変位量αに基づいて、中間ビーム22の屈曲部22Cに対する荷重受け部58Dの車両上下方向の上端部58D2の位置が設定されている。従って、図4の上側の二点鎖線で示されるように、後突等に伴って中間ビーム22が車両斜め上方へ移動した場合でも、中間ビーム22全体を荷重受け部58Dで受けることができる。従って、中間ビーム22が車体取付ブラケット56を越え難くなるため、車体取付ブラケット56の車両上下方向上側にある部材(例えば、フロアパネル、車体フレーム等)に対する中間ビーム22の衝突が抑制される。
【0067】
これと同様に、本実施形態では、荷重受け部58Dの車両上下方向の下端部58D1が、中間ビーム22の前側壁部22Aにおける開口側端部22A1よりも車両上下方向下側に位置している。即ち、中間ビーム22の前側壁部22Aにおける開口側端部22A1の車両前後方向前側に、荷重受け部58Dが配置されている。
【0068】
従って、中間ビーム22全体を荷重受け部58Dで受けることが可能になる。更に、本実施形態では、上記式(1)における中間ビーム22の車両上下方向下側の最大変位量αに基づいて、中間ビーム22の前側壁部22Aにおける開口側端部22A1に対する荷重受け部58Dの車両上下方向の下端部58D1の位置が設定されている。これにより、図示を省略するが、後突等に伴って中間ビーム22が車両斜め下方へ移動した場合でも、中間ビーム22全体を荷重受け部58Dで受けることができる。従って、中間ビーム22が車体取付ブラケット56の下を通過し難くなるため、バッテリフレーム40内への中間ビーム22の侵入が抑制される。
【0069】
なお、荷重受け部58Dの下端部58D1及び上端部58D2には、荷重受け部58Dに沿って車両上下方向へ移動する中間ビーム22の移動を制限する突起等のストッパ部を設けても良い。
【0070】
また、車両12に、他の車両(図示省略)が車両幅方向にオフセットした状態で追突すると、例えば、図3の二点鎖線で示されるように、後壁部46に対して中間ビーム22が角度θを持って車両前後方向前方へ移動する。この場合、後側カバー部46Aにおける車両幅方向の中央部にのみ車体取付ブラケット56を設けた構成では、車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dに中間ビーム22が衝突する前に、中間ビーム22の車両幅方向の端部が後壁部46に衝突する可能性がある。
【0071】
これに対して本実施形態では、後側カバー部46Aにおける車両幅方向の端部に一対の車体取付ブラケット56を設けたことにより、後壁部46に対して中間ビーム22が角度を持って車両前後方向前方へ移動しても、中間ビーム22の車両幅方向の端部を一対の車体取付ブラケット56の何れかに衝突させることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用電池搭載構造10によれば、バッテリフレーム40内への連結ビーム22の侵入を抑制することができる。
【0073】
次に、本発明の第2実施形態に係る車両用電池搭載構造の構成について説明する。なお、第1実施形態と同様に構成については同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0074】
第2実施形態に係る車両用電池搭載構造70では、図7に示されるように、後壁部46の後側カバー部46Aにおける車両幅方向の中間部に、膨出部72が設けられている。
【0075】
膨出部72は、後側カバー部46Aの車両幅方向の両端部46A1に対して車両前後方向後側へ膨出しており、中間ビーム22と対向する平壁部72Aと、平壁部72Aの車両幅方向の両端部から車両前後方向前側に向けて湾曲する角部72Bを備えている。この平壁部72Aとバッテリパック14との間には変形空間(空間)74が形成されている。また、膨出部72の剛性は、中間ビーム22の剛性よりも小さくなっており、平壁部72A又は角部72Bに中間ビーム22が衝突したときに、これらの膨出部72又は角部72Bが変形空間74側へ潰れて変形するようになっている。
【0076】
膨出部72の車両幅方向の両側には、一対の車体取付ブラケット56がそれぞれ設けられている。ここで、膨出部72は、各車体取付ブラケット56よりも車両前後方向後側に膨出しており、膨出部72の平壁部72A及び角部72Bが、各車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dよりも車両前後方向後側に位置している。
【0077】
また、膨出部72における角部72Bと、車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dの相対位置は、下記式(2)を満たすように設定されている。これにより、後壁部46に対して中間ビーム22が角度を持って車両前後方向前方へ移動した場合に、即ち、中間ビーム22が回転を伴って車両前後方向前方へ移動した場合に、荷重受け部58Dと同時に、又は荷重受け部58Dよりも先に、膨出部72の角部72Bに中間ビーム22が衝突するようになっている。
【0078】
/X≦tanθmax ・・・ (2)
ただし、
:角部72Bと荷重受け部58Dの間の車両幅方向の間隔(距離)
:角部72Bと荷重受け部58Dの間の車両前後方向の間隔(距離)
θmax:中間ビーム22の最大回転角
である。
【0079】
更に、膨出部72の平壁部72Aとバッテリパック14との距離は、下記式(3)を満たすように設定されている。これにより、中間ビーム22が膨出部72及び車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dの2点で支持される前に、中間ビーム22との衝突に伴って変形した膨出部72がバッテリパック14に接触しないようになっている。
【0080】
>X ・・・ (3)
ただし、
:バッテリパック14と膨出部72の平壁部72Aとの車両前後方向の距離
である。
【0081】
次に、第2実施形態に係る車両用電池搭載構造の作用について説明する。
【0082】
後壁部46における後側カバー部46Aには、膨出部72及び車体取付ブラケット56が設けられている。また、膨出部72の角部72Bと車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dとの相対位置は、上記式(2)を満たすように設定されている。従って、例えば、図8の二点鎖線で示されるように、中間ビーム22が最大回転角θmaxよりも小さい回転角θで車両前後方向前方へ移動した場合、車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dよりも先に中間ビーム22が膨出部72の角部72Bに衝突し、中間ビーム22の車両前後方向前方の変位、即ち、中間ビーム22がバッテリパック14に接近する方向の変位が制限される。これにより、バッテリフレーム40内への中間ビーム22の侵入が抑制される。
【0083】
また、膨出部72の剛性を中間ビーム22の剛性よりも小さくしたことにより、膨出部72の角部72Bに中間ビーム22が衝突すると、当該角部72Bがバッテリパック14側へ潰れて変形する。この角部72Bの変形によって、衝突エネルギーが吸収される。また、膨出部72の平壁部72Aとバッテリパック14の間には、変形空間74が形成されている。この変形空間74によって角部72Bの変形スペースを確保することにより、衝突に伴って変形した膨出部72とバッテリパック14との当接が抑制される。従って、バッテリパック14の破損、損傷が抑制される。
【0084】
更に、角部72Bが変形して中間ビーム22が車両前後方向前方へ移動すると、中間ビーム22が車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dに衝突する。これにより、中間ビーム22が変形して衝突エネルギーが吸収されると共に、中間ビーム22が膨出部72の角部72B及び車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dの2点で支持される。従って、中間ビーム22の車両前後方向前方の変位が更に制限される。
【0085】
また、前述したように、荷重受け部58Dよりも先に中間ビーム22を膨出部72の角部72Bに衝突させることにより、膨出部72よりも先に中間ビーム22が荷重受け部58Dに衝突する構成と比較して、膨出部72に入力される衝突エネルギーが大きくなる。これにより、膨出部72の変形量が大きくなる結果、膨出部72の変形による衝突エネルギーの吸収効率が向上する。従って、膨出部72、及び後壁部46等を介してバッテリパック14に伝達される衝突エネルギーが低減される。
【0086】
一方、図7の二点鎖線で示されるように、中間ビーム22が最大回転角θmaxで車両前後方向前方へ移動した場合は、膨出部72の角部72B及び車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dに中間ビーム22が同時に衝突する。これにより、中間ビーム22の車両前後方向前方の変位が規制される。また、膨出部72の角部72Bが潰れて変形し、衝突エネルギーが吸収される。更に、荷重受け部58Dとの衝突によって中間ビーム22が変形し、衝突エネルギーが吸収される。これにより、後壁部46等を介して、バッテリパック14に伝達される衝突エネルギーが低減される。
【0087】
このように本実施形態では、膨出部72の角部72B及び車体取付ブラケット56の荷重受け部58Dの2点で、中間ビーム22の衝突荷重を分担することが可能であるため、例えば、荷重受け部58Dの1点で中間ビーム22の衝突荷重を負担する構成と比較して、中間ビーム22の車両前後方向の変位が減少する。
【0088】
更に、本実施形態では、膨出部72の平壁部72Aとバッテリパック14の距離が、上記式(3)を満たすように設定されており、膨出部72の車両前後方向の変形スペースが、少なくとも間隔X(図7参照)確保されている。
【0089】
ここで、中間ビーム22が荷重受け部58Dに衝突するまでの間に膨出部72が変形する車両前後方向の変形量は、図3の二点鎖線で示されるように、後壁部46に対して中間ビーム22が平行(角度なし)に車両前後方向前方へ移動した場合に最大となる。従って、前述したように膨出部72の車両前後方向の変形スペースを少なくとも間隔X確保することにより、バッテリパック14に対する変形した膨出部72の接触を回避しつつ、膨出部72及び荷重受け部58Dの2点で中間ビーム22を支持することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、膨出部72の形状を平面視にて台形形状に構成したが、これに限らない。例えば、凸状や椀状でもあっても良い。また、後壁部46と膨出部72と一体に構成したが、これに限らない。例えば、後壁部46と膨出部と別体で構成し、後壁部46の後側カバー部46Aに膨出部を溶接やボルト等で接合しても良い。また、変形空間74は膨出部72の変形スペースを確保可能であれば良く、例えば、変形空間74に弾性体等の緩衝材を設けても良い。更に、膨出部72は、必ずしも荷重受け部58Dよりも車両前後方向後側に膨出している必要はなく、車体取付ブラケット56が膨出部72よりも車両前後方向後側へ突出していても良い。
【0091】
次に、上記第1,第2実施形態の他の変形例について説明する。
【0092】
上記第1,第2実施形態では、車両幅方向外側から見たときに、車両上下方向の下端部58D1に対して車両上下方向の上端部58D2が車両前後方向後側に位置するように荷重受け部58Dを傾倒させたが、これに限らない。荷重受け部58Dは、衝突された中間ビーム22の車両前後方向前側の変位を制限可能であれば良く、例えば、鉛直面でも良い。ただし、前述したように、衝突された中間ビーム22の車両上下方向上方の変位も規制可能である点で傾倒させることが望ましい。
【0093】
また、後壁部46の後側カバー部46Aに車体取付ブラケット56を設けたが、これに限らない。車体取付ブラケット56は、バッテリフレーム40と中間ビーム22との間に設けられていれば良く、例えば、アングル等を介してバッテリサイドフレーム42等に取り付けても良い。また、後壁部46の後側カバー部46Aの車両幅方向の端部側の部位に一対の車体取付ブラケット56を設けたが、車体取付ブラケット56は少なくとも一つあれば良く、数や配置は適宜変更可能である。
【0094】
また、断面逆V形状の中間ビーム22を例に説明したが、中間ビーム22の断面形状は、断面逆U字形状や断面円形状であっても良い。更に、車両上下方向上側を開口した断面V形状やU字形状であっても良い。
【0095】
また、全体として枠状に構成されたバッテリフレーム40を例に説明したが、バッテリフレーム40の形状はこれに限らない。バッテリフレーム40は、車両12の床下に設けられ、バッテリパック14を支持可能なものであれば良く、例えば、複数の長手材を格子状に連結して構成しても良い。
【0096】
更に、電気自動車である車両12を例に説明したが、これに限らない。上記第1,第2実施形態は、左右一対のリヤサスペンションを連結する中間ビーム(連結ビーム)の車両前後方向前側にバッテリが搭載される車両に適用可能であり、例えば、ハイブリット車にも適用である。特に、中間ビームに対してバッテリが近接して搭載される車両の車両後部構造に有効に適用される。
【0097】
以上、本発明の第1、第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1、第2の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0098】
10 車両用電池搭載構造
14 バッテリパック(バッテリ)
18 リヤサスペンション
22 中間ビーム(連結ビーム)
40 バッテリフレーム
46 後壁部
58D 荷重受け部
70 車両用電池搭載構造
72 膨出部
74 変形空間(空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に延びると共に左右一対のリヤサスペンションを連結する連結ビームの車両前後方向前側に配置され、車両の床下でバッテリを支持するバッテリフレームと、
前記バッテリフレームに設けられ、前記バッテリと前記連結ビームの間に車両幅方向に沿って配置される後壁部と、
前記後壁部に設けられ、該後壁部と前記連結ビームとの間に配置されて前記車体に取り付けられる荷重受け部と、
を備える車両用電池搭載構造。
【請求項2】
前記荷重受け部が、車両幅方向外側から見て、車両上下方向の下端部に対し車両上下方向の上端部が車両前後方向後側へ位置するように傾倒している請求項1に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項3】
前記荷重受け部の前記上端部が、前記連結ビームにおける車両上下方向の上端部よりも車両上下方向上側に位置している請求項1又は請求項2に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項4】
前記荷重受け部の前記下端部が、前記連結ビームにおける車両上下方向の下端部よりも車両上下方向下側に位置している請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項5】
前記後壁部には、車両前後方向後側へ膨出し、前記バッテリとの間に空間を形成する膨出部が設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項6】
前記膨出部が、前記荷重受け部よりも車両前後方向後側へ膨出している請求項5に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項7】
前記膨出部が、前記後壁部における車両幅方向の中間部に設けられ、
前記荷重受け部が、前記膨出部の車両幅方向の両側にそれぞれ設けられている請求項5又は請求項6に記載の車両用電池搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−56336(P2012−56336A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198334(P2010−198334)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】