説明

車両用電磁式アブソーバ

【課題】実用性の高い車両用電磁式アブソーバを提供する。
【解決手段】一端部がばね上部54に支持されて雄ねじが形成されたねじロッド82と、ばね下部36に支持されてねじロッドと螺合するナット84とを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ナットが回転するとともにねじロッドとナットとが相対移動する構造とされたねじ機構を備え、モータ力に依拠してナットに回転力を付与することで、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる電磁式アブソーバ10において、ねじ機構の少なくともねじロッドとナットとが螺合する部分を密閉するように覆うハウジング60,64の内部に充填された流体を冷却するように構成する。このように構成することによって、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構の温度上昇を抑制することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用アブソーバ、詳しくは、電磁モータが発生させる力(以下、「モータ力」という場合がある)に依拠して、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる電磁式の車両用アブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の分野において、近年では、モータ力に依拠してばね上部とばね下部との相対振動を減衰する機能を有する電磁式のアブソーバの開発が進められている。下記特許文献に記載されているアブソーバは、その電磁式アブソーバの一例である。
【特許文献1】特開2005−256924号公報
【特許文献2】特開2002−257189号公報
【特許文献3】特開2005−256889号公報
【特許文献4】特開2006−177478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載されているような電磁式アブソーバの多くは、回転型の電磁モータを採用しており、電磁モータの回転力をばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力に変換するためにねじ機構を採用している。ねじ機構を採用する電磁式のアブソーバにおいては、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ねじロッドとナットとが相対回転するとともに相対移動するため、ねじロッドとナットとの摩擦等によって、ねじ機構の温度が上昇する虞がある。このため、ねじ機構を採用する電磁式アブソーバにおいては、ねじ機構の温度上昇を抑制することで、実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用電磁式アブソーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の車両用電磁式アブソーバは、一端部がばね上部とばね下部との一方に支持されて雄ねじが形成されたねじロッドと、ばね上部とばね下部との他方に支持されてねじロッドと螺合するナットとを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ねじロッドとナットとのいずれか一方が回転するとともにねじロッドとナットとが相対移動する構造とされたねじ機構を備え、モータ力に依拠してねじロッドとナットとの一方に回転力を付与することで、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる車両用電磁式アブソーバであって、ねじ機構の少なくともねじロッドとナットとが螺合する部分を囲うハウジングの内部に充填された流体を冷却するように構成される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の電磁式アブソーバでは、ねじ機構が流体内に設けられ、その流体を冷却することが可能であることから、本発明の電磁式アブソーバによれば、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構の温度上昇を抑制することが可能となり、信頼性の高いアブソーバが実現する。そのような利点を有することで、本発明のアブソーバは実用性の高いものとなる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(11)項の各々が、請求項1ないし請求項11の各々に相当する。
【0007】
(1)一端部がばね上部とばね下部との一方に支持されて雄ねじが形成されたねじロッドと、ばね上部とばね下部との他方に支持されて前記ねじロッドと螺合するナットとを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、前記ねじロッドと前記ナットとの一方が回転するとともに前記ねじロッドと前記ナットとが相対移動する構造とされたねじ機構と、
前記ねじロッドとナットとの一方に対して回転力を付与する電磁モータと
を備え、その回転力に依拠してばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる車両用電磁式アブソーバであって、
当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ねじ機構の少なくとも前記ねじロッドと前記ナットとが螺合する部分を囲った状態で内部に流体が充填されたハウジングと、
前記流体を冷却するための冷却システムとを備えた車両用電磁式アブソーバ。
【0008】
ねじ機構を採用する構造の電磁式アブソーバにおいては、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ねじロッドとナットとが相対回転するとともに相対移動するため、ねじロッドとナットとの摩擦等によって、ねじ機構の温度が上昇する虞がある。本項に記載の態様においては、ねじ機構、詳しく言えば、ナットとねじロッドとが螺合する箇所が流体内に設けられており、その流体を冷却することが可能とされていることから、本項に記載の態様によれば、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構の温度上昇を抑制することが可能となり、信頼性の高いアブソーバが実現されることになる。
【0009】
本項に記載の「冷却システム」は、その具体的な構造が特に限定されるものではなく、例えば、ハウジングを冷却することでそれの内部に充填された流体を冷却する構造とされてもよく、ハウジングの内部に設けられて流体を冷却する構造とされてもよい。また、ハウジングの外部において流体を循環させる循環路を備え、その循環路において流体を冷却する構造とされてもよい。
【0010】
本項の態様の電磁式アブソーバは、単に抵抗力のみを発生可能なものに限定されず、例えば、ばね上部とばね下部とを積極的に相対動作させる推進力や、外部からの入力に対してばね上部とばね下部とを相対動作させないようにする力をも発生可能なものとされてもよい。その場合、本項の態様の電磁式アブソーバを各車輪に対応して設ければ、ばね上振動に対する減衰力を発生させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御や、車体のロールやピッチの抑制を目的とした車体の姿勢制御等を実行することも可能である。
【0011】
(2)前記流体が、液体である(1)項に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0012】
(3)当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ねじロッドと前記ナットとの相対移動に伴って前記ハウジングの内部容積が変化する構造とされ、
前記ハウジングの外部に設けられて前記流体を貯留する流体貯留装置と、前記ハウジングの内部容積の変化に伴って前記流体が前記ハウジングの内部と前記流体貯留装置との間を流通できるようにそれらを連通する連通路とを備えた(2)項に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0013】
上記2つの項に記載の態様は、流体を液体に限定した態様である。前者の項の態様において、液体は、上記ハウジングの内部に充満されていてもよく、ねじロッドとナットとが螺合する箇所が浸る程度に収容されていてもよい。ただし、ハウジング内部に液体が充満されており、ねじロッドとナットとの相対移動に伴ってハウジングの内部容積が変化するような場合には、後者の項に記載の態様のように、アブソーバは流体を貯留する装置、例えば、リザーバ等を備えることが望ましい。
【0014】
(4)前記冷却システムが、
前記ハウジングの外部に設けられて、前記流体を冷却する流体冷却装置と、
前記ハウジングの内部と前記流体冷却装置との間を前記流体が流通可能にそれらを連通する1以上の連通路とを有する(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0015】
本項に記載の態様は、冷却システムを具体的に限定した態様である。本項に記載の「冷却システム」は、例えば、後に詳しく説明するように、1以上の連通路が2つの連通路であり、ハウジング内の流体が流体冷却装置を通過して循環する構造とされてもよく、また、1以上の連通路が1つの連通路であり、流体がその1つの連通路を介してハウジングの内部と流体冷却装置との間を流通する構造とされてもよい。
【0016】
(5)当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ナットを含んで構成されるとともに、前記ハウジングの内部を2つの流体室に区画する区画部材を有し、前記ねじロッドと前記ナットとの相対移動に伴って前記2つの流体室の内部容積が相対的に変化する構造とされ、
前記ねじロッドと前記区画部材との一方に、前記2つの流体室を互いに連通する連通穴が設けられた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0017】
冷却された流体がハウジング内で滞留すると、ねじ機構の冷却効果が低下する虞がある。本項に記載の態様においては、ねじロッドとナットとの相対移動に伴う2つの流体室の相対的な容積変化を利用して、ハウジングの内部において流体を、上記連通穴を介して、2つの流体室の間で流通させることが可能となる。このため、本項に記載の態様によれば、ねじ機構の温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。
【0018】
本項に記載の「区画部材」は、ナットを含んで構成されて、ハウジング内を2つの流体室に区画するものであればよく、例えば、ナットをハウジング内において支持する部材とナットとで構成されるものであってもよく、ナットのみで構成されるものであってもよい。
【0019】
(6)前記連通穴が、前記区画部材を構成する前記ナットに設けられた(5)項に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0020】
ねじ機構を構成するねじロッドとナットとは、ねじロッドがナットを貫通した状態で螺合し、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、軸線方向に相対移動する。ねじロッドの外周部のナットが螺合する部分は、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って変化するが、ナットの内周部は、ばね上部とばね下部とが相対動作しても、常にねじロッドの外周部に螺合している。このため、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構の温度上昇の抑制効果に関して言えば、ナットの温度上昇を効果的に抑制することが望ましい。本項に記載の態様によれば、ナットの内部を流体を流通させることが可能であることから、例えば、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うナットの温度上昇を効果的に抑制することが可能である。
【0021】
(7)当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ナットが前記ばね上部とばね下部との他方に回転可能に保持されるとともに、前記電磁モータが前記ナットに回転力を付与する構造とされ、
前記連通穴の少なくとも一方の開口部に、
前記ナットの回転を利用して、前記流体の前記連通穴の流通を促進する流通促進手段が設けられた(6)項に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0022】
本項に記載の態様は、ナットの回転力を利用して流体の流動を促進する態様である。本項に記載の態様によれば、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、冷却された流体のハウジング内における流動を促進することが可能となり、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うナットの温度上昇を効果的に抑制することが可能である。本項に記載の「流通促進手段」は、例えば、ナットの回転を利用して、流体の連通穴への導入を促進する手段であってもよく、また、ナットの回転を利用して、連通穴からの流体の排出を促進する手段であってもよい。具体的には、例えば、連通穴の開口部にフードが設けられて、そのフードがナットの回転方向に対して開口するようにされてもよく、また、連通穴の開口部が、徐々に広がるような形状、所謂、NACA型ダクトのような形状とされてもよい。
【0023】
(8)前記冷却システムが、
前記ハウジングの外部に設けられて、前記流体を冷却する流体冷却装置と、
前記ハウジングの内部と前記流体冷却装置との間を互いに前記流体が流通可能にそれらを連通する1以上の連通路とを有し、
前記1以上の連通路が、
2つの連通路を含み、それら2つの連通路の一方が、前記2つの流体室の一方と前記流体冷却装置との間を前記流体が流通可能にそれらを連通し、前記2つの連通路の他方が、前記2つの流体室の他方と前記流体冷却装置との間を前記流体が流通可能にそれらを連通する構造とされ、
前記流体冷却装置が、
自身を介して前記2つの連通路の間を前記流体が流通可能な構造とされた(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0024】
本項に記載の態様は、冷却システムの構造をさらに限定した態様である。本項に記載の態様において、例えば、ポンプ等の循環装置が設けられるような場合には、ハウジング内の流体を冷却システムを介して循環させることが可能となり、流体を効率的に冷却することが可能となる。
【0025】
(9)前記2つの連通路の一方と前記2つの連通路の他方と前記流体冷却装置との少なくとも1つが、
前記流体が前記2つの流体室の一方から前記流体冷却装置を通って前記2つの流体室の他方へ流通することを禁止するとともに、前記流体が前記2つの流体室の他方から前記流体冷却装置を通って前記2つの流体室の一方へ流通することを許容する構造とされた(8)項に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0026】
本項に記載の態様は、冷却システム内において、流体が流通する方向を限定した態様である。本項に記載の態様によれば、例えば、流体冷却装置によって冷却された流体が、冷却システムを逆流することを防止することが可能となり、流体を効率的に冷却することが可能となる。
【0027】
(10)前記連通穴が、
前記2つの流体室の一方から前記2つの流体室の他方への前記流体の流通を許容するとともに、前記2つの流体室の他方から前記2つの流体室の一方への前記流体の流通を禁止する構造とされた(8)項または(9)項に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0028】
本項に記載の態様は、連通穴の構造に限定を加えた態様である。本項に記載の態様では、例えば、ねじロッドとナットとの相対移動に伴う2つの流体室の内部容積の相対変化を利用して、2つの流体室の他方の内部の流体を流体冷却装置へ流入させたり、流体冷却装置の内部の流体を2つの流体室の一方へ流入させることが可能となり、流体を効率的に冷却することが可能となる。また、本項に記載の態様において、前項に記載の態様のように、冷却システム内での流体の流通方向を限定すれば、流体は、特定の方向、具体的に言えば、2つの流体室の他方→2つの連通路の他方→流体冷却装置→2つの連通路の一方→2つの流体室の一方→連通穴→2つの流体室の他方→・・・・という方向にのみ循環可能となる。したがって、そのような構成によれば、ねじロッドとナットとの相対移動に伴って流体を上記特定の方向に循環させることが可能となり、ポンプ等の循環装置を用いることなく、ハウジング内の流体を冷却システムを介して循環させることが可能となる。
【0029】
(11)前記電磁モータが、前記ハウジングの内部に設けられた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【0030】
本項に記載の態様は、電磁モータの温度上昇をも抑制する態様である。モータ力に依拠してばね上部とばね下部との相対動作に対して抵抗力を発生させる電磁式のアブソーバにおいて、電磁モータの作動に伴う電磁モータの温度上昇を抑制することが望ましい。本項に記載の態様によれば、ねじ機構の温度上昇のみならず、電磁モータの温度上昇をも抑制することが可能である。
【実施例】
【0031】
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0032】
(A)第1実施例
図1に、実施例の車両用ショックアブソーバ(以下、「アブソーバ」という場合がある)10を示す。このアブソーバ10は、例えば、図2に示すように、独立懸架式のサスペンション装置20の一構成要素として、車両に装備される。図2に示すサスペンション装置20は、マルチリンク式サスペンション装置とされており、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム30,第2アッパアーム32,第1ロアアーム34,第2ロアアーム36,トーコントロールアーム38を備えている。5本のアーム30,32,34,36,38のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪40を回転可能に保持するアクスルキャリア42に回動可能に連結されている。それら5本のアーム30,32,34,36,38により、アクスルキャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描くような上下動が可能とされている。
【0033】
上述のような構成のサスペンション装置20において、アブソーバ10は、コイルスプリング50と並設されている。具体的に言えば、それらは、それぞれ、ばね上部の一構成部分であるタイヤハウジングに設けられたマウント部54と、ばね下部の一構成部分である第2ロアアーム36との間に、互いに並列的に配設されている。
【0034】
アブソーバ10は、図1に示すように、概して円筒状のハウジングチューブ60と、そのハウジングチューブ60の上方に設けられた電磁モータ62とを含んで構成されている。ハウジングチューブ60は、それの上端部において、電磁モータ62を収納するモータケース64に固定的に連結されており、そのモータケース64は、それの外周部において、緩衝ゴムを介してマウント部54に連結されている。
【0035】
電磁モータ62は、モータケース64の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル70と、両端部の各々においてモータケース64,ハウジングチューブ60の各々に、ベアリング72,74を介して回転可能に保持された筒状のモータ軸76と、コイル70と向き合うようにしてモータ軸76の外周に固定して配設された複数の永久磁石78とを含んで構成されている。電磁モータ62は、コイル70を有するステータと、永久磁石78を有するロータとを含んで構成される3相のDCブラシレスモータである。
【0036】
アブソーバ10は、ハウジングチューブ60、およびモータケース64内に、外周部に雄ねじとしてのねじ溝80が形成されたねじロッド82と、複数のベアリングボールを保持してねじロッド82と螺合するナット84とを有しており、それらは、ボールねじ機構を構成している。詳しく言えば、図3に示すように、ナット84の内周面には、ねじロッド82のねじ溝80に対抗する位置にねじ溝86が螺旋状に形成されており、ナット84の内部には、そのねじ溝86の両端を連通する循環路88が形成されている。ねじロッド82のねじ溝80とナット84のねじ溝86とで形成される通路90とその通路90の両端を連通する循環路88との内部には、複数のベアリングボール92が収容されており、ねじロッド82とナット84との相対移動に伴って、複数のベアリングボール92が通路90、および循環路88内を転動するのである。
【0037】
ナット84は、ねじロッド82と螺合させられた状態で、モータ軸76の下端部に固定的に嵌合されている。一方、ねじロッド82は、電磁モータ62のモータ軸76を貫通した状態で、上下方向に延びるようにハウジングチューブ60内に配設されており、下端部において、支持ロッド96の上端部に固着されている。その支持ロッド96の下端部はハウジングチューブ60の下方から延び出しており、支持ロッド96は、下端部において、取付ブシュ98を介して第2ロアアーム36に連結されている。また、ハウジングチューブ60の下端部には、シール100が設けられており、支持ロッド96は、シール100を介してハウジングチューブ60の下端部と摺接している。
【0038】
なお、支持ロッド96には、その下端部に環状の下部リテーナ102が固定されており、マウント部54の下面側には、防振ゴムを介して、環状の上部リテーナ104が付設されている。コイルスプリング50は、それら下部リテーナ102と上部リテーナ104とによって、それらに挟まれる状態で支持されている。
【0039】
上述のような構造から、本アブソーバ10では、ばね上部とばね下部とが相対移動する場合には、ねじロッド82とナット84とが相対移動し、それに伴って、ナット84がねじロッド82に対し回転する。電磁モータ62は、ナット84に回転力を付与可能とされており、アブソーバ10は、その回転力によって、ばね上部とばね下部との相対動作に対して抵抗力を発生させることが可能とされている。この抵抗力が、ばね上部とばね下部との相対振動を減衰する減衰力となるのである。つまり、アブソーバ10は、電磁モータ62の発生させるモータ力に依拠して、ばね上部とばね下部との相対振動に対して減衰力を発生させることが可能である。また、アブソーバ10は、モータ力に依拠して、ばね上部とばね下部とを接近・離間させる機能,ばね上部とばね下部との距離を所定距離に維持する機能、つまり、アクチュエータとしての機能をも有している。この機能を利用して、ばね上部の振動に対してばね上絶対速度に応じた減衰力を作用させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御を実行すること、旋回時の車体のロール,加速・減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制すること、車両の車高を調整すること等が可能とされている。
【0040】
本アブソーバ10は、上述のように、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ねじロッド82とナット84とが相対回転するとともに相対移動し、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させるべく、モータ力が発生させられる。このため、ねじロッド82とナット84との摩擦によってねじ機構の温度が上昇し、電磁モータ62の作動によって電磁モータ62の温度が上昇する虞がある。
【0041】
本アブソーバ10においては、ハウジングチューブ60とモータケース64とで構成されるアブソーバ10のハウジング108の内部には、流体としてのクーラントが充填されており、そのハウジング108の内部は、ナット84,モータ軸76,ベアリング74等によって、2つの流体室に区画されている。詳しく言えば、ナット84,モータ軸76,ベアリング74等で構成される区画部材の下側の下室110と、ナット84,モータ軸76,ベアリング74等の上側であって、ハウジング108とモータ軸76との間の空間とモータ軸76の内部の空間とで構成される上室112とに区画されている。ハウジング108とモータ軸76との間の空間とモータ軸76の内部の空間とは、モータケース64の蓋部114に形成された切欠部116によって連通しており、1つの流体室を構成している。
【0042】
アブソーバ10は、クーラントを冷却するための冷却システム120を備えている。冷却システム120は、流体冷却装置としてのラジエータ121と、ラジエータ121と上室112とを連通する連通路122と、ラジエータ121と下室110とを連通する連通路123とを含んで構成されている。ラジエータ121は、上部タンク124と、下部タンク125と、それらの間に設けられたラジエータコア126とを含んで構成されており、ラジエータコア126は、所定間隔で1列に配置された複数のチューブ127と、隣り合うチューブ127の間に配置された冷却用のフィン128とから構成されている。複数のチューブ127の各々は、クーラントが上部タンク124と下部タンク125との間を流通可能にそれらを連通しており、ラジエータ121は、クーラントが複数のチューブ127を通過する際にフィン128によって冷却される構造とされている。なお、ラジエータ121は、走行風によって冷却効果を高めるべく、車両の前端部に設けられている。また、連通路122は、上室112とラジエータ121の上部タンク124とを連通しており、その連通路122の途中には、上室112から上部タンク124への流通のみを許容する逆止弁129が設けられている。一方、連通路123は、ラジエータ121の下部タンク125と下室110とを連通しており、その連通路123の途中には、下部タンク125から下室110への流通のみを許容する逆止弁130が設けられている。
【0043】
また、ナット84には、図3に示すように、周方向の4等配の位置の各々に、上室112と下室110とを連通する連通穴132が形成されている。連通穴132の各々には、逆止弁133が設けられており、連通穴132は、クーラントの下室110から上室112への流通のみを許容する構造とされている。さらに、ナット84の下面側の連通穴132の開口部の各々には、図4に示すように、フード134が設けられている。なお、図4は、ナット84を車両下方側からの視点において示す斜視図である。
【0044】
アブソーバ10には、クーラントを貯留する流体貯留装置としてのリザーバ136が設けられており、そのリザーバ136とハウジング108の内部とが、それらを連通する連通路138によって繋がれている。ハウジング108は、アブソーバ10の伸縮、つまり、支持ロッド96のハウジング108内への進入、若しくはハウジング108内からの退出に伴って、自身の内部容積が変化する構造とされているため、ハウジング108の内部容積の変化に相当する量の作動油が、連通路138を介して、ハウジング108とリザーバ136との間を流出入する。
【0045】
本アブソーバ10においては、上述のように、ハウジング108の内部にクーラントが充填されており、そのクーラントを冷却する冷却システム120が設けられている。したがって、本アブソーバ10は、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構と電磁モータ62との温度上昇を効果的に抑制することが可能である。また、ナット84には、連通穴132が形成されていることから、本アブソーバ10は、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構の温度上昇をさらに効果的に抑制することが可能である。
【0046】
また、冷却システム120の連通路122は、上室112からラジエータ121への流通のみが許容されており、一方、連通路123は、ラジエータ121から下室110への流通のみが許容されている。さらに、ナット84に形成された連通穴132は、下室110から上室112への流通のみが許容されている。このため、アブソーバ10のハウジング108および、冷却システム120内において、クーラントは特定の方向にのみ循環可能とされている。また、ハウジング108は、ねじロッド82とナット84との相対移動、つまり、ねじロッド82の上室112への侵入、若しくは、上室112からの退出にともなって、上室112の内部容積と下室110の内部容積とが相対的に変化する構造とされている。本アブソーバ10では、ねじロッド82とナット84との相対移動、つまり、アブソーバ10の伸縮に伴う2つの流体室の内部容積の相対変化を利用して、クーラントを上記特定の方向に循環させている。
【0047】
詳しく言えば、アブソーバ10が縮む場合には、ねじロッド82がモータ軸76の内部に進入し、上室112の内部容積が相対的に減少する。このため、クーラントが、図5中の実線に示すように、連通路122を介して上室112からラジエータ121に流入し、、連通路123を介してラジエータ121から下室110に流入する。そして、支持ロッド96のハウジング108内への進入によるハウジング108の内部容積の減少に相当する量のクーラントが、連通路138を介して下室110からリザーバ136に流入する。一方、アブソーバ10が伸びる場合には、ねじロッド82がモータ軸76の内部から退出し、上室112の内部容積が相対的に増加することで、クーラントが、図5中の点線に示すように、連通穴133を介して下室110から上室112に流入する。そして、支持ロッド96のハウジング108内からの退出によるハウジング108の内部容積の増加に相当する量のクーラントが、連通路138を介してリザーバ136から下室110に流入する。このように、本アブソーバ10においては、ポンプ等の循環装置を用いることなく、アブソーバ10の伸縮に伴う2つの流体室の内部容積の相対変化を利用して、ハウジング108内の作動油を冷却システム120を介して循環させることが可能である。
【0048】
なお、連通穴132の開口部に設けられたフード134は、図4に示すように、ナット84が下方からの視点において時計回りに回転する方向(実線矢印)に開口している。ナット84がその方向に回転する場合には、ねじロッド82は下方に移動し、アブソーバ10は伸びる。このため、アブソーバ10が伸びる場合において、クーラントはフード134によって連通穴96に掻き込まれることで、クーラントの連通穴96の流通が促進され、上記特定の方向へのクーラントの循環が促進される。つまり、アブソーバ10は、フード134によって構成される流体の流通促進手段を備えるものとされている。
【0049】
(B)第2実施例
図6に、第2実施例の車両用電磁式アブソーバ140を示す。先の実施例のアブソーバ10がナット84が回転する構造であるのに対し、本アブソーバ140は、ねじロッドが回転する構造とされている。アブソーバ140は、コイルスプリング142と並列的に配設されており、アブソーバ140とコイルスプリング142とは、先のアブソーバ10とコイルスプリング50と同様に、マウント部54と第2ロアアーム36との間に配設されている。
【0050】
アブソーバ140は、図6に示すように、概して有底円筒状の下部チューブ150と、その下部チューブ150に嵌入して下部チューブ150の上端部から上方に突出する上部チューブ152とを含んで構成されている。下部チューブ150は、取付ブシュ154を介して第2ロアアーム36に連結されており、一方、上部チューブ152は、それの上端部において、電磁モータ156を収納するモータケース158に固定的に連結されており、そのモータケース158は、それの外周部において、緩衝ゴムを介してマウント部54に連結されている。
【0051】
電磁モータ156は、モータケース158の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル160と、モータケース158に回転可能に保持されたモータ軸162と、コイル160と向き合うようにしてモータ軸162の外周に固定して配設された永久磁石164とを含んで構成されている。電磁モータ156は、コイル160がステータとして機能し、永久磁石164がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。
【0052】
アブソーバ140は、外周部に雄ねじが形成されたねじロッド170と、ベアリングボールを保持してねじロッド170と螺合するナット172とを有している。ナット172は、ねじロッド170と螺合させられた状態で、下部チューブ150の内底部に立設されている筒状のナット支持部材174の上端部に固定的に支持されている。一方、ねじロッド170は、自身の下端部をナット支持部材174に挿入した状態で、上下方向に延びるように上部チューブ152内に配設されており、上端部においてモータ軸162に固着されている。
【0053】
また、上部チューブ152には、その内壁面に上下方向に延びるようにして1対のガイド溝180が設けられるとともに、それらのガイド溝180の各々には、ナット支持部材174の上端部に付設された1対のキー182の各々が嵌まるようにされており、それらガイド溝180およびキー182によって、ナット支持部材174と上部チューブ152、つまり、下部チューブ150と上部チューブ152とが、相対回転不能、かつ、上下方向に相対移動可能とされている。なお、下部チューブ150の上端部には、シール186が設けられており、下部チューブ150は、シール186を介して上部チューブ150と摺接している。
【0054】
下部チューブ150と上部チューブ152とモータケース158とで構成されるアブソーバ140のハウジング188の内部には、流体としてのクーラントが充填されており、ハウジング188の内部は、ナット172等によって2つの流体室に区画されている。詳しく言えば、ナット172,キー182,ナット支持部材174によって構成される区画部材の上側であって、上部チューブ152とねじロッド170との間の空間と電磁モータ156の内部の空間とで構成される上室190と、区画部材の下側であって、下部チューブ150とロッド支持部材174との間の空間とロッド支持部材174の内部の空間とで構成される下室192とに区画されている。上部チューブ152とねじロッド170との間の空間と電磁モータ156の内部の空間とは、モータケース158の下方に形成された切欠部196によって連通しており、1つの流体室である上室190を構成している。一方、下部チューブ150とロッド支持部材174との間の空間とロッド支持部材174の内部の空間とは、ロッド支持部材174に形成された連通穴198によって連通しており、1つの流体室である下室192を構成している。
【0055】
本アブソーバ140は、流体冷却装置としてのラジエータ200と、ラジエータ200と上室190とを連通する連通路202と、ラジエータ200と下室192とを連通する連通路204とを含んで構成される冷却システム206を備えている。ラジエータ200は、先のアブソーバ10の備えるラジエータ121と同様の構造をしており、上部タンク208と、下部タンク210と、それらの間に設けられたラジエータコア212とを含んで構成されている。また、連通路202は、上室190とラジエータ200の上部タンク208とを連通しており、その連通路202の途中には、上室190から上部タンク208への流通のみを許容する逆止弁214が設けられている。一方、連通路204は、ラジエータ200の下部タンク210と下室192とを連通しており、その連通路204の途中には、下部タンク210から下室192への流通のみを許容する逆止弁216が設けられている。
【0056】
また、ナット172には、先のアブソーバ10の備えるナット84と同様に、周方向の4等配の位置の各々に、上室190と下室192とを連通する連通穴220が形成されている。連通穴220の各々には、逆止弁222が設けられており、連通穴220は、クーラントの下室192から上室190への流通のみを許容する構造とされている。また、アブソーバ140は、クーラントを貯留する流体貯留装置としてのリザーバ224と、そのリザーバ224と下室192とを連通する連通路216とを備えている。
【0057】
本アブソーバ140においても、電磁モータ156、および、ねじ機構がクーラント内に設けられていることから、ばね上部とばね下部との相対動作に伴うねじ機構と電磁モータ62との温度上昇を効果的に抑制することが可能である。また、本アブソーバ140においても、先のアブソーバ10において設けられる連通路122,123,138および連通穴132と同様の構造の連通路202,204,226および連通穴220が設けられていることから、ポンプ等の循環装置を用いることなく、ハウジング188内のクーラントを冷却システム206を介して循環させることが可能とされている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】請求可能発明の第1実施例である車両用電磁式アブソーバを示す断面図である。
【図2】図1の車両用電磁式アブソーバが配設されたサスペンション装置を示す図である。
【図3】図1の車両用電磁式アブソーバが備えるねじ機構を示す拡大断面図である。
【図4】図1の車両用電磁式アブソーバが備えるねじ機構を示す拡大斜視図である。
【図5】図1の車両用電磁式アブソーバのハウジング内の上室と下室と冷却装置とリザーバとの連通関係を概念的に示す図である。
【図6】請求可能発明の第2実施例である車両用電磁式アブソーバを示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10:車両用電磁式アブソーバ 36:第2ロアアーム(ばね下部) 54:マウント部(ばね上部) 60:ハウジングチューブ(ハウジング) 62:電磁モータ 64:モータケース(ハウジング) 74:ベアリング(区画部材) 76:モータ軸(区画部材) 82:ねじロッド(ねじ機構) 84:ナット(ねじ機構)(区画部材) 108:ハウジング 120:冷却システム 121:ラジエータ(流体冷却装置) 122:連通路(1以上の連通路) 123:連通路(1以上の連通路) 132:連通穴 134:フード(流通促進手段) 136:リザーバ(流体貯留装置) 138:連通路 140:車両用電磁式アブソーバ 150:下部チューブ(ハウジング) 152:上部チューブ(ハウジング) 156:電磁モータ 158:モータケース(ハウジング) 170:ねじロッド(ねじ機構) 172:ナット(ねじ機構)(区画部材) 188:ハウジング 200:ラジエータ(流体冷却装置) 202:連通路(1以上の連通路) 204:連通路(1以上の連通路) 206:冷却システム 220:連通穴 224:リザーバ(流体貯留装置) 226:連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部がばね上部とばね下部との一方に支持されて雄ねじが形成されたねじロッドと、ばね上部とばね下部との他方に支持されて前記ねじロッドと螺合するナットとを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、前記ねじロッドと前記ナットとの一方が回転するとともに前記ねじロッドと前記ナットとが相対移動する構造とされたねじ機構と、
前記ねじロッドとナットとの一方に対して回転力を付与する電磁モータと
を備え、その回転力に依拠してばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる車両用電磁式アブソーバであって、
当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ねじ機構の少なくとも前記ねじロッドと前記ナットとが螺合する部分を囲った状態で内部に流体が充填されたハウジングと、
前記流体を冷却するための冷却システムとを備えた車両用電磁式アブソーバ。
【請求項2】
前記流体が、液体である請求項1に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項3】
当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ねじロッドと前記ナットとの相対移動に伴って前記ハウジングの内部容積が変化する構造とされ、
前記ハウジングの外部に設けられて前記流体を貯留する流体貯留装置と、前記ハウジングの内部容積の変化に伴って前記流体が前記ハウジングの内部と前記流体貯留装置との間を流通できるようにそれらを連通する連通路とを備えた請求項2に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項4】
前記冷却システムが、
前記ハウジングの外部に設けられて、前記流体を冷却する流体冷却装置と、
前記ハウジングの内部と前記流体冷却装置との間を前記流体が流通可能にそれらを連通する1以上の連通路とを有する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項5】
当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ナットを含んで構成されるとともに、前記ハウジングの内部を2つの流体室に区画する区画部材を有し、前記ねじロッドと前記ナットとの相対移動に伴って前記2つの流体室の内部容積が相対的に変化する構造とされ、
前記ねじロッドと前記区画部材との一方に、前記2つの流体室を互いに連通する連通穴が設けられた請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項6】
前記連通穴が、前記区画部材を構成する前記ナットに設けられた請求項5に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項7】
当該車両用電磁式アブソーバが、
前記ナットが前記ばね上部とばね下部との他方に回転可能に保持されるとともに、前記電磁モータが前記ナットに回転力を付与する構造とされ、
前記連通穴の少なくとも一方の開口部に、
前記ナットの回転を利用して、前記流体の前記連通穴の流通を促進する流通促進手段が設けられた請求項6に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項8】
前記冷却システムが、
前記ハウジングの外部に設けられて、前記流体を冷却する流体冷却装置と、
前記ハウジングの内部と前記流体冷却装置との間を互いに前記流体が流通可能にそれらを連通する1以上の連通路とを有し、
前記1以上の連通路が、
2つの連通路を含み、それら2つの連通路の一方が、前記2つの流体室の一方と前記流体冷却装置との間を前記流体が流通可能にそれらを連通し、前記2つの連通路の他方が、前記2つの流体室の他方と前記流体冷却装置との間を前記流体が流通可能にそれらを連通する構造とされ、
前記流体冷却装置が、
自身を介して前記2つの連通路の間を前記流体が流通可能な構造とされた請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項9】
前記2つの連通路の一方と前記2つの連通路の他方と前記流体冷却装置との少なくとも1つが、
前記流体が前記2つの流体室の一方から前記流体冷却装置を通って前記2つの流体室の他方へ流通することを禁止するとともに、前記流体が前記2つの流体室の他方から前記流体冷却装置を通って前記2つの流体室の一方へ流通することを許容する構造とされた請求項8に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項10】
前記連通穴が、
前記2つの流体室の一方から前記2つの流体室の他方への前記流体の流通を許容するとともに、前記2つの流体室の他方から前記2つの流体室の一方への前記流体の流通を禁止する構造とされた請求項8または請求項9に記載の車両用電磁式アブソーバ。
【請求項11】
前記電磁モータが、前記ハウジングの内部に設けられた請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用電磁式アブソーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−113745(P2009−113745A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291695(P2007−291695)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】