説明

車両用駆動装置

【課題】電気自動車のエネルギ利用効率を向上させる。
【解決手段】駆動輪19に連結されるハイブリッド機構15には、ラビニョウ型の複合遊星歯車機構20が組み込まれている。複合遊星歯車機構20のサンギアS1にはモータジェネレータM1が連結されており、複合遊星歯車機構20のサンギアS2にはモータジェネレータM2が連結されている。また、複合遊星歯車機構20のキャリアCには駆動輪19が連結されており、複合遊星歯車機構20のリングギアRにはフライホイールFWが連結されている。モータジェネレータM1,M2のトルクを制御することにより、フライホイールFWを減速させながら駆動輪19を加速させることができ、駆動輪19を減速させながらフライホイールFWを加速させることが可能となる。これにより、エネルギの利用効率を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力行状態と発電状態とに切り換えられるモータジェネレータを備える車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動力源としてモータジェネレータのみを備える電気自動車や、動力源としてエンジンおよびモータジェネレータを備えるハイブリッド型の電気自動車が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような電気自動車においては、車両加速時にモータジェネレータが電動機として用いられる一方、車両制動時にモータジェネレータが発電機として用いられる。車両制動時にモータジェネレータを発電機として用いることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換して回収することが可能となる。また、ハイブリッド型の電気自動車においては、車両加速時にモータジェネレータを電動機として用いることにより、エンジンの使用領域を限定することができ、エンジンの燃費を向上させることが可能となる。このように、走行状況に応じてモータジェネレータを適切に制御することにより、電気自動車のエネルギ利用効率を向上させることが可能となっている。
【特許文献1】特開2001−169404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、モータジェネレータのみを用いてエネルギ利用効率の更なる改善を図ることは困難となっていた。例えば、車両制動時に回生するエネルギ量を増大させるためには、モータジェネレータの高出力化を図るだけでなく、発電電力を蓄えるバッテリの高出力化を図る必要がある。しかしながら、バッテリの容量を確保しながら高出力化を図ることは困難であり、バッテリに対して大電流充電を施すことは困難となっていた。また、モータジェネレータを用いて運動エネルギを電気エネルギに変換する際の変換損失や、電気エネルギを出し入れする際におけるバッテリの充放電損失があるため、モータジェネレータのみを用いてエネルギ利用効率の改善を図ることは困難であった。
【0004】
本発明の目的は、電気自動車のエネルギ利用効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用駆動装置は、駆動輪に連結される入出力要素を備える複合遊星歯車機構と、前記複合遊星歯車機構のホイール連結要素に連結され、回転力を運動エネルギとして蓄えるフライホイールと、前記複合遊星歯車機構の第1モータ連結要素に連結され、力行状態と発電状態とに切り換えられる第1モータジェネレータと、前記複合遊星歯車機構の第2モータ連結要素に連結され、力行状態と発電状態とに切り換えられる第2モータジェネレータと、前記第1モータジェネレータと前記第2モータジェネレータとをそれぞれに制御するモータ制御手段とを有することを特徴とする。
【0006】
本発明の車両用駆動装置は、前記モータ制御手段は、前記第1モータジェネレータと前記第2モータジェネレータとをそれぞれに制御することにより、前記入出力要素を加速させるときには前記フライホイールを減速させ、前記入出力要素を減速させるときには前記フライホイールを加速させることを特徴とする。
【0007】
本発明の車両用駆動装置は、前記複合遊星歯車機構は、シングルピニオン遊星歯車機構とダブルピニオン遊星歯車機構とを組み合わせた複合遊星歯車機構であることを特徴とする。
【0008】
本発明の車両用駆動装置は、前記入出力要素は、前記複合遊星歯車機構を構成するキャリアまたはリングギアの一方であり、前記ホイール連結要素は、前記複合遊星歯車機構を構成する前記キャリアまたは前記リングギアのうちの他方であり、前記第1モータ連結要素は、前記シングルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであり、前記第2モータ連結要素は、前記ダブルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであることを特徴とする。
【0009】
本発明の車両用駆動装置は、前記複合遊星歯車機構は、第1シングルピニオン遊星歯車機構と第2シングルピニオン遊星歯車機構とを組み合わせた複合遊星歯車機構であることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用駆動装置は、前記入出力要素は、前記第1シングルピニオン遊星歯車機構を構成するリングギアおよび前記第2シングルピニオン遊星歯車機構を構成するキャリアであり、前記ホイール連結要素は、前記第1シングルピニオン遊星歯車機構を構成するキャリアおよび前記第2シングルピニオン遊星歯車機構を構成するリングギアであり、前記第1モータ連結要素は、前記第1シングルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであり、前記第2モータ連結要素は、前記第2シングルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであることを特徴とする。
【0011】
本発明の車両用駆動装置は、前記入出力要素に連結されるエンジンを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用駆動装置は、前記エンジンと前記入出力要素との間に、締結状態と解放状態とに切り換えられる入力側クラッチ機構を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の車両用駆動装置は、前記入出力要素と前記駆動輪との間に、締結状態と解放状態とに切り換えられる出力側クラッチ機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複合遊星歯車機構の入出力要素に駆動輪を連結し、複合遊星歯車機構のホイール連結要素にフライホイールを連結し、複合遊星歯車機構の第1モータ連結要素に第1モータジェネレータを連結し、複合遊星歯車機構の第2モータ連結要素に第2モータジェネレータを連結するようにしたので、第1および第2モータジェネレータをそれぞれに制御することにより、駆動輪とフライホイールとの回転状態を自在に制御することが可能となる。
【0015】
これにより、駆動輪を加速する際にはフライホイールを減速させることができるため、フライホイールから放出される運動エネルギを有効に利用して駆動輪を加速させることが可能となる。また、駆動輪を減速する際にはフライホイールを加速させることができるため、フライホイールに運動エネルギを回収させながら駆動輪を減速させることが可能となる。これにより、モータジェネレータを用いて回生制動を行うだけでなく、フライホイールをエネルギ回生要素として有効に利用することができるため、電気自動車のエネルギ利用効率を向上させることが可能となる。
【0016】
しかも、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを用いるようにしたので、駆動輪とフライホイールとの回転状態を制御する際に、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを様々なトルクバランスで制御することができるため、モータジェネレータを制御する際の自由度を高めることが可能となる。これにより、エネルギ回収時やエネルギ放出時においては、第1モータジェネレータ、第2モータジェネレータ、フライホイールの利用バランスの適切化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である車両用駆動装置10が組み込まれたハイブリッド型の電気自動車11(以下、ハイブリッド車両という)の一部を示す概略図である。図1に示すように、ハイブリッド車両11には、エンジン12と変速機13とによって構成されるパワーユニット14が搭載されている。このパワーユニット14には、後述するモータジェネレータや複合遊星歯車機構等によって構成されるハイブリッド機構15が連結されている。また、ハイブリッド機構15の出力軸16にはプロペラシャフト17が接続されており、プロペラシャフト17にはデファレンシャル機構18を介して駆動輪19が連結されている。
【0018】
図2はハイブリッド機構15の構成を示すスケルトン図である。なお、図2において図1に示す部材と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。図2に示すように、ハイブリッド機構15には、いわゆるラビニョウ型の複合遊星歯車機構20が組み込まれている。このラビニョウ型の複合遊星歯車機構20は、シングルピニオン遊星歯車機構21とダブルピニオン遊星歯車機構22とを組み合わせるとともに、ピニオンギアP1の共用化を図るようにした複合遊星歯車機構である。シングルピニオン遊星歯車機構21を構成するサンギア(第1モータ連結要素)S1には、第1モータジェネレータM1のロータ23が連結されており、ダブルピニオン遊星歯車機構22を構成するサンギア(第2モータ連結要素)S2には、第2モータジェネレータM2のロータ24が連結されている。また、複合遊星歯車機構20のピニオンギアP1,P2を支持するキャリア(入出力要素)Cには、パワーユニット14の出力軸25が連結されるとともに、ハイブリッド機構15の出力軸16が連結されている。すなわち、キャリアCにはエンジン12および駆動輪19が連結されている。さらに、複合遊星歯車機構20のリングギア(ホイール連結要素)Rには、回転力を運動エネルギとして蓄えるフライホイールFWが連結されている。なお、フライホイールFWの直径寸法や質量等は、ハイブリッド車両11の走行特性に合わせて設計されるものである。
【0019】
また、力行状態のモータジェネレータM1,M2に電力を供給するとともに、発電状態のモータジェネレータM1,M2から発電された電力を蓄えるため、モータジェネレータM1,M2には、リチウムイオンバッテリ等の高電圧バッテリ28が接続されている。モータジェネレータM1,M2と高電圧バッテリ28との間にはインバータ29が設けられており、モータジェネレータM1,M2を力行状態で駆動する際には、高電圧バッテリ28からの直流電流が、インバータ29を介して交流電流に変換された後にモータジェネレータM1,M2に供給される。一方、モータジェネレータM1,M2を発電状態で駆動する際には、モータジェネレータM1,M2から発電された交流電流が、インバータ29を介して直流電流に変換された後に高電圧バッテリ28に供給されることになる。なお、一方のモータジェネレータM1(M2)が発電状態に制御され、他方のモータジェネレータM2(M1)が力行状態に制御される場合には、インバータ29を介して発電電力と消費電力とが相殺され、高電圧バッテリ28の充放電が抑制されるようになっている。
【0020】
また、インバータ29にはモータ制御手段として機能するハイブリッド制御ユニット30が接続されており、ハイブリッド制御ユニット30からインバータ29に対して制御信号が出力されている。ハイブリッド制御ユニット30からの制御信号に基づき、インバータ29は交流電流の電流値や周波数を制御することにより、モータジェネレータM1,M2のトルク、回転方向、回転数等を制御することが可能となっている。
【0021】
なお、図1に示すように、ハイブリッド車両11には、エンジン12の運転状態を制御するエンジン制御ユニット31が設けられており、このエンジン制御ユニット31から、図示しないスロットルバルブ、インジェクタ、イグナイタ等に対して制御信号が出力されている。また、ハイブリッド車両11には、変速機13の作動状態を制御するAT制御ユニット32が設けられており、このAT制御ユニット32から、変速機13内の図示しないクラッチやブレーキに油圧を供給制御するバルブユニットに対して制御信号が出力されている。これらの制御ユニット30〜32は、制御信号等を演算するCPUを備えるとともに、制御プログラム、演算式、マップデータ等を格納するROMや、一時的にデータを格納するRAMを備えている。なお、制御ユニット30〜32は通信ネットワークを介して相互に接続されており、各制御ユニット30〜32は各種情報を共有するようになっている。
【0022】
さらに、ハイブリッド制御ユニット30には、車両の運転状態と停止状態とを切り換えるイグニッションスイッチ33、アクセルペダルの操作状況を検出するアクセルペダルセンサ34、ブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキペダルセンサ35、車速を検出する車速センサ36、走行レンジを選択するセレクトレバーの操作位置を検出するインヒビタスイッチ37等が接続されている。そして、ハイブリッド制御ユニット30は、各種制御ユニット31,32やセンサ33〜37等から入力される各種情報に基づき車両状態を判定するとともに、インバータ29、エンジン制御ユニット31、AT制御ユニット32等に対して制御信号を出力し、モータジェネレータM1,M2、エンジン12、変速機13等を互いに協調させながら制御することになる。
【0023】
続いて、ハイブリッド機構15の作動状態について説明する。図3(A)は発進時におけるサンギアS1,S2、キャリアC、リングギアRの回転状態およびトルク作用状態の一例を示す説明図であり、図3(B)は発進時におけるモータジェネレータM1,M2、駆動輪19、フライホイールFWの回転数の推移の一例を示す線図である。また、図4(A)および(B)は発進時における電力およびトルクの入出力状態の一例を示す説明図である。なお、以下の説明においては、ハイブリッド車両11の前進時におけるキャリアCの回転方向を正回転方向とし、各ギアS1,S2,RについてもキャリアCの正回転方向と同一の回転方向を正回転方向とする。
【0024】
図3(A)に一点鎖線で示すように、ハイブリッド車両11の停止状態においては、モータジェネレータM1,M2、駆動輪19、フライホイールFWのそれぞれが停止した状態であり、サンギアS1,S2、キャリアC、リングギアRについても停止した状態となっている。この停止状態からハイブリッド車両11を発進させる際には、図3(A)に実線で示すように、正トルクを発生させる力行状態にモータジェネレータM1を制御することにより、モータジェネレータM1に連結されるサンギアS1が正回転側に駆動されるため、キャリアCおよびこれに連結される駆動輪19を正回転側に駆動することが可能となる。このとき、モータジェネレータM2は逆回転側に駆動されるが、正トルクを発生させる発電状態にモータジェネレータM2を制御することにより、フライホイールFWに作用するトルクを0に調整してフライホイールFWの逆回転を防止するようにしている。後述するように、ハイブリッド機構15はフライホイールFWを正回転させてエネルギを蓄える構成であるため、フライホイールFWの逆回転を規制することでエネルギの無駄な消費を抑制している。
【0025】
なお、モータジェネレータM1,M2の正トルクとは、モータジェネレータM1,M2を正回転方向に加速させるトルクであり、図3(A)においては白抜きの矢印を用いて示している。また、モータジェネレータM1,M2の負トルクとは、モータジェネレータM1,M2を逆回転方向に加速させるトルクであり、後述する図5(A)および図7(A)においては黒塗りの矢印を用いて示している。
【0026】
また、モータジェネレータM1のトルクをTmとし、モータジェネレータM2のトルクをTmとし、シングルピニオン歯車機構のギア比をλ(リングギアRの歯数Zr/サンギアS1の歯数Zs1)とし、ダブルピニオン歯車機構のギア比をλ(リングギアRの歯数Zr/サンギアS2の歯数Zs2)とすると、キャリアCから駆動輪19に向けて出力されるトルクToは以下の式(1)となり、フライホイールFWに作用するトルクTfwは以下の式(2)となる。すなわち、ハイブリッド車両11のフライホイールFWの回転数が0である発進時においては、トルクTfwを0以上に保ちながら、運転者の操作状況に応じたトルクToを出力するように、モータジェネレータM1,M2のトルクが制御されることになる。
To=(λ+1)Tm−λTm ・・・(1)
Tfw=−λTm+(λ+1)Tm ・・・(2)
【0027】
このように、モータジェネレータM1,M2のトルクを制御することにより、図3(B)に示すように、モータジェネレータM1を正回転側に加速させるとともに、モータジェネレータM2を逆回転側に加速させながら、駆動輪19を徐々に正回転側に加速させることが可能となり、ハイブリッド車両11を発進させることが可能となる。また、図4(A)に示すように、発電状態のモータジェネレータM2から発電された電力が、力行状態のモータジェネレータM1に供給されるため、高電圧バッテリ28の充放電電力を抑制することができ、高電圧バッテリ28での充放電損失を抑制することが可能となる。また、前述の説明では、モータジェネレータM1から出力されるモータトルクを用いてハイブリッド車両11を発進させているが(EVモード)、図4(B)に示すように、パワーユニット14から出力されるエンジントルクを加えてハイブリッド車両11を発進させても良い(パラレルモード)。このように、モータトルクとエンジントルクとを組み合わせてハイブリッド車両11を発進させることにより、高電圧バッテリ28の蓄電量が少ない場合や運転者が急加速を望む場合等であっても、ハイブリッド車両11の加速性能を十分に確保することが可能となる。
【0028】
また、高電圧バッテリ28の蓄電量が十分に確保されている場合には、キャリアCの回転停止状態を保持したまま、モータジェネレータM1に負トルクを発生させて逆回転側に駆動し、モータジェネレータM2に正トルクを発生させて正回転側に駆動することにより、発進前に予めフライホイールFWを加速させるようにしても良い。これにより、ハイブリッド車両11の発進時にフライホイールFWに蓄えられた運動エネルギを利用して駆動輪19を駆動することが可能となり、ハイブリッド車両11の加速性能を更に向上させることが可能となる。
【0029】
続いて、減速時におけるハイブリッド機構15の作動状態について説明する。ここで、図5(A)は減速時におけるサンギアS1,S2、キャリアC、リングギアRの回転状態およびトルク作用状態の一例を示す説明図であり、図5(B)は減速時におけるモータジェネレータM1,M2、駆動輪19、フライホイールFWの回転数の推移の一例を示す線図である。また、図6(A)〜(C)は減速時における電力およびトルクの入出力状態の一例を示す説明図である。
【0030】
図5(A)に一点鎖線で示すように、ハイブリッド車両11の走行状態においては、モータジェネレータM1および駆動輪19が正回転側に回転し、モータジェネレータM2は逆回転側に回転した状態となる。すなわち、サンギアS1およびキャリアCが正回転側に回転し、サンギアS2が逆回転側に回転した状態となっている。なお、フライホイールFWおよびこれに連結されるリングギアRについては、回転停止若しくは正回転側に回転した状態となっている。このような走行状態からハイブリッド車両11を減速させる際には、負トルクを発生させる発電状態にモータジェネレータM1を制御し、正トルクを発生させる発電状態にモータジェネレータM2を制御する。これにより、正回転側で回転するサンギアS1が減速されるとともに、逆回転側で回転するサンギアS2が減速されるため、リングギアRおよびこれに連結されるフライホイールFWが加速される一方、キャリアCおよびこれに連結される駆動輪19が減速されることになる。このような減速状態Iにおいては、図6(A)に示すように、駆動輪19から入力されるハイブリッド車両11の運動エネルギが、モータジェネレータM1,M2を介して電気エネルギに変換されて高電圧バッテリ28に蓄えられるとともに、フライホイールFWに対して運動エネルギのまま蓄えられることになる。
【0031】
続いて、図5(A)に二点鎖線で示すように、モータジェネレータM1には負トルクが発生しているため、モータジェネレータM1およびこれに連結されるサンギアS1は停止状態に向けて減速される。また、モータジェネレータM2には正トルクが発生しているため、モータジェネレータM2およびこれに連結されるサンギアS2は停止状態を経て正回転側に駆動されることになる。このとき、モータジェネレータM2におけるトルクTmの発生方向は一定であるが、ロータ回転が逆回転側から正回転側に切り換わるため、モータジェネレータM2の作動状態は発電状態から力行状態に切り換わることになる。このような減速状態IIにおいては、図6(B)に示すように、駆動輪19から入力されるハイブリッド車両11の運動エネルギが、モータジェネレータM1を介して電気エネルギに変換されて高電圧バッテリ28に蓄えられるとともに、フライホイールFWに対して運動エネルギのまま蓄えられることになる。
【0032】
続いて、図5(A)に実線で示すように、モータジェネレータM1には負トルクが発生しているため、モータジェネレータM1およびこれに連結されるサンギアS1は停止状態を経て逆回転側に駆動されることになる。このとき、モータジェネレータM1におけるトルクTmの発生方向は一定であるが、ロータ回転が正回転側から逆回転側に切り換わるため、モータジェネレータM1の作動状態は発電状態から力行状態に切り換わることになる。また、モータジェネレータM2には正トルクが発生しているため、モータジェネレータM2およびこれに連結されるサンギアS2は正回転側で加速される。このような減速状態IIIにおいては、図6(C)に示すように、駆動輪19側から入力されるハイブリッド車両11の運動エネルギが、フライホイールFWに対して運動エネルギのまま蓄えられることになる。
【0033】
このように、モータジェネレータM1,M2のトルクを制御することにより、図5(B)に示すように、ハイブリッド車両11の減速時には、モータジェネレータM1を正回転側から逆回転側に変化させ、モータジェネレータM2を逆回転側から正回転側に変化させ、フライホイールFWを加速させながら、駆動輪19を減速させることが可能となり、ハイブリッド車両11を減速させることが可能となる。すなわち、モータジェネレータM1,M2を回生制動させて運動エネルギを回収するだけでなく、フライホイールFWを加速させて運動エネルギを回収することが可能となる。これにより、モータジェネレータM1,M2の負荷を軽減することができるため、高電圧バッテリ28に対する大電流充電を回避することができ、モータジェネレータM1,M2の回生制動によるエネルギの回収効率を向上させることができる。また、ハイブリッド車両11の運動エネルギは、フライホイールFWによって運動エネルギのまま回収されるため、運動エネルギの高い回収効率を達成することが可能となる。これらの要因により、減速時におけるハイブリッド車両11の運動エネルギの回収効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0034】
しかも、図5(A)に示すように、2つのモータジェネレータM1,M2を用いるようにしたので、駆動輪19とフライホイールFWとの回転状態を制御する際に、モータジェネレータM1,M2を様々なトルクバランスで制御することができるため、モータトルク制御の自由度を高めることが可能となる。すなわち、ハイブリッド車両11を減速させる場合であっても、高電圧バッテリ28の充電状態やフライホイールFWの回転状態に応じて、モータジェネレータM1やモータジェネレータM2を発電状態や力行状態に制御することが可能となる。例えば、高電圧バッテリ28が満充電状態である場合には、フライホイールFWに対して多くの運動エネルギが蓄えられるように、モータジェネレータM1,M2を制御したり、フライホイールFWが高回転状態である場合には、高電圧バッテリ28に対して多くの電気エネルギが蓄えられるように、モータジェネレータM1,M2を制御したりすることが可能となる。また、モータジェネレータM1,M2を発電状態に制御する場合であっても、発電効率の良い回転状態のモータジェネレータM1,M2を選択して制御することが可能となる。
【0035】
なお、以下の不等式(3)または(4)を満足する範囲に、モータジェネレータM1,M2のトルクTm,Tmを制御すれば、減速時にフライホイールFWを用いてハイブリッド車両11の運動エネルギを蓄えることが可能となる。従って、高電圧バッテリ28の充電状態とモータジェネレータM1,M2の回転数とに応じて、各モータジェネレータM1,M2のトルクTm1、Tm2を制御することで、高電圧バッテリ28に充電したり、高電圧バッテリ28を放電させたりすることが可能となる。
Tm≧0 かつ Tm>Tm・(λ+1)/λ≦0 ・・・(3)
Tm<0 かつ Tm>Tm・λ/(λ+1) ・・・(4)
【0036】
また、前述の説明では、キャリアCからパワーユニット14を切り離した状態で減速させているが、これに限られることはなく、キャリアCにパワーユニット14を連結することにより、減速時にパワーユニット14の負荷を利用しても良いことはいうまでもない。さらに、前述の説明ではモータジェネレータM1,M2のみを制御してハイブリッド車両11を減速させているが、ハイブリッド車両11には図示しないブレーキ機構が設けられており、このブレーキ機構から発生する制動力を用いて減速状態が制御されることはいうまでもない。
【0037】
続いて、加速時におけるハイブリッド機構15の作動状態について説明する。ここで、図7(A)は加速時におけるサンギアS1,S2、キャリアC、リングギアRの回転状態およびトルク作用状態の一例を示す説明図であり、図7(B)は加速時におけるモータジェネレータM1,M2、駆動輪19、フライホイールFWの回転数の推移の一例を示す線図である。また、図8(A)〜(C)は加速時における電力およびトルクの入出力状態の一例を示す説明図である。
【0038】
図7(A)に一点鎖線で示すように、ハイブリッド車両11の低速走行状態においては、モータジェネレータM2および駆動輪19が正回転側に回転し、モータジェネレータM1は逆回転側に回転した状態となる。すなわち、サンギアS2およびキャリアCが正回転側に回転し、サンギアS1が逆回転側に回転した状態となっている。なお、フライホイールFWおよびこれに連結されるリングギアRについては正回転側に回転した状態となっている。このような低速走行状態からハイブリッド車両11を加速させる際には、正トルクを発生させる発電状態にモータジェネレータM1を制御し、負トルクを発生させる発電状態にモータジェネレータM2を制御する。これにより、逆回転側で回転するサンギアS1が減速されるとともに、正回転側で回転するサンギアS2が減速されるため、リングギアRおよびこれに連結されるフライホイールFWが減速される一方、キャリアCおよびこれに連結される駆動輪19が加速されることになる。このような加速状態Iにおいては、図8(A)に示すように、モータジェネレータM1,M2を発電状態に切り換えることにより、フライホイールFWから出力されるトルクが、リングギアRからキャリアCを介して駆動輪19に伝達されることになる。なお、フライホイールFWから駆動輪19に伝達されるトルクの大きさは、モータジェネレータM1,M2のトルク制御によって調整される。
【0039】
続いて、図7(A)に二点鎖線で示すように、モータジェネレータM1には正トルクが発生しているため、モータジェネレータM1およびこれに連結されるサンギアS1は停止状態を経て正回転側に駆動されることになる。このとき、モータジェネレータM1におけるトルクTmの発生方向は一定であるが、ロータ回転が逆回転側から正回転側に切り換わるため、モータジェネレータM2の作動状態は発電状態から力行状態に切り換わることになる。また、モータジェネレータM2には負トルクが発生しているため、モータジェネレータM2およびこれに連結されるサンギアS2は停止状態に向けて減速される。このような加速状態IIにおいては、図8(B)に示すように、フライホイールFWおよびモータジェネレータM1から出力されるトルクが、リングギアRおよびサンギアS1からキャリアCを介して駆動輪19に伝達されることになる。
【0040】
続いて、図7(A)に実線で示すように、モータジェネレータM1には正トルクが発生しているため、モータジェネレータM1およびこれに連結されるサンギアS1は正回転側で加速される。また、前述したように、モータジェネレータM2には負トルクが発生するため、モータジェネレータM2およびこれに連結されるサンギアS2は停止状態を経て逆回転側に駆動されることになるが、フライホイールFWが停止した場合には、フライホイールFWの逆回転を防止するため、モータジェネレータM2は正トルクを発生するように制御される。すなわち、加速時におけるモータジェネレータM1は、発電状態から力行状態に切り換えられた後に、再び発電状態に切り換えられてフライホイールFWの停止状態を保持するようになっている。このような加速状態IIIにおいては、図8(C)に示すように、モータジェネレータM1から出力されるトルクが、サンギアS1からキャリアCを介して駆動輪19に伝達されることになる。
【0041】
このように、モータジェネレータM1,M2のトルクを制御することにより、図7(B)に示すように、ハイブリッド車両11の加速時には、モータジェネレータM1を逆回転側から正回転側に変化させ、モータジェネレータM2を正回転側から逆回転側に変化させ、フライホイールFWを減速させながら、駆動輪19を加速させることが可能となり、ハイブリッド車両11を加速させることが可能となる。すなわち、モータジェネレータM1,M2を力行状態に制御するだけでなく、フライホイールFWに蓄えられた運動エネルギを放出してハイブリッド車両11を加速させることが可能となる。これにより、モータジェネレータM1,M2の負荷を軽減することができるため、高電圧バッテリ28からの大電流放電を回避することができ、高電圧バッテリ28における放電損失を軽減することが可能となる。また、フライホイールFWから放出される運動エネルギが、そのままハイブリッド車両11の加速に利用されるため、高いエネルギ利用効率によってハイブリッド車両11を加速させることが可能となる。これらの要因により、加速時におけるハイブリッド車両11のエネルギ利用効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0042】
しかも、図7(A)に示すように、2つのモータジェネレータM1,M2を用いるようにしたので、駆動輪19とフライホイールFWとの回転状態を制御する際に、モータジェネレータM1,M2を様々なトルクバランスで制御することができるため、モータトルク制御の自由度を高めることが可能となる。すなわち、ハイブリッド車両11を加速させる場合であっても、高電圧バッテリ28の充電状態やフライホイールFWの回転状態に応じて、モータジェネレータM1やモータジェネレータM2を発電状態や力行状態に制御することが可能となる。例えば、高電圧バッテリ28が満充電状態である場合には、高電圧バッテリ28から多くの電気エネルギが放出されるように、モータジェネレータM1,M2を制御したり、フライホイールFWが高回転状態である場合には、フライホイールFWから多くの運動エネルギが放出されるように、モータジェネレータM1,M2を制御したりすることが可能となる。また、モータジェネレータM1,M2を力行状態に制御する場合であっても、力行効率の良い回転状態のモータジェネレータM1,M2を選択して制御することが可能となる。
【0043】
なお、以下の不等式(5)および(6)を満足する走行状況であれば、加速時に、フライホイールFWに蓄積されたエネルギを利用して加速することが可能となる。
+1)Tm−λTm>0 ・・・(5)
λTm−(λ+1)Tm>0 ・・・(6)
【0044】
また、前述の説明では、キャリアCからパワーユニット14を切り離した状態で加速させているが、これに限られることはなく、キャリアCにパワーユニット14を連結することにより、加速時にパワーユニット14から出力されるエンジントルクを利用しても良いことはいうまでもない。
【0045】
続いて、本発明の他の実施の形態である車両用駆動装置40,50,60について説明する。図9〜図11は本発明の他の実施の形態である車両用駆動装置40,50,60を示すスケルトン図である。なお、図9〜図11において図2に示す部材と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、車両用駆動装置40はエンジン12と変速機13との間にハイブリッド機構15を有しており、エンジン12とキャリアCとの間には入力側クラッチ機構41が設けられている。この入力側クラッチ機構41を締結状態に切り換えることにより、エンジン12とキャリアCとは連結される一方、入力側クラッチ機構41を解放状態に切り換えることにより、エンジン12とキャリアCとは切り離される。このように組み込まれた入力側クラッチ機構41を解放させることにより、エンジン12を用いることなくハイブリッド車両11を走行させることができるため、エンジン12の使用領域を限定することができ、エンジン12の燃費性能を向上させることが可能となる。また、図示する場合には、ハイブリッド機構15の出力側に変速機13が設けられるため、幅広い走行領域においてモータジェネレータM1,M2を使用することが可能となる。なお、図9に示す車両用駆動装置40においても、前述した車両用駆動装置10と同様の効果を得ることが可能である。
【0047】
続いて、図10に示すように、車両用駆動装置50はエンジン12と変速機13との間にハイブリッド機構15を有しており、キャリアCと変速機13との間には出力側クラッチ機構51が設けられている。すなわち、出力側クラッチ機構51はキャリアCと駆動輪19との間に設けられている。この出力側クラッチ機構51を締結状態に切り換えることにより、キャリアCと駆動輪19とは連結される一方、出力側クラッチ機構51を解放状態に切り換えることにより、キャリアCと駆動輪19とは切り離される。このように組み込まれた出力側クラッチ機構51を解放させることにより、モータジェネレータM1、モータジェネレータM2、あるいはフライホイールFWを用いてエンジン12を始動することができるため、エンジン12のスタータモータを削減することが可能となる。なお、図10に示す車両用駆動装置50においても、前述した車両用駆動装置10と同様の効果を得ることが可能である。
【0048】
続いて、図11に示すように、車両用駆動装置60には、エンジン12と変速機13とによって構成されるパワーユニット14が横置きに搭載されている。このパワーユニット14にはハイブリッド機構61が連結されており、ハイブリッド機構61の出力軸62には減速歯車列63およびデファレンシャル機構18を介して駆動輪19が連結されている。また、ハイブリッド機構61には複合遊星歯車機構64が組み込まれており、この複合遊星歯車機構64は一対のシングルピニオン遊星歯車機構65,66によって構成されている。第1シングルピニオン遊星歯車機構65のサンギア(第1モータ連結要素)Sa1には、第1モータジェネレータM1のロータ23が連結されており、第2シングルピニオン遊星歯車機構66のサンギア(第2モータ連結要素)Sa2には、第2モータジェネレータM2のロータ24が連結されている。
【0049】
また、シングルピニオン遊星歯車機構66のピニオンギアPa2を支持するキャリア(入出力要素)C2と、シングルピニオン遊星歯車機構65のリングギア(入出力要素)R1とには、パワーユニット14の出力軸25が連結されるとともに、ハイブリッド機構15の出力軸62が連結されている。すなわち、キャリアC2およびリングギアR1にはエンジン12および駆動輪19が連結されている。さらに、シングルピニオン遊星歯車機構65のピニオンギアPa1を支持するキャリア(ホイール連結要素)C1と、シングルピニオン遊星歯車機構66のリングギア(ホイール連結要素)R2とには、回転力を運動エネルギとして蓄えるフライホイールFWが連結されている。このような構成を有する車両用駆動装置60であっても、前述した車両用駆動装置10と同様の効果を得ることが可能である。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図3〜図8には、各要素に対するトルク作用状態や回転状態の一例が示されているが、このトルク作用状態や回転状態に限られることはなく、走行状況に応じて様々なトルク作用状態や回転状態に制御しても良い。
【0051】
また、ハイブリッド機構15,61に組み込まれる複合遊星歯車機構20,64としては、図示する各回転要素の連結パターンに限られることはなく、他の連結パターンによって各回転要素を連結するようにした複合遊星歯車機構であっても良い。たとえば、図示する複合遊星歯車機構20においては、キャリアCにエンジン12および駆動輪19が連結され、リングギアRにフライホイールFWが連結されているが、これに限られることはなく、キャリアCに対してフライホイールFWを連結し、リングギアRに対してエンジン12および駆動輪19を連結しても良い。すなわち、キャリアCをホイール連結要素として機能させ、リングギアRを入出力要素として機能させても良い。
【0052】
また、図示する車両はエンジン12とモータジェネレータとを備えたハイブリッド車両11であるが、これに限られることはなく、動力源としてモータジェネレータM1,M2のみを搭載し、動力源としてのエンジン12を搭載しない電気自動車に対して本発明の車両用駆動装置10を適用しても良い。なお、前述の説明では、高電圧バッテリ28としてリチウムイオンバッテリを設けるようにしているが、他の形式のバッテリを設けるようにしても良い。また、高電圧バッテリ28に代えて様々な形式のキャパシタを設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態である車両用駆動装置が組み込まれたハイブリッド車両の一部を示す概略図である。
【図2】ハイブリッド機構の構成を示すスケルトン図である。
【図3】(A)は発進時におけるサンギア、キャリア、リングギアの回転状態およびトルク作用状態の一例を示す説明図であり、(B)は発進時におけるモータジェネレータ、駆動輪、フライホイールの回転数の推移の一例を示す線図である。
【図4】(A)および(B)は発進時における電力およびトルクの入出力状態の一例を示す説明図である。
【図5】(A)は減速時におけるサンギア、キャリア、リングギアの回転状態およびトルク作用状態の一例を示す説明図であり、(B)は減速時におけるモータジェネレータ、駆動輪、フライホイールの回転数の推移の一例を示す線図である。
【図6】(A)〜(C)は減速時における電力およびトルクの入出力状態の一例を示す説明図である。
【図7】(A)は加速時におけるサンギア、キャリア、リングギアの回転状態およびトルク作用状態の一例を示す説明図であり、(B)は加速時におけるモータジェネレータ、駆動輪、フライホイールの回転数の推移の一例を示す線図である。
【図8】(A)〜(C)は加速時における電力およびトルクの入出力状態の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施の形態である車両用駆動装置を示すスケルトン図である。
【図10】本発明の他の実施の形態である車両用駆動装置を示すスケルトン図である。
【図11】本発明の他の実施の形態である車両用駆動装置を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
【0054】
10 車両用駆動装置
12 エンジン
19 駆動輪
20 複合遊星歯車機構
21 シングルピニオン遊星歯車機構
22 ダブルピニオン遊星歯車機構
30 ハイブリッド制御ユニット(モータ制御手段)
40 車両用駆動装置
41 入力側クラッチ機構
50 車両用駆動装置
51 出力側クラッチ機構
60 車両用駆動装置
64 複合遊星歯車機構
65 シングルピニオン遊星歯車機構(第1シングルピニオン遊星歯車機構)
66 シングルピニオン遊星歯車機構(第2シングルピニオン遊星歯車機構)
M1 モータジェネレータ(第1モータジェネレータ)
M2 モータジェネレータ(第2モータジェネレータ)
FW フライホイール
S1 サンギア(第1モータ連結要素)
S2 サンギア(第2モータ連結要素)
C キャリア(入出力要素)
R リングギア(ホイール連結要素)
Sa1 サンギア(第1モータ連結要素)
Sa2 サンギア(第2モータ連結要素)
C1 キャリア(ホイール連結要素)
C2 キャリア(入出力要素)
R1 リングギア(入出力要素)
R2 リングギア(ホイール連結要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪に連結される入出力要素を備える複合遊星歯車機構と、
前記複合遊星歯車機構のホイール連結要素に連結され、回転力を運動エネルギとして蓄えるフライホイールと、
前記複合遊星歯車機構の第1モータ連結要素に連結され、力行状態と発電状態とに切り換えられる第1モータジェネレータと、
前記複合遊星歯車機構の第2モータ連結要素に連結され、力行状態と発電状態とに切り換えられる第2モータジェネレータと、
前記第1モータジェネレータと前記第2モータジェネレータとをそれぞれに制御するモータ制御手段とを有することを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用駆動装置において、
前記モータ制御手段は、前記第1モータジェネレータと前記第2モータジェネレータとをそれぞれに制御することにより、前記入出力要素を加速させるときには前記フライホイールを減速させ、前記入出力要素を減速させるときには前記フライホイールを加速させることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用駆動装置において、
前記複合遊星歯車機構は、シングルピニオン遊星歯車機構とダブルピニオン遊星歯車機構とを組み合わせた複合遊星歯車機構であることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用駆動装置において、
前記入出力要素は、前記複合遊星歯車機構を構成するキャリアまたはリングギアの一方であり、
前記ホイール連結要素は、前記複合遊星歯車機構を構成する前記キャリアまたは前記リングギアのうちの他方であり、
前記第1モータ連結要素は、前記シングルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであり、
前記第2モータ連結要素は、前記ダブルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の車両用駆動装置において、
前記複合遊星歯車機構は、第1シングルピニオン遊星歯車機構と第2シングルピニオン遊星歯車機構とを組み合わせた複合遊星歯車機構であることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項6】
請求項5記載の車両用駆動装置において、
前記入出力要素は、前記第1シングルピニオン遊星歯車機構を構成するリングギアおよび前記第2シングルピニオン遊星歯車機構を構成するキャリアであり、
前記ホイール連結要素は、前記第1シングルピニオン遊星歯車機構を構成するキャリアおよび前記第2シングルピニオン遊星歯車機構を構成するリングギアであり、
前記第1モータ連結要素は、前記第1シングルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであり、
前記第2モータ連結要素は、前記第2シングルピニオン遊星歯車機構を構成するサンギアであることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用駆動装置において、
前記入出力要素に連結されるエンジンを有することを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項8】
請求項7記載の車両用駆動装置において、
前記エンジンと前記入出力要素との間に、締結状態と解放状態とに切り換えられる入力側クラッチ機構を有することを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の車両用駆動装置において、
前記入出力要素と前記駆動輪との間に、締結状態と解放状態とに切り換えられる出力側クラッチ機構を有することを特徴とする車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−6306(P2010−6306A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170417(P2008−170417)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】