説明

車両管理システム

【課題】操作者/運転者が駐車中の車両から離れた位置に所在している場合であっても、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避できるようにする。
【解決手段】緊急対応時になったことが第1判定手段105によって検知され、且つ、操作者が車両に対する緊急対応可能な状況でないと第2判定手段106によって判定された場合、選択手段107が、予め登録された権限委譲候補者の中から車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択し、権限委譲者宛通知手段109が、選択された権限委譲者に、車両に対する緊急対応を依頼する旨を、車両位置検出手段21によって検出された車両の現在位置に関する情報とともに通知し、生体認証管理手段104が、生体認証に際し利用者(権限委譲者)によって入力された照合用生体情報と当該権限委譲者について予め登録された登録生体情報とを比較照合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System;道路交通情報通信システム)などによってリアルタイムで提供される局地的な気象情報や災害情報に基づいて、自動車等の車両を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に伴い集中豪雨が多発している。このような集中豪雨のために、通常では考えられない雨量の雨が局地的に且つ一時的に降り、予想もしない場所で河川が氾濫するなどの災害が発生している。その氾濫エリアに自動車等の車両を駐車している場合、予期せず車両を水没させてしまい、甚大な被害を被るおそれがある。
【0003】
そこで、下記特許文献1では、市町村,河川流域等の小エリアに対してきめ細かく、ポイント,ポイントで危険を知らせるアラーム通報システムであって、危険が想定されるエリア内の携帯電話機,モバイル端末の利用者や危険を知りたい人等に対し、雨量や水位等に基づいて得られたアラーム情報を通報するシステムが開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、局地的な気象情報や災害情報の実測値を車載ナビゲーション装置に配信することにより、気象情報や災害情報を経路探索に反映できるようにして、安全な誘導経路を確実に探索可能にした、ナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−350559号公報
【特許文献2】特開2003−329472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたシステムによれば、利用者に対し、当該利用者所有の車両を駐車した場所についてのアラーム情報の通知が可能になるが、当該利用者が車両から離れた場所に居る場合には、アラーム情報の通知を受けても、利用者は、直ちに車両を移動させることができず、水没等の被害を回避することができない。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されたシステムは、車載ナビゲーション装置によって提供される情報を参照しながら車両を運転している場合に極めて有効であり、利用者は、気象情報や災害情報を反映された経路探索結果に基づいて、災害等の可能性の高いエリアを回避しながら車両を移動させることができるが、このシステムでも、利用者が直ちに車両に乗車できる範囲に居なければ車両を移動させることができず、水没等の被害を回避することができない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、利用者(車両を通常操作する操作者/運転者)が駐車中の車両から離れた位置に所在している場合であっても、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の車両管理システム(請求項1)は、利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構および生体認証式起動機構を有する車両を管理するものであって、前記車両を通常操作する操作者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、前記車両に対する緊急対応時に前記車両の操作権限を前記操作者から委譲されうる、少なくとも一の権
限委譲候補者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存する保存手段と、通常時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、前記車両に対する緊急対応時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者および前記権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させる生体認証管理手段と、前記車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、前記車両の操作者の所在位置を検出する操作者位置検出手段と、前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置との位置関係に基づき、前記操作者が前記車両に対する緊急対応可能な状況であるか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段によって前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定された場合、前記保存手段に登録された前記少なくとも一の権限委譲候補者の中から前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された権限委譲者に、前記車両に対する緊急対応を依頼する旨を、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に関する情報とともに通知する権限委譲者宛通知手段とをそなえてされている構成され、前記生体認証管理手段が、前記選択手段によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を前記保存手段から読み出し、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを比較照合させることを特徴としている。
【0009】
このような車両管理システムにおいて、前記権限委譲者宛通知手段による通知に対し当該権限委譲者から前記依頼に応じる旨の回答があった場合、前記生体認証管理手段が、前記選択手段によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を前記保存手段から読み出し、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを比較照合させる一方、前記権限委譲者宛通知手段による通知に対し当該権限委譲者から前記依頼に応じられない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記選択手段が、当該権限委譲者を除く他の権限委譲候補者の中から、前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択してもよい(請求項2)。
【0010】
また、前記第2判定手段によって前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定された場合、前記操作者に、前記車両に対する緊急対応を行なうべき旨を通知する操作者宛通知手段をそなえて構成されていてもよく(請求項3)、この場合、前記操作者宛通知手段による通知に対し前記操作者から緊急対応を行なう旨の回答があった場合、前記生体認証管理手段が、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方、前記操作者宛通知手段による通知に対し前記操作者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記選択手段が、前記保存手段に登録された前記少なくとも一の権限委譲候補者の中から、前記車両に対する緊急対応の可能な状況の候補者を権限委譲者として選択する(請求項4)。
【0011】
さらに、前記選択手段が、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置の属するエリアと同一エリア内に所在する権限委譲候補者、もしくは、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に最も近い位置に所在する権限委譲候補者を、前記権限委譲者として選択してもよく(請求項5)、この場合、前記選択手段が、前記権限委譲候補者について予め登録されている居所または住所に関する情報に基づき、もしくは、前記権限委譲候補者が所持している携帯端末装置の位置検出機能によって得られる所在位置情報に基づき、前記権限委譲者を選択してもよい(請求項6)。
【0012】
また、前記第2判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置との距離が所定値以内である場合、前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定する一方、前記距離が前記所定値を超えている場合、前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定してもよいし、前記第2判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置とが同一エリアに属する場合、前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定する一方、同一エリアに属していない場合、前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定してもよい。
【0013】
さらに、前記第1判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置が、緊急気象情報もしくは緊急災害情報を発令され前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応エリアに属しているか否かによって、前記車両に対する緊急対応時であるか否かを判定してもよく(請求項7)、この場合、前記第1判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置の属する現在エリアにおける最新の気象情報もしくは災害情報を情報提供システムから取得し、取得された最新の気象情報もしくは災害情報に基づき、前記車両の現在位置が前記緊急対応エリアに属しているか否かを判定してもよいし、前記第1判定手段は、緊急気象情報もしくは緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに関する情報を情報提供システムから取得し、取得された情報に基づき、前記車両の現在位置が前記緊急対応エリアに属しているか否かを判定してもよい。
【0014】
なお、前記選択手段によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記生体認証式ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる開錠・起動制御手段をそなえてもよいし、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記生体認証式ロック機構の施錠状態を維持したまま前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる起動制御手段をそなえてもよい(請求項9)。
【0015】
一方、本発明の車両管理システム(請求項8)は、利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構および生体認証式起動機構を有する車両を管理するものであって、前記車両を通常操作する操作者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、前記車両に対する緊急対応時に前記車両の操作権限を前記操作者から委譲されうる、少なくとも一の権限委譲候補者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存する保存手段と、前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を前記操作者に通知する操作者宛通知手段と、通常時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者および前記権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させる生体認証管理手段とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0016】
このような車両管理システムにおいて、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記生体認証式ロック機構の施錠状態を維持したまま前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる起動制御手段をそなえてもよい(請求項9)。また、前記操作者からの遠隔指示に応じて、前記生体認証式ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる開錠・起動制御手段をさらにそなえて構成されていてもよい。
【0017】
また、本発明の車両管理システム(請求項10)は、所定操作に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なうロック機構および起動機構を有する車両を管理するものであって、前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる開錠・起動制御手段とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0018】
このような車両管理システムにおいて、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を、前記車両を通常操作する操作者に通知する操作者宛通知手段をそなえてもよいし、前記車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置近辺に所在しうる前記操作者との関係者に、前記車両に対する緊急対応を依頼する旨を、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に関する情報とともに通知する通知手段とをそなえてもよい。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明の車両管理システムによれば、車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時になると、緊急対応時になったことが第1判定手段によって検知され、車両位置検出手段によって検出された車両の現在位置と操作者位置検出手段によって検出された操作者の所在位置との位置関係に基づき、操作者が車両に対する緊急対応可能な状況であるか否かが第2判定手段によって判定される。そして、操作者が緊急対応可能な状況でないと判定された場合、予め登録された権限委譲候補者の中から前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者が権限委譲者として選択され、選択された権限委譲者に、車両に対する緊急対応を依頼する旨が、車両位置検出手段によって検出された車両の現在位置に関する情報とともに通知され、それ以後、生体認証に際し利用者(権限委譲者)によって入力された照合用生体情報と当該権限委譲者について予め登録された登録生体情報とが比較照合されることになる。
【0020】
従って、操作者が車両から離れた位置に所在し直ちに車両の操作を行なえない状況である時に当該車両が水没等の被害に遭遇する可能性の高い状況が生じると、予め登録された権限委譲候補者の中から、直ちに車両に対する対応を実行可能な候補者が権限委譲者として選択され、その権限委譲者は、その旨の通知を受けると、車両の現在位置に関する情報を参照しながら車両の現在位置まで出向き生体情報を入力すると、当該権限委譲者の登録生体情報に基づく生体認証が行なわれ、車両の開錠およびエンジン起動が行なわれる。つまり、予め登録しておけば操作者以外の権限委譲者が車両の開錠・エンジン起動を行なって当該車両の操作を行なうことが可能になる。
【0021】
これにより、操作者が駐車中の車両から離れた位置に所在している場合であっても、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。このとき、緊急対応を依頼する旨の通知に際して、車両の現在位置に関する情報も通知されるので、権限委譲者は、その情報を参照しながら直ちに当該車両の位置まで出向くことができる。
【0022】
なお、第2判定手段によって操作者が緊急対応可能な状況であると判定された場合、その操作者に対し、緊急対応を行なうべき旨を通知することにより、操作者は、その通知によって車両の状況を認識して直ちに緊急対応を実行し、車両の開錠・エンジン起動を行なって当該車両の操作を行なうことが可能になる。これにより、操作者が駐車中の近くに所在している場合には、操作者自身によって、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積
極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0023】
ただし、操作者に対する緊急対応通知に対し操作者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合には、前述と同様、予め登録された権限委譲候補者の中から権限委譲者が選択され、その権限委譲者に緊急対応を依頼することが可能になっている。これにより、操作者が駐車中の車両の近くに所在しているが、何らかの理由で緊急対応を行なえない場合や緊急対応通知に気が付かないような場合には、権限委譲者による緊急対応が可能になり、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0024】
また、選択手段によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、生体認証を行なうことなく生体認証式ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに、同じく生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構によって車両のエンジンを起動させておくことにより、誰でもその車両を使用可能な状態にする。
【0025】
つまり、操作者自身や全ての権限委譲候補者が車両に対する緊急対応を行なえない状況で車両が開錠もエンジン起動もしないままでは、誰も一切その車両は使用できず水没等の被害を被るのを待つだけとなってしまうので、その車両をいっそ誰でも使える状況にすることで、その車両の近くに居る人によって車両を緊急対応エリア外における安全なエリアへ退避させてもらえる可能性が残るだけでなく、緊急対応エリア内に居る人が、その緊急対応エリアから迅速に退避するための手助けとしてその車両を利用可能になり、人的被害を最小限に抑えることができる。
【0026】
さらに、第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、生体認証式ロック機構の施錠状態を維持したまま、生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構によって車両のエンジンを起動させておくことにより、緊急対応を行なうべく車両の位置まで出向いた権限委譲者や操作者は、生体認証を行なって生体認証式ロック機構を開錠するだけで、エンジン起動を行なう必要がなく、速やかに適切な対応(緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)をとることができ、権限委譲者や操作者の安全を確保できるとともに、当該車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0027】
一方、上述した本発明の車両管理システムによれば、車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時(例えば車両が緊急気象情報や緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに駐車している時)になると、緊急対応時になったことが第1判定手段によって検知され、その旨が操作者に対し通知されるとともに、それ以後、生体認証に際し、利用者(操作者もしくは権限委譲者)によって入力された照合用生体情報と予め登録された登録生体情報のそれぞれとが比較照合され、照合用生体情報が登録生体情報のいずれか一つと一致した場合にその利用者が登録者本人であるとして認証されることになる。
【0028】
上述のような通知を受けた操作者は、車両に対する緊急対応を行なうべき状況であることを認識し、自ら緊急対応を行なうことが可能であれば車両の位置まで出向く一方、緊急対応を行なえない場合には、自ら携帯電話や電子メールなどを用いて、車両近辺に居る友人,近親者等の権限委譲候補者に緊急対応可能であるか打診・依頼することが可能になる。そして、その依頼に応じた権限委譲者は、車両の現在位置まで出向き生体情報を入力すると、当該権限委譲者の登録生体情報に基づく生体認証が行なわれ、車両の開錠およびエンジン起動が行なわれる。つまり、予め登録しておけば権限委譲者としての友人,近親者等が車両の開錠・エンジン起動を行なって当該車両の操作を行なうことが可能になる。これにより、操作者が駐車中の車両から離れた位置に所在している場合であっても、当該車
両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0029】
なお、この場合も、第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、生体認証式ロック機構の施錠状態を維持したまま、生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構によって車両のエンジンを起動させておくことにより、上述と同様の作用効果が得られる。さらに、操作者が誰にも操作権限を委譲できなかった場合には、操作者が遠隔指示を行なって、生体認証を行なうことなく生体認証式ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに、同じく生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構によって車両のエンジンを起動させておくことにより、誰でもその車両を使用可能な状態にすることができ、上述と同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
また、本発明の車両管理システムによれば、車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時になると、緊急対応時になったことが第1判定手段によって検知され、その検知に応じて、ロック機構が開錠状態に切り換えられるとともに起動機構によって車両のエンジンが起動される。これにより、誰でもその車両を使用可能な状態になるので、その車両の近くに居る人によって車両を緊急対応エリア外における安全なエリアへ退避させてもらえる可能性が残るだけでなく、緊急対応エリア内に居る人が、その緊急対応エリアから迅速に退避するための手助けとしてその車両を利用可能になり、人的被害を最小限に抑えることができる。
【0031】
このとき、緊急対応時になった旨を操作者に通知することにより、その通知を受けた操作者は、車両に対する緊急対応を行なうべき状況であることを認識し、自ら緊急対応を行なうことが可能であれば車両の位置まで出向く一方、緊急対応を行なえない場合には、自ら携帯電話や電子メールなどを用いて、車両近辺に居る友人,近親者等の関係者に緊急対応可能であるか打診・依頼することが可能になる。そして、その依頼に応じた関係者が車両の現在位置まで出向くと、その車両については既に開錠およびエンジン起動が行なわれているので、当該関係者は、開錠/エンジン起動のための所定操作を行なうことなく、速やかに適切な対応をとることができ、当該関係者の安全を確保できるとともに、当該車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0032】
また、緊急対応時になったことが第1判定手段によって検知されると、車両位置検出手段によって検出された車両の現在位置近辺に所在しうる操作者との関係者に、車両に対する緊急対応を依頼する旨を、車両位置検出手段によって検出された車両の現在位置に関する情報とともに通知することにより、その依頼に応じた関係者は、車両の現在位置に関する情報を参照しながら車両の現在位置まで直ちに出向くことができ、さらには、車両の現在位置に到着すると、前述したように、その関係者は、開錠/エンジン起動のための所定操作を行なうことなく、速やかに適切な対応をとることができ、当該関係者の安全を確保できるとともに、当該車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。特に、この場合、操作者は、自ら関係者に緊急対応可能であるか打診・依頼する必要がなくなり利便性が高まるだけでなく、自動的に関係者に対し依頼することができ、より迅速な対応をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔1〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態としての車両管理システムの構成を示すブロック図で、この図1に示す第1実施形態の車両管理システム1Aは、例えば自動車等の車両(図示略)に搭載され当該車両を管理するもので、特に、この第1実施形態の車両管理システム1A
の管理対象車両は、利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構51および生体認証式起動機構52を有している。
【0034】
生体認証式ロック機構51は、例えば自動車のドア(図示略)の施錠/開錠を行なうものである。このドアの外面には、開錠時に利用者から照合用生体情報を採取するためのセンサ61がそなえられており、利用者(運転者/操作者や後述する権限委譲者)が上記ドアを開けるべくロック機構51を開錠する際、利用者は、センサ61から照合用生体情報を入力する。入力された照合用生体情報は、後述する認証手段103において登録生体情報と比較照合され、利用者が登録者本人であることが認証された場合、後述する開錠制御手段101によってロック機構51は施錠状態から開錠状態に切り換えられるようになっている。
【0035】
生体認証式起動機構52は、例えば自動車のエンジン(図示略)の起動を行なうものである。車両内には、エンジン起動時に利用者から照合用生体情報を採取するためのセンサ62がそなえられており、利用者(運転者/操作者や後述する権限委譲者)が起動機構52によって上記エンジンを起動する際、利用者は、センサ61から照合用生体情報を入力する。入力された照合用生体情報は、ロック機構51の開錠時と同様、後述する認証手段103において登録生体情報と比較照合され、利用者が登録者本人であることが認証された場合、後述する起動制御手段102によって起動機構52は制御されて上記エンジンを起動するようになっている。
【0036】
なお、センサ61,62によって生体認証のために採取される生体情報は、例えば指紋,掌紋,虹彩(虹彩筋肉紋様),音声,顔画像,血管パターン(眼底網膜血管網,静脈血管網)などであり、開錠時とエンジン起動時とでは、同一種類の生体情報による生体認証を行なってもよいし、異なる種類の生体情報による生体認証を行なってもよい。
【0037】
そして、第1実施形態の車両管理システム1Aは、図1に示すように、CPU10,車載ナビゲーション装置20,送受信部30および記憶部40をそなえて構成されている。
車載ナビゲーション装置20は、自動車等の車両に搭載され、GPS(Global Positioning System)機能を用いて誘導経路情報を含む各種道路情報を車両の操作者(運転者)
に対し提供する一般的なものである。車両管理システム1Aでは、上述のような一般的な車載ナビゲーション装置20が元々有している機能を用いて車両位置検出手段21およびVICS情報受信手段22としての機能が実現されている。
【0038】
ここで、車両位置検出手段21は、上記GPS機能を用いて車両の現在位置(緯度・軽度情報等)を検出するものであり、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信手段22は、図示しないVICSセンタ(道路交通情報通信システムセンタ;情報提供システム)からリアルタイムで提供される、局地的な環境情報や交通情報を含むVICSを受信するものである。この局地的な環境情報としては、気象情報や災害情報、特に、気象庁から発令される記録的短時間大雨情報,気象警報,津波警報などの緊急気象情報/緊急災害情報が含まれている。なお、VICSは高度道路交通システム(ITS)の一環として警察庁,総務省,国土交通省などが共同で推進しており、財団法人道路交通情報通信システムセンタがシステムの開発・運用にあたっている。
【0039】
送受信部30は、アンテナ等を含み、運転者/操作者や後述する権限委譲候補者などの所持する携帯電話(携帯端末装置;図示略)と一般的な公衆回線等を介して通信を行なうもので、後述するCPU10に接続され、このCPU10によって制御され、後述するごとくCPU10と協働して位置検出手段108,通知手段109および回答受信手段110としての機能を果たすものである。
【0040】
記憶部40は、例えばハードディスク,ROM(Read Only Memory),RAM(Random
Access Memory)などによって構成され、保存手段41として機能する。この保存手段41(記憶部40)は、管理対象車両を通常操作する操作者について生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、管理対象車両に対する緊急対応時に当該管理対象車両の操作権限(運転権限)を前記操作者から委譲されうる、複数の権限委譲候補者について生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するものである。また、保存手段41には、操作者や権限委譲候補者の登録生体情報のほか、操作者や各権限委譲候補者の連絡先情報(携帯電話の電話番号や電子メールアドレス)や、各権限委譲候補者の住所や居所に関する情報なども予め登録・保存されている。
【0041】
ここで、管理対象車両を通常操作する操作者、つまり管理対象車両を通常運転する運転者は、当該車両の所有者本人である場合もあるし、当該車両の所有者から当該車両を貸与されている者である場合もある。また、権限委譲候補者は、操作者(運転者)の友人,近親者等であり、その候補者としては、できれば当該車両を駐車する可能性の高いエリアと同一のもしくは近くのエリアに所在する可能性の高い者を登録することが望ましい。
【0042】
CPU(Central Processing Unit)10は、例えば車両の各種機器を制御するために
元々搭載されているものを用いて構成され、このCPU10に、第1実施形態の車両管理システム1Aでは、開錠制御手段101,起動制御手段102,認証手段103,生体認証管理手段104,第1判定手段105,第2判定手段106,選択手段107,位置検出手段108,通知手段109および回答受信手段110としての機能を実行させる。なお、位置検出手段108,通知手段109および回答受信手段110としての機能は、前述したようにCPU10と送受信部30とが協働することによって実現される。
【0043】
認証手段103は、開錠時またはエンジン起動時に利用者によってセンサ61または62から照合用生体情報が入力されると、入力された照合用生体情報と、後述する生体認証管理手段104によって管理される登録生体情報とを比較照合し、これらが一致すると判定された場合には、照合用生体情報を入力した利用者が登録者(操作者もしくは権限委譲者)本人であることを認証するものである。なお、照合用生体情報と登録生体情報とが一致しないと場合には、アラーム通報(警告ブザー鳴動,警告ランプ点滅など)が行なわれる。
【0044】
開錠制御手段101は、生体認証式ロック機構51の駆動制御を行なって生体認証式ロック機構51を施錠状態から開錠状態に切り換えるもので、その切換タイミングは、ドア開錠時にセンサ61から入力された照合用生体情報に基づいて認証手段103により利用者の本人認証が行なわれた場合のほか、後述する選択手段107によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは後述する通知手段109によって権限委譲者への通知を行なってから所定時間以上経過しても回答のない場合とする。
【0045】
起動制御手段102は、生体認証式起動機構52の駆動制御を行なって管理対象車両のエンジンを起動させるもので、その起動タイミングは、エンジン起動時にセンサ62から入力された照合用生体情報に基づいて認証手段103により利用者の本人認証が行なわれた場合のほか、本実施形態では、後述する第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合とする。なお、後述する選択手段107によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは後述する通知手段109によって権限委譲者への通知を行なってから所定時間以上経過しても回答のない場合を起動タイミングとしてもよい。
【0046】
位置検出手段108は、運転者/操作者が管理対象車両の車内に居ない場合に、管理対象車両の運転者/操作者の所在位置を検出する操作者位置検出手段として機能するほか、上記権限委譲候補者の所在位置を検出する機能も果たすものである。つまり、位置検出手段108は、送受信部30の機能を用いて、運転者/操作者や権限委譲候補者などの所持する携帯電話と通信を行ない、当該携帯電話のGPS機能で得られた位置情報や通信時の経由基地局位置情報に基づいて、運転者/操作者や権限委譲候補者などの所在位置を検出するようになっている。なお、運転者/操作者が管理対象車両の車内に居るか否かについては、位置検出手段108の上記操作者位置検出手段としての機能を用いて検知することも可能であるが、車両に元々そなえられた、運転者/操作者の有無を検知するセンサを用いて検知することも可能である。
【0047】
通知手段109は、後述する第2判定手段106によって、車外に居る運転者/操作者が緊急対応可能な状況であると判定された場合、その運転者/操作者に、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき旨を通知する操作者宛通知手段としての機能を果たすほか、後述する選択手段107によって選択された権限委譲者に、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨を、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に関する情報とともに通知する権限委譲者宛通知手段としての機能を果たすものである。
【0048】
このとき、通知手段109は、例えば、保存手段41から、通知対象者(運転者/操作者や権限委譲者/権限委譲候補者)が所持する携帯電話についての電子メールアドレスを読み出し、電子メールによって通知対象者の携帯電話に対する通知を行なう。また、通知手段109による通知内容には、上述した情報のほかに、管理対象車両に対する緊急対応の依頼に応じるか否かについてを当該電子メール(音声情報)に対する返信として回答するよう、通知対象者に指示する旨も含まれている。なお、電子メールアドレスに代えて電話番号を読み出し音声情報によって通知を行なってもよい。
【0049】
回答受信手段110は、上述のごとく通知手段109による通知に対し、通知対象者によって行なわれた回答(返信メール;管理対象車両に対する緊急対応の依頼に応じるか否かの情報を含む回答)を受信するものである。
生体認証管理手段104は、通常時には認証手段103による生体認証に際してセンサ61,62から入力された照合用生体情報と保存手段41における運転者/操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、管理対象車両に対する緊急対応時には認証手段103による生体認証に際してセンサ61,62から入力された照合用生体情報と保存手段41における運転者/操作者および権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させるものである。
【0050】
つまり、管理対象車両に対する緊急対応時に、生体認証管理手段104は、回答受信手段110で受信された返信メールで、管理対象車両に対する緊急対応の依頼に応じる旨の回答を行なった通知対象者(運転者/操作者や権限委譲者/権限委譲候補者)についての登録生体情報を保存手段41から読み出し、その登録生体情報と照合用生体情報との1対1の比較照合を認証手段103に実行させる。なお、特定の登録生体情報と照合用生体情報との1対1の比較照合を行なう代わりに、管理対象車両に対する緊急対応時に、生体認証管理手段104は、照合用生体情報と保存手段41における全ての登録生体情報との1対多の比較照合を認証手段103に実行させるようにしてもよい。
【0051】
第1判定手段105は、管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定するもので、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置が、緊急気象情報/緊急災害情報等を発令され管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応エリアに属しているか否かによって、管理対象
車両に対する緊急対応時であるか否かを判定するものである。ここで、緊急対応とは、例えば、管理対象車両が、記録的短時間大雨情報,大雨洪水警報,津波警報などが発令された緊急対応エリアに駐車されていて水没する可能性があるような場合に、管理対象車両を緊急対応エリア外に移動させることをいう。
【0052】
より具体的に説明すると、この第1判定手段105は、管理対象車両の現在位置を車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21から取得してから、その現在位置の属する現在エリアにおける最新(リアルタイム)の気象情報/災害情報を含むVICS情報を、VICSセンタ(情報提供システム)からVICS情報受信手段22によって受信し、VICS情報における気象情報/災害情報に基づき、管理対象車両の現在位置が緊急対応エリアに属しているか否かを判定する。
【0053】
なお、第1判定手段105は、先に、緊急気象情報/緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに関する情報を含むVICS情報を、VICSセンタ(情報提供システム)からVICS情報受信手段22によって受信してから、その情報に基づき、車両位置検出手段21から得られた管理対象車両の現在位置が緊急対応エリアに属しているか否かを判定してもよい。
【0054】
第2判定手段106は、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置と位置検出手段108によって検出された運転者/操作者の所在位置との位置関係に基づき、運転者/操作者が管理対象車両に対する緊急対応可能な状況であるか否かを判定するものである。
【0055】
より具体的に説明すると、この第2判定手段106は、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置と位置検出手段108によって検出された運転者/操作者の所在位置との距離が所定値以内である場合、運転者/操作者が緊急対応可能な状況であると判定する一方、その距離が前記所定値を超えている場合、運転者/操作者が緊急対応可能な状況でないと判定してもよいし、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置と位置検出手段108によって検出された運転者/操作者の所在位置とが同一エリアに属する場合、運転者/操作者が緊急対応可能な状況であると判定する一方、同一エリアに属していない場合、運転者/操作者が緊急対応可能な状況でないと判定してもよい。
【0056】
このようにして第2判定手段106により車外に居る運転者/操作者が緊急対応可能な状況(直ぐに管理対象車両に戻ってこれる位置に所在している場合)であると判定された場合、通知手段109によって、その運転者/操作者に、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき旨が通知される。
【0057】
選択手段107は、第2判定手段106によって運転者/操作者が緊急対応可能な状況でないと判定された場合、もしくは、通知手段109による通知に対し運転/操作者から緊急対応を行なえない旨の回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信された場合もしくは通知手段109による通知後に所定時間以上経過しても回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信されない場合、保存手段41に登録された複数の権限委譲候補者の中から管理対象車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択するものである。
【0058】
より具体的に説明すると、選択手段107は、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置の属するエリアと同一エリア内に所在する権限委譲候補者、もしくは、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に最も近い位
置に所在する権限委譲候補者を、権限委譲者として選択する。このとき、選択手段107が、権限委譲候補者について保存手段41に予め登録されている居所または住所に関する情報に基づいて権限委譲者を選択してもよいし、権限委譲候補者が所持している携帯電話(携帯端末装置)の位置検出機能によって得られる所在位置情報(位置検出手段108によって検出された権限委譲候補者の所在位置)に基づいて権限委譲者を選択してもよい。
【0059】
このようにして選択手段107により選択された権限委譲者に対し、通知手段109によって、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨が、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に関する情報とともに通知される。また、生体認証管理手段104は、上述のごとく選択手段107によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を保存手段41から読み出し、認証手段103による生体認証に際してセンサ61,62からの照合用生体情報と保存手段41から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを1対1で比較照合させてもよい。
【0060】
なお、通知手段109による通知に対し当該権限委譲者から依頼に応じられない旨の回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信された場合もしくは通知手段109による通知後に所定時間以上経過しても回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信されない場合、選択手段107は、当該権限委譲者を除く他の権限委譲候補者の中から、管理対象車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択する。
【0061】
また、本実施形態では、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合には、生体認証式ロック機構51の施錠状態を維持したまま、起動制御手段102が、生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させる。
【0062】
さらに、選択手段107によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは通知手段109による通知後に所定時間以上経過しても回答のない場合には、開錠制御手段101が、生体認証式ロック機構51を開錠状態に切り換える。ただし、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定した際に管理対象車両のエンジンを起動させていない場合には、開錠切換と同時に、起動制御手段102が、生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させる。
【0063】
また、第1判定手段105は、常時、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21およびVICS情報受信手段22によって得られる最新(リアルタイム)の情報に基づいて、管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かを判定しており、緊急対応時と判定した後、緊急対応状況が解消され(つまり、管理対象車両が緊急対応エリア外に出た場合や発令された警報等が解除され)、緊急対応時でないと判定すると、車両管理システム1Aの状況をリセットする。つまり、運転者/操作者が車両内に居ない状態で、エンジンを起動させている場合にはエンジンを停止させるとともに、ロック機構51が開錠状態である場合には施錠状態に切り換え、さらに、生体認証管理手段104によって、認証手段103による生体認証に際してセンサ61,62から入力された照合用生体情報と保存手段41における運転者/操作者についての登録生体情報との1対1認証を実行させる。
【0064】
さらに、運転者/操作者もしくは権限委譲者が管理対象車両内に居る際に、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定されている場合には、車載ナビゲーション装置20においては、アラーム通報(警告ブザー鳴動,警告ランプ点滅など)が行なわれるとともに、緊急対応エリアの外に出るための最短経路案内が表示される。上記アラーム通報および最短経路案内は、管理対象車両が緊急対応エリアの外に出るまで、もしくは、発令された警報等が解除されるまで行なわれるように構成する。
【0065】
次に、図2に示すフローチャート(ステップS11〜S38)に従って、図1に示す車両管理システム1Aの動作について説明する。
車両管理システム1Aにおいては、常時(実際には所定制御周期毎に)、管理対象車両の現在位置が、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21から取得するとともに(ステップS11)、その現在位置の属する現在エリアにおける最新の気象情報/災害情報を含むVICS情報が、VICSセンタからVICS情報受信手段22によって受信され(ステップS12)、第1判定手段105によって、VICS情報における気象情報/災害情報に基づき、管理対象車両の現在位置が緊急対応エリアに属しているか否か、つまり管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かが判定される(ステップS13)。
【0066】
緊急対応時であると判定されると(ステップS13のYESルート)、管理対象車両内に運転者/操作者が居るか否かが、位置検出手段108や図示省略のセンサによって検知され(ステップS14)、管理対象車両内に運転者/操作者が居る場合(ステップS14のYESルート)、車載ナビゲーション装置20により、緊急対応時である旨のアラーム出力が運転者/操作者に対して行なわれるとともに(ステップS15)、緊急対応エリアの外に出るための最短経路案内が表示される(ステップS16)。
【0067】
このアラーム出力および最短経路案内は、管理対象車両が緊急対応エリアの外に出るまで、もしくは、発令された警報等が解除されるまで継続して行なわれ(ステップS17のNOルート)、管理対象車両が緊急対応エリアの外に出るか、発令された警報等が解除されると(つまり第1判定手段106によって緊急対応時ではなくなったと判定されると;ステップS17のYESルート)、アラーム出力が停止されるとともに最短経路案内を終了してから(ステップS18)、ステップS11の処理に戻る。
【0068】
一方、管理対象車両内に運転者/操作者が居ない場合(ステップS14のNOルート)、位置検出手段108によって、運転者/操作者の所持する携帯電話と通信を行ない運転者/操作者の所在位置が検出されるとともに(ステップS19)、生体認証式ロック機構51の施錠状態を維持したまま、起動制御手段102によって生体認証式起動機構52が制御されて管理対象車両のエンジンが起動される(ステップS20)。
【0069】
そして、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置と位置検出手段108によって検出された運転者/操作者の所在位置との位置関係に基づき、第2判定手段106によって、運転者/操作者が管理対象車両に対する緊急対応可能な状況であるか否か(例えば、管理対象車両の現在位置と運転者/操作者の所在位置との距離が所定値以内であるか否か、あるいは、管理対象車両の現在位置と運転者/操作者の所在位置とが同一エリアであるか否か)が判定される(ステップS21)。
【0070】
第2判定手段106によって、車外に居る運転者/操作者が緊急対応可能な状況(直ぐに管理対象車両に戻ってこれる位置に所在している場合)であると判定された場合(ステップS21のYESルート)、通知手段109によって、その運転者/操作者に、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき旨が通知される(ステップS22)。
【0071】
その通知に応じて、通知手段109による通知後、所定時間以内に運転者/操作者からの回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信され且つその回答内容が緊急対応を行なう旨の通知であり且つ所定時間以内に運転者/操作者による管理対象車両の開錠操作が行なわれた場合(ステップS23のYESルート,ステップS25のYESルートおよびステップS24のYESルート)、もしくは、運転者/操作者からの回答(返信メール)はないが通知手段109による通知後の所定時間以内に運転者/操作者による管理
対象車両の開錠操作が行なわれた場合(ステップS23のNOルートおよびステップS24のYESルート)には、ステップS15の処理へ移行し緊急対応エリア外へ案内する。
【0072】
また、上記通知に応じて、通知手段109による通知後、所定時間以内に運転者/操作者からの回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信されたがその回答内容が緊急対応を行なわない旨の通知であった場合(ステップS23のYESルートおよびステップS25のNOルート)、もしくは、通知手段109による通知後、所定時間以内に運転者/操作者からの回答(返信メール)も運転者/操作者による管理対象車両の開錠操作も行なわれなかった場合(ステップS23のNOルート,ステップS24のNOルートおよびステップS26のYESルート)には、選択手段107が機能し、保存手段41から権限委譲候補者の住所/居所に関する情報を参照するか、位置検出手段108によって権限委譲候補者の所在位置を検出させるかして、権限委譲候補者の所在位置を確認してから(ステップS27)、保存手段41に登録された複数の権限委譲候補者の中から、管理対象車両に対する緊急対応可能な状況の候補者、より具体的には、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置の属するエリアと同一エリア内に所在する権限委譲候補者、もしくは、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に最も近い位置に所在する権限委譲候補者が、権限委譲者として選択される(ステップS28)。
【0073】
そして、選択手段107により選択された権限委譲者に対し、通知手段109によって、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨が、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に関する情報とともに通知される(ステップS29)。
【0074】
その通知に応じて、通知手段109による通知後の所定時間以内に権限委譲者からの回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信され且つその回答内容が緊急対応を行なう旨の通知であった場合(ステップS30のYESルートおよびステップS31のYESルート)、生体認証管理手段104によって、当該権限委譲者についての登録生体情報が保存手段41から読み出され、その登録生体情報と認証手段103による生体認証に際してセンサ61からの照合用生体情報とを1対1で比較照合させる状況を設定しておく(ステップS32)。
【0075】
この後、当該権限委譲者による管理対象車両の開錠操作が行なわれると(ステップS33のYESルート)、ステップS15の処理へ移行し緊急対応エリア外へ案内する。なお、運転者/操作者の場合と同様、権限委譲者からの回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信されていないが通知手段109による通知後の所定時間以内に当該権限委譲者による管理対象車両の開錠操作が行なわれた場合にも、ステップS15の処理へ移行するようにしてもよい。
【0076】
一方、通知手段109による通知後、所定時間以内に当該権限委譲者からの回答(返信メール)が回答受信手段110によって受信されたがその回答内容が緊急対応を行なわない旨の通知であった場合(ステップS30のYESルートおよびステップS31のNOルート)、もしくは、通知手段109による通知後、所定時間以内に当該権限委譲者からの回答(返信メール)が行なわれなかった場合(ステップS30のNOルートおよびステップS35のYESルート)には、選択手段107によって、ほかに選択可能な権限委譲候補者が居るか否かを判断し(ステップS35)、居る場合(ステップS36のYESルート)、ステップS27の処理へ移行する。
【0077】
選択可能な権限委譲候補者が居ない場合(ステップS36のNOルート)、もしくは、通知手段109による通知後、所定時間を経過しても当該権限委譲者による管理対象車両
の開錠操作が行なわれない場合(ステップS33のNOルートおよびステップS34のYESルート)には、開錠制御手段101によって、生体認証式ロック機構51が施錠状態から開錠状態に切り換えられ(ステップS37)、管理対象車両を、誰でも乗車して操作・運転可能な状態にする。このような状態で誰か乗車して運転を行なった場合(ステップS38のYESルート)、ステップS15の処理へ移行し緊急対応エリア外へ案内する。
【0078】
このように本発明の第1実施形態としての車両管理システム1Aによれば、管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時(例えば管理対象車両が緊急気象情報や緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに駐車している時)になると、緊急対応時になったことが第1判定手段105によって検知され、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置と位置検出手段108によって検出された運転者/操作者の所在位置との位置関係に基づき、その運転者/操作者が管理対象車両に対する緊急対応可能な状況(管理対象車両内あるいは同車両近くに所在している状況)であるか否かが第2判定手段106によって判定される。
【0079】
そして、運転者/操作者が緊急対応可能な状況でないと判定された場合、予め登録された権限委譲候補者の中から管理対象車両に対する緊急対応可能な状況(管理対象車両近くに所在している状況)の候補者が、選択手段107により権限委譲者として選択され、選択された権限委譲者に、通知手段109によって、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨が、車両位置検出手段21によって検出された車両の現在位置に関する情報とともに通知され、それ以後、生体認証に際し利用者(権限委譲者)によって入力された照合用生体情報と当該権限委譲者について予め登録された登録生体情報とが比較照合されることになる。
【0080】
従って、操作者が管理対象車両から離れた位置に所在し直ちに管理対象車両の操作を行なえない状況である時に当該管理対象車両が水没等の被害に遭遇する可能性の高い状況が生じると、予め登録された権限委譲候補者(例えば操作者の友人,近親者等)の中から、直ちに管理対象車両に対する対応を実行可能な候補者が権限委譲者として選択され、その権限委譲者は、その旨の通知を受けると、管理対象車両の現在位置(駐車位置)に関する情報を参照しながら管理対象車両の現在位置まで出向き生体情報を入力すると、当該権限委譲者の登録生体情報に基づく生体認証が行なわれ、管理対象車両の開錠およびエンジン起動が行なわれる。つまり、予め登録しておけば、運転者/操作者本人でなくても、権限委譲者としての友人,近親者等が車両の開錠・エンジン起動を行なって管理対象車両の操作(例えば車両の緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)を行なうことが可能になる。
【0081】
これにより、運転者/操作者が駐車中の管理対象車両から離れた位置に所在している場合であっても、管理対象車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。このとき、緊急対応を依頼する旨の通知に際して、管理対象車両の現在位置に関する情報も通知されるので、権限委譲者は、その情報を参照しながら直ちに管理対象車両の位置まで出向くことができる。
【0082】
なお、第2判定手段106によって運転者/操作者が緊急対応可能な状況(管理対象車両の近くに所在している状況)であると判定された場合、その運転者/操作者に対し、通知手段109によって、緊急対応を行なうべき旨を通知することにより、操作者は、その通知によって管理対象車両の状況を認識して直ちに緊急対応を実行し、管理対象車両の開錠・エンジン起動を行なって当該車両の操作(例えば管理対象車両の緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)を行なうことが可能になる。これにより、運転者/操作者が駐車中の近くに所在している場合には、操作者自身によって、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのであ
る。
【0083】
ただし、運転者/操作者に対する緊急対応通知に対し運転者/操作者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは通知手段109による通知後に所定時間以上経過しても回答のない場合には、前述と同様、選択手段107によって、予め登録された権限委譲候補者の中から権限委譲者が選択され、その権限委譲者に緊急対応を依頼することが可能になっている。これにより、運転者/操作者が駐車中の管理対象車両の近くに所在しているが、何らかの理由で緊急対応を行なえない場合や緊急対応通知に気が付かないような場合には、権限委譲者による緊急対応が可能になり、当該車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0084】
また、選択手段107によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは通知手段109による通知後に所定時間以上経過しても回答のない場合、生体認証を行なうことなく生体認証式ロック機構51を開錠状態に切り換えるとともに、同じく生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構52によって車両のエンジンを起動させておく(ただし、本実施形態では第1判定手段105によって緊急対応時であると判定された直後にエンジンは起動されている)ことにより、誰でもその管理対象車両を使用可能な状態にする。
【0085】
つまり、運転者/操作者自身や全ての権限委譲候補者が管理対象車両に対する緊急対応を行なえない状況で管理対象車両が開錠もエンジン起動もしないままでは、誰も一切その管理対象車両は使用できず水没等の被害を被るのを待つだけとなってしまうので、その管理対象車両をいっそ誰でも使える状況にすることで、その管理対象車両の近くに居る人によって車両を緊急対応エリア外における安全なエリアへ退避させてもらえる可能性が残るだけでなく、緊急対応エリア内に居る人が、その緊急対応エリアから迅速に退避するための手助けとしてその管理対象車両を利用可能になり、人的被害を最小限に抑えることができる。
【0086】
さらに、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合、生体認証式ロック機構51の施錠状態を維持したまま、生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させておくことにより、緊急対応を行なうべく管理対象車両の位置まで出向いた権限委譲者や運転者/操作者は、生体認証を行なって生体認証式ロック機構51を開錠するだけで、エンジン起動を行なう必要がなく、速やかに適切な対応(緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)をとることができ、権限委譲者や運転者/操作者の安全を確保できるとともに、当該車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0087】
〔2〕第2実施形態の説明
図3は本発明の第2実施形態としての車両管理システムの構成を示すブロック図で、この図3に示すように、第2実施形態の車両管理システム1Bも、第1実施形態と同様、例えば自動車等の車両(図示略)に搭載され当該車両を管理するもので、この第2実施形態の車両管理システム1Bの管理対象車両も、第1実施形態と同様の生体認証式ロック機構51および生体認証式起動機構52を有している。なお、図3中、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0088】
そして、第2実施形態の車両管理システム1Bも、図3に示すように、第1実施形態と同様、CPU10,車載ナビゲーション装置20,送受信部30および記憶部40をそなえて構成され、車載ナビゲーション装置20によって、車両位置検出手段21およびVICS情報受信手段22としての機能が実現されている。また、送受信部30は、CPU1
0に接続され、このCPU10によって制御され、後述するごとくCPU10と協働して通知手段112および遠隔指示受信手段113としての機能を果たすものである。
【0089】
記憶部40は、例えばハードディスク,ROM,RAMなどによって構成され、保存手段42として機能する。この保存手段42(記憶部40)は、第1実施形態の保存手段41と同様、管理対象車両を通常操作する操作者について生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、管理対象車両に対する緊急対応時に当該管理対象車両の操作権限(運転権限)を前記操作者から委譲されうる、複数の権限委譲候補者について生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するものである。
【0090】
ただし、保存手段42においては、上述した登録生体情報のほかに、少なくとも運転者/操作者の連絡先情報(携帯電話の電話番号や電子メールアドレス)が保存されていればよく、第1実施形態の保存手段41に保存されていた、各権限委譲候補者の連絡先情報(携帯電話の電話番号や電子メールアドレス)や、各権限委譲候補者の住所や居所に関する情報などは保存されていなくてもよい。
【0091】
CPU10は、例えば車両の各種機器を制御するために元々搭載されているものを用いて構成され、このCPU10に、第2実施形態の車両管理システム1Bでは、第1実施形態と同様の第1判定手段105としての機能を実行させるとともに、生体認証管理手段111,通知手段112,遠隔指示受信手段113,開錠制御手段121および起動制御手段122としての機能を実行させる。なお、通知手段112および遠隔指示受信手段113としての機能は、前述したようにCPU10と送受信部30とが協働することによって実現される。
【0092】
開錠制御手段121は、第1実施形態の開錠制御手段101と同様、生体認証式ロック機構51の駆動制御を行なって生体認証式ロック機構51を施錠状態から開錠状態に切り換えるもので、その切換タイミングは、ドア開錠時にセンサ61から入力された照合用生体情報に基づいて認証手段103により利用者の本人認証が行なわれた場合のほか、後述する通知手段112によって運転者/操作者への通知を行なってから所定時間以上経過しても開錠操作が行なわれない場合、もしくは、通知手段112による上記通知後の所定時間以内に、後述する遠隔指示受信手段113によって運転者/操作者から開錠すべき遠隔指示を受信した場合とする。
【0093】
起動制御手段122は、第1実施形態の起動制御手段102と同様、生体認証式起動機構52の駆動制御を行なって管理対象車両のエンジンを起動させるもので、その起動タイミングは、エンジン起動時にセンサ62から入力された照合用生体情報に基づいて認証手段103により利用者の本人認証が行なわれた場合のほか、本実施形態では、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合とする。なお、後述する通知手段112によって運転者/操作者への通知を行なってから所定時間以上経過しても開錠操作が行なわれない場合、もしくは、通知手段112による上記通知後の所定時間以内に、後述する遠隔指示受信手段113によって運転者/操作者から起動すべき遠隔指示を受信した場合を起動タイミングとしてもよい。
【0094】
第1判定手段105は、第1実施形態と同様、管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定するもので、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置が、緊急気象情報/緊急災害情報等を発令され管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応エリアに属しているか否かによって、管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かを判定するものである。
【0095】
生体認証管理手段111は、通常時には認証手段103による生体認証に際してセンサ
61,62から入力された照合用生体情報と保存手段42における運転者/操作者についての登録生体情報とを比較照合させ1対1の生体認証を行なわせる一方で、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合には認証手段103による生体認証に際してセンサ61,62から入力された照合用生体情報と保存手段42における運転者/操作者および権限委譲候補者の登録生体情報のそれぞれとを比較照合させ1対多の生体認証を行なわせるものである。
【0096】
通知手段112は、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を運転者/操作者に通知する操作者宛通知手段としての機能を果たすもので、この運転者/操作者への通知は、特に本実施形態では図4を参照しながら後述するごとく、運転者/操作者が管理対象車両内に居ない状況で管理対象車両に対する緊急対応時になった場合に行なわれる。
【0097】
このとき、通知手段112は、例えば、保存手段42から、運転者/操作者が所持する携帯電話等(携帯端末装置)についての電子メールアドレスを読み出し、電子メールによってその携帯電話に対する通知を行なう。
なお、運転者/操作者が管理対象車両内に居るか否かについては、第1実施形態と同様の位置検出手段108をそなえこの位置検出手段108の上記操作者位置検出手段としての機能を用いて検知してもよいし、車両に元々そなえられた、運転者/操作者の有無を検知するセンサを用いて検知してもよい。
【0098】
遠隔指示受信手段113は、運転者/操作者の所持する携帯電話等から、ドアを開錠するための遠隔指示もしくはエンジンを起動するための遠隔指示を、公衆回線等を介して受信するもので、遠隔指示を受信するとその旨を開錠制御手段121もしくは起動制御手段122に通知するようになっている。
【0099】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合には、生体認証式ロック機構51の施錠状態を維持したまま、起動制御手段122が、生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させる。
【0100】
また、第2実施形態では、運転者/操作者の携帯端末等からの開錠すべき遠隔指示を遠隔指示受信手段113によって受信すると、その遠隔指示に応じて、開錠制御手段101が、生体認証式ロック機構51を開錠状態に切り換える。本実施形態では、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定した際に管理対象車両のエンジンを起動させているが、運転者/操作者の携帯端末等からのエンジンを起動すべき遠隔指示を遠隔指示受信手段113によって受信した場合に、その遠隔指示に応じて、起動制御手段102が、生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させるようにしてもよい。
【0101】
さらに、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、第1判定手段105は、常時、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21およびVICS情報受信手段22によって得られる最新(リアルタイム)の情報に基づいて、管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かを判定しており、緊急対応時と判定した後、緊急対応状況が解消され、緊急対応時でないと判定すると、車両管理システム1Bの状況をリセットする。つまり、運転者/操作者が車両内に居ない状態で、エンジンを起動させている場合にはエンジンを停止させるとともに、ロック機構51が開錠状態である場合には施錠状態に切り換え、さらに、生体認証管理手段111によって、認証手段103による生体認証に際してセンサ61,62から入力された照合用生体情報と保存手段41における運転者/操作者についての登録生体情報との1対1認証を実行させる。
【0102】
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、運転者/操作者もしくは権限委譲者が管理対象車両内に居る際に、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定されている場合には、車載ナビゲーション装置20においては、アラーム通報が行なわれるとともに、緊急対応エリアの外に出るための最短経路案内が表示される。上記アラーム通報および最短経路案内は、管理対象車両が緊急対応エリアの外に出るまで、もしくは、発令された警報等が解除されるまで行なわれるように構成する。
【0103】
次に、図4に示すフローチャート(ステップS11〜S18,S41〜S48)に従って、図3に示す車両管理システム1Bの動作について説明する。ここで、ステップS11〜S18の処理は、第1実施形態において図2を参照しながら説明した処理と同様であるので、その説明は省略し、ステップS41〜S48の処理について説明する。
【0104】
管理対象車両内に運転者/操作者が居ない場合(ステップS14のNOルート)、車外に居る運転者/操作者に対し、通知手段112によって、管理対象車両に対する緊急対応時となり緊急対応を行なうべき旨が通知されるとともに(ステップS41)、生体認証式ロック機構51の施錠状態を維持したまま、起動制御手段122によって生体認証式起動機構52が制御されて管理対象車両のエンジンが起動され(ステップS42)、さらに、生体認証管理手段111によって、認証手段103による生体認証に際して、上述した1対多の生体認証を実行させるように切換・設定が行なわれる(ステップS43)。
【0105】
通知手段112による通知を受けた運転者/操作者は、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき状況であることを認識し、管理対象車両の近くに居り自ら緊急対応を行なうことが可能であれば管理対象車両の位置まで出向く一方、何らかの事情で緊急対応を行なえない場合には、自ら携帯電話や電子メールなどを用いて、管理対象車両近辺に居る友人,近親者等の権限委譲候補者に緊急対応可能であるかの打診・依頼を行ない、操作権限(運転権限)の委譲を行なう。
【0106】
この後、通知手段112による通知を行なってから所定時間以内に、運転者/操作者、もしくは、依頼を受けた権限委譲者によって管理対象車両の開錠操作が行なわれると(ステップS44のYESルート)、ステップS15の処理へ移行し緊急対応エリア外へ案内する。
【0107】
一方、通知手段112による通知後、所定時間を経過しても運転者/操作者もしくは権限委譲者による管理対象車両の開錠操作が行なわれない場合(ステップS44のNOルートおよびステップS45のYESルート)、もしくは、通知手段112による通知後、所定時間以内に、運転者/操作者もしくは権限委譲者による管理対象車両の開錠操作が行なわれず、運転者/操作者の携帯電話等から開錠の遠隔指示が遠隔指示受信手段113によって受信された場合(ステップS44のNO,ステップS45のNOルートおよびステップS46のYESルート)には、開錠制御手段121によって、生体認証式ロック機構51が施錠状態から開錠状態に切り換えられ(ステップS47)、管理対象車両を、誰でも乗車して操作・運転可能な状態にする。このような状態で誰か乗車して運転を行なった場合(ステップS48のYESルート)、ステップS15の処理へ移行し緊急対応エリア外へ案内する。
【0108】
このように本発明の第2実施形態としての車両管理システム1Bによれば、管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時(例えば管理対象車両が緊急気象情報や緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに駐車している時)になると、緊急対応時になったことが第1判定手段105によって検知され、その旨が通知手段112によって運転者/操作者に対し通知されるとともに、それ以後、認証手段103による生体認証に際し、利用
者(運転者/操作者もしくは権限委譲者)によってセンサ61,62から入力された照合用生体情報と当該権限委譲者について予め登録された登録生体情報のそれぞれとが比較照合され、照合用生体情報が登録生体情報のいずれか一つと一致した場合にその利用者が登録者本人であるとして認証されることになる。
【0109】
通知手段112による通知を受けた運転者/操作者は、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき状況であることを認識し、自ら緊急対応を行なうことが可能であれば管理対象車両の位置まで出向く一方、緊急対応を行なえない場合には、自ら携帯電話や電子メールなどを用いて、管理対象車両近辺に居る友人,近親者等の権限委譲候補者に緊急対応可能であるか打診・依頼して運転権限を委譲することが可能になる。
【0110】
そして、その依頼に応じた権限委譲者は、管理対象車両の現在位置まで出向き生体情報を入力すると、当該権限委譲者の登録生体情報に基づく1対多の生体認証が行なわれ、管理対象車両の開錠が行なわれる。つまり、予め保存手段42に登録しておけば権限委譲者としての友人,近親者等が管理対象車両の開錠・エンジン起動を行なって当該管理対象車両の操作(例えば管理対象車両の緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)を行なうことが可能になる。これにより、運転者/操作者が駐車中の車両から離れた位置に所在している場合であっても、当該管理対象車両が水没等の被害に遭遇することを積極的に回避でき、甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0111】
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合、生体認証式ロック機構51の施錠状態を維持したまま、生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させておくことにより、緊急対応を行なうべく管理対象車両の位置まで出向いた権限委譲者や運転者/操作者は、生体認証を行なって生体認証式ロック機構51を開錠するだけで、エンジン起動を行なう必要がなく、速やかに適切な対応(緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)をとることができ、権限委譲者や運転者/操作者の安全を確保できるとともに、当該車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0112】
さらに、運転者/操作者が誰にも操作権限を委譲できなかった場合には、運転者/操作者が遠隔指示を行なって、生体認証を行なうことなく生体認証式ロック機構51を開錠状態に切り換えるとともに、同じく生体認証を行なうことなく生体認証式起動機構52によって管理対象車両のエンジンを起動させておくことにより、誰でもその管理対象車両を使用可能な状態にすることができ、第1実施形態と同様、その管理対象車両の近くに居る人によって車両を緊急対応エリア外における安全なエリアへ退避させてもらえる可能性が残るだけでなく、緊急対応エリア内に居る人が、その緊急対応エリアから迅速に退避するための手助けとしてその管理対象車両を利用可能になり、人的被害を最小限に抑えることができる。
【0113】
〔3〕第3実施形態の説明
図5は本発明の第3実施形態としての車両管理システムの構成を示すブロック図で、この図5に示すように、第3実施形態の車両管理システム1Cも、第1実施形態や第2実施形態と同様、例えば自動車等の車両(図示略)に搭載され当該車両を管理するものであるが、この第3実施形態の車両管理システム1Cの管理対象車両は、所定操作に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なうロック機構71および起動機構72を有すしている。これらのロック機構71および起動機構72は、利用者が鍵によって操作するものであってもよいし、第1実施形態や第2実施形態と同様の生体認証式のものであってもよい。なお、図5中、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0114】
そして、第3実施形態の車両管理システム1Cも、図5に示すように、第1実施形態と同様、CPU10,車載ナビゲーション装置20,送受信部30および記憶部40をそなえて構成され、車載ナビゲーション装置20によって、車両位置検出手段21およびVICS情報受信手段22としての機能が実現されている。また、送受信部30は、CPU10に接続され、このCPU10によって制御され、後述するごとくCPU10と協働して通知手段114としての機能を果たすものである。
【0115】
記憶部40は、例えばハードディスク,ROM,RAMなどによって構成され、保存手段43として機能する。この保存手段43(記憶部40)は、運転者/操作者の連絡先情報(携帯電話の電話番号や電子メールアドレス)や、後述する各関係者(運転者/操作者の友人,近親者等)の連絡先情報(携帯電話の電話番号や電子メールアドレス)や、各関係者の住所や居所に関する情報などを予め登録されて保存するものである。
【0116】
CPU10は、例えば車両の各種機器を制御するために元々搭載されているものを用いて構成され、このCPU10に、第3実施形態の車両管理システム1Cでは、第1実施形態と同様の第1判定手段105としての機能を実行させるとともに、通知手段114,開錠制御手段131および起動制御手段132としての機能を実行させる。なお、通知手段114としての機能は、前述したようにCPU10と送受信部30とが協働することによって実現される。
【0117】
開錠制御手段131は、ロック機構71の駆動制御を行なってこのロック機構71を施錠状態から開錠状態に切り換えるもので、その切換タイミングは、鍵等による所定操作時のほか、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合である。
また、起動制御手段132は、起動機構72の駆動制御を行なって管理対象車両のエンジンを起動させるもので、その起動タイミングは、鍵等による所定操作時のほか、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合である。
【0118】
第1判定手段105は、第1実施形態と同様、管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定するもので、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置が、緊急気象情報/緊急災害情報等を発令され管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応エリアに属しているか否かによって、管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かを判定するものである。
【0119】
通知手段114は、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を運転者/操作者に通知する操作者宛通知手段としての機能を果たすほか、第1判定手段105によって管理対象車両に対する緊急対応時であると判定された場合、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置近辺に所在しうる、運転者/操作者との関係者(友人,近親者等)に、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨を、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に関する情報とともに通知する通知手段としての機能を果たすものである。この通知手段114による運転者/操作者への通知および関係者への通知は、両方とも行なってもよいが、基本的にはいずれか一方のみを行なってもよい。ただし、両方を行なった場合には、運転者/操作者への通知において、関係者への通知で行なった旨も通知することが望ましい。
【0120】
このとき、通知手段114は、例えば、保存手段42から、運転者/操作者や関係者が所持する携帯電話等(携帯端末装置)についての電子メールアドレスを読み出し、電子メールによってその携帯電話に対する通知を行なう。
また、通知手段114による運転者/操作者への通知や関係者への通知は、特に本実施形態では図6を参照しながら後述するごとく、運転者/操作者が管理対象車両内に居ない状況で管理対象車両に対する緊急対応時になった場合に行なわれる。
【0121】
なお、運転者/操作者が管理対象車両内に居るか否かについては、第1実施形態と同様の位置検出手段108をそなえこの位置検出手段108の上記操作者位置検出手段としての機能を用いて検知してもよいし、車両に元々そなえられた、運転者/操作者の有無を検知するセンサを用いて検知してもよい。
【0122】
また、通知手段114は、保存手段43に登録された全ての関係者に対し上記通知を行なってもよいが、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置を参照するとともに、保存手段43に登録・保存された関係者の住所や居所に関する情報を参照し、管理対象車両の現在位置近辺に所在する、運転者/操作者との関係者を選択し、選択された関係者に対し上記通知を行なうことが望ましい。
【0123】
次に、図6に示すフローチャート(ステップS11〜S18,S51〜S54)に従って、図5に示す車両管理システム1Cの動作について説明する。ここで、ステップS11〜S18の処理は、第1実施形態において図2を参照しながら説明した処理と同様であるので、その説明は省略し、ステップS51〜S54の処理について説明する。
【0124】
管理対象車両内に運転者/操作者が居ない場合(ステップS14のNOルート)、起動制御手段132によって起動機構72が制御されて管理対象車両のエンジンが起動されるとともに(ステップS51)、開錠制御手段121によってロック機構71が施錠状態から開錠状態に切り換えられ(ステップS52)、さらに、車外に居る運転者/操作者に対し、通知手段114によって、管理対象車両に対する緊急対応時となり緊急対応を行なうべき旨が通知されるか、もしくは、管理対象車両の現在位置近辺に所在しうる、運転者/操作者との関係者(友人,近親者等)に、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨が、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置に関する情報とともに通知される(ステップS53)。
【0125】
通知手段114による通知を受けた運転者/操作者は、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき状況であることを認識し、管理対象車両の近くに居り自ら緊急対応を行なうことが可能であれば管理対象車両の位置まで出向く一方、何らかの事情で緊急対応を行なえない場合には、自ら携帯電話や電子メールなどを用いて、管理対象車両近辺に居る関係者(友人,近親者等)に緊急対応可能であるかの打診・依頼を行ない、操作権限(運転権限)の委譲を行なう。
【0126】
また、通知手段114による通知を受けた関係者は、可能であれば、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべく、管理対象車両の現在位置に関する情報を参照しながらその位置まで出向き、緊急対応を行なう。その際、ドアのロックは開錠されるとともにエンジンは起動されているので、関係者は、直ちに乗車して管理対象車両を移動させることができる。
そして、ステップS51,S52の処理により、両誰でも管理対象車両に乗車して操作・運転可能になった状態で、誰か乗車して運転を行なった場合(ステップS54のYESルート)、ステップS15の処理へ移行し緊急対応エリア外へ案内する。
【0127】
このように本発明の第3実施形態としての車両管理システム1Cによれば、管理対象車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時(例えば管理対象車両が緊急気象情報や緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに駐車している時)になると、緊急対応時になったことが第1判定手段105によって検知され、その検知に応じて、ロック機構71が開錠状
態に切り換えられるとともに起動機構72によって管理対象車両のエンジンが起動される。
【0128】
これにより、誰でもその管理対象車両を使用可能な状態になるので、その管理対象車両の近くに居る人によって管理対象車両を緊急対応エリア外における安全なエリアへ退避させてもらえる可能性が残るだけでなく、緊急対応エリア内に居る人が、その緊急対応エリアから迅速に退避するための手助けとしてその管理対象車両を利用可能になり、人的被害を最小限に抑えることができる。
【0129】
このとき、通知手段114によって緊急対応時になった旨を運転者/操作者に通知することにより、その通知を受けた運転者/操作者は、管理対象車両に対する緊急対応を行なうべき状況であることを認識し、自ら緊急対応を行なうことが可能であれば管理対象車両の位置まで出向く一方、緊急対応を行なえない場合には、自ら携帯電話や電子メールなどを用いて、管理対象車両近辺に居る友人,近親者等の関係者に緊急対応可能であるか打診・依頼することが可能になる。
【0130】
そして、その依頼に応じた関係者が車両の現在位置まで出向くと、その車両については既に開錠およびエンジン起動が行なわれているので、当該関係者は、開錠/エンジン起動のための所定操作を行なうことなく、速やかに適切な対応(緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)をとることができ、当該関係者の安全を確保できるとともに、当該管理対象車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。
【0131】
また、緊急対応時になったことが第1判定手段105によって検知されると、車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置近辺に所在しうる関係者(友人,近親者等)に、管理対象車両に対する緊急対応を依頼する旨を、車両位置検出手段21によって検出された車両の現在位置に関する情報とともに通知手段114によって通知することにより、その依頼に応じた関係者は、管理対象車両の現在位置(駐車位置)に関する情報を参照しながら管理対象車両の現在位置まで直ちに出向くことができ、さらには、管理対象車両の現在位置に到着すると、前述したように、その関係者は、開錠/エンジン起動のための所定操作を行なうことなく、速やかに適切な対応(緊急対応エリア外における安全なエリアへの移動等)をとることができ、当該関係者の安全を確保できるとともに、当該管理対象車両が水没等の被害に遭遇することを確実に回避して甚大な被害を被ることを確実に防止できるのである。特に、この場合、運転者/操作者は、自ら関係者に緊急対応可能であるか打診・依頼する必要がなくなり利便性が高まるだけでなく、自動的に関係者に対し依頼することができ、より迅速な対応をとることができる。
【0132】
〔4〕その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態の車両管理システム1A,1B,1Cでは、CPU10,送受信部30および記憶部40を、車載ナビゲーション装置20とは別個にそなえて構成しているが、上述したCPU10,送受信部30および記憶部40における各種機能を車載ナビゲーション装置20にそなえられたCPU,送受信機能,記憶機能を用いて実現し、車載ナビゲーション装置20を、上述した車両管理システム1A,1B,1Cとして機能させるように構成してもよい。
【0133】
また、上述した実施形態では、車両が自動車であり携帯端末装置が携帯電話である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、施錠機構や起動機構を有する乗物であれば、例えば、自動二輪車や、スノーモービルや、水上スキーなどの小型船
舶や、軽飛行機など種々の乗物にも、また、通信機能を有する携帯端末であれば、例えばPDA(Personal Digital Assistant),電子手帳などにも、上述した実施形態と同様のに適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0134】
さらに、上述した実施形態では、第1判定手段105は、車載ナビゲーション装置20の車両位置検出手段21によって検出された管理対象車両の現在位置と、VICS情報に含まれる緊急気象情報/緊急災害情報等とを用いて、管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かを判定しているが、例えば、車両に雨量センサ等の気象センサをそなえておき、その気象センサによる観測結果に基づいて、第1判定手段105が管理対象車両に対する緊急対応時であるか否かの判定を行なうように構成してもよい。
【0135】
また、図2,図4,図6に示すフローチャートにおける所定時間は、緊急災害情報や緊急気象情報の種類によって異なるものとしてもよい。例えば津波警報の場合は、権限委譲者が管理対象車両の位置まで出向くと危険に晒される可能性が高いため、所定時間はかなり短く設定する。また、所定時間を経過しても権限委譲者による開錠操作を検知できない場合には、その権限委譲者に対し、危険に遭遇する可能性が高いので管理対象車両に対する緊急対応を行なわなくてもよい旨を通知手段によって通知することが好ましい。
【0136】
また、上述した手段21,22,101〜114,121,122,131,132としての機能(各手段の全部もしくは一部の機能)は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(車両管理プログラム)を実行することによって実現される。
【0137】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から分散型ストレージシステム用制御プログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0138】
ここで、コンピュータとは、ハードウエアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウエアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウエアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたプログラムを読み取るための手段とをそなえている。上記車両管理プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、上述した手段21,22,101〜114,121,122,131,132としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0139】
さらに、本実施形態における記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0140】
〔5〕付記
(付記1)
利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構および生体認証式起動機構を有する車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両を通常操作する操作者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、前記車両に対する緊急対応時に前記車両の操作権限を前記操作者から委譲されうる、少なくとも一の権限委譲候補者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存する保存手段と、
通常時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、前記車両に対する緊急対応時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者および前記権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させる生体認証管理手段と、
前記車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、
前記車両の操作者の所在位置を検出する操作者位置検出手段と、
前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置との位置関係に基づき、前記操作者が前記車両に対する緊急対応可能な状況であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段によって前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定された場合、前記保存手段に登録された前記少なくとも一の権限委譲候補者の中から前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された権限委譲者に、前記車両に対する緊急対応を依頼する旨を、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に関する情報とともに通知する権限委譲者宛通知手段とをそなえてされている構成され、
前記生体認証管理手段が、前記選択手段によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を前記保存手段から読み出し、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを比較照合させることを特徴とする、車両管理システム。
【0141】
(付記2)
前記権限委譲者宛通知手段による通知に対し当該権限委譲者から前記依頼に応じる旨の回答があった場合、前記生体認証管理手段が、前記選択手段によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を前記保存手段から読み出し、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを比較照合させる一方、
前記権限委譲者宛通知手段による通知に対し当該権限委譲者から前記依頼に応じられない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記選択手段が、当該権限委譲者を除く他の権限委譲候補者の中から、前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択することを特徴とする、付記1記載の車両管理システム。
【0142】
(付記3)
前記第2判定手段によって前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定された場合、前記操作者に、前記車両に対する緊急対応を行なうべき旨を通知する操作者宛通知手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両管理システム。
【0143】
(付記4)
前記操作者宛通知手段による通知に対し前記操作者から緊急対応を行なう旨の回答があった場合、前記生体認証管理手段が、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方、
前記操作者宛通知手段による通知に対し前記操作者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記選択手段が、前記保存手段に登録された前記少なくとも一の権限委譲候補者の中から、前記車両に対する緊急対応の可能な状況の候補者を権限委譲者として選択することを特徴とする、付記3記載の車両管理システム。
【0144】
(付記5)
前記選択手段が、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置の属するエリアと同一エリア内に所在する権限委譲候補者、もしくは、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に最も近い位置に所在する権限委譲候補者を、前記権限委譲者として選択することを特徴とする、付記1〜付記4のいずれか一に記載の車両管理システム。
【0145】
(付記6)
前記選択手段が、前記権限委譲候補者について予め登録されている居所または住所に関する情報に基づき、もしくは、前記権限委譲候補者が所持している携帯端末装置の位置検出機能によって得られる所在位置情報に基づき、前記権限委譲者を選択することを特徴とする、付記5記載の車両管理システム。
【0146】
(付記7)
前記第2判定手段が、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置との距離が所定値以内である場合、前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定する一方、前記距離が前記所定値を超えている場合、前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定することを特徴とする、付記1〜付記6のいずれか一に記載の車両管理システム。
【0147】
(付記8)
前記第2判定手段が、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置とが同一エリアに属する場合、前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定する一方、同一エリアに属していない場合、前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定することを特徴とする、付記1〜付記6のいずれか一に記載の車両管理システム。
【0148】
(付記9)
前記第1判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置が、緊急気象情報もしくは緊急災害情報を発令され前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応エリアに属しているか否かによって、前記車両に対する緊急対応時であるか否かを判定することを特徴とする、付記1〜付記8のいずれか一に記載の車両管理システム。
【0149】
(付記10)
前記第1判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置の属する現在エリアにおける最新の気象情報もしくは災害情報を情報提供システムから取得し、取得された最新の気象情報もしくは災害情報に基づき、前記車両の現在位置が前記緊急対応エリアに属しているか否かを判定することを特徴とする、付記9記載の車両管理システム。
【0150】
(付記11)
前記第1判定手段は、緊急気象情報もしくは緊急災害情報を発令された緊急対応エリアに関する情報を情報提供システムから取得し、取得された情報に基づき、前記車両の現在位置が前記緊急対応エリアに属しているか否かを判定することを特徴とする、付記9記載の車両管理システム。
【0151】
(付記12)
前記選択手段によって選択された全ての権限委譲者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記生体認証式ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる開錠・起動制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記1〜付記11のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【0152】
(付記13)
利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構および生体認証式起動機構を有する車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両を通常操作する操作者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、前記車両に対する緊急対応時に前記車両の操作権限を前記操作者から委譲されうる、少なくとも一の権限委譲候補者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存する保存手段と、
前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を前記操作者に通知する操作者宛通知手段と、
通常時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者および前記権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させる生体認証管理手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両管理システム。
【0153】
(付記14)
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記生体認証式ロック機構の施錠状態を維持したまま前記生体認証式ロック機構によって前記車両のエンジンを起動させる起動制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記1〜付記13のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【0154】
(付記15)
前記操作者からの遠隔指示に応じて、前記生体認証式ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる開錠・起動制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記13または付記14に記載の車両管理システム。
【0155】
(付記16)
所定操作に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なうロック機構および起動機構を有する車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記起動機構によって前記車両のエンジンを
起動させる開錠・起動制御手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両管理システム。
【0156】
(付記17)
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を、前記車両を通常操作する操作者に通知する操作者宛通知手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記16記載の車両管理システム。
【0157】
(付記18)
前記車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置近辺に所在しうる前記操作者との関係者に、前記車両に対する緊急対応を依頼する旨を、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に関する情報とともに通知する通知手段とをさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記16または付記17に記載の車両管理システム。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の第1実施形態としての車両管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車両管理システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態としての車両管理システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す車両管理システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態としての車両管理システムの構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す車両管理システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0159】
1A,1B,1C 車両管理システム
10 CPU
101 開錠制御手段
102 起動制御手段
103 認証手段
104 生体認証管理手段
105 第1判定手段
106 第2判定手段
107 選択手段
108 位置検出手段(操作者位置検出手段)
109 通知手段(操作者宛通知手段,権限委譲者宛通知手段)
110 回答受信手段
111 生体認証管理手段
112 通知手段(操作者宛通知手段)
113 遠隔指示受信手段
114 通知手段
121 開錠制御手段
122 起動制御手段
131 開錠制御手段
132 起動制御手段
20 車載ナビゲーション装置
21 車両位置検出手段
22 VICS情報受信手段
30 送受信部
40 記憶部
41,42,43 保存手段
51 ロック機構
52 駆動機構
61,62 センサ
71 ロック機構
72 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構および生体認証式起動機構を有する車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両を通常操作する操作者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、前記車両に対する緊急対応時に前記車両の操作権限を前記操作者から委譲されうる、少なくとも一の権限委譲候補者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存する保存手段と、
通常時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、前記車両に対する緊急対応時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者および前記権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させる生体認証管理手段と、
前記車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、
前記車両の操作者の所在位置を検出する操作者位置検出手段と、
前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置と前記操作者位置検出手段によって検出された前記操作者の所在位置との位置関係に基づき、前記操作者が前記車両に対する緊急対応の可能な状況であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段によって前記操作者が緊急対応可能な状況でないと判定された場合、前記保存手段に登録された前記少なくとも一の権限委譲候補者の中から前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された権限委譲者に、前記車両に対する緊急対応を依頼する旨を、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に関する情報とともに通知する権限委譲者宛通知手段とをそなえてされている構成され、
前記生体認証管理手段が、前記選択手段によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を前記保存手段から読み出し、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを比較照合させることを特徴とする、車両管理システム。
【請求項2】
前記権限委譲者宛通知手段による通知に対し当該権限委譲者から前記依頼に応じる旨の回答があった場合、前記生体認証管理手段が、前記選択手段によって選択された権限委譲者についての登録生体情報を前記保存手段から読み出し、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段から読み出された当該権限委譲者についての登録生体情報とを比較照合させる一方、
前記権限委譲者宛通知手段による通知に対し当該権限委譲者から前記依頼に応じられない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記選択手段が、当該権限委譲者を除く他の権限委譲候補者の中から、前記車両に対する緊急対応可能な状況の候補者を権限委譲者として選択することを特徴とする、請求項1記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記第2判定手段によって前記操作者が緊急対応可能な状況であると判定された場合、前記操作者に、前記車両に対する緊急対応を行なうべき旨を通知する操作者宛通知手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記操作者宛通知手段による通知に対し前記操作者から緊急対応を行なう旨の回答があ
った場合、前記生体認証管理手段が、前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方、
前記操作者宛通知手段による通知に対し前記操作者から緊急対応を行なえない旨の回答があった場合もしくは所定時間以上経過しても回答のない場合、前記選択手段が、前記保存手段に登録された前記少なくとも一の権限委譲候補者の中から、前記車両に対する緊急対応の可能な状況の候補者を権限委譲者として選択することを特徴とする、請求項3記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記選択手段が、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置の属するエリアと同一エリア内に所在する権限委譲候補者、もしくは、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置に最も近い位置に所在する権限委譲候補者を、前記権限委譲者として選択することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項6】
前記選択手段が、前記権限委譲候補者について予め登録されている居所または住所に関する情報に基づき、もしくは、前記権限委譲候補者が所持している携帯端末装置の位置検出機能によって得られる所在位置情報に基づき、前記権限委譲者を選択することを特徴とする、請求項5記載の車両管理システム。
【請求項7】
前記第1判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出された前記車両の現在位置が、緊急気象情報もしくは緊急災害情報を発令され前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応エリアに属しているか否かによって、前記車両に対する緊急対応時であるか否かを判定することを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項8】
利用者によって入力される照合用生体情報と予め登録された登録生体情報とを比較照合する生体認証の結果に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なう生体認証式ロック機構および生体認証式起動機構を有する車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両を通常操作する操作者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存するとともに、前記車両に対する緊急対応時に前記車両の操作権限を前記操作者から委譲されうる、少なくとも一の権限委譲候補者について前記生体認証用の登録生体情報を予め登録されて保存する保存手段と、
前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、その旨を前記操作者に通知する操作者宛通知手段と、
通常時には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者についての登録生体情報とを比較照合させる一方で、前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合には前記生体認証に際して前記照合用生体情報と前記保存手段における前記操作者および前記権限委譲候補者の登録生体情報のうちのいずれか一とを比較照合させる生体認証管理手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両管理システム。
【請求項9】
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記生体認証式ロック機構の施錠状態を維持したまま前記生体認証式起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる起動制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項10】
所定操作に応じて開錠およびエンジン起動をそれぞれ行なうロック機構および起動機構を有する車両を管理する車両管理システムであって、
前記車両に対する緊急な対応を要する緊急対応時であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記車両に対する緊急対応時であると判定された場合、前記ロック機構を開錠状態に切り換えるとともに前記起動機構によって前記車両のエンジンを起動させる開錠・起動制御手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−90421(P2008−90421A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268093(P2006−268093)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【特許番号】特許第3918024号(P3918024)
【特許公報発行日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(592112938)クオリティ株式会社 (121)
【Fターム(参考)】