説明

車両運転支援装置

【課題】停車場所の状況により必要な車間距離を取って停車するように運転者に促したり制動を掛けたりするとともに、必要に応じて衝突の回避措置を強制的に行ない、他車両との衝突を確実に防止する。
【解決手段】車両(自車)100の前方もしくは後方の車間距離と、自車100の接地面の勾配や状況とに基づき、自車100の前方もしくは後方について必要な車間距離が決定され、この必要車間距離と現在の車間距離とに応じ、自車100の運転者に対する通知もしくは警報または自車100の制動もしくは操舵が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転者の運転を支援する車両運転支援装置に関し、レーダや画像センサによる物体検知結果を利用して衝突被害軽減/衝突回避を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザレーダ,ミリ波レーダ,画像センサ,ソナー等の車間距離を測距可能なセンサを搭載した車両では、測定された車間距離や相対速度,車速等に基づいて、車両が衝突しないように、ドライバに制動を促す警報や強制介入によるブレーキ制御を行なっている。つまり、他車と衝突しないように停止すること、または、衝突時の被害を軽減することを目的として、車間距離等に基づく警報やブレーキ制御が行なわれている。
【0003】
例えば、図9(a)に示すように、車間距離を測距可能なセンサを搭載した車両(自車)100が前方車両101に接近しこの前方車両101と自車100との車間距離が警報距離D1まで近づくと、自車100のドライバに対し制動を促す警報を発する。また、図9(b)に示すように、自車100がさらに前方車両101に接近しこの前方車両101と自車100との車間距離が制動距離D2(<警報距離D1)まで近づくと、強制介入/自動介入によるブレーキ制御を行なって自車100が前方車両101と衝突するのを確実に回避している。
【0004】
なお、例えば下記特許文献1では、低速(例えば2〜3km/h)での走行中や停車中(0km/h)に他車との車間距離が短くなりつつあると判断すると警報を発することにより、ブレーキ操作が不足した場合であっても警報に促されて対応でき、追突を防止できるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−150689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術では、平地での車間距離に基づいて警報や制動を行なっているので、坂道などで停車している状態で前方または後方の車両が自車に向かって下がってきた場合や自車が前方または後方の車両に向かって下がって行く場合、自車と他車との接近速度が想定以上に速くなり、車間距離によっては警報や制動が間に合わなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、停車場所の状況により必要な車間距離を取って停車するように運転者に促したり制動を掛けたりするとともに、必要に応じて衝突の回避措置を強制的に行ない、他車両との衝突を確実に防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の車両運転支援装置(請求項1)は、車両の前方もしくは後方の車間距離を検出する車間距離検出手段と、前記車両の接地面の勾配を検出する勾配検出手段と、前記勾配検出手段によって検出された前記勾配に基づき、前記車両の前方もしくは後方について必要な車間距離を必要車間距離として決定する必要車間距離決定手段と、前記車間距離検出手段によって検出された前記車間距離と前記必要車間距離決定手段によって決定された前記必要車間距離とに応じ、前記車両の運転者に対する通知もしくは警報または前記車両の制動を実行させるように制御を行なう制御手段とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような車両運転支援装置において、前記車両の接地面の状況を検出する接地面状況検出手段をさらにそなえ、前記必要車間距離決定手段は、前記勾配検出手段によって検出された前記勾配と前記接地面状況検出手段によって検出された前記状況とに基づき前記必要車間距離を決定してもよい(請求項2)。
【0010】
また、前記車両の停車中に前記車間距離検出手段によって検出された前記車間距離に基づき前記車両と当該車両の前方もしくは後方の他車両との車間距離の減少を検知した場合、前記車両の制動もしくは操舵による当該他車両との衝突回避の可能性を判定する判定手段をそなえ、前記制御手段は、前記判定手段による判定結果および前記車間距離検出手段によって検出された前記車間距離に応じ、前記車両の運転者もしくは当該他車両の運転者に対する警報または前記車両の制動もしくは操舵による衝突回避制御を行なってもよい(請求項3)。このとき、前記判定手段は、当該他車両との衝突を回避すべく前記車両が退去可能な回避スペースの有無に基づいて当該他車両との衝突回避の可能性を判定してもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明の車両運転支援装置によれば、車両(自車)の前方もしくは後方の車間距離と、自車の接地面の勾配や状況とに基づき、自車の前方もしくは後方について必要な車間距離が必要車間距離として決定され、この必要車間距離と現在の車間距離とに応じ、自車の運転者に対する通知もしくは警報または自車の制動もしくは操舵が行なわれる。これにより、停車場所の状況(勾配や路面状況)により必要な車間距離を取って停車するように通知もしくは警報によって運転者に促されるので、運転者は、他車との間に、停車場所の状況(勾配や路面状況)に応じた車間距離をあけて自車を停車させることができ、他車との衝突を確実に防止することができる。また、必要に応じて、自車に対し制動を掛けて他車との間に必要車間距離をあけて自車を強制的に停車させることで、他車との衝突を確実に防止することができる。
【0012】
また、停車中に自車と他車との車間距離の減少を検知した場合には自車の操作による他車との衝突回避の可能性が判定され、その判定結果、および、他車との車間距離に応じ、自車/他車の運転者に対する警報または自車の制動もしくは操舵による衝突回避制御が行なわれる。これにより、自車が他車との間に十分な車間距離(必要車間距離)をあけて停車したにもかかわらず、何らかの要因(例えば坂道で停車後に路面が凍結した場合など)によって自車と他車との車間距離が減少した場合に、衝突回避の可能性が警報によって運転者に通知されるとともに、必要に応じて衝突の回避措置が強制的に行なわれるので、他車との衝突を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態としての車両運転支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の車両運転支援装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】勾配による必要車間距離および路面状況による必要車間距離について説明するための図である。
【図4】(a),(b)は図1に示す車両運転支援装置の衝突回避可能性の有無に応じた動作例について説明するための図である。
【図5】(a),(b)は図1に示す車両運転支援装置の衝突回避可能性がある場合の動作例について説明するための図である。
【図6】(a),(b)は図1に示す車両運転支援装置の減速停車時の動作例について説明するためのフローチャートである。
【図7】(a),(b)は図1に示す車両運転支援装置の減速停車時の動作変形例について説明するためのフローチャートである。
【図8】(a),(b)は図1に示す車両運転支援装置の停車時の動作例について説明するためのフローチャートである。
【図9】(a),(b)は従来技術の動作例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔1〕本実施形態の構成
図1は本発明の一実施形態としての車両運転支援装置1の機能構成を示すブロック図、図2は本実施形態の車両運転支援装置1のハードウエア構成を示すブロック図である。これらの図1および図2に示す本実施形態の車両運転支援装置1は、自動車等の車両に搭載され、車両運転者の運転を支援するものである。そして、本実施形態の車両運転支援装置1は、CPU10,記憶部20,前方監視システム31,後方監視システム32,傾斜センサ41,車速センサ50,外気温センサ61,路面状況検出部62,自車警報装置71,対象車警報装置72,ACC制御部81,ブレーキ制御部82および舵角制御部83をそなえて構成されている。
【0015】
CPU(Central Processing Unit;処理部)10は、記憶部20における各種情報に基づいて、停止車間制御や衝突回避制御を行なうべく、図1や図3〜図8を参照しながら後述するごとく必要車間距離決定手段11,制御手段12および判定手段13としての機能を果たす。このCPU10としては、本車両運転支援装置専用のものを設けてもよいし、例えば車両制御用CPUあるいはカーナビゲーションシステム用CPUなどを兼用することも可能である。
【0016】
記憶部20は、CPU10による処理に必要な各種情報を記憶するもので、例えばRAM(Randoma Access Memory),ROM(Read Only Memory)などから構成される。この記憶部20には、例えば、後述する必要車間距離決定手段11,制御手段12および判定手段13としての機能を実現すべくCPU10が実行する車両運転支援プログラムや、図3を参照しながら後述するテーブル/関数や、後述する判定手段13によって衝突回避可能性を判定するための判定基準情報や、必要車間距離までの距離あるいは他車との車間距離に応じた警報/制御態様を定義するテーブル(図示略)などが保持される。
【0017】
前方監視システム31および後方監視システム32は、それぞれ、本車両運転支援装置1を搭載された車両(以下「自車」という場合がある;図3〜図5の符号100参照)と前方車両(他車両;図3〜図5の符号101参照)との車間距離、および、自車と後方車両(他車両;図4,図5の符号102参照)との車間距離を検出する車間距離検出手段30(図1参照)として機能するものである。これらの前方監視システム31および後方監視システム32は、それぞれ、ミリ波レーダ,レーザレーダ,画像センサ,ソナー等のうちの少なくとも一つ、もしくは、2以上の組み合わせによって構成され、電波反射/音波反射/光反射/画像解析などによって、自車100と前方車両101または後方車両102との車間距離を計測して検出する機能を果たすほか、図4や図5を参照しながら後述するごとく判定手段13による衝突回避可能性判定を行なう際に自車の前後における回避スペースの有無を検知する機能も果たす。
【0018】
傾斜センサ41は、自車の走行中または停車中の接地面の勾配、すなわち道路勾配を検出する勾配検出手段40(図1参照)として機能するものである。勾配検出手段40としては、前方監視システム31もしくは後方監視システム32における画像センサ等を用いることも可能である。つまり、画像センサ等によって得られた画像について画像認識処理を行なうことにより、自車100の前方もしくは後方の道路勾配を推定し、その推定結果を道路勾配として用いてもよい。
【0019】
車速センサ50は、自車100の走行速度(車速)を検出するものであり、外気温センサ61は、自車周囲の外気温を検出するものである。
路面状況検出部62は、例えば、ESP(Electronic Stability Program:電子制御式スタビリティコントロール)による機能を用いて路面グリップの状況の高低を検出しうるものである。より具体的に、路面状況検出部62は、減速時にタイヤのスリップ率等を求め、路面が濡れている等の滑り易い状況であるか否かを検出することが可能であるほか、降雨センサやワイパの作動検知に基づいてウエット路面であるか否かを検出することも可能である。
【0020】
この路面状況検出部62および外気温センサ61によって、自車の走行中もしくは停車中の道路の路面状況(接地面の状況)を検出する路面状況検出手段60(図1参照)としての機能が実現されている。本実施形態の車両運転支援装置1(CPU10)では、例えば、路面状況検出部(ESP等)62によって路面グリップが低い状況であることが検出され且つ外気温センサ51によって検出された外気温が0℃を超えていれば、路面状況はウエット路面(図3参照)であると認識され、路面状況検出部(ESP等)62によって路面グリップが低い状況であることが検出され且つ外気温センサ61によって検出された外気温が0℃以下超であれば、路面状況は凍結路面(図3参照)であると認識される。なお、本実施形態では、ウエット路面でも凍結路面でもない場合には、路面状況は通常の状況(乾いた路面;通常路面)であると認識されるものとする。また、路面の凍結情報や降雨情報などについては、道路情報システムから取得してもよいし、路車間通信を用いて取得してもよい。
【0021】
自車警報装置71は、自車の運転者に対しアラーム,警告灯,音声(アナウンス)などによる警報を発するもので、本実施形態では、後述する制御手段12によって制御され、例えば、前方車両との車間距離を、後述する車間距離決定手段11によって決定された必要車間距離だけあけて停車するように運転者に促すための通知/警報や、他車両との衝突回避措置をとるように運転者に促すための警報を発するようになっている。
【0022】
対象車警報装置72は、他車両の運転者に対しホーン,灯火類などによる警報を発するもので、本実施形態では、後述する制御手段12によって制御され、例えば、後述するごとく、他車両の運転者に衝突回避措置をとるように促すための警報を発するようになっている。
【0023】
ACC(Adaptive Cruise Control)制御部81は、走行中に先行車との車間距離を一定に保つもので、本実施形態では、自車の減速・停車時に、後述する制御手段12によって制御され、例えば、前方車両との車間距離を、後述する車間距離決定手段11によって決定された必要車間距離だけあけて自車を自動的に停車させる際に用いることができる。
【0024】
ブレーキ制御部82は、ブレーキ(図示略)による制動を制御するもので、本実施形態では、後述する制御手段12によって制御され、例えば、後述するごとく、前方車両との車間距離を、後述する車間距離決定手段11によって決定された必要車間距離だけあけて自車を停車させる制動制御や、他車両(前方車両,後方車両)との衝突を回避するための制動制御を行なうようになっている。
【0025】
舵角制御部83は、操舵系(図示略)による操舵(舵角)を制御するもので、本実施形態では、後述する制御手段12によって制御され、例えば、後述するごとく、停車中に自車と他車との車間距離が減少し且つ回避スペース(図4,図5参照)がある場合に、そのスペースへ自車を移動させて他車との衝突を回避するための舵角制御を行なうようになっている。
【0026】
ついで、図1および図3〜図5を参照しながら、CPU10によって実現される各手段11〜13としての機能について説明する。
必要車間距離決定手段11は、自車100が走行状態から減速して停車する際に前方車両101が存在する場合に、勾配検出手段40によって検出された道路勾配および路面状況検出手段60によって検出された路面状況(ウエット路面か凍結路面か通常路面か)に基づき、自車100と、自車100の前方車両101もしくは後方車両102との間について必要な車間距離(停止目標の車間距離)を必要車間距離として決定するものである。
【0027】
この必要車間距離決定手段11としての機能は、道路勾配および路面状況(通常路面,ウエット路面,凍結路面)と停車時における必要車間距離との対応関係を登録したテーブルを、記憶部20等に予め保存しておき、勾配検出手段40によって検出された道路勾配および路面状況検出手段60によって検出された路面状況に応じた必要車間距離を当該テーブルから読み出すことで実現してもよい。また、必要車間距離決定手段11としての機能は、上記テーブルに代え、道路勾配および路面状況(通常路面,ウエット路面,凍結路面)と停車時における必要車間距離との対応関係を定義する関数を、記憶部20等に予め保存しておき、勾配検出手段40によって検出された道路勾配および路面状況検出手段60によって検出された路面状況を当該関数に代入して、道路勾配および路面状況に応じた必要車間距離を算出することで実現してもよい。
【0028】
ここで、上述のごとく、必要車間距離決定手段11としての機能を実現するためのテーブルや関数は、例えば図3に示すように設定・定義される。なお、図3は、本実施形態における、道路勾配による必要車間距離および路面状況による必要車間距離について説明するための図である。
【0029】
この図3では、自車100が登り勾配の道路上で停車する際に停車中の前方車両101との間に必要な車間距離の具体例が示されている。この必要車間距離としては、道路勾配/路面状況(路面の滑り易さ)に応じて、例えば、自車100および前方車両101がいずれも停車した状態で、自車100または前方車両101が万一滑って若干移動したとしても接触する可能性の低い距離であって、且つ、自車100または前方車両101が停車状態から移動を開始する際に万一滑ったとしても接触する可能性の低い距離が設定されている。
【0030】
具体的には、平地での必要車間距離(停止距離)を1mとした場合に、緩い勾配(例えば1〜5パーセント)の通常路面での必要車間距離(停止距離)を2m、緩い勾配(例えば1〜5パーセント)のウエット路面での必要車間距離(停止距離)を2.5m、緩い勾配(例えば1〜5パーセント)の凍結路面での必要車間距離(停止距離)を5m、きつい勾配(例えば5パーセント以上)の通常路面での必要車間距離(停止距離)を4mと設定されている。図3では図示されていないが、例えば、きつい勾配(例えば5パーセント以上)のウエット路面での必要車間距離(停止距離)を5m、きつい勾配(例えば5パーセント以上)の凍結路面での必要車間距離(停止距離)を10mと設定される。
【0031】
なお、もちろん、必要車間距離(停止目標の車間距離)は、図3に示す例に限定されるものではない。例えば、外気温センサ61によって検出された外気温が低く凍結の可能性が高い場合は必要車間距離を延ばす(例えば、通常路面時の必要車間距離の1.5〜2.5倍等)。また、路面状況検出部(ESP)62によって検出された減速時のタイヤのスリップ率等から路面が滑り易い状況であると認識された場合には、滑り易さに応じて必要車間距離を延ばす(例えば、通常路面時の必要車間距離の1.3倍等)。さらに、各種車両センサ(傾斜センサ41)や画像センサ等を含む勾配検出手段40により、現在や前方の路面傾斜を求め、傾斜に合わせて停止車間距離を延ばす(平地での通常車間距離の1.5〜4倍等)。
【0032】
また、図3では、自車100が登り勾配の道路上で停車する際に停車中の前方車両101との間に必要な車間距離の具体例を示したが、自車100が登り勾配の道路上で停車する際に停車中の後方車両102との間に必要な車間距離や、自車100が下り勾配の道路上で停車する際に停車中の前方車両101もしくは後方車両102との間に必要な車間距離も、上述した図3に示した例等と同様に設定することが可能である。
【0033】
判定手段13は、自車100の停車中(車速センサ50による検出結果が0km/hの時)に、車間距離検出手段30によって検出された車間距離に基づき自車100と他車両101,102との車間距離の減少を検知した場合、自車100の操作による他車両101,102との衝突回避の可能性を判定するものである。より具体的に、判定手段13は、例えば図4および図5に示すように、他車両101,102との衝突を回避すべく自車100が退去可能な回避スペースの有無に基づいて他車両101,102との衝突回避の可能性を判定している。
【0034】
このような判定手段13による回避スペースの有無の検知・判定は、前述した通り、前方監視システム31または後方監視システム32の機能を用いて(レーダ,ソナー,画像センサ等による検出結果に基づいて)実行される。
なお、図4(a),(b)は、図1に示す車両運転支援装置1の、衝突回避可能性の有無に応じた動作例について説明するための図、図5(a),(b)は、図1に示す車両運転支援装置1の、衝突回避可能性がある場合の動作例について説明するための図である。
【0035】
図4(a)および図5(a)では、前方車両101が停車中の自車100に接近してきた場合で衝突回避の可能性がある場合の例が示されている。つまり、停車中の自車100の前後に他車両101,102が存在する状況で、前方車両101が接近してきた場合、後方車両102と衝突することなく前方車両101との衝突を回避すべく、後方車両102との間に操舵可能な車間距離があり且つ自車100を退去可能な横方向の回避スペースがある場合、判定手段13は、衝突回避可能性があるものと判定する。一方、図4(b)では、前方車両101が停車中の自車100に接近してきた場合で衝突回避の可能性が無い場合、つまり後方車両102と衝突することなく前方車両101との衝突を回避するために必要な、操舵可能な車間距離が後方車両102との間に無い場合の例が示されている。また、図5(b)では、後方車両102が停車中の自車100に接近してきた場合で衝突回避の可能性がある場合の例が示されている。
【0036】
制御手段12は、自車100の減速・停車時に、車間距離検出手段50によって検出された車間距離と必要車間距離決定手段11によって決定された必要車間距離とに応じ、自車100の運転者に対する通知もしくは警報または自車100の制動を実行させるように制御を行なう機能(図6または図7参照)を果たすものである。また、制御手段12は、判定手段13による判定結果、および、車間距離検出手段30によって検出された車間距離に応じ、自車100の運転者または他車両101,102の運転者に対する警報、もしくは、自車100の制動、もしくは、自車100の操舵による危険回避制御(衝突回避制御)を行なう機能(図8参照)も果たすものである。この制御手段12による詳細な機能や動作については図4〜図8を参照しながら後述する。
【0037】
〔2〕本実施形態の動作
次に、上述のごとく構成された本車両運転支援装置1の動作について、図4〜図8を参照しながら説明する。
まず、図6(a),(b)に示すフローチャート(ステップS11〜S17およびS131〜S134)に従って、図1に示す車両運転支援装置1の、減速停車時の動作例について説明する。
【0038】
CPU10(制御手段12)は、自車100の走行中に車速センサ50によって自車100の減速を検知すると(ステップS11のYesルート)、前方監視システム31を用いて自車100の前方に他車両101が存在するか否かを認識する(ステップS12)。自車100の減速を検知しない場合(ステップS11のNoルート)や前方車両101が存在しない場合(ステップS12の「無」ルート)には、ステップS11の処理に戻る。
【0039】
前方車両101が存在する場合(ステップS12の「有」ルート)には、必要車間距離決定手段11によって停止目標車間距離(必要車間距離)が演算・決定される(ステップS13)。
【0040】
このステップS13においては、図6(b)に示すように、まず、外気温センサ61によって自車周囲の外気温を検出するとともに(ステップS131)、路面状況検出部62によって路面状況(スリップ率)を検出し(ステップS132)、さらに、傾斜センサ41(勾配検出手段40)によって自車100の走行中の道路勾配(もしくは自車100前方の道路勾配)を検出する(ステップS133)。この後、外気温センサ61によって検出された外気温と、路面状況検出部62によって検出されたスリップ率とに基づいて、上述したように、現在減速中の路面状況が通常路面,ウエット路面,凍結路面のいずれであるかをCPU10(必要車間距離決定手段11)が判定する。そして、CPU10(必要車間距離決定手段11)は、その路面状況判定結果と、傾斜センサ41(勾配検出手段40)によって検出された道路勾配とに基づいて、記憶部20に保持されたテーブルを検索するか、記憶部20に保持された関数による代入演算を実行するかして、自車100と前方車両101との間についての、道路勾配および路面状況に応じた必要車間距離(停止目標の車間距離)が決定される(ステップS134)。
【0041】
必要車間距離の演算後、車間距離検出手段30(前方監視システム31)によって検出される、自車100と前方車両101との車間距離が警報距離まで縮まったか否かをCPU10(制御手段12)で判定する(ステップS14)。なお、警報距離は、自車100の運転者が自車警報装置71による通知・警報を認識してからブレーキ操作を行なうことにより、前方車両101との間に必要車間距離をあけた状態で余裕をもって自車100を停車させることのできる距離とし、例えば、[警報距離]=[必要車間距離]+[第1所定距離]として設定されるものとする。
【0042】
自車100と前方車両101との車間距離が警報距離まで縮まっていない場合(ステップS14のNoルート)、ステップS11の処理に戻る。一方、自車100と前方車両101との車間距離が警報距離まで縮まった場合(ステップS14のYesルート)、制御手段12によって自車警報装置71が制御され、自車100の運転者に対し必要車間距離を取って停車するように促す通知/警報(アラーム)が行なわれる(ステップS15)。
【0043】
この通知/警報に応じて運転者がブレーキ操作を行ない、自車100が前方車両100との間に必要車間距離をあけて停車した場合には処理を終了するが、通知/警報を行なった後も自車100と前方車両101との車間距離がさらに縮まる場合には、その車間距離が制動距離まで縮まったか否かをCPU10(制御手段12)で判定する(ステップS16)。なお、制動距離は、ブレーキ制御部82によるブレーキ制御を自動介入してブレーキ操作を強制的に行なうことにより、前方車両101との間に必要車間距離をあけた状態で自車100を停車させることのできる距離とし、例えば、[制動距離]=[必要車間距離]+[第2所定距離]として設定されるものとする。ただし、[第2所定距離]<[第1所定距離]であり、[制動距離]<[警報距離]である。
【0044】
自車100と前方車両101との車間距離が制動距離まで縮まっていないが(ステップS16のNoルート)、運転者によるブレーキ操作が未だ行なわれていない場合には、ステップS15に戻り上記通知/警報(アラーム)が継続して行なわれる。一方、自車100と前方車両101との車間距離が制動距離まで縮まった場合(ステップS16のYesルート)、制御手段12によってブレーキ制御部82が制御され、自車100に対し制動を掛けて前方車両101との間に必要車間距離をあけて自車100を強制的に停車させる(ステップS17)。
【0045】
ついで、図7(a),(b)に示すフローチャート(ステップS21〜S27およびS231〜S236)に従って、図1に示す車両運転支援装置1の、減速停車時の動作変形例について説明する。この動作変形例は、必要車間距離(停止目標車間距離)の演算・決定時に後方車両102の有無を考慮している点で、図6(a),(b)を参照しながら上述した動作例と異なっている。つまり、図7(a)のステップS21〜S27の処理および図7(b)のステップS231〜S233は、それぞれ図6(a)のステップS11〜S17の処理および図6(b)のステップS131〜S133と同様であるので、その詳細な説明は省略する。この動作変形例では、ステップS23での処理に際し、後方車両102の有無を考慮すべく、図7(b)に示すステップS234およびS235の処理が新たに追加されるとともに、図6(b)のステップS134に対応するステップS236での処理が若干変更されている。
【0046】
ステップS23においては、上述したステップS13と同様、図7(b)に示すように、まず、外気温センサ61によって自車周囲の外気温を検出し(ステップS231)、路面状況検出部62によって路面状況(スリップ率)を検出し(ステップS232)、傾斜センサ41(勾配検出手段40)によって自車100の走行中の道路勾配(もしくは自車100前方の道路勾配)を検出する(ステップS233)。さらに、後方監視システム32を用いて自車100の後方に他車両102が存在するか否かを認識する(ステップS234)。後方車両102が存在しない場合(ステップS234の「無」ルート)には、ステップS235の処理を実行することなく、CPU10(必要車間距離決定手段11)は、ステップS236において、図6(b)のステップS134の処理と同様にして必要車間距離(目標車間距離)を決定する。
【0047】
一方、後方車両102が存在する場合(ステップS234の「有」ルート)には、後方監視システム32を用いて自車100と後方車両102との車間距離を計測してから(ステップS235)、CPU10(必要車間距離決定手段11)は、判定手段13の機能等を用いて後方車両102との衝突回避可能性の判定を行ない、衝突回避可能性がある場合には、ステップS236において、図6(b)のステップS134の処理と同様にして必要車間距離(目標車間距離)を決定する。
【0048】
これに対し、衝突回避可能性が無い場合、CPU10(必要車間距離決定手段11)は、ステップS236において、図6(b)のステップS134の処理と同様にして決定された必要車間距離(目標車間距離)に、所定距離(例えば数m)を加算した値を必要車間距離(停止目標距離)として決定する。これにより、自車100の後方側に、後方車両102との衝突を回避可能にする車間距離や回避スペース等が無い場合であっても、自車100前方側における前方車両101との車間距離に余裕があるため、自車100を前方側に移動させて後方車両102との衝突を回避することが可能になる。
【0049】
ついで、図8(a),(b)に示すフローチャート(ステップS31〜S39およびS331〜S335)は、図1に示す車両運転支援装置1の、停車時の動作例について説明する。
【0050】
CPU10(制御手段12)は、車速センサ50によって自車100の停車中(自車速=0)を検知すると(ステップS31の「=0」ルート)、前方監視システム31および後方監視システム32を用いて、自車100と自車100の前方/後方における他車両101,102との車間距離の変化を参照し、他車両101,102との車間距離が減少しているか否かを判定する(ステップS32)。他車両101,102との車間距離が一定または増加した場合(ステップS32の「一定」ルート)には、ステップS31の処理に戻る。
【0051】
自車100の停車中に前方車両101または後方車両102が移動し(もしくは自車100が滑って移動し)車間距離が減少すると(ステップS32の「減少」ルート)、判定手段13によって回避スペース検索(衝突回避可能性判定)が実行される(ステップS33)。
【0052】
このステップS33においては、図7(b)に示すように、まず、判定手段13は、前方監視システム31または後方監視システム32のレーダ,画像センサ,ソナーを用いて自車100の前方または後方の状況を検出し分析・画像認識等を行なってから(ステップS331〜S333)、その分析結果や画像認識結果に基づいて、図4および図5を参照しながら前述したような車間距離や回避スペースの有無を判断する(ステップS334)。つまり、回避スペースが有り且つその回避スペースへ自車100が移動するために必要な車間距離(回避距離)が有る場合、判断手段13は、回避可能(回避可能性あり)と判断し(ステップS334の「可」ルート)、回避距離(自車100が回避スペースへ移動するために必要な移動距離)や回避舵角(例えば1.5回転等)や回避スペースへ移動するために必要な速度(例えば5km/h等)を演算・決定し制御手段12に通知する(ステップS335)。一方、回避スペースが無い場合もしくは回避スペースがあってもその回避スペースへ自車100が移動するために必要な車間距離が無い場合、判断手段13は、ステップS335をスキップし、その判定結果を制御手段12に通知する。
【0053】
回避距離・回避舵角等の演算後、ステップS334で回避不可と判定されている場合、CPU10(制御手段12)は、自車警報装置71を用いて自車100の運転者に対する警報を行なうとともに対象車警報装置72を用いて他車両101,102の運転者に対する警報を行なうと同時に(ステップS34のYesルートからステップS35)、ブレーキ制御部82によって他車両101,102との衝突を回避するための制動制御を行ない、二次被害を軽減すべく制動力を上げる(ステップS36のYesルート,ステップS37の「無」ルートからステップS39;図4(b)参照)。
【0054】
また、回避距離・回避舵角等の演算後、ステップS334で回避可と判定されている場合、CPU10(制御手段12)は、前方監視システム31または後方監視システム32によって検出される、自車100と他車両101,102との車間距離が警報距離まで縮まったか否かをCPU10で判定する(ステップS34)。なお、警報距離は、自車100の運転者が自車警報装置71による通知・警報を認識してから回避操作を行なうことにより、他車両101,102に衝突させることなく自車100を回避スペースへ移動させることのできる距離とし、例えば、[警報距離]=[回避距離]+[第1所定距離]として設定されるものとする。
【0055】
自車100と他車両101,102との車間距離が警報距離まで縮まっていない場合(ステップS34のNoルート)、ステップS31の処理に戻る。一方、自車100と他車両101,102との車間距離が警報距離まで縮まった場合(ステップS34のYesルート)、制御手段12によって自車警報装置71および対象車警報装置72が制御され、自車100の運転者や他車量101,102に対する警報(アラーム)が行なわれる(テップS35)。このとき、自車100の運転者に対しては回避操作を促す通知も警報と同時に行なわれる。
【0056】
この通知・警報に応じて他車両101,102の運転者が回避操作を行なったり自車100の運転者が回避操作を行なって自車100が回避スペースへ移動したりした場合には処理を終了するが、通知/警報を行なった後も自車100と他車両101,102との車間距離がさらに縮まる場合には、その車間距離が回避距離まで縮まったか否かをCPU10(制御手段12)で判定する(ステップS36)。
【0057】
自車100と他車両101,102との車間距離が回避距離まで縮まっていないが(ステップS36のNoルート)、運転者による回避操作が未だ行なわれていない場合には、ステップS35に戻り上記通知/警報(アラーム)が継続して行なわれる。一方、自車100と他車両101,102との車間距離が回避距離まで縮まり(ステップS36のYesルート)、前方監視システム31または後方監視システム32によって回避スペースの有ることが確認されると(ステップS37の「有」ルート)、制御手段12によってACC制御部81,ブレーキ制御部82や舵角制御部83が制御され、自車100が回避スペースへ強制的に移動される(ステップS37)。また、前方監視システム31または後方監視システム32によって、回避スペース検索時には有った回避スペースが無くなっていると判断されると(ステップS37の「無」ルート)、制御手段12によってブレーキ制御部82が制御され、他車両101,102との衝突を回避するための制動制御が行なわれ、二次被害を軽減すべく制動力が上げられる(ステップS39)。
【0058】
なお、警報距離や回避距離は、勾配検出手段40によって検出された道路勾配および路面状況検出手段60によって検出された路面状況に基づいて、図3を参照しながら前述した必要車間距離と同様に算出・決定することが望ましい。つまり、道路勾配が大きいほど、また、路面が滑りやすいほど(スリップ率が小さいほど)、警報距離や回避距離を長めに設定することが望ましい。
【0059】
〔3〕本実施形態の効果
このように、本発明の一実施形態としての車両運転支援装置1によれば、自車100と他車両101,102との車間距離と、自車100の走行中/停車中の道路の勾配や路面状況(道路環境:雨天,凍結など)とに基づき、自車100の前方/後方について必要車間距離が決定され、その必要車間距離と現在の車間距離とに応じ、自車100の運転者に対する通知/警報や自車100の強制制動が行なわれる。
【0060】
これにより、停車場所の状況(勾配や路面状況)に応じた必要車間距離を取って停車するように通知(アナウンス)/警報によって運転者に促されるので、運転者は、他車両101,102との間に、停車場所の状況(勾配や路面状況)に応じた車間距離をあけて自車100を停車させることができ、他車両101,102との衝突を確実に防止することができる。また、自車100と他車両101,102との車間距離が上記制動距離まで縮まると、自車100に対し制動を掛けて他車両101,102との間に必要車間距離をあけて自車100を強制的に停車させることで、他車両101,102との衝突を確実に防止することができる。
【0061】
また、停車中に自車100と他車量101,102との車間距離の減少を検知した場合には自車100の操作による他車両101,102との衝突回避の可能性(回避スペースの有無等)が判定され、その判定結果、および、他車両101,102との車間距離に応じ、自車100/他車両101,102の運転者に対する通知もしくは警報または自車100の強制制動または自車100の自動操舵による衝突回避制御が行なわれる。
【0062】
これにより、自車100が他車両101,102との間に十分な車間距離(必要車間距離)をあけて停車したにもかかわらず、何らかの要因(例えば坂道で停車後に路面が凍結した場合など)によって自車100と他車両101,102との車間距離が減少した場合に、衝突回避の可能性が警報によって運転者に通知されるとともに、必要に応じて衝突の回避措置が強制的に行なわれるので、他車両101,102との衝突を確実に防止することができる。
【0063】
つまり、本実施形態によれば、前方車両101または後方車両102が坂道において制動力不足により自車100に向かって下がってきた場合でも、対象車警報装置72によって相手側(他車両101,102の運転者)に対して警告することで回避することが可能である。それでも、他車両101,102が接近する場合には、自車100の前後の車間距離または空き領域をセンサで検知することで、自車100が移動できる空きスペース(回避スペース)があれば移動し衝突を回避することができる。もし回避スペースへの移動が不可能な場合には、ブレーキの制動力を高め、搭乗者への被害を軽減するとともに玉突き衝突を防止することができる。また、路面状況に応じて停車する際の車間距離を設定することで、ドライバの想定以上に制動距離が必要な場合でブレーキ制御が遅れた場合は警告を行ない衝突を未然に防止することもできる。
【0064】
〔4〕その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、滑り易い路面状況として、ウエット路面および凍結路面の検出を行ない、ウエット路面よりも凍結路面が滑り易い状況であると認識し、通常路面,ウエット路面および凍結路面の3段階で路面状況を検出しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、路面状況検出部(ESP等)52によって検出される路面グリップ状況(スリップ率等)に応じて4段階以上の滑り易さで路面状況を検出し、各段階ごとに必要車間距離を決定するようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、勾配についても、検出された路面勾配を3段階(図3参照)のレベルに当てはめて必要車間距離を決定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検出された路面勾配を4段階以上のレベルに当てはめ、各段階ごとに必要車間距離を決定するようにしてもよい。
【0066】
さらに、上述した必要車間距離決定手段11,制御手段12および判定手段13としての機能(全部もしくは一部の機能)は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(車両運転支援プログラム)を実行することによって実現される。
【0067】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から車両運転支援プログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0068】
ここで、コンピュータとは、ハードウエアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウエアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウエアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえている。上記車両運転支援プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、上述した手段11〜13としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 車両運転支援装置
10 CPU(処理部)
11 必要車間距離決定手段
12 制御手段
13 判定手段
20 記憶部
30 車間距離検出手段
31 前方監視システム
32 後方監視システム
40 勾配検出手段
41 傾斜センサ
50 車速センサ
60 路面状況検出手段(接地面状況検出手段)
61 外気温センサ
62 路面状況検出部
71 自車警報装置
72 対象車警報装置
81 ACC制御部
82 ブレーキ制御部
83 舵角制御部
100 車両(自車)
101 他車両(他車,前方車両)
102 他車両(他車,後方車両)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方もしくは後方の車間距離を検出する車間距離検出手段と、
前記車両の接地面の勾配を検出する勾配検出手段と、
前記勾配検出手段によって検出された前記勾配に基づき、前記車両の前方もしくは後方について必要な車間距離を必要車間距離として決定する必要車間距離決定手段と、
前記車間距離検出手段によって検出された前記車間距離と前記必要車間距離決定手段によって決定された前記必要車間距離とに応じ、前記車両の運転者に対する通知もしくは警報または前記車両の制動を実行させるように制御を行なう制御手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両運転支援装置。
【請求項2】
前記車両の接地面の状況を検出する接地面状況検出手段をさらにそなえ、
前記必要車間距離決定手段は、前記勾配検出手段によって検出された前記勾配と前記接地面状況検出手段によって検出された前記状況とに基づき前記必要車間距離を決定することを特徴とする、請求項1記載の車両運転支援装置。
【請求項3】
前記車両の停車中に前記車間距離検出手段によって検出された前記車間距離に基づき前記車両と当該車両の前方もしくは後方の他車両との車間距離の減少を検知した場合、前記車両の制動もしくは操舵による当該他車両との衝突回避の可能性を判定する判定手段をそなえ、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果および前記車間距離検出手段によって検出された前記車間距離に応じ、前記車両の運転者もしくは当該他車両の運転者に対する警報または前記車両の制動もしくは操舵による衝突回避制御を行なうことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記判定手段は、当該他車両との衝突を回避すべく前記車両が退去可能な回避スペースの有無に基づいて当該他車両との衝突回避の可能性を判定することを特徴とする、請求項3記載の車両運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−163058(P2010−163058A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7128(P2009−7128)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】