説明

車体前部構造

【課題】歩行者への衝撃の反力を低減し、車両正面の衝撃吸収ストロークをより一層増加させ、構造が簡単な車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造11は、開閉カバー体(フード15)と、フロントバルクヘッド16と、ラジエータ32とコンデンサ33を支持する支持ブラケット44と、を備える。開閉カバー体(フード15)のカバー前部46が、カバー後部47に比べ強度を低く形成されている。支持ブラケット44は、車体前方からラジエータ32及びコンデンサ33に入力される衝撃によってラジエータ32及びコンデンサ33を車体後方へ傾倒させる。フロントバルクヘッド16は、バルクヘッドコーナ部52と、バルクヘッドサイド部53と、バルクヘッドアッパ部55と、を備え、バルクヘッドアッパ部55にフードロック機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータやラジエータなどの装置をカバーするフードを配置した車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歩行者と接触した際に、車体前部構造は変形することで歩行者の受ける負荷を軽減しているものがある。例えば、車体前部構造は、フードの下方に車両の正面に向いているラジエータの上部を変形容易な脆弱部66を有するステー60で支持し、ラジエータの上部の前方に荷重伝達部材90を配置して荷重伝達部材90をさらに前方に位置するフロントグリルに支持している。フロントグリルに歩行者が接触すると、フロントグリルの変形に伴い荷重伝達部材90がラジエータを後へ押し、脆弱部66を変形させるので、ラジエータは後方へ倒れ、歩行者への衝撃を吸収することができる(例えば、特許文献1参照(図3、図10)参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)では、フロントグリルの変形とともにフードも変形するが、一般的に、フードはラジエータの上部近傍で車体に設けたフードロック装置に対してフードに設けたフードロック用のストライカをロックすることで、車体に強固に固定されているため、歩行者と衝突した場合、ストライカから前縁までの範囲しかフードが変形しないので、衝突した際の、フロントグリルを含めた後方への変形範囲が短くなり、結果的に、衝撃吸収ストロークが小さいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−80958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、歩行者への衝撃の反力を低減し、車両正面の衝撃吸収ストロークをより一層増加させ、衝撃吸収ストロークを増加させるための構造が簡単な車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車室の前に連なる前区画室の上部に設けた開閉カバー体と、前区画室の前端の骨格に含まれるフロントバルクヘッドと、フロントバルクヘッドにラジエータとコンデンサのうち少なくとも一方の上端を支持する支持ブラケットと、を備えた車体前部構造であって、開閉カバー体の少なくとも前区画室の区画室前部の上方に配置されたカバー前部が、カバー前部に連なるカバー後部に比べ強度を低く形成され、支持ブラケットは、車体前方からラジエータ及びコンデンサに入力される衝撃によってラジエータ及びコンデンサを車体後方へ傾倒させることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、フロントバルクヘッドは、車体側に連なり先端部を前区画室の中位近傍へ配置したバルクヘッドコーナ部と、バルクヘッドコーナ部の先端部に連なり上方へ延在させたバルクヘッドサイド部と、バルクヘッドサイド部の上端を車両後方へ延ばした後退部に取付けられたバルクヘッドアッパ部と、を備え、バルクヘッドアッパ部のうち車両後方へ向いている後面に開閉カバー体を車体側にロックするフードロック機構が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、開閉カバー体は、車両外方へ表を向けた鋼板製のアウタパネルと、アウタパネルの裏のうちカバー前部の範囲に設けられた樹脂製の前部インナフレームと、残りの裏に設けられた鋼板製の後部インナフレームと、を備え、後部インナフレームの先端近傍にフードロック機構にロックされるストライカが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、支持ブラケットは、ラジエータへ向いているバルクヘッドサイド部の内側面に回動自在に重ねられたブラケット取付部と、ブラケット取付部に設けられてブラケット取付部の回動を規制する回動規制爪と、ブラケット取付部に連なり延びる延出嵌合部と、延出嵌合部に開けられ、ラジエータの突起及びコンデンサの突起と嵌合し、車両正面に衝撃を受けたときに、回動規制爪に抗して回動することによって突起の嵌合が外れる嵌合孔と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、開閉カバー体と、フロントバルクヘッドと、ラジエータとコンデンサのうち少なくとも一方の上端を支持する支持ブラケットと、を備えた車体前部構造であって、開閉カバー体の少なくとも区画室前部の上方に配置されたカバー前部が、カバー前部に連なるカバー後部に比べ強度を低く形成され、支持ブラケットは、車体前方からラジエータ及びコンデンサに入力される衝撃によってラジエータ及びコンデンサを車体後方へ傾倒させるので、車両の正面と障害物(例えば歩行者)が接触したときに、カバー後部と同等にした場合に比べ、開閉カバー体の前部を容易に変形させることができる。従って、歩行者への衝撃の反力を低減することができる。
【0011】
さらに、衝撃で開閉カバー体の前部が変形した際にラジエータ並びにコンデンサを支持ブラケットによって後方へ傾倒させることができる。その結果、開閉カバー体の前部の変形を阻害するということがなく、車両正面の衝撃吸収ストロークを増大させることができる。結果的に、歩行者への衝撃の反力をより低減することができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、フロントバルクヘッドは、車体側に連なるバルクヘッドコーナ部と、バルクヘッドコーナ部に連なり上方へ延在させたバルクヘッドサイド部と、バルクヘッドサイド部の後退部に取付けられたバルクヘッドアッパ部と、を備え、バルクヘッドアッパ部の後面にフードロック機構が設けられているので、フードロック機構を車両後方へ後退させることができ、開閉カバー体のカバー前部の車両前後方向の長さを大きく確保することができる、従って、車両正面の衝撃吸収ストロークをより一層増加させることができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、開閉カバー体は、鋼板製のアウタパネルと、カバー前部の範囲に設けられた樹脂製の前部インナフレームと、鋼板製の後部インナフレームと、を備え、後部インナフレームの先端近傍にフードロック機構にロックされるストライカが設けられているので、開閉カバー体の表面(外観)の形状を従来と同様に確保しながら、車両正面の衝撃吸収を高めている開閉カバー体のカバー前部を形成するのは容易になる。
【0014】
さらに、樹脂製の前部インナフレームにストライカを取付ける場合に比べ、ストライカの取付け強度を高く維持することができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、支持ブラケットは、バルクヘッドサイド部に回動自在に重ねられたブラケット取付部と、ブラケット取付部に設けられた回動規制爪と、ブラケット取付部に連なり延びる延出嵌合部と、延出嵌合部に開けられ、ラジエータの突起及びコンデンサの突起との嵌合が回動することによって外れる嵌合孔と、を備えているので、車両正面に入力される衝撃に対して、支持ブラケットのみによってラジエータ及びコンデンサを車両後方へ傾倒させることができ、衝撃吸収ストロークを増加させるための構造は簡単になる。
また、支持ブラケットは、通常時は回動規制爪によって、通常走行時の振動による支持ブラケットの回転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る車体前部構造の斜視図である。
【図2】実施例に係る車体前部構造の詳細を示す斜視図である。
【図3】実施例に係る車体前部構造の平面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】実施例に係る車体前部構造の開閉カバー体を下方から見た図である。
【図6】図2の6部詳細図である。
【図7】実施例に係る車体前部構造の衝撃の反力を低減する機構を説明する図(1/3)である。
【図8】実施例に係る車体前部構造の衝撃の反力を低減する機構を説明する図(2/3)である。
【図9】実施例に係る車体前部構造の衝撃の反力を低減する機構を説明する図(3/3)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。なお、図面を複数指定するときに、図面の範囲(図〜から図〜まで)を「−」で示した。例えば、図1、図2、図3の場合は、図1−3とした。
【実施例】
【0018】
図1に示した実施例に係る車体前部構造11は、車両12の前部13に採用され、障害物M(図7)、例えば歩行者と接触したときに、歩行者を保護するようにしたもので、車両12のフロントボデー14内のものをカバーする開閉カバー体であるところのフード15と、フロントバルクヘッド16を備えている。以降で具体的に説明していく。
【0019】
車両12は、車体18と、車室21と、車室21の前に連なる前区画室であるところのエンジンルーム22と、フロントボデー14のフロントサイドフレーム23と、フロントサイドフレーム23の先端に取付けられたバンパビーム24と、フロントサイドフレーム23の上方へ連なるフロントサイドアッパメンバ25と、フロントサイドアッパメンバ25に支持されたフロントフェンダ26と、フロントサイドアッパメンバ25に取付けられたフロントバルクヘッド16と、フロントバルクヘッド16の下方に配置されたフロントロアクロスメンバ27と、フードロック装置31と、を備える。そして、前区画室(エンジンルーム22)の前端の骨格には、ラジエータ32、コンデンサ33が支持されている。
【0020】
フードロック装置31は(図2−5)、フロントバルクヘッド16に配置したフードロック機構35と、フードロック機構35に係合(ロック)・施錠されるストライカ36と、を備え、取扱いは既存のものと同様である。
【0021】
前区画室(エンジンルーム22)の前端の骨格は、フロントバルクヘッド16と、フロントバルクヘッド16から垂下している左右のバルクヘッドサイドフレーム38と、バルクヘッドサイドフレーム38の下部に支持されているフロントロアクロスメンバ27と、を有し、車体前部構造11に含まれる。
【0022】
車体前部構造11は、車室21の前に連なる前区画室(エンジンルーム22)の上部に設けた開閉カバー体(フード15)と、前区画室(エンジンルーム22)の前端の骨格に含まれるフロントバルクヘッド16と、フロントバルクヘッド16にラジエータ32の上端41とコンデンサ33の上端42を支持する支持ブラケット44と、を備える。
開閉カバー体(フード15)の少なくとも前区画室(エンジンルーム22)の区画室前部45の上方に配置されたカバー前部46(図4−5)が、カバー前部46に連なるカバー後部47に比べ強度を低く形成されている。
支持ブラケット44は、車体18前方から(矢印a1の方向)ラジエータ32及びコンデンサ33に入力される衝撃によってラジエータ32及びコンデンサ33を車体18後方(矢印a1の方向)へ傾倒(図7、9の矢印a2の方向)させる。
【0023】
フロントバルクヘッド16は、車体18側、例えばフロントサイドアッパメンバ25に連なり先端部51を前区画室(エンジンルーム22)の中位He近傍へ配置したバルクヘッドコーナ部52と、バルクヘッドコーナ部52の先端部51に連なり上方へ延在させたバルクヘッドサイド部53と、バルクヘッドサイド部53の上端を車両12後方へ延ばした後退部54に取付けられたバルクヘッドアッパ部55と、を備え、バルクヘッドアッパ部55のうち車両12後方へ向いている後面56に開閉カバー体(フード15)を車体18側(フロントボデー14)にロックするフードロック機構35が設けられている。
【0024】
フロントバルクヘッド16は、具体的には、バルクヘッドコーナ部52を角管状の中空(閉断面)に形成し、バルクヘッドコーナ部52の端(先端部51)を封じるように、板状に形成したバルクヘッドサイド部53の下部を取付け、バルクヘッドコーナ部52の下面にバルクヘッドサイドフレーム38の一端を接合している。
【0025】
バルクヘッドサイド部53は、板状、詳しくは低い縁を有する平たいもので、バルクヘッドコーナ部52と同様な角管状の中空(閉断面)とした場合に比べ、後述する支持ブラケット44を回動自在に締結する構造は、簡単になる。
また、バルクヘッドコーナ部52と同様な角管状の中空(閉断面)とした場合に比べ、軽量化を図ることができ、且つ製造は容易になるという利点がある。
バルクヘッドアッパ部55は、直管であり、バルクヘッドコーナ部52と同様な角管状の中空(閉断面)とした場合に比べ、直管にすることで製造は容易になるという利点がある。
【0026】
開閉カバー体(フード15)は(図1、4、5)、車両12外方(矢印a3の方向)へ表を向けた鋼板製のアウタパネル61と、アウタパネル61の裏のうちカバー前部46の範囲に設けられた樹脂製の前部インナフレーム62と、残りの裏に設けられた鋼板製の後部インナフレーム63と、後部インナフレーム63の前部に溶接で結合し、且つアウタパネル61に接着剤で一体的に結合しているフード補強ステー64と、を備え、後部インナフレーム63の先端近傍に車体18側(フロントボデー14)のフードロック機構35にロックされるストライカ36が設けられている。
【0027】
アウタパネル61は、既存の形状(デザイン)であり、従来と同様の製造方法を確保したものである。
アウタパネル61には、既に述べた後部インナフレーム63と前部インナフレーム62とからなるインナフレーム65が取付けられている。
【0028】
カバー前部46は(図1、4、5)、前部インナフレーム62を用いた範囲である。
カバー前部46の車両12前後方向の長さは、平均でLfである。
前部インナフレーム62は(図4、5)、樹脂製で、鋼製のアウタパネル61の端を折り曲げることで前縁、左縁71、右縁72を挟まれ、後縁73をフード補強ステー64の前脚部74及び後部インナフレーム63に接着剤やピンなどの接合手段で接合している。
前部インナフレーム62に用いる樹脂の特性は任意である。
【0029】
フード補強ステー64は、前脚部74を前部インナフレーム62及び後部インナフレーム63に結合し、後脚部75を後部インナフレーム63を介してストライカ36に結合している。その結果、前部インナフレーム62、ストライカ36を補強することができる。
【0030】
ストライカ36は、鋼板製の後部インナフレーム63及びフード補強ステー64に取付けられたベース部77と、ベース部77に取付けられたコ字形のストライカ本体78と、からなる。
フードロック機構35は、バルクヘッドアッパ部55の後面56に取付けられたベース板81を有する。ストライカ本体78に係合する爪82を回動(矢印a4の方向)させる構成は、既存の構成と同様である。
なお、ベース板81をバルクヘッドアッパ部55の後面56に固定しているが、爪82の位置を変えずに、バルクヘッドアッパ部55の前面84にベース板81を固定して延長することも可能である。
【0031】
次に支持ブラケット44を図2、3、6を用いて説明する。
支持ブラケット44は、ラジエータ32へ向いているバルクヘッドサイド部53の内側面86に回動自在(矢印a5の方向)に重ねられたブラケット取付部87と、ブラケット取付部87に設けられてブラケット取付部87の回動を規制する回動規制爪88と、ブラケット取付部87に連なり延びる延出嵌合部91と、延出嵌合部91に開けられ、ラジエータ32の突起92及びコンデンサ33の突起93と嵌合し、車両12正面に衝撃を受けたときに、回動規制爪88に抗して回動することによって突起92、93の嵌合が外れる嵌合孔94と、を備えている。
【0032】
支持ブラケット44は、詳しくは、ラジエータ32に用いる第1ブラケット96と、コンデンサ33に用いる第2ブラケット97と、からなり、それぞれが、ブラケット取付部87、回動規制爪88、延出嵌合部91、嵌合孔94を有する。
回動規制爪88はバルクヘッドサイド部53に開けた孔98に嵌合している。
【0033】
なお、支持ブラケット44は、少なくとも一方(例えばラジエータ32)の上端41を支持する第1ブラケット96のみでも可能であり、コンデンサ33の上端42をブラケット取付部87のように回動しない部材で固定することも可能である。
【0034】
ブラケット取付部87は、中央に支点孔101が開けられ、支点孔101及びバルクヘッドサイド部53の孔(支点孔101と同様)に通したボルト(図に示していない)によって取付けられている。
嵌合孔94には、緩衝部材102を介して突起92、93が嵌合している。
【0035】
次に、本発明の実施例に係る車体前部構造11の作用を図7−9で説明する。
車体前部構造11は、図7に示すように、車両12と障害物(例えば歩行者)Mが接触したときに、開閉カバー体(フード15)のカバー前部46が変形することで、歩行者Mへの衝撃の反力を低減することができる。
【0036】
具体的には、車両12の正面が障害物(例えば歩行者)Mに接触(衝突)すると、ラジエータ32やコンデンサ33が後退するとともに開閉カバー体(フード15)のカバー前部46が、変形し始める。カバー前部46は、開閉カバー体(フード15)の全体に対して、樹脂製の前部インナフレーム62によって強度を低く設定した部位なので、強度を低く設定しないフード15に比べ、変形開始の荷重を小さくすることができ、且つその変形範囲(ストローク)を(例えば距離Sまで)大きくすることができる。従って、歩行者Mに加わる衝撃を軽減することができる。
【0037】
また、車体前部構造11では、フロントバルクヘッド16(バルクヘッドサイド部53、バルクヘッドアッパ部55)によって、フードロック機構35を車両12後方へ後退させることができ、開閉カバー体(フード15)のカバー前部46の車両12前後方向の長さLf(図5)を大きく確保することができる、従って、車両12正面の衝撃吸収ストロークSをより一層増加させることができる。
【0038】
さらに、車体前部構造11では、開閉カバー体(フード15)は、インナフレーム65(前部インナフレーム62、後部インナフレーム63)によって、開閉カバー体(フード15)の外観の形状を従来と同様に確保しながらも、車両12正面の衝撃吸収を高めた開閉カバー体(フード15)のカバー前部46を製造するのは容易になる。
【0039】
車体前部構造11では、図8、9に示している支持ブラケット44は、車両12正面に障害物(歩行者)Mによる衝撃を入力されると、矢印a6のように回動してラジエータ32及びコンデンサ33を車両12後方へ矢印a2のように傾倒させることができ、ラジエータ32及びコンデンサ33を車両12後方へ傾倒させる車体前部構造11の構造は簡単になる。
また、車両12正面に障害物(歩行者)Mによる衝撃が発生しないときには、支持ブラケット44は回動規制爪88(図2、6)によって、通常走行時の振動による支持ブラケット44の回転を防止することができる。
【0040】
尚、本発明の車体前部構造は、実施の形態では車両に採用されているが、車両以外の開閉カバー体に採用可能である。
また、車両の前に採用されているが、車両の後にも採用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の車体前部構造は、車両に好適である。
【符号の説明】
【0042】
11…車体前部構造、15…開閉カバー体(フード)、16…フロントバルクヘッド、18…車体、21…車室、22…前区画室(エンジンルーム)、25…フロントサイドアッパメンバ、32…ラジエータ、33…コンデンサ、35…フードロック機構、36…ストライカ、41…ラジエータの上端、42…コンデンサの上端、44…支持ブラケット、45…区画室前部、46…カバー前部、47…カバー後部、51…バルクヘッドコーナ部の先端部、52…バルクヘッドコーナ部、53…バルクヘッドサイド部、54…後退部、55…バルクヘッドアッパ部、56…バルクヘッドアッパ部の後面、61…アウタパネル、62…前部インナフレーム、63…後部インナフレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前に連なる前区画室の上部に設けた開閉カバー体と、前記前区画室の前端の骨格に含まれるフロントバルクヘッドと、該フロントバルクヘッドにラジエータとコンデンサのうち少なくとも一方の上端を支持する支持ブラケットと、を備えた車体前部構造であって、
前記開閉カバー体の少なくとも前記前区画室の区画室前部の上方に配置されたカバー前部が、該カバー前部に連なるカバー後部に比べ強度を低く形成され、
前記支持ブラケットは、車体前方から前記ラジエータ及びコンデンサに入力される衝撃によってラジエータ及びコンデンサを車体後方へ傾倒させることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記フロントバルクヘッドは、車体側に連なり先端部を前区画室の中位近傍へ配置したバルクヘッドコーナ部と、該バルクヘッドコーナ部の先端部に連なり上方へ延在させたバルクヘッドサイド部と、該バルクヘッドサイド部の上端を車両後方へ延ばした後退部に取付けられたバルクヘッドアッパ部と、を備え、該バルクヘッドアッパ部のうち車両後方へ向いている後面に前記開閉カバー体を車体側にロックするフードロック機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記開閉カバー体は、車両外方へ表を向けた鋼板製のアウタパネルと、該アウタパネルの裏のうち前記カバー前部の範囲に設けられた樹脂製の前部インナフレームと、残りの裏に設けられた鋼板製の後部インナフレームと、を備え、該後部インナフレームの先端近傍に前記フードロック機構にロックされるストライカが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記支持ブラケットは、前記ラジエータへ向いている前記バルクヘッドサイド部の内側面に回動自在に重ねられたブラケット取付部と、該ブラケット取付部に設けられてブラケット取付部の回動を規制する回動規制爪と、前記ブラケット取付部に連なり延びる延出嵌合部と、該延出嵌合部に開けられ、前記前記ラジエータの突起及び前記コンデンサの突起と嵌合し、車両正面に衝撃を受けたときに、前記回動規制爪に抗して回動することによって突起の嵌合が外れる嵌合孔と、を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−162948(P2010−162948A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4869(P2009−4869)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】