説明

車載ナビゲーション装置

【課題】車両前方の風景画像、及び予め記憶された地図画像に基づき生成される描画地図画像のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを、適切に選択すること。
【解決手段】車両前方の風景を撮像する撮像手段、予め地図情報記憶手段に記憶された地図情報及び車両の現在位置を取得可能な現在位置取得手段により取得された車両の現在位置に基づき描画地図画像を生成する描画地図画像生成手段、車室内において視認可能な表示を行なう表示手段を備え、表示手段により撮像手段の撮像画像又は描画地図画像を背景画像としてナビゲーション情報を重畳表示する車載ナビゲーション装置であって、車両の走行環境を取得する走行環境取得手段と、走行環境取得手段により取得された車両の走行環境に基づいて撮像手段の撮像画像と描画地図画像とのいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを選択する背景画像選択手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前方の風景画像、又は予め記憶された地図画像に基づき生成される描画地図画像に、ナビゲーション情報を重畳表示する車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の進行方向の景色をカメラにより撮像し、撮像画像にナビゲーション情報要素を重ね合わせて表示する表示態様と、描画用地図情報に基づいて生成される地図画像にナビゲーション情報要素を重ね合わせて表示する表示態様と、を切替え可能なカーナビゲーションシステムについての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、ユーザーが手動により表示態様を切替えたり、車両がランドマークに到達したときに撮像画像にナビゲーション情報要素を重ね合わせて表示するように自動的に切替えたりするものとしている。
【特許文献1】特開平11−108684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のカーナビゲーションシステムの如く、ユーザーが手動により表示態様を切替えるのは煩わしく、また、運転中に係る操作を行なうのは安全運転の観点から好ましくない。従って、表示態様を自動的に切替えることが好ましいが、ランドマークに到達したときに表示態様を自動的に切替えるだけでは不十分である。現実の走行環境によっては、撮像手段により撮像された風景にナビゲーション情報を重畳表示させるよりも、地図画像に基づき生成される描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示させる方が好ましい場面が想定されるからである。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車両前方の風景画像及び予め記憶された地図画像に基づき生成される描画地図画像のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを、適切に選択することが可能な車載ナビゲーション装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、車両前方の風景を撮像する撮像手段と、予め地図情報記憶手段に記憶された地図情報、及び現在位置取得手段により取得された車両の現在位置に基づき描画地図画像を生成する描画地図画像生成手段と、車室内において視認可能な表示を行なう表示手段と、を備え、表示手段により、撮像手段の撮像画像又は描画地図画像を背景画像としてナビゲーション情報を重畳表示する車載ナビゲーション装置であって、車両の走行環境を取得する走行環境取得手段と、走行環境取得手段により取得された車両の走行環境に基づいて、撮像手段の撮像画像と、描画地図画像と、のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを選択する背景画像選択手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0006】
この本発明の一態様によれば、車両の走行環境に基づいて、撮像手段の撮像画像と、描画地図画像と、のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを適切に選択することができる。
【0007】
本発明の一態様において、例えば、走行環境取得手段は、現在位置取得手段を含み、背景画像選択手段は、撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、現在位置取得手段により取得された車両の現在位置を用いて地図情報を参照し、車両の現在位置が地図情報において予め設定された所定位置に該当する場合に、描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、表示手段の表示内容を切替える手段である。この場合、所定位置は、例えば繁華街領域内の位置である。
【0008】
また、本発明の一態様において、例えば、走行環境取得手段は、撮像手段の撮像画像解析を行なうと共に、撮像画像解析により得られる解析結果を走行環境として取得する手段であり、背景画像選択手段は、撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、走行環境取得手段が取得する解析結果に基づく所定の判定手法により、撮像手段の撮像画像がナビゲーション情報を重畳表示するのに適しているか否かを判定し、撮像画像がナビゲーション情報を重畳表示するのに適していないと判定した場合に、描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、表示手段の表示内容を切替える手段である。この場合、例えば、走行環境取得手段は、撮像手段の撮像画像の煩雑度を導出して走行環境として取得する手段であり、所定の判定手法は、走行環境取得手段が取得した煩雑度が基準程度以上の場合に、撮像画像がナビゲーション情報を重畳表示するのに適していないと判定する手法である。
【0009】
また、本発明の一態様において、例えば、走行環境取得手段は、車両の進路上に存在する遮蔽物の存在を検知可能な手段であり、背景画像選択手段は、撮像手段の撮像画像ナビゲーション情報を重畳表示している最中に、走行環境取得手段により車両の進路上に存在する遮蔽物の存在が検知された場合に、描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、表示手段の表示内容を切替える手段である。
【0010】
また、本発明の一態様において、例えば、走行環境取得手段は、天候情報を取得可能な手段であり、背景画像選択手段は、撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、走行環境取得手段により悪天候である旨の情報が取得された場合に、描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、表示手段の表示内容を切替える手段である。
【0011】
また、本発明の一態様において、例えば、走行環境取得手段は、路面状態を検知可能な手段であり、背景画像選択手段は、撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、走行環境取得手段により悪路走行中であることが検知された場合に、描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、表示手段の表示内容を切替える手段である。
【0012】
また、本発明の一態様において、背景画像選択手段が撮像手段の撮像画像を選択している場合には、撮像手段の撮像画像に含まれる不要な画像要素を背景色に同化させる処理を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両前方の風景画像及び予め記憶された地図画像に基づき生成される描画地図画像のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを、適切に選択することが可能な車載ナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の一実施例に係る車載ナビゲーション装置1について説明する。車載ナビゲーション装置1は、カメラにより撮像された車両前方の風景と、地図情報に基づいて生成される描画地図画像と、のいずれか一方を背景画像として選択し、選択した背景画像にナビゲーション情報(車両が進むべき進行方向を示す矢印や、目的地を示す強調表示等)を重畳表示する機能を有する。
【0016】
[構成]
図1は、車載ナビゲーション装置1の全体構成の一例を示す図である。車載ナビゲーション装置1は、主要な構成として、前方カメラ10と、GPSアンテナ20と、HMI(Human Machine Interface)30と、メモリ40と、通信装置50と、Gセンサー60と、表示装置70と、ナビゲーションコンピューター80と、を備える。なお、図中の矢印は、CAN(Controller Area Network)やBEAN、AVC−LAN、FlexRay等の適切な通信プロトコルを用いて行なわれる装置内の主要な情報通信の流れを示す。
【0017】
前方カメラ10は、例えば、ウインドシールド中央上部に配設されたCCDやCMOS等の撮像素子を利用したカメラであり、車両前方に向けた光軸を有し、車両前方を撮像する。前方カメラ10の撮像画像は、例えばNTSC(National Television Standards Committee)等のインターレース方式により生成される画像信号としてナビゲーションコンピューター80に送信される。なお、前方カメラ10は、周知のLKA(Lane Keeping Assist)制御に用いられる前方カメラが共用されてもよい。
【0018】
GPSアンテナ20は、GPS衛星から衛星の軌道と時刻のデータを含む電波信号を受信し、ナビゲーションコンピューター80に送信する。
【0019】
HMI30は、例えば、インストルメントパネル中央部の運転者や助手席乗員から視認容易な位置に配設され、タッチパネルとして構成された液晶ディスプレイ装置や、音声入出力のためのマイク、スピーカー、ブザー等を含む。
【0020】
メモリ40は、例えば、ハードディスクやDVD、CD−ROM等の記憶媒体が用いられ、地図情報が記憶されている。当該地図情報においては、交差点等を表すノード点、及びノード点を接続するリンクにより道路形状が表現されており、各リンクに付随して、道路幅員や曲率、走行車線数等の情報が記憶されている。また、主要な建造物や地名、特徴的な地形、及びその座標、繁華街等の位置領域(具体的には、外延線の座標)等が記憶されている。
【0021】
通信装置50は、例えば、携帯電話の電波網を用いて無線通信局との通信が可能な装置であり、当該無線通信局を介してインターネットプロバイダーや情報サービス施設に接続可能となっている。また、ビーコン受信機やFM多重放送受信機を含んでもよい。通信装置50は、定期的に車両の現在位置を情報サービス施設に送信し、当該地点における天候情報を情報サービス施設から取得する。
【0022】
Gセンサー60は、例えば、車両のセンターコンソール部の下方に取り付けられた3軸式の加速度センサーであり、車両の前後左右上下方向の加速度(本発明においては、特に上下方向の加速度)に応じて発生するセンサー内のビームの歪みを計測し、電気信号に置き換えてナビゲーションコンピューター80に出力する。
【0023】
表示装置70は、例えば、HUD(Head Up Display)装置である。すなわち、ウインドシールド上の表示位置に映像を投影することにより、あたかも運転者の視点から当該表示位置を見た延長線上の位置(車外の位置)に存在するかのような虚像として、映像の内容を表示する。
【0024】
表示装置70は、例えばインストルメントパネルの上面に形成された凹部にその全体が収納される。そして、コンビネーションメータの裏側に配設され、車両の進行方向に向けて発光表示を行なう専用液晶ディスプレイ装置と、当該専用液晶ディスプレイ装置が発する光を反射してウインドシールドに投影する反射鏡と、を備える。また、専用液晶ディスプレイと反射鏡との間には、焦点調節機構が配設されており、運転者の目に映る虚像の遠近感を調節可能となっている。表示装置がウインドシールドに投影することにより運転者の目に映ることとなる表示内容は、ナビゲーションコンピューター80により決定される。
【0025】
なお、表示装置70は、HUD装置に限定されるものではなく、HMI30に含まれるものとして例示した液晶ディスプレイ装置等が表示装置70として用いられても、本発明の適用上において特段の問題は生じない。
【0026】
ナビゲーションコンピューター80は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等がバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、I/Oポート、タイマー、カウンター等を備える。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。また、ナビゲーションコンピューター80は、ROMに記憶されたプログラムをCPUがRAM上に展開(ロード)して実行することにより機能する主要な機能ブロックとして、現在位置特定部81と、描画地図画像生成部82と、画像解析部83と、背景画像選択部84と、経路案内部85と、を備える。
【0027】
現在位置特定部81は、GPSアンテナ20が受信する衛星からの電波信号の時間差に基づく演算により自車両の現在位置(緯度、経度、高度)を特定する。なお、自車両の現在位置は、車速センサーやジャイロセンサー等の各種センサーの出力や、ビーコン受信機及びFM多重放送受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてよい。
【0028】
描画地図画像生成部82は、例えば、背景画像選択部84の作動要求に従って作動する機能ブロックであり、現在位置特定部81が特定した自車両の現在位置及び進行方向を用いてメモリ40上の地図情報を参照し、車両前方の風景に擬した描画地図画像を生成する。図2は、描画地図画像を生成する様子を示す図である。描画地図画像は、地図情報から得られる二次元平面上の道路形状を、鳥瞰図に変換することにより生成される。描画地図画像を表示する場合、建物の密集程度や撮像条件等に左右されずに安定して運転者に道路形状の概観を表示することができる。反面、前方カメラ10の撮像画像をそのまま表示する場合に比して、上記変換の誤差等に起因して現実の風景との差異が生じ得る等のデメリットも存在するため、視認性やナビゲーション情報とのコントラストが確保できる限りにおいては、前方カメラ10の撮像画像をそのまま表示することが好ましいと考えられる。
【0029】
画像解析部83は、前方カメラ10の撮像画像解析を行なって背景画像選択部84に送信する。画像解析部83の画像解析においては、例えば、前方カメラ10の撮像画像の煩雑度を数値化する。ここで、煩雑度とは、輝度や色彩に基づいて前方カメラ10の撮像画像を要素化した場合の、要素化された画像要素の数等と定義することができる。
【0030】
背景画像選択部84は、後述するように経路案内部85が重畳表示するナビゲーション情報の背景画像として、前方カメラ10の撮像画像と、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像とのいずれかを選択して経路案内部85に送信する。以下、その選択手法について述べる。
【0031】
[背景画像選択]
図3は、背景画像の選択に関して背景画像選択部84が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、例えば所定周期をもって繰り返し実行される。
【0032】
まず、背景画像選択部84は、現在位置特定部81が特定した自車両の現在位置と、メモリ40に記憶された地図情報を参照し、自車両の現在位置が所定位置に該当するか否かを判定する(S100;条件1)。ここで、所定位置とは、例えば繁華街領域内や山間部の位置であり、車両前方の風景が煩雑である(建物や樹木等が多いため)等の理由により、前方カメラ10の撮像画像がナビゲーション情報の背景として適切でないことが予め判明している位置をいう。自車両の現在位置が所定位置に該当する場合は、ナビゲーション情報の背景画像として、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像を選択する(S112)。こうした位置では、前方カメラ10の撮像画像がナビゲーション情報の背景として適切でないからである。
【0033】
自車両の現在位置が所定位置に該当しない場合は、前方カメラ10の撮像画像の煩雑度が所定値以上であるか否かを判定する(S102;条件2)。煩雑度が所定値以上である場合は、ナビゲーション情報の背景画像として、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像を選択する(S112)。煩雑度が所定値以上である場合は、前方カメラ10の撮像画像がナビゲーション情報の背景として適切でないからである。
【0034】
煩雑度が所定値未満である場合は、自車両の進路上に遮蔽物が存在するか否かを判定する(S104;条件3)。ここで、遮蔽物とは、自車両の進行方向がカーブしている場合において、カーブした先の道路を視認できなくするような大きい建造物、山、丘などをいう。自車両の進行方向がカーブしていること、及び建造物等の位置座標については、メモリ40に記憶された地図情報を参照する。自車両の進路上に遮蔽物が存在する場合は、ナビゲーション情報の背景画像として、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像を選択する(S112)。遮蔽物の存在によりカーブした先の道路が視認できないような場面では、車両前方の風景よりも図2で例示した如き描画地図画像を表示した方が、前方状況の把握に適しているからである。
【0035】
自車両の進路上に遮蔽物が存在しない場合は、現在の天候が悪天候であるか否かを判定する(S106;条件4)。現在の天候については、通信装置50を用いて取得する。或いは、自車両のワイパーの作動状況や車外の光量を検知するセンサーの出力値等を用いて天候を推定してもよい。現在の天候が悪天候である場合は、ナビゲーション情報の背景画像として、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像を選択する(S112)。雨や雪が降っている場合は、そもそも車両前方の風景が視認困難であり、前方カメラ10の撮像画像がナビゲーション情報の背景として適切でないからである。
【0036】
現在の天候が悪天候でない場合は、悪路を走行中であるか否かを判定する(S108;条件5)。悪路を走行中であるか否かは、Gセンサー60の出力値を参照して行なう。例えば、車両の上下方向の加速度の、所定時間あたりの振動数や振れ幅等に対して所定の閾値を適用することにより、悪路を走行中であるか否かが判定される。悪路を走行中である場合は、ナビゲーション情報の背景画像として、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像を選択する(S112)。悪路を走行中である場合は、前方カメラ10の撮像画像にブレが生じるため、ナビゲーション情報の背景として適切でないからである。
【0037】
そして、S100〜S108のいずれにおいても否定的な判定を得た場合には、ナビゲーション情報の背景画像として、前方カメラ10の撮像画像を選択する。
【0038】
経路案内部85は、現在位置特定部81が特定した自車両の現在位置から、ユーザーによりHMI30を用いて入力された目的地に至るまでの推奨経路を生成し、背景画像選択部84が選択した画像にナビゲーション情報を重畳表示するように表示装置70を制御する(図4参照)。また、分岐点等においては、音声案内を行なうようにHMI30のスピーカー等を制御する。
【0039】
このように、背景画像選択部84は、図3に例示した如き判定手順に従って、ナビゲーション情報として前方カメラ10の撮像画像が適しているか否かを適切に判定する。その結果、視認性やナビゲーション情報とのコントラストが確保できる限りにおいては、前方カメラ10の撮像画像がナビゲーション情報の背景画像とされ、それ以外の場面では、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像がナビゲーション情報の背景画像とされることとなる。従って、運転者においては、車両の前方状況をより的確に把握することができる。
【0040】
本実施例の車載ナビゲーション装置1によれば、前方カメラの撮像画像及び描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを、適切に選択することができる。
【0041】
なお、図3のフローチャートはあくまで一例であり、上記条件1〜5のうち幾つかの条件を任意に選択して、選択した条件のいずれかに該当した場合に描画地図画像を選択するものとしてもよい。例えば、自車両の現在位置が所定位置に該当する場合、又は自車両の進路上に遮蔽物が存在する場合に描画地図画像を選択し、これらのいずれにも該当しなければ前方カメラ10の撮像画像を選択するような選択手順であってもよい。選択手順中、悪天候か否かを判定しない場合は、通信装置50は必須の構成でない。また、悪路走行中か否かを判定しない場合は、Gセンサー60は必須の構成でない。
【0042】
また、上記条件1〜5のうち幾つかの条件を任意に選択して、選択した条件の全てに該当した場合に描画地図画像を選択するものとしてもよい。例えば、自車両の現在位置が所定位置に該当し、且つ前方カメラ10の撮像画像の煩雑度が所定値以上である場合に描画地図画像を選択し、それ以外の場合に前方カメラ10の撮像画像を選択するような選択手順であってもよい。
【0043】
また、車両前方が視認しにくい夜間には、描画地図画像生成部82が生成する描画地図画像を選択する、等の他の条件を付加してもよい(and条件としてでも、or条件としてでもよい)。
【0044】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0045】
例えば、前方カメラ10の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示する場合、撮像画像中の不要な画像要素(電柱、電線等)は、背景色に同化させるものとしてもよい(図5参照)。撮像画像における電線の認識については、例えば、たるみを考慮した一定面積以下の直線(曲線)を電線と認識することができる。また、電柱と電線からなる画像パターンを予めメモリ40に記憶しておき、類似のパターンが撮像画像中で発見された場合に、これを背景色に同化させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】車載ナビゲーション装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】描画地図画像を生成する様子を示す図である。
【図3】背景画像の選択に関して背景画像選択部84が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】背景画像選択部84が選択した画像にナビゲーション情報を重畳表示する様子を示す図である。
【図5】前方カメラ10の撮像画像中の不要な画像要素を、背景色に同化させる様子を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車載ナビゲーション装置
10 前方カメラ
20 GPSアンテナ
30 HMI
40 メモリ
50 通信装置
60 Gセンサー
70 表示装置
80 ナビゲーションコンピューター
81 現在位置特定部
82 描画地図画像生成部
83 画像解析部
84 背景画像選択部
85 経路案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の風景を撮像する撮像手段と、予め地図情報記憶手段に記憶された地図情報、及び現在位置取得手段により取得された車両の現在位置に基づき描画地図画像を生成する描画地図画像生成手段と、車室内において視認可能な表示を行なう表示手段と、を備え、
前記表示手段により、前記撮像手段の撮像画像又は前記描画地図画像を背景画像としてナビゲーション情報を重畳表示する車載ナビゲーション装置であって、
車両の走行環境を取得する走行環境取得手段と、
該走行環境取得手段により取得された車両の走行環境に基づいて、前記撮像手段の撮像画像と、前記描画地図画像と、のいずれにナビゲーション情報を重畳表示するかを選択する背景画像選択手段と、
を備えることを特徴とする、車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記走行環境取得手段は、前記現在位置取得手段を含み、
前記背景画像選択手段は、
前記撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、前記現在位置取得手段により取得された車両の現在位置を用いて前記地図情報を参照し、該車両の現在位置が前記地図情報において予め設定された所定位置に該当する場合に、前記描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、前記表示手段の表示内容を切替える手段である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記所定位置は、繁華街領域内の位置である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記走行環境取得手段は、前記撮像手段の撮像画像解析を行なうと共に、該撮像画像解析により得られる解析結果を走行環境として取得する手段であり、
前記背景画像選択手段は、
前記撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、前記走行環境取得手段が取得する解析結果に基づく所定の判定手法により、前記撮像手段の撮像画像がナビゲーション情報を重畳表示するのに適しているか否かを判定し、該撮像画像がナビゲーション情報を重畳表示するのに適していないと判定した場合に、前記描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、前記表示手段の表示内容を切替える手段である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記走行環境取得手段は、前記撮像手段の撮像画像の煩雑度を導出して走行環境として取得する手段であり、
前記所定の判定手法は、前記走行環境取得手段が取得した煩雑度が基準程度以上の場合に、該撮像画像がナビゲーション情報を重畳表示するのに適していないと判定する手法である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記走行環境取得手段は、車両の進路上に存在する遮蔽物の存在を検知可能な手段であり、
前記背景画像選択手段は、
前記撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、前記走行環境取得手段により車両の進路上に存在する遮蔽物の存在が検知された場合に、前記描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、前記表示手段の表示内容を切替える手段である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記走行環境取得手段は、天候情報を取得可能な手段であり、
前記背景画像選択手段は、
前記撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、前記走行環境取得手段により悪天候である旨の情報が取得された場合に、前記描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、前記表示手段の表示内容を切替える手段である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記走行環境取得手段は、路面状態を検知可能な手段であり、
前記背景画像選択手段は、
前記撮像手段の撮像画像にナビゲーション情報を重畳表示している最中に、前記走行環境取得手段により悪路走行中であることが検知された場合に、前記描画地図画像にナビゲーション情報を重畳表示するように、前記表示手段の表示内容を切替える手段である、
車載ナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置であって、
前記背景画像選択手段が前記撮像手段の撮像画像を選択している場合には、該撮像手段の撮像画像に含まれる不要な画像要素を背景色に同化させる処理を行なうことを特徴とする、
車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−202987(P2008−202987A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36914(P2007−36914)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】