説明

車載地図表示装置

【課題】地図のスクロール先にどのような地図要素があるかを知ることができる車載地図表示装置を提供する。
【解決手段】地図が右方向にスクロールされることにより、海22が表示範囲31に対して左方向に移動した結果、海22の一部分が音声出力範囲32の中に入ったとする。地図のスクロール中にこのような状態になると、海22を音声出力の対象地図要素として海に関する音声を出力する。さらにスクロールが続けられて海22の一部分が表示範囲31の中に入ると、海22に関する音声出力を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を画面表示してその地図をユーザの操作に応じてスクロールするナビゲーション装置のような車載地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図を画面表示して自車両を設定された目的地まで誘導するナビゲーション装置において、スイッチやリモコン、タッチパネルなどの操作によって入力されたユーザからの指示に応じて、表示している地図を任意の方向へスクロールするものが広く知られている。(たとえば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開平5−158408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような従来のナビゲーション装置では、地図のスクロール中に画面の表示範囲外に存在する地図要素に関して何の情報もユーザに提供されないため、ユーザは地図のスクロール先にどのような地図要素があるかを知ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車載地図表示装置は、所定の表示範囲内に含まれる地図部分を画面表示する地図表示手段と、ユーザのスクロール操作を検出する検出手段と、検出手段により検出されたスクロール操作に応じて地図をスクロールする地図スクロール手段と、地図スクロール手段により地図がスクロールされているときに、そのスクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力する音声出力手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車載地図表示装置において、地図上に所定の音声出力範囲を設定する音声出力範囲設定手段をさらに備え、音声出力手段は、地図がスクロールされているときに対象地図要素が音声出力範囲の中に入ると、その対象地図要素に関する音声を出力するものである。
請求項3の発明は、請求項2の車載地図表示装置において、音声出力範囲設定手段は、表示範囲を少なくとも含む範囲に音声出力範囲を設定するものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3いずれか一項の車載地図表示装置において、音声出力手段は、地図がスクロールされているときに対象地図要素が表示範囲の中に入ると、その対象地図要素に関する音声の出力を停止するものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、音声出力手段は、表示範囲と対象地図要素の位置関係に応じて、その対象地図要素に関する音声の出力音量を変化させるものである。
請求項6の発明は、請求項5の車載地図表示装置において、音声出力手段は、表示範囲と対象地図要素の間の距離が短い程、その対象地図要素に関する音声をより大きな音量で出力するものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6いずれか一項の車載地図表示装置において、地図の縮尺を変化させる縮尺変化手段と、地図の縮尺に応じて、対象地図要素の種類を選択する対象地図要素選択手段とをさらに備えるものである。
請求項8の発明は、請求項7の車載地図表示装置において、対象地図要素選択手段は、地図が広域地図であってその縮尺が比較的小さい場合には、その広域地図上に領域として表される種類の地図要素を対象地図要素として選択し、地図が詳細地図であってその縮尺が比較的大きい場合には、その詳細地図上には表示されるが広域地図上には表示されない種類の地図要素を対象地図要素として選択するものである。
請求項9の発明は、請求項8の車載地図表示装置において、対象地図選択手段は、地図が広域地図である場合には特定の地形を対象地図要素として選択し、地図が詳細地図である場合には特定の商業施設を対象地図要素として選択するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザは地図のスクロール先にどのような地図要素があるかを音声により知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、探索した推奨経路を地図上に表示してその推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するものである。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、ディスクドライブ18およびスピーカ20を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行する。これにより、たとえば目的地の設定、推奨経路の探索、地図の表示などの様々な処理や制御がナビゲーション装置1において行われる。
【0009】
現在地検出装置14は、自車両の現在地すなわち自車位置を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車位置に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置マークを地図上に示したりすることができる。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を表示するための地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM19に記録されている地図データなどに基づいて、制御回路11により作成される。作成された画像データが制御回路11から画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に地図が表示される。
【0011】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置などを指定して目的地を設定することができる。入力装置17にはユーザのスクロール操作を検出するためのスクロール操作スイッチが設置されており、ユーザはこれを用いて表示モニタ16に表示された地図を任意の方向にスクロールすることができる。
【0012】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19より、地図を表すための地図データを読み出す。この地図データには、ルート探索に用いられる経路計算データ、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる交差点名称や道路名称などの経路誘導データ、道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図要素を表す背景データなども地図データに含まれている。
【0013】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。
【0014】
なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスク、メモリーカードなどから地図データを読み出すこととしてもよい。あるいは、外部より携帯電話回線などを介して送信される地図データを受信し、その地図データを用いることとしてもよい。すなわち、地図データの取得にはどのような方法を用いてもよい。
【0015】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0016】
スピーカ20は、制御回路11から出力される音声信号により各種の音声を出力する。たとえば、前述のような自車両の誘導時における進行方向指示のための音声や、次に説明するようなスクロール先にある対象地図要素に関する音声などが、スピーカ20から出力される。スピーカ20から出力される音声を聞くことにより、ユーザは画面を注視せずに指示された進行方向に向けて自車両を運転したり、スクロール先にどのような地図要素があるかを知って思い通りの方向に地図をスクロールしたりすることができる。
【0017】
以上説明したような構成を有するナビゲーション装置1は、ユーザのスクロール操作に応じて地図がスクロールされているときに、そのスクロール先にある対象地図要素に関する音声をスピーカ20から出力する。その様子を以下に図面を参照しながら説明する。なお、スクロール先にある対象地図要素とは、後で説明するような音声出力の対象に選択された地図要素であって、表示範囲外に存在しており、その地図要素に向かって地図がスクロールされているものである。すなわち、そのままの方向で地図をスクロールし続けると、やがては対象地図要素が画面に表示される。
【0018】
図2は、スクロール前の地図の一部を示している。この地図では、広い地図範囲を表すために縮尺が比較的小さく設定されており、いわゆる広域地図に該当する。符号21に示すマークは、自車位置を示すための自車位置マークである。符号22に示すハッチング部分は、地図要素の一つである海を表している。
【0019】
符号31に示す実線枠は、画面の表示範囲、すなわち表示モニタ16において地図が表示される範囲を示している。この表示範囲31の中にある地図部分が表示モニタ16に画面表示される。符号32に示す破線枠は、スクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力するときに用いられる音声出力範囲を示している。この音声出力範囲32は、表示範囲31を少なくとも含むように、表示範囲31の周囲の所定範囲に設定される。ユーザのスクロール操作に応じて地図がスクロールされると、音声出力範囲32の中に入った対象地図要素に関する音声がスピーカ20から出力される。この点については、後で詳しく説明する。
【0020】
図2の地図は、表示範囲31を中心とする所定範囲内の地図を表している。図2の地図において、入力装置17に設置されたスクロール操作スイッチがユーザに操作されることにより、右方向に向かって地図のスクロール操作が行われると、表示範囲31の位置が地図に対して相対的に右方向に移動する。すなわち、表示範囲31を中心にすると、地図が左方向にずれる。その結果、図2から図3のように地図が変化する。
【0021】
図3に示す地図では、地図が右方向にスクロールされることにより、海22が表示範囲31に対して図2の位置よりも左方向に移動している。その結果、海22の一部分が音声出力範囲32の中に入っている。地図のスクロール中にこのような状態になると、海22を音声出力の対象地図要素として海に関する音声が出力される。たとえば、波の音や汽笛の音などの各種効果音、海を連想させるような音楽、あるいは「海があります」のような説明の文章音などが、海に関する音声として出力される。このように、地図をスクロールすることにより、音声出力の対象地図要素が音声出力範囲32の中に含まれるようになった場合、その対象地図要素に関する音声がスピーカ20から出力される。
【0022】
そのまま右方向へのスクロール操作が続けられると、図3から図4のように地図が変化する。図4に示す地図では、地図のスクロールに応じて海22が図3の位置からさらに左方向に移動し、その結果、海22の一部分が表示範囲31の中に入っている。このように音声出力している対象地図要素が表示範囲内に入って表示モニタ16に表示されたときには、その対象地図要素に関する音声出力を停止する。なお、音声の内容が前述のような文章音である場合は、そのまま文章の最後まで音声出力を続けてもよい。
【0023】
以上説明したようにして、地図のスクロール中にはそのスクロール先にある対象地図要素に関する音声がスピーカ20から出力される。このとき、表示範囲と対象地図要素の位置関係に応じて出力音量を変化させるようにしてもよい。たとえば、表示範囲と対象地図要素の間の距離が短いほど、その対象地図に関する音声をより大きな音量で出力する。その様子を図5により説明する。
【0024】
図5の符号33に示すグラフは、対象地図要素の位置と、その対象地図要素に関する音声の出力音量の関係を表している。地図が右方向にスクロールされることにより、対象地図要素である海22が相対的に左方向に移動して音声出力範囲32に差し掛かると、音量グラフ33の(A)に示すような音量で海に関する音声がスピーカ20から出力される。さらに右方向へのスクロールが続けられて海22が表示範囲31に近づくと、それにつれて音量グラフ33に示すように徐々に音量が大きくなる。海22が表示範囲31に差し掛かると、(B)に示すように音量が最大となった後、音量が0となって音声出力が停止される。
【0025】
なお、海以外の地図要素を音声出力の対象地図要素としてもよい。たとえばスクロール先に人口密集地がある場合、その対象地図要素に関する音声として交通騒音を出力する。また、たとえばスクロール先に飛行場がある場合は飛行機の音、遊園地がある場合はテーマ曲の音、緑地帯や公園がある場合は鳥のさえずり音などを対象地図要素に関する音声として出力する。ここで例に挙げていない地図要素についても、地図上に表示される地図要素であれば同様に対象地図要素とすることができる。
【0026】
地図のスクロール中にいずれかの対象地図要素に関する音声を出力している際に、違う対象地図要素が音声出力範囲内に入ってきた場合は、先の対象地図要素に関する音声の出力を取りやめて、後から音声出力範囲内に入ってきた対象地図要素に関する音声を新たに出力することが好ましい。このようにすることで、音声が重なって出力されることを防ぐとともに、最新の状況に応じて音声出力の内容を更新することができる。なお、複数の対象地図要素が連続して存在した場合であってもユーザが音声を聞き取ることができるように、音声出力範囲内に入ってきた対象地図要素について所定の音声出力時間、たとえば1秒間は少なくとも音声出力することとしてもよい。あるいは、対象地図要素ごとに優先順位を設定しておき、その優先順位に従って、音声出力範囲内に存在するいずれかの対象地図要素について音声出力してもよい。
【0027】
また、複数種類の地図要素を対象地図要素としてもよい。この場合は、対象地図要素の種類ごとに音声出力の優先順位を予め設定しておくことが好ましい。このようにすれば、音声出力範囲内に複数種類の対象地図要素が同時に存在する状況であっても、その優先順位に従っていずれかの対象地図要素についてのみ音声が出力されるため、音声が重なって出力されるのを防ぐことができる。
【0028】
なお、上記で例に挙げた各種の対象地図要素は、いずれも広域地図上に領域として表されるような特定の地形に該当する種類の地図要素である。このような領域は、複数の座標点によって定義されるポリゴンを用いて表される。すなわち、スクロールされる地図が広域地図である場合は、その広域地図上に表されたポリゴンのうちスクロール先にあるポリゴンを対象地図要素として、そのポリゴンに関する音声を出力する。
【0029】
以上説明した内容は、スクロールされる地図が広域地図である場合の例である。次にスクロールされる地図が詳細地図である場合について、以下に図面を参照して説明を行う。なお詳細地図とは、狭い地図範囲を拡大して表すために縮尺が比較的大きく設定された地図である。
【0030】
図6は、スクロール前の詳細地図の一部を示している。この地図には図2と同様に自車位置マーク21が表示されており、表示範囲31および音声出力範囲32が設定されている。符号23に示すハッチング部分は、詳細地図において表示される地図要素の一つであるパチンコ店を表している。
【0031】
図6の地図において、入力装置17に設置されたスクロール操作スイッチがユーザに操作されることにより右方向に向かって地図のスクロール操作が行われると、図2で説明したのと同様に、表示範囲31の位置が地図に対して相対的に右方向に移動し、表示範囲31を中心に地図が左方向にずれる。その結果、図6から図7のように地図が変化する。
【0032】
図7に示す地図では、地図のスクロールに応じてパチンコ店23が図6の位置から左方向に移動した結果、パチンコ店23の一部分が音声出力範囲32の中に入っている。地図のスクロール中にこのような状態になると、図3で説明したのと同様に、パチンコ店23を音声出力の対象地図要素としてパチンコ店に関する音声がスピーカ20から出力される。たとえば、パチンコ店内で流される音楽やパチンコ台の動作音などが、パチンコ店に関する音声として出力される。
【0033】
そのままさらに右方向へのスクロール操作が続けられると、図7から図8のように地図が変化する。図8に示す地図では、地図のスクロールに応じてパチンコ店23が図7の位置からさらに左方向に移動しており、パチンコ店23の一部分が表示範囲31の中に入っている。このような場合、図4で説明したのと同様に、パチンコ店に関する音声出力を停止する。なお、図5で説明したのと同様に、表示範囲からの距離に応じて音声の出力音量を変化させるようにしてもよい。
【0034】
パチンコ店以外の地図要素についても同様である。たとえばスクロール先に駅や踏切がある場合、その対象地図要素に関する音声として電車の音を出力する。また、たとえばスクロール先にカラオケ店がある場合はヒット曲の音、ガソリンスタンドや自動車販売店がある場合はエンジン音などを対象地図要素に関する音声として出力する。ここで例に挙げていない地図要素についても、地図上に表示される地図要素であれば同様に対象地図要素とすることができる。
【0035】
なお、上記で例に挙げた各種の対象地図要素は、いずれも特定の商業施設や公共交通施設などに該当する地図要素であって、詳細地図上の一地点あるいは比較的狭い範囲の領域を表している。こうした地図要素は、詳細地図上には表示されるが広域地図上には表示されないものである。すなわち、詳細地図である場合は広域地図と異なる種類の地図要素を対象地図要素として選択する。このように、スクロールされる地図の縮尺に応じて、音声出力の対象地図要素の種類を選択する。なお、広域地図において音声出力の対象地図要素とされる海などのポリゴンについては、詳細地図でも対象地図要素としてもよいし、あるいは対象から外してもよい。
【0036】
以上説明したようにして、地図をスクロールしているときにスクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力する際に、制御回路11において実行される処理のフローチャートを図9に示す。ステップS10では、地図の表示範囲を地図上に設定する。たとえば、自車両周囲の所定範囲を地図表示範囲に設定する。これにより、図2〜8の表示範囲31が設定される。
【0037】
ステップS20では、ステップS10で設定された地図表示範囲内に含まれる地図部分を表示モニタ16に画面表示することにより、地図の表示を行う。ステップS30では、ステップS10で設定した地図表示範囲の周囲に音声出力範囲を設定する。これにより、図2〜8のように音声出力範囲32が地図上に設定される。
【0038】
ステップS40では、スクロール中に音声出力を行う対象地図要素を選択する。このとき前述のように、地図縮尺に応じて対象地図要素が選択される。たとえば広域地図では、海などの特定の地形が対象地図要素として選択され、詳細地図では、パチンコ店などの特定の商業施設が対象地図要素に選択される。
【0039】
なお、ステップS40において対象地図要素を選択する際に、予めユーザに設定された地図要素の中から選択するようにしてもよい。たとえば、ユーザが対象地図要素にしたい商業施設の種類をメニュー画面において予め設定登録しておき、それ以外の商業施設については対象地図要素として選択しないようにする。具体的には、たとえばパチンコ店を対象地図要素にしたい商業施設に設定登録しておけば、それ以外の商業施設がスクロール先に存在する場合であっても音声を出力しない。このようにすれば、スクロール先にある地図要素のうちユーザの好みに合った地図要素のみを対象地図要素として、地図スクロール中に音声を出力することができる。
【0040】
ステップS50では、入力装置17のスクロール操作スイッチに対して、ユーザからのスクロール操作が入力されたか否かを判定する。スクロール操作が入力されたら次のステップS60へ進み、ステップS50で検出したスクロール操作におけるスクロール方向に応じて、表示している地図のスクロール処理をステップS60において行う。
【0041】
ステップS70では、ステップS40で選択した対象地図要素が、ステップS30で設定した音声出力範囲の中に入ったか否かを判定する。ステップS60のスクロール処理によってスクロール先にある対象地図要素が移動して表示範囲に近づくことにより、音声出力範囲の外から中に入ってきた場合には、ステップS80へ進む。一方、対象地図要素が音声出力範囲の中に入っていない場合はステップS50へ戻る。
【0042】
ステップS80では、ステップS70で音声出力範囲の中に入ったと判定した対象地図要素に関する音声をスピーカ20から出力する。このとき、前述のような効果音や音楽などを対象地図要素に関する音声として出力する。さらに前述のように、表示範囲と対象地図要素の位置関係に応じて出力音量を変化させてもよい。
【0043】
ステップS90では、ステップS80で音声を出力した対象地図要素が、ステップS10で設定した地図表示範囲の中に入ったか否かを判定する。ステップS60のスクロール処理によってスクロール先にある対象地図要素がさらに移動して表示範囲の中に入ってきた場合には、ステップS100へ進む。一方、対象地図要素が地図表示範囲の中に入っていない場合は、そのまま音声の出力を続けてステップS50へ戻る。
【0044】
ステップS100では、スピーカ20からの音声出力を停止する。これにより、スクロール先にある対象地図要素に関する音声の出力が停止される。ステップS100を実行したらステップS50へ戻る。以上説明したようにして、地図をスクロールしているときにそのスクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力する。
【0045】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)地図上に所定の表示範囲を設定し(ステップS10)、その表示範囲内に含まれる地図部分を表示モニタ16において画面表示する(ステップS20)。ユーザのスクロール操作を検出すると(ステップS50)、検出されたスクロール操作に応じて地図をスクロールし(ステップS60)、そのスクロール先にある対象地図要素に関する音声をスピーカ20から出力する(ステップS80)。このようにしたので、ユーザは地図のスクロール先にどのような地図要素があるかを音声により知ることができる。
【0046】
(2)地図上に所定の音声出力範囲を設定し(ステップS30)、地図のスクロール中に対象地図要素が音声出力範囲の中に入ったか否かを判定して(ステップS70)、対象地図要素が音声出力範囲の中に入ると、その対象地図要素に関する音声をステップS80において出力することとした。このようにしたので、スクロール先の対象地図要素に関する音声を適切なタイミングで出力できる。
【0047】
(3)ステップS30で音声出力範囲を設定する際に、ステップS10で設定された表示範囲を少なくとも含む範囲に設定することとしたので、スクロール先にある対象地図要素が画面表示される前に、その対象地図要素に関する音声を出力することができる。
【0048】
(4)地図のスクロール中にスクロール先の対象地図要素が表示範囲の中に入ったか否かを判定し(ステップS90)、表示範囲の中に入ると、その対象地図要素に関する音声の出力を停止する(ステップS100)こととした。このようにしたので、スクロール先の対象地図要素が地図上に表示されて音声出力が不要となった場合は、それまで出力していた音声を停止することができる。
【0049】
(5)ステップS80で音声を出力する際に、表示範囲と対象地図要素の位置関係に応じて、その対象地図要素に関する音声の出力音量を変化させることができる。たとえば図5に示すように、表示範囲と対象地図要素の間の距離が短い程、その対象地図要素に関する音声をより大きな音量で出力することができる。このようにすれば、ユーザはスクロール先の対象地図要素が表示中の地図に対してどの位置にあるのかを出力音量から知ることができる。
【0050】
(6)表示中の地図の縮尺に応じて、スクロール中に音声出力を行う対象地図要素の種類を選択する(ステップS40)こととした。具体的には、地図が広域地図であってその縮尺が比較的小さい場合には、その広域地図上に領域として表される種類の地図要素、たとえば海などの特定の地形を対象地図要素として選択する。一方、地図が詳細地図であってその縮尺が比較的大きい場合には、その詳細地図上には表示されるが広域地図上には表示されない種類の地図要素、たとえばパチンコ店などの特定の商業施設を対象地図要素として選択する。このようにしたので、表示される地図の内容に適合した対象地図要素について音声出力を行うことができる。
【0051】
上記で説明したような地図の表示方法は、車両用のナビゲーション装置以外にも、地図を表示する様々な車載装置について適用可能である。すなわち本発明は、地図画面を表示し、ユーザの操作に応じてその地図画面を任意の方向にスクロールする各種の車載装置について適用することができる。
【0052】
上記の実施の形態では広域地図と詳細地図の二種類の地図縮尺についての例を説明したが、三種類以上の地図縮尺についても同様である。表示されている地図の縮尺に応じて、それぞれの地図縮尺で表示される地図要素を対象地図要素として選択し、スクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力することができる。
【0053】
上記の実施の形態では、地図表示手段を表示モニタ16、検出手段を入力装置17、音声出力手段をスピーカ20によってそれぞれ実現し、それ以外の各手段を制御回路11の処理によって実現することとした。具体的には、音声出力範囲設定手段をステップS30、対象地図要素選択手段をステップS40、地図スクロール手段をステップS60の処理によってそれぞれ実現することとした。しかし、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。また、以上説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】スクロールされる前の広域地図を示す図である。
【図3】スクロールされた広域地図を示す図である。
【図4】さらにスクロールされた広域地図を示す図である。
【図5】表示範囲と対象地図要素の位置関係に応じて出力音量を変化させる様子を説明するための図である。
【図6】スクロールされる前の詳細地図を示す図である。
【図7】スクロールされた詳細地図を示す図である。
【図8】さらにスクロールされた詳細地図を示す図である。
【図9】スクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力する際に実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示範囲内に含まれる地図部分を画面表示する地図表示手段と、
ユーザのスクロール操作を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたスクロール操作に応じて地図をスクロールする地図スクロール手段と、
前記地図スクロール手段により地図がスクロールされているときに、そのスクロール先にある対象地図要素に関する音声を出力する音声出力手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1の車載地図表示装置において、
地図上に所定の音声出力範囲を設定する音声出力範囲設定手段をさらに備え、
前記音声出力手段は、地図がスクロールされているときに前記対象地図要素が前記音声出力範囲の中に入ると、その対象地図要素に関する音声を出力することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項2の車載地図表示装置において、
前記音声出力範囲設定手段は、前記表示範囲を少なくとも含む範囲に前記音声出力範囲を設定することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記音声出力手段は、地図がスクロールされているときに前記対象地図要素が前記表示範囲の中に入ると、その対象地図要素に関する音声の出力を停止することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記音声出力手段は、前記表示範囲と前記対象地図要素の位置関係に応じて、その対象地図要素に関する音声の出力音量を変化させることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項5の車載地図表示装置において、
前記音声出力手段は、前記表示範囲と前記対象地図要素の間の距離が短い程、その対象地図要素に関する音声をより大きな音量で出力することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記地図の縮尺を変化させる縮尺変化手段と、
前記地図の縮尺に応じて、前記対象地図要素の種類を選択する対象地図要素選択手段とをさらに備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項8】
請求項7の車載地図表示装置において、
前記対象地図要素選択手段は、前記地図が広域地図であってその縮尺が比較的小さい場合には、その広域地図上に領域として表される種類の地図要素を前記対象地図要素として選択し、前記地図が詳細地図であってその縮尺が比較的大きい場合には、その詳細地図上には表示されるが広域地図上には表示されない種類の地図要素を前記対象地図要素として選択することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項9】
請求項8の車載地図表示装置において、
前記対象地図選択手段は、前記地図が広域地図である場合には特定の地形を前記対象地図要素として選択し、前記地図が詳細地図である場合には特定の商業施設を前記対象地図要素として選択することを特徴とする車載地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−240480(P2007−240480A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67066(P2006−67066)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】