説明

車載情報端末、ナビゲーション装置、情報提供システム、駐車スペース

【課題】複数の施設の駐車場が隣接している場合でも、車両がどの施設に立ち寄ったのかを判別できる車載情報端末、ナビゲーション装置、情報提供システム及び駐車スペースを提供すること。
【解決手段】車両50が立ち寄った施設200を特定して該施設200の施設情報を記憶する車載情報端末100であって、車両50が駐車する駐車スペース毎に配置されている、該駐車スペースを提供する施設200の施設情報を取得する識別情報取得手段21、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が立ち寄った施設等のPOIを記憶する車載情報端末、ナビゲーション装置、情報提供システム及び駐車スペースに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の関心が大きいであろう情報を車両の位置に応じて車両の乗員に提供する技術が考えられている。乗員が興味のある位置の位置情報やその位置に関係する情報は、POI(Point of Interest)と称され、例えば、公共施設や飲食店などの施設の位置情報や施設の情報がPOIになる。POIは乗員により異なるのでナビゲーションシステムなどに運転者毎にPOIを登録する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。特許文献1には、車両が駐停車した際の位置情報に基づき車両の立ち寄り先を検出し、設定された目的地と立ち寄り先との履歴を保存し、次回同じ目的地が設定された場合は立ち寄り先の施設に関する情報を乗員に提供する情報提示装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、車両の駐停車した位置は施設そのものではなく、施設の駐車場であるため駐停車した位置の位置情報では、必ずしも立ち寄った施設を特定できないと考えられる。
【0004】
この点に対し、特許文献2には、立ち寄り先の施設でDSRC(Dedicated Short Range Communication)による通信を行い、ナビゲーションの道路地図情報に反映させたり、また、当該施設が提供する情報をディスプレイに表示する車両用ナビゲーション装置が記載されている。かかる車両用ナビゲーション装置によれば、通信した相手を駐停車した駐車場を提供する施設として特定することができる。
【特許文献1】特開2004−287807号公報
【特許文献2】特開2007−225473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の車両用ナビゲーション装置はDSRCにより通信するため、複数の施設の駐車場が隣接している場合、複数の施設のうち自車両がどの施設に立ち寄ったのか判別できない場合があるという問題がある。例えば、車両が立ち寄った施設の駐車場が、別の施設の情報を提供するDSRCの通信範囲に入っている場合、車両は別の施設に立ち寄ったと判断してしまい、乗員には別の施設の情報が提供されてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の施設の駐車場が隣接している場合でも、車両がどの施設に立ち寄ったのかを判別できる車載情報端末、ナビゲーション装置、情報提供システム及び駐車スペースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、車両が立ち寄った施設を特定して該施設の施設情報を記憶する車載情報端末であって、車両が駐車する駐車スペース毎に配置されている、該駐車スペースを提供する施設の前記施設情報を取得する識別情報取得手段、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、駐車スペース毎に配置された施設の識別情報を取得するので、複数の施設の駐車スペースが隣接している場合でも、車両がどの施設に立ち寄ったのかを判別することができる。
【0009】
また、本発明の一形態において、識別情報取得手段はICタグリーダであって、駐車スペース内の車止め又は駐車スペースを区分する区分線に配置されたICタグから、識別情報を取得する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ICタグという通信範囲を比較的限定しやすい通信装置から識別情報を取得することができる。
【0011】
また、本発明の一形態において、識別情報取得手段は、撮影手段及び該撮影手段が撮影した画像データから、バーコード、2次元コード、カラージップコード、文字又は記号を検出する画像処理手段であって、駐車スペース内、区分線上又は周囲に配置されたバーコード、2次元コード、カラージップコード、文字又は記号から、識別情報を取得する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、バーコード等、コストの低い情報媒体から識別情報を取得できる。
【0013】
また、本発明の一形態において、識別情報取得手段が取得した識別情報に基づき、車内又は車外に配置されている、識別情報に対応づけて施設情報を記憶した施設情報記憶手段を参照し、立ち寄った施設を特定する施設特定手段と、施設特定手段が特定した施設の施設情報を取得して、立ち寄り施設記憶手段に記録する立ち寄り施設学習手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、識別情報により最新の施設情報を取得して、乗員に提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
複数の施設の駐車場が隣接している場合でも、車両がどの施設に立ち寄ったのかを判別できる車載情報端末、ナビゲーション装置、情報提供システム及び駐車スペースを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、車載情報端末100と駐車スペースSとからなる駐車場システム300を模式的に説明する図である。
【0018】
なお、本実施形態では、車両50一台分が駐車する領域を駐車スペースSといい、1以上の駐車スペースSを駐車場という。1つの駐車場には、異なる施設200が提供する駐車スペースSが含まれる場合があり、また、異なる施設200が提供する駐車スペースが隣接又は密接する場合がある。また、施設200が提供する駐車スペースSとは、その施設200が管理、所有又は支配する駐車スペースである。車両50の乗員は、その駐車ペースが施設200により提供される駐車ペースSであることを把握して、施設200が提供する駐車スペースSに駐車する。
【0019】
駐車スペースSの例えば車止め12や駐車スペースSを区切る区分線13には、ICタグ11が配置されている。また、車載情報端末100はICタグリーダ21を有し、ICタグ11が記憶するICタグ情報を読み出すことができるようになっている。ICタグリーダ21によるICタグ11との通信範囲を、例えば最大で1m程度とすることで、隣接した駐車スペースSに駐車した他車両のICタグリーダ21と車両50が駐車した駐車スペースSのICタグ11が通信することを防止できる。このため、車両50の車載情報端末100は、駐車した駐車スペースSを提供する施設200に立ち寄ったことを、確実に検出することができる。
【0020】
〔駐車形態とICタグ11の位置〕
始めに、駐車形態とICタグ11の位置の関係について説明する。駐車場によって、又は、同じ駐車場であっても場所によっては駐車形態が異なる場合がある。図2(a)は、図1と同様に車庫入れ型の駐車スペースSが一列に並んだ駐車形態の一例を示す。車庫入れ型の駐車スペースS1,S2の場合、車止め12が設けられることが多いので、車止め12又は区分線13の短手方向の約中央にICタグ11を埋設、貼付又は敷設(以下、単に配置という)する。車両50の例えば前部バンパ及び後部バンパの約中央にそれぞれICタグリーダ21を配置されているので、車載情報端末100はICタグ11からICタグ情報を読み出すことができる。ICタグ11とICタグリーダ21との通信範囲を後述するように制限しておけば、車両50のICタグリーダ21が隣接した駐車スペースS2のICタグ11と通信するおそれはない。
【0021】
また、図2(b)は、縦列駐車型の駐車スペースSが一列に並んだ駐車形態の一例を示す。縦列駐車型の駐車スペースS3、S4の場合、車止め12は設けられないことが多いので、駐車スペースSを区切る区分線13の長手方向、又は、区分線13の長手方向と平行な縁石、の約中央にICタグ11を配置する。車両50には、車長方向の約中央であって左右の端部周辺(例えば、Bピラーの下部)にそれぞれICタグリーダ21が配置されている。ICタグ11とICタグリーダ21との通信範囲を後述するように制限しておけば、車両50のICタグリーダ21が隣接した駐車スペースS4のICタグ11と通信するおそれはない。
【0022】
なお、縦列駐車型の駐車ペースSは、駐停車時及び発進時の通路を確保するため隣接した駐車ペースSの間隔が比較的広くなっているので、図2(b)の駐車形態においても車止め12又は区分線13の短手方向の約中央にICタグ11を配置することができる。
【0023】
また、図2(c)は、車庫入れ型の駐車スペースSが奥側を向けて二列に並んだ駐車形態の一例を示す。図2(c)の駐車形態で、車庫入れ型の駐車スペースSの車止め12の全てにICタグ11が配置されていると、駐車スペースS5に駐車した車両50が、奥側の駐車スペースS7の車止め12に配置されたICタグ11と通信するおそれが生じる場合がある。このため、図2(c)のような駐車形態の場合、ICタグ11の通信範囲を、例えば、車止め12から区分線13の短手部分に降ろした垂線の距離に制限するなど通信範囲をより限定することが好適となる。車両50は、図2(a)と同様に、例えば前部バンパ及び後部バンパの約中央にそれぞれICタグリーダ21を配置する。
【0024】
なお、例えば、駐車スペースS5〜S8の中心(4つの頂点のうち対角を結ぶ線の交点)にICタグ11を設置してもよい。この場合、車両50は車体の平面視の約中央にICタグリーダ21を配置すればよいので、車載するICタグリーダ21の数を低減できる。また、図2(a)〜(c)いずれの駐車形態においても、駐車スペースSの奥側と反対側(開口部)の略中央に、ICタグ11を配置することができる。
【0025】
したがって、車両50は、前部バンパ及び後部バンパの約中央、並びに、車長方向の約中央であって左右の端部周辺、にそれぞれICタグリーダ21を配置することで、およそ全ての駐車形態の駐車場に対応でき、車載情報端末100はICタグ情報を読み出すことができる。
【0026】
図2では説明のため、駐車スペースSを白線等の区分線13により区分したが、駐車場によっては駐車スペースSを区分線13により区分しない場合がある。このような駐車場は、例えば、区分線13の長手方向のみ、短手方向のみ、を白線で区切る駐車場、区分線13の全体又は一部をロープなどにより区分する駐車場、立体駐車場、等である。しかしながら、車両50の大きさと駐車場の広さの関係は規格等に応じて設計されているので、車止め12がある場合には車止め12に、車止め12がない場合には、車止め12又は区分線13があると仮定して図2(a)〜(c)のいずれかにICタグ21を配置すればよい。すなわち、区分線13の有無及び平面・立体の駐車形態の違いに関係なく、本実施形態の車載情報端末100を適用できる。
【0027】
図3は、本実施形態の施設情報提供システム500の機能ブロック図の一例を示す。車載情報端末100は、ICタグリーダ21、ナビシステム31、POI−DB(Point of Interest−Data Base)32、立ち寄り施設記憶部34、通信モジュール33を有する。車載情報端末100は、ナビシステム31により制御され、ナビシステム31とICタグリーダ21等はCAN(Controller Area Network)等の車載LANや専用線を介して接続されている。
【0028】
〔IDタグ11、ICタグリーダ21〕
始めにICタグリーダ21及びICタグ11について説明する。ICタグ11は、識別するためのユニークなID(ICタグ情報。特許請求の範囲の識別情報に相当)を記憶するメモリ、コマンドを解釈しICタグ情報を読み出し符号化するマイコン、電波を送受信するアンテナ、を有する。なお、バッテリを備えるアクティブ型でもよいが、本実施形態ではメンテナンスが容易でコストも低いパッシブ型のICタグ11を例にする。
【0029】
ICタグ11がICタグリーダ21から電波を受信すると、電磁誘導や共振作用により起電力が発生し、この起電力でマイコンが作動する。マイコンは、電波と共に送信されたコマンドを抽出し、コマンドに従いメモリに記憶しているICタグ情報を読み出す。ICタグ情報を読み出すと、ICタグリーダ21から継続的に受信している電波を利用してICタグ情報をICタグリーダ21に送信する。ICタグリーダ21は、受信したICタグ情報をナビシステム31に送出する。
【0030】
なお、ICタグリーダ21が送信する電波の周波数は、例えば13.56MHz、135kHz、2.45GHz、UHF帯、等である。相互に通信可能な距離は、13.56MHz及び135kHzの場合最大で1m、2.45GHzの場合、最大で2m、UHF帯の場合は最大で7m程度である。本実施形態では、隣接した駐車スペースSのICタグ11との通信を防止するため、通信距離は、例えば、駐車スペースSの短手方向の長さの半分程度、1m以下、又は、50cm程度とする。このように通信距離は、周波数で規定することができ、さらにICタグリーダ21が送信する電波の強度によりある程度の範囲で調整することができる。
【0031】
例えば、図2(a)の駐車形態では駐車スペースSの短手方向の約半分程度の距離を通信範囲に調整し、図2(b)の駐車形態では駐車スペースSの長手方向の約半分程度の距離を通信範囲に調整し、図2(c)の駐車形態では例えば駐車スペースS5の車止め12のICタグ11と、奥側の駐車スペースS7のICタグ11までの距離の約半分程度の距離を通信範囲に調整する。したがって、車両50に4つのICタグリーダ21を配置した場合、前部及び後部のICタグリーダ21と、例えばBピラー付近のICタグリーダ21の通信範囲は異なっていてもよい。これにより、種々の駐車形態に対応しやすくできる。
【0032】
また、本実施形態では、ICタグ11をネットワーク型で利用するためICタグ11に記憶する情報をID(ICタグ情報)としたが、ICタグ11をデータキャリー型として利用してもよい。この場合、ICタグ11には1Mバイト程度のデータを記憶させることができるので、ICタグ情報に加え、施設情報をそのままICタグ11に記憶させることができる。施設200のオーナはICタグライタにより所望の施設情報を、ICタグ11に書き込む。
【0033】
〔通信モジュール〕
通信モジュール33は、ナビシステム31からICタグ情報を受信し、施設情報サーバ400へ送信する通信手段である。通信モジュール33は、例えば携帯電話の基地局や無線LANのアクセスポイントに接続して、所定の通信プロトコル(例えば、TCP、IP)に従い通信データを送受信する。通信データは携帯電話等の通信事業者のデータサーバを介してインターネットなどのネットワークを介して施設情報サーバ400に送信される。施設情報サーバ400のIPアドレス等は予め既知である。本実施形態では、通信モジュール33はICタグ情報を送信し、施設情報を受信する。
【0034】
〔ナビシステム31、POI−DB32、立ち寄り施設記憶部34〕
ナビシステム31について図4の機能ブロック図を用いて説明する。ナビシステム31は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェイス、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CAN通信部及びメモリ等を備え、CPUがROM等に記憶されたプログラムを実行するか又はASIC等のハードウェアにより実現される、位置検出部306、ルート検索部307、画像生成部308、ICタグリーダ制御部310、施設特定部311、施設情報表示制御部312及び立ち寄り施設学習部313を有し、ハードディスクドライブ等のメモリには地図DB309が実装されている。なお、POI−DB32及び立ち寄り施設記憶部34は、ナビシステム31のメモリに記憶されていてもよい。
【0035】
<主にナビ機能>
また、ナビシステム31には、GPS(Global Positioning System)受信機301、車速センサ302、ジャイロセンサ303、入力部304及びディスプレイ305が接続されており、公知の位置検出等を行う。
【0036】
GPS受信機301は、GPS衛星から発信される電波の到達時間に基づき車両50の位置を検出する。車速センサ302は、例えば、車両50の各輪に備えられたロータの円周上に定間隔で設置された凸部が通過する際の磁束の変化をパルスとして計測して、単位時間あたりのパルス数に基づき各輪毎に車輪速を計測する。ジャイロセンサ303は、例えば震動片型ジャイロであり、車両50が路面に対し水平に回転する時に生じるコリオリ力を震動片の変位等から検出し、この時の角速度を積分することで角度、すなわち進行方向に変換する。
【0037】
位置検出部306は、GPS受信機301が検出した位置を起点に、ジャイロセンサ303が検出する走行方向に車速センサ302により検出した走行距離を累積して、走行中の車両50の位置を高精度に検出する。
【0038】
また、ナビシステム31は、車両50の乗員の操作を入力するための入力部304及び道路地図、自車位置、操作メニュー、等を表示するディスプレイ305を有する。入力部304及びディスプレイ305は、乗員がナビシステム31を操作する操作情報を入力し、また、種々の情報を提供するためのユーザインターフェイスとなる。入力部304は、例えば、押しボタン式のキーボード、乗員の発した音声を入力するマイク、ディスプレイ305に形成されたタッチパネル等である。また、ディスプレイ305は、例えば液晶、有機EL、ヘッドアップディスプレイ、ハーフミラーに内設された液晶等、映像を表示できるものであればよい。
【0039】
ルート検索部307は、地図DB309に記憶された道路地図情報を参照して、位置検出部306が検出した現在位置から、入力部304から入力された目的地までのルートを検査する。地図DB309には、道路網や交差点などの道路地図情報が、緯度・経度に対応づけて格納されている。道路地図情報は、実際の道路網をリンクとノードにより表現する。ノードは、交差点を含み道路を所定間隔毎に区切る点であり、リンクはノードとノードを結ぶ道路に相当する。リンクとノードを交互に辿ることで実際の道路網を再現できるよう、道路地図情報はノードとリンクを対応づけるテーブル状のデータベースとして構成される。ノードテーブルには、ノードの識別番号、ノードの座標情報、そのノードから流出するリンク数及びそれらのリンク番号が登録されている。また、リンクテーブルには、リンクの識別番号、リンクを構成する始点ノードと終点ノードの識別番号、リンク長、ノードに対する方位等が登録されている。なお、地図DB309には、道路毎に一般道、高速道路等の道路種別、及び、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、公共施設等の施設200の位置情報が記憶されている。
【0040】
ルート検索部307は、例えばダイクストラ法を用い、リンク長や右左折、幅員、通行規制等をコストに置き換え、これらのコストの累積値が最も小さくなる経路を、目的地までの経路に選択する。
【0041】
画像生成部308は、地形などの背景、道路網、文字、アイコンをそれぞれの形状を表す情報を記憶しており、それぞれを形成することで1枚の画像を生成する。1枚の画像は、車両50の現在位置を含む所定の描画範囲(例えば数km四方)の道路地図である。画像生成部308は、背景として市街地、河、海、山などに予め定められた色やテクスチャなどを設定する。また、描画範囲の道路地図情報を地図DB309から読み出し、リンク番号に対応づけて記憶されているリンクの形状情報に従い、道路網を生成する。なお、道路種別に応じて各リンクの色を設定する。また、地名や施設名などの文字を読み出し、定められた位置に形成する。そして、描画範囲に含まれる施設200があれば施設200に応じて定められているアイコンをその位置に配置する。自車位置が描画範囲に含まれている場合は車両50のアイコンを形成し、また、ルート検索部307により目的地までの経路が検索されている場合には、経路に所定の色を設定する。
【0042】
画像生成部308は、描画範囲よりも少し大きめの範囲を所定のサイクル時間毎に生成し、自車位置が画面の中央になるように画面をスクロールしながらディスプレイ305に表示する。
【0043】
<主に施設200の特定にかかる機能>
ICタグリーダ制御部310は、ICタグリーダ21にICタグ11との通信を要求する。ICタグ11との通信が可能となるのは、駐車スペースSに車両50が駐車した場合であるので、ICタグリーダ制御部310は、例えば駐車ブレーキが作動したこと、シフトチェンジポジションがPになったこと、現在位置が駐車場であることを検知されたこと、等の1以上の条件を組み合わせ該条件が成立した場合に、ICタグリーダ21にICタグ11との通信を要求する。
【0044】
施設特定部311は、ICタグリーダ21が受信したICタグ情報に基づき車両50が立ち寄った施設200を特定する。特定とは、識別情報に対応づけられた施設情報又は施設情報の一部をPOI−DB32から読み出すことである。また、施設特定部311は、受信したICタグ情報に対応づけられた施設情報が、POI−DB32に記憶されている場合、立ち寄り施設学習部313にICタグ情報を通知する。また、施設特定部311は、受信したICタグ情報に対応づけられた施設情報がPOI−DB32に記憶されていない場合、ICタグリーダ21が受信したICタグ情報を施設情報サーバ400に送信し、施設情報サーバ400から受信した施設情報をPOI−DB32に記憶する。
【0045】
POI−DB32は、後述するPOIマスターDB403と好ましくは同じものであるが、現実的には全国の施設の施設情報を車両に記憶しておくことは、記憶容量の制限から困難な場合が多い。また、仮にPOIマスターDB403と同じものを車両に搭載しても、施設200の閉鎖・開業等によりPOIマスターDB403とPOI−DB32とに齟齬が生じうる。
【0046】
そこで、本実施形態では、例えば車両50の現在地位置や自宅の周辺の施設200のみをPOIマスターDB403から抽出して記憶しておき、以降は、施設200に立ち寄ることで追加又は更新する。
【0047】
図5(a)は、POI−DB32に記憶された施設情報等の一例を示す。POI−DB32には、例えば、ICタグ情報、施設200の名称、ジャンル、電話番号、位置情報、施設紹介情報、等が記憶される。本実施形態では、立ち寄り先が特定できればよいので、少なくともICタグ情報とジャンルがあれば、運転者が好む(立ち寄った)ジャンルの施設200を特定できる。また、これらに加え、施設200の名称又は電話番号、位置情報が記憶されていれば、その施設200を一意に特定できる。電話番号の他にURL(Uniform Resource Locator)を記憶していてもよい。
【0048】
施設紹介情報は、例えば、その施設200の利用可能時間、混雑状態、商品の価格情報、キャンペーン、施設200の利用方法、等が含まれ、汎用的な映像ファイル(例えば、MPEG2)、XMLやHTML等のデータファイル、JPEG等の画像ファイル、等により提供される。したがって、映像ファイルや画像ファイルのデコーダやブラウザソフトウェアがあれば、車載情報端末100は容易に施設紹介情報を再生し、ディスプレイ305に表示できるようになる。テキストデータを施設紹介情報としてもよい。
【0049】
なお、ICタグ情報を、地図DB309に記憶された施設200の識別番号と対応づけておくことで、地図DB309の道路地図情報と施設情報とを関連付けることができる。
【0050】
図4に戻り、立ち寄り施設学習部313はICタグ情報の通知を受けて、立ち寄り施設記憶部34に立ち寄った施設200のICタグ情報、施設200のジャンル及び位置情報(以下、立ち寄り施設情報という)を記憶する。
【0051】
図5(b)は、立ち寄り施設学習部313に記憶される立ち寄り施設情報の一例を示す。少なくともICタグ情報が記憶されていれば、施設200の名称、ジャンル及び電話番号がPOI−DB32から読み出すことができる。また、立ち寄り施設情報には、立ち寄り日時を含むことが好適となる。これにより、車両50が季節や時間帯毎に運転者が立ち寄る施設200の統計が得られる。
【0052】
図4に戻り、施設情報表示制御部312は、施設情報をディスプレイ305に表示し、また、スピーカから出力する。表示又は出力するタイミングはいくつかあるが、例えば、車両50がその駐車スペースSに駐車したタイミングである。また、運転者が好むジャンルの施設200が車両50の進行方向に存在する場合、当該施設の存在を運転者に通知するため、施設情報表示制御部312がPOI−DB32から施設情報を読み出しディスプレイ305に表示したり、スピーカから出力する。この場合、POI−DB32には施設200の位置情報が記憶されていることが好適となり、車両50の現在位置及び進行方向に基づき、POI−DB32から車両50の前方の施設200の施設情報を提供する。
【0053】
なお、運転者が好むジャンルの施設200とは、立ち寄る頻度が多いジャンルの施設200である。施設情報表示制御部312は、例えば、過去の所定期間(1ヶ月、数ヶ月、1年等)に立ち寄る頻度が多い上位3番目程度に入るジャンルの施設200を抽出して、車両50の乗員に提供する。
【0054】
〔施設情報サーバ400〕
施設情報サーバ400について説明する。施設情報サーバ400は、CPU、ROM、RAM、不揮発メモリ及び入出力インターフェイスを備えたコンピュータを実体とし、CPUが不揮発メモリに記憶されたプログラムを実行するか又はASIC等のハードウェアにより実装される、施設情報提供部401及び通信装置402を有し、また、不揮発メモリにはPOIマスターDB403を実装している。
【0055】
POIマスターDB403には、上述のとおりPOI−DB32と同様の施設情報が記憶されている。施設紹介情報は、各施設200のオーナが更新できるようになっている。映像ファイル等を予め生成しておいた各施設200のオーナは、ユーザID及びパスワードで認証をうけ、該施設200のICタグ情報(又はこれを特定する情報)と施設紹介情報を施設情報サーバ400にアップロードする。したがって、各施設200のオーナは所望のタイミングで施設紹介情報を更新できる。
【0056】
更新された施設紹介情報は、車両50に配信されることが好適となる。これにより、車両50のPOI−DB32に記憶される施設紹介情報を最新の状態に保つことができる。なお、更新された全ての施設紹介情報を車両50に配信する必要はなく、例えば、車両50の現在位置又は自宅から所定範囲(運転者が設定できる)内の施設200のみの施設紹介情報を配信することで、通信コスト等を抑制できる。
【0057】
通信装置402は、例えばNIC(Network Interface Card)であって、ネットワークを介して通信事業者のデータサーバから送信される通信データにプロトコル処理等を施してICタグ情報を受信する。施設情報提供部401は、ICタグ情報に基づきPOIマスターDB403を参照し、施設情報を読み出す。そして、施設情報提供部401は、施設情報を、車両50を宛先にして通信装置402を介して送信する。
【0058】
〔施設情報提供システム500の動作手順〕
図6は、車載情報端末100が施設情報を更新する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0059】
まず、車両50がICタグ11が配置された駐車スペースSに駐車される(S10)。車両50の運転者等の乗員は駐車スペースSにICタグ11が配置されているか否かを把握している必要はない。
【0060】
駐車すると、ICタグリーダ制御部310は、例えば駐車ブレーキの作動を検出して、ICタグリーダ21にICタグ11との通信を要求し、ICタグリーダ21がICタグ情報を受信する(S20)。施設特定部311は、ICタグ情報に基づきPOI−DB32を参照して当該施設200の施設情報を記憶している否かを判定する(S30)。POI−DB32にすでに施設情報が記憶されている場合(S30のNo)、ステップS90に進む。
【0061】
POI−DB32にすでに施設情報が記憶されていない場合(S30のYes)、施設特定部311は施設情報を取得するため、ICタグ情報を施設情報サーバ400に送信する(S40)。
【0062】
施設情報サーバ400の処理に移行し、施設情報サーバ400は通信装置402を介してICタグ情報を受信する(S50)。そして、施設情報提供部401はPOIマスターDB403を参照し、ICタグ情報に対応づけられた施設情報を読み出し、通信装置402を介して車両50に送信する(S60)。
【0063】
車載情報端末100の処理に移行し、車載情報端末100の通信モジュール33は施設情報を受信する(S70)。施設特定部311は受信した施設情報をPOI−DB32に記憶する(S80)。
【0064】
ステップS90では、立ち寄り施設学習部313は、立ち寄り施設情報を立ち寄り施設記憶部34に記憶する(S90)。また、施設情報表示制御部312は駐車した施設200の施設情報をPOI−DB32から読み出してディスプレイ305に表示する(S100)。
【0065】
したがって、本実施形態の車載情報端末100によれば、ICタグ11を用いて通信することで範囲を限定した通信が可能となり、異なる施設200の駐車スペースSが隣接していても、立ち寄った施設200のみを確実に学習できる。これにより、車載情報端末100は乗員の嗜好を正確に学習することができる。
【0066】
〔変形例〕
<車載されたPOI−DB32>
本実施形態では、車両が50がPOI−DB32を記憶しているとしたが、車両50がPOI−DB32を記憶していなくてもよい。車両50がPOI−DB32を記憶していない場合は、車載情報端末100は、ICタグ11からICタグ情報を受信したら常に施設情報サーバ400に施設情報の送信を要求する。車両50がPOI−DB32を記憶する必要がないのでメモリの容量を節約することができる。
【0067】
<ICタグ11の変形例>
本実施形態ではICタグ11からICタグ情報を取得したが、ICタグ情報はICタグ11を識別するためのIDなのでデータ容量が小さい記憶媒体に格納することができる。例えば、128バイト程度あればICタグ情報を記憶できるため、バーコード、QRコードのような2次元コード、カラージップコード、文字又は記号等により代替できる。
【0068】
このような記憶媒体は、外観によりICタグ情報を提供することになる。すなわち、2次元コードであれば白の画素値と黒の画素値の配置、バーコードであれば黒線の太さと間隔、文字や記号であれば文字や記号そのもの、のように外観そのものがICタグ情報を提供する提供手段となる。以下、2次元コードを例に説明する。
【0069】
図7は、2次元コードが配置された駐車スペースSの一例を示す。2次元コードは、ICタグ11と同様に駐車スペースSの例えば、車止め12に配置される。図7は、車庫入れ型の駐車スペースSであるが、縦列駐車型の駐車スペースSも場合も同様に、区分線13の長手方向の約中央又は縁石等に配置される。
【0070】
車載情報端末100は、バックモニター用のカメラ15R、白線認識用のカメラ15F、後側方監視用のカメラ15Dr,15Dlを有し、駐車スペースSに貼付された2次元コードを撮影する。2次元コードの検出には、画像データに格納された情報をデコードする公知の画像処理プログラムを利用する。また、文字又は記号の場合は、公知のOCR(Optical Character Recognition)を施してICタグ情報を読み出す。
【0071】
2次元コードは例えばQRコードの切り出しパターンのように、その向きを特定できるようになっている。また、ICタグ11と異なり電波の到達範囲の制約を受けにくい。このため、駐車スペースSと2次元コードの向きの関係が決まっていれば(その場所にある2次元コードは決められた位置の駐車スペースSの2次元コードである)、駐車スペースSの外にある2次元コードを撮影してICタグ情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】車載情報端末と駐車スペースとを模式的に説明する図である。
【図2】駐車形態とICタグの位置の関係について説明する図の一例である。
【図3】施設情報提供システム500の機能ブロック図の一例である。
【図4】ナビシステムの機能ブロック図の一例である。
【図5】POI−DBに記憶された施設情報等の一例を示す図である。
【図6】車載情報端末が施設情報を更新する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図7】2次元コードが配置された駐車スペースSの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
11 ICタグ
12 車止め
13 区分線
21 ICタグリーダ
31 ナビシステム
32 POI−DB
50 車両
100 車載情報端末
200 施設
300 駐車場システム
400 施設情報サーバ
500 施設情報提供システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が立ち寄った施設を特定して該施設の施設情報を記憶する車載情報端末であって、
車両が駐車する駐車スペース毎に配置されている、該駐車スペースを提供する施設の前記施設情報を取得する識別情報取得手段、
を有することを特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
前記識別情報取得手段はICタグリーダであって、
前記駐車スペース内、前記駐車スペースを区分する区分線上又は車止めに配置されたICタグから、前記識別情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の車載情報端末。
【請求項3】
前記識別情報取得手段は、撮影手段及び該撮影手段が撮影した画像データから、バーコード、2次元コード、カラージップコード、文字又は記号を検出する画像処理手段であって、
前記駐車スペース内、前記駐車スペースを区分する区分線上又は前記駐車スペースの周囲に配置されたバーコード、2次元コード、カラージップコード、文字又は記号から、前記識別情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の車載情報端末。
【請求項4】
前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づき、
車内又は車外に配置されている、前記識別情報に対応づけて前記施設情報を記憶した施設情報記憶手段を参照し、立ち寄った施設を特定する施設特定手段と、
前記施設特定手段が特定した施設の前記施設情報を取得して、立ち寄り施設記憶手段に記録する立ち寄り施設学習手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の車載情報端末。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項記載の車載情報端末と、
車両の位置を検出する位置検出手段と、
車両の位置周辺の道路地図を表示手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
車両が立ち寄った施設の識別情報を車両に提供する駐車場システムであって、
前記車両は、
車両が駐車する駐車スペース毎に配置されている、該駐車スペースを提供する施設の前記施設情報を取得する識別情報取得手段、を有し、
前記駐車スペースは、
前記識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報を、当該駐車スペース内に駐車した前記車両からの要求に応じて送信する送信手段、又は、前記識別情報を外観により提供する提供手段、とを有する
ことを特徴とする駐車場システム。
【請求項7】
前記識別情報記憶手段がICタグの場合、前記識別情報取得手段はICタグリーダであり、
前記識別情報記憶手段が二次元コード又は文字若しくは記号の場合、前記識別情報取得手段は撮影手段である、
ことを特徴とする請求項6記載の駐車場システム。
【請求項8】
施設に立ち寄った車両に提供される該施設の駐車スペースであって、
前記施設の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報を、当該駐車スペース内に駐車した前記車両からの要求に応じて送信する送信手段、又は、前記識別情報を外観により提供する提供手段、
を有することを特徴とする駐車スペース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−281889(P2009−281889A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134709(P2008−134709)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】