説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション機能以外にも有効利用が可能な機能を備える車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】番組の放送日時を含む番組情報を取得する番組情報取得手段と、日時情報を取得する日時情報取得手段と、日時情報を基に時間帯を指定する時間帯指定手段と、番組情報の中から時間帯に含まれる番組を検索する番組検索手段と、検索された番組に対応する番組情報を提供する番組情報提供手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
車載用ナビゲーション装置には、探索された経路を案内するナビゲーション機能に加えて、CD−ROM、DVD、半導体メモリ、ハードディスク等の記録媒体に記憶された楽曲や映像を再生するオーディオビデオ機能、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体にデータを保存する機能、ラジオやテレビの放送番組を受信しこれをディスプレイに表示させたりスピーカーから出力させたりする放送受信機能、テレビの放送番組を録画する録画機能等を備えるものもある。(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−051327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の例では、車載用ナビゲーション装置でテレビの放送番組を録画する場合は、テレビ・ラジオ番組の情報雑誌,新聞の番組表,あるいはインターネット上の番組情報等から所望の番組に関する情報を得て録画予約を行っている。このため、車両を運転中に放送番組に関する情報を得たい場合には、車内に新聞,雑誌を常備しておくか、車内からインターネットに接続できる環境を整える必要がある。
【0006】
また、通勤経路等の通い慣れた道を走行する場合には、ナビゲーション機能を使用する必要が少なく、通勤や買い物以外に車両を使用しないユーザは、車載用ナビゲーション装置を活用する機会が少なく、費用対効果が小さいと感じることもある。
【0007】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ナビゲーション機能以外にも有効利用が可能な機能を備える車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、番組の放送日時を含む番組情報を取得する番組情報取得手段と、日時情報を取得する日時情報取得手段と、日時情報を基に時間帯を指定する時間帯指定手段と、番組情報の中から時間帯に含まれる番組を検索する番組検索手段と、検索された番組に対応する番組情報を提供する番組情報提供手段と、を備えることを特徴として構成される。
【0009】
上記構成によって、車載用ナビゲーション装置によって指定時間帯におけるテレビ・ラジオ各局の番組案内を行うことにより、見たい番組をうっかり見逃したり、聞き逃したりすることはなくなる。また、通勤経路等の通い慣れた経路を走行する場合においても車載用ナビゲーション装置を有効活用することが可能となる。さらに、番組の情報提供時間帯を指定しておけば、就寝時間帯の番組のような不要な番組の情報を提供することを防止できる。
【0010】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両のエンジンが始動したかを判定するエンジン始動判定手段を備え、エンジンが始動したと判定された場合に、番組情報が提供されるように構成することもできる。
【0011】
車載用ナビゲーション装置は車両のアクセサリスイッチがオン状態となると起動する構成のものが多い。アクセサリスイッチがオン状態もエンジンが始動状態であるとは限らず、ユーザが車両が停車中に車載用ナビゲーション装置の他の機能を使用しているときに番組情報が提供されても、却ってユーザが煩わしく感じることもある。エンジンを始動するということは所定の目的地へ走行すると見なすことができるため、上記構成によって、ユーザが煩わしく感じることなく適切なタイミングで番組情報を提供することが可能となる。また、概してエンジン始動から車両の発進までには多少の時間がある場合が多いので、ユーザの運転に支障のない状態で番組情報を提供することができる。
【0012】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における番組情報取得手段は車載用ナビゲーション装置とネットワーク通信可能に接続された外部機器から番組情報を取得するように構成することもできる。
【0013】
上記構成によって、ユーザが番組情報を手入力したりCD−ROM等の外部記憶媒体から番組情報を取り込む等の手間を省くことができ、常に最新の番組情報を取得することが可能となる。
【0014】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両の位置を検出する位置検出手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、車両の位置から目的地までの予想到達時刻を演算する第1演算手段と、を備え、時間帯指定手段は予想到達時刻を開始時刻として時間帯を指定するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、例えば自宅等の目的地に到着すると思われる時刻より後の番組についての情報を提供することで、目的地に到着する前に、どのような番組があるか、見たい番組があるかを知ることができ、見たい番組を見逃すことはなくなる。また、見たい番組の有無によって事前に目的地到着後の予定を立てることも可能となる。
【0016】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、所望の地点を登録する地点登録手段と、車両の位置を検出する位置検出手段と、車両の位置から登録された地点までの予想到達時刻を演算する第2演算手段と、を備え、時間帯指定手段は予想到達時刻を開始時刻として時間帯を指定するように構成することもできる。
【0017】
例えば通勤で車両を使用する場合、会社からの帰宅時に帰宅後の番組について知りたい場合、帰宅の度に(ほぼ毎日)自宅を目的地として設定することはユーザにとって煩わしいものである。上記構成によって、目的地が設定されていない場合、あるいは毎日決まった目的地(自宅等)へ走行する場合は、その都度目的地を設定しなくても、予め設定された地点を目的地として予想到達時刻が演算されるので、ユーザの操作負荷が増大することなく利便性が向上する。
【0018】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における番組情報提供手段は当該番組情報を表示する表示手段を含むように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、番組情報が文字情報として表示することができるため、ユーザは番組情報を視覚的に把握することが可能となる。
【0020】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における番組情報提供手段は当該番組情報を音声メッセージにより送出する音声メッセージ送出手段を含むように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、番組情報が音声メッセージによっても送出されるので、ユーザは番組情報を視覚あるいは聴覚の少なくともいずれか一方で把握することが可能となる。
【0022】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両が走行しているかを判定する走行判定手段を備え、番組情報提供手段は、車両が走行していると判定された場合には、音声メッセージ送出手段のみを用いて案内を行うように構成することもできる。
【0023】
車載用ナビゲーション装置においては、テレビチューナを内蔵あるいは接続してテレビ番組を視聴可能なものがあるが、車両が走行中はユーザの運転の妨げにならないように映像が表示されず音声のみ送出される構成となっているものが多い。上記構成によって、番組情報を提供する場合においても走行中はユーザの運転の妨げとはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ナビゲーション機能以外にも有効利用が可能な機能を備える車載用ナビゲーション装置を提供する目的を、目的地到着後に視聴可能な番組を検索してその情報を案内する構成により実現した。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0026】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両101(図3参照)の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両101の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両101の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0027】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0028】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。なお、操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,マイク31が本発明の時間帯指定手段,目的地設定手段,地点登録手段に相当する。
【0029】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。
【0030】
また、ETC(Electronic Toll Collection:自動料金収受システム)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込み表示器10で表示することができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0031】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の日時情報取得手段,番組検索手段,エンジン始動判定手段,第1演算手段,第2演算手段,走行判定手段に相当する。
【0032】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0033】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0034】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタ(図示せず)を基にして日時情報を生成してもよい。
【0035】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0036】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0037】
また、ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0038】
不揮発メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両101のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを、その内容に応じて不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0039】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の番組情報提供手段,表示手段に相当する。
【0040】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。なお、スピーカ15および音声合成回路24が本発明の番組情報提供手段,音声メッセージ送出手段に相当する。
【0041】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両101の速度に換算して、車両101の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両101の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0042】
通信ユニット25は、EPG(Electronic Program Guide:電子番組ガイド)サーバ104(図3参照)あるいはWWW(World Wide Web)サーバ105(図3参照)とのデータの送受信を行うための送信部,受信部およびアンテナを含んで構成される。送信部,受信部およびアンテナの構成は周知の無線通信機の構成と同様であるため詳細な説明は割愛する。なお、通信ユニット25が本発明の番組情報取得手段に相当する。また、通信ユニット25は、インターネット経由で番組情報のダウンロードが可能ないわゆるIEPGに対応した機能(例:ビデオキャプチャ機能など)を備えている。
【0043】
また、通信ユニット25に周知のテレビチューナおよびデータ多重放送受信装置を含み、テレビ放送波の映像信号の先頭に挿入される無画部である垂直帰線区間に重畳された番組情報を受信可能な構成としてもよい。
【0044】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行ってもよい。
【0045】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0046】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両101の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0047】
図2を用いて、本発明における番組情報提供処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに実行される。まず、車両101のエンジン(図示せず)が始動したかを以下のいずれか一つ以上の方法により調べる。
(1)車両101のエンジンの動作を制御するエンジンECU(ECU:Electronic Control Unit,図示せず)から車内LAN27を介して取得されるエンジン回転数データが停止状態から所定の回転数に上昇した場合にエンジンが始動したと判定する。
(2)エンジンを始動するためのスタータモータ28の状態を取得し、スタータモータ28が非回転状態から回転状態に変化した場合にエンジンが始動したと判定する。
(3)車両101のイグニッションスイッチ29の状態を取得し、イグニッションスイッチ29の位置がON(オン状態)からSTA(スタータモータ28の回転状態)に変化した場合にエンジンが始動したと判定する。
【0048】
エンジンが始動したと判定された場合(S1:Yes)、位置検出器1により車両101の現在位置を検出し、これを位置情報とする(S2)。次に、時計IC88から日時情報を取得する(S3)。
【0049】
次に、番組情報を取得する(S4)。図3に番組情報の取得方法の一例を示す。車両101(ナビゲーション装置100)は中継局102,インターネット103等の通信網(他の公衆回線でもよい)を介してEPGサーバ104あるいはWWWサーバ105と通信可能に接続されている。また、中継局102との通信は通信ユニット25により行なわれる。
【0050】
EPGサーバ104は、いわゆるWWWサーバで、図4のように、その内部に構築されているEPGデータベースに、番組情報として各番組に固有の番組識別子,番組名,放送日時(開始時刻および終了時刻を含む),撮影場所,撮影場所の緯度・経度,撮影場所の住所や電話番号等を含めることができる。また、所定の番組の録画を予約するための録画予約データも含めることができる。EPGサーバ104から取得された番組情報は、HDD21のデータベース21d等の所定の領域に格納される。
【0051】
WWWサーバ105は、例えばテレビ放送局あるいはラジオ放送局のホームページを含むサーバで、各放送局の番組表が含まれている。ホームページは、HTML(Hyper Text Markup Language:ハイパーテキスト・マークアップ言語)あるいはXML(Extensible Markup Language:拡張マークアップ言語)等の言語を用いて作成されているため、周知のテキストエディタあるいはHTMLエディタ等のツール上でキーワード検索を行うことで番組名,放送日時を示す文字データ(番組情報)を抽出することができる。ナビプログラム21pには、この番組情報を抽出するための処理を行なうプログラムも含まれている。抽出された番組情報は、HDD21のデータベース21d等の所定の領域に格納される。
【0052】
なお、各放送局のホームページにおける番組表が掲載されているページのアドレスは、予めデータベース21dに記憶されている。この番組表ページのアドレスはユーザによる更新の他に記憶媒体20からデータを取りんだり外部ネットワーク経由でダウンロードする方法がある。
【0053】
次に、目的地を設定しその目的地に応じて番組情報を検索する時間帯を指定する(S5)。時間帯の指定方法は以下の内の少なくとも一つ以上を用いる。
(1)目的地が設定されている場合
まず、地図データ21mを用いて上記で検出された車両101の現在位置と目的地との案内経路を探索してその距離を求め、例えば地図データ21mに記憶された、経路に含まれる道路の種別毎に予め設定される平均車速(例:高速道路は80km/h,一般道は40km/h)、あるいは車速センサ23により検出される車両101の平均車速の実測値を用いて目的地までの予想到達時間を求め、上記で取得された日時情報と予想到達時間とから予想到達時刻を演算する。次に、表示器10に図5のような予想到達時刻を開始時刻とした時間帯指定画面が表示される。図5は、HDD21あるいは不揮発メモリ9に予め記憶されているユーザの就寝時刻(23時00分)を終了時刻として時間帯(図5では番組情報提供時間帯と表記)を指定した例である。「変更」ボタンを押下すればユーザが時間帯を変更することができる。変更方法は、終了時刻を指定する方法や予想到達時刻(開始時刻)から2時間というような時間を指定する方法等がある。
また、HDD21あるいは不揮発メモリ9に、走行日時,出発地,目的地,走行経路,走行距離(走行経路全体,区間毎),および走行時間(走行経路全体,区間毎)等を含む過去の走行履歴が記憶されている場合には、その走行経路に上記で探索された案内経路が含まれているかを調べ、その走行時間を用いて予想到達時刻を演算してもよい。
【0054】
(2)目的地が設定されていない場合1
予想到達時刻を上記で取得した日時情報に含まれる時刻から例えば30分後とし、その予想到達時刻から2時間を番組情報を提供する時間帯とするというような、所定の値を用いて時間帯を指定する。あるいは図5の説明で言及した終了時刻を用いてもよい。これらの所定の値もユーザにより予め設定したり変更することが可能である。
【0055】
(3)目的地が設定されていない場合2
HDD21のデータベース21dあるいは不揮発メモリ9の所定の領域に、目的地が設定されていない場合に番組情報を提供するための仮想目的地を予め設定しておく。経路案内用にユーザが設定した登録地を仮想目的地として使用してもよい。また、自宅を仮想目的地として設定してもよい。そして、上述のように車両101の現在位置と仮想目的地との案内経路を探索してその距離を求め、上述の平均車速を用いて仮想目的地までの予想到達時間を求め、上記で取得された日時情報と予想到達時間とから予想到達時刻を演算する。
【0056】
図10に仮想目的地設定時の表示画面の一例を示す。本画面は図6の設定メニュー画面において「仮想目的地設定」ボタンを押下すると表示される。仮想目的地の探索は上述のようなナビゲーション装置100の通常の目的地探索の方法と同様である。仮想目的地が自宅の場合には「自宅」,「実家」等のように仮想目的地の別名を設定可能としてもよい。また、図10の例では、設定された仮想目的地を用いる曜日(チェックボックス:□にチェックを入れる)および時間帯(数字を入力)を設定することができる。さらに、複数の仮想目的地が設定され、これらの曜日および時間帯が重複する場合のために優先順位を設け(「▲」あるいは「▼」で選択)、優先順位の高いものを仮想目的地とする構成としてもよい。各項目の入力を行い、「決定」ボタンを押下すると、設定内容がHDD21のデータベース21dあるいは不揮発メモリ9に含まれる仮想目的地記憶領域に記憶される。
【0057】
図11に仮想目的地記憶領域の記憶内容の一例を示す。仮想目的地として用いる優先順位は「自宅」が最も高くなっている。「コンビニA」は「自宅」と仮想目的地として用いる曜日および時間帯のうち一部が重複しているが、「自宅」よりも優先順位が低いので、仮想目的地として「コンビニA」が用いられるのは、「月〜金の22:00〜24:00」と「土・日の21:00〜24:00」となる。
【0058】
図6,図7を用いて終了時刻,および時間帯の設定方法について説明する。図6のメニュー画面で「番組情報設定」ボタンを押下すると、図7のような番組情報に関する設定メニュー画面が表示される。なお、図6において、本発明の実施の形態に関係のない機能のボタンについては空白表示としている。図7において、「終了時刻」ボタンを押下すると終了時刻の変更が可能となる。また、「時間帯」ボタンを押下すると時間帯の変更が可能となる。「終了時刻」および「時間帯」の行の右端のボタンは、「終了時刻」と「時間帯」のいずれを優先するかを示すもので、図7では「○」のある「終了時刻」を優先するよう設定されている。また、予想到達時刻が00時00分のように「終了時刻」以降の場合は「時間帯」(2時間)が用いられて終了時刻は02時00分に指定される。
【0059】
図2に戻り、上記で指定された時間帯の範囲内で、上記で取得された番組情報から車両101の現在位置がサービスエリアに含まれるテレビ放送局あるいはラジオ放送局の番組情報を検索する(S6)。なお、各放送局のサービスエリアに関する情報は、CD−ROM等の外部記憶媒体あるいは外部ネットワークを介したデータのダウンロード等によって取得され、HDD21のデータベース21dあるいは不揮発メモリの所定の領域に記憶される。
【0060】
検索条件として番組のジャンル(ドラマ,旅行,スポーツ,バラエティ等)や放送局を含めてもよい。図7の設定メニュー画面において「ジャンル」ボタンを押下すると図示しないサブメニュー(ジャンルリスト)が表示されるので所望のジャンルを選択する(複数選択可能)。同様に、「放送局」ボタンを押下すると図示しないサブメニュー(放送局リスト)が表示されるので所望の放送局を選択する(複数選択可能)。
【0061】
次に、車速センサ23により取得された車両101の車速から、車両101が走行中でない場合(例えば、車速が5km/hを下回る場合)(S7:No)、表示器10に図8のような画面が表示され、検索された番組情報が案内される(S8)。また、スピーカ15から「19時00分から3チャンネルでニュース700が放送されます」というような音声メッセージによる案内も行なわれる。また、図9のように、表示器10の表示画面を地図表示領域と番組情報表示領域とに分割し、番組情報がスクロール表示されるようにしてもよい。
【0062】
一方、車両101が走行中の場合(S7:Yes)表示器10では番組情報の案内は行なわれず、音声メッセージのみにより案内が行なわれる(S11)。図9の表示形態の場合も、番組情報表示領域がなくなり、全画面が地図表示領域となる。
【0063】
車両101が目的地に到着した場合(S9:Yes)には、番組情報の案内を終了する(S10)。また、車両101が走行中に指定された時間帯の終了時刻となった場合にも、番組情報の案内を終了する。
【0064】
番組情報の検索をエンジン始動時の他に所定のタイミングで行ってもよい。図7の設定メニュー画面において「更新周期」ボタンを押下すると更新周期を変更できる。図7の例では更新周期が30分に設定されているので、エンジン始動後の最初の検索実施後から30分間隔で目的地への予想到達時刻が演算されるとともに番組情報が検索され、その結果が表示器10あるいはスピーカ15により案内される。この場合、車両101が前回の番組情報の検索時から例えば10km以上のような所定の距離を走行していない場合や、前回の番組情報の検索時と同じ地域(都道府県あるいは市町村)内を走行している(つまり、聴取可能な放送局に変化がない)場合は、番組情報の取得を行わないようにしてもよい。
【0065】
番組情報は、CD−ROM等の外部記憶媒体20から取り込むようにしてもよい。また、ナビゲーション装置100にパーソナルコンピュータ等の情報機器を接続して、その情報機器に含まれる番組情報をナビゲーション装置100にダウンロードする方法でもよい。この場合、ユーザはダウンロードする内容(番組情報)を選択することができる。また、ユーザの操作スイッチ群7等を用いた手入力で一つずつ番組情報を入力する方法でもよい。
【0066】
テレビ・ラジオの番組の他に、例えば映画・演劇等の各種興行についての情報を提供する情報提供会社のホームページ等から興行内容および興行時間・期間を含む興行情報を取得して、この興行情報を上記で説明したように表示器10あるいはスピーカ15により案内してもよい。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】番組情報提供処理を説明するためのフロー図。
【図3】番組情報の取得方法の一例を示す図。
【図4】EPGデータの一例を示す図。
【図5】番組情報提供時間帯の表示画面の一例を示す図。
【図6】番組情報に関する設定時の表示画面の一例を示す図。
【図7】図6に続く設定メニュー画面の一例を示す図。
【図8】番組情報の表示画面の一例を示す図。
【図9】番組情報の表示画面の別の例を示す図。
【図10】仮想目的地設定時の表示画面の一例を示す図。
【図11】仮想目的地の記憶内容の一例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群(時間帯指定手段,目的地設定手段,地点登録手段)
8 制御回路(日時情報取得手段,番組検索手段,エンジン始動判定手段,第1演算手段,第2演算手段,走行判定手段)
10 表示器(番組情報提供手段,表示手段)
12 リモコン端末(時間帯指定手段,目的地設定手段,地点登録手段)
15 スピーカ(番組情報提供手段,音声メッセージ送出手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21m 地図データ
21d データベース
22 タッチパネル(時間帯指定手段,目的地設定手段,地点登録手段)
24 音声合成回路(番組情報提供手段,音声メッセージ送出手段)
25 通信ユニット(番組情報取得手段)
31 マイク(時間帯指定手段,目的地設定手段)
100 車載用ナビゲーション装置
101 車両
104 EPGサーバ
105 WWWサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組の放送日時を含む番組情報を取得する番組情報取得手段と、
日時情報を取得する日時情報取得手段と、
前記日時情報を基に時間帯を指定する時間帯指定手段と、
前記番組情報の中から前記時間帯に含まれる番組を検索する番組検索手段と、
前記検索された番組に対応する番組情報を提供する番組情報提供手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
車両のエンジンが始動したかを判定するエンジン始動判定手段を備え、
前記エンジンが始動したと判定された場合に、前記番組情報が提供される請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記番組情報取得手段は前記車載用ナビゲーション装置とネットワーク通信可能に接続された外部機器から前記番組情報を取得する請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記車両の位置を検出する位置検出手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記車両の位置から前記目的地までの予想到達時刻を演算する第1演算手段と、
を備え、
前記時間帯指定手段は前記予想到達時刻を開始時刻として前記時間帯を指定する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
所望の地点を登録する地点登録手段と、
前記車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の位置から前記登録された地点までの予想到達時刻を演算する第2演算手段と、
を備え、
前記時間帯指定手段は前記予想到達時刻を開始時刻として前記時間帯を指定する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記番組情報提供手段は当該番組情報を表示する表示手段を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記番組情報提供手段は当該番組情報を音声メッセージにより送出する音声メッセージ送出手段を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記車両が走行しているかを判定する走行判定手段を備え、
前記番組情報提供手段は、前記車両が走行していると判定された場合には、前記音声メッセージ送出手段のみを用いて案内を行う請求項6または7に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−198860(P2007−198860A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16850(P2006−16850)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】