説明

車載用電子キーシステム、車両および電子キー

【課題】無線通信を利用した車載用電子キーシステムを得ること。
【解決手段】車両1が、間欠的にウエイクアップ信号を携帯電子キー2宛に送信し、携帯電子キー2がウエイクアップ信号を受信しているときに、携帯電子キー2との間で情報の送受信を行う車載通信装置11と、車載通信装置11が取得した情報を取り込むことが可能な車載機器12を備え、携帯電子キー2が、車両1からウエイクアップ信号を受信しているときに車両1との間で情報の送受信を行う車両間通信装置21と、携帯電話機3から送信要求を受信した場合に、受信可能であることを通知してから携帯電話機3との間で情報の送受信を行う外部機器間通信装置22と、車両間通信装置21および外部機器間通信装置22による情報の送受信を制御する制御部23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を利用した車載用電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信を利用して車両のドアをロック/アンロックする携帯電子キーを用いたシステムとして、携帯電子キーに備えられたロックボタンを押したときにロックし、アンロックボタンを押したときにアンロックするシステム、または、携帯電子キーを持った運転者が車両に近づいたときに自動的にアンロックし、車両から離れたときに自動的にロックするシステムが知られている。また、近年の車両の電子化により、本来のロック/アンロック以外の機能を備えるシステムが開発されている。たとえば、下記特許文献1において、車両に搭載された情報機器に所望の情報を伝達する伝達装置として携帯電子キーを適用し、携帯電子キーからの遠隔制御信号をトリガにして様々な情報を車両に伝送するキーレスエントリシステムが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−301582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、携帯電子キーは、パソコンや携帯電話機からの情報を内蔵のメモリ等に取り込み、携帯電子キーの遠隔制御信号をトリガにして取り込んだ情報を車両に伝送する。そのため、情報を車両へ伝送するためには、ユーザーが、車両との通信可能エリア内に入ったことを判断した後、携帯電子キーのボタン等を押す必要がある、という問題があった。
【0005】
また、上記従来の技術によれば、車両へ伝送する情報として、地図情報、画像情報、動画情報、音声情報があるが、これらの情報は携帯電子キーに一般的に搭載されている通信装置の通信速度(性能)からみると、非常に情報量が大きく伝送時間が長くなる。そのため、ユーザーのボタン操作を要求するシステムでは、ボタンを押してからデータを利用できるまでに長時間かかるため使い勝手が悪い、という問題があった。
【0006】
また、上記従来の技術によれば、たとえば、タクシーの配車システム等において、第三者が地図情報をカーナビに送付する場合、運転者が運転中に地図情報を受信することが予想される。このとき、安全上の問題から、運転者は、地図情報を受信してもボタン操作を行うことが困難な場合がある、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザーが所定の操作を行うことなく車両へ情報を伝送し、かつ、情報の利用が可能な車載用電子キーシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両と外部機器が電子キーを介して通信を行う車載用電子キーシステムであって、前記車両が、間欠的にウエイクアップ信号を前記電子キー宛に送信し、前記電子キーがウエイクアップ信号を受信しているときに、当該電子キーとの間で情報の送受信を行う車載通信装置と、前記車載通信装置が取得した情報を取り込むことが可能な車載機器と、を備え、前記電子キーが、前記車両からウエイクアップ信号を受信しているときに前記車両との間で情報の送受信を行う電子キー内車両間通信装置と、前記車両以外の外部機器から送信要求を受信した場合に、受信可能であることを通知してから前記外部機器との間で情報の送受信を行う電子キー内外部機器間通信装置と、前記電子キー内車両間通信装置および前記電子キー内外部機器間通信装置による情報の送受信を制御する制御部と、を備え、前記外部機器は、車両へ送信すべき情報を取得した場合、前記電子キーへ送信要求を送信し、送信要求を受信した電子キーでは、前記電子キー内車両間通信装置が、前記車両からのウエイクアップ信号を受信している場合にその旨を前記制御部に通知し、前記電子キー内外部機器間通信装置が、前記制御部の制御に基づいて、前記外部機器に対して受信可能であることを示す通知情報を送信し、前記外部機器は、前記通知情報を受信した後、前記電子キーへ前記送信すべき情報を送信し、前記電子キーでは、前記電子キー内外部機器間通信装置が、前記外部機器から情報を受信した場合にその旨を前記制御部に通知し、当該電子キー内外部機器間通信装置および前記電子キー内車両間通信装置が、前記制御部の制御に基づいて、前記外部機器からの情報を前記車両へ送信するための処理を行い、前記車両では、前記車載通信装置が、受信した情報を前記車載機器へ転送し、前記車載機器が、転送されてきた情報を取り込む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、送受信する情報が大きくても通信動作中のユーザーの待ち時間が少なくなる、という効果を奏する。また、ユーザーの運転中の危険を回避することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる車載用電子キーシステムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる車両のロックおよびアンロックを行う車載用電子キーシステムの構成例を示す図である。このシステムは、車両1と、携帯電子キー2と、携帯電話機3と、を備える。車両1は、車載通信装置11と、車載機器12を備える。車載通信装置11は、携帯電子キー2の車両間通信装置21との間で情報の送受信を行う。また、周辺に携帯電子キー2の存在を検知するための信号(間欠ウエイクアップ信号)を一定周期毎に間欠的に送信する。車載機器12は、車載通信装置11が受信した情報を取り込む機器である(たとえば、カーナビ(カーナビゲーションシステム)、カーオーディオ、ECU(Electronic Control Unit)等)。
【0012】
携帯電子キー2は、車両間通信装置21と、外部機器間通信装置22と、制御部23を備える。車両間通信装置21は、車両1の車載通信装置11との間で情報の送受信を行う。また、車載通信装置11からの間欠ウエイクアップ信号を受信する。外部機器間通信装置22は、外部機器(本実施の形態では携帯電話機3とする)との間で情報の送受信を行う。また、携帯電話機3からの送信要求を受信し、送信可否を通知する。携帯電話機3との間の通信は、Bluetooth(登録商標)を想定しているがこれに限定するものではない。制御部23は、外部機器間通信装置22が受信した携帯電話機3からの情報を、車両間通信装置21から車両1へ送信し、車両間通信装置21が受信した車両1からの情報を、外部機器間通信装置22から携帯電話機3へ送信する制御を行う。また、携帯電話機3からの送信要求に対して、車両間通信装置21における車両1からの間欠ウエイクアップ信号の受信状況に基づいて、送信可否の判断をする。
【0013】
携帯電話機3は、携帯電子キー2の外部機器間通信装置22との間で情報の送受信を行う。また、車両1に対して送信すべき情報を取得した場合、携帯電子キー2に対して送信要求を送信する。本実施の形態では、携帯電話3と携帯電子キー2の間で、車両1と携帯電子キー2の間で行われているものと同様の認証コードの確認を行うものとし、あらかじめ設定した特定の機器間でのみ通信が可能である。
【0014】
つぎに、本実施の形態のシステムにおける動作の一例を説明する。具体的に、ユーザーが自宅に居る状況において、車両1が自宅の近くにあり、車両1と携帯電子キー2が通信可能な場合を想定する。なお、携帯電子キー2と携帯電話機3は常に通信可能な距離にあるものとする。
【0015】
図2は、本実施の形態の情報の送信処理を示すフローチャートである。携帯電子キー2の車両間通信装置21は、車両1の車載通信装置11から間欠ウエイクアップ信号を受信しており、携帯電子キー2と車両1が通信可能な状態である。ここで、ユーザーが、車両1に乗って移動する行き先の地図情報を、携帯電話機3を用いてダウンロードして取得する(ステップS1)。この場合、携帯電話機3は、車両1へ送信すべき情報(地図情報)を取得したため、携帯電子キー2の外部機器間通信装置22へ送信要求を送信する(ステップS2)。携帯電子キー2の制御部23が、車両間通信装置21の状態を確認して、車両1への送信が可能であるかどうかを確認する(ステップS3)。ここでは、送信可能であるため(ステップS3:Yes)、制御部23は、外部機器間通信装置22を介して、携帯電話機3に対して送信許可を通知する。携帯電話機3は、送信許可を受けて、取得した地図情報を、携帯電子キー2へ送信する(ステップS4)。制御部23は、外部機器間通信装置22が受信した情報を、車両間通信装置21から車両1へ送信する制御を行う(ステップS4)。車両1では、車載通信装置11が情報を受信し、目的の車載機器12(ここでは、情報が地図情報であるためカーナビ)へ情報を転送する。車載機器12は、ユーザーが取得した情報を受信し、自装置へ取り込む(ステップS5)。取り込んだ地図情報については、車載機器12が、走行開始時に自動的に目的地の設定にして案内を開始してもよい。
【0016】
上記動作において、ユーザーは、携帯電話機3を用いて地図情報をダウンロードしただけである。本システムでは、ユーザーの操作によらず、携帯電話機3が、取得した地図情報を自動的に車両1へ送信する。
【0017】
なお、車両1が離れていて携帯電子キー2への送信が不可能であった場合(ステップS3:No)、携帯電子キー2は、携帯電話機3からの送信要求に対して送信不可を通知する。この場合、携帯電話機3は、車両1への情報の送信を待機する(ステップS6)。ユーザーが車両1に近づき(携帯電子キー2が車両1に近づき)、携帯電子キー2の車両間通信装置21が車両1の車載通信装置11から間欠ウエイクアップ信号を受信して通信可能になった場合、携帯電子キー2は、携帯電話機3に対して送信許可を通知する。携帯電話機3は、保持していた地図情報を、上記同様、携帯電子キー2を経由して車両1へ送信する(ステップS4)。この場合も、ユーザーは、車両1にデータを送信するためボタン操作を行うことなく、携帯電話機3が、取得した地図情報を自動的に車両1へ送信する。
【0018】
このように、ユーザーの操作によらず自動的に車両1まで情報が送信されるため、地図情報が膨大で通信時間が長くなる場合であっても、ユーザーは通信時間を意識せず地図情報を活用することができる。
【0019】
以上説明したように、本実施の形態では、携帯電話機が車両で使用する情報を取得した場合、携帯電話機は、自動的に携帯電子キーへ送信要求を送り、携帯電子キーが車両と通信可能なときに、携帯電子キーを経由して、携帯電話機から車両へ情報を送信することとした。これにより、ユーザーは、携帯電話機から車両へ送信する情報量が多い場合でも、通信時間を意識することなく、車両において直ぐに情報を利用することができる。
【0020】
実施の形態2.
本実施の形態では、具体的な使用例として、タクシーの配車システム等に使用する場合について説明する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0021】
図3は、本実施の形態にかかる車載用電子キーシステムの構成例を示す図である。このシステムは、車両1aと、携帯電子キー2と、携帯電話機3aと、配車指令所4を備える。車両1aは、車載通信装置11と、車載機器12と、測距装置13を備える。測距装置13は、携帯電子キー2の所在位置を測定する装置である。本実施の形態では、具体的に、携帯電子キー2が車両1a内にあるか(ユーザーが車両1a内にいるか)どうかを判断するために使用する。携帯電話機3aは、携帯電子キー2の外部機器間通信装置22との間で情報の送受信を行う。また、車両1aに対して送信すべき情報を取得した場合、携帯電子キー2に対して送信要求を送信する。また、配車指令所4との通信を行う。配車指令所4は、携帯電話機3aおよび携帯電子キー2を経由して、車両1aへ配車指令を行う。
【0022】
図4は、測距装置13の測距方法を説明する図である。測距装置13はアンテナ14−1,14−2,14−3を備える。また、説明の便宜上、携帯電子キー2は、車両1aと通信を行うアンテナ24を図の位置に備えるものとする。一般的にスペクトラム拡散通信を用いた測距システムが知られているが、本実施の形態では、より精度を上げるため、3本のアンテナを搭載する。たとえば、携帯電子キー2がアンテナ24からスペクトラム拡散された電波を送信し、測距装置13が3本のアンテナ(14−1,14−2,14−3)を用いて受信する。各アンテナは設置位置が異なることから、それぞれ電波を受信した受信時間も異なる。測距装置13は、この受信時間のずれに基づいて、携帯電子キー2の位置を正確に計算することができる。なお、アンテナ14−1,14−2,14−3は、測距装置専用に限定するものではなく、車載通信装置11が通常の通信に使用するアンテナとして併用してもよい。
【0023】
つぎに、本実施の形態のシステムにおける動作の一例を説明する。具体的に、配車指令所4から、車両1aに対して配車指令を行う場合を想定する。なお、携帯電子キー2と携帯電話機3aは常に通信可能な距離にあるものとする。
【0024】
図5は、本実施の形態の配車指令の送信処理を示すフローチャートである。まず、ユーザーの携帯電話機3aは、配車指令所4から、ある目的場所への配車指令メールを受信する(ステップS11)。配車指令メールには、たとえば、目的場所へのGPS(Global Positioning System)情報が添付されている。当該メールを受信した携帯電話機3aは、車両1aへ送信するため、自動的に、携帯電子キー2に送信要求を送信する(ステップS12)。携帯電子キー2は、携帯電話機3aからの送信要求を受信した場合、車両1aへの送信が可能であるかどうかを確認する(ステップS13)。送信が可能である場合(ステップS13:Yes)、つぎに、携帯電子キー2は、車両1aに対して、携帯電子キー2の所在位置の問い合わせを行う。車両1aは、携帯電子キー2が車両1aの中にあるか(ユーザーが車両1a内にいるか)どうかを確認する(ステップS14)。ユーザーが車両1a内にいる場合(ステップS14:Yes)、車両1aは、その旨を携帯電子キー2を経由して携帯電話機3aへ通知する。具体的には、車両1aの車載通信装置11から携帯電子キー2の車両間通信装置21へ通知を行う。携帯電子キー2の制御部23が、車両間通信装置21が受信した通知を、外部機器間通信装置22から携帯電話機3aへ通知する制御を行う。
【0025】
携帯電話3aは、上記通知を受信後、配車指令メールを、携帯電子キー2を経由して車両1aへ送信する(ステップS15)。車両1aの車載通信装置11は、受信した配車指令メールを車載機器12(ここでは、具体的にカーナビとする)に転送する。カーナビは、配車指令の内容を自装置の表示部に表示する(ステップS16)。ここで、ユーザーは、表示された配車指令を確認し配車可能であるかどうかを確認する(ステップS17)。配車可能である場合(ステップS17:Yes)、ユーザーは、カーナビを操作して配車可能の応答をする。この場合、カーナビからの応答を車載通信装置11が受け取り、車載通信装置11が、携帯電子キー2を経由して携帯電話機3aへ配車可能の応答を送信する。携帯電話機3aは、メールもしくは設置されたホームページへのデータ送信を通して、配車指令所4へ配車可能の応答を伝える(ステップS18)。その後、カーナビは、配車指令メールに添付されていた目的地のGPS情報に基づいて目的地を設定し、ユーザーへの案内を開始する(ステップS19)。
【0026】
なお、配車不可である場合(ステップS17:No)、ユーザーは、カーナビを操作して配車不可の応答をする(ステップS20)。カーナビから配車指令所4までの通信方法は、配車可能の応答をするときの上記ステップS18と同様である。
【0027】
つぎに、送信可能であるが(ステップS13:Yes)、たとえば、食事等でユーザーが車両1a内にいない場合(ステップS14:No)、車両1aは、その旨を携帯電子キー2を経由して携帯電話機3aへ通知する。携帯電話機3aは、配車指令メールを車両1aへ送信せずに保留状態とし、配車指令の内容を自装置に表示する(ステップS21)。この場合、携帯電話機3aは、音や振動によってユーザーに配車指令メールが届いていることを通知する。ここで、ユーザーは、表示された配車指令を確認し配車可能であるかどうかを確認する(ステップS22)。配車可能である場合(ステップS22:Yes)、ユーザーは、携帯電話機3aを操作して配車可能の応答をする。この場合、携帯電話機3aは、メールもしくは設置されたホームページへのデータ送信を通して、配車指令所4へ配車可能の応答を伝える(ステップS23)。つぎに、携帯電話機3aは、携帯電子キー2からの送信許可を受けて、配車指令メールを、携帯電子キー2を経由して車両1aへ送信する(ステップS24)。その後、車両1aの車載機器12(カーナビ)は、配車指令メールに添付されていた目的地のGPS情報に基づいて目的地を設定し、ユーザーへの案内を開始する(ステップS25)。これによって、ユーザーは、車両1aに乗車後、すぐに目的地に向かうことができる。
【0028】
なお、配車不可である場合(ステップS22:No)、ユーザーは、携帯電話機3aを操作して配車不可の応答をする(ステップS26)。このときの携帯電話機3aから配車指令所4までの通信方法は、上記ステップS23と同様である。
【0029】
つぎに、送信が不可能であった場合(ステップS13:No)、携帯電話機3aは、配車指令の内容を自装置に表示する(ステップS27)。この場合、携帯電話機3aは、音や振動によってユーザーに配車指令が届いていることを通知する。ここで、ユーザーは、表示された配車指令を確認し配車可能であるかどうかを確認する(ステップS28)。配車可能である場合(ステップS28:Yes)、ユーザーは、携帯電話機3aを操作して配車可能の応答をする(ステップS29)。このときの携帯電話機3aから配車指令所4までの通信方法は、上記ステップS23と同様である。つぎに、携帯電話機3aは、携帯電子キー2が車両1aと通信可能になるまで、携帯電話機3aから車両1aへの情報の送信を待機する(ステップS30)。ユーザーが車両1aに近づき(携帯電子キー2が車両1aに近づき)、車両1aとの通信が可能になった場合、携帯電子キー2は、携帯電話機3aに対して送信許可を通知する。携帯電話機3aは、保持していた配車指令メールを、携帯電子キー2を経由して車両1aへ送信する(ステップS31)。その後、車両1aの車載機器12(カーナビ)は、配車指令メールに添付されていた目的地のGPS情報に基づいて目的地を設定し、ユーザーへの案内を開始する(ステップS32)。これによって、ユーザーは、車両1aに乗車後、すぐに目的地に向かうことができる。
【0030】
なお、配車不可である場合(ステップS28:No)、ユーザーは、携帯電話機3aを操作して配車不可の応答をする(ステップS33)。このときの携帯電話機3aから配車指令所4までの通信方法は、上記ステップS26と同様である。
【0031】
なお、たとえば、配車の条件設定により、ユーザーと車両1a間の距離が非常に離れている場合、車両1aと携帯電子キー2が通信可能であっても、携帯電話機3aが自動的に配車不可と返答してもよい。これにより、配車指令所4では、配車指令に対して早急に対応できない各ユーザーからの返答を待つことなく配車を行うことが可能となる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態では、タクシーの配車システム等において、配車指令所からユーザー(ドライバー)の携帯電話機へ配車指令を送信した場合、ユーザーの現在位置によって配車指令の表示方法を変え、車載機器または携帯電話機によってすぐに配車可否を行うこととした。これにより、ユーザーは、配車可能な場合、携帯電話機から車両へ送信する情報量が多い場合でも、通信時間を意識することなく、車両において直ぐに目的地の地図情報を利用することができる。また、車両内外で応答方法を変えることにより、ユーザーによる応答時間を短縮し、かつ、危険を回避することができる。
【0033】
実施の形態3.
本実施の形態では、具体的な使用例として、自動車メーカが車載機器のプログラムを自動更新するシステムについて説明する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0034】
図6は、本実施の形態にかかる車載用電子キーシステムの構成例を示す図である。このシステムは、車両1aと、携帯電子キー2と、携帯電話機3bと、自動車メーカ5を備える。携帯電話機3bは、携帯電子キー2の外部機器間通信装置22との間で情報の送受信を行う。また、車両1aに対して送信すべき情報を取得した場合、携帯電子キー2に対して送信要求を送信する。また、自動車メーカ5との通信を行う。自動車メーカ5は、携帯電話機3bおよび携帯電子キー2を経由して、車両1aの車載機器12のコンピュータプログラム(ファームウェア)の更新を行う。
【0035】
つぎに、本実施の形態のシステムにおける動作の一例を説明する。具体的に、自動車メーカ5が、車両1aが搭載する車載機器のコンピュータプログラムを更新する場合を想定する。なお、携帯電子キー2と携帯電話機3bは常に通信可能な距離にあるものとする。
【0036】
図7は、本実施の形態の更新プログラムの送信処理を示すフローチャートである。自動車メーカ5は、たとえば、車両1aに搭載した車載機器12のコンピュータプログラムに問題を見つけた場合、当該車両1aのユーザーが予め登録した携帯電話機3bに、不具合対策用の更新プログラムをインターネット等の公衆網を通じてダウンロードさせる(ステップS41)。この場合、携帯電話機3bは、車両1aへ送信すべき情報(更新プログラム)を取得したため、携帯電子キー2の外部機器間通信装置22へ送信要求を送信する(ステップS42)。携帯電子キー2の制御部23が、車両間通信装置21の状態を確認して、車両1aへの送信が可能であるかどうかを確認する(ステップS43)。送信可能である場合(ステップS43:Yes)、携帯電話機3bは、携帯電子キー2を経由して車両1aへ更新プログラムを送信する(ステップS44)。車両1aでは、車載通信装置11が更新プログラムを受信し、対象の車載機器12へ更新プログラムを転送する。当該車載機器12は、ユーザーが取得した更新プログラムを受信し、自装置へ取り込んでプログラムの更新を行う(ステップS45)。なお、当該車載機器12は、車両システムの動作上、問題のないタイミングで不具合のあったコンピュータプログラムを更新する。
【0037】
送信が不可能であった場合(ステップS43:No)、携帯電子キー2は、携帯電話機3bからの送信要求に対して送信不可を通知する。この場合、携帯電話機3bは、車両1aへの更新プログラムの送信を待機する(ステップS46)。ユーザーが車両1aに近づき(携帯電子キー2が車両1aに近づき)、携帯電子キー2の車両間通信装置21が車両1aの車載通信装置11から間欠ウエイクアップ信号を受信して通信可能になった場合、携帯電子キー2は、携帯電話機3bに対して送信許可を通知する。携帯電話機3は、保持していた更新プログラムを、上記同様、携帯電子キー2を経由して車両1aへ送信する(ステップS44)。
【0038】
車載機器12がプログラムを更新する場合、ユーザーが気付くことなく自動で開始、終了してもよいが、たとえば、LED(Light Emitting Diode)ランプなどの光や、振動、音などでユーザーに通知してもよい。
【0039】
また車載機器12がプログラムを更新後、車両1aは、プログラムを更新したことを、携帯電子キー2および携帯電話機3bを経由して自動車メーカ5に通知する。これにより、自動車メーカ5は、未更新ユーザーを把握でき、更新のお願いをする通知をメールやサービスセンターを通して行うことができる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態では、携帯電話機が車両の車載機器の更新プログラムを取得したとき、携帯電話機は、自動的に携帯電子キーへ送信要求を送り、携帯電子キーが車両と通信可能な場合は、携帯電子キーを経由して、携帯電話機から車両へ更新プログラムを送信し、車両において対象の車載機器がプログラムを更新することとした。これにより、ユーザーは、携帯電話機から車両へ送信する更新プログラムの情報量が多い場合でも、通信時間を意識することなく、車載機器のプログラムが更新された状態で車両を利用することができる。また、自動車メーカは、プログラムを未更新のユーザーを的確に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明にかかる車載用電子キーシステムは、無線通信におけるキーレスエントリシステムに有用であり、特に、車載機器への情報伝達に適している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態1における車載用電子キーシステムを示す図である。
【図2】情報の送信処理を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態2における車載用電子キーシステムを示す図である。
【図4】測距装置の測距方法を示す図である。
【図5】配車指令の送信処理を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態3における車載用電子キーシステムを示す図である。
【図7】更新プログラムの送信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1,1a 車両
2 携帯電子キー
3,3a,3b 携帯電話機
4 配車指令所
5 自動車メーカ
11 車載通信装置
12 車載機器
13 測距装置
14−1,14−2,14−3 アンテナ
21 車両間通信装置
22 外部機器間通信装置
23 制御部
24 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と外部機器が電子キーを介して通信を行う車載用電子キーシステムであって、
前記車両が、
間欠的にウエイクアップ信号を前記電子キー宛に送信し、前記電子キーがウエイクアップ信号を受信しているときに、当該電子キーとの間で情報の送受信を行う車載通信装置と、
前記車載通信装置が取得した情報を取り込むことが可能な車載機器と、
を備え、
前記電子キーが、
前記車両からウエイクアップ信号を受信しているときに前記車両との間で情報の送受信を行う電子キー内車両間通信装置と、
前記車両以外の外部機器から送信要求を受信した場合に、受信可能であることを通知してから前記外部機器との間で情報の送受信を行う電子キー内外部機器間通信装置と、
前記電子キー内車両間通信装置および前記電子キー内外部機器間通信装置による情報の送受信を制御する制御部と、
を備え、
前記外部機器は、車両へ送信すべき情報を取得した場合、前記電子キーへ送信要求を送信し、
送信要求を受信した電子キーでは、前記電子キー内車両間通信装置が、前記車両からのウエイクアップ信号を受信している場合にその旨を前記制御部に通知し、前記電子キー内外部機器間通信装置が、前記制御部の制御に基づいて、前記外部機器に対して受信可能であることを示す通知情報を送信し、
前記外部機器は、前記通知情報を受信した後、前記電子キーへ前記送信すべき情報を送信し、
前記電子キーでは、前記電子キー内外部機器間通信装置が、前記外部機器から情報を受信した場合にその旨を前記制御部に通知し、当該電子キー内外部機器間通信装置および前記電子キー内車両間通信装置が、前記制御部の制御に基づいて、前記外部機器からの情報を前記車両へ送信するための処理を行い、
前記車両では、前記車載通信装置が、受信した情報を前記車載機器へ転送し、前記車載機器が、転送されてきた情報を取り込む、
ことを特徴とする車載用電子キーシステム。
【請求項2】
前記電子キーと前記外部機器は、
認証コードの確認を行い、所定の電子キーと外部機器の組み合わせであることが認識できた場合に情報の送受信を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子キーシステム。
【請求項3】
前記送信すべき情報が地図情報の場合、前記車両では、前記車載機器として動作するカーナビゲーションシステムが地図情報を取り込むことを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子キーシステム。
【請求項4】
前記車両は、
さらに、前記電子キーの所在位置を測定する測距手段、
を備え、
前記測距手段は、前記電子キーが自車両内部にあることを認識した場合、その旨を前記車載機器に通知し、前記車載機器は、前記外部機器から、前記電子キーおよび自車両の車載通信装置経由で取得した情報を、自身の表示部に表示することを特徴とする請求項1、2または3のいずれか1つに記載の車載用電子キーシステム。
【請求項5】
前記車載機器が取得した情報を表示し、ユーザーが前記車載機器を操作して当該情報に対する対応を行った場合、前記車載機器が、当該情報に対する対応を前記車載通信装置へ出力し、前記車載通信装置が、前記電子キー経由で前記外部機器へ当該情報に対する対応を送信することを特徴とする請求項4に記載の車載用電子キーシステム。
【請求項6】
前記車両は、
前記車載通信装置が、前記外部機器から前記電子キー経由で前記車載機器のソフトウェアを更新するためのデータを受信した場合、当該データを当該車載機器へ転送し、前記車載機器が、当該データに基づき自装置のソフトウェアを更新することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車載用電子キーシステム。
【請求項7】
前記車載機器は、ソフトウェアの更新完了をユーザーに通知することを特徴とする請求項6に記載の車載用電子キーシステム。
【請求項8】
前記車載機器は、ソフトウェアの更新完了を前記車載通信装置へ通知し、前記車載通信装置は、前記電子キー経由で前記外部機器に対してソフトウェアの更新完了を通知することを特徴とする請求項6または7に記載の車載用電子キーシステム。
【請求項9】
車載用電子キーシステムにおいて、電子キー経由で外部機器と通信を行う車両であって、
間欠的にウエイクアップ信号を前記電子キー宛に送信し、前記電子キーがウエイクアップ信号を受信しているときに、前記電子キーとの間で情報の送受信を行う車載通信装置と、
前記車載通信装置が取得した情報を取り込むことが可能な車載機器と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項10】
さらに、
前記電子キーの所在位置を測定する測距手段、
を備え、
前記測距手段は、前記電子キーが自車両内部にあることを認識した場合、その旨を前記車載機器に通知し、
前記車載機器は、前記外部機器から、前記電子キーおよび自車両の車載通信装置経由で取得した情報を、自身の表示部に表示することを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項11】
車両と外部機器が電子キーを介して通信を行う車載用電子キーシステムにおける前記電子キーであって、
前記車両からウエイクアップ信号を受信しているときに前記車両との間で情報の送受信を行う車両間通信装置と、
前記車両以外の外部機器から送信要求を受信した場合に、受信可能であることを通知してから前記外部機器との間で情報の送受信を行う外部機器間通信装置と、
前記車両間通信装置および前記外部機器間通信装置による情報の送受信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部が、前記外部機器間通信装置から、前記外部機器から送信要求を受信した旨の通知を受け、同時に、前記車両間通信装置から、前記車両からのウエイクアップ信号を受信している旨の通知を受けている場合、
前記外部機器間通信装置が、前記制御部の制御に基づいて、前記外部機器に対して受信可能であることを示す通知情報を送信し、その後、前記外部機器から情報を受信した場合にその旨を前記制御部に通知し、
前記外部機器間通信装置および前記車両間通信装置が、前記制御部の制御に基づいて、前記外部機器からの情報を前記車両へ送信するための処理を行うことを特徴とする電子キー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165067(P2010−165067A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5115(P2009−5115)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】