説明

転がり軸受ユニットの状態量測定装置及びその製造方法

【課題】カバー7aの内側に合成樹脂製のセンサホルダ8aを保持すると共に、このカバー7aに形成した通孔14を通じて内部に異物が侵入するのを防止する為のシール構造を備えたカバーユニットを、少ない作業工数で造れる構造及びその製造方法を実現する。
【解決手段】上記センサホルダ8aを射出成形する事に基づいて、このセンサホルダ8aを上記カバー7aに対して一体的に結合する。これと共に、このカバー7aの円筒部17の外周面を、予めこの外周面に保持しておいた環状のシール部材18ごと、上記センサホルダ8aの一部分により覆う。この様な構成を採用する事により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受ユニットを構成する外輪とハブとの間に作用する外力等の状態量を測定する為に利用する転がり軸受ユニットの状態量測定装置と、その製造方法との改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えばアンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
【0003】
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、特殊なエンコーダを使用して、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定する発明が記載されている。図3は、この特許文献1に記載された構造と同じ荷重の測定原理を採用している、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する従来構造の1例を示している。この従来構造は、使用時にも回転しない外輪1の内径側に、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転するハブ2を、複数個の転動体3、3を介して、回転自在に支持している。これら各転動体3、3には、背面組み合わせ型の接触角と共に、予圧を付与している。尚、図示の例では、これら各転動体3、3として玉を使用しているが、重量が嵩む自動車用の軸受ユニットの場合には、玉に代えて円すいころを使用する場合もある。
【0004】
又、上記ハブ2の軸方向内端部(軸方向に関して「内」とは、自動車への組付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図1〜3の右側。反対に、車両の幅方向外側となる、図1〜3の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書全体で同じ。)には、円筒状のエンコーダ4を、上記ハブ2と同心に支持固定している。このエンコーダ4は、円環状の芯金5と、この芯金5の外周面に添着固定した、永久磁石製で円筒状のエンコーダ本体6とから成る。被検出面である、このエンコーダ本体6の外周面の軸方向内半部には、S極とN極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置している。これらS極とN極との境界は、軸方向中央部が円周方向に関して最も突出した、「く」字形となっている。
【0005】
又、上記外輪1の軸方向内端開口を塞ぐ、金属板製で有底円筒状のカバー7の内側に、合成樹脂製のセンサホルダ8を介して1対のセンサ9a、9bを支持固定している。そして、この状態で、これら両センサ9a、9bの検出部を、上記エンコーダ4の被検出面の軸方向両半部に、それぞれ1つずつ近接対向させている。尚、上記両センサ9a、9bの検出部には、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込んでいる。
【0006】
又、上記カバー7の内側に保持した上記センサホルダ8は、軸方向中間部に存在する円板部10と、この円板部10の外周縁部分から軸方向外方に突出する円筒部11と、この円板部10の中心部から軸方向内方に突出する、円筒状の外周面を有するコネクタ部12とを備える。上記両センサ9a、9bは、このうちの円筒部11に包埋している。この様なセンサホルダ8は、上記カバー7の奥端部に内嵌した状態で、上記コネクタ部12の先端部乃至中間部を、上記カバー7の底板部13の中央部に形成した通孔14を通じて、このカバー7の外部に突出させている。又、この状態で、上記コネクタ部12の基端部外周面に形成した係止凹溝15に係止した、シール部材であるOリング16を、上記通孔14の周囲に存在する円筒部17の内周面に弾性的に当接させる事により、この円筒部17の内周面と上記コネクタ部12の外周面との間の水密を保持している。これと共に、上記センサホルダ8を上記カバー7に対し接着固定している。尚、このセンサホルダ8の内部には、上記両センサ9a、9bに導通する、図示しない複数本のリードを包埋している。これら各リードはそれぞれ、上記両センサ9a、9bの出力信号を取り出したり、これら両センサ9a、9bに電力を供給する役目を有する。この様な各リードの端部は、上記コネクタ部12の内部を通じて、上記カバー7の外部に導出している。
【0007】
上述の様に構成する転がり軸受ユニットの状態量測定装置の場合、外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用する事により、これら外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位すると、これに伴って、上記両センサ9a、9bの出力信号同士の間に存在する位相差比(=位相差/1周期)が変化する。この位相差比は、上記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(上記相対変位の方向及び大きさ)に見合った値をとる。従って、この位相差比に基づいて、上記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(上記相対変位の方向及び大きさ)を求める事ができる。尚、これらを求める処理は、図示しない演算器により行なう。この為、この演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、上記位相差比と、上記アキシアル方向の相対変位又は荷重との関係(零点及びゲイン)を表す、式やマップを記憶させておく。
【0008】
尚、上述した従来構造の場合には、エンコーダの被検出面にその検出部を対向させるセンサの数を、2個としている。これに対し、図示は省略するが、特許文献2〜3及び特願2006−345849には、当該センサの数を3個以上とする事で、多方向の変位或は外力を求められる構造が記載されている。
【0009】
ところで、上述した様に、図3に示した従来構造の場合には、カバー7の底板部13に形成した通孔14を通じて、このカバー7内に異物が侵入するのを防止する為に、センサホルダ8の係止凹溝15に係止したOリング16を、上記カバー7の円筒部17の内周面に弾性的に当接させる構造を採用している。この為、上記カバー7の内側に上記センサホルダ8を保持して成るカバーユニットは、このセンサホルダ8を射出成形により造った後、上記係止凹溝15に上記Oリング16を係止した状態で、このセンサホルダ8を上記カバー7の内側に組み付けると言った方法で造る必要がある。ところが、この様な方法では、上記カバーユニットを造る際の作業工数が嵩む為、改善が望まれる。
【0010】
【特許文献1】特開2006−317420号公報
【特許文献2】特開2006−322928号公報
【特許文献3】特開2007−93580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、カバーの内側に合成樹脂製のセンサホルダを保持すると共に、このカバーの底板部に形成した通孔を通じて内部に異物が侵入するのを防止する為のシール構造を備えたカバーユニットを、少ない作業工数で造れる構造及びその製造方法を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のうち、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置は、転がり軸受ユニットと、状態量測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に回転するハブと、これら両列の内輪軌道と上記両列の外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備える。
又、上記状態量測定装置は、エンコーダと、少なくとも1個のセンサと、演算器とを備える。
このうちのエンコーダは、上記ハブの端部にこのハブと同心に支持固定されたものであって、このハブと同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。
又、上記センサは、検出部を上記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、上記外輪の端部開口を塞ぐ為にこの端部に固定した有底円筒状のカバー内に保持した合成樹脂製のセンサホルダ内に包埋支持されていて、上記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させる。
又、上記演算器は、上記センサの出力信号に基づいて、上記ハブの回転速度と、上記外輪と上記ハブとの間の相対変位と、これら外輪とハブとの間に作用する外力とのうちの、少なくとも1種類の状態量を算出する機能を有する。
又、上記カバーを構成する底板部の一部に形成した通孔を通じて、上記センサホルダの一部(コネクタ部)を上記カバー外に突出させており、且つ、これらカバーとセンサホルダとの間に、上記通孔を通じてこのカバー内に異物(例えば、雨水、泥水、微小な塵芥等)が侵入するのを防止する為の環状のシール部材を挟持している。
【0013】
特に、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に於いては、上記センサホルダを射出成形する事に基づいて、このセンサホルダを上記カバーに対し一体的に結合すると共に、このセンサホルダの一部(例えば表層部)に上記シール部材を包埋している。
この様な特徴を有する請求項1に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記カバーを構成する上記底板部の一部で、上記通孔の周囲部分に、この底板部から軸方向に突出する円筒部を形成する。これと共に、この円筒部の外周面又は内周面の全周に上記シール部材を接触させた状態で、このシール部材を上記センサホルダの表層部に包埋する。
【0014】
又、本発明のうち、請求項3に記載した製造方法は、上述の請求項1〜2に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の製造方法であって、上記カバー(の表面)に上記シール部材の全周を接触させた状態で、このカバーに対しこのシール部材を保持する。その後、上記センサホルダを射出成形する事に基づいて、このセンサホルダを上記カバーに対し一体的に結合すると共に、このセンサホルダの一部(表層部)に上記シール部材を包埋する。
この様な請求項4に記載した発明を実施する場合には、例えば、請求項4に記載した様に、上記カバー(の表面)に上記シール部材の全周を接触させた状態で、このカバーに対しこのシール部材を保持する為、このカバー(の表面)に未硬化状態のシール用樹脂を塗布する。その後、このシール用樹脂を硬化(例えば紫外線硬化や熱硬化)させる事により、上記シール部材を完成させる。
尚、上記シール用樹脂としては、例えばアクリル系の、紫外線硬化性や熱硬化性を有する樹脂を採用できる。
【発明の効果】
【0015】
上述の様に、本発明の転がり軸受ユニットの状態量測定装置及びその製造方法によれば、センサホルダを射出成形するのと同時に、このセンサホルダをカバーに対して一体的に結合できる。これと共に、これらセンサホルダとカバーとの間でシール部材を挟持して成る、シール構造を完成させる事ができる。この為、カバーの内側にセンサホルダを組み付けると共に、このカバーの底板部に形成した通孔を通じて内部に異物が侵入するのを防止する為のシール構造を備えたカバーユニットを、少ない作業工数で造れる。
又、請求項2に記載した構造を採用すれば、射出成形後の冷却固化に伴って収縮するセンサホルダにより、シール部材をカバーの円筒部の外周面に大きい面圧で押し付ける事ができる。この為、この円筒部の外周面とセンサホルダとの間のシール性能を良好にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜2は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、金属板製で有底円筒状のカバー7aと、このカバー7aの内側に保持した合成樹脂製のセンサホルダ8aとの間のシール構造を工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図3に示した従来構造の場合とほぼ同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、上記従来構造と異なる部分を中心に説明する。
【0017】
本例の場合、上記センサホルダ8aは、このセンサホルダ8aを射出成形する事に基づいて、上記カバー7aに対し、一体的に結合固定している。又、このカバー7aの底板部13に形成した通孔14の周囲に存在する円筒部17の外周面の全周に、環状のシール部材18を接触させている。これと共に、上記円筒部17の外周面の全周を、このシール部材18ごと、上記センサホルダ8aの一部により覆っている。これにより、上記円筒部17の外周面と上記センサホルダ8aとの間の水密を保持している。
【0018】
又、本例の場合、上記センサホルダ8aを構成する円筒部11a及び円板部10aの径方向外端部には、1対のセンサ9a、9bと、これら両センサ9a、9bからそれぞれ複数本ずつ導出したセンサリード19、19と、これら各センサリード19、19の先端部にそれぞれの一端部を接続した中継リード20の一部と、円周方向に隣り合うリード同士の接触防止を図る為の保護部材21とを包埋している。この状態で、上記各中継リード20の他端部は、上記円板部10aの軸方向外側面の径方向外端部から、軸方向外方に向け突出させている。又、上記センサホルダ8aを構成する円板部10aの中央部及びコネクタ部12aには、複数本のコネクタリード22、22の中間部を包埋している。この状態で、これら各コネクタリード22、22の一端部は、上記円板部10aの中央部から、軸方向内方に向け突出させている。
【0019】
又、上記カバー7aの内側には、センサ基板、演算器基板等の電子回路基板23を設置している。具体的には、この電子回路基板23を、上記センサホルダ8aを構成する円板部10aの軸方向外側面に対し、ねじ止め、接着、モールド等により固定している。又、この状態で、上記電子回路基板23に、上記各中継リード20の他端部と、上記各コネクタリード22、22の一端部とを、それぞれハンダ付け等により接続している。これにより、上記両センサ9a、9bから上記電子回路基板23に向け、これら両センサ9a、9bの出力信号を送信可能としている。これと共に、上記電子回路基板23から車体側のABSコントローラ等に向け、この電子回路基板23で処理取得された各種信号{例えば、波形成形された上記両センサ9a、9bの出力信号や位相差(比)を表す信号、この位相差(比)に基づいて算出した外輪1とハブ2aとの間の状態量(相対変位、外力)を表す信号等}を送信可能としている。更には、上記電子回路基板23及び上記各センサ9a、9bに対し、必要な電力の供給を可能としている。
【0020】
尚、本例の場合、転がり軸受ユニットを構成するハブ2aの中心部に、この中心部を軸方向に貫通する中心孔24を設けている。この為、この中心孔24を通じて上記カバー7aの内側に異物が侵入する事を防止すべく、この中心孔24の軸方向外端部にキャップ25を装着して、この軸方向外端開口を塞いでいる。
【0021】
上述の様に構成する本例の場合、センサホルダ8aを射出成形する際には、先ず、図2の(A)に示す様に、円筒部17の外周面にシール部材18を保持した状態のカバー7aと、互いに組み合わせたセンサ9b{図示しないセンサ9a(図1参照)に就いても同様}及び各センサリード19及び各中継リード20及び保護部材21と、各コネクタリード22とを、それぞれ射出成形装置のキャビティ(図示せず)内の所定位置に保持する。ここで、上述の様にカバー7aを構成する円筒部17の外周面にシール部材18を保持した状態とする為に、本例の場合には、上記円筒部17の外周面の全周に、未硬化状態のシール用樹脂(例えばアクリル系の、紫外線硬化性や熱硬化性を有する樹脂)を塗布する。その後、このシール用樹脂を硬化(例えば紫外線硬化や熱硬化)させる事で、上記シール部材18を完成させる。そして、この状態で、図2の(B)に示す様に、上記キャビティ内に合成樹脂を射出成形する事で、上記センサホルダ8aを完成させる。この結果、このセンサホルダ8aが、上記カバー7aに対して一体的に結合される。これと共に、上記シール部材18が、上記センサホルダ8aの一部分(上記円筒部17の外周面を覆う部分)の内周面の表層部に包埋される。これと共に、射出成形後の冷却固化に伴って収縮した上記センサホルダ8aにより、上記シール部材18が、上記円筒部17の外周面に大きい面圧で押し付けられた状態となる。
【0022】
上述の様に、本例の転がり軸受ユニットの状態量測定装置及びその製造方法によれば、センサホルダ8aを射出成形するのと同時に、このセンサホルダ8aをカバー7aに対して一体的に結合できる。これと共に、これらセンサホルダ8aとカバー7aとの間でシール部材18を挟持して成る、シール構造を完成させる事ができる。この為、上記カバー7aの内側にセンサホルダ8aを組み付けると共に、このカバー7aの底板部13に形成した通孔14を通じて内部に異物(例えば、雨水、泥水、塵芥等)が侵入するのを防止する為のシール構造を備えたカバーユニットを、少ない作業工数で造れる。特に、本例の場合には、射出成形後の冷却固化に伴って収縮する上記センサホルダ8aにより、上記シール部材18を上記カバー7aの円筒部17の外周面に大きい面圧で押し付ける事ができる。この為、この円筒部17の外周面と上記センサホルダ8aとの間のシール性能を良好にできる。
【0023】
尚、上述した実施の形態では、シール部材を、カバーの底板部に形成した通孔の周囲部分に存在する円筒部の外周面に接触させる構造を採用した。但し、本発明を実施する場合には、上記シール部材を、上記円筒部の内周面、又は、上記カバーの表面の他の部分(例えば、このカバーの底板部の軸方向内側面又は軸方向外側面のうちで、この底板部に形成した通孔の周囲を囲む部分)に接触させる構造を採用する事もできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】合成樹脂製のセンサホルダを射出成形する工程を順番に示す部分断面図。
【図3】転がり軸受ユニットの状態量測定装置の従来構造の1例を示す断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 外輪
2、2a ハブ
3 転動体
4 エンコーダ
5 芯金
6 エンコーダ本体
7、7a カバー
8、8a センサホルダ
9a、9b センサ
10、10a 円板部
11、11a 円筒部
12、12a コネクタ部
13 底板部
14 通孔
15 係止凹溝
16 Oリング
17 円筒部
18 シール部材
19 センサリード
20 中継リード
21 保護部材
22 コネクタリード
23 電子回路基板
24 中心孔
25 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受ユニットと、状態量測定装置とを備え、
このうちの転がり軸受ユニットは、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に回転するハブと、これら両列の内輪軌道と上記両列の外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備えたものであり、
上記状態量測定装置は、エンコーダと、少なくとも1個のセンサと、演算器とを備えたものであって、
このうちのエンコーダは、上記ハブの端部にこのハブと同心に支持固定されたものであって、このハブと同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたものであり、
上記センサは、検出部を上記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、上記外輪の端部開口を塞ぐ為にこの端部に固定した有底円筒状のカバー内に保持した合成樹脂製のセンサホルダ内に包埋支持されていて、上記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させるものであり、
上記演算器は、上記センサの出力信号に基づいて、上記ハブの回転速度と、上記外輪と上記ハブとの間の相対変位と、これら外輪とハブとの間に作用する外力とのうちの、少なくとも1種類の状態量を算出する機能を有するものであり、
上記カバーを構成する底板部の一部に形成した通孔を通じて、上記センサホルダの一部を上記カバー外に突出させており、且つ、これらカバーとセンサホルダとの間に、上記通孔を通じてこのカバー内に異物が侵入するのを防止する為の環状のシール部材を挟持している
転がり軸受ユニットの状態量測定装置に於いて、
上記センサホルダを射出成形する事に基づいて、このセンサホルダを上記カバーに対し一体的に結合すると共に、このセンサホルダの一部に上記シール部材を包埋した事を特徴とする転がり軸受ユニットの状態量測定装置。
【請求項2】
カバーを構成する底板部の一部で、通孔の周囲部分に、この底板部から軸方向に突出する円筒部を形成すると共に、この円筒部にシール部材を接触させた状態で、このシール部材をセンサホルダの表層部に包埋している、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置。
【請求項3】
請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の製造方法であって、カバーにシール部材の全周を接触させた状態で、このカバーに対しこのシール部材を保持した後、センサホルダを射出成形する事に基づいて、このセンサホルダを上記カバーに対し一体的に結合すると共に、このセンサホルダの一部に上記シール部材を包埋する転がり軸受ユニットの状態量測定装置の製造方法。
【請求項4】
カバーにシール部材の全周を接触させた状態で、このカバーに対しこのシール部材を保持する為、このカバーに未硬化状態のシール用樹脂を塗布した後、このシール用樹脂を硬化させる事により上記シール部材を完成させる、請求項3に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−186412(P2009−186412A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28964(P2008−28964)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】