説明

連結車両、物流システムおよび連結車両におけるハイブリッド制御方法ならびにプログラム

【課題】次世代型ITSなどに適応することができ、低燃費で効率の良い貨物の輸送を実現すること。
【解決手段】連結車両1において、牽引車2は、動力源としてエンジン10を備え、ドーリ5、5aは、動力源として電動機11、11aを備えると共に当該電動機11、11aの電源としての電池12、12aを備え、エンジン10、電動機11、11aおよび電池12、12aの稼働情報を収集し、エンジン10、電動機11、11aおよび電池12、12aをハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるハイブリッド制御部13、13a、13bと、自己の連結車両1の運行予定区間における回生量を推定する回生量推定部と、を備え、ハイブリッド制御部13は、回生量推定部の推定結果に基づき回生量に応じて電池12の充電量の上限値および/または下限値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結車両、物流システムおよび連結車両におけるハイブリッド制御方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化防止のための自動車の排出ガス規制が盛んに進められている。このような状況下にあって、エンジンと電動機とを協働させて走行するハイブリッド自動車は低燃費、低排出ガスを実現する上で有効であり、急速に普及しつつある。
【0003】
さらに、昨今では、自動車自体による燃費、排出ガスの低減の他に、効率的な交通・物流インフラ整備に加え、情報通信や電子制御技術を活用する次世代型ITS(Intelligent Transport System)の導入などによる燃費、排出ガスの低減が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
この次世代型ITSの一例として、高速道路沿いなどに荷物の積み下ろしのためのターミナルステーションを間隔をあけて複数設け、このターミナルステーションをつなぐものとして貨物輸送のための専用車線を設けることが検討されている。この専用車線は、急カーブや急勾配を極力少なくした道路であり、大型トラックや多連結車両を少ないエネルギで安全に運行することができる。例えば、特許文献1には、ハイブリッド自動車化された連結車両が開示されている。また、このような専用車線では、個々の車両が自律的に運行するのではなく、一元管理の基に効率良く運行されるようなシステムが検討されている。これにより、渋滞などによる貨物輸送の効率低下を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−12938号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】産業競争力懇談会2006年度推進テーマ報告、“交通物流ルネサンス実現に向けた提言”、2007年4月5日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した専用車線は、急カーブや急勾配を極力少なくした道路である。このような道路の特徴を最大に活用するためには、その道路を走行する車両においてもこの専用車線に特化した形態の車両とすることが好ましい。例えば、これまで実現困難であった多連結車両の導入などが考えられる。よって、これまでにはない形態の車両および物流システムが提案されることが望まれる。
【0008】
また、上述した特許文献1に開示されているハイブリッド自動車化された連結車両は、上述した専用車線を利用する物流システムを想定していない。よって、上述した専用車線を利用する物流システムを想定した新たな連結車両の開発が望まれる。
【0009】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、次世代型ITSなどに適応することができ、低燃費、低排出ガスで効率の良い貨物の輸送を実現することができる連結車両、物流システムおよび連結車両におけるハイブリッド制御方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の連結車両は、牽引車と、この牽引車に連結される第1の被牽引車と、この第1の被牽引車と第1のドーリを介して連結される第2の被牽引車と、を備える連結車両において、牽引車は、動力源としてエンジンを備え、ドーリは、動力源として電動機を備えると共に当該電動機の電源としての電池を備え、エンジン、電動機および電池の稼働情報を収集し、エンジン、電動機および電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるハイブリッド制御手段と、自己の連結車両の運行予定区間における回生量を推定する回生量推定手段と、を備え、ハイブリッド制御手段は、回生量推定手段の推定結果に基づき回生量に応じて電池の充電量(SOC:State of Charge)の上限値および/または下限値を変更するものである。
【0011】
さらに、回生量推定手段の推定結果に基づき、運行予定区間から回生量が所定値以上または所定値を超える下り坂の区間を抽出し、この区間の手前にある平坦路または上り坂において電池の充電量が下限値以下または下限値未満にならない範囲で、電動機による走行がエンジンによる走行に優先するハイブリッド制御プランを作成する手段を備えることができる。また、このときに、ハイブリッド制御プランの作成において、電池の使用本数を増減するプランを含むことができる。
【0012】
さらに、第2の被牽引車の後に、ドーリと被牽引車が対となって1対以上連結されるようにすることができる。
【0013】
あるいは、牽引車は、エンジンと併せて電動機とこの電動機の電源としての電池を備え、ハイブリッド制御手段は、牽引車に備える電動機および電池も含めてエンジンならびにドーリの電動機および電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させることができる。
【0014】
また、ハイブリッド制御手段を含む車両の制御手段は、牽引車に備えられる牽引車側制御手段と、ドーリに備えられるドーリ側制御手段と、を備え、牽引車側制御手段とドーリ側制御手段とは互いに通信する通信手段をそれぞれ備えることができる。このときに、通信手段は、例えば、無線信号により通信する無線通信手段を備える。さらに、無線通信手段は、自車の無線信号と自車以外からの無線信号またはノイズとを区別して送受信する無線信号識別手段を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の物流システムは、本発明の連結車両に限定して通行が許可される専用車線に設置されるターミナルステーションと、専用車線およびターミナルステーションにおける連結車両の運行状況を管理する運行管理装置と、を備えるものである。
【0016】
さらに、連結車両の電池は、複数の電池モジュールにより構成され、連結車両のドーリは、複数の電池モジュールを任意の本数で搭載可能であり、運行管理装置は、連結車両の運行予定区間における必要最少の電池モジュールの本数を計算する手段を備え、ドーリには、計算する手段の計算結果に基づく必要最少の電池モジュールの本数以上の電池モジュールの本数が搭載されるようにすることができる。
【0017】
本発明の連結車両におけるハイブリッド制御方法は、牽引車と、この牽引車に連結される第1の被牽引車と、この第1の被牽引車と第1のドーリを介して連結される第2の被牽引車と、を備える連結車両におけるハイブリッド制御方法において、牽引車が動力源としてエンジンを備え、ドーリが動力源として電動機を備えると共に当該電動機の電源としての電池を備え、エンジン、電動機および電池の稼働情報を収集し、エンジン、電動機および電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるハイブリッド制御ステップと、自己の連結車両の運行予定区間における回生量を推定する回生量推定ステップと、を有し、ハイブリッド制御ステップの処理は、回生量推定ステップの処理による推定結果に基づき回生量に応じて電池の充電量の上限値および/または下限値を変更するステップを有するものである。
【0018】
さらに、回生量推定ステップの処理による推定結果に基づき、運行予定区間から回生量が所定値以上または所定値を超える下り坂の区間を抽出し、この区間の手前にある平坦路または上り坂において電池の充電量が下限値以下または下限値未満にならない範囲で、電動機による走行がエンジンによる走行に優先するハイブリッド制御プランを作成するステップを有することができる。また、このときに、ハイブリッド制御プランの作成において、電池の使用本数を増減するプランを含むことができる。
【0019】
さらに、第2の被牽引車の後に、ドーリと被牽引車の対を1対以上連結するステップを有することができる。
【0020】
あるいは、牽引車がエンジンと併せて電動機とこの電動機の電源としての電池を備え、ハイブリッド制御ステップの処理として、牽引車に備える電動機および電池も含めてエンジンならびにドーリの電動機および電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるステップを有することもできる。
【0021】
また、牽引車におけるハイブリッド制御ステップを行う制御系とドーリにおけるハイブリッド制御ステップを行う制御系とが互いに通信するステップを有することができる。このときに、通信するステップの処理は、例えば、無線信号により通信するステップを有する。
【0022】
また、無線信号により通信するステップの処理は、自車の無線信号と自車以外からの無線信号またはノイズとを区別して送受信する無線信号識別ステップを有することが好ましい。
【0023】
本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の連結車両におけるハイブリッド制御方法を実行させるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次世代型ITSなどに適応することができ、低燃費、低排出ガスで効率の良い貨物の輸送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る連結車両の全体構成図である。
【図2】図1の連結車両における牽引車の構成図である。
【図3】図1の連結車両における被牽引車の構成図である。
【図4】図1の連結車両におけるドーリの構成図である。
【図5】図1の連結車両の変形例で被牽引車およびドーリを1軸とした本発明の第一の実施の形態に係る連結車両の全体構成図である。
【図6】図1の連結車両における牽引車の詳細な構成図である。
【図7】図1の連結車両におけるドーリの詳細な構成図である。
【図8】図1の連結車両におけるドーリおよび被牽引車の実態的な構成図である。
【図9】図1の連結車両における無線通信部の制御指示の受信動作を示すフローチャートであり、牽引車識別IDを用いる例を示す図である。
【図10】図1の連結車両における無線通信部の制動灯または/および方向指示器に係る制御指示の受信動作を示すフローチャートであり、牽引車識別IDを用いる例を示す図である。
【図11】図1の連結車両における無線通信部の制動灯または/および方向指示器に係る制御指示の送信動作を示すフローチャートであり、被牽引車識別IDを用いる例を示す図である。
【図12】図1の連結車両における無線通信部の制動灯または/および方向指示器に係る制御指示の受信動作を示すフローチャートであり、被牽引車識別IDを用いる例を示す図である。
【図13】図1の連結車両におけるハイブリッド制御部のブロック構成図であり、牽引車のGPS装置、被牽引車の軸重センサも併せて示す図である。
【図14】図13の運行区間情報取得部が取得する運行予定区間の一例を示す図である。
【図15】図13の回生量推定部の動作手順を示すフローチャートである。
【図16】図13のハイブリッド制御プラン作成部の動作手順を示すフローチャートである。
【図17】図13のハイブリッド制御プラン作成部の他の動作手順を示すフローチャートである。
【図18】図13のハイブリッド制御部の動作を示すフローチャートでその前半部分である。
【図19】図13のハイブリッド制御部の動作を示すフローチャートでその後半部分である。
【図20】本発明の第二の実施の形態に係る連結車両の牽引車の構成を示す図である。
【図21】本発明の第三の実施の形態に係る連結車両の構成を示す図であり、主に無線通信部を説明するための図である。
【図22】本発明の第四の実施の形態に係る連結車両のドーリの構成を示す図であり、主に操作部を説明するための図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る応用例として専用車線とターミナルステーションを備えた高速道路を説明するための図である。
【図24】図23に示す専用車線およびターミナルステーションを上から観た状態を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る応用例として連結車両の車両編成において、新規の被牽引車と従来の被牽引車とを混在させた車両編成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本発明の第一の実施の形態に係る連結車両1の構成について)
本発明の第一の実施の形態に係る連結車両1の構成を図1を参照して説明する。図1は、連結車両1の外観を示す図である。連結車両1は、牽引車2と、この牽引車2とカプラ3を介して連結される被牽引車4を備える。さらに、被牽引車4とドーリ5を介して連結される被牽引車4aを備える。さらに、被牽引車4aとドーリ5aを介して連結される被牽引車4bを備える。なお、カプラ3は、牽引車2のシャシ6の上部に取り付けられている。また、ドーリ5の上部にはカプラ3aが取り付けられている。また、ドーリ5aの上部にはカプラ3bが取り付けられている。
【0027】
カプラ3、3a、3bは、被牽引車4、4a、4b側のキングピン(不図示)が挿入される受入孔(不図示)を有し、牽引車2と被牽引車4、ドーリ5と被牽引車4a、ドーリ5aと被牽引車4bとを互いに連結する役割を担っている。図示しないが、被牽引車4bに後続して、さらに、ドーリ5、5aと同様なドーリと被牽引車4a、4bと同様な被牽引車を接続し、さらにその被牽引車に、ドーリ5、5aと同様なドーリと被牽引車4a、4bと同様な被牽引車を接続するというように、ドーリと被牽引車からなる対を1対以上取り付けることもできる。なお、被牽引車4aに後続させるドーリや被牽引車としては電動機などを持たないドーリとしたり、エアコンプレッサなどを持たない被牽引車としてもよい。
【0028】
さらに、牽引車2は、動力源としてエンジン10を備える。また、ドーリ5は、電動機11を、ドーリ5aは、電動機11aをそれぞれ動力源として備える。また、ドーリ5は、電動機11の電源としての電池12を備え、ドーリ5aは、電動機11aの電源としての電池12aを備える。また、牽引車2およびドーリ5、5aは、エンジン10、電動機11、11a、電池12、12aの稼働情報を収集し、エンジン10、電動機11、11aおよび電池12、12aをハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるハイブリッド制御部13、13a、13bを備える。
【0029】
また、ハイブリッド制御部13、13a、13bは、牽引車2に備えられるハイブリッド制御部13と、ドーリ5、5aに備えられるハイブリッド制御部13a、13bとに分けられる。牽引車2のハイブリッド制御部13は、連結車両1を1台の車両とみなし、牽引車2のエンジン10、ドーリ5、5aの電動機11、11a、電池12、12aの情報を収集して統括的なハイブリッド制御を行う。これに対し、ドーリ5のハイブリッド制御部13aは、牽引車2のハイブリッド制御部13からの指示に基づいて電動機11、電池12を制御する。また、ドーリ5aのハイブリッド制御部13bは、ハイブリッド制御部13からの指示に基づいて電動機11a、電池12aを制御する。また、ドーリ5のハイブリッド制御部13aは、電動機11、電池12の情報を収集して、また、ドーリ5aのハイブリッド制御部13bは、電動機11a、電池12aの情報を収集して、それぞれ牽引車2のハイブリッド制御部13に通知する。
【0030】
また、牽引車2のハイブリッド制御部13とドーリ5、5aのハイブリッド制御部13a、13bとは互いに無線信号による通信する無線通信部14、14a、14bをそれぞれ備える。これらの無線通信部14、14a、14bは、連結車両1の無線信号と連結車両1以外からの無線信号またはノイズとを明確に区別するようにしている。
【0031】
このように特定の無線信号とそれ以外の無線信号とを区別する無線信号識別技術は様々な技術が知られている。また、このような無線信号識別技術は、日々開発が続けられており、新たな技術が今後とも多々提案される状況にある。よって、無線通信部14、14a、14bに適用される無線信号識別技術についてもその時々の最先端の技術が導入されて然るべきである。
【0032】
したがって、無線通信部14、14a、14bに適用される無線信号識別技術はいかなる技術を適用してもよい。しかしながら、以下では、無線通信部14、14a、14bに適用される無線信号識別技術の一例として牽引車識別IDあるいは被牽引車識別IDを用いる例を説明する。
【0033】
さらに、被牽引車4、4a、4bは、実装部材31、31a、31bの一部として、ブレーキを駆動するためのエアコンプレッサ20、20a、20bおよびエアタンク21、21a、21bを備える。エアタンク21、21a、21bに蓄積される空気は、ブレーキを駆動する他にもエアサスペンションなどにも供給することもできる。また、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bは、制御指示としてのブレーキの駆動指示を無線信号により受信する役割も担う。このときに、牽引車2の連結制御部22は、牽引車2におけるブレーキ操作の情報に基づいて被牽引車4a、4bにおけるブレーキの駆動指示を生成する。この制御指示としてのブレーキの駆動指示は、無線通信部14を介して無線信号により送信される。
【0034】
ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bは、牽引車2の無線通信部14からのブレーキの駆動指示を受信すると、ドーリ5、5aの連結制御部22a、22bにブレーキの駆動指示を伝達する。これを受けて連結制御部22a、22bは、被牽引車4a、4bのブレーキECU(Electric Control Unit)(不図示)にブレーキの駆動指示を伝達する。これを受けてブレーキECUは、エアタンク21a、21b内に蓄積されている空気圧によって被牽引車4a、4bのブレーキを駆動する。また、同様に、被牽引車4a、4bのエアコンプレッサECU(不図示)は、エアタンク21a、21b内の空気圧が所定値以下であればエアコンプレッサ20a、20bを運転してエアタンク21a、21b内の空気圧を所定値に保つ。なお、牽引車2に直接連結されている被牽引車4は、牽引車2とケーブルによって接続され、有線信号によりブレーキの駆動指示や空気圧の指示を牽引車2から受け取っている。これは従来どおりである。
【0035】
さらに、被牽引車4、4a、4bは、実装部材となる制動灯(不図示)または実装部材となる方向指示器(不図示)を点灯する点灯制御部30、30a、30bを実装部材31、31a、31bの一部として備える。また、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bは、制御指示としての制動灯または/および方向指示器の点灯指示を無線通信部14からの無線信号により受信する役割も担う。このときに、牽引車2の連結制御部22は、牽引車2における制動灯または/および方向指示器の操作情報に基づいて被牽引車4a、4bにおける制動灯または/および方向指示器の点灯指示を生成する。この制御指示としての点灯指示は、無線通信部14を介して無線信号により送信される。
【0036】
ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bは、牽引車2の無線通信部14からの点灯指示を受信すると、ドーリ5、5aの連結制御部22a、22bに点灯指示を伝達する。さらに、連結制御部22a、22bは、被牽引車4a、4bの点灯制御部30a、30bに点灯指示を伝達する。点灯制御部30a、30bは、制動灯または/および方向指示器を点灯させる。なお、牽引車2に直接連結されている被牽引車4は、牽引車2とケーブルによって接続され、有線信号により点灯指示を牽引車2から受け取っている。これは従来どおりである。
【0037】
ただし、図1の例では、被牽引車4、4a、4bの中で、制動灯または/および方向指示器の点灯制御を行う必要があるのは、最後部に連結された被牽引車4bだけである。このように、牽引車2の無線通信部14からの制御指示を、特定のドーリ5の無線通信部14aまたはドーリ5aの無線通信部14bが選択して受信する技術が必要になる。
【0038】
このように複数の受信先があるときに、1つの送信元から送信された無線信号を特定の受信先のみが選択して受信する無線信号選択技術としては様々な技術が知られている。また、このような無線信号選択技術は、日々開発が続けられており、新たな技術が今後とも多々提案される状況にある。よって、無線通信部14、14a、14bに適用される無線信号選択技術についてもその時々の最先端の技術が導入されて然るべきである。
【0039】
したがって、無線通信部14、14a、14bに適用される無線信号選択はいかなる技術を適用してもよい。しかしながら、以下の説明では、無線通信部14、14a、14bに適用される無線信号選択技術の一例として最後部の被牽引車4bに対し、被牽引車4bが最後部であることを予め設定しておく例と、被牽引車識別IDを用いる例とを示しつつ、実施の形態を説明する。
【0040】
次に、連結車両1の連結を取り外した様子を図2、図3、図4に示す。図2は、牽引車2を示す図である。図3は、被牽引車4aを示す図である。被牽引車4、4bについても図3に示す構成と同じである。なお、図1では、被牽引車4の実装部材31については、直接牽引車2にケーブルで接続される。しかしながら、被牽引車4と被牽引車4aとが入れ替わった場合には、被牽引車4aの実装部材31aが牽引車2と直接ケーブルで接続され、被牽引車4の実装部材31がドーリ5の連結制御部22aと直接ケーブルで接続される。すなわち、被牽引車4、4a、4bは全て同じ構成であり、その連結位置によって牽引車2と直接ケーブルで接続される場合と、連結制御部22a、22bと直接ケーブルで接続される場合とがある。なお、被牽引車4aが単独で駐車する場合には、被牽引車4aが前のめりにならないように、支持部(不図示)が設けられる。この支持部は、被牽引車4aに牽引車2またはドーリ5が連結されるときには、邪魔にならないように除去される。また、支持部が被牽引車4aに取り付けられている場合には、支持部の設置または除去は、例えば、支持部が回動したり伸縮することによって行われる。図4は、ドーリ5を示す図である。ドーリ5aについても図4に示す構成と同じである。
【0041】
なお、図5に示す第一の実施の形態の変形例の連結車両1aのように、被牽引車4A、4aA、4bAおよびドーリ5A、5aAの車輪についてはそれぞれ1軸(タイヤ1対)でもよい。
【0042】
次に、牽引車2におけるハイブリッド制御に係る主要構成を図6を参照して説明する。また、図6では、図面を簡略化するために車輪(タイヤ)は1対だけ図示した。牽引車2は、図1、図2に示したエンジン10、ハイブリッド制御部13、無線通信部14、連結制御部22の他に、図6に示すように、エンジン制御部40、クラッチ41、トランスミッション42などを備える。さらに、牽引車2は、CAN(Control Area Network)43を備える。ハイブリッド制御部13は、CAN43を介して牽引車2の車速情報、運転者の要求出力情報およびエンジン回転速度情報などを収集すると共に、エンジントルク指示をエンジン制御部40に与えるなどの処理を行う。なお、ハイブリッド制御部13は、アクセルペダルのストロークを検出するアクセルセンサ44からの検出出力によって運転者の要求出力情報を得ている。
【0043】
ハイブリッド制御部13は、運転者の要求出力情報、エンジンの回転速度情報および車速情報をCAN43を介して取得する。これによりハイブリッド制御部13は、エンジン制御部40に対してエンジントルク指示を行う。エンジン制御部40はこのエンジントルク指示に従ってエンジン10のトルクを制御する。さらにハイブリッド制御部13は、無線通信部14を介して被牽引車4a、4bから回生電流情報、充電量情報を取得する。これにより、被牽引車4a、4bにおける電動機11、11aの運転状況および電池12、12aの充電量情報を検出する。ハイブリッド制御部13は、この検出結果に基づいて、連結車両1の全体におけるエンジントルク指示と電動機トルク指示を統括的に生成する。さらに、連結制御部22は、牽引車2の運転者による運転操作の情報を収集してブレーキ操作情報、点灯操作情報を無線通信部14を介してドーリ5、5aに送信する。
【0044】
次に、ドーリ5におけるハイブリッド制御に係る主要構成を図7を参照して説明する。また、図7では、図面を簡略化するために車輪(タイヤ)は1対だけ図示した。なお、ドーリ5A、5a、5aAについてもドーリ5と同じ構成である。ドーリ5は、図1、図4に示した電動機11、電池12、ハイブリッド制御部13a、無線通信部14a、連結制御部22aの他に、図7に示すように、インバータ50を備える。インバータ50は、電動機トルク指示に基づいて電動機11に対して指示された電力を電池12から供給する。この電動機トルク指示は、無線通信部14aを介して牽引車2のハイブリッド制御部13から伝達される。さらに、無線通信部14aを介して牽引車2の連結制御部22からのブレーキ操作情報、点灯操作情報を得て、これを被牽引車4aの実装部材31aに伝達する。
【0045】
次に、ドーリ5、被牽引車4aのさらに実態的な構成を図8に示す。図8の構成は、ドーリ5a、被牽引車4、4bにおいても同様である。ドーリ5においては、既に説明した構成要素に加え、24V小型電池60、DCコンバータ61、電池ECU62、電動機ECU63、これらを統括的に管理する管理ECU64などが車内LAN(Local Aria Network)65を介してハイブリッド制御部13a、無線通信部14a、連結制御部22aなどと互いに接続されている。また、電池12は、複数の電池モジュール♯1〜♯nによって構成されている。また、各電池モジュール♯1〜♯nにはそれぞれDCコンバータ66が設けられている。また、ドーリ5は、コネクタ67を備える。コネクタ67は、24V小型電池60に接続された24V電源供給用の端子68、管理ECU64と接続されたCAN通信用の端子69、電池12と接続された高圧電源供給用の端子70を備える。なお、図8ではダブルタイヤを図示したが、これはシングルタイヤであってもよい。また、車輪は1対(1軸)のみ図示したが、これは2対(2軸)以上であってもよい。
【0046】
また、被牽引車4aにおいては、既に説明した構成要素に加え、24V小型電池71、ブレーキECU72、エアサスペンションECU73、エアコンプレッサECU74、コネクタ75、76を備えている。ブレーキECU72、エアサスペンションECU73、エアコンプレッサECU74などは点灯制御部30などと車内LAN77を介して互いに接続されている。また、コネクタ75は、牽引車2に連結される場合に使用され、エアタンク21と接続されるエア配管の端子78、車内LAN77と接続されるCAN通信用の端子79、24V小型電池71と接続される24V電源の供給用の端子80を備える。また、コネクタ76は、ドーリ5などのドーリに連結される場合に使用され、ドーリ5のコネクタ67における端子68、69、70とそれぞれ嵌合する端子81、82、83を備える。なお、図8では被牽引車4aの車輪の図示は省略したが、これはドーリ5と同様にダブルタイヤ、シングルタイヤ、1対(1軸)、2対(2軸)以上のいかなる構成であってもよい。
【0047】
また、図示は省略するが、牽引車2においては、既に説明した構成要素に加え、車両を統括的に管理する車両管理ECU、カーナビゲーションシステム、運転操作に係る各種の機能などを備える。なお、これらの構成要素は、本発明の実施の形態の説明には不要であるため詳細な説明は省略する。
【0048】
ドーリ5の24V小型電池60は、DCコンバータ61を介して電池12と接続されている。これにより、24V小型電池60は、電池12から電源の供給を受けて充電を行うことができる。24V小型電池60は車内LAN65に含まれる各部の電源になる。また、電池12の電池モジュール♯1〜♯nは、それぞれが着脱自在であり、電池モジュール♯1〜♯nの本数を任意に変更できる。また、コネクタ67とコネクタ76とが嵌合することにより、ドーリ5の各部と被牽引車4aの各部とを簡単に接続することができる。これにより、被牽引車4aの24V小型電池71においても電池12からの電源供給を受けて充電を行うことができる。なお、DCコンバータ66は、個々の電池モジュール♯1〜♯nについて個々に電圧調整を行う。
【0049】
また、エアコンプレッサ20aや制動灯84、方向指示器85の電源についても電池12から供給することができる。なお、コネクタ75は、上述したように、被牽引車4aが牽引車2の直後に連結される場合に用いる。また、ドーリ5の管理ECU64は、車内LAN65内の各部と共に被牽引車4aの車内LAN77の各部についてもコネクタ67、76を介したCAN通信を用いて管理している。なお、管理ECU64は、車内LAN65、77の通信環境などを管理するECUであり、本発明の実施の形態の動作説明には不要であるため詳細な説明は省略する。
【0050】
(本発明の第一の実施の形態に係る連結車両1の動作について)
次に、本発明の第一の実施の形態に係る連結車両1の動作について図面を参照して説明する。連結車両1は、牽引車2と被牽引車4の実装部材31との間をケーブルにより接続し、有線信号によって制御指示を伝達する。これは従来どおりである。一方、牽引車2のハイブリッド制御部13、連結制御部22と被牽引車4a、4bのハイブリッド制御部13a、13b、連結制御部22a、22bとの間は、無線通信部14、14a、14bを介して無線信号によって制御指示および各種稼働情報の伝達をする。なお、各種稼働情報とは、例えば、回生電流情報、充電量情報などである。このときに、他車からの同様な無線信号やノイズによって自車が誤動作しないようにする無線信号選択手段がきわめて重要である。また、稼働情報を含む無線信号の伝達についても他車からの同様な無線信号やノイズを自車の稼働情報と誤認しないようにする無線通信選択手段がきわめて重要である。
【0051】
そこで、牽引車2には、他の牽引車2と区別できるように、各牽引車2毎に固有の牽引車識別IDを割当てる。一方、無線通信部14a、14bは、無線通信部14との無線通信により、その牽引車識別IDを利用した無線通信を行うように設定される。そして、制御指示送信手段である無線通信部14は、無線信号選択手段として連結制御部22が生成した制御指示を牽引車2の牽引車識別IDと共に無線信号として送信する手段を備える。これに対し、制御指示受信手段である無線通信部14a、14bは、無線信号選択手段としてドーリ5、5aが連結されている牽引車2の牽引車識別IDを含む制御指示を無線信号により受信したときに限定して受信した制御指示を有効とする手段を備える。そして、無線通信部14a、14bは、有効とした制御指示のみを連結制御部22a、22bに伝達する。
【0052】
この際の無線通信部14a、14bの無線信号選択手段の動作手順を図9のフローチャートに示す。すなわち、無線通信部14a、14bは、無線通信部14からの制御指示を無線信号により受信すると(ステップS1)、その制御指示に含まれる牽引車識別IDを確認する(ステップS2)。無線通信部14a、14bは、この確認の結果、制御指示に含まれている牽引車識別IDが無線通信によって先に登録済みとされた牽引車2(自車)のIDであれば(ステップS3のYes)、この制御指示を有効とする(ステップS4)。しかし、無線通信部14a、14bは、制御指示に含まれている牽引車識別IDが牽引車2(自車)のIDでなければ(ステップS3のNo)、この制御指示を無効とする(ステップS5)。上述したように、牽引車識別IDは、牽引車2にドーリ5、5aが連結されたときに無線通信部14と、無線通信部14a、14bとの無線通信の確立時に無線通信部14a、14bに登録される。
【0053】
上述の制御指示には、ハイブリッド制御部13からのハイブリッド制御情報である電動機トルク指示が含まれる。その他に、連結制御部22からのブレーキの駆動制御指示や制動灯または/および方向指示器の点灯制御指示などが含まれる。あるいは、被牽引車4a、4bが冷蔵車または冷凍車であるならば、制御指示には、冷蔵設備(不図示)または冷凍設備(不図示)の制御指示などが含まれる。
【0054】
ここで、制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る制御指示である場合には、最後部に連結されている被牽引車4bのみがこの制御指示を必要とする。そこで、被牽引車4a、4bの連結時に、オペレータが手動操作によって、無線通信部14bが最後部に連結されている被牽引車4bに係るものであることを無線通信部14bに設定する。なお、被牽引車4aまたは被牽引車4bの後部にドーリ5aなどが連結されていることを自動認識することで自動的に最後部の被牽引車がどれであるかを認識するようにしてもよい。最後部の被牽引車の確定により、制御指示のうち、制動灯または/および方向指示器に係る制御指示については、最後部のドーリ、この実施の形態ではドーリ5aの無線通信部14bのみが有効とすることができる無線信号選択手段を実現できる。
【0055】
この際の無線通信部14bの無線信号選択手段の動作手順を図10のフローチャートに示す。すなわち、無線通信部14bは、無線通信部14からの制御指示を無線信号により受信すると(ステップS10)、その制御指示に含まれる牽引車識別IDを確認する(ステップS11)。無線通信部14bは、この確認の結果、制御指示に含まれている牽引車識別IDが牽引車2(自車)のIDであれば(ステップS12のYes)、この制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る制御指示であるか否かを確認する(ステップS13)。
【0056】
ここで、受信した制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る制御指示である場合には(ステップS13のYes)、無線通信部14bは、自己が最後部の被牽引車すなわち最後部のドーリに係るものであるとする設定が有るか否かを確認する(ステップS14)。なお、制動灯に係る制御指示としては、ブレーキ操作以外に、夜間に点灯させる照明用の指示などがあり、方向指示器に係る制御指示としては、方向指示以外に駐車を示す点灯指示などがある。
【0057】
ここで、無線通信部14bは、自己が最後部の被牽引車に係るものであるとする設定が有る場合には(ステップS14のYes)、この制御指示を有効とする(ステップS15)。
【0058】
一方で、無線通信部14bは、制御指示に含まれている牽引車識別IDが牽引車2(自車)のIDでない場合(ステップS12のNo)、および、制御指示に含まれている牽引車識別IDが牽引車2(自車)のIDであっても(ステップS12のYes)、自己が最後部の被牽引車に係るものでない場合には(ステップS14のNo)、この制御指示を無効とする(ステップS16)。
【0059】
また、図10のフローチャートの動作手順では、被牽引車4a、4bの連結時に、オペレータが手動操作によって、無線通信部14bが最後部に連結されている被牽引車4bに係るものであることを無線通信部14bに設定することが必要である。この設定に加え、図10のフローチャートではステップS14で最後部の設定の有無を先に判断する必要がある。このステップS14の判断を省略する方法について以下に説明する。
【0060】
この方法では、被牽引車4、4a、4b毎に固有の被牽引車識別IDを割当てる。なお、被牽引車識別IDは、前述した牽引車識別IDと共に用いる。すなわち、連結車両1の牽引車2には牽引車識別IDが割当てられている。この牽引車識別IDに加えて被牽引車4、4a、4b毎に固有の被牽引車識別IDを割当てる。すなわち、「牽引車識別ID+被牽引車識別ID」で定められる複合IDを一意に定められたIDとして使用する。これによれば、牽引車識別IDが各牽引車2によって異なるので連結車両1が異なれば複合IDも異なることとなる。したがって、被牽引車識別IDは他の連結車両と重複してもよい。よって、この複合ID方式によれば、被牽引車識別IDの種類を少なくすることができる。なお、どのドーリ、すなわちどの被牽引車が最後部に連結されているかの判断は、オペレータの手動操作または上述した自動認識のいずれかを採用して行う。
【0061】
無線通信部14a、14bは、無線信号に含まれる牽引車識別IDを確認することによって、当該無線信号が牽引車2(自車)からの無線信号であるか否かを確認する。続いて、無線通信部14a、14bは、無線信号に含まれる被牽引車識別IDを確認することによって、当該無線信号が自己のドーリ5、5aに係る被牽引車4a、4bに関係する無線信号であるか否かを確認する。以下の説明では、説明を分り易くするために、無線通信部14a、14bが牽引車識別IDによって、当該無線信号が牽引車2(自車)からの無線信号であるか否かを確認する処理については説明を省略する。
【0062】
牽引車2の無線通信部14は、無線信号選択手段として制動灯または/および方向指示器に係る制御指示を自車に連結されている最後部の被牽引車4bに割当てられた被牽引車識別IDと共に無線信号により送信する手段を備える。無線通信部14bは、無線信号選択手段として自己が搭載されているドーリ5aに係る被牽引車4bに割当てられた被牽引車識別IDを含む制動灯または/および方向指示器に係る制御指示を無線信号により受信するとこの制御指示を有効とする手段を備える。なお、制動灯または/および方向指示器に係る制御指示以外の制御指示については、無線通信部14は、全被牽引車4a、4bの被牽引車識別IDを付与して制御指示を送信する。したがって、無線通信部14a、14bとしては、制御指示の内容の如何に関わらず、自己が係る被牽引車識別IDを含む制御指示を有効とする。
【0063】
この際の無線通信部14、14bの無線信号選択手段の動作手順を図11、図12のフローチャートに示す。すなわち、図11に示すように、無線通信部14は、連結制御部22から制御指示を受け取ると(ステップS20)、その制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る制御指示か否かを確認する(ステップS21)。
【0064】
ここで、制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る制御指示であるならば(ステップS21のYes)、無線通信部14は、牽引車識別IDと共に最後部の被牽引車4bの被牽引車識別IDとその制御指示を無線信号により送信する(ステップS22)。
【0065】
一方で、制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る制御指示でなければ(ステップS21のNo)、無線通信部14は、牽引車識別IDと共に自車に連結されている全被牽引車4a、4bの被牽引車識別IDとその制御指示を無線信号により送信する(ステップS23)。
【0066】
また、図12に示すように、無線通信部14bは、無線通信部14からの制御指示を無線信号により受信すると(ステップS30)、その制御指示に含まれる被牽引車識別IDを確認する(ステップS31)。無線通信部14bは、この確認の結果、制御指示に含まれている被牽引車識別IDが自己に係る被牽引車4bのIDであれば(ステップS32のYes)、この制御指示を有効とする(ステップS33)。しかし、無線通信部14bは、制御指示に含まれている被牽引車識別IDが自己に係る被牽引車4bのIDでなければ(ステップS32のNo)、この制御指示を無効とする(ステップS34)。
【0067】
以上の説明では、主に牽引車2の無線通信部14から送信される制御指示を含む無線信号に着目し、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bが他車からの同様な無線信号やノイズによって自車が誤動作しないようにする方法について説明した。しかしながら、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bから牽引車2の無線通信部14への稼働情報を含む無線信号の送信についても無線通信部14が他車からの同様な無線信号やノイズを自車の稼働情報と誤認しないようにすることが重要である。これについては、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bから送信される稼働情報を含む無線信号の中に、自車の牽引車識別IDおよび/または被牽引車識別IDを含ませることによって、牽引車2の無線通信部14は、他車の無線信号やノイズと自車の稼働情報を含む無線信号とを明確に区別して受信することができる。ここで被牽引車識別IDを含ませる場合は、事前に無線通信部14に、その被牽引車識別IDを登録させておく必要がある。また、被牽引車識別IDのみで識別を可能とするには、そのIDは他のものと重複しないものとする必要がある。
【0068】
次に、ハイブリッド制御部13の詳細な構成を説明する。図13は、牽引車2のハイブリッド制御部13のブロック構成図である。牽引車2には、カーナビゲーションシステムや運行管理のためのGPS(Global Positioning System)装置90が搭載されている。また、被牽引車4、4a、4bには、軸重センサ91が搭載されている。ハイブリッド制御部13は、運行区間情報取得部92、回生量推定部93、ハイブリッド制御プラン作成部94、ハイブリッド制御実行部95から構成されている。
【0069】
運行区間情報取得部92は、GPS装置90から連結車両1の現在位置情報および運行予定区間情報を取得する。すなわち、連結車両1のユーザ(運転者)は、連結車両1の運行開始にあたり、GPS装置90に出発地と目的地を入力する。これにより、運行区間情報取得部92は、連結車両1の現在位置情報と共に運行予定区間情報を取得することができる。なお、運行区間情報取得部92が現在位置情報および運行予定区間情報を取得する方法についてはGPS装置90を用いる方法以外にも、例えば連結車両1を一元的に管理する装置が運行区間情報取得部92に対してセンサ(不図示)や監視カメラ(不図示)などを用いて収集した連結車両1の現在位置情報および運行予定区間情報を通知するなど、様々な方法が適用できるものとする。
【0070】
また、被牽引車4、4a、4bの車軸には、軸重センサ91が設けられている。これにより、回生量推定部93は、被牽引車4、4a、4bの自重情報を取得することができる。自重が重たければ、平坦路または上り坂における所定のハイブリッド制御に要する放電量も大きくなる。反対に、自重が軽ければ、この放電量は小さくなる。なお、回生量推定部93が自重情報を取得する方法については軸重センサ91を用いる方法以外にも、個々の貨物に添付されたRF(Radio Frequency)タグなどの情報から積載貨物の総重量を計算する、あるいは、被牽引車を乗せてその重量を測定する計測装置を用い、回生量推定部93は、その情報を計測装置から受け取るなど、様々な方法が適用できるものとする。
【0071】
ここで、運行予定区間の一例を図14に示す。図14の例では、区間♯1、♯4、♯8は平坦路、区間♯2、♯5は上り坂、区間♯3、♯6、♯7は下り坂である。
【0072】
次に、連結車両1の走行時における動作手順を図13〜図18を参照して説明する。回生量推定部93の動作を図15のフローチャートに示す。回生量推定部93は、被牽引車4、4a、4bの軸重センサ91の出力により自重情報を取得すると共に、運行区間情報取得部92からの出力により現在位置情報および運行予定区間情報を取得する(ステップS40)。運行予定区間情報は、例えば、図14のようなものである。回生量推定部93は、運行予定区間情報に基づき電池12への回生量が所定値以上となる区間が有るか否かを確認する(ステップS41)。
【0073】
まず、図14の例において、電池12への回生が行われるのは、下り坂である区間♯3、♯6、♯7である。これらの区間♯3、♯6、♯7において、電池12への回生量が所定値以上となるために充分な勾配と距離を有する条件を満たす下り坂を検索する。すると、区間♯6、♯7からなる下り坂がこの条件を満たすことがわかる。回生量推定部93は、電池12への回生量が所定値以上となる下り坂の区間♯6、♯7が存在することがわかると(ステップS41でYes)、続いて、放電走行区間を設定する(ステップS42)。
【0074】
ここで、放電走行区間とは、電池12への回生量が所定値以上となる下り坂の区間♯6、♯7の手前の区間であって平坦路または上り坂の区間である。図14の例では、区間♯4、♯5がこの区間に相当する。すなわち、電池12への回生量が所定値以上となる区間♯6、♯7は概ね下り坂である。よって、その手前の区間♯4、♯5は、概ね平坦路または上り坂である。したがって、この平坦路または上り坂の区間♯4、♯5においては、電動機優先のハイブリッド走行によって電池12の充電量を通常の充電量である30%〜80%の範囲より低い値である15%近くまで低下させてもよい。なぜならば、その直後の下り坂の区間♯6、♯7においてその充電量の低下を充分に補うことができるからである。よって、回生量に係る上述した所定値とは、例えば、15%となった電池12の充電量が90%近くにまで回復できるような回生量である。なお、放電走行区間に入る前の電池12の充電量については、回生量推定部93は、運行開始前における電池12の充電量から図14の運行予定区間の区間♯1、♯2、♯3を走行した場合の放電量を差し引いた充電量として計算する。
【0075】
そこで、放電走行区間である区間♯4、♯5においては、エンジン10を極力使用せず、電動機11による走行を優先することにより、連結車両1の燃費を良くすることができる。回生量推定部93は、放電走行区間を設定すると(ステップ42)、この放電走行区間におけるハイブリッド制御プランをハイブリッド制御プラン作成部94により作成する(ステップS43)。
【0076】
次に、ハイブリッド制御プラン作成部94におけるハイブリッド制御プランの作成手順を図16、図17のフローチャートを参照して説明する。図16に示すように、ハイブリッド制御プラン作成部94は、放電走行区間である区間♯4、♯5における平均勾配(上り)を計算する(ステップS50)。続いて、ハイブリッド制御プラン作成部94は、計算した平均勾配において電池12の充電量が15%近くまで低下する初期電動機優先制御プランを作成する(ステップS51)。ここで初期電動機優先制御プランとは、例えば、電動機走行時間とエンジン走行時間の比率が2:1となるような制御プランである。なお、電動機走行時間とエンジン走行時間の比率に替えて電動機走行負荷とエンジン走行負荷の比率としてもよい。
【0077】
ハイブリッド制御プラン作成部94は、ステップS51において初期電動機優先制御プランの作成を完了すると(ステップS52でYes)、電動機優先制御区間を設定する(ステップS53)。ここで、電動機優先制御区間とは、ステップS51で作成した初期電動機優先制御プランを実施して電池12の充電量が15%近くまで低下するのに要する区間である。例えば、連結車両1が区間♯4、♯5における平均勾配を有する道路において、車速80km/hで初期電動機優先制御プランを実施した場合に、1時間または80km走行した時点で電池12の充電量が15%近くまで低下するという場合には1時間走行する区間または80kmの区間が電動機優先制御区間になる。
【0078】
このようにして、ハイブリッド制御プラン作成部94は、ステップS53において電動機優先制御区間が設定されると、この電動機優先制御区間の距離と図14に示す実際の運行予定区間において設定された放電走行区間である区間♯4、♯5の距離とを比較する(ステップS54)。
【0079】
このときに、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離以上であれば(ステップS54でNo)、ハイブリッド制御プラン作成部94は、ハイブリッド制御プランの作成を完了する(ステップS56)。すなわち、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離以上であれば、電動機優先制御区間の開始位置を区間♯4、♯5内で適宜調整することによって、電動機優先制御区間の終了位置を区間♯5と区間♯6との境界点とすることができる。なお、電動機優先制御区間の開始位置を区間♯4または区間♯5の開始位置とし、区間♯4または区間♯5の途中で電動機優先制御区間を終了させるようにしてもよい。
【0080】
これに対し、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離未満であれば(ステップS54でYes)、電動機優先制御区間の開始位置を区間♯3と区間♯4との境界点とした場合でも電動機優先制御区間の終了位置を区間♯5と区間♯6との境界点とすることができない。
【0081】
よって、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離未満であれば(ステップS54でYes)、ハイブリッド制御プラン作成部94は、より電動機11を優先する制御プランを作成する(ステップS55)。例えば、初期電動機優先制御プランが電動機走行時間とエンジン走行時間の比率が2:1となるような制御プランであるとすれば、電動機走行時間とエンジン走行時間の比率が3:1以上となるような制御プランを作成する。
【0082】
このようにして、ハイブリッド制御プラン作成部94がより電動機11を優先する制御プランを作成すると(ステップS55)、再び、電動機優先制御区間の距離と放電走行区間である区間♯4、♯5の距離とを比較する(ステップS54)。ステップS54とステップS55とを繰り返すことにより、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離以上となれば(ステップS54でNo)、ハイブリッド制御プラン作成部94は、ハイブリッド制御プランの作成を完了する(ステップS56)。このようにして、電動機11の優先度が高く、これにより低燃費を実現できるハイブリッド制御プランが作成される。
【0083】
このようにしてハイブリッド制御プラン作成部94が作成したハイブリッド制御プランは、ハイブリッド制御実行部95に渡される。ハイブリッド制御実行部95は、ハイブリッド制御プラン作成部94が作成したハイブリッド制御プランに基づいてハイブリッド制御を実行する。
【0084】
次に、ハイブリッド制御プラン作成部94におけるハイブリッド制御プランの他の作成手順を図17のフローチャートを参照して説明する。図17のフローチャートでは、ステップS65が図16のステップS55と異なる。すなわち、図16の手順では、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離未満であれば(ステップS54でYes)、ハイブリッド制御プラン作成部94は、より電動機11を優先する制御プランを作成する(ステップS55)。これに対し、図17の手順では、放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離未満であれば(ステップS64でYes)、ハイブリッド制御プラン作成部94は、電池12の本数を減らして制御プランを作成する(ステップS65)。
【0085】
すなわち、図17の手順では、初期電動機優先制御プランのまま、使用する電池12の本数を減らすことにより、放電可能な電気量を減らして電動機優先制御区間の距離を短くしている。これにより、連結車両1の自重を減らすことができる。よって、初期電動機優先制御プランについては変更しないが連結車両1の自重が減ったことによって燃費の改善を図ることができる。なお、この図17の手順を採用する場合、電池12の本数を減らしたもので他の走行区間で弊害が出ないかを確認するシミュレーションを行うことが好ましい。すなわち、電池12の本数を減らすことで区間♯1〜♯8までの燃費が悪くならないように制御できる制御プランを作成し直すことが好ましい。なお、後述するように放電走行区間の前のターミナルステーションにおいて電池12の本数を減らすようにし、その後の区間で電池12を増やすようにすれば制御プランの見直しは必要無くなる。
【0086】
次に、連結車両1における走行時における動作手順を図18、図19を参照して説明する。図18、図19は、牽引車2のハイブリッド制御部13の走行時における動作手順を示すフローチャートである。図18に示すように、牽引車2のハイブリッド制御部13は、運転者によるキースイッチONなどの起動操作が行われると、起動時制御を実施する(ステップS70)。この起動時制御には、上述したように、ハイブリッド制御部13の運行区間情報取得部92による現在位置情報および運行予定区間情報の取得、回生量推定部93による自重情報の取得および放電走行区間の設定、ハイブリッド制御プラン作成部94によるハイブリッド制御プランの作成などが含まれる。
【0087】
起動時制御が開始された後、ハイブリッド制御部13は、一定間隔で以下のフローを実行する。起動時制御では、牽引車2のハイブリッド制御部13は、エンジン10、ドーリ5のハイブリッド制御部13a、電動機11、電池12、ドーリ5aのハイブリッド制御部13b、電動機11a、電池12aの正常性をそれぞれチェックする。また、このときに、牽引車2の連結制御部22は、無線通信部14、実装部材31、ドーリ5の連結制御部22a、無線通信部14a、実装部材31a、ドーリ5aの連結制御部22b、無線通信部14b、実装部材31bの正常性をそれぞれチェックする。ハイブリッド制御部13は、ステップS71でYesと判断するまで一定間隔でステップS71の判断を繰り返す。
【0088】
続いて、牽引車2のハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、起動時制御が完了すると(ステップS71のYes)、発進・加速制御を実施する(ステップS72)。連結車両1が発進して加速する際には、大きなトルクを必要とする。このときに、この必要トルクをエンジン10のみによって得ようとすれば、燃料消費量および排出ガス量は多くなってしまう。よって、発進・加速制御時には、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、電動機11、11aに対する電動機トルク指示をほぼ最大トルクとする。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、エンジン10に対するエンジントルク指示を、電動機11、11aのトルクの不足分を補うことができる最小のトルクとする。ただし、牽引車2が被牽引車4、4a、4bを牽引している状態を維持する必要があるため、エンジン10のトルクが完全に“0”にはならないように制御する。ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、車速が75km/h以上になるまでステップS73の判定を一定時間毎に繰り返し、加速制御を繰り返す。
【0089】
このようにして、連結車両1が発進して加速を行った結果、車速が75km/h以上になると(ステップS73のYes)、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、定常制御を実施する(ステップS74)。
【0090】
定常制御では、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、連結車両1が平坦地または登り坂を走行しているときには、定常走行制御の条件を満たしていると判断する。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、連結車両1が勾配が0.5%以上の下り坂を走行しているときには、エンジン駆動制御の条件を満たしていると判断する。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、上述したように、放電走行区間(すなわち電動機優先制御区間)になると、15%放電制御の条件を満たしていると判断する。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、連結車両1が勾配が1.5%以上の下り坂を走行しているときには、エネルギ回生制御の条件を満たしていると判断する。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、連結車両1が運転者がブレーキを操作するなどして車速が75km/hよりも低下し、さらに減速を続けているときには、停止制御の条件を満たしていると判断する。
【0091】
このときに、回生量推定部93は、自己の連結車両1の運行予定区間における電池12への回生量を推定する。これにより、ハイブリッド制御部92は、回生量推定部93の推定結果に基づき回生量に応じて電池12の充電量の上限値および下限値を変更する。すなわち、定常走行制御の場合、エンジン駆動制御の場合には充電量の上限値は80%とし、充電量の下限値は30%とする。これに対し、15%放電制御の場合、エネルギ回生制御の場合には充電量の上限値は90%とし、充電量の下限値は15%とする。なお、電池12の充電量が上限値に達するとハイブリッド制御部13は電池12への回生を停止する。また、電池12の充電量が下限値に達するとハイブリッド制御部13は電池12からの放電を停止する。すなわち、電池12の充電量が下限値に達するとハイブリッド制御部13は電動機11による走行をやめてエンジン10による走行に切替える。
【0092】
なお、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、連結車両1に搭載されている勾配センサ(不図示)などにより道路の勾配を認識することができる。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は以下のステップ、すなわちステップS74以後のフローを一定時間毎に繰り返す。
【0093】
ここで、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95が連結車両1が定常走行制御の条件に合致すると判断したときには(ステップS75のNo)、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、ステップS77に移行し、エンジン10と電動機11、11aの両方によって走行するように制御する。このときの目標車速は80km/hである。また、このときの電池12の充電量は30%以上であり80%以下とする。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、エンジン10を一定負荷とし一定回転速度範囲内で燃費優先制御を行う。すなわち、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、エンジン10にとって最も燃費が良くなる一定負荷とし一定回転速度範囲内とする。このときに、登り坂などの負荷変動時には、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、エンジン10は一定負荷で一定回転速度範囲内としたまま電動機11、11aによりエンジン10をアシストすることにより速度制御を行う。ステップS77の処理の後、ステップS74、S75に移行し、再度、ステップS75でNoであればステップS77の処理を継続する。
【0094】
ステップS75でYesとハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95が判断したときで、かつ、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95が、連結車両1がエンジン駆動制御の条件に合致すると判断したときには(ステップS76のNo)、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、ステップS78に移行し、エンジン10のみによって走行するように制御する。このときの目標車速は80km/hである。また、このときの電池12の充電量は30%以上であり80%以下とする。また、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、エンジン10を可変負荷とし一定回転速度範囲内で燃費優先制御を行う。このような制御は、緩やかな下り坂(0.5%の勾配)である故に実行可能な制御である。すなわち、緩やかな下り坂であれば、大半は燃料噴射を行わず慣性によって走行し、速度が低下するようであれば、僅かに燃料噴射を行い加速するといった走行ができるため、エンジン10のみによって低燃費走行が可能である。ステップS48の処理後、所定時間を経過すると、ステップS74、S75へ移行し、ステップS75でNoであればステップS77へ移行する。ステップS75でYesであればステップS76に移行し、同じ状況が継続しているとステップS78へ移行し、前の処理を継続する。
【0095】
次に、ステップS76でYesとハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95が判断し、かつ、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95が、連結車両1が15%放電制御の条件に合致すると判断したときには(ステップS79でNo)、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、ステップS82へ移行し、15%放電制御を実行する。このときには、回生量が所定値以上となる区間の手前で電動機優先制御を行うと共に、回生量が所定値以上となる区間では電動機を発電機に切替えてブレーキ力制動で車速をコントロールする。また、このときの電池12の充電量は15%以上であり90%以下とする。すなわち、電池12の充電量が15%未満となるような場合には、電池12の放電を中止してエンジン10による走行に切替える。また、電池12の充電量が90%を越えるような場合には電動機11から電池12への回生電流を遮断する。ステップS82の処理後、所定時間を経過すると、ステップS74、S75へ移行し、ステップS75でNoであればステップS77へ移行する。ステップS75でYesであればステップS76に移行し、ステップS76でNoであればステップS78へ以降する。ステップS76でYesであればステップS79に移行し、同じ状況が継続しているとステップS82へ移行し、前の処理を継続する。
【0096】
次に、ステップS79でYesとハイブリッド制御部95が判断したときはステップS80へ移行する。そして、ハイブリッド制御部95は、連結車両1がエネルギ回生制御の条件に合致すると判断したときには(ステップS80のNo)、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、ステップS83へ移行し、電動機11、11aによりエネルギ回生制御を実行する。このときの目標車速は80km/hである。エネルギ回生制御では、エンジン10における燃料の噴射を停止(無噴射)し、電動機11、11aを発電機に切替えてブレーキ力制動で車速をコントロールする。また、このときの電池12の充電量は15%以上であり90%以下とする。すなわち、電池12の充電量が15%未満となるような場合には、電池12の放電を中止してエンジン10による走行に切替える。また、電池12の充電量が90%を越えるような場合には電動機11から電池12への回生電流を遮断する。ステップS83の処理の後、所定時間経過後に、ステップS74、S75へ移行する。そして、ステップS77またはステップS76へ移行する。ステップS76へ移行すると、ステップS78またはステップS79へ移行する。ステップS79へと移行すると、ステップS80またはステップS82へ移行する。現状が先の状況と変化が無い場合は、ステップS74、S75、S76、S79、S80、S83へと移行し、同じ処理を行う。
【0097】
なお、ステップS82の15%放電制御においても回生量が所定値以上となる区間ではステップS83のエネルギ回生制御と同様な処理を行っている。しかしながら、ステップS82の15%放電制御における回生制御は、あくまでも放電制御(電動機優先制御)と対になる処理であり、この点がステップS83における単なる回生制御とは異なる。また、ステップS82の15%放電制御における回生量が所定値以上となる区間は、ステップS83のエネルギ回生制御と同様に下り1.5%以上の勾配であることが好ましい。
【0098】
ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95がステップS80でYesと判断し、かつ、連結車両1が停止制御の条件に合致すると判断したときには(ステップS81のNo)、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95は、停止制御を実行する(ステップS84)。停止制御では、エネルギ回生制御と同様に、エンジン10における燃料の噴射を停止(無噴射)し、電動機11、11aを発電機に切替えてブレーキ力制動で車速をコントロールする。ステップS81でYesと判断したときは、ハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95はステップS73へ移行する。
【0099】
(本発明の第一の実施の形態の効果について)
次に、本発明の第一の実施の形態に係る効果について説明する。連結車両1によれば、牽引車2に多数連結された被牽引車4、4a、4bによって一度に大量の貨物を輸送することができる。さらに、牽引車2に備えられるエンジン10とドーリ5、5aに備えられる電動機11、11aによってハイブリッド自動車を構成するので、低燃費、低排出ガスによって大量の貨物の輸送を実現することができる。
【0100】
また、ドーリ5、5aに電動機11、11aおよび電池12、12aその他のハイブリッド自動車としての構成部材を備えるので、被牽引車4、4a、4bは、従来のものを用いることができる。これにより、連結車両1の実現性を高いものとすることができる。
【0101】
また、牽引車2、ドーリ5、5aに無線通信部14、14a、14bを備えることによって、牽引車2とドーリ5、5aとの間を無線信号によって接続することができる。これにより、牽引車2とドーリ5、5aとの間の複雑なケーブル接続の手間を省くことができる。
【0102】
さらに、被牽引車4、4a、4bにエアコンプレッサ20、20a、20b、エアタンク21、21a、21bなどのブレーキ駆動部材を備えることにより、牽引車2と被牽引車4、4a、4bとの間のエア配管接続の手間を省くことができる。したがって、牽引車2に複数の被牽引車4、4a、4bやさらに後続の被牽引車を連結する場合であってもケーブル接続およびエア配管接続の手間を省くことができる。なお、従来の被牽引車を連結する場合には、牽引車2と被牽引車との間、および、被牽引車間のエア配管および電気配線は必要になる。しかしながら、ドーリ5、5aに無線通信部14a、14bを備えるために、複雑な制御系に係る電気配線は不要である。これによって従来と比較して電気配線を省線化することができる。
【0103】
なお、この実施の形態では、牽引車2と連結される被牽引車4は、コネクタ75を利用することで牽引車2からエアの供給を受ける。一方、ドーリ5、5aと被牽引車4が連結される場合、コネクタ76が利用されるので高圧の電源が供給され、電動のエアコンプレッサ20が動作することとなる。このように、エア関係については2系統が各被牽引車4、4a、4bに用意されているため、被牽引車4、4a、4bは、牽引車2にもドーリ5、5aにも連結することができる。
【0104】
また、無線通信部14、14a、14bが誤動作することを回避するために、牽引車2毎に牽引車識別IDを割当てている。すなわち、牽引車2に割当てられた牽引車識別IDが制御指示に含まれているときに限り、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bは、受信した制御指示を有効とする。これにより、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bが他車からの同様な無線信号を受信したり、ノイズを受信した場合であっても無線通信部14から送信された無線信号と区別することができる。同様に、牽引車2の無線通信部14においてもドーリ5、5aの無線通信部14a、14bから送信された回生電流情報、充電量情報を含む無線信号と他車からの同様な無線信号あるいはノイズとを、その無線信号に含まれる牽引車識別IDまたは/および被牽引車識別IDによって区別することができる。
【0105】
また、制御指示が制動灯または/および方向指示器に係る場合には、最後部に連結された被牽引車4bのみが制御対象である。このような場合には、被牽引車4bに自己が最後部に連結された被牽引車4bであることを認識させる設定を行い、被牽引車4bのみが制動灯または/および方向指示器に係る制御指示を受信するようにする。これにより、簡単な設定で最後部に連結された被牽引車4bのみに制動灯83または/および方向指示器84の制御指示を行うことができる。
【0106】
あるいは、無線通信部14、14a、14bが自己宛ての無線信号を選択受信するために、被牽引車4、4a、4b毎に被牽引車識別IDを割当てている。すなわち、自己に係る被牽引車4a、4bに割当てられた被牽引車識別IDが制御指示に含まれているときに限り、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bは、受信した制御指示を有効とする。これにより、制動灯83または/および方向指示器84に係る制御指示において被牽引車識別IDを利用することができる。すなわち、牽引車2の無線通信部14から送信する制御指示に最後部の被牽引車の被牽引車識別IDを含ませることにより、最後部の被牽引車4bのみに有効となる制御指示を生成することができる。これによれば、上述したような被牽引車4a、4bに自己が最後部に連結された被牽引車であるか否かの判定を行う手間を省くことができる。
【0107】
また、上述した牽引車識別IDと被牽引車識別IDとを併用し、ドーリ5、5aの無線通信部14a、14bが他車からの同様な無線信号を受信したり、ノイズを受信した場合であっても無線通信部14から送信された無線信号と区別することができる。同様に、牽引車2の無線通信部14においてもドーリ5、5aの無線通信部14a、14bから送信された回生電流情報、充電量情報を含む無線信号と他車からの同様な無線信号あるいはノイズとを、その無線信号に含まれるドーリ5、5aに係る被牽引車4a、4bの被牽引車識別IDおよび牽引車識別IDによって区別することができる。このように、牽引車識別IDおよび被牽引車識別IDを併用して無線信号識別を行うことにより、牽引車識別IDのみによる無線信号識別と比べて識別の精度を高めることができる。
【0108】
また、運行予定区間がわかっている場合は、その運行予定区間の道路状況に合わせて効率の良いハイブリッド制御を計画することができる。
【0109】
また、前述した特許文献1に開示されている連結車両と比較すると、本発明の実施の形態の連結車両1は、ドーリ5、5aの側にハイブリッド自動車の構成要素を備えている。よって、特許文献1に開示されている連結車両と比べると、連結可能な被牽引車については、既存の従来どおりの被牽引車を連結することも可能である点が大きく異なる。さらに、特許文献1に開示されている連結車両と比べると、エア配管、電気配線の接続については、エアコンプレッサ20、20a、20b、エアタンク21、21a、21bを備える被牽引車4、4a、4bを用いることにより接続工程を省くことができる。
【0110】
(本発明の第二の実施の形態に係る牽引車2Aの構成について)
次に、本発明の第二の実施の形態に係る牽引車2Aの構成について図20を参照して説明する。第二の実施の形態に係る牽引車2Aの構成は、第一の実施の形態に係る牽引車2の構成と僅かに異なる。よって、第一の実施の形態と同一または同種の部材については同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部材について主に説明する。また、この牽引車2Aを有する車両を連結車両1Aとして説明する。
【0111】
図20に示すように、牽引車2Aは、電動機11bとこの電動機11bの電源としての電池12bを備える。すなわち、牽引車2Aは、それ自身がハイブリッド自動車としての機能を有する。このため、牽引車2Aを有する連結車両1Aにおける被牽引車4、4a、4bはコネクタ75を備えず、コネクタ76のみを備えるものとしてもよい。
【0112】
(本発明の第二の実施の形態に係る牽引車2Aの動作について)
牽引車2Aの単独動作については一般的なハイブリッド自動車の動作と同じであるため、説明は省略する。牽引車2Aに、被牽引車4、4a、4bを連結した場合には、牽引車2Aのハイブリッド制御部13cは、エンジン10、電動機11、11a、11b、電池12、12a、12bを統括的に制御することにより、連結車両1Aの全体を1台のハイブリッド自動車として制御する。
【0113】
(本発明の第二の実施の形態の効果について)
牽引車2Aは、それ自身がハイブリッド自動車としての機能を有するので、牽引車2Aのみが走行する場合においても低燃費、低排出ガスを実現できる。また、牽引車2Aに、被牽引車4、4a、4bを連結した場合には、牽引車2Aの電動機11b、電池12bもドーリ5、5aの電動機11、11a、電池12、12aと協働するので、ドーリ5、5aの電動機11、11a、電池12、12aの負荷を連結車両1と比べて軽減することができる。
【0114】
(本発明の第三の実施の形態に係る連結車両1Bの構成について)
次に、本発明の第三の実施の形態に係る連結車両1Bの構成について図21を参照して説明する。第三の実施の形態に係る連結車両1Bの構成は、第一の実施の形態に係る連結車両1の構成と僅かに異なる。よって、第一の実施の形態と同一または同種の部材については同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部材について主に説明する。また、図21に示す符号中、第一の実施の形態と同一部材については一部省略する。
【0115】
図21に示すように、連結車両1Bは、連結車両1におけるドーリ5、5aの無線通信部14a、14bの機能に替え、中継伝送を行う機能を有する無線通信部14d、14eをドーリ5b、5cに無線通信部14a、14bの代わりとして備える。
【0116】
(本発明の第三の実施の形態に係る連結車両1Bの動作について)
連結車両1Bのドーリ5b、5cにおける無線通信部14d、14eは、連結車両1のドーリ5、5aにおける無線通信部14a、14bの機能に加え、中継伝送を行う機能を有する。すなわち、ドーリ5b、5cにおける無線通信部14d、14eは、ドーリ5、5aにおける無線通信部14a、14bと同様に、牽引車2の無線通信部14からの自己宛の制御指示を無線信号により受信すると共に、牽引車2の無線通信部14に対し、回生電流情報、充電量情報を無線信号により送信している。その他に、ドーリ5b、5cにおける無線通信部14d、14eは、牽引車2の無線通信部14からの自己宛以外の制御指示を中継伝送すると共に、牽引車2の無線通信部14に対し、他から到来した回生電流情報、充電量情報を中継伝送している。ただし、無線通信部14d、14eが中継伝送する無線信号は、自車に係る牽引車識別IDおよび/または被牽引車識別IDを含むものに限る。
【0117】
(本発明の第三の実施の形態の効果について)
連結車両1Bのドーリ5b、5cにおける無線通信部14d、14eによれば、牽引車2と最後部の被牽引車4bとの距離が離れていても無線通信部14d、14eが無線信号を中継伝送することによって牽引車2と最後部の被牽引車4bとの間の通信が確実に行われる。すなわち、無線通信部14と無線通信部14d、14eとの間の無線通信を良好に行うことができる。
【0118】
(本発明の第四の実施の形態に係るドーリ5Bの構成について)
次に、本発明の第四の実施の形態に係る連結車両中のドーリ5Bの構成について図22を参照して説明する。第四の実施の形態に係る連結車両中のドーリ5Bの構成は、第一の実施の形態に係る連結車両1中のドーリ5の構成と僅かに異なる。よって、第一の実施の形態と同一または同種の部材については同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部材について主に説明する。
【0119】
図22に示すように、ドーリ5Bは、電動機11を操作入力に応じて運転する手段である操作部96を備える。操作部96の入出力は、ハイブリッド制御部13Aに接続されている。
【0120】
(本発明の第四の実施の形態に係るドーリ5Bの動作について)
ドーリ5Bのハイブリッド制御部13Aは、無線通信部14aからの電動機トルク指示によってインバータ50を制御し、これによって電動機11を駆動する。その他に、ハイブリッド制御部13Aは、操作部96からの操作入力に応じてインバータ50を制御し、これによって電動機11を駆動する。すなわち、操作部96の操作入力に応じて電動機11を運転することができる。
【0121】
操作部96の運転操作は、操作キーによってドーリ5Bの前進または後進の操作を行うことができる。なお、図22の例では、操作部96には、速度調整用の操作キーは無いので、電動機11の運転速度は一定とする。このときの運転速度は、きわめて低速であることが好ましい。例えば、電動機11の運転速度は、人が歩く程度の速度(4km/h)である。また、操作部96に速度調整用の操作キーを設け、電動機11の運転速度を段階的あるいは無段階に調整できるようにしてもよい。また、操作部96が直接インバータ50を制御するような構成としてもよい。
【0122】
(本発明の第四の実施の形態に係る効果について)
ドーリ5Bは、操作部96を備え、オペレータによる手動操作によって、ドーリ5Bを単独で前進または後進させることができる。これはドーリ5Bに電動機11を設けたことにより実現できることである。従来は、ドーリには動力手段が無く、外部から何らかの力を加えることによって移動させている。もし、人手によってドーリを動かそうとすれば、数人がかりでの移動となる。これに対し、ドーリ5Bは、電動機11を備えており、自走可能である。よって、一人のオペレータの操作によって、簡単にドーリ5Bを移動することができる。これにより、ターミナルステーションなどにおける被牽引車の連結作業を簡素化および低コスト化することができる。
【0123】
なお、ドーリ5Bを前進または後進だけでなく、左折または右折させる場合には、ドーリ5Bに対し、左または右方向の力を加える必要がある。しかしながら、自走しているドーリ5Bを左折または右折させるために必要となる力は、停止しているドーリを動かす力と比べると小さくてよい。よって、ドーリ5Bを左折または右折させる場合でも従来と比べると小さな力で行うことができる。
【0124】
(応用例)
次に、上述の連結車両1、1A、1Bやドーリ5Bを使用する連結車両を用いた応用例について図23、図24を参照しながら説明する。なお、連結車両1、1A、1Bなどのそれぞれに運行管理部106を備えたものを連結車両1Cとする。インフラとして、図23、図24に示すように、連結車両1Cのような多連結の車両を走行させるための専用車線100を高速道路101の上下線の複数の車線の中で最も道路の端側に設ける。なお、図23は、専用車線100、ターミナルステーション102、103を横から観た図であり、運行管理装置107の配置を示す図である。図24は、専用車線100、車線100a、100b、100cを有する高速道路101およびターミナルステーション102〜105を上から観た図である。この専用車線100は、例えば、高速道路101の複数の車線100、100a、100b、100cの中の1つの専用車線100を利用する。また、専用車線100は、急勾配や急カーブを極力少なくすることが好ましい。さらに、専用車線100にターミナルステーション102、103、104、105を設置する。このターミナルステーション102〜105では、連結車両1Cに貨物の積み下ろしを行うと共に、連結車両1Cの連結編成の変更なども行うことができる。また、運転者の食事や休息あるいは交代を行う場所も設けることが好ましい。
【0125】
さらに、運行管理装置107を設けることにより、複数の連結車両1Cを一元的に管理することができる。運行管理装置107は、牽引車識別IDを用いて連結車両1Cを識別することができる。これにより、渋滞などによる貨物輸送効率の低下を回避することができるため、効率の良い貨物の輸送を実現することができる。このときに、既存の従来どおりの被牽引車を用いることができるため、当該応用例の実現性を高くすることができる。なお、運行管理装置107の設置場所はいずれでもよいが、例えば、ターミナルステーション102〜105のいずれかまたは全てに設置してもよい。なお、連結車両1Cの運行管理部106は、運行管理装置107からの運行指示を記憶して実行する。また、運行管理装置107に対して自車の情報を転送する。
【0126】
さらに、運行管理装置107の別の利用形態を説明する。例えば、連結車両1Cの運行管理部106は、運行管理装置107に対して自車の車体重量などの各種データを送信する。これにより、運行管理装置107は、連結車両1Cにおけるハイブリッド制御のための指示値を演算処理して送信するといったこともできる。これによれば、連結車両1Cのハイブリッド制御部13、13a〜13c、13Aにおけるハイブリッド制御のための演算処理を運行管理装置107が代行することができる。
【0127】
このように、連結車両1Cのハイブリッド制御部13、13a〜13c、13Aにおけるハイブリッド制御のための演算処理を運行管理装置107が代行することにより、連結車両1Cのハイブリッド制御部13、13a〜13c、13Aの処理負荷を軽減することができる。
【0128】
あるいは、連結車両1Cのハイブリッド制御部13、13a〜13c、13Aでは処理負荷が大き過ぎて実行困難な複雑な演算処理を運行管理装置107が代行して行い、その演算処理の結果のみを連結車両1Cのハイブリッド制御部13、13a〜13c、13Aにハイブリッド制御のための指示値として送信するといったことも可能になる。これよれば、複雑な演算処理に基づく効率の良いハイブリッド制御を、連結車両1Cのハイブリッド制御部13、13a〜13c、13Aの処理負荷を増大させることなく実現することができる。
【0129】
また、運行管理装置107は、連結車両1Cを一元的に管理する際に、連結車両1Cの運行予定区間における必要最少の電池モジュールの本数を計算することができる。すなわち、運行管理装置107は、連結車両1Cの性能に関する情報や連結車両1Cの運行予定区間における勾配や車速の情報を入力し、連結車両1Cがその運行予定区間を走行する際のシミュレーションを事前に実施する。これにより運行管理装置107は、連結車両1Cの運行予定区間における必要最少の電池モジュールの本数を計算することができる。
【0130】
すなわち、図8で説明したように、ドーリ5、5a〜5c、5A、5aA、5Bの電池12は、複数の電池モジュール♯1〜♯nに分割されており、電池モジュール♯1〜♯nの本数は任意に変更が可能である。よって、運行管理装置107の計算結果に基づいて連結車両1Cの運行予定区間における必要最少の電池モジュールの本数以上の電池モジュールの本数を搭載する。これにより、連結車両1Cが運行予定区間内において電池12の容量が不足して電池12の充電量が劣化するといった事態を回避することができる。また、無駄となる本数の電池モジュールを搭載することによる車体重量の無駄な増加を無くすことができる。よって、連結車両1Cは、このことによっても低燃費、低排出ガスを実現することができる。
【0131】
また、図17のフローチャートで説明したように、放電走行区間の手前で電池12の本数を調整するような場合には、放電走行区間の手前に電池12の本数を調整するためのターミナルステーションを設置することができる。すなわち、専用車線100では、他車による運行スケジュールへの影響が少ないため、連結車両1Cの走行パターンを一定とすることができる。よって、放電走行区間も常時同じ区間とすることができる。このため、予め放電走行区間の手前にターミナルステーションを設置することができる。
【0132】
さらに、連結車両1Cの走行パターンが一定であればハイブリッド制御プランの作成についても最初に一回行えばよい。これによれば、図13に示した回生量推定部93、ハイブリッド制御プラン作成部94といった機能ブロックを省略することができる。この場合には、回生量推定部93、ハイブリッド制御プラン作成部94の機能を、例えば、運行管理装置107が有し、運行管理装置107が作成したハイブリッド制御プランを連結車両1Cのハイブリッド制御部13のハイブリッド制御実行部95に転送するように構成できる。
【0133】
このような専用車線100を用いることにより、連結車両1Cは、他車の影響を受けることなく、自分のペースで走行が可能となる。これによれば、前述したように、運行予定区間におけるハイブリッド制御プランを立案する際に、単純に、専用車線100の勾配などの固定的な道路環境のみによって精度の高いハイブリッド制御プランを立案することができる。よって、専用車線100を設けることは、燃費の低減、二酸化炭素排出量の低減にとってきわめて有用である。
【0134】
なお、ターミナルステーション102〜105は、上下線の対向する位置に配置せず、上り線と下り線とで異なる場所に配置してもよい。また、運行管理装置107は、上り線用と下り線用にそれぞれ設けるようにしてもよい。さらに、ターミナルステーション102〜105は、図24では、専用車線100を覆うように設置されているが、複数の車線100、100a、100b、100cを全て覆うように配置したり、逆にいずれの車線も覆わず専用車線100に隣接するように配置してもよい。
【0135】
次に、連結車両1、1A、1B、1Cの車両編成において、新規の被牽引車4と従来の被牽引車140、141とを混在させた車両編成例を連結車両1Dとして図25に示す。連結車両1Dでは、牽引車2の直後に後続するように、従来の被牽引車140を連結し、さらに、従来の被牽引車140に後続するように従来の被牽引車141を連結する。
【0136】
このように、従来の被連結車140、141は、牽引車2の直後、または、従来の被牽引車140、141のいずれか一方に後続するように連結可能である。また、新規の被牽引車4は、牽引車2の直後であっても従来の被牽引車140または141の直後であっても従来の被牽引車140、141が共に接続されたものの直後であっても連結可能である。一方、新規の被牽引車4に後続して従来の被牽引車140、141を連結することはできない。その理由は、新規の被牽引車4には、電気配線およびエア配管を後続する被牽引車に中継する設備が実装されていないためである。
【0137】
このように、連結車両1Dは、(1)新規の被牽引車のみによる車両編成、(2)従来の被牽引車のみによる車両編成、(3)新規の被牽引車と従来の被牽引車とを混在させる車両編成、のいずれの車両編成も可能である。これにより、新しい物流システムの導入を図る際に、効率良く従来の物流システムを活用することができる。
【0138】
このように効率の良い貨物の輸送を実現する物流システムを用いることにより、物流コストの低減が実現できると共に、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量の低減にも大きく貢献することができる。すなわち、一度に大量の貨物の輸送が行えると共に、渋滞などの輸送の効率を低下させる要因が皆無である。このため、本発明の実施の形態に係る物流システムにおいては、輸送に用いる燃費を大幅に削減できる。このように燃費が大幅に削減できることは、そのまま二酸化炭素排出量の削減にも繋がることとなる。
【0139】
(プログラムの実施の形態)
また、ハイブリッド制御部13、13a〜13c、連結制御部22、22a、22bは、所定のソフトウェア(請求項でいうプログラム)により動作する汎用の情報処理装置(CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal
Processor)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、ハイブリッド制御部13、13a〜13c、13A連結制御部22、22a、22bの各部の機能が実現される。また、その他の機能(運行管理部106など)についてもソフトウェアにより実現可能な機能については汎用の情報処理装置とプログラムとによって実現することができる。
【0140】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、ハイブリッド制御部13、13a〜13c、13A、連結制御部22、22a、22bの出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、ハイブリッド制御部13、13a〜13c、13A、連結制御部22、22a、22bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、ハイブリッド制御部13、13a〜13c、13A、連結制御部22、22a、22bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。ハイブリッド制御部13、13a〜13c、13A、連結制御部22、22a、22bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0141】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0142】
(変形例)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。例えば、第一の実施の形態などでは、ドーリ5、5aを連結してドーリ5、5aと対となる被牽引車4a、4bが2台とされる例を示したが、ドーリ1台で被牽引車2台となるようなものとしてもよい。また、逆に、ドーリと被牽引車の対が3組以上連結されるものとしてもよい。
【0143】
牽引車2とこれに直接連結される被牽引車4とは従来どおりのケーブル接続を行うとして説明した。しかしながら、牽引車2とこれに直接連結される被牽引車4との接続についても無線信号を用いた接続としてもよい。これによれば、さらにケーブル接続の手間を省くことができる。また、連結制御部22aと実装部材31aとの通信や連結制御部22bと実装部材31bとの通信を無線によって行うようにしてもよい。
【0144】
また、連結車両1、1A、1B、1C、1Dは、全てエンジン10を備えたハイブリッド自動車であるとして説明した。しかし、エンジン10を電動機に替えた完全な電気自動車としてもよい。この場合には、連結車両1、1A、1B、1C、1Dにおいて発電機能を持たないので、ターミナルステーション102〜105などに充電のための設備を用意する。あるいは、図23の応用例で説明したように、運行管理装置107が予め連結車両1、1A、1B、1C、1Dの運行予定区間において連結車両1、1A、1B、1C、1Dが必要とする電池モジュール本数を計算できる。よって、各ターミナルステーションにおいて、予め必要な電池モジュールを充電して用意しておくなどのような効率の良い運用形態が実現可能である。
【0145】
また、無線通信部14、14a〜14eに替えて光通信部を設けることにより、牽引車2とドーリ5〜5c、5A、5aA、5Bとの間の通信を光ファイバケーブルによって行ってもよい。あるいは、無線通信部14、14a〜14eに替えて空間光通信部を設けることにより、牽引車2とドーリ5〜5c、5A、5aA、5Bとの間の通信を光信号による無線通信によって行ってもよい。あるいは、無線通信部14、14a〜14eに替えてデジタル通信部を設けることにより、牽引車2とドーリ5〜5c、5A、5aA、5Bとの間の通信を1本またはごく少数のデジタル信号の伝送ケーブルによって行ってもよい。また、前述したように、無線通信部14、14a〜14eに導入される技術については、その時々において最先端の技術を導入することができる。
【0146】
また、実装部材31、31a、31bとして図示したエアコンプレッサ20、20a、20b、エアタンク21、21a、21b、点灯制御部30、31a、31bなどを全てドーリ5、5a、5b、5c、5A、5aA、5Bの側に備えてもよい。この場合には、ドーリ5、5a、5b、5c、5A、5aA、5Bの側から被牽引車4a、4bへエア配管および電気配線を接続する。なお、被牽引車4へは牽引車2からエア配管および電気配線を接続する。本構成によれば、既存の従来どおりの被牽引車の接続がさらに容易になる。
【0147】
また、図8では、ドーリ5に車内LAN65を用い、被牽引車4aに車内LAN77を用い、その間をCAN通信により接続すると説明したが、車内LAN65、77用いることなく全ての部材の間をCAN通信を用いて接続してもよい。
【0148】
また、図16、図17のフローチャートのステップS54またはS64において「放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離以上であれば(ステップS54またはS64でNo)」と説明したがこれを「放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離を越えていれば(ステップS54またはS64でNo)」としてもよい。また、ステップS54またはS64において「放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離未満であれば(ステップS54またはS64でYes)」と説明したがこれを「放電走行区間である区間♯4、♯5の距離が電動機優先制御区間の距離以下であれば(ステップS54またはS64でYes)」としてもよい。また、図18のフローチャートのステップS43において「車速75km/h以上になると」と説明したが、これを「車速75km/hを越えると」としてもよい。
【0149】
また、上述の実施の形態では電池の充電量の上限値と下限値を共に変更しているが下限値のみを変更したり、上限値のみを変更したりしてもよい。例えば、下限値を30%から20%に変更し、上限値は80%のままとしたり、上限値を80%から95%にして下限値を30%のままとしてもよい。
【0150】
また、電池の充電量の上限値および/または下限値を変更する際に充電を行う区間を予め設定していたが、そのような区間を予め設定せず、GPS情報を随時取得し、そのGPS情報から充電状態が最も劣化する、すなわち充電量が最も低くなる場所とそこまでの距離および時間を検知し、さらにその場所から先の回生量が充電量の50%を超える場合には、電池の下限値を通常値(例えば30%)から下げる(例えば15%)ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1、1a、1A、1B、1C、1D…連結車両、2、2A…牽引車、3、3a、3b…カプラ、4、4a、4b…被牽引車、5、5a〜5c、5A、5aA、5B…ドーリ、6…シャシ、10…エンジン、11、11a…電動機、12、12a…電池、13、13a〜13c、13A…ハイブリッド制御部(ハイブリッド制御手段)、14、14a〜14e…無線通信部(無線通信手段、無線信号識別手段、無線信号選択手段、制御指示送信手段、制御指示受信手段)、20、20a、20b…エアコンプレッサ、21、21a、21b…エアタンク、22、22a、22b…連結制御部(実装部材を制御する手段、制御指示送信手段、制御指示受信手段)、30、30a、30b…点灯制御部、31、31a、31b…実装部材、40…エンジン制御部、41…クラッチ、42…トランスミッション、43…CAN、44…アクセルセンサ、50…インバータ、90…GPS装置、91…軸重センサ、92…運行区間情報取得部、93…回生量推定部(回生量推定手段)、94…ハイブリッド制御プラン作成部(ハイブリッド制御プランを作成する手段)、96…操作部、100…専用車線、101〜105…ターミナルステーション、106…運行管理部、107…運行管理装置(電池モジュールの本数を計算する手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と、この牽引車に連結される第1の被牽引車と、この第1の被牽引車と第1のドーリを介して連結される第2の被牽引車と、
を備える連結車両において、
上記牽引車は、動力源としてエンジンを備え、
上記ドーリは、動力源として電動機を備えると共に当該電動機の電源としての電池を備え、
上記エンジン、上記電動機および上記電池の稼働情報を収集し、上記エンジン、上記電動機および上記電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるハイブリッド制御手段と、
自己の連結車両の運行予定区間における回生量を推定する回生量推定手段と、
を備え、
上記ハイブリッド制御手段は、上記回生量推定手段の推定結果に基づき回生量に応じて上記電池の充電量の上限値および/または下限値を変更する、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項2】
請求項1記載の連結車両において、
前記回生量推定手段の推定結果に基づき、前記運行予定区間から回生量が所定値以上または所定値を超える下り坂の区間を抽出し、この区間の手前にある平坦路または上り坂において前記電池の充電量が前記下限値以下または前記下限値未満にならない範囲で、前記電動機による走行が前記エンジンによる走行に優先するハイブリッド制御プランを作成する手段を備える、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項3】
請求項2記載の連結車両において、
前記ハイブリッド制御プランの作成において、前記電池の使用本数を増減するプランを含む、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の連結車両において、
前記第2の被牽引車の後に、ドーリと被牽引車が対となって1対以上連結されていることを特徴とする連結車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の連結車両において、
前記牽引車は、前記エンジンと併せて電動機とこの電動機の電源としての電池を備え、
前記ハイブリッド制御手段は、前記牽引車に備える上記電動機および上記電池も含めて前記エンジンならびに前記ドーリの前記電動機および前記電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させる、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の連結車両において、
前記ハイブリッド制御手段を含む車両の制御手段は、
前記牽引車に備えられる牽引車側制御手段と、
前記ドーリに備えられるドーリ側制御手段と、
を備え、
上記牽引車側制御手段と上記ドーリ側制御手段とは互いに通信する通信手段をそれぞれ備える、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項7】
請求項6記載の連結車両において、
前記通信手段は、無線信号により通信する無線通信手段を備える、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項8】
請求項7記載の連結車両において、
前記無線通信手段は、自車の無線信号と自車以外からの無線信号またはノイズとを区別して送受信する無線信号識別手段を備える、
ことを特徴とする連結車両。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の連結車両に限定して通行が許可される専用車線に設置されるターミナルステーションと、
上記専用車線および上記ターミナルステーションにおける上記連結車両の運行状況を管理する運行管理装置と、
を備えることを特徴とする物流システム。
【請求項10】
請求項9記載の物流システムにおいて、
前記連結車両の前記電池は、複数の電池モジュールにより構成され、
前記連結車両の前記ドーリは、複数の上記電池モジュールを任意の本数で搭載可能であり、
前記運行管理装置は、前記連結車両の運行予定区間における必要最少の上記電池モジュールの本数を計算する手段を備え、
前記ドーリには、上記計算する手段の計算結果に基づく必要最少の上記電池モジュールの本数以上の電池モジュールの本数が搭載される、
ことを特徴とする物流システム。
【請求項11】
牽引車と、この牽引車に連結される第1の被牽引車と、この第1の被牽引車と第1のドーリを介して連結される第2の被牽引車と、
を備える連結車両におけるハイブリッド制御方法において、
上記牽引車が動力源としてエンジンを備え、
上記ドーリが動力源として電動機を備えると共に当該電動機の電源としての電池を備え、
上記エンジン、上記電動機および上記電池の稼働情報を収集し、上記エンジン、上記電動機および上記電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるハイブリッド制御ステップと、
自己の連結車両の運行予定区間における回生量を推定する回生量推定ステップと、
を有し、
上記ハイブリッド制御ステップの処理は、上記回生量推定ステップの処理による推定結果に基づき回生量に応じて上記電池の充電量の上限値および/または下限値を変更するステップを有する、
ことを特徴とする連結車両におけるハイブリッド制御方法。
【請求項12】
請求項11記載の連結車両におけるハイブリッド制御方法において、
前記回生量推定ステップの処理による推定結果に基づき、前記運行予定区間から回生量が所定値以上または所定値を超える下り坂の区間を抽出し、この区間の手前にある平坦路または上り坂において前記電池の充電量が前記下限値以下または前記下限値未満にならない範囲で、前記電動機による走行が前記エンジンによる走行に優先するハイブリッド制御プランを作成するステップを有する、
ことを特徴とする連結車両のハイブリッド制御方法。
【請求項13】
請求項12記載の連結車両のハイブリッド制御方法において、
前記ハイブリッド制御プランの作成において、前記電池の使用本数を増減するプランを含む、
ことを特徴とする連結車両のハイブリッド制御方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項記載の連結車両におけるハイブリッド制御方法において、
前記第2の被牽引車の後に、ドーリと被牽引車の対を1対以上連結するステップを有することを特徴とする連結車両におけるハイブリッド制御方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項記載の連結車両におけるハイブリッド制御方法において、
前記牽引車が前記エンジンと併せて電動機とこの電動機の電源としての電池を備え、
前記ハイブリッド制御ステップの処理として、前記牽引車に備える上記電動機および上記電池も含めて前記エンジンならびに前記ドーリの前記電動機および前記電池をハイブリッド自動車の構成要素として連携動作させるステップを有する、
ことを特徴とする連結車両におけるハイブリッド制御方法。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか1項記載の連結車両におけるハイブリッド制御方法において、
前記牽引車における前記ハイブリッド制御ステップを行う制御系と前記ドーリにおける前記ハイブリッド制御ステップを行う制御系とが互いに通信するステップを有する、
ことを特徴とする連結車両におけるハイブリッド制御方法。
【請求項17】
請求項16記載の連結車両におけるハイブリッド制御方法において、
前記通信するステップの処理は、無線信号により通信するステップを有する、
ことを特徴とする連結車両のハイブリッド制御方法。
【請求項18】
請求項17記載の連結車両のハイブリッド制御方法において、
前記無線信号により通信するステップの処理は、自車の無線信号と自車以外からの無線信号またはノイズとを区別して送受信する無線信号識別ステップを有する、
ことを特徴とする連結車両のハイブリッド制御方法。
【請求項19】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、請求項11から18のいずれか1項記載の連結車両におけるハイブリッド制御方法を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−163005(P2010−163005A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5994(P2009−5994)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】