説明

運転支援装置

【課題】注意力が欠如した運転者が注意力を回復させた場合に、自身が置かれた状況を迅速かつ適切に認識できるよう支援する運転支援装置を提供すること。
【解決手段】運転支援装置Sは、運転者の注意力を判定する注意力判定手段11と、注意力判定手段11により運転者の注意力が欠如していると判定された場合に運転者に運転情報を通知する運転情報通知手段12とを備える。また、運転支援装置Sは、運転者の注意力を喚起する注意力喚起手段13を備え、注意力喚起手段13により運転者の注意力が喚起されたときに運転情報通知手段12が運転情報を通知するようにしてもよい。運転情報通知手段12は、複数の運転情報を所定の優先順位に基づいて順次通知し、運転情報には、先行車の有無に関する情報が含まれ、先行車がある場合には、先行車と自車との間の距離に関する情報が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関し、特に、注意力が欠如した運転者に運転に関する情報を迅速かつ適切に通知し、運転者の注意力が回復したときに周囲の状況が不明なため運転者が混乱するのを防止する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転手の居眠り運転防止のために、運転者の目の開度、瞬きの頻度および瞬きの際に目を閉じている時間に基づいて運転者が居眠りをしているか否かを判定し、居眠りをしていると判定した場合に警報を出力する居眠り運転警報装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この居眠り運転警報装置は、CCD(Charge Coupled Device)カメラで運転者を撮影して運転者の目の開度、瞬きの頻度および瞬きの際に目を閉じている時間を継続的に取得し、それらの平均値を居眠り判定の閾値に設定するので、個人差による検出精度のばらつきを低減させることができ、また、長時間運転中の運転者の居眠り判定における検出精度の変動を低減させることができる。
【特許文献1】特開平6−266981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の居眠り運転警報装置は、運転者の居眠りを検出した場合に警報を出力して運転者を覚醒させるだけで、運転者を覚醒させた後に何らの運転支援を実行するものではない。
【0005】
上述の点に鑑み、本発明は、注意力が欠如した運転者が注意力を回復させた場合に、自身が置かれた状況を迅速かつ適切に認識できるよう支援する運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る運転支援装置は、運転者の注意力を判定する注意力判定手段と、前記注意力判定手段により運転者の注意力が欠如していると判定された場合に運転者に運転情報を通知する運転情報通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第二の発明は、第一の発明に係る運転支援装置であって、運転者の注意力を喚起する注意力喚起手段を備え、前記運転情報通知手段は、前記注意力判定手段により運転者の注意力が欠如していると判定され、かつ、前記注意力喚起手段により運転者の注意力が喚起されたときに運転者に運転情報を通知することを特徴とする。
【0008】
また、第三の発明は、第二の発明に係る運転支援装置であって、前記運転情報通知手段は、前記注意力判定手段により運転者の注意力が欠如していると判定され、前記注意力喚起手段により運転者の注意力が喚起され、かつ、前記注意力判定手段により運転者の注意力が回復したと判定されたときに運転者に運転情報を通知することを特徴とする。
【0009】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係る運転支援装置であって、前記運転情報通知手段は、複数の運転情報を所定の優先順位に基づいて順次通知することを特徴とする。
【0010】
また、第五の発明は、第一乃至第四の何れかの発明に係る運転支援装置であって、前記運転情報は、先行車と自車との間の距離に関する情報を含むことを特徴とする。
【0011】
また、第六の発明は、第一乃至第四の何れかの発明に係る運転支援装置であって、前記運転情報は、カーナビゲーションシステムによる音声案内のうち、次回案内予定の情報または前回案内した情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の手段により、本発明は、注意力が欠如した運転者が注意力を回復させた場合に、自身が置かれた状況を迅速かつ適切に認識できるよう支援する運転支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明に係る運転支援装置の構成例を示すブロック図である。運転支援装置Sは、ドライバーモニターECU(Electronic Control Unit)10を有し、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の車載ネットワークを介して、ドライバーモニターカメラ20、白線検知ECU21、ステアリングセンサ22、ヨーレートセンサ23、レーダセンサ24、カーナビゲーションシステム25、路車間通信装置26、ブレーキECU27および車間制御ECU28から情報を取得し、車載スピーカ30および振動出力装置31に制御信号を出力する。
【0015】
ドライバーモニターECU10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、注意力判定手段11、運転情報通知手段12および注意力喚起手段13に対応するプログラムをNVRAMに記憶し、それらプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。
【0016】
ドライバーモニターカメラ20は、運転者を撮影するための装置であり、例えば、CCDカメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラであって、ルームミラー付近、ダッシュボード上、インストルメンタルパネル内等に配置され、運転者を正面から撮影し、撮影した画像をドライバーモニターECU10に出力する。
【0017】
また、ドライバーモニターカメラ20は、赤外線カメラであって、赤外線LED(Light Emitting Diode)を備え、赤外光を運転者に照射して運転者を撮影してもよい。昼夜の別を問わず運転者の撮影を可能にするためであり、また、眩しさにより運転を妨げることもないく、運転者の目の画像を安定的に取得できるからである。
【0018】
白線検知ECU21は、道路標示を検知するための電子制御装置であり、例えば、フロントグリル付近に設置されたカメラが撮影した画像を取得し、二値化処理、エッジ検出処理、フィルタ処理等の画像処理を施して白線を抽出し車線位置や道路標示の内容を検知して検出結果をドライバーモニターECU10に出力する。
【0019】
ステアリングセンサ22は、ステアリングシャフトの回転角を検出するためのセンサであり、例えば、ステアリングシャフトに埋め込まれた磁石による磁気抵抗をMR(Magnetic Resistance)素子により読み取りステアリングシャフトの回転角を検出し、検出結果をドライバーモニターECU10に出力する。
【0020】
ヨーレートセンサ23は、車輌の回転角速度(ヨーレート)を測定するセンサであり、例えば、U字型の金属板に圧電セラミックスを貼り付けた構成であって、回転する力が金属板に加わると金属板およびそれに貼り付けた圧電セラミックスが歪んで電圧を発生させ、この電圧値によって車両の回転角速度を検出し、車輌の挙動に関する情報をドライバーモニターECU10に出力する。
【0021】
レーダセンサ24は、車輌周辺にある物体を検出するためのセンサであり、例えば、車体の前後左右に取り付けられ、ミリ波またはレーザー光を用いて自車の前後左右に存在する物体(他車、歩行者等)の位置情報、速度情報、自車との間の距離情報等を検出し、それら情報をドライバーモニターECU10に出力する。
【0022】
カーナビゲーションシステム25は、GPS機能により取得される車両の位置情報と、ハードディスクやDVD等に記憶された地図情報とに基づいて目的地までの経路を示し、車両を誘導するためのシステムであり、経路案内に関する情報をドライバーモニターECU10に出力する。
【0023】
また、カーナビゲーションシステム25は、通信装置を介してVICS(Vehicle Information and Communication Service)渋滞情報等を受信し、渋滞情報、気象情報等をドライバーモニターECU10に出力してもよい。
【0024】
路車間通信装置26は、自車と道路インフラストラクチャに設置された通信機との間の通信を制御するための装置であり、例えば、道路に埋設されたループアンテナや磁気ネイルを介して信号情報、位置情報または道路情報等を受信し、それら情報をドライバーモニターECU10に出力する。
【0025】
ブレーキECU27は、ブレーキによる制動力を制御するための電子制御装置であり、例えば、加速度センサや車輪速センサの測定値に基づいて車輌の横滑り状態や路面状態(例えば、路面摩擦係数μ)を検知し4輪それぞれの制動力を最適な状態に制御する。
【0026】
また、ブレーキECU27は、検知した横滑り状態や路面状態に関する情報をドライバーモニターECU10に出力する。
【0027】
加速度センサは、車両の前後方向、上下方向、左右方向の3軸方向の加速度を測定するセンサであって、例えば、半導体ひずみゲージを用いたセンサであり、車輪速センサは、例えば、各車輪に取り付けられ各車輪とともに回転する磁石による磁界の変化をMR素子が磁気抵抗として読み取り、これを回転速度に比例したパルス信号として取り出すことで車輪の回転速度を検出する。
【0028】
車間制御ECU28は、車間距離を所定の状態に維持するための電子制御装置であり、例えば、レーダセンサ24により先行車と自車との間の距離を取得し、スロットル開度、シフト位置、ブレーキ圧等を自動的に制御して自車の走行速度を調節し、車間距離を所定の状態に維持する。
【0029】
車載スピーカ30は、音声を出力するための装置であり、例えば、運転者に対して運転情報を通知するためにドライバーモニターECU10からの制御信号に基づいて所定の音声メッセージを出力したり、或いは、運転者の注意力を喚起するためにアラーム音を出力したりする。
【0030】
振動出力装置31は、振動を発生させて運転者の注意力を喚起するための装置であり、例えば、運転席シート、ステアリングホイール、シフトレバー等の表面に設置され、ドライバーモニターECU10からの制御信号を受信して振動を発生させる。
【0031】
「運転情報」とは、運転者が適切な運転操作を行うために必要な音声案内情報であり、例えば、限られた時間で迅速に内容を伝えるべく短く簡潔な音声メッセージの形式でドライバーモニターECU10のROMに格納される情報であって、運転者に所定の操舵、加速または減速を促すための情報である。
【0032】
図2は、ドライバーモニターECU10のROMに記憶される運転情報データベースの構成例を示す図であり、運転情報データベースは、運転情報欄50、条件欄51および優先順位欄52を有し、運転情報欄50が車載スピーカ30から出力される音声メッセージの内容を示し、条件欄51が運転情報欄50の音声メッセージを出力するためのトリガー条件を示し、優先順位欄52が複数の運転情報を出力する場合の出力順を示す。なお、優先順位は、衝突に関する情報が最も高い「1」に設定され、天候情報、地図情報、経路案内等がより低く設定される。
【0033】
例えば、自車と先行車との間の距離が4メートルである場合、条件欄51の「先行車との間の距離が所定値X1(例えば、5メートル)以下」のトリガー条件を満たすこととなるので、ドライバーモニターECU10は、運転情報欄50の対応するメッセージである「先行車に注意」を車載スピーカ30から出力させる。
【0034】
また、自車と先行車との間の距離が9メートル)である場合、条件欄51の「先行車との間の距離が所定値X1(例えば、5メートル)以上X4(例えば、10メートル)以下」のトリガー条件を満たすこととなるので、ドライバーモニターECU10は、運転情報欄50の対応するメッセージである「先行車有り」を車載スピーカ30から出力させる。
【0035】
このように、運転支援装置Sは、先行車との距離に応じて音声メッセージの内容および優先順位を変更し周囲の状況に適した音声メッセージを出力させるようにする。
【0036】
また、白線検知ECU21により車線を画する左側の白線道路標示と自車との間の距離が30センチメートルになるまで接近したことを検知した場合、条件欄51の「左側の白線までの距離が所定値X3(例えば、50センチメートル)以下」のトリガー条件を満たすこととなるので、ドライバーモニターECU10は、運転情報欄50の対応するメッセージである「左に寄りすぎです」を車載スピーカ30から出力させる。
【0037】
また、カーナビゲーションシステム25による音声案内が20秒後に行われる予定がある場合、条件欄51の「所定時間(例えば、30秒)以内に出力予定の経路案内がある」のトリガー条件を満たすこととなるので、ドライバーモニターECU10は、その音声案内を前倒しで出力する。運転者に対する音声案内を早期に行って運転操作に備えさせるためである。なお、カーナビゲーションシステム25は、その音声案内を元のタイミングで再度出力させるようにしてもよい。運転者が経路案内を確実に認識できるようにするためである。
【0038】
或いはまた、カーナビゲーションシステム25による音声案内が過去15秒以内に行われた場合、条件欄51の「過去の所定時間(例えば、30秒)以内に出力された経路案内がある」のトリガー条件を満たすこととなるので、ドライバーモニターECU10は、再度その音声案内を出力させる。音声案内を聞き逃した運転者に対して再度同じ音声案内を行い、経路案内を確実に伝えるようにするためである。
【0039】
また、条件欄51のトリガー条件は、「所定距離(例えば、300メートル)以内に出力予定の経路案内がある」または「通過した所定距離(例えば、300メートル)以内に出力された経路案内がある」のように時間の代わりに移動距離を用いたものであってもよい。
【0040】
なお、運転支援装置Sは、先行車との間の距離が所定値(例えば、2メートル)未満となり先行車に衝突する可能性が高い場合には、運転情報ではなく、音声メッセージ「衝突注意」といった警告情報を車載スピーカ30から出力させ、衝突を回避すべく操舵角や制動力を自動的に制御するようにしてもよい。このように、運転情報は、運転者が適切な運転操作を行うために必要な情報であって警告情報とは音声メッセージの内容およびトリガー条件が異なる情報であってもよい。
【0041】
次に、再度図1を参照しながら、ドライバーモニターECU10が有する各種手段について説明する。
【0042】
注意力判定手段11は、運転者の注意力を判定するための手段であり、例えば、ドライバーモニターカメラ20が撮影した運転中の運転者の画像から運転者の目の部分の画像を抽出し、目の開閉状態や視線に基づいて運転者が居眠りをしているか否か、或いは、運転者が脇見をしているか否かを判定する。
【0043】
また、注意力判定手段11は、脳波計、脈拍計、血圧計等で測定された運転者の脳波、心拍数、血圧等の生体データに基づいて運転者の注意力の有無を判定してもよい。
【0044】
運転情報通知手段12は、運転情報を運転者に通知するための手段であり、例えば、注意力判定手段11により注意力が欠如している(例えば、居眠りや脇見をしている状態をいう。)と判定された場合に、運転情報データベースを参照して条件欄51のトリガー条件を満たす運転情報を抽出し、優先順位欄52に設定された優先順位に基づいて順番に運転情報を車載スピーカ30から出力する。
【0045】
また、運転情報通知手段12は、優先順位が「1」である運転情報を通知する場合には、優先順位がより低い運転情報のトリガー条件を満たす場合であっても、優先順位「1」の運転情報を繰り返し通知するようにしてもよく、或いは、優先順位が「1」および「2」である運転情報のトリガー条件を満たす場合には、優先順位がより低い運転情報のトリガー条件を満たす場合であっても、優先順位「1」および「2」の運転情報を繰り返し巡回させながら通知するようにしてもよい。重要な運転情報を確実に運転者に伝えるためである。
【0046】
また、繰り返し通知する場合には、音量を徐々に大きくしたり、メッセージ内容を変えたりしてもよい(例えば、「先行車に注意」を「前の車が接近しています」や「減速して下さい」としたりする。)。運転者が認識し易い表現が各人異なるからであり、重要な運転情報を確実に運転者に伝えるためである。
【0047】
注意力喚起手段13は、運転者の注意力を喚起するための手段であり、例えば、車載スピーカ30からアラーム音を出力したり、運転席シート、ステアリングホイール等に設置された振動出力装置31で振動を発生させたりして運転者の注意力を喚起する。
【0048】
運転情報通知手段12は、注意力判定手段11により注意力が欠如していると判定された場合、注意力喚起手段13によりステアリングホイールにある振動出力装置31で振動を発生させた後、運転情報を車載スピーカ30から出力させるようにしてもよい。
【0049】
さらに、運転情報通知手段12は、注意力判定手段11により注意力が欠如していると判定された場合、注意力喚起手段13により車載スピーカ30からアラームを吹鳴させ、注意力判定手段11により運転者の注意力が回復した(居眠りや脇見を止め運転に集中した状態をいう。)ことを確認したうえで、運転情報を車載スピーカ30から出力させるようにしてもよい。
【0050】
運転者が注意力を回復させ運転情報をより確実に認識できる状態になったときに、運転情報を出力させるためであり、運転者の注意力が欠如した状態で運転情報を出力しても運転者が運転情報の内容を認識できない場合もあるからである。
【0051】
また、運転情報通知手段12は、運転情報の優先順位に応じて運転順位を通知するタイミングを変えるようにしてもよい。
【0052】
例えば、優先順位「1」の運転情報のトリガー条件を満たす場合、運転情報通知手段12は、注意力判定手段11により注意力が欠如していると判定された場合、即座に運転情報を通知させるようにする。警告情報に代えて運転情報を出力させることにより、運転情報自体によって運転者の注意を喚起し、重要な運転情報を早期に運転者に伝えるためである。
【0053】
一方、優先順位がより低い運転情報のトリガー条件だけを満たす場合、運転情報通知手段12は、注意力判定手段11により注意力が欠如していると判定され、注意力喚起手段13により車載スピーカ30からアラームを吹鳴させ、かつ、注意力判定手段11により運転者の注意力が回復したことを確認したうえで運転情報を通知させるようにする。運転情報を運転者により確実に認識させるためである。
【0054】
次に、図3を参照しながら、運転支援装置Sが運転情報を運転者に通知する処理の流れについて説明する。ここで、図3は、運転情報を運転者に通知する処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
最初に、運転支援装置SのドライバーモニターECU10は、ドライバーモニターカメラ20が撮影した運転者の画像を取得して画像処理を行い運転者の目の開閉状態を所定時間(例えば、0.1秒)刻みで判定する(ステップS1)。
【0056】
ドライバーモニターECU10は、運転者の目がTa[秒](例えば、1秒間)継続して閉眼状態となるまで運転者の目の開閉状態を判定し続ける(ステップS1のNO)。
【0057】
運転者の目がTa[秒](例えば、1秒間)継続して閉眼状態となっていることを検出した場合(ステップS1のYES)、ドライバーモニターECU10は、運転者の目が閉眼状態であると確定する(ステップS2)。
【0058】
ドライバーモニターECU10は、運転者の目が閉眼状態であると確定した場合に、注意力喚起手段13によりアラームを車載スピーカ30から吹鳴させることで、運転者の目を開かせ注意力を回復させるようにしてもよい。
【0059】
その後、ドライバーモニターECU10は、再度、運転者の目の開閉状態を所定時間(例えば、0.1秒)刻みで判定する(ステップS3)。
【0060】
ドライバーモニターECU10は、運転者の目がTb[秒](例えば、1秒間)継続して開眼状態となるまで運転者の目の開閉状態を判定し続ける(ステップS3のNO)。
【0061】
運転者の目がTb[秒](例えば、1秒間)継続して開眼状態となっていることを検出した場合(ステップS3のYES)、ドライバーモニターECU10は、運転者の目が閉眼状態から開眼状態に移行したことを確定する(ステップS4)。
【0062】
その後、ドライバーモニターECU10は、運転情報通知手段12により運転情報データベースを参照して条件欄51のトリガー条件を満たす運転情報を抽出し、優先順位欄52に設定された優先順位に基づいて車載スピーカ30から運転情報を順次出力させて(ステップS5)処理を終了する。
【0063】
このように、運転支援装置Sは、運転者が居眠りしそうになった場合であっても、その後運転者の注意力が回復した場合に運転情報を車載スピーカ30から出力し、運転者が置かれた状況を迅速に認識させることができる。
【0064】
また、運転支援装置Sは、複数の運転情報を優先度の高い順に出力するので、衝突に関するような重要な運転情報を迅速かつ確実に運転者に伝えることができる。
【0065】
また、運転支援装置Sは、複数の運転情報を優先度の高い順に出力するので、居眠りから覚め注意力が回復したばかりで車両周辺の情報を一度に認識することが困難な運転者に対しても必要かつ十分な運転情報を迅速に伝えることができ、情報認知遅れによる事故を防止することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0067】
例えば、上述の実施例では、運転情報通知手段12が運転情報を通知するタイミングとして、運転者の注意力が欠如したと判定した場合と、その後注意喚起を行った場合と、さらにその後に運転者の注意力が回復したと判定した場合との3つを挙げているが、これら3つのタイミングを時間帯や運転情報の通知頻度に応じて使い分けるようにしてもよい。
【0068】
例えば、深夜の時間帯においては、運転者の注意力が欠如したと判定した場合には即座に運転情報を通知するようにしたり、或いは、運転開始当初は、一度欠如した注意力が回復したと判定された場合にだけ運転情報の通知を行いながら、その後、通知の頻度が高くなるに従い、注意喚起を行った場合、さらには、運転者の注意力が欠如したと判定した場合と通知のタイミングを早めるようにしたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】運転支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】運転情報データベースの構成例を示す図である。
【図3】運転支援装置が運転情報を運転者に通知する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 ドライバーモニターECU
11 注意力判定手段
12 運転情報通知手段
13 注意力喚起手段
20 ドライバーモニターカメラ
21 白線検知ECU
22 ステアリングセンサ
23 ヨーレートセンサ
24 レーダセンサ
25 カーナビゲーションシステム
26 路車間通信装置
27 ブレーキECU
28 車間制御ECU
30 車載スピーカ
31 振動出力装置
50 運転情報欄
51 条件欄
52 優先順位欄
S 運転支援装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の注意力を判定する注意力判定手段と、
前記注意力判定手段により運転者の注意力が欠如していると判定された場合に運転者に運転情報を通知する運転情報通知手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
運転者の注意力を喚起する注意力喚起手段を備え、
前記運転情報通知手段は、前記注意力判定手段により運転者の注意力が欠如していると判定され、かつ、前記注意力喚起手段により運転者の注意力が喚起されたときに運転者に運転情報を通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転情報通知手段は、前記注意力判定手段により運転者の注意力が欠如していると判定され、前記注意力喚起手段により運転者の注意力が喚起され、かつ、前記注意力判定手段により運転者の注意力が回復したと判定されたときに運転者に運転情報を通知する、
ことを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転情報通知手段は、複数の運転情報を所定の優先順位に基づいて順次通知する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記運転情報は、先行車と自車との間の距離に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記運転情報は、カーナビゲーションシステムによる音声案内のうち、次回案内予定の情報または前回案内した情報である、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−65380(P2008−65380A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239317(P2006−239317)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】