説明

道案内システム

【課題】 携帯電話機を用いて利用者に文章による分かり易い道案内を提供すること
【解決手段】 携帯端末から現在地と目的地の情報を受信し、現在地周辺で目的地に至る経路上に存在する複数の目標物を地図データベースから抽出し、その目標物のうち広告料データベースに格納された広告料金、分かり易さの指標データベースに格納された分かり易さの指標を優先度として、優先度が高い目標物を選択し、当該目標物を指し示す道案内文を送信する目標物抽出手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地点から目的地までの経路を案内する歩行者用の道案内システムに係り、特に道案内を行う場合の目印となる目標物を地図データベースから抽出し、携帯電話機の画面に表示するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムや歩行者ナビゲーションシステムでは、案内文章を表示するために分かり易い目標物の抽出が必要になる。例えば右折する場合でも、右折とだけ言われるよりは、目印となる目標物を提示し、例えば「ガソリンスタンドを右折」と指示した方が利用者の利便性が高い。
しかし、そのためには分かり易い目標物の抽出が必要であり、下記の特許文献1のように目標物の業種(スーパー、コンビニ、学校)によって初期設定しているものを使用したものがある。また、近年では歩行者によるナビゲーションシステムの需要も高まっている。
なお、本発明に関連する公知技術文献としては下記の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3751795号
【特許文献2】特許第3478694号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーションシステムにおいて、現実の道路は、都心部であるならば、目標物になり得る業種の建物が豊富にあるが、実際には地図データには都市部のデータが豊富に整備されており、非都心部に行くに従いデータ量が減る傾向がある。
前記特許文献1の優先度は、業種によって予め設定されているものであるが、利用者によっては、ある建物が目標物になり得ない場合がある。また、目標物として定義されている場合、付近に目標物がない場合は、抽出することができない。
さらに、同じ業種・種別の地物が別方向に複数存在する場合、例えば、「ガソリンスタンドの角を右」という場合、ガソリンスタンドが隣接箇所に複数存在する場合には、利用者の混乱を招く。
さらに、時間帯や利用者の性別・年代などによっても分かり易い目標物は異なり、全ての利用者にとって分かり易い目標物を抽出するには至っていない。
さらに、特許文献2に開示された技術は、「まっすぐ」、「角を右に曲がる」のような現在の方角を中心とした道案内になっているため、利用者が向きを変えただけで、一括で表示された道案内文章が意味をなさなくなる。
この問題は、「100メートル先、右方向です」のように現在地から曲がる方向の具体的な距離を記述することや、「3番目の交差点」のように現在地からの相対的な数を表示することにより、補うことができる。
【0005】
しかし、メートルのような絶対値による表示や、順番による相対的な表示では、道案内文章としては分かりづらくなってしまう。また、「角を右に曲がる」、「道なりに進む」では、利用者が方向を変えただけで目的地までの道順を見失い、道案内の要をなさない。
【0006】
本発明の目的は、目印から目印への道案内文を携帯電話画面に表示し、目印となる地物は、目標物(ランドマーク)はもちろん、地図上の信号や横断歩道、道路、地名など全ての地物を対象とし、目標物が少ない都心部以外でも、現在地から経由地、さらには目的地に至る経路を分かり易く案内することができる道案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る道案内システムは、 ネットワークにより接続されたホストと利用者が携帯する携帯端末とから構成され、前記携帯端末から受信した現在地と目的地の情報に基づき、目的地に至る経路を案内する道案内システムであって、
前記携帯端末が、
現在地と目的地の情報を前記ホストに送信し、ホストから目的地に至る経路の道案内画面を受信し、表示する手段を備え、
前記ホストが、
前記携帯端末から現在地と目的地の情報を受信し、現在地周辺で目的地に至る経路上に存在する複数の目標物を地図データベースから抽出し、その目標物のうち広告料データベースに格納された広告料金、分かり易さの指標データベースに格納された分かり易さの指標を優先度として、優先度が高い目標物を選択し、当該目標物を指し示す道案内文を送信する目標物抽出手段と、
前記地図データベースに登録された目標物のうち任意の目標物に対して支払われた広告料金を格納した広告料データベースと、
前記携帯端末に対し道案内のための目標物を提示したとき前記携帯端末を携帯している利用者が目的地に近づいているか否かによって当該目標物の分かり易さの指標を更新する指標更新手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の道案内システムによれば、次のような効果がある。
(1)具体的な目標物がない場所でも、分かり易い道案内文による道案内を行うことができる。
(2)目標物を提示する度に、分かり易い目標物だったかをフィードバックし、次回の目標物抽出処理時にフィードバック値の大きな目標物を提示することにより、多くの利用者に分かり易い目標物を提示し、道案内を行うことができる。
(3)広告料を支払っている目標物を優先的に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る道案内システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】道案内を開始場合の初期画面の例を示す図である。
【図3】端末部(携帯電話機)に表示する道案内画面の例を示す図である。
【図4】端末部(携帯電話機)に表示する目的地到着画面の例を示す図である。
【図5】広告料一覧格納データベースに格納されているデータの構成図である。
【図6】フィードバック値格納データベースに格納されているデータの構成図である。
【図7】ホスト部への入出力情報の構成を示す図である。
【図8】端末部における道案内処理の概要を示すフローチャートである
【図9】ホスト部の道案内処理の概要を示すフローチャートである
【図10】ホスト部における目標物抽出処理の概要を示すフローチャートである。
【図11】地図上に同一種別の地物が存在する場合の処理の説明図である。
【図12】広告主へのフィードバックレポートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る道案内システムの実施の形態を示すシステム構成図である。
本実施形態の道案内システムは、ホスト部1と端末部2とで構成される。
ホスト部1は、端末部2を構成する利用者の携帯電話機22からの情報を受け取るための受信手段11と、地図データから抽出した目標物の一覧を保持し、目標物に設定された優先度(例えば広告料に応じた優先度)に応じて目標物を選択する目標物抽出手段12と、住宅地図レベルの細部まで表すことができる地図データを格納した地図データベース13と、目標物に対する広告料を格納した広告料一覧格納データベース14と、地物の一意な識別子と抽出回数及びフィードバック値を格納したフィードバック値格納データベース16と、フィードバック値格納データベース16に格納されたフィードバック値を更新するフィードバック処理手段15と、抽出した目標物を出力する道案内画面出力部17と、レポート取得手段18と、レポート出力部19から構成される。
【0011】
ここで、フィードバック値とは、目印となる目標物を提示(表示)しながら目的地に至る道案内をした時に、当該目標物は分かり易い目標物であるかの指標となるものであり、現在地が目的地に近づいている場合は、当該目標物は分かり易い目標物であるとしてフィードバック値格納データベース16に格納された現在のフィードバック値を「+1」、逆に、現在地が目的地から遠のいている場合は当該目標物は分かり難い目標物であるとして現在のフィードバック値を「−1」とする。
道案内の都度、提示した目標物の分かり易さをフィードバックすることにより、フィードバック値の大きな目標物が提示され、利用者に分かり易い道案内をすることが可能になる。この場合、提示する目標物は、複数の候補のうち高い広告料を支払っている目標物が選ばれて提示される。
【0012】
一方、端末部2は、利用者携帯電話機22により構成され、通信手段21と、位置検出手段(GPS)23と、ホスト部1の道案内画面出力手段17が作成したHTML画面(HyperText Markup Language)を表示するウェブブラウザ24と、図2の初期画面で目的地202の入力を行う入力手段25と、表示手段26を備えている。
ホスト部1と端末部2は、ネットワーク3を介して通信を行う。
【0013】
ホスト部1の受信手段11は、端末部2から送信された図7の入力情報を受け取るための手段である。端末部2からは、目標物の抽出を行う地点の位置情報(701)と、リンク元の情報(702)と、最終目的地(703)の情報を受け取る。
また、目標物抽出手段12は、目標地点の中で優先度が高い地物を目標物として抽出するものである。また、目標物抽出手段12には、道案内のためのルート探索手段と目標物の名称から座標を取得するジオコーディング手段も包含されている。
なお、ジオコーディング手段については、周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0014】
地図データベース13には、例えば日本全国の道路地図、住宅地図、目標物、河川、線路、家枠、地名、駅、住所文字列などの地図データと、地物のそれぞれの名称と、一意に判別可能な識別子が予め格納されている。全ての地物は座標を保持しており、任意の範囲内の地物の一覧を取得できるようになっている。
広告料一覧格納データベース14には、地図データベース13に格納されている地物の一意なIDとリンク付けされており、ひとつの地物に対して、0個以上のリンクが格納されている。同様に、フィードバック値格納データベース6も、地図データベース3に格納されている地物の一意な識別子とリンク付けされており、ひとつの地物に対して、0個以上のリンクが予め格納されている。
【0015】
道案内画面出力手段17では、目標物抽出手段12により抽出された情報を元に図2の初期画面、および図3の道案内画面、図4の最終目的地到着画面を作成する。
図2では図7の出力情報706が現在地201に設定される。
また、図3では、図7の出力情報705が目標物情報302に、現在地情報706が301にそれぞれ設定されたHTML画面を作成し、また図4のように、利用者が入力した最終目的地の情報を設定したHTML画面を、端末部2にネットワーク3を経由して送信する。
【0016】
フィードバック処理手段15では、道案内の状況を現在地と最終目的地へのルート上に存在する経由地の位置情報を比較し、利用者がスムーズに経由地や目的地まで到達できたかを分析し、フィードバック値格納データベース16に格納された現在のフィードバック値を「+1」または「−1」する。
フィードバック値格納データベース16は、図6に示す構造でデータを保持している。
また、レポート取得手段18は、広告料一覧格納データベース14の内容を元に広告料を支払った企業ごとにフィードバック値をランキング形式で取得するための手段である。
フィードバック値は、企業が保有する店舗などが、歩行者にとって目立つかどうかを判断する材料として使用するものである。
また、レポート出力部9は、レポート取得手段18で取得したレポートを表示するものである。
【0017】
図2は、端末部2の初期画面例である。
図2では、現在地を表す表示201と、目的地を入力するテキストエリア202と、道案内を開始するボタン203と、操作を終了するボタン204が配置される。この画面はホスト部1の道案内画面出力手段7によって作成され、端末部2がホスト部1にネットワーク3経由で接続することによりHTML画面データを取得し、端末部2のウェブブラウザ24の表示手段26で表示するものである。図9のフローチャートフローではステップ905に該当する。
【0018】
現在位置は、GPS(Global Positioning System)から取得した座標を元に、もっとも近い目標物を図1の目標物抽出手段12が抽出する。
目的地を入力するテキストエリア202は、操作者がテキストを入力することにより設定を行う。入力可能な文字列として、住所、目標物名称を入力する。
道案内を開始するボタン203の押下を受け付けると道案内を開始し、図3の画面に移行する。終了ボタン204の押下を受け付けると、道案内を終了し、図7のリンク元の情報(702)にURLがある場合、そのURLに戻る。
【0019】
テキストエリア202で入力された目標物名称、および住所が見つからなかった場合、再度、利用者に目標物名称、住所の入力を促す。また、入力された目標物名称が複数存在する場合、フィードバック値格納データベース16の情報から現在地との距離が近く、優先度が高いものを選択する。
GPSから現在地が取得できなかった場合、現在地を設定するテキストエリアを表示して、利用者に現在位置の入力を促す。
【0020】
図3は、表示手段26に表示される道案内の画面表示例である。
現在位置「札幌駅西通り北口」301と、最終目的地への経由地「○○銀行」302、別の経由地を表示するためのボタン303と、本システムの道案内を終了するボタン304を有するHTML形式のページである。
この画面はホスト部1の道案内画面出力手段17によって作成され、端末部2がホスト部1に接続することによりHTML画面データを取得し、端末部2側のウェブブラウザ24の表示手段26で表示するものである。図9のステップ911に該当する。
【0021】
現在位置301は、図7の現在地情報(706)に該当する情報を表示する。経由地302は図7の目的物情報(705)に該当する。
道案内の文章は、目標物抽出手段12を用いて抽出した目標物を予めシステム内に埋め込まれた定型句の中に埋め込み表示を行う。定型句は「〜から〜に向かってください」である。
301と302の目標物は、ハイパーリンクが施されており、システムが押下を受け付けることにより、特定のウェブサイトへ移動する。リンク先は図7の目標物情報705と、現在地情報706に格納されており、図5で示した広告料金を支払っている企業のホームページなどが表示される。ただし、ハイパーリンクが付加されるものは、図5で示した広告料金を支払っている企業だけではなく、目標物概観の画像を表示するリンクを設定することができる。また、道案内が長距離に渡る場合には、例えば「品川駅から横浜駅に向かってください」と、現在地と経由地に駅名を表示する。そのとき、ハイパーリンクは列車の運行情報を提供するホームページへとリンクを行う。
【0022】
図4は、目的地に到着したとき表示手段26に表示される画面例である。
図4の画面は最終目的地401と終了ボタン402から構成されるHTMLページである。この画面はホスト部1の道案内画面出力手段17によって作成され、端末部2がホスト部1に接続することによりHTML画面データを取得し、端末部2のウェブブラウザ24で表示するものである。図9のフローチャートでは、ステップ907に該当する。
終了ボタン402の押下を受け付けると、本システムを終了し、図7のリンク元の情報(702)にURLがある場合、そのURLに戻る。
【0023】
広告料一覧データベース14には、図5に示すように、地図データベース13内に格納された地物の一意な識別子501と、広告料502が格納されている。広告料を支払った場合、その地物は優先的に抽出される。全ての地物に対してデータがあるわけではなく、実際に広告料が支払われた地物に対してのみデータが存在する。
501の地物の一意な識別子は、システム内で一意に区別することができ、レイヤー名称とレイヤー内の整数で表現することができる。また、502は広告料の金額で単位は万である。広告料が高い地物の場合、502の金額は高くなる。
また、広告料一覧格納データベース14のデータは、本システムが稼動中であっても広告料の変更、削除、追加を行うことができる。
【0024】
一方、フィードバック値格納データベース16は、図6に示すように地図データベース3内に格納された地物の一意な識別子601と、目標物リンク元の情報、例えば、インターネットのURL(Uniform Resource Locator)602と、目標物抽出命令を出した時間帯603と、利用者が分かり易い目標物だったかどうかを数値化したフィードバック値604と、以前に抽出された抽出回数605が格納される。
リンク元の情報602は、本システムの利用元のホームページのURLが格納される。また、このリンク元602は、図7の入力情報であるリンク元(702)に該当する。本システムは、他のインターネットのサイトを介することができるためリンク元に格納されるURLは、例えば、飲食店店舗のホームページのURLや、グルメ情報提供サイトのURL、不動産情報提供サイトのURL、あるいは高齢者向けナビゲーションサイトのURLなどがあげられる。グルメ情報提供サイトの場合、サイト上に紹介された店舗の地図表示画面があり、この地図表示画面に示された店舗の位置情報を最終目的地として本システムに入力することにより、図2の202による最終目的地の入力を省略して、本システムを直接呼び出すことができる。
この場合、図7の入力情報には、抽出を行う地点の緯度経度(701)を携帯電話機22から取得したGPS情報による現在位置の情報、リンク元の情報(702)はグルメ情報提供サイトのURL、最終目的地(703)はグルメ情報提供サイト上に掲載されている店舗の位置情報が入力情報として本システムに渡され、図3の道案内開始画面を表示する。
【0025】
フィードバック値は、利用状況から目標物がわかり易いかどうかの指標を示すものであり、目的地に近づいている場合は「わかりやすい目標物」である看做し、フィードバック値604に1加算し、目的地から遠のいている場合は「わかりにくい目標物」であると看做し、フィードバック値604を「−1」する。全ての地物に対してデータがあるわけではなく、実際に一度でも目標物として抽出されたものに対してのみデータが存在する。フィードバック値格納データベース16に格納されたフィードバック値は、目標物の抽出ごとに更新(+1、または−1)される。
【0026】
また、リンク元602、時間帯603がそれぞれ異なる場合、フィードバック値604も別々に格納される。この理由として、本実施形態の目標物抽出装置に取得命令を出したリンク元により利用者の性別・年代の絞込みが可能であるためである。例えば、リンク元がグルメ情報提供サイトである場合、大半の利用者は20代から30代の女性であると仮定することができ、また、高齢者向けナビゲーションサイトである場合、利用者の大半は高齢者と仮定することができる。そのため本仕組みを利用すると、リンク元602によって利用者傾向が異なるため、利用者傾向に合わせてフィードバック値を設定することが可能となる。
また、時間帯603は、時間帯ごとのフィードバック値を設定できる。例えば、24時間営業ではない飲食店がある場合、閉店時間中には分かり難い目標物となり、開店時間中は分かり易い目標物となり得る。これにより、時間帯によってより分かり易い目標物を抽出することができる。
【0027】
図7は、本実施形態の道案内システムの入出力情報の一例である。
入力情報として、目標物を抽出する地点の座標値、例えば、緯度経度などのデータ701と、リンク元の情報702と、最終目的地703とから構成される。
目標物を抽出する地点の座標値701は、GPS情報から取得した利用者の携帯電話機の現在位置に該当する。また、リンク元の情報702は、本システムを外部のサイトを介して利用している場合、外部のサイトのURLを格納する。例えば、図6のリンク元602に該当する。また、最終目的地は道案内を行う最終目的地が格納される。最終目的地の情報は、図2の202から利用者が直接、名称や住所を格納する場合と、外部サイトを経由した場合は、外部サイトが紹介している位置情報が格納される場合の両方に対応できる。
【0028】
一方、出力情報は、地物の一意な識別子704と目標物の名称705、現在地情報706から構成される。
目標物の名称705は、経由地、または最終目的地を示し、図3の道案内画面において302の経由地に該当し、地図データベース13内に識別子ごとに格納された名称と、その現在位置を紹介する企業のインターネットのURLや、写真、動画などである。現在地情報706は、GPS情報から得られた位置情報を元に抽出された目標物の名称と、その目標物を紹介する企業のインターネットのURLや、写真、動画などである。現在地情報706は図3の道案内画面において301の現在地に該当し、地図データベース13内に識別子ごとに格納された名称を使用する。
【0029】
図8は、道案内の開始から終了までの端末部2側の処理を示すフローチャートである。
ステップ801では、利用者携帯電話機22のウェブブラウザ24にリンク元のホームページが表示されているとする。
本システムは、別のホームページなどから呼び出される。このホームページの情報は、図6のリンク元の情報602に相当し、本システムに送信される。現在表示中のホームページから道案内の要求を本システムが受け付けたとき、ステップ802に移行する。
ステップ802では、位置検出手段23を用いて、利用者の位置情報を取得し、ホスト部1側の受信手段11にネットワーク3を経由して送信する。
【0030】
ホスト部1側では、利用者の位置情報を元に図2の初期画面を生成する。
初期画面はHTML画面として作成され、ネットワーク3を経由し、利用者携帯電話機22の通信手段21に送信し、ウェブブラウザ24の表示手段26によって図2の形式で利用者の携帯電話機画面に表示する。
ステップ803では、利用者の最終目的地の入力を入力手段25により受け付ける。そして、道案内開始ボタン203の押下を受け付けた時、ステップ804に進み、現在地の情報701と最終目的地の情報703、リンク元の情報702をホスト部1側の受信手段11に送信する。
【0031】
ホスト部1側では、端末部2から送信された情報を元に、図3の道案内画面を生成し、ネットワーク3を経由し、利用者携帯電話機22の通信手段21に送信し、ウェブブラウザ24の表示手段26によって図2の形式で利用者の携帯電話機画面に表示する(ステップ805)。
ホスト部1側から送信されたHTML画面が図3の道案内画面の場合、ステップ806を経由し、ステップ804に戻る。ホスト部1側から送信されたHTML画面が図4の最終目的地到着画面であった場合、道案内を終了する(ステップ807)。
【0032】
図9は、ホスト部1側の道案内の処理を示すフローチャートである。
端末部2から目標物を抽出する地点の座標701と、リンク元の情報702と、最終目的地の名称、または住所703を受信し、道案内文章の作成と表示を行う。
ステップ902では、端末部2から送信された情報を受信手段11により取得する。
続いて、ステップ903で、受信した最終目的地の情報が空かどうかを判別する。最終目的地が空であった場合、ステップ904で目標物抽出手段12により、現在地の座標から目標物を抽出する。抽出した目標物を元に、ステップ905で図2の初期画面を道案内画面出力手段17で作成する。作成されたHTML画面データはネットワーク3を経由し、利用者の携帯電話機22のウェブブラウザ24により表示手段26で表示される。
【0033】
ステップ903において、最終目的地の情報が既に入力されている場合、ステップ906で現在地の位置と最終目的地の位置の2点を用いて最短距離を算出し、距離が10m以内であるかどうかの判定を行う。10mは例であり、設定により変更可能とする。現在地の位置と最終目的地の位置の距離が10m以内の場合、「同じ地点」と判断し、ステップ907の処理を行う。
ステップ907では、道案内画面出力手段17で図4の最終目的地到着画面を作成する。その際、401を最終目的地の名称としたHTML画面を作成し、その作成したHTMLデータをネットワーク3経由で利用者の携帯電話機に送信する。これにより、最終目的地到着画面がウェブブラウザ24により表示手段26で表示される。
【0034】
ステップ906において、現在地の位置と最終目的地の位置の距離が10m以上の場合、ステップ908へ移行する。ステップ908では、直前に出力した図3の道案内画面のときよりも、現在地が最終目的地に近づいているかを現在地の位置と最終目的地の位置の2点間の距離を計算することにより、比較する。
前回、道案内画面を出力したときよりも、現在地と最終目的地の距離が小さい場合、ステップ910へ移行し、前回、道案内画面を出力したときよりも、現在地と最終目的地の距離が変わらないか、大きくなっている場合、ステップ909に移行する。
【0035】
ここで、初回に図3の道案内画面を表示したときは、フィードバックを行うステップ909、910は実行せず、ステップ911に進む。また、「直前の道案内画面」とは、利用者ごとの直前の道案内画面のことを示す。
ステップ909では、図3で提示した経由地となる目標物がわかり難かったため、利用者がルートとは異なる道に進んでしまったことが示される。従って、直前の目標物が「わかりにくい目標物」としてフィードバックする。フィードバックは、フィードバック処理手段15で行われ、図6のフィードバック値格納DB16に格納されたフィードバック値に対して実施する。具体的には、図6の601で該当する目標物を検索し、そのレコードのフィードバック値604を1減算する。
【0036】
一方、ステップ910では、現在地と最終目的地の距離が小さくなっていることから、経由地である目標物が「わかりやすい目標物」としてフィードバックする。フィードバックは、フィードバック処理手段15で行われ、図6のフィードバック値格納DB16に格納されたデータに対して実施する。具体的には図6の601で該当する目標物を検索し、そのレコードのフィードバック値604を1加算する。
【0037】
ステップ911では、目標物抽出手段12を用いて、現在地の目標物(経由地)の抽出と、次の目標物の抽出を行う。ステップ911で取得した次の目標物(経由地)と現在地の目標物を元に、ステップ912で図3の道案内画面を道案内画面出力手段17でHTML画面を作成する。また、ここでは、次の目標物(経由地)として、抽出された情報をホスト部1の内部メモリまたは外部メモリに保持しておき、次回のフィードバックで利用する。
作成されたHTML画面データはネットワーク3を経由し、利用者の携帯電話機22のウェブブラウザ24により表示手段26で表示される。
【0038】
図10は、本実施形態の道案内システムにおける処理の概要を示すフローチャートであり、図7に示すように、抽出を行う地点の緯度経度と、リンク元の情報(URL)を取得する。
続いて、取得した抽出を行う地点の緯度経度という位置情報から半径100m以内の領域の全ての地物の検索を地図データベース13から取得し、取得した地物のデータを周辺地物一覧として内部メモリに保持する(ステップ1001)。このとき、抽出地点の緯度経度から半径100m以内とあるのは、一例であり、半径は任意に設定可能である。また、周辺地物一覧には、地物の一意な識別子と、地物の名称、地物の図形情報を保持する。
【0039】
次に、取得した周辺地物一覧を元に、広告料一覧データベース14から周辺地物一覧に格納されている地物が持つ一意な識別子をキーとして対象のデータの検索を行う(ステップ1002)。このとき、広告料一覧データベース14からは、それぞれの地物に対する広告料を取得する。
次に、広告料の対象となった地物がひとつでも存在するかどうかの判定を行う(ステップ1003)。
【0040】
広告料の対象となった地物が周辺地物一覧に含まれていない場合は、周辺地物一覧に含まれる地物がもつ一意な識別子をキーとして、フィードバック値格納データベース16から図6に示すようにリンク元の情報(URL)602、時間帯603、フィードバック値604、抽出回数605を取得する(ステップ1004)。このとき、フィードバック値格納データベース16からの検索条件として、地物の一意な識別子が一致していることと、リンク元の情報(URL)とステップ1001で取得した図7の入力情報のリンク元の情報702と一致していることと、現在の時間が時間帯603の情報と一致していた場合に、フィードバック値604を取得する。この条件で一件も対象が存在しなかった場合は、再び、フィードバック値格納データベース16から、今度は、抽出元の情報602と、時間帯603を検索条件には含めずに検索を行う。以上より、周辺地物一覧に保持された各地物のフィードバック値を取得する。
【0041】
次に、周辺地物一覧に含まれる地物の優先度を算出し、優先度の高い順にソートを行う(ステップ1005)。このとき、優先度を求める式の一例として、以下のような算出式がある。
優先度=経路からの距離比×広告料係数×地物の大きさ比×フィードバック係数
経路からの距離比とは、現在地から目的地に向かう際の経路と地物の距離を示す係数である。経路からの距離が近ければ近いほど優先度が高くなる。
広告料係数とは、広告料の大小を示す係数であり、広告料が高いものほど大きな値となる。広告料係数は1以上の小数値を有する。
【0042】
また、地物の大きさ比とは、対象となる地物の面積、高さと周辺地物一覧に保持された地物の面積、高さの総和との比率である。従って、地物の面積と高さが大きいものほど、優先度は高くなるような比率であり、目標物取得処理の度に計算する。
フィードバック係数とは、ステップ1004で取得したフィードバック値である。フィードバック値が高ければ高い程、フィードバック係数も大きな値となる。フィードバック係数は、1.0から2.0までの小数値を有する。
上記より得られた優先度を周辺地物一覧内の地物にそれぞれ設定し、一覧の並び順を優先度の高い順にソートする。
【0043】
次に、周辺地物一覧に重複した地物が存在するか調べる(ステップ1006)。例えば、周辺地物一覧内に「XXXコンビニアンスストア北1条店」と、「XXXコンビニアンスストア駅前店」のような2つの同一の地物が存在する場合、これら2つの地物を周辺地物一覧から削除する(ステップ1007)。
これは、図11のように目標物の抽出を行う中心座標1101と、同一の地物を表す1102と1103があげられる。
【0044】
図11において、破線1104が道案内ルートである場合、目標物1103は、ルート上にある分かり易い目標物であるとしても、XXXコンビニアンスストアは、抽出点(現在地)から見て、2つあるため、目標物としては不適切である。除外処理は、抽出された地物の一覧をリストとして読み込み、同じ名称をリストから探索し、同じ名称の地物がある場合、リストから除外する手順で行う。この場合は、優先度によらず目標物から除外する(ステップ1007)。
最終的に、周辺地物一覧リスト内の地物数の判定を行い(ステップ1008)、最も優先度が高いものが、図7に示す出力情報として、地物の一意な識別子704と目標物情報705、現在位置情報706が返却される。
また、ステップ1008で地物が1つも見つからなかった場合は、例外として住所、または、地名を目標物として返却する。これにより、「からに向かってください。」という表現を避け、例えば「八幡から寒別に向かってください。」という地名表現を用いる。
ステップ1009では、最終的に取得した目標物を呼び出し元に返却する。このとき、抽出された目標物のIDを元に、図6のから同一のIDを取得し、図6の抽出回数605を1加算する。
【0045】
図12は、広告料金を支払った広告主へ提出するレポートの一例である。
レポートはランキング1201と、名称1202と、フィードバック値1203と、抽出回数1204から構成され、広告主が広告料を出した全ての地物に対して、フィードバック値でソートした表である。
図12では、ランキングの上位から最下位まで全てのフィードバック値1203と抽出回数1204が表示される。例えば、レストランの場合、広告主に対してどの店舗を何回抽出したかを提示するという目的のほかに、利用者、つまり、通行人がどの店舗が見つけ易いのか、また、どの店舗が見つけ難いのかを広告主に提示することができる。このレポート結果により広告主は、分かり難いとされた店舗に対して、より目立つようにするための工夫をすることが可能であり、営業戦略のひとつとして使用することも可能となる。
【0046】
このレポートは、全てフィードバック値格納データベース14に格納されたレコードに対して集計を行った結果である。また、地物の名称については、元の地物の一意な識別子501をキーとして、地図データベース13から取得した名称を使用する。
広告主は、レポート出力部19にネットワーク3経由でアクセスすることにより、常時、取得することができる。レポートは、レポート取得手段18によって広告主からのアクセスがある度に、その都度生成される。
【0047】
以上のように本実施形態の道案内システムによれば、地図データベースに登録された全ての地物を道案内の目標物としているので、都市部であっても都市部以外であっても分かり易い道案内を行うことができる。
また、目標物を提示する度に、た分かり易い目標物だったかをフィードバックし、次回の目標物抽出処理時にフィードバック値の大きな目標物を提示することにより、多くの利用者に分かり易い目標物を提示し、道案内を行うことができる。
また、広告料を支払っている目標物を優先的に抽出し、道案内をすることができる。
なお、上記実施形態において、道案内は文章のみで表示しているが、必要に応じて地図を表示するようにすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ホスト部
2 端末部
11 受信手段
12 目標物抽出手段
13 地図データベース
14 広告料一覧格納データベース
15 フィードバック処理手段
16 フィードバック値格納データベース
17 道案内画面出力手段
18 レポート取得手段
19 レポート出力部
21 通信手段
22 利用者携帯電話機
23 位置検出手段
24 ウェブブラウザ
25 入力手段
26 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにより接続されたホストと利用者が携帯する携帯端末とから構成され、前記携帯端末から受信した現在地と目的地の情報に基づき、目的地に至る経路を案内する道案内システムであって、
前記携帯端末が、
現在地と目的地の情報を前記ホストに送信し、ホストから目的地に至る経路の道案内画面を受信し、表示する手段を備え、
前記ホストが、
前記携帯端末から現在地と目的地の情報を受信し、現在地周辺で目的地に至る経路上に存在する複数の目標物を地図データベースから抽出し、その目標物のうち広告料データベースに格納された広告料金、分かり易さの指標データベースに格納された分かり易さの指標を優先度として、優先度が高い目標物を選択し、当該目標物を指し示す道案内文を送信する目標物抽出手段と、
前記地図データベースに登録された目標物のうち任意の目標物に対して支払われた広告料金を格納した広告料データベースと、
前記携帯端末に対し道案内のための目標物を提示したとき前記携帯端末を携帯している利用者が目的地に近づいているか否かによって当該目標物の分かり易さの指標を更新する指標更新手段とを備えることを特徴とする道案内システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−256106(P2010−256106A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104775(P2009−104775)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】