説明

道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法およびデータ再生用プログラム

【課題】文字情報などの受信コンテンツデータを安全運転上好ましい形で出力制御すること。
【解決手段】道路側に設置された路側無線装置100と、車両に搭載され路側無線装置100の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器200と、を備えた道路通信システムであって、車載器200の制御部は、車載器200を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置100から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法およびデータ再生用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された地図画像表示装置において、文字名称が重なった場合に実際の走行状況に適した情報を表示する技術が開示されている(特許文献1参照)。この技術によると、表示画像毎にインターチェンジ名、SA/PA名、道路名称、建物名称などの文字情報が、地図画像データ上に重複して表示することが困難である場合に、実際の走行状況に合わせてどちらか一方を適切に表示することができる。また、音声データとテキストデータを同時に受信し、音声データを受信できない場合は、テキストデータを音声合成によって出力する技術が知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−192953号公報
【特許文献2】特開2005−135015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1で開示されている技術は、重複表示が困難な場合に有益であるが、安全運転上の視点についてはまったく考慮されていない。そのため、運転者は選択されたこの文字情報を最後まで読むために地図画像表示装置のディスプレイを注視しなければならず、安全運転上好ましいものとはいえない。また、情報通信技術を用いて人と道路と車両とを関連付けて、交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に新しい交通システムであるITS(Inteligent Transport System:以下単に「ITS」とする)が、日本において構築されつつある。このITSで使用される地図画像表示装置においては文字情報の他、画像情報や音声情報などが組み合わされて運転者に提供されるため、安全運転上好ましい情報提供技術が求められている。このような安全運転上の要請に対して特許文献2で開示されている技術は、単にテキストデータを音声合成で出力するのみであり、十分に備えているとは言えない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するべく、文字情報などの受信コンテンツデータを安全運転上好ましい形で出力制御をする道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
【0007】
すなわち、本発明は、道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、車載器の制御部は、車載器を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御することを特徴とする。
【0008】
更に他の本発明は、道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、車載器の制御部は、車載器を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、文字情報の文字数が所定数以上である場合に文字情報を所定数まで表示すると共に音声合成情報はすべて再生するように制御することを特徴とする。
【0009】
更に他の本発明は、道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、車載器の制御部は、車載器を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、各コンテンツの情報量から出力するか否かを判定する制御および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを判定する制御を行なうことを特徴とする。
【0010】
更に他の本発明は、上述した発明に加え、路側無線装置に対して複数の受信コンテンツデータを提供する情報提供サーバとを更に有し、路側無線装置は記憶部、制御部および通信部を有し、車載器は、記憶部、通信部および再生部を有し、路側無線装置の制御部は、情報提供サーバから送信された複数の受信コンテンツデータを路側無線装置の記憶部に記録する手段と、路側無線装置の記憶部に記録された受信コンテンツデータを所定のパケット単位に分割する手段と、受信コンテンツデータを分割したデータにヘッダ情報を付与する手段と、を備え、路側無線装置の通信部は、ヘッダ情報を付与した分割データを複数回送信する手段と、を備え、車載器の制御部は、ヘッダ情報に基づいて分割データを受信コンテンツデータとして再構成する手段と、受信コンテンツデータの再生処理をする手段と、車載器を搭載した車両が走行中であるか否かを検出できる手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
更に他の本発明は、出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に搭載可能な通信端末であって、制御部は、通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御することを特徴とする。
【0012】
更に他の本発明は、出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に搭載可能な通信端末であって、制御部は、通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、文字情報の文字数が所定数以上である場合に文字情報を所定数まで表示すると共に音声合成情報すべて再生するように制御することを特徴とする。
【0013】
更に他の本発明は、出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に接続可能な通信端末であって、制御部は、通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、各コンテンツの情報量から出力するか否かの判定および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを判定する制御を行なうことを特徴とする。
【0014】
更に他の本発明は、上述した発明に加え、通信端末の制御部は、車両の車速により各判定の基準を変化させることを特徴とする。
【0015】
更に他の本発明は、出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に接続可能な通信端末であって、制御部は、通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ路側無線装置から複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、各受信コンテンツデータの情報量を比較し、情報量の小さい受信コンテンツデータを出力し、情報量の大きい受信コンテンツデータを出力しないように制御することを特徴とする。
【0016】
更に他の本発明は、上述した発明に加え、通信端末の制御部は、複数の受信コンテンツデータが所定の情報量以上である場合に、リアモニタや助手席に設置されている車載器の表示部またはその他の装置の表示部に出力するように制御することを特徴とする。
【0017】
更に他の本発明は、上述した発明に加え、受信コンテンツデータを分割したデータに付与されたヘッダ情報に基づいて分割データを受信コンテンツデータとして再構成する手段と、受信コンテンツデータの再生処理をする手段と、搭載された車両が走行中であるか否かを検出できる手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
更に他の本発明は、上述した発明に加え、通信端末は、車両に搭載されているナビゲータ装置を兼ねており、道路の路側に配置されている路側無線装置と情報を送受信して、その情報を再生する発話型の狭域通信機器であることを特徴とする。
【0019】
更に他の本発明は、出力表示を制御する制御部および出力表示を行なう情報を記憶する記憶部を有する通信端末に用いられるデータ再生制御方法であって、データ再生制御方法は、受信したパケット情報を記憶部に記録するステップと、パケット情報のヘッダ情報に基づいて一つの受信コンテンツデータとして再構成するステップと、通信端末を搭載した車両が走行中であるか検出するステップと、検出ステップにより車両が走行中であると判定した場合において、下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数のステップ、(A)受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御するステップ、(B)受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、文字情報の文字数が所定数以上である場合に文字情報を所定数まで表示すると共に音声合成情報はすべて再生するように制御するステップ、(C)複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、各コンテンツの情報量から出力するか否かを判定する制御および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを判定する制御を行なうステップ、(D)各受信コンテンツデータの情報量を比較し、情報量の小さい受信コンテンツデータを出力し、情報量の大きい受信コンテンツデータを出力しないように制御するステップ、(A)〜(D)いずれかひとつまたは複数の制御ステップに基づいて一つの受信コンテンツデータの出力処理をするステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
更に他の本発明は、出力表示を制御する制御部および出力表示を行なう情報を記憶する記憶部を有する通信端末としてコンピュータを機能させるプログラムであって、プログラムは、受信した分割データを記憶部に記録する手段、受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成する手段、通信端末を搭載した車両が走行中であるか検出する手段、検出手段により車両が走行中であると判定した場合において、下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数の手段、(A)路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御する手段、(B)路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、文字情報の文字数が所定数以上である場合に文字情報を所定数まで表示すると共に音声合成情報はすべて再生するように制御する手段、(C)路側無線装置から複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、各コンテンツの情報量から出力するか否かを判定する制御および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを制御を行なう手段、(D)各受信コンテンツデータの情報量を比較し、情報量の小さい受信コンテンツデータを出力し、情報量の大きい受信コンテンツデータを出力しないように制御する手段、(A)〜(D)いずれかひとつの制御手段に基づいて特定の情報の出力処理をする手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、文字情報などのコンテンツ情報を安全運転上好ましい形で出力制御をする道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法ならびにプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について道路通信システムを例に説明する。この道路通信システムは、図1に示すように、道路、駐車場など車両が通行する場所の近傍に設置された路側無線装置100と、車両に搭載され、路側無線装置100との間で狭域通信をおこない、運転者等に送信すべき交通情報、安全運転支援情報ならびに商業情報を提供する車載器(通信端末)200と、路側無線装置100に対して上記交通情報や商業情報等の情報を供給する情報提供サーバ300と、から構成される。
【0023】
図1に示す各路側無線装置100は、いわゆる電波ビーコン(beacon)や光ビーコンを利用して、指向性のある特定の通信エリア内で高速道路等を走行する車両に搭載された車載器200と狭域通信を行なう。各路側無線装置100は、送信対象のコンテンツ情報および再生制御データ(以下、コンテンツ情報および再生制御データを併せて受信コンテンツデータという)を情報提供サーバ300から受信して、記憶する。
【0024】
(ハードウェアの機能別全体構成)
図2は、この道路通信システムの機能別構成を示す図である。路側に設置された路側無線装置100は、情報提供サーバ300から提供される複数の受信コンテンツデータを、順次通信エリア内を通過する車両に搭載されている車載器200に対して同報通信する。
【0025】
路側無線装置100は、車載器200に順次受信コンテンツデータを同報通信するために、データ更新部101、サイクリック部102、分割送信部103および通信部104を備えている。
【0026】
データ更新部101は、情報提供サーバ300から提供される複数の受信コンテンツデータLを路側無線装置100が保有する受信コンテンツデータリストに追加・更新する機能である。たとえば、情報提供サーバ300から複数のコンテンツ更新データI1〜Inの提供があると、現在提供している受信コンテンツデータリストLと比較して更新すべき受信コンテンツデータの有無を確認する。そして、当該受信コンテンツデータが存在しない場合および当該コンテンツ更新データに更新するべき場合にはそれらの受信コンテンツデータを追加・更新処理を行なう。
【0027】
サイクリック部102は、路側無線装置100の保有している受信コンテンツデータリストLから送信するべき受信コンテンツデータを選択して分割送信部103に通知する機能である。たとえば、路側無線装置100の保有している受信コンテンツデータリストLに受信コンテンツデータN1〜Nnがあるとする。サイクリック部102は、これらの受信コンテンツデータから受信コンテンツデータN1を送信するべき受信コンテンツデータとして選択し、分割送信部103へ通知する。原則としてサイクリック部102は、受信コンテンツデータリストLの保有する受信コンテンツデータN1〜Nnを先頭からシーケンシャルに処理する。
【0028】
分割送信部103は、サイクリック部102から通知された受信コンテンツデータを所定単位に分割した分割データを作成する。そして、分割送信部103は、この分割データのヘッダ情報に分割ヘッダ情報を新たに付加し、特定の通信エリア内へ同報通信を行なうための送信データを作成する。たとえば、分割送信部103は、サイクリック部102により選択された受信コンテンツデータN1を分割データM1〜M3として分割し、それぞれの分割データのヘッダ情報に分割ヘッダ情報H1〜H3を追加する。その後、通信部104は、分割ヘッダ情報が付加された分割データを順番に無線信号や光信号に変換して送信する。
【0029】
車載器200は、通信部201、分割データ組立部202、同時再生等制御部203、動画再生部204、音声情報再生部205および文字情報表示部206を備える。
【0030】
通信処理部201は、車載器200から送信された分割データを受信する機能を備える。分割データ組立部202は、順次、通信部201によって受信した分割データM1〜M3に付加されている分割ヘッダ情報H1〜H3にもとづいて、もとの受信コンテンツデータN1として再構成する機能を備える。同時再生等制御部203は、受信した受信コンテンツデータN1〜Nnを同時に再生すべきか否か、位置情報等により再生するべき情報か否かなどの再生条件の判定を行なう機能を備える。動画再生部204,音声情報再生部205,及び文字情報表示部206は、同時再生等制御部203の判定結果にもとづき、運転者に対して適宜情報提供を行なう。
【0031】
(各装置のハードウェア構成と各部の動作)
まず、路側無線装置100のハードウェア構成を説明する。路側無線装置100のハードウェアは、図3に示すように上述した無線通信部104に加え、通信制御部111、記憶装置112、制御部113、ROM(Read Only Memory)114、RAM(Randam Access Memory)115、およびシステムバス116から構成される。
【0032】
無線通信部104は、電波信号、光信号等の無線信号により通過車両に設置された車載器200との間で情報を交信する。無線通信部104は、たとえば情報提供サーバ300より提供された交通情報等を車載器200へ送信する。また、無線通信部104は、車載器200から送信されてくる車両ID等の情報を取得する。
【0033】
通信制御部111は、情報提供サーバ300から送信される受信コンテンツデータを受信する。また、通信制御部111は、取得した交通情報等を情報提供サーバ300に提供する。また、通信制御部111は、狭域通信(Dedicated Short Range Communication:以下「DSRC」という)の通信方式に則って、データ更新機能、サイクリック機能、分割送信機能を備える。
【0034】
記憶装置112は、情報提供サーバ300から受信した交通情報等や、自装置固有の交通情報等を格納する。
【0035】
制御部113は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサから構成され、路側無線装置100全体の動作を制御する。特に、制御部113は、記憶装置112に格納されている交通情報等を、無線通信部104から送信し、無線通信部104を介して取得した情報を記憶装置112に格納する。また、制御部113は、記憶装置112に格納されている自機が取得した交通情報等を、通信制御部111及びITS通信網NW2を介して情報提供サーバ300に送信し、情報提供サーバ300から通信制御部111を介して取得した情報を記憶装置112に格納する。
【0036】
ROM114は、この路側無線装置100全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や各種のデータを記憶する。RAM115は、制御部113のワークエリア(演算処理用領域)として機能する。システムバス116は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0037】
続いて車載器200のハードウェア構成と各部の動作について主に図4を参照しながら説明する。図1に示す車載器200は、各車両に搭載され、たとえばカーナビゲーション装置と一体に構成される。車載器200は、一般的なカーナビゲーションの機能と共に路側無線装置100から送信された交通情報をはじめとした様々な情報を通知する機能を備える。
【0038】
車載器200は、図4に示すように通信処理部211、音声処理部212、表示部213、操作部214、I/O(Input/Output)装置215、記憶装置216、制御部217、ROM218、RAM219、およびシステムバス220から構成される。
【0039】
通信処理部211は、上述した通信部201と分割データ組立部202の各機能等を含むもので、GPS(Global Positioning System)モジュール211a、DSRCモジュール211bを含む。
【0040】
GPSモジュール211aは、複数のGPS衛星からのGPS電波をアンテナ221で受信し、制御部217に供給する。
【0041】
DSRCモジュール211bは、路側無線装置100との間でアンテナ211を介してDSRC方式により通信を行なう。DSRCモジュール211bは、上述した分割データ組立部202の機能を実行するもので、具体的には、分割送信されたデータを組み立てて再構成した上でデータ処理を行なう。
【0042】
音声処理部212は、制御部217から入力されたディジタルオーディオ信号をD/Aコンバータ(図示せず)でアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ222に出力する。また、音声処理部212は、マイクロフォン223から入力された音声をA/Dコンバータ(図示せず)でディジタルオーディオ信号に変換して、制御部217に入力する。これにより、ユーザはナビゲーション音声を聞いたり、音声を入力したりすることができる。
【0043】
表示部213は、モニタ装置を備え、通信処理部211により取得されたナビゲーション画像やTV画像、あるいは記憶装置216等に予め記憶されたマップ画像などを表示する。
【0044】
操作部214は、タッチパネル式入力装置などから構成され、ユーザによる指示入力に基づいて指示入力信号を生成して、制御部217に入力する。
【0045】
I/O装置215は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk−Read Only Memory)ドライブを含み、所定の地図情報などを納めたDVD−ROMやCD−ROMからデータを読み出して制御部217に入力する。また、I/O装置215は、速度センサ、走行距離センサ、方位センサ等のセンサ群225の検出信号を入力し、制御部217に供給する。
【0046】
記憶装置216は、HDD(Hard Disk Drive)を含み、所定の地図情報(マップデータ)や各種設定情報などを記憶する。なお、記憶装置216は、メモリカードなどの他のメモリを備えていてもよい。
【0047】
制御部217は、地図情報を記憶したDVD−ROM等の記憶媒体から随時この地図情報を読み出してもよいし、記録媒体から予めこの地図情報を読み出して記憶装置216に書き込んでおく(インストールしておく)ようにしてもよい。制御部217は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、車載器200全体の動作を制御する。例えば、制御部217は、GPSモジュール211aを介して受信したGPS信号に基づいて、自機の現在位置を判別する。また、制御部217は、センサ群225に含まれている方向センサの出力をI/O装置215を介して取り込み、現在の車両の進行方向を判別する。また、制御部217は、距離センサの出力から走行距離を求める。また、制御部217は、DSRCモジュール211bを介して路側無線装置100からの交通情報等を受信し、受信した交通情報等に含まれている再生タイミング制御データ(パラメータ)に基づいて、これを再生する。なお、制御部217は、コプロセッサ等を備えても良い。
【0048】
ROM218には、車載器200全体の動作制御に必要なOSのプログラムや各種のデータが記録される。RAM219は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、通信処理部211により取得されたデータ、DVD−ROMから読み出したデータ等が保持される。また、制御部217は、RAM219をワークメモリ(演算処理用領域)として使用する。システムバス220は、上記各部を相互に接続し、命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0049】
車載器200は、機能的には、次のようにも分けることができる。すなわち図5に示すようにデータ取得部251と、再生条件判別部252と、データ再生部253と、自己位置検出部254と、位置一致判別部255と、進行方向検出部256と、方向一致判別部257と、受信コンテンツデータ判別部258と、車両走行検出部259と、車両走行判別部260から構成されるとすることができる。
【0050】
データ取得部251は、再生すべき1つ又は複数の受信コンテンツデータCを路側無線装置100から取得する。この受信コンテンツデータCには、その再生条件を指示する再生制御データ(制御パラメータ)を含む。受信コンテンツデータCは、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式などの動画像データ、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式などの静止画データ、TTS(Text−to−Speech)形式の音声データ、文字情報などのテキストデータを含む。データ取得部251は、を、通信処理部211により受信したこれらの動画像データ、静止画データ、音声データ、テキストデータなどの分割データを再構成した上でデコードして、あるいは、記憶装置216に記憶されたデータを所定のタイミングで読み出して取得する。データ取得部251は、制御部217と通信処理部211と記憶装置216とが協働して動作することにより構成される。
【0051】
再生条件判別部252は、データ取得部251により取得された受信コンテンツデータCのうち、1つの受信コンテンツデータCと並行して再生すべき他の受信コンテンツデータCがあるか否かを判別する。
【0052】
データ再生部253は、受信コンテンツデータCを再生する。データ再生部253は、受信コンテンツデータCを再生するに際し、複数の受信コンテンツデータCを並列的に再生する必要があるか否かを再生条件判別部252の判別に基づいて判別し、また、コンテンツそれぞれに付されている再生条件が満たされたか否かを、位置一致判別部255、方向一致判別部257、受信コンテンツデータ判別部258、車両走行判別部260の各判別結果から判別し、受信コンテンツデータCを再生データSとして再生する。
【0053】
自己位置検出部254は、GPS信号を処理して現在位置を検出する。自己位置検出部254は、通信処理部211と制御部217のGPS信号を処理する部分から構成される。
【0054】
位置一致判別部255は、制御部217により構成され、データ取得部251が取得したコンテンツが、そのコンテンツを再生する位置を指定しているときに、制御情報が指示する位置と自己位置検出部254が検出した自己位置とを照合し、再生する位置及びその位置を中心とした所定の半径内にある場合に、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。なお、位置一致判別部255は、進行方向の他にも道路種別(高速道路や一般道路等)の一致を判定して再生の許可を出すようにしてもよい。
【0055】
進行方向検出部256は、車両の進行方向を検出する機能であり、方向センサ、I/O部、制御部217から構成される。
【0056】
方向一致判別部257は、制御部217により構成され、データ取得部251が取得した受信コンテンツデータCが、その受信コンテンツデータCを再生する条件として車両の進行方向を指定しているときに、制御情報が指示する方向と自車の進行方向とを比較し、一致(予め定めた誤差内にあること)したときに、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。
【0057】
受信コンテンツデータ判別部258は、制御部217から構成され、データ取得部251で取得した受信コンテンツデータCから再生する受信コンテンツデータCのカテゴリを検出し、文字情報のみなのか、音声合成情報が含まれているのか、または動画や画像情報が含まれているのか否かを判別する。
【0058】
車両走行検出部259は、車載器200を搭載した車両が走行しているか否かを検出する機能であり、センサ群225に含まれる速度センサ、I/O部、ならびに制御部217から構成される。
【0059】
車両走行判別部260は、制御部217により構成され、車両が走行しているとの検出信号が車両走行検出部259から通知されたときに出力制御処理を行なうための制御信号をデータ再生部253へ通知する。
【0060】
最後に情報提供サーバ300のハードウェア構成と各部の動作について説明する。
【0061】
図6に示す情報提供サーバ300は、路側無線装置100別に交通情報等の情報を生成し、配信する装置であり、図6に示すように、入力部301、表示部302、通信制御部303,304、記憶装置305、制御部306、ROM307、RAM308およびシステムバス309から構成される。
【0062】
入力部301は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、種々のデータや指示を入力する。表示部302は、表示装置などから構成され、データ、メッセージなどを表示する。
【0063】
第1の通信制御部303は、電話回線、インターネット等の一般通信網NW1を介して外部装置と交信し、種々の情報を取得する。第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して複数の路側無線装置100に接続され、各路側無線装置100に交通情報等を送信する。また、第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して、路側無線装置100が車載器200との交信などにより得た情報を収集する。
【0064】
記憶装置305は、ハードディスク装置等を備え、種々の交通情報等を格納する。また、記憶装置305は、各路側無線装置100の位置、アドレス等と共にその近傍の地理情報を記憶する。
【0065】
制御部306は、プロセッサ等から構成され、情報提供サーバ300全体の動作を制御する。また、制御部306は、記憶装置305に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置100に、その路側無線装置100近傍から配信する情報を作成し、第2の通信制御部304及びITS通信網NW2を介して各路側無線装置100に供給する。
【0066】
ROM307には、この情報提供サーバ300全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や各種のデータを記憶する。RAM308は、制御部306のワークエリアとして機能する。システムバス309は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0067】
続いて、本発明の特徴的部分である制御部217の第1から第4の出力制御処理について図7、図8および図9を用いて説明する。
【0068】
まず、第1の出力制御処理について説明する。図7は、車載器200の制御部217が行なう第1の出力制御処理のフローチャートを示す図である。
【0069】
第1の出力制御処理は、文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データ(音声合成情報)を含んだ受信コンテンツデータCを受信した場合にいずれか一方を優先して出力する。以下に具体的に説明する。
【0070】
制御部217は、路側無線装置100から送信された受信コンテンツデータCを受信する(ステップS500)。その後、制御部217は、受信した受信コンテンツデータCについて位置一致判別部255や方向一致判別部257から再生の許可が出されているか否かを判定する(ステップS501)。
【0071】
制御部217は、受信した受信コンテンツデータCについて位置一致判別部255や方向一致判別部257の再生が許可されていない場合は、再生が許可されるまで判定を繰り返す。一方、制御部217は、受信した受信コンテンツデータCについて位置一致判別部255や方向一致判別部257から再生の許可が出されている場合は、車載器200が搭載されている車両が走行中であるか否かを判定する(ステップS502)。制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中であるか否かの判定情報を車両走行判別部260より取得する。
【0072】
制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中でないと判定した場合は、受信した受信コンテンツデータCをそのまま出力表示する(ステップS503)。一方、制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中であると判定した場合は、更に当該受信コンテンツデータCに文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んでいるか否かを判定する(ステップS504)。
【0073】
制御部217は、当該受信コンテンツデータCに文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んでいないと判定した場合は、すぐに文字情報の出力を行なう(ステップS505)。一方、制御部217は、当該受信コンテンツデータCに文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んでいると判定した場合は、TTS形式の音声データのみを出力する(ステップS506)。なお、ステップS506において、文字情報を優先して出力するとしてもよい。また、文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データのデータ量を比較してより少ない方を出力するという制御を行なってもよい。
【0074】
いずれにしても多数の情報を出力すると、情報が複雑となり運転者にとって過負荷となり好ましいとはいえない。また高速走行中である場合には、出力は少ない方がよい。したがって、このように制御することで、安全運転上好ましい出力制御を行なうことが可能であり、運転者が走行中にむやみに車載器200の表示部213を注視しなくなる。
【0075】
続いて、第2の出力制御処理を説明する。図8は、車載器200の制御部217が行なう第2の出力制御処理のフローチャートを示す図である。
【0076】
第2の出力制御処理は、文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んだ受信コンテンツデータCを受信した場合に、文字情報の所定の文字数を出力するとともに、その文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを出力(再生)する。以下に具体的に説明する。
【0077】
制御部217は、路側無線装置100から送信された受信コンテンツデータCを受信する(ステップS510)。その後、制御部217は、受信した受信コンテンツデータCについて位置一致判別部255や方向一致判別部257から再生の許可が出されているか否かを判定する(ステップS511)。
【0078】
制御部217は、受信した受信コンテンツデータCについて位置一致判別部255や方向一致判別部257から再生の許可が出されていない場合は、再生の許可が出されるまで判定を繰り返す。一方、制御部217は、受信した受信コンテンツデータCについて位置一致判別部255や方向一致判別部257の再生の許可が出されている場合は、車載器200を搭載している車両が走行中であるか否かを判定する(ステップS512)。制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中であるか否かを判定するための情報を車両走行判別部260より取得する。
【0079】
制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中でない場合は、受信した受信コンテンツデータCをそのまま出力表示する(ステップS513)。一方、制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中である場合は、更に当該受信コンテンツデータCに文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んでいるか否かを判定する(ステップS514)。
【0080】
制御部217は、当該受信コンテンツデータCに文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んでいないと判定した場合は、すぐに文字情報の出力を行なう(ステップS515)。一方、制御部217は、当該受信コンテンツデータCに文字情報とその文字情報に対応または関連するTTS形式の音声データを含んでいると判定した場合は、TTS形式の音声データのすべておよび文字情報のうち所定の文字数を出力する(ステップS516)。なお、ステップS516において所定の文字数とは30文字であるが、実施形態に合わせて所定の文字数は任意に設定することができる。
【0081】
このように制御することで、運転者は走行中に車載器200の表示部213を注視しなくとも音声により情報を得ることができると共に、仮に運転者が何らかの理由で受信コンテンツデータCを聞きとれなかったとしても表示部213に表示される文字情報から受信コンテンツデータCを得ることができる。
【0082】
次に、第3の出力制御処理について説明する。図9は、車載器200の制御部217が行なう第3の出力制御処理のフローチャートを示す図である。
【0083】
第3の出力制御処理は、路側無線装置100から複数の受信コンテンツデータCを受信した場合に、各受信コンテンツデータCのデータ量により適切な出力制御処理を行なう。以下に具体的に説明する。
【0084】
この処理では、ステップS520からステップS523は、上述したステップS510からステップS513と同一であり、これらのステップの説明は省略する。
ステップS522において制御部217は、車載器200を搭載している車両が走行中であると判定した場合は、更に路側無線装置100から受信した受信コンテンツデータCのうち同時に出力すべき受信コンテンツデータCが複数あるか否かを判定する(ステップS524)。
【0085】
制御部217は、同時に出力すべき受信コンテンツデータCが複数ないと判定した場合は、その受信コンテンツデータCをすべて出力する(ステップS525)。一方、制御部217は、同時に出力すべき受信コンテンツデータCが複数あると判定した場合は、各受信コンテンツデータCのデータ量を取得する(ステップS526)。
【0086】
その後、制御部217は、所定のデータ量以上の受信コンテンツデータCがあるか否かを判定する(ステップS527)。制御部217は、所定のデータ量以上の受信コンテンツデータCがあると判定した場合は、車両のリアモニタや助手席に設けられた車載器200の表示部213へ出力表示する(ステップS528)。これは一種の限定した表示といえる。一方、制御部217は、所定のデータ量以上の受信コンテンツデータCがないと判定した場合は、各受信コンテンツデータCのデータ量の少ないものから順に図7および図8に示すステップS504またはステップS514の処理をおこなう(ステップS529)。なお、所定のデータ量とはたとえば50KBとして設定し、50KBを超える受信コンテンツデータCが送信されてきた場合は、当該受信コンテンツデータCのみ上述したステップS528を行ない、その他の受信コンテンツデータCについてはステップS529をおこなう。この所定のデータ量は実施形態に合わせて適宜変更することができる。
【0087】
なお、ステップS527における判定をデータ量ではなく、情報の種類によってその後の処理を変えるようにしてもよい。たとえば画像情報はステップS528へ移行する、TTS形式の音声データはそのまま出力する、文字情報は所定の文字数に限定して表示するなどとしてもよい。また、ステップS528において車載器200以外の装置であって、車載器200と無線または有線で通信を行なっている他の装置の表示部へ出力するようにしてもよい。また、ステップS529において受信が完了したものから順に出力制御をするようにしてもよい。
【0088】
第3の出力制御処理の具体例を示す。たとえば、車両が通行している近辺の商業情報(文字情報20KB、TTS形式の音声データ25KBおよび画像情報60KBを含む)と「前方2km先が渋滞しています」という交通情報(文字情報10KB,TTS形式の音声データ15KBおよび画像情報20KBを含む)とが路側無線装置100から車載器200へ同時に送信されてきたとする。なお、所定のデータ量は50KBと設定されているものとし、制御部217は、ステップS522において車両は走行中である状態から判定するものとする。
【0089】
制御部217は、ステップS524において複数の受信コンテンツデータCが送信されてきたので、ステップS526において各受信コンテンツデータCのデータ量を取得する。
【0090】
制御部217は、上述した商業情報の画像情報が60KBであるため、運転者の近くにある表示部213ではなく、リアモニタや助手席に設置されているディスプレイ(表示部213)に表示する。そして制御部217は、他の文字情報(20KB)およびTTS形式の音声データ(25KB)については、ステップS529に基づいて図7に示すステップS504へ移行し、TTS形式の音声データを含むか否かの判定をおこなう。制御部217は、上述した商業情報は文字情報のほかTTS形式の音声データを含むため、ステップS506においてTTS形式の音声データのみ出力する。なお、ステップS529において図8に示すステップS514へ移行して、その後ステップS515またはステップS516の処理を行なってもよい。
【0091】
一方、上述した交通情報には50KB以上のデータが存在しないため、制御部217は、交通情報についてはステップS529の処理に移行する。ここでたとえばステップS529で図8に示すステップS514の制御ステップの判定をおこなう。制御部217は、上述した交通情報は文字情報のほかTTS形式の音声データを含むのでステップS516においてTTS形式の音声データを再生すると共に文字情報の一部(たとえば「2km先渋滞」)を表示部213に表示する。なお、ステップS529で図7に示すステップS504の判定を行ない、ステップS505またはステップS506の処理を行なうようにしてもよい。
【0092】
なお、上述した所定のデータ量の設定値については車両の走行速度により変化させてもよい。その場合はステップS527において図4に示すセンサ群225の一つを構成する速度センサから取得したデータを用いて所定のデータ量の設定値を変化させる。たとえば、速度センサから取得したデータが時速80kmである場合は、所定のデータ量の設定値を50KBとし、速度が10km上がる毎に5KBずつ減らしていくという制御を定期的におこなう。
【0093】
このような制御をすることで車両の速度に適した表示制御を動的に行なうことができる。すなわち、車速が遅いのにもかかわらず少しの情報量しか表示されないとか、車速が早くなっているにも関わらず、表示される情報量が一定であり、安全性が危うくなるといったことが解消され、運転者にとって走行スピードに適した、すなわち安全運転上好ましい出力表示制御をすることが可能となる。
【0094】
最後に、第4の出力制御処理について説明する。この第4の出力制御は、図9のフローチャートにおけるステップS520からステップS526まではそのまま援用し、ステップS527以降の処理を変更したものである。ステップS527の代わりに、各受信コンテンツデータCの情報量を比較し、その後、データ量の小さいものから出力表示し、所定量以上のデータ量のものは出力表示しないようにする。上述の例では、交通情報の文字情報(10KB)、交通情報のTTS形式の音声データ(15KB)、交通情報の画像情報(20KB)、商業情報の文字情報(20KB)というようにデータ量の小さいものから出力表示していく。そして受信データの2/3を表示し、1/3は表示しないとする基準により画像情報(60KB)と次に大きい商業情報のTTS形式の音声データ(25KB)を出力しないようにする
【0095】
なお、この第4の出力制御においても第3の出力制御と同様に走行速度により、出力表示の基準を変化させるようにしてもよい。また、出力表示の基準をデータ量としてもよい。
【0096】
第3、第4の出力制御では、複数の受信コンテンツデータCを受信した場合について示している。この複数の受信コンテンツデータCを受信したとは、1つの路側無線装置100の通信エリア内で受信が完了したものが複数ある場合を指している。そして、上述した第1から第4の制御処理は、ある1つの通信エリア内で受信が完了した複数の受信コンテンツデータCを通信エリア外に出てから所定時間、たとえば1秒以内に再生を開始する必要がある場合にも適用することができる。また、第3、第4の出力制御処理では、走行速度によってデータ量の設定値や基準を変化させるようにしているが、走行速度の他に天候(たとえ雨では設定値を50KBから20KBに下げる)によって変化させるようにする、または走行速度と天候の両者を加味するようにしてもよい。
【0097】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない限り種々変更実施できる。たとえば、本実施形態ではある受信コンテンツデータCおよび特定の受信コンテンツデータCは、路側無線装置100から分割されて送信されてくることを前提として説明したが、分割されていないデータが車載器200に送信されてもよい。
【0098】
この上述したシステムは、高速道路に適用すると好ましいものであるが、全ての道路に適用することができる。また、通信方式としてDSRCという狭域通信システムを例として説明したが、広域通信方式にも適用することができる。
【0099】
また、上述したシステムは、情報提供サーバ300を有するシステムとしたが、路側無線装置100に蓄えられるまたは送信される情報が、他のサーバからではなくCD、DVDなどの記憶媒体から受け取ったり、放送網を通じて送信したりしてもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、情報受信手段としては車両に搭載されている車載器200を例にして説明したが、携帯可能なパーソナルコンピュータなどの通信端末や携帯電話を車載して動作させるようにしてもよい。さらに上述の実施形態では、路側無線装置100や車載器200などの機能を特定のハードウェアを指定して機能別手段として行なわせているが、全ての機能手段または一部の機能手段をプログラムからなるソフトウェアで処理・実行させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は全ての道路交通システムに適用することができる。本発明は特にコンテンツ情報を安全運転上好ましい形で出力制御が望まれる道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法ならびにプログラムにおいて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る道路通信システムの全体構成図である。
【図2】図1の道路通信システムにおける主要のハードウェアである路側無線装置、車載器および情報提供サーバの関係と主要な状態を示した図である。
【図3】図1の道路通信システムにおいて道路側に設置された路側無線装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1の道路通信システムにおいて車両に搭載された車載器の構成を示す図である。
【図5】図1で示された車載器の機能を説明するための図である。
【図6】図1で示された情報提供サーバの構成例を示す図である。
【図7】図1に示された車載器で実行されるの第1の出力制御処理フローチャートを示す図である。
【図8】図1で示された車載器で実行されるの第2の出力制御処理フローチャートを示す図である。
【図9】図1で示された車載器で実行されるの第3の出力制御処理フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0103】
100 路側無線装置
104 無線通信部
111 通信制御部
112 記憶装置
113 制御部
200 車載器(通信端末)
211 通信処理部
212 音声処理部
213 表示部
214 操作部
216 記憶装置
217 制御部
251 データ取得部
252 音声再生条件判別部
253 データ再生部
254 自己位置検出部
255 位置一致判別部
256 進行方向検出部
257 方向一致判別部
258 受信コンテンツデータ判別部
259 車両走行検出部
260 車両走行判別部
300 情報提供サーバ
301 入力部
302 表示部
303、304 通信制御部
305 記憶部
306 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、
上記車載器の制御部は、
上記車載器を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、
いずれか一方を優先して出力するように制御することを特徴とする道路通信システム。
【請求項2】
道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、
上記車載器の制御部は、
上記車載器を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、
上記文字情報の文字数が所定数以上である場合に上記文字情報を所定数まで表示すると共に上記音声合成情報はすべて再生するように制御することを特徴とする道路通信システム。
【請求項3】
道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、
上記車載器の制御部は、
上記車載器を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、
各コンテンツの情報量から出力するか否かを判定する制御および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを判定する制御を行なうことを特徴とする道路通信システム。
【請求項4】
前記路側無線装置に対して複数の前記受信コンテンツデータを提供する情報提供サーバとを更に有し、前記路側無線装置は記憶部、制御部および通信部を有し、前記車載器は、記憶部、通信部および再生部を有し、前記路側無線装置の制御部は、
上記情報提供サーバから送信された複数の前記受信コンテンツデータを前記路側無線装置の記憶部に記録する手段と、
前記路側無線装置の記憶部に記録された前記受信コンテンツデータを所定のパケット単位に分割する手段と、
前記受信コンテンツデータを分割したデータにヘッダ情報を付与する手段と、を備え、
前記路側無線装置の通信部は、
上記ヘッダ情報を付与した分割データを複数回送信する手段と、を備え、
前記車載器の制御部は、
上記ヘッダ情報に基づいて上記分割データを前記受信コンテンツデータとして再構成する手段と、
上記受信コンテンツデータの再生処理をする手段と、
前記車載器を搭載した車両が走行中であるか否かを検出できる手段と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の道路通信システム。
【請求項5】
出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に搭載可能な通信端末であって、
上記制御部は、上記通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、
いずれか一方を優先して出力するように制御することを特徴とする通信端末。
【請求項6】
出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に搭載可能な通信端末であって、
上記制御部は、上記通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、
上記文字情報の文字数が所定数以上である場合に上記文字情報を所定数まで表示すると共に上記音声合成情報すべて再生するように制御することを特徴とする通信端末。
【請求項7】
出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に接続可能な通信端末であって、
上記制御部は、上記通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、
各コンテンツの情報量から出力するか否かの判定および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを判定する制御を行なうことを特徴とする通信端末。
【請求項8】
前記通信端末の制御部は、車両の車速により前記各判定の基準を変化させることを特徴とする請求項6または7に記載の通信端末。
【請求項9】
出力表示を制御する制御部を有し、道路側に設置された路側無線装置と相互通信可能であると共に車両に接続可能な通信端末であって、
上記制御部は、上記通信端末を搭載した車両が走行中であり、かつ上記路側無線装置から複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、
各受信コンテンツデータの情報量を比較し、情報量の小さい受信コンテンツデータを出力し、情報量の大きい受信コンテンツデータを出力しないように制御することを特徴とする通信端末。
【請求項10】
前記通信端末の制御部は、前記複数の受信コンテンツデータが所定の情報量以上である場合に、リアモニタや助手席に設置されている前記車載器の表示部またはその他の装置の表示部に出力するように制御することを特徴とする請求項5から9のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項11】
前記受信コンテンツデータを分割したデータに付与されたヘッダ情報に基づいて上記分割データを前記受信コンテンツデータとして再構成する手段と、
前記受信コンテンツデータの再生処理をする手段と、
搭載された車両が走行中であるか否かを検出できる手段と、を備えることを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項12】
前記通信端末は、車両に搭載されているナビゲータ装置を兼ねており、道路の路側に配置されている路側無線装置と情報を送受信して、その情報を再生する発話型の狭域通信機器であることを特徴とする請求項5から11のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項13】
出力表示を制御する制御部および上記出力表示を行なう情報を記憶する記憶部を有する通信端末に用いられるデータ再生制御方法であって、
上記データ再生制御方法は、
受信したパケット情報を上記記憶部に記録するステップと、
上記パケット情報のヘッダ情報に基づいて一つの受信コンテンツデータとして再構成するステップと、
上記通信端末を搭載した車両が走行中であるか検出するステップと、
上記検出ステップにより上記車両が走行中であると判定した場合において、下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数のステップ、
(A)受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御するステップ、
(B)受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、上記文字情報の文字数が所定数以上である場合に上記文字情報を所定数まで表示すると共に上記音声合成情報はすべて再生するように制御するステップ、
(C)複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、各コンテンツの情報量から出力するか否かを判定する制御および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを判定する制御を行なうステップ、
(D)各受信コンテンツデータの情報量を比較し、情報量の小さい受信コンテンツデータを出力し、情報量の大きい受信コンテンツデータを出力しないように制御するステップ、
上記(A)〜(D)いずれかひとつまたは複数の制御ステップに基づいて上記一つの受信コンテンツデータの出力処理をするステップと、を備えることを特徴とするデータ再生制御方法。
【請求項14】
出力表示を制御する制御部および上記出力表示を行なう情報を記憶する記憶部を有する通信端末としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
上記プログラムは、
受信した分割データを上記記憶部に記録する手段、
受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成する手段、
上記通信端末を搭載した車両が走行中であるか検出する手段、
上記検出手段により上記車両が走行中であると判定した場合において、
下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数の手段、
(A)上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、いずれか一方を優先して出力するように制御する手段、
(B)上記路側無線装置から受信した受信コンテンツデータが文字情報およびその文字情報と対応または関連する音声合成情報を両方受信した場合において、上記文字情報の文字数が所定数以上である場合に上記文字情報を所定数まで表示すると共に上記音声合成情報はすべて再生するように制御する手段、
(C)上記路側無線装置から複数の受信コンテンツデータを受信した場合において、各コンテンツの情報量から出力するか否かを判定する制御および出力するとしたときは、その出力を限定して表示するか否かを制御を行なう手段、
(D)各受信コンテンツデータの情報量を比較し、情報量の小さい受信コンテンツデータを出力し、情報量の大きい受信コンテンツデータを出力しないように制御する手段、
上記(A)〜(D)いずれかひとつの制御手段に基づいて上記特定の情報の出力処理をする手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−94931(P2009−94931A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265392(P2007−265392)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】