説明

遠隔制御システム

【課題】デジタル無線伝送の遠隔制御監視システムにおける回線復旧を支援する。
【解決手段】基地局から無線伝送路を介して本局へ信号をデジタル無線伝送するシステムにおける遠隔制御システムにおいて、監視回線異常が発生した時の回線復帰支援方法であって、基地局からの監視情報が、無線伝送手段、即ち、無線伝送路を介して本局へ伝達されるシステムにおいて、基地局内の設備機器と本局内の設備機器への自動制御による回線復帰処理を行う。その回線復帰処理では、当該遠隔制御監視システムの制御回線を利用して本局から基地局へ回線復帰処理要求を送信し、回線異常の原因推定を行うにあたり、前記本局設備機器の監視情報を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル無線通信によって映像データ等を基地局から本局に伝送する場合の遠隔制御システムであって、特に、システム異常時の情報支援に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基地局からデジタル無線通信を用いて本局へ映像データ等の信号を伝送する場合、基地局内及び本局内設備の常時制御及び常時監視を実現するため、遠隔制御システムが広く利用されている。このようなシステムでは、基地局内設備機器の監視情報を本局の操作・表示部へ伝達する方法としては、例えば、基地局内設備機器の監視情報を、当該映像データ等の信号と共に、無線通信手段によって本局へ伝送する方法がある。
【0003】
ここで、監視情報を本局の操作・表示部へ伝達する上記方法の一例を図1によって説明する。図1は、基地局の監視情報をシステムの無線通信手段によって本局へ伝送するためのシステム構成図である。11は本局、12は基地局、13は無線伝送路、14は専用回線、111は本局11の操作・表示部、112は本局11の制御端局、113は本局11の受信部、114は本局11の分離部、115は本局11の受信アンテナ、121は基地局12の被制御端局、122は基地局12の多重化部、123は基地局12の送信部、125は基地局12の送信アンテナである。
図1において、制御端局112は、本局11内の設備、例えば、受信部113や分離部114の制御及び監視を行う。また、被制御端局121は、基地局12内の設備、例えば、多重化部122や送信部123の制御及び監視を行う。
【0004】
上記システムにおける一般的な基地局制御監視の流れを以下に述べる。
基地局12には、本線信号が入力され、送信アンテナ125を介して空線信号に重畳して無線伝送路13に送信される。本局11は、受信アンテナ115でその空線信号を無線伝送路13から受信し、本線信号を分離して出力する。
【0005】
操作者が操作する操作・表示部111により、基地局12内の設備機器への制御情報が、制御端局112に出力される。制御端局112は、入力された制御情報を、有線の専用回線14や本局11から基地局12への無線伝送手段を用いて基地局12の被制御端局121へ送信する。
被制御端局121は、受信した制御情報を変換処理し、処理された制御情報に応じて基地局12内のそれぞれの設備機器を制御する。その場合、被制御端局121は、それぞれの設備機器の図示しない制御インターフェースを通じて各機器を制御する。
【0006】
また被制御端局121には、基地局12内の設備機器の状態変化などを監視情報として各機器から入力される。これらの監視情報は、各設備機器の図示しない監視インターフェースを通じて被制御端局へ伝えられる。被制御端局121は、入力された監視情報を、多重化部122に出力する。
多重化部122は、入力された監視情報と本線信号とを多重し、送信部123に出力する。送信部123は、入力された多重信号を変調し、更に周波数変換した後、無線信号として送信アンテナ125及び伝送路13を介して本局11の受信アンテナ115に伝送する。なお、変調方式は、例えば、シングルキャリアをQAM( Quadrature Amplitude Modulation )変調する方式である。
【0007】
本局11では、受信アンテナ115は受信した無線信号を受信部113に出力する。受信部113は、入力された信号を、周波数変換し、更に復調して、分離部114に出力する。分離部114は、入力された信号を、本線信号と監視情報とに分離し、監視情報を制御端局112に出力し、本線信号を外部(例えば、放送局内のサーバ)に出力する。
制御端局112は、入力された監視情報を操作・表示部111に出力する。操作・表示部111では、入力された監視情報の内容が操作・表示手段の表示画面に反映する。
このような遠隔制御システムを有する無線通信システムとしては、例えば、映像データ(本線信号)を放送局に無線通信するTSL( Transmitter to Studio Link )等がある。
【0008】
上述した遠隔制御システムにおいて、基地局12から、監視情報を無線伝送路13を介して本局11に送信しようとする場合に、基地局12内の設備機器の監視情報が、無線伝送路13の伝送状態によっては、本局11、最終的には、操作・表示部111に送ることが不可能となることがある。
このように、監視情報を本局11の操作・表示部111に送ることが不可能な状態を、本書では、監視回線異常と称する。この監視回線異常には、システム内の設備機器への制御によっては、無線伝送ができないまたは伝送異常となってしまうという問題も含まれる。
【0009】
システムの無線伝送路13の伝送状態が異常となった場合、本局11内の操作・表示部111に基地局12内の設備機器の最新状態が伝わらず、それ以降の状態変化は、操作・表示部111内の表示部に反映されなくなる。しかも、監視情報は異常が発生した時点で伝送されてこないため、操作・表示部111の表示画面には、各設備機器の監視状態が正常であった際の設定値の表示がそのまま更新されずに残っており、例えば、操作者が監視回線異常の直前に基地局12の設備機器のいずれかを制御した場合に、どの部分を制御したかは、基地局12からの応答が本局11の操作・表示部111まで戻ってこないので、表示(更新)されない。従って、操作後の設備機器の動作反応を確認することも不可能となる。更に、発生の原因が安易な制御ミスによるものでも、機器異常によるものでも、結果として同様の現象となってしまい見分けがつかない。これは、遠隔制御監視における深刻な問題である。
【0010】
【特許文献1】特開2005−073007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来から、特許文献1に開示されるように、基地局を本局から遠隔制御するシステムは存在するが、伝送路の状態や基地局設備が故障したりすることによって、本局が信号を受信できなくなると、遠隔制御の継続や受信が不可能な原因の究明は不可能であった。
本発明は、上記の問題に鑑み、基地局から送信される監視情報が切断された状況に陥った場合に、基地局内の設備機器を含めたシステム内への機器自動制御による回線復帰を試みることで、監視回線復帰もしくは回線切断の原因特定を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の遠隔制御システムは、以下のような構成を備える。
(1)基地局から無線伝送路を介して本局へ信号をデジタル無線伝送するシステムにおける遠隔制御システムにおいて、監視回線異常が発生した時の回線復帰支援方法であって、基地局からの監視情報が、無線伝送手段、即ち、無線伝送路を介して本局へ伝達されるシステムにおいて、基地局内の設備機器と本局内の設備機器への自動制御による回線復帰処理を行うことを特徴とする。
(2)(1)の回線復帰処理では、当該遠隔制御監視システムの制御回線を利用して本局から基地局へ回線復帰処理要求を送信することを特徴とする。
(3)(1)の回線復帰支援では、回線異常の原因推定を行うにあたり、前記本局設備機器の監視情報を利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基地局から無線伝送手段を用いて本局へ信号を伝送する遠隔制御システムにおいて、操作者の誤操作等、原因が軽微である監視回線異常を復旧させ、深刻な異常の際も原因特定に参考となる疑わしい範囲を表示することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、本発明に係る遠隔制御監視システムが監視回線異常に陥った際の回線復帰の流れを図2と図3によって説明する。図2は、本発明の遠隔制御システムの一実施例の構成を示す図である。以下、従来技術で説明した図1を含め、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。21は本局、22は基地局、212は本局21の制御端局、221は基地局22の被制御端局である。また、図3は、本発明の復旧処理の一実施例の処理動作を説明するためのフローチャートである。なお、以下で説明する図2と図3の処理は、本局21の制御端局212が実行する。
図2と図3において、ステップ31では、本局で監視回線異常が検知された場合、若しくは検知されたことが表示された場合に、操作者の操作によって、復旧処理開始が要求される。例えば、操作・表示部111の表示画面に表示された開始ボタンの図形(例えば、アイコン)を押した、等のGUI( Graphical User Interface )操作、若しくは操作・表示部111の機械的なボタン操作、によってステップ22の処理が開始される。もちろん監視回線異常の検知をトリガーとして自動的に復旧処理に入ることも可能である。
ステップ32では、回線復帰処理(詳細は、後述の図4によって説明する)を行い、ステップ33の処理に移行する。
ステップ33では、システムの復旧ができたか否かを判定する。復旧した場合にはステップ34の処理に移行し、復旧していないと判定した場合にはステップ35の処理に移行する。
ステップ34では、復帰処理のロギング(制御端局212の図示しない記憶部に記憶する)を行い、本処理動作を終了する。
ステップ35では、異常対象範囲を推定し、ステップ36の処理に移行する。
ステップ36では、異常対象範囲の表示(詳細は、後述の図5によって説明する)を行って、本処理動作を終了する。
【0015】
次に、図3のステップ32の回線復帰処理の詳細を、図4によって説明する。図4は、本発明の回線復帰処理動作の一実施例を示すフローチャートである。
まずステップ41では、本局21の設備機器の異常を検出する。これは、回線異常の原因が本局21側の設備機器にあるか否かを調査するためのものである。ここで、本局21の設備機器の異常とは、各設備機器の本体内部の異常を意味するものであり、入力信号の異常などの外部機器・信号に影響されるものではない。このステップ41の処理によって、制御端局212にて監視していない設備機器、接続ケーブル線の断線、及びコネクタの接続不具合などを除き、本局21の設備機器に異常発生の要因がないと決定する。ここで、異常が検出された場合には、ステップ32の処理からステップ33、35を介してステップ36の処理に移行し、制御・表示部111の表示画面に、原因機器を表示し、操作者若しくは管理者の判断や処置を促す。
【0016】
ステップ42では、基地局22の設備機器がとるべき設定値の特定を行う。
一般的に、伝送システムの設備機器は、送信部と受信部、多重化部と分離部とが、送信側と受信側とで対向になっている場合が多い。このような設備機器では、送り側(送信機側、即ち基地局22側)と受け側(受信機側、即ち本局21側)で同一の設定とすべき項目がある。
例えば、送信部123と受信部113とでは、送受信周波数、伝送レート、送受信モードなどであり、多重化部122と分離部114でいえば、信号ボーレート、パリティなどがある。
そこで、現状での本局21側の設備機器の設定状態に関し、制御端局212が本局21内の設備機器から集め、操作・表示部111に出力した、基地局22側の設備機器の設定値に有効と考えられる設定値(例えば、上記送受信周波数、伝送レート、送受信モード、信号ボーレート、パリティ、等)を、制御端局212内の記憶部に記憶する。
【0017】
ステップ43では、上記制御端局212内の記憶部に記憶した本局21の設備機器の設定値を基地局22へ有線回線14を介して通知する。この通知に使用する有線回線14は、本遠隔制御システムの制御回線を用いる。本発明では、本遠隔制御システムの制御電文仕様には、事前に監視回線異常時の回復処理開始というコマンドを定義しておき、基地局22内の被制御端局221が、操作・表示部111による操作に応じて制御端局212から送信された回復処理開始コマンドを受信した場合には、回復処理を行う設定とする。そして、この回復処理開始コマンドに付記して、上述した基地局22側の設備機器の設定値に有効と考えられる設定値を、当該コマンドのデータ部として、本局21側の設備機器の設定値を送信するものである。
【0018】
次に、ステップ44では、被制御端局221が、基地局22内での回復処理を行う。
被制御端局221は、監視回線異常に陥った場合でも、停電またケーブルの断線などが無い限り、基地局22内の設備機器の状態を監視している。被制御端局221内の記憶部には、予め各設備機器において異常であると判定するための状態値が記憶されている(または、被制御端局221は、監視回線異常に陥った場合には、上記状態値に制御するような設定になっている。)。この状態値は、例えば、従来のアラーム発生時の警告表示に用いるアラーム状態定義を利用することで容易に実現可能である。そして、これによって、被制御端局221は、どの部分に異常が発生しているかを認知できる。
またこれに加え、被制御端局221は、受信した本局からの通知から、基地局22側の設備機器の取るべき設定値(上述した基地局22側の設備機器の設定値に有効と考えられる設定値)を参照することができる。
【0019】
まず、被制御局221は、機器的な異常と判定した機器のリセット制御を行う。このリセット制御には、例えば、異常と判定した対象の設備機器へ電源を供給するための設備機器への制御を経由した、電源の供給断及び供給オンを含む。)。
次に、被制御局221は、本局21から通知される基地局22側の設備機器の取るべき設定値(上述した基地局22側の設備機器の設定値に有効と考えられる設定値)と異なる設定を持つ設備機器の設定を変更する。なお、この変更制御には、運用時の確定した設定値(例えば、電源の供給オンなど)と異なる設定を持つ設備機器の変更を含む。なお、これらの運用時の確定した設定値もまた、被制御端局221内の記憶部に記憶されている。
【0020】
上記実施例によれば、本局の現設定を維持させることができるため、、既知の情報が継続しているため、操作者としては作業性が良い。
なお、本局21からの通知による設定変更、若しくは運用時の確定した設定値と異なる機器に対する設定変更の制御については、上述の実施例では、本局21の設備機器の設定に合わせる形をとっているが、他の方法として、本局21及び基地局22両方の設備機器について、予め定義された、標準的な設定値にするようにしても良い。
この場合は、回復処理要求コマンドに、本局21側の設備機器の設定値を挿入する必要が無いため、ステップ42の処理は不要となる。
【0021】
上述の実施例によれば、監視回線異常の原因が操作者の安易な制御ミス(誤操作)によるものであれば、復旧される確率が高い。また、上記実施例には記載していないが、復旧した場合には、更に、被制御端局221においても回復処理時に行った制御をログとして記憶部に保持し、かつ、それを予め規定した監視コマンドにて本局21に伝送することによって、本局21の制御端局212にも記憶し、更に操作・表示部111を介して操作者に通知しておくことようにしても良い。これによって、操作者は、どの設備機器に対するどのような制御(設定変更)によって回線復帰できたのかを把握することができる。
【0022】
ただし、監視回線異常の原因が、深刻な場合には、原因とされる対象の設備機器のリセット制御を行っても復旧しないことがある。そこで本発明の別の実施例では、図4に示す処理を行った後に、復旧しないで残っている異常対象範囲の推定を行う。
その具体例を、図2のシステム構成図を参照しながら説明する。
一般的に、伝送システムの設備機器は、送信部と受信部、多重化部と分離部とが、送信側と受信側とで対向になっている場合が多い。このような設備機器では、送り側(送信機側、即ち基地局22側)と受け側(受信機側、即ち本局21側)で同一の設定とすべき項目があると言うことは、既に述べた。従って、監視回線異常の時、受け側(受信機、即ち本局21側)の対向する設備機器の状況を確認することで、送り側(送信機、即ち基地局22側)の状況を確認できる場合がある。
例えば、送信部123と受信部113間の状況については、BER( Bit Error Rate )を参照する。即ち、制御端局212は、本局21の受信部113の受信状態を示すBERを参照して、その値が正常であれば、伝送回線は確立できていると判定する。また、BER値が異常であれば、送信部123の状態が異常であると判定する。
また、多重化部122と分離部114の状況については、多重化できているか否かによって判定する。即ち、制御端局212は、分離部114に入力される多重信号に異常が無いことを確認することで、多重化部122が正常に多重化できているかと判定する。また、分離部114に入力される多重信号に異常があれば、多重化部122の状態が異常であると判定する。
【0023】
次に実際に設備機器の状態の判定の流れについて説明する。
まず最初に、送信部123の状態を判定する。送信部123と受信部113間の伝送路が確立されていない場合には、本局21の受信部113の後段の設備機器(分離部114など)には、基地局22側の情報が入ってこないからである。そして、送信部123が正常であると判定があれば(たとえば、BER値が正常であれば)、送信部123を、異常要因として疑わしい設備機器の範囲から外す。
次に、2番目に、受信部113の直ぐ後段にあたる設備機器を確認する。図2の実施例では、分離部114が該当する設備機器である。そして、その設備機器と対向となる基地局22の設備機器(この場合は、多重化部122)の状況を推測し、正常であるならば前記送り側機器を異常要因として疑わしい範囲から外す。
この時、途中に、制御監視対象外若しくは正常であるか否かを確認できない設備機器があった場合には、その後に続く機器の推定を行った上で、正常であれば、制御監視対象外もしくは正常であるか否かを確認できない設備機器を、前記疑わしい範囲から外す。
【0024】
以上の判定を繰り返し、基地局22内の送信部123から被制御端局221までの信号ラインで、正常な範囲を判定することができる。
ここで、本発明では、本局(受信機)21側において、最初に、受信部113から送信部123の状態判定、次に、受信部113の直ぐ後段の設備機器から、その設備機器に対向する基地局(送信機)22側の状態を判定し、更にその次の直ぐ後段の設備機器からその設備機器に対向する基地局(送信機)22側の状態を判定するというように、判定を続ける。
なお、上記実施例では、一旦全てを異常要因と疑った上で正常と判定される範囲を広げていった。しかし、逆に、全ての設備機器を正常と仮定した上で、被制御端局から疑わしい範囲を広げていっても良い。例えば、図2の実施例では、まず制御端局212の信号の受信状況を確認し、次に分離部114の入力多重信号異常/正常を確認し、最後に受信部113のBER値を確認するといった流れである。
【0025】
以上述べた判定結果についての表示画面の一実施例を、図5に示す。図5は、本発明の遠隔制御システムにおける本局21の操作・表示部111の表示画面に表示された画面の一実施例を示す図である。50は表示画面、以下の構成要素は、表示画面50上に表示された図形(例えば、アイコン)である。即ち、53は伝送路、525は基地局の送信アンテナ、515は本局の受信アンテナ、52は囲まれた枠内が異常対象範囲と考えられるNG予想範囲を示す枠、521は被制御端局、521aは被制御端局521の状態表示欄、522は多重化部、522aは多重化部522の状態表示欄、523は送信部、523aは送信部523の状態表示欄、513は受信部、513aは受信部513の状態表示欄、51は基地局側の異常対象範囲と考えられる枠52に対応する本局側の設備機器を囲む枠、514は分離部、514aは分離部514の状態表示欄、512は制御端局、512aは制御端局512の状態表示欄である。図5に示すように、監視信号のラインを被制御端局221から制御端局212まで一直線上に示し、疑わしい範囲を囲うことで、操作者は信号系統を含め状況を理解し、参考にすることができる。また、それらの状態表示欄521a、522a、523a、513a、及び514a、等に、当該設備機器の状態を、正常(例えば、“OK”と表示)、異常(例えば、“NG”と表示)、調査中、若しくは異常警報出力中(例えば、“ALM”と表示)する。また、更に、それらの状態表示欄521a、522a、523a、513a、及び514a、等に、当該設備機器の状態の他に、それらを判定した項目(例えば、BER値なら“BER”)を表示する。
【0026】
上述の実施例によれば、基地局から無線伝送を用いて本局へ信号を伝送させる際の遠隔制御監視システムにおいて、操作者の安易な操作によって発生するような原因が軽微である監視回線異常を復旧させ、深刻な異常の際も原因特定に参考となる疑わしい範囲を表示することが可能となる。
なお、上述の実施例では、本局の制御端局が、それらの正常若しくは以上の判定処理を実行した。しかし、他の設備機器、例えば、操作・表示部が実行しても良い。
また、無線通信の手段として、シングルキャリアのQAM変調方式を例に挙げたが、他の変調方式でも良いことは勿論である。
【0027】
上述の実施例の発明は、例えば、基地局からデジタル無線伝送によって本局に多重化した信号を伝送する無線通信システムにおける遠隔制御システムにおいて、前記基地局は、映像データ等の信号を入力し、該信号に被制御端局からの監視情報を多重する多重化部と、該多重化されたデータを変調して無線信号を送信する送信部と、前記多重化部と前記送信部を含む基地局内の設備機器の状態を監視し、取得した監視情報を前記多重化部に出力する前記被制御端局を備え、前記本局は、前記基地局から送信された無線信号を伝送路を介して受信し、復調して出力する受信部と、該受信部出力信号を前記監視情報と前記映像データ等の信号とに分離する分離部と、前記分離部から取得した監視情報を出力する制御端局と、前記制御端局から入力された監視情報を表示画面に表示する操作・表示部とを備え、更に前記遠隔制御システムは、前記制御端局と前記被制御端局とを接続する有線回線とを備え、前記制御端局若しくは前記操作・表示部は、前記分離部から前記監視情報が取得できない場合には、前記有線回線を介して前記被制御端局に制御信号を送信し、前記被制御端局は受信した該制御信号に応じて前記基地局内の設備機器を制御することを特徴とする遠隔制御システムである。
なお、前記制御端局は、前記監視情報をLAN( Local Area Network )等の通信回線を用いたパケットデータとして前記操作・表示部に伝送し、前記操作・表示部は、前記入力された監視情報を映像データに変換して、表示画面に表示する。
【0028】
また好ましくは、前記制御信号は、前記基地局内の設備機器をリセットする制御信号であることを特徴とする遠隔制御システムである。
また好ましくは、前記制御信号は、前記基地局内の設備機器を前記本局の設定値に変更する制御信号であることを特徴とする遠隔制御システムである。
また好ましくは、前記制御信号は、前記基地局内の設備機器を予め定めた標準の設定値に変更する制御信号であることを特徴とする遠隔制御システムである。
【0029】
上述の実施例の発明は、例えば、基地局からデジタル無線伝送によって本局に多重化した信号を伝送する無線通信システムにおける遠隔制御システムにおいて、前記基地局は、映像データ等の信号を入力し、該信号に被制御端局からの監視情報を多重する多重化部と、該多重化されたデータを変調して無線信号を送信する送信部と、前記多重化部と前記送信部を含む基地局内の設備機器の状態を監視し、取得した監視情報を前記多重化部に出力する前記被制御端局を備え、前記本局は、前記基地局から送信された無線信号を伝送路を介して受信し、復調して出力する受信部と、該受信部出力信号を前記監視情報と前記映像データ等の信号とに分離する分離部と、前記分離部から取得した監視情報を出力する制御端局と、前記制御端局から入力された監視情報を映像データとして表示画面に表示する操作・表示部とを備え、更に前記遠隔制御システムは、前記制御端局と前記被制御端局とを接続する有線回線とを備え、前記制御端局若しくは前記操作・表示部は、前記分離部から前記監視情報が取得できない場合には、前記受信部の状態が正常か異常かを判定し、異常と判定した場合には、前記操作・表示部に前記受信部が異常であることを示す表示をさせ、正常と判定すれば、前記分離部の状態が正常か否かを判定することを特徴とする遠隔制御システムである。
【0030】
また好ましくは、前記制御端局若しくは前記操作・表示部は、更に、前記分離部の状態が正常と判定すれば、前記操作・表示部に前記分離部が正常であることを示す表示をさせ、前記分離部の状態が異常と判定すれば、前記操作・表示部に前記受信部が異常であることを示す表示をさせることを特徴とする遠隔制御システムである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の基地局の監視情報をシステムの無線通信手段によって本局へ伝送するためのシステム構成図。
【図2】本発明の一実施例の基地局の監視情報をシステムの無線通信手段によって本局へ伝送するためのシステム構成図。
【図3】本発明の復旧処理の一実施例の処理動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明の回線復帰処理動作の一実施例を示すフローチャート。
【図5】本発明の遠隔制御システムにおける本局の表示画面に表示された画面の一実施例を示す図。
【符号の説明】
【0032】
11:本局、 12:基地局、 13:無線伝送路、 14:有線回線、 111:操作・表示部、 21:本局、 22:基地局、 50:表示画面、 53:伝送路の図形、 525:送信アンテナの図形、 515:受信アンテナの図形、 52:NG予想範囲を示す枠の図形、 521:被制御端局の図形、 521a:状態表示欄の図形、 522:多重化部の図形、 522a:状態表示欄の図形、 523:送信部の図形、 523a:状態表示欄の図形、 513:受信部の図形、 513a:状態表示欄の図形、 51:枠の図形、 514:分離部の図形、 514a:状態表示欄、 512:制御端局の図形、 512a:状態表示欄の図形、 112:制御端局、 113:受信部、 114:分離部、 115:受信アンテナ、 121:被制御端局、 122:多重化部、 123:送信部、 125:送信アンテナ、
212:制御端局、 221:被制御端局。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局からデジタル無線伝送によって本局に多重化した信号を伝送する無線通信システムにおける遠隔制御システムにおいて、
前記基地局は、映像データ等の信号を入力し、該信号に被制御端局からの監視情報を多重する多重化部と、該多重化されたデータを変調して無線信号を送信する送信部と、前記多重化部と前記送信部を含む基地局内の設備機器の状態を監視し、取得した監視情報を前記多重化部に出力する前記被制御端局を備え、
前記本局は、前記基地局から送信された無線信号を伝送路を介して受信し、復調して出力する受信部と、該受信部出力信号を前記監視情報と前記映像データ等の信号とに分離する分離部と、前記分離部から取得した監視情報を出力する制御端局と、前記制御端局から入力された監視情報を表示画面に表示する操作・表示部とを備え、
更に前記遠隔制御システムは、前記制御端局と前記被制御端局とを接続する有線回線とを備え、
前記制御端局若しくは前記操作・表示部は、前記分離部から前記監視情報が取得できない場合には、前記有線回線を介して前記被制御端局に制御信号を送信し、前記被制御端局は受信した該制御信号に応じて前記基地局内の設備機器を制御することを特徴とする遠隔制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−81544(P2010−81544A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250655(P2008−250655)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】