説明

配線構造及びその形成方法、並びに半導体装置

【課題】炭素元素からなる線状構造体を有する接続部の更なる低抵抗化を実現して、更なる接続部の微細化を可能とする。
【解決手段】ビア孔28a内を充填し、配線溝32aの内壁面を覆うように、例えば超臨界CVD法により、ビア孔28a内におけるCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内を導電材料34で埋め込み、ビアプラグ33と、ビアプラグ33上で配線溝32aの内壁面を覆う下地膜32bとを同時形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の接続部に炭素元素からなる線状構造体を用いた配線構造及びその形成方法、並びに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等に代表される半導体装置では、配線等と接続される接続部は、接続孔(コンタクト孔、ビア孔等)がアルミニウム(Al),タングステン(W),銅(Cu)等の金属或いは合金で充填されて形成される。
しかしながら、上記のような金属又は合金では、近時における半導体装置の更なる小型化及び高集積化の要請に応える微細な接続部を形成することは困難である。この場合、上記のような金属又は合金では、接続部の電気抵抗値が増大化し、電流密度の低下を招くと考えられる。従って、金属又は合金で充填された接続部では、将来的に限界が訪れることになると予想される。
【0003】
上記の問題に対処すべく、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)等の炭素元素からなる線状構造体を、接続部の充填材料に用いる試みがなされている(特許文献1〜4、非特許文献1〜3等を参照)。
CNTは、微細性、電気伝導特性及び許容電流密度特性に優れており、コンタクト孔又はビア孔等を埋め込む導電材料に適用することで、微細で低抵抗な接続部を実現できるものとして期待されている。
【0004】
CNTを用いた接続部としては、接続孔内にCNTを形成した後に、接続孔内のCNT間の空隙に絶縁物を充填する技術(非特許文献1〜3等を参照)がある。また、接続部の更なる低抵抗化を実現すべく、接続孔内のCNT間の空隙に導電物を充填する技術(特許文献1,2等を参照)も案出されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−109465号公報
【特許文献2】特表2007−525030号公報
【特許文献3】特開2006−108210号公報
【特許文献4】特開2005−72171号公報
【非特許文献1】IEEE International Interconnect Technology Conference 2006, pp.230.
【非特許文献2】IEEE International Interconnect Technology Conference 2007, pp.204.
【非特許文献3】IEEE International Interconnect Technology Conference 2008, pp.237.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、接続孔内のCNT間の空隙を導電物で充填し、接続部の更なる低抵抗化を図る試みがなされている。
しかしながら、接続部の更なる微細化の要請に対処するには、接続孔内のCNT間の空隙を導電物で充填する技術でも、十分な低抵抗化を得ることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、炭素元素からなる線状構造体を有する接続部の更なる低抵抗化を実現して、更なる接続部の微細化を可能とする配線構造及びその形成方法、並びに半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
配線構造の一態様は、配線と、前記配線と電気的に接続された接続部とを含み、前記接続部は、炭素元素からなる線状構造体と、前記線状構造体間の空隙を充填すると共に、前記線状構造体の中空内を充填する導電材料とを有して形成されている。
【0009】
半導体装置の一態様は、半導体基板上に機能素子が形成された半導体装置であって、前記半導体基板の上方に形成された配線と、前記配線下において、前記配線と電気的に接続された接続部とを含み、前記接続部は、炭素元素からなる線状構造体と、前記線状構造体間の空隙を充填すると共に、前記線状構造体の中空内を充填する導電材料とを有して形成されている。
【0010】
半導体装置の他態様は、半導体基板上に機能素子及び配線が形成された半導体装置であって、前記配線の上方で前記配線と接続された電極と、前記電極上に形成された接続バンプとを含み、前記接続バンプは、炭素元素からなる線状構造体と、前記線状構造体間の空隙を充填すると共に、前記線状構造体の中空内を充填する導電材料とを有して形成されている。
【0011】
配線構造の形成方法の一態様は、配線と、前記配線と電気的に接続された接続部とを含む配線構造の形成方法であって、前記接続部を、炭素元素からなる線状構造体を形成した後、導電材料を前記線状構造体間の空隙に充填すると共に前記線状構造体の中空内に充填する。
【発明の効果】
【0012】
上記の各態様によれば、炭素元素からなる線状構造体を有する接続部の更なる低抵抗化を実現して、接続部の更なる微細化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
―本実施形態の基本骨子―
炭素元素からなる線状構造体には、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)又はカーボンナノファイバー(Carbon Nano Fiber:CNF)等がある。このような線状構造体は、一般的に中空構造を有している。
本実施形態では、線状構造体の中空構造に着目し、配線構造の接続孔に線状構造体を形成した後、導電材料を線状構造体間の空隙に充填すると共に線状構造体の中空内に充填する構成を採る。この構成により、線状構造体を用いた接続部を可及的に低抵抗とすることが可能となり、低抵抗化を犠牲にすることなく接続部の更なる微細化が実現する。
【0014】
線状構造体間の空隙及び線状構造体の中空内に充填する導電材料としては、Ti,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種、又はAu,Auを含む合金から選ばれた一種を用いることが好適である。
Ti,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種は、通常、接続部上に形成される配線の下地膜(バリア膜)として用いられる導電材料である。この下地膜材料を線状構造体間の空隙及び線状構造体の中空内に充填する材料として用いることにより、接続部と、接続部と下地膜とを同時に一体形成することができる。接続部と下地膜とを一体形成することにより、製造工程の簡略化を図ることができると共に、接続部と下地膜との間で導電材料の界面が存在しないため、界面の存在による抵抗値の上昇を防止することができる。
【0015】
Au又はAuを含む合金は、低抵抗導電材料であり、エッチングによる加工も可能である。この低抵抗導電材料を線状構造体間の空隙及び線状構造体の中空内に充填する材料及び配線を形成するための材料として用いることにより、配線構造の可及的な低抵抗化が実現する。
【0016】
―本実施形態の具体的な諸態様―
以下、本実施形態の具体的な諸態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の諸態様では、配線構造を有する機能素子としてMOSトランジスタを備えた半導体装置を例示し、その構造を製造方法と共に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1〜図3は、第1の実施形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図1(a)に示すように、シリコン半導体基板10上に機能素子の1つであるMOSトランジスタ20を形成する。
詳細には、シリコン半導体基板10の表層に例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子分離構造11を形成し、半導体基板10上で素子活性領域を画定する。
次に、素子活性領域に不純物をイオン注入し、ウェル12を形成する。イオン注入する不純物としては、PMOSトランジスタを作製する場合にはリン(P+)又は砒素(As+)等のN型不純物を、NMOSトランジスタを作製する場合にはホウ素(B+)等のP型不純物を用いる。
【0018】
次に、素子活性領域に熱酸化法等により薄いゲート絶縁膜13を形成し、ゲート絶縁膜13上にCVD法等により例えば多結晶シリコン膜及びシリコン窒化膜を堆積する。そして、シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜、及びゲート絶縁膜13をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより電極形状に加工する。以上により、ゲート絶縁膜13上に多結晶シリコン膜からなるゲート電極14を形成する。このとき同時に、ゲート電極14上にはシリコン窒化膜からなるキャップ膜15が形成される。
【0019】
次に、キャップ膜15をマスクとしてウェル12内に不純物を所定のドーズ量及び加速エネルギーでイオン注入し、一対のエクステンション領域16を形成する。イオン注入する不純物としては、PMOSトランジスタを作製する場合にはホウ素(B+)等のP型不純物を、NMOSトランジスタを作製する場合にはリン(P+)又は砒素(As+)等のN型不純物を用いる。
【0020】
次に、全面に例えばシリコン酸化膜をCVD法等により堆積し、このシリコン酸化膜をいわゆるエッチバックすることにより、ゲート電極14及びキャップ膜15の側面のみにシリコン酸化膜を残してサイドウォール絶縁膜17を形成する。
次に、キャップ膜15及びサイドウォール絶縁膜17をマスクとして、ウェル12内に不純物をエクステンション領域16よりも深くなる条件でイオン注入し、一対のソース/ドレイン領域18を形成する。イオン注入する不純物としては、PMOSトランジスタを作製する場合にはホウ素(B+)等のP型不純物を、NMOSトランジスタを作製する場合にはリン(P+)又は砒素(As+)等のN型不純物を用いる。
以上により、ゲート電極14、エクステンション領域16、及びソース/ドレイン領域18を有するMOSトランジスタ20が形成される。
【0021】
続いて、図1(b)に示すように、層間絶縁膜22と、層間絶縁膜22内でソース/ドレイン領域18と電気的に接続されるコンタクトプラグ23とを順次形成する。
詳細には、先ず、MOSトランジスタ20を覆うように、CVD法等により例えばシリコン酸化膜を堆積し、層間絶縁膜22を形成する。
次に、ソース/ドレイン領域18の表面の一部を露出させるように、層間絶縁膜22をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、層間絶縁膜22にコンタクト孔23aを形成する。
【0022】
次に、コンタクト孔23aの内壁面を覆うように、層間絶縁膜22上にスパッタ法等によりTi、TiN、或いはTiとTiNの積層膜等を堆積し、下地膜23bを形成する。
次に、コンタクト孔23a内を下地膜23bを介して埋め込むように、層間絶縁膜22上に導電材料、例えばタングステン(W)をCVD法等により堆積する。そして、層間絶縁膜22の表面が露出するまで、W及び下地膜23bを化学機械研磨(Chemical-Mechanical Polishing:CMP)法により研磨し、コンタクト孔23a内を下地膜23bを介してWで充填するコンタクトプラグ23を形成する。
【0023】
続いて、図1(c)に示すように、層間絶縁膜24と、層間絶縁膜24内でコンタクトプラグ23と電気的に接続される下部配線25とを順次形成する。
詳細には、先ず、コンタクトプラグ23上を覆うように、層間絶縁膜22上にCVD法等により例えばシリコン酸化膜を堆積し、層間絶縁膜24を形成する。
【0024】
次に、いわゆるシングルダマシン法により、下部配線25を形成する。
先ず、コンタクトプラグ23の上面の少なくとも一部が底面に露出するように、層間絶縁膜24をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、層間絶縁膜24に配線形状の配線溝25aを形成する。
次に、配線溝25aの内壁面を覆うように、層間絶縁膜24上にスパッタ法等によりTi、TiN、或いはTiとTiNの積層膜等を堆積し、下地膜25bを形成する。
次に、配線溝25aの内壁面を下地膜25bを介して覆うように、下地膜25b上にスパッタ法等により銅(Cu)等を堆積し、不図示のメッキシード膜を形成する。
【0025】
次に、メッキ法により、メッキシード膜上にCu又はCu合金等の導電材料を、配線溝25a内を下地膜25bを介して導電材料で埋め込む厚みに成長させる。そして、層間絶縁膜24の表面が露出するまで、導電材料をCMP法により研磨し、配線溝25a内を下地膜25bを介して導電材料で充填する下部配線25を形成する。ここで、メッキシード膜は導電材料と一体化するものとする。
【0026】
続いて、図1(d)に示すように、保護膜26及び層間絶縁膜27を順次形成した後、層間絶縁膜27にビア孔28aを形成する。
詳細には、先ず、下部配線25上を覆うように層間絶縁膜24上にCVD法等によりSiN等を堆積し、保護膜26を形成する。
次に、保護膜26上にプラズマCVD法等によりSiOC等を例えば膜厚200nm程度に堆積し、層間絶縁膜27を形成する。
次に、下部配線25の上面の一部を露出させるように、層間絶縁膜27をリソグラフィー及びそれに続くフッ素系ガス等を用いたドライドライエッチングにより加工し、層間絶縁膜27及び保護膜26にビア孔28aを形成する。
【0027】
続いて、図2(a)に示すように、下地膜28bを形成した後、微粒子触媒28cを堆積する。なお、図2(a)〜図3(c)では、下部配線25の下部の構成については図示を省略する。
詳細には、先ず、ビア孔28aの底面を含む層間絶縁膜27上に下地導電材料をスパッタ法等により堆積し、下地膜28bを形成する。下地導電材料としては、Ti,Ta,TiN,TaNから選ばれた一種又は2種以上(積層膜となる)とすることが好ましい。
下地導電材料としてTa又はTaNを用いることにより、下部配線25を良好に保護する下地膜となり、下部配線25からのCu拡散が防止される。下地導電材料としてTi又はTiNを用いることにより、下部配線25に対する電気的及び機械的に良好なコンタクト層となる。本実施形態では、Ta膜28b−1及びTiN膜28b−2を積層堆積して、下地膜28bを形成する。
【0028】
本実施形態では、下地導電材料の堆積に異方性ロング・スロー・スパッタ法を用いる。この異方性ロング・スロー・スパッタ法は、異方性の高い薄膜形成方法として、ターゲット−試料間距離としてターゲットの直径以上の距離を有するスパッタ法である。異方性ロング・スロー・スパッタ法を用いることにより、ビア孔28aの側壁への下地導電材料の付着が防止される。ビア孔28a内では底面のみに下地導電材料が堆積されるため、後述するCNTよりも高抵抗な下地膜28bによりビア孔28a内が占められることがなく、可及的に低抵抗なビアプラグが実現される。
【0029】
次に、ビア孔28aの底面及び層間絶縁膜27上に形成された下地膜28b上に、CNTを成長させる際の触媒となる微粒子触媒28cを堆積する。微粒子触媒28cとしては、Co,Fe,Niのうちから選ばれた1種、或いはCo,Fe,Niのうちの少なくとも1種を含む二元系金属(TiCo,NbCo等)、或いはCo,Fe,Niのうちの少なくとも2種を含む合金を用いることが好ましい。本実施形態ではCoを用い、レーザ・アブレーション法、スパッタ法或いは蒸着法によりCoの微粒子を堆積して、微粒子触媒28cとする。
本実施形態では、例えば真空チャンバにおいて差動排気機構を介して微粒子触媒28c半導体基板に堆積させること等により、微粒子触媒28cの堆積の異方性を高めることが好ましい。
なお、微粒子触媒28cを堆積する代わりに、例えば厚み1nm程度の薄い触媒膜(Co膜等)を、ビア孔28aの底面及び層間絶縁膜27上に形成された下地膜28b上に形成するようにしても良い。
【0030】
続いて、図2(b)に示すように、炭素元素からなる線状構造体であるCNT28dを成長する。
詳細には、CVD法等により、下地膜28bに接触している微粒子触媒28cからCNT28dを垂直配向成長する。CNT28dの成長条件としては、例えば熱CVD法を用い、反応ガスとしてアセチレン/アルゴンの混合ガスを真空チャンバ内に導入し、圧力を例えば1kPa程度、基板温度を例えば400℃〜450℃程度とする。アセチレン(10%アルゴン希釈)/アルゴンの流量としては、例えば0.5sccm/1000sccmとする。CNT28dの成長速度は1μm/時間程度とする。
【0031】
なお、CNT28dの成長の際に、熱CVD法の代わりに、熱フィラメントによりガス解離を行う熱フィラメントCVD法を用いても良い。その場合、熱フィラメント温度を例えば900℃〜1800℃程度とする。また、プラズマ系CVD法を用いても良い。
本実施形態では、炭素元素からなる線状構造体としてCNTを形成する場合を例示したが、CNTの代わりに例えばカーボンナノファイバー(Carbon Nano Fiber:CNF)等を形成するようにしても良い。
【0032】
続いて、図2(c)に示すように、形成されたCNT28d間の空隙を埋め込むように、絶縁物の充填材料29を堆積する。
詳細には、ビア孔28a内を含む層間絶縁膜27上で、形成されたCNT28d間の空隙を埋め込むように、例えば塗布系の有機SOG(Spin-on glass)をスピンコートし、充填材料29を堆積する。このとき、CNT28d間の空隙が充填材料29で充填され、CNT28dと充填材料29との複合層(以下、CNT/SOG複合層と称する。)とされる。ここで、有機SOGの塗布の濡れ性を上げるために、塗布前に半導体基板10に対して酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV処理等を適宜に施すようにしても良い。
【0033】
有機SOGのスピンコート後に、半導体基板10にベーク(例えば250℃で5分間)及びキュア(例えば400℃で30分間)を施すことにより、充填材料29を硬化させる。有機SOGとしては、ポーラスタイプのものを使用すると、硬化後にクラック等の欠陥が無いために好ましい。絶縁物の充填材料29としては、プラズマCVD法を用いて堆積しても良いが、CNT28d間の空隙への埋め込み性に優れた塗布系のSOGを用いることが好ましい。また、有機SOGの代わりに無機SOGを用いても良い。
【0034】
続いて、図2(d)に示すように、CNT/SOG複合層がビア孔28a内のみに残存するように、層間絶縁膜27上のCNT/SOG複合層及び下地膜28bを平坦化処理により除去する。
詳細には、CMP法により、CNT/SOG複合層の研磨(第1の研磨)と、層間絶縁膜27上の下地膜28bの研磨(第2の研磨)とを順次行う。
【0035】
第1の研磨では、例えば酸化膜系用のスラリー(アルカリ系)を用い、下地膜28bを研磨ストッパーとして用いて行う。第1の研磨は、下地膜28bのTaN又はTaの研磨レート及び充填材料29の有機SOG(SiO2)の研磨レートについて、有機SOG>TaN又はTaとなる高選択性研磨であることが好ましい。また、CNTが高品質になるにつれて研磨レートが低下する傾向にあるため、酸系のスラリーを用いることでCNT28dの研磨レートを増加させることができる。但しこの場合、有機SOGの研磨レートが減少するため、CNT/SOG複合層の所望の平坦性が得られるように、スラリーの水素イオン濃度(pH)を適宜調整する。
【0036】
第2の研磨では、Ta用のスラリー(酸系)を用い、層間絶縁膜27を研磨ストッパーとして用いて(層間絶縁膜27の表面が露出するまで)行う。第2の研磨は、下地膜28bのTaN又はTaの研磨レート及び層間絶縁膜27のSiOCの研磨レートについて、TaN又はTa>SiOCとなる高選択性研磨であることが好ましい。
そして、CMPの後処理として、半導体基板10に例えば希フッ酸(5%)を用いた表面処理を施すことにより、研磨残渣を除去する。
【0037】
続いて、図3(a)に示すように、保護膜21及び層間絶縁膜31を順次形成した後、層間絶縁膜31及び保護膜21に配線溝32aを形成する。
詳細には、CNT/SOG複合層上を覆うように層間絶縁膜27上にCVD法等によりSiN等を堆積し、保護膜21を形成する。
次に、保護膜21上にCVD法等によりSiO2又はSiOC等を堆積し、層間絶縁膜31を形成する。
次に、CNT/SOG複合層の上面が底面に露出するように、層間絶縁膜31及び保護膜21をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、層間絶縁膜31及び保護膜21に配線形状の配線溝32aを形成する。
【0038】
続いて、図3(b)に示すように、ビア孔28a内の充填材料29を除去した後、ビアプラグ33及び下地膜32bを同時形成する。
詳細には、先ず、配線溝32aの底面から露出するビア孔28aにおいて、CNT28d間の空隙を充填する充填材料29を、例えば希フッ酸(5%)を用いたウェット処理を行うことにより除去する。
【0039】
次に、ビア孔28a内を充填し、配線溝32aの内壁面を覆うように、導電材料34を堆積する。本実施形態では、ビア孔28a内におけるCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内を導電材料34で埋め込む。CNT28dの中空内に導電材料34が埋め込まれた様子を図4に示す。導電材料34としては、低抵抗であり、且つシングルダマシン法により配線を形成する際の下地材料としても好適なTi,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種を用いることが好ましい。ここでは導電材料34としてTiを用いる場合を例示する。導電材料34の堆積には、堆積物を微細空間内に選択的に埋め込むことが可能な超臨界CVD法を用いる。超臨界CVD法では、媒質として例えばCO2を用いる。CO2の臨界点は、圧力が7.4MPa、温度が31℃である。超臨界CO2中に導電材料34の原料(有機金属錯体)を溶解させ、堆積を行う。これにより、ビア孔28a内におけるCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内が導電材料34で充填されてなるビアプラグ33と、ビアプラグ33上で配線溝32aの内壁面を覆う下地膜32bとが同時形成される。
【0040】
図3(c)に示すように、上部配線32を形成する。
詳細には、配線溝32aの内壁面を下地膜32bを介して覆うように、下地膜32b上にスパッタ法等により銅(Cu)等を堆積し、不図示のメッキシード膜を形成する。
次に、メッキ法により、メッキシード膜上にCu又はCu合金等の導電材料を、配線溝32a内を下地膜32bを介して導電材料で埋め込む厚みに成長させる。そして、層間絶縁膜31の表面が露出するまで、導電材料をCMP法により研磨し、配線溝32a内を下地膜32bを介して導電材料で充填する上部配線32を形成する。以上により、ビアプラグ33及び上部配線32が電気的に接続されてなる配線構造30が形成される。
ここで、上部配線32を形成した後に、半導体基板10を例えば400℃で熱処理してもよい。この熱処理により、CNT28dと下地膜32bとの電気的接合が改善される。
【0041】
しかる後、配線構造30と電気的に接続されるように、更なる上層の配線構造を1乃至複数形成し、最上層の絶縁膜上に各配線構造と接続される外部接続用のパッド電極の形成等を経て、半導体装置を形成する。ここで、上層の配線構造は、配線構造30と同様に形成することが好ましい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、CNT28dを有するビアプラグ33の更なる低抵抗化を実現して、ビアプラグ33の更なる微細化が可能となる。
【0043】
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。この変形例では、第1の実施形態と同様に半導体装置を作製するが、ソース/ドレイン領域と接続されるコンタクトプラグを、ビアプラグ33と同様に形成する。
図5及び図6は、第1の実施形態の変形例における半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0044】
本例では、先ず、第1の実施形態の図1(a)の工程を実行する。
続いて、図5(a)に示すように、図1(b)と同様に、層間絶縁膜22及びコンタクト孔23aを形成する。
【0045】
続いて、図5(b)に示すように、下地膜28bを形成した後、微粒子触媒41bを堆積する。なお、図5(b)〜図6(d)では、ソース/ドレイン領域18の下部の構成については図示を省略する。
詳細には、先ず、コンタクト孔23aの底面を含む層間絶縁膜22上に下地導電材料を堆積し、下地膜41aを形成する。下地膜41aは、第1の実施形態における下地膜28bと同様の下地導電材料を用い、異方性ロング・スロー・スパッタ法により、Ta膜41a−1及びTiN膜41a−2の積層膜として形成する。
【0046】
次に、コンタクト孔23aの底面及び層間絶縁膜22上に形成された下地膜41a上に、CNTを成長させる際の触媒となる微粒子触媒41bを堆積する。微粒子触媒41bとしては、図2(a)の微粒子触媒28cと同様に、例えばCoを用い、レーザ・アブレーション法、スパッタ法或いは蒸着法によりCoの微粒子を堆積して、微粒子触媒41bとする。
【0047】
続いて、図5(c)に示すように、微粒子触媒41bからCNT41cを成長する。CNT41cの成長条件としては、図2(b)のCNT28dの成長条件と同様とする。
続いて、図5(d)に示すように、形成されたCNT41c間の空隙を埋め込むように、絶縁物の充填材料42を堆積する。充填材料42としては、図2(c)の充填材料29と同様に有機SOGを用いて、同様の堆積条件で堆積し、CNT/SOG複合層を形成する。
【0048】
続いて、図6(a)に示すように、CNT41cがコンタクト孔23a内のみに残存するようにCNT/SOG複合層を平坦化処理する。この平坦化処理は、第1の実施形態におけるCNT/SOG複合層の平坦化処理と同様に行う。
続いて、図6(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜24及び配線溝25aを形成する。
【0049】
続いて、図6(c)に示すように、コンタクト孔23a内の充填材料42を除去した後、コンタクトプラグ43及び下地膜45aを同時形成する。
コンタクト孔23a内の充填材料42の除去は、第1の実施形態におけるビア孔28a内の充填材料29を除去と同様に行う。第1の実施形態におけるビアプラグ33の形成時と同様の条件により、超臨界CVD法を用い、コンタクト孔23aを充填し、配線溝25aの内壁面を覆うように、導電材料44として例えばTiを堆積する。本例では、コンタクト孔23a内におけるCNT41c間の空隙及びCNT41cの中空内を導電材料44で埋め込む。これにより、コンタクト孔23a内におけるCNT41c間の空隙及びCNT41cの中空内が導電材料44で充填されてなるコンタクトプラグ43と、コンタクトプラグ43上で配線溝25aの内壁面を覆う下地膜45aとが同時形成される。
【0050】
続いて、図6(d)に示すように、第1の実施形態における下部配線25の形成と同様に、シングルダマシン法を行う。これにより、配線溝25a内を下地膜45aを介してCu又はCu合金等の導電材料で充填する下部配線45が形成される。コンタクトプラグ43と下部配線45とが下地膜45aを介して電気的に接続される配線構造40が構成される。
しかる後、第1の実施形態における図1(d)〜図3(c)と同様の各工程を実行し、半導体装置を形成する。
【0051】
以上説明したように、本例によれば、CNT28dを有するビアプラグ33の更なる低抵抗化に加えて、CNT41cを有するコンタクトプラグ43の更なる低抵抗化を実現して、ビアプラグ33及びコンタクトプラグ43の更なる微細化が可能となる。
【0052】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、先ず、第1の実施形態の図1(a)〜図2(b)の各工程を順次実行する。
【0053】
続いて、図7(a)に示すように、形成されたCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内を埋め込むように、導電材料51を堆積する。
詳細には、層間絶縁膜27上及びビア孔28a内におけるCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内(図4と同様)を導電材料51で埋め込む。導電材料51としては、低抵抗であるTi,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種を用いることが好ましい。ここでは導電材料51としてTiを用いる場合を例示する。導電材料51の堆積には、微細空間を選択的に堆積物で埋め込むことが可能な超臨界CVD法を用いる。超臨界CVD法では、媒質として例えばCO2を用いる。CO2の臨界点は、圧力が7.4MPa、温度が31℃である。超臨界CO2中に導電材料51の原料(有機金属錯体)を溶解させ、堆積を行う。これにより、層間絶縁膜27上と、ビア孔28a内におけるCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内とが導電材料51で充填され、CNT28dと導電材料51との複合層(以下、CNT/Ti複合層と称する。)が形成される。
【0054】
続いて、図7(b)に示すように、ビアプラグ52を形成する。
詳細には、CMP法により、CNT28dがビア孔28a内のみに残存するように、層間絶縁膜27上のCNT/Ti複合層及び下地膜28bを平坦化処理により除去する。この平坦化処理では、Ta用のスラリー(酸系)を用い、層間絶縁膜27を研磨ストッパーとして用いて(層間絶縁膜27の表面が露出するまで)研磨が行われる。この研磨は、下地膜28bのTaの研磨レート及び層間絶縁膜27のSiOCの研磨レートについて、Ta>SiOCとなる高選択性研磨であることが好ましい。
【0055】
そして、CMPの後処理として、半導体基板10に例えば希フッ酸(5%)を用いた表面処理を施すことにより、研磨残渣を除去する。以上により、ビア孔28a内のCNT28d間の空隙及びCNT28dの中空内が導電材料51で充填されてなるビアプラグ52が形成される。
【0056】
続いて、図7(c)に示すように、保護膜21、層間絶縁膜31及び配線溝32aを形成した後、下地膜53aを形成する。
詳細には、先ず、第1の実施形態と同様に、保護膜21及び層間絶縁膜31を順次形成した後、層間絶縁膜31及び保護膜21に、ビアプラグ52の上面の少なくとも一部が底面に露出するように、配線溝32aを形成する。
次に、配線溝32aの内壁面を覆うように、層間絶縁膜31上にスパッタ法等によりTi、TiN、或いはTiとTiNの積層膜等を堆積し、下地膜53aを形成する。
【0057】
続いて、図7(d)に示すように、上部配線53を形成する。
詳細には、先ず、配線溝32aの内壁面を下地膜53aを介して覆うように、下地膜53a上にスパッタ法等により銅(Cu)等を堆積し、不図示のメッキシード膜を形成する。
次に、メッキ法により、メッキシード膜上にCu又はCu合金等の導電材料を、配線溝32a内を下地膜53aを介して導電材料で埋め込む厚みに成長させる。そして、層間絶縁膜31の表面が露出するまで、導電材料をCMP法により研磨し、配線溝32a内を下地膜53aを介して導電材料で充填する上部配線53を形成する。以上により、ビアプラグ52及び上部配線53が電気的に接続されてなる配線構造50が形成される。
【0058】
ここで、上部配線53を形成した後に、半導体基板10を例えば400℃で熱処理してもよい。この熱処理により、CNT28dと下地膜53aとの電気的接合が改善される。
【0059】
しかる後、配線構造50と電気的に接続されるように、更なる上層の配線構造を1乃至複数形成し、保護膜及び外部接続用のパッド電極の形成等を経て、半導体装置を形成する。ここで、上層の配線構造は、配線構造50と同様に形成することが好ましい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、CNT28dを有するビアプラグ52の更なる低抵抗化を実現して、ビアプラグ52の更なる微細化が可能となる。
【0061】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態の変形例と同様に、ソース/ドレイン領域と接続されるコンタクトプラグを、ビアプラグ52と同様に形成するようにしても良い。
また、配線構造の構成要素であるビアプラグ、及びソース/ドレイン領域と接続されるコンタクトプラグの各々について、第1の実施形態におけるビアプラグ33の構成と、第2の実施形態におけるビアプラグ52の構成とを、適宜織り交ぜて適用するようにしても良い。
【0062】
(第3の実施形態)
図8及び図9は、第3の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、先ず、第1の実施形態の図1(a)及び図1(b)の各工程を順次実行する。
【0063】
続いて、図8(a)に示すように、下地膜61a及び下部配線61を順次形成する。
詳細には、コンタクトプラグ23上を覆うように、層間絶縁膜22上にスパッタ法等によりTi、TiN、或いはTiとTiNの積層膜等を堆積し、下地膜61を形成する。
次に、下地膜61a上に真空蒸着法、スパッタ法或いは電界メッキ法等により金(Au)又はAu合金を堆積する。そして、堆積された金(Au)又はAu合金及び下地膜61をコンタクトプラグ23上で電極形状となるように、リソグラフィー及びミリング法により加工し、コンタクトプラグ23と下地膜61aを介して電気的に接続される下部配線61を形成する。
【0064】
続いて、図8(b)に示すように、層間絶縁膜63を形成した後、層間絶縁膜63にビア孔64aを形成する。
詳細には、先ず、下部配線61上を覆うように層間絶縁膜22上にプラズマCVD法等によりSiO2等を例えば膜厚500nm程度に堆積し、層間絶縁膜63を形成する。
次に、層間絶縁膜63上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストをパターニングして、レジストのビア孔の形成予定部位に開口65aを有するレジストマスク65を形成する。そして、レジストマスク65を用いて層間絶縁膜63をフッ素系ガス等を用いてドライエッチングし、下部配線61の上面の一部を露出させるビア孔64aを層間絶縁膜63に形成する。
【0065】
続いて、図8(c)に示すように、下地膜64bを形成した後、微粒子触媒64cを堆積する。なお、図8(c)〜図9(d)では、下部配線61の下部の構成については図示を省略する。
詳細には、先ず、ビア孔64aの形成時のリソグラフィーに用いたレジストマスク65を残した状態で、ビア孔64aの底面を含む層間絶縁膜63上に下地導電材料をスパッタ法等により堆積し、下地膜64bを形成する。下地導電材料としては、Ti,Ta,TiN,TaNから選ばれた一種又は2種以上(積層膜となる)とする。下地導電材料としてTa又はTaNを用いることにより、下部配線61を良好に保護する下地膜となり、下部配線61からのAu拡散が防止される。下地導電材料としてTi又はTiNを用いることにより、下部配線61に対する電気的及び機械的に良好なコンタクト層となる。本実施形態では、図2(a)の下地膜28bと同様に、Ta膜64b−1及びTiN膜64b−2を、異方性ロング・スロー・スパッタ法により積層堆積して、下地膜64bを形成する。
【0066】
次に、ビア孔64aの底面及びレジストマスク65上に、CNTを成長させる際の触媒となる微粒子触媒64cを堆積する。
微粒子触媒64cとしては、図2(a)の微粒子触媒28cと同様に、例えばCoを用い、レーザ・アブレーション法、スパッタ法或いは蒸着法によりCoの微粒子を堆積して、微粒子触媒64cとする。
【0067】
続いて、図8(d)に示すように、レジストマスク65を除去した後、CNT64dを成長する。
詳細には、先ず、リフトオフ法を用いて、レジストマスク65をフッ酸(HF)を用いたウェット処理等により除去する。このとき、微粒子触媒64cがビア孔64aの底面のみに堆積された状態となる。
次に、ビア孔64aの底面に堆積された微粒子触媒64cからCNT64dを成長する。CNT64dの成長条件としては、図2(b)のCNT28dの成長条件と同様とする。
【0068】
続いて、図9(a)に示すように、形成されたCNT64d間の空隙を埋め込むように、絶縁物の充填材料66を堆積する。充填材料66としては、図2(c)の充填材料29と同様に有機SOGを用いて、同様の堆積条件で堆積し、CNT/SOG複合層を形成する。
【0069】
続いて、図9(b)に示すように、CMP法により、CNT64dがビア孔64a内のみに残存するようにCNT/SOG複合層を平坦化処理する。この平坦化処理は、層間絶縁膜63のSiO2及び充填材料66の有機SOG(SiO2)の研磨レートについて、有機SOG>SiO2となる高選択性研磨であることが好ましい。また、CNTが高品質になるにつれて研磨レートが低下する傾向にあるため、酸系のスラリーを用いることでCNT64dの研磨レートを増加させることができる。但しこの場合、有機SOGの研磨レートが減少するため、CNT/SOG複合層の所望の平坦性が得られるように、スラリーの水素イオン濃度(pH)を適宜調整する。層間絶縁膜63上の下地膜64bは、研磨除去せずに残存させておく。
【0070】
続いて、図9(c)に示すように、ビア孔64a内の充填材料66を除去した後、ビアプラグ68を形成する。
詳細には、先ず、ビア孔64aにおいて、CNT64d間の空隙を充填する充填材料66を、例えば希フッ酸(5%)を用いたウェット処理を行うことにより除去する。
次に、ビア孔64a内を充填するように導電材料67を堆積する。本実施形態では、ビア孔64a内におけるCNT64d間の空隙及びCNT64dの中空内(図4と同様)を導電材料67で埋め込む。導電材料67としては、下部配線61と同じ材料(Au又はAu合金)を用いる。本実施形態では、第1の実施形態におけるビアプラグ33の形成時と同様の条件により、超臨界CVD法を用いて導電材料67を堆積する。微細空間であるビア孔64a内におけるCNT64d間の空隙及びCNT64dの中空内を埋め込むように導電材料67が成長してゆき、ビア孔64aを充填したときに超臨界CVDを終了する。このとき、層間絶縁膜63を覆う下地膜64b上には導電材料67が未だ堆積されない状態で、ビア孔64a内におけるCNT64d間の空隙及びCNT64dの中空内が導電材料67で充填されてなるビアプラグ68が形成される。
本実施形態では、CMP法等の平坦化処理を行うことなく、ビア孔64a内のみに導電材料67を充填し、ビアプラグ68を形成することができる。
【0071】
続いて、図9(d)に示すように、上部配線69を形成する。
詳細には、層間絶縁膜63上に真空蒸着法、スパッタ法或いは電界メッキ法等により金(Au)又はAu合金を堆積する。そして、堆積された金(Au)又はAu合金及び層間絶縁膜63上の下地膜64bをビアプラグ68上で電極形状となるように、リソグラフィー及びミリング法により加工し、ビアプラグ68と電気的に接続される上部配線69を形成する。以上により、ビアプラグ68及び上部配線69が電気的に接続されてなる配線構造60が形成される。
【0072】
しかる後、配線構造60と電気的に接続されるように、更なる上層の配線構造を1乃至複数形成し、保護膜及び外部接続用のパッド電極の形成等を経て、半導体装置を形成する。ここで、上層の配線構造は、配線構造60と同様に形成することが好ましい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、CNT64dを有するビアプラグ68の更なる低抵抗化を実現して、ビアプラグ68の更なる微細化が可能となる。
【0074】
なお、本実施形態では、ビアプラグ68を形成する際に超臨界CVD法によりビア孔64a内にAu又はAu合金を充填する場合を例示した。Au又はAu合金を充填する代わりに、第1の実施形態と同様に超臨界CVD法によりTi,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種をビア孔64a内に充填し、ビアプラグを形成するようにしても良い。この場合には、上部配線69を形成する際に、ビアプラグと上部配線69との間にTi,TiN又はこれらの積層膜をコンタクト層として形成することが好ましい。
【0075】
また、第1の実施形態の変形例と同様に、ソース/ドレイン領域と接続されるコンタクトプラグを、ビアプラグ68と同様に形成するようにしても良い。
また、第2の実施形態と同様に、下部配線61と接続されるビアプラグを、ビアプラグ52と同様に形成するようにしても好適である。
【0076】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、先ず、第1の実施形態の図1(a)及び図1(b)の各工程を実行する。
【0077】
続いて、図10(a)に示すように、下地膜71a及び下部配線71を順次形成する。
詳細には、コンタクトプラグ23上を覆うように、層間絶縁膜22上にスパッタ法等によりTi、TiN、或いはTiとTiNの積層膜等を堆積し、下地膜71aを形成する。
次に、下地膜71a上に例えばプラズマスパッタ法により、酸化インジウム・スズ(酸化インジウムに酸化スズを添加したもの:ITO)を堆積する。そして、堆積されたITO及び下地膜71aをコンタクトプラグ23上で電極形状となるように、リソグラフィー及びミリング法により加工し、コンタクトプラグ23と下地膜71aを介して電気的に接続される下部配線71を形成する。
【0078】
続いて、第3の実施形態の図8(b)〜図9(b)と同様の各工程を実行する。
続いて、図10(b)に示すように、ビア孔64a内の充填材料66を除去した後、ビアプラグ74を形成する。なお、図10(b)〜図10(c)では、下部配線71の下部の構成については図示を省略する。
詳細には、先ず、ビア孔64aにおいて、CNT64d間の空隙を充填する充填材料66を、例えば希フッ酸(5%)を用いたウェット処理を行うことにより除去する。
【0079】
ビア孔64a内を充填するように導電材料73を堆積する。本実施形態では、ビア孔64a内におけるCNT64d間の空隙及びCNT64dの中空内(図4と同様)を導電材料73で埋め込む。導電材料73としては、Ti,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種を用いる。本実施形態では、第1の実施形態におけるビアプラグ33の形成時と同様の条件により、超臨界CVD法を用いて導電材料73を堆積する。微細空間であるビア孔64a内におけるCNT64d間の空隙及びCNT64dの中空内を埋め込むように導電材料73が成長してゆき、ビア孔64aを充填したときに超臨界CVDを終了する。このとき、層間絶縁膜63を覆う下地膜64b上には導電材料73が未だ堆積されない状態で、ビア孔64a内におけるCNT64d間の空隙及びCNT64dの中空内が導電材料67で充填されてなるビアプラグ74が形成される。
本実施形態では、CMP法等の平坦化処理を行うことなく、ビア孔64a内のみに導電材料73を充填し、ビアプラグ74を形成することができる。
【0080】
続いて、図10(c)に示すように、下地膜75a及び上部配線75を形成する。
詳細には、先ず、層間絶縁膜63上にスパッタ法等によりTi,TiN又はこれらの積層膜を堆積し、コンタクト層として機能する下地膜75aを形成する。
次に、下地膜75a上に、例えばプラズマスパッタ法によりITOを堆積する。そして、堆積されたITO及び下地膜75aをビアプラグ74上で電極形状となるように、リソグラフィー及びミリング法により加工し、ビアプラグ74と下地膜75aを介して電気的に接続される上部配線75を形成する。以上により、ビアプラグ74及び上部配線75が下地膜75aを介して電気的に接続されてなる配線構造70が形成される。
【0081】
しかる後、配線構造70と電気的に接続されるように、更なる上層の配線構造を1乃至複数形成し、保護膜及び外部接続用のパッド電極の形成等を経て、半導体装置を形成する。ここで、上層の配線構造は、配線構造70と同様に形成することが好ましい。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、CNT64dを有するビアプラグ74の更なる低抵抗化を実現して、ビアプラグ74の更なる微細化が可能となる。
【0083】
なお、本実施形態では、第1の実施形態の変形例と同様に、ソース/ドレイン領域と接続されるコンタクトプラグを、ビアプラグ74と同様に形成するようにしても良い。
また、第2の実施形態と同様に、下部配線71と接続されるビアプラグを、ビアプラグ52と同様に形成するようにしても好適である。
【0084】
(第5の実施形態)
図11〜図13は、第5の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、先ず、第1〜第4の実施形態のうちのいずれかの製造工程を実行する。
そして、図11(a)に示すように、半導体基板10の表面に露出するように、外部接続用のパッド電極81を形成する。なお、図11の各図では、第1〜第4の実施形態のうちのいずれかにより半導体基板10上に形成した構造の図示を省略し、半導体基板10上にパッド電極81を図示する。
【0085】
詳細には、半導体基板10の上方に真空蒸着法、スパッタ法或いは電界メッキ法等により金(Au)又はAu合金を堆積する。そして、堆積された金(Au)又はAu合金を電極形状となるように、リソグラフィー及びミリング法により加工し、下方の各配線構造と電気的に接続されるパッド電極81を形成する。
【0086】
続いて、図11(b)に示すように、開口82aを有するレジストマスク82を形成する。
詳細には、パッド電極81を覆うようにレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストをパターニングして、パッド電極81の表面の一部を露出させる開口82aを形成する。以上により、開口82aを有するレジストマスク82が形成される。
【0087】
続いて、図11(c)に示すように、下地膜82bを形成した後、微粒子触媒84を堆積する。なお、図11(c)では、パッド電極81の下部の構成については図示を省略する。
詳細には、開口82aの底面を含むレジストマスク82上に下地導電材料をスパッタ法等により堆積し、下地膜83を形成する。下地導電材料としては、Ti,Ta,TiN,TaNから選ばれた一種又は2種以上(積層膜となる)とする。下地導電材料としてTa又はTaNを用いることにより、パッド電極81を良好に保護する下地膜となり、パッド電極81からのAu拡散が防止される。下地導電材料としてTi又はTiNを用いることにより、パッド電極81に対する電気的及び機械的に良好なコンタクト層となる。本実施形態では、Ta膜83−1及びTiN膜83−2を積層堆積して、下地膜83を形成する。
【0088】
次に、開口82aの底面を含むレジストマスク82上に、CNTを成長させる際の触媒となる微粒子触媒84を堆積する。
微粒子触媒84としては、図2(a)の微粒子触媒28cと同様に、例えばCoを用い、レーザ・アブレーション法、スパッタ法或いは蒸着法によりCoの微粒子を堆積して、微粒子触媒84とする。
【0089】
続いて、図11(d)に示すように、レジストマスク82を除去した後、CNT82を成長する。なお、図11(d)では、1つのパッド電極81及びその周辺を拡大して示す。
詳細には、先ず、リフトオフ法を用いて、レジストマスク82をフッ酸(HF)を用いたウェット処理等により除去する。このとき、パッド電極81上のみに下地膜83が残り、微粒子触媒84が下地膜83上のみに堆積された状態となる。
次に、微粒子触媒84からCNT85を成長する。CNT85の成長条件としては、図2(b)のCNT28dの成長条件と同様とする。
【0090】
続いて、図12(a)に示すように、形成されたCNT85を覆い、CNT85間の空隙を埋め込むように、絶縁物の充填材料86を堆積する。充填材料86としては、図2(c)の充填材料29と同様に有機SOGを用いて、同様の堆積条件で堆積し、CNT/SOG複合層を形成する。
続いて、図12(b)に示すように、CMP法により、CNT85の上端面が露出するまでCNT/SOG複合層を研磨して平坦化処理する。CMPには、例えば酸化膜系用(アルカリ系)のスラリーを用いる。
【0091】
続いて、図12(c)に示すように、CNTバンプ88を形成する。
詳細には、先ず、半導体基板10の上方でCNT85間の空隙を充填する充填材料86を、例えば希フッ酸(5%)を用いたウェット処理を行うことにより除去する。
次に、CNT85間の空隙及びCNT85の中空内を導電材料87で埋め込む。導電材料87としては、電極パッド81と同じ材料(Au又はAu合金)を用いる。本実施形態では、第1の実施形態におけるビアプラグ33の形成時と同様の条件により、超臨界CVD法を用いて導電材料87を堆積する。微細空間であるCNT85間の空隙及びCNT85の中空内を埋め込むように導電材料87が成長してゆき、当該埋め込みが完了したときに超臨界CVDを終了する。このとき、半導体基板10の上方におけるCNT85の非形成領域には導電材料87が未だ堆積されない状態で、CNT85間の空隙及びCNT85の中空内が導電材料87で充填されてなるCNTバンプ88が形成される。
本実施形態では、CMP法等の平坦化処理を行うことなく、CNT85間の空隙及びCNT85の中空内に導電材料67を充填し、CNTバンプ88を形成することができる。
【0092】
続いて、図13に示すように、フリップチップ接合を行う。
詳細には、図13(a)に示すように、各種の機能素子及び配線等が形成され、配線と接続されたAu又はAu合金からなるパッド電極102の形成された基板101を用意する。
そして、図13(b)に示すように、半導体基板10と基板101とを、CNTバンプ88とパッド電極102とが接触するように突き合わせて、フリップチップボンディングにより、半導体基板10と基板101とを接合する。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によれば、CNT85を有するCNTバンプ88の更なる低抵抗化を実現して、CNTバンプ88の更なる微細化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、第1の実施形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図3】図2に引き続き、第1の実施形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図4】第1の実施形態により形成されたCNT内の様子を示す概略断面図である。
【図5】第1の実施形態の変形例における半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図6】図5に引き続き、第1の実施形態の変形例における半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7】第2の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図8】第3の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図9】図8に引き続き、第3の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図10】第4の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図11】第5の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図12】図11に引き続き、第5の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図13】図12に引き続き、第5の実施形態による半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0095】
10 シリコン半導体基板
11 素子分離構造
12 ウェル
13 ゲート絶縁膜
14 ゲート電極
15 キャップ膜
16 エクステンション領域
17 サイドウォール絶縁膜
18 ソース/ドレイン領域
20 MOSトランジスタ
22,24,27,31,63 層間絶縁膜
23,43 コンタクトプラグ
23a コンタクト孔
23b,25b,28b,32b,41a,45a,53a,61a,64b,71a,75a,82b,83 下地膜
25,45,71 下部配線
25a,32a 配線溝
21,26 保護膜
28a,64a,64c ビア孔
28b−1,41a−1,64b−1,83−1 Ta膜
28b−2,41a−2,64b−2,83−2 TaN膜
28c,41b,64c,84 微粒子触媒
28d,41c,64d,85 CNT
29,66,86 充填材料
30,40,50,60,70 配線構造
32,53,61,69,75 上部配線
33,52,68,74 ビアプラグ
34,51,44,67,73,87 導電材料
65,82 レジストマスク
65a,82a 開口
81,102 パッド電極
88 CNTバンプ
101 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線と、
前記配線と電気的に接続された接続部と
を含み、
前記接続部は、炭素元素からなる線状構造体と、前記線状構造体間の空隙を充填すると共に、前記線状構造体の中空内を充填する導電材料とを有して形成されていることを特徴とする配線構造。
【請求項2】
前記配線は、前記接続部上の層間絶縁膜に形成された配線溝を、前記導電材料からなる下地膜を介して他の導電材料が充填されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】
前記導電材料は、Ti,Ta,Ru,TiN,TaNから選ばれた一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線構造。
【請求項4】
前記配線は、前記接続部上で前記導電材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項5】
半導体基板上に機能素子が形成された半導体装置であって、
前記半導体基板の上方に形成された配線と、
前記配線下において、前記配線と電気的に接続された接続部と
を含み、
前記接続部は、炭素元素からなる線状構造体と、前記線状構造体間の空隙を充填すると共に、前記線状構造体の中空内を充填する導電材料とを有して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
半導体基板上に機能素子及び配線が形成された半導体装置であって、
前記配線の上方で前記配線と接続された電極と、
前記電極上に形成された接続バンプと
を含み、
前記接続バンプは、炭素元素からなる線状構造体と、前記線状構造体間の空隙を充填すると共に、前記線状構造体の中空内を充填する導電材料とを有して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
配線と、
前記配線と電気的に接続された接続部と
を含む配線構造の形成方法であって、
前記接続部を、炭素元素からなる線状構造体を形成した後、導電材料を前記線状構造体間の空隙に充填すると共に前記線状構造体の中空内に充填することを特徴とする配線構造の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−135631(P2010−135631A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311257(P2008−311257)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】