説明

集束イオンビーム装置及び試料の加工・観察方法

【課題】筋引きの少ない良好な観察用断面を作製することができるとともに、スループットを向上させることが可能な集束イオンビーム装置、及び、良好な観察用断面を作製して、正確な観察像を得ることができる試料の断面加工・観察方法を提供する。
【解決手段】集束イオンビーム装置1は、試料Sを載置する試料台2と、試料台2を水平面上の二軸及び鉛直軸の三方向に移動させることが可能な三軸ステージ3と、試料Sに対して集束イオンビームI1、I2を照射する第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12とを備え、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12は、互いの集束イオンビームI1、I2の照射方向が、平面視略対向するとともに、側方視鉛直軸に対して略線対称に傾斜するように配置されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集束イオンビーム鏡筒から集束イオンビームを試料に照射して試料の加工などを行う集束イオンビーム装置、及び、試料の断面加工・観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、積層構造をなす半導体デバイスや薄膜磁気ヘッドの製造工程においては、その製造工程の評価手法として集束イオンビーム装置が利用されている。例えば、集束イオンビーム装置によって、試料の所定位置に集束イオンビームを照射してエッチングを行うことで観察用断面を作製する。そして、この観察用断面を走査電子顕微鏡(SEM)などによって観察することが行われていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。あるいは、同様に集束イオンビームを照射してエッチングを行うことで、試料を薄切りする。そして、この薄切りした試料を透過電子顕微鏡(TEM)によって観察することが行われていた。しかしながら、このような集束イオンビームを照射して観察用断面を作製する方法では、試料の照射表面における凹凸に起因して、集束イオンビームの照射方向である上下方向に筋引きが形成されてしまう問題がある。このような問題を解決して、良好な観察用断面を作製する方法としては、例えば、試料を傾斜させて集束イオンビームを照射する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような方法によれば、集束イオンビームが試料に対して斜めに照射されるので、上記のように試料に対して上下方向の筋引きが形成されず、影響が出たとしても斜め方向の筋引きが僅かに残る程度にすることができ、良好な観察用断面を作製することができるとされている。
【特許文献1】特許第2935180号公報
【特許文献2】特開2002−367115号公報
【特許文献3】特許第2973211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば特許文献2のように薄膜磁気ヘッドを試料として観察用断面を作製する場合には、試料のアスペクト比が非常に高いため、その凹凸形状に依存して、筋引きが集束イオンビームの照射方向に顕著に形成されてしまう問題があった。特許文献3による方法では、筋引きを軽減させる効果は認められるものの、このようなアスペクト比が高い試料においては、依然観察に適した良好な断面を得ることはできなく、また、試料を傾斜させて向きを調整する必要があるため、スループットが低下してしまう問題があった。
【0004】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、筋引きの少ない良好な観察用断面を作製することができるとともに、スループットを向上させることが可能な集束イオンビーム装置、及び、良好な観察用断面を作製して、正確な観察像を得ることができる試料の断面加工・観察方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の集束イオンビーム装置は、試料を載置する試料台と、該試料台を水平面上の二軸及び鉛直軸の三方向に移動させることが可能な三軸ステージと、前記試料に対して集束イオンビームを照射する第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒とを備え、前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒は、互いの集束イオンビームの照射方向が、平面視略対向するとともに、側方視前記鉛直軸に対して略線対称に傾斜するように配置されていることを特徴としている。
【0006】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、試料台に載置した試料を三軸ステージで所定位置となるように位置調整して、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれから集束イオンビームを照射する。第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向は、平面視略対向しているので、試料の観察用断面を両側から同時にエッチングして作製することができ、観察用断面作製におけるスループットを向上させることができる。また、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれからは鉛直軸に対して傾斜して集束イオンビームが照射されるので、試料の観察用断面には筋引きが斜め方向に形成される。このため、試料を傾斜させるなどの調整によってスループットが低下してしまうことなく、筋引きを軽減することができる。さらに、この際、互いの集束イオンビームが互いに形成する筋引きを削り取るので、結果として筋引きを軽減して、さらに良好な観察用断面を作製することができる。なお、透過電子顕微鏡(TEM)の観察用試料を作製する場合には、母体である試料を薄切りして作製する必要があるが、第一の集束イオンビーム鏡筒と第二の集束イオンビーム鏡筒とによって、観察用試料の両観察面を同時に加工することも可能である。
【0007】
また、本発明は、試料に集束イオンビームを照射してエッチングを行うことで、前記試料の所定位置に観察用断面を作製し、該観察用断面の観察を行う試料の断面加工・観察方法であって、試料台に載置された前記試料に対して、平面視略対向し、側方視鉛直軸に対して略線対称に傾斜した異なる二つの照射方向から集束イオンビームを照射して前記観察用断面を作製し、作製された該観察用断面に対向する照射方向から電子ビームを照射して、前記試料の前記観察用断面から二次電子を発生させるとともに、該二次電子を検出することで前記観察用断面を観察することを特徴としている。
【0008】
この発明に係る試料の加工・観察方法によれば、側方視鉛直軸に対して略線対称に傾斜した異なる二つの照射方向から集束イオンビームを照射することで、筋引きを軽減して、良好な観察用断面を得ることができる。また、観察用断面に電子ビームを照射し、発生する二次電子を検出することで、良好な観察像を得ることができるとともに、試料の加工から観察までのスループットを向上させることができる。
【0009】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記試料台を前記鉛直軸回りに回転させることが可能な回転ステージと、前記試料台を前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒の照射方向と略平行な軸回りに回転させることが可能な傾斜ステージとを備えることがより好ましいとされている。
【0010】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、試料台に載置された試料を三軸ステージによって水平面上の二軸及び鉛直軸の三方向に位置調整可能であるだけでなく、さらに回転ステージ及び傾斜ステージによって、鉛直軸回りに回転可能であるとともに、集束イオンビームの照射方向と略平行な軸回りに回転可能である。このため、試料に対して様々な角度で集束イオンビームを照射して、観察用断面を作製することが可能である。
【0011】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向は、共に前記鉛直軸に対して20度以上70度以下の傾斜角を有していることがより好ましいとされている。
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向を、鉛直軸に対して20度以上70度以下とすることで、互いに、また、試料とも干渉すること無く、試料に集束イオンビームを照射することができる。
【0012】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記試料に対して電子ビームを照射する第一の電子ビーム鏡筒と、該第一の電子ビーム鏡筒から前記試料に電子ビームが照射されることで、前記試料から発生する二次電子を検出する第一の二次電子検出器とを備え、前記第一の電子ビーム鏡筒は、電子ビームの照射方向が前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向と平面視略直交するように配置されていることがより好ましいとされている。
【0013】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、作製された観察用断面と対向する位置から第一の電子ビーム鏡筒によって電子ビームを照射し、試料の観察用断面から発生する二次電子を二次電子検出器で検出することで、観察用断面を観察することができる。この際、第一の電子ビーム鏡筒から照射される電子ビームの照射方向が、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向と平面視略直交しているので、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒で観察用断面を作製した後、試料の向きを変えること無く、観察用断面を観察することができる。このため、試料の加工から観察に至るまでのスループットをさらに向上させることができる。
【0014】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記第一の電子ビーム鏡筒の電子ビームの照射方向と平面視略対向するように、前記試料に対して電子ビームを照射する第二の電子ビーム鏡筒と、該第二の電子ビーム鏡筒から前記試料に電子ビームが照射されることで、前記試料から発生する二次電子を検出する第二の二次電子検出器とを備えることがより好ましいとされている。
【0015】
さらに、上記の試料の断面加工・観察方法において、異なる二つの照射方向から照射される前記集束イオンビームと対応して、前記電子ビームも平面視略対向する二つの照射方向から照射され、該電子ビームのそれぞれと対応して発生する二次電子をそれぞれ検出することがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の断面加工・観察方法によれば、第一の電子ビーム鏡筒によって電子ビームを照射し、第一の二次電子検出器で二次電子を検出することで一観察面を観察可能であると同時に、第二の電子ビーム鏡筒から電子ビームを照射し、第二の二次電子検出器で二次電子を検出することで、一観察面と反対側の他の観察面の観察も行うことができる。すなわち、例えば透過電子顕微鏡の観察用試料の作製においては、第一の集束イオンビーム鏡筒と第二の集束イオンビーム鏡筒とで、異なる二つの照射方向から集束イオンビームを照射して観察用試料の両観察面を同時に加工する。さらに、作製された観察用試料の向きを変えずに、第一の電子ビーム鏡筒と第二の電子ビーム鏡筒とよって異なる二つ照射方向から観察用試料の両面に電子ビームを照射して、第一の二次電子検出器及び第二の二次電子検出器によって発生する二次電子を検出することで、観察用試料の両観察面を同時に観察することができる。このため、試料の加工から観察に至るまでのスループットをさらに向上させることができる。
【0017】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれと対応して、集束イオンビームが照射されるのと同時にデポジションガスを噴出させる第一のガス銃及び第二のガス銃を備えることがより好ましいとされている。
【0018】
さらに、上記の試料の断面加工・観察方法において、前記集束イオンビームによって前記試料をエッチングする前工程として、異なる二つの照射方向から前記集束イオンビームを照射するのと同時に、それぞれの該集束イオンビームと対応してデポジションガスを噴出させて、前記試料の表面にデポジションを行うことがより好ましいとされている。
【0019】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の断面加工・観察方法によれば、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒から集束イオンビームを照射するとともに、第一のガス銃及び第二のガス銃からデポジションガスを噴出させることで、試料の両側から同時にデポジションを行い、試料の表面に成膜することができる。このため、アスペクト比の高い試料においても試料を傾斜させることなく均一に成膜することができるとともに、デポジションにおけるスループットを向上させることができる。また、試料の観察用断面の作製においては、試料を集束イオンビームでエッチングする前に、試料の表面に均一な膜を成膜することで、試料の凹凸に起因する筋引きを軽減させることができ、さらに良好な観察用断面を作製することができる。
【0020】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記試料に対して前記鉛直軸方向からアルゴンイオンビームを照射するアルゴンイオンビーム鏡筒を備えることがより好ましいとされている。
【0021】
さらに、上記の試料の断面加工・観察方法において、前記集束イオンビームを照射して前記観察用断面を作製した後に、さらに、前記観察用断面にアルゴンイオンビームを照射して前記観察用断面の仕上げ加工を行ってから、前記観察用断面を観察することがより好ましいとされている。
【0022】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の断面加工・観察方法によれば、第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒によって、異なる二つの照射方向から集束イオンビームを照射して観察用断面を作製した後に、アルゴンビーム鏡筒から観察用断面にアルゴンビームを照射して観察用断面を仕上げ加工することができることで、さらに良好な観察用断面を作製することができる。
【0023】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記鉛直軸方向から前記試料を光学的に観察可能な光学顕微鏡を備えるものとしても良い。
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、光学顕微鏡を有することで、作製される観察用断面を光学的に観察しながら試料の加工を行うことができる。このため、試料をさらに正確に加工することできる。
【0024】
また、上記の試料の断面加工・観察方法において、前記電子ビームを前記試料に照射して、前記試料から発生する前記二次電子を検出することで前記観察用断面の観察像を取得し、該観察像の色調差によって所定の二つの境界線を識別して該境界線間の距離を測定することで、前記観察用断面の断面測長を行うことがより好ましいとされている。
【0025】
この発明に係る断面加工・観察方法によれば、観察用断面の筋引きが軽減され、形成されたとしても斜め方向の筋引きとなる。このため、得られた観察像の色調差によって、測長しようとする断面の境界線を容易に、かつ正確に識別することができ、正確な断面測長を可能とさせる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の集束イオンビーム装置及び試料の断面加工・観察方法によれば、平面視対向する異なる二方向から鉛直軸に対して傾斜して試料に集束イオンビームを照射することで、観察用断面に形成される筋引きを軽減することができる。このため、良好な観察用断面を作製して観察を行うことができる。また、異なる二方向から同時に集束イオンビームを照射することで、観察用断面作製におけるスループットの向上も同時に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
図1から図3は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1に示すように、集束イオンビーム装置1は、試料Sを載置する試料台2と、試料台2に載置された試料Sに対してそれぞれ集束イオンビームI1、I2を照射可能な第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12とを備える。第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12は、共に内部に図示しない例えばガリウムイオンなどのイオン源を有し、電圧を印加することによってイオンビームを引き出して加速させるとともに、図示しない静電レンズなどで集束させて、集束イオンビームI1、I2を照射可能なものである。また、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12は、内部に図示しない偏向電極を有しており、偏向電極で偏向させることで所定の範囲を照射することが可能である。その他、可変絞り、ブランキング電極など公知の構成を有しているものである。
【0028】
図1に示すように、第一の集束イオンビーム鏡筒11と第二の集束イオンビーム鏡筒12とは、それぞれから照射される集束イオンビームI1、I2の照射方向が平面視略対向し、また、図2に示すように、側方視鉛直軸であるZ軸に対して略線対称に傾斜するように配置されている。なお、第一の集束イオンビーム鏡筒11の集束イオンビームI1の照射方向及び第二の集束イオンビーム鏡筒12の集束イオンビームI2の照射方向は、共に鉛直軸に対する傾斜角θが20度以上70度以下となるように設定されている。このため、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12は、互いに、また、試料Sとも干渉すること無く、試料Sに集束イオンビームI1、I2を照射することができる。
【0029】
また、図1に示すように、集束イオンビーム装置1は、試料Sに対して電子ビームE1を照射する電子ビーム鏡筒21と、電子ビーム鏡筒21から試料Sに電子ビームE1が照射されることで、試料Sから発生する二次電子F1を検出する二次電子検出器31とを備えている。電子ビーム鏡筒21は、内部に図示しない電子源を有し、電圧を印加することによって電子ビームを引き出して加速させるとともに、図示しない電磁レンズなどで集束させて電子ビームE1を照射可能なものである。また、電子ビーム鏡筒21は、内部に図示しない偏向電極を有しており、偏向電極によって偏向させることで所定の範囲を照射することが可能である。その他、可変絞り、ブランキング電極など公知の構成を有しているものである。電子ビーム鏡筒21は、電子ビームE1の照射方向が第一の集束イオンビーム及び第二の集束イオンビーム鏡筒12のそれぞれの集束イオンビームI1、I2の照射方向と平面視略直交するように配置されている。また、試料Sの被観察部分で電子ビームE1を走査することで、二次電子検出器31で検出された二次電子F1の強度分布は、画像処理部41で画像化され、表示部42において輝度変調像として表示される。なお、画像処理部41においては、二次電子F1の検出結果を画像化するとともに、その色調差から境界を識別することが可能であり、任意の距離の測定が可能である。
【0030】
また、図1及び図2に示すように、集束イオンビーム装置1は、試料台2を水面上の二軸であるX軸及びY軸並びに鉛直軸であるZ軸の三方向に移動させることが可能な三軸ステージ3を備える。ここで、X軸は、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12のそれぞれの集束イオンビームI1、I2の照射方向と平面視略一致する軸であり、Y軸は、X軸と直交し、電子ビーム鏡筒21の電子ビームE1の照射方向と平面視略一致する軸である。また、集束イオンビーム装置1は、さらに、試料台2をX軸回りに回転可能な傾斜ステージ4と、試料台2をZ軸回りに回転可能な回転ステージ5とを備える。
【0031】
次に、集束イオンビーム装置1の作用、及び、集束イオンビーム装置1を使用した試料の断面加工・観察方法について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態においては、試料Sとしてウエハ上に形成される薄膜磁気ヘッド7を例に挙げている。このような薄膜磁気ヘッド7は、図3に示すように、基板7a、基板下地7b、下部シールド膜7c、絶縁層7d、第一の磁性層7e、ギャップ層7f及び第二の磁性層7gの積層構造を有しており、絶縁層7dにMR素子7hが埋め込まれたものである。本実施形態においては、この試料Sである薄膜磁気ヘッド7の範囲Aに集束イオンビームを照射する断面加工を行い、観察用断面S1を作製して観察することで、その積層構造及び断面形状について検査する場合を例として説明する。
【0032】
図1及び図2に示すように、まず、三軸ステージ3、傾斜ステージ4、及び回転ステージ5を駆動させて、試料Sの範囲Aに集束イオンビームI1、I2が照射可能となるように、試料Sの位置及び向きの調整を行う。そして、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12から集束イオンビームI1、I2を照射する。必要に応じて、図示しない偏向電極によって各集束イオンビームI1、I2を走査するとともに、三軸ステージ3をY軸方向に送って、試料Sの範囲Aにおいてエッチングを行っていく。上述のように、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12のそれぞれの集束イオンビームI1、I2の照射方向は、平面視略対向している。このため、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12によって、試料Sを両側から同時にエッチングして観察用断面S1を作製することができ、観察用断面S1の作製におけるスループットを向上させることができる。また、図3に示すように、集束イオンビームI1、I2は、鉛直軸であるZ軸に対して傾斜して照射される。このため、観察用断面S1には、試料Sの表面の凹凸などに起因して筋引きB(B1、B2)が形成されるが、その方向が集束イオンビームI1、I2の照射方向と一致する斜め方向とすることができる。すなわち、試料Sを傾斜させるなどの調整によってスループットが低下してしまうことなどなく、筋引きBを軽減させることができる。さらに、この際、集束イオンビームI1、I2が、互いに形成する筋引きB1、B2を削り取るので、結果的としてさらに筋引きBを軽減して、良好な観察用断面S1を作製することができる。また、三軸ステージ3によってX軸、Y軸及びZ軸の三方向に、試料Sを位置調整可能であるだけでなく、さらに傾斜ステージ4及び回転ステージ5によって、試料SをX軸回りに傾斜させ、また、X軸回りに回転させることが可能である。このため、試料Sに対して様々な角度から集束イオンビームI1、I2を照射して、観察用断面S1を作製することが可能である。
【0033】
次に、作製された観察用断面S1の観察を行う。すなわち、図1に示すように、電子ビーム鏡筒21によって観察用断面S1に電子ビームE1を照射する。そして、図示しない偏向電極によって電子ビームE1を観察用断面S1上で走査するとともに、電子ビームE1が照射されることで観察用断面S1から発生する二次電子F1を二次電子検出器31で検出する。そして、その検出結果に基いて、二次電子F1の強度分布を画像処理部41によって画像化し、観察用断面S1の観察像を表示部42に表示することができる。この際、第一の集束イオンビーム鏡筒11と、第二の集束イオンビーム鏡筒12とで、筋引きBの少ない良好な観察用断面S1を作製することができるので、明瞭で、正確な観察像を得ることができる。また、電子ビーム鏡筒21から照射される電子ビームE1の照射方向が、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12のそれぞれの集束イオンビームI1、I2の照射方向と平面視略直交しているので、観察用断面S1を作製した後、試料Sの向きを変えること無く、観察用断面S1と対向する位置から電子ビームE1を照射して、観察用断面S1を観察することができる。このため、試料Sの加工から観察に至るまでのスループットを向上させることができる。
【0034】
次に、図3に示すような集束イオンビーム装置1によって得られた観察像を利用する例として、試料Sの第二の磁性層7gの幅Wを測定する場合を例に挙げる。まず、画像処理部41は、二次電子検出器31から入力された二次電子F1の検出結果に基いて、輝度変調画像を構築する。そして、図示しない操作部による指示に従って、第一の磁性層7eの幅W方向の二つの境界線L1、L2を識別する。より具体的には、得られた画像の色調差に基いて識別を行う。この際、上述のように、筋引きBの少ない良好な観察用断面S1の観察像を得ることができるとともに、形成される筋引きBも測定の対象である境界線L1、L2に対して斜め方向に形成されているので、境界線L1、L2の識別が容易であり、正確な断面測長が可能となる。
【0035】
以上のように、集束イオンビーム装置1は、平面視略対向する異なる二方向から鉛直軸に対して傾斜して同時に集束イオンビームI1、I2を照射可能であることで、試料Sを傾斜させたり、反転させたりすることなく、筋引きの少ない良好な観察用断面を効率的に作製することができる。また、集束イオンビームI1、I2と平面視直交する方向から電子ビームE1を照射可能であることで、作製された観察用断面S1の位置及び向きを調整すること無く、観察することができる。このため、観察用断面の作製から観察までのスループットの向上を図ることもできる。
【0036】
(第2の実施形態)
図4及び図5は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、この実施形態の集束イオンビーム装置50においては、さらに、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12のそれぞれと対応して、同時にデポジションガスG1、G2を噴出させる第一のガス銃51及び第二のガス銃52を備える。ここで、デポジションガスG1、G2は、例えば、W(CO)であり、集束イオンビームI1、I2の照射とともに、試料Sに噴出させることで、試料Sの表面にタングステンで形成された膜53を成膜することができる。なお、デポジションガスG1、G2は、上記に限るもので無く、膜53を形成するものによって適時選択可能なものである。
【0038】
このような集束イオンビーム装置50においては、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12から集束イオンビームI1、I2を照射するとともに、第一のガス銃51及び第二のガス銃52からデポジションガスG1、G2を噴出させることで、試料Sの両側から同時にデポジションを行い、試料Sの表面に成膜することができる。薄膜磁気ヘッド7のようなアスペクト比が高い試料Sにおいては、上方からデポジションを行うと、上部7iが成膜されていく一方、上部7iが先行して成膜されることで、成膜された膜が影となって基部7jに成膜されず、均一に成膜できない場合がある。しかしながら、Z軸に対して傾斜して集束イオンビームI1、I2を照射して、また、デポジションガスG1、G2を噴出させることで、上記のような現象を抑え、両側を同時に、かつ均一に成膜することができる。さらに、両側から同時にデポジションを行うことができることで、試料を傾斜させる必要や、反転させる必要も無く、デポジションにおけるスループットを向上させることができる。また、試料Sの観察用断面S1の作製においては、試料Sを集束イオンビームI1、I2でエッチングする前工程として、試料Sの表面に均一に膜53を成膜することで、試料Sの凹凸に起因する筋引きBを軽減させることができ、さらに良好な観察用断面S1を作製することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図6から図8は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
図6及び図7に示すように、この実施形態の集束イオンビーム装置60は、試料Sに対して電子ビームE1、E2を照射する第一の電子ビーム鏡筒61及び第二の電子ビーム鏡筒62と、電子ビームE1、E2が試料Sに照射されることで、試料Sから発生する二次電子F1、F2をそれぞれ検出する第一の二次電子検出器71及び第二の二次電子検出器72とを備える。第一の電子ビーム鏡筒61及び第二の電子ビーム鏡筒62は、それぞれの電子ビームE1、E2の照射方向が平面視略対向しているとともに、これらの照射方向が第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12のそれぞれから照射される集束イオンビームI1、I2の照射方向と平面視略直交するように配置されている。また、第一の二次電子検出器71及び第二の二次電子検出器72で検出された二次電子F1、F2の強度分布のそれぞれは、画像処理部41で画像化されて、表示部42に別々に表示される。また、集束イオンビーム装置60は、さらに、試料Sに対して、Z軸方向からアルゴンイオンビームI3を照射可能なアルゴンイオンビーム鏡筒63を備える。第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12が5kVから30kV程度の加速電圧で集束イオンビームI1、I2を照射するのに対して、アルゴンイオンビーム鏡筒63は、0.5kVから15kV程度の低エネルギーでアルゴンイオンビームI3を照射することが可能である。
【0041】
次に、このような集束イオンビーム装置60の作用について、薄膜磁気ヘッド7である試料Sから透過電子顕微鏡(TEM)用の観察用試料を作製する場合を例として説明する。透過電子顕微鏡においては、観察用試料に電子ビームを透過させて観察するため、母体となる試料Sから観察用試料を、電子ビームが透過可能な厚さで薄切して作製する必要がある。図8に示すように、まず、第一の集束イオンビーム鏡筒11と第二の集束イオンビーム鏡筒12とで、試料Sの両側から集束イオンビームI1、I2を照射する。この際、図示しない偏向電極によって集束イオンビームI1、I2の照射方向を微調整し、試料Sのうち観察用試料S2の一観察面S3となる部分に第一の集束イオンビーム鏡筒11の集束イオンビームI1を照射し、他の観察面S4となる部分に第二の集束イオンビーム鏡筒12の集束イオンビームI2を照射する。このように、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12によって観察用試料S2の両観察面S3、S4を同時に加工することができ、観察用試料S2作製におけるスループット向上を図ることができる。また、第一の電子ビーム鏡筒61及び第二の電子ビーム鏡筒62によって、加工された観察用試料S2の両観察面S3、S4を試料Sの向きを変えずに観察することができる。このため、試料Sの加工から観察までのスループットをさらに向上させることができる。また、観察の前工程において、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12によって作製された観察用試料S2の両観察面S3、S4に、アルゴンイオンビーム鏡筒63からアルゴンイオンビームI3を照射することで、両観察面S3、S4の仕上げ加工を行うことができる。このため、観察面S3、S4をさらに良好なものとすることができる。
【0042】
(第4の実施形態)
図9及び図10は、この発明に係る第4の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。この実施形態の集束イオンビーム装置80においては、Z軸方向から試料Sを光学的に観察可能な光学顕微鏡81を備えている。このような集束イオンビーム装置80においては、試料Sを効率的に加工することができるとともに、光学的に試料Sを観察することができることで、試料Sをより正確に加工することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0044】
なお、各実施形態において、試料Sは、三軸ステージ3、傾斜ステージ4、及び回転ステージ5によって位置及び向きを調整することが可能であるとしたが、少なくとも三軸ステージ3を有していれば、筋引きの少ない良好な観察用断面を作製することが可能である。また、各実施形態において、作製された観察用断面、または、観察用試料S2の両観察面S3、S4は、電子ビームを照射して、二次電子を検出することにより観察像を得るものとしたが、第一の集束イオンビーム鏡筒11及び第二の集束イオンビーム鏡筒12による集束イオンビームI1、I2を照射した際に試料Sから発生する二次電子あるいは二次イオンを検出して観察像を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の平面視した概略図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の側方視した概略図である。
【図3】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の説明図である。
【図4】この発明の第2の実施形態の集束イオンビーム装置の側方視した概略図である。
【図5】この発明の第2の実施形態の集束イオンビーム装置の説明図である。
【図6】この発明の第3の実施形態の集束イオンビーム装置の平面視した概略図である。
【図7】この発明の第3の実施形態の集束イオンビーム装置の側方視した概略図である。
【図8】この発明の第3の実施形態の集束イオンビーム装置の説明図である。
【図9】この発明の第4の実施形態の集束イオンビーム装置の平面視した概略図である。
【図10】この発明の第4の実施形態の集束イオンビーム装置の側方視した概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1、50、60、80 集束イオンビーム装置
2 試料台
3 三軸ステージ
4 傾斜ステージ
5 回転ステージ
11 第一の集束イオンビーム鏡筒
12 第二の集束イオンビーム鏡筒
21 電子ビーム鏡筒(第一の電子ビーム鏡筒)
31 二次電子検出器(第一の二次電子検出器)
51 第一のガス銃
52 第二のガス銃
61 第一の電子ビーム鏡筒
62 第二の電子ビーム鏡筒
63 アルゴンイオンビーム鏡筒
71 第一の二次電子検出器
72 第二の二次電子検出器
81 光学顕微鏡
B、B1、B2 筋引き
E1、E2 電子ビーム
F1、F2 二次電子
G1、G2 デポジションガス
I1、I2 集束イオンビーム
I3 アルゴンイオンビーム
L1、L2 境界線
S 試料
S1 観察用断面
S2 観察用試料
S3 一観察面
S4 他の観察面
X、Y 水平面上の軸
Z 鉛直軸
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置する試料台と、
該試料台を水平面上の二軸及び鉛直軸の三方向に移動させることが可能な三軸ステージと、
前記試料に対して集束イオンビームを照射する第一の集束イオンビーム鏡筒及び第二の集束イオンビーム鏡筒とを備え、
前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒は、互いの集束イオンビームの照射方向が、平面視略対向するとともに、側方視前記鉛直軸に対して略線対称に傾斜するように配置されていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置において、
前記試料台を前記鉛直軸回りに回転させることが可能な回転ステージと、
前記試料台を前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒の照射方向と略平行な軸回りに回転させることが可能な傾斜ステージとを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の集束イオンビーム装置において、
前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向は、共に前記鉛直軸に対して20度以上70度以下の傾斜角を有していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記試料に対して電子ビームを照射する第一の電子ビーム鏡筒と、
該第一の電子ビーム鏡筒から前記試料に電子ビームが照射されることで、前記試料から発生する二次電子を検出する第一の二次電子検出器とを備え、
前記第一の電子ビーム鏡筒は、電子ビームの照射方向が前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれの集束イオンビームの照射方向と平面視略直交するように配置されていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項5】
請求項4に記載の集束イオンビーム装置において、
前記第一の電子ビーム鏡筒の電子ビームの照射方向と平面視略対向するように、前記試料に対して電子ビームを照射する第二の電子ビーム鏡筒と、
該第二の電子ビーム鏡筒から前記試料に電子ビームが照射されることで、前記試料から発生する二次電子を検出する第二の二次電子検出器とを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記第一の集束イオンビーム鏡筒及び前記第二の集束イオンビーム鏡筒のそれぞれと対応して、集束イオンビームが照射されるのと同時にデポジションガスを噴出させる第一のガス銃及び第二のガス銃を備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記試料に対して前記鉛直軸方向からアルゴンイオンビームを照射するアルゴンイオンビーム鏡筒を備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記鉛直軸方向から前記試料を光学的に観察可能な光学顕微鏡を備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項9】
試料に集束イオンビームを照射してエッチングを行うことで、前記試料の所定位置に観察用断面を作製し、該観察用断面の観察を行う試料の断面加工・観察方法であって、
試料台に載置された前記試料に対して、平面視略対向し、側方視鉛直軸に対して略線対称に傾斜した異なる二つの照射方向から集束イオンビームを照射して前記観察用断面を作製し、
作製された該観察用断面に対向する照射方向から電子ビームを照射して、前記試料の前記観察用断面から二次電子を発生させるとともに、該二次電子を検出することで前記観察用断面を観察することを特徴とする試料の断面加工・観察方法。
【請求項10】
請求項9に記載の試料の断面加工・観察方法において、
異なる二つの照射方向から照射される前記集束イオンビームと対応して、前記電子ビームも平面視略対向する二つの照射方向から照射され、
該電子ビームのそれぞれと対応して発生する二次電子をそれぞれ検出することを特徴とする試料の断面加工・観察方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の断面加工・観察方法において、
前記集束イオンビームによって前記試料をエッチングする前工程として、異なる二つの照射方向から前記集束イオンビームを照射するのと同時に、それぞれの該集束イオンビームと対応してデポジションガスを噴出させて、前記試料の表面にデポジションを行うことを特徴とする試料の断面加工・観察方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれかに記載の試料の断面加工・観察方法において、
前記集束イオンビームを照射して前記観察用断面を作製した後に、さらに、前記観察用断面にアルゴンイオンビームを照射して前記観察用断面の仕上げ加工を行ってから、前記観察用断面を観察することを特徴とする試料の断面加工・観察方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれかに記載の試料の断面加工・観察方法において、
前記電子ビームを前記試料に照射して、前記試料から発生する前記二次電子を検出することで前記観察用断面の観察像を取得し、該観察像の色調差によって所定の二つの境界線を識別して該境界線間の距離を測定することで、前記観察用断面の断面測長を行うことを特徴とする試料の断面加工・観察方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−220344(P2007−220344A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36605(P2006−36605)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】