説明

集積回路装置及びその製造方法

【課題】チップ面積が小さく、製造コストが低い集積回路装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】集積回路装置の製造方法において、複数の第1絶縁層及び複数の第2絶縁層を1層ずつ交互に積層させて積層体を形成すると共に、少なくとも2層の前記第2絶縁層内に少なくとも2本の配線を形成する工程と、前記積層体における前記積層体の積層方向から見て前記配線から離隔した位置に、前記積層方向に延びるコンタクトホールを形成する工程と、前記第2絶縁層における前記コンタクトホールと前記配線との間の部分を除去する工程と、前記第2絶縁層が除去された部分及び前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込む工程と、を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリセルを3次元的に集積させた積層型記憶装置が提案されている。メモリセルを3次元的に集積させることにより、1ビット当たりのコストを下げることができる。このような積層型記憶装置としては、一方向に延びる複数本のビット線と、他方向に延びる複数本のワード線とを絶縁膜を挟んで交互に積層させて、ビット線とワード線の最近接部分毎にメモリセルを設けたクロスポイント型の記憶装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、このようなクロスポイント型の記憶装置において、上下方向に配列された複数本のビット線又はワード線を1本のコンタクトによって共通接続する技術が提案されている。このコンタクトのコンタクトホールは一度のエッチングによって形成できるため、各層毎にコンタクトホールを形成する場合と比較して、工程数を減らして製造コストを低減することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、上層の配線と下層の配線とを相互に少しずらして配置し、コンタクトの中間部分を上層の配線に引っかけて、下端を下層の配線に到達させている。この場合、コンタクトホールを形成するためのエッチングにおいて、エッチングの先端がある配線に到達した後は、この配線がマスクとなる。このため、1つの配線を通過する度に、コンタクトホールが段階的に細くなってしまう。
【0005】
従って、1本のコンタクトが接続できる配線の数には限度がある。特許文献1では、1本のコンタクトの中間部分には1本の配線しか接続されておらず、コンタクトの上端及び下端に接続された配線を含めて、3本の配線が共通接続されているだけである。より多くの配線に無理に接続しようとしても、コンタクトホールが細くなりすぎてエッチングが途中で停止してしまう。なお、コンタクトホールの上端のサイズを大きくすれば、より深いコンタクトホールを形成することができ、より多くの配線に接続されるコンタクトを形成することができるが、この場合はチップサイズが増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−130140号公報(図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、チップ面積が小さく、製造コストが低い集積回路装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、複数の第1絶縁層及び複数の第2絶縁層が1層ずつ交互に積層された積層体と、少なくとも2層の前記第2絶縁層内に設けられた少なくとも2本の配線と、前記積層体内に設けられ、前記少なくとも2本の配線に共通接続されたコンタクトと、を備え、前記コンタクトは、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層を貫通した柱部分と、前記第2絶縁層内において前記柱部分から張り出し、前記配線の側面に接触した張出部分と、を有することを特徴とする集積回路装置が提供される。
【0009】
本発明の他の一態様によれば、複数の第1絶縁層及び複数の第2絶縁層を1層ずつ交互に積層させて積層体を形成すると共に、少なくとも2層の前記第2絶縁層内に少なくとも2本の配線を形成する工程と、前記積層体における前記積層体の積層方向から見て前記配線から離隔した位置に、前記積層方向に延びるコンタクトホールを形成する工程と、前記第2絶縁層における前記コンタクトホールと前記配線との間の部分を除去する工程と、前記第2絶縁層が除去された部分及び前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込む工程と、を備えたことを特徴とする集積回路装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チップ面積が小さく、製造コストが低い集積回路装置及びその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る集積回路装置を例示する模式的断面図である。
【図2】実施形態に係る集積回路装置のメモリアレイ領域を例示する斜視図である。
【図3】(a)〜(f)は、実施形態に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図である。
【図4】(a)は実施形態に係る集積回路装置の製造方法を例示する平面図であり、(b)は(a)に示すF−F’線による断面図である。
【図5】(a)は実施形態に係る集積回路装置の製造方法を例示する平面図であり、(b)は(a)に示すF−F’線による断面図である。
【図6】(a)は実施形態に係る集積回路装置の製造方法を例示する平面図であり、(b)は(a)に示すF−F’線による断面図である。
【図7】(a)は実施形態に係る集積回路装置の製造方法を例示する平面図であり、(b)は(a)に示すF−F’線による断面図である。
【図8】(a)〜(f)は、第1の変形例に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図である。
【図9】(a)〜(f)は、第2の変形例に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図である。
【図10】比較例に係る集積回路装置を例示する模式的断面図である。
【図11】(a)〜(f)は、比較例に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図である。
【図12】(a)及び(b)は、本比較例のコンタクトを例示する断面図であり、(a)はコンタクトの中間部分に1本の金属配線を接続させた場合を示し、(b)はコンタクトの中間部分に2本以上の金属配線を接続させようとした場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る集積回路装置を例示する模式的断面図であり、
図2は、本実施形態に係る集積回路装置のメモリアレイ領域を例示する斜視図であり、
図3(a)は、本実施形態に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図であり、(d)は(a)に示すC−C’線による断面図であり、(e)は(a)に示すD−D’線による断面図であり、(f)は(a)に示すE−E’線による断面図である。
なお、図示の便宜上、図2及び図3においては、導電部分のみを示し、絶縁部分は省略している。後述する図8及び図9についても同様である。
本実施形態に係る集積回路装置は、ReRAM(Resistance Random Access Memory:抵抗変化型メモリ)である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る集積回路装置1においては、シリコン基板11が設けられており、シリコン基板11の上層部分及び上面上には、駆動回路(図示せず)が形成されている。シリコン基板11上には、この駆動回路を埋め込むように絶縁層12が設けられており、絶縁層12上には、それぞれ複数層の絶縁層13及び絶縁層14が1層ずつ交互に積層されて、積層体20が形成されている。積層体20上には、絶縁層15が設けられている。
【0014】
絶縁層13は、絶縁層12、14及び15とは異なる絶縁材料により形成されている。すなわち、絶縁層13は、絶縁層12、14及び15に対して、組成、結晶構造、不純物濃度等の構成要素のうち、少なくとも1つの構成要素が異なっている。例えば、絶縁層13の不純物濃度は、絶縁層12、14及び15の不純物濃度よりも高い。例えば、絶縁層12及び15は、TEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料とするCVD(chemical vapor deposition:化学気相成長)法によって堆積されたノンドープのシリコン酸化物によって形成されている。また、絶縁層14は、HDP−CVD(High Density Plasma chemical vapor deposition:高密度プラズマ化学気相成長)法によって形成されたノンドープのシリコン酸化物によって形成されている。これに対して、絶縁層13は、例えばCVD法によって堆積されたBSG(boron silicate glass:ボロンドープシリコン酸化物)によって形成されている。
【0015】
また、集積回路装置1においては、メモリアレイ領域Rmが設定されており、メモリアレイ領域Rmの周囲にはコンタクト領域Rcが設定されている。
先ず、メモリアレイ領域Rmの構成について説明する。
メモリアレイ領域Rmにおいては、一層おきの絶縁層13内に、複数本のワード線WLが設けられている。各ワード線WLは、シリコン基板11の上面に平行な一方向(以下、「ワード線方向」という)に延びている。ワード線WLの上面及び下面は、絶縁層13と絶縁層14との界面に位置している。絶縁層13及びその内部に埋め込まれたワード線WLにより、ワード線配線層が形成されている。
【0016】
また、ワード線WLが埋め込まれていない1層おきの絶縁層13内には、複数本のビット線BLが設けられている。各ビット線BLは、シリコン基板11の上面に平行な方向であって、ワード線方向に対して交差、例えば直交する方向(以下、「ビット線方向」という)に延びている。ビット線BLの上面及び下面は、絶縁層13と絶縁層14との界面に位置している。絶縁層13及びその内部に埋め込まれたビット線BLにより、ビット線配線層が形成されている。ワード線WL及びビット線BLは、例えば、タングステン(W)により形成されている。同じ絶縁層13内に形成されたワード線WL同士及びビット線BL同士は、絶縁層13により絶縁されている。また、ワード線WLとビット線BLとは、絶縁層14により絶縁されている。
【0017】
そして、各ワード線WLと各ビット線BLとの最近接点には、シリコン基板11の上面に対して垂直な方向(以下、「上下方向」という)に延びるピラー16が設けられている。ピラー16は、絶縁層14内におけるワード線WLとビット線BLとの間に形成されており、1本のピラー16により、1つのメモリセルが構成されている。すなわち、集積回路装置1は、ワード線WLとビット線BLとの最近接点毎にメモリセルが配置されたクロスポイント型の装置である。ピラー16においては、下方から上方に向かって、下部電極膜21、シリコンダイオード22、中間電極膜23、バリアメタル24、抵抗変化膜25、バリアメタル26及び上部電極膜27がこの順に積層されている。
【0018】
シリコンダイオード22は例えばポリシリコンからなり、導電型がN型のN型層、真性半導体からなるI型層、及び導電型がP型のP型層が積層されたPINダイオードである。これにより、シリコンダイオード22は、ビット線BLにワード線WLよりも高い電位が供給された場合にのみ電流を流し、逆方向の電流は流さない。また、下部電極膜21は、ワード線WLを形成するタングステンとシリコンダイオード22を形成するシリコンとの反応を抑制するバリア膜である。更に、抵抗変化膜25は、例えば金属酸化物により形成されており、2水準以上の抵抗値をとることができ、且つ、所定の電気信号を入力することにより、抵抗値を切り替えることができる膜である。
【0019】
次に、コンタクト領域Rcの構成について説明する。
コンタクト領域Rcにおいては、絶縁層12内に下層配線M1が設けられており、絶縁層15内に上層配線M2が設けられている。また、コンタクト領域Rcには、ワード線WL及びビット線BLがメモリアレイ領域Rmから引き出されている。そして、ワード線WL及びビット線BLにおけるメモリアレイ領域Rmに引き出された部分には、枠状部分41が形成されている。上下方向から見て、枠状部分41においては、正方形の辺に沿って4本の配線が配置されており、内部が開口している。
【0020】
また、コンタクト領域Rcにおいては、積層体20内に、コンタクト31が設けられている。コンタクト31の下端は下層配線M1に接続され、上端は上層配線M2に接続されている。一部のコンタクト31は、相互に異なる絶縁層13内に形成されたワード線WLの枠状部分41の内側に形成されており、これらの枠状部分41の内面に接している。これにより、このコンタクト31の中間部分は、相互に異なる絶縁層13内に形成された複数本のワード線WLに共通接続されている。一方、他のコンタクト31は、相互に異なる絶縁層13内に形成されたビット線BLの枠状部分41の内側に形成されており、これらの枠状部分41の内面に接している。これにより、この他のコンタクト31の中間部分は、相互に異なる絶縁層13内に形成された複数本のビット線BLに共通接続されている。
【0021】
各コンタクト31においては、1本の柱部分32及び複数の張出部分33が設けられている。柱部分32は上下方向に延び、絶縁層13及び14を貫通している。また、柱部分32の形状は、下方にいくほど連続的に細くなる柱状で、例えば円柱状である。一方、張出部分33は、絶縁層13内において柱部分32から周囲に張り出しており、その形状は柱部分32を囲む環状であり、ワード線WL又はビット線BLの側面に接触している。また、コンタクト31の中心軸上における張出部分33に囲まれた部分には、ボイド34が形成されていてもよい。更に、各コンタクト31においては、例えばタングステン(W)からなるコンタクト本体の上面を除く表面に、例えばチタン(Ti)層及び窒化チタン(TiN)層が積層されたバリアメタル層35が形成されている。
【0022】
次に、本実施形態に係る集積回路装置の製造方法について説明する。
図4〜図7は、本実施形態に係る集積回路装置の製造方法を例示する図であり、各図の(a)はコンタクト領域を例示する平面図であり、各図の(b)は(a)に示すF−F’線による断面図である。
【0023】
先ず、図1及び2に示すように、シリコン基板11の上面に、メモリセルを駆動するための駆動回路(図示せず)を形成する。次に、例えばTEOSを原料とするCVD法により、シリコン基板11上にノンドープのシリコン酸化物を堆積させて、絶縁層12を形成する。このとき、絶縁層12内には、駆動回路まで到達するコンタクト(図示せず)と、このコンタクトに接続された下層配線M1を形成する。
【0024】
次に、図1並びに図4(a)及び(b)に示すように、例えばCVD法により、ボロンをドープしながらシリコン酸化物を堆積させて、BSGからなる絶縁層13を形成する。次に、例えばダマシン法によって絶縁層13内にタングステンを埋め込み、複数本のワード線WLを形成する。このとき、メモリアレイ領域Rmにおいては、複数本のワード線WLをワード線方向に延びるように相互に平行に形成し、各ワード線WLの一端部をコンタクト領域Rcまで引き出す。そして、コンタクト領域Rcにおいては、ワード線WLに枠状部分41を形成する。
【0025】
次に、絶縁層13上に下部電極膜21、シリコンダイオード22、中間電極膜23、バリアメタル24、抵抗変化膜25、バリアメタル26及び上部電極膜27をこの順に堆積させる。次に、リソグラフィ法及びRIE(reactive ion etching:反応性イオンエッチング)法により、上部電極膜27、バリアメタル26、抵抗変化膜25、バリアメタル24、中間電極膜23、シリコンダイオード22及び下部電極膜21を選択的に除去して、ワード線方向及びビット線方向の双方に沿って分断する。これにより、各ワード線WL上に複数本のピラー16が形成される。次に、例えばHDP−CVD法により、絶縁層13上にノンドープのシリコン酸化物を堆積させて、その上面を、上部電極膜27をストッパーとしたCMP(chemical mechanical polishing:化学的機械研磨)によって平坦化する。これにより、ピラー16を埋め込む絶縁層14が形成される。
【0026】
次に、絶縁層14上に再び絶縁層13を形成し、例えばダマシン法により、絶縁層13内に複数本のビット線BLを形成する。このとき、メモリアレイ領域Rmにおいては、複数本のビット線BLをビット線方向に延びるように相互に平行に形成し、各ビット線BLの一端部をコンタクト領域Rcまで引き出す。そして、コンタクト領域Rcにおいては、ビット線BLに枠状部分を形成する。
【0027】
次に、この絶縁層13上に、上述の方法により、ピラー16及び絶縁層14を形成する。このようにして、ワード線WLを含む絶縁層13(ワード線配線層)、ピラー16を含む絶縁層14、ビット線BLを含む絶縁層13(ビット線配線層)、ピラー16を含む絶縁層14が形成される。以後、この工程を繰り返すことにより、ワード線WL、ビット線BL及びピラー16を含む積層体20が作製される。このとき、相互に接続するワード線WL及びビット線BLについては、枠状部分41を上方から見て同じ位置に形成する。
【0028】
次に、図5(a)及び(b)に示すように、リソグラフィ法及びRIE法により、コンタクト領域Rcにおいて、積層体20にコンタクトホール42を形成する。コンタクトホール42は、ワード線WL又はビット線BL(以下、総称して「金属配線」ともいう)の枠状部分41の内側に、枠状部分41を構成する各配線から離隔して形成する。また、コンタクトホール42の下端は下層配線M1に到達させる。このとき、エッチング領域にはワード線WL及びビット線BLが介在しないため、コンタクトホール42は上端から下端に向かって少しずつ連続的に細くなる。すなわち、コンタクトホール42が上端から下端に向かう途中の位置で金属配線に干渉されて、不連続的に細くなることがない。このため、アスペクト比が高いコンタクトホール42を形成することができ、コンタクトホール42の上端の直径をあまり大きくせずに、深く形成することができる。
【0029】
次に、図6(a)及び(b)に示すように、絶縁層14のエッチング速度よりも絶縁層13のエッチング速度が高くなる条件、すなわち、絶縁層14に対する絶縁層13のエッチング選択比がとれるような条件で、コンタクトホール42の内面を等方的にエッチングする。例えば、フッ酸の蒸気を吹き付けるエッチング(VPC)を行う。これにより、ボロンがドープされていない絶縁層14に対して、ボロンがドープされている絶縁層13が選択的にエッチングされて、コンタクトホール42のうち絶縁層13内に位置する部分の内面が後退する。すなわち、コンタクトホール42の周囲に、絶縁層13が環状に除去された拡張部分43が形成される。そして、この拡張部分43がワード線WL又はビット線BLの枠状部分41の内側面に到達するまで、エッチングを行う。この結果、絶縁層13におけるコンタクトホール42と枠状部分41との間の部分が除去されて、枠状部分41の内側面が拡張部分43内において露出する。
【0030】
次に、図7(a)及び(b)に示すように、例えばCVD法により、コンタクトホール42及び拡張部分43の内面上に、チタン(Ti)層及び窒化チタン(TiN)層からなる2層膜を形成し、バリアメタル層35を形成する。次に、例えばCVD法により、コンタクトホール42及び拡張部分43の内部にタングステン(W)等の導電材料を埋め込む。そして、CMPにより、積層体20の上面上からバリアメタル層35及びタングステン層を除去する。これにより、コンタクトホール42及び拡張部分43の内部に、コンタクト31が形成される。このとき、コンタクト31のうち、拡張部分43内に形成された部分が上述の張出部分33となり、コンタクトホール42内に形成された部分が上述の柱部分32となる。また、コンタクト31の中心軸上における張出部分33に囲まれた部分には、ボイド34が形成される場合がある。次に、例えば、TEOSを原料とするCVD法によってノンドープのシリコン酸化物を堆積させて、絶縁層15を形成する。次に、絶縁層15内におけるコンタクト31の直上域を含む領域に、上層配線M2を形成する。これにより、上層配線M2はコンタクト31を介して下層配線M1に接続される。このようにして、本実施形態に係る集積回路装置1が製造される。
【0031】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、図5(a)及び(b)に示す工程において、コンタクトホール42を金属配線、すなわち、ワード線WL又はビット線BLから離隔した領域に形成しているため、コンタクトホール42を形成するためのエッチングに金属配線が介在することがなく、コンタクトホール42がこれらの金属配線に干渉されて不連続的に細くなることがない。このため、一度のエッチング工程によって、アスペクト比が高いコンタクトホールを形成することができる。また、図6(a)及び(b)に示す工程において、絶縁層13におけるコンタクトホール42と金属配線との間の部分を除去しているため、図7(a)及び(b)に示す工程において、タングステンを埋め込んだときに、コンタクト31を金属配線に接続させることができる。このように、本実施形態によれば、コンタクトホール42を形成する工程と、拡張部分43を形成する工程とを分離しているため、コンタクトホール42の形成条件が、コンタクト31に接続される金属配線の本数によって左右されることがない。このため、1本のコンタクト31に多数の金属配線を共通接続させることができる。この結果、工程数を減らして集積回路装置の製造コストを低減させることができる。また、コンタクト31の上端のサイズを過度に大きくする必要がないため、チップ面積を縮小することができる。すなわち、チップ面積が小さく、製造コストが低い集積回路装置を実現することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、絶縁層14のエッチング速度よりも絶縁層13のエッチング速度が高くなるような条件でコンタクトホール42の内面を等方的にエッチングすることにより、絶縁層13を選択的に除去している。このため、コンタクトホール42の形成位置に多少のばらつきがあっても、拡張部分43が金属配線に到達するまでエッチングを継続することにより、コンタクトホール42を金属配線に確実に連通させることができる。
【0033】
更に、本実施形態によれば、図4(a)及び(b)に示す工程において、絶縁層13にはボロンをドープし、絶縁層14にはボロンをドープせずに、図6(a)及び(b)に示す工程において、フッ酸の蒸気を吹き付けるエッチング(VPC)を行っている。これにより、絶縁層13に対する選択比が高いエッチングを実現することができる。例えば、30〜40程度のエッチング選択比を実現することができる。
【0034】
更にまた、本実施形態においては、ワード線WL及びビット線BLに枠状部分41を形成し、この枠状部分41の内側にコンタクトホール42を形成している。これにより、この内側の領域内でコンタクトホール42の形成位置が変動しても、コンタクトホール42は枠状部分41のいずれかの部分の近傍には位置するため、一定量のエッチングにより、拡張部分43を枠状部分41のいずれかの部分に到達させることができる。また、コンタクト31の張出部分33を枠状部分41の4辺に接触させれば、コンタクト31と金属配線との間の接続抵抗を低減することができる。更に、拡張部分43が枠状部分41を超えて広がることがなく、コンタクト31が接続を予定していない配線に接続されてしまうことがない。
【0035】
なお、本実施形態においては、絶縁層13をBSGによって形成する例を示したが、本発明はこれには限定されず、例えば、絶縁層13をPSG(phospho silicate glass:リン添加シリコン酸化物)又はBPSG(boron phosphorous silicate glass:ボロン−リン添加シリコン酸化物)により形成してもよい。この場合も、フッ酸系のエッチング液により、絶縁層13を選択的にエッチングすることができる。又は、絶縁層13と絶縁層14との間で、不純物濃度は異ならせずに、結晶構造等を異ならせることにより、絶縁層13が選択的にエッチングされるようにしてもよい。また、VPCを用いたエッチングの替わりに、バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチングを行って、絶縁層13を除去してもよい。
【0036】
また、本実施形態においては、あるコンタクト31が複数本のワード線WLを共通接続し、他のコンタクト31が複数本のビット線BLを共通接続する例を示したが、本発明はこれに限定されず、コンタクト31によって共通接続される配線の組合せは任意である。また、本実施形態においては、コンタクト31が下層配線M1と上層配線M2との間に接続される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、コンタクト31の下端はシリコン基板11に接続されていてもよい。
【0037】
更に、本実施形態においては、集積回路装置がReRAMである例を示したが、本発明はこれに限定されない。但し、クロスポイント型の集積回路装置に本発明を適用すれば、上下方向に配列された複数本の配線を相互に接続できるため、特に好適である。
【0038】
次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。
図8(a)は、本変形例に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図であり、(d)は(a)に示すC−C’線による断面図であり、(e)は(a)に示すD−D’線による断面図であり、(f)は(a)に示すE−E’線による断面図である。
【0039】
図8(a)〜(f)に示すように、本変形例においては、各ワード線WLに枠状部分41(図3参照)が形成されておらず、ワード線WLの本体部分が延びる方向(ワード線方向)に対して直交する方向(ビット線方向)に延びる一対の枝配線51が形成されている。すなわち、ワード線WLの端部がコ字形状となっている。また、1本のコンタクト31によって共通接続されるワード線WLの枝配線51は、上下方向から見て相互に同じ位置に配置されている。そして、コンタクト31は、各対の枝配線51の間に配置されており、各コンタクト31の張出部分33が、ワード線WLの本体部分及び一対の枝配線51に接続されている。
【0040】
これによっても、前述の実施形態と同様に、1本のコンタクト31を複数本のワード線WLに接続させることができる。そして、本変形例によれば、ビット線方向における接続領域の長さL2を、前述の実施形態における接続領域の長さL1(図3参照)よりも短縮することができる。この結果、チップ面積をより一層低減することが可能となる。上述の構成及び作用効果は、ビット線BL及びビット線BLに接続されたコンタクト31についても同様である。本変形例における上記以外の構成、製造方法及び作用効果は、前述の実施形態と同様である。
【0041】
次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。
図9(a)は、本変形例に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図であり、(d)は(a)に示すC−C’線による断面図であり、(e)は(a)に示すD−D’線による断面図であり、(f)は(a)に示すE−E’線による断面図である。
【0042】
図9(a)〜(f)に示すように、本変形例においては、各ワード線WLに枠状部分41(図3参照)が形成されておらず、コンタクト31の張出部分33がワード線WLの本体部分に接続されている。また、1本のコンタクト31によって共通接続されるワード線WLは、上下方向から見てコンタクト31を挟む位置のいずれかに配置されている。
【0043】
これによっても、前述の実施形態と同様に、1本のコンタクト31を複数本のワード線WLに接続させることができる。そして、本変形例によれば、ビット線方向における接続領域の長さL3を、前述の実施形態における接続領域の長さL1(図3参照)及び第1の変形例における接続領域の長さL2(図8参照)よりも短縮することができる。この結果、チップ面積をより一層低減することが可能となる。上述の構成及び作用効果は、ビット線BL及びビット線BLに接続されたコンタクト31についても同様である。本変形例における上記以外の構成、製造方法及び作用効果は、前述の実施形態と同様である。
【0044】
なお、金属配線(ワード線WL又はビット線BL)とコンタクトホール42との距離は、金属配線の寸法ばらつき、コンタクトホールの寸法ばらつき、及び金属配線とコンタクトホールとの合わせずれによって変動する。このため、コンタクトホール42は、これらの要因によってコンタクトホール42と金属配線との距離が変動しても、コンタクトホール42が金属配線に接触しない程度に金属配線から離隔した位置を狙って形成する必要がある。一方、コンタクトホール42が金属配線から過度に離隔していると、拡張部分43を接続対象となる金属配線まで到達させるために、拡張部分43を大きく形成する必要が生じ、接続対象でない金属配線又は他のコンタクトに到達してしまう可能性がある。そこで、コンタクトホール42は、上述の要因によってコンタクトホール42の形成位置が変動しても、接続対象である金属配線との距離が、接続対象でない金属配線との距離よりも短くなるような位置を狙って形成する必要がある。
【0045】
次に、本実施形態の比較例について説明する。
図10は、本比較例に係る集積回路装置を例示する模式的断面図であり、
図11(a)は、本比較例に係る集積回路装置におけるコンタクトを例示する断面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による断面図であり、(d)は(a)に示すC−C’線による断面図であり、(e)は(a)に示すD−D’線による断面図であり、(f)は(a)に示すE−E’線による断面図であり、
図12(a)及び(b)は、本比較例のコンタクトを例示する断面図であり、(a)はコンタクトの中間部分に1本の金属配線を接続させた場合を示し、(b)はコンタクトの中間部分に2本以上の金属配線を接続させようとした場合を示す。
【0046】
図10〜図12に示すように、本比較例に係る集積回路装置101においては、コンタクト領域Rcにおいて、各ワード線WL及びビット線BLに一対の枝配線151が形成されており、コンタクト131は、一対の枝配線151に引っ掛かるようにして枝配線151に接続されている。また、コンタクト131の中間部分には1本の金属配線のみが接続されている。コンタクト131のコンタクトホールは、エッチング開始時には一対の枝配線151を跨ぐ長円形に形成する。そして、エッチングの先端が枝配線151に到達すると、以後のエッチングにおいては枝配線151がマスクとなり、枝配線151よりも下方の部分においては、一対の枝配線151の間の領域のみにコンタクトホールが形成される。その後、このコンタクトホール内に導電材料を埋め込む。これにより、中間部分が一対の枝配線151に引っ掛かるように、コンタクト131が形成される。
【0047】
本変形例においては、コンタクトホールを金属配線に引っかけるように形成して、コンタクト131を金属配線に接続しているため、コンタクトホールは一対の枝配線151間を通過する度に、不連続的に細くなる。このため、1本のコンタクト131に多数の金属配線を接続することができない。例えば、図12(a)に示すように、コンタクト131の中間部分に接続される金属配線は1本が限度である。この場合、図12(b)に示すように、1本のコンタクト131に無理に2本以上の金属配線を接続しようとすると、コンタクトホールが途中で途切れてしまい、コンタクト自体の形成ができなくなる。このため、集積回路装置101において、ワード線WL及びビット線BLの積層数が多くなると、コンタクト131を多段に形成する必要が生じ、工程数が増加して、製造コストが増大してしまう。なお、コンタクトホールの上端部を十分に大きく形成しておけば、コンタクトの中間部分を2本以上の金属配線に接続することも可能であるが、その場合はチップ面積が増大してしまう。
【0048】
これに対して、前述の如く、本発明の実施形態によれば、金属配線から離隔した位置にコンタクトホールを形成しているため、接続する金属配線の本数がエッチング条件に影響することがなく、1本のコンタクトに多数の金属配線を接続させることが可能となる。この結果、コンタクトを形成するための工程数を減らして製造コストを低減することができ、コンタクトホールのサイズを小さくしてチップ面積を縮小することができる。
【0049】
以上、実施形態及び変形例を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。前述の実施形態及び変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0050】
1 集積回路装置、11 シリコン基板、12、13、14、15 絶縁層、16 ピラー、20 積層体、21 下部電極膜、22 シリコンダイオード、23 中間電極膜、24 バリアメタル、25 抵抗変化膜、26 バリアメタル、27 上部電極膜、31 コンタクト、32 柱部分、33 張出部分、34 ボイド、35 バリアメタル層、41 枠状部分、42 コンタクトホール、43 拡張部分、51 枝配線、101 集積回路装置、131 コンタクト、151 枝配線、BL ビット線、M1 下層配線、M2 上層配線、Rc コンタクト領域、Rm メモリアレイ領域、WL ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1絶縁層及び複数の第2絶縁層が1層ずつ交互に積層された積層体と、
少なくとも2層の前記第2絶縁層内に設けられた少なくとも2本の配線と、
前記積層体内に設けられ、前記少なくとも2本の配線に共通接続されたコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトは、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層を貫通した柱部分と、
前記第2絶縁層内において前記柱部分から張り出し、前記配線の側面に接触した張出部分と、
を有することを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層はシリコン酸化物によって形成されており、
前記第2絶縁層の不純物濃度は前記第1絶縁層の不純物濃度よりも高く、
前記張出部分の形状は前記柱部分を囲む環状であることを特徴とする請求項1記載の集積回路装置。
【請求項3】
前記配線には枠状部分が形成されており、
前記コンタクトは、前記枠状部分の内側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の集積回路装置。
【請求項4】
前記配線には、相互に平行な方向に延びる一対の枝配線が形成されており、
前記コンタクトは、前記一対の枝配線の間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の集積回路装置。
【請求項5】
複数の第1絶縁層及び複数の第2絶縁層を1層ずつ交互に積層させて積層体を形成すると共に、少なくとも2層の前記第2絶縁層内に少なくとも2本の配線を形成する工程と、
前記積層体における前記積層体の積層方向から見て前記配線から離隔した位置に、前記積層方向に延びるコンタクトホールを形成する工程と、
前記第2絶縁層における前記コンタクトホールと前記配線との間の部分を除去する工程と、
前記第2絶縁層が除去された部分及び前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込む工程と、
を備えたことを特徴とする集積回路装置の製造方法。
【請求項6】
前記除去する工程は、前記第1絶縁層のエッチング速度よりも前記第2絶縁層のエッチング速度が高くなる条件で前記コンタクトホールの内面を等方的にエッチングする工程を有することを特徴とする請求項5記載の集積回路装置の製造方法。
【請求項7】
前記積層体を形成する工程において、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層をシリコン酸化物により形成し、前記第2絶縁層の不純物濃度を前記第1絶縁層の不純物濃度よりも高くすることを特徴とする請求項6記載の集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−199007(P2011−199007A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64136(P2010−64136)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】