説明

電動式操向装置

【課題】操向軸の回転方向および回転角度を検知することの可能な操向角センサを備える電動式操向装置を提供する。
【解決手段】本発明の電動式操向装置は、自動車の操向ホイール101に連結される操向軸102と、操向補助動力を供給するモータと、対向して設けられた発信部601および受信部602を含む方向センサ610と、操向軸102の回転によって発信部601および受信部602の間を通過しながら回転し、一側にスロット611が形成された回転部材620と、モータのモータ軸の回転角を検知するモータ位置センサ640と、方向センサ610およびモータ位置センサ640から各々伝達された電気的信号に基づいて操向角を算出する電子制御装置123とを備える。操向軸102の回転方向を検知する方向センサ610とモータ軸の回転角を検知するモータ位置センサ640とを用いて、操向軸102の絶対操向角を検知する操向角センサ200を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操向角センサを具備した電動式操向装置に関するものである。より詳しくは、絶対操向角を検知する操向角センサを備えた電動式操向装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の動力補助操向装置には、油圧ポンプの油圧を用いた油圧式操向装置(Hydraulic Power Steering Apparatus)が使用されているが、1990年代以後、電気モータを用いた電動式操向装置(Electric Power Steering Apparatus)が徐々に普遍化している。
【0003】
既存の油圧式操向装置は、動力を補助してくれる動力源である油圧ポンプがエンジンにより駆動されており、操向ホイールの回転の可否に関係なく常にエネルギーを消耗していた。これに対し、電気式動力補助操向装置は、操向ホイールが回転してトルクが発生すると電気エネルギーで駆動されるモータが操向補助動力を提供する。したがって、電動式操向装置を使用することにより、油圧式操向装置に比べて車両のエネルギー効率を向上させることができる。
【0004】
図1は一般的な電動式操向装置を示す構成図である。図1に示すように、電動式操向装置は、操向ホイール101から両側車輪108まで連結される操向システム100および操向システムに操向補助動力を提供する補助動力器具120を含んで構成される。
【0005】
操向システム100は、一側は操向ホイール101に連結されて操向ホイール101と共に回転し、他側は一対のユニバーサルジョイント103を媒介にしてピニオン軸104に連結される操向軸102を含んで構成される。ピニオン軸104は、ラック−ピニオン器具部105を通じてラックバー109に連結され、ラックバー109の両端はタイロッド106とナックルアーム107を介して車両の車輪108に連結される。
【0006】
ラック−ピニオン器具部105は、ピニオン軸104に形成されているピニオンギア部111とラックバー109の外周面の一側に形成されているラックギア部112が互いに噛合されて形成される。運転者が操向ホイール101を操作することによって操向システム100でトルクが発生し、発生したトルクがラック−ピニオン器具部105、タイロッド106を介して車輪108に伝達されることにより、車輪108を操向することができる。
【0007】
補助動力器具120は、運転者が操向ホイール101に加えるトルクを検知して、検知したトルクに比例する電気信号を出力するトルクセンサ121と、トルクセンサ121から伝達される電気信号に基づいて制御信号を発生する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)123と、電子制御装置123から伝達される制御信号に基づいて補助動力を発生させるモータ130とを含んで構成される。
【0008】
これにより、電動式操向装置は、操向ホイール101の回転により発生したトルクがラック−ピニオン器具部105を経てラックバー109に伝達され、発生されたトルクによってモータ130で発生した補助動力がラックバー109に伝達される。すなわち、操向システム100で発生したトルクとモータ130で発生した補助動力とを合わせた力によって、ラックバー109を軸方向に運動するようにするものである。
【0009】
このような電動式操向装置において、操向角センサは、走行中の自動車で直進位置を基準に操向ホイールの回転角や回転角速度に関する情報を電子制御装置に提供する。電子制御装置は、これらの情報を用いてロール(Roll)制御や旋回制御を行う。
【0010】
図2は、従来の操向角測定方式を説明するブロック図である。図2に示すように、従来の操向角測定方式は、光センサとスリット円板を用いた操向角センサ200で操向情報を測定し、測定された情報を電子制御装置123に伝達して電子制御装置123によって操向角および操向角速度を計算する方式である。
【0011】
また、従来技術の操向角センサ200は、図3および図4に示すように、主に光センサ301とスリット円板303とから構成される。光センサ301を有するコラムスイッチは操向コラムに固定されている。また、スリット円板303は、その回転中心に操向軸102が設けられており、操向ホイール101の回転とともに回転する。スリット円板303は、光センサ301を構成する発光素子401と受光素子403との間に設けられている。スリット円板303には、スリットが該スリット円板303の中心から放射状に形成されており、発光素子401と受光素子403との間にスリット円板303のスリット部分が位置する場合には発光素子401から発光された光が受光素子403によって受光される。一方、発光素子401と受光素子403との間にスリット円板303のスリット部分以外が位置する場合には発光素子401から発光された光は受光素子403によって受光されない。このように、発光素子401の光が受光素子403に伝達されるか否かによって電気的信号が決まる。
【0012】
図5は、従来の操向角センサの出力信号を示す波形図である。図5に示すように、発光素子401からの光が受光素子403に伝達されない場合と発光素子401からの光が受光素子403に伝達される場合との間には電圧差が発生する。このような電気的信号が電子制御装置に伝達することにより、電子制御装置は操向角を測定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、従来の操向角センサでは、操向軸の回転による操向角が0度である場合と±360度である場合または±720度である場合を同一であると認識してしまうという問題がある。すなわち、左折する場合と右折する場合とを区別することができない。
【0014】
このような問題を解決するために、高解像度を有する絶対操向角センサを用いて絶対操向角を測定する方法が考えられるが、絶対操向角センサは高価であるため操向装置の製作コストを増加させてしまうという問題点がある。
【0015】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、操向軸の回転方向および回転角度を検知することの可能な、新規かつ改良された操向角センサを具備した電動式操向装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、自動車の操向ホイールに連結される操向軸と、操向補助動力を供給するためのモータと、対向して設けられた発信部および受信部を含む方向センサと、操向軸の回転によって発信部および受信部の間を通過しながら回転し、一側にスロットが形成された回転部材と、モータのモータ軸の回転角を検知するモータ位置センサと、方向センサおよびモータ位置センサから各々伝達された電気的信号に基づいて操向角を算出する電子制御装置とを備える電動式操向装置が提供される。
【0017】
ここで、方向センサの発信部は発光素子からなり、方向センサの受信部は受光素子からなるように構成してもよい。このとき、発光素子には例えばLEDを用いることができ、受光素子にはフォトトランジスタを用いることができる。また、回転部材は、時計方向および反時計方向にそれぞれ180度より小さく回転可能に形成してもよい。
【0018】
また、操向軸の外周面に第1ギアを形成し、回転部材の外周面に第2ギアが形成してもよい。このとき、操向軸と回転部材との間には、第1ギアおよび第2ギアと連動する1以上の減速ギアが設けられる。減速ギアは、2つ以上のギアから構成されるようにしてもよい。
【0019】
さらに、スロットは、所定長さに形成された第1スロットと、第1スロットより長く形成された第2スロットとからなるようにしてもよい。このとき、方向センサは、第1スロットの動きによって作動する第1方向センサと、第2スロットの動きによって作動する第2方向センサとからなる。電子制御装置は、第1方向センサおよび第2方向センサから伝達された信号を組み合わせて操向角を算出する。
【0020】
ここで、第1スロットおよび第2スロットは、中心を同一とする略円弧状に形成され、径方向に所定距離だけ離隔して形成するようにしてもよい。さらに、第1スロットおよび第2スロットの中心から延びる直線が、第1スロットと第2スロットとを同時に通過するように形成することもできる。
【0021】
本発明によれば、減速ギアを通じて操向軸の回転方向を検知する方向センサと、モータ軸の回転角を検知するモータ位置センサとを備える。これにより、絶対操向角を検知することの可能な操向角センサを形成することができ、操向装置の製作コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、操向軸の回転方向および回転角度を検知することの可能な操向角センサを具備した電動式操向装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
まず、図6A〜図7に基づいて、本発明の第1の実施形態にかかる操向角センサについて説明する。図6Aは、本発明の第1の実施形態に係る操向角センサを示す構成図である。図6Bは、本発明の第1の実施形態に係る操向角センサを示す側面図である。また、図7は、本発明の第1の実施形態に係る操向角センサを示す一部断面図である。
【0025】
図6A、図6Bおよび図7に示すように、本実施形態に係る操向角センサは、互いに対向して設けられた発信部601および受信部602を含む方向センサ610と、操向軸102の回転によって方向センサ610の発信部601および受信部602の間を通過するように回転し、一側にスロット611が形成されている回転部材620と、操向軸102および回転部材620の間に設けられた減速ギア630と、操向軸102に補助動力を供給するモータ130に備えられ、モータ軸の回転角を検知するモータ位置センサ640と、方向センサ610およびモータ位置センサ640から各々伝達される電気的信号に基づいて操向角を算出する電子制御装置123と、を含んで構成される。
【0026】
方向センサ610は、発信部601、受信部602および回路基板603を含んで構成される。発信部601と受信部602とは互いに対向するように設けられ、発信部601において発信した例えば電気的信号、磁気的信号または光信号等の信号は、受信部602により受信される。
【0027】
このような構成を有する発信部601と受信部602との間で回転可能に設けられた回転部材620によって発信部601から発信された信号を遮断したり通過させたりすることにより、方向センサ610によって操向軸102の回転方向を検知することができる。
【0028】
方向センサ610としては、例えば発光素子401および受光素子403を含んで構成される光センサを用いることができる。発光素子401としては、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いることができ、受光素子403としては、例えばフォトトランジスタ(Photo transistor)を用いることができるが、かかる例に限定されない。
【0029】
回路基板603は、発信部601および受信部602と連結されて発信部601に電源などを供給するための回路を有する。回転部材620の回転により、発信部601から発信された信号を受信部602によって受信できたり受信できなかったりすることによって特定の電気的信号が発生する。回路基板603は、この発生した信号を電子制御装置123に伝達する。回路基板603としては、一般に印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)を用いることができるが、かかる例に限定されない。
【0030】
減速ギア630は操向軸102の回転を減速した後、回転部材620に回転力を伝達するギアであって、第1減速ギア621、第2減速ギア623、第3減速ギア625および第4減速ギア627を含んで構成される。減速ギア630としては、例えばスパーギアやヘリカルギア等を用いることができる。
【0031】
図8は、減速ギア360を示す概略図である。本実施形態にかかる減速ギア360は、図8に示すように、第1ギア631と第2ギア613との間に減速ギア630が設けられており、第1ギア631の回転力が減速ギア630を介して最終的に第2ギア613に伝達される。また、第1ギア631の回転方向と第2ギア613の回転方向とは反対であるが、これは減速ギア630のギア数によって変わる。
【0032】
第1減速ギア621は、操向軸102の外周面に設けられた第1ギア631と噛合して回転する。本実施形態における第1ギア631のギア歯の数は70個であり、第1減速ギア621のギア歯の数は50個である。したがって、第1ギア631と第1減速ギア621とのギア比は7/5となる。
【0033】
第2減速ギア623は、第1減速ギア621の例えば下方側に、該第1減速ギア621と同軸に設けられる。第3減速ギア625は、第2減速ギア623と噛合して回転する。本実施形態における第2減速ギア623のギア歯の数は10個であり、第3減速ギア625のギア歯の数は40個である。したがって、第2減速ギア623と第3減速ギア625とのギア比は1/4となる。
【0034】
第4減速ギア627は、第3減速ギア625の例えば下方側に、該第3減速ギア625と同軸に設けられる一方で、回転部材620の外周面に形成された第2ギア613にも噛合して回転する。本実施形態における第4減速ギア627のギア歯の数は20個であり、第2ギア613のギア歯の数は42個である。したがって、第4減速ギア627と第2ギア613とのギア比は10/21となる。
【0035】
最終的に、減速ギア630の作動に係る第1ギア631と第2ギア613との間の減速比は1/4以上となる。すなわち、操向軸102の回転が4回転より少ない場合、回転部材620の回転は1回転より少ない。
【0036】
このように、第1ギア631、減速ギア630および第2ギア613のギア歯の数を調節することによって、操向軸102の回転に係る回転部材620の回転角度が調節できるようになる。
【0037】
また、第1減速ギア621と第2減速ギア623が同軸上に形成され、第3減速ギア625と第4減速ギア627が同軸上に形成されることにより、各々のギアを互いに平行する平面上に配置することができる。このとき、ギアの段数および厚みを調節することによって、ギアが占める空間を最小化することができる。さらに、第2減速ギア623のギア歯の数が第3減速ギア625のギア歯の数より少ないことにより、第1減速ギア621の一面(図6Bにおいて下面)と第3減速ギア625の一面(図6Bにおいて上面)とが各ギア621、625の回転軸方向に互いに重なる領域が発生する。これにより、2つのギア621、625が重なる領域だけ占める空間を節約することができる。
【0038】
モータ位置センサ(Motor Position Sensor)640は、モータ130の一側に備えられ、モータ軸の回転時にモータ軸の回転角を検知する装置である。モータ位置センサ640は、モータ軸の回転角を検知して所定角度毎にパルス(Pulse)を発生させ、発生されたパルスは電子制御装置123に伝達される。
【0039】
電子制御装置123は、自動車に装着されている各種センサ、例えば車速センサ、トルクセンサ、モータ位置センサ等が検知して電気的信号に変換した自動車の速度、操向トルクまたはモータ軸の位置情報などの伝達を受けてモータを制御する装置である。特に、本実施形態においては、操向軸102の回転方向を検知する方向センサ610から発生される電気的信号と、モータ位置センサ621により検知したモータ軸の回転角変化量に関する情報との伝達を受けて、操向角を計算する役割をする。
【0040】
図9A、9Bおよび9Cに基づいて、本実施形態に係る操向角センサの作動を説明する。なお、図9A、9Bおよび9Cは、操向軸102の一方向回転による方向センサ610の作動状態を示す平面図である。
【0041】
まず、図9Aに示すように、自動車の操向ホイールが中立位置(A−A’)から若干回転した状態ある場合、中立位置(A−A’)から時計反対方向に若干回転している回転部材620は、スロット611を介して発光素子605から発せられた光が受光素子607によって受光されるように発光素子605から発光された光を通過させている。また、図9Bに示すように、操向軸102が時計方向に回転することによって回転部材620が反時計方向に回転して最終位置(B−B’)まで到達しても、発光素子605からの光は回転部材613のスロット611を通過して受光素子607に伝達される。したがって、この場合、方向センサ610から電子制御装置に伝達される電気的信号は一定である。
【0042】
例えば、運転者が操向ホイールを操作して右折することで上述した状態になる場合、電子制御装置123は、現在、自動車の操向軸102が右側に回転している状態であることを検知することができる。
【0043】
ところが、モータ位置センサは、モータ軸の回転によって所定角度毎に電気的信号を電子制御装置123に送る。このような電気的信号を通じてモータ軸の回転角を算出できる一方、モータ軸の回転角とウォームおよびウォームホイールの減速比が既知であれば、操向軸102の回転角がわかる。例えば、モータ位置センサから検知されるモータ軸の回転角度が0.28度であり、ウォームおよびウォームホイールの減速比が4:1であるとき、算出される絶対操向角は0.28×4=1.12度である。すなわち、方向センサ610から伝達される電気的信号は操向軸102の回転方向を示し、モータ位置センサから伝達される電気的信号は操向軸102の回転角を示すものである。したがって、これを総合することにより、操向軸102の回転方向およびその方向への操向軸102の絶対回転角が算出できる。
【0044】
このような原理は、操向軸102が反対方向に回転する場合にも同様に適用可能である。また、一方向に回転した状態にいた操向軸102が反対方向に回転してから中立位置を過ぎる場合には回転部材も中立位置を過ぎるので、方向センサ610の発信部601からの光が遮断または通過され、瞬間的に電気的信号に変動が発生する。このような電気的信号の変動によって、電子制御装置123は操向軸102の回転方向が反対方向に変わったことを検知することができる。
【0045】
以上、本発明の第1の実施形態にかかる操向角センサについて説明した。本実施形態にかかる操向角センサによれば、減速ギアを通じて操向軸の回転方向を検知する方向センサと、モータ軸の回転角を検知するモータ位置センサとを備えることにより、絶対操向角を検知することの可能な操向角センサを形成することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、図10に基づいて、本発明の第2の実施形態にかかる操向角センサについて説明する。なお、図10は、本実施形態に係る操向角センサを示す部分斜視図である。本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の構成および作用の説明は省略する。
【0047】
本実施形態に係る操向角センサは、図10に示すように、スロット611と、方向センサ610とからなる。スロット611は、所定長さで形成される第1スロット1001と、第1スロット1001より長く形成される第2スロット1003とからなる。方向センサ610は、第1スロット1001の動きによって作動する第1方向センサ1005と、第2スロット1003の動きによって作動する第2方向センサ1007とからなる。また、第1スロット1001および第2スロット1003は、中心を同一とする円弧状に形成され、第1スロット1001が第2スロット1003に比べて中心側に位置するように形成される。
【0048】
ここで、第1の実施形態に係る操向角センサの場合、形成されるスロットは1つのみであり、回転部材が中立位置を過ぎる瞬間の信号を処理し難いという問題があった。このため、その過程で発生する各種の誤差などにより、方向センサ610が正確に中立位置を検知し難いという問題が発生する。
【0049】
これに対し、本実施形態に係る操向角センサの場合には、回転部材620が中立位置(A−A’)を通過するときに、第1スロット1001および第2スロット1003の動きによって第1方向センサ1005および第2方向センサ1007が各々作動する。
【0050】
すなわち、第1スロット1001および第1方向センサ1005により中立位置(A−A’)を検知して第1信号を電子制御装置(図示せず。)に伝達する一方、第2スロット1003および第2方向センサ1007も中立位置(A−A’)を検知して第2信号を電子制御装置に伝達する。したがって、この場合、電子制御装置が第1および第2信号を組合せた後、一定範囲内の値が算出されればその値に係る位置を中立位置(A−A’)と認識する。
【0051】
以上、第2の実施形態にかかる操向角センサについて説明した。本実施形態にかかる操向角センサによれば、減速ギアを通じて操向軸の回転方向を検知する方向センサと、モータ軸の回転角を検知するモータ位置センサとを備えることにより、絶対操向角を検知することの可能な操向角センサを形成することができる。さらに、回転部材の中立位置を確実に検知することができる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一般的な電動式操向装置を示す構成図である。
【図2】従来の操向角測定方式を説明するブロック図である。
【図3】従来の操向角センサの構造を示す概略図である。
【図4】従来の操向角センサの原理を説明する概略図である。
【図5】従来の操向角センサの出力信号を示す波形図である。
【図6A】本発明の第1の実施形態に係る操向角センサを示す構成図である。
【図6B】本発明の第1の実施形態に係る操向角センサを示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る操向角センサを示す一部断面図である。
【図8】減速ギアを示す概略図である。
【図9A】操向軸の一方向回転に係る方向センサの作動状態を各々示す平面図である。
【図9B】操向軸の一方向回転に係る方向センサの作動状態を各々示す平面図である。
【図9C】操向軸の一方向回転に係る方向センサの作動状態を各々示す平面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る操向角センサを示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
102 操向軸
301 光センサ
303 スリット円板
401 発光素子
403 受光素子
601 発信部
602 受信部
603 回路基板
610 方向センサ
611 スロット
613 第2ギア
620 回転部材
621 第1減速ギア
623 第2減速ギア
625 第3減速ギア
627 第4減速ギア
630 減速ギア
631 第1ギア
640 モータ位置センサ
1001 第1スロット
1003 第2スロット
1005 第1方向センサ
1007 第2方向センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の操向ホイールに連結される操向軸と、
操向補助動力を供給するためのモータと、
対向して設けられた発信部および受信部を含む方向センサと、
前記操向軸の回転によって前記発信部および前記受信部の間を通過しながら回転し、一側にスロットが形成された回転部材と、
前記モータのモータ軸の回転角を検知するモータ位置センサと、
前記方向センサおよび前記モータ位置センサから各々伝達された電気的信号に基づいて操向角を算出する電子制御装置と、
を備えることを特徴とする、電動式操向装置。
【請求項2】
前記方向センサの前記発信部は発光素子からなり、前記方向センサの前記受信部は受光素子からなることを特徴とする、請求項1に記載の電動式操向装置。
【請求項3】
前記発光素子はLEDであり、前記受光素子はフォトトランジスタであることを特徴とする、請求項2に記載の電動式操向装置。
【請求項4】
前記回転部材は、時計方向および反時計方向にそれぞれ180度より小さく回転可能に形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電動式操向装置。
【請求項5】
前記操向軸の外周面には第1ギアが形成されており、
前記回転部材の外周面には第2ギアが形成されており、
前記操向軸と前記回転部材との間には、前記第1ギアおよび前記第2ギアと連動する1以上の減速ギアが設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の電動式操向装置。
【請求項6】
前記減速ギアは、2つ以上のギアから構成されることを特徴とする、請求項5に記載の電動式操向装置。
【請求項7】
前記スロットは、所定長さに形成された第1スロットと、前記第1スロットより長く形成された第2スロットとからなり、
前記方向センサは、前記第1スロットの動きによって作動する第1方向センサと、前記第2スロットの動きによって作動する第2方向センサとからなり、
前記電子制御装置は、前記第1方向センサおよび前記第2方向センサから伝達された信号を組み合わせて前記操向角を算出することを特徴とする、請求項1に記載の電動式操向装置。
【請求項8】
前記第1スロットおよび前記第2スロットは、中心を同一とする略円弧状に形成され、径方向に所定距離だけ離隔して形成されることを特徴とする、請求項7に記載の電動式操向装置。
【請求項9】
前記第1スロットおよび前記第2スロットの中心から延びる直線が、前記第1スロットと前記第2スロットとを同時に通過するように形成されることを特徴とする、請求項8に記載の電動式操向装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−186195(P2007−186195A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353174(P2006−353174)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(505468174)マンド株式会社 (43)
【Fターム(参考)】