説明

電気光学装置、投射型表示装置および電子機器

【課題】狭い領域内に高い容量値をもった蓄積容量を構成することができる電気光学装置、該電気光学装置を備えた投射型表示装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置100においては、複数層の層間絶縁膜41〜45のうち、層間絶縁膜42に溝状凹部42eが設けられ、かかる溝状凹部42eの底壁42e1および側壁42e2に沿って形成された第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aにより蓄積容量55が構成されている。また、層間絶縁膜42には層間絶縁膜43が積層され、層間絶縁膜43において溝状凹部42eが反映されてなる凹部43eの内部で、第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aが蓄積容量55を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄積容量を備えた電気光学装置、該電気光学装置を備えた投射型表示装置、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置では、画素電極を備えた画素がマトリクス状に配置されており、かかる画素には、画素トランジスターや蓄積容量が構成されている。かかる電気光学装置のうち、例えば、液晶装置では、層間絶縁膜の平坦な表面に積層された第1電極層、誘電体層、および第2電極層により蓄積容量が構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電気光学装置において、より高精細な画像を形成すること等を目的に画素ピッチの縮小や画素サイズの小型化を図った場合、特許文献1に記載の構成のままでは、蓄積容量の形成に十分な面積を確保できず、十分な容量値をもった蓄積容量を構成できないという問題点がある。特に、液晶装置のうち、透過型の液晶装置や、基板本体側から表示光を出射するボトムエミッションタイプの有機エレクトロルミネッセンス装置では、表示光の出射を妨げない位置に蓄積容量を設けなければならないという制約があるため、上記の問題点が顕著である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、狭い領域内に高い容量値をもった蓄積容量を構成することができる電気光学装置、該電気光学装置を備えた投射型表示装置、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、基板と、該基板の一方面側に設けられた画素トランジスターと、該画素トランジスターに対応して設けられた画素電極と、前記画素トランジスターと前記画素電極との間に設けられた複数層の層間絶縁膜と、前記画素電極と隣り合う画素電極との間に対して平面視で重なる領域において、前記複数層の層間絶縁膜のうちの少なくとも1つに設けられた溝状凹部と、少なくとも前記溝状凹部の底壁および側壁に沿って形成された第1電極層、少なくとも前記溝状凹部の内部において前記第1電極層に対して前記基板とは反対側に積層された誘電体層、および少なくとも前記溝状凹部の内部において前記誘電体層に対して前記基板とは反対側に積層された第2電極層により構成された蓄積容量と、を有し、前記第2電極層は、前記画素トランジスターの画素電極側ソースドレイン領域と前記画素電極とに電気的に接続していることを特徴とする。
【0007】
本発明では、複数層の層間絶縁膜のうちの少なくとも1つに溝状凹部が設けられ、かかる溝状凹部の底壁および側壁に沿って形成された第1電極層、誘電体層、および第2電極層により蓄積容量が構成されている。このため、蓄積容量の平面視における形成領域が狭い場合でも、第1電極層と第2電極層の対向面積が広い。それ故、より高精細な画像を形成すること等を目的に画素ピッチの縮小や画素サイズの小型化を図った場合でも、十分な容量値をもった蓄積容量を構成することができる。また、第2電極層は、画素トランジスターの画素電極側ソースドレイン領域と、画素電極とに電気的に接続している。このため、第1電極層および第2電極層のうち、基板とは反対側に位置する第2電極層が画素電極と同一電位になり、基板側(画素電極が位置する側とは反対側)に位置する第1電極層に共通電位が印加されることになる。それ故、第1電極層に印加された共通電位が液晶層の配向制御に影響を及ぼさない等の利点がある。
【0008】
本発明において、前記第1電極層および前記第2電極層は、遮光性の導電膜からなることが好ましい。かかる構成によれば、第1電極層および第2電極層を遮光層として利用することができる。
【0009】
本発明において、前記第2電極層と前記画素電極とは、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記第2電極層と前記画素電極との間に介在する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して導通していることが好ましい。かかる構成によれば、画素電極が位置する側に近い第2電極層に対して画素電極を導通させることになるので、画素電極を画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続するためのコンタクトホールが浅くてよい。従って、画素電極の電気的な接続を確実に行うことができるとともに、画素電極の表面に形成される凹凸が小さい。それ故、画素電極の表面に配向膜を好適に形成することができる等の利点がある。
【0010】
本発明において、前記画素電極側ソースドレイン領域と前記第2電極層との間には、前記第1電極層と同層の導電膜からなる中継電極が設けられ、当該中継電極と前記第2電極層とは、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記中継電極と前記第2電極層との間に介在する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して導通していることが好ましい。かかる構成によれば、導電膜の数を増やさなくても、中継電極を画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続するためのコンタクトホールが浅くてよい。それ故、中継電極の電気的な接続を確実に行うことができる。
【0011】
本発明において、前記画素電極側ソースドレイン領域と前記中継電極との間には、前記画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続するドレイン電極が設けられ、当該ドレイン電極と前記中継電極とは、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記ドレイン電極と前記中継電極との間に介在する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して導通していることが好ましい。かかる構成によれば、中継電極を画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続するためのコンタクトホールが浅くてよい。それ故、中継電極の電気的な接続を確実に行うことができる。
【0012】
この場合、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記溝状凹部が形成された層間絶縁膜には、前記ドレイン電極と前記中継電極とを導通させる前記コンタクトホールが形成されている領域に凹部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、中継電極を画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続するためのコンタクトホールがさらに浅くてよいので、中継電極の電気的な接続を確実に行うことができる。
【0013】
本発明において、前記複数の層間絶縁膜は、前記溝状凹部が形成された第1層間絶縁膜と、該第1層間絶縁膜に対して前記基板が位置する側とは反対側に積層された第2層間絶縁膜と、を含み、前記第1電極層、前記誘電体層、および前記第2電極は、前記第2層間絶縁膜において前記溝状凹部が反映されてなる凹部内に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、溝状凹部の底部で配線等が露出している場合でも、短絡を防止することができる等の利点がある。
【0014】
本発明に係る電気光学装置は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置等、各種電気光学装置に適用することができる。これらの電気光学装置のうち、液晶装置に本発明を適用する場合、前記基板は、該基板の一方面側に対向配置された対向基板との間に液晶層を保持する。
【0015】
本発明を適用した電気光学装置は、直視型表示装置や投射型表示装置等、各種の電子機器に用いることができる。例えば、本発明を適用した電気光学装置が液晶装置である場合、投射型表示装置のライトバルブとして用いることができる。かかる投射型表示装置は、本発明を適用した前記電気光学装置(液晶装置)に照射される照明光を出射する光源部と、前記電気光学装置により変調された光を投射する投射光学系と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した液晶装置に用いた液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明を適用した液晶装置の画素の説明図である。
【図4】図3に示す画素の特徴部分を示す説明図である。
【図5】本発明を適用した液晶装置の製造工程の要部を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した液晶装置の製造工程の要部を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した液晶装置の製造工程の要部を示す説明図である。
【図8】本発明を適用した液晶装置の製造工程の要部を示す説明図である。
【図9】本発明を適用した液晶装置を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、各種の電気光学装置のうち、液晶装置およびその製造方法に本発明を適用した場合を中心に説明する。また、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、画素トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、本説明では、画素電極が接続されている側(画素側ソースドレイン領域)をドレインとし、データ線が接続されている側(データ線側ソースドレイン領域)をソースとする。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0018】
[液晶装置(電気光学装置)の説明]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)の電気的構成を示すブロック図である。なお、図1は、あくまで電気的な構成を示すブロック図であるため、容量線等が延在している方向等、レイアウトについては模式的に示してある。
【0019】
図1において、本形態の液晶装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを有しており、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交点に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスターからなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0020】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0021】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、複数の画素100aに跨る第1電極層5aが容量電極層として形成されている。本形態において、第1電極層5aは、共通電位Vcomが印加された共通電位線5cに導通している。
【0022】
(液晶パネル100pの構成)
図2は、本発明を適用した液晶装置100に用いた液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0023】
図2(a)、(b)に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。
【0024】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と画像表示領域10aの外周縁との間には、略四角形の周辺領域10bが額縁状に設けられている。素子基板10において、画像表示領域10aの外側では、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0025】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方側の基板面において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0026】
また、素子基板10の一方面側において、周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9b(図2(b)参照)が形成されている。ダミー画素電極9bについては、ダミーの画素トランジスターと電気的に接続された構成、ダミーの画素トランジスターが設けられずに配線に直接、電気的に接続された構成、あるいは電位が印加されていないフロート状態にある構成が採用される。かかるダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。また、ダミー画素電極9bを所定の電位に設定すれば、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止することができる。
【0027】
対向基板20において素子基板10と対向する一方面側には共通電極21が形成されており、共通電極21の上層には配向膜26が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。また、対向基板20において素子基板10と対向する一方面側には、共通電極21の下層側に遮光層108が形成されている。本形態において、遮光層108は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状に形成されており、見切りとして機能する。ここで、遮光層108の外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にあり、遮光層108とシール材107とは重なっていない。なお、対向基板20において、遮光層108は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と重なる領域等にブラックマトリクス部として形成されることもある。
【0028】
このように構成した液晶パネル100pにおいて、素子基板10には、シール材107より外側において対向基板20の角部分と重なる領域に、素子基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通用電極109が形成されている。かかる基板間導通用電極109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通材109aおよび基板間導通用電極109を介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極109を避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0029】
かかる構成の液晶装置100において、画素電極9aおよび共通電極21を透光性導電膜により形成すると、透過型の液晶装置を構成することができる。これに対して、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aを反射性導電膜により形成すると、反射型の液晶装置を構成することができる。液晶装置100が反射型である場合、対向基板20の側から入射した光が素子基板10の側の基板で反射して出射される間に変調されて画像を表示する。液晶装置100が透過型である場合、素子基板10および対向基板20のうち、一方側の基板から入射した光が他方側の基板を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0030】
液晶装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20には、カラーフィルター(図示せず)や保護膜が形成される。また、液晶装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差フィルムや偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、液晶装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各液晶装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0031】
本形態において、液晶装置100が、後述する投射型表示装置においてRGB用のライトバルブとして用いられる透過型の液晶装置であって、対向基板20から入射した光が素子基板10を透過して出射される場合を中心に説明する。また、本形態において、液晶装置100は、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いたVAモードの液晶パネル100pを備えている場合を中心に説明する。
【0032】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明を適用した液晶装置100の画素の説明図であり、図3(a)、(b)は各々、素子基板10において隣り合う画素の平面図、および図3(a)のF−F′線に相当する位置で液晶装置100を切断したときの断面図である。図4は、図3に示す画素の特徴部分を示す説明図であり、図4(a)、(b)は、画素トランジスター30周辺を拡大して示す説明図、および素子基板10に形成した溝状凹部の説明図である。なお、図3(a)および図4(a)、(b)では、各領域を以下の線で表してある。また、図3(a)では溝状凹部の図示を省略し、図4(a)、(b)にグレー領域として表してある。
走査線3a=太い実線
半導体層1a=細くて短い点線
データ線6aおよびドレイン電極6b=一点鎖線
第1電極層5aおよび中継電極5b=細くて長い破線
第2電極層7a=二点鎖線
画素電極9a=太くて短い破線
【0033】
図3(a)および図4(a)、(b)に示すように、素子基板10上には、複数の画素100aの各々に矩形状の画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた縦横の画素間領域10fと重なる領域に沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。より具体的には、画素間領域10fのうち、走査線3aに沿って延在する第1画素間領域10gと重なる領域に沿って走査線3aが延在し、データ線6aに沿って延在する第2画素間領域10hと重なる領域に沿ってデータ線6aが延在している。データ線6aおよび走査線3aは各々、直線的に延びており、データ線6aと走査線3aとが交差する領域に画素トランジスター30が形成されている。素子基板10上には、データ線6aと重なるように、図1を参照して説明した第1電極層5a(容量電極層)が形成されている。
【0034】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の表面(一方面側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されており、対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面側)に形成された共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0035】
素子基板10において、基板本体10wの一方面側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる走査線3aが形成されている。本形態において、走査線3aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光性導電膜から構成されており、第1画素間領域10gに対する遮光膜としても機能している。より具体的には、走査線3aは、厚さが200nm程度のタングステンシリサイドからなる。なお、基板本体10wと走査線3aとの間には、シリコン酸化膜等の絶縁膜が設けられることもある。
【0036】
基板本体10wの一方面側において、走査線3aの上層側には、シリコン酸化膜等の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、例えば、テトラエトキシシラン(Si(OC254)を用いた減圧CVD法や、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜と、高温CVD法により形成したシリコン酸化膜(HTO(High Temperature Oxide)膜)との2層構造を有している。
【0037】
画素トランジスター30は、走査線3aとデータ線6aとの交差領域において走査線3aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えている。また、画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有しており、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、低濃度領域および高濃度領域を備えている。半導体層1aは、多結晶シリコン膜等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、CVD法等により形成されたシリコン酸化膜等からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなり、半導体層1aの両側において、第2ゲート絶縁層2bおよび絶縁膜12を貫通するコンタクトホール12a、12bを介して走査線3aに導通している。本形態において、ゲート電極3cは、膜厚が100nm程度の導電性のポリシリコン膜と、膜厚が100nm程度のタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0038】
ゲート電極3cの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成されており、層間絶縁膜41の上層には、データ線6aおよびドレイン電極6bが同一の導電膜によって形成されている。層間絶縁膜41は、例えば、シランガスと亜酸化窒素とを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜等からなる。
【0039】
データ線6aおよびドレイン電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aおよびドレイン電極6bは、膜厚が20nmのチタン(Ti)膜、膜厚が50nmの窒化チタン(TiN)膜、膜厚が350nmのアルミニウム(Al)膜、膜厚が150nmのTiN膜をこの順に積層してなる4層構造を有している。データ線6aは、層間絶縁膜41および第2ゲート絶縁層2bを貫通するコンタクトホール41aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。ドレイン電極6bは、第1画素間領域10gと重なる領域において、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41および第2ゲート絶縁層2bを貫通するコンタクトホール41bを介してドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)に導通している。
【0040】
データ線6aおよびドレイン電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜43が形成されている。層間絶縁膜42、43は、例えば、テトラエトキシシランを用いた減圧CVD法や、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜等からなる。層間絶縁膜42には、図4(a)、(b)を参照して後述する溝状凹部42eが形成され、層間絶縁膜43には、溝状凹部42eが反映された凹部43eが形成されている。
【0041】
層間絶縁膜43の上層側には、第1電極層5aおよび中継電極5bが同一の導電膜によって形成されている。第1電極層5aおよび中継電極5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第1電極層5aおよび中継電極5bは、膜厚が200nm程度のAl膜と、膜厚が100nm程度のTiN膜との2層構造を有している。第1電極層5aは、データ線6aと同様、第2画素間領域10hと重なる領域に沿って延在している。中継電極5bは、第1画素間領域10gと重なる領域において、ドレイン電極6bと一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜42、43を貫通するコンタクトホール42aを介してドレイン電極6bに導通している。
【0042】
第1電極層5aおよび中継電極5bの上層側にはシリコン酸化膜等の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44には、図4(a)、(b)を参照して後述する溝状凹部42eと重なる領域に沿って開口部44bが形成されている。本形態において、層間絶縁膜44は、テトラエトキシシランを用いた減圧CVD法や、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜等からなる。ここで、開口部44bは、データ線6aと走査線3aとの交差領域を起点として第1画素間領域10gと重なる領域に沿って延在する部分と、データ線6aと走査線3aとの交差領域を起点として第2画素間領域10hと重なる領域に沿って延在する部分とを備えたL字形状に形成されている。
【0043】
層間絶縁膜44の上層側には透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には第2電極層7aが形成されている。第2電極層7aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第2電極層7aは、膜厚が100nm程度のTiN膜からなる。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。第2電極層7aは、データ線6aと走査線3aとの交差領域を起点として第1画素間領域10gと重なる領域に沿って延在する部分と、データ線6aと走査線3aとの交差領域を起点として第2画素間領域10hと重なる領域に沿って延在する部分とを備えたL字形状に形成されている。従って、第2電極層7aのうち、第2画素間領域10hと重なる領域に沿って延在する部分は、層間絶縁膜44の開口部44bにおいて、誘電体層40を介して第1電極層5aに重なっている。このようにして、本形態では、第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aは、第1画素間領域10gと重なる領域に蓄積容量55を構成している。
【0044】
また、第2電極層7aにおいて、第1画素間領域10gと重なる領域に沿って延在する部分は、中継電極5bと部分的に重なっており、誘電体層40および層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極5bに導通している。
【0045】
第2電極層7aの上層側には透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側には、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透光性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランを用いた減圧CVD法や、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜等からなる。画素電極9aは、データ線6aと走査線3aとの交差領域の近傍で第2電極層7aと部分的に重なっており、層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して第2電極層7aに導通している。層間絶縁膜45の表面は平坦面になっており、かかる平坦面上に画素電極9aが形成されている。
【0046】
画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。配向膜16は、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。配向膜16と画素電極9aとの層間にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の透光性の保護膜が形成され、かかる保護膜によって、画素電極9aの間に形成された凹部を埋めることもある。かかる構成によれば、配向膜16を平坦面に形成することができる。
【0047】
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20wの液晶層50側の表面(素子基板10に対向する側の面)に、ITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように配向膜26が形成されている。配向膜26は、配向膜16と同様、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜26は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。なお、配向膜26と共通電極21との層間にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の保護膜を形成することもある。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0048】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図3(b)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0049】
(蓄積容量55の詳細構成)
図3(b)および図4(a)、(b)に示すように、本形態の液晶装置100においては、画素トランジスター30と画素電極9aとの間に設けられた複数層の層間絶縁膜41〜45のうち、層間絶縁膜42(第1層間絶縁膜)には溝状凹部42eが形成されている。溝状凹部42eは、データ線6aと走査線3aとの交差領域を起点として、前段の画素100aに向かう途中位置まで、第2画素間領域10hと重なる領域に沿って延在しており、少なくとも溝状凹部42eが形成されている領域と重なる領域には、蓄積容量55を構成する第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aが形成されている。従って、溝状凹部42eの底壁42e1および側壁42e2に沿って、第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aが形成されており、かかる底壁42e1および側壁42e2の全体にわたって、蓄積容量55が構成されている。
【0050】
ここで、溝状凹部42eは、層間絶縁膜42を厚さ方向の全体にわたって形成されており、溝状凹部42eは、層間絶縁膜42を貫通しており、溝状凹部42eの底部では、データ線6aが露出している。但し、本形態では、層間絶縁膜42(第1層間絶縁膜)の上層に層間絶縁膜43(第2層間絶縁膜)が形成されており、かかる層間絶縁膜43は、溝状凹部42eの内部にまで形成されている。従って、溝状凹部42eにおいて、データ線6aは層間絶縁膜43により覆われている。ここで、層間絶縁膜43の厚さは、溝状凹部42eの深さ寸法より小である。このため、層間絶縁膜43には、溝状凹部42eが反映されてなる凹部43eが形成されており、本形態では、かかる凹部43eの底壁43e1および側壁43e2に沿って、第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aが形成された状態にある。
【0051】
また、層間絶縁膜42(第1層間絶縁膜)には、コンタクトホール42aが形成されている領域にも凹部42fが形成されている。ここで、凹部42fの底部には層間絶縁膜42が残っており、凹部42fの内部には層間絶縁膜43(第2層間絶縁膜)も形成されている。それでも、層間絶縁膜43には、凹部42fが反映されてなる凹部43fが形成されており、かかる凹部43fの底部にコンタクトホール42aが形成されている。従って、コンタクトホール42aの深さ寸法は、凹部42fが形成されている分だけ浅い。
【0052】
(液晶装置100の製造方法)
図5〜図8は、本発明を適用した液晶装置100の製造工程の要部を示す説明図である。本形態の液晶装置100の製造工程のうち、素子基板10を形成する工程では、図5(a)に示すように、基板本体10wの一方面側に、走査線3a、画素トランジスター30、データ線6a等を形成した後、以下の工程を行う。なお、以下に説明する工程は、素子基板10を多数取りできる大型基板の状態で行われるが、以下の説明では、サイズにかかわらず、素子基板10として説明する。
【0053】
本形態では、図5(a)に示すように、層間絶縁膜42(第1層間絶縁膜)まで形成した後、図5(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術等を利用して、ドライエッチングあるいはウエットエッチングにより、層間絶縁膜42に溝状凹部42eおよび凹部42fを形成する。次に、図5(c)に示すように、層間絶縁膜43(第2層間絶縁膜)を形成する。
【0054】
次に、図6(a)に示すように、フォトリソグラフィ技術等を利用して、凹部42fの内部(凹部43fの内部)に、層間絶縁膜43、42を貫通するコンタクトホール42aを形成する。次に、層間絶縁膜43の上層に導電膜を形成した後、導電膜をパターニングし、図6(b)に示すように、第1電極層5aおよび中継電極5bを形成する。その結果、中継電極5bは、コンタクトホール42aを介してドレイン電極6bに導通する。次に、図6(c)に示すように、第1電極層5aおよび中継電極5bの上層側に層間絶縁膜44を形成した後、フォトリソグラフィ技術等を利用して、層間絶縁膜44において、溝状凹部42eと重なる領域をエッチング除去し、開口部44bを形成する。
【0055】
次に、図7(a)に示すように、層間絶縁膜44の上層側に誘電体層40を形成した後、図7(b)に示すように、誘電体層40および層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール44aを形成する。次に、誘電体層40の上層に導電膜を形成した後、導電膜をパターニングし、図7(c)に示すように、第2電極層7aを形成する。その結果、第2電極層7aは、層間絶縁膜44の開口部44bにおいて、誘電体層40を介して第1電極層5aに重なり、蓄積容量55が構成される。また、第2電極層7aは、コンタクトホール44aを介して中継電極5bに導通する。
【0056】
次に、図8(a)に示すように、第2電極層7aの上層側に層間絶縁膜45を形成した後、フォトリソグラフィ技術等を利用して層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを形成する。次に、層間絶縁膜45の上層側に、ITO等の透光性の導電膜を形成した後、導電膜をパターニングし、図8(b)に示すように、画素電極9aを形成する。その結果、画素電極9aは、コンタクトホール45aを介して第2電極層7aに導通する。しかる後に、画素電極9aの表面側に配向膜16を形成すれば、素子基板10が完成する。従って、図2に示すように、シール材107によって素子基板10と対向基板20とを貼り合わせた後、シール材107の途切れ部分からシール材107の内側に液晶を注入した後、途切れ部分を封止材で封止すれば、液晶パネル100pが完成する。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の液晶装置100においては、複数層の層間絶縁膜41〜45のうち、層間絶縁膜42に溝状凹部42eが設けられ、かかる溝状凹部42eの底壁42e1および側壁42e2に沿って形成された第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aにより蓄積容量55が構成されている。このため、蓄積容量55の平面視における形成領域が狭い場合でも、第1電極層5aと第2電極層7aの対向面積が広い。それ故、より高精細な画像を形成すること等を目的に画素ピッチの縮小や画素サイズの小型化を図った場合でも、十分な容量値をもった蓄積容量55を構成することができる。
【0058】
また、溝状凹部42eが形成された層間絶縁膜42には層間絶縁膜43が積層され、層間絶縁膜43において溝状凹部42eが反映されてなる凹部43eの内部で、第1電極層5a、誘電体層40、および第2電極層7aが蓄積容量55を構成している。このため、溝状凹部42eの底部で配線等が露出している場合でも、短絡を防止することができる等の利点がある。また、層間絶縁膜43によって、溝状凹部42eの開口縁や底部の隅部分の角形状が緩和されるので、溝状凹部42eの開口縁や底部の隅部分での第1電極層5aや第2電極層7aの断線を防止することができ、さらには誘電体層40の欠陥(穴)に起因する短絡等を防止することができる。
【0059】
また、第1電極層5aおよび第2電極層7aは、遮光性の導電膜からなるため、画素間領域10fにおいて、第1電極層5aおよび第2電極層7aを遮光層として利用することができる。ここで、第1電極層5aおよび中継電極5bは、Al膜とTiN膜との2層構造を有している。また、第2電極層7aは、TiN膜からなる。それ故、第1電極層5aおよび第2電極層7aは、遮光性に優れている。
【0060】
また、第2電極層7aは、画素トランジスター30のドレイン領域1cと画素電極9aとに電気的に接続している。すなわち、第1電極層5aおよび第2電極層7aのうち、画素電極9aが位置する上層側の第2電極層7aが画素電極9aと同一電位となり、下層側の第1電極層5aに共通電位Vcomが印加されることになる。それ故、第1電極層5aに印加された共通電位Vcomが、画素電極9aによる液晶層50に対する配向制御に影響を及ぼさない等の利点がある。また、第2電極層7aと画素電極9aとは、層間絶縁膜45に形成されたコンタクトホール45aを介して導通している。従って、画素電極9aをドレイン領域1cに電気的に接続するためのコンタクトホール45aが浅くてよい。それ故、画素電極9aの電気的な接続を確実に行うことができるとともに、画素電極9aの表面に形成される凹凸が小さい。それ故、画素電極9aの表面に配向膜16を好適に形成することができる等の利点がある。
【0061】
また、第1電極層5aと同層の導電膜からなる中継電極5bと第2電極層7aとは、層間絶縁膜44に形成されたコンタクトホール44aを介して導通している。また、ドレイン電極6bと中継電極5bとは、層間絶縁膜42、43に形成されたコンタクトホール42aを介して導通している。このため、コンタクトホール42a、44aが浅くてよいので、電気的な接続を確実に行うことができる。また、層間絶縁膜41〜45のうち、溝状凹部42eが形成された層間絶縁膜42には、コンタクトホール42aが形成されている領域に凹部42fが形成されている。このため、コンタクトホール42aがさらに浅くてよいので、中継電極5bとドレイン電極6bの電気的な接続を確実に行うことができる。
【0062】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、透過型の液晶装置100に本発明を適用した例を説明したが、反射型の液晶装置100に本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態では、液晶装置100に本発明を適用した例を説明したが、有機エレクトロルミネッセンス装置等、他の電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【0063】
[電子機器への構成例]
上述した実施形態に係る液晶装置100を備えた電子機器について説明する。図9は、本発明を適用した液晶装置100を用いた投射型表示装置の概略構成図であり、図9(a)、(b)は各々、透過型の液晶装置100を用いた投射型表示装置の説明図、および反射型の液晶装置100を用いた投射型表示装置の説明図である。
【0064】
(投射型表示装置の第1例)
図9(a)に示す投射型表示装置110は、観察者側に設けられたスクリーン111に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する、いわゆる投影型の投射型表示装置である。投射型表示装置110は、光源112を備えた光源部130と、ダイクロイックミラー113、114と、液晶ライトバルブ115〜117(液晶装置100)と、投射光学系118と、クロスダイクロイックプリズム119と、リレー系120とを備えている。
【0065】
光源112は、赤色光、緑色光及び青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光を透過させると共に緑色光及び青色光を反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光及び青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光と緑色光と青色光とに分離する色分離光学系を構成する。
【0066】
ここで、ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレーター121及び偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレーター121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0067】
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置100である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、液晶パネル115c及び第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光は、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。
【0068】
λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル115cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光を変調し、変調した赤色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
【0069】
なお、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0070】
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置100である。そして、液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、液晶パネル116c及び第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光は、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶パネル116cは、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光を変調し、変調した緑色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
【0071】
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置100である。そして、液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、液晶パネル117c及び第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光は、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。
【0072】
λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル117cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光を変調し、変調した青色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。なお、λ/2位相差板117a及び第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
【0073】
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光をリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光を液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。
【0074】
クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光を反射して緑色光を透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光を反射して緑色光を透過する膜である。したがって、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117のそれぞれで変調された赤色光と緑色光と青色光とを合成し、投射光学系118に向けて出射するように構成されている。
【0075】
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光及び青色光をs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光をp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
【0076】
(投射型表示装置の第2例)
図9(b)に示す投射型表示装置1000において、光源部890は、システム光軸Lに沿って光源810、インテグレーターレンズ820および偏光変換素子830が配置された偏光照明装置800を有している。また、光源部890は、システム光軸Lに沿って、偏光照明装置800から出射されたs偏光光束をs偏光光束反射面841により反射させる偏光ビームスプリッター840と、偏光ビームスプリッター840のs偏光光束反射面841から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー842と、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー843とを有している。
【0077】
また、投射型表示装置1000は、各色光が入射する3つの反射型の液晶装置100(液晶装置100R、100G、100B)を備えており、光源部890は、3つの液晶装置100(液晶装置100R、100G、100B)に所定の色光を供給する。
【0078】
かかる投射型表示装置1000においては、3つの液晶装置100R、100G、100Bにて変調された光をダイクロイックミラー842、843、および偏光ビームスプリッター840にて合成した後、この合成光を投射光学系850によってスクリーン860等の被投射部材に投射する。
【0079】
(他の投射型表示装置)
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0080】
(他の電子機器)
本発明を適用した液晶装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
5a・・第1電極層、7a・・第2電極層、9a・・画素電極、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、20・・対向基板、21・・共通電極、40・・誘電体層、42・・層間絶縁膜(第1層間絶縁膜)、43・・層間絶縁膜(第2層間絶縁膜)、50・・液晶層、55・・蓄積容量、100・・液晶装置、110、1000・・投射型表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板の一方面側に設けられた画素トランジスターと、
該画素トランジスターに対応して設けられた画素電極と、
前記画素トランジスターと前記画素電極との間に設けられた複数層の層間絶縁膜と、
前記画素電極と隣り合う画素電極との間に対して平面視で重なる領域において、前記複数層の層間絶縁膜のうちの少なくとも1つに設けられた溝状凹部と、
少なくとも前記溝状凹部の底壁および側壁に沿って形成された第1電極層、少なくとも前記溝状凹部の内部において前記第1電極層に対して前記基板とは反対側に積層された誘電体層、および少なくとも前記溝状凹部の内部において前記誘電体層に対して前記基板とは反対側に積層された第2電極層により構成された蓄積容量と、を有し、
前記第2電極層は、前記画素トランジスターの画素電極側ソースドレイン領域と前記画素電極とに電気的に接続していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1電極層および前記第2電極層は、遮光性の導電膜からなることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第2電極層と前記画素電極とは、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記第2電極層と前記画素電極との間に介在する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して導通していることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記画素電極側ソースドレイン領域と前記第2電極層との間には、前記第1電極層と同層の導電膜からなる中継電極が設けられ、
当該中継電極と前記第2電極層とは、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記中継電極と前記第2電極層との間に介在する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して導通していることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記画素電極側ソースドレイン領域と前記中継電極との間には、前記画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続するドレイン電極が設けられ、
当該ドレイン電極と前記中継電極とは、前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記ドレイン電極と前記中継電極との間に介在する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して導通していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数層の層間絶縁膜のうち、前記溝状凹部が形成された層間絶縁膜には、前記ドレイン電極と前記中継電極とを導通させる前記コンタクトホールが形成されている領域に凹部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記複数の層間絶縁膜は、前記溝状凹部が形成された第1層間絶縁膜と、該第1層間絶縁膜に対して前記基板が位置する側とは反対側に積層された第2層間絶縁膜と、を含み、
前記第1電極層、前記誘電体層、および前記第2電極は、前記第2層間絶縁膜において前記溝状凹部が反映されてなる凹部内に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記基板は、当該基板の一方面側に対向配置された対向基板との間に液晶層を保持することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
前記電気光学装置に照射される照明光を出射する光源部と、前記電気光学装置により変調された光を投射する投射光学系と、を有していることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至8に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−198386(P2012−198386A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62521(P2011−62521)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】