説明

露光装置、デバイス製造方法、及びクリーニング方法

【課題】汚染に起因する性能の劣化を抑制できる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、露光光の光路を第1液体で満たすように第1液体で液浸部を形成可能な第1部材と、第1部材から離れた位置で第2液体で液浸部を形成可能な第2部材と、所定部材と第2部材との間の第2液体に振動を与える振動発生装置とを備え、第2液体を用いて所定部材をクリーニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を露光する露光装置、デバイス製造方法、露光装置のクリーニング方法、及びクリーニング用部材に関する。
本願は、2006年8月30日に出願された特願2006−234006号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、下記特許文献に開示されているような、露光光の光路空間を液体で満たすように液浸空間を形成し、その液体を介して基板を露光する液浸露光装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第99/49504号
【特許文献2】特開2004−289127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液浸露光装置において、液体と接触する部材が汚染される可能性があり、その部材が汚染された状態を放置しておくと、汚染が拡大し、露光装置の性能が劣化し、基板を良好に露光できなくなる可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、汚染に起因する性能の劣化を抑制できる露光装置、及びその露光装置を用いるデバイス製造方法を提供することを目的とする。他の目的は、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制するためにその露光装置を良好にクリーニングできるクリーニング方法、及びクリーニング用部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、露光光で基板を露光する露光装置において、露光光の光路を第1液体で満たすように第1液体で液浸部を形成可能な第1部材と、第1部材から離れて配置され、所定部材との間に第2液体で液浸部を形成可能な第2部材と、第2部材と所定部材との間の第2液体に振動を与える振動発生装置とを備える露光装置が提供される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、汚染に起因する性能の劣化を抑制できる。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置において、フレキシブル部材と、そのフレキシブル部材を動かす駆動装置と、そのフレキシブル部材の先端側に設けられ、液体と接触した所定部材の汚染状態を観察可能な観察装置と、フレキシブル部材の後端側に設けられ、観察装置の観察結果が出力される出力装置と、を備えた露光装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、汚染に起因する性能の劣化を抑制できる。
【0010】
本発明の第3の態様に従えば、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置において、露光光(が通過する光学素子と、光学素子の光射出側で移動可能な所定部材と、その所定部材を振動させることによって所定部材上の液体に振動を与える振動発生装置と、を備えた露光装置が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、汚染に起因する性能の劣化を抑制できる。
【0012】
本発明の第4の態様に従えば、上記態様の露光装置を用いるデバイス製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、性能の劣化が抑制された露光装置を用いてデバイスを製造できる。
【0014】
本発明の第5の態様に従えば、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の所定部材クリーニング方法であって、露光光の光路から離れた位置で、所定部材上に第2液体で液浸部を形成することと、前記所定部材上の第2液体に振動を与えることによって、その所定部材をクリーニングすることとを含むクリーニング方法が提供される。
【0015】
本発明の第5の態様によれば、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制できる。
【0016】
本発明の第6の態様に従えば、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の所定部材のクリーニング方法であって、フレキシブル部材の先端側に設けられた観察装置で、所定部材を観察することと、観察結果に基づいて、フレキシブル部材の先端側に設けられたクリーニング装置を、フレキシブル部材の後端側に設けられた操作装置で操作して、所定部材をクリーニングすることと、を含むクリーニング方法が提供される。
【0017】
本発明の第6の態様によれば、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制できる。
【0018】
本発明の第7の態様に従えば、露光光で基板を露光する液浸露光装置のクリーニング方法であって、基板を保持可能な基板ステージの保持部で板状部材を保持し、第1部材と板状部材との間に液体の液浸部を形成することと、第1部材と板状部材との間の液体の界面を移動して、第1部材に付着した異物を第1部材から除去することと、板状部材を基板ステージから搬出することと、を含むクリーニング方法が提供される。
【0019】
本発明の第7の態様によれば、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制できる。
【0020】
本発明の第8の態様に従えば、露光光で基板を露光する液浸露光装置の所定部材のクリーニング方法であって、露光光が通過する光学素子の光射出側で移動可能な所定部材上に液体で液浸部を形成することと、所定部材を振動させることによって所定部材上の液体に振動を与えることと、を含むクリーニング方法が提供される。
【0021】
本発明の第8の態様によれば、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制できる。
【0022】
本発明の第9の態様に従えば、露光光が照射される基板を保持可能な基板ステージの保持部に取り付け可能であって、かつ第1部材をクリーニングするために用いられる部材であって、第1部材との間に液体で液浸部が形成される表面を有し、該表面は、液体を用いたクリーニング動作によって第1部材から除去された異物を保持可能であるクリーニング用部材が提供される。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、露光装置を良好にクリーニングでき、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、汚染に起因する露光装置の性能の劣化を抑制でき、基板を良好に露光できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。
【図2】基板ステージ及び計測ステージを上方から見た図である。
【図3】第1ノズル部材の近傍を示す側断面図である。
【図4】第2ノズル部材の近傍を示す側断面図である。
【図5】第2ノズル部材を下方から見た図である。
【図6】第3ノズル部材の近傍を示す側断面図である。
【図7】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図8】第1、第2、第3ノズル部材を示す側面図である。
【図9A】第1実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図9B】第1実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図10】第1実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図11】第2実施形態に係る第2ノズル部材の近傍を示す側断面図である。
【図12】第2実施形態に係る第2ノズル部材を下方から見た図である。
【図13】第2実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図14】計測ステージをクリーニングしている状態を示す図である。
【図15】第3実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。
【図16】第4実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。
【図17】第5実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。
【図18】第6実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。
【図19】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図20A】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図20B】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図21A】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図21B】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図22】基板テーブルの汚染状態を検出している状態を示す図である。
【図23】第7実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。
【図24】第7実施形態に係る内視鏡装置の一部を拡大した図である。
【図25】第8実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図26】第8実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図27】第8実施形態に係るクリーニング方法の一例を説明するための模式図である。
【図28】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0027】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光に関する計測を実行可能な計測器を搭載し、基板ステージ2とは独立して移動可能な計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動機構4と、基板ステージ2及び計測ステージ3を移動する駆動機構5と、各ステージの位置情報を計測するレーザ干渉計を含む計測システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。
【0028】
なお、ここでいう基板Pは、デバイスを製造するための露光用基板であって、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光材(フォトレジスト)等の膜を形成したもの、あるいは感光膜とは別に保護膜(トップコート膜)などの各種の膜を塗布したものも含む。基板Pは、円板状の部材である。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。また、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いることもできる。透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型などの位相シフトマスクも含む。
【0029】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、露光光ELの光路空間を露光用液体LQ(以下、第1液体LQと称する)で満たすように、その第1液体LQで第1液浸空間LS1を形成可能な第1ノズル部材8を備えている。露光装置EXは、第1液体LQを介して、基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pを露光する。
【0030】
また、本実施形態の露光装置EXは、第1ノズル部材8と離れた位置で、クリーニング用液体LC(以下、第2液体LCと称する)で第2液浸空間LS2を形成可能な第2ノズル部材9と、その第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波(振動)を与える超音波発生装置10とを備えている。
【0031】
また、本実施形態の露光装置EXは、第1ノズル部材8及び第2ノズル部材9と離れた位置で、気体を供給可能な給気口11を有する第3ノズル部材12を備えている。
【0032】
なお、露光光ELの光路空間は、露光光ELが進行する光路を含む空間である。液浸空間は、液体で満たされた空間である。
【0033】
第1ノズル部材8は、その第1ノズル部材8と対向する物体との間に第1液浸空間LS1を形成可能である。本実施形態においては、第1ノズル部材8は、投影光学系PLの光射出側(像面側)において、露光光ELが照射可能な位置に配置された物体の表面との間、すなわち投影光学系PLの光射出面と対向する位置に配置された物体の表面との間に、第1液浸空間LS1を形成可能である。第1ノズル部材8は、その物体の表面との間で第1液体LQを保持することによって、投影光学系PLの光射出側の露光光ELの光路空間、具体的には投影光学系PLと物体との間の露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように、物体の表面との間に第1液体LQの第1液浸空間LS1を形成する。
【0034】
第2ノズル部材9は、その第2ノズル部材9と対向する物体との間に第2液浸空間LS2を形成可能である。第2ノズル部材9は、その物体の表面との間で第2液体LCを保持することによって、その第2液体LCで物体の表面との間に第2液浸空間LS2を形成する。露光装置EXは、第2ノズル部材9と対向する物体との間に第2液浸空間LS2を形成して、その第2液体LCで物体をクリーニングする。
【0035】
本実施形態においては、露光装置EXは、物体の表面の一部の領域(局所的な領域)が第1液体LQで覆われるように、第1ノズル部材8と物体との間に第1液浸空間LS1を形成する。また、露光装置EXは、物体の表面の一部の領域(局所的な領域)が第2液浸空間LS2の第2液体LCで覆われるように、第2ノズル部材9と物体との間に第2液浸空間LS2を形成する。
【0036】
第1ノズル部材8及び第2ノズル部材9と対向可能な物体は、投影光学系PLの光射出側(像面側)で移動可能な物体を含む。本実施形態においては、第1ノズル部材8及び第2ノズル部材9と対向可能な物体は、投影光学系PLの光射出側で移動可能な基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方を含む。また、第1ノズル部材8及び第2ノズル部材9と対向可能な物体は、基板ステージ2に保持された基板Pも含む。
【0037】
基板ステージ2及び計測ステージ3は、第1ノズル部材8、第2ノズル部材9、及び第3ノズル部材12に対して相対的に移動可能であり、第1ノズル部材8、第2ノズル部材9、及び第3ノズル部材12のそれぞれは、基板ステージ2及び計測ステージ3と対向可能である。すなわち、基板ステージ2及び計測ステージ3のそれぞれは、第1ノズル部材8、第2ノズル部材9、及び第3ノズル部材12のそれぞれと対向する位置に配置可能である。
【0038】
露光装置EXは、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方が第1ノズル部材8と対向しているときに、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方と第1ノズル部材8との間に、第1液体LQで第1液浸空間LS1を形成可能である。
【0039】
また、本実施形態において、第2ノズル部材9は、投影光学系PLの光射出側で移動可能な物体の表面との間に、第2液浸空間LS2を形成可能である。露光装置EXは、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方が第2ノズル部材9と対向しているときに、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方と第2ノズル部材9との間に、第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成可能である。
【0040】
また、露光装置EXは、第1液浸空間LS1を形成した状態で、第1ノズル部材8と、その第1ノズル部材8に対向している基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方とを相対的に移動可能であり、第2液浸空間LS2を形成した状態で、第2ノズル部材9と、その第2ノズル部材9に対向している基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方とを相対的に移動可能である。
【0041】
照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、ArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0042】
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、リニアモータ等のアクチュエータを含む駆動機構4により、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ1(ひいてはマスクM)の位置情報は、計測システム6のレーザ干渉計6Aによって計測される。レーザ干渉計6Aは、マスクステージ1上に設けられた計測ミラー1Fを用いて、マスクステージ1のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。制御装置7は、計測システム6の計測結果に基づいて駆動機構4を駆動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置を制御する。
【0043】
投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLは、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは縮小系、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXはZ軸方向と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
【0044】
基板ステージ2は、ステージ本体21と、ステージ本体21に支持され、基板Pを着脱可能に保持する保持部23を有する基板テーブル22とを有する。ステージ本体21は、エアベアリングにより、ベース部材BPの上面(ガイド面)に非接触支持されている。基板テーブル22は凹部22Rを有し、保持部23はその凹部22Rに配置されている。基板テーブル22の凹部22Rの周囲の上面24はほぼ平坦であり、保持部23に保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)である。基板ステージ2は、駆動機構5により、保持部23で基板Pを保持した状態で、ベース部材BP上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。
【0045】
計測ステージ3は、ステージ本体31と、ステージ本体31に支持され、計測器の少なくとも一部が搭載された計測テーブル32とを有する。計測器は、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを含む。ステージ本体31は、エアベアリングにより、ベース部材BPの上面(ガイド面)に非接触支持されている。計測テーブル32の上面34はほぼ平坦である。計測ステージ3は、駆動機構5により、計測器を搭載した状態で、ベース部材BP上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。
【0046】
駆動機構5は、リニアモータ等のアクチュエータを含み、基板ステージ2及び計測ステージ3のそれぞれを移動可能である。駆動機構5は、ベース部材BP上で各ステージ本体21、31を移動する粗動システム13と、各ステージ本体21、31上で各テーブル22、32を移動する微動システム14とを備えている。
【0047】
粗動システム13は、リニアモータ等のアクチュエータを含み、ベース部材BP上の各ステージ本体21、31をX軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。粗動システム13によって各ステージ本体21、31がX軸、Y軸、及びθZ方向に移動することによって、その各ステージ本体21、31上に搭載されている各テーブル22、32も、各ステージ本体21、31と一緒に、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動する。
【0048】
図2は、基板ステージ2及び計測ステージ3を上方から見た図である。図2において、基板ステージ2及び計測ステージ3を移動するための粗動システム13は、複数のリニアモータ51、52、53、54、55、56を備えている。粗動システム13は、Y軸方向に延びる一対のY軸ガイド部材15、16を備えている。Y軸ガイド部材15、16のそれぞれは、複数の永久磁石を有する磁石ユニットを備えている。一方のY軸ガイド部材15は、2つのスライド部材41、42をY軸方向に移動可能に支持し、他方のY軸ガイド部材16は、2つのスライド部材43、44をY軸方向に移動可能に支持する。スライド部材41、42、43、44のそれぞれは、電機子コイルを有するコイルユニットを備えている。すなわち、本実施形態においては、コイルユニットを有するスライド部材41、42、43、44、及び磁石ユニットを有するY軸ガイド部材15、16によって、ムービングコイル型のY軸リニアモータ51、52、53、54が形成される。
【0049】
また、粗動システム13は、X軸方向に延びる一対のX軸ガイド部材17、18を備えている。X軸ガイド部材17、18のそれぞれは、電機子コイルを有するコイルユニットを備えている。一方のX軸ガイド部材17は、基板ステージ2のステージ本体21に接続されたスライド部材45をX軸方向に移動可能に支持し、他方のX軸ガイド部材18は、計測ステージ3のステージ本体31に接続されたスライド部材46をX軸方向に移動可能に支持する。スライド部材45、46のそれぞれは、複数の永久磁石を有する磁石ユニットを備えている。すなわち、本実施形態においては、磁石ユニットを有するスライド部材45、及びコイルユニットを有するX軸ガイド部材17によって、基板ステージ2(ステージ本体21)をX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータ55が形成される。同様に、磁石ユニットを有するスライド部材46、及びコイルユニットを有するX軸ガイド部材18によって、計測ステージ3(ステージ本体31)をX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータ56が形成される。
【0050】
スライド部材41、43は、X軸ガイド部材17の一端及び他端のそれぞれに固定され、スライド部材42、44は、X軸ガイド部材18の一端及び他端のそれぞれに固定されている。したがって、X軸ガイド部材17は、Y軸リニアモータ51、53によってY軸方向に移動可能であり、X軸ガイド部材18は、Y軸リニアモータ52、54によってY軸方向に移動可能である。
【0051】
一対のY軸リニアモータ51、53のそれぞれが発生する推力を僅かに異ならせることで、基板ステージ2のθZ方向の位置を制御可能であり、一対のY軸リニアモータ52、54のそれぞれが発生する推力を僅かに異ならせることで、計測ステージ3のθZ方向の位置を制御可能である。
【0052】
図1に示すように、微動システム14は、各ステージ本体21、31と各テーブル22、32との間に介在された、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータ14Vと、各アクチュエータ14Vの駆動量を計測する不図示の計測装置(エンコーダなど)とを含み、各ステージ本体21、31上の各テーブル22、32を、少なくともZ軸、θX、及びθY方向に移動可能である。また、微動システム14は、各ステージ本体21、31上の各テーブル22、32を、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動(微動)可能である。
【0053】
このように、粗動システム13及び微動システム14を含む駆動機構5は、基板テーブル22及び計測テーブル32のそれぞれを、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。
【0054】
基板ステージ2の基板テーブル22(ひいては基板P)の位置情報、及び計測ステージ3の計測テーブル32の位置情報は、計測システム6のレーザ干渉計6Bによって計測される。レーザ干渉計6Bは、各テーブル22、32それぞれの計測ミラー22F、32Fを用いて、各テーブル22、32のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ2の基板テーブル22の保持部23に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)、及び計測ステージ3の計測テーブル32の上面の所定領域の面位置情報は、計測システム6のフォーカス・レベリング検出系60(図3参照)によって検出される。制御装置7は、計測システム6のレーザ干渉計6Bの計測結果及びフォーカス・レベリング検出系60の検出結果に基づいて、駆動機構5を駆動し、基板テーブル22、基板テーブル22の保持部23に保持されている基板Pの位置、及び計測テーブル32の位置を制御する。
【0055】
なお、基板を保持する基板ステージと計測器を搭載した計測ステージとを備えた露光装置については、例えば特開平11−135400号公報、特開2000−164504号公報(対応米国特許第6,897,963号)等に開示されている。
【0056】
図3は、第1ノズル部材8の近傍を示す図である。なお、図3には、第2ノズル部材9及び第3ノズル部材12は図示していない。また、以下の説明においては、第1ノズル部材8と対向する位置に基板Pが配置され、その第1ノズル部材8が基板Pの表面との間に第1液体LQを保持して第1液浸空間LS1を形成する場合を例にして説明する。
【0057】
第1ノズル部材8は、第1液体LQで第1液浸空間LS1を形成可能である。第1ノズル部材8は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子FLの近傍において、基板Pの表面と対向するように配置されている。第1ノズル部材8は、基板Pの表面と対向する下面を有し、その下面と基板Pの表面との間で第1液体LQを保持可能である。第1ノズル部材8は、基板Pの表面との間で第1液体LQを保持することによって、投影光学系PLの像面側(光射出側)の露光光ELの光路空間、具体的には投影光学系PLと基板Pとの間の露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように、基板Pの表面との間に第1液浸空間LS1を形成する。
【0058】
露光装置EXは、少なくともマスクMのパターンの像を基板Pに投影している間、第1ノズル部材8を用いて、投影光学系PLの光射出側の露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように第1液浸空間LS1を形成し、その第1液体LQと投影光学系PLとを介して、マスクMを通過した露光光ELを基板ステージ2に保持された基板Pに照射することによって、その基板Pを露光する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
【0059】
上述のように、本実施形態においては、露光装置EXは、物体の表面の一部の領域(局所的な領域)が第1液体LQで覆われるように、第1ノズル部材8と物体との間に第1液浸空間LS1を形成する。本実施形態においては、露光装置EXは、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部の領域が第1液体LQで覆われるように、第1ノズル部材8と基板Pとの間に第1液浸空間LS1を形成する局所液浸方式を採用している。
【0060】
第1ノズル部材8は、第1液体LQを供給可能な供給口81と、第1液体LQを回収可能な回収口82とを有する。回収口82には多孔部材(メッシュ)83が配置されている。基板Pの表面と対向可能な第1ノズル部材8の下面は、多孔部材83の下面、及び露光光ELを通過させるための開口8Kを囲むように配置された平坦面8Rのそれぞれを含む。
【0061】
供給口81は、第1ノズル部材8の内部に形成された供給流路84、及び供給管85を介して、第1液体LQを送出可能な第1液体供給装置86に接続されている。回収口82は、第1ノズル部材8の内部に形成された回収流路87、及び回収管88を介して、少なくとも第1液体LQを回収可能な第1液体回収装置89に接続されている。
【0062】
第1液体供給装置86は、清浄で温度調整された第1液体LQを送出可能である。また、第1液体回収装置89は、真空系等を備えており、第1液体LQを回収可能である。第1液体供給装置86及び第1液体回収装置89の動作は制御装置7に制御される。第1液体供給装置86から送出された第1液体LQは、供給管85、及び第1ノズル部材8の供給流路84を流れた後、供給口81より露光光ELの光路空間に供給される。また、第1液体回収装置89を駆動することにより回収口82から回収された第1液体LQは、第1ノズル部材8の回収流路87を流れた後、回収管88を介して第1液体回収装置89に回収される。制御装置7は、供給口81からの液体供給動作と回収口82による液体回収動作とを並行して行うことで、終端光学素子FLと基板Pとの間の露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように、第1液体LQの第1液浸空間LS1を形成する。
【0063】
本実施形態においては、第1液体LQとして、水(純水)を用いる。
【0064】
また、本実施形態においては、露光装置EXは、回収口82より回収した第1液体LQの品質(水質)を検出可能な検出装置80を備えている。検出装置80は、例えば第1液体LQ中の全有機体炭素を計測するためのTOC計、微粒子及び気泡を含む異物を計測するためのパーティクルカウンタ等を含み、回収口82より回収した第1液体LQの汚染状態(品質)を検出可能である。
【0065】
また、図3に示すように、本実施形態の露光装置EXは、基板P上のアライメントマーク、計測ステージ3上の基準マーク等を検出するためのオフアクシス方式のアライメント系40を備えている。アライメント系40は、例えば特開平4−65603号(対応米国特許第5,493,403号)に開示されているような、基板Pの感光材を感光させないブロードバンドな検出光束を対象マーク(アライメントマーク、基準マーク等)に照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と指標(アライメント系内に設けられた指標板上の指標マーク)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することでマークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメント系である。
【0066】
アライメント系40は、撮像素子を有しており、マークの像に限られず、アライメント系40の検出領域に配置された物体の光学像(画像)を取得可能である。
【0067】
また、図3に示すように、露光装置EXは、基板Pの表面の面位置情報等を検出可能なフォーカス・レベリング検出系60を備えている。フォーカス・レベリング検出系60は、基板Pの表面に斜め方向から検出光を投射可能な投射装置61と、検出光に対して所定位置に配置され、投射装置61から射出された検出光の基板Pの表面での反射光を受光可能な受光装置62とを有する。
【0068】
なお、フォーカス・レベリング検出系60は、基板Pが投影光学系PL及び/又は第1ノズル部材8と対向している状態で、基板P表面の面位置情報などを検出するように構成されているが、この構成に限定されず、基板Pが投影光学系PL及び第1ノズル部材8と対向していない状態で基板Pの表面の面位置情報などを検出するようにしてもよい。
【0069】
図4は、第2ノズル部材9の近傍を示す側断面図、図5は、第2ノズル部材9を下方から見た図である。なお、図4には、第1ノズル部材8及び第3ノズル部材12は図示していない。また、以下の説明においては、第2ノズル部材9と対向する位置に基板テーブル22が配置され、第2ノズル部材9が基板テーブル22の上面24との間に第2液体LCを保持して第2液浸空間LS2を形成する場合を例にして説明する。
【0070】
第2ノズル部材9は、第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成可能である。第2ノズル部材9は、第1ノズル部材8から離れた位置に配置されている。第2ノズル部材9は下面を有し、基板テーブル22の上面24は、第2ノズル部材9の下面と対向可能である。また、第2ノズル部材9の下面と基板テーブル22の上面24との間で第2液体LCを保持可能である。第2ノズル部材9は、基板テーブル22の上面24との間で第2液体LCを保持することによって、第1ノズル部材8から離れた位置で、基板テーブル22の上面24との間に第2液浸空間LS2を形成可能である。
【0071】
上述のように、本実施形態においては、露光装置EXは、物体の表面の一部の領域(局所的な領域)が第2液体LCで覆われるように、第2ノズル部材9と物体との間に第2液浸空間LS2を形成する。
【0072】
第2ノズル部材9は、第2液体LCを供給可能な供給口91と、第2液体LCを回収可能な回収口92とを有する。供給口91は、基板テーブル22の上面24と対向する第2ノズル部材9の下面のほぼ中央に形成されている。回収口92は、第2ノズル部材9の下面において、供給口91を囲むように形成されている。
【0073】
供給口91は、第2ノズル部材9の内部に形成された供給流路94、及び供給管95を介して、第2液体LCを送出可能な第2液体供給装置96に接続されている。回収口92は、第2ノズル部材9の内部に形成された回収流路97、及び回収管98を介して、第2液体LCを回収可能な真空系等を含む第2液体回収装置99に接続されている。
【0074】
第2液体供給装置96及び第2液体回収装置99の動作は制御装置7に制御される。第2液体供給装置96から送出された第2液体LCは、供給管95、及び第2ノズル部材9の供給流路94を流れた後、供給口91より第2ノズル部材9の下面と基板テーブル22の上面24との間に供給される。また、第2液体回収装置99を駆動することにより回収口92から回収された第2液体LCは、第2ノズル部材9の回収流路97を流れた後、回収管98を介して第2液体回収装置99に回収される。制御装置7は、供給口91からの液体供給動作と回収口92による液体回収動作とを並行して行うことで、基板テーブル22の上面24の一部が第2液体LCで覆われるように第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成する。
【0075】
本実施形態においては、第2液体LCは、第1液体LQと異なる。本実施形態においては、第2液体LCとして、水素ガスを水に溶解させた水素水(水素溶解水)を用いる。
【0076】
なお、第2液体LCとして、オゾンガスを水に溶解させたオゾン水(オゾン溶解水)、窒素ガスを水に溶解させた窒素水(窒素溶解水)、アルゴンガスを水に溶解させたアルゴン水(アルゴン溶解水)、二酸化炭素ガスを水に溶解させた二酸化炭素水(二酸化炭素溶解水)等、所定のガスを水に溶解させた溶解ガス制御水を用いてもよい。また、第2液体LCとして、過酸化水素を水に添加した過酸化水素水、塩酸(次亜塩素酸)を水に添加した塩素添加水、アンモニアを水に添加したアンモニア水、コリンを水に添加したコリン水、及び硫酸を水に添加した硫酸添加水等、所定の薬液を水に添加した薬液添加水を用いてもよい。また、第2液体LCとして、エタノール、及びメタノール等のアルコール類、エーテル類、ガンマブチロラクトン、シンナー類、界面活性剤、HFE等のフッ素系溶剤を用いてもよい。
【0077】
超音波発生装置10は、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波(振動)を与える。本実施形態においては、超音波発生装置10は、第2ノズル部材9に接続された超音波振動子を有し、第2ノズル部材9を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与える。本実施形態においては、超音波発生装置10の超音波振動子は、第2ノズル部材9の側面に配置されている。
【0078】
図6は、第3ノズル部材の近傍を示す側断面図である。なお、図6には、第1ノズル部材8及び第2ノズル部材9は図示していない。また、以下の説明においては、第3ノズル部材12と対向する位置に基板テーブル22が配置されている場合を例にして説明する。
【0079】
第3ノズル部材12は、第1ノズル部材8及び第2ノズル部材9と離れた位置で、基板テーブル22に向かって気体を供給可能な給気口11を有している。第3ノズル部材12の給気口11は、基板テーブル22に向かって気体を供給することによって、基板テーブル22上の第1液体LQ及び第2液体LCの少なくとも一方を除去する。第3ノズル部材12の給気口11は、基板テーブル22に向かって気体を供給して、基板テーブル22上の第1液体LQ及び第2液体LCの少なくとも一方を気化させることによって、第1液体LQ及び第2液体LCの少なくとも一方を除去する。なお、給気口11から気体を供給することによって、基板テーブル22上の第1液体LQ及び第2液体LCの少なくとも一方を吹き飛ばしてもよい。
【0080】
給気口11は、基板テーブル22の上面24と対向する第3ノズル部材12の下面に形成されており、基板テーブル22の上方の離れた位置から、基板テーブル22の上面24に気体を供給する。給気口11は、第3ノズル部材12の内部に形成された給気流路19、及び給気管20を介して、気体を送出可能な気体供給装置30に接続されている。
【0081】
気体供給装置30は、清浄で温度調整された気体を送出可能である。気体供給装置30の動作は制御装置7に制御される。気体供給装置30から送出された気体は、給気管20、及び第3ノズル部材12の給気流路19を流れた後、給気口11より基板テーブル22の上面24に向かって供給される。
【0082】
本実施形態においては、液体を除去するための気体として、乾燥した空気を用いる。なお、液体を除去するための気体として、乾燥した窒素ガス等を用いてもよい。
【0083】
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
【0084】
例えば、制御装置7は、駆動機構5を用いて、第1ノズル部材8と対向する位置に計測ステージ3を配置し、第1ノズル部材8と計測ステージ3との間に、第1液体LQを用いて、第1液浸空間LS1を形成する。そして、制御装置7は、その第1液体LQで形成された第1液浸空間LS1を介して、計測ステージ3に配置された各種計測器による計測を実行する。そして、制御装置7は、その計測器の計測結果に基づいて、例えば投影光学系PLの結像特性等、基板Pを露光するときの露光条件を調整し、基板Pの露光動作を開始する。基板Pを露光するときには、制御装置7は、駆動機構5を用いて、第1ノズル部材8と対向する位置に、基板Pを保持した基板ステージ2を配置し、第1ノズル部材8と基板ステージ2(基板P)との間に、第1液浸空間LS1を形成する。
【0085】
本実施形態の露光装置EXは、例えば国際公開第2005/074014号パンフレット(対応米国特許出願公開第2007/0127006号公報)に開示されているように、投影光学系PL(終端光学素子)の光射出面と対向する位置(投影光学系PLの直下の位置)を含む所定領域内で、基板ステージ2(基板テーブル22)の上面24と計測ステージ3(計測テーブル32)の上面34とを接近又は接触させた状態で、第1ノズル部材8に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に一緒に移動することにより、第1液浸空間LS1を、基板ステージ2の上面24と計測ステージ3の上面34との間で移動可能である。基板ステージ2及び計測ステージ3のそれぞれは、露光光ELが通過する終端光学素子FLの光射出側で移動可能であり、第1ノズル部材8と計測ステージ3との間に第1液浸空間LS1を形成して、計測ステージ3を用いた所定の計測動作を実行した後、第1液浸空間LS1を形成した状態(すなわち終端光学素子FLが第1液体LQに接触した状態)を維持しつつ、第1ノズル部材8に基板ステージ2を対向させることができる。
【0086】
そして、制御装置7は、第1液体LQで形成された第1液浸空間LS1を介して基板Pに露光光ELを照射して、基板Pを露光する。制御装置7は、基板Pの露光が終了した後、第1液浸空間LS1を形成した状態を維持しつつ、投影光学系PLの光射出面と対向する位置を含む所定領域内で、基板ステージ2の上面24と計測ステージ3の上面34とを接近又は接触させた状態で、第1ノズル部材8に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に一緒に移動し、第1ノズル部材8に計測ステージ3を対向させる。これにより、第1液浸空間LS1は、第1ノズル部材8と計測ステージ3との間に形成される。
【0087】
そして、制御装置7は、露光が終了した基板Pを保持した基板ステージ2を、所定の基板交換位置に移動し、露光が終了した基板Pを基板ステージ2から搬出(アンロード)するとともに、露光すべき基板Pを基板ステージ2に搬入(ロード)する。また、基板交換位置における基板交換中、制御装置7は、必要に応じて、計測ステージ3を用いた計測動作を第1液浸空間LS1の第1液体LQを介して実行する。基板ステージ2に対する基板Pの搬入が終了した後、上述同様、制御装置7は、投影光学系PLの光射出面と対向する位置を含む所定領域内で、基板ステージ2の上面24と計測ステージ3の上面34とを接近又は接触させた状態で、第1ノズル部材8に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に一緒に移動し、第1ノズル部材8に基板ステージ2を対向させる。これにより、第1液浸空間LS1は、第1ノズル部材8と基板ステージ2との間に形成される。制御装置7は、第1液浸空間LS1の第1液体LQを介して基板Pを露光する。
【0088】
そして、制御装置7は、上述の動作を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
【0089】
制御装置7は、第1液浸空間LS1を介した計測ステージ3による計測動作中、及び第1液浸空間LS1を介した基板ステージ2上の基板Pに対する露光動作中、第2液浸空間LS2を形成しない。また、制御装置7は、第1液浸空間LS1を介した計測ステージ3による計測動作中、及び第1液浸空間LS1を介した基板ステージ2上の基板Pに対する露光動作中、給気口11を用いた気体供給動作を実行しない。
【0090】
基板Pを露光するとき、第1液体LQは、基板Pの表面、終端光学素子FLの下面、及び第1ノズル部材8の下面のそれぞれに接触する。また、第1液体LQは、基板ステージ2(基板テーブル22)及び計測ステージ3(計測テーブル32)のそれぞれに接触する。
【0091】
基板Pと接触した第1液体LQに、例えば基板Pの一部の物質(例えば感光材の一部)が溶出し、終端光学素子FLの下面、第1ノズル部材8の下面、基板ステージ2(基板テーブル22)、及び計測ステージ3(計測テーブル32)の少なくとも1つの部材にその物質が付着し、その部材を汚染する可能性がある。また、基板Pから溶出した物質に限られず、例えば、露光装置EX内の空間中を浮遊する物質(異物)によっても、各部材が汚染する可能性がある。
【0092】
これら部材が汚染した状態を放置しておくと、上述の物質が異物となって、例えば基板Pに形成されるパターンに欠陥を引き起こす等、露光精度に影響を与えたり、各種計測精度に影響を与えたりする等、露光装置EXの性能が劣化する可能性がある。
【0093】
特に、基板ステージ2が汚染した状態を放置しておくと、基板テーブル22で基板Pを良好に保持できなくなり、基板Pを良好に露光できなくなる可能性がある。また、基板ステージ2が汚染している場合、その基板ステージ2にロードされた基板Pが汚染してしまったり、その基板ステージ2に対して基板Pをロードする搬送装置、あるいはその基板ステージ2から基板Pをアンロードする搬送装置が汚染してしまうなど、汚染が拡大する可能性がある。
【0094】
また、計測ステージ3が汚染した状態を放置しておくと、その計測ステージ3に搭載されている計測器による計測精度が劣化し、ひいてはその計測結果に基づいて行われる露光動作にも影響を与える可能性がある。
【0095】
そこで、本実施形態においては、第2液体LCを用いて、第2ノズル部材9と対向する位置に移動可能な基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方をクリーニングする。すなわち、本実施形態においては、露光装置EXは、第2ノズル部材9と、その第2ノズル部材9に対向する基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方との間に第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成して、その第2液体LCで、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方をクリーニングする。
【0096】
次に、第2液体LCの第2液浸空間LS2を用いて露光装置EXの少なくとも一部をクリーニングする動作の一例について説明する。以下の説明においては、第2液体LCを用いて、基板テーブル22をクリーニングする場合を例にして説明する。
【0097】
図7に示すように、制御装置7は、所定枚数の基板Pを露光する毎に、あるいはロット毎に、あるいは所定時間間隔毎に、計測システム6で基板テーブル22の位置情報を計測しつつ、アライメント系40で、基板テーブル22の汚染状態を検出する。本実施形態においては、アライメント系40による基板テーブル22の汚染状態の検出結果に基づいて、基板テーブル22に対するクリーニング動作が制御される。制御装置7は、アライメント系40による基板テーブル22の汚染状態の検出結果に基づいて、第2ノズル部材9による第2液浸空間LS2の形成動作を制御する。
【0098】
上述のように、本実施形態においては、アライメント系40は、物体の光学像(画像)を取得可能な撮像素子を含む。したがって、アライメント系40は、基板テーブル22の上面24の画像を取得可能であり、その取得した画像情報に基づいて、基板テーブル22の上面24の汚染状態を検出可能である。アライメント系40の検出結果は制御装置7に出力され、制御装置7は、アライメント系40の検出結果に基づいて、基板テーブル22の上面24の汚染状態が許容範囲内であるかどうか、あるいは基板テーブル22の上面24に異物が存在するかどうかを判断する。
【0099】
本実施形態においては、制御装置7には、汚染されていない正常状態(理想的な状態)の基板テーブル22の上面24の画像情報(基準画像)が予め記憶されており、制御装置7は、その記憶してある基準画像情報と、アライメント系40で取得した基板テーブル22の上面24の実際の画像情報とを比較し、その比較した結果に基づいて、基板テーブル22の上面24の汚染状態が許容範囲内であるかどうかを判断する。
【0100】
基板テーブル22の上面24の汚染状態が許容範囲内であると判断した場合、制御装置7は、クリーニング動作を実行せず、通常の露光動作(露光シーケンス)を継続する。一方、基板テーブル22の上面24の汚染状態が許容範囲でないと判断した場合、制御装置7は、クリーニング動作を実行する。
【0101】
クリーニング動作を開始する前に、制御装置7は、第1ノズル部材8の供給口81による液体供給動作を停止し、第1ノズル部材8の回収口82を用いて第1液浸空間LS1の第1液体LQを回収し、第1液浸空間LS1を無くす。その後、図8に示すように、制御装置7は、基板テーブル22を第2ノズル部材9に対向させた状態で、第2ノズル部材9の供給口91より第2液体LCを供給し、第2ノズル部材9と基板テーブル22との間に第2液浸空間LS2を形成する動作を開始する。
【0102】
ここで、第2液体LCを用いたクリーニング動作において、基板テーブル22の保持部23には、露光用基板Pとは別の、異物を放出しにくい高い清浄度を有する(クリーンな)ダミー基板DPが保持される。ダミー基板DPは、露光用基板Pとほぼ同じ外形を有し、保持部23に保持可能である。本実施形態においては、保持部23は、いわゆるピンチャック機構を有し、基板P及びダミー基板DPのそれぞれを着脱可能に保持する。
【0103】
なお、保持部23でダミー基板DPを保持せずに、保持部23を露出させた状態で、第2液体LCを用いたクリーニング動作を実行することもできる。こうすることにより、基板テーブル22の上面24はもちろん、保持部23にも第2液体LCが接触し、保持部23を良好にクリーニングできる。
【0104】
本実施形態においては、第2ノズル部材9は、供給口91からの液体供給動作と回収口92による液体回収動作とを並行して行う。これにより、第2ノズル部材9と基板テーブル22との間には、第2液体LCによる第2液浸空間LS2が、基板テーブル22と接触するように形成される。
【0105】
また、上述のように、基板テーブル22は、第1ノズル部材8、第2ノズル部材9、及び第3ノズル部材12のそれぞれと対向する位置に配置可能である。本実施形態においては、図8に示すように、基板テーブル22と第2ノズル部材9及び第3ノズル部材12のそれぞれとが同時に対向可能なように、基板テーブル22の大きさに応じて、第2ノズル部材9と第3ノズル部材12との位置関係が定められている。これにより、図8に示すように、基板テーブル22の上面24の一部の領域と第2ノズル部材9とを対向させ、その一部の領域に第2液浸空間LS2を形成可能であるとともに、基板テーブル22の上面24の別の領域と第3ノズル部材12とを対向させ、その別の領域に給気口11より気体を供給することができる。
【0106】
そして、制御装置7は、超音波発生装置10を用いて、第2液浸空間LS2の第2液体LC(本実施形態においては水素水)に超音波を与える。このように、本実施形態においては、制御装置7は、第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成し、基板テーブル22に第2液浸空間LS2の第2液体LCを接触させるとともに、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与えることによって、基板テーブル22をクリーニングする。
【0107】
本実施形態においては、制御装置7は、第2液浸空間LS2を形成した状態で、第2ノズル部材9に対して、基板テーブル22をXY方向に移動する。これにより、基板テーブル22の広い領域をクリーニングできる。第2液浸空間LS2を形成した状態で、第2ノズル部材9に対して基板テーブル22を移動しているときにおいても、供給口91からの供給動作と回収口92による回収動作とが並行して実行されるとともに、その第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波が与えられる。
【0108】
図9A及び9Bは、基板テーブル22のクリーニング動作の一例を示す模式図である。図9Aに示すように、制御装置7は、第2ノズル部材9の下に第2液浸空間LS2を形成した状態で、図9A中、例えば矢印y1で示すように、第2ノズル部材9に対して基板テーブル22を移動する。すなわち、制御装置7は、第2液浸空間LS2を形成した状態で、その第2液浸空間LS2が基板テーブル22に対して相対的にX軸方向に移動しつつY軸方向に往復するように、基板テーブル22を移動する。これにより、基板テーブル22の広い領域をクリーニングできる。また、第2液浸空間LS2が形成されている状態においては、第3ノズル部材12の給気口11からの気体供給動作は停止されている。
【0109】
第2液浸空間LS2と基板テーブル22との相対的な移動が終了した後、制御装置7は、第2ノズル部材9の供給口91からの液体供給動作を停止し、第2ノズル部材9の回収口92を用いて第2液浸空間LS2の第2液体LCを回収し、第2液浸空間LS2を無くす。これにより、第2液浸空間LS2の第2液体LCによるクリーニング動作が終了する。
【0110】
その後、図9Bに示すように、制御装置7は、基板テーブル22と第3ノズル部材12とを対向させ、その第3ノズル部材12に形成された給気口11より、基板テーブル22に向かって気体を供給する動作を開始する。図9Bに示すように、制御装置7は、第3ノズル部材12の給気口11からの気体供給動作を行っている状態で、図9B中、例えば矢印y2で示すように、第3ノズル部材12に対して基板テーブル22を移動する。すなわち、制御装置7は、給気口11より基板テーブル22の上面24に気体を供給しながら、給気口11が基板テーブル22に対して相対的にX軸方向に移動しつつY軸方向に往復するように、基板テーブル22を移動する。
【0111】
第2液浸空間LS2の第2液体LCによるクリーニング動作の終了後においても、例えば第2ノズル部材9の回収口92で回収しきれなかった第2液体LCが、基板テーブル22上に残留する可能性がある。本実施形態においては、第2液浸空間LS2の第2液体LCによるクリーニング動作の終了後、給気口11より基板テーブル22の上面24に向かって気体を供給することで、基板テーブル22上の第2液体LCを除去することができる。
【0112】
図10は、基板テーブル22のクリーニング動作の一例を示す模式図である。図10に示すように、制御装置7は、第2ノズル部材9の下に第2液浸空間LS2を形成した状態で、図10中、矢印y3で示すように、第2ノズル部材9に対して基板テーブル22を移動する。すなわち、制御装置7は、第2液浸空間LS2を形成した状態で、その第2液浸空間LS2が基板テーブル22に対してY軸方向に関して一方向に移動するように、且つその一方向への移動終了後、X軸方向にステップ移動するように、基板テーブル22を移動する。そして、ステップ移動終了後、制御装置7は、第2液浸空間LS2が基板テーブル22に対してY軸方向に関して一方向に移動するように、基板テーブル22を移動する。以下同様に、制御装置7は、Y軸方向への一方向への移動と、X軸方向へのステップ移動とを繰り返す。また、図10に示す例においては、第2液浸空間LS2の形成動作と、給気口11からの気体供給動作の少なくとも一部とが並行して行われる。また、図10に示す例においては、第2液浸空間LS2の第2液体LCが接触した後の基板テーブル22の上面24の領域に、給気口11からの気体が供給されるように、第2ノズル部材9及び第3ノズル部材12の位置関係に応じて、基板テーブル22の移動条件(移動経路)が定められている。こうすることによっても、基板テーブル22の広い領域を良好にクリーニングでき、基板テーブル22に第2液体LCが残留することを抑制できる。
【0113】
また、上述したように、制御装置7は、計測システム6で基板テーブル22の位置情報を計測しつつ、アライメント系40で基板テーブル22の汚染状態を検出しているので、レーザ干渉計6Bによって規定される座標系内において、汚染している領域を特定することができる。したがって、制御装置7は、汚染している基板テーブル22上の領域を第2液浸空間LS2の第2液体LCを用いて、重点的にクリーニングすることができる。
【0114】
以上説明したように、露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすための第1液浸空間LS1を形成する第1ノズル部材8とは別に、基板テーブル22をクリーニングするための第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成するための第2ノズル部材9を設けたので、基板テーブル22を良好にクリーニングすることができる。したがって、基板テーブル22の汚染に起因する露光装置EXの性能の劣化を抑制できる。
【0115】
第1液体LQで第1液浸空間LS1を形成する第1ノズル部材8とは別に、第2液体LCで基板テーブル22をクリーニングする専用の第2ノズル部材9を設けることで、第1液体LQとは別の、クリーニングに適した第2液体LCを使用することができる。第1ノズル部材8は、第1液体LQの物性等に応じた最適な材料で形成されていたり、あるいは第1液体LQの物性等に応じた最適な表面処理が施されている。そのような第1ノズル部材8を用いて、第1液体LQとは別の第2液体LCを、第1ノズル部材8の内部の流路84、87に流したり、第1ノズル部材8と基板テーブル22との間に第2液体LCで液浸空間を形成した場合、第1ノズル部材8の表面が変質する等、不具合が生じる可能性がある。また、クリーニング動作のために、第1液体LQとは別の第2液体LCを第1ノズル部材8の内部の流路84、87に流したり、第1ノズル部材8と基板テーブル22との間に第2液体LCで液浸空間を形成した場合、クリーニング動作終了後、露光動作を開始するとき、第1ノズル部材8に付着した第2液体LCを十分に取り去るための処理(第2液体LCを第1液体LQに置換する処理)に多くの時間を要する可能性がある。その場合、露光装置EXの稼動率の低下を招く。
【0116】
本実施形態においては、クリーニング専用の第2ノズル部材9を設けたので、上述の不具合の発生を抑制できる。また、第2ノズル部材9によって、使用可能な第2液体LCの種類の選択の幅が拡がる。
【0117】
そして、本実施形態においては、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与える超音波発生装置10を設けたので、クリーニング効果を高めることができる。本実施形態においては、クリーニングに適した第2液体LC(水素水)と超音波との相乗効果によって、基板テーブル22を良好にクリーニングすることができる。
【0118】
また、本実施形態においては、基板テーブル22に向かって気体を供給する給気口11を設けたので、その供給した気体によって、基板テーブル22上の第2液体LCを除去でき、クリーニング動作後における第2液体LCの残留を抑制することができる。
【0119】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0120】
図11は、第2実施形態に係る第2ノズル部材9Aの近傍を示す側断面図、図12は、第2ノズル部材9Aを下方から見た図である。図11及び図12に示すように、第2実施形態においては、基板テーブル22に向かって気体を供給する給気口11は、第2液浸空間LS2を形成するための第2ノズル部材9Aに形成されている。すなわち、上述の第1実施形態においては、給気口11は、第2ノズル部材9とは別の第3ノズル部材12に形成されていたが、第2実施形態においては、第3ノズル部材は省略され、給気口11は、第2ノズル部材9Aに形成されている。
【0121】
本実施形態においては、第2液体LCを供給可能な供給口91は、基板テーブル22の上面24と対向する第2ノズル部材9Aの下面のほぼ中央に形成されている。第2液体LCを回収可能な回収口92は、第2ノズル部材9Aの下面において、供給口91を囲むように形成されている。第2液体LCを除去するための気体を供給する給気口11は、第2ノズル部材9Aの下面において、回収口92を囲むように形成されている。
【0122】
図13は、第2実施形態に係る基板テーブル22のクリーニング動作の一例を示す模式図である。図13に示すように、制御装置7は、第2ノズル部材9Aの下に第2液浸空間LS2を形成した状態で、図13中、例えば矢印y4で示すように、第2ノズル部材9Aに対して基板テーブル22を移動する。これにより、基板テーブル22の広い領域をクリーニングできる。また、本実施形態においては、第2液浸空間LS2の外側に給気口11が配置されており、第2液浸空間LS2の形成動作と、給気口11からの気体供給動作の少なくとも一部とが並行して行われる。図13に示す例においては、給気口11が第2液浸空間LS2の外側で、第2液浸空間LS2を囲むように配置されているので、基板テーブル22が第2液浸空間LS2に対してXY平面内においてどの方向に移動しても、第2液浸空間LS2の第2液体LCが接触した後の基板テーブル22の上面24の領域に、給気口11からの気体を供給できる。このように、本実施形態においても、基板テーブル22の広い領域をクリーニングでき、基板テーブル22に第2液体LCが残留することを抑制できる。
【0123】
なお、上述の第1、第2実施形態においては、第2液体LCを用いて、基板テーブル22をクリーニングする場合を例にして説明したが、もちろん、図14の模式図に示すように、第2ノズル部材9と計測テーブル32とを対向させ、第2ノズル部材9と計測テーブル32との間に、第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成することができる。この場合、計測テーブル32を良好にクリーニングできる。
【0124】
なお、上述の第1、第2実施形態においては、第2液体LCを供給する供給口91と、第2液体LCを回収する回収口92とは、同一の部材(第2ノズル部材)に形成されているが、別々の部材に形成されていてもよい。例えば、基板テーブル22等との間で第2液浸空間LS2を形成可能な第2ノズル部材に供給口91のみを設け、回収口92をその第2ノズル部材とは別の部材に設けてもよい。
【0125】
あるいは、例えば、基板テーブル22等との間で第2液浸空間LS2を形成可能な第2ノズル部材とは別の部材に、第2液体LCを供給する供給口91を設けるようにしてもよい。この場合、第2ノズル部材は、基板テーブル22の上面24と対向する下面を有しており、その下面と基板テーブル22の上面24との間で第2液体LCを保持可能である。そして、その第2ノズル部材の下面と基板テーブル22の上面24との間に、別の部材に形成された供給口91から第2液体LCを供給するようにしてもよい。
【0126】
なお、上述の第1、第2実施形態においては、第2液体LCを回収する回収口92を設けてあるが、給気口11から供給する気体によって第2液体LCを除去可能であるならば、回収口92は省略してもよい。
【0127】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。上述の第1、第2実施形態においては、超音波発生装置10は、第2ノズル部材9を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与えているが、第3実施形態の特徴的な部分は、超音波発生装置10は、基板テーブル22を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波(振動)を与える点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0128】
図15は、第3実施形態に係る露光装置EXの一部を示す側断面図である。図15に示すように、本実施形態においては、超音波発生装置10は、基板テーブル22に接続された超音波振動子を有し、その基板テーブル22を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与える。本実施形態においては、超音波発生装置10の超音波振動子は、基板テーブル22の側面に配置されている。本実施形態においても、制御装置7は、第2液浸空間LS2を形成した状態で、その第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与えつつ、例えば図9A、図9B、図10、図13の各矢印y1、y2、y3、y4で示したように、第2ノズル部材9に対して基板テーブル22を移動することができる。本実施形態においても、基板テーブル22を良好にクリーニングすることができる。
【0129】
なお、本実施形態においては、基板テーブル22に超音波発生装置10を接続し、第2ノズル部材9と基板テーブル22とを対向させた状態で、基板テーブル22を振動させているが、もちろん、計測テーブル32に超音波発生装置10を接続し、第2ノズル部材9と計測テーブル32とを対向させて第2液浸空間LS2を形成した状態で、計測テーブル32に接続されている超音波発生装置10で計測テーブル32を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与えるようにしてもよい。この場合、計測テーブル32を良好にクリーニングできる。
【0130】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、上述の第3実施形態の変形例であって、第4実施形態の特徴的な部分は、基板テーブル22を移動する駆動機構5を用いて基板テーブル22を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波(振動)を与える点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0131】
図16は、第4実施形態に係る露光装置EXの一部を示す側断面図である。本実施形態においては、超音波発生装置10Aは、基板テーブル22を移動可能な駆動機構5を含む。制御装置7は、第2ノズル部材9と基板テーブル22との間に第2液浸空間LS2を形成した状態で、駆動機構5の例えば微動システム14を用いて、基板テーブル22を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与える。
【0132】
本実施形態においては、制御装置7は、第2液浸空間LS2を形成した状態で、微動システム14を用いてステージ本体21上で基板テーブル22を振動(微振動)させて第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与えつつ、粗動システム13を用いて、例えば図9A、図9B、図10、図13の各矢印y1、y2、y3、y4で示したように、第2ノズル部材9に対して基板テーブル22を移動することができる。本実施形態においても、基板テーブル22を良好にクリーニングすることができる。
【0133】
なお、本実施形態においては、第2ノズル部材9と基板テーブル22とを対向させた状態で、駆動機構5を用いて基板テーブル22を振動させているが、もちろん、第2ノズル部材9と計測テーブル32とを対向させて第2液浸空間LS2を形成した状態で、駆動機構5を用いて計測テーブル32を振動させることによって、第2液浸空間LS2の第2液体LCに超音波を与えるようにしてもよい。この場合、計測テーブル32を良好にクリーニングできる。
【0134】
また、第2ノズル部材9の振動と基板テーブル(または計測テーブル32)の振動とを併用して、第2液浸空間LS2の液体に超音波(振動)を与えるようにしてもよい。
【0135】
なお、上述の第1〜第4実施形態においては、第2液浸空間LS2は、第1液体LQと異なる第2液体LCで形成されるが、第1液体LQで第2液浸空間LS2を形成してもよい。例えば、使用される第1液体LQがクリーニング能力を有するもの(例えば純水以外のもの、例えばフッ素系液体)であったり、あるいは発生した汚染が第1液体LQで良好に除去可能(クリーニング可能)である場合には、第1液体LQで第2液浸空間LS2を形成して、その第2液浸空間LS2の液体で基板テーブル22等をクリーニングしてもよい。
なお、上述の第1〜第4実施形態においては、第2ノズル部材9を用いてクリーニング動作を実行している間、第1液浸空間LS1は存在しないが、第1液体LQで第1液浸空間を形成した状態で、第2ノズル部材9を用いてクリーニング動作を実行してもよい。例えば、上述のように、第2ノズル部材9を用いて基板テーブル22のクリーニングをしている間、計測テーブル32を第1ノズル部材8と対向する位置に移動することによって、第1液浸空間LS1を維持してもよい。あるいは、第2ノズル部材9を用いて計測テーブル32のクリーニングをしている間、基板テーブル22を第1ノズル部材8と対向する位置に移動することによって、第1液浸空間LS1を維持してもよい。あるいは、基板テーブル22及び計測テーブル32と異なる物体を第1ノズル部材8と対向する位置に配置してもよい。このように、第2ノズル部材9を用いてクリーニング動作を実行している間、第1液浸空間LS1を維持することによって、クリーニング動作完了後、直ちに基板の露光動作を開始することができる。
【0136】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。上述の第1〜第4実施形態においては、第2ノズル部材9と基板テーブル22(又は計測テーブル32)との間に第2液体LCで第2液浸空間LS2を形成した状態で、基板テーブル22(又は計測テーブル32)のクリーニングを行っているが、第1ノズル部材8から第2液体LCを供給し、第1ノズル部材8と基板テーブル22(計測テーブル32)との間に第2液体LCで液浸空間LS3を形成した状態で基板テーブル22(計測テーブル32)のクリーニングを行うようにしてもよい。
【0137】
本実施形態においては、第1ノズル部材8と基板テーブル22との間に第2液体LCで液浸空間LS3を形成した状態で、基板テーブル22を振動させることによって、その液浸空間の液体に超音波(振動)を与える。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0138】
図17は、第5実施形態に係る露光装置EXの一部を示す側断面図である。図17に示すように、本実施形態においては、超音波発生装置10は、基板テーブル22に接続された超音波振動子を有し、その基板テーブル22を振動させることによって、第1ノズル部材8との間に形成された液浸空間LS3の液体LCに超音波を与える。本実施形態においては、超音波発生装置10の超音波振動子は、基板テーブル22の側面に配置されている。制御装置7は、液浸空間LS3を形成した状態で、その液浸空間LS3の液体LCに超音波を与えつつ、第1ノズル部材8に対して基板テーブル22を移動することができる。本実施形態においても、基板テーブル22を良好にクリーニングすることができる。
【0139】
また、本実施形態においては、第1ノズル部材8(例えば下面)及び/又は終端光学素子FL(例えば光射出面)をクリーニングすることができる。したがって、クリーニングされた第1ノズル部材8を用いて、露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように、第1液浸空間LS1を形成できる。なお、基板テーブル22をクリーニング対象としない場合には、基板テーブル22に保持されたダミー基板DPと第1ノズル部材8及び/又は終端光学素子FLとを対向させた状態で基板テーブル22を振動させてもよい。
【0140】
本実施形態においては、液浸空間LS3は、第1液体LQによって形成してもよい。例えば、使用される第1液体LQがクリーニング能力を有するもの(例えばフッ素系液体)であったり、あるいは発生した汚染が第1液体LQで良好に除去可能(クリーニング可能)である場合には、第1液体LQで良好にクリーニングできる。
【0141】
なお、本実施形態においては、基板テーブル22に超音波発生装置10を接続し、第1ノズル部材8と基板テーブル22とを対向させた状態で、基板テーブル22を振動させているが、もちろん、計測テーブル32に超音波発生装置10を接続し、第1ノズル部材8と計測テーブル32とを対向させて液浸空間LS3を形成した状態で、計測テーブル32に接続されている超音波発生装置10で計測テーブル32を振動させることによって、液浸空間LS3の液体LCに超音波を与えるようにしてもよい。この場合、計測テーブル32、第1ノズル部材8、終端光学素子FLの少なくとも一つを良好にクリーニングできる。
【0142】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、上述の第5実施形態の変形例であって、第6実施形態の特徴的な部分は、基板テーブル22を移動する駆動機構5を用いて基板テーブル22を振動させることによって、第1ノズル部材8と基板テーブル22との間の液浸空間の液体に超音波(振動)を与える点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0143】
図18は、第6実施形態に係る露光装置EXの一部を示す側断面図である。本実施形態においては、超音波発生装置10Aは、基板テーブル22を移動可能な駆動機構5を含む。制御装置7は、第1ノズル部材8と基板テーブル22との間に液浸空間LS3を形成した状態で、駆動機構5の例えば微動システム14を用いて、基板テーブル22を振動させることによって、第1ノズル部材8と基板テーブル22との間に形成された液浸空間LS3の液体LCに超音波を与える。上述の第5実施形態同様、液浸空間LS3は、第1液体LQによって形成してもよい。
【0144】
本実施形態においては、制御装置7は、液浸空間LS3を形成した状態で、微動システム14を用いてステージ本体21上で基板テーブル22を振動(微振動)させて液浸空間LS3の液体LCに超音波を与えつつ、粗動システム13を用いて、第1ノズル部材8に対して基板テーブル22を移動することができる。本実施形態においても、基板テーブル22、第1ノズル部材8、終端光学素子FLの少なくとも一つを良好にクリーニングすることができる。
【0145】
なお、本実施形態においては、第1ノズル部材8と基板テーブル22とを対向させた状態で、駆動機構5を用いて基板テーブル22を振動させているが、もちろん、第1ノズル部材8と計測テーブル32とを対向させて液浸空間LS3を形成した状態で、駆動機構5を用いて計測テーブル32を振動させることによって、液浸空間LS3の液体LCに超音波を与えるようにしてもよい。この場合、計測テーブル32、第1ノズル部材8、終端光学素子FLの少なくとも一つを良好にクリーニングできる。
【0146】
なお、上述の第5、第6実施形態において、第1ノズル部材8と基板テーブル22(又は計測テーブル32)との間の液浸空間LS3を形成するために、第1液体LQと、第1液体LQと異なる第2液体LCとを時系列的に使用してもよい。例えば第1液体LQが水(純水)であり、第2液体LCが所定の気体を水に溶解させた溶解ガス制御水(水素水、窒素水等)である場合には、第2液体を用いたクリーニング動作後、第1液体LQを用いたクリーニング動作を実行することができる。クリーニング動作終了後に第1液体LQに置換する処理の時間を短くすることができる。
【0147】
また、上述の第5、第6実施形態において、第1ノズル部材8を振動させて液浸空間LS3の液体に超音波(振動)を与えるようにしてもよい。この場合、第1ノズル部材8と対向する基板テーブル22(または計測テーブル32)を振動させてもよいし、振動させなくてもよい。
【0148】
また、上述の第5,第6実施形態において、第2ノズル部材9は省略してもよいし、露光装置EXが第1ノズル部材8を用いたクリーニング動作と第2ノズル部材9を用いたクリーニング動作を両方実行できるようにしてもよい。
【0149】
なお、上述の第3〜第6実施形態においては、例えば基板テーブル22(又は計測テーブル32)の上面と対向する位置に、ノズル部材(8,9)等を配置せず、基板テーブル22上に液体の液浸空間(液浸領域)を形成した状態で、基板テーブル22(又は計測テーブル)を振動させることによって、その液浸空間(液浸領域)の液体に超音波を与えるようにしてもよい。こうすることによっても、基板テーブル22(又は計測テーブル)を液体及び超音波を用いて良好にクリーニングできる。
【0150】
また、上述の第1〜第6実施形態においては、基板テーブル22などの物体のクリーニングを促進するために、液体(LQ又はLC)に20KHz以上の振動(超音波)を与えるようにしているが、液体LQに20KHz未満の振動を与えるようにしてもよい。
【0151】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、撮像素子を有するアライメント系40の検出結果に基づいて、クリーニング動作を実行するかどうかを判断しているが、上述のように、露光装置EXは、回収口82より回収された第1液体LQの品質(水質)を検出可能な検出装置80を備えているので、その検出装置80の検出結果に基づいて、クリーニング動作を実行するかどうかを判断するようにしてもよい。図19に示すように、検出装置80は、第1液体LQ中の全有機体炭素を計測するためのTOC計80A、微粒子及び気泡を含む異物を計測するためのパーティクルカウンタ80B、及び第1液体LQの比抵抗を計測する比抵抗計80C等を含み、基板テーブル22(又は計測テーブル32)に接触した後であって、回収口82より回収した第1液体LQの汚染状態を検出可能である。したがって、制御装置7は、検出装置80の検出結果に基づいて、基板テーブル22に接触した後の第1液体LQが汚染していると判断したときに、クリーニング動作を実行するようにしてもよい。基板テーブル22の汚染状態に応じて、その基板テーブル22に接触した第1液体LQの汚染状態も変化するので、制御装置7は、基板テーブル22に接触した後、回収口82より回収された第1液体LQの汚染状態を検出装置80を用いて検出することによって、その検出結果に基づいて、基板テーブル22の汚染状態を求める(推定する)ことができる。そして、制御装置7は、検出装置80の検出結果に基づいて、基板テーブル22の汚染状態が許容範囲にないと判断した場合、露光動作を停止し、クリーニング動作を実行する。
【0152】
また、第1液浸空間LS1に対して基板テーブル22を移動しつつ、検出装置80で液体LQの品質を検出装置で検出した場合において、第1液浸空間LS1に対する基板テーブル22の位置に応じて、検出装置80の検出結果が変動する可能性がある。例えば、基板テーブル22の第1の領域と第1ノズル部材8との間に第1液浸空間LS1を形成しているときの検出装置80の検出結果と、基板テーブル22の第2の領域と第1ノズル部材8との間に第1液浸空間LS1を形成しているときの検出装置80の検出結果とに違いがある場合には、基板テーブル22の第1の領域の汚染状態と第2の領域の汚染状態とに違いがあると判断することができる。また、検出装置80の検出結果に基づいて、基板テーブル22のうち、ある領域が他の領域に比べて汚染しているかどうかを判断することもできる。そして、制御装置7は、その汚染している領域を重点的にクリーニングすることができる。また、第1液浸空間LS1に対して基板テーブル22を移動しつつ、検出装置80で液体LQの品質を検出した場合において、検出した液体LQが汚染しているにもかかわらず、第1液浸空間LS1に対する基板テーブル22の位置に応じて、検出装置80の検出結果が大きく変動しない場合には、第1ノズル部材8(回収口82、多孔部材83)が汚染していると判断できる。また、高い清浄度を有するダミー基板DP上に第1液浸空間LS1を形成した状態で、検出装置80で液体LQの汚染状態を検出することによって、第1ノズル部材8(回収口82、多孔部材83)の汚染状態を検出することができる。
【0153】
なお、図20Aに示すように、露光用基板PをマスクMのパターンの像で露光し、現像処理を行った後、図20Bに示すように、その露光用基板P上に形成されたパターンの形状を所定の計測装置100で計測し、その計測結果に基づいて、クリーニング動作を実行するかどうかを判断するようにしてもよい。例えば、パターンの形状の計測結果に基づいて、パターンの欠陥が許容範囲にないと判断された場合、制御装置7は、基板テーブル22の汚染状態も許容範囲にないと判断し、クリーニング動作を実行する。
【0154】
また、図21Aに示すように、基板テーブル22の保持部23に、高い清浄度を有するダミー基板DPを保持し、その保持されたダミー基板DP上に第1液浸空間LS1を形成し、第1ノズル部材8とダミー基板DPとの間に第1液浸空間LS1を形成した状態で、通常の露光シーケンスの移動軌跡と同様の移動軌跡で基板テーブル22(基板ステージ2)を移動した後、図21Bに示すように、そのダミー基板DPを基板テーブル22から搬出(アンロード)し、ダミー基板DPの汚染状態を所定の検出装置101で検出し、その検出結果に基づいて、クリーニング動作を実行するかどうかを判断するようにしてもよい。なお、第1ノズル部材8とダミー基板DPとの間に第1液浸空間LS1を形成した状態で基板テーブル22を移動しているとき、露光光はダミー基板に照射されない。
【0155】
上述の動作を実行することによって、基板テーブル22、あるいは第1ノズル部材8等の汚染状態を検出装置101で検出することができる。基板テーブル22等の汚染状態に応じて、上述の動作が実行された後のダミー基板DPの汚染状態(ダミー基板DPに付着した汚染物の量など)が変化するので、ダミー基板DPの汚染状態を所定の検出装置101で検出することによって、その検出結果に基づいて、基板テーブル22等の汚染状態を求める(推定する)ことができる。そして、制御装置7は、検出装置101の検出結果に基づいて、クリーニング動作を実行するかどうかを判断することができる。
【0156】
また、図22に示すように、基板テーブル22の保持部23に、高い平坦度の表面を有するダミー基板DPを保持し、そのダミー基板DPの表面の形状(フラットネス)を、上述の投射装置61と受光装置62とを有する斜入射方式のフォーカス・レベリング検出系60で検出し、その検出結果に基づいて、クリーニング動作を実行するかどうかを判断するようにしてもよい。図22に示すように、保持部23などに汚染物(異物)が存在する場合、ダミー基板DPの表面の形状(フラットネス)が劣化するため、その劣化の度合いが許容範囲にないと判断した場合、制御装置7は、基板テーブル22の汚染状態も許容範囲にないと判断し、クリーニング動作を実行する。
【0157】
なお、保持部23でダミー基板DPを保持せずに、投射装置61より保持部23に直接的に検出光を照射するようにしてもよい。制御装置7は、そのときの受光装置62の受光結果に基づいて、基板テーブル22の汚染状態を検出することができる。
【0158】
また、上述のように汚染状態の検出を行わずに、所定枚数の基板Pを露光する毎に、あるいはロット毎に、あるいは所定時間間隔毎にクリーニング動作を実行してもよい。
【0159】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0160】
図23は、第7実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。露光装置EXは、基板テーブル22の汚染状態を検出可能な検出装置120を備えている。本実施形態においては、検出装置120は、湾曲可能な湾曲部材(フレキシブル部材)121と、湾曲部材121を湾曲させる駆動装置122と、湾曲部材121の先端側に設けられ、液体LQと接触した基板テーブル22の汚染状態を観察可能な観察装置123とを備えている。
【0161】
湾曲部材121は、ファイバースコープを有する。駆動装置122は、湾曲部材121の先端にその一端が接続された複数のワイヤと、それらワイヤの他端に接続された回転体と、回転体を回転可能なアクチュエータ(モータ)とを備えている。アクチュエータが回転体を回転することによって、ワイヤが駆動され、湾曲部材121が湾曲する。観察装置123は、湾曲部材121の先端に配置された光学系とその光学系を介した光学像(画像)を取得する撮像素子とを有する。以下の説明において、本実施形態に係る検出装置120を適宜、内視鏡装置120、と称する。
【0162】
内視鏡装置120は、さらに、湾曲部材121の後端側(根元側)に設けられ、観察装置123の観察結果が出力される出力装置124を有している。出力装置124は、ディスプレイ装置等を含む。また、本実施形態においては、内視鏡装置120は、湾曲部材121の後端側に設けられ、駆動装置122を操作する操作装置を備えている。
【0163】
そして、本実施形態においては、内視鏡装置120は、湾曲部材121の先端側に設けられ、基板テーブル22をクリーニング可能なクリーニング装置126と、クリーニング装置126を駆動可能な駆動装置とを備えている。操作装置125は、クリーニング装置126を操作可能である。
【0164】
図23において、露光装置EXは、例えばクリーンルーム内の床面上に設けられた第1コラムCL1、及び第1コラムCL1上に設けられた第2コラムCL2を含むボディBDを備えている。第1コラムCL1は、複数の第1支柱130と、それら第1支柱130に防振装置131を介して支持された鏡筒定盤132とを備えている。第2コラムCL2は、鏡筒定盤132上に設けられた複数の第2支柱133と、それら第2支柱133に防振装置134を介して支持されたベース部材135とを備えている。マスクステージ1は、ベース部材135上で移動可能である。基板ステージ2は、ベース部材BP上で移動可能である。ベース部材BPは、床面上に防振装置136を介して支持されている。各防振装置131、134、136のそれぞれは、所定のアクチュエータ及びダンパ機構を備えたアクティブ防振装置を含む。
【0165】
なお、図23においては、計測ステージの図示を省略してある。
【0166】
ボディBDの所定位置には、内視鏡装置120の少なくとも一部を配置可能な開口(孔)140、141が形成されている。内視鏡装置120の湾曲部材121は、ボディBDの外側より開口140、141に挿入可能であり、その湾曲部材121の先端は、基板テーブル22に接近可能である。湾曲部材121の後端に配置された出力装置124及び操作装置125等は、ボディBDの外側に配置される。ボディBDの外側に配置された操作装置125に操作信号を入力することによって、駆動装置122が駆動して湾曲部材121が作動するとともに、クリーニング装置126が作動する。
【0167】
クリーニング装置126は、パッド部材126Pを含む。パッド部材126Pは、例えば不織布によって形成されている。なお、パッド部材126Pは、砥石状の部材であってもよい。内視鏡装置120は、パッド部材126Pを基板テーブル22に押し当てたり、あるいはパッド部材126Pで基板テーブル22を擦ることによって、基板テーブル22の汚染物を除去できる。
【0168】
次に、本実施形態に係るクリーニング方法について説明する。上述の実施形態と同様、制御装置7は、所定枚数の基板Pを露光する毎に、あるいはロット毎に、あるいは所定時間間隔毎に、アライメント系40等で、基板テーブル22の汚染状態を検出する。制御装置7は、アライメント系40等による基板テーブル22の汚染状態の検出結果に基づいて、基板テーブル22に対するクリーニング動作を制御する。アライメント系40等の検出結果に基づいて、基板テーブル22の上面24の汚染状態が許容範囲でないと判断した場合、制御装置7は、内視鏡装置120を用いたクリーニング動作を開始する。
【0169】
制御装置7は、内視鏡装置120の駆動装置122を制御し、湾曲部材121の先端を基板テーブル22に接近する。制御装置7は、内視鏡装置120の観察装置123で基板テーブル22上の汚染物をモニタしつつ、図24に示すように、クリーニング装置126(パッド部材126P)と汚染物との位置関係を調整し、クリーニング装置126を駆動して、汚染物を除去する。これにより、基板テーブル22(保持部23及び/又は上面24)がクリーニングされる。
【0170】
なお、ここでは、内視鏡装置120が制御装置7に制御される場合について説明したが、上述のように、内視鏡装置120は、出力装置124及び操作装置125を有しているため、例えば作業者が、観察装置123の観察結果を出力装置124でモニタしつつ、開口140、141に挿入された内視鏡装置120の湾曲部材121を操作するとともに、クリーニング装置126を操作して、クリーニング動作を実行してもよい。
【0171】
なお、ここでは、アライメント系40等で基板テーブル22の汚染状態を検出し、その検出結果に基づいて、内視鏡装置120を用いたクリーニング動作が実行される場合について説明したが、アライメント系40等を用いずに、例えば、所定枚数の基板Pを露光する毎に、あるいはロット毎に、あるいは所定時間間隔毎に、開口140、141に内視鏡装置120の湾曲部材121を挿入して、その湾曲部材121の先端側に設けられた観察装置123で基板テーブル22を観察し、その観察結果に基づいて、基板テーブル22が汚染されていると判断された場合に、湾曲部材121の先端側に設けられたクリーニング装置126を作動して、基板テーブル22をクリーニングするようにしてもよい。この場合、クリーニング装置126の作動は、制御装置7が実行してもよいし、作業者が実行してもよい。
【0172】
なお、クリーニング装置126は、パッド部材126Pに限られず、汚染物(異物)をつまむことができるピンセット装置を有していてもよい。ピンセット装置を作動することによって、汚染物(異物)を除去できる。
【0173】
なお、本実施形態においては、内視鏡装置120が基板テーブル22(保持部23)をクリーニングする場合を例にして説明したが、内視鏡装置120は、計測ステージ3の計測テーブル32もクリーニングできるし、第1ノズル部材8もクリーニングできる。また、露光装置EXが、上述の実施形態で説明したような第2ノズル部材9を備えている場合には、内視鏡装置120は、その第2ノズル部材9もクリーニングできる。また、内視鏡装置120は、湾曲部材121の先端のクリーニング装置126が接近可能な部材であるならば、例えば、基板ステージ2のステージ本体21、計測ステージ3のステージ本体21、ベース部材BP等、露光装置EXを構成する全ての部材をクリーニングできる。
【0174】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、クリーニング用部材を用いてクリーニングする点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0175】
図25は、本実施形態に係るクリーニング用部材CPを示す模式図である。クリーニング用部材CPは、露光用の基板Pとほぼ同じ外形を有した板状部材(円板状部材)であり、その露光用の基板Pを保持可能な基板テーブル22の保持部23に着脱可能に保持される。基板テーブル22に保持されたクリーニング用部材CPは、液体LQの液浸空間LS1を形成可能な第1ノズル部材8と対向する位置に配置可能である。
【0176】
本実施形態においては、クリーニング用部材CPは、石英等のガラスで形成されている。
【0177】
次に、クリーニング用部材CPを用いたクリーニング動作の一例について説明する。図25に示すように、クリーニング用部材CPが基板テーブル22の保持部23で保持された後、制御装置7は、第1ノズル部材8とクリーニング用部材CPとの間に液体LQの液浸空間LS1を形成する。
【0178】
そして、制御装置7は、第1ノズル部材8の供給口81からの単位時間当たりの液体供給量、及び回収口82による単位時間当たりの液体回収量の少なくとも一方を調整して、液浸空間LS1の界面を移動する。図26の模式図に示すように、液浸空間LS1の界面を移動することによって、回収口82に配置された多孔部材(メッシュ)83の下面等、第1ノズル部材8の下面に付着していた異物が、その第1ノズル部材8から除去される。
【0179】
第1ノズル部材8から除去された異物は、第1ノズル部材8と対向している基板テーブル22上のクリーニング用部材CPの表面に保持される。すなわち、クリーニング用部材CPは、基板テーブル22に保持された状態で、第1ノズル部材8と対向して第1ノズル部材8から除去された異物を保持する。
【0180】
クリーニング用部材CPは、静電気の力によって、第1ノズル部材8から除去された異物を保持可能である。例えば、異物のゼータ電位がプラスである場合、クリーニング用部材CPがマイナスに帯電することによって、そのクリーニング用部材CPで、異物を良好に保持可能である。本実施形態においては、クリーニング用部材CPはガラスで形成されており、静電気の力によって、異物を良好に保持可能である。また、クリーニング用部材CPが異物を良好に保持することによって、そのクリーニング用部材CPの表面で保持されている異物が、再び第1ノズル部材8の下面に付着してしまうことが抑制されている。このように、クリーニング用部材CPは、液体LQを用いたクリーニング動作によって、第1ノズル部材8から除去された異物を保持可能である。
【0181】
ここで、本実施形態においては、クリーニング用部材CPは、静電気の力によって異物を保持可能な保持領域CP1と撥液性領域CP2とを有する。具体的には、第1ノズル部材8と対向するクリーニング用部材CPの表面が、静電気の力によって第1ノズル部材8から除去された異物を保持可能な保持領域CP1と、保持領域CP1を囲むように形成された撥液性領域CP2とを有する。保持領域CP1は、ガラスの表面で形成されており、撥液性領域CP2は、ガラスに例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂、又はアクリル系樹脂等の撥液性を有する材料の膜で形成されている。
【0182】
液浸空間LS1の界面を移動する動作を所定時間行った後、制御装置7は、液浸空間LS1をクリーニング用部材CP上から退かし、図27の模式図に示すように、所定の搬送装置を用いて、クリーニング用部材CPを基板テーブル22から搬出(アンロード)する。クリーニング用部材CPは、異物を保持した状態で、基板テーブル22から搬出される。ここで、クリーニング用部材CPの表面のうち、静電気の力によって異物を保持した保持領域CP1には、その異物とともに、液体の膜、滴などが存在する可能性があるが、その保持領域CP1を囲むように撥液性領域CP2が形成されているので、その撥液性領域CP2によって、保持領域CP1の液体が撥液性領域CP2の外側に漏れ出すことが抑制されている。したがって、例えばクリーニング用部材Cpの搬送中において、クリーニング用部材CPから液体が漏出することが抑制される。以上により、第1ノズル部材8の下面に付着していた異物を除去し、その異物をクリーニング用部材CPとともに、露光装置EXの外側に搬出することができる。
【0183】
なお、液浸空間LS1の界面を動かす(振動させる)方法として、上述の第1〜第6実施形態と同様に、クリーニング動作に用いる液体に振動を与えるようにしてもよい。
【0184】
なお、本実施形態においては、第1ノズル部材8の異物を除去する場合について説明したが、露光装置EXが、上述の実施形態で説明した第2ノズル部材9を有している場合には、クリーニング用部材CPを用いて、第2ノズル部材9の異物を除去する動作を実行できる。
【0185】
また、上述の第1〜第8実施形態で説明したクリーニング動作、クリーニング機構を適宜組み合わせて使用できることは言うまでもない。
【0186】
なお、上述の第1〜第8実施形態においては、投影光学系の終端光学素子の光射出側(像面側)の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子の光入射側(物体面側)の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
【0187】
なお、上述の各実施形態の第1液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がFレーザである場合、このFレーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはFレーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。液体LQと接触する投影光学系PLの光学素子(最終光学素子FLなど)は、例えば石英(シリカ)、あるいは、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、及びフッ化ナトリウム等のフッ化化合物の単結晶材料で形成してもよい。更に、終端光学素子は、石英及び蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で形成してもよい。屈折率が1.6以上の材料としては、例えば、国際公開第2005/059617号パンフレットに開示されるサファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号パンフレットに開示される塩化カリウム(屈折率は約1.75)等を用いることができる。さらに、終端光学素子の表面の一部(少なくとも液体との接触面を含む)又は全部に、親液性及び/又は溶解防止機能を有する薄膜を形成してもよい。なお、石英は液体との親和性が高く、かつ溶解防止膜も不要であるが、蛍石は少なくとも溶解防止膜を形成することができる。液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。純水よりも屈折率が高い(例えば1.5以上)の液体としては、例えば、屈折率が約1.50のイソプロパノール、屈折率が約1.61のグリセロール(グリセリン)といったC−H結合あるいはO−H結合を持つ所定液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の所定液体(有機溶剤)、あるいは屈折率が約1.60のデカリン(Decalin: Decahydronaphthalene)などが挙げられる。また、液体は、これら液体のうち任意の2種類以上の液体を混合したものでもよいし、純水にこれら液体の少なくとも1つを添加(混合)したものでもよい。さらに、液体は、純水にH、Cs、K、Cl、SO2−、PO2−等の塩基又は酸を添加(混合)したものでもよいし、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものでもよい。なお、液体としては、光の吸収係数が小さく、温度依存性が少なく、投影光学系、及び/又は基板の表面に塗布されている感光材(又はトップコート膜あるいは反射防止膜など)に対して安定なものであることが好ましい。基板には、液体から感光材や基材を保護するトップコート膜などを設けることができる。
【0188】
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、またはフィルム部材等が適用される。また、基板はその形状が円形に限られるものでなく、矩形など他の形状でもよい。
【0189】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0190】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0191】
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報(対応米国特許第6,341,007号、第6,400,441号、第6,549,269号及び第6,590,634号)、特表2000−505958号公報(対応米国特許第5,969,441号)などに開示されているような複数の基板ステージを備えたマルチステージ型(ツインステージ型)の露光装置にも適用できる。
【0192】
また、本発明は、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されているように、計測ステージを備えていない露光装置にも適用できる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
【0193】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
【0194】
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
【0195】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0196】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスクとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器:Spatial Light Modulator (SLM)とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いてもよい。なお、DMDを用いた露光装置は、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されている。
【0197】
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0198】
また、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
【0199】
なお、法令で許容される限りにおいて、上記各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許などの開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0200】
以上のように、上記実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0201】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図28に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態に従って、マスクのパターンを基板に露光し、露光した基板を現像する基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【符号の説明】
【0202】
2…基板ステージ、3…計測ステージ、5…駆動機構、8…第1ノズル部材、9…第2ノズル部材、10…超音波発生装置、11…給気口、12…第3ノズル部材、13…粗動システム、14…微動システム、22…基板テーブル、32…計測テーブル、40…アライメント系、60…フォーカス・レベリング検出系、80…検出装置、91…供給口、92…回収口、120…内視鏡装置、121…湾曲部材、122…駆動装置、123…観察装置、124…出力装置、125…操作装置、126…クリーニング装置、CP…クリーニング用部材、CP1…保持領域、CP2…撥液性領域、DP…ダミー基板、EL…露光光、EX…露光装置、LC…クリーニング用液体、LQ…露光用液体、LS1…第1液浸空間、LS2…第2液浸空間、P…基板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光で基板を露光する露光装置において、
前記露光光の光路を第1液体で満たすように前記第1液体で液浸部を形成可能な第1部材と、
前記第1部材から離れて配置され、所定部材との間に第2液体で液浸部を形成可能な第2部材と、
前記第2部材と前記所定部材との間の前記第2液体に振動を与える振動発生装置とを備える露光装置。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第2液体を供給可能な供給口を有する請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記所定部材は、前記第1部材及び前記第2部材に対して相対的に移動可能であり、
前記所定部材が前記第1部材と対向しているときに、前記所定部材と前記第1部材との間に前記第1液体で液浸部を形成可能である請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記第2部材と前記所定部材との間に前記第2液体で液浸部を形成した状態で、前記第2部材と前記所定部材とを相対的に移動する請求項3記載の露光装置。
【請求項5】
前記第2液体を回収する回収口をさらに備える請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項6】
前記回収口は、前記第2部材に形成されている請求項5記載の露光装置。
【請求項7】
前記所定部材に向かって気体を供給することによって、前記第2液体を除去する給気口をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項8】
前記第2部材とは別の、前記給気口が形成された第3部材をさらに備え、
前記所定部材は、前記第3部材に対向する位置に配置可能である請求項7記載の露光装置。
【請求項9】
前記給気口は、前記第2部材に形成されている請求項7記載の露光装置。
【請求項10】
前記所定部材は、前記基板を保持して移動可能な基板ステージ、及び前記基板を保持せずに、露光に関する計測に用いられる計測器を搭載して移動可能な計測ステージの少なくとも一方を含む請求項3〜9のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項11】
前記振動発生装置は、前記第2部材を振動させることによって、前記第2部材と前記所定部材との間の前記第2液体に振動を与える請求項1〜10のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項12】
前記振動発生装置は、前記所定部材を振動させることによって、前記第2部材と前記所定部材との間の前記第2液体に振動を与える請求項1〜10のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記振動発生装置は、前記所定部材の駆動機構を含む請求項12記載の露光装置。
【請求項14】
前記所定部材の汚染状態を検出可能な検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記第2部材による液浸部の形成動作を制御する制御装置と、を備えた請求項1〜13のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項15】
前記所定部材の汚染状態を検出可能な検出装置と、
前記検出装置の結果に基づいて、前記第2部材を用いるクリーニング動作を制御する制御装置と、をさらに備えた請求項1〜13のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記検出装置の結果に基づいて、前記第2部材を用いるクリーニング動作を実行するか否かを判断する請求項15記載の露光装置。
【請求項17】
前記検出装置は、前記所定部材の光学像を取得可能な撮像装置を含む請求項14〜16のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項18】
前記検出装置は、前記所定部材上に検出光を投射する投射装置と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光装置とを有する請求項14〜17のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項19】
前記検出装置は、前記所定部材に接触した後の前記第1液体の品質を検出可能な品質検出装置を含む請求項14〜18のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項20】
前記検出装置は、フレキシブル部材と、前記フレキシブル部材を動かす駆動装置と、前記フレキシブル部材の一端側に設けられ、前記所定部材の汚染状態を観察可能な観察装置とを有する請求項14〜19のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項21】
前記第2液体はクリーニング用である請求項1〜20のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項22】
前記第2液体は、アルコールを含む請求項1〜21のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項23】
前記第2液体は、所定の気体を水に溶解させたクリーニング水を含む請求項21記載の露光装置。
【請求項24】
前記第2部材と前記所定部材との間の前記第2液体に振動を与えて、前記所定部材をクリーニングする請求項1〜23のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項25】
前記振動発生装置は、前記第2液体に超音波を与える請求項1〜24のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項26】
液体を介して露光光で基板を露光する露光装置において、
フレキシブル部材と、
前記フレキシブル部材を動かす駆動装置と、
前記フレキシブル部材の先端側に設けられ、前記液体と接触した所定部材の汚染状態を観察可能な観察装置と、
前記フレキシブル部材の後端側に設けられ、前記観察装置の観察結果が出力される出力装置と、を備えた露光装置。
【請求項27】
前記フレキシブル部材の後端側に設けられ、前記駆動装置を操作する第1操作装置を備えた請求項26記載の露光装置。
【請求項28】
前記フレキシブル部材の先端側に設けられ、前記所定部材をクリーニング可能なクリーニング装置を有する請求項26又は27記載の露光装置。
【請求項29】
前記フレキシブル部材の後端側に設けられ、前記クリーニング装置を操作する第2操作装置を備えた請求項28記載の露光装置。
【請求項30】
前記クリーニング装置は前記所定部材を研磨する砥石を含む請求項28又は29記載の露光装置。
【請求項31】
第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置において、
前記露光光が通過する光学素子と、
前記光学素子の光射出側で移動可能な所定部材と、
前記所定部材を振動させることによって前記所定部材上の液体に振動を与える振動発生装置と、を備えた露光装置。
【請求項32】
前記振動発生装置は、前記所定部材の駆動機構を含む請求項31記載の露光装置。
【請求項33】
前記所定部材上の前記液体は、前記第1液体と異なる第2液体を含み、前記振動装置は、前記第2液体に振動を与える請求項31又は32記載の露光装置。
【請求項34】
前記第2液体はクリーニング用である請求項33記載の露光装置。
【請求項35】
前記第2液体は、所定の気体を水に溶解させたクリーニング水を含む請求項33又は34記載の露光装置。
【請求項36】
前記所定部材上の前記液体に振動を与えることによって、前記所定部材をクリーニングする請求項31〜35のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項37】
前記振動発生装置は、前記所定部材上の前記液体に20KHz以下の振動を与える請求項31〜36のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項38】
前記振動発生装置は、前記所定部材上の前記液体に超音波を与える請求項31〜37のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項39】
液浸形成部材をさらに備え、
前記所定部材上に形成される前記液体の液浸部の少なくとも一部は、前記所定部材と前記液浸形成部材との間の空間の少なくとも一部に配置される請求項31〜38のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項40】
前記液浸部の少なくとも一部は、前記光学素子と前記所定部材との間の光路に配置される請求項39記載の露光装置。
【請求項41】
前記所定部材上の液体に振動を与えることによって、前記所定部材、前記液浸形成部材、及び前記光学素子の少なくとも一つをクリーニングする請求項40記載の露光装置。
【請求項42】
前記所定部材は、前記基板を保持して移動可能な基板ステージ、及び前記基板を保持せずに、露光に関する計測に用いられる計測器を搭載して移動可能な計測ステージの少なくとも一方を含む請求項31〜41のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
該露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項44】
第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の所定部材をクリーニング方法であって、
前記露光光の光路から離れた位置で、前記所定部材上に第2液体で液浸部を形成することと、
前記所定部材上の前記第2液体に振動を与えることによって、前記所定部材をクリーニングすることと、を含むクリーニング方法。
【請求項45】
第1液体を介して露光光で前記基板を露光する露光装置の所定部材をクリーニング方法であって、
フレキシブル部材の先端側に設けられた観察装置で、前記所定部材を観察することと、
前記観察結果に基づいて、前記フレキシブル部材の先端側に設けられた、クリーニング装置を、前記フレキシブル部材の後端側に設けられた操作装置で操作して、前記所定部材をクリーニングすることと、を含むクリーニング方法。
【請求項46】
前記所定部材は、前記クリーニングの前に、前記第1液体と接触する請求項45記載のクリーニング方法。
【請求項47】
前記所定部材の汚染状態を検出することをさらに含み、
前記検出結果に基づいて、前記クリーニングする動作が制御される請求項44〜46のいずれか一項記載のクリーニング方法。
【請求項48】
前記検出は、前記所定部材の光学像を取得することを含む請求項47記載のクリーニング方法。
【請求項49】
前記所定部材は、前記基板を保持する保持部を有する基板ステージを含み、
前記検出は、前記基板ステージの前記保持部で板状部材を保持することと、該保持された板状部材の表面の形状を検出することとを含む請求項47又は48記載のクリーニング方法。
【請求項50】
前記検出は、前記所定部材に接触した前記第1液体の品質を検出することを含む請求項47〜49のいずれか一項記載のクリーニング方法。
【請求項51】
前記検出は、前記基板をパターンの像で露光した後、前記基板上に形成されたパターンの形状を検出することを含む請求項47〜50のいずれか一項記載のクリーニング方法。
【請求項52】
前記所定部材は、前記基板を保持する保持部を有する基板ステージを含み、
前記検出は、前記基板ステージの前記保持部で板状部材を保持することと、該保持された板状部材上に前記第1液体で液浸部を形成することと、前記板状部材を前記基板ステージから搬出した後、該板状部材の汚染状態を検出することと、を含む請求項47〜51のいずれか一項記載のクリーニング方法。
【請求項53】
露光光で基板を露光する液浸露光装置のクリーニング方法であって、
前記基板を保持可能な基板ステージの保持部で板状部材を保持し、第1部材と前記板状部材との間に液体の液浸部を形成することと、
前記第1部材と前記板状部材との間の前記液体の界面を移動して、前記第1部材に付着した異物を前記第1部材から除去することと、
前記板状部材を前記基板ステージから搬出することと、を含むクリーニング方法。
【請求項54】
前記板状部材は、静電気の力によって、前記第1部材から除去された前記異物を保持可能である請求項53記載のクリーニング方法。
【請求項55】
前記板状部材は、前記静電気の力によって前記異物を保持可能な保持領域と、前記保持領域を囲むように形成された撥液性領域とを有する請求項54記載のクリーニング方法。
【請求項56】
露光光で基板を露光する液浸露光装置の所定部材のクリーニング方法であって、
前記露光光が通過する光学素子の光射出側で移動可能な前記所定部材上に液体で液浸部を形成することと、
前記所定部材を振動させることによって前記所定部材上の前記液体に振動を与えることと、を含むクリーニング方法。
【請求項57】
露光光が照射される基板を保持可能な基板ステージの保持部に取り付け可能であって、かつ第1部材をクリニーニングするために用いられる部材であって、前記第1部材との間に液体で液浸部が形成される表面を有し、該表面は、前記液体を用いたクリーニング動作によって前記第1部材から除去された異物を保持可能であるクリーニング用部材。
【請求項58】
前記表面は、静電気の力によって前記第1部材から除去された前記異物を保持可能な保持領域と、前記保持領域を囲むように形成された撥液性領域とを有する請求項57記載のクリーニング用部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−21364(P2013−21364A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222035(P2012−222035)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2008−532073(P2008−532073)の分割
【原出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】