説明

非フローアンダーフィルカプセル封止材料

【課題】本発明は、非フローアンダーフィルカプセル封止プロセスにおいて特に有効である、硬化可能なアンダーフィルカプセル封止組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、次の成分、a) 1種または複数種のエポキシ樹脂、b) ポリセバシン酸ポリ無水物、ポリアゼライン酸ポリ無水物およびポリアジピン酸ポリ無水物から選ばれた1種または複数種の線状ポリ無水物、c) 1種または複数種の環状無水物、およびd) 1種または複数種の触媒、(ここで、前記線状ポリ無水物と前記環状無水物との比は化学量論的である)、を含んでなる非フローアンダーフィルカプセル封止材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非フローアンダーフィルカプセル封止プロセスにおいて利用できるアンダー
フィルカプセル封止材料に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、超小形電子デバイスにおける電子構成成分と基板との間の相互接続を保護し、強化するために、エポキシから製造された、アンダーフィル(underfill)カプセル封止コンパウンドに関する。超小形電子デバイスは多数の型の電気回路構成成分、主として集積回路 (IC) において一緒に組立てられたトランジスタを含有するが、また抵抗器、コンデンサ、および他の構成成分を含有する。これらの電子構成成分を相互に接続して回路を形成し、究極的に担体または基板、例えば、プリント配線基板に接続し、その上に支持する。集積回路の構成成分は、単一の裸チップ、単一のカプセル封止チップ、または複数のチップのカプセル封止パッケージを含んでなることができる。単一の裸チップを鉛わくに取り付け、引き続いてこれをカプセル封止し、プリント配線基板に取り付けるか、あるいはそれをプリント配線基板に直接取り付けることができる。
【0003】
構成成分が鉛わくに接続された裸チップであるか、あるいはプリント配線基板または他の基板に接続されたパッケージであるかどうかにかかわらず、電子構成成分上の電気成端と基板上の対応する電気成端との間で接続を作る。これらの接続を作る1つの方法において、構成成分または基板端子に突き当てて適用されるコポリマーまたは金属材料を使用する。端子を整列させ、一緒に接触させ、そして生ずる組立を加熱して金属またはポリマー材料をリフローさせ、接続を固化させる。
【0004】
通常の有効寿命間に、電気組立を広く変化する温度範囲のサイクルに暴露する。電子構成成分、相互接続された材料、および基板の熱膨張係数は異なるために、この熱的サイクリングは組立の構成成分にストレスを及ぼし、それを破壊させることがある。この破壊を防止するために、構成成分と基板との間のギャップをポリマーのカプセル封止材料 (以後においてアンダーフィルまたはアンダーフィルカプセル封止材料と呼ぶ) で充填して、相互接続した物質を強化し、熱的サイクリングのストレスの一部分を吸収する。さらに、この物質は衝撃エネルギーを吸収し、いわゆる「落下試験」の性能を改良することを促進する。
【0005】
アンダーフィル技術において使用される2つの顕著なものは、チップスケールパッケージ (CPS) としてこの分野において知られている強化パッケージ (ここでチップパッケージはプリント配線基板に取り付けられている) 、およびフリップ‐チップ・ボール・グリッド配列 (BGA) (ここでチップはボールおよびグリッド配列によりプリント配線基板に取り付けられている) である。
【0006】
従来の毛管流アンダーフィル適用において、アンダーフィルの分散および硬化は金属またはポリマーのカプセル封止材料のリフロー後に起こる。この手順において、フラックスを最初に基板上の金属パッド上に配置する。次に、金属接続の場合について、はんだ付け部位上の、基板の溶融領域にチップを配置する。次いで、この組立を加熱してはんだ接合部をリフローさせる。この時点において、測定量のアンダーフィルカプセル封止材料を電子組立の1または2以上の周辺に沿って分散させ、そして構成成分内から基板ギャップへの毛管作用は物質を内方に引く。ギャップが充填された後、追加のアンダーフィルカプセル封止材料は完成した組立周辺に沿って分散して、ストレス集中の減少を促進し、組立構造の疲労寿命の延長を促進する。アンダーフィルカプセル封止材料は引き続いて硬化して、その最適化された最終性質に到達する。
【0007】
非フローアンダーフィルプロセスは、電子構成成分を基板に取り付け、組立をアンダーフィルカプセル封止材料で保護する、前述の手順よりもいっそう効率よい手順を提供する。非フローカプセル封止プロセスにおいて、構成成分の配置前に組立部位に適用するアンダーフィルの中にフラックスを含有させる。構成成分が配置された後、構成成分、アンダーフィルおよび基板を含んでなる、完全な組立をリフロー炉に通過させることによって、基板上の金属パッド接続に構成成分をはんだ付けする。このプロセス間に、アンダーフィルははんだおよび金属パッドを溶融し、はんだ接合部はリフローし、そしてアンダーフィルは硬化する。こうして、フラックスを適用し、アンダーフィルを後硬化する別の工程はこのプロセスにより排除される。
【0008】
はんだ付けおよびアンダーフィルの硬化はこのプロセスの同一工程間に起こるので、アンダーフィル材料の適切な粘度および硬化速度は非フローアンダーフィルカプセル封止プロセスにおいて重大である。はんだの溶融および相互接続の形成を可能とするために、アンダーフィルは低粘度に維持しなくてはならない。また、はんだの硬化後、アンダーフィルの硬化が不当に遅延されないことが重要である。はんだの溶融後、非フロープロセスにおいてアンダーフィルは急速に硬化することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、非フローアンダーフィルカプセル封止プロセスにおいて特に有効である、硬化可能なアンダーフィルカプセル封止組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の成分、
a) 1種または複数種のエポキシ樹脂、
b) ポリセバシン酸ポリ無水物、ポリアゼライン酸ポリ無水物およびポリアジピン酸ポリ無水物から選ばれた1種または複数種の線状ポリ無水物、
c) 1種または複数種の環状無水物、および
d) 1種または複数種の触媒、
(ここで、前記線状ポリ無水物と前記環状無水物との比は化学量論的である)、を含んでなる非フローアンダーフィルカプセル封止材料である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、非フローアンダーフィルカプセル封止プロセスにおいて特に有効である、硬化可能なアンダーフィルカプセル封止組成物を与える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1図は、本発明の非フローアンダーフィルおよび非線状ポリ無水物を含有する非フローアンダーフィル組成物の粘度/温度の比較である。
【図2】第2図は、本発明の非フローアンダーフィルおよび非線状ポリ無水物を含有する非フローアンダーフィル組成物の反応性の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のアンダーフィルカプセル封止組成物において使用する樹脂は硬化性コンパウンドであり、これは樹脂が重合可能であることを意味する。この明細書において使用するとき、硬化することは、架橋を伴って、重合することを意味する。架橋は、この分野において理解されているように、元素、分子のグループ、または化合物の架橋による2つのポリマー鎖の結合であり、一般に加熱するとき起こる。
【0014】
本発明の成分は、1種または複数種のエポキシ樹脂、フラックス剤、線状ポリ無水物、および触媒を包含する。必要に応じて、環状無水物、界面活性剤、反応性希釈剤および他の成分を添加することもできる。特定の樹脂を使用するために必要な性質のバランスが得られるように、成分を特別に選択する。
【0015】
本発明のアンダーフィル組成物に適当なエポキシ樹脂の例は、ビスフェノール‐Aおよびビスフェノール‐Fの一官能価および多官能価のグリシジルエーテル、脂環族エポキシ樹脂またはそれらの組み合わせを包含する。脂環族エポキシドは好ましくは1分子当たり1個より多くの1,2エポキシ基を含有する非グリシジルエーテルエポキシドから選択される。これらのエポキシドはリング構造により特徴づけられ、ここでエポキシド基はリングの一部分であるか、あるいはリング構造に取り付けることができる。
【0016】
非グリシジルエーテルエポキシドの例は次の通りである:3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、これは環構造の一部分である2つのエポキシド基およびエステル結合を含有する;ビニルシクロヘキセンジオキシド、2つのエポキシド基を含有し、それらの1つはリング構造の一部分である;3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびジシクロペンタジエンジオキシド。
【0017】
グリシジルエーテルエポキシドは、別々にまたは非グリシジルエーテルエポキシドと組み合わせて、本発明において好ましい。これらの樹脂は1分子当たり2以上の1,2エポキシ基を含有するグリシジルエーテルエポキシドから選択される。この型の好ましいエポキシ樹脂はビスフェノールA型樹脂である。好ましいビスフェノールA型は、2,2‐ビス (4‐ヒドロキシフェニル) プロパン‐エピクロロヒドリンコポリマーを包含する。最も好ましいエポキシ樹脂はビスフェノールF型樹脂である。一般に、これらの樹脂は1モルのビスフェノールF樹脂と2モルのエピクロロヒドリンとを反応させることによって製造される。
【0018】
エポキシ樹脂のそれ以上の好ましい型はエポキシノボラック樹脂である。通常、エポキシノボラック樹脂はフェノール樹脂とエピクロロヒドリンとの反応により製造される。好ましいエポキシノボラック樹脂は、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)‐コ‐ホルムアルデヒド、ビフェニル型エポキシ樹脂である。また、ビフェニル型エポキシ樹脂を本発明において利用できる。この型の樹脂は、普通に、ビフェニル樹脂とエピクロロヒドリンとの反応により製造される。ジシクロペンタジエン‐フェノールエポキシ樹脂、ナフタレン樹脂、エポキシ機能的ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、エポキシ機能的ポリジメチルシロキサンおよびそれらの混合物は、使用できるエポキシ樹脂の追加の型である。
【0019】
本発明のアンダーフィルカプセル封止材料に好ましいエポキシはビスフェノールF型である。商業的に入手可能なビスフェノール‐F型樹脂は、CVCスペシャルティ・ケミカルス (Specialty Chemicals) (ニュージャージー州メープルシェイド) から表示8230Eで商業的に入手可能である。ビスフェノール‐A型樹脂はレゾリューション・テクノロジー (Resolution Technology) からEPON 828として商業的に入手可能であり、そしてビスフェノール‐Aとビスフェノール‐Fとのブレンドはニッポン・ケミカル・カンパニー (Nippon Chemical Company) から表示ZX‐1059で入手可能である。
【0020】
本発明の線状ポリ無水物は、非フローアンダーフィルカプセル封止材料がはんだの融点より低くかつまたはんだの融点よりちょうど上において、はんだと金属パッドとの相互接続を可能とするために十分に長い間、低い粘度を維持するように選択しなくてはならない。アンダーフィルカプセル封止材料において使用する線状ポリ無水物は多官能価である。樹脂との初期反応はポリマーの無水物鎖を切断し、これにより分子量を減少させることである。これは下記のダイヤグラムで概略的に示される:
【0021】
【化1】

【0022】
工程 (1) において、線状ポリ無水物鎖を触媒により切断する。このスキームにおいて、Rは4〜10炭素の線状ポリメチレンセグメントである。工程 (2) において、通常のカルボキシレート‐エポキシ反応を開始する。工程 (3) において、エポキシのアルコキシドイオンは再び反応して、他のポリ無水物鎖を切断する。切断プロセスは、ポリ無水物の分子量を減少することによって、実際に粘度の増加を遅延する。こうして、硬化プロセスにおいて遅延が存在せず、本発明の組成物は延長した期間の間低粘度に止まる。より高い硬化度において、分子量は不可避的に上昇し始める。
【0023】
さらに、線状ポリ無水物はフラックス剤として機能する。好ましい線状ポリ無水物は、セバシン酸の脱水から生成するポリセバシン酸ポリ無水物 (PSPA) である。好ましいPSPAは、ロンザ・インコーポレーテッド、中間体および添加剤 (Lonza, Inc., Intermediates and Additives) (テキサス州パサデナ) からPSPAとして入手可能である。利用できる他の線状ポリ無水物は、ポリアゼライン酸ポリ無水物およびポリアジピン酸ポリ無水物を包含する。第1図に示すように、線状ポリ無水物を含有するアンダーフィルカプセル封止材料の粘度はリフロー間はんだの融点後まで減少し、この融点において、硬化が続くとき粘度は増加する。
【0024】
第2図は、線状ポリ無水物を含有するアンダーフィル組成物/非線状ポリ無水物を含有するアンダーフィル組成物の反応性の利益、すなわち、硬化/リフローの初期段階の間に粘度を減少させ、かつポリ無水物によるはんだおよび金属パッドを溶融する利益を図解する。また、第1図および第2図は、線状ポリ無水物を有する配合物が粘度を急激に上昇させずに、急速な反応性を提供することを図解する。線状ポリ無水物の他の利点は、それが低い蒸気圧の固体であることである。結局、結晶の融点以上の高温において、ポリ無水物は揮発しかつ硬化するアンダーフィル中に空隙を発生させる傾向がほとんどない。
【0025】
アンダーフィルカプセル封止材料中に触媒を使用することが好ましい。好ましい触媒は1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチル‐イミダゾールである。この物質は液状イミダゾールであり、 好ましくは反応性の遅延のためにブロックまたは保護されており、そしてポリ・オーガニクス・インコーポレーテッド (Poly Organix, Inc.) (マサチューセッツ州ニューブリポート) から商品名CURIMID‐DNで商業的に入手可能である。他の有効な触媒は、AMICURE 2PIP (Air Products & Chemicals、ペンシルベニア州アレンロウン) 、アルキル置換イミダゾール、トリフェニルホスフィン、イミダゾリウム塩、イミダゾールホスフェート、イミダゾール塩、オニウムボレート、金属キレート、およびそれらの混合物を包含する。
【0026】
線状ポリ無水物を含有するアンダーフィル配合物において、線状ポリ無水物は硬化した組成物に大量の柔軟性を付与する。このような柔軟性はある種の用途、例えば、CPSの組立において望ましい。より剛性の硬化組成物は、ある種の他の用途、例えば、熱衝撃信頼性試験において耐久性の増加を必要とする用途において望ましい。より高い剛性の組成物を要求するこれらの場合において、第2無水物またはより高い官能価のエポキシを配合物中に混入して、剛性をより高くしかつガラス転移温度をより高くすることが望ましい。好ましい第2無水物は好ましくは脂環族無水物、最も好ましくはメチルヘキサ‐ヒドロフタル酸無水物 (MHHPA) 、これはロンザ (Lonza) からMHHPAとして商業的に入手可能である。
【0027】
特にガラス転移温度を上昇させるために、利用できる他の脂環族無水物は、メチルテトラ‐ヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル無水物、ヘキサ‐ヒドロフタル酸無水物、テトラ‐ヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ドデシルコハク酸無水物およびそれらの混合物を包含する。線状ポリ無水物および脂環族無水物の両方を含有するアンダーフィルカプセル封じ配合物において、2成分の比は化学量論的であることが好ましい。さらに、好ましい配合物は、粘度を早過ぎる時間に増加させ、そして架橋プロセスを加速することによって、線状ポリ無水物の効果を損なう反応性種を実質的に含有してはならない。
【0028】
必要な性質を有する組成物を製造するために、追加の成分をアンダーフィルカプセル封止材料に添加することができる。例えば、一官能価の反応性希釈剤は、硬化したアンダーフィルの物理的性質に悪影響を及ぼさないで、粘度の増加を増分的に遅延することができる。好ましい希釈剤はp‐tert‐ブチル‐フェニル‐グリシジルエーテルであるが、他の希釈剤、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリシジルエーテルまたはアルキル、ブタンジオジグリシジルエーテルおよびそれらの混合物を利用できる。
【0029】
界面活性剤を利用してフリップ‐チップ結合プロセスおよび引き続くはんだ接合部のリフローおよび材料硬化間のプロセス空隙形成の防止を促進することができる。利用できる種々の界面活性剤は、有機アクリルポリマー、シリコーン、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレンジアミンに基づくポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオールに基づくポリオキシアルキレン、脂肪族アルコールに基づくポリオキシアルキレン、脂肪族アルコールポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびそれらの混合物を包含する。さらに、カップリング剤、ポリマーの変性剤および他の成分を必要に応じて添加することもできる。
【0030】
本発明のアンダーフィルカプセル封止材料配合物の好ましい態様は、エポキシ樹脂、フラックス剤として機能する線状ポリ無水物、触媒、および必要に応じて他の成分、例えば、界面活性剤を含んでなる。エポキシ樹脂は、約25重量%〜約95重量%の範囲のエポキシ樹脂を含んでなることができる。好ましくは、アンダーフィルは約35重量%〜約65重量%の範囲の樹脂を含んでなるであろう。
【0031】
配合物は、また、約2重量%〜約50重量%の範囲のフラックス剤を含有する線状ポリ無水物を含んでなる。より好ましくは、アンダーフィルは約5重量%〜約35重量%の範囲の線状ポリ無水物硬化剤を含んでなるであろう。線状ポリ無水物は50ミクロンより小さい粒子であることが好ましい。最後に、追加の成分を必要に応じて添加することもできる。好ましい態様において、約0.05重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.25重量%の範囲の触媒を添加し、そして約0重量%〜約0.75重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約0.6重量%の範囲の界面活性剤をまた添加する。
【0032】
別の態様において、アンダーフィルカプセル封止材料は、エポキシ樹脂、線状ポリ無水物、環状無水物、触媒、および必要に応じて追加の成分、例えば、界面活性剤を含んでなる。エポキシ樹脂は、約25重量%〜約95重量%の範囲のエポキシ樹脂を含んでなることができる。好ましくは、アンダーフィルは約35重量%〜約65重量%の範囲の樹脂を含んでなるであろう。配合物は、また、約2重量%〜約40重量%の範囲の線状ポリ無水物を含んでなる。より好ましくは、アンダーフィルは約5重量%〜約30重量%の範囲の線状ポリ無水物を含んでなるであろう。
【0033】
線状ポリ無水物は50ミクロンより小さい粒子であることが好ましい。アンダーフィルは、約0重量%〜約45重量%の範囲の環状無水物を含んでなるであろう。好ましくは、アンダーフィルは約0重量%〜約30重量%の範囲の環状無水物を含んでなるであろう。最後に、追加の成分を必要に応じて添加することもできる。好ましい態様において、約0.05重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.25重量%の範囲の触媒を添加し、そして約0重量%〜約0.75重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約0.6重量%の範囲の界面活性剤をまた添加する。
【実施例】
【0034】
下記の実施例を参照すると、本発明をよりよく理解することができる。
実施例1.
50重量%のBis‐Fエポキシ樹脂 (8230E、CVCから入手可能である) 、22重量%のポリセバシン酸ポリ無水物 (PSPA、Lonzaから入手可能である) 、22重量%のメチルヘキサヒドロフタル酸無水物 (MHHPA、Lonzaから入手可能である) 、触媒として0.2重量%の1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチル‐イミダゾール (Poly Organix, Inc. から入手可能である) および0.4重量%の界面活性剤を含有するアンダーフィルカプセル封止組成物を配合した。ステンレス鋼の容器にビスフェノール‐Fエポキシ樹脂を添加することによって、組成物を調製した。次いで、機械的に攪拌しながら、MHHPAを添加した。20ミクロンより小さい粒度を有する微小化粉末の形態のPSPAを攪拌しながら添加した。この組成物の温度を約20〜25℃に調節し、イミダゾール触媒を添加した。次に、界面活性剤を添加した。
この組成物を約15分間混合し、真空下に脱泡した。
【0035】
この組成物を硬化前に試験し、結果を表1に示す:
【表1】

【0036】
硬化したアンダーフィルカプセル封止材料の性質を表2に示す:
【表2】

【0037】
200×300ミルのCSPを60ミルのプリント配線基板に取り付けるために使用した、硬化したアンダーフィルカプセル封止材料についての性能および信頼性のデータを表3に記載する。多数のはんだ球をOSP被覆した銅上にアンダーフィル材料の存在下に配置し、この組立を150℃において2.25分および220℃において1分の標準的リフロー条件に暴露し、溶融および拡大により銅に接続することができるはんだ球の百分率を測定することによって、はんだ付け収率を測定した。
【0038】
【表3】

【0039】
実施例2〜5.
実施例1に記載するプロセスに従い、実施例2〜5ついてのアンダーフィル組成物を作った。各アンダーフィル材料の組成を表4に記載する:
【0040】
【表4】

【0041】
実施例2〜5のアンダーフィルカプセル封止材料の性質を表5に記載する:
【表5】

【0042】
これらの実施例が例証するように、多数の異なる エポキシ型を使用して、高いはんだ付け収率を得ることができる。また、実施例5は収率%に対する非線状ポリ無水物のマイナスの作用を例証する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、非フローアンダーフィルカプセル封止プロセスにおいて利用できるアンダーフィルカプセル封止材料を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分を含んでなる非フローアンダーフィルカプセル封止材料:
a) 1種または複数種のエポキシ樹脂、
b) ポリセバシン酸ポリ無水物、ポリアゼライン酸ポリ無水物およびポリアジピン酸ポリ無水物から選ばれた1種または複数種の線状ポリ無水物、
c) 1種または複数種の環状無水物、および
d) 1種または複数種の触媒
ここで、前記線状ポリ無水物と前記環状無水物との比は化学量論的である。
【請求項2】
前記環状無水物が、メチルヘキサ‐ヒドロフタル酸無水物、メチルテトラ‐ヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル無水物、ヘキサ‐ヒドロフタル酸無水物、テトラ‐ヒドロフタル酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、フタル酸無水物およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビスフェノールA型樹脂、2,2‐ビス (4‐ヒドロキシフェニル) プロパン‐エピクロロヒドリンコポリマー、ビスフェノールF型樹脂、エポキシノボラック樹脂、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)‐コ‐ホルムアルデヒド、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン‐フェノールエポキシ樹脂、ナフタレンエポキシ樹脂、エポキシ機能的ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、エポキシ機能的ポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1または2に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型樹脂およびビスフェノールF型樹脂の混合物である、請求項3に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。
【請求項5】
前記線状ポリ無水物が、ポリセバシン酸ポリ無水物、ポリアゼライン酸ポリ無水物、ポリアジピン酸ポリ無水物またはそれらの混合物を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。
【請求項6】
前記線状ポリ無水物が、ポリセバシン酸ポリ無水物含んでなる、請求項5に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。
【請求項7】
前記触媒が遅延した反応性のためにブロックされているイミダゾールまたは保護されているイミダゾールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。
【請求項8】
前記触媒が、1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチル‐イミダゾール、アルキル置換イミダゾール、トリフェニルホスフィン、イミダゾリウム塩、イミダゾールホスフェート、オニウムボレート、金属キレート、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非フローアンダーフィルカプセル封止材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−144169(P2009−144169A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24308(P2009−24308)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【分割の表示】特願2003−564930(P2003−564930)の分割
【原出願日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【出願人】(502154670)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレーション (18)
【Fターム(参考)】