説明

音声出力装置

【課題】道路交通情報を適正に音声出力する。
【解決手段】ガイダンス出力ECU1は、標示情報取得部102によって取得された標示物に表示されている内容を示す表示内容情報が、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する重要性判定部104と、運転者の視線の向きを検出する視線検出部108と、車両位置情報、標示情報取得部102によって取得された標示物の位置情報及び視線検出部108によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かを判定する確認判定部109と、重要な情報であると判定され、且つ、運転者が確認していないと判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して、標示物に対応する音声情報の出力タイミングを所定時間だけ早める旨の指示を行う出力制御部110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の地図上の位置である車両位置を検出するナビゲーション装置と通信可能に接続され、該車両の運転者に対して道路交通情報を音声として出力する音声出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路車間通信等からの情報を、ナビゲーション装置を介して取得して、運転者に音声情報(又は、画像情報)として報知する音声出力装置が知られている。上記音声出力装置では、情報の運転者にとっても重要性、緊急性等に関わらず、また、運転者が情報を確認済みであるか否かに関わらず、ガイダンス音声が出力されるため、運転者が煩わしさを感じる場合がある。
【0003】
上記課題を解消するべく、種々の装置・方法等が提案されている。例えば、道路交通情報検知手段で検知された道路交通情報の対象物が自車両周囲画像検知手段で検知された画像に含まれる場合、運転者が当該対象物を認識していると判断し、この対象物に関する情報を提示しない車両用情報出力装置が開示されている(特許文献1参照)。この車両用情報出力装置によれば、運転者自身からは見えない車両周辺状況のみが情報として提示されるので、運転者が煩わしさを感じることを抑制することができる。
【特許文献1】特開2002−245597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用情報出力装置では、道路交通情報の対象物が自車両周囲画像検知手段で検知された画像に含まれる場合に、運転者が当該対象物を認識していると判断しているが、この判断が正しくない虞がある。すなわち、道路交通情報の対象物が運転者から視認可能な位置にあっても、運転者が当該対象物を確認していない場合もあるからである。
【0005】
また、道路交通情報には、運転者にとって重要な情報ではない情報も含まれており、重要ではない情報が報知されると、運転者が煩わしさを感じる虞がある。更に、運転者が、音声出力をOFFしている場合には、重要な道路交通情報がある場合であっても、運転者に報知されない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、道路交通情報を適正に音声出力することの可能な音声出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、車両の地図上の位置である車両位置を検出するナビゲーション装置と通信可能に接続され、該車両の運転者に対して道路交通情報を音声として出力する音声出力装置であって、前記ナビゲーション装置によって検出された車両位置情報に基づいて、前記ナビゲーション装置から当該車両の進行方向に配設され、道路交通情報が視認可能に表示される標示物の位置情報、及び、該標示物に表示されている内容を示す表示内容情報を取得する標示情報取得手段と、前記標示情報取得手段によって取得された表示内容情報が、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する重要性判定手段と、運転者の視線の向きを検出する視線検出手段と、予め設定された所定のタイミングで、前記車両位置情報、前記標示情報取得手段によって取得された標示物の位置情報、及び、前記視線検出手段によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する確認判定手段と、前記重要性判定手段によって重要な情報であると判定され、且つ、前記確認判定手段によって確認していないと判定された場合に、前記ナビゲーション装置に対して、予め設定された所定時間だけ前記標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示を行う出力制御手段と、を備える。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記標示情報取得手段が、前記ナビゲーション装置から当該車両の進行方向の予め設定された所定範囲に配設された標示物の位置情報、及び、表示内容情報を取得する。
【0009】
第3の発明は、上記第2の発明において、自車両の車速に基づいて、前記所定範囲を設定する範囲設定手段を備え、前記標示情報取得手段が、前記範囲設定手段によって設定された範囲内の標示物の位置情報、及び、表示内容情報を取得する。
【0010】
第4の発明は、上記第3の発明において、前記範囲設定手段が、自車両の車速が速い程、前記所定範囲として、広い範囲を設定する。
【0011】
第5の発明は、上記第1の発明において、前記標示物が、道路標識を含み、運転者にとって重要な情報を含む複数の道路標識の種別をそれぞれ示す種別情報を予め格納する重要情報記憶手段を備え、前記重要性判定手段が、前記標示情報取得手段によって取得された標示物が道路標識である場合に、該道路標識が、前記重要情報記憶手段に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する。
【0012】
第6の発明は、上記第5の発明において、前記重要情報記憶手段が、最高速度制限、横断歩道、交差点、踏切、及び、一時停止の内、少なくとも1つの道路標識に対応する種別情報を予め格納する。
【0013】
第7の発明は、上記第1の発明において、前記標示物が、電光掲示板を含み、運転者にとって重要な情報を含む電光掲示板に表示される複数の情報の種別をそれぞれ示す種別情報を予め格納する重要情報記憶手段を備え、前記重要性判定手段が、前記標示情報取得手段によって取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、前記重要情報記憶手段に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する。
【0014】
第8の発明は、上記第7の発明において、前記重要情報記憶手段が、工事中を示す情報、降雪時のチェーン規制を示す情報、渋滞情報、及び、インターチェンジ出口を示す情報の内、少なくとも1つに対応する種別情報を予め格納する。
【0015】
第9の発明は、上記第1の発明において、前記標示物が、電光掲示板を含み、前記重要性判定手段が、前記標示情報取得手段によって取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、実際の道路交通状況によって変化する情報であるときには、運転者にとって重要な情報であると判定する。
【0016】
第10の発明は、上記第1の発明において、前記視線検出手段が、運転者の顔の画像を撮影するカメラを介して、運転者の視線の向きを検出し、前記確認判定手段が、前記視線検出手段によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する。
【0017】
第11の発明は、上記第1の発明において、前記確認判定手段が、前記視線検出手段によって検出された視線の向きが、左右方向及び上下方向共に、運転者からの前記標示物の向きである時間が予め設定された第1閾値以上である場合に、運転者が前記標示物を確認したと判定する。
【0018】
第12の発明は、上記第1の発明において、前記視線検出手段によって検出された視線の向きが前記標示物の向きである時間が予め設定された第2閾値以上である場合に、脇見であると判定する脇見判定手段と、前記脇見判定手段によって脇見であると判定された場合に、運転者に対して注意を喚起する旨の音声を出力する脇見警報出力手段と、を備える。
【0019】
第13の発明は、上記第1の発明において、前記車両位置と、前記標示物の位置との間の距離を求める距離算出手段を備え、前記確認判定手段が、前記距離算出手段によって求められた距離が、予め設定された第3閾値以下となったタイミングで、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する。
【0020】
第14の発明は、上記第13の発明において、自車両の車速に基づいて、前記第3閾値を設定する閾値設定手段を備え、前記確認判定手段が、前記距離算出手段によって求められた距離が、前記閾値設定手段によって設定された第3閾値以下となったタイミングで、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する。
【0021】
第15の発明は、上記第14の発明において、前記閾値設定手段が、自車両の車速が速い程、前記第3閾値として大きな値を設定する。
【0022】
第16の発明は、上記第1の発明において、前記ナビゲーション装置の音声出力がONに設定されているか否かを判定する音声出力可否判定手段を備え、前記出力制御手段が、前記音声出力可否判定手段によって、前記ナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されていると判定され、且つ、前記重要性判定手段によって重要な情報であると判定された場合に、前記ナビゲーション装置に対して音声出力をONに設定する旨の指示を行う。
【0023】
第17の発明は、上記第1の発明において、ナビゲーション装置が、路車間通信を介して、道路交通情報を取得可能に構成されている。
【発明の効果】
【0024】
上記第1の発明によれば、ナビゲーション装置によって検出された車両位置情報に基づいて、ナビゲーション装置から当該車両の進行方向に配設され、道路交通情報が視認可能に表示される標示物の位置情報、及び、該標示物に表示されている内容を示す表示内容情報が取得され、取得された表示内容情報が、運転者にとって重要な情報であるか否かが判定される。また、運転者の視線の向きが検出される。そして、予め設定された所定のタイミングで、車両位置情報、取得された標示物の位置情報、及び、検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かが判定される。更に、重要な情報であると判定され、且つ、確認していないと判定された場合に、ナビゲーション装置に対して、予め設定された所定時間だけ標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示が行われるため、道路交通情報を適正に音声出力することができる。
【0025】
すなわち、進行方向に配設された標示物に表示されている内容が運転者にとって重要な情報であると判定され、且つ、運転者が該標示物を確認していないと判定された場合に、ナビゲーション装置に対して、予め設定された所定時間だけ標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示が行われる。そこで、運転者が標示物に表示された重要な道路交通情報を確認する時間が充分に確保されるため、運転者が重要な道路交通情報を確実に確認することができるのである。
【0026】
上記第2の発明によれば、ナビゲーション装置から当該車両の進行方向の予め設定された所定範囲に配設された標示物の位置情報、及び、表示内容情報が取得されるため、所定範囲を適正に設定することによって、道路交通情報を更に適正に音声出力することが可能となる。
【0027】
上記第3の発明によれば、自車両の車速に基づいて、所定範囲が設定され、設定された範囲内の標示物の位置情報、及び、表示内容情報が取得されるため、適正な範囲の標示物の位置情報及び表示内容情報を取得することが可能となる。
【0028】
上記第4の発明によれば、自車両の車速が速い程、所定範囲として、広い範囲が設定されるため、適正な範囲の標示物の位置情報及び表示内容情報を取得することができる。
【0029】
上記第5の発明によれば、運転者にとって重要な情報を含む複数の道路標識の種別をそれぞれ示す種別情報が予め重要情報記憶手段に格納されている。そして、取得された標示物が道路標識である場合に、該道路標識が、重要情報記憶手段に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かが判定されるため、運転者にとって重要な情報であるか否かを簡素な構成で適正に判定することができる。
【0030】
上記第6の発明によれば、重要情報記憶手段に、最高速度制限、横断歩道、交差点、踏切、及び、一時停止の内、少なくとも1つの道路標識に対応する種別情報が予め格納されているため、運転者にとって重要な情報であるか否かを更に適正に判定することができる。
【0031】
上記第7の発明によれば、運転者にとって重要な情報を含む電光掲示板に表示される複数の情報の種別をそれぞれ示す種別情報が重要情報記憶手段に予め格納されている。そして、取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、重要情報記憶手段に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かが判定されるため、運転者にとって重要な情報であるか否かを簡素な構成で適正に判定することができる。
【0032】
上記第8の発明によれば、重要情報記憶手段に、工事中を示す情報、降雪時のチェーン規制を示す情報、渋滞情報、及び、インターチェンジ出口を示す情報の内、少なくとも1つに対応する種別情報が予め格納されているため、運転者にとって重要な情報であるか否かを更に適正に判定することができる。
【0033】
上記第9の発明によれば、取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、実際の道路交通状況によって変化する情報であるときには、運転者にとって重要な情報であると判定されるため、運転者にとって重要な情報であるか否かを簡素な構成で適正に判定することができる。
【0034】
上記第10の発明によれば、運転者の顔の画像を撮影するカメラを介して、運転者の視線の向きが検出され、検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かが判定されるため、運転者が標示物を確認したか否かを正確に判定することができる。
【0035】
上記第11の発明によれば、検出された視線の向きが、左右方向及び上下方向共に、運転者からの標示物の向きである時間が予め設定された第1閾値以上である場合に、運転者が標示物を確認したと判定されるため、運転者が標示物を確認したか否かを更に正確に判定することができる。
【0036】
すなわち、運転者の視線が、左右方向及び上下方向共に標示物の向きに向けられている時間が第1閾値(例えば、0.5sec)以上である場合には、運転者が標示物を確認したと推定できるので、運転者が標示物を確認したか否かを更に正確に判定することができるのである。
【0037】
上記第12の発明によれば、検出された視線の向きが標示物の向きである時間が予め設定された第2閾値以上である場合に、脇見であると判定され、脇見であると判定された場合に、運転者に対して注意を喚起する旨の音声が出力されるため、更に利便性を向上することができる。
【0038】
すなわち、重要な情報が電光掲示板等に表示されている場合には、運転者は、電光掲示板等を凝視することがあり、このような場合には、前方不注意となる虞があるため、運転者に対して注意を喚起する旨の音声を出力することによって、更に利便性を向上することができるのである。
【0039】
上記第13の発明によれば、車両位置と標示物の位置との間の距離が求められ、求められた距離が、予め設定された第3閾値以下となったタイミングで、運転者が標示物を確認したか否かが判定されるため、第3閾値を適正な値に設定することによって、適正なタイミングで運転者が標示物を確認したか否かの判定を行うことができる。
【0040】
上記第14の発明によれば、自車両の車速に基づいて、第3閾値が設定され、車両位置と標示物の位置との間の距離が、設定された第3閾値以下となったタイミングで、運転者が標示物を確認したか否かが判定されるため、更に適正なタイミングで運転者が標示物を確認したか否かの判定を行うことができる。
【0041】
上記第15の発明によれば、自車両の車速が速い程、第3閾値として大きな値が設定されるため、更に適正なタイミングで運転者が標示物を確認したか否かの判定を行うことができる。
【0042】
すなわち、自車両の車速が速い程、標示物に到達するまでの時間が短いので、自車両の車速が速い程、第3閾値として大きな値を設定することによって、更に適正なタイミングで運転者が標示物を確認したか否かの判定を行うことができるのである。
【0043】
上記第16の発明によれば、ナビゲーション装置の音声出力がONに設定されているか否かが判定される。そして、ナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されていると判定され、且つ、運転者にとって重要な情報であると判定された場合に、ナビゲーション装置に対して音声出力をONに設定する旨の指示が行われるため、ナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されている場合であっても、運転者が確実に重要な情報を確認することができる。
【0044】
上記第17の発明によれば、ナビゲーション装置が、路車間通信を介して、道路交通情報を取得可能に構成されているため、道路交通情報を容易に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明に係る音声出力装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る音声出力装置の周辺機器の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係るガイダンス出力ECU(Electronic Control Unit)1(=音声出力装置に相当する)は、周辺機器としての入力機器2及び出力機器3と通信可能に接続されている。
【0046】
ここで、図1を参照して、ガイダンス出力ECU1の入力機器2について説明する。入力機器2は、ナビゲーションECU21、ドライバモニタカメラ22、及び、車速センサ23を備えている。
【0047】
ナビゲーションECU21(=ナビゲーション装置の一部に相当する)は、地図情報を備え、GPS(Global Positioning System)等を介して、車両1の地図上の位置である車両位置を検出し、地図上の車両位置をモニタ32に表示する。また、ナビゲーションECU21は、路車間通信を介して、道路交通情報を取得可能に構成されおり、検出した車両位置情報、及び、取得した道路交通情報をガイダンス出力ECU1(ここでは、図2に示す標示情報取得部102)へ出力する。
【0048】
なお、道路交通情報は、道路交通情報が視認可能に表示される標示物の位置情報、及び、該標示物に表示されている内容を示す表示内容情報を含んでいる。また、標示物は、道路標識、及び、電光掲示板を含んでいる。更に、ナビゲーションECU21は、ガイダンス出力ECU1と双方向に通信可能に構成されている。
【0049】
ドライバモニタカメラ22は、例えば、ステアリングコラム上等に配設されたCCD(Charge Coupled Device)カメラ等からなり、運転者の顔の画像情報を撮像するカメラであって、ガイダンス出力ECU1(ここでは、図2に示す視線検出部108)に対して、撮像された画像情報を出力する。
【0050】
なお、ここでは、ドライバモニタカメラ24は、運転者の脇見状態及び閉眼状態の少なくとも一方を検出する目的で配設されている。このように、ドライバモニタカメラ22が、運転者の脇見状態及び閉眼状態の少なくとも一方を検出する目的で配設されているため、簡素な構成で(=ドライバモニタカメラ24の配設費用等に伴うコストの増大を回避しつつ)、運転者の視線の向きを正確に判定することができる。
【0051】
車速センサ23は、車速を検出するセンサであって、ガイダンス出力ECU1(ここでは、図2に示す範囲設定部101)に対して、車速を示す信号を出力する。
【0052】
次に、図1を参照して、出力機器3について説明する。出力機器3は、スピーカ31、及び、モニタ32を備えている。スピーカ31は、ナビゲーションECU21及びガイダンス出力ECU1(ここでは、図2に示す出力制御部110、脇見警報出力部112)からの指示に従って、運転者に対してガイダンス情報に対応する音声を出力するものである。モニタ32は、メーターパネル下方等に配設されたLCD(Liquid Crystal Display)等からなり、ナビゲーションECU21及びガイダンス出力ECU1(ここでは、図2に示す出力制御部110、脇見警報出力部112)からの指示に従って、運転者に対してガイダンス情報に対応する画像又は文字を表示するものである。
【0053】
図2は、ガイダンス出力ECU1の機能構成の一例を示すブロック図である。ガイダンス出力ECU1は、機能的に、範囲設定部101、標示情報取得部102、重要情報記憶部103、重要性判定部104、音声出力可否判定部105、距離算出部106、閾値設定部107、視線検出部108、確認判定部109、出力制御部110、脇見判定部111、及び、脇見警報出力部112を備えている。
【0054】
なお、ガイダンス出力ECU1は、ガイダンス出力ECU1の適所に配設されたマイクロコンピュータに、ガイダンス出力ECU1の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、範囲設定部101、標示情報取得部102、重要情報記憶部103、重要性判定部104、音声出力可否判定部105、距離算出部106、閾値設定部107、視線検出部108、確認判定部109、出力制御部110、脇見判定部111、脇見警報出力部112等の機能部として機能させる。
【0055】
範囲設定部101(範囲設定手段に相当する)は、車速センサ23からの自車両の車速に基づいて、標示情報取得部102において、自車両の進行方向に配設された標示物を検索する範囲である検索範囲(所定範囲に相当する)を設定する機能部である。具体的には、範囲設定部101は、自車両の車速が速い程、検索範囲として、広い範囲を設定する。
【0056】
標示情報取得部102(標示情報取得手段に相当する)は、ナビゲーションECU21によって検出された車両位置情報に基づいて、ナビゲーションECU21から当該車両の進行方向に配設され、道路交通情報が視認可能に表示される標示物の位置情報、及び、該標示物に表示されている内容を示す表示内容情報を取得する機能部である。また、標示情報取得部102は、範囲設定部101によって設定された検索範囲内の標示物の位置情報、及び、表示内容情報を取得する。
【0057】
このようにして、自車両の車速に基づいて、検索範囲が設定され、設定された範囲内の標示物の位置情報、及び、表示内容情報が取得されるため、適正な範囲の標示物の位置情報及び表示内容情報を取得することが可能となる。また、自車両の車速が速い程、検索範囲として、広い範囲が設定されるため、適正な範囲の標示物の位置情報及び表示内容情報を取得することができる。
【0058】
本実施形態においては、範囲設定部101が、自車両の車速が速い程、検索範囲として、広い範囲を設定する場合について説明するが、範囲設定部101が、自車両の車速に換えて(又は、加えて)他の情報に基づいて、検索範囲を設定する形態でも良い。例えば、範囲設定部101が、車両の進行方向に配設された各標示物について、周囲の画像を生成するカメラ等を介して、運転者から視認可能か否かを判定し、視認可能な全ての標示物を検索範囲に設定する形態でも良い。この場合には、更に適正な範囲の標示物の位置情報及び表示内容情報を取得することができる。
【0059】
重要情報記憶部103(重要情報記憶手段に相当する)は、運転者にとって重要な情報を含む複数の道路標識(以下、「重要標識」という)の種別をそれぞれ示す種別情報を予め格納する機能部である。具体的には、重要情報記憶部103は、重要標識の種別情報として、最高速度制限、横断歩道、交差点、踏切、及び、一時停止の道路標識にそれぞれ対応する種別情報を予め格納する。また、重要情報記憶部103は、運転者にとって重要な情報を含む電光掲示板に表示される複数の情報(以下、「重要電光情報」という)の種別をそれぞれ示す種別情報を予め格納する。具体的には、重要情報記憶部103は、重要電光情報の種別情報として、工事中を示す情報、降雪時のチェーン規制を示す情報、渋滞情報、及び、インターチェンジ出口を示す情報にそれぞれ対応する種別情報を予め格納する。
【0060】
重要性判定部104(重要性判定手段に相当する)は、標示情報取得部102によって取得された表示内容情報が、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する機能部である。
【0061】
具体的には、重要性判定部104は、標示情報取得部102によって取得された標示物が道路標識である場合に、該道路標識が、重要情報記憶部103に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する。また、重要性判定部104は、標示情報取得部102によって取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、重要情報記憶部103に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する。更に、重要性判定部104は、標示情報取得部102によって取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、実際の道路交通状況によって変化する情報(ここでは、「リアルタイム情報」という)であるときには、運転者にとって重要な情報であると判定する。
【0062】
このようにして、取得された標示物が道路標識である場合に、該道路標識が、重要情報記憶部103に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かが判定されるため、運転者にとって重要な情報であるか否かを簡素な構成で適正に判定することができる。また、重要情報記憶部103に、最高速度制限、横断歩道、交差点、踏切、及び、一時停止の道路標識にそれぞれ対応する種別情報が予め格納されているため、運転者にとって重要な情報であるか否かを更に適正に判定することができる。
【0063】
更に、取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、重要情報記憶部103に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かが判定されるため、運転者にとって重要な情報であるか否かを簡素な構成で適正に判定することができる。また、重要情報記憶部103に、工事中を示す情報、降雪時のチェーン規制を示す情報、渋滞情報、及び、インターチェンジ出口を示す情報にそれぞれ対応する種別情報が予め格納されているため、運転者にとって重要な情報であるか否かを更に適正に判定することができる。
【0064】
加えて、取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、実際の道路交通状況によって変化する情報であるときには、運転者にとって重要な情報であると判定されるため、運転者にとって重要な情報であるか否かを簡素な構成で適正に判定することができる。
【0065】
本実施形態においては、重要情報記憶部103に、重要標識の種別をそれぞれ示す種別情報が予め格納されている場合について説明するが、運転者の操作入力に基づいて、重要情報記憶部103に、重要標識の種別をそれぞれ示す種別情報を書き込む形態でも良い。同様に、重要情報記憶部103に、重要電光情報の種別をそれぞれ示す種別情報が予め格納されている場合について説明するが、運転者の操作入力に基づいて、重要情報記憶部103に、重要電光情報の種別をそれぞれ示す種別情報を書き込む形態でも良い。これらの場合には、運転者にとって重要な情報であるか否かを更に適正に判定することができる。
【0066】
音声出力可否判定部105(音声出力可否判定手段に相当する)は、ナビゲーションECU21と通信を行うことによって、該ナビゲーションECU21を備えるナビゲーション装置の音声出力がONに設定されているか否かを判定する機能部である。
【0067】
距離算出部106(距離算出手段に相当する)は、車両位置と、標示情報取得部102によって取得された標示物の位置との間の距離LTを求める機能部である。例えば、距離算出部106は、ナビゲーションECU21を介して、ナビゲーション装置に格納されている地図情報を用いて、車両位置と標示物の位置との間の距離LTを求める。すなわち、車両位置及び標示物の位置を、ナビゲーション装置に格納されている地図上の位置として求めることによって、車両位置と標示物の位置との間の距離LTを容易に求めることができる。
【0068】
閾値設定部107(閾値設定手段に相当する)は、車速センサ23からの自車両の車速に基づいて、確認判定部109において運転者が標示物を確認したか否かを判定するタイミングを規定する第3閾値SH3を設定する機能部である。具体的には、閾値設定部107は、自車両の車速が速い程、第3閾値SH3として大きな値を設定する。すなわち、確認判定部109は、自車両の車速が速い程、標示物が車両位置から離間した位置で、運転者が標示物を確認したか否かを判定する。
【0069】
視線検出部108(視線検出手段に相当する)は、運転者の顔の画像を撮影するドライバモニタカメラ22を介して運転者の視線の向きを検出する機能部である。なお、視線検出部108は、視線の向きとして、左右方向及び上下方向の向きを検出する。例えば、視線検出部108は、平面視の頭部を円筒モデルに適用して中心線に対する両端位置の比率から視線方向を算出する(必要に応じて、特開2007−280352号公報等を参照)。
【0070】
確認判定部109(確認判定手段に相当する)は、予め設定された所定のタイミングで、車両位置情報、標示情報取得部102によって取得された標示物の位置情報、及び、視線検出部108によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かを判定する機能部である。
【0071】
具体的には、確認判定部109は、視線検出部108によって検出された視線の向きが、左右方向及び上下方向共に、運転者からの標示物の向きである時間が予め設定された第1閾値(例えば、0.5sec)以上である場合に、運転者が標示物を確認したと判定する。また、確認判定部109は、距離算出部106によって求められた距離LTが、閾値設定部107によって設定された第3閾値SH3以下となったタイミング(=図3に示す判定終了タイミングTEに対応する)で、運転者が標示物を確認したか否かを判定する。
【0072】
このようにして、運転者の顔の画像を撮影するドライバモニタカメラ22を介して、運転者の視線の向きが検出され、検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かが判定されるため、運転者が標示物を確認したか否かを正確に判定することができる。また、運転者の視線が、左右方向及び上下方向共に標示物の向きに向けられている時間が第1閾値SH1(例えば、0.5sec)以上である場合には、運転者が標示物を確認したと推定できるので、運転者が標示物を確認したか否かを更に正確に判定することができる。
【0073】
更に、自車両の車速に基づいて、第3閾値SH3が設定され、車両位置と標示物の位置との間の距離LTが、設定された第3閾値SH3以下となったタイミングで、運転者が標示物を確認したか否かが判定されるため、更に適正なタイミングで運転者が標示物を確認したか否かの判定を行うことができる。加えて、自車両の車速が速い程、第3閾値SH3として大きな値が設定されるため、更に適正なタイミングで運転者が標示物を確認したか否かの判定を行うことができる。
【0074】
本実施形態においては、第1閾値SH1が予め設定されている場合について説明するが、第1閾値SH1を、運転者等からの操作入力に基づいて設定する形態でも良い。この場合には、運転者が標示物を確認したか否かの判定を更に正確に行うことができる。すなわち、運転者が標示物の内容を把握する速度が速い程、第1閾値SH1を短く設定することが好ましいからである。
【0075】
また、標示物の種類に応じて第1閾値SH1を設定する形態でも良い。例えば、標示物が道路標識である場合には、第1閾値SH1として小さい値(例えば、0.2秒)を設定し、標示物が電光掲示板である場合には、第1閾値SH1として大きい値(例えば、0.5秒)を設定する形態でも良い。この場合には、運転者が標示物を確認したか否かの判定を更に正確に行うことができる。
【0076】
出力制御部110(出力制御手段に相当する)は、重要性判定部104によって重要な情報であると判定され、且つ、確認判定部109によって確認していないと判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して、予め設定された所定時間(=前出し時間)ΔT(例えば、0.5sec)だけ標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示を行う機能部である。また、出力制御部110は、音声出力可否判定部105によってナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されていると判定され、且つ、重要性判定部104によって重要な情報であると判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して音声出力をONに設定する旨の指示を行う。
【0077】
このようにして、ナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されていると判定され、且つ、運転者にとって重要な情報であると判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して音声出力をONに設定する旨の指示が行われるため、ナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されている場合であっても、運転者が確実に重要な情報を確認することができる。
【0078】
図3は、出力制御部110の動作の一例を説明するタイミングチャートである。図3に示すように、タイミングT0において、自車両が重要標識(又は、重要電光情報が掲示されている電光掲示板)に到達する。確認判定部109によって、運転者が標示物を確認したか否かが判定される期間は、判定開始タイミングTSから判定終了タイミングTEの間の視線判定期間P1である。判定終了タイミングTEは、距離算出部106によって求められた距離LTが、閾値設定部107によって設定された第3閾値SH3以下となったタイミングである。
【0079】
出力制御部110は、判定終了タイミングTEにおいて運転者が確認していないと判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して、前出し時間ΔTだけ標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示を行う。すなわち、出力制御部110は、判定終了タイミングTEにおいて運転者が確認していないと判定された場合には、通常の出力タイミングT1より前出し時間ΔTだけ前の前出しタイミングT2で、ナビゲーションECU21に対して、標示物に対応する音声情報を出力させる。
【0080】
再び、図2に戻って、ガイダンス出力ECU1の機能構成について説明する。脇見判定部111(脇見判定手段に相当する)は、視線検出部108によって検出された視線の向きが標示物の向きである時間(ここでは、確認継続時間TCという:図5参照)が予め設定された第2閾値SH2以上(例えば、2sec)である場合に、脇見であると判定する機能部である。本実施形態においては、第2閾値SH2が予め設定されている場合について説明するが、運転者等からの操作入力に基づいて、第2閾値SH2を設定する形態でも良い。この場合には、第2閾値SH2として更に適正な値を設定することができる。
【0081】
脇見警報出力部112(脇見警報出力手段に相当する)は、脇見判定部111によって脇見であると判定された場合に、スピーカ31を介して、運転者に対して注意を喚起する旨の音声を出力すると共に、モニタ32を介して、運転者に対して注意を喚起する旨の画像(又は文字)を出力する機能部である。
【0082】
すなわち、重要な情報が電光掲示板等に表示されている場合には、運転者は、電光掲示板等を凝視することがあり、このような場合には、前方不注意となる虞があるため、運転者に対して注意を喚起する旨の音声及び画像を出力することによって、更に利便性を向上することができるのである。
【0083】
本実施形態においては、第2閾値SH2が予め設定されている場合について説明するが、第2閾値SH2を、運転者等からの操作入力に基づいて設定する形態でも良い。この場合には、注意を喚起する必要があるか否かの判定を更に正確に行うことができる。すなわち、運転者が標示物の内容を把握する速度が速い程、第2閾値SH2を短く設定することが好ましいからである。
【0084】
また、標示物の種類に応じて第2閾値SH2を設定する形態でも良い。例えば、標示物が道路標識である場合には、第2閾値SH2として小さい値(例えば、1秒)を設定し、標示物が電光掲示板である場合には、第2閾値SH2として大きい値(例えば、3秒)を設定する形態でも良い。この場合には、注意を喚起する必要があるか否かの判定を更に正確に行うことができる。
【0085】
図4、図5は、図2に示すガイダンス出力ECU1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、重要情報記憶部103に予め重要標識の種別情報及び重要電光情報の種別情報が格納されている場合について説明する。また、標示物が、道路標識又は電光掲示板である場合について説明する。まず、範囲設定部101によって、車速センサ23から自車両の車速が取得される(S101)。次いで、閾値設定部107によって、ステップS101において取得された自車両の車速に基づいて第3閾値SH3が設定される(S103)。次に、範囲設定部101によって、ステップS101において取得された自車両の車速に基づいて標示物の検索範囲が設定される(S105)。そして、標示情報取得部102によって、ナビゲーションECU21を介して、ステップS105において設定された検索範囲内の標示物の位置情報、及び、表示内容情報が取得される(S107)。
【0086】
次いで、重要性判定部104によって、ステップS107において取得された標示物が、運転者にとって重要な情報であるか否かの判定を行う処理である重要性判定処理が実行される(S109)。次に、出力制御部110によって、ステップS109において、重要な情報であると判定されたか否かの判定が行われる(S111)。重要な情報ではないと判定された場合(S111でNO)には、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。重要な情報であると判定された場合(S111でYES)には、距離算出部106によって、車両位置と、ステップS107において取得された標示物の位置との間の距離LTが求められる(S113)。そして、確認判定部109によって、ステップS113において求められた距離LTが、ステップS103において設定された第3閾値SH3以下であるか否かの判定が行われる(S115)。第3閾値SH3以下ではないと判定された場合(S115でNO)には、処理がステップS113に戻され、ステップS113以降の処理が繰り返し実行される。第3閾値SH3以下であると判定された場合(S115でYES)には、視線検出部108によってドライバモニタカメラ22を介して視線の向きが検出される(S117)。
【0087】
そして、図5に示すように、確認判定部109によって、ステップS117において検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認済みか否かが判定される(S119)。運転者が標示物を確認済みであると判定された場合(S119でYES)には、処理が図4に示すステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。運転者が標示物を確認済みではないと判定された場合(S119でNO)には、確認判定部109によって、運転者が標示物を確認中か否かの判定が行われる(S121)。確認中であると判定された場合(S121でYES)には、処理がステップS129へ進められる。確認中ではないと判定された場合(S121でNO)には、音声出力可否判定部105によって、ナビゲーション装置の音声出力がONに設定されているか否かが判定される(S123)。音声出力がOFFに設定されていると判定された場合(S123でNO)には、出力制御部110によって、ナビゲーションECU21に対して音声出力をONに設定する旨の指示が出力される(S125)。ステップS125の処理が終了した場合、又は、ステップS123でYESの場合には、出力制御部110によって、標示物に対応する音声情報の出力タイミングを前出し時間ΔTだけ早める旨の指示が出力され(S127)、処理が図4に示すステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
【0088】
ステップS121でYESの場合には、脇見判定部111によって、視線の向きが標示物の向きである時間(=確認継続時間TC)が第2閾値SH2以上であるか否かの判定が行われる(S131)。第2閾値SH2以上であると判定された場合(S131でYES)には、脇見警報出力部112によって、運転者に対して注意を喚起する旨の音声及び画像が出力され(S133)、処理が図4に示すステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。第2閾値SH2未満であると判定された場合(S131でNO)には、脇見判定部111によって、視線の向きが標示物の向きから通常の向き(=前方正面の向き)に戻されたか否か(=標示物の確認が終了したか否か)の判定が行われる(S135)。標示物の確認が終了したと判定された場合(S135でYES)には、処理が図4に示すステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。標示物の確認が終了していないと判定された場合(S135でNO)には、処理がステップS129に戻され、ステップS129以降の処理が繰り返し実行される。
【0089】
図6は、図4に示すフローチャートのステップS109において実行される重要性判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、全て重要性判定部104によって行われる。まず、図4に示すフローチャートのステップS107において取得された標示物が道路標識であるか否かの判定が行われる(S201)。道路標識であると判定された場合(S201でYES)には、道路標識の種別情報が、重要情報記憶部103に格納された重要標識の種別情報のいずれかと一致するか否かの判定が行われる(S209)。一致すると判定された場合(S209でYES)には、処理がステップS211に進められ、一致しないと判定された場合(S209でNO)には、処理がステップS207に進められる。
【0090】
道路標識ではない(=電光掲示板である)と判定された場合(S201でNO)には、電光掲示板に表示された内容が、リアルタイム情報であるか否かの判定が行われる(S203)。リアルタイム情報であると判定された場合(S203でYES)には、処理がステップS211に進められ、リアルタイム情報ではないと判定された場合(S203でNO)には、電光掲示板に表示された内容が、重要電光情報のいずれかと一致するか否かの判定が行われる(S205)。一致しないと判定された場合(S205でNO)、又は、ステップS209でNOの場合には、重要な情報ではないと判定され(S207)、処理が図4に示すフローチャートのステップS111に戻される。一致すると判定された場合(S205でYES)、ステップS203でYESの場合、又は、ステップS209でYESの場合には、重要な情報であると判定され(S211)、処理が図4に示すフローチャートのステップS111に戻される。
【0091】
このようにして、ナビゲーション装置によって検出された車両位置情報に基づいて、ナビゲーションECU21から当該車両の進行方向に配設され、道路交通情報が視認可能に表示される標示物の位置情報、及び、該標示物に表示されている内容を示す表示内容情報が取得され、取得された表示内容情報が、運転者にとって重要な情報であるか否かが判定される。また、運転者の視線の向きが検出される。そして、予め設定された所定のタイミングで、車両位置情報、取得された標示物の位置情報、及び、検出された視線の向きに基づいて、運転者が標示物を確認したか否かが判定される。更に、重要な情報であると判定され、且つ、確認していないと判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して、予め設定された所定時間ΔTだけ標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示が行われるため、道路交通情報を適正に音声出力することができる。
【0092】
すなわち、進行方向に配設された標示物に表示されている内容が運転者にとって重要な情報であると判定され、且つ、運転者が該標示物を確認していないと判定された場合に、ナビゲーションECU21に対して、予め設定された所定時間ΔTだけ標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示が行われる。そこで、運転者が標示物に表示された重要な道路交通情報を確認する時間が充分に確保されるため、運転者が重要な道路交通情報を確実に確認することができるのである。
【0093】
なお、本発明に係る音声出力装置は、上記実施形態に係るガイダンス出力ECU1に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、ガイダンス出力ECU1が、機能的に、範囲設定部101、標示情報取得部102、重要情報記憶部103、重要性判定部104、音声出力可否判定部105、距離算出部106、閾値設定部107、視線検出部108、確認判定部109、出力制御部110、脇見判定部111、脇見警報出力部112等を備える場合について説明したが、範囲設定部101、標示情報取得部102、重要情報記憶部103、重要性判定部104、音声出力可否判定部105、距離算出部106、閾値設定部107、視線検出部108、確認判定部109、出力制御部110、脇見判定部111、及び、脇見警報出力部112の内、少なくとも1つの機能部が、電気回路等のハードウェアによって構成されている形態でも良い。
【0094】
(B)本実施形態においては、前出し時間ΔTが予め設定されている場合について説明したが、前出し時間ΔTを、運転者等からの操作入力に基づいて設定する形態でも良い。この場合には、更に適正なタイミングで道路交通情報を音声出力することができる。また、標示物の種類に応じて、前出し時間ΔTを設定する形態でも良い。例えば、標示物が道路標識である場合には、前出し時間ΔTとして小さい値(例えば、0.2秒)を設定し、標示物が電光掲示板である場合には、前出し時間ΔTとして大きい値(例えば、0.5秒)を設定する形態でも良い。この場合には、更に適正なタイミングで道路交通情報を音声出力することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、例えば、車両の地図上の位置である車両位置を検出するナビゲーション装置と通信可能に接続され、該車両の運転者に対して道路交通情報を音声として出力する音声出力装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る音声出力装置の周辺機器の一例を示すブロック図
【図2】ガイダンス出力ECUの機能構成の一例を示すブロック図
【図3】出力制御部の動作の一例を説明するタイミングチャート
【図4】図2に示すガイダンス出力ECUの動作の一例を示すフローチャート(前半部)
【図5】図2に示すガイダンス出力ECUの動作の一例を示すフローチャート(後半部)
【図6】図4に示すフローチャートのステップS109において実行される重要性判定処理の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0097】
1 ガイダンス出力ECU(音声出力装置)
101 範囲設定部(範囲設定部手段)
102 標示情報取得部(標示情報取得手段)
103 重要情報記憶部(重要情報記憶手段)
104 重要性判定部(重要性判定手段)
105 音声出力可否判定部(音声出力可否判定手段)
106 距離算出部(距離算出手段)
107 閾値設定部(閾値設定手段)
108 視線検出部(視線検出手段)
109 確認判定部(確認判定手段)
110 出力制御部(出力制御手段)
111 脇見判定部(脇見判定手段)
112 脇見警報出力部(脇見警報出力手段)
2 入力機器
21 ナビゲーションECU(ナビゲーション装置の一部)
22 ドライバモニタカメラ
23 車速センサ
3 出力機器
31 スピーカ
32 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の地図上の位置である車両位置を検出するナビゲーション装置と通信可能に接続され、該車両の運転者に対して道路交通情報を音声として出力する音声出力装置であって、
前記ナビゲーション装置によって検出された車両位置情報に基づいて、前記ナビゲーション装置から当該車両の進行方向に配設され、道路交通情報が視認可能に表示される標示物の位置情報、及び、該標示物に表示されている内容を示す表示内容情報を取得する標示情報取得手段と、
前記標示情報取得手段によって取得された表示内容情報が、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する重要性判定手段と、
運転者の視線の向きを検出する視線検出手段と、
予め設定された所定のタイミングで、前記車両位置情報、前記標示情報取得手段によって取得された標示物の位置情報、及び、前記視線検出手段によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する確認判定手段と、
前記重要性判定手段によって重要な情報であると判定され、且つ、前記確認判定手段によって確認していないと判定された場合に、前記ナビゲーション装置に対して、予め設定された所定時間だけ前記標示物に対応する音声情報の出力タイミングを早める旨の指示を行う出力制御手段と、を備える音声出力装置。
【請求項2】
前記標示情報取得手段は、前記ナビゲーション装置から当該車両の進行方向の予め設定された所定範囲に配設された標示物の位置情報、及び、表示内容情報を取得する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項3】
自車両の車速に基づいて、前記所定範囲を設定する範囲設定手段を備え、
前記標示情報取得手段は、前記範囲設定手段によって設定された範囲内の標示物の位置情報、及び、表示内容情報を取得する、請求項2に記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記範囲設定手段は、自車両の車速が速い程、前記所定範囲として、広い範囲を設定する、請求項3に記載の音声出力装置。
【請求項5】
前記標示物は、道路標識を含み、
運転者にとって重要な情報を含む複数の道路標識の種別をそれぞれ示す種別情報を予め格納する重要情報記憶手段を備え、
前記重要性判定手段は、前記標示情報取得手段によって取得された標示物が道路標識である場合に、該道路標識が、前記重要情報記憶手段に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項6】
前記重要情報記憶手段は、最高速度制限、横断歩道、交差点、踏切、及び、一時停止の内、少なくとも1つの道路標識に対応する種別情報を予め格納する、請求項5に記載の音声出力装置。
【請求項7】
前記標示物は、電光掲示板を含み、
運転者にとって重要な情報を含む電光掲示板に表示される複数の情報の種別をそれぞれ示す種別情報を予め格納する重要情報記憶手段を備え、
前記重要性判定手段は、前記標示情報取得手段によって取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、前記重要情報記憶手段に格納された複数の種別のいずれかと一致するか否かに基づいて、運転者にとって重要な情報であるか否かを判定する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項8】
前記重要情報記憶手段は、工事中を示す情報、降雪時のチェーン規制を示す情報、渋滞情報、及び、インターチェンジ出口を示す情報の内、少なくとも1つに対応する種別情報を予め格納する、請求項7に記載の音声出力装置。
【請求項9】
前記標示物は、電光掲示板を含み、
前記重要性判定手段は、前記標示情報取得手段によって取得された標示物が電光掲示板である場合に、該電光掲示板に表示された内容が、実際の道路交通状況によって変化する情報であるときには、運転者にとって重要な情報であると判定する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項10】
前記視線検出手段は、運転者の顔の画像を撮影するカメラを介して、運転者の視線の向きを検出し、
前記確認判定手段は、前記視線検出手段によって検出された視線の向きに基づいて、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項11】
前記確認判定手段は、前記視線検出手段によって検出された視線の向きが、左右方向及び上下方向共に、運転者からの前記標示物の向きである時間が予め設定された第1閾値以上である場合に、運転者が前記標示物を確認したと判定する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項12】
前記視線検出手段によって検出された視線の向きが前記標示物の向きである時間が予め設定された第2閾値以上である場合に、脇見であると判定する脇見判定手段と、
前記脇見判定手段によって脇見であると判定された場合に、運転者に対して注意を喚起する旨の音声を出力する脇見警報出力手段と、を備える請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項13】
前記車両位置と、前記標示物の位置との間の距離を求める距離算出手段を備え、
前記確認判定手段は、前記距離算出手段によって求められた距離が、予め設定された第3閾値以下となったタイミングで、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項14】
自車両の車速に基づいて、前記第3閾値を設定する閾値設定手段を備え、
前記確認判定手段は、前記距離算出手段によって求められた距離が、前記閾値設定手段によって設定された第3閾値以下となったタイミングで、運転者が前記標示物を確認したか否かを判定する、請求項13に記載の音声出力装置。
【請求項15】
前記閾値設定手段は、自車両の車速が速い程、前記第3閾値として大きな値を設定する、請求項14に記載の音声出力装置。
【請求項16】
前記ナビゲーション装置の音声出力がONに設定されているか否かを判定する音声出力可否判定手段を備え、
前記出力制御手段は、前記音声出力可否判定手段によって、前記ナビゲーション装置の音声出力がOFFに設定されていると判定され、且つ、前記重要性判定手段によって重要な情報であると判定された場合に、前記ナビゲーション装置に対して音声出力をONに設定する旨の指示を行う、請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項17】
前記ナビゲーション装置は、路車間通信を介して、道路交通情報を取得可能に構成されている、請求項1に記載の音声出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−39686(P2010−39686A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200687(P2008−200687)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】