説明

駐車場検出装置、駐車場検出方法及びコンピュータプログラム

【課題】駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車位置の駐車形態を正確に推定することを可能とした駐車場検出装置、駐車場検出方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】自車が道路を逸脱して駐車場への駐車を行った場合に、道路の逸脱地点から駐車位置までの自車の走行履歴に基づいて、自車が道路を逸脱してから駐車するまでの走行距離と駐車方位をそれぞれ検出し(S31、S32)、検出した走行距離と自車の駐車方向とに基づいて、自車が逸脱前に走行していた道路に対する駐車を行った駐車場の駐車形態を推定する(S33〜S36)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車位置の駐車形態を推定する駐車場検出装置、駐車場検出方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図情報として一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図を表示することが可能となっている。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に、車両を駐車する為の駐車場を案内することについても行われていた。但し、上記従来のナビゲーション装置では、予め地図情報に施設情報として記憶されている駐車場に関する情報について案内することは可能であったが、地図情報に記憶されていない情報については案内することができなかった。即ち、駐車場の位置、駐車場までの経路、駐車料金、利用可能時間等を案内することは可能であったが、その駐車場がどのような駐車形態を有する駐車場であるのかを案内することはできなかった。
【0004】
そこで、例えば特開2007−315956号公報には、自車両が駐車場内に進入した際に、車両に設置されたカメラで周辺環境を撮像し、撮像画像に基づいて駐車場の形状や駐車スペースの配置を検出する技術について記載されている。また、検出した駐車スペースの配置に関する情報をデータベースに記憶することによって、次回以降、自車両が同じ駐車場に進入した際に、駐車場の形状や駐車スペースの配置に関する情報をユーザに案内する技術について記載されている。
【特許文献1】特開2007−315956号公報(第8−12頁、図7〜図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記従来のナビゲーション装置では、カメラで撮像した画像から駐車場内に描かれた白線や駐車車両を検出し、その検出結果に基づいて駐車スペースの配置を検出する。従って、狭いスペースに形成される店舗前型駐車(図2参照)などでは、道路から直接、車両を駐車する為の駐車スペースへと進入するので、車両が駐車場内を移動する距離が短く、駐車場の全景をカメラで撮像する前に駐車が完了してしまう。従って、カメラによって駐車場内の車両が駐車した以外の駐車スペースの配置を検出することが困難であった。また、駐車スペースは白線で区切られていない場合もあり、その場合にはカメラの撮像画像から駐車スペースを検出することができない。また、天候が悪い時や、夜間などはカメラの撮像画像から駐車スペースを正確に検出することができない場合がある。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、周囲の環境に関わらず、駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車位置の駐車形態を容易且つ正確に推定することを可能とした駐車場検出装置、駐車場検出方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る駐車場検出装置(1)は、車両が道路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定手段(13)と、前記逸脱判定手段によって前記車両が道路を逸脱したと判定された場合に、前記車両が道路を逸脱した逸脱地点を取得する逸脱地点取得手段(13)と、前記道路を逸脱した車両が駐車されたか否か判定する駐車判定手段(13)と、前記駐車判定手段によって前記車両が駐車されたと判定された場合に、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行履歴に基づいて、前記車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車位置の駐車形態を推定する駐車形態推定手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る駐車場検出装置(1)は、請求項1に記載の駐車場検出装置であって、前記駐車形態推定手段(13)は、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行距離と逸脱前に走行していた道路に対する前記車両の駐車方向に基づいて、前記駐車位置の駐車形態を推定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る駐車場検出装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の駐車場検出装置であって、前記駐車形態推定手段(13)は、前記車両の走行距離が所定距離以下で、且つ前記車両の駐車方向が逸脱前に走行していた道路に対して垂直方向である場合に、前記駐車位置の駐車形態を道路に面する並列駐車場として推定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る駐車場検出方法は、車両が道路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定ステップ(S2)と、前記逸脱判定ステップにおいて前記車両が道路を逸脱したと判定された場合に、前記車両が道路を逸脱した逸脱地点を取得する逸脱地点取得ステップ(S1、S4)と、前記道路を逸脱した車両が駐車されたか否か判定する駐車判定ステップ(S7)と、前記駐車判定ステップにおいて前記車両が駐車されたと判定された場合に、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行履歴に基づいて、前記車両が逸脱前に走行していた道路に対する前記駐車位置の駐車形態を推定する駐車形態推定ステップ(S33〜S36)と、を有することを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両が道路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定機能(S2)と、前記逸脱判定機能において前記車両が道路を逸脱したと判定された場合に、前記車両が道路を逸脱した逸脱地点を取得する逸脱地点取得機能(S1、S4)と、前記道路を逸脱した車両が駐車されたか否か判定する駐車判定機能(S7)と、前記駐車判定機能において前記車両が駐車されたと判定された場合に、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行履歴に基づいて、前記車両が逸脱前に走行していた道路に対する前記駐車位置の駐車形態を推定する駐車形態推定機能(S33〜S36)と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成を有する請求項1に記載の駐車場検出装置によれば、周囲の環境に関わらず、駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を容易且つ正確に推定することが可能となる。そして、仮に駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を、道路走行中にユーザに案内することとすれば、ユーザの駐車操作を容易にすることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の駐車場検出装置によれば、車両の逸脱地点から車両が駐車された駐車位置までの走行距離と逸脱前に走行していた道路に対する車両の駐車方向に基づいて、駐車位置の駐車形態を推定するので、駐車場のサイズや駐車スペースの配置を考慮して、駐車位置の駐車形態を容易に推定することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の駐車場検出装置によれば、車両が所定距離以下の走行距離で逸脱前に走行していた道路に対して垂直方向に駐車した駐車場を、道路に面する並列駐車場として推定するので、駐車場の中でも特に駐車操作が特殊であり、且つ駐車場として把握することが難しい道路に面する並列駐車場を正確に把握することが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の駐車場検出方法によれば、周囲の環境に関わらず、駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を容易且つ正確に推定することが可能となる。そして、仮に駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を、道路走行中にユーザに案内することとすれば、ユーザの駐車操作を容易にすることができる。
【0016】
更に、請求項5に記載のコンピュータプログラムによれば、周囲の環境に関わらず、駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態をコンピュータが容易且つ正確に推定することが可能となる。そして、仮に駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を、道路走行中にユーザに案内することとすれば、ユーザの駐車操作を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る駐車場検出装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0018】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部(記憶媒体)12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(逸脱判定手段、逸脱地点取得手段、駐車判定手段、駐車形態推定手段)13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0019】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、地磁気センサ22、車速センサ23、ステアリングセンサ24、ジャイロセンサ25、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、自車の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ23は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0020】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31、車両DB32、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0021】
ここで、地図情報DB31は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。
また、地図データは、具体的には、道路(リンク)形状に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、施設に関する施設データ35、経路を探索するための探索データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ15に描画するための画像描画データ等から構成されている。
【0022】
また、特に施設データ35には、駐車場に関する情報(以下、駐車場情報という)が含まれる。また、本実施形態のナビゲーション装置1に記憶される駐車場情報としては、駐車場の位置座標、駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場(即ち、車両の駐車位置)の駐車形態等がある。
【0023】
以下に、上記駐車場情報の内、特に駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態(以下、単に特定駐車形態という)について図2〜図4を用いて説明する。ここで、駐車場の特定駐車形態には、大きく分類すると“道路に面する駐車場”と“道路に面しない駐車場”がある。そして、道路に面する駐車場としては例えば店舗前型駐車場等がある。また、道路に面しない駐車場としては例えば通常型駐車場や大型駐車場等がある。図2は店舗前型駐車場に分類される駐車場の一例を示した図、図3は通常型駐車場に分類される駐車場の一例を示した図、図4は大型駐車場に分類される駐車場の一例を示した図である。
図2に示すように、店舗前型駐車場は、コンビニエンスストアや小規模の飲食店などの小型店舗52の限られた狭い敷地内に形成される小型の駐車場である。そして、店舗前型駐車場の駐車スペース51は、駐車車両が駐車場に進入する為に逸脱した道路53、即ち、逸脱前に走行していた道路53に隣接して複数(図2では4個)配置される。また、配置される駐車スペース51の長手方向は、道路53と垂直方向をなす。
また、図3に示すように、通常型駐車場は、駅前にあるコインパーキングや中規模の飲食店などの敷地内に形成される中型の駐車場である。
また、図4に示すように、大型駐車場は、大規模のショッピングセンターなどの敷地内に形成される大型の駐車場である。
尚、後述するように本実施形態に係るナビゲーションECU13は、自車両が駐車された場合に、道路を逸脱してから駐車を完了するまでの自車両の走行履歴に基づいて、駐車場の特定駐車形態を推定する。更に、ナビゲーションECU13は、推定した駐車場の特定駐車形態に基づいて、施設データ35の駐車場情報を更新する。
【0024】
また、車両DB32は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の形状設計値等の車両に関する各種パラメータ情報が記憶された記憶手段である。例えば車両DB32には、車両の車輪半径、車長、車幅、車高、ホイールベース、最小旋回半径等について記憶されている。
尚、自車両の走行履歴とともに上記の車両DB32に記憶された各種パラメータ情報を用いれば、ナビゲーションECU13は駐車場の特定駐車形態をより正確に推定することも可能となる。
【0025】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、公知のダイクストラ法を用いて目的地への案内経路を探索する経路探索処理、設定された案内経路に従って走行を案内する走行案内処理、自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を推定する駐車場検出処理、目的地や自車の現在位置周辺の駐車場に関する情報(駐車場の位置、駐車場の特定駐車形態等)を案内する駐車場案内処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ、駐車場判定フラグ等が記憶されるRAM42、ナビゲーション装置1の備える各種装置の制御用のプログラムのほか、後述の駐車場検出処理プログラム(図5〜図8参照)を記録するROM43、ROM43から読み出したプログラムのほか、自車の走行履歴等を記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0026】
操作部14は、案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0027】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、駐車場情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0028】
また、スピーカ16は、具体的にナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。ここで、出力される音声ガイダンスとしては、例えば、「300m先の○○交差点を右方向です。」等がある。
【0029】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0030】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場満空情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0031】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1において実行する駐車場検出処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係る駐車場検出処理プログラムのフローチャートである。ここで、駐車場検出処理プログラムは車両のイグニションがONされた後に所定間隔(例えば200ms毎)で実行され、自車両が駐車した駐車場に関する各種パラメータを推定し、推定した各種パラメータに基づいて地図情報DB31を更新するプログラムである。尚、以下の図5〜図8にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU13が備えているRAM42、ROM43等に記憶されており、CPU41により実行される。
【0032】
先ず、駐車場検出処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はGPS21を用いて自車の現在位置を取得する。
【0033】
次に、S2においてCPU41は、前記S1で取得した自車の現在位置と地図情報DB31に記憶された地図情報とに基づいて、自車が道路外に位置するか否か、即ち、自車が道路から逸脱したか否かを判定する。尚、本実施形態では後輪車軸中央点の座標が道路外にある場合に、自車が道路外に位置すると判定する。また、上記S2が逸脱判定手段の処理に相当する。
【0034】
そして、自車が道路外に位置すると判定された場合(S2:YES)、即ち、自車が道路から逸脱したと判定された場合には、S3へと移行する。一方、自車が道路外に位置すると判定された場合(S2:NO)には、S6へと移行する。
【0035】
続いて、S3においてCPU41は、RAM42に記憶された駐車場判定フラグを読み出し、駐車場判定フラグがONであるか否か判定する。尚、駐車場判定フラグは自車が道路を逸脱し、駐車を行っている状態或いは駐車が完了した状態にあることを特定するフラグであり、イグニションがONされた際に行われる初期設定処理でOFFに設定される。また、後述のS5において駐車場判定フラグはONされる。
【0036】
そして、駐車場判定フラグがOFFであると判定された場合(S3:NO)には、S4へと移行する。一方、駐車場判定フラグがONであると判定された場合(S3:YES)には、S6へと移行する。
【0037】
S4においてCPU41は、前記S1で取得した自車の現在位置、即ち、自車が道路を逸脱した逸脱地点の座標をデータ記録部12又はフラッシュメモリ44等に記憶する。尚、上記S1、S4が逸脱地点取得手段の処理に相当する。
【0038】
その後、S5においてCPU41はRAM42に記憶された駐車場判定フラグを読み出し、駐車場判定フラグをONに設定する。
【0039】
次に、S6においてCPU41は後述の走行履歴記憶処理(図6)を行う。尚、走行履歴記憶処理は、道路を逸脱してから駐車を完了するまでの自車の車両位置と方位を走行履歴として記憶する処理である。
【0040】
続いて、S7においてCPU41は駐車場での自車の駐車が完了したか否か判定する。具体的には、CPU41は自車のシフト位置を検出し、シフト位置が「P」に変更された場合に駐車が完了したと判定する。尚、上記S7が駐車判定手段の処理に相当する。
【0041】
そして、駐車が完了したと判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。一方、駐車が完了していないと判定された場合(S7:NO)には、S1へと戻り、継続して道路の逸脱判定や自車の走行履歴の記憶を行う。
【0042】
S8においてCPU41は後述の駐車場情報更新処理(図7)を行う。尚、駐車場情報更新処理は、自車の走行履歴に基づいて自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を推定し、地図情報DB31に記憶された駐車場情報を更新する処理である。
【0043】
次に、前記S6でナビゲーションECU13が実行する走行履歴記憶処理のサブ処理について図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る走行履歴記憶処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0044】
走行履歴記憶処理において、先ずS11でCPU41は、RAM42に記憶された駐車場判定フラグを読み出し、駐車場判定フラグがONであるか否か判定する。
【0045】
そして、駐車場判定フラグがONであると判定された場合(S11:YES)には、S12へと移行する。一方、駐車場判定フラグがOFFであると判定された場合(S11:NO)には、走行履歴記憶処理のサブ処理を終了し、S7へと移行する。
【0046】
S12においてCPU41は、GPS21や車速センサ23等を用いて自車の現在位置座標を取得する。また、ステアリングセンサ24やジャイロセンサ25等を用いて現在の自車方位を取得する。
【0047】
続いて、S13においてCPU41は、前記S12で検出した自車の現在位置座標や自車方位を走行履歴としてデータ記録部12やフラッシュメモリ44等に記憶する。その後、走行履歴記憶処理のサブ処理を終了し、S7へと移行する。
【0048】
次に、前記S8でナビゲーションECU13が実行する駐車場情報更新処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る駐車場情報更新処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0049】
駐車場情報更新処理において、先ずS21でCPU41は、RAM42に記憶された駐車場判定フラグを読み出し、駐車場判定フラグがONであるか否か判定する。
【0050】
そして、駐車場判定フラグがONであると判定された場合(S21:YES)には、S22へと移行する。一方、駐車場判定フラグがOFFであると判定された場合(S21:NO)には、駐車場情報更新処理のサブ処理を終了する。
【0051】
続いて、S22においてCPU41は、地図情報DB31に記憶された駐車場情報と自車の現在位置(即ち駐車位置)とに基づいて、自車の駐車位置が地図情報DB31に駐車場情報が記憶された駐車場内にあって、且つその駐車場の駐車場情報に特定駐車形態に関する情報が含まれているか否か判定する。
【0052】
そして、自車の駐車位置が地図情報DB31に駐車場情報が記憶された駐車場内にあって、且つその駐車場の駐車場情報に特定駐車形態に関する情報が含まれていると判定された場合(S22:YES)には、駐車場情報の更新をすることなく駐車場情報更新処理のサブ処理を終了する。一方、自車の駐車位置が地図情報DB31に駐車場情報が記憶された駐車場内にないと判定された場合、或いは自車の駐車位置が地図情報DB31に駐車場情報が記憶された駐車場内であった場合でも、その駐車場の駐車場情報に特定駐車形態に関する情報が含まれていないと判定された場合(S22:NO)には、S23へと移行する。
【0053】
S23においてCPU41は後述の駐車形態推定処理(図8)を行う。尚、駐車形態推定処理は、自車の走行履歴に基づいて自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を推定する処理である。
【0054】
その後、S24においてCPU41は、自車の駐車位置及び前記S23で推定された駐車場の特定駐車形態に基づいて、地図情報DB31の駐車場情報を更新する。
具体的には、自車の駐車位置が地図情報DB31に駐車場情報が記憶された駐車場内にない場合には、先ず、自車の駐車位置を新たな駐車場として検出する。そして、自車の駐車位置を新たな駐車場の位置情報として地図情報DB31に記憶する。更に、前記S23で推定された駐車場の特定駐車形態を新たな駐車場の特定駐車形態として地図情報DB31に記憶する。
また、自車の駐車位置が地図情報DB31に駐車場情報が記憶された駐車場内にある場合には、更に、その駐車場の駐車場情報として特定駐車場形態が記憶されているか判定する。そして、特定駐車場形態が記憶されていない場合に、前記S23で推定された駐車場の特定駐車形態をその駐車場の特定駐車形態として地図情報DB31に記憶する。その後、駐車場情報更新処理のサブ処理を終了する。
【0055】
そして、ナビゲーション装置1は前記S24で更新された地図情報に基づいて、次回以降の走行時において駐車場に関する案内を行う。具体的には、自車が目的地に接近した場合には、目的地周辺に位置する駐車場の駐車場情報を液晶ディスプレイ15に表示したり、スピーカ16から出力する。また、自車の現在位置周辺に位置する駐車場の駐車場情報を液晶ディスプレイ15に表示したり、スピーカ16から出力する。
その際に案内される駐車場情報には、特定駐車形態に関する情報が含まれるので、ユーザの駐車操作を容易にすることができる。
【0056】
次に、前記S23でナビゲーションECU13が実行する駐車形態推定処理のサブ処理について図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る駐車形態推定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0057】
駐車形態推定処理において、先ずS31でCPU41は、データ記録部12又はフラッシュメモリ44に前記S4及びS6で記憶された走行履歴を読み出し、読み出した走行履歴に基づいて自車が道路を逸脱した逸脱地点から駐車位置までの走行距離を算出する。尚、車速センサ23により走行距離を算出するようにしても良い。
【0058】
次に、S32でCPU41は、データ記録部12又はフラッシュメモリ44に前記S6で記憶された走行履歴を読み出し、読み出した走行履歴に基づいて自車の駐車位置での駐車方向(車両方位)を取得する。
【0059】
続いて、S33〜S38においてCPU41は、前記S31で算出した走行距離及び前記S32で取得した駐車方向に基づいて、自車が駐車した駐車場の駐車形態が店舗前型駐車場、通常型駐車場及び大型駐車場のいずれかに該当するか推定する。
【0060】
具体的には、自車が道路を逸脱した逸脱地点から駐車位置までの走行距離が10m以下で、且つ自車の駐車方向が、逸脱する前に走行していた道路に対して略垂直方向(例えば80°〜100°とする。尚、90°に対して一定の幅を持たした角度であれば良い)である場合(S33:YES、S34:YES)には、自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を道路に面する並列駐車場、即ち、店舗前型駐車場に推定する(S36)。
【0061】
ここで、図9は特定駐車形態が店舗前型駐車場に推定される駐車場の一例を示した図である。前記したように店舗前型駐車場では、店舗52と店舗52に並設された道路53との間に駐車スペース51が配置され、道路53から駐車スペース51までの距離はごく短い距離となる。また、配置される駐車スペース51の長手方向は、道路53と垂直方向をなす。従って、図9に示すように自車両81が道路53を逸脱した逸脱地点Xから駐車位置Yまでの走行距離Lが10m以下であり、且つ自車両81の駐車方向φが道路53に対して略垂直方向となる場合に、CPU41は自車両81が駐車を行った駐車場を店舗前型駐車場に推定する。
【0062】
一方、自車が道路を逸脱した逸脱地点から駐車位置までの走行距離が10mより長く50m以下である場合(S33:NO、S35:YES)、又は走行距離が10m以下で、且つ自車の駐車方向が、逸脱する前に走行していた道路に対して略垂直方向でない場合(S33:YES、S34:NO)には、自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を通常型駐車場に推定する(S37)。
【0063】
ここで、図10は特定駐車形態が通常型駐車場に推定される駐車場の一例を示した図である。通常型駐車場では、道路62から駐車場の入口63を隔てて一定距離離れた位置に駐車スペース61が配置され、道路62から駐車スペース61までの距離は店舗前型駐車場と比べて長い距離となる。また、道路62から駐車スペース61までの距離が短い場合であっても、自車両81の駐車方向φが道路62に対して垂直方向でない場合には通常型駐車場に推定される。従って、図10に示すように自車両81が道路62を逸脱した逸脱地点Xから駐車位置Yまでの走行距離Lが10m<L≦50mである場合に、CPU41は自車両81が駐車を行った駐車場を通常型駐車場に推定する。また、自車両81が道路62を逸脱した逸脱地点Xから駐車位置Yまでの走行距離Lが10m以下であっても、自車両81の駐車方向φが道路62に対して略垂直方向とならない場合には、CPU41は自車両81が駐車を行った駐車場を通常型駐車場に推定する。
【0064】
また、自車が道路を逸脱した逸脱地点から駐車位置までの走行距離が50mより長い場合(S35:NO)には、自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を大型駐車場に推定する(S38)。
【0065】
ここで、図11は特定駐車形態が大型駐車場に推定される駐車場の一例を示した図である。大型駐車場では、道路72から駐車場の入口73を隔てて相当距離離れた位置に駐車スペース71が配置され、道路72から駐車スペース71までの距離は通常型駐車場と比べて長い距離となる。従って、図11に示すように自車両81が道路72を逸脱した逸脱地点Xから駐車位置Yまでの走行距離Lが50m<Lである場合に、CPU41は自車両81が駐車を行った駐車場を大型駐車場に推定する。
【0066】
その後、CPU41はS24へと処理を移行し、推定された駐車場の駐車形態に基づいて、地図情報DB31に記憶された駐車場情報を更新する。また、上記S33〜S36が駐車形態推定手段の処理に相当する。
【0067】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による駐車場検出方法及びナビゲーション装置1のナビゲーションECU13により実行されるコンピュータプログラムでは、自車が道路を逸脱して駐車場への駐車を行った場合に、道路の逸脱地点から駐車位置までの自車の走行履歴に基づいて、自車が道路を逸脱してから駐車するまでの走行距離と駐車方位をそれぞれ検出し(S31、S32)、検出した走行距離と自車の駐車方向とに基づいて、自車が逸脱前に走行していた道路に対する駐車を行った駐車場の駐車形態を推定する(S33〜S36)ので、周囲の環境に関わらず、駐車車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を容易且つ正確に推定することが可能となる。そして、道路走行中のユーザに自車両が逸脱前に走行していた道路に対する駐車場の駐車形態を案内することとすれば、ユーザの駐車操作を容易にすることができる。
また、車両の逸脱地点から車両が駐車された駐車位置までの走行距離と逸脱前に走行していた道路に対する車両の駐車方向に基づいて、駐車位置の駐車形態を推定するので、駐車場のサイズや駐車スペースの配置を考慮して、駐車位置の駐車形態を容易に推定することが可能となる。
また、特に自車が道路を逸脱した逸脱地点から駐車位置までの走行距離が10m以下で、且つ自車の駐車方向が、逸脱する前に走行していた道路に対して垂直方向である場合には、自車が駐車した駐車場の特定駐車形態を道路に面する並列駐車場、即ち、店舗前型駐車場に推定する(S34)ので、駐車場の中でも特に駐車操作が特殊であり、且つ駐車場として把握することが難しい所謂店舗前型駐車場を正確に把握することが可能となる。そして、仮に駐車場が道路に面する並列駐車場であることを、次回の駐車を行う際にユーザに案内することとすれば、ユーザにその駐車場へ車両を進入させる際の適切な車両の進入方向や進入位置を事前に把握させることが可能となる。
【0068】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、道路を逸脱してから駐車を行うまでの車両の走行距離や駐車方向に基づいて、駐車場の特定駐車形態を推定することとしているが、他の走行履歴を用いて推定することとしても良い。例えば、道路を逸脱してから駐車を完了するまでの自車の旋回回数や旋回角度の総和等に基づいて駐車場の特定駐車形態を推定するようにしても良い。
【0069】
また、ナビゲーション装置1が推定した駐車場の特定駐車形態に関する情報を他車両に提供する構成としても良い。例えば、プローブ情報としてプローブセンタを介して提供しても良いし、車車間通信により他車両に提供するようにしても良い。
【0070】
また、車両の走行履歴に基づいて駐車場内の駐車スペースの配置を推定するように構成しても良い。その際には、例えば、駐車場内の自車の駐車位置を検出し、駐車位置を駐車スペースとして推定する。また、過去の処理で推定された駐車スペースと今回の処理で推定された駐車スペースの間に一定間隔(幅2m前後)のスペースがある場合には、そのスペースについても駐車スペースとして推定する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】店舗前型駐車場に分類される駐車場の一例を示した図である。
【図3】通常型駐車場に分類される駐車場の一例を示した図である。
【図4】大型駐車場に分類される駐車場の一例を示した図である。
【図5】本実施形態に係る駐車場検出処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る走行履歴記憶処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る駐車場情報更新処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る駐車形態推定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図9】特定駐車形態が店舗前型駐車場に推定される駐車場の一例を示した図である。
【図10】特定駐車形態が通常型駐車場に推定される駐車場の一例を示した図である。
【図11】特定駐車形態が大型駐車場に推定される駐車場の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ナビゲーション装置
12 データ記録部
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が道路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定手段と、
前記逸脱判定手段によって前記車両が道路を逸脱したと判定された場合に、前記車両が道路を逸脱した逸脱地点を取得する逸脱地点取得手段と、
前記道路を逸脱した車両が駐車されたか否か判定する駐車判定手段と、
前記駐車判定手段によって前記車両が駐車されたと判定された場合に、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行履歴に基づいて、前記車両が逸脱前に走行していた道路に対する前記駐車位置の駐車形態を推定する駐車形態推定手段と、を有することを特徴とする駐車場検出装置。
【請求項2】
前記駐車形態推定手段は、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行距離と逸脱前に走行していた道路に対する前記車両の駐車方向に基づいて、前記駐車位置の駐車形態を推定することを特徴とする請求項1に記載の駐車場検出装置。
【請求項3】
前記駐車形態推定手段は、前記車両の走行距離が所定距離以下で、且つ前記車両の駐車方向が逸脱前に走行していた道路に対して垂直方向である場合に、前記駐車位置の駐車形態を道路に面する並列駐車場として推定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駐車場検出装置。
【請求項4】
車両が道路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定ステップと、
前記逸脱判定ステップにおいて前記車両が道路を逸脱したと判定された場合に、前記車両が道路を逸脱した逸脱地点を取得する逸脱地点取得ステップと、
前記道路を逸脱した車両が駐車されたか否か判定する駐車判定ステップと、
前記駐車判定ステップにおいて前記車両が駐車されたと判定された場合に、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行履歴に基づいて、前記車両が逸脱前に走行していた道路に対する前記駐車位置の駐車形態を推定する駐車形態推定ステップと、を有することを特徴とする駐車場検出方法。
【請求項5】
コンピュータに搭載され、
車両が道路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定機能と、
前記逸脱判定機能において前記車両が道路を逸脱したと判定された場合に、前記車両が道路を逸脱した逸脱地点を取得する逸脱地点取得機能と、
前記道路を逸脱した車両が駐車されたか否か判定する駐車判定機能と、
前記駐車判定機能において前記車両が駐車されたと判定された場合に、前記車両の逸脱地点から前記車両が駐車された駐車位置までの走行履歴に基づいて、前記車両が逸脱前に走行していた道路に対する前記駐車位置の駐車形態を推定する駐車形態推定機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−25860(P2010−25860A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189952(P2008−189952)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】