説明

高含水有機廃棄物の処理システム

【課題】 高含水有機廃棄物の処理システムにおいて、高含水有機廃棄物の乾燥から焼却・排気処理に至るまで、外部エネルギーを必要とせず、自立稼働可能な処理システムを提供する。
【解決手段】 高含水有機廃棄物である脱水ケーキ2を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために水蒸気圧縮機13を備える潜熱回収型減圧乾燥機10と、潜熱回収型減圧乾燥機10で形成された乾燥ケーキ3を焼却する焼却炉21と、焼却炉21からの廃熱を利用して高温蒸気を発生させる廃熱ボイラ31、及び廃熱ボイラ31からの高温蒸気で駆動される蒸気タービン32とから成る廃熱回収装置30とを備え、前記廃熱回収装置30で回収されたエネルギーにより水蒸気圧縮機13を駆動させる。また、潜熱回収型減圧乾燥機10は熱交換器41によって回収された廃熱によって、さらに加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機スラッジや下水汚泥等を含む有機分含有廃水を脱水することにより得られる高含水有機廃棄物を処理するシステムであり、詳しくは高含水有機廃棄物を乾燥させるのに外部エネルギーを必要としない高含水有機廃棄物の処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機スラッジや下水汚泥等を含む有機分含有廃水を脱水することにより得られる有機廃棄物は、減容化・減量化および安定化・無害化を目的として、焼却により処理される。しかしながら、前記有機廃棄物が高含水である場合(以降、単に「高含水有機廃棄物」ともいう。)、そのままでは焼却ができないので、焼却炉に例えば重油や都市ガスなどの化石系燃料などを補助燃料として適宜投入する必要がある。このため、焼却処理に要するコストが大となる。
【0003】
そこで、焼却処理の対象である前記有機廃棄物の含水率を下げて、焼却し易いように、好ましくは前記有機廃棄物が焼却炉内で自立燃焼し新たなエネルギー源となることを目的として、有機分含有廃水から水分を効率よく除去する技術が数多く開発されている。このような水分を除去する手段(以降、単に「脱水手段」ともいう。)として、例えば機械的脱水手段であるフィルタプレス式やスクリュープレス式などが挙げられる。しかし、実際には、前記脱水手段により脱水処理を施しても、有機分含有廃水の含水率を十分下げることができず、80wt%程度まで下げるのが限界とされている。したがって、脱水処理され、含水率が80wt%程度まで低下した有機分含有廃水(以降、単に「脱水ケーキ」ともいう。含水率が高いので特に「高含水有機廃棄物」ともいう。)は、自立燃焼すらできない。
【0004】
そこで、脱水ケーキを更に乾燥させることにより、含水率をより下げることを目的とした公知技術として、例えば、焼却炉からの排ガスの熱を有機廃棄物の乾燥に利用する焼却システム(特許文献1)や、水蒸気凝縮機を用いて水蒸気の潜熱を利用し、有機廃棄物の乾燥に利用する蒸気再圧縮式真空濃縮乾燥装置(特許文献2)が挙げられる。
【0005】
特許文献1は、高含水有機廃棄物を乾燥させることにより、高含水有機廃棄物を焼却する際に重油や都市ガス等の化石燃料系補助燃料を必要としない廃棄物焼却システムを開示する。この廃棄物焼却システムは、脱水ケーキを乾燥させることにより乾燥ケーキを形成する乾燥機と、前記乾燥ケーキを焼却する焼却炉と、前記焼却炉から生じる熱エネルギーを前記乾燥機に伝える熱交換器と、排ガス内の酸性分を除去するための排ガス処理塔と、排ガス処理塔からの排水の熱を加熱して前記乾燥機に伝えるヒートポンプと、から構成されている。
【0006】
これにより、前記焼却炉からの排ガスの熱エネルギーを前記熱交換器をもって前記乾燥機に利用することと、外部電力などにより駆動する前記ヒートポンプ及び前記排ガス処理塔からの排水を利用して前記乾燥機を加熱することと、により脱水ケーキを十分に乾燥させる。従って有機廃棄物を焼却するのに例えば化石系燃料などの補助燃料を必要せず、自立燃焼することができる、とされている。
【0007】
一方、特許文献2は、高含水廃棄物の乾燥装置を開示する。前記乾燥装置は、高含水の廃棄物を収容するタンクと、前記タンクから空気を排出することによりタンク内の気圧を下げる機能、および減圧下のタンクから排出された水蒸気を圧縮する機能を有する水蒸気圧縮機と、前記タンクの内部に設けられ前記タンクと熱的に結合され、且つ前記水蒸気圧縮機から吐出された高温高圧水蒸気を凝縮させて前記タンクを加熱する水蒸気凝縮機と、から構成されている。
【0008】
これにより、前記水蒸気圧縮機により前記タンク内の気圧が下げられることで水分の沸点が下がり、それにより廃棄物から蒸発した水蒸気は、前記水蒸気圧縮機において高圧となり、前記タンク内に設けられた前記水蒸気凝縮機へと流入する。前記水蒸気凝縮機において、流入した水蒸気が凝縮され、すなわち気液相変化することで発生する凝縮熱が前記タンク内の廃棄物に伝熱し、該廃棄物が加熱される。このように当該乾燥装置は、エネルギー効率の高い乾燥手段を提供する、とされる。
【0009】
【特許文献1】特開2004−93018号公報
【特許文献2】特許第3147142号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、高含水廃棄物を十分に乾燥させるために、熱交換器だけでなくヒートポンプを必要とし、前記ヒートポンプを稼動させるために外部から電力を配給する必要がある。また、この構成には廃棄物の水分の有する潜熱や顕熱を回収する仕組みがなく、効率的なエネルギー回収がなされていない。
【0011】
一方、特許文献2の構成では、蒸気圧縮機でなされる少ない圧縮仕事量で、廃棄物中の水分に対して大きな蒸発熱量を与えることができるため、エネルギー効率が高いとされている。しかし、前記蒸気圧縮機を駆動するために外部からのエネルギーの供給を必要とし、単独運転することができない。
【0012】
従って、本発明は、自立運転が可能な高含水有機廃棄物の処理システム、すなわち、有機分含有廃水を脱水手段により脱水することで得られる脱水ケーキを十分に乾燥させるための乾燥機を駆動するのに必要な電力等のエネルギーを外部に依存しない処理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
上記の課題を解決するために、第1の発明は、高含水有機廃棄物を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために圧縮機を備える潜熱回収型減圧乾燥機と、前記潜熱回収型減圧乾燥機で前記高含水有機廃棄物を乾燥することにより得られる乾燥ケーキを焼却する第一炉と、前記第一炉からの排熱を利用して高温蒸気を発生させるボイラ、及びこのボイラからの蒸気で駆動するタービンとから成る廃熱回収装置と、を備え、前記廃熱回収装置で生成する電力または動力により、前記潜熱回収型減圧乾燥機の前記圧縮機を駆動させる。
【0014】
上記の構成により、前記高含水有機廃棄物は自立燃焼できる程度に乾燥されるので、前記高含水有機廃棄物を焼却する第一炉に例えば化石系燃料などの補助燃料を投入する必要がない。これにより、処理費用を削減することができる。
また、前記潜熱回収型減圧乾燥機の前記圧縮機を駆動するエネルギーは、外部に依存せず、前記廃熱回収装置で得られる電力又は動力により賄われるので、前記高含水有機廃棄物の処理システムを自立運転させることができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記第一炉は前記乾燥ケーキを酸化焼却させる焼却炉である。
【0016】
上記の構成により、前記高含水有機廃棄物の有するエネルギーを熱エネルギーとして取り出すことができる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記第一炉は、前記乾燥ケーキを乾留・ガス化し、生成した可燃性ガスを燃焼させるガス化炉である。
【0018】
上記の構成により、前記高含水有機廃棄物の有するエネルギーを熱エネルギーとして取り出すことができる。
【0019】
第4の発明は、高含水有機廃棄物を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために圧縮機を備える潜熱回収型減圧乾燥機と、前記潜熱回収型減圧乾燥機で前記高含水有機廃棄物を乾燥することにより得られる乾燥ケーキを乾留・ガス化し、可燃性ガスを生成するガス化炉と、前記可燃性ガスにより駆動されるガスエンジン又はガスタービンと、を備え、前記ガスエンジン又は前記ガスタービンで生成する電力または動力により、前記潜熱回収型減圧乾燥機の前記圧縮機を駆動させる。
【0020】
上記の構成により、前記高含水有機廃棄物が十分に乾燥されることで、補助燃料を追加投入することなく、前記高含水有機廃棄物の乾燥ケーキをガス化炉内において乾留・ガス化させることができる。
また、前記潜熱回収型減圧乾燥機の前記圧縮機を駆動するエネルギーは、外部に依存せず、前記ガスエンジン又は前記ガスタービンで得られる電力又は動力により賄われるので、前記高含水有機廃棄物の処理システムを自立運転させることができる。
【0021】
第5の発明は、第1〜3の発明の何れかに記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、 前記第一炉又は前記廃熱回収装置からの廃熱を回収する熱交換器を備え、前記熱交換器で加熱された熱媒体により、前記高含水有機廃棄物を加熱させる。
【0022】
上記の構成により、前記熱交換器によって回収された熱エネルギーが、前記高含水有機廃棄物を加熱するのに利用されているので、ボイラ出口温度の高いシステム構成であっても、また、タービン出口蒸気温度の高いシステム構成(背圧タービン)であっても、含水率85wt%程度の前記高含水有機廃棄物を第一炉で自立燃焼できる程度にまで乾燥させることができる。
【0023】
第6の発明は、第4の発明記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記可燃性ガスか、前記ガスエンジンまたは前記ガスタービンか、あるいは前記ガスエンジンまたは前記ガスタービンから排出された排ガスか、のうち少なくとも一からの廃熱を回収する熱交換器を備え、前記熱交換器で加熱された熱媒体により、前記高含水有機廃棄物を加熱させる。
【0024】
上記の構成により、前記熱交換器によって回収された熱エネルギーが、前記高含水有機廃棄物を加熱するのに利用されているので、第一炉で自立燃焼できる程度にまで前記高含水有機廃棄物を乾燥させることができる。したがって、前記高含水有機廃棄物の処理システムの自立運転を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図1に基づいて、本発明に係る高含水有機廃棄物の処理システムの一実施形態について説明する。
【0026】
ここでは、本発明に係る高含水有機廃棄物の処理システムが、主要な構成として、焼却炉と廃熱ボイラと蒸気タービンとを備える例に関して説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0027】
図1は本発明の一実施形態に係る高含水有機廃棄物の処理システムの処理フロー図である。
【0028】
高含水有機廃棄物処理システム100は、大きくわけて以下のように構成されている。
すなわち、機械的脱水処理機50により予め脱水処理が施されている有機分含有廃水1である脱水ケーキ2を乾燥させて乾燥ケーキ3を形成する潜熱回収型減圧乾燥機10と、乾燥ケーキ3を焼却する焼却部20と、焼却部20で発生した熱エネルギーを回収する廃熱回収装置30と、廃熱回収装置30から排出された排ガスの有する熱エネルギーを回収し、前記排ガスを高含水有機廃棄物処理システム100から排出する後処理装置40と、から構成されている。
【0029】
潜熱回収型減圧乾燥機10は以下のように構成されている。
すなわち、脱水ケーキ2を収納する減圧タンク11と、機械的脱水処理機50へ接続され、脱水ケーキ2を減圧タンク11へ供給するためのホッパー12と、減圧タンク11内を減圧させ、またこれにより減圧タンク11に収納された脱水ケーキ2から蒸発した水蒸気等を吸引圧縮する水蒸気圧縮機13と、減圧タンク11内に設けられ、水蒸気圧縮機13へ接続され、水蒸気圧縮機13から流入する圧縮された前記水蒸気等を凝縮させることにより脱水ケーキ2を加熱する水蒸気凝縮器14と、前記水蒸気等に含まれる不凝縮性ガスを大気中へ排出するレリーフ弁15と、水蒸気凝縮器14で凝縮された凝縮水を排出するスチームトラップ16と、から構成されている。ただし、図1に示す熱交換器41aに関しては後述する。
【0030】
減圧タンク11は、略密閉状態で脱水ケーキ2を収納するものである。減圧タンク11はバッチ式構造であり、脱水ケーキ2を所定の時間乾燥する。また、生成された乾燥ケーキ3を排出する乾燥ケーキ排出口11aを備えている。減圧タンク11はその内部を減圧しても耐え得る強度を有し、好ましくは減圧タンク11がその外部から断熱されていると良い。
【0031】
機械的脱水処理機50は、高含水有機廃棄物処理システム100の外部に設けらており、有機分含有廃水1を脱水処理するものである。その一例として、例えばフィルタプレス式脱水処理機やスクリュープレス式脱水処理機などが挙げられる。機械的脱水処理機50により脱水処理された脱水ケーキ2の含水率は、75〜85wt%に至る。機械的脱水処理機50は、潜熱回収型減圧乾燥機10のホッパー12へ脱水ケーキ2を供給する。
【0032】
ここで、有機分含有廃水1とは、有機スラッジや下水汚泥などを含み、含水率が100%に近い有機廃棄物のことを言う。
【0033】
水蒸気圧縮機13は、減圧タンク11内を減圧させ、またこれにより減圧タンク11に収納された脱水ケーキ2から蒸発した水蒸気等を吸引圧縮するものである。減圧タンク11と水蒸気凝縮器14とに接続されており、水蒸気圧縮機駆動モータ13mにより駆動する。水蒸気圧縮機駆動モータ13mは電力(または動力でも良い。)により駆動し、その駆動源は潜熱回収型減圧乾燥機10の外部より供給されるが、より詳しくは後述する。
水蒸気圧縮機13の動作方式として例えば、揺動式・往復式・スクリュー式・ルーツ式及びロータリ式等が挙げられる。
【0034】
水蒸気凝縮機14は、減圧タンク11内に設けられている。減圧下で沸騰させて減圧タンク11から水蒸気圧縮機13を介して流入する圧縮された水蒸気をより高い温度で凝縮させることにより、少ない圧縮仕事で脱水ケーキ2を加熱するものである。水蒸気凝縮器14の一方は水蒸気圧縮機13と、他方はレリーフ弁15およびスチームトラップ16と、接続されている。この水蒸気凝縮器14は、減圧タンク11内の脱水ケーキ2と熱交換するために減圧タンク11内の脱水ケーキ2に接するように設けられている。水蒸気凝縮器14の形状として、例えばコイル状のものや、減圧タンク11を2重壁としたもの等が挙げられる。水蒸気圧縮機13より流入する圧縮された前記水蒸気等は、水蒸気凝縮器14内で凝縮することで、水蒸気凝縮器14を介して脱水ケーキ2を加熱する。
【0035】
レリーフ弁15は、前記水蒸気等に含まれる不凝縮性ガスを大気中へ排出するものである。レリーフ弁15は水蒸気凝縮器14の排出口へ接続されている。前記不凝縮性ガスとは例えば空気などである。レリーフ弁15は、抽気ポンプや真空ポンプを用いずに自発的に前記不凝縮性ガスを排出することができる。
【0036】
スチームトラップ16は、水蒸気凝縮器14で凝縮された凝縮水を排出するものである。レリーフ弁15と同様に、前記水蒸気凝縮機14の排出口へ接続されている。
【0037】
焼却部20は以下のように構成されている。
すなわち、乾燥ケーキ3を収納し焼却するための焼却炉21と、潜熱回収型減圧乾燥機10から排出された乾燥ケーキ3を焼却炉21に供給するためのホッパー22と、不燃物等の不燃性廃棄物4を排出するための不燃性物排出口23と、から構成されている。また、廃熱ボイラ31が焼却炉21に連設されている。
【0038】
焼却炉21は、乾燥ケーキ3を収納し焼却するためのものである。乾燥ケーキ3は後述するホッパー22により供給される。焼却炉21の焼却方式はロータリーキルン炉であるが、これに限らず、例えばストーカ炉や流動層炉であっても良い。
【0039】
ホッパー22は、通常バッチ式の潜熱回収型減圧乾燥機10から排出された乾燥ケーキ3を貯溜する。このホッパー22に溜められた乾燥ケーキ3は、焼却炉21に定量配給される。
【0040】
不燃性物排出口23は、焼却炉21で焼却されない、すなわち不燃物等の不燃性廃棄物4を排出するためのものである。不燃性物排出口23より排出された不燃性廃棄物4は、適宜粉砕された後に、例えば埋立処分される。
【0041】
焼却炉21の上部に連設される廃熱ボイラ31に関しては、後述する。
【0042】
廃熱回収装置30は以下のように構成されている。
すなわち、焼却炉21で発生する熱エネルギーを利用して水蒸気を発生させる廃熱ボイラ31と、廃熱ボイラ31で生成された水蒸気を動力に変換する蒸気タービン32と、蒸気タービン32で発生した動力を電力に変換する発電機33と、蒸気タービン32から排出された蒸気を復水させる復水器34と、から構成されている。
【0043】
ここで、発電機33は、蒸気タービン32で発生した動力を電力に変換するものである。発電機33で生成される電力により、水蒸気圧縮機駆動モータ13mを駆動させることができるので、自立運転することができる。また、これに限らず余剰電力があれば、その他の設備にも利用される。
【0044】
後処理装置40は以下のように構成されている。
すなわち、焼却炉21又は廃熱ボイラ31から排出される排ガスを利用して熱媒体を加熱する熱交換器41と、化学反応や触媒などを用いて排ガスの有する有害物質を除去・無害化する排ガス処理器42と、排ガス処理器42で処理された排ガスを吸い出す誘引ファン43と、誘引ファン43により吸い出された排ガスを大気中に排出する煙突44と、から構成されている。
【0045】
熱交換器41は、焼却炉21又は廃熱ボイラ31から排出される排ガスを利用して熱媒体を加熱するものである。加熱された前記熱媒体は減圧タンク11内に設けられた熱交換器41aを介して脱水ケーキ2を加熱する。熱交換器41と熱交換器41aとは、流路41bを介して接続されている。前記熱媒体としては、例えば油や空気などが挙げられる。
【0046】
ここで、熱交換器41や熱交換器41aは、装置起動時の脱水ケーキ2の予熱にも利用可能である。また、ボイラ出口温度が高い(ボイラ効率が低い)システム構成の場合に必要である。一方で、ボイラ出口温度が低い(ボイラ効率が高い)システム構成の場合であって、脱水ケーキ2の含水率が85wt%以下であれば、潜熱回収型減圧乾燥機10の有する乾燥能力のみにより、脱水ケーキ2を自立燃焼できる程度に乾燥させることができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る高含水有機廃棄物処理システム100の作動について説明する。ただし、高含水有機廃棄物処理システム100への前処理である機械的脱水工程も合わせて説明する。
【0048】
以下に、潜熱回収型減圧乾燥機10における作動を説明する。
【0049】
(機械的脱水工程)
搬入される有機分含有廃水1は、まず機械的脱水処理機50へ供給され、脱水処理が施される。これにより、脱水ケーキ2が形成される。機械的脱水処理機50の脱水方法としては、例えばフィルタプレス式やスクリュープレス式などが挙げられる。
脱水ケーキ2の含水率はより低いほうが望ましい。しかし、80wt%以上の有機分含有廃水1を脱水処理する場合、従来技術では同80wt%前後が限界とされている。
【0050】
(供給工程)
機械的脱水処理機50で形成された脱水ケーキ2は、減圧タンク11に接続されたホッパー12によって、所定の時間間隔で減圧タンク11に供給される。前記所定の時間間隔は、主として脱水ケーキ2が潜熱回収型減圧乾燥機10内で十分に乾燥されるのに要する時間のことであるが、脱水ケーキ2の含水率・成分・量及び潜熱回収型減圧乾燥機10の乾燥能力などの条件により多様に変化する。
所定量の脱水ケーキ2が減圧タンク11内に収納されると、ホッパー12からの供給を停止し、減圧タンク11は密閉状態となる。
【0051】
(減圧開始工程)
減圧タンク11が密閉された後、熱交換器41aで予熱を開始し、その後、水蒸気圧縮機13が稼働し、減圧タンク11内の空気が排除される。これにより、減圧タンク11内が減圧されると共に、水蒸気圧縮機13内で加熱された空気が水蒸気凝縮機14を通る際に水蒸気凝縮機14を介して脱水ケーキ2を加熱する。これにより、例えば脱水ケーキ2の温度が約50℃となり、減圧タンク11内の気圧が約12kPaとなると、脱水ケーキ2内の水分の沸騰が促進される。
【0052】
(凝縮開始工程)
脱水ケーキ2内の水分が蒸発することにより生じた水蒸気は、水蒸気圧縮機13で圧縮され、昇温し、水蒸気圧縮機13に接続された水蒸気凝縮機14を通る際に凝縮して熱を放出する。これにより、減圧タンク11内の脱水ケーキ2を加熱する。
水蒸気凝縮機14内の圧力が一定圧力(例えば、2.0気圧)以上になると、レリーフ弁15が開放され、不凝縮性ガスを含む空気を自発的に大気中へ排出する。さらに、凝縮工程で生成される凝縮水はスチームトラップ16より自発的に排出される。
【0053】
(定常運転)
以上説明したように、ホッパー12による脱水ケーキ2の供給工程と、減圧タンク11内における脱水ケーキ2の水分の蒸発工程と、それにより生成された水蒸気の圧縮工程と、圧縮された水蒸気の凝縮工程と、凝縮工程において脱水ケーキ2を加熱する加熱工程と、不凝縮性ガス及び凝縮水の排出工程と、を継続することにより、減圧タンク11内の温度は徐々に上昇し、定格運転状態に達する。前記定格運転状態とは、例えば減圧タンク11内が90℃・70kPaで、飽和状態にある水蒸気凝縮機14内が例えば110℃・143kPaであることを指す。
【0054】
(潜熱回収型減圧乾燥機10の効果)
前述のように、潜熱回収型減圧乾燥機10が定常状態で運転されていることで、以下のような効果が得られる。
第1に、減圧タンク11で発生した水蒸気を圧縮したのち、減圧タンク11内に設けられた水蒸気凝縮器14において凝縮させるため、少ない圧縮仕事(電力)で、前記水蒸気の潜熱エネルギーを回生させることができる、という効果を奏する。
第2に、潜熱回収型減圧乾燥機10を運転するために要するエネルギーは主として水蒸気圧縮機駆動モータ13mを駆動するための電力である。また、水蒸気圧縮機駆動モータ13mを駆動するための電力は、乾燥に要する仕事のおよそ1/7程度となる。一方、水蒸気圧縮機駆動モータ13mを駆動するための電力は、廃熱回収装置30の発電機33から供給される。従って、例えば乾燥機に投入される脱水ケーキ2の含水率が80wt%前後であっても、焼却部20内で自立燃焼できる程度の含水率60wt%に至るまで脱水ケーキ2を乾燥させることができ、高含水有機廃棄物処理システム100の自立稼働を可能とする、という効果を奏する。
第3に、脱水ケーキ2を収納し乾燥させるための減圧タンク11が減圧状態となる。これにより、脱水ケーキ2の有する水分をより低い温度で蒸発させることができる。言い換えれば、低い温度(低質なエネルギー)で、水分の蒸発を促進することができる、という効果を奏する。
第4に、水蒸気凝縮機14だけでなく、後述する熱交換器41aによっても脱水ケーキ2が加熱される構成であるので、潜熱回収型減圧乾燥機10の迅速な立ち上げが可能となる、という効果を奏する。
【0055】
次いで、焼却部20における作動の説明を以下に示す。
【0056】
(供給工程)
潜熱回収型減圧乾燥機10で所定の時間、乾燥されて形成された乾燥ケーキ3は、ホッパー22を介して焼却部20の焼却炉21へ適宜供給される。
【0057】
(焼却工程)
焼却炉21に収納された乾燥ケーキ3は、焼却炉21内で燃焼される。ここで、本実施形態における高含水有機廃棄物処理システム100は潜熱回収型減圧乾燥機10を備え、これにより脱水ケーキ2は自立燃焼できる程度に至るまで乾燥されるので、焼却炉に外部より例えば化石系燃料などの補助燃料を投入する必要がない。
【0058】
また、焼却工程で発生した熱エネルギーを回収するために、焼却炉21には廃熱ボイラ31が設けられている。
【0059】
(不燃物排出工程)
脱水ケーキ2は、燃焼も蒸発もしない不燃性廃棄物4を含有している。このような不燃性廃棄物4を排出するための不燃性物排出口23が焼却炉21に設けられている。一方、不燃性廃棄物4は、不燃性物排出口23より排出された後、十分に粉砕され、例えば埋立処分される。
【0060】
次に、廃熱回収装置30における作動を説明する。
【0061】
(ボイラ工程)
焼却炉21において発生する熱エネルギーにより、廃熱ボイラ31が稼動し、高温水蒸気が生成される。
【0062】
(タービン工程)
廃熱ボイラ31で生成した水蒸気により、廃熱ボイラ31に接続された蒸気タービン32が稼動する。
【0063】
(発電工程)
蒸気タービン32に接続された発電機33により電力が生成される。生成された電力は水蒸気圧縮機駆動モータ13mに配給され、もって潜熱回収型減圧乾燥機10は脱水ケーキ2の有するエネルギーで駆動することになる。
また、生成された電力に余剰が生じれば、潜熱回収型減圧乾燥機10以外にも、例えば高含水有機廃棄物処理システム100の各設備や周辺地域への電力配給、電力の売買取引などに利用される。さらには、機械的脱水処理機50に利用しても良い。
【0064】
(復水工程)
蒸気タービン32より排気された水蒸気は、復水器34において水冷あるいは空冷により復水される。
【0065】
(当該廃熱回収装置の効果)
以上のように、ボイラ工程と、タービン工程と、発電工程と、復水工程と、を継続することにより、以下の効果を奏する。
すなわち、潜熱回収型減圧乾燥機10の水蒸気圧縮機駆動モータ13mを駆動するための電力源が、潜熱回収型減圧乾燥機10の乾燥対象である脱水ケーキ2を焼却する過程で発生した熱エネルギーから変換された電力エネルギーであるので、本実施形態に係る高含水有機廃棄物処理システム100が外部から電力上、独立して稼働することができる、という効果を奏する。
【0066】
さらに、後処理工程40における作動を説明する。
【0067】
(熱交換工程)
焼却炉21で発生する熱エネルギーの大半は廃熱ボイラ31で回収されるが、さらに熱交換器41においても回収される。焼却炉21または廃熱ボイラ31から排出された廃熱が、流路41b内を流れる例えば油などの熱媒体を、熱交換器41を介して加熱する。加熱された前記熱媒体は、潜熱回収型減圧乾燥機10内の熱交換器41aへ流入し、これにより脱水ケーキ2が加熱される。
したがって、ボイラ出口温度の高いシステム構成であっても、また、タービン出口蒸気温度の高いシステム構成(背圧タービン)であっても、含水率85wt%程度の脱水ケーキ2を焼却炉21で自立燃焼できる程度にまで乾燥させることができる。
【0068】
(排ガス処理工程)
熱交換器41を通過した排ガスは、排ガス処理器42において、化学反応を利用して有害物質を除去する技術・排ガスを焼却して無害化する技術・触媒を用いて有害物を除去する技術、などによって浄化される。
【0069】
(排ガス排出工程)
排ガス処理器42によって浄化された排ガスは、誘引ファン43により煙突44を介して、大気中に放出される。
【0070】
(当該後処理工程の効果)
以上説明したように、熱交換器41による熱交換工程と、排ガス処理器42による排ガス処理工程と、誘引ファン43及び煙突44による排ガス排出工程と、を継続して行うことにより、以下のような効果を奏する。
すなわち、熱交換器41で回収された熱エネルギーが、潜熱回収型減圧乾燥機10の減圧タンク11内に収納される脱水ケーキ2を加熱するのに利用されているので、ボイラ出口温度の高いシステム構成であっても、また、タービン出口蒸気温度の高いシステム構成(背圧タービン)であっても、含水率85wt%程度の脱水ケーキ2を焼却炉21で自立燃焼できる程度にまで乾燥させることができる。
【0071】
本実施形態に係る高含水有機廃棄物処理システム100では、蒸気タービン32で得られた運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、水蒸気圧縮機駆動モータ13mの駆動に利用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本願発明の技術的思考を逸脱しない範囲において自由に設計することができる。
【0072】
例えば、蒸気タービン32と水蒸気圧縮機13とを、歯車装置・クランク軸・カム軸・伝動ベルトなどの動力伝達装置を用いて機械的手段により接続しても良い。これにより、エネルギー変換時に伴うエネルギー損失を解消することができる。
【0073】
さらに、図2に示すように、復水器34の代わりに、低圧蒸気溜め34a及び熱交換器34b、復水タンク34cを備えても良い。これにより、蒸気タービン32から排気された蒸気の熱エネルギーを脱水ケーキ2の加熱に利用することができる。
【0074】
また、本実施例では、ボイラ・タービンを駆動し電力等を得るために乾燥ケーキから熱エネルギーを生成する手段として焼却炉を利用しているが、これに限らず、乾燥ケーキを乾留・ガス化し、可燃性ガスを生成するガス化炉を利用してもよい。
【0075】
さらには、ガス化炉で生成された可燃性ガスを用いて、ガスエンジン或いはガスタービンを駆動しても良い。この場合、潜熱回収型減圧乾燥機の水蒸気圧縮機は、ガスエンジン或いはガスタービンで回収されたエネルギー(例えば、電力または動力)により駆動する。
【0076】
また、生成された可燃性ガスか、ガスエンジン又はガスタービンか、またはガスエンジン又はガスタービンから排出された排ガスか、のうち少なくとも一より得られる廃熱を利用して、潜熱回収型減圧乾燥機10内の脱水ケーキ2を加熱しても良い。この場合、前記廃熱は適宜の熱交換器により回収され、加熱された熱媒体は潜熱回収型減圧乾燥機10内に設けられた適宜の熱交換器を介して脱水ケーキ2を加熱する。これにより、脱水ケーキ2の乾燥に要する時間を短縮することができる。
【0077】
なお、ガスエンジン又はガスタービンと、前記潜熱回収型減圧乾燥機とを、例えば歯車装置・クランク軸・カム軸・伝動ベルトなどの動力伝達装置を用いて機械的に接続しても良い。これにより、エネルギー変換時に伴うエネルギー損失を解消することができる。
【0078】
以上の構成により、本実施形態に係る高含水有機廃棄物処理システム100は、以下のような効果を奏する。
【0079】
高含水有機廃棄物(脱水ケーキ2)を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために圧縮機(水蒸気圧縮機13)を備える潜熱回収型減圧乾燥機10と、潜熱回収型減圧乾燥機10で脱水ケーキ2を乾燥することにより得られる乾燥ケーキ3を焼却する第一炉(焼却炉21)と、焼却炉21からの排熱を利用して高温蒸気を発生させるボイラ(廃熱ボイラ31)、及びこの廃熱ボイラ31からの蒸気で駆動するタービン(蒸気タービン32)とから成る廃熱回収装置30と、を備え、廃熱回収装置30で生成する電力または動力により潜熱回収型減圧乾燥機10の水蒸気圧縮機13を駆動させる。これにより、脱水ケーキ2は自立燃焼できる程度に乾燥されるので、脱水ケーキ2を焼却する焼却炉21に例えば化石系燃料などの補助燃料を投入する必要がない。これにより、処理費用を削減することができる。
また、潜熱回収型減圧乾燥機10の水蒸気圧縮機13を駆動するエネルギーを外部に依存せず、廃熱回収装置30で得られる電力又は動力により賄うことにより、高含水有機廃棄物処理システム100を自立運転させることができる。
【0080】
第一炉は、乾燥ケーキ3を酸化焼却させる焼却炉21でも良い。上記の構成により、脱水ケーキ2の有するエネルギーを熱エネルギーとして取り出すことができる。
【0081】
第一炉は、前記乾燥ケーキを乾留・ガス化し、生成した可燃性ガスを燃焼させるガス化炉でも良い。上記の構成により、前記高含水有機廃棄物の有するエネルギーを熱エネルギーとして取り出すことができる。
【0082】
脱水ケーキ2を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために水蒸気圧縮機13を備える潜熱回収型減圧乾燥機10と、潜熱回収型減圧乾燥機10で脱水ケーキ2を乾燥することにより得られる乾燥ケーキ3を乾留・ガス化し、可燃性ガスを生成するガス化炉と、前記可燃性ガスにより駆動されるガスエンジン又はガスタービンと、を備え、前記ガスエンジン又は前記ガスタービンで生成する電力または動力により、潜熱回収型減圧乾燥機10の水蒸気圧縮機13を駆動させる。
上記の構成により、脱水ケーキ2が十分に乾燥されることで、補助燃料を追加投入することなく、脱水ケーキ2を乾燥して得られた乾燥ケーキ3をガス化炉内において乾留・ガス化させることができる。
また、潜熱回収型減圧乾燥機10の水蒸気圧縮機13を駆動するエネルギーは、外部に依存せず、前記ガスエンジン又は前記ガスタービンで得られる電力又は動力により賄われるので、高含水有機廃棄物処理システム100を自立運転させることができる。
【0083】
焼却炉21又は廃熱回収装置30からの廃熱を回収する熱交換器41を備え、
熱交換器41で加熱された熱媒体により、脱水ケーキ2を加熱させても良い。
上記の構成により、熱交換器41によって回収された熱エネルギーが、脱水ケーキ2を加熱するのに利用されているので、ボイラ出口温度の高いシステム構成であっても、また、タービン出口蒸気温度の高いシステム構成(背圧タービン)であっても、含水率85wt%程度の前記高含水有機廃棄物を第一炉(燃焼炉21)で自立燃焼できる程度にまで乾燥させることができる。
【0084】
前記可燃性ガスか、前記ガスエンジンまたは前記ガスタービンか、あるいは前記ガスエンジンまたは前記ガスタービンから排出された排ガスか、のうち少なくとも一からの廃熱を回収する熱交換器を備え、前記熱交換器で加熱された熱媒体により、脱水ケーキ2を加熱させても良い。
上記の構成により、前記熱交換器によって回収された熱エネルギーが、脱水ケーキ2を加熱するのに利用されているので、ボイラ出口温度の高いシステム構成であっても、また、タービン出口蒸気温度の高いシステム構成(背圧タービン)であっても、含水率85wt%程度の前記高含水有機廃棄物を第一炉で自立燃焼できる程度にまで乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態に係る高含水有機廃棄物の処理システム100の処理フロー図。
【図2】本発明の一実施形態に係る高含水有機廃棄物の処理システム100の変形例の処理フロー図。
【符号の説明】
【0086】
10 潜熱回収型減圧乾燥機
13 水蒸気圧縮機
14 水蒸気凝縮器
21 焼却炉
30 廃熱回収装置
31 廃熱ボイラ
32 蒸気タービン
33 発電機
40 後処理工程
41 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高含水有機廃棄物を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために圧縮機を備える潜熱回収型減圧乾燥機と、
前記潜熱回収型減圧乾燥機で前記高含水有機廃棄物を乾燥することにより得られる乾燥ケーキを焼却する第一炉と、
前記第一炉からの排熱を利用して高温蒸気を発生させるボイラ、及びこのボイラからの蒸気で駆動するタービンとから成る廃熱回収装置と、
を備え、
前記廃熱回収装置で生成する電力または動力により、前記潜熱回収型減圧乾燥機の前記圧縮機を駆動させることを特徴とする、高含水有機廃棄物の処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記第一炉は前記乾燥ケーキを酸化焼却させる焼却炉であることを特徴とする、高含水有機廃棄物の処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記第一炉は、前記乾燥ケーキを乾留・ガス化し、生成した可燃性ガスを燃焼させるガス化炉であることを特徴とする、高含水有機廃棄物の処理システム。
【請求項4】
高含水有機廃棄物を減圧下で乾燥させ、乾燥によって発生した蒸気の潜熱を加熱に利用するために圧縮機を備える潜熱回収型減圧乾燥機と、
前記潜熱回収型減圧乾燥機で前記高含水有機廃棄物を乾燥することにより得られる乾燥ケーキを乾留・ガス化し、可燃性ガスを生成するガス化炉と、
前記可燃性ガスにより駆動されるガスエンジン又はガスタービンと、
を備え、
前記ガスエンジン又は前記ガスタービンで生成する電力または動力により、前記潜熱回収型減圧乾燥機の前記圧縮機を駆動させることを特徴とする、高含水有機廃棄物の処理システム。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記第一炉又は前記廃熱回収装置からの廃熱を回収する熱交換器を備え、
前記熱交換器で加熱された熱媒体により、前記高含水有機廃棄物を加熱させることを特徴とする、高含水有機廃棄物の処理システム。
【請求項6】
請求項4記載の高含水有機廃棄物の処理システムであって、
前記可燃性ガスか、前記ガスエンジンまたは前記ガスタービンか、あるいは前記ガスエンジンまたは前記ガスタービンから排出された排ガスか、のうち少なくとも一からの廃熱を回収する熱交換器を備え、
前記熱交換器で加熱された熱媒体により、前記高含水有機廃棄物を加熱させることを特徴とする、高含水有機廃棄物の処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−218383(P2006−218383A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33467(P2005−33467)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】