説明

高度な基板洗浄剤及び洗浄用システム

【解決手段】本発明の実施形態は、ウエハ表面、特にパターン化ウエハ(又は基板)の表面を洗浄する改良された洗浄剤、装置及び方法を提供する。本明細書で説明する洗浄剤、装置及び方法は、微細なフィーチャを備えるパターン化基板を、フィーチャに実質的に損傷を与えることなく洗浄できるという効果がある。洗浄剤は、1つ以上の高分子化合物からなるポリマーを備える。洗浄剤は、広い粘度範囲と広いpH範囲で、さまざまな種類の表面洗浄に用いることができる。洗浄剤は液相であり、デバイス・フィーチャの周囲で変形し、基板上の汚染物質を捕獲する。ポリマーは、基板表面に汚染物質が戻らないように、汚染物質を取り込む。洗浄装置は、広い範囲の粘度を有する洗浄剤を供給して、すすぐように設計される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路やメモリーセル等の半導体デバイスの製造において、一連の製造工程を実行することにより、半導体ウエハ(以下「ウエハ」)上にフィーチャ(特徴)が形成される。ウエハ(又は基板)には、多層構造の形態でシリコン基板上に形成される集積回路デバイスが含まれる。基板層には、拡散領域を備えるトランジスタ・デバイスが形成される。その上の層には、相互接続メタライズ線やビアがパターン形成され、トランジスタ・デバイスと電気的に接続されて、所望の集積回路デバイスが形成される。パターン形成された導電層は、誘電体により他の導電層から絶縁される。
【0002】
一連の製造工程の間、ウエハ表面はさまざまな種類の汚染物質に曝されている。基本的には、製造工程に存在するすべての物質が汚染源になり得る。たとえば、処理ガス、化学物質、蒸着物質及び液体等が汚染源となる可能性がある。このようにさまざまな汚染物質が粒子状物質の形でウエハ表面に堆積する可能性がある。粒子状汚染物質を除去しないと、汚染物質近傍のデバイスは所望の動作をしない可能性がある。デバイスの不具合を招く粒子状汚染物質の大きさは、ウエハ上に形成されるフィーチャの限界寸法と同じくらいの大きさ(又は、それ以上の大きさ)であり、ウエハ上のフィーチャに損傷を与えることなく小さな粒子状汚染物質を除去することは、フィーチャの大きさが微細化した先端技術のテクノロジーノードでは大変難しい。
【0003】
従来のウエハ洗浄方法は、機械的な力に頼ってウエハ表面から粒子状汚染物質を除去するものが多かった。フィーチャの大きさがどんどん小さくなり、より繊細になるにつれて、ウエハ表面に機械的な力を加えることによりフィーチャを損傷する確率が増大する。たとえば、高アスペクト比の微細なフィーチャは、洗浄に十分な機械的な力を加えると、倒壊や破壊されやすい。さらに洗浄に関する問題を複雑にしているのは、フィーチャの小型化と共に、粒子状汚染物質に関する許容可能な大きさも小さくなっていることである。かなり小さな大きさの粒子状汚染物質が、高アスペクト比のフィーチャにより囲まれたトレンチ等のウエハ表面上のアクセスが難しい領域に入り込んでしまう可能性がある。したがって、最新の半導体製造工程において効率的に損傷を与えることなく汚染物質を除去することは、ウエハ洗浄技術が進歩しても、相変わらず課題となっている。フラットパネル・ディスプレイの製造工程でも、上述した集積回路の製造工程と同様の問題が生じる。
【0004】
上述した課題を考慮して、パターン化ウエハ上のフィーチャに損傷を与えることなく汚染物質を効果的に除去できる、パターン化ウエハの洗浄剤、装置及び方法が求められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、ウエハ表面、特にパターン化ウエハ(又は基板)の表面を洗浄する改良された洗浄剤、装置及び方法を提供する。本明細書で説明する洗浄剤、装置及び方法は、微細なフィーチャを備えるパターン化基板を、フィーチャに実質的に損傷を与えることなく洗浄できるという効果がある。洗浄剤は、溶媒に溶解される1つ以上の高分子化合物からなるポリマーを備える。洗浄剤は液相であり、デバイス・フィーチャの周囲で変形するため、洗浄剤はデバイス・フィーチャに実質的に損傷を与えない。洗浄剤中のポリマーは、基板上の汚染物質を捕獲する。さらに、ポリマーは、基板表面に汚染物質が戻らないように、汚染物質を取り込む。洗浄剤は、親水性表面、疎水性表面及び疎水性部分と疎水性部分の両方が存在する表面を含むさまざまな種類の基板表面の洗浄に用いることができる。洗浄剤の組成範囲(フォーミュレーションウィンドウ)及び処理範囲(プロセスウィンドウ)は広く、調製した洗浄剤をさまざまな種類の基板表面の洗浄に用いることができる。洗浄装置は、さまざまな粘度を持つ洗浄剤を供給し、すすぐように設計されるものでもよい。
【0006】
ポリマーを架橋するようにしてもよい。ただし、ポリマーの硬度や剛性が高くなりすぎて、溶媒へのポリマーの溶解や、基板表面上のデバイス・フィーチャ周囲でのポリマーの変形を妨げる結果となることがないように、架橋の程度は、比較的限定される。
【0007】
本発明は、システム、方法及びチャンバ等、さまざまな態様で実施可能である。以下、本発明のいくつかの実施形態を説明する。
【0008】
一実施形態において、ICデバイスを規定するパターン化基板の表面上で用いられて、表面から汚染物質を除去する洗浄剤を提供する。洗浄剤は、溶媒と、1つ以上の高分子化合物からなるポリマーと、を備える。1つ以上の高分子化合物は溶媒に溶解される。可溶化されたポリマーは、ICデバイスを規定するパターン化基板の表面から少なくとも一部の汚染物質を捕獲し取り込む長いポリマー鎖を備える。洗浄剤は液相である。約100/秒未満の基準せん断速度で測定した洗浄剤の粘度は、約100cP〜約10,000cPの範囲である。パターン化基板を覆う洗浄剤に力が印加されると、パターン化基板の表面上のデバイス・フィーチャの周囲で洗浄剤が変形する。
【0009】
別の実施形態において、ICデバイスを規定するパターン化基板の表面上で用いられて、表面から汚染物質を除去する洗浄剤を提供する。洗浄剤は、溶媒と、洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変える緩衝剤と、を備え、緩衝剤と溶媒とは、洗浄溶液を形成する。洗浄剤は、また、洗浄溶液中に溶解される1つ以上の高分子化合物からなるポリマーを備える。洗浄剤はpHが約7〜約12の範囲である。可溶化されたポリマーは、ICデバイスを規定するパターン化基板の表面から少なくとも一部の汚染物質を捕獲し取り込む長いポリマー鎖を備える。洗浄剤は液相である。基準せん断速度で測定した洗浄剤の粘度は、約100cP〜約10,000cPの範囲である。パターン化基板を覆う洗浄剤に力が印加されると、パターン化基板の表面上のデバイス・フィーチャの周囲で洗浄剤が変形する。洗浄剤は、さらに、洗浄剤中でのポリマーの分散、及び、パターン化基板の表面の濡れに役立つ界面活性剤を備える。さらにまた、洗浄剤は、洗浄溶液中でイオン化して、洗浄剤の粘度を調整するイオン供給化合物を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面を参照する以下の詳細な説明により、本発明を容易に理解することができるであろう。以下の説明において、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0011】
【図1】本発明の一実施形態において、基板上の欠陥及びデバイス・フィーチャを示す図。
【0012】
【図2A】本発明の一実施形態において、パターン化基板上で洗浄剤を用いた場合の3つの応答曲線を示す図。
【0013】
【図2B】パターン化基板上で洗浄剤を用いた場合の3つの応答曲線を示す図。
【0014】
【図2C】本発明の一実施形態において、異なるテクノロジーノードに関する3つの損傷曲線と洗浄剤の力の強度曲線とを示す図。
【0015】
【図3A】本発明の一実施形態において、洗浄溶液中に溶解される大きな分子量をもつ高分子化合物からなるポリマーを含有する洗浄剤を示す図。
【0016】
【図3B】本発明の一実施形態において、図3Aの洗浄剤が汚染物質を捕獲する様子を示す図。
【0017】
【図3C】本発明の一実施形態において、パターン化ウエハ上に供給した図3Aの洗浄剤が基板表面から汚染物質を洗浄する様子を示す図。
【0018】
【図3D】本発明の別の実施形態において、パターン化ウエハ上に供給した図3Aの洗浄剤が基板表面から汚染物質を洗浄する様子を示す図。
【0019】
【図3E】本発明の一実施形態において、トレンチとビアとを備えるパターン化ウエハ上に供給した図3Aの洗浄剤が基板表面から汚染物質を洗浄する様子を示す図。
【0020】
【図3F】本発明の一実施形態において、洗浄溶液中に乳化されたゲル状ポリマー液滴を含有する洗浄剤を示す図。
【0021】
【図3G】本発明の一実施形態において、洗浄溶液中に懸濁されたゲル状ポリマー小塊を含有する洗浄剤を示す図。
【0022】
【図3H】本発明の一実施形態において、発泡洗浄剤を示す図。
【0023】
【図4A】本発明の一実施形態において、ポリアクリル酸(PAA)及びヒドロキシエチルセルロース(HEC)の分子量の関数として、粒子除去効率(PRE)を示すグラフ。
【0024】
【図4B】本発明の一実施形態において、ポリアクリルアミド(PAM)の分子量の関数としてPREを示すグラフ。
【0025】
【図4C】本発明の一実施形態において、塩化アンモニウムを用いて、ポリアクリルアミド(PAM)を用いて形成した洗浄剤の粘度を低下させる実験の結果を示すグラフ。
【0026】
【図4D】本発明の一実施形態において、異なるpH値及び異なるイオン強度を有する洗浄剤の粘度データを示すグラフ。
【0027】
【図5A】本発明の一実施形態において、基板から汚染物質を洗浄するシステムを示す図。
【0028】
【図5B】本発明の一実施形態において、上部処理ヘッドの下で下部処理ヘッドの上に配置される基板保持部を備えるチャンバの縦断面図。
【0029】
【図5C】本発明の一実施形態において、基板の上に配置される上部処理ヘッドと、上部処理ヘッドに対向して基板の下に配置される下部処理ヘッドとを示す図。
【0030】
【図5D】本発明の一実施形態において、基板洗浄システムを示す図。
【0031】
【図6A】本発明の一実施形態において、大きな分子量を有する高分子化合物からなるポリマーを含有する洗浄剤を用いて、基板を洗浄する洗浄装置と、洗浄剤をすすぎ落とすすすぎ装置とを示す図。
【0032】
【図6B】本発明の一実施形態において、大きな分子量を有する高分子化合物からなるポリマーを含有する洗浄剤を用いる洗浄・すすぎ装置を示す図。
【0033】
【図7A】本発明の一実施形態において、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーを含有する洗浄剤を調製する処理フロー図。
【0034】
【図7B】本発明の一実施形態において、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーを含有する洗浄剤を使用する処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ウエハ表面、特にパターン化ウエハ(又は基板)の表面を洗浄する洗浄剤、装置及び方法の実施形態を提供する。本明細書で説明する洗浄剤、装置及び方法は、微細なフィーチャを備えるパターン化基板を、フィーチャに実質的に損傷を与えることなく洗浄できるという効果がある。一実施形態において、洗浄剤は、溶媒に溶解される1つ以上の高分子化合物からなるポリマーを備える。洗浄剤は液相であり、デバイス・フィーチャの周囲で変形するため、洗浄剤はデバイス・フィーチャに実質的に損傷を与えないか、損傷を抑制することができる。洗浄剤のポリマーは、基板上の汚染物質を捕獲する。さらに、ポリマーは、汚染物質が基板表面に戻らないように、汚染物質を取り込む。洗浄剤は、親水性表面及び疎水性表面を含むさまざまな種類の基板表面の洗浄に用いることができる。洗浄剤の組成範囲(フォーミュレーションウィンドウ)及び処理範囲(プロセスウィンドウ)は広く、調製した洗浄剤をさまざまな種類の基板表面の洗浄に用いることができる。洗浄装置は、さまざまな粘度を持つ洗浄剤を供給し、すすぐように設計されるものでもよい。ポリマーは、長いポリマー鎖を形成し、さらに、このポリマー鎖が架橋してネットワーク(又はポリマーネットワーク)を形成するものでもよい。長いポリマー鎖及び/又はポリマーネットワークは、従来の洗浄剤と比較して、より優れた汚染物質捕獲及び取り込み能力を有する。
【0036】
別の実施形態において、洗浄剤は、また、洗浄剤のpHを変える緩衝剤を含有する。洗浄剤は、さらに、溶媒中でのポリマーの分散、及び、パターン化基板の表面の濡れに役立つ界面活性剤を含有する。さらにまた、洗浄剤は、洗浄剤の粘度を変えるイオン供給化合物を含有する。
【0037】
当業者には自明のように、このような詳細の一部又は全部を省略しても、本発明は実施可能である。また、本発明を不要に分かりにくくしないように、周知の処理工程は詳細には説明しない。
【0038】
本明細書で説明する実施形態は、高アスペクト比のフィーチャを一部に含有する可能性のあるパターン化ウエハ上のフィーチャに損傷を与えることなく、汚染物質を除去する効果がある洗浄剤及び洗浄方法を提供する。以下の実施形態では、半導体の洗浄用途に関する具体例を示すが、洗浄用途に関する説明を、基板からの汚染物質の除去を必要とするものであれば、いかなる技術にでも広げることができる。
【0039】
図1に、本発明の一実施形態において、基板本体101を備える基板100を示す。基板101上の表面105近傍には、デバイス構造102と粒子103とが存在する。粒子103は、たとえば、デバイス構造102の幅104と同じくらいの大きさの概算直径107を有する。
【0040】
65nm、45nm、32nm、22nm及び16nmのテクノロジーノードといった先端技術では、デバイス構造102の幅104は、65nm以下である。デバイス構造102の幅104のようなデバイス構造の幅は、チップの限られた表面積の中に、より多くのデバイスを配置可能とするために、各テクノロジーノードと共に、どんどん小さくなっている。一方、デバイス構造102の高さ106のようなデバイス構造の高さは、一般に、抵抗が大きくなることを考慮して、デバイス・フィーチャの幅と比例して小さくなっているわけではない。ポリシリコン線や金属相互接続等の導電性構造では、構造の幅及び高さを小さくすると、抵抗が増大し、かなりのRC遅延が生じ、導電性構造にとって大きすぎる熱が発生する恐れがある。この結果、構造102等のデバイス構造は、大きなアスペクト比を持つことになり、構造への力111の印加により損傷を受けやすくなる。一実施形態において、デバイス構造のアスペクト比は、たとえば、約2以上の範囲である。粒子103に力112を加えることにより、粒子103が除去されやすくなる。(図示しない)洗浄剤により力111及び112をデバイス構造102近傍の基板表面に加えることにより、粒子103等の表面粒子状物質を除去できる。一実施形態において、力111及び力112は、互いに位置的に近いため、その大きさも非常に近い。基板表面に加えられる力111及び112は、洗浄剤と基板表面との間の相対的な動きにより印加されるものでもよい。たとえば、洗浄剤を供給すること、又は、洗浄剤をすすぐことにより、印加される。
【0041】
デバイス構造102の幅104が小さくなり、比較的大きなアスペクト比を持つことから、デバイス構造102は、力111の印加により、又は、印加された力111によるエネルギーの蓄積により、破損しやすくなる。損傷したデバイス構造102は粒子源となり、生産量の減少につながる。さらに、損傷したデバイス構造102は、損傷のために動作不能となる可能性もある。
【0042】
図2Aは、本発明の一実施形態において、パターン化基板上で洗浄剤を用いた場合の3つの応答曲線を示す図である。曲線201は、基板表面上の洗浄剤による強度−エネルギー(力を印加した結果としての)曲線である。洗浄剤による洗浄エネルギーの強度はEpで最大になる。曲線202は、洗浄剤により基板上に印加されるエネルギーの関数として、粒子除去効率を示す曲線である。粒子除去効率は、Er近傍で最大になる。洗浄剤により加えられるエネルギーがErに達すると、洗浄剤が基板表面から粒子を除去する効率が最大になる。曲線203は、洗浄剤により基板表面上に印加されるエネルギーの関数として、洗浄剤によるデバイス構造の損傷量を示す曲線である。基板上に洗浄剤により印加されるエネルギーの上限ENよりも高いEsで、デバイス構造が損傷する。デバイス構造損傷曲線203は、洗浄剤によるパターン化基板上におけるエネルギー分布201の外側にあるため、パターン化基板上のデバイス構造は損傷しないと考えられる。粒子除去効率曲線202から、基板上の構造を損傷することなく、洗浄剤が基板表面から粒子(又は汚染物質)を除去できることが、わかる。
【0043】
図2Bは、パターン化基板上で洗浄剤を用いた場合の3つの応答曲線を示す図である。曲線201’は、基板表面上の洗浄剤による強度−エネルギー曲線である。洗浄剤による強度はEp’で最大になる。曲線202’は、粒子除去効率−基板上に印加されるエネルギー曲線である。粒子除去効率は、Er’近傍で最大になる。洗浄剤により加えられるエネルギーがEr’に達すると、洗浄剤が基板表面から粒子を除去する効率が最大になる。曲線203’は、洗浄剤により基板表面上に印加されるエネルギーの関数として、洗浄剤によるデバイス構造の損傷量を示す曲線である。洗浄剤によるエネルギーのエネルギー分布の上限EN'よりも低いEs’で、基板のデバイス構造が損傷する。デバイス構造損傷曲線203’は、洗浄剤によるパターン化基板上におけるエネルギー分布201’の内側にあるため、パターン化基板上のデバイス構造は洗浄剤により損傷を受け粒子(又は欠陥)を発生させる可能性がある。
【0044】
上述したように、洗浄工程でデバイス構造が損傷すると、デバイスが動作不能になり、損傷したデバイス構造が基板表面上にとどまり、デバイスの生産量を低下させる可能性がある。したがって、図2Bに示す洗浄曲線201’と損傷曲線203’の関係は望ましくなく、逆に、図2Aに示す洗浄曲線201と損傷曲線203の関係が望ましい。
【0045】
従来の基板洗浄装置及び方法は、ブラシとパッドを用いて、機械的な力により基板表面から粒子を除去するものであった。技術の進歩とともにデバイス構造の幅が狭くなりアスペクト比が高くなるにつれて、ブラシとパッドで機械的な力を印加する方法では、デバイス構造を損傷する可能性がある。さらに、粗いブラシやパッド面で、基板表面に引っ掻き傷をつける可能性もある。メガソニック洗浄や超音波洗浄等、キャビテーション気泡や音響流を利用して基板を洗浄する洗浄方法は、壊れやすい構造に損傷を与える可能性がある。噴流やスプレーを利用する洗浄方法では、膜の腐食を引き起こし、やはり、壊れやすい構造に損傷を与える可能性がある。
【0046】
図2Cに、本発明の一実施形態において、メガソニック洗浄等、従来の方法で用いられる従来の洗浄剤に関する洗浄曲線201”を示す。203I、203II及び203IIIは、それぞれ、90nm、65nm及び45nmの3つのテクノロジーノードにおける損傷曲線を示す。90nmのテクノロジーノードのパターン化基板に関する曲線203Iでは、損傷はエネルギーESIで始まる。ESIは、洗浄剤によるパターン化基板上のエネルギー分布の上限EN”よりも大きい。したがって、デバイス構造には損傷が生じない。図2Cの従来の洗浄剤は、EN”よりも大きいESIIで損傷が始まるため、65nmのテクノロジーノードでも同様に機能する。テクノロジーノードの幅がもっと小さくなると、もっと低いエネルギーレベルで損傷が始まる。テクノロジーノードが45nm以下になると、曲線201”で示す従来の洗浄剤及び洗浄方法では、デバイス構造に損傷を与える可能性がある。45nmのテクノロジーノードの場合、EN”よりも小さいESIIIで損傷が始まる。図2Cから、従来のテクノロジーノードならば機能する洗浄剤及び方法も、よりフィーチャの幅が狭い高度なテクノロジーノードでは機能しないことがわかる。したがって、デバイス構造に優しく、かつ、基板表面からの粒子の除去に有効な洗浄剤を用いる洗浄機構を見つけることが求められている。
【0047】
図3Aに、本発明の一実施形態において、溶媒305に溶解される大きな分子量をもつポリマー310を含有する液状洗浄剤300を示す。一実施形態において、液状洗浄剤300はゲルである。別の実施形態において、液状洗浄剤300はゾルである。また別の実施形態において、液状洗浄剤300は溶液である。基板表面上に粒子が存在する基板で液状洗浄剤300を用いることにより、基板表面上の粒子を除去することができる。一実施形態において、図3Bに示すように、除去された粒子320は、ポリマー310に付着する。ポリマーは大きな分子量を持つ。一実施形態において、ポリマーの分子量は、10,000g/molよりも大きい。ポリマーは、長いポリマー鎖を形成し、除去した粒子が基板表面に戻らないように、粒子を捕獲及び捕捉する。一実施形態において、ポリマー鎖は、ポリマーネットワークを形成する。一実施形態において、ポリマー310は酸性でも塩基性でもよい。ポリマー310を水に溶解させた溶液の水素イオン活量(pH)は、純水よりも低くても、高くてもよい。すなわち、7.0よりも低いpHでも高いpHでもよい。別の実施形態において、洗浄剤300は、洗浄剤のpHを調整して維持する役割を果たす緩衝剤を含有する。
【0048】
溶媒に溶解されるポリマーは、軟質ゲルでもよく、また、溶媒に懸濁されるゲル状液滴となるものでもよい。一実施形態において、基板表面上の汚染物質は、イオン力、ファンデルワールス力、静電気力、疎水性相互作用、立体相互作用、又は、汚染物質の近傍にポリマー分子が近づいた場合には化学結合により、溶媒和状態のポリマーに付着する。ポリマーは、汚染物質を捕獲して取り込む。
【0049】
前述したように、ポリマーは、溶媒305中でネットワークを形成可能である。ポリマーは液状溶媒305中で分散する。液状洗浄剤300は、洗浄工程で、基板上のデバイス構造に優しく作用する。図3Cの洗浄容積330に示すように、洗浄剤300に含有されるポリマー310は、デバイス構造302上に強い力がかかるような衝撃を与えることなく、構造302等のデバイス構造の周りを滑らかに動く。これに対して、上述したような硬いブラシやパッドは、デバイス構造に強く接触して、デバイス構造を損傷する可能性がある。メガソニック洗浄におけるキャビテーションにより生成する力(又はエネルギー)や液体のジェットスプレー流による高速の衝撃でも、構造を損傷する恐れがある。2種類以上のポリマーを溶媒に溶解させて、洗浄剤を調整するようにしてもよい。たとえば、洗浄剤中のポリマーが「A」高分子化合物と「B」高分子化合物とを含むものでもよい。
【0050】
大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーは、長いポリマー鎖を形成し、さらに、架橋してポリマーネットワークを形成するものでもよいし、架橋しないものでもよい。前述したように、ポリマーを架橋するようにしてもよい。ただし、ポリマーの硬度や剛性が高くなりすぎて、溶媒へのポリマーの溶解や、基板表面上のデバイス・フィーチャ周囲でのポリマーの変形を妨げる結果となることがないように、架橋の程度は、比較的限定される。
【0051】
図3Cに示すように、ポリマー310は、汚染物質320I、320II、320III、320IV等の、パターン化(又は非パターン化)基板表面上の汚染物質に接触して、汚染物質を捕獲する。汚染物質は、ポリマーに捕獲されると、ポリマーに付着して、洗浄剤中で懸濁される。図3Cに、汚染物質320III及び320IVが、ポリマー鎖311I及び311IIにそれぞれ付着される様子を示す。また、汚染物質320I及び320IIは他のポリマー鎖に付着されている。あるいは、各汚染物質320I、320II、320III及び320IVが複数のポリマー鎖に付着されるものでもよいし、あるいは、ポリマーネットワークに付着されるものでもよい。基板表面から洗浄剤300中のポリマーをすすぐ等により取り除くと、ポリマー鎖と共に、基板表面からポリマー鎖に付着した汚染物質も除去される。
【0052】
図3Cに示す実施形態では、デバイス構造302は1つだけであるが、本発明の一実施形態において、図3Dに示す基板301のように、基板上で、302I、302II、302III及び302IV等、互いに隣接する複数のデバイス構造がクラスター構造を形成するものでもよい。図3Cの場合と同様に、洗浄容積330’において、液状洗浄剤300は、洗浄工程で、基板上のデバイス構造に優しく作用する。洗浄剤300に含有されるポリマー310は、デバイス構造上に強い力がかかるような衝撃を与えることなく、デバイス構造302I、302II、302III及び302IVの周りを滑らかに動く。図3Cでポリマー鎖に汚染物質320I、320II、320III及び320IVが付着するのと同様に、ポリマー鎖に汚染物質325I、325II、325III及び325IVが付着する。
【0053】
図3C及び図3Dに示すような線形フィーチャを備える基板の洗浄に加えて、他のパターンのフィーチャを備える基板も、同様に、本発明で説明する洗浄剤及び洗浄方法により洗浄可能である。図3Eに、本発明の一実施形態において、ビア315とトレンチ316とを形成する構造302’を備える基板301’を示す。図3C及び図3Dを参照して上述したような機構により、洗浄剤300により汚染物質326I、326II、326III及び326IVを除去することができる。
【0054】
前述したように、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーが溶媒中に分散される。大きな分子量を有する高分子化合物の例としては、以下に限定されるものではないが、ポリアクリルアミド(PAM)、Carbopol940(登録商標)やCarbopol941(登録商標)等のポリアクリル酸(PAA)、ポリ−(N,N−ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリメタクリルアミド(PMAAm)等のアクリルポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)等のポリイミン及び酸化物、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンスルホン酸(PESA)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)等のビニルポリマー、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース誘導体、アカシアゴム(アラビアゴム)、寒天及びアガロース、ヘパリン、グアーガム、キサンタンゴム等の多糖類、及び、卵白、コラーゲン、グルテン等のタンパク質が挙げられる。ポリマー構造の例をいくつか挙げると、ポリアクリルアミドは、アクリルアミド・サブユニットから形成されるアクリル酸系ポリマー(-CH2CHCONH2-)nである。ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール・サブユニットから形成されるポリマー(-CH2CHOH-)mである。ポリアクリル酸は、アクリル酸サブユニットから形成される(-CH2=CH-COOH-)oである。ここで、n、m、oは整数である。大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーは、水溶液に可溶なものでもよいし、高い吸水性を備え、水溶液中で軟質ゲルを形成するものでもよい。前述したように、一実施形態において、1つ以上の高分子化合物の分子量は、10,000g/molよりも大きい。別の実施形態において、1つ以上の高分子化合物の分子量は、100,000g/molよりも大きい。別の実施形態において、1つ以上の高分子化合物の分子量は、約0.01Mg/mol〜約100Mg/molの範囲である。別の実施形態において、1つ以上の高分子化合物の分子量は、約0.1Mg/mol〜約50Mg/molの範囲である。また別の実施形態において、1つ以上の高分子化合物の分子量は、約1Mg/mol〜約20Mg/molの範囲である。さらに別の実施形態において、1つ以上の高分子化合物の分子量は、約15Mg/mol〜約20Mg/molの範囲である。一実施形態において、洗浄剤におけるポリマーの重量パーセントは、約0.001%〜約20%の範囲である。別の実施形態において、重量パーセントは、約0.001%〜約10%の範囲である。別の実施形態において、重量パーセントは、約0.01%〜約10%の範囲である。また別の実施形態において、重量パーセントは、約0.05%〜約5%の範囲である。ポリマーは、溶媒に溶解されるものでも、溶媒中で完全に分散されるものでも、溶媒内で液滴を形成する(乳化する)ものでも、あるいは、溶媒内で小塊(又は塊)を形成するものでもよい。
【0055】
あるいは、ポリマーは、2つ以上の単量体種から得られる共重合体でもよい。たとえば、共重合体は、PAM及びPAAモノマーから形成されるPAM90%及びPAA10%の共重合体でもよい。共重合体成分の濃度はこれに限られるものではない。さらに、ポリマーは、2種類以上のポリマーの混合物でもよい。たとえば、溶媒中で、PAMを90%、PAAを10%混合する等、2種類のポリマーを混合して、ポリマーを形成するようにしてもよい。洗浄剤に共重合体又は異なるポリマーの混合物を用いることにより、異なるポリマーの持つ異なる強度を利用して、最適な洗浄結果が得られるという効果がある。
【0056】
図3A〜図3Cに示す実施形態において、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーは、溶媒中で均一に溶解される。溶媒は、テレピン油等の非極性溶媒でもよいし、水(H2O)等の極性溶媒でもよい。溶媒の他の例としては、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。一実施形態において、溶媒は、2つ以上の液体の混合物である。PAM、PAA又はPVA等、極性を持つポリマーの場合には、水(H2O)等の極性溶媒が溶媒として適している。
【0057】
洗浄剤に用いられるポリマーは、酸性でも塩基性でもよい。たとえば、アクリル酸ユニットを含有するポリマーは酸性であり、PAAと水との混合物のpH値は約3である。塩基性ポリマーの例としては、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)等の第4級アンモニウム塩やポリエチレンイミン(PEI)等の第3級アミンを含有するポリマーが挙げられる。50重量パーセントのPEIと水との混合物のpH値は約12である。
【0058】
洗浄剤の特性を調整する(変化させる)目的で、洗浄剤に添加剤を混合するようにしてもよい。ポリマーを加えて洗浄剤を調製する前に、溶媒に添加剤を混合するようにしてもよい。たとえば、添加剤は、洗浄剤の水素イオン指数(pH)を調節する弱酸や弱塩基等の緩衝剤でもよい。緩衝剤として利用可能な弱酸の例としてクエン酸が挙げられる。また、緩衝剤として利用可能な弱塩基の例として水酸化アンモニウム(NH4OH)が挙げられる。
【0059】
洗浄剤のpH値は約1〜約12の範囲であればよい。一実施形態において、(銅と金属間誘電体の蒸着前の)フロントエンド工程では、洗浄剤は塩基性である。一実施形態において、フロントエンド工程における洗浄剤のpH値は約7〜約12の範囲である。別の実施形態において、フロントエンド工程における洗浄剤のpH値は約7〜約10の範囲である。一実施形態において、(銅と金属間誘電体の蒸着後の)バックエンド工程では、洗浄剤は、わずかに塩基性でも、中性でも、あるいは、酸性でもよい。バックエンド工程における相互接続に用いられる銅は、緩衝剤として水酸化アンモニウムを含有する洗浄剤とは相性が悪い。水酸化アンモニウムは銅と相互作用して、銅を溶解させる。一実施形態において、バックエンド工程におけるpH値は約1〜約7の範囲である。別の実施形態において、バックエンド工程におけるpH値は約1〜約5の範囲である。また別の実施形態において、バックエンド工程におけるpH値は約1〜約2の範囲である。ただし、用いられる緩衝剤が水酸化アンモニウムでなければ、バックエンド工程におけるpHの範囲を広くすることができる。一実施形態において、バックエンド工程におけるpH値は約1〜約12の範囲である。
【0060】
別の実施形態において、洗浄剤の添加剤は、洗浄剤中でポリマーを分散させるのに役立つ硫酸アンモニウムドデシル(ADS)等の界面活性剤を含む。一実施形態において、界面活性剤は、基板表面上での洗浄剤の濡れにも役立つ。基板表面上での洗浄剤の濡れにより、基板表面及び基板表面上の粒子と洗浄剤を密接に接触させることができる。濡れにより、洗浄効率が向上する。他の添加剤を加えて、表面の濡れ、粘度、基板洗浄、すすぎ、及びその他関係する特性を向上させるようにしてもよい。
【0061】
緩衝洗浄溶液(又は単に「洗浄溶液」)の例としては、0.44wt%のNH4OHと0.4wt%のクエン酸等の塩基性及び酸性緩衝剤を溶液中に含有する水酸化アンモニウム緩衝液(BAS)が挙げられる。あるいは、BAS等の緩衝溶液に、1wt%のADS等、所定量の界面活性剤を含有させて、洗浄溶液中にポリマーを懸濁および分散させるようにしてもよい。1wt%のADS、0.44wt%のNH3及び0.4wt%のクエン酸を含有する溶液を溶液「100」と称する。溶液「100」及びBASのpH値はいずれも約10えある。
【0062】
図3A〜図3Eに示す実施形態の液状洗浄剤300では、大きな分子量を有するポリマー310が洗浄溶液305中に均一に分散されている(又は溶解されている)。前述したように、これらの実施形態では、大きな分子量を有するポリマーが、水溶性の洗浄溶液中に均一に溶解されている。ポリマーは、高い吸水性を備え、水溶液中で軟質ゲルを形成するものでもよい。図3Fに、洗浄溶液305’中にゲル状ポリマー液滴340を乳化させた液状洗浄剤300’の実施形態を示す。洗浄溶液305’は、さらに、小さな分離ポリマー306も含有する。ADS等の界面活性剤を洗浄溶液に加えて、洗浄溶液305’中でゲル状ポリマー液滴340を均一に分散させるようにしてもよい。図3Fに示す実施形態では、洗浄溶液305’とゲル状ポリマー液滴340との間に境界341が存在する。ゲル状ポリマー液滴340は、柔らかく、基板表面上のデバイス・フィーチャの周囲で変形する。ゲル状ポリマー液滴340はデバイス・フィーチャの周囲で変形するため、デバイス・フィーチャ上に大きなエネルギー(又は力)を加えて、デバイス・フィーチャを損傷させることはない。一実施形態において、液滴の直径は、約0.1μm〜約100μmの範囲である。
【0063】
別の実施形態において、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物からなるポリマーは、図3Gに示すように、洗浄溶液に溶解して、洗浄溶液305”との間に明確な境界を形成しないゲル状ポリマー小塊(又は塊)350を形成する。洗浄溶液305”は、さらに、小さな分離ポリマー306も含有する。ゲル状ポリマー小塊350は、柔らかく、基板表面上のデバイス・フィーチャの周囲で変形し、基板表面上のデバイス・フィーチャに、デバイス・フィーチャを損傷する可能性のあるような大きなエネルギー量(又は力)を加えることはない。一実施形態において、ポリマー小塊の直径は、約0.1μm〜約100μmの範囲である。
【0064】
上述した洗浄剤は、すべて液相である。別の実施形態において、図3Hに示すように、上述した液状洗浄剤300、300’及び300”等の洗浄剤を攪拌して、N2や不活性ガス等のガス又は空気等の混合ガスを加えて、洗浄剤を泡状にしてもよい。図3Hに示す洗浄剤300*は、洗浄溶液305中に分散された気泡360を含有する。ポリマー310も、洗浄溶液305中で分散される。別の実施形態において、図3Hに示すポリマー310は、図3F及び図3Gで説明したようなポリマー液滴340又はポリマー小塊350でもよい。洗浄剤300*は気相と液相とを有する。
【0065】
上述した洗浄剤は、さまざまな機構で、基板表面上に供給可能である。図2A及び図2Bで前述したように、パターン化基板上のデバイス・フィーチャに損傷を与えないためには、パターン化表面上に洗浄剤が印加するエネルギーは、デバイス・フィーチャの損傷を防ぐ最小の力Es又はEs’未満とする必要がある。前述した液状洗浄剤300、300’、300”及び300*等の洗浄剤は、液相又は気相/液相のいずれかである。液体及び泡は、基板表面上を流れ、基板表面上のデバイス・フィーチャの周囲で変形する(又は周囲を流れる)したがって、基板表面上のデバイス・フィーチャに大きな力を加えることなく、パターン化基板上で洗浄剤を用いることができる。
【0066】
表1に、BAS中におけるCarbopol941(登録商標)PAAの重量パーセントをさまざまに変えた場合の粘度、すすぎ時間及び粒子除去効率(PRE)の比較を示す。液状洗浄剤の粘度は、約1×10-6/秒〜約1×105/秒のようなせん断速度の範囲で測定するものでもよい。一実施形態において、液状洗浄剤の粘度を、約100/秒未満の基準せん断速度で測定するようにしてもよい。別の実施形態において、約10/秒未満の基準せん断速度で粘度を測定するようにしてもよい。また別の実施形態において、約1/秒未満の基準せん断速度で粘度を測定するようにしてもよい。表1の粘度データは、500/秒の歪み速度で測定したものである。すすぎ時間は、基板表面から洗浄剤をすすぎ落すのにかかる時間を測定したものである。PREの測定には、さまざまな大きさの窒化ケイ素粒子を故意に堆積させた粒子モニター基板を用いた。この実験では、90nm〜1μmの範囲の粒径の粒子のみを測定した。PREは、以下の式(1)により算出した。
【0067】
【数1】

【表1】

【0068】
表1の洗浄剤を、市販のCarbopol941(登録商標)PAAに上述のBASを混合して調製した。使用したCarbopol941(登録商標)PAAの分子量は1,250,000(1.25M)g/molであった。表1の結果からわかるように、約0.5%のポリマー濃度までは、Carbopol941(登録商標)PAAの重量パーセントの増加と共に、PREも増加した。0.5%のポリマー濃度の場合と1%のポリマー濃度の場合で、PREに有意な差は見られなかった。また、この結果からわかるように、ポリマーの重量パーセントの増加と共に、洗浄剤の粘度も、増加した。さらに、洗浄剤をすすぎ落すのにかかる時間であるすすぎ時間は、洗浄剤の粘度の増加と共に、増大した。基板のすすぎには、水を用いた。
【0069】
表2に、さまざまな洗浄剤に関して、洗浄剤中に粒子を取り込み又は懸濁させる能力の比較を示す。洗浄剤内には、窒化ケイ素粒子を故意に加えた。窒化ケイ素粒子を加えた後、清浄な基板上に洗浄剤を供給した。次に、洗浄剤を基板からすすぎ落して、基板上に残った(窒化ケイ素)粒子の数を測定した。
【0070】
【表2】

【0071】
表2の実験では、5種類の洗浄剤(溶媒又は溶液)を用いた。第1の洗浄剤としてDIW(脱イオン水)を単独で用いた。第2の洗浄剤として、水酸化アンモニウムを加えてpH値が10より大きくなるように調整したDIWを用いた。第3の洗浄剤として、ADSを1wt%加えたBASである「100」溶液を用いた。上述したように、「100」溶液のpH値は10であった。第4の洗浄剤として、0.2wt%のCarbopol940(登録商標)PAAを溶解させた「100」溶液を用いた。Carbopol940(登録商標)PAAの分子量は4M(400万)g/molであった。第5の洗浄剤として、0.5wt%のPAMを溶解させた「100」溶液を用いた。PAMの分子量は、18Mg/molであった。第5の洗浄剤のpH値は約10であった。これら5種類の洗浄剤に2種類の量1X及び50Xの窒化ケイ素粒子を混合した。50Xの窒化ケイ素粒子の数は1Xの窒化ケイ素粒子の数の50倍である。1Xの窒化物粒子は、0.00048重量%であり、50Xの窒化物粒子は、0.024重量%である。
【0072】
この結果からわかるように、DIWの窒化ケイ素粒子を懸濁させる能力は高くなく、基板表面上には、多量の窒化ケイ素粒子が残った(飽和状態)。表2で用いる「飽和状態」という表現は、粒子(又は欠陥)の数が75,000より大きな数であることを示す。これに対して、0.2%のCarbopol940(登録商標)PAAの「100」溶液と0.5%のPAMの「100」溶液では、洗浄剤中に窒化ケイ素粒子を懸濁させる能力が高かった。特に、0.5%のPAMの「100」溶液では、洗浄剤に加えた窒化ケイ素粒子を取り込む又は懸濁させる能力が高かった。この場合、洗浄剤に加えた窒化ケイ素(Si3N4)粒子のうち、基板表面上に残った窒化ケイ素粒子の数は1Xで53個、50Xで104個と少数であった。
【0073】
洗浄剤中で用いられるポリマーの分子量は、粒子除去効率(PRE)に影響を与える。図4Aは、1%(重量%)のPAAを含有させた「100」溶液と1%(重量%)のヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含有させた「100」溶液を洗浄剤として用いた場合の、基板上における90nmより大きな窒化ケイ素粒子のPREを、これら2種類のポリマー(PAA及びHEC)の分子量の関数として示すグラフである。図4Aのデータから、HECの分子量が100,000g/mol〜1M(すなわち、1,000,000)g/molの範囲では、分子量の増加につれて、PREが増加することがわかる。また、図4Aのデータから、PAEの分子量が500,000g/mol〜1Mg/molの範囲では、分子量の増加につれて、PREが増加することがわかる。ただし、PAAの分子量が1Mg/mol〜1.25Mg/molの範囲では、PREにほとんど変化はみられなかった。図4Bは、1%(重量%)のPAMを含有させた「100」溶液を洗浄剤として用いた場合の、基板上における90nmより大きな窒化ケイ素粒子のPREを、PAMの分子量の関数として示すグラフである。図4Bのデータから、PAMの分子量が500,000g/mol〜18Mg/molの範囲では、分子量の増加につれて、PREが増加することがわかる。これらのグラフのデータは、PREへの分子量の影響を示すものである。
【0074】
上述したように、洗浄溶液の粘度は、基板表面から洗浄剤を除去するすすぎ時間に影響を与えると考えられる。図4Cに、脱イオン(DI)水に0.2wt%〜1wt%のPAMを溶解させた洗浄液に塩化アンモニウム(NH4Cl)を加えた場合の結果を示す。PAMの分子量は18Mg/molであった。添加した塩化アンモニウムは、洗浄溶液中でイオン化して、イオン量を増大させ、洗浄剤のイオン強度を増加させる。イオン強度が増加すると、洗浄剤の粘度が減少する。たとえば、1.5wt%の塩化アンモニウムは、1wt%のPAM含有洗浄剤の粘度を約100cP(センチポイズ)から60cPに減少させることができる。1.5wt%の塩化アンモニウムは、また、0.5wt%のPAM含有洗浄剤の粘度を約50cPから約25cPに減少させることができる。粘度は、500/秒のせん断速度で測定した。粘度が低くなると、基板表面から洗浄剤をすすぎ落すのにかかる時間も短くなる。
【0075】
粘度は、洗浄剤のすすぎ時間に影響を及ぼすだけではなく、基板表面への洗浄剤の供給方法にも影響する。粘度の低い洗浄剤と比べて、粘度の高い洗浄剤では、供給するための開口部を大きくする必要がある。また、粘度の高い洗浄剤のすすぎ時間は、より激しくすすぐことにより短縮できる。
【0076】
表3に、4種類の組成の洗浄剤に関するPRE、pH値及びイオン強度データの比較を示す。4種類の洗浄剤すべてで、ポリマーとして、アクリルアミドとアクリル酸の共重合体を用いた。この共重合体を「100」溶液に混合した。水酸化アンモニウムを用いて、洗浄剤のpH値を調節した。クエン酸を用いて、洗浄剤のイオン強度を変化させた。緩衝剤(水酸化アンモニウム)とイオン強度調節剤(クエン酸)に加えて、表3に示す洗浄剤には、さらに、少量の硫酸アンモニウムドデシルを界面活性剤として加えて、洗浄剤中におけるポリマーの溶解度を向上させ、さらに、基板表面上における洗浄剤の濡れを向上させた。共重合体におけるアクリル酸の重量パーセントは約50%未満であった。
【0077】
【表3】

【0078】
表3のデータに示すように、4種類の洗浄剤すべてが、優れたPREを示した。表3の洗浄剤のpH値は、約7〜約10の範囲であった。洗浄剤のイオン強度は、約0.15X〜約1Xであった。ここでXは所定値を示す。0.15Xのイオン強度の洗浄剤の粘度は、1Xのイオン強度の洗浄剤の粘度の5倍よりも大きな粘度であった。表3に示す洗浄剤の粘度データを図4Dに示し、以下で説明する。広範囲のpH値、イオン強度及び粘度に対して、洗浄剤は非常に優れた洗浄効率を示した。デバイス製造のさまざまな処理ステップの間、基板表面は異なった状態になり、広範囲に及ぶ処理条件を必要とするため、このように処理範囲(プロセスウィンドウ)が広いことが重要である。たとえば、表3の実験で用いたウエハは、自然酸化物の薄層で覆われたシリコンから形成される。このようなウエハの表面は親水性である。親水性の基板表面の場合には、洗浄剤の組成範囲(フォーミュレーションウィンドウ)又は処理範囲(プロセスウィンドウ)は広くなる。しかし、このようなウエハをHF溶液で処理すると、表面は疎水性になる。表4に、3種類の異なる組成の洗浄剤を用いて基板を処理した後の疎水性ウエハ表面上における粒子の計数データを示す。表4の洗浄剤を調製するために用いた化合物(原料)は、表3で用いたものと同じである。表4の実験では、ウエハを各組成物に接触させた後、接触の結果として増大した粒子欠陥を市販の光散乱装置で測定して、加算数として分類した。加算された粒子欠陥数が少ないほど、処理が成功していることを示す。表4において、95%CIは、95%の信頼区間を示す。95%CIのデータを得るために、数多くのウエハを処理した。
【0079】
【表4】

【0080】
表4のデータから、疎水性表面に関しては、洗浄剤のイオン強度とpHとが低いほど、良好な粒子加算結果が得られることがわかる。表3と表4との結果からわかるように、異なる基板表面は、異なる組成の洗浄剤を必要とする。また、用途によっては、イオン強度が低い方が良好な洗浄結果が得られる。このような用途としては、フォトレジスト、ポリシリコン、低誘電率誘電体、又は低誘電率多孔質誘電体等の疎水性表面の処理が挙げられる。イオン強度が低いほど洗浄剤の粘度が増大するため、上述したように、より高い粘度を有する洗浄剤を用いる洗浄システム及び洗浄方法が必要になる。図4Dに、本発明の一実施形態において、さまざまなpH値とさまざまなイオン強度とを有する上述の洗浄剤の粘度データを示す。このデータから、イオン強度が低いほど粘度が高くなることがわかる。洗浄剤の粘度は、0.1/秒のせん断速度で測定した。たとえば、約1/秒未満(<1/s)で測定された粘度は、低いせん断速度で測定したと考えられる。標準的なイオン強度(1X)の場合、粘度は洗浄剤のpH値と共に増加する。一方、低いイオン強度(0.15X)の場合には、粘度はpH値と共に低下する。
【0081】
一実施形態において、ポリマーを含有する洗浄剤の低せん断速度における粘度は、10cP〜約100,000cPの範囲である。別の実施形態において、ポリマーを含有する洗浄剤の低せん断速度における粘度は、100cP〜約10,000cPの範囲である。前述したように、装置の設計と処理条件とを変えることにより、洗浄剤の粘度の処理範囲(プロセスウィンドウ)を広くすることができる。たとえば、洗浄剤の供給開口部を大きくすることにより、妥当な速度で基板上に洗浄剤を加える(又は供給する)ことができる。さらに、より激しいすすぎを行なうことにより、高い粘度の洗浄剤のすすぎ時間を短くするように、すすぎ液を供給して、除去する装置の設計を行なうようにしてもよい。
【0082】
図5Aに、本発明の一実施形態において、基板から汚染物質を洗浄するシステムを示す。システムは、周壁501により規定されるチャンバ500を備える。チャンバ500は、入口モジュール519と、処理モジュール521と、出口モジュール523と、を備える。基板保持部503と対応する駆動装置とにより、矢印507で示すように、基板502は、入口モジュール519から、処理モジュール521を通り、出口モジュール523まで直線的に移動する。駆動レール505Aとガイドレール505Bとは、基板保持部503の直線的な動きを制御するように作用し、駆動レール5105Aとガイドレール505Bとにより規定される直線的な通路に沿って、基板502は実質的に水平な姿勢に保持される。
【0083】
入口モジュール519はドア・アセンブリ513を備え、基板取扱装置により、基板502は、ドア・アセンブリ513からチャンバ500内に挿入される。入口モジュール519は、さらに、基板リフター509を備え、入口モジュール519内で基板保持部503の中心が基板リフター509上にきた場合に、基板リフター509は基板保持部503の開口領域を通って鉛直方向に移動する。基板リフター509は、上昇して、ドア・アセンブリ513からチャンバ500内に挿入された基板502を受け取る。その後、基板リフター509は下降して、基板502を基板保持部503上に配置する。
【0084】
処理モジュール521は上部処理ヘッド517を備え、上部処理ヘッド517は、基板502を載置した基板保持部503が上部処理ヘッド517の下を移動する間に、基板502の上面を処理するように配置される。処理モジュール521は、さらに、上部処理ヘッド517とは逆に、基板保持部503の直線的な移動通路の下に配置される下部処理ヘッド518(図5B参照)を備える。下部処理ヘッド518は、基板保持部503が処理モジュール521内を通って移動する際に、基板502の下面を処理するように構成及び配置される。上部処理ヘッド517及び下部処理ヘッド518は、各々、先端部541と後端部543とを備え、処理作業の間、基板保持部503は、先端部541から後端部543に向かう直線的通路に沿って基板502を移動させる。以下に詳述するように、本発明では、上部処理ヘッド517及び下部処理ヘッド518は、ぞれぞれ、基板502の上面と下面の多段洗浄処理を実行するように構成される。
【0085】
一部の実施形態では、基板保持部503の直線的な移動通路の上に配置される上部処理ヘッド517と共に1つ以上の追加処理ヘッドを用いるようにしてもよい、及び/又は、基板保持部503の直線的な移動通路の下に配置される下部処理ヘッド518と共に1つ以上の追加処理ヘッドを用いるようにしてもよい。たとえば、基板502上で乾燥処理を行なう処理ヘッドを、それぞれ、上部処理ヘッド517及び下部処理ヘッド518の後端部の後に配置するようにしてもよい。
【0086】
基板保持部503は、処理チャンバ521内を通って移動した後、出口モジュール515に到達する。出口モジュール515は、基板リフター511を備え、出口モジュール511内で基板保持部503の中心が基板リフター511上にきた場合に、基板リフター511は基板保持部503の開口領域を通って鉛直方向に移動する。基板リフター511は、上昇して、基板保持部503からチャンバ500からの回収位置まで基板502を持ち上げる。出口モジュール511は、さらに、ドア・アセンブリ515を備え、基板取扱装置により、基板502はドア・アセンブリ515を介してチャンバ500から回収される。
【0087】
図5Bは、本発明の一実施形態において、上部処理ヘッド517の下で下部処理ヘッド518の上に配置される基板保持部503を備えるチャンバ500の縦断面図である。上部処理ヘッド517は、駆動レール505Aとガイドレール505Bとに取り付けられ、上部処理ヘッド517の鉛直方向の位置が決まれば、駆動レール505Aの鉛直方向の位置とガイドレール505Bの鉛直方向の位置とが決まり、さらに、基板保持部503とそれに載置される基板502の鉛直方向の位置が決まる。
【0088】
基板保持部503により基板502が上部処理ヘッド517の下を通過する際に、上部処理ヘッド517は基板502の上面を洗浄処理する。同様に、基板保持部503により基板502が下部処理ヘッド518の上を通過する際に、下部処理ヘッド518は基板502の下面をすすぎ処理する。さまざまな実施形態において、処理モジュール821内で上部処理ヘッド517及び下部処理ヘッド518は、各々、基板502上で一段階又は多段階の基板処理作業を実行するように構成される。さらに、一実施形態において、処理モジュール821内で上部処理ヘッド517及び下部処理ヘッド518は、基板502の直径全体にわたって配置され、上部/下部処理ヘッド517/518の下/上を基板保持部503が1回通過する間に、基板102の上面/下面全体が処理されるようにする。
【0089】
図5Cは、本発明の一実施形態において、基板502の上に配置される上部処理ヘッド517と、上部処理ヘッド517に対向して基板502の下に配置される下部処理ヘッド518とを示す断面図である。上部処理ヘッド517は第1の上側モジュール517Aを備え、第1の上側モジュール517Aは、洗浄剤供給ポート529Aを介して洗浄剤561Aを基板502に供給するように働く。上部処理ヘッド517は、さらに、第2の上側モジュール517Bを備え、第2の上側モジュール518Aは、洗浄剤供給ポート529Bを介して洗浄剤561Bを基板502に供給するように働く。洗浄剤561Aの化学成分は、洗浄剤561Bの化学成分と同じでもよいし、異なっていてもよい。一実施形態において、洗浄剤供給ポート529A及び529Bは、上部処理ヘッド517の長さに沿った長いスリットである。
【0090】
第1及び第2の上側モジュール517A/517Bの各々において、すすぎ剤供給ポート541A/541Bが、すすぎ流体メニスカスの後端側ですすぎ剤を供給し、一方で、第1の真空ポート列547A/547Bが、すすぎ流体メニスカスの先端側で流体を除去する。第1の真空ポート列547A/547Bはすすぎ流体メニスカスの先端側に配置されるため、すすぎ流体メニスカスの先端側と後端側の両方に配置される構成とは対照的に、すすぎ剤供給ポート列541A/541B内の各ポートが第1の真空ポート列547A/547Bに対して下向きの角度となる。
【0091】
一実施形態において、第1及び第2の上側モジュール517A/517Bの各々は、第1の真空ポート列547A/547Bの後端側に沿って配置される第2の真空ポート列549A/549Bを備える。第2の真空ポート列549A/549Bは、その下に位置する基板から洗浄剤及びすすぎ剤の多相吸引を行なうように配置される。第2の真空ポート列549A/549Bは、第1の真空ポート列547A/547Bと独立に制御可能である。第2の真空ポート列549A/549Bの各ポートは、単相液体回収ポートとして規定され、すすぎ流体メニスカスの安定性が壊されないように構成される。
【0092】
第1の上側モジュール517Aは、上側すすぎ流体メニスカス563Aを通して洗浄剤561Aに向かって実質的に一方向に、かつ、基板502の移動方向560の反対方向に、すすぎ剤を流す。上側すすぎ流体メニスカス563Aを通るすすぎ剤の流速は、上側すすぎ流体メニスカス563Aを通る洗浄剤の漏出が起きないように設定される。第1の上側モジュール517Aは、基板502上にすすぎ剤565の均一な薄膜を残す。
【0093】
上部処理ヘッド517の第2の上側モジュール517Bは、基板502上に洗浄剤561Bを加えた後、上側すすぎ流体メニスカス563Bに基板502を接触させる。第2の上側モジュール517Bは、上側すすぎ流体メニスカス563Bを通して洗浄剤561Bに向かって実質的に一方向に、かつ、基板502の移動方向560の反対方向に、すすぎ剤を流す。上側すすぎ流体メニスカス563Bを通るすすぎ剤の流速は、上側すすぎ流体メニスカス563Bを通る洗浄剤の漏出が起きないように設定される。第2の上側モジュール517Bは、基板502上にすすぎ剤567の均一な薄膜を残す。
【0094】
上側すすぎ流体メニスカス563Aにより基板502に印加される力と釣り合うように、下部処理ヘッド518の第1の下側モジュール518Aは、下側すすぎ流体メニスカス569Aを基板502に加える。第1の下側モジュール518Aは、下側すすぎ流体メニスカス569Aを通して実質的に一方向に、かつ、基板502の移動方向560の反対方向に、すすぎ剤を流す。第1の下側モジュール518Aは、基板502上にすすぎ剤571の均一な薄膜を残す。
【0095】
上側すすぎ流体メニスカス563Bにより基板502に印加される力と釣り合うように、下部処理ヘッド518の第2の下側モジュール518Bは、下側すすぎ流体メニスカス569Bを基板502に加える。第2の下側モジュール518Bは、下側すすぎ流体メニスカス569Bを通して実質的に一方向に、かつ、基板502の移動方向560の反対方向に、すすぎ剤を流す。第2の下側モジュール518Bは、基板502上にすすぎ剤573の均一な薄膜を残す。
【0096】
第1及び第2の下側モジュール518A/518Bの各々は、すすぎ流体メニスカス領域569A/569B内に規定されるすすぎ剤供給ポート列551A/551Bを備える。すすぎ剤供給ポート列551A/551Bは、各々、その上に位置する基板上に、上向きにすすぎ剤を供給するように構成される。
【0097】
一実施形態において、すすぎ剤は脱イオン水(DIW)である。ただし、他の実施形態において、すすぎ剤は、さまざまな液状物質のいずれか1つであり、たとえば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸ジメチル(DMAC)、DIWと容易に混和可能な極性溶媒、霧状極性溶媒(たとえば、DIW)等の霧状液体、又は、これらのいずれかの組み合わせを用いることができる。これらのすすぎ剤は例示に過ぎず、すすぎ剤の包括的に限定するものではない。
【0098】
図5Dに、本発明の一実施形態において、基板洗浄チャンバ500’を備える洗浄システム550を示す。基板洗浄チャンバ500’は、上述したチャンバ500と同様のものである。チャンバ500’内で、基板保持部503’により基板502’が保持される。基板洗浄チャンバ500’は上部処理ヘッド517’と下部処理ヘッド518’とを備える。一実施形態において、上部処理ヘッド517’はアーム581により支持され、下部処理ヘッド518’はアーム581’により指示される。ポリマーを含有する洗浄剤は、供給ライン595を介して上部処理ヘッド517に供給される。脱イオン水(DIW)等のすすぎ剤は、供給ライン597を介して上部処理ヘッドに供給される。洗浄廃液は、廃液ライン596を介して基板502’から除去される。すすぎ剤は、供給ライン599を介して下部処理ヘッド518’に供給される。すすぎ廃液は、廃液ライン598を介して除去される。供給ライン595、597及び599並びに廃液ライン596及び598は、近接ヘッドマニホールド583に連結される。近接ヘッドマニホールド583は、さらに、すすぎ剤の容器584と、洗浄剤の容器585と、廃液容器586とに連結される。廃液容器586は、さらに、真空ポンプ587に連結される。
【0099】
近接ヘッドマニホールド583は、コンピューター590により制御される近接ヘッド制御部588に接続される。操作者は、コンピューターを介して制御命令を出すことができる。一実施形態において、近接ヘッド制御部588は、インターネット589を介してコンピューター590に接続される。基板洗浄チャンバ500’の周辺環境も制御するようにしてもよい。チャンバ500’に1種類以上のガスを供給するようにしてもよい。たとえば、ガスタンク593をチャンバ500’に連結するようにしてもよい。チャンバ500’の圧力を真空ポンプ594を介して維持するようにしてもよい。ガスタンク593からのガス流量及びチャンバ500’の減圧を、周辺環境制御部591に連結されるチャンバマニホールド592により制御するようにしてもよい。周辺環境制御部591もコンピューター590に接続するようにしてもよい。
【0100】
上述した洗浄装置の詳細に関しては、「Apparatus and System for Cleaning Substrate(基板を洗浄する装置及びシステム)」の名称で2009年4月28日に出願された米国特許出願12/431,731(代理人整理番号LAM2P660)及び「Apparatus for Particle Removal by Single-Phase and Two-Phase Media(単相及び2相媒体による粒子除去装置)」の名称で2008年6月2日に出願された米国特許出願12/131,667(代理人整理番号LAM2P628G)に記載されている。これらの関連出願の開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0101】
上述した実施形態は単なる例示に過ぎない。基板表面上に洗浄剤を供給し、基板表面から洗浄剤を除去する洗浄ヘッドの他の実施形態も同様に可能である。図6Aに、本発明の一実施形態において、洗浄剤681を含有する洗浄タンク680とすすぎ液691を含有するすすぎタンク690を示す。まず、基板620’は、基板保持部623により保持されて、基板表面上の汚染物質が洗浄剤と接触するように、タンク680の洗浄剤481内に浸漬される。(図示しない)機械的機構により、基板620’は、洗浄タンク680内の洗浄剤681内に出入りするように昇降される。その後、基板620’は、基板保持部626により保持されて、洗浄剤をすすぎ落とすように、洗浄タンク690のすすぎ液691に浸漬される。(図示しない)機械的機構を用いて、基板は、すすぎタンク690内に出入りするように昇降される。すすぎタンク690では、基板620’表面に残った洗浄剤と共に、汚染物質が基板表面から除去される。(図示しない)機械的機構により、基板620’を下降させて、すすぎタンク690内のすすぎ液691内に入れる。図6Aに示す基板の方向は鉛直方向であるが、他の方向も可能である。たとえば、洗浄タンク及び/又はすすぎタンク内で水平方向に基板を浸漬させるようにしてもよい。
【0102】
図6Bに、他の実施形態において、基板表面から汚染物質を洗浄する洗浄装置699を示す。洗浄装置は、基板支持部683を有する洗浄タンク685を備える。基板620*は、洗浄工程の間回転する基板支持部683上に載置される。洗浄装置699は、基板620*の表面上に洗浄剤を供給する洗浄剤供給ヘッド697を備える。洗浄剤供給ヘッド697(又は供給ノズル)は、洗浄剤の貯留タンク670に連結される。洗浄装置699は、さらに、基板620”の表面上にすすぎ液をスプレーするすすぎ液供給ヘッド698(又は供給ノズル)を備える。すすぎ液供給ヘッド698は、すすぎ液の貯留タンク696に連結される。基板620*を回転することにより、洗浄剤とすすぎ液とで基板表面全体を覆うことが可能になる。洗浄剤を基板表面に供給後に、すすぎ液を供給して、基板表面から洗浄剤を除去する。
【0103】
パターン化基板の表面から洗浄剤をすすぎ落とした後、比較的高速で基板を回転させることにより、パターン化基板を乾燥させる。回転させる間、基板は、図6Bには図示しない装置(又は機構)で固定される。一実施形態において、パターン化基板の表面に表面張力低下ガスを供給して、すすぎ液と残っている場合には残った洗浄剤との除去が容易になるようにしてもよい。一実施形態において、表面張力低下ガスは、イソプロピルアルコール(IPA)と窒素(N2)の混合物である。他の表面張力低下ガスを用いるようにしてもよい。
【0104】
洗浄タンク685に、洗浄工程の廃液を収容するようにしてもよい。洗浄工程の廃液には、洗浄剤廃液とすすぎ液廃液とが含まれる。一実施形態において、洗浄タンク685は、廃液ライン604に接続される排出部603を備える。廃液ライン604は、洗浄タンク685からの洗浄廃液の排出を制御する弁605に連結される。洗浄廃液は、リサイクル処理部606又は廃液処理部607に送られる。
【0105】
上述した洗浄剤は、基板表面上の(トレンチ及び/又はビアを備える)ポリシリコン線や金属相互接続等の微細なフィーチャ(トポロジー)を有する基板の洗浄に特に効果的である。このような微細なフィーチャの最小幅(すなわち限界寸法)は、45nm、32nm、22nm、16nm又はそれ未満である。
【0106】
図7Aに、本発明の一実施形態において、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物を含有する洗浄剤を調製する処理フロー700を示す。ステップ701で、1つ以上の高分子化合物を溶媒と混合する。一実施形態において、1つ以上の高分子化合物は、粉末状であり、その量を予め測定する。混合ステップの前に、1つ以上の高分子化合物の量を計算して、秤量する。同様に、用いられる溶媒の量も測定する。ステップ702で、ステップ701で生成した混合物に添加剤を加えて、調製される洗浄剤の特性を調整する。添加剤に、洗浄剤のpH値を調節する緩衝剤を含むようにしてもよい。また、添加剤に、洗浄剤の粘度を調節するイオン供給化合物を含むようにしてもよい。さらに、添加剤に、高分子化合物の溶解度を向上させる、及び/又は、洗浄剤によるパターン化基板表面の濡れ性を向上させる表面活性剤を含むようにしてもよい。洗浄剤の特性を調整する他の種類の添加剤を加えるようにしてもよい。
【0107】
処理フロー700を用いて洗浄剤を調製することにより、得られた洗浄剤は、目標pH値、目標粘度、及び、ポリマーの可溶化や好適な濡れ特性等、その他所望の特性を備えることができる。前述したように、動作可能なpH範囲及び粘度の範囲を非常に広くすることができる。界面活性剤、緩衝剤及びイオン供給化合物の添加を連続的なステップで行なうようにしてもよい。別の実施形態において、洗浄剤の調製に用いられるさまざまな原料を単独の1つの処理ステップで混合するようにしてもよい。
【0108】
図7Bに、本発明の一実施形態において、大きな分子量を有する1つ以上の高分子化合物を含有する洗浄剤を用いてパターン化基板を洗浄する処理フロー750を示す。洗浄剤に関しては上述した。ステップ751で、パターン化基板を洗浄装置内に設置する。ステップ752で、パターン化基板の表面上に洗浄剤を供給する。ステップ753で、パターン化基板の表面上にすすぎ液を供給して、洗浄液をすすぎ落とす。すすぎ液に関しては上述した。一実施形態において、基板表面上にすすぎ液を供給した後、減圧にして、パターン化基板の表面から、すすぎ液、洗浄剤及び基板表面上の汚染物質を除去するようにしてもよい。
【0109】
上述の洗浄剤、洗浄装置及び洗浄方法は、微細フィーチャに損傷を与えることなく、微細フィーチャを有するパターン化基板を洗浄することができるという利点がある。洗浄剤は、液相又は液相/気相(泡状)のいずれかの形態の流体であり、デバイス・フィーチャの周囲で変形するため、洗浄剤がデバイス・フィーチャに損傷を与えることがない。液相の洗浄剤は、液体状でも、ゾル状でもゲル状でもよい。大きな分子量を有するポリマーを含有する洗浄剤は、基板上の汚染物質を捕獲する。さらに、洗浄剤は、汚染物質を取り込み、汚染物質が基板表面に戻らないようにする。ポリマーは長いポリマー鎖を形成し、さらに、このポリマー鎖が架橋してポリマーネットワークを形成するものでもよい。長いポリマー鎖及び/又はポリマーネットワークは、従来の洗浄剤と比較して、優れた汚染物質捕獲及び取り込み能力を示す。
【0110】
洗浄剤が基板表面に供給されて基板表面から汚染物質又は粒子を除去する前には、洗浄剤に変形不能な粒子(又は摩耗性粒子)は実質的に含まれていない。変形不能な粒子は、スラリーや砂の粒子等の固い粒子であり、パターン化基板上の微細なデバイス・フィーチャに損傷を与える可能性がある。基板洗浄工程の間に、洗浄剤は、基板表面から汚染物質又は粒子を集める。ただし、洗浄剤を基板表面上に供給して基板の洗浄を行なう前には、変形不能な粒子が洗浄剤に故意に混合されることはない。
【0111】
上述の実施形態では、パターン化基板を洗浄する洗浄剤、洗浄方法及び洗浄システムを説明したが、洗浄剤、洗浄方法及び洗浄システムは、同様に、非パターン化(ブランク)基板にも適用可能である。
【0112】
以上、主に、パターン化ウエハから汚染物質を洗浄する装置や方法を説明してきたが、洗浄装置及び洗浄方法を非パターン化ウエハからの汚染物質の洗浄に用いることもできる。さらに、上述したパターン化ウエハ上のパターンの例として、ポリシリコン線、金属線、又は誘電体線等の凸状線部を例示したが、本発明の概念は、凹状フィーチャを有する基盤にも適用可能である。たとえば、CMP処理後の凹状トレンチ又はビアでウエハ上にパターンを形成し、最適な汚染物質除去効率が得られるように、最適な設計の洗浄ヘッドを用いるようにしてもよい。
【0113】
本明細書で例として用いられる「基板」としては、以下に限定されるものではないが、製造工程又は取扱工程で汚染される可能性がある半導体ウエハ、ハードディスク、光学ディスク、ガラス基板、フラットパネル・ディスプレイ表面、液晶ディスプレイ表面等が挙げられる。実際の基板に応じて、表面はさまざまな汚染を受ける可能性があり、汚染の許容レベルは、基板取扱の対象となる個々の業界により規定される。
【0114】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、当業者には自明のことであるが、本発明の要旨の範囲内で、本発明はさまざまな他の態様や形態でも実施可能である。したがって、上述の実施形態や実施例は例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではなく、本発明は、上述の詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲内でさまざまに変形及び変更して実施可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICデバイスを規定するパターン化基板の表面上で用いられて、前記表面から汚染物質を除去する洗浄剤であって、
溶媒と、
1つ以上の高分子化合物からなるポリマーと、を備え、
前記1つ以上の高分子化合物が前記溶媒に溶解され、可溶化されたポリマーは、前記ICデバイスを規定するパターン化基板の前記表面から少なくとも一部の汚染物質を捕獲し取り込む長いポリマー鎖を備え、
前記洗浄剤は液相であり、
約100/秒未満の基準せん断速度で測定した前記洗浄剤の粘度は、約10cP〜約100,000cPの範囲であり、
前記パターン化基板を覆う前記洗浄剤に力が印加されると、前記パターン化基板の前記表面上のデバイス・フィーチャの周囲で前記洗浄剤が変形する
洗浄剤。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記溶媒が、水、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される洗浄剤。
【請求項3】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記1つ以上の高分子化合物が、ポリアクリルアミド(PAM)、Carbopol940(登録商標)やCarbopol941(登録商標)等のポリアクリル酸(PAA)、PAMとPAAの共重合体、ポリ−(N,N−ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリメタクリルアミド(PMAAm)等のアクリルポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)等のポリイミン及び酸化物、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンスルホン酸(PESA)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)等のビニルポリマー、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース誘導体、アカシアゴム、寒天及びアガロース、ヘパリン、グアーガム、キサンタンゴム等の多糖類、及び、卵白、コラーゲン、グルテン等のタンパク質からなる群から選択される洗浄剤。
【請求項4】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記1つ以上の高分子化合物の分子量は、約0.01Mg/mol〜約100Mg/molの範囲である洗浄剤。
【請求項5】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記洗浄剤内の前記ポリマーの重量パーセントは、約0.001%〜約10%の範囲である、洗浄剤。
【請求項6】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
さらに、前記洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変える緩衝剤であって、前記溶媒と共に洗浄溶液を形成する緩衝剤を備える洗浄剤。
【請求項7】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
さらに、前記洗浄剤中での前記ポリマーの分散、及び、前記パターン化基板の前記表面の濡れに役立つ界面活性剤を備える洗浄剤。
【請求項8】
請求項7に記載の洗浄剤であって、
前記界面活性剤が、硫酸アンモニウムドデシル(ADS)である洗浄剤。
【請求項9】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記洗浄剤は、液体、ゾル又はゲル状の流体である、洗浄剤。
【請求項10】
請求項6に記載の洗浄剤であって、
前記洗浄剤のpHは、フロントエンド及びバックエンド工程において、約1〜約12の範囲である洗浄剤。
【請求項11】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
さらに、前記洗浄溶液中でイオン化するイオン供給化合物であって、前記洗浄剤のイオン強度を増大させて、前記洗浄剤の粘度を変えるイオン供給化合物を備える洗浄剤。
【請求項12】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記基準せん断速度で測定した前記洗浄剤の粘度は、約100cP〜約10,000cPの範囲である洗浄剤。
【請求項13】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記デバイス・フィーチャは、約45nm以下の限界寸法を有する大きさである洗浄剤。
【請求項14】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
汚染物質の捕獲及び取り込みがしやすいように、前記長いポリマー鎖の一部が架橋してポリマーネットワークを形成する洗浄剤。
【請求項15】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記1つ以上の高分子化合物はポリアクリルアミド(PAM)を含有し、PAMの分子量は1,000,000g/mol以上である洗浄剤。
【請求項16】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記1つ以上の高分子加工具部はアクリルアミドとアクリル酸の共重合体を含有し、前記共重合体中のアクリル酸の重量パーセントは約50%未満である洗浄剤。
【請求項17】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記パターン化基板の前記表面上で前記洗浄剤を用いて、前記表面上の前記デバイス・フィーチャに実質的に損傷を与えることなく、前記表面から汚染物質を除去し、
前記パターン化基板の前記表面上に前記洗浄剤が供給される前は、前記洗浄剤に実質的に摩耗性粒子が含まれていない
洗浄剤。
【請求項18】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記基準せん断速度は約1/秒未満である洗浄剤。
【請求項19】
請求項1に記載の洗浄剤であって、
前記1つ以上の高分子化合物の分子量は10,000g/molより大きい洗浄剤。
【請求項20】
ICデバイスを規定するパターン化基板の表面上で用いられて、前記表面から汚染物質を除去する洗浄剤であって、
溶媒と、
前記洗浄剤の水素イオン指数(pH)値を変える緩衝剤であって、前記溶媒と共に洗浄溶液を形成する緩衝剤と、
前記洗浄溶液中に溶解される1つ以上の高分子化合物からなるポリマーであって、
前記洗浄剤はpHが約7〜約12の範囲であり、
前記1つ以上の高分子化合物が前記溶媒に溶解され、可溶化されたポリマーは、前記ICデバイスを規定するパターン化基板の前記表面から少なくとも一部の汚染物質を捕獲し取り込む長いポリマー鎖を備え、
前記洗浄剤は液相であり、
基準せん断速度で測定した前記洗浄剤の粘度は、約10cP〜約100,000cPの範囲であり、
前記パターン化基板を覆う前記洗浄剤に力が印加されると、前記パターン化基板の前記表面上のデバイス・フィーチャの周囲で前記洗浄剤が変形する、ポリマーと、
前記洗浄剤中での前記ポリマーの分散、及び、前記パターン化基板の前記表面の濡れに役立つ界面活性剤と、
前記洗浄溶液中でイオン化して、前記洗浄剤の粘度を調整するイオン供給化合物と
を備える洗浄剤。
【請求項21】
請求項20に記載の洗浄剤であって、
前記パターン化基板の前記表面上で前記洗浄剤を用いて、前記表面上の前記デバイス・フィーチャに実質的に損傷を与えることなく、前記表面から汚染物質を除去し、
前記パターン化基板の前記表面上に前記洗浄剤が供給される前は、前記洗浄剤に実質的に摩耗性粒子が含まれていない
洗浄剤。
【請求項22】
請求項20に記載の洗浄剤であって、
前記緩衝剤は水酸化アンモニウムである洗浄剤。
【請求項23】
請求項20に記載の洗浄剤であって、
前記イオン供給化合物はクエン酸である洗浄剤。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2012−533649(P2012−533649A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520689(P2012−520689)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041630
【国際公開番号】WO2011/008658
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】