説明

高耐圧電界効果トランジスタ

【課題】高耐圧電界効果トランジスタの素子面積を増大させること無しに、十分に低いオン抵抗を得る。
【解決手段】半導体基板101のn型領域102内に、チャネル形成領域102aを挟んでドレイン低濃度領域103およびソース低濃度領域104を形成し、ドレイン高濃度領域105およびソース高濃度領域106を形成し、ゲート酸化膜109を形成し、該ゲート酸化膜109の端部および低濃度領域103,104を含む領域にフィールド酸化膜110を形成し、さらにゲート酸化膜109からフィールド酸化膜110の端部にかけてゲート電極111を形成した高耐圧pMOSトランジスタにおいて、ゲート電極111とドレイン高濃度領域105との間に、フィールド酸化膜110が形成されていない非酸化領域112を設ける。製造時に、ドレイン低濃度領域103の不純物がフィールド酸化膜110に取り込まれ難くなるので、オン抵抗の増加が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高耐圧電界効果トランジスタに関する。この発明は、例えば、HV−pMOS(High Voltage p-channel Metal Oxide Semiconductor;高耐圧pMOS)トランジスタに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
高耐圧の電界効果トランジスタを開示する文献としては、例えば下記特許文献1が知られている。
【0003】
同文献の例えば図16に示されているように、高耐圧nMOSトランジスタは、ドレイン領域として、低濃度の領域(同文献ではn−オフセットドレイン領域12)と、高濃度の領域(同文献ではn+ドレイン領域17)とを有している。ゲート酸化膜14は、チャネル形成領域と、ドレイン低濃度領域12の端部とを覆うように形成される。ドレイン低濃度領域12のうち、ドレイン高濃度領域17が形成されず且つゲート酸化膜14が形成されていない領域には、フィールド酸化膜13が形成される。そして、ゲート酸化膜14とフィールド酸化膜13の端部とを覆うように、ゲート電極15が形成される。すなわち、ゲート電極15のドレイン側端部は、ゲート酸化膜14ではなく、フィールド酸化膜13上に配置される。
【0004】
ドレイン領域を高濃度領域17と低濃度領域12との二重構造とするのは、ソース・ドレイン間耐圧を向上させるためである。低濃度領域12の距離が長いほど、すなわちチャネル形成領域と高濃度領域17との距離が長いほど、ソース・ドレイン間耐圧を向上させることができる。
【0005】
また、ゲート電極15のドレイン側端部をフィールド酸化膜13上に配置するのは、ゲート電極15の端部付近で電界が集中し易いからである。すなわち、ゲート電極15の端部をフィールド酸化膜13上に配置することにより、ドレイン領域での電界集中を緩和させて、MOSトランジスタの耐圧を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−204062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、MOSトランジスタの耐圧を向上させるためには、低濃度領域の距離を長くすること、すなわちチャネル形成領域と高濃度領域との距離を長くすることが望ましい。
【0008】
しかしながら、低濃度領域の距離を長くするほど、オン抵抗が増大して、MOSトランジスタの駆動能力が低下するという欠点がある。
【0009】
加えて、低濃度領域の距離を長くすると、素子面積が増大して、集積回路の集積率が低下するという欠点もある。
【0010】
ここで、低濃度領域の距離を長くしても、それに応じてチャネル幅を大きくすれば、オン抵抗の増大を防止・抑制することができる。しかし、MOSトランジスタのチャネル幅を大きくすれば、素子面積はさらに増大することになり、集積率低下の問題がいっそう顕著となる。
【0011】
この発明の課題は、オン抵抗が小さく且つ素子面積が小さい高耐圧電界効果トランジスタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る高耐圧電界効果トランジスタは、半導体基板のn型領域内にチャネル形成領域を挟んで形成されたp型のドレイン低濃度領域およびソース低濃度領域と、ドレイン低濃度領域内に形成されたドレイン低濃度領域よりも高い不純物濃度のドレイン高濃度領域と、少なくともチャネル形成領域の表面を覆うゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜のドレイン側端部と接するようにドレイン低濃度領域上に形成された第1フィールド酸化膜と、ゲート絶縁膜のソース側端部と接するように、ソース低濃度領域上に形成された第2フィールド酸化膜と、ゲート絶縁膜を介してチャネル形成領域の全面を覆い、且つ第1フィールド酸化膜を介してドレイン低濃度領域の端部を覆うように形成されるとともに、第2フィールド酸化膜を介してソース低濃度領域の端部を覆うように形成されたゲート電極と、ドレイン低濃度領域のうちゲート電極とドレイン高濃度領域とに挟まれており且つ表面にドレイン高濃度領域および第1フィールド酸化膜が形成されていない非酸化領域と、ドレイン低濃度領域上の、非酸化領域及びドレイン高濃度領域を挟んで第1フィールド酸化膜と向かい合う位置であって、ドレイン高濃度領域と隣り合う位置に形成された第3フィールド酸化膜とを有する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ドレイン低濃度領域に、ゲート電極とドレイン高濃度領域とに挟まれており且つ表面にドレイン高濃度領域およびフィールド酸化膜が形成されていない非酸化領域を設けたので、製造時にドレイン低濃度領域内のp型不純物がフィールド酸化膜に吸収される現象を抑制することができる。これにより、ドレイン低濃度領域内のp型不純物濃度を高く維持することができ、したがって、高耐圧電界効果トランジスタの素子面積を増大させること無しに、十分に低いオン抵抗を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタの構造を概念的に示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る製造工程を概念的に示す工程断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る製造工程を概念的に示す工程断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタの構造を概念的に示す断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る製造工程を概念的に示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、図中、各構成成分の大きさ、形状および配置関係は、この発明が理解できる程度に概略的に示してあるにすぎず、また、以下に説明する数値的条件は単なる例示にすぎない。
【0016】
第1の実施形態
第1の実施形態に係る高耐圧電界効果トランジスタおよびその製造方法について、図1〜図3を用いて説明する。
【0017】
図1は、この実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタの構造を概念的に示す断面図である。
【0018】
図1に示したように、この実施形態の高耐圧pMOSトランジスタ100は、半導体基板101のnウェル102に形成された、ドレイン低濃度領域103と、ソース低濃度領域104と、ドレイン高濃度領域105と、ソース高濃度領域106と、ガードリング層107,108と、ゲート酸化膜109と、フィールド酸化膜110と、ゲート電極111と、非酸化領域112と、中間絶縁膜113と、コンタクト層114,115と、配線パターン116,117とを有する。
【0019】
半導体基板101としては、p型シリコン基板を使用することができる。
【0020】
nウェル102は、半導体基板101の表面に、例えばリン等のn型不純物イオンを注入することによって、形成される。nウェル102の不純物濃度は、例えば1×1016cm-3である。
【0021】
ドレイン低濃度領域103およびソース低濃度領域104は、半導体基板101のn型領域102に、例えばボロン等の不純物イオンを注入することによって、形成される。ドレイン低濃度領域103およびソース低濃度領域104の不純物濃度は、例えば1×1016cm-3である。ドレイン低濃度領域103とソース低濃度領域104とに挟まれた領域が、チャネル形成領域102aとなる。
【0022】
ドレイン高濃度領域105は、ドレイン低濃度領域103内に形成される。ドレイン高濃度領域105は、ドレイン低濃度領域103よりも高い不純物濃度(例えば1×1020cm-3)を有している。ドレイン高濃度領域105は、チャネル形成領域102aとの距離Ldが例えば10μm以下となる位置に形成される。
【0023】
ソース高濃度領域106は、ソース低濃度領域104内に形成される。ソース高濃度領域106は、ソース低濃度領域104よりも高い不純物濃度(例えば1×1020cm-3)を有している。ソース高濃度領域106は、チャネル形成領域102aとの距離Lsが上述のLdよりも短くなるような位置に形成される。
【0024】
ガードリング層107,108は、高耐圧pMOSトランジスタ100を、隣接する他の素子から電気的に分離するための層である。ガードリング層107,108は、ドレイン低濃度領域103およびソース低濃度領域104の外側に、n型不純物イオンを注入することによって形成される。ガードリング層107,108の不純物濃度は、例えば1×1020cm-3である。
【0025】
ゲート酸化膜109は、少なくともチャネル形成領域102aの表面を覆うように形成された、シリコン酸化膜である。ゲート酸化膜109の膜厚は、例えば200nm以上250nm以下である。
【0026】
フィールド酸化膜110は、ゲート酸化膜109の端部と接するように形成されるとともに、ドレイン低濃度領域103が形成された領域のうちドレイン高濃度領域105および非酸化領域112以外の部分を覆う。さらに、この実施形態のフィールド酸化膜110は、ソース低濃度領域104が形成された領域のうち、ソース高濃度領域106以外の領域を覆う。フィールド酸化膜110の膜厚は例えば800nm以下である。また、フィールド酸化膜110は、ゲート酸化膜109側の端部から非酸化領域112側端部までの長さが1.5μm以上3.0μm以下となるように、形成される。
【0027】
ゲート電極111は、ゲート酸化膜109を介してチャネル形成領域102aの全面を覆い、且つ、フィールド酸化膜110を介してドレイン低濃度領域103およびソース低濃度領域104の端部を覆うように形成される。ゲート電極111の構造は任意であるが、この実施形態では、ポリシリコン層111aとタングステンシリサイド層111bの積層構造のものを使用した。
【0028】
非酸化領域112は、ドレイン低濃度領域103のうち、ゲート電極111とドレイン高濃度領域105とに挟まれており、且つ、このドレイン高濃度領域105およびフィールド酸化膜110が表面に形成されていない領域である。この実施形態では、ドレイン低濃度領域103の表面に非酸化領域112を設けることにより(すなわち、ドレイン低濃度領域103の表面に、フィールド酸化膜110で覆われていない領域を設けることにより)、高耐圧pMOSトランジスタの素子面積を増大させること無しにオン抵抗の増加を抑制することができる(後述)。
【0029】
中間絶縁膜113は、例えばシリコン酸化膜等で半導体基板101の全面を覆うことにより、形成される。
【0030】
コンタクト層114,115は、ドレイン高濃度領域105およびソース高濃度領域106と配線パターン116,117とを電気的に接続するための層間配線である。コンタクト層114,115は、中間絶縁膜113に形成されたコンタクトホールに例えばタングステンを埋め込むことによって形成される。
【0031】
配線パターン116,117は、ドレイン高濃度領域105およびソース高濃度領域106に配線を施すための導電層であり、例えばアルミニウムにより形成される。
【0032】
次に、図1に示した高耐圧pMOSトランジスタの製造方法について説明する。図2および図3は、この実施形態に係る製造工程を概念的に示す工程断面図である。
【0033】
(1)まず、半導体基板101の表面に、リン等のn型不純物イオンを、例えばドーズ量最大1×1013cm-2程度で注入することにより、nウェル102を形成する。そして、このnウェル102内に、ボロン等のp型不純物イオンを、例えばドーズ量最大1×1013cm-2程度で注入することにより、ドレイン低濃度領域103およびソース低濃度領域104を形成する(図2(A)参照)。
【0034】
(2)次に、例えばLOCOS(localized oxidation of silicon)法を用いて、半導体基板101の表面に、膜厚が例えば800nm以下の、フィールド酸化膜110を形成する。フィールド酸化膜110は、ドレイン高濃度領域105、ソース高濃度領域106、ガードリング層107,108、ゲート酸化膜109が形成される領域と、非酸化領域112となるべき領域とには、形成されない。上述のように、この実施形態では、ゲート酸化膜109が形成される領域側の端部E1から非酸化領域112となる領域の端部E2までの長さが、1.5μm以上3.0μm以下となるように、フィールド酸化膜110を形成する(図2(B)参照)。
【0035】
(3)例えば熱酸化法を用いて半導体基板101の表面を酸化することにより、膜厚が例えば250nm以下の酸化膜を形成し、続いて、レジストパターンを用いて、チャネル形成領域102a以外の領域上の酸化膜を選択的にエッチングすることにより、ゲート酸化膜109を形成する。さらに、通常のイオン注入技術を用い、チャネル形成領域102aへ、しきい値電圧を調整するためのイオン注入を行う。その後、例えば通常の薄膜堆積技術等を用いて、ゲート酸化膜109上に、ポリシリコン層111aおよびタングステンシリサイド層111bを形成する。これにより、ゲート電極111が完成する(図2(C)参照)。
【0036】
(4)続いて、通常のフォトリソグラフィ技術等を用いて、レジストマスク301を形成する。レジストマスク301は、ガードリング層107,108を形成する領域およびその周辺のフィールド酸化膜110のみを露出し、他の領域を覆う。そして、レジストマスク301を用いて、例えばヒ素イオンをドーズ量最大1×1016cm-2で注入することにより、ガードリング層107,108が形成される(図3(A)参照)。その後、レジストマスク301を除去する。
【0037】
(5)次に、通常のフォトリソグラフィ技術等を用いて、レジストマスク302を形成する。レジストマスク302は、ドレイン高濃度領域105およびソース高濃度領域106を形成する領域およびその周辺のフィールド酸化膜110のみを露出し、他の領域を覆う。そして、レジストマスク302を用いて、例えばBFイオンをドーズ量最大5×1015cm-2程度で注入することにより、ドレイン高濃度領域105およびソース高濃度領域106が形成される(図3(B)参照)。その後、レジストマスク302を除去する。このように、この実施形態では、ドレイン低濃度領域103の露出面をレジストマスク302で覆うこととしたので、この露出面を非酸化領域112にすることができる。
【0038】
(6)最後に、通常の堆積技術、フォトリソグラフィー技術等を用いて、中間絶縁膜113と、コンタクト層114,115と、配線パターン116,117を形成し、図1に示したような高耐圧pMOSトランジスタ100を完成させる。
【0039】
次に、この実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタのオン抵抗が小さくなる理由を説明する。
【0040】
高耐圧のMOSトランジスタを製造するに際して、ドレイン低濃度領域の不純物濃度は、トランジスタのオン抵抗と耐圧とを考慮して決定される。トランジスタでは、ドレイン低濃度領域の不純物濃度を高くするほど、オン抵抗を小さくすることができる。その一方で、ドレイン低濃度領域の不純物濃度が高くなるほど、ウェル領域とドレイン低濃度領域との境界面における濃度勾配が急峻になって、トランジスタの耐圧が低下してしまう。したがって、オン抵抗が十分に低く且つ耐圧が十分に高いトランジスタを得るためには、ドレイン低濃度領域の不純物濃度を高精度に制御する必要がある。
【0041】
ここで、従来の高耐圧MOSトランジスタでは、ドレイン低濃度領域の表面には、ドレイン高濃度領域が形成されている部分およびゲート酸化膜が形成されている部分を除き、全域にフィールド酸化膜が形成されていた(上述の特許文献1参照)。
【0042】
しかしながら、p型の高耐圧MOSトランジスタにおいては、ドレイン低濃度領域の表面にフィールド酸化膜を形成する際に、このフィールド酸化膜にドレイン低濃度領域内のp型不純物が取り込まれてしまい、このために、ドレイン低濃度領域の表面近傍(すなわち、ドレイン低濃度領域とフィールド酸化膜との界面付近)で不純物濃度が低下して、オン抵抗が増大してしまう。その一方で、ドレイン低濃度領域の深い位置での不純物濃度は変化しないので、ドレイン低濃度領域全体の不純物濃度を予め高く設定しようとすると、トランジスタの耐圧が非常に低くなってしまう。
【0043】
これに対して、この実施形態では、p型の高耐圧MOSトランジスタにおいて、ゲート電極とドレイン高濃度領域との間に非酸化領域を設けることによって、ドレイン低濃度領域とフィールド酸化膜との接触面積を小さく抑えた。これにより、製造時にドレイン低濃度領域内のp型不純物がフィールド酸化膜に吸収される現象を抑制することができるので、ドレイン低濃度領域内におけるp型不純物濃度の低下を抑制することができる。したがって、この実施形態によれば、高耐圧電界効果トランジスタの素子面積を増大させたり、耐圧を低下させたりすること無しに、十分に低いオン抵抗を得ることができる。上述のように、この実施形態では、非酸化領域112を、かかる非酸化領域112の端部とゲート酸化膜109の端部と距離(すなわち、これらの端部の間に形成されたフィールド酸化膜の長さ)が1.5μm以上3.0μm以下となるように、形成する。かかる距離が1.5μm未満の場合はフィールド酸化膜110の上にゲート電極111の端部を形成することが困難になり、また、かかる距離が3.0μmより大きい場合はオン抵抗の増大を抑制するという効果が不十分だからである。
【0044】
一方、n型の高耐圧pMOSトランジスタにおいては、n型不純物が、フィールド酸化膜形成時にドレイン低濃度領域の表面近傍に移動するものの、かかるフィールド酸化膜内には殆ど取り込まれない。このため、トランジスタ全体としてのオン抵抗は殆ど増加しないので、非酸化領域を設けなくてもよい。
【0045】
以上説明したように、この実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタによれば、ゲート電極111とドレイン高濃度領域105との間に非酸化領域112を設けたので、素子面積を増大させること無しに、十分に低いオン抵抗を得ることができる。
【0046】
また、この実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタの製造方法によれば、非酸化領域112になるべき部分とゲート電極111とを少なくとも覆うマスクパターン302を形成し、その後、このマスクパターンを302用いてp型不純物を導入することによりドレイン高濃度領域105を形成することにより(上記工程(5)参照)、ゲート電極111とドレイン高濃度領域105との間に非酸化領域112を形成することができる。
【0047】
なお、この実施形態では、ソース低濃度領域104内にも高濃度領域106を形成する場合を例に採って説明したが、高濃度領域106を形成しない場合にも、この実施形態を適用することができる。また、この実施形態では、ソース低濃度領域104の表面全体にフィールド酸化膜110で覆う構成としたが、例えば、ソース低濃度領域104側にフィールド酸化膜を形成しない場合等であっても、この発明を適用することができる。すなわち、ドレイン低濃度領域103上に非酸化領域112を設けることとすれば、ソース側の構成に拘わらず、本発明の効果を得ることができる。
【0048】
第2実施形態
次に、第2の実施形態に係る高耐圧電界効果トランジスタおよびその製造方法について、図4および図5を用いて説明する。
【0049】
図4は、この実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタの構造を概念的に示す断面図である。図4において、図1と同じ符号を付した構成要素は、それぞれ図1と同じものを示している。
【0050】
図4に示したように、この実施形態の高耐圧pMOSトランジスタ400は、非酸化領域112の表面にp型低抵抗層401が設けられている点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0051】
p型低抵抗層401は、第1の実施形態の非酸化領域112に対応する位置に、形成される。p型低抵抗層401の不純物濃度は、ドレイン低濃度領域103よりも高く且つドレイン高濃度領域105よりも低い値に設定される。
【0052】
次に、図4に示した高耐圧pMOSトランジスタの製造方法について説明する。図5は、この実施形態に係る製造工程を概念的に示す工程断面図である。
【0053】
(1)まず、第1の実施形態の工程(1)〜(3)と同様にして、半導体基板101の表面に、nウェル102、ドレイン低濃度領域103、ソース低濃度領域104、ゲート酸化膜109、フィールド酸化膜110およびゲート電極111を形成する(図5(A)参照)。
【0054】
(2)次に、通常のフォトリソグラフィ技術等を用いて、レジストマスク501を形成する。レジストマスク501は、ガードリング層107,108を形成する領域およびその周辺のフィールド酸化膜110を覆うように形成される(図5(B)参照)。
【0055】
(3)続いて、レジストマスク501を用い、例えばBFイオンをドーズ量最大1×1013cm-2程度で注入することにより、p型低抵抗層401を形成する(図5(C)参照)。なお、高耐圧pMOSトランジスタ400と同時に低耐圧トランジスタ(すなわち、LV−MOSトランジスタ)を製造する場合には、かかるLV−MOSトランジスタのLDD(Lightly Doped Drain) 領域を形成するためのイオン注入と同時に、p型低抵抗層401を形成してもよい。
【0056】
(4)その後、第1の実施形態の工程(4)〜(6)と同様にして、ガードリング層107,108、ドレイン高濃度領域105、ソース高濃度領域106、中間絶縁膜113と、コンタクト層114,115、配線パターン116,117を形成し、図4に示したような高耐圧pMOSトランジスタ400を完成させる。
【0057】
以上説明したように、この実施形態に係る高耐圧pMOSトランジスタによれば、低抵抗層401を設けたので、第1の実施形態よりもさらにオン抵抗を低くすることができる。
【符号の説明】
【0058】
100 高耐圧pMOSトランジスタ
101 半導体基板
102 nウェル
103 ドレイン低濃度領域
104 ソース低濃度領域
105 ドレイン高濃度領域
106 ソース高濃度領域
107,108 ガードリング層
109 ゲート酸化膜
110 フィールド酸化膜
111 ゲート電極
112 非酸化領域
113 中間絶縁膜
114,115 コンタクト層
116,117 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板のn型領域内に、チャネル形成領域を挟んで形成された、p型のドレイン低濃度領域およびソース低濃度領域と、
前記ドレイン低濃度領域内に形成された、該ドレイン低濃度領域よりも高い不純物濃度のドレイン高濃度領域と、
少なくとも前記チャネル形成領域の表面を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜のドレイン側端部と接するように、前記ドレイン低濃度領域上に形成された第1フィールド酸化膜と、
前記ゲート絶縁膜のソース側端部と接するように、前記ソース低濃度領域上に形成された第2フィールド酸化膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記チャネル形成領域の全面を覆い、且つ、前記第1フィールド酸化膜を介して前記ドレイン低濃度領域の端部を覆うように形成されるとともに、前記第2フィールド酸化膜を介して前記ソース低濃度領域の端部を覆うように形成されたゲート電極と、
前記ドレイン低濃度領域のうち、前記ゲート電極と前記ドレイン高濃度領域とに挟まれており且つ表面に当該ドレイン高濃度領域および前記第1フィールド酸化膜が形成されていない非酸化領域と、
前記ドレイン低濃度領域上の、前記非酸化領域及び前記ドレイン高濃度領域を挟んで前記第1フィールド酸化膜と向かい合う位置であって、前記ドレイン高濃度領域と隣り合う位置に形成された第3フィールド酸化膜と
を有することを特徴とする高耐圧電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記第1フィールド酸化膜の、前記ゲート絶縁膜側端部から前記非酸化領域側端部までの長さが、1.5μm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の高耐圧電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記非酸化領域に、前記ドレイン低濃度領域よりも高く且つ前記ドレイン高濃度領域よりも低い不純物濃度のp型の低抵抗層が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の高耐圧電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記ソース低濃度領域内に、該ソース低濃度領域よりも高い不純物濃度のソース高濃度領域が形成され、且つ、
前記ソース低濃度領域内の、前記ソース高濃度領域が形成されていない領域が、フィールド酸化膜で覆われている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高耐圧電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記チャネル形成領域と前記ドレイン高濃度領域との距離が、該チャネル形成領域と前記ソース高濃度領域との距離よりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高耐圧電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記ゲート絶縁膜の膜厚が200nm以上250nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高耐圧電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記第2フィールド酸化膜と隣り合う位置に前記ソース高濃度領域が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高耐圧電界効果トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−195607(P2012−195607A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134200(P2012−134200)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2006−222964(P2006−222964)の分割
【原出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【出願人】(390008855)ラピスセミコンダクタ宮崎株式会社 (151)
【Fターム(参考)】