説明

2次元及び3次元の正確な場所及び方位を判定する装置及び方法

a)軌道に沿って移動した際に地上の乗物に搭載された全地球測位システムにより採られた全地球測位システムのサンプルを取得する動作と、b)全地球測位システムのサンプルに基づいて軌道の第1の推定値を取得する動作と、c)軌道に沿って移動した際に地上の乗物に搭載された慣性測定ユニットにより測定された測定値に少なくとも基づいて、軌道の第2の推定値を取得する動作と、d)第1の推定値と第2の推定値とを比較する動作と、e)第2の推定値と比較して所定の閾値を上回る変動を第1の推定値が示す場所を確立する動作と、f)このような場所を確立できない場合に動作j)に続き、確立できる場合に動作g)に続き、g)大きい変動である場所に関連付けられた全地球測位システムのサンプルを不正確な全地球測位システムのサンプルであるとして除去し、それにより、残った全地球測位システムのサンプルの集合を形成する動作と、h)残った全地球測位システムのサンプルに基づいて軌道の第1の推定を再び計算し、第2の推定を再び計算する動作と、i)動作d)から動作h)を繰り返す動作と、j)動作群を終了する動作とに従って、GPSサンプルの集合の中の不正確なGPSサンプルを判定する方法及び装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元及び3次元の正確な場所及び方位を判定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
位置判定装置が先行技術により知られている。近頃では、位置判定装置は例えば車両、船舶、及び航空機のような乗物にますます適用されている。この趣旨で、このような乗物は、GPS(全地球測位システム)、IMU(慣性測定ユニット)、及びDMI(距離測定機器)のような様々な測定ユニットを備えているかもしれない。
【0003】
移動している間に、このような測定ユニットの出力データは、乗物の位置と方位との少なくともいずれかを計算するためにプロセッサによって使用される。用途に依存して、これらの測定ユニットにより測定された測定値はオンラインで又はオフラインで用いられる。
【0004】
三つの測定ユニットGPS、IMU、及びDMIから出来るだけ正確な位置及び方位の測定値を提供することは一般的な要望である。多くの問題、例えば、マルチパス問題、測定信号の雑音、及びIMUの出力信号のドリフト(又はその他のずれ(shift))は、この趣旨で解決されるだろう。最新技術では、IMUからの出力信号のドリフトを補償するだけでなく他の影響を補償するために、カルマンフィルタが広く用いられている。また、移動平均技術や白色ガウス雑音フィルタリングのようなその他の統計的な方法が、信号から雑音の多くを除去しクリーンにするために用いられうる。
【0005】
しかしながら、効率的にガウス雑音を除去するフィルタリング技術及び平均化技術の一部は、GPS測定値などのような一連の測定値に対して時間がたつにつれて一定のずれを示すオフセット信号には非効率に動作するだろう。
【0006】
特許文献1及び特許文献2は、考慮されるべきでない非正確なGPS測定値を識別するために、その他のセンサと非カルマン手段とを有するGPSシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5311195号明細書
【特許文献2】米国特許第5948043号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、軌道に沿って移動する乗物に搭載されて実行された測定値に基づいて位置及び方位の計算の少なくとも一つを改良するために、位置及び方位判定システムと位置及び方位判定方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は装置の独立請求項に主張されるコンピュータ装置を提供する。
【0010】
さらに、本発明は方法の独立請求項に主張される方法に関する。
【0011】
本発明は、軌道に沿って乗物が移動していた間に収集されたGPSサンプルの集合から不正確なGPSサンプルを除去する非常に正確で信頼できる方法を提供する。主張される装置及び方法を用いることで、不正確なGPSサンプルは非線形の方法で排除される。
【0012】
ある実施形態では、位置及び方位に間する計算はオフライン、すなわち軌道からのすべての測定データが収集された後に行われる。これは、例えばいわゆるMMSシステム(モバイル・マッピング・システム)において当てはまる。MMSシステムでは、位置及び方位データは道路網に沿って移動する乗物により収集され、2Dと3Dとの少なくとも何れかの道路地図を生成するために、又は道路に沿った建物の正面をも示す市街の道路のような領域の擬似3D表示において用いられうる地理的データを獲得するために、位置及び方位データは後で用いられる。本発明が適用されてもよい他の領域は道路アセット・インベントリ・データベースの生成である。ここではMMSシステムは重要な支援を提供できる。ジオレーダとして舗装管理に用いられるセンサ、粗度係数測定ユニットに基づくレーザ、ひび割れ検出用途で広く用いられるストロボスコープを増大した高速垂直カメラ、物体判定や3Dビュー・アプリケーション等のためのレーザ・スキャナのような他のセンサも同様に用いられてもよい。
【0013】
このような実施形態では、測定された位置及び方位データはリアルタイムで用いられる必要はなく、後でのみ用いられてもよいという事実により、オフラインプロセッサにはリアルタイムで可能なもの以外の他の修正メカニズムを実行する能力が提供される。本発明のオフラインの方法は、道路網に沿って移動している間に収集されたすべてのGPSサンプルを調査し、不正確なGPSサンプルを識別し、移動した軌道を計算するためにこれらの不正確なGPSサンプルをもはや考慮に入れないという、一層正確なオプションを提供する。この方法で計算された軌道は、オフセットGPS信号の影響をもはや受けないため、高精度である。
【0014】
従って、本発明は、非常にコスト効率よく実装でき、例えば滑らかな方法で(よって、例えばレース用の乗物になされる突然の動きがない方法で)道路に沿って運転されていた乗物で収集されたデータから位置/方位の測定値が計算されるオフラインの環境で用いられうる正確な結果を提供する。
【0015】
オフラインの環境では、本発明は軌道のより精度のよい判定を生成するのに用いることができ、従って、結局はより正確な最終結果を生成するのに用いることができる。これは、オフラインの実施形態では、形状フィルタを全体的に、再帰的に、そして自己適用的に適用でき、GPSサンプルを正確なものと不正確なものに分類できるからである。
【0016】
ある実施形態では、本発明は、時間の関数である乗物の位置及び方位を計算するのに用いられるIMU(慣性測定ユニット)の出力信号のドリフト(又はその他のずれ)を計算するオプションを提供する。これはGPSサンプルを用いることによってなされ、その後にIMU信号はこの方法で判定されたドリフトについて修正される。その後に、ドリフトが修正されたIMU信号は、位置及び方位の計算において主な根拠として用いられ、GPSサンプルは主にドリフトの修正に用いられる。このようなドリフト補償に用いられるGPSサンプルの数は25%の高さであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】先行技術である車両内の位置及び方位測定システムを示す図である。
【図2a】局所車両座標系を示す図である。
【図2b】いわゆるwgs座標系を示す図である。
【図3】コンピュータ装置の概略例を示す図である。
【図4】マルチパス問題を説明するための概略図である
【図5】GPSシステム及び慣性測定ユニット(IMU)の出力信号を示す図である。
【図6】本発明を説明するフローチャートである。
【図7a】、
【図7b】、
【図7c】、
【図7d】GPSサンプルの集合から不正確なGPSサンプルを除去する方法における連続する動作を示す図である。
【図8a】、
【図8b】、
【図8c】IMU信号のドリフト(及び他のずれ)がどのように推定されうるかを明確にするための曲線を示す図である。
【図9a】、
【図9b】道路の車両が移動した軌道がクロソイドによりどのように近似されうるかを示す図である。
【図10a】、
【図10b】、
【図10c】IMUピッチ信号のドリフト(及び他のずれ)がどのように推定されうるかを明確にするための曲線を示す図である。
【図11】局所重力ベクトルに対して傾斜をどのように定義するかを示すIMU信号のドリフト(及び他のずれ)がどのように推定されうるかを明確にするための曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は図面を参照して詳細に説明される。図面は本発明を説明することを意図するものであって、本発明の範囲を制限することを意図しない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲とその均等な実施形態とによって規定される。
【0019】
図1は既存の高精度位置判定装置を備える車両を示す。図1は、複数の車輪2を備える車両1を示す。さらに、車両1は高精度位置判定装置を備える。図1に示されるように、位置判定装置は以下の構成要素を備える。
・アンテナ8に接続され、複数の衛星SLi(i=1,2,3,…)と通信し、衛星SLiから受信した信号から位置信号を計算するように構成されたGPS(全地球測位システム)ユニット。GPSシステムはまた、車両1の進行方位データ(すなわち移動の方向)及び速度を供給する。GPSシステムは、(起こりうる白色雑音は別にして)1シグマ/1メートルの精度を提供するDGPSシステム(差分GPS)であってもよい。GPSシステムは、GPS出力信号を処理するように構成されたマイクロプロセッサμPに接続される。
・DMI(距離測定機器)。この機器は一つ以上の車輪2の回転数を感知することによって、車両1が移動した距離を測定する走行距離計である。従って、後輪は車体に対して回転しないため、DMIは後輪の一つの回転数を測定するだろう。DMIは10Hz以上のサンプリング周波数で動作してもよい。マイクロプロセッサμPが、GPSユニットからの出力信号を処理している間に、DMIによって測定された距離を考慮に入れることができるように、DMIもマイクロプロセッサμPに接続される。
・IMU(慣性測定ユニット)。このようなIMUは、回転加速度を測定するように構成された三つのジャイロ・ユニットと、三つの直交方向に沿った並進加速度を測定するように構成された三つの加速度計ととして実装されうる。IMU/ジャイロ及び加速度計は、200Hzのサンプリング周波数で動作してもよい。マイクロプロセッサμPが、GPSユニットからの出力信号を処理している間に、IMUによる測定値を考慮に入れることができるように、IMUもマイクロプロセッサμPに接続される。1軸又は2軸のIMU若しくは1軸ジャイロ及び2D位置支援のためのDMIで間に合うかもしれないことが本発明のいくつかの実施形態において観察される。
・DMI、IMU、及びGPSシステムはマイクロプロセッサμPに接続される。マイクロプロセッサμPは時間を判定するのに用いられ、測定値はこれら三つの測定システムの何れかによって測定されている。マイクロプロセッサのクロックがこの目的のために用いられてもよい。この線形性は、GPS信号からPPS(Precise Positioning Service、正確な位置サービス)信号を受信することによって改善されてもよい。DMI、IMU、及びGPSシステムから受信した信号に基づいて、マイクロプロセッサμPは、車両1のモニタ4に表示される適切な表示信号を判定し、車両がどこに位置するか及び場合によっては車両が移動している方向はどれかを運転者に知らせる。
【0020】
図1に示されるシステムは、例えば車両1に搭載された一つ以上のカメラ9で写真を撮影することによって、地理的データを収集するいわゆる「モバイル・マッピング・システム」に適用されてもよい。さらに、一つ以上のレーザ・スキャナ(図1には不図示)が車両1に搭載されてもよい。(オプションのレーザ・スキャナと同様に)カメラはマイクロプロセッサμPに接続される。場合によっては他のセンサのデータと同様に、カメラの写真は、DMI、IMU、及びGPSのすべてのデータと一緒に、さらなる処理のためにオフラインで収集されてもよい。図1のシステムの別の用途は、車両ナビゲーション・システムの分野であってもよい。近年、車両ナビゲーション・システムにおいて、表示信号は一般に2D(二次元の)地図上の位置に関する。
【0021】
図2aは、図1に示される三つの測定ユニットGPS、DMI、及びIMUからどの位置信号を取得できるかを示す。図2aは、マイクロプロセッサμPが6個の異なるパラメータ、すなわち原点に対する3個の距離パラメータx、y、zと3個のパラメータω、ω、ωとを計算するように構成されることを示す。座標系の原点は固定されているのではなく、車両に対して、例えばIMUシステムに対して規定されることに留意されたい。3個のパラメータω、ω、ωはそれぞれ、x軸、y軸、及びz軸まわりの角度に関する変化の速さ(すなわち回転速度)をそれぞれ示す。z方向は局所重力ベクトルの方向に一致する。多くの状況において、軌道は重力ベクトルに対する傾斜を有するだろう。その結果、x方向は局所重力ベクトルに垂直ではない。この座標系及び測定値はまた、オフラインで用いられるコンピューティング・システムと連動して用いられうる。y軸まわりの車両の方位は通常はピッチ(pitch)と呼ばれ、x軸まわりの方位は通常はロール(roll)と呼ばれ、進行方位(heading)はz軸まわりの方位である。従って、以下の式が成り立つ。

【0022】
用いられる座標系が図2bに示される。地理的座標における緯度、経度、及び海抜、並びに車両1の自由角度をプロセッサ11がどのように判定できるかを以下に説明する。地理的座標系(GEO)は、X軸が地球の赤道面内にあるが、グリニッジ子午線(経路0°)を通るように地球の自転に対して固定されるように規定される。このZ軸は地軸に対して平行であり、Y軸は右手直交系(Y=Z×X)を満たす。このようにするために、局所重力ベクトルにより規定される局所移動座標系内の測定機器GPS、IMU、及びDMIを有する車両の位置及び方位がどのように判定されるかを説明する。
【0023】
この目的のために、車両1は、所定の緯度/経度を有し、車両の進行方位に平行なx軸と地球上の地点での局所重力ベクトルに平行なz軸とを有する地点に配置される。
【0024】
一般に、本出願は図1に示されるような車両に適用されうる。しかしながら、バス、大型トラック、列車、又は電車のような、地球の表面の軌道に沿って移動する車輪を備えるその他のいかなる車両にも等しく適用されてもよい。さらに、以下に説明されるような、(マルチパスや他の理由に起因する真の位置からのオフセットであってもよい、すなわちモデル化された対流圏の伝播遅延ではない)非ガウス雑音により影響されるGPSサンプルを記憶するデータベースから不正確なGPSサンプルを除去することを対象とする方法の実施形態は、水ベースのシステム(例えばボート)や空中のシステム(ヘリコプタや航空機)に対しても、これらがGPSと慣性ポジショニング・システムとを備える限り、等しく適用可能である。
【0025】
本発明を適用してもよい分野の一つは市街道路の建物の3D画像を形成することに関する。このような画像を形成するために、対象の道路を通って運転者が運転するMMS(モバイル・マッピング・システム)が用いられてもよい。図1は、上述されたような、このようなMMSシステムを示す。マイクロプロセッサμPは、例えば一定間隔の時間又は距離若しくは進行方位の所定の変更で写真を撮影するようにカメラ9を制御するように構成される。いくつかの用途では、カメラ9が、市街の建物(building block)の正面写真を撮影することが出来るような環境を対象とする。これらの正面写真は、後の時点において(よって、オフラインで)別個のコンピュータ装置によって処理される。図3はこのようなオフラインのコンピュータ装置10を示す。
【0026】
これに替えて、空中の乗物に搭載された一つ以上のカメラによって写真が撮影されてもよいことが観察される。
【0027】
さらに、MMSシステム(又は空中システム)は、例えば建物のレーザ・サンプルを収集する一つ以上のレーザ・スキャナを備えてもよいことも観察される。ここで、レーザ・サンプルは、写真を建物の正面に対応付ける処理や道路標識を特定する処理に用いられる。
【0028】
図3には、本発明に従うオフラインの計算を実行するのに用いられうるコンピュータ装置10の概略が与えられる。コンピュータ装置10は算術的な動作を実行するプロセッサ11を備える。
【0029】
プロセッサ11は、ハードディスク12、リードオンリメモリ(ROM)13、電気的消去可能リードオンリメモリ(EEPROM)14、及びランダムアクセスメモリ(RAM)15を含む複数のメモリ要素に接続される。これらのメモリ・タイプのすべてが提供される必要は必ずしもない。さらに、これらのメモリ要素は物理的にプロセッサ11の近くに設置されている必要はなく、プロセッサ11から離れて設置されていてもよい。
【0030】
プロセッサ11は、キーボード16及びマウス17のような、ユーザが命令やデータなどを入力するための手段にも接続される。タッチスクリーン、トラックボール、及び音声変換器の少なくとも何れかのような当業者に知られているその他の入力手段も提供されてもよい。
【0031】
プロセッサ11に接続された読み取りユニット19が提供される。読み取りユニット19はフロッピー(登録商標)ディスク20又はCDROM21のようなデータ記憶媒体からデータを読み出し、場合によってはこれらにデータを書き込むように構成される。当業者に知られているように、その他のデータ記憶媒体は、テープ、DVD、CD−R、DVD−R、メモリスティックであってもよい。
【0032】
プロセッサ11は、記録紙に出力データを印刷するプリンタ23のほかに、ディスプレイ18、例えば、モニタ又はLCD(液晶ディスプレイ)スクリーン、若しくは当業者に知られているその他の種類のディスプレイにも接続される。プロセッサ11はスピーカ29に接続されてもよい。
【0033】
プロセッサ11は、通信ネットワーク27、例えば公衆交換電話網(PSTN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどに、入出力手段25によって接続されてもよい。プロセッサ11は、ネットワーク27を通じてその他の通信装置と通信するように構成されてもよい。
【0034】
データ記憶媒体20、21は、本発明に従う方法を実行する能力をプロセッサに提供するように構成されたデータ及び命令の形式のコンピュータプログラム製品を備えてもよい。しかしながら、これに替えて、このようなコンピュータプログラム製品は、通信ネットワーク27を介してダウンロードされてもよい。
【0035】
プロセッサ11は、スタンドアロン・システムとして実装されてもよいし、より大きなコンピュータプログラムのサブタスクを実行するようにそれぞれが構成された複数の並列オペレーティング・プロセッサとして実装されてもよいし、又はいくつかのサブプロセッサを有する一つ以上のメイン・プロセッサとして実装されてもよい。本発明の機能の一部はネットワーク27を通じてプロセッサ11と通信する遠隔プロセッサにより実行されるのであってもよい。
【0036】
スピーカ29やプリンタ23のような示される構成要素のすべてが車両1において適用される必要はないが、図3に示される装置は車両1のマイクロプロセッサに対しても使用されてもよいことが観察される。
【0037】
ある実施形態では、プロセッサ11は、カメラ9によって撮影された写真を受信して、それらをメモリの一つ、例えばハードディスク12に記憶するように構成される。ハードディスク12は、正面写真が撮影された建物のいわゆる「フットプリント」も記憶する。これらのフットプリントは、地上の建物の位置に関する2Dデータを備える。メモリ12−15の一つはプロセッサ11が実行可能なプログラムを記憶し、正しい正面写真が正しい建物に関連付けられるように正面写真をフットプリントに組み合わせるようにプロセッサに対して命令する。従って、取得されたデータは、例えば、運転者が運転している街路の3Dビューを運転者に見せるための車両ナビゲーション・システムで後で使用するために記憶される。この目的のために、このデータはDVDに記憶されうる。
【0038】
本発明は、正面写真をフットプリントに関連付けるためにプロセッサ11により実行されうるコンピュータプログラムを対象とするのものではない。任意の先行技術(又は開発中の技術)のコンピュータプログラムはそうするために本発明の文脈で使用することができ、又は当業者であるオペレータの支援を伴って達成されうる。
【0039】
本発明は例えば正面写真に関連付けられた位置及び方位のデータに関する。より一般的な用語では、本発明は、データが地上の位置及び方位に関連付けられ、他のデータが測定されるのと同時にこの位置及び方位が測定されるような、いくつかの測定ユニットにより収集されたデータに関する。測定されたデータは、例えば、ディジタル地図の道脇の標識、土壌内の自然エネルギー源(例えば、石油、ガスなど)を探索又は調査するための土壌状態、又は携帯電話やその他の無線信号の強度測定のような、正面写真とは全く異なるものに関してもよい。従って、本発明は、地上の所定の位置において関連するデータを収集するために車両1で使用されるセンサの種類に関する用途に制限されない。しかしながら、簡単のために、本発明の説明においてしばしば正面写真を収集する例が用いられるだろう。
【0040】
当業者には明らかなように、建物のフットプリント・データのような他の利用可能なデータに対して正面写真を正しく登録することをプロセッサ11が可能なように、それぞれの正面写真に関する3D位置データはMMSシステムによって可能な限り正確に測定されなければならない。正面写真のこれらの位置データは、カメラ9によりそれぞれの写真が撮影された瞬間におけるMMSシステムの位置と方位とのデータに直接的に関連する。よって、正面写真を撮影している間のMMSシステムの位置及び方位は可能な限り正確に知られるべきである。これらの写真を撮影している間、MMSシステムは例えばx、y、及びzの位置について1〜1.5メートル又はそれ以上の精度と、進行方位、ピッチ、及びロールである角度方位に関して0.1°又はそれ以上の精度とを有するべきである。
【0041】
当業者に知られているように、先行技術のシステムは、位置データx、yと場合によってはzとを得るために、図1に示されるシステムのGPS部分を使用する。しかしながら、当業者にやはり知られているように、GPSシステムのデータの精度は、マルチパス誤差のような誤差によって劣化する。図4は概略的な方法でマルチパス問題を示す。
【0042】
図4は、二つの建物BB1、BB2の間の街路をMMSが運転することを示す。衛星(不図示)は地球に位置信号を送信する。MMSシステムと衛星との間の直接的で遮られない送信パスが利用可能であれば、MMSシステムは、MMSシステムと衛星との間の直線に沿った信号パスSP1を介して位置信号を受信するだろう。しかしながら、建物BB1は送信パスSP1を遮る。しかしながら、示されるように、MMSシステムは、他の建物BB2により反射された衛星からの位置信号を受信する。しかしながら、この位置信号は別のパスSP2に沿って進んでいて、結果として、関係している衛星に依存する不正確な位置測定値となる。
【0043】
現実の状況では、衛星からの位置信号はしばしばマルチパスを介してMMSシステムにより受信されるだろう。多くの場合に、直接的なパスSP1と建物や樹木などに対する反射を介するマルチパスとが存在する。このような反射源の一つは、例えば、MMSシステムのそばを通過する大型トラックにより形成される。例えばカルマンフィルタ、適切な統計計算、長期にわたる平均化などの形式で、マルチパス問題に対処するための先行技術の解決策が提供される。マルチパス誤差のその他の原因は、雷雲やその他の電離層反射に関するかもしれない。ここで言及されたマルチパス誤差の例は排他的であることを意図しない。しかしながら、公共道路上の地上ベースの用途においては特に、トラック、周囲の建物、看板、及び移動車両は複雑で急速に変化する局所的な配置を生成する。このような状況では、長時間の観察に基づく標準的なマルチパスの判定方法は、失敗して当然だろう。
【0044】
ここで、どのGPS測定値が恐らくは正確であり、どのGPS測定値が(要求される精度に対して)恐らくは不正確であって、例えばプロセッサ11(図3)により実行されるような後の任意の位置計算で考慮に入れるべきでないかを決定するのに、他の二つのシステムIMU及びDMI(図1)の少なくとも一つによって収集された位置及び方位の測定データがどのように使用されうるかを説明する。以下では、このことが行われる方法が2Dの状況、すなわち高さzやピッチやロールは考慮されず、x、y、及び進行方位だけが考慮される状況に関して最初に説明される。その後に3Dの例が与えられる。
【0045】
〔2Dの位置及び方位の計算〕
図5はMMSシステムが道路に沿って移動している四つの連続する領域A1、A2、A3、A4を概略的な方法で示す。図5は、車両1がどのように移動したかを異なる測定源に従って示す(正確な縮尺ではない)道路表面の概略的な上面図である。図5は、矢印ARで示される方向にMMSシステムが移動したことを示す。図5の破線はMMSシステムが移動した真の軌道を示す。
【0046】
四つの領域A1、A2、A3、A4のすべてにおいて、MMSシステムは、連続的な正面写真を撮影する間の2Dの位置及び方位を測定するために、GPSサンプルを収集している。GPSサンプルに従う移動した軌道はG(i),i=1,2,3,…,Iで示される。秒間、5個又は10個若しくはそれ以上のGPSサンプルがあってもよいが、本発明はこの数に制限されない。
【0047】
図5はまさに概略的な方法でGPSサンプルを示す。すなわち、これらは連続的な段で示される。実際には、それぞれの段は一つのサンプルであり、ここでは、連続するサンプルの間のサンプリング時間がある。
【0048】
さらに、IMUシステムは、MMSシステムが移動した軌道を測定している。IMUシステムにより計算される軌道は実線で示される。IMUは相対的な位置及び方位を測定する装置であり、軌道に関してIMUを配置する絶対的な基準が必要であることを思い出されたい。この例では、純粋な(pure)IMUの位置は、軌道の開始(左側)において真の軌道の近くに配置される。この実線は、時間にわたるMMSシステムの移動の間に真の軌道からますます外れていくように示される。これは、ドリフト又はIMUシステムにより行われる計算のその他の未補償のずれに起因する。このようなずれ/ドリフトは、IMUが相対的であり絶対的でない測定値を提供するだけであるという事実によってもたらされる。ドリフトによってもたらされる誤差は以下に説明されうる。
【0049】
上述のように、IMUシステムは、以下のパラメータを演繹できるデータを提供する。
・x軸、y軸、及びz軸まわりの回転速度、すなわちdωx/dt,dωy/dt,dωz/dt(図2a)。
・a,a,a、すなわちそれぞれx、y、及びz方向の加速度。
【0050】
2D空間における位置及び方位を計算するために、x方向及びy方向における加速度a、aだけでなく、z軸まわりの回転速度すなわちωが使用される。これらの加速度から、位置x、yと進行方位とが以下のように計算される。

【0051】
通常、これらの加速度からx、yの位置と進行方位とを計算することは時間の経過につれて十分に正確ではなくなる。二重積分により累積する誤差を表す出力信号のドリフトのせいである。このようなドリフトは一般的には移動したキロメートルあたり1mのオーダであるかもしれない。以下において、ドリフトという用語はこれらの式で説明されたような種類のドリフトだけでなく、IMUシステムにおける出力信号の累積誤差に起因するその他の種類のずれの両方を参照するのに用いられる。
【0052】
最終的に、図5の一点鎖線の曲線は、GPSの真の進行方位の測定サンプルG(i)と時間的に近接したGPSの調査の間の距離だけでなく、IMU測定値とDMI測定値とに基づくMMSシステムが移動した推定軌道を示す。
【0053】
図5から見て取れるように、領域A4において、GPSシステムは、推定軌道とGPS出力との間の徐々に増加する逸脱を示す。こらは、同業者にとって明確であろうすべての種類の誤差によってもたらされてもよい。
【0054】
さらに、図5は、GPS測定値が領域A1と領域A2との間及び領域A2と領域A3との間の変わり目において出力が突然のずれを示すことを示す(図5はいくつかのGPSサンプルを示すだけであることに留意されたい。実際には、領域A2のような領域におけるGPSサンプルの数ははるかに多くてもよい。)。このような突然のずれはマルチパス誤差を示すかもしれない。しかしながら、領域A2、A4におけるGPS測定値がマルチパス誤差に起因して不正確であると単純に説明することはできない。領域A1、A3におけるGPS誤差がマルチパス誤差に起因して不正確であることも等しくありえる。さらに、IMUシステムによって測定されたこれらの領域におけるx及びyについての絶対値を先天的に信頼することはできない。なぜならば、これらは、上記で説明された未知のドリフトを示し、何らかの絶対的な基準を必要とするからである。しかし、IMUの出力データは、どのGPSサンプルが不正確であり、どのGPSサンプルが不正確でないかを見つけるのに用いることが出来る。その後に、正確なGPSサンプルの集合が残るように、不正確なGPSサンプルは除去されうる。その後に、この信頼できるGPSサンプルの集合は、順々に、IMUについての絶対位置を確立し、IMUの出力データを補償する、すなわちIMUの出力データにおけるドリフトを推定してIMU測定値からこのドリフトを除去し、その結果全体的な正確な位置判定とするのに用いることができる。このことは、図6、図7a−7d、及び図8a−8cを参照して以下に詳細に説明されるだろう。
【0055】
図6は本発明に従って実行されてもよい動作のフローチャートを示す。これらの動作はプロセッサ11により実行され、領域A2におけるマルチパス問題と領域A4に示される逸脱との両方を解決することを対象とする。
【0056】
動作62において、プロセッサ11はGPSシステムによって測定された時間の関数である車両1の進行方位を取得する。以下、これは“GPS進行方位”と呼ばれる。図8aは期間t0−t3の間のこのようなGPS進行方位の例を示す。曲線において細かな高周波数の振動によって示されるように、GPS測定値は雑音の影響を受けることに留意されたい。
【0057】
動作88に示されるように、GPSシステムからプロセッサ11が取得したその他のデータは車両1のx位置、y位置を含む。動作78に示されるように、これらのx位置及びy位置から車両1の速度が得られる。先行技術で知られているように、これらのすべての測定データは統計的に無相関である。
【0058】
動作64で、プロセッサ11は、MMSシステムが移動した軌道に沿ってIMUシステムにより測定された回転の速度ωを取得し、上述の積分によって計算される車両1の進行方位を供給する。
【0059】
動作72で、プロセッサ11はMMSシステムが移動した軌道に沿って時間の関数としてDMIシステムによって測定されたMMSシステムの車輪角度の値を取得する。
【0060】
2D平面における位置及び方位を計算する目的のために、ほとんどの場合で1000kg以上の塊である車両1は、ローパスフィルタとして振舞うと考えられる。よって、車両1が移動している間は、車両1が移動した軌道における急激な変化は観察されないと仮定する。さらに、車両1は固定フレームとして振舞うと仮定する。
【0061】
DMIのセンサは、例えば、車両1の後輪に搭載される。従って、車両1の重心に対する2D平面におけるDMIの位置の揺らぎは最小であり、その出力信号の揺らぎはGPS信号の揺らぎよりもはるかに小さい振幅の白色雑音であると考えられる。従って、DMI出力における揺らぎは計算において無視できる。
【0062】
車両の動的モデリングから、局所重力ベクトルに対する車体角度は車両の加速度に比例することが十分に知られている。これは「通常の」状態、すなわち、車両が事故にまきこまれず、運転者が(同じ比例定数でブレーキと加速とを行い)前方に向かってとても滑らかな方法で(強引な運転スタイルでなく)車両を運転する場合に当てはまる。
【0063】
これらの仮定の下で、以下の等式が成り立つ。
“MC Trajectory”=“V Reference Trajectory”+“MC Oscillations” (1)
ここで、
・MC Trajectory=車両1の重心が移動した軌道、
・V Reference Trajectory=GPSシステムから得られた車両1が移動した基準軌道、
・MC Oscillations=車両1が移動した基準軌道と車両1の重心との間の局所差分、
であり、MC Oscillationsの大きさは0.1mの範囲内であることが期待され、軌道の判定についての白色雑音であると考えることができる。
【0064】
車体は固定フレームであると考えることが出来るため、車体のすべての点は、車体1の重心と同じ方位を共有する(すなわち、同じロール、ピッチ、及び進行方位を有する)。従って、車体1の位置は、車体1の重心の位置の3D変位ベクトルとして判定されうる。
【0065】
ある実施形態では、局所座標系の中心として車両1の中心を用いるかわりに、GPSアンテナ8の位置を局所座標系の中心として用いる。こうすることの利点は、重心を判定する必要がなく、計算が容易になることである。
【0066】
ここで、以下の動作がプロセッサ11により実行される。
【0067】
動作70で、プロセッサ11は、軌道に沿った進行方位の平滑化された局所平均値を取得するために、IMUシステムにより得られる車両1の進行方位に関して局所線形回帰を実行する。この処理で、GPSサンプルの非ガウス雑音を除去した後に、複数のGPSサンプルを使用する。これは、0.1度以下であるかもしれない精度を有する車両1の正確な“真の”進行方位を供給する。動作70の出力は時間の関数である車両1の進行方位である。
【0068】
動作74で、プロセッサ11はDMIにより供給された車輪角度の回転の劣化補償(decalibration)を実行する。これにより、この車輪が移動した距離を供給する。動作74の結果はDMI測定値に基づく時間の関数であるMMSシステムが移動した距離の推定値である。ここで、この距離は、“DMI距離”と呼ばれる。
【0069】
動作80で、GPSシステムにより測定された速度が、このDMI距離を動的に補償するためにプロセッサ11によって用いられる。従って、動作80で、プロセッサ11は時間の関数である推定された“真の”移動距離を形成する。
【0070】
DMIシステムは慣性歪みによる影響が少ないため、GPSの速度測定値により動的に補償されたDMI測定値は通常、“真の”移動された距離を判定する際に、IMUシステムから値を取得するよりも正確であることが観察されるだろう。
【0071】
動作80の出力と動作70の出力との両方は“曲線補償”とよばれる次の動作84に入力される。この曲線補償の動作84で、以下の式が使用される。
INS_Trajectory2D = Traj_true2D + IMU_drift2D + IMU_noise (2)
ここで、
・INS_Trajectory2D=IMUユニット、DMIユニット、及びGPSユニットを含む慣性ナビゲーション・システムINSにより測定された測定値から計算される車両1が移動した曲線。これは動作84の出力である。
・Traj_true2D=2D平面における車両の基準軌道。すなわち車両1が実際に移動した軌道。
・IMU-Drift2D=IMUシステム測定によりもたらされたドリフト。実際には、“IMU-Drift-2D”は時間の経過につれてゆっくりと変化する関数であろう。
・IMU_noise=IMUシステム測定値における雑音。
式(2)におけるINS_Trajectory2Dは図5における“推定軌道”に対応する。
【0072】
短い距離の間は、以下の式が成り立つ。
INS_Trajectory2D = Traj_true2D + IMU_drift2D + IMU_noise(small) (3)
Traj_true-2D = GPS_meas2D - GPS_noize - GPS_multipath (4)
ここで、
・GPS_meas2D=GPSシステムから得られる測定された位置信号。
・GPS_noise=マルチパス誤差が存在しない場合に存在するであろうGPSシステムからのGPS測定値における雑音。GPSサンプルからの任意のガウス雑音は最小化されることに留意されたい。これを行うための任意の既知の方法が用いられうる。しかしながら、ガウス雑音は別として、他の雑音はなおも残っている。
・GPS_multipath=マルチパス問題に起因するGPS測定値の誤差。
【0073】
ここで、式(3)、式(4)から以下を得ることが出来る。
IMS_drift2D
= INS_Trajectory2D - IMU_noise - [GPS_meas2D - GPS_noise - GPS_multipath] (5)
【0074】
ここで、式(2)は以下の形式で書き直される。
Traj_true2D_approx=INS_Trajectory2D - IMU_drift2D_approx (6)
ここで、すべてのパラメータは式(2)と同じ意味を有し、“approx”の付加は近似値を有するパラメータを参照する。式(6)は動作86に関連付けられた式である。さらに、式(5)はIMUシステムにより引き起こされるドリフト(IMU_drift2D)の第1の推定値の生成に用いられうる。すなわち、IMU_drift2Dはおおよそ、以下に等しいと推定できる。
IMU_drift2D≒[IMU_meas2D - GPS_meas-2D] (5a)
ここで、IMU_meas2D=IMUシステムにより測定された車両の進行方位、である。
【0075】
これは図8a−8cを参照して以下に説明されうる。図8aはGPSシステムにより測定された車両1の進行方位を示す。図8aに示される信号は、なおも(ガウス)雑音を有してもよい。図8bは同じ進行方位だがIMUシステムから得られるものを示す。IMUシステムから得られる進行方位は実際の進行方位に対するドリフトを有する。
【0076】
図8cは、図8bの曲線から図8aの曲線を減算した結果の曲線を示す。結果の曲線は実質的に原点へのオフセットを有する直線となる。曲線の角度は1次オーダに対応し、時間の関数であるIMUシステムのドリフトの主な要素である。曲線はなおもGPSシステムにより生じる何らかの(ガウス)雑音を示す。しかしながら、これは先行技術で知られている任意の方法で簡単にフィルタ除去することが出来る。残っている誤差は以下に説明されるように識別されたマルチパスに起因する。
【0077】
もちろん、測定されたGPS信号がなおもマルチパス問題と非ガウス雑音とに起因する誤差を含んでいる場合に、これらの誤差はまた図8cの曲線に現れるだろう。よって、マルチパスと非ガウス雑音とに起因するGPS信号のすべての誤差が取り除かれた時点で、図8a−8cに関連して説明される方法はIMUシステム内のドリフトの適切な推定値だけを与えるだろう。よって、動作86で用いられる場合に、結果はなおも非常に不正確である。さらに、より多くの非正確なGPSサンプルがGPS測定から取り除かれると、この方法は繰り返し用いられうる。これは以下に説明される。
【0078】
式(5)と式(6)との組み合わせは以下の式を与える。
Traj_true2D_approx = Traj_meas2D - EQ[GPS_meas_2D - GPS_noise - GPS_multipath - IMU_meas2D] (7)
ここで、EQ[…]はパラメータの時系列の均等化、すなわち[…]の間の所定の数、例えば100個のサンプルにわたる移動平均(又はその他の任意のローパスフィルタ)を判定することを表す。
【0079】
これらすべての2D信号はx方向とy方向との両方の要素を有するパラメータの時系列として考えることが出来ることが観察される。よって、ポジショニング問題は時系列の均等化の一連の1次元の問題に分解される。
【0080】
式(7)から見て取れるように、EQ[…]を計算するために、GPS_noiseとGPS_multipath - IMU_meas2Dとの両方を知る必要があることがここで問題となる。これらのパラメータの両方がGPS測定値からフィルタ除去された場合にこの式は良好に動作するだろう。これは以下に示す繰り返しの処理により行うことが出来る。
【0081】
まず第一に、動作92に示されるように、プロセッサ11は以下の式を満たすかどうかをテストするような局所分散フィルタを適用する。
|GPS_meas2D - Traj_true2D_approx| > Threshold (8)
ここで、GPS_meas2DはすべてのGPSサンプルから形成される。
【0082】
この“Threshold”は例えば、GPS集合に対する分散測定の平均分散値に等しい。局所分散は幾つかの範囲、例えば20から10へのGPSサンプルに対して計算されてもよい。
【0083】
図7a−7dはこのような分散フィルタが図5に示される例に適用された場合にどのように動作するだろうかを示す。
【0084】
図7a−7dは図5に示されたものに対応するいくつかの曲線を示す(実際の軌道は欠落している)。第1の曲線は、複数の連続したGPSサンプルG(1)、G(2)、G(3)、…によって、車両1が移動した軌道を上面から示すブロック形状の信号を示す。図7aから見て取れるように、GPSサンプルG(i)とG(i+1)との間、G(i+5)とG(i+6)との間、及びG(j+6)とG(j+7)との間に大きな変わり目がある。さらに、G(j+1)から始まる段階的な変化の変わり目がある。大きな変わり目はマルチパス誤差に起因するかもしれない。しかしながら、GPSサンプルだけに基づいて、雑音/マルチパス問題に起因する誤差を含む測定値に関するものがどれであって、正しいものがどれであるかを決定することは出来ない。
【0085】
図7aの第2の曲線は、IMU測定値a及びaから計算された軌道を表す実線である。このIMUの線はドリフト(典型的には1kmあたり1m)を有するが正確なドリフトの値は未知である。
【0086】
図7aの第3の曲線は、動作86の新たに計算された曲線(すなわち、上記の式(6))である破線である。
【0087】
ここで、動作92で、プロセッサ11は分散フィルタを実行する。すなわち、プロセッサ11は、式(8)を参照して説明されたような方法で、図7aの破線とGPSの線とを比較する。図7aから明らかであろうように、これは高い分散の領域を与える。“分散”という用語は本明細書において、二つの異なる信号の間の差分を表し、同一信号内の連続するサンプルの間の差分を表すのではないことに留意されたい。これらの領域は図7aにおいて一点鎖線の円で示される。よって、まず第一に、これは、車両1が移動した軌道の計算においてもはや用いられるべきではない、このような高い分散を有するサンプルG(j+1)からG(j+5)を供給する。第二に、これは、高すぎる分散を有するG(i)とG(i+1)との間の変わり目におけるサンプルを供給する。よって、サンプルG(i+1)も、もはや用いられるべきではない。同じことがサンプルG(i+5)についても成り立つ。よって、分散フィルタを適用した結果、雑音に関するサンプル(すなわち、G(j+1)からG(j+5))はもはや使用されず、マルチパス誤差に起因する変わり目におけるGPSサンプル(すなわち、G(i+1)及びG(i+5))も同様にもはや使用されない。
【0088】
ここで、近似軌道の線Traj_true-2D_approxとの比較は、IMUシステムによって生じるいかなるドリフト問題によってもあまり影響を受けない公平な比較であることを仮定する。なぜならば、IMU信号のドリフトの影響は隣接する少数のGPSサンプルのような短い時間期間では無視されるほど十分に小さいからである。
【0089】
動作90で、プロセッサ11はここで、GPSサンプルの集合から分散フィルタによって発見されたGPSサンプルを除去する(これらはメモリに保持されるかもしれないが、これ以上は考慮されない)。これは、図7bでばつ印で示される。これにより、GPSサンプルの新たな集合を与える。
【0090】
ある実施形態では、時間的に後の動作において、プロセッサ11は、除去されたGPSサンプルの中で最もよいサンプルはどれであるかを探して、これらを正確なGPSサンプルの集合に再度付け加えてもよいことが観察される。これは、プロセッサ11に多少の時間を必要とするかもしれないが、軌道の近似を改善するかもしれない。特に、多くのGPSサンプルを除去した後に、再帰的にこのようなGPSサンプルを集合に再度加えることは、GPSサンプルが何もない間隔を十分に減らすかもしれない。これにより、本方法をより正確にすることができる。
【0091】
動作94で、この新たなGPSサンプルの集合は、車両1が移動した軌道の新たな推定Traj_true2D_approxを生成するのに用いられる。新たな推定軌道は図7bで一点鎖線で示される。さらに、IMUデータによって引き起こされるドリフトが式(5a)に従って再び推定される。
【0092】
動作96で、プロセッサ11は、動作92の後で残っているGPSサンプルの集合内のGPSサンプルを検出し、軌道Traj_true-2D_approxの計算からこれらを排斥するために“形状フィルタ”を適用する。この“形状フィルタ”において、再びその後に、動作94から新たに計算された軌道と、より感度の高い閾値とに式(8)が適用される。
【0093】
この動作は高い分散を示す新たなGPSサンプルを与えるだろう。図7bにおいては、これはGPSサンプルG(i+2)及びG(i+4)を消去するため識別するだろう。プロセッサ11は、動作94の後に残っているGPSサンプルの集合からこれらのGPSサンプルG(i+2)及びG(i+4)を削除する。
【0094】
図7cに示されるように、動作98で、プロセッサ11はこのような高い分散を有するGPSサンプルが動作96において発見されたかどうかを調べる。発見された場合に、プロセッサは動作100を続ける。発見されなかった場合に、プロセッサ11は動作102を続ける。
【0095】
動作100で、プロセッサ11は、残っているGPSサンプルを使用している間に、(図7cで一点鎖線で示される)新たな推定軌道Traj_true2D_approxを再び計算する。この新たな推定軌道Traj_true2D_apporxを用いて、IMUシステムにより生じたドリフトは、式(5a)に従って再び計算される。
【0096】
従って、動作98のテストに起因して、高い分散を有するGPSサンプルが、繰り返された新たな推定軌道Traj_true2d_approxに発見される限り、このような高い分散を有するGPSサンプルは除去される。動作98において調べられる際に、このような高い分散を有するGPSサンプルがもはや見つからない場合に、プロセッサは動作102を続ける。動作102で、プロセッサ11は結果の推定軌道Traj_true2D_approxを時間の関数(従って、軌道の位置の関数)である車両1の進行方位に結合する。
【0097】
よって、プロセッサ11が図6に示されるフローチャートの動作を実行した後に、2D平面においてMMSシステムが移動した軌道がわかる。すなわち、プロセッサ11は時間の関数であるx、y、及び進行方位を計算したことになる。
【0098】
本発明の処理は、軌道の最良の推定値が見つかる前に、一連の測定値を利用することに留意されたい。リアルタイムの用途では、一連の測定値は、考慮に入れるための過去の測定値のみを有する。本発明はリアルタイムの用途に適用するように適切に修正されるであろうが、任意の特定の時点に関する過去の時点と将来の時点との処理が繰り返しにより可能となる場合に主に完全な利点が達成される。この理由で、本発明は主としてオフラインの用途に対して考えられる。
【0099】
〔備考及び代替〕
以下の観察が行われる。
【0100】
IMUシステムの出力信号のドリフトに起因する推定軌道のドリフトを推定するために図8a−8cを参照して説明された方法はまた、動作66の後に利用できるIMUシステムの方位出力信号のドリフトを直接的に推定するのに用いることが出来る。この目的のために、すべての不正確なGPSサンプルが除去された後のGPSシステムから利用可能な時間の関数である方位信号は、IMUシステムの方位信号から減算される。これは、図8cに示される時間の関数であるIMU信号のドリフトを示す信号に類似する信号を与えるだろう。
【0101】
いくつかの場合に、マルチパス問題は多数のGPSサンプルに関連してもよい。その後に、マルチパスの領域の外側のGPSサンプルもマルチパスによって影響を受けるかもしれない。従って、プロセッサ11はマルチパス領域の外側のいくつかのGPS測定値、例えばこの領域の前後の20個のGPSサンプルをも除去してもよい。
【0102】
GPS曲線の“点”の周囲の形状の違いを適切に検出するために、“形状フィルタ”は以下のトレードオフの要求の間の妥協点を探さなければならない。
1.フィルタは(移動距離において)可能な限り多くの点を考慮しなければならない。
2.フィルタはその上、GPS曲線の短い形状の異形(anomaly)を検出しなければならない。
先行技術からの複数の方法がこのようなフィルタを構築するのに用いられうる。
【0103】
分散フィルタと形状フィルタとの両方に用いられるウィンドウ・サンプル・サイズは可変であってもよいし、DMI測定値による移動距離によって計算されてもよい。例えば、車両の停止の影響を除去するために、両方の時間方向において少なくとも100m(又は任意の他の値)とする。
【0104】
動作84、86、94、及び100に示されるように、プロセッサ11はMMSシステムが移動した軌道の推定曲線を計算する。これは、先行技術から知られる任意の方法に従って行われてもよい。しかしながら、ある実施形態では、図9a及び図9bを参照して説明される方法が用いられる。
【0105】
図9aはMMSシステムが移動した軌道Ttrueを示す。しかしながら、時間の関数である計算された進行方位を提供する動作70の出力は、有限数のサンプルの形式にすぎない(IMUシステムは例えば秒間200個のサンプルを提供し、GPSシステムは例えば秒間5個のサンプルを提供する)。よって、MMSシステムが移動した実際の軌道は、時間の関数であるこれらの方位サンプルと、動作80の出力である計算された距離とから近似されるべきである。当該技術に既知であるこのような近似軌道を計算するまさに通常の方法が矢印Tappr1で示される。矢印Tappr1は、軌道上の連続した計算される点Pの間の線形補間に基づいた計算を示す。しかしながら、図9aから見て取れるように、これは、MMSシステムがカーブを運転している場合にはあまり正確ではない第1オーダの近似を与えるだけである。
【0106】
連続する点Pの間の近似軌道を計算する別の方法が図9aにおいて軌道Tappr2で示される。軌道Tappr2はそれ自体が曲がっていて、クロソイド曲線部分に基づいて計算された軌道上の連続する点の間の補間に基づく。図9bはクロソイド曲線形状の定義を示す。すなわち、曲線が固定点R0への距離Rを有し、曲線に沿って固定点R0に向かって距離Dを移動した場合に1/Rに対応する量が距離Rから減少する場合に、曲線はクロソイド形状を有すると言われる。よって、図9bにおいて、距離Dを移動した後に、距離R1はR2=R1−a/Rに減少し、さらに距離Dを移動した後にR3=R2−a/R2に減少する。二つの連続する点Pの間に用いられるクロソイド部分の正確な曲率は点Pに先行する軌道に対して計算された軌道の曲率の量に依存する。
【0107】
図9a及び図9bに係る解決策は、車両をカーブへと運転するために、又は曲がり角から出るために運転者がハンドルを回す際に、そうすることの最も自然な方法が車両がクロソイド形状の曲線に従うような方法で行うことであるという洞察に基づく。さらに、クロソイド形状のカーブは、運転者が最も早いスピードでカーブを運転することを可能とするため、道路のカーブは近頃、クロソイド形状で設計することが法律によって要求されている。もしクロソイド形状で設計されていなければ、危険な状況を避けるために、運転者は制限された速度でカーブを運転することしかできない。
【0108】
計算への入力は、再び進行方位と距離とである。計算はサンプルごとに行われる。図9a及び図9bを参照して説明された方法を用いて、MMSシステムが移動した真の軌道について、先行技術の方法で可能なものよりも正確な推定が達成される。
【0109】
複数の曲線Tappr2の連結に基づく推定軌道が結果として得られる。
【0110】
〔x軸及びy軸に関する方位、傾斜、局所重力、並びにzレベルの計算〕
以上では、“形状フィルタ”が、マルチパス誤差に起因する不正確なGPSサンプルを含む一連のGPSサンプルから、不正確なGPSサンプルを取り除くのにどのように適用されうるかを説明してきた。さらに、近似軌道とGPSサンプルから判定された軌道とを繰り返し比較することによって、IMUシステムに起因するドリフトは打ち消されうる。こうすることによって、2Dの世界において軌道の正確な近似が判定されうることが示されてきた。しかしながら、実際の世界は3Dであり、例えば図1に示されるMMSシステムによる測定値に基づくほとんどの用途は、3Dデータも同様に必要とする。このような3Dデータは移動した道路に沿ったMMSシステムのx軸及びy軸まわりの方位、並びにzレベルを含む。しかしながら、別の重要なパラメータは局所重力ベクトルに対する傾斜の角度であってもよい。局所重力ベクトルは地心を向くベクトルと一致している必要はないことに留意されたい。これは、地心を向くベクトルからの重力ベクトルの局所逸脱を山地の塊が引き起こす山地において特に当てはまる。差異は2%程度の大きさであるかもしれない。例えばトラックにとって、地心ベクトルがどこを向いているかは重要でなく、局所重力ベクトルがどこを向いているかが重要である。局所重力ベクトルだけがトラックに適用される重力を判定する。これはトラック産業で高まる関心である。
【0111】
GPSセンサは局所重力ベクトルを提供しない。これらは地心に向かうベクトルに関するデータを提供するだけである。
【0112】
原理上は、IMUセンサは静止状況において局所重力ベクトルを測定できる。動いている状況において、IMUは重力と慣性力との重ねあわせを測定する。よって、動いている状況では、重力ベクトルを測定しようとする場合に、IMUの読み取り値からすべての動的な力を除去する必要がある。
【0113】
基本的に、ここで提案される方法は以下の通りである。
・データを収集している間にMMSシステムは運転しているため、動的な状況においてすべての移動加速度を加算した重力に関する測定値をIMUシステムは提供する。
・しかしながら、DMIシステムは速度を測定し、従ってプロセッサ11はx方向におけるMMSシステムの移動加速度を得ることが出来る。(x方向は固定されたx方向でなく、道路に沿ったMMSシステムに搭載されたIMUシステムの動きに対していて、同様に、y方向はx方向に垂直で道路表面内にあるとして局所的に定義されることに留意されたい。)
・よって、プロセッサ11はIMUシステムにより測定された測定値から、DMIシステムから得られた移動加速度を取り除くことができ、時間の関数であるMMSシステムのピッチ及びロールを介して重力ベクトルを与える。
【0114】
これについて、ここで数学的な方法で以下に説明される。
【0115】
正確な進行方位データが確立され、DMIシステムが調整されたとすると、プロセッサ11は、加速度計の読み取り値に影響を与えている動的加速度を非常に正確に得ることができる。これらの加速度は以下の式により表現できる。

ここで、

はMMSシステムの移動方向の加速度に等しい。

はDMIシステムから得られたMMSシステムのx方向の速度である。

はMMSシステムの移動方向と局所重力ベクトルとに垂直な方向において測定された加速度に等しい。

は上述された2Dの方法から得られたMMSシステムの進行方位の変化の速度である。
【0116】
水平加速度及び付加的に垂直加速度の除去は、以下の式から得られる。

ここで、

は重力加速度ベクトルに反対方向の加速度に等しい。

は局所重力ベクトルに対するMMSシステムのピッチに等しい。
【0117】
これにより、プロセッサ11に動的加速度の主な要素を除去する機会を与える。この方法で“静止しているような”以下の読み取り値が生成される。

ここで、

はx軸においてIMUシステムにより測定された加速度に等しい。

はx軸における静止した(動的を除去した)加速度に等しい。

はy軸においてIMUシステムにより測定された加速度に等しい。

はy軸における静止した(動的を除去した)加速度に等しい。

はz軸においてIMUシステムにより測定された加速度に等しい。

はz軸における静止した(動的を除去した)加速度に等しい。
【0118】
これらの“静止しているような”値は局所重力の読み取り値のバイアスがかかっていない推定値だろうが、それでも道路に沿って移動している間のMMSシステムの振動によって生じる白色雑音を有する。この雑音要素の時間にわたる平均はゼロに等しいだろう。よって、平均化は信号からのこの白色雑音の打ち消しに用いられ得る。
【0119】
ここで、ピッチ及びロールは以下の式から取得できる。

【0120】
式(15)及び式(16)から得られるpitchacc及びrollaccの値は加速度測定値に基づくIMUシステムの方位のピッチ及びロールのバイアスがかかっていない近似値である。しかしながら、これらは雑音の多いデータから得られるため、これらもまた雑音の多いデータであろう。
【0121】
IMU方位のピッチ及びロールの真の値を推定するために、プロセッサ11は類似の方法で上述の2D部分で説明された方法を用いることができる。上記では、車両の進行方位

の推定値において、ドリフトがどのように除去されうるかを説明した。ここで、プロセッサ11はpitchacc及びrollaccを参照データとしてそれぞれ使用し、IMUパラメータ

及び

のそれぞれのドリフトを計算する。
【0122】
図10aは時間枠t0−t3について、結果である近似されたピッチ値pitchaccを示す。この例では、瞬間t1においてpitchaccは増加し、瞬間t2において減少する。示される信号は、道路を移動している間のMMSシステムの振動に起因する雑音を備える。
【0123】
ここで、プロセッサ11は、重力ベクトルに対するIMUシステムのピッチ及びロールの方位の真の値を得ることが出来る。以下の説明において、これらの値はそれぞれpitchtrue及びrolltrueと呼ばれる。
【0124】
プロセッサ11は、IMUシステムにより測定された加速度測定値により、y軸まわりのピッチ値を取得する。二重積分によって、プロセッサ11はこの加速度測定値から計算されたピッチpitchIMUを得る。結果は図10bに示される。示されるように、計算されたピッチpitchIMUは雑音を備えていないが、二重積分により生じたドリフトを備える。
【0125】
次に、プロセッサ11は図10bに示される曲線から図10aに示される曲線を減算する。これは図10cに示される曲線を生成する。図10cに示される曲線は、いくつかの雑音が加えられたIMUシステムによって測定されたピッチのドリフトを示すべきである。よって、例えば平均化技術又は局所線形回帰を用いて、プロセッサ11は図10cに示される信号から雑音を除去し、IMU測定値の結果であるピッチのドリフトを与える。ここで、プロセッサ11はIMUシステムによる測定値から生じるピッチからのドリフトを補償できる。これは正確なピッチpitchtrueを供給する。
【0126】
ここで、プロセッサ11はまた、ピッチpitchtrueに対して説明されたのと同じ方法で、正確なロールrolltrueを計算できる(図10a−図10c参照)。
【0127】
〔傾斜の計算〕
原理上は、静止しているIMUセンサは局所重力ベクトルを測定できる。すなわち、局所重力ベクトルに対するピッチ及びロールが既知になると、局所重力ベクトルは既知になる。上記の節では、動的な状況において局所重力ベクトルをどのように測定するかに関する方法を提供した。これらの読み取り値から傾斜をさらに計算するために、車両の付加的な動的属性を考慮に入れる必要がある。例えば、車が比較的短い長さを有する場合、又はIMUシステムが車体に正しく搭載されていない場合に、測定された局所重力ベクトルは正確であるかもしれないが、傾斜の角度はなおも非常に不正確であるかもしれない。もちろん、これはとても長い車(すなわちトラック)で測定したり、IMUシステムを正しく車両に搭載することによって避けることができるが、実際的ではない。さらに、車を運転している間にIMUセンサで測定することでこれを避けることができるが、その測定はIMU出力のドリフトに非常に影響を受けるかもしれない。
【0128】
図11は重力に対する傾斜の計算に関連するパラメータを示す。MMSシステムは傾斜上の点Pにいると仮定する。MMSシステムは、DMIシステムにより測定される速度

で運転している(x方向はMMS自体により定義される移動座標系に関し、よってx方向は傾斜そのものに沿っていることを思い出されたい)。説明のために、局所重力ベクトル

は地心への方向から比較的大きく逸脱して示されている。ほとんどの場合、この逸脱は多くても2%であるだろう。運転速度

は、局所重力ベクトル

の一つの方向における“垂直”速度

とこの垂直速度

に直交する速度とに分解されうる(後者の直交する速度は図11に描かれていない)。よって、以下の式が成り立つ。
slope_angle=arcsin(vz/vx) (17)
【0129】
垂直速度vはまた、局所重力ベクトル

の方向の垂直静止加速度

を測定するIMU静止システムによって測定される測定値から得ることが出来る。以下の式が成り立つ。

【0130】
この式の結果は何らかのドリフトを示すが、短い距離で用いることもできる。式(18)から得られた垂直速度Vの値は式(17)に代入されうる。さらに、DMIシステムから分かる運転速度

は式(17)に代入されうる。
【0131】
言い換えると、DMI測定値から運転速度

を取得し、垂直加速度

に関するIMU静止測定値から垂直速度vzを計算し、式(17)を適用することによって、プロセッサ11は局所重力ベクトル

に対する傾斜角度を計算する。
【0132】
第1の代替では、プロセッサ11は傾斜角度を計算するために以下の式を用いる。

ここで、
pitchtrue=上述の計算から利用可能なピッチ。
ax=DMIシステムから利用可能であるx方向の加速度。
k=定数。kの値はテストにより見つけることができ、MMSの質量ばね振る舞いに依存する。
【0133】
式(19)は先行技術から知られていることが観察される。しかしながら、新規なことは、この式が局所重力ベクトル

に対する傾斜角度を判定し、従ってプロセッサ11はこの傾斜を容易に計算できるという洞察である。
【0134】
第2の代替では、プロセッサ11は傾斜を計算するために式(17)と(19)との両方を用い、垂直速度vを取得するためにIMU測定値を用いない。式(19)は式(18)により取得された値からドリフト(又は他の誤差)を除去するのに用いられ、誤差が補償された垂直速度値vz,err_compを与える。従って、IMUシステムから垂直速度vzを決定する際のドリフトは避けられうる。よって、このような方法は、局所重力ベクトル

に対する垂直速度vを計算する方法、すなわちvz,err_compの形式でプロセッサ11に提供する。誤差が補償された垂直速度vz,err_compがこの方法で計算されると、プロセッサ11は傾斜角度を計算するために式(17)を用いる。ここで、式において、vの代わりにvz,err_compが用いられる。
【0135】
ここでは傾斜の計算は式(17)に基づいて提示されるが、一般に局所重力ベクトルに対する傾斜の計算は、DMIシステム及びIMUシステムの測定値を用い、IMUシステムの測定値が局所重力ベクトルに対して測定されるいかなる同等の式に基づいてもよい。
【0136】
さらに、局所重力ベクトルに対する傾斜の計算は、2D平面における任意の発明は別として、不正確なGPSサンプルを除去するような、別個の発明としてみなされる。非常に正確なGPSサンプルの集合を有すると、上述の方法で傾斜を計算できる。このGPSサンプルの集合は、本明細書で説明される方法で取得される必要はない。
【0137】
〔zレベルの計算〕
ここで、プロセッサ11は以下の式を用いて時間の関数であるMMSシステムの相対zレベルを容易に計算できる。

ここで、z(t)は局所重力ベクトル

の方向の相対zレベルである。
【0138】
この相対zレベルは、絶対zレベルすなわち地心方向に反対側のz方向で測定される海抜のzレベルを計算するために、プロセッサ11により用いられうる。この目的のために、プロセッサ11は相対zレベル値を絶対海抜値にシフトするのに用いられるシフトベクトルを得るように構成されうる。例えば、このようなシフトベクトルは、上述の2Dの方法は平均値の結果として生じるものとして識別されるすべてのGPSzGPS(t)の読み取り値を平均し、kの平均値を対応する相対z(t)値の平均から減算することによって、プロセッサ11により取得されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全地球測位システムのサンプルの集合の中の不正確な全地球測位システムのサンプルを判定するコンピュータ装置であって、プロセッサ(11)により実行可能な命令及びデータを含むコンピュータプログラムを記憶するメモリ(12;13;14;15)と通信するように構成された前記プロセッサ(11)を備え、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する際に、
a) 軌道に沿って移動した際に地上の乗物に搭載された全地球測位システムにより採られた全地球測位システムのサンプルを取得する動作と、
b) 前記全地球測位システムのサンプルに基づいて前記軌道の第1の推定値を取得する動作と、
c) 前記軌道に沿って移動した際に前記地上の乗物に搭載された慣性測定ユニットにより測定された測定値に少なくとも基づいて、前記軌道の第2の推定値を取得する動作と、
d) 前記第1の推定値と前記第2の推定値とを比較する動作と、
e) 前記第2の推定値と比較して所定の閾値を上回る変動を前記第1の推定値が示す場所を確立する動作と、
f) このような場所を確立できない場合に動作j)に続き、確立できる場合に動作g)に続き、
g) 大きい変動である前記場所に関連付けられた全地球測位システムのサンプルを不正確な全地球測位システムのサンプルであるとして除去し、それにより、残った全地球測位システムのサンプルの集合を形成する動作と、
h) 前記残った全地球測位システムのサンプルに基づいて前記軌道の前記第1の推定を再び計算し、前記第2の推定を再び計算する動作と、
i) 動作d)から動作h)を繰り返す動作と、
j) 前記動作群を終了する動作と
を実行するように構成されたことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
前記コンピュータ装置は、動作j)において前記動作群を終了する前に、事前に定められた基準を満たしているかどうかをテストし、前記事前に定められた基準を満たさない場合に動作d)から動作h)を繰り返すように構成され、前記事前に定められた基準は、前記乗物が移動した最小距離と前記乗物の移動の最小時間期間とのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記プロセッサ(11)は、前記乗物に搭載された距離測定機器により測定された距離測定値に基づいて前記乗物が移動した最小距離についての前記事前に定められた基準を調べるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記最小距離は100mであることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
前記軌道の前記第2の推定値は、前記軌道に沿って移動している際に前記地上の乗物に搭載された距離測定機器によって測定された測定値にも基づくことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項6】
前記軌道の前記第2の推定値は、前記軌道に沿って移動している際に前記地上の乗物に搭載された前記全地球測位システムにより測定された前記乗物による移動の方向に関する測定値にも基づくことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項7】
前記軌道の前記第2の推定値は、前記軌道に沿って移動している際に前記地上の乗物に搭載された前記全地球測位システムにより測定された前記乗物による移動の速度に関する測定値にも基づくことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項8】
前記プロセッサ(11)は、前記コンピュータプログラムを実行する際に、動作d)を実行する前の任意の時点で、
・前記乗物が移動した前記軌道の部分に関連付けられた時間の関数である第1のパラメータを取得する動作であって、前記第1のパラメータは、xyz座標系により規定されるx値、y値、z値、xy平面における方位、ロール、及びピッチを含むグループの中の一つであり、前記第1のパラメータは、前記軌道の前記部分に沿って移動している間に前記乗物に搭載された第1の測定システムから取得される、動作と、
・前記乗物が移動した前記軌道の前記部分に関連付けられた時間の関数である第二のパラメータを取得する動作であって、前記第2のパラメータは前記第1のパラメータと同等であるが、前記慣性測定ユニットにより測定された前記測定値から取得される、動作と、
・時間の関数である前記第1のパラメータと前記第2のパラメータとを比較し、前記軌道の前記部分の前記第2のパラメータの測定誤差を前記比較から演繹する動作と、
・前記第2のパラメータの前記測定誤差に起因する前記軌道の前記第2の推定値の誤差を補償する動作と
を実行するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項9】
前記第1の測定システムは前記全地球測位システムであることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ装置。
【請求項10】
前記測定誤差は、前記慣性測定ユニットにより測定された前記測定値におけるドリフトとずれとの少なくとも一つに関連することを特徴とする請求項8又は9に記載のコンピュータ装置。
【請求項11】
前記プロセッサ(11)は、前記軌道の前記第2の推定値を取得する前記動作において、前記軌道の連続する位置を計算し、該位置の間のクロソイド形状の近似値を用いながら該位置の間の補間を計算するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項12】
前記プロセッサ(11)は時間の関数である前記軌道に沿って移動した際のxy平面における前記乗物の方位を計算するように構成され、前記xy平面はx軸及びy軸により局所的に規定され、前記x軸は前記軌道に沿っており、前記y軸は前記x軸及び局所重力ベクトルに垂直であり、
前記方位の計算は、
・前記残った全地球測位システムのサンプルに基づいて時間の関数である第1の方位信号を推定する動作と、
・前記慣性測定ユニットにより測定された方位測定値に基づいて時間の関数である第2の方位信号を推定する動作と、
・時間の関数である前記第1の方位信号と前記第2の方位信号とを比較する動作と、
・前記比較する動作に基づいて時間の関数である前記第2の方位信号の誤差を得る動作と、
・前記第2の方位信号の前記誤差を補償し、それにより、誤差が補償された第2の方位信号を与える動作と、
・前記第1の方位信号と前記誤差が補償された第2の方位信号とに基づいて、移動した軌道に沿った時間の関数である前記乗物の前記方位を計算する動作と
を行う間に行われることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項13】
前記プロセッサ(11)は、時間の関数である前記軌道に沿って移動している間に、前記乗物のピッチ及びロールの少なくとも一つの第1の推定値を、
・移動加速度に関して前記慣性測定ユニットから測定データを取得する動作と、
・前記乗物に搭載された距離測定ユニットから前記x方向の速度測定データを取得する動作と、
・前記乗物の前記x方向の移動加速度を得る動作と、
・前記加速度を与えるように、前記IMUシステムにより測定された前記測定値から前記移動加速度を削除する動作と
に従って計算するように構成されたことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項14】
前記プロセッサ(11)は、時間の関数である前記軌道に沿って移動している間に、前記乗物のピッチ及びロールの少なくとも一つの近似値を、


=前記x方向の加速度、

=前記距離測定ユニットから得られた前記x方向の速度、

=測定された前記y方向の加速度、

=進行方位の変化の速度
とした場合に、

を計算する動作と、


が前記局所重力ベクトルに反対方向の加速度に等しく、

が前記局所重力ベクトルに対する前記乗物の前記ピッチに等しいとした場合に、

を計算する動作と、


=前記慣性測定ユニットにより測定されたx軸の加速度、

=x軸の静止加速度、

=前記慣性測定ユニットにより測定されたy軸の加速度、

=y軸の静止加速度、

=前記慣性測定ユニットにより測定されたz軸の加速度、

=z軸の静止加速度、
とした場合に、

を計算する動作と、
・pitchapp=ピッチの近似値、
rollapp=ロールの近似値
とした場合に、

の少なくとも一つを計算する動作と
を実行している間に計算するように構成されたことを特徴とする請求項13に記載のコンピュータ装置。
【請求項15】
前記プロセッサ(11)は、誤差が補償されたピッチとして定義される真のピッチと、誤差が補償されたロールとして定義される真のロールとの少なくとも一つを与えるために、前記慣性測定ユニットにより測定された前記測定値からピッチ及びロールの前記少なくとも一つの推定値を計算し、ピッチ及びロールの前記少なくとも一つの前記近似値を前記ピッチ及びロールの前記少なくとも一つの前記推定値と比較し、前記比較に基づいてピッチ及びロールの前記少なくとも一つの前記推定値における誤差を補償するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載のコンピュータ装置。
【請求項16】
前記プロセッサ(11)は、局所重力ベクトル(

)に対する前記軌道に沿って移動している間の前記乗物の傾斜角度slope_angleを、
vz

から計算される前記局所重力ベクトルの反対方向の速度
とした場合に、
slope_angle=arcsin(vz/vx) (17)
に従って計算するように構成されたことを特徴とする請求項14又は15に記載のコンピュータ装置。
【請求項17】
前記プロセッサ(11)は、局所重力ベクトル(

)に対する前記軌道に沿って移動している間の前記乗物の傾斜角度slope_angleを、
vz=前記局所重力ベクトルの反対方向の速度、
pitchtrue=真のピッチ、
ax=前記距離測定ユニットから得られたx方向の加速度、
k=定数
とした場合に、
slope_angle=arcsin(vz/vx) (17)

に従って計算するように構成されたことを特徴とする請求項15に記載のコンピュータ装置。
【請求項18】
前記プロセッサ(11)は、
・pitchtrue=真のピッチ、
ax=前記距離測定ユニットから得られたx方向の加速度、
k=定数
とした場合に、
vz=vx.sin(pitchtrue-k.ax) (19)
を計算し、
・誤差が補償された垂直速度値vz,err_compを与えるように、式(18)から取得されたvzから誤差を削除するために式(19)を使用し、
・式(17)のvzに前記誤差が補償された垂直速度vz,err_compを代入する
ように構成されたことを特徴とする請求項16に記載のコンピュータ装置。
【請求項19】
前記プロセッサ(11)は、

から前記局所重力ベクトル(

)に反対方向のzレベルz(t)を計算するように構成されたことを特徴とする請求項16又は17に記載のコンピュータ装置。
【請求項20】
全地球測位システムのサンプルの集合の中の不正確な全地球測位システムのサンプルを判定する方法であって、
a) 軌道に沿って移動した際に乗物に搭載された全地球測位システムにより採られた全地球測位システムのサンプルを取得する動作と、
b) 前記全地球測位システムのサンプルに基づいて前記軌道の第1の推定値を取得する動作と、
c) 前記軌道に沿って移動した際に前記乗物に搭載された慣性測定ユニットにより測定された測定値に少なくとも基づいて、前記軌道の第2の推定値を取得する動作と、
d) 前記第1の推定値と前記第2の推定値とを比較する動作と、
e) 前記第2の推定値と比較して所定の閾値を上回る変動を前記第1の推定値が示す場所を確立する動作と、
f) このような場所を確立できない場合に動作j)に続き、確立できる場合に動作g)に続き、
g) 大きい変動である前記場所に関連付けられた全地球測位システムのサンプルを不正確な全地球測位システムのサンプルであるとして除去し、それにより、残った全地球測位システムのサンプルの集合を形成する動作と、
h) 前記残った全地球測位システムのサンプルに基づいて前記軌道の前記第1の推定値を再び計算し、前記第2の推定値を再び計算する動作と、
i) 動作d)から動作h)を繰り返す動作と、
j) 前記動作群を終了する動作と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法をコンピュータ装置が実行することを可能とするように、該コンピュータ装置に読み込まれる命令及びデータを含むコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載のコンピュータプログラムを備えるデータ記憶媒体。
【請求項23】
局所重力ベクトル(

)に対する軌道に沿って移動している間の乗物の傾斜角度slope_angleを計算するコンピュータ装置であって、プロセッサ(11)により実行可能な命令及びデータを含むコンピュータプログラムを記憶するメモリ(12;13;14;15)と通信するように構成された前記プロセッサ(11)を備え、前記乗物は距離測定ユニット(DMI)と慣性測定ユニット(IMU)とを含み、xy平面がx軸及びy軸により局所的に規定され、前記x軸は前記軌道に沿っており、前記y軸は前記x軸及び前記局所重力ベクトルに垂直であり、前記プロセッサ(11)は前記距離測定ユニット(DMI)と前記慣性測定ユニット(IMU)との両方によって測定された測定値から前記傾斜角度を計算するように構成されたことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項24】
前記プロセッサは前記傾斜角度slope_angleを、
vz=前記局所重力ベクトルに反対方向の速度、

=前記距離測定ユニット(DMI)から得られたx方向の速度
とした場合に、
slope_angle=arcsin(vz/vx) (17)
に従って計算するように構成されたことを特徴とする請求項23に記載のコンピュータ装置。
【請求項25】
前記プロセッサは、



=前記慣性測定ユニット(IMU)により測定されたz方向の加速度、



が前記局所重力ベクトルに対する前記乗物の前記ピッチに等しいとした場合に

によって計算される前記局所重力ベクトルに反対のz方向の加速度
とした場合に、

からvzを計算するように構成されたことを特徴とする請求項24に記載のコンピュータ装置。
【請求項26】
前記プロセッサは、
pitchtrue=前記局所重力ベクトルに対する前記乗物の真のピッチ、
ax=前記距離測定ユニットから得られたx方向の加速度、
k=定数
とした場合に、
vz=vx.sin(pitchtrue-k.ax) (19)
からvzを計算するように構成されたことを特徴とする請求項24に記載のコンピュータ装置。
【請求項27】
前記プロセッサ(11)は、
・pitchtrue=前記局所重力ベクトルに対する前記乗物の真のピッチ、
ax=前記距離測定ユニットから得られたx方向の加速度、
k=定数
とした場合に、
vz=vx.sin(pitchtrue-k.ax) (19)
を計算し、
・誤差が補償された垂直速度値vz,err_compを与えるように、式(18)から取得されるvzから誤差を削除するために式(19)を使用し、
・式(17)のvzに前記誤差が補償された垂直速度vz,err_compを代入する
ように構成されたことを特徴とする請求項25に記載のコンピュータ装置。
【請求項28】
前記プロセッサ(11)は、

から前記局所重力ベクトル(

)に反対方向のzレベルz(t)を計算するように構成されたことを特徴とする請求項24乃至27のいずれか1項に記載のコンピュータ装置。
【請求項29】
局所重力ベクトル(

)に対する軌道に沿って移動している間の乗物の傾斜角度slope_angleを計算する方法であって、前記乗物は距離測定ユニット(DMI)と慣性測定ユニット(IMU)とを含み、xy平面がx軸及びy軸により局所的に規定され、前記x軸は前記軌道に沿っており、前記y軸は前記x軸及び前記局所重力ベクトルに垂直であり、前記方法は前記距離測定ユニット(DMI)と前記慣性測定ユニット(IMU)との両方によって測定された測定値から前記傾斜角度を計算する動作を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法をコンピュータ装置が実行することを可能とするように、該コンピュータ装置に読み込まれる命令及びデータを含むコンピュータプログラム。
【請求項31】
請求項30に記載のコンピュータプログラムを備えるデータ記憶媒体。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−509585(P2010−509585A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536175(P2009−536175)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000552
【国際公開番号】WO2008/056972
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509097563)テレ アトラス ベスローテン フエンノートシャップ (23)
【氏名又は名称原語表記】Tele Atlas B.V.
【住所又は居所原語表記】Reitscheweg 7F, NL−5232 BX ’s−Hertogenbosch, The Netherlands
【Fターム(参考)】