説明

GSK−3の阻害剤として有用なヘテロアリール化合物

【課題】種々の障害(例えば、自己免疫疾患、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、関節リウマチおよび白血病)を治療する際に有用な新しい治療剤を開発すること。
【解決手段】本発明は、GSK−3またはLCKタンパク質キナーゼの阻害剤として有用な式Iの化合物に関する。本発明の化合物はまた、グリコーゲン合成を高めるかおよび/または血糖値を下げる方法で有用であり、従って、糖尿病の患者に特に有用である。本発明の化合物はまた、リン酸化過剰Tauの生成を阻害する方法で有用であり、これは、アルツハイマー病の進行を止めるか遅くするのに有用である。本発明の他の実施形態は、β−カテニンのリン酸化を阻害する方法に関し、これは、精神分裂病を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、タンパク質キナーゼ、特に、グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(GSK−3)、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼおよびLcK、タンパク質キナーゼのSrc系統のメンバーに関する。キナーゼは、癌、免疫障害および骨疾患に関係している。本発明はまた、本発明の阻害剤を含有する薬学的に受容可能な組成物およびそれらの組成物を種々の障害(例えば、自己免疫疾患、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、関節リウマチおよび白血病)の治療および予防で利用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
新しい治療剤の研究は、近年、標的疾患に関連した酵素および他の生体分子の構造をよく理解することにより、非常に促進されている。広範囲な研究の対象となっている1つの重要な種類の酵素には、タンパク質キナーゼがある。
【0003】
タンパク質キナーゼは、細胞内の情報伝達を媒介する。それらは、ヌクレオシド三リン酸から情報伝達経路に関与しているタンパク質へのホスホリルの移動に影響を与えることにより、これを行う。そこを通って細胞外および他の刺激による種々の細胞応答が細胞の内側で起こるようにする多数のキナーゼおよび経路が存在している。このような刺激の例には、環境および化学ストレス信号(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、菌体内毒素、H)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF−α))、成長因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および線維芽細胞成長因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞の成長、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコースの代謝、タンパク質合成の抑制および細胞分裂周期の調節に関連した1種またはそれ以上の細胞応答に影響し得る。
【0004】
多くの疾患は、タンパク質キナーゼ媒介事象により誘発される異常な細胞応答に関連している。これらの疾患には、自己免疫疾患、炎症疾患、神経疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病およびホルモン関連疾患が挙げられる。従って、医薬品化学において、治療薬として有効なタンパク質キナーゼ阻害剤を発見する相当な努力がなされている。
【0005】
グリコーゲン合成酵素キナーゼ(GSK−3)は、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼであり、これは、αおよびβアイソフォームから構成され、これらは、別個の遺伝子でコード化されている[非特許文献1非特許文献2]。GSK−3は、糖尿病、アルツハイマー病、CNS障害(例えば、躁鬱障害および神経変性疾患および心筋細胞肥大)を含めた種々の疾患に関与している[例えば、特許文献1特許文献2非特許文献3非特許文献4を参照]。これらの疾患は、GSK−3が一定の役割を果たす特定の細胞情報伝達経路の異常な操作により引き起こされるか、そのような異常な操作を招く。
【0006】
GSK−3は、多数の調節タンパク質の活性をリン酸化して変調することが発見されている。これらには、グリコーゲン合成酵素(これは、グリコーゲン合成に必要な速度制限酵素である)、微小管関連タンパク質Tau、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子elF2Bだけでなく、ATPクエン酸融解酵素アキシン、熱ショック因子−1、c−Jun、c−Myc、c−Myb、CREBおよびCEPBaが挙げられる。これの異なる標的は、細胞の代謝、増殖、分化および発生の多くの局面において、GSK−3と関係する。
【0007】
II型糖尿病の治療に関連しているGSK−3媒介経路では、インシュリンで誘発した情報伝達は、細胞グルコースの摂取およびグリコーゲンの合成を引き起こす。この経路では、GSK−3は、このインシュリン誘発信号の負の制御因子である。通常、インシュリンが存在していると、グリコーゲン合成酵素のGSK−3媒介リン酸化および不活性化の阻害を生じる。GSK−3を阻害すると、グリコーゲンの合成およびグルコースの摂取が増大する[非特許文献5非特許文献6非特許文献7;および非特許文献8非特許文献9]。しかしながら、糖尿病患者において、インシュリン応答が損なわれた場合、グリコーゲンの合成およびグルコースの摂取は、血液インシュリンレベルが比較的な高いにもかかわらず、増大しない。これにより、短期または長期の影響を伴って、血糖値が異常に高くなり、最終的には、心血管疾患、腎不全および失明を引き起こし得る。このような患者では、GSK−3の正常なインシュリン誘発阻害が起こらない。また、II型糖尿病の患者では、GSK−3は、過剰発現される[特許文献2]。従って、GSK−3の治療的な阻害は、インシュリンの応答が損なわれた糖尿病患者を治療するのに有用となる可能性がある。
【0008】
GSK−3活性はまた、アルツハイマー病と関連している。この疾患は、周知のβ−アミロイドペプチドの存在および細胞内神経原線維変化の形成により、特徴付けられる。この神経原線維変化は、リン酸化過剰のTauタンパク質を含有し、この場合、Tauは、異常な部位でリン酸化されている。GSK−3は、細胞モデルおよび動物モデルにおける異常部位をリン酸化することが明らかとなっている。さらに、GSK−3の阻害は、細胞にあるTauのリン酸化を阻止することが明らかとなっている[非特許文献10非特許文献11非特許文献12]。遺伝子組換えマウスの過剰発現GSK3では、著しく高いTauリン酸化過剰および神経細胞の異常な形態が観察された[非特許文献13]。予め絡み合った神経細胞の細胞質では、活性GSK3が蓄積し、これは、ADに罹った患者の脳において、神経原線維の絡み合いを引き起こし得る[非特許文献14]。従って、GSK−3活性は、神経原線維変化の発生およびアルツハイマー病の進行を促進し得る。
【0009】
GSK−3の他の基質は、β−カテニンであり、これは、GSK−3によるリン酸化後、分解される。精神分裂病の患者では、β−カテニンのレベルが低下していることが報告されており、これはまた、神経細胞死の増大に関係している他の疾患と関連している[非特許文献15非特許文献16非特許文献17;および非特許文献18]。
【0010】
GSK−3活性はまた、脳卒中とも関連している[非特許文献19非特許文献20非特許文献21]。
【0011】
特に重要な他のキナーゼ系統には、Src系統のキナーゼがある。これらのキナーゼは、癌、免疫系の機能不全および骨再造形疾患に関係している。一般的な概説については、非特許文献22非特許文献23非特許文献24非特許文献25)を参照。
【0012】
Src系統のメンバーには、哺乳動物において、以下の8つのキナーゼが挙げられる:Src、Fyn、Yes、Fgr、Lyn、Hck、LckおよびBlk。これらは、52〜62kDの分子量範囲の非受容体タンパク質キナーゼである。全ては、共通の構造組織に特徴があり、これは、6個の異なる機能的ドメインから構成される:Src相同性ドメイン4(SH4)、独特ドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメイン、触媒ドメイン(SH1)およびC末端調節領域。非特許文献26
【0013】
公開された研究に基づいて、Srcキナーゼは、種々のヒトの疾患に対する潜在的な治療標的と考えられている。Lckは、T細胞情報伝達において、一定の役割を果たす。Lck遺伝子を欠いたマウスは、胸腺細胞を発生する能力に乏しい。T細胞情報伝達の正活性化剤としてのLckの機能は、Lck阻害剤が自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ)を治療するのに有用であり得ることを示唆している。非特許文献27。Hck、FgrおよびLynは、骨髄白血球におけるインテグリン情報伝達の重要な媒介物として、同定されている。非特許文献28。従って、これらのキナーゼ媒介物を阻害することは、炎症を治療するのに有用であり得る。非特許文献29
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第99/65897号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/38675パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Coghlanら、Chemistry & Biology,7,pp.793〜803(2000)
【非特許文献2】Kim and Kimmel,Curr.Opinion Genetics Dev.,10,pp.508〜514(2000)
【非特許文献3】Kaytor and Orr,Curr.Opin.Neurobiol.,12,275−8(2000)
【非特許文献4】Haqら、J.Cell Biol.,151,117−30(2000)
【非特許文献5】Kleinら、PNAS,93,pp.8455−9(1996)
【非特許文献6】Crossら、Biochem.J.,303,pp.21〜26(1994)
【非特許文献7】Cohen,Biochem.Soc.Trans.,21,pp.555〜567(1993)
【非特許文献8】Massillonら、Biochem.J.299,pp.123〜128(1994)
【非特許文献9】Cohen and Frame,Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.,2,769−76(2001)
【非特許文献10】Lovestoneら、Current Biology,4,pp.1077−86(1994)
【非特許文献11】Brownleesら、Neuroreport,8,pp.3251−55(1997)
【非特許文献12】Kaytor and Orr,Curr.Opin.Neurobiol.,12,275−8(2000)
【非特許文献13】Lucasら、EMBO J,20:27−39(2001)
【非特許文献14】Peiら、JNeuropathol Exp Neurol,58,1010−19(1999)
【非特許文献15】Zhongら、Nature,395,698〜702(1998)
【非特許文献16】Takashimaら、PNAS,90,7789−93(1993)
【非特許文献17】Peiら、J.Neuropathol.Exp.,56,70〜78(1997)
【非特許文献18】Smithら、Bio−org.Med.Chem.11,635−639(2001)
【非特許文献19】Wangら、Brain Res,859,381−5(2000)
【非特許文献20】Sasakiら、Neurol Res,23,588−92(2001)
【非特許文献21】Hashimotoら、J.Biol.Chem,July 2,In Press(2002)
【非特許文献22】Thomas and Brugge,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.(1997) 13,513
【非特許文献23】Lawrence and Niu,Pharmacol.Ther.(1998) 77,81
【非特許文献24】Tatosyan and Mizenina,Biochemistry(Moscow)(2000) 65,49
【非特許文献25】Boschelliら、Drugs of the Future2000,25(7),717,(2000
【非特許文献26】Tatosyanら、Biochemistry(Moscow) 65,49〜58(2000)
【非特許文献27】Molinaら、Nature,357,161(1992)
【非特許文献28】Lowellら、J.Leukoc.Biol.,65,313(1999)
【非特許文献29】Boschelliら、Drugs of the Future 2000,25(7),717,(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、タンパク質キナーゼ(特に、GSK−3およびLck)に関連した上記疾患の大部分に対する現在利用できる治療選択肢が比較的に不十分であることを考慮して、これらの疾患を治療する際に有用な新しい治療剤を開発するというまだあまり対処されていない医学的要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明の化合物およびその薬学的に受容可能な組成物は、GSK−3およびLckタンパク質キナーゼの阻害剤として、有効である。これらの化合物は、式Iを有するか、その薬学的に受容可能な誘導体である:
【0018】
【化21】


ここで、環A、環B、W、XおよびRは、本明細書中で定義したとおりである。
【0019】
これらの化合物およびその薬学的に受容可能な組成物は、以下のような種々の疾患を治療するかその症状を軽減するのに有用である:自己免疫疾患、炎症疾患、代謝、神経および神経変性疾患、循環器病、アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、エイズ関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大、再灌流/虚血、関節リウマチ、脱毛症および白血病。
【0020】
本発明の化合物はまた、グリコーゲン合成を高めるかおよび/または血糖値を下げる方法で有用であり、従って、糖尿病の患者に特に有用である。本発明の化合物はまた、リン酸化過剰Tauの生成を阻害する方法で有用であり、これは、アルツハイマー病の進行を止めるか遅くするのに有用である。本発明の他の実施形態は、β−カテニンのリン酸化を阻害する方法に関し、これは、精神分裂病を治療するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する:
【0022】
【化22】


ここで:
環Aは、必要に応じて置換した部分不飽和または完全不飽和の5〜7員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有し、ここで、環Aは、必要に応じて、必要に応じて置換した飽和、部分不飽和または完全不飽和の5〜8員環に縮合され、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する;
環Bは、必要に応じて置換した5〜6員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有し、ここで、該環は、結合位置に隣接した位置に、第一置換基−N(Rを有し、そして必要に応じて、2個までの追加置換基で置換されている;
Wは、窒素またはCRから選択され、そしてXは、窒素またはCHから選択され、ここで、WおよびXの少なくとも1個は、窒素である;
は、RまたはRから選択される;
は、−SOR、−SON(R)、−CN、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)から選択される;
Rは、別個に、水素または必要に応じて置換した基から選択され、該必要に応じて置換した基は、C1〜6脂肪族、3〜6員の飽和、部分不飽和またはアリール環であり、該アリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有するか、または同一窒素上の2個のR基は、それに結合した窒素と一緒になって、3〜7員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、該複素環またはヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する;
は、T−CNまたはL−Rから選択される;
Tは、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖である;
Lは、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられる;そして
は、L−R、−ハロ、T−NO、T−CNから選択される。
【0023】
特に明記しない限り、本明細書中で使用する以下の定義を適用する。「必要に応じて置換した」とは、「置換または非置換」との語句と交換可能に使用される。特に明記しない限り、必要に応じて置換した基は、その基の各置換可能部分にて、置換基を有し得、各置換は、他のものと無関係である。
【0024】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖または分枝C〜C12炭化水素鎖(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)または単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)であるが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シクロアルキル」とも呼ぶ)、これは、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、該二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。例えば、適当な脂肪族基には、直鎖または分枝のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「アルキル」、「アルコキシ」、「ヒドロキシアルキル」および「アルコキシカルボニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、1個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含む。「アルケニル」および「アルキニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、1個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含む。
【0026】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」との用語は、場合に応じて、1個またはそれ以上のハロゲン原子で置換したアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。「ハロゲン」との用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0027】
「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素またはイオウを意味し、そして窒素およびイオウの任意の酸化形状、および任意の塩基性窒素の四級化形状を含む。「窒素」との用語は、複素環の置換可能窒素を含む。一例として、酸素、イオウまたは窒素から選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する飽和環または部分不飽和環では、その窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロールにおけるように)、NH(ピロリジニルにおけるように)またはNR(N−置換ピロリジニルにおけるように)であり得る。
【0028】
本明細書中で使用する「アリール」との用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。「アリール」との用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る。
【0029】
本明細書中で使用する「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」または「複素環」との用語は、5員〜14員を有する非芳香族の単環式、二環式または三環式の環系であって、1員またはそれ以上がヘテロ原子であるものを意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。
【0030】
「ヘテロアリール」との用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員〜7員を含有する。「ヘテロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」との用語または「ヘテロ芳香族」との用語と交換可能に使用され得る。
【0031】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含めて)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含めて)基は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、ハロゲン、オキソ、N、−R、−OR、−SR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、保護したOH(例えば、アシルオキシ)、フェニル(Ph)、Rで置換したPh、−O(Ph)、Rで置換したO−(Ph)、−CH(Ph)、Rで置換した−CH(Ph)、−CHCH(Ph)、Rで置換した−CHCH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−(CHNHC(O)Rから選択され、ここで、yは、0〜4であり、各Rは、別個に、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環(これは、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有する)、フェニル(Ph)、−O(Ph)または−CH(Ph)−CH(Ph)から選択される。Rの脂肪族基上の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択される。
【0032】
脂肪族基または非芳香族複素環は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。脂肪族基または非芳香族複素環の飽和炭素上の適当な置換基には、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものおよび以下から選択される:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRであって、ここで、各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択される。
【0033】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH(Ph)、必要に応じて置換した−CHCH(Ph)、または非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環から選択される。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択される。
【0034】
「アルキリデン鎖」との用語は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るか1個またはそれ以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。
【0035】
本発明の化合物は、化学的に実現可能で安定なものには限定されない。従って、上記化合物中の置換基または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分または他の化学的に反応性の状態なしで、少なくとも1週間にわたって、40℃以下の温度で保ったとき、実質的に変化しないものである。
【0036】
特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、これらの構造の全ての立体化学形状(すなわち、各非対称中心に対するR形状およびS形状)を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一立体化学異性体だけでなく、鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物もまた、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個またはそれ以上の同位体的に富んだ原子の存在だけが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置換したこと以外または炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置換したこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0037】
本発明の化合物は、代替互変異性形状で存在し得る。特に明記しない限り、いずれかの互変異性体の描写は、他のものを含むと解釈される。
【0038】
式Iの好ましい環Aには、必要に応じて置換した5〜6員アリール、ヘテロアリールまたは複素環(これは、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜2個のヘテロ原子を有する)が挙げられる。式Iのさらに好ましい環A部分には、必要に応じて置換したフェニル環または必要に応じて置換した6員ヘテロアリールまたは複素環(これは、1個〜2個の窒素を有する)が挙げられる。このような好ましい環A基の例には、以下のa〜kの環が挙げられる:
【0039】
【化23】


さらに好ましくは、環Aは、環a、bまたはfから選択され、最も好ましくは、環Aは、必要に応じて置換したベンゾ環(a)である。
【0040】
式Iの好ましい環B部分には、必要に応じて置換した5〜6員芳香環が挙げられ、該芳香環は、イオウ、酸素および窒素から別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する。式Iのさらに好ましい環Bは、必要に応じて置換したピラジン、ピリジン、ピラゾール、フェニル、フラザニルまたはチエニル環である。
【0041】
式Iの好ましいR基には、R、SORまたは−C(O)Rが挙げられ、ここで、各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したフェニルまたはC1〜4脂肪族基から選択される。従って、式Iの好ましいR基には、−C(O)CF、−C(O)CH、−C(O)CHCH、−SOMeおよびメチルが挙げられる。式Iの好ましいR基には、また、以下の表1で示したものが挙げられる。
【0042】
式Iの環A上の好ましい置換基は、存在するとき、ハロゲン、−NO、−R、−OR、−COまたは−N(Rである。式Iの環A上の好ましい置換基は、クロロ、ブロモ、メチル、−CF、ニトロ、t−ブチル、メトキシ、−COMe、ヒドロキシ、アミノ、−NH(Me)または−OCHCNである。
【0043】
式Iの環Aに縮合した好ましい環には、存在するとき、必要に応じて置換したベンゾ環、5〜6員カルボシクロ環、または5〜6員ヘテロシクロ環が挙げられ、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する(例えば、メチレンジオキシ環またはピリド環)。
【0044】
式Iの好ましいR基には、T−CNまたはL−Rが挙げられ、ここで、Tは、C1〜4アルキリデン鎖であり、Lは、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Lのメチレン単位は、必要に応じて、−CO−、−C(O)NR−、−C(O)−、−N(R)−または−O−で置き換えられ、ここで、Rは、必要に応じて置換したC1〜4脂肪族3〜6員ヘテロシクリル環、必要に応じて置換したフェニル環または必要に応じて置換した5〜6員ヘテロアリール環であり、該ヘテロシクリル環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有し、そして該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する。このような基の例には、以下の表1で示したもの、−CHCN、−CHC(O)NH、−CHCOH、プロピル、−CHCH=CH、イソプロピル、−(CHCN、−CHOEt、−CHCF、イソブチル、シクロプロピルメチル、−CHCHN(Me)、−CHCH(OEt)、エチル、−CHC(O)NHt−ブチル、または必要に応じて置換したベンジルまたは−CHC(O)NHフェニル基が挙げられる。該ベンジルまたはフェニル基上の置換基の例には、ハロゲン、R、OR、CN、フェニル、および以下の表1で示したものが挙げられる。
【0045】
1実施形態によれば、本発明は、式Iaの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する:
【0046】
【化24】


ここで、RおよびRは、上で定義したとおりであり、そして式Iaのベンゾ環は、必要に応じて、置換されている。
【0047】
式Iaのベンゾ環上の好ましい置換基には、存在するとき、式Iの環A部分上の好ましい置換基として示したものが挙げられる。
【0048】
式Iaの好ましいRおよびRには、上記式Iの好ましいRおよびR基として示したものがある。
【0049】
他の実施形態によれば、本発明は、式Ibの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する:
【0050】
【化25】


ここで、RおよびRは、上で定義したとおりであり、そして式Ibのベンゾ環は、必要に応じて、置換されている。
【0051】
式Ibのベンゾ環上の好ましい置換基には、式Iの環A部分上の好ましい置換基として示したものが挙げられる。
【0052】
式Ibの好ましいRおよびR基には、上記式Iの好ましいRおよびR基として示したものがある。
【0053】
式Iの代表的な化合物は、表1にて、以下で示されている。
【0054】
表1:式Iの化合物
【0055】
【化26】

【0056】
【化27】

【0057】
【化28】

【0058】
【化29】

【0059】
【化30】

【0060】
【化31】

【0061】
【化32】

【0062】
【化33】

【0063】
【化34】

【0064】
【化35】

【0065】
【化36】

【0066】
【化37】

【0067】
【化38】

【0068】
【化39】

【0069】
【化40】


【0070】
他の実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物に関し、ここで、該化合物は、以下からなる群の1個以外である:
4−[1−(4−クロロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−1);
4−(1−プロプ−2−イニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(1−2);
4−(5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−3);
4−[1−(2−クロロ−6−フルオロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−4);
[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−酢酸(1−5);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−アセトアミド(I−6);
4−(1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−7);
4−[1−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−8);
4−(1−アリル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−9);
4−[1−(4−メチル−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−10);
4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−11);
4−[1−(2−メチル−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−12);
[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−アセトニトリル(I−13);
4−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−14);
4−[1−(2,4−ジクロロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−15);
4−[1−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(1−16);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(1−17);
4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−18);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド(1−19);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル]−ベンゾニトリル(I−20);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド(I−21);
4−[1−(3−ブロモ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−22);
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ブチロニトリル(1−23);
4−(1−エチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−55);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2−フルオロ−フェニル)−アセトアミド(I−61);
4−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−62);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−ビフェニル−2−イル−アセトアミド(I−63);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2,6−ジメチル−フェニル)−アセトアミド(1−64);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−tert−ブチル−アセトアミド(I−65);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(3−フルオロ−フェニル)−アセトアミド(I−66);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2−フルオロ−フェニル)−アセトアミド(I−70);
2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−フェニルアミン(I−71);
N−[4−(1−エチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(I−72);
N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−アセトアミド(I−73);
N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−プロピオンアミド(I−74);
N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−イソブチルアミド(I−75);および
N−[4−(1−シアノメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イル]−アセトアミド(I−76)、ここで、各化合物番号は、表1の化合物番号に対応している。
【0071】
本発明の化合物は、一般に、以下のスキームI〜IIIおよび以下で示した合成実施例で図示しているように、類似化合物について当業者に公知の方法に従って、公知の出発物質から調製され得る。スキームI〜IIIは、本発明の化合物を製造する一般的な方法を示す。
【0072】
GSK3またはLCKタンパク質キナーゼの阻害剤として本発明で使用される化合物の活性は、当該技術分野で公知の方法に従って、インビトロ、インビボまたは細胞系にて、アッセイされ得る。インビトロアッセイには、活性化したGSK3またはLCKのリン酸化活性またはATP分解酵素活性のいずれかを決定するアッセイが挙げられる。別のインビトロアッセイは、その阻害剤がGSK3またはLCKに結合する性能を定量化する。阻害剤の結合は、その阻害剤を結合前に放射標識することにより、阻害剤/GSKまたは阻害剤/LCK錯体を単離することにより、そして結合した放射標識の量を決定することにより、測定され得る。あるいは、阻害剤の結合は、競争実験を実行することにより決定され得、この場合、化合物は、公知の放射性リガンドに結合したGSK3またはLCKでインキュベートされる。GSK3またはLCKキナーゼの阻害剤として本発明で利用される化合物をアッセイする詳細な条件は、以下の実施例で示す。
【0073】
他の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体と、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとを含有する組成物または薬学的に受容可能な組成物を提供する。本発明の組成物中での化合物の量は、生体試料または患者において、タンパク質キナーゼ(特に、GSK3またはLCKキナーゼ)を測定可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するように処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口投与するように、処方される。
【0074】
本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0075】
「薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル」との用語は、処方する化合物の薬理学的な活性を損なわない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを意味する。本発明の組成物で使用され得る薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書中で使用する「測定可能に阻害する」との用語は、該組成物およびGSK3またはLCKキナーゼを含有する試料と、該組成物なしでGSK3またはLCKキナーゼを含有する等価試料との間のGSK3またはLCK活性の測定可能な変化を意味する。
【0077】
「薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の薬学的に受容可能な塩またはエステルの塩であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。本明細書中で使用する「それらの阻害活性代謝物または残留物」とは、その代謝物または残留物がまた、GSK3またはLCK族キナーゼの阻害剤でもあることを意味する。
【0078】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導したものが挙げられる。適当な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0079】
適当な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性または油溶性または水分散性または油分散性の生成物を得ることができる。
【0080】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与できる。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成物は、経口的または静脈内で投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形状は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。この懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、処方できる。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に適当な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる適当な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。
【0081】
この目的には、いずれかのブランドの非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液または懸濁液を含めた薬学的に受容可能な剤形を処方する際に、通例、使用される)を含有できる。他の通例使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spansおよび他の乳化剤)または生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の剤形を製造する際に、通例使用される)もまた、処方の目的のために、使用できる。
【0082】
本発明の製薬組成物は、いずれかの経口的に適当な剤形(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、投与できる。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用される担体には、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的には、添加される。カプセル形状での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、香料または着色剤を添加してもよい。
【0083】
あるいは、本発明の製薬組成物はまた、直腸投与のための座剤の形状で投与するとき、この試薬と、適当な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融けて活性成分を放出する)と混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0084】
本発明の製薬組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含むとき、局所的に投与できる。これらの領域または器官のそれぞれに適当な局所製剤は、容易に調製される。
【0085】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適当な浣腸処方にて、行うことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用できる。
【0086】
局所的に適用するためには、この製薬組成物は、1種またはそれ以上の担体に懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当な軟膏で、処方できる。本発明の化合物の局所投与用の担体には、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この製薬組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に適当な担体に懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当なローションまたはクリームで処方できる。適当な担体には、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
眼科用途には、この製薬組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)と共にまたはそれなしで、pHを調整したアイソトニック無菌サリンの微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整したアイソトニック無菌サリンの溶液として、処方できる。あるいは、眼科用途には、この製薬組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)に処方できる。
【0088】
鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与するには、本発明の製薬組成物は、製薬処方の当該技術分野で周知の技術に従って、調製され、サリン中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製できる。
【0089】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与用に処方される。
【0090】
単一用量形態の組成物を製造する担体物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、治療する患者および特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、これらの組成物を受ける患者に0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量の阻害剤が投与できるように、処方されるべきである。
【0091】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、疾患の重篤度および経過、および患者の疾患に対する素因、および処置する医師の判断を含む)に依存することが理解できるはずである。この組成物中の本発明の化合物の量はまた、その組成物中の特定の化合物および他の治療剤(もし存在するなら)に依存する。
【0092】
治療または予防する特定の病気または疾患に依存して、本発明の組成物中には、その病気を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬もまた、存在し得る。本明細書中で使用するように、その病気を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬は、「治療する疾患または病気に適当である」として、知られている。
【0093】
例えば、増殖性疾患および癌を治療するために、化学療法薬または他の抗増殖薬が本発明の化合物と併用され得る。公知の化学療法薬の例には、Gleevec(登録商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明の阻害剤がまた併用され得る薬剤の他の例には、アルツハイマー病の治療薬(例えば、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標));パーキンソン病の治療薬(例えば、L−DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピンロール、プロミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキシフェンジルおよびアマンダジン);多発性硬化症(MS)の治療薬(例えば、β−インターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)およびミトキサントロン);喘息の治療薬(例えば、アルブテロールおよびSingulair(登録商標));精神分裂病の治療薬(例えば、ジプレキサ、リスパダール、セロクエルおよびハロペリドール);抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL−1 RA、アザチオプリンおよびスルファサラジン);免疫調節薬または免疫抑制薬(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネル遮断薬、リルゾールおよび抗パーキンソン病薬);循環器病の治療薬(例えば、β−遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断薬およびスタチン);肝臓病の治療薬(例えば、コルチコステロイド、コレステラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス薬);血液疾患の治療薬(例えば、コルチコステロイド、抗白血病薬および成長因子);および免疫不全疾患の治療薬(γ−グロブリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示された組成物中の追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物中で存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0096】
他の実施形態によれば、本発明は、生体試料において、GSK3またはLCKキナーゼ活性を検出可能に阻害する方法に関し、該方法は、該生体試料を、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。好ましくは、この方法は、該生体試料を、上記のような本発明の好ましい化合物と接触させる工程を包含する。
【0097】
本明細書中で使用する「生体試料」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物またはその抽出物から得られる生検材料;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
生体試料でのGSK3またはLCKキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例には、輸血、臓器移植、生体試料の保存および生物検定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明の他の局面は、患者におけるGSK3またはLCKキナーゼが媒介する疾患を治療する方法に関し、該方法は、それを必要としている患者に、本発明の化合物または該化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。他の実施形態によれば、本発明は、式Iaの化合物または該化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物を投与することに関する。さらに他の実施形態は、上記のような式Iaの好ましい化合物または該化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物を投与することに関する。
【0100】
他の実施形態によれば、本発明は、患者におけるGSK3またはLCKキナーゼが媒介する疾患を治療する方法に関し、該方法は、それを必要としている患者に、式Ibの化合物または該化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。他の実施形態によれば、該方法は、それを必要としている患者に、上記のような式Ibの好ましい化合物または該化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0101】
他の実施形態によれば、本発明は、患者におけるGSK3またはLCKキナーゼが媒介する疾患または病気を治療するかその症状を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0102】
他の実施形態によれば、本発明は、アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、エイズ関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大、再灌流/虚血、脳卒中または脱毛症から選択される疾患、障害または病気を治療するかその症状を軽減する方法に関し、該方法は、それが必要な患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0103】
好ましいの実施形態によれば、本発明の方法は、脳卒中を治療するかその症状を軽減する方法に関し、該方法は、それが必要な患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0104】
他の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、神経変性障害または神経障害を治療するかその症状を軽減する方法に関し、該方法は、それが必要な患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0105】
他の実施形態によれば、本発明の方法は、自己免疫疾患、アレルギー、関節リウマチまたは白血病を治療するかその症状を軽減する方法に関し、該方法は、それが必要な患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0106】
他の実施形態によれば、本発明の方法は、移植拒絶を治療するかその症状を軽減する方法に関し、該方法は、それが必要な患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0107】
代替実施形態では、追加治療剤を含有しない組成物を利用する本発明の方法は、前記患者に、追加治療剤を別々に投与する追加工程を包含する。これらの追加治療剤は、別々に投与されるとき、本発明の組成物の投与前、投与と連続して、または投与後、投与され得る。
【0108】
本発明をさらに十分に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが理解できるはずである。
【実施例】
【0109】
HNMRスペクトルは、Bruker DPX 400機器を使用して、400MHzで記録した。13CNMRスペクトルは、同じ機器を使用して、100MHzで記録した。LC/MSデータは、大気圧での化学イオン化を使い、Micromass ZQ機器を使用して、得た。HPLC分析は、40℃で維持したPhenomenex C18(2)Lunaカラム(30×4.6mM)で、実行した。試料を、1mg/mLの適当な濃度のアクリロニトリル溶液として、調製した。システムに、1−5gLの各試料を注入した。2mL/分の流速で、以下の勾配を使用して、化合物を溶出した:
0分、80%HO−20%MeCN、
2.5分、0%H2O−100%MeCN、
3.5分、0%H2O−100%MeCN 次いで、その溶離液混合物を出発状態に戻し、このカラムを1分間再平衡した。検出は、ダイオードアレイ検出器によって行い、214および254のクロマトグラムを抽出した。全ての場合、その溶出時間は、2つの波長で同一であった。
【0110】
全ての試薬は、市販のものを直接使用した。DMFを4Åモレキュラーシーブ(Fisher Scientific)で乾燥した。カラムクロマトグラフィーは、Silica Gel 60(Fluka)を使用した。TLC分析は、予め被覆したプラスチックシートPolygram SIL G/UV2S4(Macherey−Nagel)を使用して、実行した。
【0111】
(スキームI:2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール誘導体を調製する一般手順)
【0112】
【化41】


このアミデート(4−アミノ−フラザン−3−カルボキシミジン酸メチルエステル)(T.Ichikawa,T.Kato,T.Takenishi;J.Heterocycl.Chem.,1965,2,253−255.V.G.Andrianov,A.V.Eremeev,Chem.Heterocycl.Compd.,1994,30,608−611.I.V.Tselinskii,S.F.Mel’nikova,S.V.Pirogov,A.V.Sergievskii,Russ.J.Org.Chem.1999,35,296−300)(2.7mmol)のメタノール(8mL)溶液に、1,2−Diamine(2.7mmol)を加えた。次いで、この溶液に、氷酢酸(4mL)を加え、その反応混合物を、65〜70℃(油浴温度)で、18時間加熱した。この混合物から生成物を結晶化し、そして濾過により分離し、EtOまたはEtO/石油エーテル(40〜60℃)で洗浄し、そして乾燥した。その収率は、以下の表2で示す。
【0113】
2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−18):淡黄色固形物として単離した。LC/MS:202(M+1)、保持時間:1.46分間。δ(DMSO):6.79(2H、s、NH)、7.31(2H、m、ArH)、7.53(1H、d、ArH)、7.77(1H、d、ArHおよび13.65(1H、s、NH)。
【0114】
2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−5−メトキシベンズイミダゾール(I−44):褐色固形物として単離した。LC/MS:232(M+1)、保持時間:1.52分間。δ(DMSO):3.73(3H、s、MeO)、6.72(2H、s、NH)、6.87(1H、d、ArH)、7.02(1H、bs、ArH)および7.51(1H、bd、ArH)。N−H信号は、観察されなかった。
【0115】
2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−4−ニトロベンズイミダゾール(I−48):橙色固形物として単離した。LC/MS:247(M+1)、保持時間:1.52分間。δ(DMSO):6.70(2H、s、NH)、7.41(1H、m、ArH)、8.09(2H、m、ArH)および14.20(1H、bs、NH)。
【0116】
2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−4−ヒドロキシベンズイミダゾール(I−52):溶媒を蒸発した後に得たこと以外は、上記のようにして、化合物I−52を調製した。黄色固形物として単離した。LC/MS:218(M++1)、保持時間:1.03分間。δ(DMSO):6.88(1H、m、ArH)、7.18−7.41(4H、t+bs、2×ArH+NH)、11.99(1H、bs、OH)および13.78(1H、bs、NH)。
【0117】
表2:選択した化合物の収率
【0118】
【化42】

【0119】
【化43】


この生成物は、5−メトキシ誘導体および6−メトキシ誘導体の1.5:1混合物として、単離した。
【0120】
この生成物は、4−シアノメトキシ誘導体および7−シアノメトキシ誘導体の2:1混合物として、単離した。
【0121】
この生成物は、ラセミ混合物として、単離した。
【0122】
(スキームII:1−アルキル−2−[(4−アミノ)−1,2,3−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール誘導体を調製する一般手順)
【0123】
【化44】


ベンズイミダゾール(または他のヘテロ縮合イミダゾール)(0.2mmol)のDMF(3mL)攪拌溶液に、室温で、NaH(0.22mmol、鉱油中で60%)を少しずつ加えた。この添加後、その混合物を、室温で、45分間攪拌した。この混合物に、アルキル化剤(0.44〜0.66mmol)を滴下し、次いで、その混合物を60〜65℃(油浴温度)まで温め、さらに3時間(このアルキル化剤として、クロロアセトニトリルを使用するとき)または18時間(他のアルキル化剤を使用するとき)攪拌した。その反応混合物を室温まで冷却させ、EtO(30〜40mL)で希釈し、そして水(3×5mL)で洗浄した。その含エーテル層を乾燥し(MgSO)、減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物を結晶化またはフラッシュクロマトグラフィーのいずれかにより精製して、生成物を得た。それらの収率は、表3で示す。
【0124】
以下のアルキル化剤(4)を使用して、本発明の化合物を調製した:
【0125】
【化45】


1−シクロプロピルメチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−32):無色固形物として単離した。LC/MS:256(M+1)、保持時間:2.14分間。δ(DMSO):0.39(4H、m、CHCH)、1.28(1H、m、CH)、4.51(2H、d、NCH)、6.98(2H、s、NHa)、7.28(1H、t、ArH)、7.37(1H、t、ArH)および7.78(d、2H、ArH)。
【0126】
1−(2−メチル)プロピル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−33):無色固形物として単離した。LC/MS:258(M++1)、保持時間:2.24分間。δ(DMSO):0.89(6H、d、2×CH)、2.22(1H、m、CH)、4.48(2H、d、NCH)、7.01(2H、s、NH)、7.29−7.47(2H、m、ArH)および7.82(2H、t、ArH)。
【0127】
1−(2,2,2−トリフルオロ)エチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−37):無色固形物として単離した。LC/MS:284(M+1)、保持時間:2.01分間。δ(DMSO):5.52(2H、m、NCH2)、6.83(2H、s、NH)、7.31−7.40(2H、2×t、ArH)および7.73(2H、m、ArH)。
【0128】
1−(3−メチル)ブチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−54):無色固形物として単離した。LC/MS:272(M+1)、保持時間:2.41分間。δ(DMSO):0.98(6H、d、2×CH)、1.69(3H、m、CHCH)、4.70(2H、dd、NCH)、6.99(2H、s、NH)、7.34(1H、t、ArH)、7.42(1H、t、ArH)、7.73(1H、d、ArH)および7.80(1H、d、ArH)。
【0129】
1−(2−シアノ)プロピル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−51):無色固形物として単離した。LC/MS:255(M+1)、保持時間:1.28分間。δ(DMSO):2.04(3H、d、CH)、6.78(1H、q、NCCH)、6.98(2H、s、NH)、7.50(1H、t、ArH)、7.59(1H、t、ArH)および7.98(2H、m、ArH)。
【0130】
1−シアノメチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−4−ニトロベンズイミダゾール(I−56):黄色固形物として単離した。LC/MS:M+イオンは観察されず、保持時間:1.63分間。δ(DMSO):5.88(2H、s、NCCH)、6.92(2H、s、NH)、7.63(1H、t、ArH)、8.18(1H、d、ArH)および8.32(1H、d、ArH)。
【0131】
1−シアノメチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−5/6−メトキシベンズイミダゾール(I−47):淡褐色固形物として単離した。LC/MS:271(M+1)、保持時間:1.65分間。δ(DMSO):3.84(2×3H、2×s、MeO、異性体A+B)、5.88(2×2H、2×s、NCCH、異性体A+B)、6.90(2×2H、2×s、NH、異性体A+B)、7.04(1H、m、ArH、異性体A)、7.16(1H、m、ArH、異性体B)、7.39(1H、d、ArH、異性体B)、7.58(1H、d、ArH、異性体A)、7.74(1H、d、ArH、異性体A)および7.82(1H、d、ArH、異性体B)。
【0132】
1−(2−メチル)プロピル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−5/6−メトキシベンズイミダゾール(I−86):黄色固形物として単離した。LC/MS:288(M+1)、保持時間:2.19分間。δ(DMSO):0.91(2×6H、m、CHCHCH、異性体A+B)、2.22(2×1H、m、CHCH、異性体A+B)、3.86(2×3H、2×s、OMe、異性体A+B)、4.49(2×2H、m、CH2、異性体A+B)、6.96−7.09(2×3H、m、NH+ArH、異性体A+B)、7.31(2×1H、m、ArH、異性体A+B)および7.73(2×1H、m、ArH、異性体A+B)。
【0133】
1−シアノメチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]−4/7−シアノメトキシベンズイミダゾール(1−58):黄色固形物として単離した。LC/MS:296(M++1)、保持時間:1.56分間。δ(DMSO):5.36(2×2H、2×s、NCH、異性体A+B)、5.79(2×2H、2×s、OCH、異性体A+B)、6.88(2×2H、2×s、NH、異性体A+B)、6.99(1H、d、ArH、異性体A)、7.12(1H、d、ArH、異性体B)、7.29(1H、d、ArH、異性体B)、7.37(1H、t、ArH、異性体A)7.46(1H、d、ArH、異性体B)および7.55(1H、d、ArH、異性体A)。
【0134】
1−オキシラニルメチル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−38):DMF(5mL)中のベンズイミダゾール(I−18)(0.08g、0.4mmol)、(R、S)エピクロロヒドリン(0.11g、1.2mmol)、NaI(0.006g、0.04mmol)およびKCO(0.17g、1.2mmol)の混合物を、70〜80℃で、18時間攪拌した。次いで、この混合物を室温まで冷却し、濾過により固形物を分離し、そしてEtOで洗浄した。その濾液をEtO(約40mL)で希釈し、HOで洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:エーテルを1:1 v/v)で精製して、無色固形物として、生成物(0.04g、40%)を得た。LC/MS:258(M++1)、保持時間:1.67分間。OH(DMSO):2.41(1H、m)、2.60(1H、m)、3.28(1H、m)、4.56(1H、dd)、4.98(1H、m)、6.80(2H、s、NH)、7.19−7.29(2H、2×t、ArH)および7.60−7.69(2H、2×d、ArH)。
【0135】
1−フェニル−2−[(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル]ベンズイミダゾール(I−50):ベンズイミダゾール(I−18)を調製する一般手順に従って、この化合物を調製した。N−フェニル−N−(2−アミノ)フェニルアミンは、そのビス−アミノ成分として、使用した。この生成物は、灰色固形物として単離した。LC/MS:278(M+1)、保持時間:2.14分間。8H(DMSO):6.79(2H、s、NH)、7.08(1H、m、ArH)、7.28(2H、m ArH)、7.41−7.50(5H、m、ArH)および7.80(1H、m、ArH)。
【0136】
(スキームIII:1−シアノメチル−2−[(3−アミノ)−2−ピラジニル]ベンズイミダゾールの調製)
【0137】
【化46】


N−(2−アミノフェニル)−3−アミノピラジン−2−カルボキサミド:3−アミノ−ピラジン−2−カルボン酸(0.28g、2.0mmol)のTHF(20mL)懸濁液に、トリエチルアミン(0.22g、2.18mmol)を滴下した。その混合物を、氷浴を使用して、0〜5℃まで冷却し、そして10〜15分間にわたって、クロロギ酸イソブチル(0.29g、2.12mmol)を滴下した。この混合物を、0〜5℃で、さらに3時間攪拌した。次いで、1,2−ジアミノベンゼン(0.22g、2.0mmol)を一度に加え、この混合物をゆっくりと室温まで温め、そして18時間攪拌した。次いで、その反応混合物をCHCl(約50mL)で希釈し、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。固化した残留物を少量のEtOで洗浄して、黄色固形物として、生成物(0.34g、74%)を得、これを、さらに精製することなく、次の工程で使用した。δ(DMSO):5.01(2H、s、NH)、6.78(1H、t、ArH)、7.96(1H、d、ArH)、7.09(1H、t、ArH)、7.57(1H、d、ArH)7.70(2H、bs、NH)、8.07(1H、s、ピラジン−H)、8.42(1H、s、ピラジン−H)および10.01(1H、s、NH)。
【0138】
2−[(3−アミノ)−2−ピラジニル]ベンズイミダゾール(1−80):
N−(2−アミノフェニル)−3−アミノピラジン−2−カルボキサミド(0.15g、0.66mmol)の酢酸(6mL)溶液を、100〜110℃で、4時間加熱した。その反応混合物を室温まで冷却し、そして水(10mL)を加えた。沈殿した生成物を濾過により分離し、冷水で洗浄し、そしてEtOAcに溶解した。このEtOAc溶液を乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させて、黄色固形物として、生成物(I−80)(0.12g、87%)を得た。LC/MS:212(M+1)、保持時間:1.51分間。δ(DMSO):7.13(2H、m、ArH)、7.44(1H、d、ArH)、7.63(1H、d、ArH)、7.88(1H、s、ピラジン−H)、8.06(1H、s、ピラジン−H)および12.99(1H、s、NH)。NH信号は、観察されなかった。
【0139】
1−シアノメチル−2−[(3−アミノ)−2−ピラジニル]ベンズイミダゾール(I−81):標準条件下にて、化合物2−[(3−アミノ)−2−ピラジニル]ベンズイミダゾール(1−80)(0.06g、0.29mmol)のフルキル化すると、黄色固形物として、(10)(0.04g、60%)が得られた。LC/MS:251(M+1)、保持時間:1.63分間。δ(DMSO):6.28(2H、s、NCCH)、7.59−7.70(2×1H、2×t、ArH)8.07(2H、m、ArH)、8.26(1H、d、ピラジン−H)および8.41(1H、d、ピラジン−H)。NH信号は、観察されなかった。
【0140】
(スキームIV:1−アミノアルキル−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−ベンズイミダゾールを調製する一般手順)
(手順A:ニトリルの還元)
【0141】
【化47】


LiAlHの攪拌溶液(0.5mL、1M THF溶液、0.5mmol)に、室温で、窒素雰囲気下にて、AlCl(0.5mmol)の無水THF(2mL)溶液を滴下し、その混合物を、5分間攪拌した。次いで、無水THF(1mL)に溶解したニトリル出発物質(0.25mmol)を滴下し、その混合物を、18時間にわたって穏やかに還流し、次いで、室温まで冷却した。HO(5ml)を慎重に加え、この混合物をNaOH水溶液(2M溶液)で塩基化し、次いで、抽出した(EtO)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOHまたはEtO/NHOH)で精製して、生成物であるアミンを得た。
【0142】
この手順により、以下の化合物を製造した:
【0143】
【化48】


(手順B:アミドの還元)
【0144】
【化49】


アミド(I−121)を還元するのに、上記手順(手順A)を使用した。収率11%で、化合物(I−127)を単離した。
【0145】
(スキームV)
【0146】
【化50】


2−(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルベンゾイミダゾール−1−イルアセトアミド(I−125):NHCl(0.044g、0.84mmol)のトルエン(4ml)攪拌懸濁液に、0℃で、N雰囲気下にて、MeAl(0.42mL、2Mヘキサン溶液、0.84mmol)を滴下し、その混合物を室温までゆっくりと温め、次いで、18時間還流した。この反応混合物を室温まで冷却し、そしてSiO(2g)のCHCl(3ml)懸濁液を加えた。SiOを濾過により分離し、そしてMeOH/CHCl(20mL、50%)で洗浄した。その濾液を分離し、そして減圧下にて溶媒を除去した。その固形残留物を水(2ml)に懸濁し、次いで、不溶な固形物を濾過により分離し、EtOで洗浄し、そして乾燥して、生成物(I−125)(0.018g、34%)を得た。
【0147】
(スキームVI:ベンズイミダゾール誘導体(I−123)の調製)
【0148】
【化51】


[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンズイミダゾール−1−イル]−酢酸(I−5):[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンズイミダゾール−1−イル]−酢酸メチルエステル(0.2g、0.73mmol)のTHF(5ml)溶液に、0℃で、LiOH・HO(0.032g、0.77mmol)のHO(3ml)溶液を加えた。その混合物を室温まで温め、そして18時間攪拌した。次いで、この反応混合物をHO(10ml)で希釈し、クエン酸(pH=3−4)で酸性化し、そして抽出した(EtO)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を除去して、生成物(I−5)(0.14g、74%)を得た。
【0149】
I−123:グリシンアミド(0.038g、0.34mmol)の無水THF懸濁液に、N雰囲気(15mL)下にて、酸(I−5)(0.08g、0.31mmol)を加え、続いて、NEt(0.073g、0.72mmol)を加えた。その混合物を0℃まで冷却し、そしてHBTU(0.13g、0.34mmol)を一度に加えた。0℃で45分間攪拌した後、この混合物を室温までゆっくりと温め、次いで、さらに72時間攪拌した。この混合物から沈殿した固形物を濾過により分離し、そして少量のMeOHで洗浄して、(I−123)(0.05g、51%)を得た。
【0150】
(スキームVII)
【0151】
【化52】


2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)ベンズイミダゾール−1−イルN−メチルアセトアミド(I−121):[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−酢酸メチルエステル(0.3g、1.1mmol)のMeOH(3ml)溶液に、メチルアミン(1.6mL、2M MeOH溶液、0.032mol)を加え、続いて、NaCN(5.5mg、0.1lmmol)を加えた。その反応混合物を、50℃(油浴温度)で、18時間加熱した。次いで、この混合物を室温まで冷却し、エーテル(30ml)で希釈し、そして1M HClで洗浄した。その有機相を乾燥し(MgSO4)、減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物を結晶化して(EtO/石油エーテル)、生成物(I−121)(0.2g、67%)を得た。
【0152】
(スキームVIII)
【0153】
【化53】


2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)ベンズイミダゾール−1−イルエタノール(I−120):[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−酢酸メチルエステル(0.085g、0.31mmol)の無水THF(5ml)溶液に、N雰囲気下にて、LiAlH(0.31ml、1M EtO溶液、0.31mmol)を滴下し、その混合物を、室温で、18時間攪拌した。この混合物に酒石酸K、Na(5ml)の飽和溶液を加え、その固形物を濾過により分離した。その濾液をEtO(30ml)で希釈し、そしてHOで洗浄した。その有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下にて溶媒を蒸発させ、その固形残留物を再結晶して(CHCl/石油エーテル)、生成物(I−120)(0.018g、24%)を得た。
【0154】
(スキームIX:アミドを調製する一般手順)
【0155】
【化54】


[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−l−イル]−酢酸メチルエステル(0.18mmol)のMeOH(1ml)溶液に、NaCN(0.018mmol)を加え、続いて、このアミン(5.9mmol)を加え、その混合物を、密封フラスコ中にて、50℃(油浴温度)で、24時間加熱した。次いで、溶媒を蒸発させ、その残留物をCHClに溶解し、そしてブラインで洗浄した。その有機相を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を除去して、生成物であるアミドを得た。
【0156】
この手順により、以下の化合物を調製した:
【0157】
【化55】


(スキームX:エポキシド(I−38)を開環する一般手順)
【0158】
【化56】


エポキシド(I−38)(0.19mmol)のEtOH(3ml)溶液に、アミン(3.8mmolのMeNHまたは約88mmolのNH)を加え、その混合物を、室温で、24時間攪拌した。この反応混合物を減圧下にて濃縮し、次いで、抽出した(EtOAc)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させて、生成物であるアミノアルコールを得た。
【0159】
この手順により、以下の化合物を調製した:
【0160】
【化57】


(スキームXI)
【0161】
【化58】


2−[N−(3−メトキシフェニル)−4−アミノ]−1,2,5−オキサジアゾール−3イルベンズイミダゾール(I−128):ベンズイミダゾール(I−18)(0.05g、0.25mmol)のDMF(O.lmL)溶液に、N雰囲気下にて、3−ヨードアニソール(0.049g、0.21mmol)を加え、続いて、CuI(0.005g、0.025mmol)、フェナントロリン(0.008g、0.042mmol)およびCsCO(0.142g、0.44mmol)を加え、次いで、その反応混合物を、110℃(油浴温度)で、24時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物をEtOAc(10ml)で希釈し、シリカ/セライトの短プラグで濾過し、そのプラグを洗浄した(EtOAc)。減圧下にて、その濾液から溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 5:95〜20:80、勾配溶出)、生成物(I−128)(0.038g、50%)を得た。さらに溶出すると、痕跡量で、ビスアリール化生成物(I−112)が得られた。
【0162】
(スキームXII:2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)N−アリールベンズイミダゾールを調製する一般手順)
【0163】
【化59】


(2−(N−アリールアミノ)−ニトロベンゼン)
ニトロアニリン(5.8mmol)のDMF(2.5ml)溶液に、窒素雰囲気下にて、このヨードベンゼン誘導体(4.8mmol)を加え、続いて、CuI(0.48mmol)、フェナントロリン(0.96mmol)およびCsCO(10.0mmol)を加えた。その混合物を、110℃(油浴温度)で、24時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物をEtOAc(15ml)で希釈し、セライト/シリカの短プラグで濾過し、そのプラグをEtOAcで洗浄した。減圧下にて、その濾液から溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 1:9〜2:8、勾配溶出)、生成物である2−(N−アリールアミノ)−ニトロベンゼンを得た。
【0164】
(手順A:N−アリールベンゼン−1,2−ジアミンの調製)
化合物2−(N−アリールアミノ)−ニトロベンゼン(1.0mol)のEtOH(10ml)溶液に、Pd/C(0.13g)を加えた。その混合物を、H雰囲気下にて、室温で、16時間攪拌した。次いで、この反応混合物をセライトで濾過し、そのセライトプラグを洗浄した(EtOH)。減圧下にて、その濾液から溶媒を蒸発させて、生成物を得、これを、さらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0165】
(手順B)
化合物2−(N−アリールアミノ)−ニトロベンゼン(0.6mmol)および濃HCl(0.7ml)の混合物に、SnCl・2HO(3.33mmol)を加え、この混合物を、60℃(油浴温度)で、16時間攪拌した。次いで、減圧下にて、溶媒の殆どを蒸発させ、その残留物を氷/水に注ぎ、NaOH水溶液(2M溶液)で塩基化し、そして抽出した(EtO)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を除去して、N−アリールベンゼン−1,2−ジアミンを得た。この生成物を、さらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0166】
(化合物(20)の調製)
化合物(19)を、ベンズイミダゾール誘導体の調製について先に記述した一般手順を使用して、生成物(20)に変換した。以下の化合物は、この手順により製造した:
【0167】
【化60】


(スキームXIII)
【0168】
【化61】


2−(N−イソブチル)アミノ−3−クロロ−5−(1−イソブチル)ベンズイミダゾール−2−イル−2,6−ジアミノピラジン(1−97):ベンズイミダゾール(I−100)(0.07g、0.21mmol)のDMF(3ml)溶液に、EtN(0.027g、0.27mmol)を加え、続いて、イソブチルアミン(0.015g、0.21mmol)を加え、その混合物を、90℃(油浴温度)で、16時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、EtO(30ml)で希釈し、HOで洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。次いで、減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル、v/v 1:9)で精製して、生成物(I−97)(0.039g、50%)を得た。
【0169】
(スキームXIV)
【0170】
【化62】


2−(N−メトキシエチル)アミノ−3−クロロ−5−(1−イソブチル)ベンズイミダゾール−2−イル−2,6−ジアミノピラジン(1−98):化合物(I−98)を調製するために、化合物(1−97)の調製と同じ実験手順を使用した。その粗反応生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル、0:10〜3:7、勾配溶出)で精製して、生成物(I−98)(38%)および少量のジメチルアミノ副生成物(2%)(スキーム15)を得た。
【0171】
(スキームXV)
【0172】
【化63】


2−(3−メトキシ)フェニル−3−クロロ−5−(1−イソブチル)ベンズイミダゾール−2−イル−6−アミノピラジン(I−99):ボロン酸(0.026g、0.17mmol)の脱気DME(2ml)溶液に、N雰囲気下にて、ベンズイミダゾール誘導体(I−100)(0.07g、0.21mmol)を加え、続いて、Pd(PPh(0.02g、0.017mmol)およびKCO(0.072g、0.52mmol)(これは、脱気HO(1ml)に溶解した)を加えた。その混合物を、90℃(油浴温度)で、16時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、その有機層を分離した。その水層を抽出し(EtOAc)、その抽出物を有機層と合わせ、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を除去した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル、v/v 5:95〜20:80、勾配抽出)で精製して、生成物(I−99)(0.031g、44%)を得た。
【0173】
(スキームXVI)
【0174】
【化64】


5−(3−メトキシ)フェニル−3−(1−イソブチル)ベンズイミダゾール−2−イル−2−アミノピラジン(I−95):化合物(I−95)を調製するために、化合物(I−99)の調製と同じ実験手順を使用した。その粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル、v/v 1:9〜2:8、勾配溶出)で精製して、生成物(I−95)(33%)を得た。
【0175】
(スキームXVII)
【0176】
【化65】


(2−(3−ブロモ−チオフェン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾールの調製)
1,2−フェニレンジアミン(1.13g、10.47mmol)のDMF(40ml)溶液に、3−ブロモチオフェンカルボキシアルデヒド(2g、10.47mmol)を加え、その混合物を、110℃で、16時間加熱した。減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をEtO(50ml)とブライン(20ml)との間で分配した。そのEtO層を分離し、そしてHOで洗浄した。合わせたブラインおよび水層を抽出し(EtO)、その抽出物をEtO層と合わせ、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル、v/v 2:3)で精製して、2−(3−ブロモ−チオフェン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾール(1.42g、48%)を得た。
【0177】
(2−(3−ブロモ−チオフェン−2−イル)−1−イソブチル−1H−ベンズイミダゾールの調製)
ベンズイミダゾール誘導体をアルキル化する一般手順に従って、化合物2−(3−ブロモ−チオフェン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾールのアルキル化を実行した。その生成物を、収率41%で単離した。
【0178】
(化合物(I−136)の調製)
化合物2−(3−ブロモ−チオフェン−2−イル)−1−イソブチル−1H−ベンゾイミダゾール(0.404g、1.21mmol)のトルエン(16ml)溶液に、4−メトキシベンジルアミン(0.198g、1.45mmol)を加え、続いて、NaOBu(0.162g、1.69mmol)、BINAP(0.06g、0.18mmol)およびPd(dba)(0、03g、0.06mmol)を加え、その混合物を、還流状態で、36時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をEtOAcとHOとの間で分配した。そのEtOAc層を分離し、そのHO層を抽出した(EtOAc)。その抽出物をEtOAc層と合わせ、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 1:9)で精製して、生成物(I−136)(0.117g、25%)を得た。
【0179】
(化合物(I−137)の調製)
化合物(I−136)(0.05g、0.128mmol)をTFA(1.5ml)に溶解し、その混合物を、還流状態で、1.5時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物をHO(5ml)に希釈し、塩基化し(NH水溶液)、次いで、抽出した(EtOAc)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下にて溶媒を蒸発させて、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 1:4)で精製して、生成物(I−137)(0.034g、72%)を得た。
【0180】
1−イソブチル−2−(3−アミノ)チオフェン−2−イルベンズイミダゾール(I−138):
CO(0.49g、3.54mmol)、HO(2ml)およびMeOH(5ml)の混合物に、アミド(I−137)(0.02g、0.54mmol)を加え、この混合物を、還流状態で、2.5時間加熱した。室温まで冷却した後、その反応混合物を減圧下にて濃縮し、HO(5ml)で希釈し、次いで、抽出した(EtOAc)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 0:10〜4:6、勾配溶出)で精製して、生成物(I−138)(0.01g、68%)を得た。
【0181】
(スキームXVIII:2−[3(5)−アミノ]イミダゾール−4−イルベンズイミダゾール誘導体を調製する一般手順)
【0182】
【化66】


(2−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−3−ジメチルアミノ−アクリロニトリルの調製)
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アセトニトリル(0.25g、1.6mmol)のトルエン(5ml)溶液に、Bredereck試薬(0.33g、1.92mmol)を加え、その混合物を、室温で、1時間攪拌した。この反応混合物から、2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−3−ジメチルアミノ−アクリロニトリル(0.3g、89%)を沈殿させ、そして濾過により分離し、石油エーテルで洗浄し、そして乾燥した。
【0183】
化合物I−79およびI−131の調製)
2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−3−ジメチルアミノ−アクリロニトリル(0.99mmol)のEtOH(8ml)溶液に、ヒドラジン誘導体(1.2〜2mmol)を加え、その混合物を、還流状態で、16時間加熱した。減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH)で精製して、生成物を得た。
【0184】
この手順により、以下の化合物を調製した:
【0185】
【化67】


(スキームXIX)
【0186】
【化68】


1−(t−ブトキシカルボニル)−2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−インドール:1−(t−ブトキシカルボニル)−インドール−2−ボロン酸(1.85mmol)の脱気DME(7ml)溶液に、N雰囲気下にて、ピラジン(2.22mmol)を加え、続いて、KCO(5.55mmol)(これは、脱気HO(3ml)およびPd(PPh(0.185mmol)に溶解した)を加え、次いで、その混合物を、90℃(油浴温度)で、16時間加熱した。次いで、この反応混合物を室温まで冷却し、その有機層を分離し、そのHO層を抽出した(EtOAc)。合わせた抽出物および有機層を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル)で精製して、1−(t−ブトキシカルボニル)−2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−インドールを得た。
【0187】
(スキームXX)
【0188】
【化69】


2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−インドール:1−(t−ブトキシカルボニル)−2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−インドール(0.62g、1.9mmol)のCHCl(20ml)溶液に、0℃で、TFA(10ml)を滴下した。その反応混合物をCHCl(20ml)で希釈し、NaHCO飽和水溶液で洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。次いで、減圧下にて溶媒を蒸発させて、2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−インドール(0.41g、95%)を得た。
【0189】
(スキームXXI)
【0190】
【化70】


[2−(3−アミノ−ピラジン−2−イル)−1H−インドール−3−イル]−アセトニトリル(I−92):2−(3−アミノ−ピラジン−2−イル)−インドール(0.03g、0.19mmol)のDMF(6ml)溶液に、室温で、NaH(0.008g、鉱油中で60%、0.21mmol)を加えた。その混合物をさらに45分間攪拌し、その塩化物(0.028g、0.38mmol)を滴下した。この反応混合物を、室温で、16時間、そして60℃(油浴温度)で、1時間攪拌し、次いで、室温まで冷却し、EtO(30ml)で希釈し、HOで洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、エーテル)で精製して、生成物(I−92)(0.006g、17%/回収した出発物質に基づいて63%)を得た。
【0191】
(スキームXXII)
【0192】
【化71】


2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾール:3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−yl)−ピラジン−2−イルアミン(0.15g、0.71mmol)の濃HCl(3mL)およびHO(3mL)の混合物溶液に、0℃で、NaNO(0.059g、0.85mmol)のHO(2mL)溶液を滴下した。その混合物を、0℃で、1時間攪拌し(黄色沈殿物が形成された)、HO(5mL)で希釈し、KCOでpH7まで塩基化し、そして抽出した(EtOAc)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO)で精製して、クロロピラジン生成物(0.063mg、39%)を得た。さらに溶出すると、ピラジノン副生成物(I−132)(0.042g、28%)が得られた。
【0193】
2−(3−ジメチルアミノ−ピラジン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾール:2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾール(0.039g、0.17mmol)のEtOH(lml)溶液に、ジメチルアミン溶液(5ml、HO中の60%溶液、53.0mmol)を加え、その残留物を、封管中にて、200℃で、電子レンジ条件(300W、300psi)下にて、45分間加熱した。室温まで冷却した後、その混合物を抽出し(EtOAc)、その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させて、2−(3−ジメチルアミノ−ピラジン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾール(0.05g、100%)を得た。
【0194】
2−N,N−ジメチルアミノ−3−(1−シアノメチルベンズイミダゾール−2−イル)ピラジン(I−130):2−(3−ジメチルアミノ−ピラジン−2−イル)−1H−ベンズイミダゾールを、ベンズイミダゾールをアルキル化する一般手順に従って、アルキル化した。
【0195】
(スキームXXIII)
【0196】
【化72】


3−(1−イソブチルベンズイミダゾール−2−イル)−ピラジン−2−イルアミンメチルスルホンアミド(I−101):2−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−1−イソブチル−1H−ベンゾイミダゾール(0.11g、0.384mmol)のDMF(8mL)溶液に、MeSONH(0.033g、0.346mmol)を加え、続いて、KCO(0.106g、0.768mmol)を加え、その混合物を、125℃(油浴温度)で、16時間加熱し、室温まで冷却し、その固形物を濾過により分離した。その濾液から、減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 2:8〜3:7、勾配溶出)で精製して、生成物I−101(0.01g、9%/回収した出発物質に基づいて18%)を得た。
【0197】
(スキームXXIV)
【0198】
【化73】


3−(1−シアノメチルベンズイミダゾール−2−イル)−ピラジン−2−イルメチルアミン(I−90):アミン(I−81)(0.05g、0.2mmol)の無水DMF(1.5ml)溶液に、N雰囲気下にて、室温で、NaH(0.01g、0.24mmol、鉱油中で60%)を加え、その混合物を、30分間攪拌した。次いで、MeI(0.071g、0.4mmol)を加え、その混合物を、さらに2時間攪拌した。NHC1(4ml)の飽和溶液を加え、この混合物を抽出した(EtOAc)。その抽出物をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/石油エーテル、勾配抽出)で精製して、生成物(0.026g)(これには、いくつかの副生成物(LC−MSで20%)が混入していた)を得た。HPLCでさらに精製すると、生成物I−90(0.009g、17%)が得られた。
【0199】
(スキームXXV)
【0200】
【化74】


3−(1−シアノメチルベンズイミダゾール−2−イル)−ピラジン−2−イル尿素(I−83):アミン(I−81)(0.05g、0.237mmol)のTHF/DMF(2.5mL/2mL)溶液に、N雰囲気下にて、0℃で、イソシアネート(0、136g、0.83mmol)を滴下し、その混合物を1時間攪拌した。MeOH(1.5mL)およびNaHCO飽和水溶液(1.5mL)を加え、この混合物を室温まで温めた。減圧下にて濃縮し、その粗反応混合物をHO(5ml)で希釈し、形成された固形物を濾過により分離し、EtOAcで洗浄し、そして乾燥して、生成物(I−83)(0.041g、70%)を得た。
【0201】
(スキームXXVI)
【0202】
【化75】


(化合物(I−129)の調製)
ベンズイミダゾール(I−86)(0.212g、0.738mmol)のCHCl(20ml)溶液に、N雰囲気下にて、−50℃で、BBr(1M CHCl溶液5mL、5.0mmol)を加えた。その混合物を、−50℃で、10分間攪拌し、次いで、1時間にわたって、室温まで温めた。氷を加え、この反応混合物を抽出し(CHCl)、その抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/石油エーテル、v/v 1:1)で精製して、生成物I−86(0.138g、69%)を得た。
【0203】
1−イソブチル−2−(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル−5−(モルホリノ−N−プロポキシ)ベンズイミダゾール(I−135):ヒドロキシベンズイミダゾール(I−129)(0.047g、0.17mmol)の無水DMF(4mL)溶液に、N雰囲気下にて、室温で、NaH(0.008g、鉱油中で60%、0.2mmol)を加え、その混合物を30分間攪拌した。次いで、クロロアルキル化試薬(0.031g、0.17mmol)を加え、この混合物を、90℃(油浴温度)で、16時間加熱した。室温まで冷却した後、その混合物をEtO(30ml)で希釈し、そしてHOで洗浄した。そのEtO層を乾燥し、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。この生成物から出発物質であるヒドロキシ化合物を除去するために、その残留物をCHCl(1ml)に溶解し、TBD−メチルポリスチレン(0.01g、2.39mmol/g)を加え、この混合物を16時間振盪した。その樹脂を濾過により分離し、CHClで数回洗浄し、合わせた有機層から、減圧下にて溶媒を蒸発させて、生成物(I−135)(0.019g、27%)を得た。
【0204】
(スキームXXVII)
【0205】
【化76】


2−(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル−5−アミノ ベンズイミダゾール(I−57):ベンズイミダゾール(I−34)(0.046g)をHI(3ml、57%HO溶液)に溶解し、その混合物を、90℃で、4時間加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物をEtOAc(15ml)で希釈し、Na水溶液(10%溶液)、NaHCO水溶液(飽和溶液)およびHOで洗浄した。次いで、その有機相を乾燥し(MgSO)、そして溶媒を蒸発させて、生成物I−57(0.015g、38%)を得た。
【0206】
(スキームXXVIII:ビスアミンおよびニトリル/カルボン酸を縮合する一般手順)
【0207】
【化77】


(2−(ヘテロアリール)ベンズイミダゾールの調製)
ビス−アミン(6.5mmol)およびポリリン酸(約15g)の混合物に、ニトリル/カルボン酸(6.5mmol)を加え、その混合物を、170℃(油浴温度)で、6時間攪拌した。次いで、この反応混合物を約50℃まで冷却し、HOに溶解し、そして抽出した(EtOAc)。その抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、エーテル)で精製して、生成物である2−(ヘテロアリール)ベンズイミダゾールを得た。
【0208】
この手順により、以下の化合物を調製した:
【0209】
【化78】


(N−アルキル−2−(ヘテロアリール)ベンズイミダゾールの調製)
ベンズイミダゾール誘導体をアルキル化する一般手順に従って、このアルキル化を実行した。
【0210】
以下の化合物を調製した:
【0211】
【化79】


(特性付けデータ)
本発明者は、本明細書中で示したスキーム、一般方法および実施例(上記)で記述した方法と実質的に類似の方法により、式Iの他の化合物を調製した。これらの化合物の特性付けは、以下の表3で要約するが、これには、HPLC、LC/MS(観察)およびHNMRデータが挙げられる。
【0212】
HNMRデータは、以下の表3で要約するが、ここで、HNMRデータは、特に明記しない限り、重水素化DMSO中で得、構造と一致していることが分かった。化合物番号は、表1で列挙した化合物番号に対応している。
【0213】
表3.式Iの選択した化合物の特性付けデータ
【0214】
【化80】

【0215】
【化81】

【0216】
【化82】

【0217】
【化83】

【0218】
【化84】

【0219】
【化85】

【0220】
【化86】


(生体アッセイ)
(GSK−3の阻害に関するKの決定)
標準共役酵素系(Foxら、(1998)
Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがGSK3−P(AA 1−420)の活性を阻害する能力について、スクリーリングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgC1、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、10μm ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および300μMペプチド(HSSPHQS(PO)EDEEE,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応は、30℃および60nM GSK−3βで実行した。この共役酵素系の化合物の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルバート、300μMのNADH、30μg/mlのピルバートキナーゼおよび10μg/mlの乳酸脱水素酵素であった。
【0221】
ATPおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。このアッセイストック緩衝液(175μl)を、86ウェルプレートにて、0.002μM〜30μMに及ぶ最終濃度で、30℃で、対象試験化合物5μlと共に、10分間インキューベートした。典型的には、娘プレートにて、これらの試験化合物をDMSOでの連続希釈物を調製することにより、12ポイント滴定を実行した。その反応は、20μlのATPを加えることにより、開始した(最終濃度20μM)。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレート読み取り値(Sunnyvale,CA)を使用して、反応速度を得た。阻害剤濃度の関数として、その速度データから、K値を決定した。
【0222】
以下の化合物は、GSK−3について、1μM未満のKを有することが分かった(化合物番号は、表1で列挙した化合物番号に対応している):I−2、I−7、I−9、I−11、I−12、I−13、I−19、I−32、I−33、I−37、1−38、I−47、I−50、I−51、I−54、I−55、I−56、I−58、I−81、I−86、I−87、I−90、I−96、I−109、I−128およびI−129。
【0223】
これらの化合物を、放射能ベースアッセイまたは分光測光アッセイのいずれかを使用して、ヒトLckキナーゼの阻害剤として、評価した。
【0224】
(Lck阻害アッセイA:放射能ベースアッセイ)
これらの化合物を、バキュロウイルス細胞から発現し精製した全長ウシ胸腺Lckキナーゼ(Upstate Biotechnology製、cat.no.14−106)の阻害剤として、アッセイした。ATPからGlu:Tyr=4:1の組成のランダムポリGlu−Tyr重合体基質のチロシンへと33Pを取り込むことに従って、キナーゼの活性をモニターした(Sigma,cat.no.P−0275)。以下は、これらのアッセイ成分の最終濃度であった:0.025MのHEPES、pH7.6、10mMのMgCl、2mMのDTT、0.25mg/mlのBSA、10μMのATP(1〜2μCi、1反応あたり33P−ATP)、5mg/mlのポリGlu−Tyr、および1〜2単位の組換えウシ胸腺Lckキナーゼ。典型的なアッセイでは、ATPを除いて全ての反応成分を予め混合し、そしてアッセイプレートウェルに等分した。このウェルに、DMSOに溶解した阻害剤を加えて、2.5%の最終DMSO濃度を得た。33P−ATPとの反応を開始する前に、このアッセイプレートを、30℃で、10分間インキュベートした。反応の20分後、これらの反応を、10%トリクロロ酢酸(TCA)(これは、20mM NaPOを含有する)でクエンチした。次いで、クエンチした試料を、96ウェルフィルタープレート(Whatman,UNI−Filter GF/F Glass Fiber Filter,cat no.7700−3310;これは、フィルタープレート真空マニホルドに設置した)に移した。フィルタープレートを、10%TCA(これは、20mM NaPOを含有する)で4回洗浄し、次いで、メタノールで4回洗浄した。次いで、各ウェルに、シンチレーション流体200μlを加えた。これらのプレートを密封し、それらのフィルターに関連した放射能の量を、TopCountシンチレーションカウンタで定量した。取り込まれた放射能を、その阻害剤の濃度の関数として、プロットした。そのデータを、競合阻害動力学モデルに当てはめて、その化合物のKを得た。
【0225】
(Lck阻害アッセイB:分光測光アッセイ)
ポリGlu−Tyr基質のヒト組換えLckキナーゼで触媒したリン酸化によりATPから産生したADPを、共役酵素アッセイを使用して、定量した(Foxら、(1998) Protein Sci 7,2249)。このアッセイにて、1分子のNADHは、このキナーゼ反応で産生されたADPの各分子に対して、NADに酸化される。NADHの消失は、340nmで、うまく追跡できる。
【0226】
典型的なアッセイでは、ATPを除いて全ての反応成分を予め混合し、そしてアッセイプレートウェルに等分した。このウェルに、DMSOに溶解した阻害剤を加えて、2.5%の最終DMSO濃度を得た。150μMのATPとの反応を開始する前に、このアッセイプレートを、30℃で、10分間インキュベートした。その吸光度は、時間と共に、340nmで変化し、この反応速度を、分子装置プレート読み取り装置でモニターした。その速度データを、その阻害剤の濃度の関数として、競合阻害動力学モデルに当てはめて、その化合物のKを得た。
【0227】
以下の化合物は、Lckについて、5μM未満のKを有することが分かった(化合物番号は、表1で列挙した化合物番号に対応している):I−56、I−57、I−58、I−59、I−70、I−71、I−80、I−81、I−86、I−87、I−89、I−90、I−96、I−104、I−109、I−110、I−117、I−128およびI−129。
【0228】
本発明者は、本発明の多数の実施形態を記述しているものの、本発明者の基本的な例は、他の実施形態(これらは、本発明の化合物および方法を利用する)を提供するように変更できることが明らかである。従って、本発明の範囲は、特定の実施形態(これらは、一例として、表わされている)よりもむしろ、添付の請求の範囲で規定され得ることが理解できるはずである。
【産業上の利用可能性】
【0229】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下の方法、化合物などが提供される:
(項目1)
アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、エイズ関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大、再灌流/虚血、脳卒中または脱毛症から選択される疾患、障害または病気を治療するかその症状を軽減する方法であって、該方法は、それが必要な患者に、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する:
【化1】


ここで:
環Aは、必要に応じて置換した部分不飽和または完全不飽和の5〜7員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有し、ここで、環Aは、必要に応じて、必要に応じて置換した飽和、部分不飽和または完全不飽和の5〜8員環に縮合され、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する;
環Bは、必要に応じて置換した5〜6員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有し、ここで、該環は、結合位置に隣接した位置に、第一置換基−N(Rを有し、そして必要に応じて、2個までの追加置換基で置換されている;
Wは、窒素またはCRから選択され、そしてXは、窒素またはCHから選択され、ここで、WおよびXの少なくとも1個は、窒素である;
は、RまたはRから選択される;
は、−SOR、−SON(R)、−CN、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)から選択される;
Rは、別個に、水素または必要に応じて置換した基から選択され、該必要に応じて置換した基は、C1〜6脂肪族、3〜6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択され、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有するか、または同一窒素上の2個のR基は、それに結合した窒素と一緒になって、3〜7員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、該複素環またはヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する;
は、T−CNまたはL−Rから選択される;
Tは、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖である;
Lは、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられる;そして
は、L−R、−ハロ、T−NO、T−CNから選択される、
方法。
(項目2)
環Aが、以下の環a〜kからなる群から選択される必要に応じて置換した環である、項目1に記載の方法:
【化2】


(項目3)
前記環Aが、必要に応じて置換したベンゾ環である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記化合物が、式IaまたはIbまたはそれらの薬学的に受容可能な塩である、項目3に記載の方法:
【化3】


(項目5)
が、R、−SORまたは−C(O)Rから選択され、
が、T−CNまたはL−Rから選択され、
Lが、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lのメチレン単位が、必要に応じて、−CO−、−C(O)NR−、−C(O)−、−N(R)−または−O−で置き換えられ、
Rが、水素または必要に応じて置換した基であり、該必要に応じて置換した基が、C1〜4脂肪族、3〜6員複素環、フェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環から選択され、該複素環が、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有し、そして該ヘテロアリール環が、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有し、そして
Tが、C1〜4アルキリデン鎖である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記疾患が、糖尿病、アルツハイマー病または精神分裂病から選択される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記疾患が、移植拒絶、アレルギー、関節リウマチまたは白血病から選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記疾患が、移植拒絶または関節リウマチから選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
さらに、単一用量形態または複数用量形態のいずれかとして、追加治療薬を投与する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目10)
(a)患者;または(b)生体試料において、GSK−3またはLckキナーゼを阻害する方法であって、該方法は、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を該患者に投与するかまたは該生体試料と接触させる工程を包含する:
【化4】


ここで:
環Aは、必要に応じて置換した部分不飽和または完全不飽和の5〜7員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有し、ここで、環Aは、必要に応じて、必要に応じて置換した飽和、部分不飽和または完全不飽和の5〜8員環に縮合され、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する;
環Bは、必要に応じて置換した5〜6員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有し、ここで、該環は、結合位置に隣接した位置に、第一置換基−N(Rを有し、そして必要に応じて、2個までの追加置換基で置換されている;
Wは、窒素またはCRから選択され、そしてXは、窒素またはCHから選択され、ここで、WおよびXの少なくとも1個は、窒素である;
は、RまたはRから選択される;
は、−SOR、−SON(R)、−CN、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)から選択される;
Rは、別個に、水素または必要に応じて置換した基から選択され、該必要に応じて置換した基は、C1〜6脂肪族、3〜6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択され、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有するか、または同一窒素上の2個のR基は、それに結合した窒素と一緒になって、3〜7員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、該複素環またはヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する;
は、T−CNまたはL−Rから選択される;
Tは、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖である;
Lは、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられる;そして
は、L−R、−ハロ、T−NO、T−CNから選択される、
方法。
(項目11)
式IaまたはIbの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化5】


ここで:
環Aは、必要に応じて置換した部分不飽和または完全不飽和の5〜7員環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有し、ここで、環Aは、必要に応じて、必要に応じて置換した飽和、部分不飽和または完全不飽和の5〜8員環に縮合され、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する;
は、RまたはRから選択される;
は、−SOR、−SON(R)、−CN、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)から選択される;
Rは、別個に、水素または必要に応じて置換した基から選択され、該必要に応じて置換した基は、C1〜6脂肪族、3〜6員の飽和、部分不飽和またはアリール環であり、該環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜4個のヘテロ原子を有するか、または同一窒素上の2個のR基は、それに結合した窒素と一緒になって、3〜7員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、該複素環またはヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する;
は、T−CNまたはL−Rから選択される;
Tは、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖である;そして
Lは、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられる;
但し、該化合物は、以下からなる群の1個以外である:
4−[1−(4−クロロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−1);
4−(1−プロプ−2−イニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(1−2);
4−(5−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−3);
4−[1−(2−クロロ−6−フルオロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−4);
[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−酢酸(1−5);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−アセトアミド(I−6);
4−(1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−7);
4−[1−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−8);
4−(1−アリル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−9);
4−[1−(4−メチル−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−10);
4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−11);
4−[1−(2−メチル−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−12);
[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−アセトニトリル(I−13);
4−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−14);
4−[1−(2,4−ジクロロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−15);
4−[1−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(1−16);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(1−17);
4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−18);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−アセトアミド(1−19);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イルメチル]−ベンゾニトリル(I−20);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド(I−21);
4−[1−(3−ブロモ−ベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−フラザン−3−イルアミン(I−22);
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ブチロニトリル(1−23);
4−(1−エチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−55);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2−フルオロ−フェニル)−アセトアミド(I−61);
4−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(I−62);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−ビフェニル−2−イル−アセトアミド(I−63);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2,6−ジメチル−フェニル)−アセトアミド(1−64);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−tert−ブチル−アセトアミド(I−65);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(3−フルオロ−フェニル)−アセトアミド(I−66);
2−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−N−(2−フルオロ−フェニル)−アセトアミド(I−70);
2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−フェニルアミン(I−71);
N−[4−(1−エチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(I−72);
N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−アセトアミド(I−73);
N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−プロピオンアミド(I−74);
N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−イソブチルアミド(I−75);および
N−[4−(1−シアノメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フラザン−3−イル]−アセトアミド(I−76)。
(項目12)
が、R、−SORまたは−C(O)Rから選択され、
が、T−CNまたはL−Rから選択され、
Lが、原子価結合またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lのメチレン単位が、必要に応じて、−CO−、−C(O)NR−、−C(O)−、−N(R)−または−O−で置き換えられ、
Rが、水素または必要に応じて置換した基であり、該必要に応じて置換した基が、C1〜4脂肪族、3〜6員複素環、フェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環から選択され、該複素環が、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有し、そして該ヘテロアリール環が、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有し、そして
Tが、C1〜4アルキリデン鎖である、項目11に記載の化合物。
(項目13)
が、R、−SORまたは−C(O)Rであり、
Rが、水素または必要に応じて置換したC1〜4脂肪族基であり、
が、水素、−CHCN、−CHC(O)NH、−CHCOH、プロピル、−CHCH=CH、イソプロピル、−(CHCN、−CHOEt、−CHCF、イソブチル、シクロプロピルメチル、−CHCHN(Me)、−CHCH(OEt)、エチル、−CHC(O)NHt−ブチル、または必要に応じて置換したベンジルまたは−CHC(O)NHフェニル基である、そして
該ベンゾ環上の任意の置換可能炭素が、別個に、必要に応じて、クロロ、ブロモ、メチル、−CF、ニトロ、t−ブチル、メトキシ、−COMe、ヒドロキシ、アミノまたは−OCHCNで置換されている、項目12に記載の化合物。
(項目14)
前記化合物が、以下の表1の化合物から選択される、項目11に記載の化合物:
【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


(項目15)
項目11に記載の化合物の有効量および薬学的に受容可能な担体を含有する、組成物。
(項目16)
さらなる追加治療薬を含有する、項目15に記載の組成物。
(項目17)
神経障害、アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、エイズ関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大、再灌流/虚血、脳卒中または脱毛症から選択される疾患、障害または病気を治療するかその症状を軽減する方法であって、それが必要な患者に、項目15に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目18)
前記疾患が、神経障害から選択される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記疾患が、脳卒中である、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記疾患が、移植拒絶、アレルギー、関節リウマチまたは白血病から選択される、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記疾患が、移植拒絶または関節リウマチから選択される、項目20に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−132697(P2010−132697A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43557(P2010−43557)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【分割の表示】特願2003−566002(P2003−566002)の分割
【原出願日】平成15年2月6日(2003.2.6)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】