説明

アレイ基板、アレイ基板の製造方法、電気光学装置、電子機器

【課題】 薄膜トランジスタと電極との接続信頼性を向上させたアレイ基板を提供する。
【解決手段】 表面に薄膜トランジスタ40が設けられた基板11と、基板11の表面を覆うように形成された層間絶縁層50と、層間絶縁層50上に形成されると共に、層間絶縁層50に形成されたコンタクトホール23を介して薄膜トランジスタ40と電気的に接続された電極19とを備え、層間絶縁層50は、珪素を含む第1の無機絶縁膜15と、有機絶縁膜16と、珪素を含む第2の無機絶縁膜18とが、この順で積層されてなると共に、第1の無機絶縁膜15、有機絶縁膜16及び第2の無機絶縁膜17には、それぞれコンタクトホール23に対応する位置に開口部15a,16a,18aが設けられ、これら開口部15a,16a,18aのうち少なくとも第2の無機絶縁膜18の開口部18aが有機絶縁膜16の開口部16aよりも大きいことを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ基板、アレイ基板の製造方法、電気光学装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶装置や有機EL(Electro-Luminescence)装置などの電気光学装置に用いられるアレイ基板は、絶縁性基板と、この絶縁性基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)と、この薄膜トランジスタを覆うように形成された有機絶縁膜と、この有機絶縁膜上に形成されると共に、有機絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタの出力端子と電気的に接続された画素電極とを備えた構造を有している。
【0003】
ところで、感光性アクリル樹脂に代表される有機絶縁膜は、その吸水性や膨潤により、この有機絶縁膜上に形成された画素電極のクラックや剥離を生じさせるおそれがあり、上述したアレイ基板を製造する際に歩留りを低下させる要因の1つとなっていた。そこで、この有機絶縁膜と画素電極との間に無機絶縁膜を介在させることによって、画素電極の密着性や信頼性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【特許文献1】特開平10−39334号公報
【特許文献2】特開平4−163528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら特許文献1,2に記載される技術では、コンタクトホールを形成する有機絶縁膜の開口部よりも内側に無機絶縁膜の開口部があり、このコンタクトホールから露出する薄膜トランジスタの出力端子のコンタクト面積が非常に小さくなるため、薄膜トランジスタと電極との接続信頼性が低下してしまうといった問題があった。
【0005】
この場合、薄膜トランジスタの出力端子と画素電極との接続に必要な面積を確保しようとすれば、その分だけ有機絶縁膜及び無機絶縁膜の開口部を大きく形成しなければならなくなる。そして、これらコンタクトホールを形成するのに必要な面積の拡大は、上述した液晶装置や有機EL(Electro-Luminescence)装置などにおいて、表示に寄与しない面積の拡大に繋がるため好ましくない。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、薄膜トランジスタと電極とのコンタクトホールを介した接続による接続信頼性の向上を可能としたアレイ基板、アレイ基板製造方法、電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るアレイ基板は、表面に薄膜トランジスタが設けられた基板と、基板の表面を覆うように形成された層間絶縁層と、層間絶縁層上に形成されると共に、層間絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタと電気的に接続された電極とを備え、層間絶縁層は、珪素を含む第1の無機絶縁膜と、有機絶縁膜と、珪素を含む第2の無機絶縁膜とが、この順で積層されてなると共に、第1の無機絶縁膜、有機絶縁膜及び第2の無機絶縁膜には、それぞれコンタクトホールに対応する位置に開口部が設けられ、これら開口部のうち少なくとも第2の無機絶縁膜の開口部が有機絶縁膜の開口部よりも大きいことを特徴とする。
このような構成によれば、第2の無機絶縁膜の開口部が有機絶縁膜の開口部よりも大きいことから、薄膜トランジスタと電極との接続に必要なコンタクトホールの開口面積を大きく確保することができ、このコンタクトホールを介した薄膜トランジスタと電極との接続信頼性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明に係るアレイ基板は、第1の無機絶縁膜の開口部と、有機絶縁膜の開口部とが同じ大きさで設けられ、互いの開口端面が連続した面を形成している構成であってもよい。
このような構成によれば、薄膜トランジスタと画素電極との接続に必要なコンタクトホールの開口面積を更に大きく確保することができるため、更なる接続信頼性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係るアレイ基板は、有機絶縁膜上に第2の無機絶縁膜で被覆された反射膜を有する構成であってもよい。
このような構成によれば、有機絶縁膜上に形成された反射膜を第2の有機絶縁膜により保護することができる。
【0010】
一方、本発明に係るアレイ基板の製造方法は、表面に薄膜トランジスタが設けられた基板と、基板の表面を覆うように形成された層間絶縁層と、層間絶縁層上に形成されると共に、層間絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタと電気的に接続された電極とを備えたアレイ基板の製造方法であって、層間絶縁層として、珪素を含む第1の無機絶縁膜と、有機絶縁膜と、珪素を含む第2の無機絶縁膜とを、この順で積層して形成すると共に、第1の無機絶縁膜、有機絶縁膜及び第2の無機絶縁膜には、それぞれコンタクトホールに対応する位置に開口部を形成し、これら開口部のうち少なくとも第2の無機絶縁膜の開口部を有機絶縁膜の開口部よりも大きくすることを特徴とする。
このような製造方法によれば、第2の無機絶縁膜に形成する開口部を有機絶縁膜に形成する開口部よりも大きくすることで、薄膜トランジスタと画素電極との接続に必要なコンタクトホールの開口面積を大きく確保することができる。したがって、この製造方法により作製されたアレイ基板では、薄膜トランジスタと電極との接続信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係るアレイ基板の製造方法は、第1の無機絶縁膜の開口部と、有機絶縁膜の開口部とを同じ大きさで形成し、互いの開口端面を連続した面としてもよい。
このような製造方法によれば、薄膜トランジスタと画素電極との接続に必要なコンタクトホールの開口面積を更に大きく確保することができるため、更なる接続信頼性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係るアレイ基板の製造方法は、薄膜トランジスタを覆う第1の無機絶縁膜を形成し、この上に有機絶縁膜を形成し、有機絶縁膜に開口部を形成し、この開口部が形成された有機絶縁膜を覆う第2の無機絶縁膜を形成し、第2の無機絶縁膜上に有機絶縁膜の開口部よりも大きい開口部を有するレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして第2の無機絶縁膜のエッチングを行い、第2の無機絶縁膜に有機絶縁膜の開口部よりも大きい開口部を形成した後に、マスクを残したまま有機絶縁膜の開口部より露出する第1の無機絶縁膜のエッチングを行い、第1の無機絶縁膜に有機絶縁膜の開口部と同じ大きさの開口部を形成してもよい。
このような製造方法によれば、第1の無機絶縁膜に開口部を形成するのに必要なマスクの形成工程を省くことができるため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0013】
また、本発明に係るアレイ基板の製造方法は、有機絶縁膜上に反射膜を形成した後に、この反射膜を被覆するように前記第2の無機絶縁膜を形成してもよい。
このような製造方法によれば、有機絶縁膜上に形成した反射膜を第2の有機絶縁膜により保護することができる。
【0014】
一方、本発明に係る電気光学装置は、上記何れかのアレイ基板又は製造方法により作製されたアレイ基板を備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、高い信頼性と優れた量産性とを兼ね備えた電気光学装置を得ることができる。
【0015】
一方、本発明に係る電子機器は、上記何れかの電気光学装置を備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、高い信頼性と優れた量産性とを兼ね備えた電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、本発明を電気光学装置の一例であるEL装置に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、これらの図面に示される構造は特徴的な部分を分かり易く示すために実際の構造に対して寸法を異ならせて示す場合がある。
【0017】
<第1実施形態>
(電気光学装置)
先ず、本発明の第1の実施形態に係るEL装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るEL装置の断面構造を示した断面図である。また、図2は、図1に示すEL装置の平面構造を示した図である。なお、図1は、図2に示す線分A−A’で切断した線視断面図である。また、図2においては、図面を見やすくするために、基板上における絶縁層の配置を説明するために必要な部材のみを示し、他の部材の記載を省略して示している。
【0018】
図1および図2において、符号10は、本発明を適用したアレイ基板10を示している。本実施形態におけるEL装置は、発光層20で発生した光が基板11と反対側に向かって出射するトップエミッション型である。したがって、基板11として、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を採用することができる。
【0019】
また、図2に示すように、基板11上には、図1に示す発光層20からの出射光の出射される複数の画素領域26がマトリクス状に形成されている。なお、本実施形態においては、図1に示す光反射膜17の形成領域と平面的に重なり合う領域が画素領域26となっている。さらに、基板11上には、各画素領域26を囲む周辺領域28が形成されている。周辺領域28は、隣り合う画素領域26間に位置する中間領域28aと、画素領域26と基板11の端部11aとの間に位置する外周領域28bとからなる。
【0020】
また、図1において、基板11の上には、下地層12が形成されている。下地層12は、例えば酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)などの絶縁材料によって形成されている。
【0021】
下地層12の上には、薄膜トランジスタ(以下、TFTという。)30、40が設けられている。TFT30、40は、ゲート電極31、41と、ドレイン電極に接続されたドレイン配線32、42と、ソース電極に接続されたソース配線33、43と、半導体層34、44とを備えている。また、TFT30、40の上には、ゲート絶縁膜13と、層間絶縁膜14とが、この順で形成されている。
【0022】
さらに、この上には、TFT30,40と後述する画素電極19との間を電気的に絶縁する層間絶縁層50が設けられている。この層間絶縁層50は、第1の無機絶縁膜15と、有機絶縁膜16と、第2の無機絶縁膜17とが、この順で積層されてなるものである。
【0023】
具体的に、TFT30、40の上には、酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)などの珪素を含む無機絶縁材料からなる第1の無機絶縁膜15がTFT30、40の形状に沿って形成されている。
【0024】
この第1の無機絶縁膜15の上には、TFT30、40が形成された基板11上を平坦化する有機絶縁層16が設けられている。有機絶縁層16としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの有機樹脂材料を用いることができる。
【0025】
有機絶縁層16が形成された基板11の表面上には、各画素領域26に対応する位置に、光反射膜17が形成されている。光反射膜17は、発光層20からの出射光を反射するものであり、アルミニウムや銀などの単体金属、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金といった様々な光反射性を有する材料からなる。
【0026】
有機絶縁膜16が形成された基板11の表面上には、第2の無機絶縁膜18が表面形状に沿って形成されている。第2の無機絶縁膜18は、例えば酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)といった光透過性を有する絶縁材料によって形成される。また、第2の無機絶縁膜18は、光反射膜17を覆うように形成されているため、この光反射膜17を水分などから保護することができる。
【0027】
第2の無機絶縁膜18上には、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxie)といった光透過性の導電材料からなる画素電極(第1の電極)19が形成されている。画素電極19は、図1に示すように各画素領域26に配置されるとともに、各画素領域26から各画素領域26に対応するコンタクトホール23上まで延在して配置されている。
【0028】
コンタクトホール23は、第1の無機絶縁膜15と有機絶縁膜16と第2の無機絶縁膜18とにそれぞれ設けられた開口部15a,16a,17aを通して露出されたTFT40のドレイン配線42に画素電極19を電気的に接続するためのものである。本実施形態では、コンタクトホール23は、図1および図2に示すように、画素領域26と離間して中間領域28aまたは外周領域28bに形成されている。
【0029】
また、図1および図2に示すように、コンタクトホール23上の画素電極19上には、コンタクトホール23を充填する絶縁層24が配置されている。絶縁層24は、画素領域26と離間して中間領域28aまたは外周領域28bに平面視島状に配置されているとともに、各画素領域26の近傍に形成されたコンタクトホール23に付随してそれぞれ独立して形成されている。絶縁層24としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの有機樹脂材料を用いることができるが、有機絶縁膜16と同じ材料を用いることが望ましい。絶縁層24を有機絶縁膜16と同じ材料からなるものとする場合、材料を効率よく用いることができる。また、絶縁層24は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術や、インクジェット法等の液滴吐出法によって形成することができるが、インクジェット法等の液滴吐出法によって形成した場合、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0030】
絶縁層24が形成された基板11の表面上には、発光層20および第2の電極21が、全ての画素領域26と中間領域28aに連続して配置されている。
発光層20は、有機EL材料からなる発光層を含む複数の機能層を積層した構造となっている。画素電極19は、発光層20に電気エネルギーを付与するための陽極として機能する。一方、各発光層20の表面には、発光層20の陰極として機能する第2の電極21が形成されている。ただし、画素電極19が陰極として機能するとともに第2の電極21が陽極として機能する構成としてもよい。
【0031】
本実施形態における発光層20は、正孔輸送層と発光機能層と電子輸送層という3種類の機能層を基板11側から第2電極21側に向かってこの順番に積層した構造となっている。ただし、発光層20の構造はこの例示に限定されない。例えば、正孔輸送層と画素電極19との間に正孔注入層を介在させた構成や、電子輸送層と第2の電極21との間に電子注入層を介在させた構成としてもよい。すなわち、画素電極19と第2の電極21との間に発光機能層が介在する構成であれば足りる。
【0032】
第2の電極21は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する材料によって形成される。第2の電極21の表面上には、全面を覆うように第3の無機絶縁膜22が形成されている。第3の無機絶縁膜22は、例えば酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)といった光透過性を有する絶縁材料によって形成される。
【0033】
(アレイ基板)
ところで、本実施形態のEL装置は、本発明を適用したアレイ基板10を備えることによって、TFT40と画素19電極とのコンタクトホール23を介した接続による接続信頼性の向上が可能となっている。
【0034】
具体的に、図3において、アレイ基板10におけるコンタクトホール23の構造を説明するために必要な部材のみを示し、他の部材の記載を省略して示す。
本実施形態のEL装置に搭載されたアレイ基板10は、図3に示すように、第1の無機絶縁膜15、有機絶縁膜16及び第2の無機絶縁膜18の開口部15a,16a,18aのうち、第2の無機絶縁膜18の開口部18aが有機絶縁膜16の開口部aよりも大きく、第1の無機絶縁膜の開口部15aが有機絶縁膜16の開口部16aよりも大きくなっている。
【0035】
この場合、第2の無機絶縁膜18の開口部18aは、有機絶縁膜16の開口部16aの外側で開口したかたちとなる。このため、TFT40と画素電極19との接続に必要な面積は、図3に示すように、(A+2a+2c)となる。
【0036】
なお、Aは、ドレイン配線42と画素電極19との接続に必要なコンタクト長、aは、有機絶縁膜16と第2の無機絶縁膜18とのレイヤー間スペースルール、bは、有機絶縁膜16と第1の無機絶縁膜18とのレイヤー間スペースルール、cは、ドレイン配線42と第1の無機絶縁膜15とのレイヤー間スペースルールである。
【0037】
したがって、本実施形態に係るアレイ基板10では、TFT40と画素電極19との接続に必要なコンタクトホール23の開口面積を大きく確保することができ、このコンタクトホール23を介したTFT40と画素電極19との接続信頼性を向上させることができる。
【0038】
一方、従来のアレイ基板の場合について、図4を対比例に挙げて説明する。図4は、対比例に係るアレイ基板の構造を示した図であり、上述した実施形態に係るアレイ基板10の図3に対応している。なお、図4において、図3と同一の部分については同一の符号して説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0039】
従来のアレイ基板の場合、第1の無機絶縁膜15、有機絶縁膜16及び第2の無機絶縁膜18の開口部15a,16a,18aのうち、有機絶縁膜16の開口部16aが第1の無機絶縁膜の開口部15aよりも小さく、第2の無機絶縁膜18の開口部18aが有機絶縁膜16の開口部aよりも小さくなっている。
【0040】
この場合、第2の無機絶縁膜18の開口部18aは、有機絶縁膜16の開口部16aの内側で開口したかたちとなる。このため、TFT40と画素電極19との接続に必要な面積は、図4に示すように、(A+2a+2b+2c)となる。
【0041】
したがって、TFT40と画素電極19との接続に必要な面積は、実施形態に係るアレイ基板10よりも従来のアレイ基板の方が大きくなってしまう。そして、この従来のアレイ基板では、TFT40と画素電極19との接続に必要なコンタクトホール23の開口面積を大きく確保することができず、TFT40と画素電極19との接続信頼性が大きく低下してしまう。
【0042】
(アレイ基板の製造方法)
次に、本実施形態に係るアレイ基板10の製造方法について説明する。
本実施形態に係るアレイ基板10を作製する際は、先ず、図5(a)に示すように、TFT40のドレイン配線42上を覆う第1の無機絶縁膜15を形成する。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、第1の無機絶縁膜15上にコンタクトホール23に対応した位置に開口部を有するレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして第1の無機絶縁膜15のエッチングを行った後に、レジスト層を除去する。これにより、第1の無機絶縁膜15に開口部15aを形成する。
【0044】
次に、図5(c)に示すように、開口部15aが形成された第1の無機絶縁膜15を覆う有機絶縁膜16を形成する。
【0045】
次に、図5(d)に示すように、有機絶縁膜16上に第1の無機絶縁膜15の開口部15aよりも小さい開口部を有するレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして有機絶縁膜16のエッチングを行った後に、レジスト層を除去する。これにより、有機絶縁膜16に第1の無機絶縁膜15の開口部15aよりも小さい開口部16aを形成する。
【0046】
次に、図5(e)に示すように、開口部16aが形成された有機絶縁膜16を覆う第2の無機絶縁膜18を形成する。
【0047】
次に、図5(f)に示すように、第2の無機絶縁膜18上に有機絶縁膜16の開口部16aよりも大きい開口部を有するレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして第2の無機絶縁膜18のエッチングを行った後に、レジスト層を除去する。これにより、第2の無機絶縁膜18に有機絶縁膜16の開口部16aよりも大きい開口部18aを形成する。
【0048】
次に、図5(g)に示すように、開口部18aが形成された第2の無機絶縁膜18を覆う画素電極19を形成する。これにより、画素電極19は、コンタクトホール23を形成する開口部15a,16a,18aを通してTFT40のドレイン配線42と電気的に接続された状態となる。
【0049】
このような製造方法によれば、TFT40のドレイン配線42と画素電極19との接続に必要なコンタクトホール23の開口面積を大きく確保することができる。したがって、TFT40のドレイン配線42と画素電極19との接続信頼性を向上させたアレイ基板10を製造することができ、歩留りの向上を図ることができる。
【0050】
<第2実施形態>
(電気光学装置)
次に、本発明の第2の実施形態に係るEL装置について説明する。
図6は、本実施形態に係るEL装置の断面構造を示した断面図である。なお、図6において、図1と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0051】
図6に示すEL装置が、図1に示すEL装置と異なるところは、アレイ基板100におけるコンタクトホール23の構造である。具体的に、図7において、アレイ基板100におけるコンタクトホール23の構造を説明するために必要な部材のみを示し、他の部材の記載を省略して示す。
【0052】
(アレイ基板)
本実施形態のEL装置に搭載されたアレイ基板100は、図7に示すように、第1の無機絶縁膜15、有機絶縁膜16及び第2の無機絶縁膜18の開口部15a,16a,18aのうち、第2の無機絶縁膜18の開口部18aが有機絶縁膜16の開口部aよりも大きく、第1の無機絶縁膜15の開口部15aと、有機絶縁膜16の開口部16aとが同じ大きさで設けられている。また、これら第1の無機絶縁膜15及び有機絶縁膜16の開口部15a,16bが形成された端面は、互いに連続した面を形成している。
【0053】
この場合、第2の無機絶縁膜18の開口部18aは、有機絶縁膜16の開口部16aの外側で開口したかたちとなり、第1の無機絶縁膜15の開口部15aと有機絶縁膜16の開口部16aとが互いに略一致したかたちとなる。このため、TFT40と画素電極19との接続に必要な面積は、図7に示すように、(A+2b)となる。
【0054】
したがって、本実施形態に係るアレイ基板10では、TFT40と画素電極19との接続に必要なコンタクトホール23の開口面積を大きく確保することができ、このコンタクトホール23を介したTFT40と画素電極19との接続信頼性を更に向上させることができる。
【0055】
(アレイ基板の製造方法)
次に、本実施形態に係るアレイ基板100の製造方法について説明する。
本実施形態に係るアレイ基板100を作製する際は、先ず、図8(a)に示すように、TFT40のドレイン配線42上を覆う第1の無機絶縁膜15を形成する。
【0056】
次に、図8(b)に示すように、第1の無機絶縁膜15を覆う有機絶縁膜16を形成する。
【0057】
次に、図8(c)に示すように、有機絶縁膜16上にコンタクトホール23に対応した位置に開口部を有するレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして有機絶縁膜16のエッチングを行った後に、レジスト層を除去する。これにより、有機絶縁膜16に開口部16aを形成する。
【0058】
次に、図8(d)に示すように、開口部16aが形成された有機絶縁膜16を覆う第2の無機絶縁膜18を形成する。
【0059】
次に、図8(e)に示すように、第2の無機絶縁膜18上に有機絶縁膜16の開口部16aよりも大きい開口部60aを有するレジスト層60を形成し、このレジスト層60をマスクとして第2の無機絶縁膜18のエッチングを行う。これにより、第2の無機絶縁膜18に有機絶縁膜16の開口部16aよりも大きい開口部18aを形成する。
【0060】
次に、図8(f)に示すように、第2の無機絶縁膜18上にあるレジスト層60を残したまま、有機絶縁膜16の開口部16aより露出する第1の無機絶縁膜15のエッチングを行った後に、レジスト層60を除去する。これにより、第1の無機絶縁膜15に有機絶縁膜の開口部16と同じ大きさの開口部15aを形成する。また、第1の無機絶縁膜15及び有機絶縁膜16は、互いの開口端面が連続した面となる。
【0061】
このような製造方法によれば、TFT40のドレイン配線42と画素電極19との接続に必要なコンタクトホール23の開口面積を大きく確保することができる。したがって、TFT40のドレイン配線42と画素電極19との接続信頼性を向上させたアレイ基板10を製造することができ、歩留りの向上を図ることができる。
さらに、第1の無機絶縁膜15に開口部15aを形成するのに必要なマスクの形成工程を省くことができるため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0062】
なお、上述した実施形態には様々な変形を加えることができる。
例えば、上述した実施形態においては、光反射膜17が形成されたものを例に挙げて説明したが、光反射膜17をなくした構成とすることもできる。
また、本発明に係る電気光学装置は、上述したEL装置に限定されるものではなく、上述した本発明に係るアレイ基板を備えたアクティブマトリックス型の液晶装置などにも適用可能である。
【0063】
<電子機器>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。
図9は、図1に示す有機EL装置を表示装置として適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機1000は、複数の操作ボタン1001およびスクロールボタン1002、ならびに表示装置としてのEL装置1004を備える。
【0064】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図9に示したもののほか、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【0065】
以上、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの例に限定されないことは言うまでもない。すなわち、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るEL装置の断面構造を示した断面図である。
【図2】図2は、図1に示すEL装置の平面構造を示した平面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係るアレイ基板の構造を説明するため図である。
【図4】図4は、対比例に係るアレイ基板の構造を説明するため図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を説明するため図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係るEL装置の断面構造を示した断面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るアレイ基板の構造を説明するため図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を説明するため図である。
【図9】図9は、本発明に係る電子機器の一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10…アレイ基板、11…基板、15…第1の無機絶縁膜、15a…開口部、16…有機絶縁膜、16a…開口部、17…光反射膜、18…第2の無機絶縁膜、18a…開口部、19…画素電極、23…コンタクトホール、30、40…TFT、31、41…ゲート電極、32、42…ドレイン配線、33、43…ソース配線、50…層間絶縁層、100…アレイ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に薄膜トランジスタが設けられた基板と、
前記基板の表面を覆うように形成された層間絶縁層と、
前記層間絶縁層上に形成されると共に、前記層間絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタと電気的に接続された電極とを備え、
前記層間絶縁層は、珪素を含む第1の無機絶縁膜と、有機絶縁膜と、珪素を含む第2の無機絶縁膜とが、この順で積層されてなると共に、
前記第1の無機絶縁膜、前記有機絶縁膜及び前記第2の無機絶縁膜には、それぞれ前記コンタクトホールに対応する位置に開口部が設けられ、これら開口部のうち少なくとも前記第2の無機絶縁膜の開口部が前記有機絶縁膜の開口部よりも大きいことを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
前記第1の無機絶縁膜の開口部と、前記有機絶縁膜の開口部とが同じ大きさで設けられ、互いの開口端面が連続した面を形成していることを特徴とする請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記有機絶縁膜上に前記第2の無機絶縁膜で被覆された反射膜を有することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載のアレイ基板。
【請求項4】
表面に薄膜トランジスタが設けられた基板と、前記基板の表面を覆うように形成された層間絶縁層と、前記層間絶縁層上に形成されると共に、前記層間絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタと電気的に接続された電極とを備えたアレイ基板の製造方法であって、
前記層間絶縁層として、珪素を含む第1の無機絶縁膜と、有機絶縁膜と、珪素を含む第2の無機絶縁膜とを、この順で積層して形成すると共に、
前記第1の無機絶縁膜、前記有機絶縁膜及び前記第2の無機絶縁膜には、それぞれ前記コンタクトホールに対応する位置に開口部を形成し、これら開口部のうち少なくとも前記第2の無機絶縁膜の開口部を前記有機絶縁膜の開口部よりも大きくすることを特徴とするアレイ基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1の無機絶縁膜の開口部と、前記有機絶縁膜の開口部とを同じ大きさで形成し、互いの開口端面を連続した面とすることを特徴とする請求項4に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタを覆う前記第1の無機絶縁膜を形成し、この上に前記有機絶縁膜を形成し、前記有機絶縁膜に開口部を形成し、この開口部が形成された前記有機絶縁膜を覆う前記第2の無機絶縁膜を形成し、
前記第2の無機絶縁膜上に前記有機絶縁膜の開口部よりも大きい開口部を有するレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして前記第2の無機絶縁膜のエッチングを行い、前記第2の無機絶縁膜に前記有機絶縁膜の開口部よりも大きい開口部を形成した後に、
前記マスクを残したまま前記有機絶縁膜の開口部より露出する前記第1の無機絶縁膜のエッチングを行い、前記第1の無機絶縁膜に前記有機絶縁膜の開口部と同じ大きさの開口部を形成することを特徴とする請求項5に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項7】
前記有機絶縁膜上に反射膜を形成した後に、この反射膜を被覆するように前記第2の無機絶縁膜を形成することを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3の何れか一項に記載のアレイ基板又は請求項4〜7の何れか一項に記載の製造方法により作製されたアレイ基板を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−96227(P2007−96227A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286994(P2005−286994)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】