説明

イメージセンサ及び撮像装置

【課題】複数の不良画素が存在する場合であっても、簡易な冗長化プロセスで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られるようにし、不良画素による画像情報の欠落を防止して、歩留まりを向上させる。
【解決手段】イメージセンサ1を、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる2つのフォトディテクタ7A、7Bを有する複数の画素8を備えるセンサアレイ4と、複数の画素の中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられ、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体9とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサ及び撮像装置としては、例えば量子井戸型赤外線フォトディテクタ(QWIP;Quantum Well Infrared Photodetector)や量子ドット型赤外線フォトディテクタ(QDIP;Quantum Dot Infrared Photodetector)などの量子型赤外線フォトディテクタによって各画素を構成した赤外線イメージセンサ及びこれを備える赤外線撮像装置がある。
【0003】
このようなイメージセンサ及び撮像装置では、近年、高解像度化の需要が高まっている。
その一方で製造プロセスの不具合や結晶欠陥は一定の割合で発生するため、画素の増加に伴い、イメージセンサの一部に正常に動作しない不良画素(欠陥画素)を含む確率が増加している。
【0004】
イメージセンサにおいて、不良画素による画像情報の一部の欠落は致命的な欠陥となることが多いため、高解像度のイメージセンサの歩留まりは非常に低くなり、コスト上昇の主要な要因の一つとなっている。
不良画素による画像情報の欠落を補う手法としては、例えば、不良画素の周辺の画素からの情報(データ;出力)に基づいて不良画素の情報を内挿する手法、不良画素に隣接する正常な画素の情報で不良画素の情報を置き換える手法などがある。これを第1の手法という。
【0005】
また、他の手法としては、例えば、イメージセンサの正規画素エリア外に予備画素を配置し、不良画素に入射する光をこれに隣接する画素に入射させ、順次、隣接する画素にシフトさせて入射させることで、入射光を予備画素に導入するようにした冗長化手法がある。これを第2の手法という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−134188号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Leonard Chen et al., “Overview of advances in high performance ROIC designs for use with IRFPAs”, Proceedings of SPIE, Vol.4028(2000), pp.124-138
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の第1の手法では、不良画素による画像情報の欠落を補っているものの、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報の欠落は依然として残っており、本質的な解決にはなっていない。
また、上述の第2の手法では、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られるものの、不良画素に入射する光を順次隣接する画素にシフトさせて正確に予備画素に導入する必要があるため、冗長化のプロセスが複雑である。また、イメージセンサに複数の不良画素が存在する場合、即ち、一の不良画素に入射する光を順次隣接する画素にシフトさせる際に隣接する画素に他の不良画素が存在する場合には対応することができない。
【0009】
そこで、複数の不良画素が存在する場合であっても、簡易な冗長化プロセスで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られるようにし、不良画素による画像情報の欠落を防止して、歩留まりを向上させたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本イメージセンサは、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる2つのフォトディテクタを有する複数の画素を備えるセンサアレイと、複数の画素の中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられ、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体とを備えることを要件とする。
本撮像装置は、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる2つのフォトディテクタを有する複数の画素を備えるセンサアレイと、複数の画素の中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられ、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体とを備えるイメージセンサと、イメージセンサに接続された制御演算部とを備え、制御演算部は、散乱体が対応する位置に設けられている画素の周囲の画素に備えられる2つのフォトディテクタの一方のフォトディテクタの出力に基づいて散乱体が対応する位置に設けられている画素の他方のフォトディテクタの出力を推定し、これをセンサアレイの各画素の他方のフォトディテクタからの出力に合成するとともに、散乱体が対応する位置に設けられている画素の周囲の画素に備えられる他方のフォトディテクタからの出力を、同一画素に備えられる一方のフォトディテクタの出力に基づいて補正することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本イメージセンサ及び撮像装置によれば、複数の不良画素が存在する場合であっても、簡易な冗長化プロセスで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られ、これにより、不良画素による画像情報の欠落を防止して、歩留まりを向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のイメージセンサの構成及び各画素からの出力を示す模式図である。
【図2】第1実施形態のイメージセンサの構成を示す模式図である。
【図3】(A)、(B)は、第1実施形態にかかるイメージセンサの読出回路チップの構成を示す図である。
【図4】第1実施形態のイメージセンサに設けられる散乱体の構成例を示す模式的断面図である。
【図5】第1実施形態のイメージセンサのセンサアレイの構成を示す模式的断面図である。
【図6】第1実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図7】(A)、(B)は、第1実施形態の撮像装置の制御演算部において用いられる予め求められたQWIP及びQDIPの感度分布を示す図である。
【図8】(A)〜(J)は、第1実施形態の撮像装置の制御演算部による処理について説明するための図である。
【図9】(A)〜(H)は、第1実施形態の撮像装置の制御演算部による処理について説明するための図である。
【図10】第1実施形態のイメージセンサに設けられる散乱体の設置場所の変形例を示す模式的断面図である。
【図11】(A)、(B)は、第2実施形態のイメージセンサの構成を示す模式図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図12】第2実施形態のイメージセンサに設けられる散乱体及び遮光体の設置場所の変形例を示す模式的平面図である。
【図13】第2実施形態のイメージセンサに設けられる散乱体及び遮光体の設置場所の他の変形例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかるイメージセンサ及び撮像装置について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかるイメージセンサ及び撮像装置について、図1〜図9を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態にかかるイメージセンサ及び撮像装置は、例えば赤外線フォトディテクタによって各画素を構成した赤外線イメージセンサ及びこれを備える赤外線撮像装置である。
本赤外線撮像装置は、図2に示すように、赤外線イメージセンサ1と、信号処理及び各種制御を行なう制御演算部2と、撮像された画像を表示するモニタ3とを備える。
ここで、本赤外線イメージセンサ1は、複数の画素8を備えるセンサアレイ4と、複数の画素8のそれぞれに接続された読出回路や駆動回路を含む読出回路チップ5とを備える。そして、センサアレイ4と読出回路チップ5とは、導電性の金属バンプ電極6(ここではInバンプ電極)を介して接続されている。つまり、センサアレイ4と読出回路チップ5とはフリップチップボンディングによって接合されている。
【0015】
また、本実施形態では、センサアレイ4及び読出回路チップ5を含む赤外線イメージセンサ1は、冷却系70によって冷却されるようになっている。つまり、本赤外線イメージセンサ1は、冷却型赤外線イメージセンサである。
このうち、センサアレイ4は、赤外線の入射量に応じて光電流を発生する赤外線フォトディテクタによって構成される複数の画素8が二次元に配列されている二次元センサアレイである。
【0016】
ここでは、センサアレイ4は、赤外線フォトディテクタ7としてQDIP7Aを備える量子ドット型センサアレイ(QDIPセンサアレイ)である。また、後述するように、センサアレイ4は、赤外線フォトディテクタ7としてQWIP7Bも備えるため、量子井戸型センサアレイ(QWIPセンサアレイ)でもある。このため、本赤外線イメージセンサ1を、量子型赤外線イメージセンサともいう。
【0017】
なお、イメージセンサ1を、画像センサともいう。センサアレイ4を、量子型センサアレイ、赤外線検知素子アレイ、センサ素子アレイ、撮像素子アレイ、受光素子アレイ、フォトディテクタアレイ、赤外線焦点面アレイ(IRFPA)、QDIP焦点面アレイ(QDIP−FPA)、又は、QWIP焦点面アレイ(QWIP−FPA)ともいう。また、赤外線フォトディテクタ7を、量子型赤外線フォトディテクタ、赤外線検知素子、赤外線センサ、受光素子、感光素子、センサ素子、又は、フォトセンサともいう。
【0018】
読出回路チップ5は、赤外線が入射して各赤外線フォトディテクタ7に流れた電流量に応じた出力電圧を順次読み出すものである。ここで、読出回路チップ5は、例えばSi基板上に形成されており、図3(A)、図3(B)に示すように、読出回路17として、画素毎に設けられた複数の駆動回路15と、各駆動回路15の出力を順次読み出すための切替回路16とを備える。ここでは、読出回路チップ5には、さらに、ADコンバータ18が集積されている。
【0019】
なお、読出回路チップ5は、読出回路アレイ、あるいは、Si集積回路チップともいう。また、読出回路17は、ROIC(readout integrated circuit)、あるいは、信号処理回路ともいう。また、ADコンバータ18を、アナログ・デジタル変換回路、AD変換回路、あるいは、AD回路ともいう。また、駆動回路15をセンサアレイ駆動回路ともいう。
【0020】
ここで、複数の駆動回路15は、センサアレイ4の各画素8のそれぞれにバンプ電極6を介して接続されている。駆動回路15は、赤外線が入射することによって各赤外線フォトディテクタ7に流れる電流を、時間で積分し、電圧に変換して出力する積分回路である。
ここでは、駆動回路15は、キャパシタ19(積分容量)と、キャパシタ19を赤外線フォトディテクタ7に接続するためのスイッチ20(トランジスタ)と、キャパシタ19をバイアス電源に接続するためのスイッチ21(トランジスタ)とを備える。つまり、駆動回路15は、バンプ電極6を介して赤外線フォトディテクタ7の一側(ここではQDIP7A又はQWIP7Bの一側)に接続されたスイッチ20と、バイアス電源に接続されたスイッチ21と、これらのスイッチ20、21に接続されたキャパシタ19とを備える。そして、キャパシタ19及びスイッチ20、21のそれぞれの端子を接続した接点Xに出力端子22が接続されている。なお、赤外線フォトディテクタ7の他側(ここではQDIP7A又はQWIP7Bの他側)には共通電極としてのバンプ電極6が接続されている。
【0021】
また、各駆動回路15の出力端子22には、切替回路16が接続されている。
つまり、切替回路16は、複数のソースフォロワトランジスタ23と、複数の行選択トランジスタ24と、複数の行線25と、複数の列線26と、複数の列選択トランジスタ27と、読み出し線28と、負荷トランジスタ29と、増幅器30と、垂直走査シフトレジスタ31と、水平走査シフトレジスタ32とを備える。そして、各ソースフォロワトランジスタ23のゲート端子に、それぞれ、各駆動回路15の出力端子22が接続されている。
【0022】
なお、列線26及び読み出し線28を、出力線ともいう。また、増幅器30を、最終出力段増幅器、出力アンプ、電圧バッファ、DCアンプ、あるいは、インピーダンス変換回路ともいう。また、行選択トランジスタ24を、垂直選択スイッチともいう。また、列選択トランジスタ27を、水平選択スイッチともいう。
ここで、ソースフォロワトランジスタ23は、ゲート端子に駆動回路15の出力端子22が接続されており、駆動回路15の出力に応じて動作するようになっている。なお、各ソースフォロワトランジスタ23のドレイン端子は、図示しない電源に接続されており、電源電圧が供給されている。
【0023】
各行選択トランジスタ24は、複数のソースフォロワトランジスタ23のソース端子のそれぞれに接続されている。また、各行線25は、それぞれ、各行の行選択トランジスタ24のゲート端子に接続されている。
各列線26は、行選択トランジスタ24を介してソースフォロワトランジスタ23に接続されている。つまり、各列線26は、それぞれ、行選択トランジスタ24を介して、各列のソースフォロワトランジスタ23に接続されている。また、各列選択トランジスタ27は、複数の列線26のそれぞれに接続されている。さらに、読み出し線28は、全ての列選択トランジスタ27に接続されている。
【0024】
垂直走査シフトレジスタ31は、全ての行線25に接続されており、各行線25を順次駆動し、各行線25に接続されている行選択トランジスタ24の導通・非導通制御を行なうようになっている。また、水平走査シフトレジスタ32は、全ての列選択トランジスタ27に接続されており、各列選択トランジスタ27を順次駆動し、各列選択トランジスタ27の導通・非導通制御を行なうようになっている。
【0025】
読み出し線28は、一方が増幅器30を介して出力端子VOUTに接続されており、他方が負荷トランジスタ29を介してグランド電位(GND)に接続されている。
そして、制御演算部2から画素の選択信号が入力され、垂直走査シフトレジスタ31によって行線25が選択されると、選択された行線25に接続された行選択トランジスタ24は導通状態(オン状態)となる。行選択トランジスタ24が導通状態となると、各赤外線フォトディテクタ7からの出力信号が、駆動回路15、ソースフォロワトランジスタ23及び行選択トランジスタ24を介して、列線26に出力される。
【0026】
一方、制御演算部2から画素の選択信号が入力され、水平走査シフトレジスタ32によって列選択トランジスタ27が選択されると、選択された列選択トランジスタ27は導通状態(オン状態)となる。列選択トランジスタ27が導通状態となると、上述のようにして各列線26に出力されている出力信号が、列選択トランジスタ27を介して読み出し線28に出力される。読み出し線28に出力された出力信号は増幅器30を介して出力端子VOUTに出力される。
【0027】
そして、本実施形態では、切替回路16の出力端子VOUTにADコンバータ18が接続されており、切替回路16からの出力信号であるアナログ電気信号がデジタル電気信号に変換され、デジタル電気信号が読出回路チップ5から制御演算部2へ出力されるようになっている。
また、上述の赤外線イメージセンサ1に備えられる読出回路チップ5には、図2に示すように、制御演算部2が接続されている。そして、読出回路チップ5からの出力信号は、制御演算部2へ送られ、制御演算部2で信号処理されるようになっている。
【0028】
ここで、制御演算部2は、コンピュータやコントローラによって構成される。この制御演算部2は、駆動回路や信号処理回路を含み、センサアレイ4に含まれる各赤外線フォトディテクタ7を駆動するための電力や駆動パルス等を出力するとともに、各赤外線フォトディテクタ7からの出力信号の処理を行ない、モニタ3へ画像信号(画像情報)を出力するようになっている。
【0029】
ところで、本実施形態では、不良画素による画像情報の欠落を防止して歩留まりを向上させるために、赤外線イメージセンサ1を以下のように構成し、制御演算部2において以下のような処理を行なうようにしている。
つまり、まず、図1に示すように、センサアレイ4を、各画素8を構成する赤外線フォトディテクタ7として、上述のQDIP7Aに加え、冗長用赤外線フォトディテクタ(予備センサ)としてQWIP7Bを備えるものとしている。つまり、センサアレイ4を構成する各画素8を、QDIP7AとQWIP7Bを画素8の高さ方向に集積させた構造を有するものとしている。なお、ここでは、センサアレイ4の入射面4A側から順にQDIP7A、QWIP7Bを設けているが、これに限られるものではなく、逆に、センサアレイ4の入射面4A側から順にQWIP7B、QDIP7Aを設けても良い。また、QDIP7AとQWIP7Bは、それぞれ、上述のような駆動回路15を含む読出回路17に接続され、別々に駆動され、出力信号が読み出されるようになっている。なお、駆動回路15がQDIP7Aに接続される場合、駆動回路15はQDIP駆動回路として機能し、駆動回路15がQWIP7Bに接続される場合、駆動回路15はQWIP駆動回路として機能する。
【0030】
ここで、QDIP7AとQWIP7Bは、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる赤外線フォトディテクタである。このため、センサアレイ4は、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる2つの赤外線フォトディテクタ7によって各画素8を構成したセンサアレイである。
ここでは、センサアレイ4を構成する各画素8を、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる量子ドット層7aと量子井戸層7bとを積層した構造を有するものとしている。本実施形態では、量子ドット層7aは、複数の量子ドット層を積層させた多重量子ドット(MQD;Multi Quantum Dot)層である。また、量子井戸層7bは、複数の量子井戸層を積層させた多重量子井戸(MQW;Multi Quantum Well)層である。
【0031】
このため、センサアレイ4は、同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる量子ドット層7a及び量子井戸層7bを赤外線吸収層(活性層)として用いた2つの量子型赤外線フォトディテクタ7によって各画素8を構成した量子型センサアレイである。
そして、赤外線イメージセンサ1には、複数の画素8の中の少なくとも一の画素、即ち、不良画素(欠陥画素)に対応する位置に、入射光(ここでは入射赤外線)を周囲の画素8に散乱させる散乱体9が設けられている。なお、散乱体9を散乱機構ともいう。
【0032】
本実施形態では、散乱体9は、センサアレイ4の入射面4A(受光面)に設けられている。ここでは、センサアレイ4の入射面4A、即ち、基板裏面の不良画素に対応する領域に光を散乱する微粒子を含む樹脂やインクなどを塗布又は印刷することによって、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する位置に散乱体9を設けている。例えば、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する領域に金属微粉体を分散したインクをインクジェット法によって塗布することによって、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する位置に散乱体9を設ければ良い。この場合、散乱体9は、光を散乱する微粒子を含む樹脂やインク、例えば金属微粉体を分散したインク9Aからなる(図4参照)。
【0033】
なお、散乱体9は、これに限られるものではない。例えば図4に示すように、散乱体9としては、レーザマーカなどによって基板裏面に形成される凹面9B、サンドブラストなどの機械的加工によって基板裏面に形成される粗面(凹凸面)9C、リソグラフィ及びエッチングによって基板裏面に形成される粗面(凹凸面)9D、リソグラフィによって基板裏面に形成される回折格子(凹凸)9Eなどであっても良い。なお、図4では、センサアレイ4の入射面4Aに設けることができる散乱体9を例示しているにすぎず、複数の不良画素が存在する場合には、それに対応する位置に、同一の散乱体9を設けるのが好ましい。
【0034】
このように赤外線イメージセンサ1を構成することで、複数の不良画素が存在する場合であっても、簡易な冗長化プロセスで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られることになる。
つまり、図1に示すように、不良画素が存在する領域に入射する光を、散乱体9によって散乱させて、不良画素の周囲の画素8に入射させ、これを不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7AとQWIP7Bの両方で検出する。
【0035】
ここで、QDIP7AとQWIP7Bでは、その動作原理から入射光の向きに対して感度の差が存在する。つまり、QDIP7Aは、量子ドットを利用する関係で、入射光の向きによってそれほど感度は変化しないが、QWIP7Bは、量子井戸と平行な向きの光に対して感度が高く、垂直入射の光に対して感度がない。
例えばMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などの薄膜形成技術を用いて基板上に量子井戸層7b及び量子ドット層7aを積層させてQWIP7B及びQDIP7Aを有する複数の画素8を備えるセンサアレイ4を形成する場合、QWIP7Bを構成する量子井戸層7bはセンサアレイ4の入射面4Aと平行になる。そして、撮像対象(被写体)から光学系(図示せず)を通してセンサアレイ4に入射する入射光の入射方向は、センサアレイ4の入射面4Aに対して垂直になるため、QWIP7Bを構成する量子井戸層7bに対しても垂直になる。つまり、光学系によってセンサアレイ4上に結像される、撮像対象からの入射光は、QWIP7Bを構成する量子井戸層7bに垂直に入射することになる。このため、光学系によってセンサアレイ4上に結像される、撮像対象からの入射光に対しては、QWIP7Bは感度を持たず、QDIP7Aのみが感度を持つことになる。つまり、撮像対象から直接入射する入射光は、各画素8において、QWIP7Bでは検出されず、QDIP7Aのみで検出されることになる。このように、本撮像装置によって得られる画像情報は、基本的には、センサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aによって検出された、撮像対象から直接入射する光に基づく情報によって構成される。
【0036】
一方、センサアレイ4の入射面4A上の不良画素に対応する位置には散乱体9が設けられているため、不良画素が存在する領域に入射する光は、散乱体9によって散乱され、不良画素の周囲の画素8に斜めに入射することになる。このため、不良画素が存在する領域に入射する光は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7AとQWIP7Bの両方で検出されることになる。
【0037】
この場合、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bで検出される光は、不良画素が存在する領域に入射する光の一部である。このため、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bを用いることで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報を得ることができる。具体的には、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力に基づいて、不良画素に備えられるQDIP7Aの出力を推定することができ、これを不良画素に備えられるQDIP7Aの出力として用いることができる。つまり、上述のようにして、センサアレイ4の各画素8のQDIP7Aの出力によって得られる画像情報に、推定された不良画素のQDIP7Aの出力に基づく情報を合成することで、不良画素による情報の欠落のない画像情報が得られることになる。
【0038】
また、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aで検出される光は、撮像対象から直接入射する光と、散乱体9によって散乱された光とを含むものとなる。しかし、散乱体9によって散乱された光は、同一画素に備えられるQDIP7AとQWIP7Bの両方で検出されることになる。このため、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7A及びQWIP7Bを用いることで、不良画素の周囲の画素8に撮像対象から直接入射する光に基づく情報を得ることができる。つまり、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7A及びQWIP7Bを用いることで、撮像対象から直接入射する光(正規の入射光)であるのか、散乱体9によって散乱された光であるのかを区別することができる。具体的には、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力のうち散乱体9によって散乱された光に基づく出力は、同一画素に備えられるQWIP7Bの出力によって推定することができる。このため、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力から、同一画素に備えられるQWIP7Bの出力によって推定された、散乱体9によって散乱された光に基づくQDIP7Aの出力を引くことによって、撮像対象から直接入射する光に基づくQDIP7Aの出力を求めることができる。
【0039】
このように、QDIP7AとQWIP7Bの入射光の向きに対する感度の違いを利用することで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報を得ることができ、不良画素による情報の欠落がない画像情報を得ることができる。また、各画素8にQDIP7A及びQWIP7Bを設け、不良画素に対応する位置に散乱体9を設けるという比較的簡易な手法で冗長化を行なうことが可能となる。このため、例えば不良画素に入射する光を順次隣接する画素にシフトさせて正確に予備画素に導入するなど、デバイス作製後に複雑な追加プロセスを施す必要がなく、冗長化のプロセスが容易になり、製造上非常に有利である。また、複数の不良画素が存在する場合、これらの不良画素のそれぞれに対応する位置に散乱体9を設ければ良く、これらの複数の散乱体9を設けてもイメージセンサ1を動作させることが可能である。つまり、不良画素に入射する光を順次隣接する画素にシフトさせて正確に予備画素に導入する冗長化手法では、複数の不良画素が存在する場合には対応することができないが、上述のような冗長化手法によれば複数の不良画素が存在する場合であっても容易に冗長化を行なうことが可能である。
【0040】
具体的には、センサアレイ4は、以下のように構成される。
つまり、センサアレイ4は、図5に示すように、GaAs基板40上に、n−GaAs下部コンタクト層41、GaAs/InAs−MQD層7a、n−GaAs中間コンタクト層42、AlGaAs/GaAs−MQW層7b、n−GaAs上部コンタクト層43、i−GaAs層44を積層した構造を備える。つまり、同一波長に感度を持つMQD層7aとMQW層7bとの間に中間コンタクト層42を挟んで積層した構造になっている。この場合、下部コンタクト層41、MQD層7a及び中間コンタクト層42によってQDIP7Aが構成され、中間コンタクト層42、MQW層7b及び上部コンタクト層43によってQWIP7Bが構成される。ここでは、基板裏面側がセンサアレイ4の入射面4Aである。なお、中間コンタクト層42を共通コンタクト層ともいう。また、コンタクト層を電極層ともいう。
【0041】
ここでは、例えば、GaAs基板40はGaAs(100)基板である。また、n−GaAs下部コンタクト層41及びn−GaAs中間コンタクト層42は、厚さを例えば約1μmとし、n型ドーパントとして例えばSiを用い、その濃度を例えば約1×1018cm−3としている。また、n−GaAs上部コンタクト層43は、厚さを例えば約300nmとし、n型ドーパントとして例えばSiを用い、その濃度を例えば約1×1018cm−3としている。また、GaAs/InAs−MQD層7aは、例えば厚さ約30nmのi−GaAs層、自己組織化InAsドットを、例えば各10層交互に積層した後、例えば厚さ約30nmのi−GaAs層を積層したものとしている。ここでは、InAsドットは、n型ドーパントとして例えばSiを用い、その濃度を例えば約1×1017cm−3としたn−InAsドットとしている。また、AlGaAs/GaAs−MQW層7bは、例えば厚さ約40nmのi−AlGaAs層と例えば厚さ約5nmのn−GaAs(ドーピング濃度約4×1017cm−3)とを例えば各20層交互に積層したものとしている。ここでは、i−AlGaAs層は、i−Al0.24Ga0.74As層としている。また、i−GaAs層44は、例えば厚さを約700nmとしている。
【0042】
このような積層構造は、例えばMBE法によって作製することができる。この場合、成膜条件は、基板温度を例えば約500℃とすれば良い。例えば、MQD層7aは、次のようにして形成すれば良い。つまり、まず、ノンドープのGaAsを厚さ約30nm成膜し、その上に約3原子層(3ML)程度の厚さのInAsを成膜した後、Asのみを照射する条件下で約1分間放置して、InAsの自己組織化によってInAs量子ドットを形成する。そして、これを例えば10回繰り返した後、ノンドープのGaAsを厚さ約30nm成膜して、MQD層7aを形成する。また、例えば、MQW層7bは、次のようにして形成すれば良い。つまり、まず、ノンドープのAlGaAsを厚さ約40nm成膜し、ノンドープのGaAsを厚さ約5nm成膜し、これを例えば20回繰り返して、MQW層7bを形成する。
【0043】
なお、ここでは、MQD層7aの上方にMQW層7bを積層するようにしているが、逆に、MQW層7bの上方にMQD層7aを積層するようにしても良い。
また、各画素8は分離溝45によって分離されている。ここでは、1画素のサイズは約50μm×約50μmである。
また、各画素8には、3つのコンタクト穴46〜48が設けられており、これらのコンタクト穴46〜48の底面にコンタクト電極49〜51が設けられている。つまり、各画素8には、表面側から上部コンタクト層43まで延びるコンタクト穴46が設けられており、このコンタクト穴46の底面に上部コンタクト電極49が設けられている。また、各画素8には、表面側から中間コンタクト層42まで延びるコンタクト穴47が設けられており、このコンタクト穴47の底面に中間コンタクト電極50が設けられている。また、各画素8には、表面側から下部コンタクト層41まで延びるコンタクト穴48が設けられており、このコンタクト穴48の底面に下部コンタクト電極51が設けられている。ここで、コンタクト電極49〜51は、金属電極であり、例えばAuGe、Ni、Auを積層した構造を有するAuGe/Ni/Au電極である。なお、コンタクト電極49〜51をオーミックコンタクトともいう。
【0044】
また、分離溝45及びコンタクト穴46〜48を含む表面全体を覆うようにパッシベーション膜52(絶縁膜)が設けられている。
また、各画素8の上方に、パッシベーション膜52を介して、各画素8に備えられるQDIP7A及びQWIP7Bのそれぞれを駆動する駆動回路15を含む読出回路チップ5に電気的に接続するための3つのバンプ電極6が設けられている。なお、バンプ電極6を単にバンプともいう。そして、3つのバンプ電極6は、それぞれ、配線53〜55を介して、上述の3つのコンタクト電極49〜51に電気的に接続されている。ここで、配線53〜55は金属配線であり、例えばTi、Auを積層した構造を有するTi/Au配線である。なお、配線53〜55を引き出し配線又は引き出し電極ともいう。また、各画素8の表面側には、例えばTi/Auからなる光結合素子56が設けられている。
【0045】
なお、センサアレイ4の構成や作製方法は、これに限られるものではない。
また、散乱体9は、以下のようにして設けられる。
つまり、まず、散乱体9を設けていない状態で、複数の均一温度板を撮影し、感度やオフセット電流が周辺の画素と著しく異なる不良画素の位置を把握する。ここでは、不良画素の位置は、X−Y座標情報として得られる。
【0046】
そして、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する領域に散乱体9を設置する。例えば、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する領域に金属微粉体を分散したインクをインクジェット法によって塗布することによって、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する位置に散乱体9を設ける。
例えば、センサアレイ4の入射面4A(散乱体設置面)側から赤外線顕微鏡で観察することで各画素8を個別に識別することができる。このため、上述のようにして得られた不良画素の位置(X−Y座標情報)に基づいて、赤外線顕微鏡で観察して不良画素を特定し、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する位置に散乱体9を設けるようにすれば良い。
【0047】
なお、不良画素に対する散乱体9の位置合わせ方法は、これに限られるものではない。例えば、センサアレイ4が貼り合わされている読出回路チップ5の表面上に形成されている位置合わせマークからの相対的位置関係によって不良画素の位置を特定し、センサアレイ4の入射面4Aの不良画素に対応する位置に散乱体9を設けるようにしても良い。
また、上述のような赤外線イメージセンサ1の構成に応じて、制御演算部2において、以下のような処理を行なうようになっている。
【0048】
ここでは、制御演算部2は、図6に示すように、QDIP7A及びQWIP7Bの2つのフォトディテクタからの出力を用いて得られた画像情報(画像出力;出力画像)をモニタ3へ出力するようになっている。なお、出力を、出力信号、信号強度、又は、出力強度ともいう。
つまり、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7A及びQWIP7BのうちQWIP7Bの出力に基づいて不良画素に備えられるQDIP7Aの出力を推定し、これをセンサアレイ4の各画素8のQDIP7Aからの出力に合成するともに、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aからの出力を、同一画素に備えられるQWIP7Bの出力に基づいて補正するようになっている。つまり、制御演算部2は、複数の画素8の中の少なくとも一の画素(散乱体が対応する位置に設けられている画素;不良画素)の周囲の画素8に備えられる2つのフォトディテクタの一方のフォトディテクタの出力に基づいて不良画素の他方のフォトディテクタの出力を推定し、これをセンサアレイの各画素の他方のフォトディテクタからの出力に合成するとともに、不良画素の周囲の画素に備えられる他方のフォトディテクタからの出力を、同一画素に備えられる一方のフォトディテクタの出力に基づいて補正するようになっている。
【0049】
ここで、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力は、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく出力である。このため、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力に基づいて、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく出力を正確に算出することができる。これにより、情報欠落の無い画像情報を得ることができる。
【0050】
具体的には、散乱体9を設けた後に、不良画素に対応する領域、即ち、散乱体9が設けられている領域のみにスポット光を照射し、その周囲の画素8に備えられるQWIP7BとQDIP7Aの感度、即ち、散乱光に対する周辺画素のQWIP7BとQDIP7Aの感度(R=output/input)を予め求めておく。
ここで、各画素8のQWIP7B及びQDIP7Aの感度分布は、例えば図7(A)、(B)に示すように、不良画素からの距離が遠くなるにしたがって、感度が下がるものとなる。
【0051】
このようにして求められた不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7BとQDIP7Aの感度(データ)を、記憶部10に記憶させておき、実際の運用時に、制御演算部2がこれを読み出して演算に用いるようになっている。
ここでは、QWIP7Bの感度は、QWIP7Bに入射されたスポット光の光強度(入射強度)に対する、QWIP7Bから出力された散乱光の光強度(散乱強度)の割合、即ち、入射強度と散乱強度との関係である。また、QDIP7Aの感度は、QDIP7Aに入射されたスポット光の光強度(入射強度)に対する、QDIP7Aから出力された散乱光の光強度(散乱強度)の割合、即ち、入射強度と散乱強度との関係である。このため、記憶部10には、QWIP7Bの感度として、QWIP7Bの入射強度と散乱強度との関係を記憶させておき、QDIP7Aの感度として、QDIP7Aの入射強度と散乱強度との関係を記憶させておく。
【0052】
そして、実際の運用時に撮像対象からの光が入射した場合、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力に基づいて、不良画素の出力、即ち、不良画素に備えられるQDIP7Aの出力を推定する。
具体的には、制御演算部2は、読出回路チップ5に含まれるQWIP駆動回路15によってセンサアレイ4の各画素8に備えられるQWIP7Bから読み出された出力を一時的に保持するバッファ14Aから、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力を読み出す。また、制御演算部2は、記憶部10に記憶されているQWIP7Bの感度を読み出す。そして、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力、即ち、QWIP7Bから出力された散乱光の光強度(散乱強度)、及び、QWIP7Bの感度に基づいて、不良画素が存在する領域に実際に入射した光の強度(入射強度)を求める。また、上述のようにして求めた不良画素が存在する領域に実際に入射した光の強度、及び、記憶部10から読み出されたQDIP7Aの感度に基づいて、不良画素に備えられるQDIP7Aの出力を推定する。この機能を、不良画素出力推定部11という。
【0053】
また、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力から散乱光によるクロストークをキャンセルすることで、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力を補正する。ここでは、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力を、同一画素に備えられるQWIP7Bの出力に基づいて補正する。
【0054】
具体的には、制御演算部2は、上述の不良画素出力推定部11で不良画素の周囲の画素8に備えられるQWIP7Bの出力に基づいて求められた不良画素が存在する領域に実際に入射した光の強度、及び、記憶部10から読み出されたQDIP7Aの感度に基づいて、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力のうち散乱体9によって散乱された散乱光に基づく出力を推定する。この機能を、散乱光出力推定部12という。
【0055】
また、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力から、推定された散乱光に基づくQDIP7Aの出力を引くことによって、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力を補正する。
具体的には、制御演算部2は、読出回路チップ5に含まれるQDIP駆動回路15によってセンサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aから読み出された出力を一時的に保持するバッファ14Bから、センサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aの出力を読み出す。そして、制御演算部2は、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力から、上述の散乱光出力推定部12で推定された散乱光に基づくQDIP7Aの出力を引くことによって、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力を補正する。この機能を、出力補正部という。なお、本実施形態では、出力補正部は後述の出力合成部13に含まれる。
【0056】
また、制御演算部2は、バッファ14Bから読み出されたセンサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aの出力に、上述の不良画素出力推定部11で推定された不良画素に備えられるQDIP7Aの出力を合成する。つまり、制御演算部2は、バッファ14Bから読み出されたセンサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aの出力のうち、不良画素のQDIP7Aの出力を、上述の不良画素出力推定部11で推定された不良画素のQDIP7Aの出力で置き換える。この機能を、出力合成部13という。
【0057】
このようにして、制御演算部2は、バッファ14Bから読み出されたセンサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aの出力に、上述の不良画素出力推定部11で推定された不良画素に備えられるQDIP7Aの出力を合成し、また、不良画素の周囲の画素8に備えられるQDIP7Aの出力を補正する。
そして、制御演算部2は、上述のようにして補正及び合成されたセンサアレイ4の各画素8に備えられるQDIP7Aの出力、即ち、各画素8の出力を、バッファ14Cへ出力しい、バッファ14Cで一時的に保持した後、モニタ3へ出力する。
【0058】
この場合、センサアレイ4の各画素8のQDIP7Aから得られる画像情報に、上述の不良画素出力推定部11で推定された不良画素のQDIP7Aから得られる情報が組み込まれ、また、不良画素の周囲の画素8のQDIP7Aから得られる情報が補正された出力画像が、モニタ3に表示されることになる。これにより、不良画素による情報の欠落のない画像情報が得られることになる。
【0059】
次に、不良画素が1つ存在する場合について、数式を用いて説明する。
散乱体9を設けた1つの不良画素に対してスポット光を光強度Xdefect_spotで照射した場合の各画素8のQWIP7BとQDIP7Aの出力(信号出力)OQWIP_spot(Xdefect,x,y)、OQDIP_spot(Xdefect,x,y)から、散乱光に対する各画素8のQWIP7BとQDIP7Aの感度RQWIP_spot(x,y)=OQWIP_spot(Xdefect,x,y)/Xdefect、RQDIP_spot(x,y)=OQDIP_spot(Xdefect,x,y)/Xdefectを求める。
【0060】
運用時には、QWIP7Bの出力OQWIP(x,y)と先に求めたRQWIP_spot(x,y)とから、散乱体9が設けられた不良画素への入射光強度Xdefect=OQWIP(x,y)/RQWIP_spot(x,y)を求める。そして、この不良画素への入射光強度Xdefect、先に求めたRQDIP_spot(x,y)とから、不良画素のQDIP7Aの出力を推定する。また、上述の不良画素への入射光強度Xdefect、QDIP7Aの出力OQDIP(x,y)、先に求めたRQDIP_spot(x,y)とから、OQDIP(x,y)−Xdefect×RQDIP_spot(x,y)を求め、各画素8のQDIP7Aの出力を補正する。
【0061】
なお、各画素8に入射した光の強度I(x,y)を得るには、予め、各画素8に直接入射した光に対する感度RQDIP_real(x,y)を得ておく。つまり、まず、全画素8に均一強度Iの光を平行に入射させ、各画素8のQDIP7Aの出力OQDIP(φ,x,y)を得る。この際のQWIP7Bの出力は、ほぼOQWIP(x,y)=I×RQWIP_spot(x,y)となる。ここで、OQDIP(I,x,y)には各画素8に直接入射した光による成分と不良画素に対応する領域に設けられた散乱体9からの光による成分とが含まれている。このため、散乱体9からの光による成分を取り除いて、各画素8に直接入射した光に対する感度RQDIP_real(x,y)=(OQDIP(I,x,y)−I×RQDIP_spot(x,y))/Iを得る。そして、これを用いて、各画素8に入射した光の強度I(x,y)=(OQDIP(x,y)−Xdefect×RQDIP_spot(x,y))/RQDIP_real(x,y)を得る。
【0062】
次に、不良画素が複数存在する場合について、数式を用いて説明する。
センサアレイ4の各画素8の位置を(x,y)で表し、i番目の不良画素に設けられた散乱体9に入射する光の強度をX(i)とし、この散乱体9からの光に対する周囲の画素に備えられるQDIP、QWIPの感度を、それぞれ、RQDIP(i,x,y)、RQWIP(i,x,y)とする。また、センサアレイ4の各画素8に入射する光の強度をI(x,y)とし、この場合の各画素8に備えられるQDIP、QWIPからの出力を、それぞれ、OQDIP(x,y)、OQWIP(x,y)とする。
【0063】
まず、i番目の不良画素にスポット光を照射することにより、RQDIP(i,x,y)及びRQWIP(i,x,y)を予め求めておく。
例えば図8(A)に示すように2つの不良画素A、Bが存在する場合、これらの2つの不良画素A、Bのそれぞれにスポット光を照射して、それぞれの不良画素A、Bの周囲の画素8に備えられるQDIP7AとQWIP7Bの感度を求める。
【0064】
例えば、不良画素Aにスポット光を照射した場合の各画素8に備えられるQWIP7Bの感度分布(データ)は、図8(B)に示すようになる。また、不良画素Bにスポット光を照射した場合の各画素8に備えられるQWIP7Bの感度分布は、図8(C)に示すようになる。また、不良画素Aにスポット光を照射した場合の各画素8に備えられるQDIP7Aの感度分布は、図8(D)に示すようになる。また、不良画素Bにスポット光を照射した場合の各画素8に備えられるQDIP7Aの感度分布は、図8(E)に示すようになる。この場合、不良画素A、Bに対して横方向に並ぶ各画素8に備えられるQWIP7Bの感度分布は、図9(A)に示すようになる。また、不良画素A、Bに対して横方向に並ぶ各画素8に備えられるQDIP7Aの感度分布は、図9(B)に示すようになる。なお、不良画素A、Bに対して縦方向に並ぶ各画素に備えられるQWIP7B及びQDIP7Aの感度分布も同様である。また、QWIP7B及びQDIP7Aの信号強度分布も同様になる。
【0065】
実際の運用時には、任意の入射光Iに対するQWIP7Bの出力OQWIPから不良画素に入射した光の強度Xを求める。例えば最小二乗法を用いて、誤差J=ΣxΣy(OQWIP(x,y)−Σi(X(i)RQWIP(i,x,y)))2を定義して、これが最小によるようにX(i)の組み合わせを求めれば良い。そして、これに基づいて、不良画素の出力をOQDIP(i)=RX(i)として求め、不良画素以外の画素からの出力を補正出力Y(x,y)=OQDIP(x,y)−Σi(X(i)RQDIP(i,x,y))として求める。
【0066】
つまり、実際の運用時には、不良画素Aと不良画素Bのそれぞれに入射した光は、それぞれの周辺に散乱され、各画素8に備えられるQWIP7Bからの出力はそれに対応したものとなる。例えば、全面に任意の光が入射した場合の各画素8に備えられるQWIP7Bの出力分布、QDIP7Aの出力分布は、それぞれ、図8(F)、図8(G)に示すようになる。この場合、不良画素A、Bに対して横方向に並ぶ各画素8に備えられるQWIP7Bの出力分布(信号強度分布)は、図9(C)に示すようになる。また、不良画素A、Bに対して横方向に並ぶ各画素8に備えられるQDIP7Aの出力分布(信号強度分布)は、図9(D)に示すようになる。
【0067】
そして、上述の2つのQWIP7Bの感度分布を用いて、全面に任意の光が入射した場合の各画素8に備えられるQWIP7Bの出力分布と同じ出力分布となるように、不良画素A、Bのそれぞれに入射した光の強度を求める。つまり、先に求めた2つのQWIP7Bの感度を用いて不良画素A、Bに入射した光の強度を変数として連立方程式を解き、不良画素A、Bに入射した光の強度を算出する。ここでは、最小二乗法を用いて、誤差J=ΣxΣy(OQWIP(x,y)−Σi(X(i)RQWIP(i,x,y)))2を定義して、これが最小によるようにX(i)の組み合わせを求める。つまり、図9(C)に示すようなQWIP7Bの出力分布に図9(A)に示すようなQWIP7Bの感度分布をフィッティングして、図9(E)に示すように、不良画素A、Bに入射した光の強度を算出する。なお、図8(H)は、上述の2つのQWIP7Bの感度分布を用いて算出された各画素8に備えられるQWIP7Bの出力分布である。
【0068】
また、上述のようにして求めた不良画素A、Bのそれぞれに入射した光の強度、及び、上述の2つのQDIP7Aの感度分布に基づいて、不良画素A、Bからの散乱光によって生じる各画素8へのクロストークを求める。ここでは、上述のようにして算出された不良画素A、Bに入射した光の強度[図9(E)参照]、及び、図9(B)に示すようなQDIP7Aの感度分布を用いて、図9(F)に示すように、不良画素A、Bからの散乱光によって生じる各画素8へのクロストークを求める。そして、このようにして求められたクロストークをQDIP7Aの出力から引いて取り除く。つまり、不良画素Aに入射した光の強度に不良画素Aにスポット光を照射した場合の各画素8に備えられるQDIP7Aの感度を掛けたものを、各画素8に備えられるQDIP7Aの出力から引いて各画素8に備えられるQDIP7Aの出力を補正する。ここでは、図9(D)に示すようなQDIP7Aの出力分布から図9(F)に示すようなクロストークを引いて、図9(G)に示すように、補正された各画素8のQDIP7Aの出力分布を求める。なお、図8(I)は、各画素8に備えられるQDIP7Aの出力分布(出力画像)からクロストークを差し引いた補正後のQDIP7Aの出力分布(補正画像)である。
【0069】
また、上述のようにして求めた不良画素A、Bのそれぞれに入射した光の強度、及び、上述の2つのQDIP7Aの感度分布に基づいて、不良画素A、BのQDIP7Aの出力を推定し、これを、各画素8に備えられるQDIP7Aからの出力に合成する。ここでは、図9(G)に示すような補正された各画素8のQDIP7Aの出力分布に、図9(H)に示すように、上述のようにして求めた不良画素A、Bのそれぞれに入射した光の強度[図9(E)参照]に基づいて推定された不良画素A、BのQDIP7Aの出力を補完して、合成出力を得る。なお、図8(J)は、このようにして得られる出力画像(出力データ;出力分布)である。
【0070】
したがって、本実施形態にかかるイメージセンサ及び撮像装置によれば、複数の不良画素が存在する場合であっても、簡易な冗長化プロセスで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られ、これにより、不良画素による画像情報の欠落を防止して、歩留まりを向上させることができるという利点がある。
なお、上述の実施形態では、散乱体9をセンサアレイ4の入射面4Aに設けているが、これに限られるものではない。例えば図10に示すように、センサアレイ4とは別に設けられ、入射光を透過する基板(散乱体基板)60上に散乱体9を設けるようにしても良い。この場合も、赤外線イメージセンサ1には、複数の画素8の中の少なくとも一の画素(不良画素)に対応する位置に、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体9が設けられていることになる。
【0071】
具体的には、センサアレイ4が貼り合わされる読出回路チップ5上に、支持体(スペーサ)61を介して、センサアレイ4の入射面4A側を覆うように、入射光を透過する基板(透明基板)60を設け、この基板60の表面上の不良画素に対応する位置に散乱体9を設ければ良い。この場合、予め散乱体9が設けられた透明基板(例えばGaAs基板)60を、不良画素に対応する位置に散乱体9が位置するように、センサアレイ4が貼り合わされた読出回路チップ5の周辺部分に設けられた支持体61上に貼り付けるようにすれば良い。これにより、構造は若干複雑になるが、散乱体9の形成が容易になる。つまり、一般にセンサアレイ4と読出回路チップ5とは熱膨張係数が異なるため、動作させるために冷却すると大きな熱ストレスが発生する。このため、通常、センサアレイ4を、読出回路チップ5に貼り合わせた後に薄く加工する。このように薄く加工されたセンサアレイ4の入射面4Aに散乱体9を形成するのは精密な作業になる。これに対し、上述のように、センサアレイ4とは別の基板60上に散乱体9を設けるようにすれば、散乱体9の形成が容易になる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるイメージセンサ及び撮像装置について、図11を参照しながら説明する。
【0072】
本実施形態にかかるイメージセンサは、上述の第1実施形態のものに対し、図11(A)、(B)に示すように、有効画素領域以外の領域に、入射光を遮断する遮光体62、及び、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体9を備える点が異なる。なお、遮光体62を遮光機構又は光遮断機構ともいう。
つまり、本実施形態では、イメージセンサ1は、複数の画素8として、複数の有効画素8Aと、有効画素8A以外の複数の画素8Bとを含む。また、散乱体9は、有効画素8A以外の複数の画素8Bの中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられている。また、有効画素8A以外の複数の画素8Bの中の散乱体9が設けられている画素以外の画素に対応する位置に、入射光を遮断する遮光体62が設けられている。
【0073】
このように、本実施形態では、有効画素領域の外側の領域であって、センサアレイ4の入射面4Aの表面上に、散乱体9及び遮光体62が設けられている。
この場合、装置の初期校正の段階で複数の温度板(均一温度板)を撮像する際に、入射面4Aに遮光体62が設けられている画素8Bに散乱体9からの散乱光が入射することによって得られるQDIP7A及びQWIP7Bの出力から、散乱体9に対しての相対的位置でのQDIP7A及びQWIP7Bの感度を得ることができる。また、比較的再現性の良い散乱体9を用いる場合(例えば図4中、符号9A、9Bなど)には、このデータに基づいて不良画素に設けられた散乱体9からの光に対する周辺画素のQDIP7A及びQWIP7Bの感度を求めることができる。
【0074】
ここで、散乱体9及び遮光体62は、例えば図11(A)に示すように、散乱体9及び遮光体62を、有効画素領域の外側に縦横複数列ずつ設けられた複数の画素8Bに対応する位置に設ければ良い。この場合、散乱体9を設ける画素8Bの縦方向、横方向、斜め方向に遮光体62が設けられている画素8Bが位置するように、有効画素領域の外側に縦横複数列ずつ設けられた複数の画素8Bのうち一の画素に対応する位置に散乱体9を設け、それ以外の画素に対応する位置に遮光体62を設ければ良い。これにより、散乱体9に対して縦方向及び横方向でのQDIP7A及びQWIP7Bの感度だけでなく、斜め方向でのQDIP7A及びQWIP7Bの感度を得ることが可能となる。
【0075】
なお、散乱体9及び遮光体62の設置方法は、これに限られるものではなく、例えば図12に示すように、有効画素領域の外側に縦横一列ずつ設けられた複数の画素8Bに対応する位置に設けるようにしても良い。これにより、散乱体9及び遮光体62の設置面積を小さくすることができる。この場合、有効画素領域の外側に縦横一列ずつ設けられた複数の画素8Bのうち角部に設けられた画素に対応する位置に散乱体9を設け、それ以外の画素に対応する位置に遮光体62を設けるのが好ましい。これにより、散乱体9に対して縦方向及び横方向でのQDIP7A及びQWIP7Bの感度を得ることが可能となる。
【0076】
したがって、本実施形態にかかるイメージセンサ及び撮像装置によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、複数の不良画素が存在する場合であっても、簡易な冗長化プロセスで、不良画素が存在する領域に実際に入射する光に基づく情報が得られ、これにより、不良画素による画像情報の欠落を防止して、歩留まりを向上させることができるという利点がある。
【0077】
特に、本実施形態によれば、散乱体9からの光に対する周辺画素のQDIP7A及びQWIP7Bの感度を、スポット光を用いないで求めることが可能となる。つまり、スポット光を照射して、散乱体9からの光に対する周辺画素のQDIP7A及びQWIP7Bの感度を求めるステップを省略することが可能となる。
なお、上述の実施形態では、散乱体9及び遮光体62をセンサアレイ4の入射面4Aに設けているが、これに限られるものではない。
【0078】
例えば、上述の第1実施形態の変形例の場合(図10参照)と同様に、図13に示すように、センサアレイ4とは別に設けられ、入射光を透過する基板60(散乱体基板)上に散乱体9及び遮光体62を設けるようにしても良い。この場合も、赤外線イメージセンサ1は、複数の画素8として、複数の有効画素8Aと、有効画素8A以外の複数の画素8Bとを含み、散乱体9は、有効画素8A以外の複数の画素8Bの中の少なくとも一の画素(不良画素)に対応する位置に設けられており、有効画素8A以外の複数の画素8Bの中の散乱体9が設けられている画素以外の画素に対応する位置に、入射光を遮断する遮光体62が設けられていることになる。
【0079】
また、散乱体9と遮光体62とを別々の基板に設け、それぞれを読出回路チップ5上に設けるようにしても良い。つまり、センサアレイ4が貼り合わされる読出回路チップ5上に、支持体を介して、センサアレイ4の入射面4A側を覆うように、散乱体9が設けられている基板を設け、さらに、支持体を介して、遮光体62が設けられている基板を設けるようにしても良い。逆に、センサアレイ4が貼り合わされる読出回路チップ5上に、支持体を介して、センサアレイ4の入射面4A側を覆うように、遮光体62が設けられている基板を設け、さらに、支持体を介して、散乱体9が設けられている基板を設けるようにしても良い。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0080】
例えば、上述の各実施形態及び変形例では、赤外線イメージセンサを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、可視光の検知に用いるイメージセンサにも本発明を適用することができる。また、撮像装置の構成も上述の各実施形態及び変形例のものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 イメージセンサ
2 制御演算部
3 モニタ
4 センサアレイ
4A 入射面
5 読出回路チップ
6 バンプ電極
7 フォトディテクタ
7A QDIP
7B QWIP
7a 量子ドット層
7b 量子井戸層
8 画素
8A 有効画素
8B 有効画素以外の複数の画素
9 散乱体
9A 金属微粉体を分散したインク
9B レーザマーカなどによって形成される凹面
9C サンドブラストなどの機械的加工によって形成される粗面(凹凸面)
9D リソグラフィ及びエッチングによって形成される粗面(凹凸面)
9E リソグラフィによって形成される回折格子(凹凸)
10 記憶部
11 不良画素出力推定部
12 散乱光出力推定部
13 出力合成部
14A〜14C バッファ
15 駆動回路
16 切替回路
17 読出回路
18 ADコンバータ
19 キャパシタ
20 スイッチ(トランジスタ)
21 スイッチ(トランジスタ)
22 出力端子
23 ソースフォロワトランジスタ
24 行選択トランジスタ
25 行線
26 列線
27 列選択トランジスタ
28 読み出し線
29 負荷トランジスタ
30 増幅器
31 垂直走査シフトレジスタ
32 水平走査シフトレジスタ
40 GaAs基板
41 n−GaAs下部コンタクト層
42 n−GaAs中間コンタクト層
43 n−GaAs上部コンタクト層
44 i−GaAs層
45 分離溝
46〜48 コンタクト穴
49〜51 コンタクト電極
52 パッシベーション膜
53〜55 配線
56 光結合素子
60 基板(散乱体基板)
61 支持体(スペーサ)
62 遮光体
70 冷却系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる2つのフォトディテクタを有する複数の画素を備えるセンサアレイと、
前記複数の画素の中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられ、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体とを備えることを特徴とするイメージセンサ。
【請求項2】
前記散乱体は、前記センサアレイの入射面に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記センサアレイとは別に設けられ、入射光を透過する基板を備え、
前記散乱体は、前記基板上に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記複数の画素は、複数の有効画素と、前記有効画素以外の複数の画素とを含み、
前記散乱体は、前記有効画素以外の複数の画素の中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられ、
前記有効画素以外の複数の画素の中の前記散乱体が対応する位置に設けられている画素以外の画素に対応する位置に設けられ、入射光を遮断する遮光体を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記遮光体は、前記センサアレイの入射面に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
前記センサアレイとは別に設けられ、入射光を透過する基板を備え、
前記遮光体は、前記基板上に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のイメージセンサ。
【請求項7】
同一波長に感度を持ち、かつ、入射光の向きに対して感度が異なる2つのフォトディテクタを有する複数の画素を備えるセンサアレイと、
前記複数の画素の中の少なくとも一の画素に対応する位置に設けられ、入射光を周囲の画素に散乱させる散乱体とを備えるイメージセンサと、
前記イメージセンサに接続された制御演算部とを備え、
前記制御演算部は、
前記散乱体が対応する位置に設けられている画素の周囲の画素に備えられる前記2つのフォトディテクタの一方のフォトディテクタの出力に基づいて前記散乱体が対応する位置に設けられている画素の他方のフォトディテクタの出力を推定し、これを前記センサアレイの各画素の他方のフォトディテクタからの出力に合成するとともに、前記散乱体が対応する位置に設けられている画素の周囲の画素に備えられる他方のフォトディテクタからの出力を、同一画素に備えられる一方のフォトディテクタの出力に基づいて補正することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−34123(P2013−34123A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169497(P2011−169497)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】