説明

エンジンの制御装置

【課題】アイドリング状態で所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させ、その後に所定の始動条件が成立したときに同エンジンを自動的に再始動させるエンジンにおいて、その再始動のときに混合気の燃焼を好適に生じさせて排気改善を図る。
【解決手段】本発明に係るエンジンの制御装置は、EGR通路42に直列的に設けられた上流側EGR弁46および下流側EGR弁48、並びにこれらのEGR弁46、48のそれぞれの作動を制御するEGR弁制御手段を備えるEGR装置40を備える。EGR弁制御手段は、エンジンがアイドリング状態にあるときにEGRガスを吸気通路28に導入し、かつ、燃料噴射弁14から再始動のときに噴射される燃料が混ざるガスにEGRガスを導入するように、複数のEGR弁46、48の作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを自動的に停止してその後同エンジンを自動的に再始動させる、エンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が一時的に停止してエンジンをアイドリングする場合に、排気低減および燃費向上などの要請により、できるだけエンジンを止めることが望まれている。これに対して、そのようなときにエンジンの停止および再始動を自動的に行う制御つまりアイドルストップ制御が開発されている。そのような制御の一例が特許文献1に開示されていて、特許文献1は、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させ、その後に所定の始動条件が成立したときに同エンジンを自動的に始動させる制御を開示する。
【0003】
他方、窒素酸化物(NOx)の排出量低減および燃費向上を図るために、排気の一部を還流させる排気還流(EGR:Exhaust Gas Recirculation)装置をエンジンに組み込むことが従来、行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−65191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、EGR装置を備えたエンジンの中には、アイドリング時にEGRガスを吸気系に導入するものがある。このようなエンジンでは特に、上記アイドルストップ制御を行う場合であっても、EGRガスを適切に導入してNOx排出を抑制することが望まれる。しかし、そのようなエンジンで、単にアイドルストップ制御を行うと、再始動時における吸気マニホールド内でのEGRガスの分布にむらが生じたり、または、再始動時のスタータ起動により吸気マニホールド内の吸気が掃気される結果、一時的に吸気マニホールド内のEGRガスの量が急激に低下したりすることが考えられる。このような場合には、燃焼室から排気通路へのNOx排出量が増える可能性がある。
【0006】
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、アイドリング状態で所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させ、その後に所定の始動条件が成立したときに同エンジンを自動的に再始動させるエンジンにおいて、その再始動のときに混合気の燃焼を好適に生じさせて排気改善を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様によれば、アイドリング状態で所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させ、前記所定の停止条件の成立後に所定の始動条件が成立したときに同エンジンを自動的に再始動させるシステムを備えたエンジンの制御装置において、燃料を吸気通路または気筒内に噴射する燃料噴射弁と該燃料噴射弁の作動を制御する燃料噴射制御手段とを備える燃料噴射装置と、排気通路と前記吸気通路とをつなぐEGR通路、該EGR通路に直列的に設けられた上流側EGR弁および該上流側EGR弁よりも下流側に位置づけられた下流側EGR弁を含む複数のEGR弁、並びに該複数のEGR弁のそれぞれの作動を制御するEGR弁制御手段を備えるEGR装置であって、前記EGR弁制御手段は、該エンジンがアイドリング状態にあるときにEGRガスを前記吸気通路に導入し、かつ、前記燃料噴射弁から前記再始動のときに噴射される燃料が混ざるガスにEGRガスを導入するように、前記複数のEGR弁の作動を制御する、EGR装置とを備えた、エンジンの制御装置が提供される。
【0008】
好ましくは、前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに前記吸気通路に所定量のEGRガスを導入するように前記複数のEGR弁の作動を制御する。
【0009】
前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記複数のEGR弁を閉じた状態にし、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに前記上流側EGR弁を閉じた状態に維持したまま前記下流側EGR弁を開くように前記複数のEGR弁の作動を制御するとよい。
【0010】
前記EGR通路と前記吸気通路との接続部よりも前記吸気通路の上流側に設けられた吸気絞り弁と、該吸気絞り弁の作動を制御する吸気絞り弁制御手段であって前記所定の停止条件の成立により前記吸気絞り弁を閉じる吸気絞り弁制御手段とをさらに備え、前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに前記吸気絞り弁よりも下流側の吸気通路におけるEGRガスの量が前記所定量になるように前記下流側EGR弁を開閉制御するとよい。
【0011】
前記EGR弁制御手段は、前記吸気通路の圧力を検出するための吸気圧力検出手段および前記吸気通路の温度を検出するための吸気温度検出手段のうちの少なくとも一方の出力に基づいて、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに、前記吸気通路におけるEGRガスの量が前記所定量になるように前記下流側EGR弁を開閉制御するとよい。あるいは、前記EGR弁制御手段は、前記吸気通路の圧力を検出するための吸気圧力検出手段および前記EGR通路の圧力を検出するためのEGR圧力検出手段のうちの少なくとも一方の出力に基づいて、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに、前記吸気通路におけるEGRガスの量が前記所定量になるように前記下流側EGR弁を開閉制御するとよい。
【0012】
代わりに、前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記複数のEGR弁を閉じた状態にし、前記所定の始動条件の成立時以後の第1所定時期に少なくとも前記下流側EGR弁を開けるように前記複数のEGR弁の作動を制御し、前記燃料噴射制御手段は、前記第1所定時期よりも遅い第2所定時期に、前記所定の始動条件の成立後の最初の燃料噴射が行われるように前記燃料噴射弁を制御するとよい。この場合、前記第1所定時期と前記第2所定時期とは、前記第1所定時期での前記下流側EGR弁の開弁により前記吸気通路に導入されるEGRガスを含むガスに前記第2所定時期に前記燃料噴射弁から噴射された燃料を合流させるように関係付けられているとよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態が適用された内燃機関の概略構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態を説明するための制御フローである。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態が適用された内燃機関の概略構成図である。
【図4】図4は、第2実施形態を説明するための制御フローである。
【図5】図5は、第2実施形態に関するグラフであり、エンジンを一旦停止したときにEGR弁を開いた場合の、EGR通路から吸気通路へのEGRガスの流量と、吸気圧と、EGR圧との関係を概念的に表したグラフである。
【図6】図6(a)は図4に基づく制御によるEGRガスの流量の変化を時間に対して表したグラフであり、図6(b)は同制御によって吸気通路へ導入されたEGRガスの量の変化を時間に対して表したグラフである。
【図7】図7は、第3実施形態を説明するための制御フローである。
【図8】図8は、第3実施形態に関するグラフであり、所定の始動条件の成立によるスタータの起動開始時以後に燃焼室へ流れるガスの流量の変化を概念的に表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態について、以下に詳細に説明する。
【0015】
まず、第1実施形態が適用された内燃機関(エンジン)10について図1に基づいて説明する。エンジン10は車両に搭載されている。エンジン10は、ディーゼルエンジンであり、気筒12の内部に燃料噴射弁14から燃料を直接噴射する構成を有する。各気筒12のそれぞれに対して燃料噴射弁14が設けられている。
【0016】
各気筒12に吸気を分配して供給するように各気筒12の吸気ポートに接続された吸気マニホールド16が、ターボチャージャ18におけるコンプレッサー20につながっている。このコンプレッサー20と吸気マニホールド16との間の吸気通路22に、加圧されて温度の上昇した吸気を冷却するためのインタークーラ24と、吸気量を制御する吸気絞り弁26とが設けられている。その吸気絞り弁26は、モータなどのアクチュエータによって電気的に制御できるように構成されている。これら吸気ポート、吸気マニホールド16、コンプレッサー20はそれぞれ吸気通路28の一部を区画形成する。なお、吸気通路28の上流端側には、吸気通路28に導かれる空気中の塵埃などを除去するべくエアクリーナ30が設けられている。
【0017】
他方、各気筒12の排気ポートに接続された排気マニホールド32が、ターボチャージャ18における排気タービン34につながれている。さらにこのタービン34が、排気浄化触媒を備えた触媒コンバータ36に連通されている。なお、排気ポート、排気マニホールド32、排気タービン34、触媒コンバータ36はそれぞれ排気通路38の一部を区画形成する。
【0018】
各気筒12の燃焼室から排気通路38に排出された排気の一部を吸気通路28に導くようにEGR装置40が設けられている。EGR装置40は、排気通路38と吸気通路28とをつなぐEGR通路42を区画形成するEGR管44と、EGR通路42に直列的に設けられた、排気側に配置された排気側EGR弁46および吸気側に配置された吸気側EGR弁48とを備えている。排気側EGR弁46は吸気側EGR弁48よりも上流側に設けられているので吸気側EGR弁48に対して上流側EGR弁であり、この場合吸気側EGR弁48は排気側EGR弁46に対して下流側EGR弁である。これらの複数のEGR弁46、48の作動がそれぞれ独立に制御可能であるように、これらの複数のEGR弁46、48のそれぞれにアクチュエータが設けられている。ただし、EGR通路42は、吸気絞り弁26よりも下流側の吸気通路(下流側吸気通路)28dとタービン34よりも上流側の排気通路(上流側排気通路)38uとに連通する。そして、さらに、EGR通路42にはEGRクーラ50が設けられている。ただし、ここでは、EGRクーラ50は排気側EGR弁46よりも排気側に設けられているが、他の箇所に設けられることができる。なお、EGR装置40は上記2つのEGR弁46、48を備えるが、さらに別のEGR弁が備えられてもよい。
【0019】
また、エンジン10は、始動時には外力によって完爆回転速度まで強制的に回転させる必要があり、そのための回転駆動機構としてスタータ(不図示)が設けられている。このスタータは適宜の構成のものを採用することができる。
【0020】
このような構成を有するエンジン10は、エンジン10の制御装置または制御手段としての機能を実質的に担う電子制御ユニット(ECU)60を備えている。ECU60は、マイクロコンピュータを主体として構成されたものであって、CPU、ROMおよびRAMのような記憶装置、A/D変換器、入力インタフェース並びに出力インタフェース等を含む。記憶装置には、種々の制御プログラムおよびデータが記憶されている。入力インタフェースには、後述されるセンサを含む各種センサ類が電気的に接続されている。これら各種センサ類からの出力信号(検出信号)に基づき、予め設定されたプログラム(データを含む。)にしたがって円滑なエンジン10等の運転ないし作動がなされるように、ECU60は出力インタフェースから電気的に作動信号(駆動信号)を出力する。こうして、燃料噴射弁14の作動、吸気絞り弁26、排気側EGR弁46、吸気側EGR弁48の各開度、スタータの作動などが制御される。ただし、ECU60は、吸気絞り弁26、排気側EGR弁46、吸気側EGR弁48の各開度を制御するため、それぞれに対応するアクチュエータに作動信号を出力する。
【0021】
エンジン10は、ECU60に、各種値を検出する(推定することを含む)ための信号を電気的に出力する各種センサ類を備えている。ここで、その内のいくつかを具体的に述べる。吸入空気量を検出するためのエアフローメータ62が吸気通路28に備えられている。また、吸気通路28、特にここでは吸気マニホールド16内の圧力を検出するための吸気圧センサ64が設けられている。また、吸気通路28、特にここでは吸気マニホールド16内の温度を検出するための吸気温センサ66が設けられている。また運転者によって操作されるアクセルペダル(不図示)の踏み込み量に対応する位置、すなわちアクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ68が備えられている。また、ピストンが往復動する、シリンダブロック(あるいはその近傍)には、連接棒を介してピストンが連結されているクランクシャフトのクランク回転信号を検出するためのクランクポジションセンサ70が取り付けられている。ここでは、このクランクポジションセンサ70はエンジン回転速度を検出するためのエンジン回転速度センサとしても利用される。また、エンジン10が搭載された車両の速度(車速)を検出するための車速センサ72も備えられている。さらに、ブレーキペダル(不図示)の操作状態に応じた信号を出力するストップランプスイッチ74が設けられていて、このストップランプスイッチ74はブレーキペダルが踏まれることでONになる。
【0022】
なお、ここでは、燃料噴射装置は、燃料噴射弁14と、該燃料噴射弁14の作動を制御する燃料噴射制御手段としての機能を担うECU60の一部とを含んで構成される。そして、EGR装置40は、排気側および吸気側EGR弁46、48の作動をそれぞれ制御するEGR弁制御手段としての機能を担うECU60の一部を含んで構成される。アイドルストップ制御における所定の停止条件の成立を判定する停止条件成立判定手段は、ECU60の一部を含んで構成される。また、アイドルストップ制御における所定の始動条件の成立を判定する始動条件成立判定手段は、ECU60の一部を含んで構成される。また、ECU60の一部は、吸気絞り弁26の作動を制御する吸気絞り弁制御手段としての機能を担う。これらの手段は、相互に、直接的にまたは間接的につなげられている。そして、これらの手段により、例えば、走行中、交通信号灯の停止表示などに基づいて一時的に車両が停止してエンジン10がアイドリング状態になったときに、所定のタイミングでエンジン10を一時的に自動的に停止させ、その後、所定のタイミングでエンジン10を再始動させるシステムが実質的に構成されている。したがって、エンジン10では、上記所謂アイドルストップ制御が実現され得る。
【0023】
具体的には、このようなアイドルストップ制御におけるエンジン10の一時的な停止は、所定の停止条件が満たされたときに、ECU60により実行される。ここでは、所定の停止条件として、停車中でかつ制動操作中という所定の条件が定められている。停車中か否かは車速センサ72からの出力に基づいて判定され、この判定は車速が零か否かの判定に相当する。また、制動操作中か否かは、制動操作検出手段としてのストップランプスイッチ74からの出力に基づいて判定され、具体的にはこの判定はストップランプスイッチ74がONであるか否かに相当する。ここではさらに、加速要求検出手段であるアクセル開度センサ68からの出力に基づいてアクセルペダルが踏まれていないと判定されたときに制動操作中と判定される。なお、所定の停止条件は種々定められることができる。
【0024】
これに対して、エンジン10のそのような停止後のエンジン10の始動つまり再始動は、所定の始動条件が満たされたときに、ECU60により実行される。ここでは、所定の始動条件として、上記停止条件のうちの少なくともいずれかの条件が満たされなくなったこという所定の条件が定められている。例えば、ブレーキ操作が解除されたとき、つまり、ストップランプスイッチ72がONからOFFになったとき、所定の始動条件が成立したと判定される。
【0025】
また、EGR装置40におけるEGR制御は、基本的には、エンジン回転速度およびエンジン負荷に基づいて実行される。エンジン運転状態がEGR実行領域にあるとき、ECU60はEGRガスの導入を実行すべきと判断し、EGR弁46、48を共に開弁する。例えば、エンジン10がアイドリング状態にあるときは、EGR実行領域に含まれる。他方、エンジン運転状態がEGR非実行領域にあるとき、ECU60はEGRガスの導入を実行すべきでないと判断し、EGR弁46、48を全閉とする。なお、ECU60は、EGRガスの導入を実行すべきでないと判断したとき、EGR弁46、48のうちの少なくともいずれか一方を全閉としてもよい。EGRを実行すべきと判断したとき、ECU60は、エンジン回転速度およびエンジン負荷などのエンジンパラメータに基づいて目標EGR率(目標EGR割合)を決定する。そしてこの決定した目標EGR率が実際に実現されるように、EGR弁46、48の開度が制御され得る。なお、アイドルストップ制御時に上記したようにエンジン10が停止されるときには基本的にはEGR弁46、48は閉じられるが、燃料噴射弁14から再始動のときに噴射される燃料が混ざるガスにEGRガスを導入するようにEGR弁46、48の作動は後述するようにECU60により制御される。
【0026】
そして、ECU60は、燃料噴射制御を行う。エンジン10では、エンジン負荷およびエンジン回転速度等によるエンジン運転状態に基づいて、燃料噴射量(燃料量)、燃料噴射時期が設定される。そして、それら燃料噴射量、燃料噴射時期に基づいて、燃料噴射弁14からの燃料の噴射が行われる。この燃料噴射制御は、上記EGR制御に応じて、実行される。なお、アイドルストップ制御により上記したようにエンジン10が停止状態になるまたはあるときには燃料噴射弁14からの燃料噴射は停止され、再始動のときに燃料噴射弁14からの燃料噴射は再開される。
【0027】
また、吸気絞り弁26の開度は、通常は、アクセル開度に応じて制御される。そして、アイドルストップ制御時に上記したようにエンジン10が停止されるまたはされているときには吸気絞り弁26は閉じられ、ここでは特に全閉にされる。
【0028】
さて、上記したようにアイドリング状態で所定の停止条件が成立したときエンジン10が一旦停止されて、その後、所定の始動条件が成立したときにエンジン10が再始動される。このような再始動時の排気を改善するべく、ここでは所定の停止条件が成立したときに吸気系へのEGRガスの導入が図られる。このような所定の停止条件が成立したときのEGR制御に関して図2のフローチャートにしたがって説明する。なお、図2のフローチャートには、本第1実施形態における一時的なエンジン10の停止時に関するEGR制御が簡単に表されている。
【0029】
まず、ステップS201では、停止フラグが1つまりONであるか否かを判定する。初期状態では、停止フラグは0つまりOFFにされている。
【0030】
ステップS201で否定判定されると、ステップS203で、所定の停止条件が成立しているか否かが判定される。所定の停止条件は上記した通りであり、ここでは、車速が零であり、ブレーキが踏まれていて、アクセルペダルが踏まれていないことが要求される。これらの条件が全て満たされたとき、所定の停止条件が満たされたと判定される。
【0031】
なお、所定の停止条件が満たされたときは、上記したように、図2とは異なる別のフローにしたがって、排気側EGR弁46および吸気側EGR弁48は共に閉じた状態にされる。また、所定の停止条件が満たされたときは、図2とは異なる別のフローにしたがって、吸気絞り弁26は全閉にされる。
【0032】
所定の停止条件が満たされているのでステップS203で肯定判定されたとき、ステップS205で上記停止フラグが1にされる。そして、ステップS207で後述されるようにして目標吸気圧が算出されて、ステップS209で吸気側EGR弁48が開かれる。ここでは、吸気側EGR弁48は全開にされる。ただし、ステップS209で吸気側EGR弁48が開かれるとき、排気側EGR弁46は閉じた状態に維持される。これにより、エンジン10の停止時にEGR弁46、48間のEGR通路に閉じ込められていた排気つまりEGRガスが吸気通路28、特に下流側吸気通路28dに導入される。なお、所定の停止条件が満たされてEGR弁46、48が閉じられたときの排気側EGR弁46と吸気側EGR弁48との間のガスの圧力は吸気絞り弁26下流側の吸気通路28dの吸気つまりガスの圧力よりも概して高いので、ステップS209での吸気側EGR弁48の開弁によりEGRガスは好適に吸気通路28に導入される。
【0033】
ただし、ここでは、ステップS209での吸気側EGR弁48の開弁はエンジン10が完全に停止した後に実行される。これは当該EGR制御により吸気通路28に導入されたEGRガスをより好適に吸気通路28に保つためである。具体的には、所定の停止条件の成立から所定時間経過後にステップS209での吸気側EGR弁48の開弁を行うことで、そのようなエンジン停止状態が確保され得る。なお、所定時間の計測は、ECU60に備えられる時間計測手段により実行され得る。
【0034】
ただし、このように所定時間経過するのを待つ代わりに、例えば、ステップS203とステップS209との間に、エンジン10が停止したか否かを判定するためのステップが設けられることができる。この場合、エンジン回転速度が零であるときに、エンジン10が停止したと判断され得る。このエンジン停止判定は、ECU60の一部により担われ得るエンジン停止判定手段により行われ得る。
【0035】
ステップS207での目標吸気圧pimtrgの算出について以下に説明する。目標吸気圧の算出は、所定の停止条件が成立してEGR弁46、48が閉じられた状態にあるときの、そしてここではさらにエンジン10が停止状態にあるときの、吸気圧pimaおよび吸気温度timaに基づいて実行される。吸気圧pimaは吸気圧力検出手段である吸気圧センサ64からの出力に基づき、吸気通路、特に吸気マニホールド16内の圧力として求められる。吸気温度timaは吸気温度検出手段である吸気温センサ66からの出力に基づき、吸気通路、特に吸気マニホールド16内の温度として求められる。そして、さらに、検出された吸気温度timaに基づいて予め記憶装置に記憶するデータを検索することで、ステップS209でのEGR弁48の開弁によりEGRガスを吸気系に導入した後の吸気通路、特に吸気マニホールド16内の温度である吸気温度timmが求められる。なお、所定の停止条件が成立してEGR弁46、48が閉じられた状態にあるときのEGR通路42の温度に基づいてEGRガス導入後の上記吸気温度timmが求められてもよい。この場合、EGR通路42の温度を検出するために、EGR管44に温度センサ(EGR温度検出手段)が設けられることができる。なお、このような吸気温度timmの導出または検出に際しては、外気温および外気圧の少なくとも一方に基づく補正が適用されるとよい。
【0036】
そして、所定の停止条件が成立してEGR弁46、48が閉じられた状態にあるときの、吸気圧pimaおよび吸気温度tima、並びに、EGRガス導入後の吸気温度timmを用いて、以下の(1)式および(2)式に基づいて導出された(3)式に基づいて目標吸気圧pimtrgが求められる。なお、maはステップS209でEGR弁48を開く前の吸気通路のガスつまり概ね空気の量(または質量)であり、mmはEGRガス導入後の吸気通路28dのガスの量(または質量)であり、pimmは同様にEGRガス導入後の吸気通路28dの圧力である。EGRガス導入後の吸気圧pimmは目標吸気圧pimtrgに相当するので、(1)式および(2)式から(3)式が導出される。ただし、EGRtrgは目標EGR率であり、所定の始動条件が成立してエンジン10が最始動されるときに排気を改善するために適した所定EGR率(所定EGR割合)であり、ここでは固定値として予め設定されて記憶装置に記憶されている。ただし、目標EGR率EGRtrgは可変とされてもよく、例えば、外気温、外気圧、エンジン冷却水温などのエンジンの状態に関する種々のパラメータに基づいて可変とされ得る。
(pimm/pima)=(mm/ma)(timm/tima) (1)
EGRtrg=(mm−ma)/mm (2)
pimtrg=pima/(timm/tima)/(1−EGRtrg) (3)
【0037】
次回以降のルーチンのステップS201では、停止フラグが1であるので、肯定判定される。そして、ステップS211で、都度、吸気圧センサ64からの出力に基づいて検出される吸気圧pimmがステップS207で算出された目標吸気圧pimtrg未満か否かが判定される。このステップS211での判定は、上記説明から明らかなように、吸気通路28、特に下流側吸気通路28dにおけるEGRガスの割合が所定割合である上記目標EGR率EGRtrgに達したか否かの判定に相当する。ステップS211で、吸気圧pimmが目標吸気圧pimtrg未満と判定されると、未だ吸気通路28dにおけるEGRガスの割合が所定割合である目標EGR率に達していないので、つまり吸気通路28の下流側吸気通路28dへのEGRガスの導入量が所定量に達していないので、該ルーチンは終了する。
【0038】
そして、次回以降のルーチンのステップS211で吸気圧pimmが目標吸気圧pimtrg以上であるので否定判定されると、ステップS213で吸気側EGR弁48が全閉にされる。これにより、次ぐステップS215で停止フラグが0にされて、該ルーチンは終了する。
【0039】
このように所定の停止条件が成立したときに吸気通路28におけるEGRガスの割合が所定割合である目標EGR率EGRtrgに達するまで、つまり、吸気通路に所定量のEGRガスを導入するまで、吸気通路28にEGRガスが導入される。この結果、下流側吸気通路28dのEGRガスの分布状態は略均一になり、吸気マニホールド16内のEGRガスの分布は略均一になる。そして、この状態で、その後、所定の始動条件が成立したとき、このEGRガスを含む吸気が各燃焼室に分配されると共にこの吸気に対して各気筒12で燃料噴射弁14から燃料が噴射される。したがって、アイドルストップ制御における再始動時に適切にNOxの排出を抑制できる。
【0040】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態が適用されたエンジン100は、上記第1実施形態のエンジン10と概ね同じ構成を備えるが、エンジン10における上記制御に対して、所定の停止条件成立時にEGRガスを導入する制御およびそのための構成に関して相違点を有する。そこで、以下では、エンジン100の構成に関してはエンジン10の構成に対する相違点を主に説明し、既に説明した構成要素に対応する構成要素には、上記説明で用いた符号を同様に付して、それらの重複する説明を省略する。
【0041】
エンジン100の概略構成図が図3に表されている。エンジン100において、EGR装置40のEGR通路42には、EGR通路42のEGRガスの温度を検出するためのEGR温度センサ80が設けられている。また、EGR通路42には、EGR通路42のEGRガスの圧力を検出するためのEGR圧力センサ82が設けられている。そして、これらセンサ80、82からの出力信号がECU60に送られるようにこれらセンサ80、82とECU60とは電気的に接続されている。なお、EGR温度センサ80はEGR温度検出手段であり、EGR圧力センサ82はEGR圧力検出手段である。
【0042】
第2実施形態のエンジン100でも、上記所定の停止条件が成立したときに吸気系へEGRガスの導入が実行される。この所定の停止条件が成立したときのEGR制御に関して図4のフローチャートにしたがって説明する。なお、図4のフローチャートには、所定の停止条件が成立したときのEGR制御の流れが簡単に表されている。ただし、図4のステップS401〜S405、S409、S415、S417は、それぞれ、図2の上記ステップS201〜S205、S209、S213、S215に相当するので、これらの重複する詳細な説明は以下省略される。
【0043】
ECU60は、ステップS403で上記所定の停止条件が成立していると肯定判定して、ステップS405で上記停止フラグを1にすると、ステップS407で後述するようにして目標EGR量を算出して、ステップS409で吸気側EGR弁48を開く。
【0044】
ステップS407での目標EGR量metrgの算出について以下に説明する。目標EGR量は図4のフローにしたがって吸気系に導入されるEGRガスの総量(または総質量)である。目標EGR量metrgの算出は、所定の停止条件が成立してEGR弁46、48が閉じられた状態にあるときの、そしてここではさらにエンジン10が停止状態にあるときの、下流側吸気通路28dのガス量(または質量)maに基づいて実行される。吸気通路のガス量maは、吸気温センサ66からの出力信号に基づいて求められる吸気マニホールド16内のガス温度つまり吸気温度timaおよび吸気圧センサ64からの出力信号に基づいて求められる吸気マニホールド16内のガス圧つまり吸気圧pimに基づいて予め記憶装置に記憶されているデータを検索することで求められる。そして、求められたガス量maに基づいて以下の(4)式の演算をすることで目標EGR量metrgが求められる。(4)式の関係は、(5)式を展開することで求められる。ただし、EGRtrgは上記したのと同様に目標EGR率であり、ここでは固定値として予め設定されて記憶装置に記憶されている。ただし、目標EGR率EGRtrgは上記したように可変とされてもよい。
metrg=ma×EGRtrg/(1−EGRtrg) (4)
EGRtrg=metrg/(ma+metrg) (5)
【0045】
次回以降のルーチンのステップS401では、停止フラグが1であるので、肯定判定される。そして、ステップS411で、都度、後述するようにして、下流側吸気通路28dに導入されたEGRガス量(導入EGRガス量)が求められる。この求められた導入EGRガス量が上記ステップS407で算出された目標EGR量metrgとステップS413で比較される。ステップS413では、具体的には、ステップS411で算出された導入EGR量がステップS407で算出された目標EGR量未満か否かが判定される。このステップS411での判定は、上記説明から明らかなように、吸気通路28、特に下流側吸気通路28dにおけるEGRガスの割合が所定割合である上記目標EGR率EGRtrgに達したか否かの判定に相当する。そして、ステップS413で導入EGR量が目標EGR量以上になって肯定判定されるようになると、ステップS415で吸気側EGR弁48が全閉にされる。これにより、次ぐステップS417で停止フラグが0にされる。
【0046】
ステップS411での導入EGR量の算出について以下に説明する。その時々でのEGR通路42から吸気通路28へのEGRガスの流量(EGR流量)Gegrは、吸気圧pimとEGR通路42のEGRガスの圧力(EGR圧)pegrとに対して、図5のグラフに表したような関係を有する。ただし、図5のグラフは、吸気側EGR弁48を所定開度に一定とした場合の関係を表している。図5の横軸には吸気圧pimをEGR圧pegrで除した値(吸気圧pim/EGR圧pegr)をとり、図5の縦軸にはEGR流量GegrとEGR通路42のEGRガスの温度(EGR温度)tegrの1/2乗との積をEGR圧pegrで除した値(Gegr×tegr1/2/pegr)をとり、それらの関係が表されている。この図5に表したような実験結果に基づいて、次の(6)式の関係が導き出される。この(6)式から求められるEGR流量Gegrを時間で積分することで、その時々での導入EGR量が算出される。
Gegr=pegr/tegr1/2×f(pim/pegr) (6)
【0047】
ここで、ステップS409での吸気側EGR弁48の開弁時(図6の時刻t=0に相当)からのEGR流量Gegrの変化例と、吸気側EGR弁48の開弁後にEGR通路42から吸気通路28へ導入される導入EGR量の変化例とが図6に表される。図6(a)はEGR流量Gegrの変化を時間tに対して表したグラフであり、図6(b)は導入EGR量の変化を時間tに対して表したグラフである。なお、図6の横軸において零の時刻はステップS409での吸気側EGR弁48の開弁時に相当し、図6の横軸において時刻tsはステップS415での吸気側EGR弁48の閉弁時に相当する。
【0048】
このように所定の停止条件が成立したときに吸気通路28に導入されたEGRガスの量が所定量である目標EGR量metrgになるまで、つまり吸気通路28dにおけるEGRガスの割合が所定割合である目標EGR率EGRtrgになるまで吸気通路28にEGRガスが導入される。導入から再始動までに時間があり、EGRガスと空気の混合がこの間に進むので、下流側吸気通路28dのEGRガスの分布状態は略均一になり、吸気マニホールド16内のEGRガスの分布は略均一になる。そして、この状態で、その後、所定の始動条件が成立したとき、このEGRガスを含む吸気が各燃焼室に分配されると共にこの吸気に対して燃料噴射弁14から燃料が噴射される。したがって、アイドルストップ制御における再始動時に適切にNOxの排出を抑制できる。
【0049】
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態が適用されたエンジンは、上記第1実施形態のエンジン10と概ね同じ構成を備える。そこで、以下では、既に説明した構成要素に対応する構成要素に上記説明で用いた符号を同様に付すことで、第3実施形態のエンジンの構成要素の説明は省略される。しかし、上記第1および第2実施形態では所定の停止条件の成立後であって所定の始動条件の成立前に吸気系にEGRガスを導入する上記制御を行ったのに対して、第3実施形態では、所定の始動条件が成立したときに吸気系にEGRガスを導入する制御が実行される。以下では、所定の始動条件が成立したときに実行される吸気系へのEGRガスの導入に関する制御に関して図7のフローチャートにしたがって説明する。
【0050】
アイドルストップ制御によりエンジン10が停止状態になった後の制御が図7に簡単に表されている。図7のステップS701ではスタータが起動されたか否かが判定される。所定の始動条件が成立してエンジン10のスタータが起動されると、ステップ701で肯定判定される。ステップS701で肯定判定されると、ステップS703で測定時間tが0を越えたか否かが判定される。ステップS703での判定対象となる測定時間は初期状態(リセット状態)では零であるので、最初に至ったステップS703では否定判定される。その結果、ステップS705で、時間測定が開始される。なお、このような時間測定はECU60に内蔵された時間計測手段により実行される。
【0051】
時間測定が開始されると、次のルーチンのステップS703では肯定判定されて、ステップS707で測定時間tが所定の燃料噴射開始時期tfの所定微小時間Δt前の時間(tf−Δt)以上か否かが判定される。ステップS707で肯定判定されるようになると、ステップS709で測定時間tが所定燃料噴射開始時期(時間)tf(>tf−Δt)未満か否かが判定される。ステップS709に最初に至ったときなどには、ステップS709で肯定判定される。これによりステップS711でそれまで閉状態にあった吸気側EGR弁48が開かれる。こうして所定の始動条件成立時以降の第1所定時期に吸気側EGR弁48が開かれる。これにより、EGR弁46、48間に閉じ込められていたEGRガスが好適に吸気通路28に流れることが可能になる。なお、ここではステップS711でそれまで閉状態にあった排気側EGR弁46も開かれるが、該EGR弁46はEGR弁48の開弁からわずかな時間差をもってつまり所定時間経過後に開かれてもよい。
【0052】
そして、ステップS709で測定時間tが所定燃料噴射開始時期tfになって否定判定されると、ステップS713でスタータの停止、燃料噴射弁14からの燃料噴射の開始、時間計測の終了(リセット)が行われる。こうして所定の始動条件成立時以降の第1所定時期よりも遅い第2所定時期に、所定の始動条件成立後の最初の燃料噴射が行われる。
【0053】
ここで、所定の始動条件の成立による上記スタータの起動開始時以後に燃焼室へ流れるガスの流量の変化を図8に模式的に表す。上記所定燃料噴射開始時期tfは予め定められている時期または時間である。そして、上記所定微小時間Δtは、スタータ起動により吸気通路から掃気される吸気の量、吸気側EGR弁48の開き遅れおよびEGR通路42から吸気通路へのEGRガスの流入遅れを考慮して定められている。具体的には、所定微小時間Δtは、所定の始動条件の成立時以後の第1所定時期に吸気側EGR弁48を開弁することによって吸気通路28に導入されるEGRガスを含むガスに、所定の始動条件の成立後の第2所定時期である所定燃料噴射開始時期tfに燃料噴射弁14から噴射された燃料を合流させるように関係付けられている。そして、特に、所定微小時間Δtは、第2所定時期である所定燃料噴射開始時期tfに燃料噴射弁14から噴射された燃料が混ざる吸気中のEGRガスの量が所定量になるように、つまり当該吸気のEGRガスの割合が目標EGR率EGRtrgになるように予め定められている。
【0054】
このような制御により、所定の始動条件の成立後、吸気側EGR弁48の開弁によるEGRガスを含むガスに燃料噴射弁14から最初に噴射された燃料を適切に合流させて、該燃料を適切に燃焼させることができる。したがって、再始動時の排気を改善することができる。
【0055】
なお、スタータ起動により吸気通路から排気通路へ掃気される吸気の量が吸気マニホールド16内の容積量に等しくなるように吸気マニホールド16は設計されるとよい。この場合、スタータ起動と同時に吸気側EGR弁48を開くだけでEGRガスを遅れなく導入できる。
【0056】
以上、本発明を複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明は、上記複数の実施形態およびそれらの変形例の矛盾しない範囲での任意の種々の組み合わせを許容する。本発明は、燃料や空気の供給およびその停止、または点火のオン・オフなどによって自動停止および自動的な再始動の可能な内燃機関に適用され得、ディーゼルエンジン以外にも、ガソリンエンジンあるいはガスを燃料としたエンジンなどに適用され得る。また、本発明が適用されるエンジンの気筒数、気筒配列形式などは如何なるものであってもよい。
【0057】
以上、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。本発明の実施態様は上述の態様のみに限らず、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例を含む。
【符号の説明】
【0058】
10、100 エンジン
14 燃料噴射弁
26 吸気絞り弁
28 吸気通路
38 排気通路
40 EGR装置
42 EGR通路
46 排気側EGR弁(上流側EGR弁)
48 吸気側EGR弁(下流側EGR弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイドリング状態で所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させ、前記所定の停止条件の成立後に所定の始動条件が成立したときに同エンジンを自動的に再始動させるシステムを備えたエンジンの制御装置において、
燃料を吸気通路または気筒内に噴射する燃料噴射弁と該燃料噴射弁の作動を制御する燃料噴射制御手段とを備える燃料噴射装置と、
排気通路と前記吸気通路とをつなぐEGR通路、該EGR通路に直列的に設けられた上流側EGR弁および該上流側EGR弁よりも下流側に位置づけられた下流側EGR弁を含む複数のEGR弁、並びに該複数のEGR弁のそれぞれの作動を制御するEGR弁制御手段を備えるEGR装置であって、前記EGR弁制御手段は、該エンジンがアイドリング状態にあるときにEGRガスを前記吸気通路に導入し、かつ、前記燃料噴射弁から前記再始動のときに噴射される燃料が混ざるガスにEGRガスを導入するように、前記複数のEGR弁の作動を制御する、EGR装置と
を備えた、エンジンの制御装置。
【請求項2】
前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに前記吸気通路に所定量のEGRガスを導入するように前記複数のEGR弁の作動を制御する、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記複数のEGR弁を閉じた状態にし、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに前記上流側EGR弁を閉じた状態に維持したまま前記下流側EGR弁を開くように前記複数のEGR弁の作動を制御する、請求項2に記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
前記EGR通路と前記吸気通路との接続部よりも前記吸気通路の上流側に設けられた吸気絞り弁と、該吸気絞り弁の作動を制御する吸気絞り弁制御手段であって前記所定の停止条件の成立により前記吸気絞り弁を閉じる吸気絞り弁制御手段とをさらに備え、
前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに前記吸気絞り弁よりも下流側の吸気通路におけるEGRガスの量が前記所定量になるように前記下流側EGR弁を開閉制御する、請求項3に記載のエンジンの制御装置。
【請求項5】
前記EGR弁制御手段は、前記吸気通路の圧力を検出するための吸気圧力検出手段および前記吸気通路の温度を検出するための吸気温度検出手段のうちの少なくとも一方の出力に基づいて、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに、前記吸気通路におけるEGRガスの量が前記所定量になるように前記下流側EGR弁を開閉制御する、請求項4に記載のエンジンの制御装置。
【請求項6】
前記EGR弁制御手段は、前記吸気通路の圧力を検出するための吸気圧力検出手段および前記EGR通路の圧力を検出するためのEGR圧力検出手段のうちの少なくとも一方の出力に基づいて、前記所定の停止条件の成立により前記エンジンが停止されたときに、前記吸気通路におけるEGRガスの量が前記所定量になるように前記下流側EGR弁を開閉制御する、請求項4に記載のエンジンの制御装置。
【請求項7】
前記EGR弁制御手段は、前記所定の停止条件の成立により前記複数のEGR弁を閉じた状態にし、前記所定の始動条件の成立時以後の第1所定時期に少なくとも前記下流側EGR弁を開けるように前記複数のEGR弁の作動を制御し、
前記燃料噴射制御手段は、前記第1所定時期よりも遅い第2所定時期に、前記所定の始動条件の成立後の最初の燃料噴射が行われるように前記燃料噴射弁を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項8】
前記第1所定時期と前記第2所定時期とは、前記第1所定時期での前記下流側EGR弁の開弁により前記吸気通路に導入されるEGRガスを含むガスに前記第2所定時期に前記燃料噴射弁から噴射された燃料を合流させるように関係付けられている、請求項7に記載のエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−184711(P2012−184711A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48271(P2011−48271)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】