説明

カンナビノイドレセプターリガンド

【課題】カンナビノイドレセプターリガンドとして有用であり、抗炎症性活性および/または免疫調節活性を有し得、そして種々の医学的状態の処置において有用であり得る化合物を提供すること。
【解決手段】式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物であって、式中、nは0〜4であり、pは0〜4であり、qは0〜5であり、X、Y、Z、R、R、L、L、M、Mはそれぞれ明細書中に定義されるとおりである、化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年3月20日に出願された米国仮出願番号60/456,268から優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の分野)
本発明は、カンナビノイド(cannabinoid)レセプターリガンドに関し、より詳細には、カンナビノイド(CB)レセプターに結合する化合物に関する。本発明の化合物は、一般に、抗炎症活性および免疫調節活性を示し、炎症および免疫調節の不全により特徴付けされる状態を治療するのに有用であり得る。処置され得る状態の例としては、慢性関節リウマチ、喘息、アレルギー、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、癌、緑内障、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血および腎炎が挙げられるが、これらに限定されない。本発明はまた、上記化合物を含有する薬学的組成物に関する。
【0003】
カンナビノイドレセプターは、G−タンパク質共役レセプターのスーパーファミリーに属する。それらは、主に神経細胞のCB1レセプターおよび主に末梢のCB2レセプターに分類される。CB1レセプターの効果は、主に、中枢神経系に関連しているのに対して、CB2レセプターは、気道狭窄、免疫調節および炎症に関係した末梢効果を有すると考えられている。このように、選択的CB2レセプター結合剤は、炎症、免疫調節および気道狭窄に関連した疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および消化管の炎症障害、ならびに気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息および気管支炎))を制御する上で、治療有用性を有すると考えられている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
CBレセプターと相互作用し、そして/または、とりわけ、カンナビノイドレセプターに関連した抗炎症活性を有する種々の化合物が開発されたことが報告されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7および特許文献8を参照のこと。
【特許文献1】米国特許第5,338,753号明細書
【特許文献2】米国特許第5,462,960号明細書
【特許文献3】米国特許第5,532,237号明細書
【特許文献4】米国特許第5,925,768号明細書
【特許文献5】米国特許第5,948,777号明細書
【特許文献6】米国特許第5,990,170号明細書
【特許文献7】米国特許第6,013,648号明細書
【特許文献8】米国特許第6,017,919号明細書
【非特許文献1】R.G.Pertwee,Curr.Med.Chem.6(8),(1999),635
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
多くの実施態様では、本発明は、式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を提供する:
【0006】
【化9】

ここで、
nは、0〜4である;
pは、0〜4である;
qは、0〜5である;
Xは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−N(R、−NHC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NO、−NC(=N−CN)NHR、−OCFH、−OCF、−OHおよび−S(O)N(Rからなる群から選択されるが、但し、nが2、3または4のとき、該X部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、−O−シクロアルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、−C(O)R、−N(R、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択されるが、但し:
pが2、3または4のとき、該Y部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;または
pが2のとき、該Y部分は、3個〜7個の環原子の環状環を形成でき、その1個〜2個は、ヘテロ原子であり得る;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、−O−シクロアルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、−N(R、−OCF、−OCFH、−OHおよび−S(O)Rからなる群から選択されるが、但し、qが2、3、4または5のとき、該Z部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される;
は、共有結合、−C(F)−、−(CH(OR))−、−C(O)−、−C(O)N(H)−、−C(=N−OR)−、−C(=NR)−、−C(=N−CN)−、−C(R−、−N(R)−、−N(H)C(O)−、−N(R)S(O)−、−O−、−OC(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択されるが、但し、Lが共有結合のとき、M1は、Aと記したフェニル炭素に直接結合される;
は、共有結合、−C(R−、−C(=N−OR)−、−C(O)−、−C(O)N(H)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(H)C(O)−、−NHS(O)−、−N(R)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択されるが、但し、Lが共有結合のとき、Mは、Mに直接結合される;
は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルである;そして
は、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、−C(O)R、−C(O)OR、−N(Rまたは−S(O)Rである;但し:
i)Mが−N(Rのとき、Lは、共有結合、−CH−、−C(O)−または−S(O)−であり、そしてZは、存在しない;
ii)Mが−C(O)R2または−C(O)ORのとき、Lは、共有結合、−CH−、−NH−または−N(アルキル)−であり、そしてZは、存在しない(すなわち、qは、0である);
iii)Mが−S(O)Rのとき、Lは、共有結合、−CH−、−NH−または−N(アルキル)−であり、そしてZは、存在しない(すなわち、qは、0である);そして
iv)−N(Rおよび−C(R−の2個のR部分は、同一または異なり、そして別個に選択されるか、または−N(Rの2個のRは、それらが結合する窒素と結合して、3個〜7個の環原子を有する複素環を形成し、該複素環は、さらに、1個またはそれ以上のNまたはO原子(例えば、モルホリン、ピペリジンおよびピペラジン)を含有し、ここで、該追加Nは、必要に応じて置換したRであり得る;
ここで、上記定義の該アルコキシ、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルは、非置換、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロゲン、アルコキシ、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−C(O)R、−NC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OCFH、−OCF、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択される。
【0007】
本発明の化合物は、カンナビノイドレセプターリガンドとして有用であり得る。この化合物は、抗炎症性活性および/または免疫調節活性を有し得、そして種々の医学的状態の処置において有用であり得、この医学的状態としては、例えば、皮膚T細胞リンパ腫、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、緑内障、糖尿病、セプシス、ショック、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺形成異常、網膜疾患、強皮症、骨粗しょう症、腎臓虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、突発性線維化肺胞炎、乾癬、移植片拒絶、アトピー性皮膚炎、脈管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、クローン病、炎症性腸疾患、可逆性気道閉塞、成人呼吸促進症候群、ぜん息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または気管支炎が挙げられる。本発明の化合物は、列挙された疾患の1つ以上を処置する際に有用であり得ることが企図される。
【0008】
本発明はさらに、以下を提供する。
(1)式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物:
【化1】

ここで、
nは、0〜4である;
pは、0〜4である;
qは、0〜5である;
Xは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−N(R、−NHC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NO、−NC(=N−CN)NHR、−OCFH、−OCF、−OHおよび−S(O)N(Rからなる群から選択されるが、但し、nが2、3または4のとき、該X部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、−O−シクロアルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、−C(O)R、−N(R、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択されるが、但し:
pが2、3または4のとき、該Y部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;または
pが2のとき、該Y部分は、3個〜7個の環原子の環状環を形成でき、その1個〜2個は、ヘテロ原子であり得る;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、−O−シクロアルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、−N(R、−OCF、−OCFH、−OHおよび−S(O)Rからなる群から選択されるが、但し、qが2、3、4または5のとき、該Z部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される;
は、共有結合、−C(F)−、−(CH(OR))−、−C(O)−、−C(O)N(H)−、−C(=N−OR)−、−C(=NR)−、−C(=N−CN)−、−C(R−、−N(R)−、−N(H)C(O)−、−N(R)S(O)−、−O−、−OC(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択されるが、但し、Lが共有結合のとき、Mは、Aと記したフェニル炭素に直接結合される;
は、共有結合、−C(R−、−C(=N−OR)−、−C(O)−、−C(O)N(H)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(H)C(O)−、−NHS(O)−、−N(R)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択されるが、但し、Lが共有結合のとき、Mは、Mに直接結合される;
は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルである;そして
は、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、−C(O)R、−C(O)OR、−N(Rまたは−S(O)Rである;但し:
i)Mが−N(Rのとき、Lは、共有結合、−CH−、−C(O)−または−S(O)−であり、そしてZは、存在しない;
ii)Mが−C(O)Rまたは−C(O)ORのとき、Lは、共有結合、−CH−、−NH−または−N(アルキル)−であり、そしてZは、存在しない;
iii)Mが−S(O)Rのとき、Lは、共有結合、−CH−、−NH−または−N(アルキル)−であり、そしてZは、存在しない;そして
iv)−N(Rおよび−C(R−の2個のR部分は、同一または異なり、そして別個に選択されるか、または−N(Rの2個のRは、それらが結合する窒素と結合して、3個〜7個の環原子を有する複素環を形成し、該複素環は、さらに、1個またはそれ以上のNまたはO原子を含有し、ここで、該追加Nは、必要に応じて置換したRであり得る;
ここで、上記定義の該アルコキシ、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルは、非置換、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロゲン、−CF、アルコキシ、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−C(O)R、−NC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OCFH、−OCF、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択される、
化合物。
(2)Mが、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルである;そして
が、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(3)Xが、水素、アルコキシ、−CF、ハロアルコキシ、ハロゲン、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(4)Yが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(5)Zが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(6)Rが、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(7)Rが、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(8)Lが、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(9)Lが、共有結合、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(10)Mが、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(11)Mが、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(12)Xが、水素、アルコキシ、−CF、ハロアルコキシ、ハロゲン、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択される;
Yが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
Zが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
が、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される;
が、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される;
が、−C(R−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される;
が、共有結合、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される;
が、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである;
が、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである;
但し:
N(RおよびC(R−の2個のR部分が、同一または異なり、そして別個に選択され、ここで、N(Rの各Rが、それらが結合する窒素と結合して、3個〜7個の環原子を有する複素環を形成する;
ここで、上記定義の該アルコキシ、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルは、非置換、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロゲン、アルコキシ、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−C(O)R、−NC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OCFH、−OCF、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択される、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(13)nが、1である;
Xが、水素および−OHである;
Yが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
が、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される;
が、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される;
が、−C(O)−、−C(R−および−S(O)−からなる群から選択される;
が、共有結合、−C(R−、−C(O)−および−S(O)−からなる群から選択される;
が、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである;
が、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(14)nが、1である;
Xが、水素および−OHである;
Yが、水素、アルコキシ、アルキル、−C(O)OR、シクロアルキル、−CF、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zが、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、ハロゲン、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
が、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される;
が、水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される;
およびLが、同一または異なり、そして別個に、−C(R−または−S(O)−である;
が、アリールまたはヘテロアリールである;そして
が、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである、項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
(15)式IIを有する項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化2】

ここで、
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択されるが、但し、pが2のとき、該Y部分は、3個〜7個の環原子の環状環を形成でき、その1個〜2個は、ヘテロ原子であり得る;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される;
は、共有結合、−C(R−または−S(O)−である;
は、アリール、インドリル、オキサビシクロヘプテニルまたはフラニルである;そして
は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである、
化合物。
(16)式IIを有する項目15に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩であって、ここで、R、L、M、M、YおよびZは、以下の表で示したとおりである:
【化3−1】

【化3−2】

【化3−3】

【化3−4】

【化3−5】

【化3−6】

【化3−7】

(17)式IIIを有する項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化4】

ここで、
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、シクロアルキル、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zは、水素、アルキル、−CF、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;および
は、アリールまたはヘテロアリールである、
化合物。
(18)式IVを有する項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化5】

ここで、
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−OCFからなる群から選択される;
Zは、水素、アルキル、−CF、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;および
は、アリールまたはヘテロアリールである、
化合物。
(19)式Vを有する項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化6】

ここで、
Zは、水素、−CF、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;および
は、アリールまたはヘテロアリールである、
化合物。
(20)式VIを有する項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化7】

ここで、
は、アリールまたはヘテロアリールである;および
Zは、水素、アルキル、ハロゲン、−CF、−N(R、−OHおよび−OCFからなる群から選択される、
化合物。
(21)次式を有する項目1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化8】

(22)有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能な担体を含有する、医薬組成物。
(23)有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能な担体を含有する、医薬組成物。
(24)癌、炎症性疾患、免疫調節性疾患または呼吸疾患を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に、有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(25)癌、炎症性疾患、免疫調節性疾患または呼吸疾患を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に、有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(26)皮膚T細胞リンパ腫、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、緑内障、糖尿病、敗血症、ショック、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成、レチナール病、強皮症、骨粗鬆症、腎臓虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化アベオリフィス、乾癬、移植片拒絶、アトピー性皮膚炎、血管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、クローン病、炎症性腸疾患、可逆的気道閉塞、成人呼吸困難症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または気管支炎を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に、有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(27)皮膚T細胞リンパ腫、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、緑内障、糖尿病、敗血症、ショック、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成、レチナール病、強皮症、骨粗鬆症、腎臓虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化アベオリフィス、乾癬、移植片拒絶、アトピー性皮膚炎、血管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、クローン病、炎症性腸疾患、可逆的気道閉塞、成人呼吸困難症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または気管支炎を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に、有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(28)前記病気または疾患が、関節リウマチ、多発性硬化症、季節性アレルギー性鼻炎、乾癬、移植片拒絶および慢性閉塞性肺疾患から選択される、項目24に記載の方法。
(29)前記病気または疾患が、関節リウマチ、多発性硬化症、季節性アレルギー性鼻炎、乾癬、移植片拒絶および慢性閉塞性肺疾患から選択される、項目25に記載の方法。
(30)医薬組成物を製造する方法であって、項目1に記載の少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを混ぜ合わせる工程を包含する、方法。
(31)医薬組成物を製造する方法であって、項目16に記載の少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを混ぜ合わせる工程を包含する、方法。
(32)関節リウマチを治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または関節リウマチの治療に他の種類の化合物から選択される化合物と組合わせて、有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(33)関節リウマチを治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または関節リウマチの治療に必要とされる他の種類の化合物から選択される化合物と組合わせて、有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(34)前記COX−2阻害剤が、CelebrexまたはVioxxであり、前記COX−1阻害剤が、Feldeneであり、前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目32に記載の方法。
(35)前記COX−2阻害剤が、CelebrexまたはVioxxであり、前記COX−1阻害剤が、Feldeneであり、前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目33に記載の方法。
(36)関節リウマチを治療する組成物であって、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または関節リウマチの治療に必要とされる他の種類の化合物からなる群から選択される化合物および有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、組成物。
(37)関節リウマチを治療する組成物であって、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または関節リウマチの治療に必要とされる他の種類の化合物からなる群から選択される化合物および有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、組成物。
(38)前記COX−2阻害剤が、CelebrexまたはVioxxであり、前記COX−1阻害剤が、Feldeneであり、前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目36に記載の組成物。
(39)前記COX−2阻害剤が、CelebrexまたはVioxxであり、前記COX−1阻害剤が、Feldeneであり、前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目37に記載の組成物。
(40)多発性硬化症を治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、Avonex、Betaseron、Copaxoneまたは多発性硬化症の治療に必要とされる他の種類の化合物から選択される化合物と組合わせて、有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(41)多発性硬化症を治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、Avonex、Betaseron、Copaxoneまたは多発性硬化症の治療に必要とされる他の種類の化合物から選択される化合物と組合わせて、有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(42)多発性硬化症を治療する組成物であって、Avonex、Betaseron、Copaxoneまたは多発性硬化症の治療に必要とされる他の種類の化合物から選択される化合物および有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、組成物。
(43)多発性硬化症を治療する組成物であって、Avonex、Betaseron、Copaxoneまたは多発性硬化症の治療に必要とされる他の種類の化合物から選択される化合物および有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、組成物。
(44)乾癬を治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または乾癬の治療に必要とされる他の種類の化合物からなる群から選択される化合物と組合わせて、有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(45)乾癬を治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または乾癬の治療に必要とされる他の種類の化合物からなる群から選択される化合物と組合わせて、有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(46)前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目44に記載の方法。
(47)前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目45に記載の方法。
(48)乾癬を治療する組成物であって、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または乾癬の治療に必要とされる他の種類の化合物からなる群から選択される化合物および有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、組成物。
(49)乾癬を治療する組成物であって、免疫抑制剤、ステロイド、抗−TNF−α化合物または乾癬の治療に必要とされる他の種類の化合物からなる群から選択される化合物および有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、組成物。
(50)前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目48に記載の組成物。
(51)前記免疫抑制剤が、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサラジンまたはシクロスポリンであり、前記ステロイドが、β−メタゾンであり、そして前記抗−TNF−α化合物が、EnbrelまたはRemicadeである、項目49に記載の組成物。
(52)季節性アレルギー性鼻炎および/または喘息を治療する方法であって、少なくとも1種のH1アンタゴニストと組合わせて、有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(53)季節性アレルギー性鼻炎および/または喘息を治療する方法であって、少なくとも1種のH1アンタゴニストと組合わせて、有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(54)季節性アレルギー性鼻炎および/または喘息を治療する組成物であって、有効量のH1アンタゴニストおよび有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、組成物。
(55)季節性アレルギー性鼻炎および/または喘息を治療する組成物であって、有効量のH1アンタゴニストおよび有効量の項目16に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、組成物。
(56)前記H1アンタゴニストが、Claritin、Clarinex、ZyrtecおよびAllegraから選択される、項目54に記載の組成物。
(57)前記H1アンタゴニストが、Claritin、Clarinex、ZyrtecおよびAllegraから選択される、項目55に記載の組成物。
【0009】
(詳細な説明)
一実施形態において、本発明は、構造式Iで表されるカンナビノイドレセプターリガンド、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、この式中、種々の部分は上記のとおりである。
【0010】
式Iの化合物の好ましい実施態様では、
は、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルである;そして
は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0011】
他の好ましい実施態様では、Xは、水素、アルコキシ、−CF、ハロアルコキシ、ハロゲン、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択される。
【0012】
他の好ましい実施態様では、Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される。
【0013】
他の好ましい実施態様では、Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される。
【0014】
他の好ましい実施態様では、Rは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される。
【0015】
他の好ましい実施態様では、Rは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。
【0016】
他の好ましい実施態様では、Lは、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される。
【0017】
他の好ましい実施態様では、Lは、共有結合、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される。
【0018】
他の好ましい実施態様では、Mは、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0019】
他の好ましい実施態様では、Mは、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0020】
好ましい追加実施態様では、nは、1である。
【0021】
好ましい追加実施態様では、Xは、水素および/または−OHである。
【0022】
好ましい追加実施態様では、Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される。
【0023】
好ましい追加実施態様では、Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される。
【0024】
好ましい追加実施態様では、Rは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される。
【0025】
好ましい追加実施態様では、Rは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0026】
好ましい追加実施態様では、Lは、−C(O)−、−C(R−および−S(O)−からなる群から選択される。
【0027】
好ましい追加実施態様では、Lは、共有結合、−C(R−、−C(O)−および−S(O)−からなる群から選択される。
【0028】
好ましい追加実施態様では、Mは、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0029】
好ましい追加実施態様では、Mは、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0030】
さらに好ましい追加実施態様では、nは、1である。
【0031】
さらに好ましい追加実施態様では、Xは、水素および/または−OHである。
【0032】
さらに好ましい追加実施態様では、Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−C(O)OR、シクロアルキル、−CF、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される。
【0033】
さらに好ましい追加実施態様では、Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、ハロゲン、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される。
【0034】
さらに好ましい追加実施態様では、Rは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される。
【0035】
さらに好ましい追加実施態様では、Rは、水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0036】
さらに好ましい追加実施態様では、LおよびLは、同一または異なり、そして別個に、−C(R−または−S(O)−である。
【0037】
さらに好ましい追加実施態様では、Mは、アリールまたはヘテロアリールである。
【0038】
さらに好ましい追加実施態様では、Mは、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0039】
好ましい実施態様の化合物は、構造式Iまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を有し、ここで、
Xは、水素、アルコキシ、−CF、ハロアルコキシ、ハロゲン、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択される;
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される;
が、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される。
【0040】
は、共有結合、−C(R−、−N(R)S(O)−、−N(R)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択される。
【0041】
は、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである;
は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである;
但し、−N(Rおよび−C(R−の2個のR部分は、同一または異なり、そして別個に選択されるか、または−N(Rの各Rは、それらが結合する窒素と結合して、3個〜7個の環原子を有する複素環を形成する;
ここで、上記定義の該アルコキシ、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルは、非置換、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロゲン、アルコキシ、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−C(O)R、−NC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OCFH、−OCF、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択される。
【0042】
他の好ましい実施態様の化合物は、構造式Iまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を有し、ここで、
nは、1である;
Xは、−OHである;
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−C(O)OR、シクロアルキル、−CF、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、ハロゲン、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される;
は、−C(O)−、−C(R−および−S(O)−からなる群から選択される;
は、共有結合、−C(R−、−C(O)−および−S(O)−からなる群から選択される;
は、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである;
は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0043】
他の好ましい実施態様の化合物は、構造式Iまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を有し、ここで、
nは、1である;
Xは、−OHである;
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−C(O)OR、シクロアルキル、−CF、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、ハロゲン、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される;
およびLは、同一または異なり、そして別個に、−C(R−または−S(O)−である;
は、アリールまたはヘテロアリールである;そして
は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0044】
他の好ましい実施態様の化合物は、構造式IIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する:
【0045】
【化10】

ここで、
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、シクロアルキル、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、−C(O)OR、ハロゲン、ヘテロシクリル、−N(R、−OCF、−O−シクロアルキルおよび−OHからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される;
は、共有結合、−C(R−または−S(O)−である;
は、アリール、インドリルまたはフラニルである;そして
は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。
【0046】
上記式IIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩の好ましい追加実施態様は、以下で示し、ここで、R、L、M、M、YおよびZは、以下の表で示したとおりである:
【0047】
【化11−1】

【0048】
【化11−2】

【0049】
【化11−3】

【0050】
【化11−4】

【0051】
【化11−5】

【0052】
【化11−6】

【0053】
【化11−7】

好ましい追加実施態様は、式IIIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩により表わされる:
【0054】
【化12】

ここで、
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、−CF、シクロアルキル、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;
Zは、水素、アルキル、−CF、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;および
は、アリールまたはヘテロアリールである。
【0055】
好ましい追加実施態様は、式IVまたはそれらの薬学的に受容可能な塩により表わされる:
【0056】
【化13】

ここで、
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキルおよび−OCFからなる群から選択される;
Zは、水素、アルキル、−CF、ハロゲン、−N(R、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;および
は、アリールまたはヘテロアリールである。
【0057】
好ましい追加実施態様は、式Vまたはそれらの薬学的に受容可能な塩により表わされる:
【0058】
【化14】

ここで、
Zは、水素、−CF、ハロゲン、−OCFおよび−OHからなる群から選択される;および
は、アリールまたはヘテロアリールである。
【0059】
好ましい追加実施態様は、式VIまたはそれらの薬学的に受容可能な塩により表わされる:
【0060】
【化15】

ここで、
は、アリールまたはヘテロアリールである;および
Zは、水素、アルキル、ハロゲン、−CF、−N(R、−OHおよび−OCFからなる群から選択される。
【0061】
さらに好ましい追加実施態様は、以下の式により表わされる:
【0062】
【化16】

上記に使用される場合、および本開示を通して、以下の用語は、そうでないことが示されない限り、以下の意味を有するものと理解される。
【0063】
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0064】
「哺乳類」は、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0065】
「アルキル」は、脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖状または分枝状であり得、その鎖の中に、約1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約12個の炭素原子を含有する。より好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約6個の炭素原子を含有する。分枝状とは、直鎖状のアルキル鎖に、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が結合されていることを意味する。「低級アルキル」は、その鎖内に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖状または分枝状であり得る。用語「置換アルキル」は、そのアルキル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、置換基は同一であっても異なってもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)−NH(アルキル)、カルボキシ、および−C(O)O−アルキルからなる群より独立して選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0066】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖状であっても分枝状であってもよく、そしてその鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、その鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有し;そしてより好ましくは、その鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、および3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」は、そのアルキニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0067】
「アルキレン」とは、上で定義されたアルキル基から1つの水素原子を除去するによって得られる、二官能性基を意味する。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレン、およびプロピレンが挙げられる。
【0068】
「アリール」とは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。アリール基は、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0069】
「ヘテロアリール」とは、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、これらの環原子のうちの1つ以上は、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。ヘテロアリールの語根の前に付く接頭後アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、チロアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0070】
「ヘテロアリール」はまた、互変異性体(例えば、
【0071】
【化17】

)を含む。
【0072】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、この中で、アリールおよびアルキルは先に定義された通りである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する結合である。
【0073】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール基を意味し、この中でアルキルおよびアリールは、先に定義された通りである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する結合である。
【0074】
「シクロアルキル」とは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、上記で定義されるとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。「シクロアルケニル」とは、非芳香族の単環式または多環式環系を意味し、これは、3個〜10個の炭素原子、好ましくは、5個〜10個の炭素原子を含み、そして少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する。シクロアルケニルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」(これは、同一または異なり、そして上で定義したとおりである)で置換できる。
【0075】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭素が好ましく、そしてフッ素および塩素がより好ましい。
【0076】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得、各々は、別個に、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、各々は、別個に、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択される。「環系置換基」とは、また、3個〜7個の環原子(その1個〜2個は、ヘテロ原子であり得る)がアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニル環上の2個の環水素原子を同時に置換することにより該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニル環に結合した環状環を意味する。非限定的な例には、以下が挙げられる:
【0077】
【化18】

など。
【0078】
「ヘテロシクレニル」とは、非芳香族の単環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の環原子(好ましくは、約5個〜約10個の環原子)を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せであり、そして少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含有する。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は、約5個〜約6個の環原子を有する。そのヘテロシクレニル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語とは、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。このヘテロシクレニルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環系置換基で置換でき、ここで、「環系置換基」は、上で定義したとおりである。このヘテロシクレニルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適当な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例には、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適当なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例には、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適当な多環式オキサヘテロシクレニル基の非限定的な例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]へプテニルである。適当な単環式チアヘテロシクレニル環の非限定的な例には、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0079】
「ヘテロシクリル」(または「複素環」)とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクリル環は、約5個〜約6個の環原子を含有する。そのヘテロシクリル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語とは、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。このヘテロシクリルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」(これは、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである)で置換できる。このヘテロシクリルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適当な一環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。
【0080】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、およびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介する結合である。
【0081】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル基を意味し、ここで、アルキルは、上記の通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0082】
「アシル」は、H−C(O)基、アルキル−C(O)基、またはシクロアルキル−C(O)基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する結合である。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、およびプロパノイルが挙げられる。
【0083】
「アロイル」は、アリール−C(O)基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する結合である。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0084】
「アルコキシ」は、アルキル−O基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、およびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する結合である。
【0085】
「アリールオキシ」は、アリール−O基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する結合である。
【0086】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシまたは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する結合である。
【0087】
「アルキルチオ」は、アルキル−S基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介する結合である。
【0088】
「アリールチオ」は、アリール−S基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介する結合である。
【0089】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介する結合である。
【0090】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、このカルボニルを通してである。
【0091】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、このカルボニルを通してである。
【0092】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、このカルボニルを通してである。
【0093】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分に対する結合は、このスルホニルを通してである。
【0094】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、このスルホニルを通してである。
【0095】
「ハロゲン化アルキル」または「ハロアルキル」は、1以上のハロゲン原子を有するアルキルを意味する。
【0096】
「ヘテロアルキル」は、1〜12個の炭素原子、ならびにN、OおよびSからなる群から独立して選択される1以上のヘテロ原子から構成される、直鎖または分枝鎖のアルキル鎖を意味する。
【0097】
用語「置換(された)」は、既存の環境下での指定された原子の通常の原子価を超えない条件で、指定された原子上の1以上の水素が、示した基からの選択物で置換されており、そしてこの置換が、適切な化合物をもたらすことを意味する。置換基および/または可変基の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」によって、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および有効な治療剤への処方に耐えるに充分に頑丈である化合物が意味される。
【0098】
用語「必要に応じて置換された」とは、指定した基、ラジカルまたは部分による、必要に応じた置換を意味する。
【0099】
本明細書中の本文、式、実施例および表における、満たされていない原子価を有する任意のヘテロ原子が、その原子価を満たすために水素原子を有すとみなされることにもまた留意すべきである。
【0100】
化合物中の官能基が、「保護された」と称される場合、これは、この基が、この化合物を反応に供する場合に、この保護された部位での望ましくない副反応を防止するために改変形態にあることを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに標準的な教科書(例えば、T.W.Greeneら,Protective Groups in organic Synthesis(1991)、Wiley,New York;その内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照することによって、認識される
任意の可変基(例えば、アリール、複素環、Rなど)が任意の構成成分または式I、II、III、IV、VまたはVI中に1回より多く出現する場合、各出現について、その定義は、あらゆる他の出現におけるその定義とは独立する。
【0101】
一般注意事項として、本願での化学構造において満たされていない原子価を有する任意の開放端窒素原子は、NH、または末端窒素の場合、−NH−で表わす。同様に、本願での化学構造において満たされていない原子価を有する任意の開放端酸素原子は、−OHで表わし、また、満たされていない原子価を有する任意の開放端炭素原子は、適当には、−Hで満たされる。
【0102】
本明細書中で用いられる場合、用語「組成物」は、指定量の指定成分を含む生成物、ならびに直接的または間接的に、指定量の指定成分の組み合わせに由来する任意の生成物を包含することを意図する。
【0103】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で意図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で用いられる場合、被験体へと投与された際に、代謝プロセスまたは化学的プロセスによって化学転換を受けて式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる、薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの考察は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design(1987)Edward B.Roche編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは両方とも、本明細書中に参考として援用される。
【0104】
「溶媒和物」は、本発明の化合物と1以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を包含する。特定の例では、この溶媒和物は、例えば、結晶固体の結晶格子中に1以上の溶媒分子が組み込まれた場合、単離され得る。「溶媒和物」は、液相溶媒和物および単離可能溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0105】
「有効量」または「治療有効量」は、CDKを阻害する際に有効な、従って、所望の治療効果、改善効果、阻害効果または予防効果を生じる、本発明の化合物または組成物の量を記載することを意味する。
【0106】
式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物は、本発明の範囲内である塩を形成できる。本明細書中での式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物の言及は、他に指示がなければ、それらの塩の言及を含むことが分かる。「塩」との用語は、本明細書中で使用するとき、無機酸および/または有機酸で形成された酸性塩だけでなく、無機塩基および/または有機塩基で形成された塩基性塩基を意味する。それに加えて、式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾール(これらに限定されないが))または酸性部分(例えば、カルボン酸(これに限定されないが))の両方を含有するとき、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する「塩」との用語に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学的に受容可能な)塩が好ましいものの、他の塩もまた、有用である。式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物の塩は、例えば、式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかの化合物を、この塩が沈殿する媒体または水性媒体中にて、一定量(例えば、当量)の酸または塩基と反応させることに続いて、凍結乾燥することにより、形成され得る。
【0107】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(これはまた、トシレートとしても知られている)などが挙げられる。さらに、塩基性医薬品化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適当と一般に考えられている酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1) 1〜19;P.Gould,Intemational J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびin The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.on their website)で論述されている。これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0108】
代表的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)を備えた塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸を備えた塩(例えば、アルギニン、リシンなど))が挙げられる。塩基性窒素含有基は、以下のような試薬で四級化され得る:低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチルおよびジブチルおよび)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)など。
【0109】
このような酸塩および塩基塩の全ては、本発明の範囲内で、薬学的に受容可能な塩であると解釈され、全ての酸塩および塩基塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形状と等価であると考えられる。
【0110】
式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物、その塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性形状(例えば、アミドまたはイミノエーテル)の形状で存在し得る。このような互変異性形状の全ては、本明細書中では、本発明の一部であると考慮される。
【0111】
本発明の化合物の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物の立体異性体を包含する)(例えば、種々の置換基における不斉炭素に起因して存在し得る立体異性体(鏡像異性体形態(これは、不斉炭素の不存在下で等しく存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体、およびジアステレオ異性体形態を包含する))は、本発明の範囲内で意図され、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)も同様である。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてもよく、あるいは例えば、ラセミ化合物として、または他の全ての立体異性体もしくは他の選択された立体異性体と混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるとおりのS配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの、塩、溶媒和物およびプロドラッグに等しく適用されることが意図される。
【0112】
本発明の化合物は、カンナビノイドレセプターリガンドとして有用であり得る。この化合物は、抗炎症および/または免疫調節活性を有し得、そして種々の医学的状態において処置において有用であり得る。このような医学的状態としては、例えば、以下が挙げられる:皮膚T細胞リンパ腫、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、緑内障、糖尿病、敗血症、ショック、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺形成異常、網膜疾患、強皮症、骨粗鬆症、腎臓虚血、心筋梗塞、大脳発作、大脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化肺胞炎(cryptogenic fibrosing
aveolitis)、乾癬、移植拒絶、アトピー性皮膚炎、脈管炎、アレルギー、季節性アレルギー鼻炎、クローン病、炎症性腸疾患、可逆性気道閉塞、成人呼吸促進症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または気管支炎。本発明の化合物が、列挙された疾患のうちの1以上の処置において有用であり得ることが意図される。
【0113】
さらに、本発明の化合物は、疾患改変抗リウマチ性薬物(DMARDS)(例えば、メトトレキサート、アザチオプリン、レフルノミド、ペニシラミン(pencillinamine)、金塩、ミコフェノレートモフェチル(mycophenolate mofetil)、シクロホスファミドおよび他の同様の薬物)と共投与されても、またはこれらと組み合わせて用いられてもよい。これらはまた、以下と共投与されても、またはこれらと組み合わせて用いられてもよい:NSAIDS(例えば、ピロキシカム、ナプロキセン、インドメタシン、イブプロフェンなど);COX−2選択的インヒビター(例えば、Vioxx(登録商標)およびCelebrex(登録商標));免疫抑制剤(例えば、ステロイド、シクロスポリン、Tacrolimus、ラパマイシンなど);生物学的応答改変剤(BRM)(例えば、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、IL−1アンタゴニスト、抗CD40、抗CD28、IL−10、抗付着分子など);ならびに他の抗炎症剤(例えば、p38キナーゼインヒビター、PDE4インヒビター、TACEインヒビター、ケモカインレセプターアンタゴニスト、Thalidomideおよび炎症促進性(pro−inflammatory)サイトカイン産生の他の低分子インヒビター。
【0114】
またさらに、本発明の1種またはそれ以上の化合物は、季節性アレルギー鼻炎および/または喘息の処置のための少なくとも1種のH1アンタゴニストと共投与されても、またはこれらと組み合わせて用いられてもよい。適切なH1アンタゴニストは、例えば、Claritin(登録商標)、Clarinex(登録商標)、Allegra(登録商標)またはZyrtec(登録商標)であり得る。
【0115】
別の局面では、本発明は、慢性関節リウマチを処置するための方法を提供し、この方法は、式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかの少なくとも1種の化合物を、COX−2インヒビター(例えば、Celebrex(登録商標)またはVioxx(登録商標));COX−1インヒビター(例えば、Feldene(登録商標));免疫抑制剤(例えば、メトトレキサートまたはシクロスポリン);ステロイド(例えば、β−メタゾン);および抗TNF−α化合物(例えば、Enbrel(登録商標)またはRemicade(登録商標));PDE IVインヒビター、または慢性関節リウマチの処置について示される他のクラスの化合物からなるクラスから選択される少なくとも1種の化合物と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0116】
他の局面では、本発明は、多発性硬化症を治療する方法を提供し、該方法は、Avonex(登録商標)、Betaseron、Copaxone、または多発性硬化症の治療に指定された他の種類の化合物と共に、式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかの少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する。
【0117】
他の局面では、本発明は、治療有効量の式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかの少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能な担体を含有する医薬組成物に関する。
【0118】
なお別の局面では、本発明は、治療有効量の式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかの少なくとも1種の化合物を、COX−2インヒビター、COX−1インヒビター、免疫抑制剤、ステロイド、抗TNF−α化合物または慢性関節リウマチの処置について示される他のクラスの化合物からなるクラスから選択される少なくとも1種の化合物と組み合わせて含む、慢性関節リウマチを処置するための薬学的組成物に関する。
【0119】
なお別の局面では、本発明は、治療有効量の式I、II、III、IV、VまたはVIのいずれかの少なくとも1種の化合物を、Avonex(登録商標)、Betaseron、Copazoneまたは多発性硬化症の処置について示される他の化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と組み合わせて含む、多発性硬化症を処置するための薬学的組成物に関する。
【0120】
本発明の化合物は、抗炎症活性および/または免疫調節活性を示し、例えば、以下を含む種々の病気の治療に有用であり得る:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、緑内障、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、乾癬、アレルギー、肺や消化管の炎症障害(例えば、クローン病)、および気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管支炎)。この有用性は、以下のアッセイでの活性により証明されるように、明らかにされる。
【0121】
潜在的なカンナビノイドレセプター配位子を、組換えカンナビノイドレセプターへの結合について、[H]CP−55,940と競合する性能についてスクリーニングした。試験化合物を、100%DMSO中で調製したストックから、Diluent Buffer(50mM Tris pH 7.1、1mM EDTA、3mM MgCl、0.1%BSA、10%DMSO、0.36%メチルセルロース(Sigma M−6385))で連続希釈した。アリコート(10μl)を、96ウェルマイクロタイタープレートに移した。組換えヒトカンナビノイドCB2レセプター(Receptor Biology#RB−HCB2)または組換えヒトカンナビノイドCB1レセプター(Receptor Biology#RB−HCB1)の膜調製物を、Binding Buffer(50mM Tris pH7.2、1mM EDTA、3mM MgCl、0.1%BSA)中で、0.3mg/mlに希釈した。このマイクロタイタープレートの各ウェルに、アリコート(50μl)を加えた。これらの結合反応は、このマイクロタイタープレートの各ウェルに[H]CP−55,940(New England Nuclear#NET 1051;特異活性=180Ci/mmol)を加えることにより、開始した。各100μl反応混合物は、1%DMSOおよび0.036%メチルセルロースを含有する結合緩衝液中に、0.48nM[H]CP−55,940、15μgの膜タンパク質を含有していた。室温で2時間インキュベーションしたのに続いて、これらの反応物を、TomTec Mark 3U Harvester(Hamden,CT)を備えた0.5%ポリエチレンイミン被覆GF/Cフィルタープレート(UniFilter−96,Packard)で濾過した。このフィルタープレートを、結合緩衝液で5回濾過し、180°回転し、次いで、結合緩衝液で5回再洗浄した。結合放射活性は、Packard TopCount NXTシンチレーションカウンタにて、30μlのPackard Microscint 20シンチラントを添加することにより、定量化した。得られたデータの非線形回帰分析は、Prism 2.0b(GraphPad,San Diego,CA)を使用して、実行した。
【0122】
本発明の化合物は、Ki値(nM)で測定されるCBレセプターに対して、強力な親和性を示す。本発明の化合物の活性(効力)は、それらのKi値を測定することにより、決定される。Ki値が小さくなるほど、その化合物がCBレセプターを変調する活性が高くなる。本発明の化合物は、広範囲の活性を示す。式I、II、III、IV、VまたはVIの1つを有する化合物のCB平均Ki値は、一般に、>0nM(例えば、0.1nM)〜約1000nM、好ましくは、約0.1nM〜約1000nM、さらに好ましくは、約0.1nM〜約100nM、さらにより好ましくは、約0.1〜約20nM、最も好ましくは、約20nM未満の範囲である。優れたCB阻害活性(約20ナノモル(nM)未満のKi値)を示す本発明の代表的な化合物は、以下のとおりである:表1の化合物C、F、G、K、S、AG、AH、AI、AJ、AK、AL、AOおよびAQ。
【0123】
本発明の化合物はまた、CBレセプターを変調することに対して、CBを変調することに非常に選択的である。「選択的モジュレーター」とは、CBレセプターのKiとCBレセプターのKiとの化合物の選択比が約100より大きい、好ましくは、約500より大きい、さらに好ましくは、約1000より大きい、最も好ましくは、約3000より大きいことを意味する。
【0124】
本発明の化合物は、0.1〜1000nMの範囲のCBレセプター結合活性を示すことが発見された。
【0125】
本発明はまた、本発明の式I、II、III、IV、VまたはVIの1種またはそれ以上の化合物と1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な担体とを含有する医薬組成物に関する。式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物は、当業者に公知の任意の通常の投薬形状で、投与できる。式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物を含有する医薬組成物は、通常の薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤および通常の技術を使用して、調製できる。このような薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤には、非毒性で適合性の充填剤、崩壊剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料、増粘剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。あらゆる投与経路が考慮され、これには、非経口、経皮、皮下、筋肉内、舌下、吸入、直腸および局所が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
それゆえ、適当な投与単位形状には、経口形状(例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、カシュ剤、顆粒および溶液または懸濁液、舌下および口内投与形状)、エアロゾル、移植片、皮下、筋肉内、静脈内、鼻内、眼内または直腸投与形状が挙げられる。
【0127】
固形組成物を錠剤形状に調製するとき、例えば、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)が加えられて、式I、II、III、IV、VまたはVIの微粉化または非微粉化化合物を形成し、そして製薬ビヒクル(例えば、シリカ、ゼラチンデンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなど)と混合できる。これらの錠剤は、スクロース、種々の重合体または他の適当な物質で被覆できる。錠剤は、例えば、イオン樹脂を使用することにより、長期活性または遅延活性を有するように、また、所定量の活性成分を連続的または所定間隔で放出するように、処理できる。
【0128】
例えば、この活性成分を希釈剤(例えば、グリコールまたはグリコールエステル)と混合することにより、そして得られた混合物を軟質または硬質ゼラチンカプセルに取り込むことにより、ゼラチンカプセル形状の製剤が得られる。
【0129】
シロップまたはエリキシル剤の形状の製剤は、例えば、甘味料、メチルパラベンおよびプロピルパラベン(消毒薬として)、香料および適当な着色剤と一緒に、この活性成分を含有できる。
【0130】
水分散性粉剤または顆粒は、例えば、甘味料および/または香料だけでなく、分散剤、湿潤剤または懸濁剤(例えば、ポリビニルピロリドン)と混合して、この活性成分を含有できる。
【0131】
直腸投与は、座剤(これは、例えば、直腸温で融ける結合剤(例えば、ココアバターまたはポリエチレングリコール)を使って、調製され得る)により、行われ得る。
【0132】
非経口投与、鼻内投与または眼内投与は、例えば、水性懸濁液、等張性直塩水または滅菌注射可能液(これは、薬理学的に適合性の分散剤および/または可溶化剤(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)を含有する)を使用することにより、行われ得る。
【0133】
それゆえ、静脈注射用の水溶液を調製するには、共溶媒、例えば、アルコール(例えば、エタノールまたはグリコール(例えば、エチレングリコールまたはプロピレングリコール))と親水性界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)80)とを使用することが可能である。筋肉内注射可能な油性溶液は、例えば、この活性成分をトリグリセリドまたはグリセロールエステルで可溶化することにより、調製できる。
【0134】
局所投与は、例えば、クリーム、軟膏またはゲルを使用することにより、行うことができる。
【0135】
経皮投与は、マルチラミネート形状でパッチを使用することにより、またはレザバ(これは、この活性成分および適当な溶媒を含有する)を使って、行うことができる。
【0136】
吸入による投与は、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは任意の他の生体適合性推進剤ガスと共に、例えば、エアロゾル(これは、ソルビタントリオレエートまたはオレイン酸を含有する)を使用することにより、行うことができる;また、この活性成分を単独でまたは粉末形状の賦形剤と共に含有するシステムを使用することも、可能である。
【0137】
この活性成分はまた、必要に応じて、1種またはそれ以上の担体または添加剤と共に、マイクロカプセルまたは小球体(例えば、リポソーム)として、処方できる。
【0138】
移植片は、長期にわたる治療の場合に使用できる長期放出形状に入る。それらは、油性懸濁液の形状または等張媒体中の小球体の懸濁液の形状で、調製できる。
【0139】
上で挙げた疾患または病気を治療するための式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物の毎日用量は、約0.001〜約100mg/体重1kg/日、好ましくは、約0.001〜約10mg/体重1kg/日である。70kgの平均体重には、従って、その投薬レベルは、約0.1〜約700mgの薬剤/日であり、これは、単一用量または2〜4回の分割用量で与えられる。しかしながら、その正確な用量は、臨床医により決定され、また、投与する化合物の効力、患者の年齢、体重、健康状態および応答に依存している。
【0140】
本発明の化合物は、本明細書中の上記疾患緩和抗リウマチ薬と併用でき、このような薬剤の投与および投薬量は、the Physicians Desk Reference(PDR)だけでなく、当該技術分野で周知の治療プロトコルにて、認可された薬剤の製品情報シートで列挙された投薬および投与スケジュールに従ってなされる。
【0141】
本発明の化合物は、本明細書中の上記H1アンタゴニストと併用でき、このような薬剤の投与および投薬量は、the Physicians Desk Reference(PDR)だけでなく、当該技術分野で周知の治療プロトコルにて、認可された薬剤の製品情報シートで列挙された投薬および投与スケジュールに従ってなされる。
【0142】
本発明の化合物は、本明細書中の上記多発性硬化症の治療で有用な化合物と併用でき、このような薬剤の投与および投薬量は、the Physicians Desk Reference(PDR)だけでなく、当該技術分野で周知の治療プロトコルにて、認可された薬剤の製品情報シートで列挙された投薬および投与スケジュールに従ってなされる。
【0143】
本発明の化合物は、本明細書中の上記乾癬の治療で有用な化合物と併用でき、このような薬剤の投与および投薬量は、the Physicians Desk Reference(PDR)だけでなく、当該技術分野で周知の治療プロトコルにて、認可された薬剤の製品情報シートで列挙された投薬および投与スケジュールに従ってなされる。
【0144】
本発明の化合物と併用される薬剤の投与は、治療する疾患およびその疾患に対する薬剤の公知の効果に依存して変えることができることが明らかである。また、熟練した臨床医の知見に従って、これらの治療プロトコル(例えば、投薬量および投与時間)は、投与した薬剤の患者に対する実際の効果を考慮して、また、投与した薬剤に対する疾患の実際の応答を考慮して、変えることができる。
【0145】
本発明の化合物は、一般に、当該技術分野で公知のプロセス(例えば、下記のプロセス)により、調製される。
【0146】
以下の略号が、手順およびスキームにおいて用いられる:水性(aq.)、無水(anhyd)、n−ブチル(n−Bu)、第三級ブチルリチウム(t−BuLi)、ナトリウムt−ブトキシド(NaOBu)、n−ブチルリチウム(n−BuLi)、濃縮した(conc.)、ジエチルエーテル(EtO)、日数(d)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDCl)、ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノール(EtOH)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、時間(h)、脱離基(LG)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、メタンスルホニルクロリド(MsCl)、メタノール(MeOH)、パラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)(Pd(dba))、分(min)、メチル(Me)、メチルリチウム(MeLi)、モル濃度(1リットルあたりのモル、M)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、規定(N)、1平方インチあたりのポンド(psi)、分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、室温(rt)、飽和塩化ナトリウム溶液(ブライン)、ミリリットル(mL)、ミリモル(すなわち、0.001mole;mmol)、ミリグラム(mg)、シリカゲルクロマトグラフィー(sgc)、2−(tert−ブトキシカルボニルオキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル(BOC−ON)、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)、およびテトラヒドロフラン(THF)。代表的な後処理手順では、反応混合物を適切な溶媒(例えば、EtOAc、EtO、またはCHCl)で希釈し、そして適切な酸性水溶液、塩基性水溶液、または中性水溶液で順次洗浄する。有機溶液を分離され、適切な乾燥剤(例えば、MgSOまたはNaSO)で乾燥され、濾過され、そして溶媒をエバポレーションによって除去される。
【0147】
(方法の一般的な説明)
式Iの化合物は、好ましくは、以下の反応スキームで示したようにして、調製され得る。それらは、好ましくは、以下の反応スキームで示したようにして、調製される。これらの反応スキームでは、変数は、上で定義したとおりである。
【0148】
(一般的スキーム1)
=−CH−、−C(O)−、−C=NOR−でありL=−S(O)−、−CH−、−C(O)−である化合物について、
【0149】
【化19】

が−CH−、−C(O)−、−C=NOR−の1つであり、そしてLが−S(O)−、−CH−、−C(O)−の1つである化合物は、スキーム1で示したようにして、製造できる。
【0150】
(一般的スキーム1)
工程1では、式1のアルデヒドは、不活性有機溶媒(例えば、THFまたはDME)中で、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミンの存在下にて、塩基(例えば、LDA)で処理されて、オルトアニオンおよび式2の求電子試薬が生成し、ここで、FGは、官能基(例えば、フッ化スルホニル、ジスルフィド、酸塩化物、臭化アルキルまたはアルデヒド)の1種である。好ましくは、その反応温度は、−70℃〜0℃の範囲である。この生成物は、シリカゲルクロマトグラフィーで精製される。工程2では、式4の臭化アリールは、不活性溶媒(例えば、THFまたはエーテル)中にて、−78℃〜40℃の範囲の低温で、塩基(例えば、n−BuLiまたはt−BuLi)でハロゲン金属交換を受け、そしてアルデヒド3で処理されて、式5の中間体が得られる。工程3では、中間体5は、トリフルオロ酢酸の存在下にて、トリエチルシランで還元されて、式6の標的化合物が得られる。さらに、中間体5は、塩化メチレン中にて、例えば、PCCで酸化でき、一般式7の他の標的化合物が得られる。(過剰の)ピリジン中にて、7をO−アルキル化ヒドロキシアミンで処理すると、8が生成する。
【0151】
(一般的スキーム2)
=−S(O)−であり、そしてL=−CH−、−C(O)−、−S(O)−である化合物について、
【0152】
【化20】

が−S(O)−であり、そしてLが−S(O)−、−CH−または−C(O)−の1つである化合物は、スキーム2で示したようにして、製造できる。
【0153】
(一般的スキーム2)
工程1では、ハロゲン化アリール9は、不活性有機溶媒(例えば、THFまたはDME)中にて、−78℃で、アルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム)で処理される:次いで、得られたアルキルリチウムは、フッ化スルホニル(i)で処理されて、スルホン生成物11が得られる。あるいは、このアリールリチウムは、工程1aで示したようにして、ジスルフィド(ii)で処理されて、スルフィド10が得られ、これは、次いで、試薬(例えば、mCPBA(工程1b))で酸化されて、生成物11が得られる。工程2では、生成物11は、アルキルリチウム(例えば、n−BuLiまたはt−BuLi)で処理され、得られた11の有機アニオンは、フッ化スルホニル(iii)でクエンチされて、標的分子12が得られる。化合物12はまた、工程1aで示したようにして、11のオルトアニオンをジスルフィド(iv)で処理することに続いて得られたスルフィド13をmCPBAで酸化することにより、調製できる。さらに、このオルトアニオンは、アルデヒドでクエンチでき、アルコール16が得られる(工程3)。工程4では、アルコール16は、標的14に酸化できる。アルコール16の還元形状である化合物15は、工程5で示したようにして、強酸(例えば、トリフルオロ酢酸)の存在下にて、還元剤(例えば、トリエチルシラン)を使用することにより、得ることができる。
【0154】
が−S(O)−であり、そしてLが−S(O)−である化合物は、スキーム3で示したようにして、製造される。
【0155】
(一般的スキーム3)
およびL=−S(O)−である化合物
【0156】
【化21】

(一般的スキーム3)
工程1では、出発物質17は、塩基(例えば、BuLi、NaHまたはCsCO)に続いて化合物18で処理され、ここで、LGは、脱離基(例えば、フッ化物)である。生成物19は、低温(例えば、−100℃〜−78℃)で、不活性溶媒(例えば、THFまたはDME)中にて、アルキルリチウム(n−BuLiまたはt−BuLi)で処理され、そしてフッ化スルホニル20でクエンチされて、標的化合物21が得られる。あるいは、ジスルフィド24は、このアニオンをクエンチするのに使用され、それにより、化合物25が得られる。次いで、化合物25は、酸化剤(例えば、mCPBA)で、標的21に酸化される。標的21にアクセスする他の経路は、19のアニオンをSOでクエンチする工程および得られたスルホン酸のリチウム塩を塩化剤(例えば、N−クロロスクシンイミド)で処理して、それにより、塩化スルホニルを形成する工程を包含し、この塩化スルホニルは、対応するフッ化物22に変換される。次いで、化合物22は、アリールリチウム試薬(これは、−78℃で、23をアルキルリチウムと反応させることにより、形成される)と反応されて、標的21が得られる。
【0157】
(一般的スキーム4)
【0158】
【化22】

(ジヒドロフラン化合物の調製:一般的スキーム4)
工程1では、1,2,4−ジブロモフェノール26およびジブロモエタンは、適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、ジクロロエタンまたはトルエン)に溶解される。塩基として、NaOH水溶液が使用される。その反応混合物を、相転移触媒(例えば、硫酸テトラブチルアンモニウム水素、塩化メチル−n−ブチルアンモニウムまたは水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム)の存在下にて、0℃と100℃の間で、0.5〜48時間攪拌される。その生成物は、シリカゲルクロマトグラフィーまたは結晶化により、精製され得る。
【0159】
工程2では、工程1の生成物(27)は、THFまたはエーテルに溶解され、そして−100℃で、塩基(例えば、n−BuLi)で処理される。攪拌した後、この反応混合物は、−78℃で、n−BuLiの他の部分で処理される。得られたアニオンは、一般的スキームIで調製されたフッ化スルホニル化合物28で捕捉される。その生成物は、クロマトグラフィーまたは結晶化により、精製できる。
【0160】
工程3では、工程2の生成物(29)は、THFに溶解され、そして−78℃で、塩基(例えば、n−BuLi)で処理されて、ジアニオンが形成され、これは、適当な求電子試薬(例えば、iii/iv)で捕捉される。その反応混合物は、適当なプロトン源(例えば、NHCl水溶液またはリン酸緩衝液)でクエンチされ、次いで、EtOAcで抽出される。生成物30は、シリカゲルクロマトグラフィーまたは結晶化により、精製され得る。
【0161】
(一般的スキーム5)
【0162】
【化23】

(一般的スキーム5)
工程1では、1,1,2−トリクロロエタン31、置換チオフェノール32、1N NaOHおよび相転移触媒(例えば、Aliquat 336、硫酸テトラブチルアンモニウム水素)の混合物は、4日間攪拌される。次いで、この混合物は、酸化剤(例えば、HまたはmCPBA)および触媒量のモリブデン酸アンモニウムで処理される。次いで、その反応物は、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、塩化メチレンまたはエーテル)で希釈される。その有機相は、水およびブラインで洗浄され、そして乾燥される。生成物33は、シリカゲルクロマトグラフィーで単離される。
【0163】
工程2では、生成物33は、0℃〜15℃で、塩化メチレンに溶解され、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはDBU)で処理される。1時間攪拌した後、その反応物は、水およびブラインで洗浄される。生成物34は、シリカゲルクロマトグラフィーで単離される。
【0164】
工程3では、チオール35は、溶媒(例えば、THFまたはエーテル)に溶解され、0℃まで冷却され、そして塩基(例えば、水素化ナトリウム)で処理される。10〜30分間攪拌した後、化合物34は、THFまたはエーテル溶液として加えられ、得られた混合物は、室温まで温められ、その反応物は、10時間攪拌される。この反応物は、水でクエンチされ、そしてワークアップされる。この生成物は、シリカゲルクロマトグラフィーで単離されて、生成物36が得られる。
【0165】
工程4では、生成物36は、氷酢酸に溶解され、そして40〜60℃で、酸化剤(例えば、過酸化水素)で処理され、そして3時間攪拌される。その反応物は、冷却され、そして有機溶媒(例えば、酢酸エチル、塩化メチレンまたはエーテル)で希釈され、そしてワークアップされる。生成物37は、白色固形物として、エーテルから再結晶される。
【0166】
工程5では、生成物37は、CHClに再溶解され、そして双極子またはジエンで処理されて、それぞれ、環化付加生成物38および39が得られる。
【0167】
当業者は、上記スキームで記述されたものと類似の反応が式1の他の化合物で実行され得ることを理解する。上記プロセスの出発物質は、市販されているか、当該技術分野で公知であるか、または当該技術分野で周知の手順で調製される。以下の実施例は、本発明の一部の化合物の調製を説明しているが、本明細書中で開示した化合物を限定するものとは解釈されない。別の機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかとなる。
【実施例】
【0168】
(化合物6Bの合成)
【0169】
【化24】

工程1)n−BuLi(0.66mL、ヘキサン中で2.5M)を、−78℃で、4−ブロモイソプロピルベンゼン4A(0.3g、16mmol)の無水THF(3mL)溶液に加えた。その混合物を20分間攪拌し、次いで、その温度を−78℃で維持しつつ、アルデヒド3A(0.5g、1.6mmol)のTHF溶液を加えた。得られた混合物を2時間攪拌した。その反応物を水でクエンチし、そして0℃まで温めた。その生成物を酢酸エチル50mLで抽出した。有機相を水2×25mLおよびブライン1×25mLで洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。溶媒を除去し、その粗生成物をシリカゲル分取プレートクロマトグラフィー(これは、溶離液として、20%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)にかけて、0.5gの純粋生成物5A(アルコール)を得た。
【0170】
工程1A)以下の手順を使用して、アルデヒド3Aを調製した:N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン(1.2mL、8.6mmols)のTHF(8mL)溶液に、−20℃で、n−BuLi(1.6M、5.4mL、8.6mmol)を滴下した。15分後、THF(8mL)中の4−トリフルオロメトキシベンズアルデヒド(1A)(1.5g、7.8mmol)を加えた。その混合物を15分間攪拌し、さらに多くのn−BuLi(1.6M、14.6mL、23mmol)を加えた。この反応混合物を、−20℃で、1時間攪拌し、次いで、−20℃で、20時間にわたって、冷蔵庫に入れた。翌日、この混合物を−40℃まで冷却し、続いて、o−フルオロベンゼンジスルフィド(2A)(4.0g、15.7mmol)のTHF(30mL)溶液を加え、そして−40℃〜−35℃で、3時間攪拌した。その反応物を0.5N HClに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。その有機層を水およびブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、黄色オイルを得た。このオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、淡黄色固形物3A(収量、1.55g(62%))を得た。
【0171】
工程2)工程1から得た生成物5A(0.5g、0、001mol)を、塩化メチレン50mL中にて、トリエチルシラン(1.83mL、0.01mol)で処理し、続いて、室温で、トリフルオロ酢酸(0.097mL、0.0011mol)を滴下した。その混合物を10時間攪拌した。減圧下にて、溶媒および過剰の試薬を除去した。得られた粗生成物を分取プレートシリカゲルクロマトグラフィー(これは、展開溶媒として、酢酸エチル:ヘキサン(1:10)を使用する)にかけて、0.43gの純粋生成物6Aを得た。
【0172】
工程3)工程2から得た生成6A(0.4g、0.00095mol)を、塩化メチレン20mL中にて、メタクロロ過安息香酸(0.87g、77%、0.0035mol)で処理した。その混合物を20時間攪拌し、次いで、5%亜硫酸水素ナトリウム(20mL)、炭酸水素ナトリウム水溶液(2×20mL)およびブライン(2×20mL)で順に洗浄した。有機相を乾燥し、そして減圧下にて濃縮して、粗生成物を得、これを、次いで、分取プレートシリカゲルクロマトグラフィー(これは、展開溶媒として、酢酸エチル:ヘキサン(1:6)を使用する)で精製して、0.41gの純粋生成物6Bを得た。
【0173】
(化合物6Dおよび6Eの合成)
【0174】
【化25】

工程1:化合物6B(0.3g;0.00067)を、アセトニトリル20mL中にて、N−Bocピペラジン(0.6g;0.0033mol)で処理し、そして24時間還流した。N−Bocピペラジン(0.6g;0.0033mol)を追加し、そして還流をさらに24時間継続した。その反応物を冷却し、そして減圧下にて溶媒を除去した。その生成物を分取シリカゲルクロマトグラフィー(これは、酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で単離して、0.32gの純粋生成物6Cを得た。
【0175】
工程2:工程1から得た生成物6C(0.129g、0.0002mol)を、塩化メチレン20mL中にて、トリフルオロ酢酸(0.05mL、0.0006mol)で処理し、その混合物を、室温で、3時間攪拌した。その反応物を塩化メチレン20mLで希釈し、そして炭酸水素ナトリウム水溶液5mLで洗浄した。有機相を乾燥し、そして濃縮して、純粋生成物6D(0.08g)を得た。
【0176】
6Eの合成:アセトニトリル10mLに溶解した生成物6B(0.07g、0.000155mol)をエタノールアミン(0.4mL)で処理し、80℃まで加熱し、そして24時間攪拌した。減圧下にて溶媒を除去し、その粗生成物を塩化メチレン30mlに再溶解し、そして水(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。有機物を乾燥(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。得られた粗製物を分取プレートシリカゲル(これは、酢酸エチル:ヘキサン(1:2)を使用する)で精製して、0.04gの純粋生成物6Eを得た。
【0177】
化合物12A、12Bおよび12Cの合成:
【0178】
【化26】

工程1:n−ブチルリチウム(2.64mL、2.24Mヘキサン溶液、0.006mol)を、−70℃で、ブロモイソプロピルベンゼン4A(1g、0.005mol)の無水THF溶液(10mL)に滴下した。その混合物を0.5時間攪拌し、次いで、−70℃の温度を維持しつつ、THF溶液(10mL)としてのフッ化トリフルオロメトキシベンゼンスルホニル(1.34g、0.0055mol)を加えた。攪拌をさらに2時間継続した。その反応物を水(5mL)でクエンチし、そして酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を水(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、10%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で単離して、0.45gの生成物11Aを得た。
【0179】
工程2a:工程1の生成物11A(0.1g、0.00029mol)を無水THF(10mL)に溶解し、そして−70℃まで冷却し、そしてn−BuLi(0.116mL、ヘキサン中で2.5M、0.00029mol)で処理した。その混合物を0.5時間攪拌し、そしてフルオロフェニルジスルフィドのTHF溶液(0.08g、0.003mol、THF(5mL))で処理した。得られた混合物を2.5時間攪拌し、その反応物を−50℃まで温め、次いで、水(5ml)でクエンチした。この反応混合物を室温まで温め、そして酢酸エチル50mLで抽出した。有機相を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、そして無水NaSOで乾燥した。減圧下にて溶媒を除去し、その粗生成物をシリカゲル分取クロマトグラフィーにかけて、0.11gの純粋生成物13Aを得た。
【0180】
工程3a:工程2aから得た生成物13A(0.066g、0.00014mol)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、そして塩化メチレン(2mL)溶液としてのメタクロロ過安息香酸(0.12g、77%、0.0007mol)で処理した。この混合物を4日間攪拌した。その反応物をNaHCO水溶液(2×20mL)、水(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲル分取クロマトグラフィー(これは、展開溶媒として、10%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で精製して、0.039gの純粋生成物12Cを得た。
【0181】
工程2b:工程1の生成物11A(0.1g、0.00029mol)を無水THF(10mL)に溶解し、−70℃まで冷却し、そしてn−BuLi(0.07mL、ヘキサン中で2.5M、0.00016mol)で処理した。この混合物を0.5時間攪拌し、そしてピリジルジスルフィドのTHF溶液(0.035g、0.00016mol、THF(5mL))で処理した。得られた混合物を2時間攪拌し、その反応物を0℃まで温め、次いで、水(5mL)でクエンチした。この反応混合物を室温まで温め、そして酢酸エチル50mLで抽出した。有機相を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、そして無水NaSOで乾燥した。減圧下にて溶媒を除去し、その粗生成物をシリカゲル分取クロマトグラフィー(これは、展開溶媒として、1:4の酢酸エチル:ヘキサンを使用する)にかけて、0.073gの純粋生成物を得た。
【0182】
工程3b:工程2bから得た生成物(0.035g、0.000077mol)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、そして塩化メチレン(2mL)溶液としてのメタクロロ過安息香酸(0.076g、77%、0.0003mol)で処理した。この混合物を2日間攪拌した。その反応物をNaHCO水溶液(2×20mL)、水(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲル分取クロマトグラフィー(これは、展開溶媒として、10%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で精製して、0.01gの過剰酸化生成物であるピリジンN−オキシドと共に、0.006gの純粋生成物12Bを得た。
【0183】
工程2c:工程1の生成物11A(0.083g、0.00024mol)を無水THF(10mL)に溶解し、−70℃まで冷却し、そしてn−BuLi(0.106mL、ヘキサン中で2.5M、0.00026mol)で処理した。この混合物を0.5時間攪拌し、そしてメチルフラニルジスルフィドのTHF溶液(0.065g、0.0028mol、THF(5mL))で処理した。得られた混合物を2.5時間攪拌し、その反応物を−20℃まで温め、次いで、水(5mL)でクエンチした。この反応混合物を室温まで温め、そして酢酸エチル50mLで抽出した。有機相を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、そして無水NaSOで乾燥した。減圧下にて溶媒を除去し、その粗生成物をシリカゲル分取クロマトグラフィー(これは、溶媒として、10%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で精製して、0.09gの純粋生成物を得た。
【0184】
工程3c:工程2cから得た生成物(0.09g)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、そして塩化メチレン(2mL)溶液としてのメタクロロ過安息香酸(0.27g)で処理した。この混合物を4日間攪拌した。その反応物をNaHCO水溶液(2×20mL)、水(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲル分取クロマトグラフィー(これは、展開溶媒として、25%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で精製して、0.017gの純粋生成物12Aを得た。
【0185】
(化合物12Fの合成)
【0186】
【化27】

工程1:上記スキームの工程3aから得た生成物12C(0.4g、0.00079mol)をCHOH(50mL)に溶解し、この溶液に、1M NaOH水溶液(1.8mL)を加えた。得られた混合物を、60℃で、16時間加熱した。TLC分析により、不完全な反応が明らかとなった。1M NaOH水溶液(0.9mL)を追加し、そして還流を6時間継続した。その反応物を冷却し、そして減圧下にて溶媒を除去した。その残留物をCHCl(100mL)に溶解し、そして水(1×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得た。この生成物をシリカゲル分取プレートクロマトグラフィー(これは、ヘキサン中の30%酢酸エチルを使用する)で単離して、0.3gの純粋生成物12Dを得た。
【0187】
工程2:工程1から得た生成物12D(0.16g、0.00035mol)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、−10℃まで冷却し、そして三臭化ホウ素(1.32mL)の1M溶液で滴下処理した。この混合物を室温まで温め、そして16時間攪拌した。TLC分析により、不完全な反応が明らかとなった。三臭化ホウ素(1.32mL)を追加し、そして攪拌を16時間継続した。その反応物を水5mLでクエンチし、そして塩化メチレン50mLで希釈した。有機相を水(1×50mL)、NaHCO水溶液(1×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得た。生成物12Eをシリカゲル分取プレートクロマトグラフィー(これは、30%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で単離した。収量:0.11g。
【0188】
工程3:工程2から得た生成物12E(0.039g、0.0000898mol)を、DMF(5mL)中にて、KCO(0.015g、0.00011mol)で処理し、続いて、メトキシブロモエタン(0.0085mL、0.000094mol)で処理した。この混合物を、50℃で、24時間加熱した。その反応物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、そして有機相を水(1×50mL)および生理食塩水(1×50mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、粗生成物(化合物12F)を得、これを、分取プレートクロマトグラフィー(これは、溶媒として、30%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で精製した。収量:0.009g。
【0189】
(化合物12Gおよび12Hの合成)
【0190】
【化28】

工程1:ジブロモベンゼン(5g、0.021mol)を無水THF(100mL)に溶解し、そして−70℃まで冷却した。n−BuLi(6.8mL、0.0168mol、2.5M)を加え、そして1時間攪拌し、次いで、フッ化イソプロピルベンゼンスルホニル(4.3g、0.021mol)のTHF(10mL)溶液を加え、そして3時間攪拌し、その温度を−30℃まで上昇させた。その反応物を水でクエンチし、そして酢酸エチル(100mL)で希釈した。有機相を水(1×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、粗生成物を得た。この生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、10%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で単離して、2.1gの純粋生成物11Bを得た。
【0191】
工程2:工程1から得た生成物11Bをトルエン5mLに溶解し、そしてNaOBu(0.11g、0.00114mol)、モルホリン(0.092mL、0.001mol)、Pd(dba)(0.024g、0.000026mol)およびP(o−トリル)(0.016g、0.00005mol)を加え、得られた混合物を、24時間にわたって、100℃まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、そして水およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、褐色オイルを得た。この粗生成物をシリカゲル分取プレートクロマトグラフィーにかけて、0.24gの純粋生成物11Cを得た。
【0192】
工程3:工程2から得た生成物11C(0.24g、0.00069mol)を無水THF(10mL)に溶解し、−70℃まで冷却し、そしてn−BuLi(2.5M、0.225mL、0.00055mol)で処理した。この混合物を20分間攪拌し、次いで、ピリジンジスルフィドの無水THF溶液(5mL)を攪拌し、得られた混合物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、そして酢酸エチル50mLで希釈した。有機相を水、ブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、フラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、5〜20%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)で精製した。2種のレギオ異性体生成物を得た。第一画分からは、0.09gの生成物13Bが得られた。第二画分からは、生成物13C(0.1g)が得られた。
【0193】
工程4:工程3から得た生成物13B(0.066g、0.000145mol)をCHCl(10mL)に溶解し、そしてmCPBA(70%、0.095g、0.00036mol)で処理した。その反応物を15時間攪拌した。この反応物をCHCl(50mL)で希釈し、そしてNaHSO水溶液(1×25mL)、NaHCO水溶液(1×25mL)およびブライン(1×25mL)で洗浄した。有機相を乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲル分取プレート(これは、展開溶媒として、酢酸エチルを使用する)で精製して、0.03gの12Gを得た。
【0194】
同様に、生成物13CをmCPBAで酸化して、対応するスルホン12Hを得た。
【0195】
(化合物6Fおよび7Aの合成)
【0196】
【化29】

工程1:NaOH(50g)をHO(50mL)に溶解した。トルエン(100mL)を加え、続いて、インドール(1)(20g、0.17mol)を加えた。得られた混合物を、室温で、10分間攪拌した。塩化2−フルオロフェニルスルホニル(33g、0.17mol)および硫化テトラブチルアンモニウム水素(触媒)を加えた。この反応混合物を、室温で、2時間攪拌した。次いで、その水層を除去し、そして有機層をブライン(3×100mL)で洗浄した。得られた有機層をNaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物を、EtOAc(20mL)およびヘキサン(70mL)を使用して再結晶して、白色結晶として、純粋化合物3B(40.5g(86%))を得た。
【0197】
工程2:工程1から得た生成物3B(0.462g、0.0017mol)をTHF(10mL)に溶解し、−78℃まで冷却し、そしてn−BuLi(1.1当量)で処理した。得られた混合物を1.5時間攪拌し、次いで、イソプロピルベンズアルデヒド4B(THF溶液5mL)を加え、さらに0.5時間攪拌した。その反応物を塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、そして室温まで温めた。その生成物を酢酸エチル(100mL)で単離した。有機物を乾燥し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、9:1のヘキサン:酢酸エチルを使用する)で精製して、0.486gの純粋生成物5Bを得た。
【0198】
工程3:工程2から得た生成物5B(0.1g、0.0002mol)を、CHCl(20mL)中にて、トリエチルシラン(0.38mL、10当量)およびBF.OEtで順に処理した。この混合物を、室温で、1時間攪拌し、次いで、NaHCO水溶液(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機物を乾燥し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲル分取プレートクロマトグラフィーで精製して、0.025gの純粋生成物6Fを得た。
【0199】
工程4:工程2から得た生成物5B(0.1g、0.0002mol)を、CHCl(30mL)中にて、セライト(1g)およびクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)(0.2g、0.0008mol)で処理し、この混合物を一晩攪拌した。その反応物を濾過し、その濾液をNaHCO水溶液(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、分取プレートクロマトグラフィー(これは、3:7の酢酸エチル:ヘキサンを使用する)で精製して、0.026gの純粋生成物7Aを得た。
【0200】
(化合物12Iの合成)
【0201】
【化30】

工程1:インドール(I)(10g、0.085mol)を塩化メチレン(200mL)に溶解した。DMAP(触媒)および無水ブトキシカルボニル(18.7g、0.085mol)を加え、その反応物を、室温で、10時間攪拌した。この反応混合物をNaCl水溶液(100mL)で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡黄色オイルとして、18.6g(100%)の化合物を得た。
【0202】
工程2:工程1から得た生成物(1g、0.0046mol)を、無水THF(15mL)中にて、−78℃で、n−BuLi(1.1当量)で処理し、そして45分間攪拌した。この溶液に、フッ化イソプロピルベンゼンスルホニル(1g、0.05mol)のTHF(5mL)溶液を加えた。得られた混合物を4時間攪拌し、この反応混合物を室温まで温めた。その反応物をNaCl水溶液でクエンチした。有機相を乾燥し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、5:1のヘキサン:酢酸エチルを使用する)で精製した。画分を集め、そして濃縮して、純粋生成物11D(0.466g)を得た。
【0203】
工程3:工程2から得た生成物11D(0.143g、0.00048mol)を、CHCl(5mL)中にて、NaOH(1N、5mL)および触媒量の硫酸テトラブチルアンモニウム水素で処理した。この混合物に、塩化ピリジルスルホニル(0.1g、0.0006mol)を加えた。その反応物をCHCl(50mL)で希釈し、そして水(1×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄した。有機相を乾燥し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、クロマトグラフィー(これは、溶媒として、4:1のヘキサン:酢酸エチルを使用する)で精製して、0.089gの純粋生成物121を得た。
【0204】
(化合物12J、12Kおよび13Dの合成)
【0205】
【化31】

工程1:NaH(0.22g、95%dry、8.6mmol)をDMF(20mL)に溶解し、続いて、インドール(I)(1g、8.5mmol)を加えた。その混合物を、室温で、10分間攪拌した。DMF溶液として、ビス−2−ピリジンジスルフィド(II)(2.17g、8.5mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で、10時間攪拌した。この反応混合物をEtOAcと水との間で分配した。水層を追加EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色固形物(III)として、1.16gの純粋生成物を得た。
【0206】
工程2:工程1から得た生成物(0.76g、3.3mmol)およびBocO(0.88g、4mmol)を塩化メチレン(20mL)に溶解した。DMAP(触媒)を加え、この反応物を、室温で、4時間攪拌した。その反応混合物をNaCl溶液(100mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、そして濃縮して、淡黄色固形物3Cとして、1.1g(100%)の生成物を得た。
【0207】
工程3:火炎乾燥フラスコ中で、Nブランケット下にて、工程2から得た生成物3C(0.4g、1.2mmol)を無水THF(20mL)に溶解し、そして−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中で1.9M、0.75mL、1.4mmol)を加え、その反応混合物を45分間攪拌した。THF(1.5mmol)中のイソシプロピルベンゼンジスルフィド(0.45g、1.0mmol)を加え、この反応混合物を、−78℃で、数時間攪拌した後、室温までゆっくりと温めた。次いで、この反応混合物をNHCl飽和水溶液(20mL)でクエンチした。酢酸エチル(30mL)を加え、そして層分離した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(11%EtOAc/ヘキサン)で精製して、無色固形物として、0.135g(30%)の純粋生成物13Dを得た。
【0208】
工程4:工程3から得た生成物13D(115mg、0.3mmol)をCHCl(15mL)に溶解し、そして氷浴中にて、0℃まで冷却した。mCPBA(410mg、約1.7mmol)を加えた。この氷浴を取り除き、その反応混合物を、室温で、一晩攪拌した。NaHCO水溶液(200mL)およびCHClを加え、そして層分離した。有機層をNaHSO水溶液、NaHCO、HOおよびブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色固形物として、78mg(58%)の生成物12Jを得た。
【0209】
工程5:0℃で、NaH(50mg、95%無水、2mmol)をDMF(10mL)に溶解し、続いて、工程4から得た生成物12J(35mg、0.08mmol)を加えた。その混合物を、0℃で、10分間攪拌した。CHI(過剰、1mL)を加えた。この反応混合物を室温までゆっくりと温め、そして2時間攪拌した。この反応混合物をEtOAcと水との間で分配した。水層を追加EtOAc(1×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色固形物として、0.34g(94%)の純粋生成物12Kを得た。
【0210】
(化合物12Mの合成)
【0211】
【化32】

工程1:火炎乾燥フラスコ中で、Nブランケット下にて、3−ブロモフラン(1.3g、9.0mmol)を無水THF(50mL)に溶解し、そして−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中で1.6M、5.6mL、9.0mmol)を加え、その反応混合物を15分間攪拌した。THF(3mL)中のフッ化イソシプロピルベンゼンスルホニル(i)(0.90g、3.0mmol)を加え、この反応混合物を、−78℃で、3時間攪拌した。この反応混合物を室温までゆっくりと温め、そしてNHCl飽和水溶液(20mL)でクエンチした。酢酸エチル(100mL)を加え、そして層分離した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物を分取TLC(50%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色固形物として、0.44g(42%)の純粋生成物11Eを得た。
【0212】
工程2:火炎乾燥フラスコ中で、Nブランケット下にて、化合物11E(0.44g、1.3mmol)を無水THF(20mL)に溶解し、そして−78℃まで冷却した。t−ブチルリチウム(ヘキサン中で1.5M、1.7mL、2.5mmol)を加え、その反応混合物を15分間攪拌した。THF(5mL)中の2−フルオロフェニルジスルフィド(0.32g、1.3mmol)を加え、この反応混合物を、−78℃で、1時間攪拌した後、0℃までゆっくりと温めた。次いで、この反応混合物をNHCl飽和水溶液(50mL)でクエンチした。酢酸エチル(100mL)を加え、そして層分離した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。粗生成物13Eを、さらに精製することなく、使用した。
【0213】
工程3:化合物13E(270mg、0.57mmol)をCHCl(15mL)に溶解した。mCPBA(210mg、57〜86%、0.69mmol)を加え、その溶液を、室温で、1時間攪拌した。その反応混合物をCHCl(50mL)で希釈し、NaHSO(40mL)およびNaHCO(50mL)で洗浄した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAC/ヘキサン)で精製して、淡黄色オイルとして、120mg(43%)の化合物12Lを得た。
【0214】
工程4:化合物12L(70mg、0.14mmol)をCHCl(10mL)に溶解した。mCPBA(30mg、57〜86%、0.10mmol)を加え、その溶液を、室温で、一晩攪拌した。その反応混合物をCHCl(50mL)で希釈し、NaHSO(40mL)およびNaHCO(50mL)で洗浄した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAC/ヘキサン)で精製して、白色固形物として、0.59g(82%)の12Mを得た。
【0215】
(化合物12Nの合成)
【0216】
【化33】

工程1:2,4−ジブロモフェニル1(5g、0.02mol)、1,2−ジブロモエタン(37mL、0.4mol)、NaOH水溶液(14mL、3N)Bu4NHSO(0.34g、1mmol)を、70℃で、10時間にわたって、激しく攪拌した。その混合物を室温まで冷却した。CHCl(100mL)を加えた。有機層を、それぞれ、NaOH(1N)、HCI(1N)、水およびブラインで洗浄した。この有機層をNaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物をエーテルから再結晶することにより精製して、白色固形物として、3.2g(45%)の純粋化合物11を得た。
【0217】
工程2:火炎乾燥フラスコ中で、Nブランケット下にて、化合物11(1g、0.003mol)を無水THF(40mL)に溶解し、そして−100℃まで冷却した。n−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中で2.5M、1.32mL)を加え、その反応混合物を30分間攪拌した。この反応混合物を−78℃まで冷却した。追加当量のn−BuLi(ヘキサン中で2.5M、1.32mL)を加え、この反応混合物を30分間攪拌し、続いて、MeLi(1.4M、5.6mL、7.8mmol)を加えた。得られた混合物に、THF(5mL)中のフッ化イソプロピルベンゼンスルホニル(0.72g、0.0036mol)を加え、その反応混合物を2時間攪拌した後、NHCl水溶液でクエンチした。この反応物をEtOAcで希釈し、それぞれ、水(100mL)およびブライン(50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色固形物として、0.98g(38%)の化合物11Fを得た。
【0218】
工程3:火炎乾燥フラスコ中で、Nブランケット下にて、化合物11F(0.3g、0.001mol)を無水THF(20mL)に溶解し、そして−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中で1.7M、0.476mL)を加え、その反応混合物を45分間攪拌した。THF(5mL)中のピリジンジスルフィド(0.248g、1.25mmol)を加え、この反応混合物を、−78℃で、2時間攪拌した後、室温までゆっくりと温めた。次いで、この反応混合物をNHCl飽和水溶液(50mL)でクエンチした。酢酸エチル(100mL)を加え、そして層分離した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして乾燥状態まで濃縮した。その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色粉末として、0.28g(48%)の化合物13Fを得た。
【0219】
工程4:化合物13F(0.28g、0.7mmol)を、トリフルオロ酢酸(0.2mL)と共に、CHCl(50mL)に溶解した。mCPBA(0.358g、57〜86%)を加え、その溶液を、室温で、一晩攪拌した。その反応混合物をCHClに吸収し、NaHSO(40mL)およびNaHCO(50mL)で洗浄した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAC/ヘキサン)で精製して、白色発泡体として、0.09g(42%)の化合物12Nを得た。
【0220】
(38Aの合成)
【0221】
【化34】

工程1:1,1,2−トリクロロエタン31(10mL)、イソプロピルチオフェノール(2.19g、0.014mol)、1N NaOH(16mL、0.016mol)およびAliquat(登録商標)(トリカプリルイルメチルアンモニウムクロライド;0.01g;触媒)を4日間攪拌した。その反応物をCHOH(50mL)で希釈し、そして0℃まで冷却し、次いで、H(14mL、30%)を滴下し、続いて、モリブデン酸アンモニウム(0.1g、触媒)を加えた。この混合物を24時間激しく攪拌した。TLC分析により、2種の生成物の形成が明らかとなった。その反応物を酢酸エチル100mLで希釈し、そして水2×50mLおよびブライン1×50mLで洗浄した。有機相を乾燥し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、10%酢酸エチル:ヘキサンを使用する)にかけた。適当な画分を集め、そして濃縮して、1.1g(4mmol)の中間酸化スルホキシド生成物を得、これを、0℃で、塩化メチレン50mLに溶解し、そしてメタクロロ過安息香酸(0.776g、4.5mmol)で処理し、そして2日間攪拌した。TLC分析により、所望のスルホン33Aに完全に変換されたことが明らかとなった。減圧下にて溶媒を除去し、その生成物を酢酸エチル(100mL)に再溶解した。有機相をNaHCO水溶液(4×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして濃縮して、純粋生成物33Aを得た。
【0222】
工程2:工程1から得た生成物33A(1.1g、4mmol)を、CHCl(50mL)中にて、0℃まで冷却し、そしてトリエチルアミン(0.6mL、4.4mmol)で処理した。その混合物を1時間攪拌した。溶媒を除去し、その粗生成物を酢酸エチル100mLに再溶解し、そして水(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し、そして濃縮して、純粋生成物34Aを得た。
【0223】
工程3:無水THF(25mL)中の2−フルオロベンゼンチオール(0.57g、4.4mmol)を、0℃で、NaH(0.17g、60%オイル分散体、4.4.mmol)で処理した。その混合物を10分間攪拌し、次いで、5mL THF溶液として、クロロビニルスルホン34A(0.9g、3.7mmol)を加えた。この混合物を室温まで温め、そして攪拌を10時間継続した。その反応物を0℃まで冷却し、そして水(5mL)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、そして有機物を水(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄した。これらの有機物を乾燥し、そして濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(これは、溶離溶媒として、10%酢酸エチル/ヘキサンを使用する)にかけた。画分を集め、そして濃縮して、純粋生成物36Aを得た。
【0224】
工程4:工程3から得た生成物36A(0.28g、0.8mmol)を氷酢酸(10mL)に溶解し、0℃まで冷却し、そしてH(3mL、30%の水)および濃HSO(2mL)で処理した。その混合物を室温まで温め、そして3時間にわたって、60℃まで加熱した。この反応物を室温まで冷却し、そして酢酸エチル50mLで希釈した。有機相を水(3×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄した。これらの有機相を乾燥し、そして濃縮して、固形生成物を得、これを、白色固形物37Aとして、エーテルから再結晶した。
【0225】
工程5:工程4から得た生成物37A(0.15g、0.4mmol)およびフラン(IV)(0.15g、2mmol)を、クロロホルム2mL中にて、10時間攪拌した。溶媒を除去し、そしてCHOH(5mL)を加えると、白色固形物として、生成物38Aが沈殿した。この生成物は、分離できない立体異性体の混合物であった。
【0226】
(表2:表1の選択した化合物のスペクトルデータ)
【0227】
【化35−1】

【0228】
【化35−2】

【0229】
【化35−3】

【0230】
【化35−4】

【0231】
【化35−5】

【0232】
【化35−6】

【0233】
【化35−7】

種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態および実施例に対してなされ得ることが理解される。従って、上記の記載は、限定として解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および精神内に、種々の改変を想到する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物:
【化1】

ここで、
nは、0〜4である;
pは、0〜4である;
qは、0〜5である;
Xは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、−CF、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−N(R、−NHC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NO、−NC(=N−CN)NHR、−OCFH、−OCF、−OHおよび−S(O)N(Rからなる群から選択されるが、但し、nが2、3または4のとき、該X部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;
Yは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、−O−シクロアルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、−C(O)R、−N(R、−OCF、−OCFHおよび−OHからなる群から選択されるが、但し:
pが2、3または4のとき、該Y部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;または
pが2のとき、該Y部分は、3個〜7個の環原子の環状環を形成でき、その1個〜2個は、ヘテロ原子であり得る;
Zは、水素、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、−O−シクロアルキル、−CF、−CN、−C(O)OR、−N(R、−OCF、−OCFH、−OHおよび−S(O)Rからなる群から選択されるが、但し、qが2、3、4または5のとき、該Z部分は、同一または異なり得、そして別個に、上で列挙した基から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルおよび−N(Rからなる群から選択される;
は、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される;
は、共有結合、−C(F)−、−(CH(OR))−、−C(O)−、−C(O)N(H)−、−C(=N−OR)−、−C(=NR)−、−C(=N−CN)−、−C(R−、−N(R)−、−N(H)C(O)−、−N(R)S(O)−、−O−、−OC(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択されるが、但し、Lが共有結合のとき、Mは、Aと記したフェニル炭素に直接結合される;
は、共有結合、−C(R−、−C(=N−OR)−、−C(O)−、−C(O)N(H)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(H)C(O)−、−NHS(O)−、−N(R)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−S(O)N(R)−からなる群から選択されるが、但し、Lが共有結合のとき、Mは、Mに直接結合される;
は、アリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである;そして
は、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、−C(O)R、−C(O)OR、−N(Rまたは−S(O)Rである;但し:
i)Mが−N(Rのとき、Lは、共有結合、−CH−、−C(O)−または−S(O)−であり、そしてZは、存在しない;
ii)Mが−C(O)Rまたは−C(O)ORのとき、Lは、共有結合、−CH−、−NH−または−N(アルキル)−であり、そしてZは、存在しない;
iii)Mが−S(O)Rのとき、Lは、共有結合、−CH−、−NH−または−N(アルキル)−であり、そしてZは、存在しない;そして
iv)−N(Rおよび−C(R−の2個のR部分は、同一または異なり、そして別個に選択されるか、または−N(Rの2個のRは、それらが結合する窒素と結合して、3個〜7個の環原子を有する複素環を形成し、該複素環は、さらに、1個またはそれ以上のNまたはO原子を含有し、ここで、該追加Nは、必要に応じて置換したRであり得る;
ここで、上記定義の該アルコキシ、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロシクレニルは、非置換、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロゲン、−CF、アルコキシ、−CN、−C(O)N(R、−C(O)OR、−C(O)R、−NC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)N(R、−NC(=N−CN)NHR、−NO、−N(R、−OCFH、−OCF、−OH、−S(O)Rおよび−S(O)N(Rからなる群から選択される、
化合物。

【公開番号】特開2007−211017(P2007−211017A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69642(P2007−69642)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【分割の表示】特願2006−507333(P2006−507333)の分割
【原出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】