説明

クラッチ機構並びにクラッチ機構を備える処理装置及び画像形成装置

【課題】小型化されても比較的高い強度を有するクラッチ機構並びにクラッチ機構を含む処理装置及び画像形成装置を提供することが課題である。
【解決手段】支持板と、駆動力が入力される入力部と、駆動力を受けて回転する出力部と、出力部を支持板に向けて付勢する第1弾性部材と、支持板の貫通孔に挿通される摺動アームと、第1スライド面とを含む第1部材と、第1部材を収容可能に形成されるとともに、第2スライド面とを含む第2部材と、を備え、貫通孔への摺動アームの挿通は、支持板に対する第1部材の回転を抑制するとともに支持板に接近する方向及び離間する方向への第1部材の移動を可能にし、第2部材が第1回転位置にあるとき、入力部から離間され、駆動力を出力せず、第2スライド面が第2回転位置に回転すると、出力部は入力部からの駆動力を出力することを特徴とするクラッチ機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの駆動力を断続的に伝達するためのクラッチ機構並びにクラッチ機構を備える処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源からの駆動力を断続的に伝達するためのクラッチ機構は、多くの機械設備に用いられている。クラッチ機構として、電磁クラッチが用いられることがある。電磁クラッチは、電磁式に駆動力の伝達を制御することができるため、比較的多くの機械設備で用いられるが、比較的大きな駆動力を伝達することには不向きである。伝達する駆動力が大きくなればなるほど、電磁クラッチが大型化する傾向がある。また、電磁クラッチは、駆動力を伝達している間、電磁クラッチを構成する電磁コイルが電力を消費するので、省電力化にも不向きである。また、電磁コイルの電力消費に起因する発熱の問題も招来する。
【0003】
特許文献1は、機械に構成されたクラッチ機構を備える画像形成装置を開示する。特許文献1のクラッチ機構は、機械的に構成されるので、比較的大きな駆動力を伝達可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−208024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される機械的なクラッチ機構は、比較的多くの部品を用いて構成されている。したがって、クラッチ機構を小型化しようとすると、クラッチ機構を構成する各部品を小さくする必要がある。クラッチ機構の部品の小型化は、クラッチ機構の脆弱性に直結する。
【0006】
本発明は、小型化されても比較的高い強度を有するクラッチ機構並びにクラッチ機構を含む処理装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るクラッチ機構は、貫通孔が形成された支持板と、該支持板に回転可能に取り付けられるとともに、駆動源からの駆動力が入力される入力部と、前記支持板と前記入力部との間に配設されるとともに、前記入力部から前記駆動力を受けて回転するように前記支持板に取り付けられる出力部と、前記入力部と前記出力部との間に配設されるとともに、前記出力部を前記支持板に向けて付勢する第1弾性部材と、前記出力部と前記支持板との間に配設されるとともに、前記貫通孔に挿通される摺動アームと、第1スライド面とを含む第1部材と、該第1部材を収容可能に形成されるとともに、前記第1スライド面と対向して形成される第2スライド面とを含む第2部材と、を備え、前記貫通孔への前記摺動アームの挿通は、前記支持板に対する前記第1部材の回転を抑制するとともに前記支持板に接近する方向及び離間する方向への前記第1部材の移動を可能にし、該第2部材が、前記第1部材が前記第2部材に収容される第1回転位置にあるとき、前記出力部は前記第1弾性部材によって、前記入力部から離間され、前記駆動力を出力せず、前記第2スライド面が前記第1スライド面に向かうように、前記第2部材が前記第1回転位置から第2回転位置に回転すると、前記第1スライド面及び前記第2スライド面によって前記第1部材は前記第2部材から押し出されるとともに、前記出力部を前記入力部に押しつけ、前記出力部は前記入力部からの前記駆動力を出力することを特徴とする(請求項1)。
【0008】
上記構成によれば、入力部は、貫通孔が形成された支持板に回転可能に取り付けられるとともに駆動源からの駆動力が入力される。支持板と入力部との間に配設される出力部は、入力部から駆動力を受けて回転するように支持板に取り付けられる。入力部と出力部との間に配設される第1弾性部材は、出力部を支持板に向けて付勢する。第1部材は、出力部と支持板との間に配設される。第1部材の摺動アームは、貫通孔に挿通され、支持板に対する第1部材の回転を抑制するとともに支持板に接近する方向及び離間する方向への第1部材の移動を可能にする。第2部材は、第1部材を収容可能に形成される。第1部材は、第1スライド面を含み、第2部材は、第1スライド面と対向して形成される第2スライド面を含む。第2部材が、第1部材を収容するとき、第1弾性部材によって、出力部は、入力部から離間され、駆動力を出力しない。第2スライド面が第1スライド面に向かうように、第2部材が第1回転位置から第2回転位置に回転移動すると、貫通孔への摺動アームの挿通によって、支持板に対して第1部材の回転が抑制されているため、第1スライド面及び第2スライド面によって第1部材は第2部材から押し出される。この結果、第1部材は、出力部を入力部に押しつけることとなり、出力部は入力部からの駆動力を出力する。かくして、クラッチ機構は比較的少ない要素で構成されるため、クラッチ機構が小型化されても、比較的高い強度を有することとなる。
【0009】
上記構成において、前記第1回転位置と前記第2回転位置との間で前記第2部材を回転させるリンク機構を更に備え、前記支持板には、弧状に形成されたスリットが更に形成され、前記第2部材は、前記スリットに挿通される可動アームを更に含み、前記リンク機構は、前記第2部材を伴って前記支持板を挟むように配設されるとともに、前記可動アームに接続される主アームと、前記第2部材の回転中心軸線上の揺動中心軸周りに前記主アームを揺動させる揺動機構を含むことが好ましい(請求項2)。
【0010】
上記構成によれば、リンク機構は、第2部材を、第1回転位置と第2回転位置との間で回転させる。支持板には、弧状に形成されたスリットが更に形成される。また、第2部材は、スリットに挿通される可動アームを含む。したがって、第2部材が、第1回転位置と第2回転位置との間で回転している間、可動アームは、スリットによって、支持板と干渉することなく、移動することができる。リンク機構の主アームと第2部材は、支持板を挟みつつ、可動アームを介して接続される。リンク機構の揺動機構は、第2部材の回転中心軸線上の揺動中心軸周りに主アームを揺動させる。かくして、第2部材は、比較的高い強度を達成可能な支持板を主アームとともに挟むように、支持板に取り付けられるので、クラッチ機構は比較的高い強度を達成することができる。また、クラッチ機構を動作させるための力が、比較的高い強度を達成可能な支持板を介して、伝達されるので、比較的高い駆動力を伝達可能となる。
【0011】
上記構成において、前記揺動機構は、前記主アームに接続されるとともに前記揺動中心軸から延びる線上で移動可能な接続片と、該接続片と接続されるとともに該接続片から離間した位置に存する回転中心軸周りで回転する揺動部材と、該揺動部材を所定の範囲で往復回転動作させる揺動駆動源と、を含むことが好ましい(請求項3)。
【0012】
上記構成によれば、主アームに接続される接続片が揺動中心軸から延びる線上で移動可能であるので、接続片と接続されるとともに接続片から離間した位置に存する回転中心軸周りで回転する揺動部材が、揺動駆動源によって、所定の範囲で往復回転動作されると、主アームは揺動中心軸周りに好適に揺動することができる。
【0013】
上記構成において、前記揺動部材は、ギア歯が形成される周面を含むギア部を含み前記揺動駆動源は、前記ギア歯と噛み合うギア要素に前記揺動部材を回転させるための揺動駆動力を伝達し、前記ギア歯が形成される前記周面の中心角は全円角でないことが好ましい(請求項4)。
【0014】
上記構成によれば、ギア歯が形成される円弧部の中心角が全円角でないので、揺動部材を回転させるための揺動駆動力を揺動部材に伝達するギア要素とギア歯との噛み合い範囲が機械的に定められることとなる。したがって、クラッチ機構の動作の精度が高められることとなる。
【0015】
上記構成において、前記揺動機構は、前記揺動部材を所定範囲で往復回転動作させるように前記揺動駆動源を制御する制御部を更に含むことが好ましい(請求項5)。
【0016】
上記構成によれば、制御部により揺動駆動源が制御され、揺動部材が所定範囲で往復回転動作を行うこととなる。したがって、ギア歯とギア要素との噛み合いが大きく外れることを抑制でき、揺動部材の回転方向の変化時におけるギア歯とギア要素との噛み合いに起因する異音の発生が抑制されることとなる。
【0017】
上記構成において、前記制御部は、前記第2部材の前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の回転の間に、オン・オフの切り換えがなされるスイッチと、前記揺動部材を第1方向に回転動作させるように前記揺動駆動源を制御するための第1信号と、前記揺動部材を前記第1方向とは逆の第2方向に回転動作させるように前記揺動駆動源を制御するための第2信号と、を生成する信号生成部と、を含み、前記オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第1期間経過後に、前記信号生成部は、前記第1方向への前記揺動部材の回転動作を停止させるように前記揺動駆動源を制御し、前記オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第2期間経過後に、前記信号生成部は、前記第2方向への前記揺動部材の回転動作を停止させるように前記揺動駆動源を制御することが好ましい(請求項6)。
【0018】
上記構成によれば、スイッチは、第1部材が第1回転位置と第2回転位置との間で、オン・オフの切り換えを行う。信号生成部は、オン・オフの切り換えに基づき、第1信号及び第2信号を生成する。揺動駆動部は、第1信号に基づき、揺動部材を第1方向に回転動作させる。また、揺動駆動部は、第2信号に基づき、揺動部材を第1方向とは逆の第2方向に回転動作させる。信号生成部は、オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第1期間経過後に、第1方向への揺動部材の回転動作を停止させるように揺動駆動源を制御する。また、信号生成部は、オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第2期間経過後に、第2方向への揺動部材の回転動作を停止させるように揺動駆動源を制御する。したがって、ギア歯とギア要素との噛み合いが大きく外れることを抑制でき、揺動部材の回転方向の変化時におけるギア歯とギア要素との噛み合いに起因する異音の発生が抑制されることとなる。
【0019】
上記構成において、前記スイッチは、前記オン・オフの切り換えを操作するためのボタンを含み、前記主アームは、前記ボタンを押圧するように配設されることが好ましい(請求項7)。
【0020】
上記構成によれば、主アームがスイッチのボタンを押圧することにより、オン・オフの切り替えがなされる。信号生成部は、オン・オフの切り換えに基づき、第1信号及び第2信号を生成する。揺動駆動部は、第1信号に基づき、オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第1期間の間、揺動部材を第1方向に回転動作させる。また、揺動駆動部は、第2信号に基づき、オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第2期間の間、揺動部材を第1方向とは逆の第2方向に回転動作させる。したがって、ギア歯とギア要素との噛み合いが大きく外れることを抑制でき、揺動部材の回転方向の変化時におけるギア歯とギア要素との噛み合いに起因する異音の発生が抑制されることとなる。
【0021】
上記構成において、前記揺動機構は更に、前記ギア部の前記回転中心軸周りのモーメントを与えるように配設される第2弾性部材を更に備え、該第2弾性部材は、前記ギア部を前記揺動中心軸方向に付勢することが好ましい(請求項8)。
【0022】
上記構成によれば、第2弾性部材が、ギア部を揺動中心軸方向に付勢し、ギア部の回転中心軸周りのモーメントを与えるので、第2弾性部材は、ギア歯とギア要素との間の噛み合いを促すこととなる。したがって、クラッチ機構の動作の精度が高められることとなる。
【0023】
本発明の他の実施形態に係る処理装置は、駆動源と、該駆動源からの駆動力によって所定の動作を行う処理ユニットと、前記駆動源から前記処理ユニットへ前記駆動力を断続的に伝達可能に形成された上記のクラッチ機構と、を備えることを特徴とする(請求項9)。
【0024】
上記構成によれば、クラッチ機構を介して、駆動源からの駆動力を受ける処理ユニットを含む処理装置の小型化を図ることができる。
【0025】
本発明の他の実施形態に係る画像形成装置は、シートに転写されるトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体にトナーを供給する現像装置と、前記現像装置を動作させるための駆動力を発生させる駆動源と、該駆動源から前記現像装置へ前記駆動力を断続的に伝達可能に形成された上記のクラッチ機構と、を備えることを特徴とする(請求項10)。
【0026】
上記構成によれば、クラッチ機構を介して、駆動源からの駆動力を受ける現像装置を含む画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0027】
上記構成において、前記現像装置は、第1色のトナーを供給する第1現像装置と、該第1色と異なる色の第2色のトナーを供給する第2現像装置と、を含み、該第2部材が前記第1回転位置にあるとき、前記出力部は、前記駆動力を前記第1現像装置及び前記第2現像装置へ出力せず、該第2部材が前記第2回転位置にあるとき、前記出力部は、前記駆動力を前記第1現像装置及び前記第2現像装置へ出力することが好ましい(請求項11)。
【0028】
上記構成によれば、クラッチ機構は、互いに異なる色のトナーを供給する第1現像装置と第2現像装置とに断続的に駆動力を伝達することができる。
【発明の効果】
【0029】
上述の如く、本発明は、小型化されても比較的高い強度を有するクラッチ機構並びにクラッチ機構を含む処理装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクラッチ機構の展開斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るクラッチ機構の展開斜視図である。
【図3】リンク機構側からみたクラッチ機構の斜視図である。
【図4】第2弾性部材の作用を説明する模式図である。
【図5】第2部材に対する第1部材の動作を説明する模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るクラッチ機構の展開斜視図である。
【図7】図6に示されるクラッチ機構の主アームとスイッチの位置関係を示す斜視図である。
【図8】図6に示されるクラッチ機構のスイッチからの出力信号を概略的に示す図である。
【図9】図6に示されるクラッチ機構の制御部を概略的に示すブロック図である。
【図10】図9に示される制御部による制御を概略的に説明する図である。
【図11】図9に示される制御部による制御を概略的に説明する図である。
【図12】クラッチ機構が組み込まれた画像形成装置の斜視図である。
【図13】図12に示される画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
【図14】第1実施形態に係るクラッチ機構と現像装置との間の接続を概略的に示す斜視図である。
【図15】第2実施形態に係るクラッチ機構と現像装置との間の接続を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。更に、以下の説明で用いられる「シート」との用語は、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシートや画像を形成することが可能な他のシートを意味する。以下の説明で用いられる「処理装置」との用語は、駆動源から断続的に伝達される駆動力を用いて、所定の処理を行う任意の装置を意味する。以下の説明では、処理装置として、「シート」に画像形成処理を行う画像形成装置が示されるが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、処理装置は、物品に対する搬送処理を行う装置、物品に対する切断処理を行う装置、物品に対する穿孔処理を行う装置や物品に対して他の任意の処理を行う装置であってもよい。
【0032】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係るクラッチ機構の展開斜視図である。図2中のクラッチ機構は、図1に示されるクラッチ機構とは異なる方向から描かれている。尚、図1及び図2に示されるクラッチ機構の詳細な構造や配置は、本発明の原理を明確に説明するために示されるものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0033】
クラッチ機構1は、円板状の支持板2を備える。支持板2は、所定の処理を行う処理装置(例えば、画像形成装置)の筐体内部に配設されるとともに処理装置の処理に必要とされる様々な機器が取り付けられる取付板に固定される。したがって、支持板2は、様々な機器が主に配設される処理空間と、様々な機器を動作させる駆動設備が主に取り付けられる駆動空間との境界に配設されてもよい。
【0034】
クラッチ機構1は更に、処理空間内に配設される入力ギア3を備える。入力ギア3は、モータといった駆動源(図示せず)からの駆動力が入力される入力部として用いられる。クラッチ機構1は更に、入力ギア3と支持板2との間に配設される出力ギア4を備える。出力ギア4は、入力ギア3に入力された駆動力を受けて回転し、駆動力を出力する出力部として用いられる。クラッチ機構1は更に、入力ギア3と出力ギア4との間に配設される第1弾性部材5を備える。本実施形態において、第1弾性部材5として、コイルバネが用いられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、出力ギア4を支持板2に向けて付勢可能な任意の部材が第1弾性部材5として用いられてもよい。クラッチ機構1は更に、出力ギア4と支持板2との間に配設される略環状の第1部材6及び第2部材7を備える。第1部材6は、第2部材7内に収容可能に形成される。
【0035】
支持板2は、駆動空間側に窪んだ略円皿形状をなし、第1部材6及び第2部材7は、支持板2内に収容される。支持板2の略中心には、貫通孔21が形成される。貫通孔21に丸棒状の支持シャフト22(図1及び図2中、鎖線を用いて示される)が固定される。尚、図1及び図2中に示される支持シャフト22は、各構成要素との接続を明確にするため、実際より長く描かれている。支持シャフト22は、処理空間中で支持板2に対して直角方向に延びる。支持シャフト22は、環状に形成された第1部材6及び第2部材7を貫き、出力ギア4の中心に形成されたボス41及び入力ギア3の中心に形成されたボス31と嵌合される。第1弾性部材5は、入力ギア3と出力ギア4との間で支持シャフト22を巻回する。
【0036】
入力ギア3は、支持シャフト22に回転可能に取り付けられる。尚、入力ギア3は支持シャフト22の長手方向に移動しないように、支持シャフト22に取り付けられることが好ましい。一方、出力ギア4は、支持シャフト22の長手方向に移動可能であって且つ支持シャフト22周りに回転可能に、支持シャフト22に取り付けられる。
【0037】
支持板2には、第1部材6を支持するための貫通孔23と、第2部材7と支持板2との干渉を防ぐための弧状のスリット24とが形成される。貫通孔23は、第1貫通孔231と第2貫通孔232とを含む。スリット24は、第1スリット241と第2スリット242とを含む。第1貫通孔231及び第2貫通孔232の周囲には、駆動空間側へ突出するボスが形成される。第1貫通孔231及び第2貫通孔232は、貫通孔21を軸に互いに対称位置に形成される。第1スリット241及び第2スリット242は、貫通孔21を軸に互いに対称位置に形成される。また、貫通孔23とスリット24は略90°ピッチで支持板2に同心に形成される。
【0038】
第1部材6は、略環状に形成された第1環状部61と、第1環状部から支持板2に向けて延出する摺動アーム62とを含む。摺動アーム62は、第1貫通孔231に挿通される第1摺動アーム621と、第2貫通孔232に挿通される第2摺動アーム622とを含む。摺動アーム62が貫通孔23に挿通されることにより、第1部材6は支持板2に取り付けられる。摺動アーム62は、貫通孔23に対して、相補的な形状をなすので、貫通孔23への摺動アーム62の挿通は、第1部材6の支持板2に対する回転を抑制する。一方で、第1部材6は、貫通孔23と摺動アーム62とに案内されつつ、支持板2から離間する方向及び支持板2へ接近する方向へ移動可能である。
【0039】
第2部材7は、略環状に形成された第2環状部71と、第2環状部71から支持板2に向けて延出する可動アーム72とを含む。可動アーム72は、第1スリット241に挿通される第1可動アーム721と、第2スリット242に挿通される第2可動アーム622とを含む。可動アーム72がスリット24に挿通されることにより、第2部材7は支持板2に回転可能に取り付けられる。尚、第1スリット241及び/又は第2スリット242の弧長は、後述されるギア部827のギア歯が形成された弧長によって定められる第2部材7の回転範囲を含むように定められる。第2部材7は、出力ギア4のボス41の周囲にある円筒形状部分に支持されながら、支持板2に対し、所定範囲(第1回転位置と第2回転位置との間の範囲:後に詳述される)で回転する。摺動アーム62及び可動アーム72の先端は、支持板2を貫通し、駆動空間に現れる。
【0040】
クラッチ機構1は更に、駆動空間側に配設されるリンク機構8を備える。リンク機構8は、第2部材7と接続され、第2部材7を第1回転位置と第2回転位置の間で回転させるために用いられる。
【0041】
リンク機構8は、略平板棒状の主アーム81を含む。主アーム81の先端部には、第1接続孔811が形成され、主アーム81の長手方向中間位置には、第2接続孔812が形成される。支持板2を貫通した第2部材7の第1可動アーム721の先端部は、第1接続孔811に挿通される。支持板2を貫通した第2部材7の第2可動アーム722の先端部は、第2接続孔812に挿通される。かくして、支持板2は、第2部材7と主アーム81によって挟まれることとなる。主アーム81の基端部には、主アーム81の長手方向に延びる案内スリット813が形成される。
【0042】
リンク機構8は更に、揺動機構82を含む。揺動機構82は、略扇形状に形成された揺動部材821と、揺動部材821の先端部に接続された円筒状の接続片822と、揺動部材821の基端部周面に形成されたギア歯(例えば、ハスバギア)と噛み合うギア要素823(例えば、ウォームギア)が形成された揺動駆動源(例えば、モータ)824と、揺動駆動源824の周囲を取り囲むように形成されたハウジング825とを含む。接続片822は、支持板2に向けて延出し、主アーム81の案内スリット813に挿通される。主アーム81の先端部には、支持板2から離間する方向へ突出する突部814が形成される。揺動機構82は更に、第2弾性部材(例えば、コイルバネ)826を含む。第2弾性部材826の先端部は、主アーム81の突部814に係合可能に湾曲される。第2弾性部材826の基端部は、主アーム81の案内スリット813に挿通された接続片822に係合可能に湾曲される。
【0043】
揺動部材821は、周面にギア歯が形成された周面を有する略半円形状のギア部827と、ギア部827から接続片822へ向けて延びる連結部828とを含む。ギア部827の曲率中心位置に回転シャフト829が形成される。ハウジング825は、揺動駆動源824を取り囲む箱部830と、箱部830の外面から延出する取付アーム831とを含む。回転シャフト829の一端部は、取付アーム831に回転可能に接続される。回転シャフト829の他端部は、例えば、支持板2が取り付けられる取付板(図示せず)に回転可能に取り付けられる。
【0044】
図3は、クラッチ機構1の斜視図である。尚、図3において、支持板2、ハウジング825及び第2弾性部材820は示されていない。図3と併せて、図1及び図2を参照しつつ、リンク機構8の動作が説明される。
【0045】
揺動駆動源824には、例えば、正転及び逆転可能なモータが好適に用いられる。揺動駆動源824の回転シャフトにはギア要素823が取り付けられる。ギア要素823として、例えば、ウォームギアが好適に用いられる。ギア要素823には、揺動部材821のギア部827の周面に形成されたギア歯が噛み合う。揺動駆動源824が正転及び逆転すると、ギア要素823を介して、揺動駆動力(主アーム81を揺動させるための力)を揺動部材821へ伝達する。この結果、揺動部材821のギア部827は、回転シャフト829周りに回転する。ギア部827の周面のうちギア歯が形成される周面部分の中心角は全円角(360°)ではないので、ギア部827のギア歯が形成された弧長が揺動部材821の回転角の範囲を定める。したがって、揺動駆動源824は、ギア部827のギア歯が形成された弧長範囲で揺動部材821を往復回転動作させることができる。
【0046】
揺動部材821のギア部827が回転シャフト829周りに回転すると、回転シャフト829から離間した位置にある接続片822は、円弧軌跡を描いて移動する。この間、接続片822は、主アーム81に形成された案内スリット813に案内され、主アーム81の長手方向軸に沿って左右に移動する。接続片822に接続された主アーム81の基端部は、接続片822の移動に従って、左右に移動する。上述の如く、主アーム81は、第2部材72の第1可動アーム721及び第2可動アーム722と接続される。したがって、主アーム81は、第1可動アーム721と第2可動アーム722との中間位置を揺動中心軸Cとして、揺動することとなる。揺動中心軸Cは、同時に、第2部材72の回転中心軸となる。揺動中心軸Cから離間した位置に存する回転シャフト829(回転中心軸)周りに揺動部材821が往復回転し、主アーム81が揺動中心軸C周りに揺動している間、接続片822は案内スリット813に沿って、接続片822から揺動中心軸Cへ向かう線上で往復移動することとなる。
【0047】
主アーム81の揺動中心軸C周りの揺動の結果、第2部材72が所定範囲(ギア部827のギア歯が形成された弧長によって定められる揺動部材821の回転角の範囲)で、第2部材7は回転する。第2部材7の回転の間、第1可動アーム721と第2可動アーム722それぞれは、第1スリット241及び第2スリット242に沿う弧状軌跡を描いて移動する。
【0048】
図4は、第2弾性部材826の作用を説明する図である。図4(a)は、ギア部827のギア歯のうち一方の端に存するギア歯とギア要素823とが噛み合ったときのリンク機構8を概略的に示し、図4(b)は、ギア部827のギア歯のうち他方の端に存するギア歯とギア要素823とが噛み合ったときのリンク機構8を概略的に示す。図4と併せて、図1乃至図3を参照しつつ、リンク機構8の動作が更に説明される。尚、図4(a)に示される揺動部材821の回転位置は、便宜的に、第1回転位置と称され、図4(b)に示される揺動部材821の回転位置は、便宜的に、第2回転位置と称される。
【0049】
第2弾性部材826は、接続片822と主アーム81の814との間で伸長されるように揺動部材821と主アーム81との間に配設される。したがって、第2弾性部材826の基端部と接続される接続片822には、図3に示される主アーム81の揺動中心軸Cに向かう力Fが作用する。力Fは、回転シャフト829周りのモーメントMを揺動部材821に生じさせる。第1回転位置に揺動部材821があるとき、モーメントMは、第2回転位置に揺動部材821を促すように、ギア部827のギア歯とギア要素823との噛み合いに作用する。第2回転位置に揺動部材821があるとき、モーメントMは、第1回転位置に揺動部材821を促すように、ギア部827のギア歯とギア要素823との噛み合いに作用する。この結果、揺動駆動源824の正転・逆転動作に伴う揺動部材821の回転並びに主アーム81の揺動が円滑に行われることとなる。
【0050】
図1乃至図3を再度参照し、主アーム81の揺動によって生ずる第2部材7の回転に伴う第1部材6の動作が説明される。
【0051】
第1部材6の第1摺動アーム621及び第2摺動アーム622は、支持板2の第1貫通孔231及び第2貫通孔232に挿通されているので、第2部材7の回転している間も第2部材7に収容された第1部材6は回転しない。図1及び図2に示される如く、第1部材6の第1環状部61は、支持シャフト22の長手方向に長い一対の長壁部611と、一対の長壁部611を接続する一対の接続弧部612とを含む。一対の長壁部611の一端部それぞれから第1摺動アーム621及び第2摺動アーム622が延出する。一対の長壁部611の他端部それぞれに、支持シャフト22の長手方向軸に対して傾斜した第1スライド面613が形成される。
【0052】
第2部材7の第2環状部71の内周面には、略台形柱状の一対の突出部711が形成される。一対の突出部711それぞれは、第1部材6が第2部材7に収容されている間、一対の長壁部611の間に配設されることとなる。突出部711の縁には、第2スライド面712が形成される。
【0053】
図5は、第1部材6と第2部材7の展開図である。図5(a)は、第2部材7が第1回転位置にあるときの第1部材6と第2部材7との間の位置関係を示し、図5(b)は、第2部材7が第2回転位置にあるときの第1部材6と第2部材7との間の位置関係を示す。図5と併せて、図1及び図2を参照しつつ、第2部材7の回転に伴う第1部材6の動作が更に説明される。
【0054】
第1回転位置にある第2部材7は、第1部材6を収容する。したがって、第1部材6の第1スライド面613と第2部材7の第2スライド面712は互いに対向するとともに接触する。第2部材7が回転し、第2スライド面712が第1スライド面613に向けて移動すると、上述の如く、第1部材6は、摺動アーム62によって回転を抑制されているため、第1スライド面613と第2スライド面712とによって、第2部材7から押し出されるように移動することとなる。尚、第2部材7が、第2回転位置に達し、第1部材6が第2部材7から最大限押し出されたときも、第1部材6の摺動アーム61は、支持板2の貫通孔23に挿通されている。したがって、第1部材6がクラッチ機構1から脱落することが抑制される。
【0055】
第2部材7が第1回転位置から第2回転位置に向けて回転すると、第1弾性部材5の付勢力により、第1部材6は、第2部材7内に押し込まれることとなる。かくして、揺動駆動モータ824の正転逆転に伴い、第1部材6は、第2部材7に対して、出没を繰り返すこととなる。
【0056】
図1及び図2に示される如く、第1部材6に隣接する出力ギア4は、第1部材6が第2部材7内に収容されている間、第1弾性部材5によって、入力ギア3から離間される。したがって、第2部材7が第1回転位置にあるとき、駆動源から入力ギア3へ伝達された駆動力は出力ギア4に伝達されず、出力ギア4は駆動力を出力しない。第2部材7が、第2回転位置に回転し、第1部材6が第2部材7から押し出されると、第1部材6は、出力ギア4を入力ギア3に押しつけることとなる。
【0057】
図1及び図2に示される如く、入力ギア3は、放射状に拡がる3つの突出空間を形成するとともに出力ギア4に向けて延びる突出部32を含む。出力ギア4は、入力ギア3の突出部32と相補的な内部空間を形成するとともに入力ギア3に向けて突出する突出部42を含む。上述の如く、出力ギア4が入力ギア3に押しつけられると、出力ギア4の突出部42は、入力ギア3の突出部32と噛み合うこととなる。この結果、入力ギア3から出力ギア4に向けて駆動源からの駆動力が伝達され、出力ギア4から駆動力が出力されることとなる。
【0058】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係るクラッチ機構1の展開斜視図である。第2実施形態に係るクラッチ機構1の構成は、図1乃至図5に関連して説明された第1実施形態に係るクラッチ機構1の構成と略同様であり、以下に、第1実施形態に係るクラッチ機構1と第2実施形態に係るクラッチ機構1との相違点が説明され、共通する部分の説明は省略される。尚、第2実施形態に係るクラッチ機構1の要素のうち、第1実施形態に係るクラッチ機構の要素と共通或いは類似する要素には、図1乃至図5に関連する説明に用いられた符号と同様の符号が用いられている。
【0059】
第2実施形態に係るクラッチ機構1は、揺動部材821をギア部827のギア歯が形成された弧長範囲で揺動部材821を往復回転動作させるように揺動駆動源824を制御する制御部を含む。制御部は、スイッチ841を含む。スイッチ841は、例えば、図6に示されるように、ハウジング825の箱部830に取り付けられる。
【0060】
図7は、スイッチ841と主アーム81との間の位置関係を示す斜視図である。図7(a)は、第1回転位置にある第2部材7を有するクラッチ機構1の斜視図であり、図7(b)は、第2回転位置にある第2部材7を有するクラッチ機構1の斜視図である。図7と併せて、図6を参照しつつ、スイッチ841と主アーム81との間の位置関係が説明される。尚、図7において、支持板2は省略されている。
【0061】
スイッチ841は、スイッチ841のオン・オフを操作するためのボタン842を含む。ボタン842は、スイッチ841を構成する電子機器を収容する筐体843内に出没可能に形成される。主アーム81及び揺動部材821のうち少なくとも一方は、第1回転位置と第2回転位置との間で第2部材7を回転させる間、ボタン842を押圧するように配設される。図7に示されるクラッチ機構1において、第1回転位置に第2部材7が存するとき、主アーム81は、ボタン842から離間し、ボタン842は筐体843から突出している。また、第2回転位置に第2部材7が存するとき、主アーム81は、ボタン842を押圧し、筐体843内に没入させている。
【0062】
図8は、スイッチ841からの出力信号を例示するグラフである。図8と併せて、図7を参照しつつ、スイッチ841からの出力が説明される。
【0063】
図8に示される如く、ボタン842が押圧されている間、スイッチ841は、高い電圧VHの信号を出力し、ボタン842が押圧されていない間、スイッチ841は、低い電圧VLの信号を出力する。代替的に、ボタン842が押圧されていない間、スイッチ841は、高い電圧VHの信号を出力し、ボタン842が押圧されている間、スイッチ841は、低い電圧VLの信号を出力する。かくして、ボタン842は、スイッチ841の切り換えを行うために用いられる。
【0064】
図9は、制御部の構成を概略的に示すブロック図である。図9と併せて、図7及び図8を参照しつつ、制御部が説明される。
【0065】
制御部840は、スイッチ841に加えて、信号生成部844を含む。スイッチ841から出力された信号は信号生成部844に入力される。信号生成部844は、スイッチ841からの信号の電圧レベルの変化に基づき、スイッチ841のオン・オフの切り換えを判別する。信号生成部844は更に、スイッチ841のオン・オフの切り換えに基づき、互いに異なる制御を揺動駆動源824に与える第1信号及び第2信号を選択的に揺動駆動源824に出力する。揺動駆動源824は、第1信号を受けて、第1回転位置から第2回転位置に第2部材7が回転する方向(第1方向)に揺動部材821を回転動作させるように駆動してもよい。この場合、揺動駆動源824は、第2信号を受けて、第2回転位置から第1回転位置に第2部材7が回転する方向(第2方向)に揺動部材821を回転動作させるように駆動する。代替的に、揺動駆動源824は、第1信号を受けて、第2回転位置から第1回転位置に第2部材7が回転する方向(第1方向)に揺動部材821を回転動作させるように駆動してもよい。この場合、揺動駆動源824は、第2信号を受けて、第1回転位置から第2回転位置に第2部材7が回転する方向(第2方向)に揺動部材821を回転動作させるように駆動する。
【0066】
図10及び図11は、信号生成部844による揺動駆動源824に対する制御を説明する図である。図10(a)及び図11(a)は、スイッチ841の信号が高い電圧レベルと低い電圧レベルとの間で切り替わる切り換え時点におけるクラッチ機構1を示す。図10(b)及び図11(b)それぞれは、図10(a)及び図11(a)に示されるクラッチ機構1の第1部材6と第2部材7との間の位置関係を示す展開図である。図10(c)は、図10に示されるクラッチ機構1の主アーム81がスイッチ841のボタン842を押圧する方向(即ち、第2部材7が第2回転位置に向けて回転する方向)に回転するときの信号生成部844からの出力信号を示す。図11(c)は、図11に示されるクラッチ機構1の主アーム81がスイッチ841のボタン842から離間する方向(即ち、第2部材7が第1回転位置に向けて回転する方向)に回転するときの信号生成部844からの出力信号を示す。図10(d)は、第2位置に到達した第2部材7を有するクラッチ機構1を示す。図10(e)は、図10(d)に示されるクラッチ機構1の第1部材6と第2部材7との間の位置関係を示す展開図である。図11(d)は、第1位置に到達した第2部材7を有するクラッチ機構1を示す。図11(e)は、図11(d)に示されるクラッチ機構1の第1部材6と第2部材7との間の位置関係を示す展開図である。図10及び図11と併せて、図6及び図9を参照しつつ、信号生成部844による揺動駆動源824に対する制御が説明される。
【0067】
スイッチ841は、第1スライド面613と第2スライド面712との間の摺動が完了する時点TS(図10(b)参照)及び/又は第1スライド面613と第2スライド面712との間の摺動が完了する時点TSにおいて、高い電圧レベルVHと低い電圧レベルVLとの間で出力が切り換えられるように設置される(図10(c)及び図11(c)参照)。尚、本実施形態は、図10及び図11に示されるスイッチ841の設置に限定されるものではなく、スイッチ841は、第2部材7が第1回転位置と第2回転位置との間で回転する間に、電圧レベルの切り換え(即ち、オン・オフの切り換え)がなされるように設置されてもよい。
【0068】
図10に示されるように、スイッチ841からの出力信号に基づき、主アーム81がスイッチ841のボタン842を押圧する方向に移動するとき、スイッチ841から信号入力を受ける信号生成部844は、低い電圧レベルVLから高い電圧レベルVHに入力信号の電位が変化したことを検出する。低い電圧レベルVLから高い電圧レベルVHに入力信号の電位が変化した時刻(即ち、切り換え時点TS)を基準として、タイマといった計時素子を用いて、信号生成部844は、切り換え時点TSからの経過時間を測定する。切り換え時点TSから所定の時間(第1期間)が経過した後、信号生成部844は、スイッチ841のボタン842を押圧する方向への主アーム81の回転動作(即ち、第2位置へ向かう第2部材7の回転動作)を停止させるように揺動駆動源824を制御する(即ち、停止させる)。上記の第1期間は、ギア要素823とギア部827との間の噛み合いが大きく外れることがないように、ギア部827のギア歯が形成された弧長寸法に基づき、適宜定められる。この結果、ギア要素823とギア部827との間の噛み合いが大きく外れることが抑制される。その後、スイッチ841のボタン842から離間する方向への主アーム81が回転するように(即ち、第1位置へ向けて第2部材7を回転させるように)、信号生成部844は、揺動駆動源824に駆動信号(第1信号又は第2信号)を出力する。上述の如く、制御部840の制御により、ギア要素823とギア部827との噛み合いが大きく外れることが抑制されているので、スイッチ841のボタン842から離間する方向への主アーム81が回転するように、揺動駆動源824が動作し、ギア要素823とギア部827とが再度噛み合うときの異音の発生が抑制されることとなる。
【0069】
図11に示されるように、第1位置へ向けて第2部材7が回転する間、主アーム81は、ボタン842から離間する方向へ移動する。主アーム81のボタン842に対する押圧が解除されると、スイッチ841から出力される信号は、高い電圧VHから低い電圧VLに変化する。スイッチ841から信号入力を受ける信号生成部844は、高い電圧レベルVHから低い電圧レベルVLに入力信号の電位が変化したことを検出する。高い電圧レベルVHから低い電圧レベルVLに入力信号の電位が変化した時刻(即ち、切り換え時点TS)を基準として、タイマといった計時素子を用いて、信号生成部844は、切り換え時点TSからの経過時間を測定する。切り換え時点TSから所定の時間(第2期間)が経過した後、信号生成部844は、スイッチ841のボタン842から離間する方向への主アーム81の回転動作(即ち、第1位置へ向かう第2部材7の回転動作)を停止させるように揺動駆動源824を制御する(即ち、停止させる)。上記の第2期間は、ギア要素823とギア部827との間の噛み合いが大きく外れることがないように、ギア部827のギア歯が形成された弧長寸法に基づき、適宜定められる。この結果、ギア要素823とギア部827との間の噛み合いが大きく外れることが抑制される。その後、スイッチ841のボタン842から離間する方向への主アーム81が回転するように(即ち、第1位置へ向けて第2部材7を回転させるように)、信号生成部844は、揺動駆動源824に駆動信号(第2信号又は第1信号)を出力する。上述の如く、制御部840の制御により、ギア要素823とギア部827との噛み合いが大きく外れることが抑制されているので、スイッチ841のボタン842を押圧する方向への主アーム81が回転するように、揺動駆動源824が動作し、ギア要素823とギア部827とが再度噛み合うときの異音の発生が抑制されることとなる。
【0070】
図12は、図1乃至図11に関連して説明された第1実施形態又は第2実施形態に係るクラッチ機構1が組み込まれた処理装置の一例として示される画像形成装置の斜視図である。図12に示される画像形成装置は、いわゆる胴内排紙型の複写機であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。
【0071】
画像形成装置10は、略直方体形状の筐体11と、筐体11に内蔵された画像形成部12及び定着部13と、筐体11内でシートを貯留する貯留部14と、筐体11の中段に形成された排出部15と、筐体11の上部に設けられた画像読み取り部16並びに操作部17とを備える。筐体11は、画像形成部12、定着部13及び貯留部14を内蔵する略直方体形状の下部筐体111と、画像読み取り部16並びに操作部17が備えられる扁平な略直方体形状の上部筐体112と、下部筐体111と上部筐体112とを連結する平面視略L字形状の連結筐体113とを含む。連結筐体113は、筐体11の左縁及び背面縁に沿って延びる。下部筐体111の上面、上部筐体112の下面及び連結筐体113の右面は、内方へ窪んだ排出部15を形成する。
【0072】
操作部17は、上部筐体112の正面部分を構成する。操作部17は、テンキー171、LCDタッチパネル172及び他の操作キーを含む。操作部17は、画像形成処理に関する情報を入力可能に形成される。使用者は、例えば、テンキー171を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、LCDタッチパネル172を通じて、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0073】
図13は、図12に示される画像形成装置10の内部構造を概略的に示す。図13と併せて、図12を参照しつつ、画像形成装置10が更に説明される。
【0074】
使用者は、画像読み取り部16を通じて、所望の原稿の画像を画像形成装置10に読み取らせることができる。画像読み取り部16は、上部筐体112の上面に取り付けられるコンタクトガラス161と、コンタクトガラス161上で回動する押さえカバー162とを含む。使用者は、押さえカバー162を上方に回動させ、コンタクトガラス161上に所望の原稿を載置し、押さえカバー162を下方に回動させ、コンタクトガラス161上の原稿を押さえることができる。上部筐体111内には、走査機構163が配設される。使用者が、例えば、操作部17を通じて、画像形成装置10を作動させると、走査機構163は、コンタクトガラス161上の原稿の画像を走査して読み取る。走査機構163によって読み取られた画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換される。画像形成装置10は、デジタル信号に基づき、シートPに画像を形成する。
【0075】
シートPは、貯留部14から供給される。貯留部14は、下部筐体111に着脱自在に挿入される給紙カセット142と、下部筐体111の右面に回動自在に取り付けられる手差しトレイ141とを含む。給紙カセット142は、略直方体形状の箱であり、給紙カセット142の上部は開口している。カセット142内には、複数のシートPが積層されてなるシート束P1が貯留される。カセット142の左縁上方にピックアップローラ143が配設され、カセット142ではシート束P1の左縁(先頭縁)が押し上げられ、シート束P1の左縁がピックアップローラ143に当接させる。ピックアップローラ143は、シート束P1から1枚ずつシートPを、搬送路110へ送り出す。搬送路110の途中部に設けられた搬送ローラ対は、後述の第2転写ローラ113と中間転写ベルト125で形成された2次転写ニップにシートPを送る。尚、本実施形態では、1つの給紙カセット142が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2以上の積層された給紙カセット142が貯留部14に用いられてもよい。
【0076】
手差しトレイ141の下縁部に支持シャフト141aが形成されている。手差しトレイ141は、支持シャフト141a周りに回動可能に下部筐体111の右面に取り付けられる。手差しトレイ141は、下部筐体111の右面に沿い、給紙口を閉止する閉止位置と、右方へ突出する開放位置との間で回動可能である。開放位置にある手差しトレイ141は、シートPを支持可能である。手差しトレイ141上のシートPは、給紙ローラ144等によって、下部筐体111に内蔵された後述の第2転写ローラ113と中間転写ベルト125で形成された2次転写ニップへ送られる。
【0077】
下部筐体111の正面壁には、メンテナンスドア19が上下に回動可能に取り付けられる。使用者は、メンテナンスドアを開け、貯留部14から送られた後、下部筐体111内で詰まったシートPを除去することができる。
【0078】
画像形成部12は、貯留部14から送られたシートPにトナー画像を形成する。下部筐体111内のカセット142の上方には、マゼンダ色のトナーでトナー画像を形成するマゼンダ用ユニット12M、シアン色のトナーでトナー画像を形成するシアン用ユニット12C、イエロ色のトナーでトナー画像を形成するイエロ用ユニット12Y及びブラック色のトナーでトナー画像を形成するブラック用ユニット12Kが配設される。マゼンダ用ユニット12M、シアン用ユニット12C、イエロ用ユニット12Y及びブラック用ユニット12Kは、右方から左方に順次配設されている。
【0079】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kは、感光体ドラム121及び感光体ドラム121にトナーを供給する現像装置122を備える。感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成された後、現像装置122からトナーが供給され、静電潜像に対応するトナー像(可視像)が形成される。現像装置122は、本実施形態において、図1乃至図5に関連して説明されたクラッチ機構1を介して、駆動源からの駆動力を断続的に伝達され、感光体ドラム121へのトナー供給処理を行う処理ユニットとして用いられるが、クラッチ機構1が他の処理装置に用いられる場合には、他の処理を行う機器が処理ユニットとして用いられてもよい。
【0080】
図13中の感光体ドラム121は反時計回りに回転する。感光体ドラム121に形成されたトナー像は、感光体ドラム121の上方を移動する中間転写ベルト125に転写される。
【0081】
下部筐体111には、マゼンダ色のトナー、シアン色のトナー、イエロ色のトナー及びブラック色のトナーをそれぞれ収容する4つのトナーカートリッジ20が着脱自在に取り付けられる。これらトナーカートリッジ20は、中間転写ベルト125と排出部15との間に位置する。各トナーカートリッジ20から各ユニット12M,12C,12Y,12Kに向けてトナー補給ダクト(図示せず)が延び、各ユニット12M,12C,12Y,12Kへトナーが補給される。本実施形態において、マゼンダ色のトナー、シアン色のトナー、イエロ色のトナー及びブラック色のトナーからなる群から選択される一の色が、第1色として選択され、他の色が、第2色として用いられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、互いに異なる2つの任意の色が第1色及び第2色として選択されてもよい。本実施形態において、マゼンダ色のトナー、シアン色のトナー、イエロ色のトナー及びブラック色のトナーからなる群から選択される一の色を感光体ドラム121へ供給する現像装置122が第1現像装置として用いられ、本実施形態において、マゼンダ色のトナー、シアン色のトナー、イエロ色のトナー及びブラック色のトナーからなる群から選択される他の色を感光体ドラム121へ供給する現像装置122が第2現像装置として用いられるが、本発明はこれに限られるものではなく、互いに異なる任意の2つの色を感光体ドラム121といった像担持体に供給する現像装置122が第1現像装置及び第2現像装置とされてもよい。
【0082】
画像形成部12は、各ユニット12M,12C,12Y,12Kの感光体ドラム121の下方に設けられた帯電装置123と、帯電装置123の下方に設けられた露光装置124とを更に含む。帯電装置123は、感光体ドラム121の周面を一様に帯電させる。露光装置124は、読取られた原稿に応じたデジタル信号に基づき、レーザ光を帯電された感光体ドラム121の周面に照射する。この結果、各ユニット12M,12C,12Y,12Kの感光体ドラム121の周面には、原稿の各色成分に対応した静電潜像が形成されることとなる。その後、現像装置122は、感光体ドラム121の周面にトナーを供給し、静電潜像にトナーが静電的に付着し、トナー画像が形成される。
【0083】
各感光体ドラム121上方の中間転写ベルト125は、左方の駆動ローラ125aと右方の従動ローラ125bとの間で延びる。下側に位置する中間転写ベルト125(左方へ向けて移動する)の下面は、各感光体ドラム121の周面に当接する。中間転写ベルト125の外周面は、トナーを担持する面として用いられる。各感光体ドラム121の上方には、転写ローラ126が配設される。転写ローラ126によって、中間転写ベルト125は感光体ドラム121の周面に押しつけられながら、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間に、テンションローラ125cが配設されている。テンションローラ125cは、例えば、付勢部材(図示せず)によって、上方に付勢されている。付勢部材によって上方に押し上げられたテンションローラ125cは、従動ローラ125bの近くで、上方に突出した山型の中間転写ベルト125の輪郭を作り出し、中間転写ベルト125に張力を生じさせる。
【0084】
中間転写ベルト125の周回の間、マゼンダ用ユニット12Mの感光体ドラム121が中間転写ベルト125にマゼンダトナーのトナー像を転写する。その後、マゼンダ色のトナー像上に、シアン用ユニット12Cがシアントナーのトナー像を転写する。更にその後、マゼンダトナーとシアントナーとが重ね合わせられてなるトナー像上に、イエロ用ユニット12Yがイエロトナーのトナー像を転写する。最後に、マゼンダトナー、シアントナー及びイエロトナーが重ね合わせられてなるトナー像上に、ブラック用ユニット12Kがブラックトナーのトナー像を転写し、フルカラートナー像が完成する。中間転写ベルト125上で完成されたフルカラートナー像は貯留部14から搬送されたシートPに転写される。
【0085】
画像形成部の左方において、搬送路110が上下方向に延びる。搬送路110は、搬送ローラ対112を含む。貯留部14から搬送されたシートPは、搬送ローラ対112によって搬送されるとともに搬送路110によって案内され、後述の第2転写ローラ113と中間転写ベルト125で形成された2次転写ニップへ向かう。搬送路110は、第2転写ローラ113を含む。第2転写ローラ113は、中間転写ベルト125が巻回された駆動ローラ125aに対向し、中間転写ベルト125の外周面に当接し、2次転写ニップ部を形成する。搬送路110に案内され、中間転写ベルト125と第2転写ローラ113との間の2次転写ニップ部に送られたシートPは、中間転写ベルト125と第2転写ローラ113によって押圧挟持され、中間転写ベルト125上で完成されたフルカラートナー像がシートPに転写される。
【0086】
画像形成装置10は更に、クリーニング装置128を備える。クリーニング装置128はシートPへのトナー画像の転写(一般に、二次転写と称される)後に中間転写ベルト125上に残留したトナーを除去し、中間転写ベルト125を清浄化する。クリーニング装置128は従動ローラ125bに対向して配設される。
【0087】
定着部13は、画像形成部によってシートP上に転写されたトナー像に対して定着処理を行う。定着部13は、加熱ローラ131と、加熱ローラ131に対向して配設される定着ローラ132と、加熱ローラ131と定着ローラ132との間で延びる定着ベルト133と、定着ローラ132と対向して(圧接して)配設される加圧ローラ134とを含む。加熱ローラ131は、加熱源として用いられる通電発熱体を内蔵する。
【0088】
トナー像を担持したシートPは、定着部13に搬送される。シートPが加圧ローラ134と高温の定着ベルト133との間を通過する間、トナー像は定着ベルト133から熱を受け、シートPに定着される。
【0089】
定着部13による定着処理が完了し、カラー印刷が終了する。カラー印刷が施与されたシートPは、定着部13から上方に延びる搬送路114に案内され、連結筐体113の右面から排出部15に排出される。下部筐体111の上面は、カラー印刷が施与されたシートPを支持する排紙トレイ151として用いられる。
【0090】
中継装置60は、下部筐体111内において、下部筐体111の正面壁に沿って配設される。中継装置60の上面は、各トナーカートリッジ20の前端を支持可能に形成される。中継装置60の背面側に画像形成装置の構成要素(感光体ドラム121,中間転写ベルト125、現像装置122、帯電装置123)が配設される。中継装置60は、トナーカートリッジ20から中間転写ベルト125の下方に配設される各現像装置122に向けて供給されるトナーを案内する。
【0091】
中継装置60は、更に、転写工程後に生じた廃トナーを収容する役割を担う。各感光体ドラム121の左方には、クリーニング装置127が配設される。クリーニング装置127は、中間転写ベルト125へのトナー像の転写(一次転写と称される)を終えた感光体ドラム121の周面に残留するトナーを除去し、除去されたトナーは、廃トナーとして中継装置60内に収容される。クリーニング装置127により清浄化された感光体ドラム121の周面は、帯電装置123へ向かい、新たに、帯電処理を施与される。また、クリーニング装置128が、中間転写ベルト125の右方において、従動ローラ125bに対向して配設される。クリーニング装置128は、シートPへのトナー像の転写(二次転写と称される)を終えた中間転写ベルト125の外周面に残留するトナーを除去し、除去されたトナーは、廃トナーとして中継装置60内に収容される。クリーニング装置128により清浄化された中間転写ベルト125の外周面は、その後、各感光体ドラム121から新たなトナー像の転写を受ける。
【0092】
図14は、図12及び図13に関連して説明された現像装置122の駆動部に接続された第1実施形態に係るクラッチ機構1を例示する。図15は、図12及び図13に関連して説明された現像装置122の駆動部に接続された第2実施形態に係るクラッチ機構1を例示する。図14及び図15と併せて、図1、図2、図6、図12及び図13を参照しつつ、現像装置122の駆動が説明される。
【0093】
図12及び図13に関連して説明された画像形成装置10において、クラッチ機構1は、2乃至4の現像装置122に対し、断続的に駆動力を伝達可能である。図14及び図15には、現像装置122を駆動させるための駆動力を生成する駆動源(図示せず)と接続された駆動ギアDが示される。駆動ギアDは、入力ギア3と噛み合い、入力ギア3は駆動ギアDとともに回転する。上述の如く、第1部材6が第2部材7中に収容されている間、出力ギア4は、入力ギア3から離間している。したがって、入力ギア3が回転している間、出力ギア4は、静止している。
【0094】
揺動駆動源824が作動し、ギア要素823が回転すると、揺動部材821が回転シャフト829周りに回転する。この結果、主アーム81が揺動する。主アーム81が揺動し、第2部材7が第2回転位置に達すると、第1部材6は第2部材7から押し出されるとともに出力ギア4を入力ギア3に向けて押しつける。この結果、出力ギア4の突出部42が入力ギア3の突出部32と噛み合い、入力ギア3に伝達された駆動力が出力ギア4へ伝達されることとなる。出力ギア4は、現像装置122の駆動部に連なる複数のギアGと連結される。したがって、入力ギア3からの駆動力を受けて、出力ギア4が回転すると、出力ギア4と連結された現像装置122のギアGが回転し、現像装置122が動作することとなる。
【0095】
揺動駆動源824が逆転すると、上記された工程の逆の工程を経て、第1弾性部材5によって出力ギア4が入力ギア3から離間される。この結果、出力ギア4並びに出力ギア4に連結される現像装置122のギアGが停止することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本実施形態は、駆動源から断続的に伝達される駆動力を用いて所定を行う処理装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0097】
1・・・・・・クラッチ機構
10・・・・・画像形成装置
121・・・・感光体ドラム
122・・・・現像装置
2・・・・・・支持板
23・・・・・貫通孔
24・・・・・スリット
3・・・・・・入力ギア
4・・・・・・出力ギア
5・・・・・・第1弾性部材
6・・・・・・第1部材
613・・・・第1スライド面
62・・・・・摺動アーム
7・・・・・・第2部材
712・・・・第2スライド面
72・・・・・可動アーム
8・・・・・・リンク機構
81・・・・・主アーム
82・・・・・揺動機構
821・・・・揺動部材
822・・・・接続片
823・・・・ギア要素
824・・・・揺動駆動源
826・・・・第2弾性部材
827・・・・ギア部
840・・・・制御部
841・・・・スイッチ
842・・・・ボタン
844・・・・信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された支持板と、
該支持板に回転可能に取り付けられるとともに、駆動源からの駆動力が入力される入力部と、
前記支持板と前記入力部との間に配設されるとともに、前記入力部から前記駆動力を受けて回転するように前記支持板に取り付けられる出力部と、
前記入力部と前記出力部との間に配設されるとともに、前記出力部を前記支持板に向けて付勢する第1弾性部材と、
前記出力部と前記支持板との間に配設されるとともに、前記貫通孔に挿通される摺動アームと、第1スライド面とを含む第1部材と、
該第1部材を収容可能に形成されるとともに、前記第1スライド面と対向して形成される第2スライド面とを含む第2部材と、を備え、
前記貫通孔への前記摺動アームの挿通は、前記支持板に対する前記第1部材の回転を抑制するとともに前記支持板に接近する方向及び離間する方向への前記第1部材の移動を可能にし、
該第2部材が、前記第1部材が前記第2部材に収容される第1回転位置にあるとき、前記出力部は前記第1弾性部材によって、前記入力部から離間され、前記駆動力を出力せず、
前記第2スライド面が前記第1スライド面に向かうように、前記第2部材が前記第1回転位置から第2回転位置に回転すると、前記第1スライド面及び前記第2スライド面によって前記第1部材は前記第2部材から押し出されるとともに、前記出力部を前記入力部に押しつけ、前記出力部は前記入力部からの前記駆動力を出力することを特徴とするクラッチ機構。
【請求項2】
前記第1回転位置と前記第2回転位置との間で前記第2部材を回転させるリンク機構を更に備え、
前記支持板には、弧状に形成されたスリットが更に形成され、
前記第2部材は、前記スリットに挿通される可動アームを更に含み、
前記リンク機構は、前記第2部材を伴って前記支持板を挟むように配設されるとともに、前記可動アームに接続される主アームと、
前記第2部材の回転中心軸線上の揺動中心軸周りに前記主アームを揺動させる揺動機構を含むことを特徴とする請求項1記載のクラッチ機構。
【請求項3】
前記揺動機構は、前記主アームに接続されるとともに前記揺動中心軸から延びる線上で移動可能な接続片と、
該接続片と接続されるとともに該接続片から離間した位置に存する回転中心軸周りで回転する揺動部材と、
該揺動部材を所定の範囲で往復回転動作させる揺動駆動源と、を含むことを特徴とする請求項2記載のクラッチ機構。
【請求項4】
前記揺動部材は、ギア歯が形成される周面を含むギア部を含み
前記揺動駆動源は、前記ギア歯と噛み合うギア要素に前記揺動部材を回転させるための揺動駆動力を伝達し、
前記ギア歯が形成される前記周面の中心角は全円角でないことを特徴とする請求項3に記載のクラッチ機構。
【請求項5】
前記揺動機構は、前記揺動部材を所定範囲で往復回転動作させるように前記揺動駆動源を制御する制御部を更に含むことを特徴とする請求項4記載のクラッチ機構。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2部材の前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の回転の間に、オン・オフの切り換えがなされるスイッチと、
前記揺動部材を第1方向に回転動作させるように前記揺動駆動源を制御するための第1信号と、前記揺動部材を前記第1方向とは逆の第2方向に回転動作させるように前記揺動駆動源を制御するための第2信号と、を生成する信号生成部と、を含み、
前記オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第1期間経過後に、前記信号生成部は、前記第1方向への前記揺動部材の回転動作を停止させるように前記揺動駆動源を制御し、
前記オン・オフの切り換えがなされた切り換え時点から第2期間経過後に、前記信号生成部は、前記第2方向への前記揺動部材の回転動作を停止させるように前記揺動駆動源を制御することを特徴とする請求項5記載のクラッチ機構。
【請求項7】
前記スイッチは、前記オン・オフの切り換えを操作するためのボタンを含み、
前記主アーム及び前記揺動部材のうち少なくとも一方は、前記ボタンを押圧するように配設されることを特徴とする請求項6記載のクラッチ機構。
【請求項8】
前記揺動機構は更に、前記ギア部材の前記回転中心軸周りのモーメントを与えるように配設される第2弾性部材を更に備え、
該第2弾性部材は、前記ギア部を前記揺動中心軸方向に付勢することを特徴とする請求項4乃至7いずれか1項に記載のクラッチ機構。
【請求項9】
駆動源と、
該駆動源からの駆動力によって所定の動作を行う処理ユニットと、
前記駆動源から前記処理ユニットへ前記駆動力を断続的に伝達可能に形成された請求項1乃至8いずれか1項に記載のクラッチ機構と、を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項10】
シートに転写されるトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体にトナーを供給する現像装置と、
前記現像装置を動作させるための駆動力を発生させる駆動源と、
該駆動源から前記現像装置へ前記駆動力を断続的に伝達可能に形成された請求項1乃至8いずれか1項に記載のクラッチ機構と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記現像装置は、第1色のトナーを供給する第1現像装置と、該第1色と異なる色の第2色のトナーを供給する第2現像装置と、を含み、
該第2部材が前記第1回転位置にあるとき、前記出力部は、前記駆動力を前記第1現像装置及び前記第2現像装置へ出力せず、
該第2部材が前記第2回転位置にあるとき、前記出力部は、前記駆動力を前記第1現像装置及び前記第2現像装置へ出力することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−149548(P2011−149548A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42940(P2010−42940)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】