説明

ゲートシステム

【課題】機密文書を不正に持ち出す者を捕捉することができるゲートシステムを提供する。
【解決手段】ゲートシステム1は、個人認証部10と、開閉部12と、壁14と、タグ検知センサー16と、制御部18と、通路22とを有する。開閉部12は通路22の両端に設けられており、個人認証に基づいて開閉される。通路22は、2つの開閉部12の少なくともいずれかが開状態である場合に入退が可能になり、2つの開閉部22が閉状態である場合に入退が不可能になるように形成されている。タグ検知センサー16は、通路22に設けられ、例えば大バルクハウゼン効果式タグ等の被検知物を検知する。制御部18は、タグ検知センサー16により被検知物が検知された場合、2つの開閉部12が閉状態を保つように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室を管理するゲートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入退室管理システムでは、権限のない者の事業所などへの入場や退場が抑止される。例えば、以下のような入退室管理システムが挙げられる。
【0003】
特許文献1では、ID入退管理装置で入退者の識別と同時に入・退をも識別するID入退管理システムが開示されている。
特許文献2では、同一のカード式ゲート装置を入場用、あるいは退場用に使い分けて効率よく運用できるようにした入退場用のカード式ゲート装置が開示されている。
【0004】
特許文献3では、ゲートで人の流れを円滑にしつつ不法侵入を防止できる入退場者管理システムが開示されている。
特許文献4では、移動する人物の正面の顔画像を安定して取得することができ、認証性能が著しく向上する顔認証装置及び入退場管理装置が開示されている。
【0005】
特許文献5では、建物、催事場等への入場者及び退場者を1台の指紋照合装置で判定できる手法が開示されている。
特許文献6では、正規の通行者の後ろに付いて正規でない者が一緒にゲートを通過する不正入退出を防止し、構成が簡易で経済的な入退出管理装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−314988号公報
【特許文献2】特開平7−57123号公報
【特許文献3】特開平11−185087号公報
【特許文献4】特開2006−236244号公報
【特許文献5】特開2004−11284号公報
【特許文献6】特開2006−195881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜6に開示された手法では、機密文書の不正な持ち出し行為を抑止することはできない。
【0008】
本発明は、機密文書を不正に持ち出す者を捕捉することができるゲートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るゲートシステムは、個人認証に基づいて開閉される2つの入退用開閉部と、前記2つの入退用開閉部の少なくともいずれかが開状態である場合に入退が可能になり、前記2つの入退用開閉部が閉状態である場合に入退が不可能になるように形成された通路と、前記通路に設けられ、被検知物を検知する検知手段と、前記検知手段により被検知物が検知された場合、前記2つの入退用開閉部が閉状態を保つように制御する制御手段とを有する。
【0010】
好適には、前記通路に設けられた分岐用開閉部をさらに有し、前記制御手段は、前記検知手段により被検知物が検知された場合、前記分岐用開閉部が閉状態から開状態になるようにさらに制御する。
【0011】
好適には、前記通路は、少なくとも2つ設けられ、前記分岐用開閉部は、前記通路の間に設けられ、前記制御手段は、いずれかの前記通路における一方の前記入退用開閉部が個人認証に基づいて閉状態から開状態にされた後、当該通路における他方の前記開閉部において個人認証がなされた場合、前記分岐用開閉部が閉状態から開状態になるようにさらに制御する。
【0012】
好適には、前記分岐用開閉部を介して前記通路に繋がれた守衛室をさらに有する。
【0013】
好適には、前記制御手段は、前記入退用開閉部が開状態である間に人が当該入退用開閉部を通過した場合、前記入退用開閉部が閉状態になるように制御する。
【0014】
好適には、前記検知手段は、大バルクハウゼン効果を用いる。
【0015】
好適には、前記検知手段は、前記通路の少なくとも2箇所に設けられている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機密文書を不正に持ち出す者を捕捉することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、本発明の理解を容易にするため、本発明の背景を説明する。
図1は、ICカードリーダーを用いたゲートシステム100を示す図である。
図1に示すように、ゲートシステム100は、例えばICカードリーダー等の個人認証部10と、この個人認証部10に対応する開閉可能な例えば扉等の開閉部12と、この開閉部12の開閉により通行の可否が決定される通路を構成する壁14とを有する。ゲートシステム100は、例えば建物又は部屋の内部と外部とを隔てる位置に設けられている。したがって、人が建物等に入る場合又は建物等から出る場合、人はゲートシステム100を必ず通過する。なお、ゲートシステム100は、入退室管理システムなどとも呼ばれる。
【0018】
ゲートシステム100において、個人認証部10は、壁14により構成される通路への入口付近に設けられている。個人認証部10は、図示しないICカードに書き込まれた通過権限に関する情報を無線で読み取る。このICカードが通過権限を有するものであることが確認された場合、開閉部12が開かれる。人が開閉部12を通過すると、開閉部12付近に設けられた図示しない通過検知センサーが通過を確認し、開閉部12が閉じられる。なお、開閉部12は、通常、閉じられている。
【0019】
このようなゲートシステム100は、機密文書を携行して不正持ち出しする行為を抑止できない。そこで、例えば、ICタグ、RFIDタグなどの被検知物が用いられる。即ち、被検知物が、機密文書を綴じたファイルや専用袋(これらファイル、専用袋を、以下、機密文書収納物と呼ぶ)に付けられ、被検知物を検知するセンサーが、ゲートシステムへの入口側及び出口側のいずれかに設けられる。したがって、機密文書が持ち出される場合、センサーが機密文書収納物に付された被検知物を検知する。このため、機密文書収納物の不正持ち出しが防止されることができる。なお、以降、このような被検知物を単にタグとも呼ぶ。
【0020】
しかしながら、機密文書収納物に収納された機密文書とこの機密文書を持ち出した人とを対応させて検知することは困難であった。
なお、後述する大バルクハウゼン効果を示す磁性ワイアが漉き込まれた機密文書は、機密文書収納物から分離した機密文書をセンサーにより検知可能である。このため、機密文書単体は、機密文書を持ち出した人とを対応させて検知されることができる。「分離」とは、故意に、当該収納物より、機密文書が抜き取られた状態、あるいは、誤って、当該収納物より、機密文書が離脱した状態をいう。
以下、機密文書収納物に収納された機密文書、及び大バルクハウゼン効果を示す磁性ワイア等のタグが漉き込まれた若しくはタグが直接貼付された機密文書を「機密文書等」と呼ぶ。
【0021】
図2は、タグを検知するセンサーとICカードリーダーとを用いたゲートシステム102を示す図である。
図2に示すように、ゲートシステム102は、ゲートシステム100(図1)にタグ検知センサー16が追加された構成を有する。なお、図2に示された各構成のうち、図1に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0022】
ゲートシステム102において、タグ検知センサー16は、機密文書等に付されたタグを検知する。したがって、通過者が機密文書を持って建物の内部から外部へ出る場合、タグ検知センサーによりタグが検知された後、個人認証部10により通過者のIDが読み取られる。ここで、通過者が当該機密文書の持ち出し権限を有する場合、開閉部12は開かれる一方、そうでない場合、開閉部12は閉状態を保つ。
【0023】
しかしながら、ゲートシステム102では、二人の通過者(図中の人物A,B)が通過する場合、機密文書を持ち出す人物が人物Aであるか又は人物Bであるかの判定が困難である。例えば、人物Aは前の人物であり、機密文書を持っておらず、人物Bは後ろの人物であり、機密文書の不正持ち出しを試みる場合、タグ検知センサー16は、人物Bにより持ち出される機密文書に付されたタグを検知する。したがって、開閉部12は、閉状態を保つように制御される。このため、人物Aは、ゲートシステム102を通過できるにもかかわらず、人物Aの通過が禁止されてしまう。
【0024】
次に、本発明の実施形態に係るゲートシステム1を説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るゲートシステム1を示す図である。
図3に示すように、ゲートシステム1は、個人認証部10と、開閉部12と、壁14と、タグ検知センサー16と、制御部18と、通路22とを有する。ゲートシステム1は、セキュリティが保護される空間(即ち、内部)とそれ以外の空間(即ち、外部)とを分離するように配置されている。なお、本実施例では、ゲートシステム1は、壁14により構成される2つの通路22を有するが、この通路22は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、図3に示された各構成のうち、図1及び図2に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0025】
ゲートシステム1の出入口には、個人認証部10及び開閉部12が設けられている。個人認証部10は、例えば、磁気カードリーダー、ICカードリーダー、指紋認証装置等に記憶されている個人情報又は生体情報に基づいて個人を認証し、認証結果を制御部18に対して出力する。本例では、個人認証部10は、ICカードリーダーにより実現されている。この場合、個人認証部10は、ICカードから個人識別子(ID)を取得し、このIDが通過権限を有するか否かを判定する。なお、個人認証部10は、通過権限を有する個人を判定できる装置であればよく、判定手法は特に限定されない。
【0026】
開閉部(入退用開閉部)12は、通路22の両端に設けられており、後述する制御部18の制御により開閉される。具体的には、開閉部12は、個人認証部10により読み取られたIDが通過権限を有する場合、開かれる(開状態)。また、開閉部12が開状態である間に人が当該開閉部12を通過した場合、当該開閉部12は、後述する制御部18により閉状態になるように制御される。例えば、開閉部12は、開閉部12の付近に設けられた図示しない通過検知センサーが通過者の通過を確認した場合、閉じられる(閉状態)。なお、開閉部12は、通常時には、閉じられている。
【0027】
通路22は、2つの開閉部12の少なくともいずれかが開状態である場合に入退が可能になり、2つの開閉部22が閉状態である場合に入退が不可能になるように形成されている。ここで、通路22の両端の開閉部12と、当該開閉部12に接する壁14とは、検知ゾーンを構成する。即ち、検知ゾーンは、開閉部12と壁14とに囲まれる領域である。したがって、通過者はゲートシステム1を通過する場合、検知ゾーンを必ず通過することになる。
【0028】
タグ検知センサー16は、通路22の長手方向中央付近に設けられている。タグ検知センサー16は、例えば、RFIDタグ、磁気音響式タグ、大バルクハウゼン効果式タグ、電波式タグ等の被検知物を検知し、検知結果を制御部18に対して出力する。被検知物は、紙などの記録媒体に付される物であればよく、被検知物には、大バルクハウゼン効果を示す磁性ワイアも含まれる。なお、タグ検知センサー16は、検知ゾーン内であれば、いずれの位置に設けられてもよい。また、図3では、タグ検知センサー16は、通過者がその設置位置を認識しうる態様で記載されているが、通過者がその設置位置を認識し得ない態様で設置することも出来る。これにより、通過者は、どこで検知しているか認識することができないので、不正持出しに対する抑止効果が向上されることができる。
【0029】
例えば、タグ検知センサー16がRFIDタグを検知する場合、タグ検知センサー16は、特定周波数の電波をタグに送信するアンテナと、タグ内の起電力を発生させタグ内のICチップに記録された情報を読み取る検知センサーとを有する。また例えば、タグ検知センサー16が磁気効果(磁歪振動、大バルクハウゼン効果等)を利用するタグを検知する場合、タグ検知センサー16は、磁性体に交番磁界印加するためのコイルと、磁気効果による信号を検知する検知コイルと、当該信号を処理する検知回路とを有する。また例えば、タグ検知センサーが電波式タグを検知する場合、タグ検知センサー16は、特定周波数の電波をタグに送信するアンテナと、タグの共振により弱まった送信電波を受信するアンテナと、吸収された電波エネルギーを検知する検知回路とを有する。
【0030】
制御部18は、タグ検知センサー16により被検知物が検知された場合、当該タグ検知センサー16が設けられている検知ゾーンを構成する2つの開閉部12が閉状態を保つように制御する。また、制御部18は、タグ検知センサー16により被検知物が検知された場合においても、個人認証部10により取得されたIDが当該被検知物を付与された文書の持ち出し権限を有する場合、出口の開閉部12が開状態になるように制御する。開状態のタイミングは、被検知物が検知された直後のみならず、当該権限を有する通過者が出口の開閉部に近づいたことをセンサーにより検知された後でもよい。ここで、個人認証部10により取得されたIDが当該被検知物を付与された文書の持ち出し権限を有しない場合、制御部18は、開閉部12が閉状態を保つように制御する。
【0031】
したがって、通過者は、内部から外部に向かう場合又は外部から内部に向かう場合、個人認証部10に通過者自身のIDを読み取らせる。通過者が通過権限を有する者である場合、開閉部12は開かれる。開かれた開閉部12は、通過検知センサーにより通過者の通過が確認されると閉じられる。このため、当該通過者とは異なる者が、当該通過者の後に続いて検知ゾーンに侵入することが防がれる。
【0032】
通過者は通路22に入ると、タグ検知センサー16を通過する。通過者が、被検知物が付与された機密文書を携帯している場合、被検知物がタグ検知センサー16により検知される。この場合、タグ検知センサー16は、検知結果を制御部18に対して出力し、制御部18は、開閉部12が閉状態を保つように制御する。なお、制御部18は、例えば、ブザーを鳴らす、赤ランプを点滅させる等の方法で警報を行ってもよい。
【0033】
通過者が被検知物が付与された機密文書を携帯している場合においても、通過者が機密文書の持ち出し権限を有する場合、出口の開閉部12が、制御部18により開かれる。制御部18は、予め設定されている持ち出し権限を参照し、出口の開閉部12の開閉を制御する。このように、通過者のID情報が個人認証部10により取得され、機密文書の持ち出し権限がID情報に基づいて確認されるので、機密文書を持っている者の特定が可能となり、持ち出し権限に基づいて開閉部12を開閉することが可能となる。
【0034】
なお、持ち出し権限の管理は、例えば、データベースにより実現され、持ち出し権限に関する情報は、制御部18に含まれる図示しないメモリやハードディスク等の記憶装置に記憶されている。
【0035】
通過者が、被検知物が付与された機密文書を携帯していない場合、出口の開閉部12が、制御部18により開かれる。通過者が、開かれた開閉部12を通過し、この開閉部12の付近に設けられた通過検知センサーにより通過者の通過が確認されると、開閉部12が閉じられ、次の通過者に関する処理が可能となる。
【0036】
また、ゲートシステム1では、通過者が内部から外部へ出る場合だけでなく、外部から内部へ入る場合においても、個人認証及び被検知物の検知が行われる。したがって、持ち出し権限を有しない者が、被検知物が付与された機密文書を外部から内部へ持ち込む場合においても、ゲートシステム1は、当該持込を検知することができる。
【0037】
なお、図中の守衛室には、警備員が待機している。警備員は、通過者が検知ゾーンに閉じ込められた事態に対処する。例えば、警備員は、制御部18により警報が鳴らされた場合、守衛室を出て検知ゾーンに入り、通過者に対応する。また例えば、警備員は、検知ゾーンに閉じ込められた通過者に対して、守衛室に移動し機密文書の所持を確認する検査を受けるように警告する。
【0038】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るゲートシステム2を示す図である。
図4に示すように、ゲートシステム2は、個人認証部10−1,10−2と、開閉部12−1,12−2と、壁14と、タグ検知センサー16と、制御部18と、通路22と、分岐用開閉部20−1〜20−5とを有する。なお、図4に示された各構成のうち、図3に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。また、分岐用開閉部20−1〜20−5など、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示すときには、単に分岐用開閉部20などと略記することがある。
【0039】
ゲートシステム2において、分岐用開閉部20−1〜20−5は、開閉部12と同様に、制御部18の制御により開閉され、通常時には閉じられている。また、分岐用開閉部20−1〜20−5は通路22に設けられており、分岐用開閉部20−1〜20−5と、当該分岐用開閉部20−1〜20−5に接する壁14とは、分岐ゾーンを構成する。特に、分岐用開閉部20−1,20−2は、2つの通路22の間に設けられている。したがって、分岐ゾーンは、壁14及び分岐用開閉部20−1,20−2を挟んで、検知ゾーンに隣接する位置に設けられている。
【0040】
分岐用開閉部20−1,20−2は、通過者を検知ゾーンから分岐ゾーンに誘導するために用いられる。より具体的には、制御部18は、タグ検知センサー16により被検知物が検知された場合、分岐用開閉部20−1及び20−2のいずれかが閉状態から開状態になるように制御する。
【0041】
分岐用開閉部20−4,20−5は、通過者を分岐ゾーンから外部又は内部へ移動させるために用いられる。また、守衛室は、分岐用開閉部20−3を介して通路22に繋がれている。したがって、分岐用開閉部20−3は、被検知物が検知された機密文書を持つ通過者を守衛室に直接移動させるために用いられる。
【0042】
図5は、通過者がタグ検知センサー通過後のゲートシステム2の制御動作を示す図である。なお、図中では、開閉部12は主ゲート、分岐用開閉部20は分岐ゲートと示されている。
図5に示すように、ゲートシステム2の制御動作は、通過者の移動方向及び機密文書の不正持ち出しに基づいて決定される。
【0043】
例えば、通過者Aは、内部から外部へ通過する者であって、機密文書を不正に持ち出す者(持ち出し権限を有さない者)である。この場合、タグ検知センサー16により機密文書の不正持ち出しが検知され、分岐用開閉部20−1,20−3が開かれる。したがって、通過者Aは、検知ゾーンから分岐ゾーンを通って守衛室に移動することになる。なお、分岐用開閉部20−1,20−3は、図示しない通過検知センサーにより通過者Aの通過が検知されると閉じられる。
【0044】
また、通過者Bは、内部から外部へ通過する者であって、機密文書を持ち出さない者又は機密文書を持ち出すが持ち出し権限を有する者である。この場合、タグ検知センサー16により機密文書の持ち出しが検知されないか又は検知された場合においても通過者Bは持ち出し権限を有すると判定されるので、開閉部12−1が開かれる。したがって、通過者Bは、開閉部12−1を通って検知ゾーンから外部へ出ることができる。
【0045】
通過者C,Dは、外部から内部へ入る者である。本例では、通過者C,Dは、通過者A,Bとは反対方向の動きの下で、通過者Cは通過者Aと同様に、通過者Dは通過者Bと同様に検知される。
【0046】
また、制御部18は、通路22における一方の開閉部(例えば12−2)が開かれた後、通路22における他方の開閉部(例えば12−1)において個人認証がなされた場合、分岐用開閉部(例えば20−1)が閉状態から開状態になるように制御する。例えば、通過者Bが検知ゾーンにいる間に、外部から内部に開閉部12−1を介して入ろうとしている者がいる場合、分岐用開閉部20−1,20−4が開かれる。ここで、制御部18は、個人情報が個人認証部10−1により読み取られることにより、開閉部12−1で待っている者がいることを認識する。したがって、通過者Bは、分岐用開閉部20−1,20−4を通って外部へ出ることができる。また、開閉部12−1で待っている者は、通過者Bが検知ゾーンを出た後、分岐用開閉部20−1が閉じた後に、検知ゾーンに入ることができる。
【0047】
また例えば、通過者Dが検知ゾーンにいる間に、内部から外部に開閉部12−2を介して出ようとしている者がいる場合、分岐用開閉部20−2,20−5が開かれる。したがって、通過者Dは、分岐用開閉部20−2,20−5を通って内部に入ることができる。また、開閉部12−2で待っている者は、通過者Dが検知ゾーンを出た後に、検知ゾーンに入ることができる。
【0048】
このように、分岐用開閉部20−1〜20−5は、通過者が検知ゾーンに滞在する時間を短縮するので、新たな通過者が検知ゾーンに早期に導かれることができる。したがって、通過者は、検知ゾーンから分岐ゾーンに移動しうるので、ゲートシステム2は、その次の通過者を検知ゾーンにすぐに迎えることができる。また、ゲートシステム2ではタグ検知センサー16が1台しか設けられていないにもかかわらず、ゲートシステム2は、通過者の双方向の通過に対して対応することができる。
【0049】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るゲートシステム3を示す図である。
図6に示すように、ゲートシステム3は、2つのタグ検知センサー16−1,16−2を有し、検知ゾーンと分岐ゾーンとが1つの分岐用開閉部20−1を介して移動可能である点で、ゲートシステム2とは異なる。なお、図6に示された各構成のうち、図4に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0050】
通過者A(図5)を例とすると、タグ検知センサー16−2により機密文書の持ち出しが検知され、分岐用開閉部20−1,20−3が開かれる。したがって、通過者Aは、分岐用開閉部20−1,20−3を通って守衛室に導かれる。
【0051】
一方、通過者B(図5)が検知ゾーンにいる間に、個人認証部10−1による認証を終え、外部から内部に入ろうとしている者がいる場合、分岐用開閉部20−1,20−4が開かれる。したがって、通過者Bは、分岐用開閉部20−1,20−4を通って外部に出る。
【0052】
ゲートシステム3では、タグ検知センサー16は、通路の2箇所に設けられている。より具体的には、タグ検知センサー16−1,16−2はそれぞれ、検知ゾーンの長手方向中央部より開閉部12−1,12−2に近い場所に設けられている。このため、機密文書を持っているか否かの判定が、ゲートシステム2と比較して早期に実行されることができる。また、分岐用開閉部20−1が検知ゾーンの長手方向中央部に設けられている。したがって、通過者は、検知ゾーンを半分歩いただけで分岐ゾーンに導かれうる。このため、ゲートシステム3は、ゲートシステム2と比較して、通過者を検知ゾーンから分岐ゾーンに早期に導くことができる。よって、ゲートシステム3は、単位時間当たりに通過者を判定する処理量を上げることができる。
【0053】
また、ゲートシステム3では、2つのタグ検知センサー16−1,16−2が設けられているので、いずれかのタグ検知センサー16が故障した場合又はいずれかのタグ検知センサー16で検知が適切になされなかった場合においても、他方のタグ検知センサー16により不正持ち出しが検知されることができる。なお、ゲートシステム3において、3以上のタグ検知センサー16が設けられていてもよい。
【0054】
なお、ゲートシステム3に入る人の待ち状態は、例えば図示しないカメラ等により検知される。この場合、カメラが行列状態を受像し、この画像に基づいて画像解析が行われる。このような画像解析では、待っている人が数名なのか又は込み合っているのかが判定される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ICカードリーダーを用いたゲートシステム100を示す図である。
【図2】タグを検知するセンサーとICカードリーダーとを用いたゲートシステム102を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るゲートシステム1を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るゲートシステム2を示す図である。
【図5】ゲートシステム2の制御動作を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るゲートシステム3を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ゲートシステム
2 ゲートシステム
3 ゲートシステム
10 個人認証部
12 開閉部
14 壁
16 タグ検知センサー
18 制御部
20 分岐用開閉部
22 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人認証に基づいて開閉される2つの入退用開閉部と、
前記2つの入退用開閉部の少なくともいずれかが開状態である場合に入退が可能になり、前記2つの入退用開閉部が閉状態である場合に入退が不可能になるように形成された通路と、
前記通路に設けられ、被検知物を検知する検知手段と、
前記検知手段により被検知物が検知された場合、前記2つの入退用開閉部が閉状態を保つように制御する制御手段と
を有するゲートシステム。
【請求項2】
前記通路に設けられた分岐用開閉部をさらに有し、
前記制御手段は、前記検知手段により被検知物が検知された場合、前記分岐用開閉部が閉状態から開状態になるようにさらに制御する
請求項1に記載のゲートシステム。
【請求項3】
前記通路は、少なくとも2つ設けられ、
前記分岐用開閉部は、前記通路の間に設けられ、
前記制御手段は、いずれかの前記通路における一方の前記入退用開閉部が個人認証に基づいて閉状態から開状態にされた後、当該通路における他方の前記開閉部において個人認証がなされた場合、前記分岐用開閉部が閉状態から開状態になるようにさらに制御する
請求項2に記載にゲートシステム。
【請求項4】
前記分岐用開閉部を介して前記通路に繋がれた守衛室をさらに有する
請求項2又は3に記載のゲートシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記入退用開閉部が開状態である間に人が当該入退用開閉部を通過した場合、前記入退用開閉部が閉状態になるように制御する
請求項1乃至4のいずれかに記載のゲートシステム。
【請求項6】
前記検知手段は、大バルクハウゼン効果を用いる
請求項1乃至5のいずれかに記載のゲートシステム。
【請求項7】
前記検知手段は、前記通路の少なくとも2箇所に設けられている
請求項1乃至6のいずれかに記載のゲートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−70125(P2009−70125A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237660(P2007−237660)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】