説明

ゲート電極積層およびゲート電極積層を用いる方法

【課題】エッチングの容易なポリシリコン−メタル積層で構成されるゲート電極構造を提供する。
【解決手段】少なくとも1層のポリシリコン3と少なくとも1層のポリSi1−xGe材料の層4とを有するゲートコンダクタを備える半導体デバイスの基板上のゲート電極積層構造であり、ポリシリコン3とポリSi1−xGe材料の層4のエッチングにより、終点検出が可能であるため、上記構造を効果的にエッチングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、一般的にゲート電極積層とゲートコンダクタ積層を用いる方法に関するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
従来のDRAMデバイスのゲート電極積層は、以下の層を有している(基板から上方向へ):
シリコン(通常の基板材料)
ゲート酸化膜
ポリシリコン(例えばNドープまたはPドープされたもの)
W/WN/TiまたはWSi
キャップおよび/または封止層
ポリシリコン層およびW/WN/Ti(またはWSiのような他の物質)層は、ゲート電極積層内にゲートコンダクタ(GC)積層を備えている。W/WN/Tiメタル積層内の薄いTi薄膜層は、メタル積層とポリシリコン層との良好な接触特性を保障するために使用される。なぜなら、全ての処理工程後、界面にTiケイ化物が形成されるからである。
【0003】
このようなゲート電極積層については、基本的に米国特許第6,716,734B2号に記載されている。
【0004】
メタル積層のエッチング後、ポリシリコン層へのオーバーエッチングを行わなければならないため、GC積層のエッチングは困難である。基本的に上記オーバーエッチングの終点の制御が一定の時間中のみ可能であるため、このオーバーエッチングは制御が困難である。また、ポリシリコン層へのオーバーエッチングが行われる際には、終点の信号は生成されない。
【0005】
W/WN/Ti積層のプラズマドライエッチングのために用いられる典型的なエッチングの成分であるCl、NF、O、ならびにHBrは、非常に反応性の高い成分である。その上、Cl、O、ならびにNFは、WiSixエッチングに一般的に用いられる成分である。
【0006】
〔本発明の目的〕
本発明の目的の1つは、生成が容易なゲート電極積層を設計することにある。また、本発明はさらにゲート電極積層の利用を目的としている。
【0007】
〔本発明の概要〕
本発明に係るゲート電極積層内では、ポリシリコン層およびポリSi1−xGe層がGC積層を形成している。また、これらの層の相対位置(つまり上下関係)は、変わってもよい。ポリSi1−xGe層を導入することによって、ポリシリコン層とSi1−xGe層との間のエッチングによって終点検出が可能になるという効果がある。終点検出の物理的な仕組みは、Geを直接または間接的に識別する励起分子からの発光に関連している。ポリSi1−xGe層(x<0.8)はポリシリコンと同様の電気特性および構造特性を有し、かつ、全体的な処理に関しても互換性がある。
【0008】
ゲート材料としてのポリSiGeの特性およびポリSiGeの利用については、Dongping Wu氏の博士論文「Novel concepts for advanced CMOS:Materials,process and device architecture」(ISRN KTH/EKT/FR−2004/3−SEおよびISSN 1650−8599)を参照されたい。
【0009】
本発明に係るGC積層によって、ポリ層の全体的な厚みを小さくすることができる。
【0010】
さらに、本発明に係るGC積層によって、エッチング処理の均一性が向上する。
【0011】
本発明の他の目的および利点については、本発明の詳細な説明および請求項を、図面に照らして読み進めることによって明らかとなるであろう。
【0012】
本発明の別の目的は、ゲート電極積層を形成するのための処理工程を提供することである。
【0013】
〔本発明の好適な実施形態の詳細な説明〕
従来のDRAM製造工程では、W/WN/Ti/ポリシリコン(またはWSi/ポリシリコン)のゲートコンダクタ積層は、シリコン基板上にゲート酸化物を成長させた後、一般的には物理的気相成長法(PVD)によって堆積されることが知られている。そして、その後は、通常は窒化物である絶縁キャップが最上部に堆積される。一般的なGC構築処理では、次にリソグラフィーおよび窒化物のエッチングによって窒化物層のキャップを構築する。そして、構築された窒化物層のキャップは、続くゲート積層のエッチングにおいてハードマスクとしての役割を果たす。メタル積層がまずエッチングされ、次に一定の時間のポリシリコンへのオーバーエッチングが行われる。W/WN/Ti/メタル積層を用いる場合は、通常は窒化ケイ素である封止下地膜が堆積および構築される。WSiを用いる場合、封止下地膜は不要である。最後に、下層のゲート酸化膜上での終点検出を行いながら残りのポリシリコンをエッチングする。
【0014】
以下の図1〜図6において、本発明の第1の実施形態の製造での処理工程について述べる。
【0015】
図1は、基板上のさまざまな層の断面図を示す。
【0016】
基板1は、例えばDRAMメモリチップの製造に用いられるようなシリコンウェハである。あるいは、特に自己整合ソース/ドレインコンタクトが必要である場合は、基板1は論理プロセッサの製造に用いられるようなシリコンチップであってもよい。
【0017】
上記基板1は、ゲート酸化物の薄膜層2によって覆われている。
【0018】
この第1の実施形態は、ゲート電極積層10内に、2層のポリゲートコンダクタ3、4を有している。従って、ゲート酸化膜層2上にポリシリコン層3が位置している。ポリシリコン層3の厚みは、3nm〜100nmの範囲内、好ましくは30nm〜50nmの範囲内にある。ポリシリコン層3上には、厚みが3nm〜100nmの範囲内、好ましくは30nm〜50nmの範囲内にあるポリSi1−xGe層4が位置している。
【0019】
Si1−xGe層4上には、メタル層W/WN/Ti(またはWSi)5が位置している。Si1−xGe層4およびメタル層W/WN/Ti(またはWSi)5は、ここでは窒化ケイ素からなるキャップ層21によって覆われている。
【0020】
Ti薄膜層の厚みは、1nm〜15nmの範囲内であることが好ましい。W/WN層の厚みは、10nm〜100nmの範囲内、好ましくは30nm〜50nmの範囲内にある。基本的に、通常の範囲内において、層の厚みには厳密な制限はない。
【0021】
次の工程(図2)は、標準的なリソグラフィー法を用いたフォトレジスト層50の構築について示している。フォトレジスト層50は、その下に位置するキャップ層21のドライエッチング用のマスクを形成している(図3)。
【0022】
続いて、フォトレジスト層50が剥がされる(図4)。そして、キャップ層21をハードマスクとして用いながら、メタル積層の層5(W/WN/Ti)を有するメタル積層がエッチングされ、そしてポリSi1−xGe層4へのオーバーエッチングが行われる。ポリSi1−xGe層4のオーバーエッチングがポリシリコン層3へ到達するとき、終点検出が行われる。ポリシリコン層3のエッチングの速度がSi1−xGe層4のエッチングの速度より大幅に低いため、ポリシリコン層3はエッチストップとして機能することができる。
【0023】
図6は、ここでは窒化ケイ素からなる封止下地膜層20を示している。この封止下地膜層20は、窒化ケイ素を堆積させることによって生成され、そして異方性エッチングが行われる。封止下地膜層20は、上記W/WN/Ti積層とビット線ビアとの間のショートの防止を目的としたものであり、上記ビット線ビアの形成はこの後に行われる。WSiを用いる場合、封止下地膜層20は省略できる。
【0024】
最後に、上記キャップ層をハードマスクとして用いてポリシリコンエッチングを行う(図7)。このエッチングは、ゲート酸化膜層2上でストップされる。
【0025】
この第1の実施形態によると、上記GCエッチング処理は、Si1−xGe層4とポリシリコン層3との間の終点を検出できる。Si1−xGe層4とポリシリコン層3との間のエッチング選択性が高いため、効果的なエッチストップを実現ことができる。結果として、ドライエッチング工程の進み具合を知る手段を改善するとともに、均一性および制御性も向上する。
【0026】
図8、図9、ならびに図10に示す別の実施形態は、前述した終点検出を利用できるように、第1の実施形態と基本的に同一の構造をなしている。さらに、この構造を得るための処理工程は、図1〜図7に関連して述べたのと同様の原則に基づいている。
【0027】
図8では、ポリ積層が逆転しているため効果的なエッチストップを実現することができないが、この実施形態の利点について、以下の2つの段落において説明する。
【0028】
第2の実施形態(図8)の第1の実施形態に対する相違点は、Si1−xGe層4およびポリシリコン層3を有した2層のゲートコンダクタ積層の層の順番が逆転している点である。Si1−xGe層4はゲート酸化膜層2の上に位置し、ポリシリコン層3はSi1−xGe層4の上に位置している。
【0029】
第2の実施形態は、Si1−xGe層4/ゲート酸化膜層2界面を有しているため、p型のポリゲート空乏化が改善される。この効果については、IEEE 2002 Symposium on VLSI TechnologyでのLu氏らによる論文「Improved Performance of Ultra−Thin HfO CMOSFETs Using Poly−SiGe Gates」において、非常に具体的なゲート誘電体に関連して説明されている。
【0030】
第3の実施形態(図9)および第4の実施形態(図10)は、3層に積層したGC積層および4層に積層したGC積層を用いている。
【0031】
第3の実施形態は、以下のような3重の層構造をなしている(下から上方向へ):
ゲート酸化膜層2上の第1ポリシリコン層31
第1ポリシリコン層31上のSi1−xGe層4
Si1−xGe層4上の第2ポリシリコン層32
上記の層の厚みはそれぞれ、3nm〜100nm、3nm〜100nm、3nm〜100nmである。
【0032】
第3の実施形態は、第1の実施形態の利点を残している上に、ポリ積層とメタル積層との界面も、第1の実施形態と同様にTi/Si1−xGeではなくTi/Siのままである。これによって、Ti/Si1−xGe間の複雑な相互作用によって生じ得るリスクをなくすことができる。
【0033】
図10に示す第4の実施形態は、以下の層構造をなす4層のGC積層を有している:
ゲート酸化膜層2上の第1Si1−xGe層41
第1Si1−xGe層41上の第1ポリシリコン層31
第1ポリシリコン層31上の第2Si1−xGe層42
第2Si1−xGe層42上の第2ポリシリコン層32
上記層の厚みはそれぞれ、3nm〜100nm、3nm〜100nm、3nm〜100nm、3nm〜100nmである(ここでも、厳密な制限はない)。
【0034】
第4の実施形態は、第2および第3の実施形態の利点を残しつつ、ポリゲートの長さを整えることも可能である。この調整は、ポリSi1−xGe層41の等方性エッチングによって実現することができる。上記ポリSi1−xGe層41の等方性エッチングは、第1ポリシリコン層31、およびその下のゲート酸化膜層2に対して選択的に行う。
【0035】
総体的に、これら実施形態を実現するための上記処理工程は、前述したメタル/ポリシリコンゲート積層の場合と同様である。主な相違点は、メタル積層のオーバーエッチがポリシリコンへ向かう部分の中にある。第1の実施形態を例として挙げると、メタル積層のオーバーエッチング中に、ポリSi1−xGe層がエッチングされる。そして、ポリSi1−xGe層がエッチングされて、その下層のポリシリコンがエッチングされ始めると終点信号が観察できる。ポリシリコンのドライエッチングの速度は、一般的にSi1−xGe層のドライエッチングの速度よりも大幅に低いため、上記ポリシリコン層はエッチストップとしての役割を果たすことができる。このように、均一性および制御性の点に関するゲート電極の改善を行うことができる。この改善は、メタル積層へのオーバーエッチがポリ層へ向かっている間に終点検出を行えること、および、ポリSi1−xGe層とポリシリコン層との間にエッチング速度の差があることによって行うことができるものである。
【0036】
本発明の実施形態の1つの応用例として、2種類の仕事関数を有するDRAMがある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態の製造での処理工程の一部を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の製造での処理工程の一部を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の製造での処理工程の一部を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の製造での処理工程の一部を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の製造での処理工程の一部を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の製造での処理工程の一部を示す図である。
【図7】本発明におけるGC積層の第1の実施形態の概略図である。
【図8】本発明におけるGC積層の第2の実施形態の概略図である。
【図9】本発明におけるGC積層の第3の実施形態の概略図である。
【図10】本発明におけるGC積層の第4の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの基板上のゲート電極積層であって、
少なくとも1層のポリシリコンと、
少なくとも1層のポリSi1−xGe材料の層とを有するゲートコンダクタを備えることを特徴とするゲート電極積層。
【請求項2】
上記ゲートコンダクタ上に、少なくとも1層のメタルゲート材料の層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項3】
1層のポリシリコン層と、
上記ポリシリコン層上に位置する1層のポリSi1−xGe層とを有する2層のゲートコンダクタ積層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項4】
1層のポリSi1−xGe層と、
上記ポリSi1−xGe層上に位置する1層のポリシリコン層とを有する2層のゲートコンダクタ積層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項5】
1層のポリシリコン層と、
上記ポリシリコン層上に位置する1層のポリSi1−xGe層と、
上記ポリSi1−xGe層上に位置する1層のポリシリコン層とを有する3層のゲートコンダクタ積層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項6】
1層のポリSi1−xGe層と、
上記ポリSi1−xGe層上に位置する1層のポリシリコン層と、
上記ポリシリコン層上に位置する1層のポリSi1−xGe層と、
上記ポリシリコン層上に位置する1層のポリSi1−xGe層上に位置する1層のポリシリコン層とを有する4層のゲートコンダクタ積層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項7】
厚みが1nmより大きい、特に3nmより大きいポリシリコン層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項8】
厚みが3nmよりも大きいポリSi1−xGe層を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項9】
上記メタルゲート材料が、W/WN/TiおよびWSiのグループのうちの1つであることを特徴とする請求項2に記載のゲート電極積層。
【請求項10】
上記ポリSi1−xGe層のxが、0.8よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項11】
シリコン基板を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項12】
上記ゲート電極積層を少なくとも部分的に覆っている封止下地膜を少なくとも1層備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項13】
ゲート酸化膜層を有した基板を備えることを特徴とする請求項1に記載のゲート電極積層。
【請求項14】
メモリチップ、特にDRAMに請求項1に記載のゲートコンダクタ積層を用いる方法。
【請求項15】
半導体論理デバイスに請求項1に記載のゲートコンダクタ積層を用いる方法。
【請求項16】
少なくとも1層のポリシリコンと少なくとも1層のポリSi1−xGe材料の層とを有した積層を形成する工程と、
続く段階で、少なくとも1層のポリシリコンと少なくとも1層のポリSi1−xGe材料の層とにドライエッチングを行う工程と、
下層に位置しているポリシリコン層、またはポリSi1−xGe材料の層へオーバーエッチングを行い、上記オーバーエッチングを終点検出に用いる工程とを含む請求項1に記載のゲート電極積層を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−295170(P2006−295170A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105042(P2006−105042)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】