説明

サスペンション装置

【課題】装置全体を小型化でき車両への取付の際に制約が少ないサスペンション装置を提供することである。
【解決手段】本発明の課題解決手段は、ダンパ本体2に対してダンパロッド3が出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパD1と、ダンパ本体2に連結される本体側スプリングシート4とダンパロッド3に連結されるロッド側スプリングシート5との間に介装される懸架スプリングS1とを備えたサスペンション装置1において、懸架スプリングS1は、直列配置される二つのスプリング6,7と、スプリング6,7間に介装される中間スプリングシート8とを備え、中間スプリングシート8の本体側スプリングシート4或いはロッド側スプリングシート5への接近の可不可を選択的に切換可能な切換手段9を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサスペンション装置にあっては、たとえば、ダンパ本体と、ダンパ本体内に出入りするダンパロッドとを備えて、ダンパ本体に対してダンパロッドが出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパと、ダンパ本体に連結される本体側スプリングシートとロッドに連結されるロッド側スプリングシートとの間に介装される懸架スプリングとを備えて、車両の車体と車軸との間に介装されている。
【0003】
このようなサスペンション装置の場合、車両の車体を懸架スプリングで弾性支持するとともに車体振動をダンパが発揮する減衰力で抑制するようになっている。そして、たとえば、車両旋回中の車体姿勢を安定させるうえでは、懸架スプリングのばね剛性を高くしておくとよいのであるが、懸架スプリングのばね剛性が高いと車両搭乗者にゴツゴツ感を感じさせるなど車両における乗り心地を悪化させる傾向となるので、乗り心地の面からすると懸架スプリングのばね剛性は低い方がよい場合もあり、両者はトレードオフの関係にある。
【0004】
そこで、懸架スプリングのばね剛性を車両の走行状況に適して変更させて車体姿勢の安定と乗り心地の両者を満足させるサスペンション装置の提案があり、この提案では、懸架スプリングをダンパ本体の外周に装着した補助ばねとダンパ本体とは別置きにされるサスペンションばねとで構成し、ダンパが所定量伸長するまではサスペンションばねのみで車体を支持するが、ダンパが所定量以上伸長するとサスペンションばねに加えて補助ばねによっても車体を支持するようになっており、補助ばねが利きはじめる伸長長さをダンパロッドに装着したジャッキで変更するようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
したがって、このサスペンション装置によれば、ダンパが所定量伸長するまでは、補助ばねが利かないので懸架スプリング全体としてのばね剛性が低くなり、ダンパが所定量伸長すると、補助ばねが利いて懸架スプリング全体としてのばね剛性が高くなるので、車両走行中に懸架スプリングのばね剛性を変更することができ、車体姿勢の安定と乗り心地の向上を両立できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−129471号公報(図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来のサスペンション装置では、サスペンションばねがダンパとは別に独立して車体と車軸との間に介装しなくてはならず、補助ばねが利きはじめる伸長長さをダンパロッドに装着したジャッキで調節するため、装置全体が大型でダンパにおけるストローク長を確保しにくいなど、車両への取付の際の制約が大きい。
【0008】
そこで、本発明は、上記した点を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、装置全体を小型化でき車両への取付の際に制約が少ないサスペンション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題解決手段は、ダンパ本体に対してダンパロッドが出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパと、ダンパ本体に連結される本体側スプリングシートとダンパロッドに連結されるロッド側スプリングシートとの間に介装される懸架スプリングとを備えたサスペンション装置において、懸架スプリングは、直列配置される二つのスプリングと、スプリング間に介装される中間スプリングシートとを備え、中間スプリングシートの本体側スプリングシート或いはロッド側スプリングシートへの接近の可不可を選択的に切換可能な切換手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のサスペンション装置によれば、切換手段によって中間スプリングシートをフリー状態とロック状態に切換えることで、懸架スプリングのばね剛性を変更することができる。
【0011】
そして、本発明のサスペンション装置にあっては、懸架スプリングがダンパの外周に設けられているので、装置全体を小型化することができ、その分、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較して少なくなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のサスペンション装置を原理的に示した面である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるサスペンション装置の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の一変形例におけるサスペンション装置の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態の他の変形例におけるサスペンション装置の縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態におけるサスペンション装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示した一実施の形態に基づいて本発明について説明する。一実施の形態におけるサスペンション装置1は、図1に示すように、ダンパ本体2に対してダンパロッド3が出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパD1と、ダンパ本体2に連結される本体側スプリングシート4とダンパロッド3に連結されるロッド側スプリングシート5との間に介装される懸架スプリングS1とを備えて構成されている。
【0014】
そして、このサスペンション装置1における懸架スプリングS1は、直列配置される二つのスプリング6,7と、スプリング6,7間に介装される中間スプリングシート8とを備えており、また、サスペンション装置1は、中間スプリングシート8の本体側スプリングシート4への接近の可不可を選択的に切換可能な切換手段9を備えている。
【0015】
サスペンション装置1は、ダンパD1が伸縮作動を呈すると、懸架スプリングS1も伸縮するため、切換手段9で何ら中間スプリングシート8の移動を規制しないと、中間スプリングシート8がダンパ本体2に対して軸方向となる図1中上下方向へ移動が許容されて、スプリング6,7が自由に伸縮することになる。
【0016】
これに対して、このサスペンション装置1にあっては、切換手段9によって中間スプリングシート8の本体側スプリングシート4への接近を規制すると、ダンパD1が収縮する際には、ロッド側スプリングシート5と中間スプリングシート8との間に介装されたスプリング6のみが収縮し、スプリング7は収縮しないようになる。
【0017】
したがって、切換手段9によって中間スプリングシート8の移動が規制されずフリー状態である場合には、懸架スプリングSの全体のばね剛性は、直列に配置されるスプリング6,7のばね剛性を合成したものとなり、切換手段9によって中間スプリングシート8の本体側スプリングシート4への接近を規制されるロック状態では、懸架スプリングS1の収縮側のばね剛性は、収縮が許されるスプリング6のばね剛性となる。
【0018】
また、切換手段9によって中間スプリングシート8のロッド側スプリングシート5への接近を規制する場合には、中間スプリングシート8がロック状態となると懸架スプリングS1の伸長側のばね剛性は、伸長が許されるスプリング6のばね剛性となる。
【0019】
そして、スプリング6,7の合成ばね剛性は、スプリング6のばね剛性より小さくなるので、このサスペンション装置1にあっては、上記切換手段9によって中間スプリングシート8をフリー状態とロック状態に切換えることで、懸架スプリングS1のばね剛性を変更することができるのである。
【0020】
上述のように、サスペンション装置1は、懸架スプリングS1がダンパD1の外周に設けられているので、装置全体を小型化することができ、その分、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較して少なくなるのである。なお、ダンパは、減衰力可変のダンパとされてもよく、以下の各実施の形態において同様である。
【0021】
つづいて、サスペンション装置の具体的な構成例について説明する。図2に示した具体的な構成例の一つであるサスペンション装置11は、ダンパ本体12に対してダンパロッド13が出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパD2と、ダンパ本体12に連結される本体側スプリングシート14とダンパロッド13に連結されるロッド側スプリングシート15との間に介装される懸架スプリングS2とを備えて構成されている。
【0022】
そして、このサスペンション装置11における懸架スプリングS2は、直列配置される二つのスプリング16,17と、スプリング16,17間に介装される中間スプリングシート18とを備えており、また、サスペンション装置11は、中間スプリングシート18のロッド側スプリングシート15への接近の可不可を選択的に切換可能な切換手段としてのシリンダ装置C1,C1を備えている。
【0023】
本体側スプリングシート14は、環状であって、ダンパ本体12の外周に固定される筒状の内周部14aと、内周部14aの下端外周に設けたフランジ14bとを備えて構成されており、フランジ14bに着座するスプリング17の下端を支承している。なお、フランジ14bとスプリング17との間にはワッシャ23が介装され、ワッシャ23の介装によってスプリング17の収縮時の周方向の回転が許容され、スプリング17の終端で本体側スプリングシート14を傷つけないようになっている。ワッシャ23は、内周部が上方へ彎曲されていて、本体側スプリングシート14の内周部14aの外周に当接して、径方向へ位置決めされている。
【0024】
ロッド側スプリングシート15は、環状であって、筒部15aと、筒部15aの図2中下端内周に設けた内周フランジ15bと、筒部15aの図2中上端外周に設けた外周フランジ15cとを備えて構成され、内周フランジ15bを挟持する防振ゴム20,21を介してダンパロッド13の外周に固定されている。そして、このロッド側スプリングシート15は、外周フランジ15cに着座するスプリング16の上端を支承するとともに、当該外周フランジ15cに固定されるボルト19を用いて車両の車体側へ取付けることができるようになっている。なお、スプリング16の上端と外周フランジ15cとの間には、環状の防振ゴム24が介装されており、当該防振ゴム24でスプリング16の振動の車体への伝達を抑制するようになっている。
【0025】
さらに、中間スプリングシート18は、環状であって、筒状の内周部18aと、内周部18aの外周に設けたフランジ状のばね受部18bと、ばね受部18bの外周に設けた外筒部18cと、外筒部18cの下端外周に設けたフランジ18dとを備えて構成され、内周部18aの内周にはダンパ本体2の外径より大きな内形を持つ樹脂製のクッションリング22が嵌合されて固定されている。
【0026】
また、ばね受部18bは、図2中上端でスプリング16の下端を支承し、図2中下端でスプリング17の上端を支承しており、中間スプリングシート18はこれらスプリング16,17で挟持されるようになっている。なお、スプリング16,17の回転の許容と中間スプリングシート18の傷つきの防止のため、ばね受部18bとスプリング16との間にはワッシャ25が介装され、ばね受部18bとスプリング17との間にはワッシャ26が介装されている。ワッシャ25は、内周部が上方へ彎曲されていて、中間スプリングシート18の内周部18aの外周に当接して、径方向へ位置決めされており、ワッシャ26も、外周部が下方へ彎曲されて、中間スプリングシート18の外筒部18cの外周に当接して、径方向へ位置決めされている。
【0027】
このように、スプリング16は、ロッド側スプリングシート15と中間スプリングシート18との間に介装され、スプリング17は、中間スプリングシート18と本体側スプリングシート14との間に介装されて、スプリング16,17が直列に配置されてダンパD2に並列される懸架スプリングS2を構成している。この場合、スプリング16のばね剛性(ばね定数)を、スプリング17のばね剛性より大きくしてある。
【0028】
次に、切換手段は、このサスペンション装置11の場合、中間スプリングシート18と本体側スプリングシート14との間に介装される一対のシリンダ装置C1,C1とされている。なお、一対のシリンダ装置C1を用いているので、シリンダ装置C1で中間スプリングシート18をロックする際に、中間スプリングシート18が傾いた状態でロックされることがないようになっているが、たとえば、中間スプリングシート18がダンパ本体2の外周に摺接して傾くことが無い場合には、一つのシリンダ装置C1のみで中間スプリングシート18をロックするようにしてもよい。また、一対のシリンダ装置C1を用いているので、中間スプリングシート18の上下移動がシリンダ装置C1,C1によってガイドされるので、スプリング16,17の横方向への撓みを抑制でき、中間スプリングシート18のダンパD2への干渉を防止でき、サスペンション装置11の円滑な伸縮を実現できる。
【0029】
なお、中間スプリングシート18の内周にダンパ本体2の外周に若干の隙間を空けて対向するクッションリング22を設けてあるので、サスペンション装置11に大きな曲げモーメントが作用してダンパD2が撓むような場合にあっても、クッションリング22がダンパ本体2の外周に当接して中間スプリングシート18がダンパ本体2に直接に干渉することが無いので、懸架スプリングS2の円滑な伸縮が保証される。
【0030】
このシリンダ装置C1は、シリンダ31と、シリンダ31内に移動自在に挿入されるロッド32と、シリンダ31内に摺動自在に挿入されてシリンダ31内に二つの作動室33,34を区画するピストン35と、作動室33,34を連通する通路36と、通路36を開閉するバルブ37と、バルブ37を開閉するアクチュエータ38とを備えて構成されており、シリンダ31の上端が中間スプリングシート18のフランジ18dに固定され、ロッド32の下端が本体側スプリングシート14のフランジ14bに固定されることで、中間スプリングシート18と本体側スプリングシート14との間に介装されている。なお、ダンパD2がフルストロークして移動が制限されない状態における中間スプリングシート18が軸方向となる図2中上下方向へ移動しても、シリンダ装置C1がフルストロークすることが無いように、そのストローク長が設定されている。
【0031】
シリンダ装置C1について詳しく説明すると、シリンダ31は、上端が螺子軸39を備えたキャップ40によって閉塞されており、下端には環状のロッドガイド41が嵌合されて固定されている。そして、螺子軸39をフランジ18dに設けた孔18eに挿入し、ナット42で固定することによって、シリンダ31を中間スプリングシート18のフランジ18dに取付けられるようになっている。
【0032】
また、シリンダ31内には、ピストン35が摺動自在に挿入されており液体が充填される作動室33,34が区画されるとともに、ピストン35より上方にはフリーピストン43が摺動自在に挿入され、シリンダ31内に作動室33,34とは別に気体が封入される気室44が形成されている。気室44は、その内部圧力によって作動室33,34を附勢し、シリンダ31内に出入りするピストンロッド32の体積をフリーピストン43の移動によって容積を増減させて補償するようになっている。
【0033】
上記ロッド32は、ロッドガイド41の内周に摺動自在に挿入されて当該ロッドガイド41に軸支され、一端となる図2中上端がシリンダ31内に挿入されて環状のピストン35に連結され、他端となる図2中下端が本体側スプリングシート14に連結されている。具体的には、ロッド32の下端には、螺子部32aが設けられており、この螺子軸32aをフランジ14bに設けた孔14cに挿入し、ナット45で固定することによって、ロッド32を本体側スプリングシート14のフランジ14bに取付けられるようになっている。
【0034】
また、ピストン35は、内周に挿通されるロッド32の一端の外周に取付けられており、ロッド32の一端は、作動室34に臨んでいる。そして、このロッド32は、その一端から開口して側部に通じる通路36を備えており、当該通路36を開閉するバルブ37がロッド32内に設けられている。具体的には、ロッド32は、他端から開口して通路36に通じる空部32bを備えており、バルブ37は、ロッド32に空部32b内に摺動自在に収容されて通路36内に進退して通路36を開閉する弁体37aと、通路36を開放する方向に当該弁体37aを附勢するばね37bと、空部32bに挿通されるとともに下端が空部32bの内周に螺合されるコントロールロッド37cとを備えて構成されている。
【0035】
さらに、バルブ37を駆動するアクチュエータ38は、この場合、回転型のアクチュエータであって、ロッド32の他端に固定されており、出力軸をコントロールロッド37cの端部に接続してコントロールロッド37cを回転駆動することができるようになっている。
【0036】
そして、アクチュエータ38を駆動してコントロールロッド37cを回転させると、コントロールロッド37cが送り螺子の要領で空部32b内を図2中上下方向へ移動することができるようになっている。したがって、上記の如くコントロールロッド37cを上方へ駆動すると、弁体37aがばね37bの附勢力に抗して上方へ移動して通路36を閉じることができ、反対に、コントロールロッド37cを下方へ駆動すると、弁体37aがばね37bの附勢力で下方へ移動して通路36を開放することができる。
【0037】
つまり、アクチュエータ38でバルブ37を駆動して、通路36を開閉することができるようになっており、通路36が開放されると作動室33,34が通路36にて連通状態におかれ、作動室33,34内を液体が自由に行き来することができるので、シリンダ31に対するロッド32の図2中上下方向への移動が許容されて、シリンダ装置C1が伸縮可能ないわゆるフリー状態とされることになる。
【0038】
他方、アクチュエータ38でバルブ37を駆動して、通路36を閉じると作動室33,34を液体が自由に行き来することができなくなり、シリンダ31に対するロッド32の図2中下方向への移動に対しては、作動室33が加圧されるものの、作動室33の液体は何処にも行き場がなく、シリンダ装置C1は、伸長不能となっていわゆるロック状態となる。なお、通路36を閉じた状態にあっても、シリンダ31に対するロッド32の図2中上方向への移動に対しては、作動室34が加圧されるもののフリーピストン43で区画した気室44内の圧力にロッド32の外周円の面積を乗じた力以上の力が加わるとシリンダ装置C1は、収縮することになる。
【0039】
つまり、このシリンダ装置C1が通路36を開放してフリー状態となって自由に伸縮には、中間スプリングシート18が自由に軸方向となる図2中上下方向へ移動することができ、懸架スプリングS2が伸縮際にスプリング16,17がともに伸縮するので、懸架スプリングS2のばね剛性は、スプリング16,17のばね剛性を合成した合成ばね剛性となる。
【0040】
対して、このシリンダ装置C1が通路36を閉じて伸長を制限するロック状態となると、中間スプリングシート18のロッド側スプリングシート15への接近が阻止され、懸架スプリングS2が伸長の際にスプリング16,17のうちシリンダ装置C1に並列されるスプリング17は伸長できず、スプリング16のみが伸長するので、懸架スプリングS2のばね剛性は、スプリング16のばね剛性となる。なお、通路36を閉じてもシリンダ装置C1の収縮が許容されるので、懸架スプリングS2のばね剛性は、スプリング16,17のばね剛性を合成した合成ばね剛性となる。
【0041】
このように、本実施の形態のサスペンション装置11にあっては、切換手段としてのシリンダ装置C1によって中間スプリングシート18のロッド側スプリングシート15への接近を制限することができるので、懸架スプリングS2のばね剛性を変更することができるのである。
【0042】
また、サスペンション装置11は、懸架スプリングS2がダンパD2の外周に設けられているので、装置全体を小型化することができ、その分、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較して少なくなるのである。
【0043】
さらに、シリンダ装置C1は、ダンパD2の側部に並列されて配置されるので、ダンパD2のストローク長を犠牲にすることが無い。したがって、本実施の形態におけるサスペンション装置11にあっては、装置の小型化と相俟ってストローク長の確保も容易であるので、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較してより少なくなるのである。
【0044】
なお、スプリング16,17のばね剛性は、それそれ任意に設定することが可能であるが、中間スプリングシート18をシリンダ装置C1でロックした際に、自由伸縮可能なスプリング16のばね剛性をスプリング17のばね剛性より大きく設定しているので、ロック時とフリー時とで懸架スプリングS2のばね剛性の変化率を大きくすることが可能である。それゆえ、サスペンション装置11を車両の左右両輪に設けておき、車体がローリングする際には車両の左右に配置されるサスペンション装置11のうち伸側のサスペンション装置11の中間スプリングシート18をロックすることで、懸架スプリングS2のばね剛性をより高く設定できて、上記ローリング抑制効果を高めることができるだけでなく、左右のサスペンション装置11の中間スプリングシート18をフリーとすることで懸架スプリングS2のばね剛性をより低く設定でき乗り心地を向上することができる。
【0045】
さらに、バルブ37の構成は一例であって、これ以外のバルブを用いても良く、また、コントロールロッド37cの駆動にあたって送り螺子機構を用いずに直動型のアクチュエータを用いてもよい。また、通路36もロッド32に設けるのではなく、ピストン35に設けたり、シリンダ31の外部に設置したりするようにしてもよい。
【0046】
また、上記したところでは、シリンダ装置C1が中間スプリングシート18と本体側スプリングシート14との間に介装させてダンパD2に取付けているが、図3の一実施の形態の一変形例のサスペンション装置のように、シリンダ装置C1を中間スプリングシート18とロッド側スプリングシート15との間に介装することも可能であり、このようにすると、シリンダ装置C1で中間スプリングシート18のロック時にスプリング16の伸長が阻止されるので、この場合、サスペンション装置11の伸長時に懸架スプリングS2のばね剛性をスプリング17のばね剛性とすることができる。
【0047】
この場合、ロック時に伸長が許容されるスプリング17であるが、このように、本実施の形態のサスペンション装置11にあっては、切換手段としてのシリンダ装置C1によって中間スプリングシート18の本体側スプリングシート14への接近を制限することができるので、懸架スプリングS2のばね剛性を変更することができるのである。
【0048】
また、サスペンション装置11は、懸架スプリングS2がダンパD2の外周に設けられているので、装置全体を小型化することができ、その分、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較して少なくなるのである。
【0049】
さらに、シリンダ装置C1は、ダンパD2の側部に並列されて配置されるので、ダンパD2のストローク長を犠牲にすることが無い。したがって、本実施の形態におけるサスペンション装置11にあっては、装置の小型化と相俟ってストローク長の確保も容易であるので、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較してより少なくなるのである。
【0050】
なお、この場合、スプリング16,17のばね剛性は、それそれ任意に設定することが可能であるが、上記した理由により、ロック時に伸縮の双方が許容されるスプリング17のばね剛性をスプリング16のばね剛性より大きくしておくと車体のローリング抑制効果を高めることができるだけでなく、乗り心地をより向上することができる。
【0051】
つづいて、図4に示した一実施の形態の他の変形例におけるサスペンション装置51について説明する。サスペンション装置51は、ダンパ本体52に対してダンパロッド53が出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパD3と、ダンパ本体52に連結される本体側スプリングシート54とダンパロッド53に連結されるロッド側スプリングシート55との間に介装される懸架スプリングS3とを備えて構成されている。
【0052】
詳しくは、ダンパ本体52は、ダンパシリンダ56と、ダンパシリンダ56を覆うとともにシリンダ56との間の環状隙間でリザーバ57を形成するアウターシェル58と、シリンダ56とアウターシェル58の図4中上端を閉塞する環状のロッドガイド59と、アウターシェル58の図4中下端を閉塞するキャップ60と、キャップ60とダンパシリンダ56との間に介装されてダンパシリンダ56内とリザーバ57との間を仕切る仕切部材61とを備えて構成されている。
【0053】
ダンパシリンダ56内には、ダンパロッド53に連結されたピストン62が摺動自在に挿入されており、ダンパシリンダ56内を二つの作動室63,64に仕切っている。また、ダンパロッド53は、ロッドガイド59の内周で軸支され、ピストン62に連結される下端がダンパシリンダ56内に移動自在に挿入されている。なお、作動室63,64内には液体が充填され、リザーバ57内には液体の他、気体が充填されている。
【0054】
そして、ピストン62には、作動室63と作動室64を連通する流路65,66が設けられている。流路65は、ピストン62の上端に積層されたリーフバルブ67によって開閉されるようになっており、当該リーフバルブ67で作動室64から作動室63へ向かう液体の流れに抵抗を与えるようになっている。流路66は、ピストン62の下端に積層されたリーフバルブ68によって開閉されるようになっており、当該リーフバルブ68で作動室63から作動室64へ向かう液体の流れに抵抗を与えるようになっている。
【0055】
また、仕切部材61には、リザーバ57と作動室64とを連通する排出流路69と吸込流路70とが設けられており、排出流路69は仕切部材61の下端に積層されたリーフバルブ71で開閉され、吸込流路70は仕切部材61の上端に積層されたチェックバルブ72で開閉されるようになっている。したがって、吸込流路70はリザーバ57から作動室64へ向かう液体の流れのみを許容しており、チェックバルブ72が殆ど抵抗無く上記流れを許容される一方、排出流路69は作動室64からリザーバ57へ向かう液体の流れのみを許容しており、当該流れにリーフバルブ71が抵抗を与えることになる。
【0056】
したがって、このダンパD3にあっては、ダンパシリンダ56に対してピストン62が図4中上方へ移動する伸長作動時には、作動室63から作動室64へ液体が移動するとともに、ダンパシリンダ56内でダンパロッド53が退出する体積分の液体が不足するので吸込流路70を介してリザーバ57から液体を作動室64内へ吸込むことになる。そして、上記したように作動室63から作動室64へ向かう流れに対してはリーフバルブ67で抵抗を与えるので、作動室63と作動室64の圧力に差が生じて、伸長作動を抑制する減衰力が発生される。
【0057】
対して、ダンパシリンダ56に対してピストン62が図4中下方へ移動する収縮作動時には、作動室64から作動室63へ液体が移動するとともに、ダンパシリンダ56内でダンパロッド53が侵入する体積分の液体が過剰するので排出流路69を介して作動室64からリザーバ57へ液体が排出されることになる。そして、上記したように作動室64から作動室63へ向かう流れに対してはリーフバルブ68で抵抗を与え、作動室64からリザーバ57へ向かう流れに対してはリーフバルブ71で抵抗を与えるので、作動室63と作動室64の圧力に差が生じて、収縮作動を抑制する減衰力が発生される。なお、リーフバルブ68は、チェックバルブに変えてもよく、この場合には、リーフバルブ71のみで減衰力を発揮することになる。また、ダンパD3の上記構成は、一例であり、上記したところに限られるものではない。
【0058】
そして、このサスペンション装置51における懸架スプリングS3は、直列配置される二つのスプリング73,74と、スプリング73,74間に介装される中間スプリングシート75とを備えており、また、サスペンション装置51は、中間スプリングシート75の本体側スプリングシート54への接近の可不可を選択的に切換可能な切換手段としての一対のシリンダ装置C2,C2を備えている。
【0059】
このシリンダ装置C2は、シリンダ81と、シリンダ81内に移動自在に挿入されるロッド82と、シリンダ81内に摺動自在に挿入されてシリンダ81内に二つの作動室83,84を区画するピストン85と、作動室83,84同士を連通する流路86と、作動室84をダンパD3に設けたリザーバ57に連通するリザーバ通路60bと、リザーバ通路60bを開閉するバルブ87と、バルブ87を開閉するアクチュエータ88とを備えて構成されている。
【0060】
また、ロッド82の上端が中間スプリングシート75に固定され、シリンダ81の下端がダンパD3のキャップ60を介してダンパD3に連結されており本体側スプリングシート54に間接的に固定されることで、中間スプリングシート75と本体側スプリングシート54との間に介装されている。なお、ダンパD3がフルストロークして移動が制限されない状態における中間スプリングシート75が軸方向となる図4中上下方向へ移動しても、シリンダ装置C2がフルストロークすることが無いように、そのストローク長が設定されている。
【0061】
シリンダ装置C2について詳しく説明すると、シリンダ81は、キャップ89によって閉塞されており、上端側の内周には環状のロッドガイド90が固定されている。そして、シリンダ81は、ダンパD3のキャップ60に設けた取付孔60a内に挿入されて固定されている。また、シリンダ81は、作動室84に対向する透孔81aを備えており、上述のように取付孔60a内に固定されると透孔81aがキャップ60に設けられてリザーバ57に通じるリザーバ通路60bに通じて、作動室84がダンパD3のリザーバ57に連通されるようになっている。
【0062】
さらに、キャップ60には、リザーバ通路60bを開閉するバルブ87と、バルブ87を開閉駆動させるアクチュエータ88とが取付けられている。バルブ87は、たとえば、リザーバ通路60b内に進退してこれを開閉するようになっており、アクチュエータ88は、当該バルブ87をリザーバ通路60bに対して進退させるように駆動するソレノイド等の直動型のアクチュエータとされている。また、一つのバルブ87で一対のシリンダ装置C2,C2のロックとフリーとを切換えできるように、この場合、リザーバ通路60bは、双方のシリンダ装置C2の作動室84同士を連通する第一通路60cと、第一通路60cの途中から分岐してリザーバ57に連通する第二通路60dとを備えており、バルブ87は、第二通路60dの途中に設けられている。
【0063】
なお、アクチュエータ88を回転型として、バルブ87の送り螺子機能の要領でリザーバ通路60b内へ進退させてもよい。さらに、バルブ87の構成はリザーバ通路60bをアクチュエータ88で開閉可能であればよいので、上記したところに限定されるものではない。
【0064】
そして、このように、シリンダ81をダンパD3に固定することで、シリンダ81は、ダンパD3に固定される本体側スプリングシート54に軸方向に移動不能に連結される。
【0065】
また、シリンダ81内には、ピストン85が摺動自在に挿入されており液体が充填される作動室83,84が区画されるとともに、ロッドガイド90より上方にはロッド82の外周に摺接するシール部材91が固定されており、ロッド82の外周がシールされてシリンダ81内が液密に保たれている。
【0066】
戻って、上記ロッド82は、ロッドガイド90の内周に摺動自在に挿入されて当該ロッドガイド90に軸支され、一端となる図4中下端がシリンダ81内に挿入されて環状のピストン85に連結され、他端となる図4中上端が中間スプリングシート75に連結されている。具体的には、ロッド82の上端には、螺子部82aが設けられており、この螺子軸82aを中間スプリングシート75に設けた孔75aに挿入し、ナット92で固定することによって、ロッド82を中間スプリングシート75に取付けられるようになっている。
【0067】
このように構成されたシリンダ装置C2は、アクチュエータ88を駆動してバルブ87でリザーバ通路60bが開放する場合には、作動室84がリザーバ通路60bを介してリザーバ57に連通されて、ロッド82がシリンダ81内に出入りしてシリンダ81内で過不足となる液体がリザーバ57によって補償される。よって、リザーバ通路60bが開放される場合には、シリンダ81に対するロッド82の図4中上下方向への移動が許容されて、シリンダ装置C2が伸縮可能ないわゆるフリー状態とされることになる。
【0068】
他方、アクチュエータ88でバルブ87を駆動して、リザーバ通路60bを閉じると作動室84とリザーバを液体が自由に行き来することができなくなり、シリンダ81に対するロッド82の図4中下方向への移動に対しては、作動室84とこれに流路86で連通される作動室83が加圧されるものの、作動室83,84の液体は何処にも行き場がなく、シリンダ装置C2は、収縮不能となっていわゆるロック状態となる。なお、リザーバ通路60bを閉じた状態にあっても、シリンダ81に対するロッド82の図4中上方向への移動に対しては、大気圧にロッド82の外周円の面積を乗じた力以上の力が加わるとピストン85が上方へ移動するようになるため、シリンダ装置C2は、伸長することになる。
【0069】
つまり、このシリンダ装置C2がリザーバ通路60bを開放してフリー状態となって自由に伸縮には、中間スプリングシート75が自由に軸方向となる図4中上下方向へ移動することができ、懸架スプリングS3が伸縮際にスプリング73,74がともに伸縮するので、懸架スプリングS3のばね剛性は、スプリング73,74のばね剛性を合成した合成ばね剛性となる。
【0070】
対して、このシリンダ装置C2がリザーバ通路60bを閉じて収縮を制限するロック状態となると、中間スプリングシート75の本体側スプリングシート54への接近が阻止され、懸架スプリングS3が収縮の際にスプリング73,74のうちシリンダ装置C2に並列されるスプリング74は収縮できず、スプリング73のみが収縮するので、懸架スプリングS3のばね剛性は、スプリング73のばね剛性となる。なお、リザーバ通路60bを閉じてもシリンダ装置C2の伸長は許容されるので、懸架スプリングS3のばね剛性は、スプリング73,74のばね剛性を合成した合成ばね剛性となる。
【0071】
このように、本実施の形態のサスペンション装置51にあっては、切換手段としてのシリンダ装置C2によって中間スプリングシート75の本体側スプリングシート54への接近を制限することができるので、懸架スプリングS3のばね剛性を変更することができるのである。
【0072】
また、サスペンション装置51は、懸架スプリングS3がダンパD3の外周に設けられているので、装置全体を小型化することができ、その分、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較して少なくなるのである。
【0073】
さらに、片ロッド型に設定されるシリンダ装置C2がダンパD3のリザーバ57を利用して、ロッド82のシリンダ81内へ出入りする体積を補償するようになっているので、別途、シリンダ81内へ気室やリザーバを設ける必要が無いので、シリンダ装置C2をより小型化することができる。
【0074】
加えて、シリンダ装置C2は、ダンパD3の側部に並列されて配置されるので、ダンパD3のストローク長を犠牲にすることが無い。したがって、本実施の形態におけるサスペンション装置51にあっては、上記サスペンション装置11より装置全体を小型化することができ、ストローク長の確保も容易であるので、車両への取付の際の制約がより一層従来のサスペンション装置に比較して少なくなるのである。
【0075】
なお、スプリング73,74のばね剛性は、それそれ任意に設定することが可能であることはサスペンション装置11と同様であり、中間スプリングシート75をシリンダ装置C2でロックした際に、自由伸縮可能なスプリング73のばね剛性をスプリング74のばね剛性より大きく設定しておくことで、車体のローリング抑制効果を高めることができるだけでなく、乗り心地を向上することができる。
【0076】
また、上記したところでは、シリンダ装置C2のロック状態において、収縮は不能となるものの伸長が許容されるようになっているが、シリンダ装置C2のロック時に収縮のみならず伸長も不能とするようにしてもよい。この場合、上記のシリンダ装置C2の構成に加えて、作動室83,84同士を連通する流路86の途中に当該流路86を開閉するバルブを設けておき、当該バルブを閉じることでシリンダ装置C2の伸長を阻止できるようになる。
【0077】
最後に、他の実施の形態のサスペンション装置101について説明する。このサスペンション装置101にあっては、図5に示すように、ダンパD4におけるダンパ本体102の外周に軸方向に移動可能に装着されるとともにダンパ本体102の外周を緊迫してダンパ本体102の外周に固定可能な環状アクチュエータ103を備え、当該アクチュエータ103を中間スプリングシート104に連結してある。
【0078】
より詳細には、ダンパD4は、ダンパ本体102と、ダンパ本体102内に出入りするダンパロッド105とを備えて、ダンパ本体102に対してダンパロッド105が出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するようになっている。
【0079】
そして、ダンパ本体102の外周には、本体側スプリングシート106が連結されており、ダンパロッド105にはロッド側スプリングシート107が連結され、本体側スプリングシート106とロッド側スプリングシート107との間には懸架スプリングS4が介装されている。
【0080】
そして、このサスペンション装置101における懸架スプリングS4は、直列配置される二つのスプリング108,109と、スプリング108,109間に介装される中間スプリングシート104とを備えており、また、切換手段として中間スプリングシート104に連結されてダンパ本体102の外周を緊迫してダンパ本体102に固定可能なアクチュエータ103を設けている。
【0081】
なお、アクチュエータ103としては、たとえば、電圧の印加によって伸長或いは収縮する環状の高分子アクチュエータを用いることができる。ここで、高分子アクチュエータは、たとえば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子、高分子電解質ゲルやイオン交換膜等、電圧の印加によって伸縮する高分子を駆動源としたアクチュエータであり、環状とされてダンパ本体102の外周に配置され、円周方向に収縮してダンパ本体102を締め付けることでダンパ本体102に固定でき、円周方向に伸長する状態ではダンパ本体102を締め付けずに自由にダンパ本体102に対して時候方向となる上下方向へ移動することができるようになっている。なお、高分子アクチュエータの駆動源としては、たとえば、特開2001−258275号公報に開示されているように非導電性高分子材料を使用することも可能である。
【0082】
また、ダンパ本体102の外周に少なくとも二つ以上の接触子を対向させ、当該接触子をダンパ本体102に遠近させる駆動源を設けて構成されるアクチュエータとされてもよく、このような構成のアクチュエータ103にあっても、接触子でダンパ本体102を挟持することでダンパ本体102に固定でき、接触子をダンパ本体102から離間させることで中間スプリングシート104とともにダンパ本体102に対して自由に軸方向へ移動可能である。
【0083】
なお、アクチュエータ103は、ダンパ本体102を緊迫して固定可能であれば、上記した所に限定されるものではない。また、ダンパ本体102を緊迫して固定することに代えて、アクチュエータ103が電磁石を備えて、ダンパ本体102の外周に通電時に吸着することによって、ダンパ本体102の外周の任意の位置に固定することができるものでもよい。
【0084】
このように構成されるサスペンション装置101は、ダンパD4が伸縮作動を呈すると、懸架スプリングS4も伸縮するため、アクチュエータ103をダンパ本体102に固定して中間スプリングシート104の移動を規制しないと、中間スプリングシート104がダンパ本体102に対して軸方向となる図5中上下方向へ移動が許容されて、スプリング108,109が自由に伸縮することになる。
【0085】
それゆえ、このサスペンション装置101にあっては、アクチュエータ103によって中間スプリングシート104の本体側スプリングシート106への接近或いはロッド側スプリングシート107への接近或いはその両方を規制すると、ダンパD4が伸長時或いは収縮時或いは伸縮両方の懸架スプリングS4のばね剛性をスプリング108,109の合成ばね剛性からスプリング108のばね剛性に変化させることができる。
【0086】
すなわち、このサスペンション装置101にあっては、上記アクチュエータ103によって中間スプリングシート104をフリー状態とロック状態に切換えることで、懸架スプリングS4のばね剛性を変更することができるのである。
【0087】
そして、サスペンション装置101は、懸架スプリングS4がダンパD4の外周に設けられているので、装置全体を小型化することができ、また、ダンパ本体102の外周にアクチュエータ103を設けているのでダンパD4のストローク長を阻害しないので、その分、車両への取付の際の制約が従来のサスペンション装置に比較してより少なくなるのである。
【0088】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は車両のサスペンション装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,11,51,101 サスペンション装置
2,12,52,102 ダンパ本体
3,13,53,105 ダンパロッド
4,14,54,106 本体側スプリングシート
5,15,55,107 ロッド側スプリングシート
6,7,16,17,73,74,108,109 スプリング
8,18,75,104 中間スプリングシート
9 切換手段
14a 本体側スプリングシートにおける内周部
14b 本体側スプリングシートにおけるフランジ
14c 本体側スプリングシートにおける孔
15a ロッド側スプリングシートにおける筒部
15b ロッド側スプリングシートにおける内周フランジ
15c ロッド側スプリングシートにおける外周フランジ
18a 中間スプリングシートにおける内周部
18b 中間スプリングシートにおけるばね受部
18c 中間スプリングシートにおける外筒部
18d 中間スプリングシートにおけるフランジ
18e,75a 中間スプリングシートにおける孔
19 ボルト
20,21,24 防振ゴム
22 クッションリング
23,25,26 ワッシャ
31,81 シリンダ
32,82 ロッド
32a,82a ロッドにおける螺子軸
32b ロッドにおける空部
33,34,83,84 作動室
35,85 ピストン
36 通路
37,87 バルブ
37a バルブにおける弁体
37b バルブおけるばね
37c バルブにおけるコントロールロッド
38,88,103 アクチュエータ
39 螺子軸
40,89 キャップ
41,90 ロッドガイド
42,45,92 ナット
43 フリーピストン
44 気室
56 ダンパシリンダ
57 リザーバ
58 アウターシェル
59 ダンパにおけるロッドガイド
60 ダンパにおけるキャップ
60a 取付孔
60b リザーバ通路
60c リザーバ通路における第一通路
60d リザーバ通路における第二通路
61 ダンパにおける仕切部材
62 ダンパにおけるピストン
63,64 ダンパにおける作動室
65,66 ピストンにおける流路
67,68,71 ダンパにおけるリーフバルブ
69 仕切部材における排出流路
70 仕切部材における吸込流路
72 ダンパにおけるチェックバルブ
81a シリンダにおける透孔
86 流路
91 シール部材
C1,C2 シリンダ装置
D1,D2,D3,D4 ダンパ
S1,S2,S3,S4 懸架スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパ本体に対してダンパロッドが出入りする伸縮作動を呈すると所定の減衰力を発揮するダンパと、ダンパ本体に連結される本体側スプリングシートとダンパロッドに連結されるロッド側スプリングシートとの間に介装される懸架スプリングとを備えたサスペンション装置において、懸架スプリングは、直列配置される二つのスプリングと、スプリング間に介装される中間スプリングシートとを備え、中間スプリングシートの本体側スプリングシート或いはロッド側スプリングシートへの接近の可不可を選択的に切換可能な切換手段を設けたことを特徴とするサスペンション装置。
【請求項2】
切換手段は、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッドとを備えた一対のシリンダ装置であって、シリンダとロッドの一方を本体側スプリングシート或いはロッド側スプリングシートに連結し、シリンダとロッドの他方を中間スプリングシートに連結したことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項3】
切換手段は、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に二つの作動室を区画するピストンと、作動室を連通する通路と、通路を開閉するバルブと、バルブを開閉するアクチュエータとを備えたシリンダ装置であって、シリンダとロッドの一方を本体側スプリングシート或いはロッド側スプリングシートに連結し、シリンダとロッドの他方を中間スプリングシートに連結したことを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンション装置。
【請求項4】
ダンパは、リザーバを備え、切換手段は、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に二つの作動室を区画するピストンと、作動室を連通する通路と、ダンパのリザーバと作動室の一方を連通するリザーバ通路と、リザーバ通路を開閉するバルブと、バルブを開閉するアクチュエータとを備えたシリンダ装置であって、シリンダとロッドの一方を本体側スプリングシート或いはロッド側スプリングシートに連結し、シリンダとロッドの他方を中間スプリングシートに連結したことを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンション装置。
【請求項5】
切換手段は、ダンパ本体の外周に軸方向に移動可能に装着されるとともにダンパ本体の外周を緊迫或いは吸着してダンパ本体の外周に固定可能なアクチュエータを備え、当該アクチュエータを中間スプリングシートに連結したことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−276113(P2010−276113A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129290(P2009−129290)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】