説明

サーバ及び車載ナビゲーション装置、車両、気象情報配信システム

【課題】地域や季節、災害等に応じた適切な情報を車載ナビゲーション装置や車両に送信し、データ量を削減することが可能なサーバ、車載ナビゲーション装置、車両及び気象情報提供システムを提供する。
【解決手段】サーバ1は、受信した気象情報について、気象情報の種類毎に送信範囲を定める。さらに、配信する地域気象データの構成や量を地域区分毎に定める。これにより、必要な気象情報をより効率的に提供することが可能となる。また、車載ナビゲーション装置2a、車両2bにおいて、現在位置と経路から、該当する地域区分により異なる気象情報を選択し指定する。さらに、サーバ1に配信要求する地域気象データの構成や量を指定する。これにより、気象情報のデータ量を低減し、不要な情報が配信されることを防ぎ、受信する際の通信時間や通信料金を節約することが期待できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象情報を車両、車載ナビゲーション装置に配信するサーバ、サーバに気象情報の要求をする車両、車載ナビゲーション装置、及び気象情報配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置に気象情報を配信する方法としては、気象衛星やアメダス等の気象情報を日本気象協会等から得てコンテンツ業者がそのまま配信していた。また、端末の要求に応じて、端末側から要求された地域の緊急情報を配信する発明が開示されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−66160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、気象衛星やアメダス等の気象データをそのまま全国区で配信する場合には、広域的な気象データが配信されるため、データ量が多くなる傾向がある。このため、車両や車載ナビゲーション装置が受信する際には、受信に要する通信時間や通信料金がかかってしまい、適しているとはいえない場合がある。また、配信される注意報や警報等は、地域毎に異なる基準で発令されるが、地域毎の基準が更新される頻度が通常は少ない場合が多い。このため、実際にその地域に適した注意報等が発令されるとは限らないという状況がある。
【0004】
また、特許文献1では、利用者が選択した位置を中心として情報を表示することができるが、通信を継続することが必要である。また、その情報の内容は固定されており、季節や地域毎に情報の内容を変えることはできない。さらに、アメダス等の容量が大きいデータも合わせてサーバから送信されるため、大容量のデータを通信しなければならず、車両や車載ナビゲーション装置のように、無線で通信が必要な場合は、通信時間や通信料金を浪費することにもなる。
【0005】
本来、地域や季節によって、必要とされる気象情報や、よく発令される警報の種類等は異なる場合が多い。例えば、東京等の首都圏においては、少量の降雪でも交通システムが大きく乱れることが多く、更新頻度の高い情報が重宝される傾向がある。このため、首都圏では、更新頻度の高いアメダスの気象データを優先的に配信するなど、地域や季節に適した情報を配信することが求められる。
【0006】
加えて、単に地域に適した情報を配信するのみでは、データ量が大きくなる可能性もある。例えば、アメダスの気象データのデータ量は通常大きいため、アメダスの気象データを優先的に配信すると、全体として送信するデータ量が大きくなり、通信時間や通信料金を浪費することもある。そこで、上記のように地域に適した情報を配信すると共に、送信するデータ量を削減して、通信時間や通信料金を節約することが求められる。
【0007】
本発明の目的は、地域や季節、災害等に応じた適切な情報を車載ナビゲーション装置に送信し、データ量を削減することが可能なサーバ、車両、車載ナビゲーション装置、及び気象情報配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のようなサーバ、車両、車載ナビゲーション装置、及び気象情報提供システムを提供する。
【0009】
(1)車両(例えば、後述の車両2bなど)と通信可能なサーバ(例えば、後述のサーバ1など)であって、気象情報を記憶する気象情報記憶部(例えば、後述の気象情報データベース22など)と、所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部(例えば、後述の地図データデータベース24など)と、前記気象情報が所定の気象情報であることに応じて、前記気象情報を配信する前記地域区分の範囲を定める配信地域判定部(例えば、後述の配信地域判定部12、後述の図5のテーブルなど)と、前記配信地域判定部が定めた範囲に対応した前記気象情報に関する地域気象データを作成する地域気象データ作成部(例えば、後述の地域気象データ作成部16など)と、前記車両の位置情報及び/又は経路情報を受信する車両情報受信部(例えば、後述の通信部20など)と、前記受信に応じて、前記位置情報及び/又は前記経路情報に対応した地域区分の前記地域気象データを選択する、配信データ選択部(例えば、後述の配信データ選択部14など)と、前記配信データ選択部が選択した前記地域気象データを配信する配信部(例えば、後述の通信部20など)と、を備えるサーバ。
【0010】
(1)に記載の発明によれば、気象情報配信サーバから受信した気象情報を、その種類に応じて地域区分毎の配信範囲を決めておき、地域気象データを作成しておく。そして、車両から位置情報及び/又は経路情報を受信すると、その車両の位置情報及び/又は経路情報が示す位置を含む地域区分に関連付けられた地域気象データを配信データ選択部が選択し、配信する。
これにより、予め気象情報の種類によって配信地域を定めておくことができるので、該当する地域以外の不要な気象情報を配信することを防止することができる。そして、配信するデータ量を低減することが可能となり、受信側の通信時間や通信料金を節約することができる。
【0011】
(2)前記地域気象データ作成部は、前記地域区分に応じた構成内容及び/又は量の異なる(例えば、後述の図6のテーブルなど)地域気象データを作成する、(1)に記載のサーバ。
【0012】
(2)に記載の発明によれば、さらに、配信する気象情報の構成内容や量を指定することができるので、より地域に適した構成で気象情報を配信することが可能となる。
これにより、例えば一定のデータ量で配信する場合には、必要と予想される気象情報について、比率を大きくする等、より効率的な配信をすることが可能となる。
【0013】
(3)車両(例えば、後述の車両2bなど)と通信可能なサーバ(例えば、後述のサーバ1など)であって、気象情報を記憶する気象情報記憶部(例えば、後述の気象情報データベース22)と、前記車両が指定する前記気象情報が所定の気象情報であること、前記車両の現在位置及び/又は前記車両の経路情報に応じた地域区分の気象情報(例えば後述の図9のテーブル)を受信する車両情報受信部(例えば、後述の通信部20など)と、前記車両情報受信部が受信する気象情報に応じた気象情報を選択する配信データ選択部(例えば、後述の配信データ選択部14など)と、前記配信データ選択部が選択した前記気象情報を配信する配信部(例えば、後述の通信部20など)と、を備えるサーバ。
【0014】
(3)に記載の発明によれば、車両から気象情報を受信したサーバは、車両側で車両の現在位置や経路に合わせて指定した気象情報に応じて気象情報記憶部に記憶した気象情報を選択し、該車両に送信する。
これにより、サーバは、車両から要求された気象情報を送信すればよいので、全種類もしくは全地域の気象情報を送信するよりも、データ量が少ない状態で送信することが可能となる。
【0015】
(4)自車の現在位置を特定可能な位置特定部(例えば、後述のGPS受信部42)と、サーバとの通信を行う通信部(例えば、後述の通信部44)と、前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部(例えば、後述の表示部52)に表示して経路誘導を行う車載ナビゲーション装置であって、前記車載ナビゲーション装置は、前記位置特定部が特定した自車の位置情報及び/又は前記経路の経路情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部(例えば、後述の通信制御部34)と、前記通信部が前記サーバから受信した、前記自車の位置情報及び/又は経路情報に対応した所定の地域区分に関する地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部(例えば、後述の表示制御部40)と、を備える車載ナビゲーション装置。
【0016】
(4)に記載の発明によれば、通信制御部は、位置情報及び/又は経路情報を、通信部を介してサーバに送信し、通信部は、サーバから地域気象データを受信する。そして、表示制御部は、その地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する。
これにより、サーバに位置情報及び/又は経路情報を送信することで、サーバから当該位置情報及び/又は経路情報に対応した地域区分に関する地域気象データを受信することができるので、指定したデータ以外のデータを受信せずにすみ、通信料金や通信時間を節約することが可能となる。
【0017】
(5)自車の現在位置を特定可能な位置特定部(例えば、後述のGPS受信部42)と、サーバとの通信を行う通信部(例えば、後述の通信部44)と、前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車載ナビゲーション装置であって、所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部(例えば、後述の地図データデータベース54)と、気象情報が所定の気象情報であること、前記位置特定部が特定した自車の現在位置及び/又は前記経路の経路情報に応じた前記気象情報を指定する、気象情報指定部(例えば、後述の気象情報指定部33)と、前記気象情報指定部が指定した前記気象情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部(例えば、後述の通信制御部34)と、前記通信部が前記サーバから受信した、地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部(例えば、後述の表示制御部40)と、を備える車載ナビゲーション装置。
【0018】
(5)に記載の発明によれば、車載ナビゲーション装置は、地域区分データを地域区分データ記憶部に記憶しておく。そして、気象情報指定部は、車載ナビゲーション装置の現在位置及び/又は経路情報から、該当する地域区分においてサーバに要求する気象情報を選択し指定する。さらに指定した気象情報をサーバに送信し、これを受信したサーバから配信される地域気象データを通信部が受信する。そして、表示制御部は対応する表示シンボルを表示部に表示する。
これにより、予め必要な気象情報をサーバに要求し、要求したデータを受信することができるので、車載ナビゲーション装置に配信される気象情報のデータ量を低減することができる。そして、指定したデータ以外の情報がサーバから配信されることを防止することができる。さらに、受信する際の通信時間や通信料金を節約できることが期待できる。
【0019】
(6)前記気象情報指定部は、前記地域区分に応じた構成内容及び/又は量の異なる気象情報を指定する、(5)に記載の車載ナビゲーション装置。
【0020】
(6)に記載の発明によれば、(5)に加えて、さらに、配信する気象情報の構成内容や量を指定することができるので、より地域に適した構成で気象情報を得ることが可能となる。
これにより、例えば一定のデータ量で配信する場合には、必要と予想される気象情報について、比率を大きくする等、より効率的な配信をサーバに要求することが可能となる。
【0021】
(7)自車の現在位置を特定可能な位置特定部(例えば、後述のGPS受信部42)と、サーバとの通信を行う通信部(例えば、後述の通信部44)と、前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車両であって、前記車両は、前記位置特定部が特定した自車の位置情報及び/又は前記経路の経路情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部(例えば、後述の通信制御部34)と、前記通信部が前記サーバから受信した、前記自車の位置情報及び/又は経路情報に対応した所定の地域区分に関する地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部(例えば、後述の表示制御部40)と、を備える車両。
【0022】
(7)に記載の発明によれば、通信制御部は、位置情報及び/又は経路情報をサーバに通信部を介して送信し、通信部は、サーバから地域気象データを受信する。さらに、地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する。
サーバに位置情報及び/又は経路情報を送信することで、サーバから当該位置情報及び/又は経路情報に対応した地域区分に関する地域気象データを受信することができるので、指定したデータ以外のデータを受信せずにすみ、通信料金や通信時間を節約することが可能となる。
【0023】
(8)自車の現在位置を特定可能な位置特定部(例えば、後述のGPS受信部42)と、サーバとの通信を行う通信部(例えば、後述の通信部44)と、前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車両であって、所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部(例えば、後述の地図データデータベース54)と、気象情報が所定の気象情報であること、前記位置特定部が特定した自車の現在位置及び/又は前記経路の経路情報に応じた前記気象情報を指定する、気象情報指定部(例えば、後述の気象情報指定部33)と、前記気象情報指定部が指定した前記気象情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部(例えば、後述の通信制御部34)と、前記通信部が前記サーバから受信した地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部(例えば、後述の表示制御部40)と、を備える車両。
【0024】
(8)に記載の発明によれば、車両は、地域区分データを地域区分データ記憶部に記憶しておく。そして、気象情報指定部は、車載ナビゲーション装置の現在位置及び/又は経路情報から、該当する地域区分においてサーバに要求する気象情報を選択し指定する。さらに指定した気象情報をサーバに送信し、これを受信したサーバから配信される地域気象データを通信部が受信する。そして、表示制御部は対応する表示シンボルを表示部に表示する。
これにより、予め必要な気象情報をサーバに要求し、要求したデータを受信することができるので、車載ナビゲーション装置に配信される気象情報のデータ量を低減することができる。そして、指定したデータ以外の情報がサーバから配信されることを防止することができる。さらに、受信する際の通信時間や通信料金を節約できることが期待できる。
【0025】
(9)前記気象情報指定部は、前記地域区分に応じた構成内容及び/又は量の異なる気象情報を指定する、(8)に記載の車両。
【0026】
(9)に記載の発明によれば、車両の現在位置と経路から、必要な気象情報を選択し指定しておくことで、サーバから配信される気象情報のデータ量を低減することができる。
これにより、不要な情報がサーバから配信されることを防止することができる。さらに、受信する際の通信時間や通信料金を節約できることが期待できる。
【0027】
(10)サーバと、車両と、が通信可能な気象情報配信システムであって、前記サーバは、気象情報を記憶する気象情報記憶部(例えば、後述の気象情報データベース22など)と、所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部(例えば、後述の地図データデータベース24など)と、前記気象情報が所定の気象情報であることに応じて、前記気象情報を配信する前記地域区分の範囲を定める配信地域判定部(例えば、後述の配信地域判定部12、後述の図5のテーブルなど)と、前記配信地域判定部が定めた範囲に対応した前記気象情報に関する地域気象データを作成する地域気象データ作成部(例えば、後述の地域気象データ作成部16など)と、前記車両の位置情報及び/又は経路情報を受信する車両情報受信部(例えば、後述の通信部20など)と、前記受信に応じて、前記位置情報及び/又は前記経路情報に対応した地域区分の前記地域気象データを選択する、配信データ選択部(例えば、後述の配信データ選択部14など)と、前記配信データ選択部が選択した前記地域気象データを配信する配信部(例えば、後述の通信部20など)と、を備え、前記車両は、自車の現在位置を特定可能な位置特定部(例えば、後述のGPS受信部42)と、サーバとの通信を行う通信部(例えば、後述の通信部44)と、前記自車の行き先に対する経路を探索する経路探索部(例えば、後述の経路探索部32)と、前記車両は、前記位置情報及び/又は前記経路情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部(例えば、後述の通信制御部34)と、前記サーバから受信した、前記地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する表示制御部(例えば、後述の表示制御部)と、を備える気象情報配信システム。
【0028】
(10)に記載の発明によれば、サーバは、気象情報について、その種類に応じて地域区分毎の配信範囲を決めておき、地域気象データを作成しておく。そして、車両から位置情報及び/又は経路情報を受信すると、その車両の位置情報及び/又は経路情報が示す位置を含む地域区分に関連付けられた地域気象データを配信データ選択部が選択し、配信する。地域気象データを作成しておく、そして、車両から位置情報及び/又は経路情報を受信したことに応じて、配信する地域気象データを選択して送信する。車両は、地域気象データを受信し、地域気象データに含まれる気象情報に対応する表示シンボルを表示部に表示するシステムを提供することができる。
これにより、予め気象情報の種類によって配信地域を定めておくことができるので、該当する地域以外の不要な気象情報を配信することを防止することができる。そして、車両側にとっては、受信するデータ量を低減することが可能となり、受信側の通信時間や通信料金を節約することができる。
【0029】
(11) サーバと、車両と、が通信可能な気象情報配信システムであって、前記サーバは、気象情報を記憶する気象情報記憶部(例えば、後述の気象情報データベース22)と、前記車両が指定する前記気象情報が所定の気象情報であること、前記車両の現在位置及び/又は前記車両の経路情報に応じた地域区分の気象情報(例えば、後述の図9のテーブル)を受信する車両情報受信部(例えば、後述の通信部20など)と、前記車両情報受信部が受信する気象情報を選択する配信データ選択部(例えば、後述の配信データ選択部14など)と、前記配信データ選択部が選択した前記気象情報を配信する配信部(例えば、後述の通信部20など)と、を備え、前記車両は、自車の現在位置を特定可能な位置特定部(例えば、後述のGPS受信部42)と、サーバとの通信を行う通信部(例えば、後述の通信部44)と、前記自車の行き先に対する経路を探索する経路探索部(例えば、後述の経路探索部32)と、所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部(例えば、後述の地図データデータベース54)と、前記位置特定部が特定した自車の現在位置及び/又は前記経路の経路情報に応じた前記気象情報を指定する、気象情報指定部(例えば、後述の気象情報指定部33)と、前記気象情報指定部が指定した前記気象情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部(例えば、後述の通信制御部34)と、前記通信部が前記サーバから受信した地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する表示制御部(例えば、後述の表示制御部)と、を備える気象情報配信システム。
【0030】
(11)に記載の発明によれば、車両は、地域区分データを地域区分データ記憶部に記憶しておく。そして車両の気象情報指定部は、該車両の現在位置及び/又は経路情報から、該当する地域区分においてサーバに要求する気象情報を選択し指定する。さらに車両の通信制御部は指定した気象情報を通信部を介してサーバに送信する。また、車両から車両が指定した気象情報を受信したサーバは、その車両が指定する気象情報に応じて気象情報を選択し、該車両に送信し、サーバから地域気象データを受信した車両は、地域気象データの気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する。
これにより、配信するデータを地域毎に構成やデータ量を可変して車両に送信することができる。そして、全国の気象情報を送信するのに比べて、配信するデータ量を低減することができ、受信する際の通信時間や通信料金を節約することが可能となる。
これにより、サーバは、車両から要求された構成情報と地域区分に応じて気象情報を送信すればよく、また車両も受信するデータをある程度限定することができるので、全種類もしくは全地域の気象情報を送信するよりも、データ量が少ない状態で送受信することが可能となる。さらに、送受信する際の通信時間や通信料金を節約できることが期待できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、地域や季節、災害等に応じた適切な情報を車載ナビゲーション装置に送信し、データ量を削減することが可能なサーバ、車両、車載ナビゲーション装置、及び気象情報配信システムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態である気象情報配信システムの概略構成を示したブロック図である。図1に示すように、本実施形態の気象情報配信システムは、車載ナビゲーション装置2a、車両2bとサーバ1と気象情報配信サーバ4が通信回線3を通じて接続されている。そして、気象情報配信サーバ4から通信回線3を通じて気象情報を受信したサーバ1が、車載ナビゲーション装置2aや車両2bの位置又は経路が含まれる地域毎に情報を送信すべくその気象情報を処理し、車載ナビゲーション装置2a、車両2bに配信するシステムである。
【0034】
ここで、気象情報とは、天気予報やアメダス等の日本気象協会から提供される各種気象に関する情報をはじめとして、気象に関する各種注意報や警報等の気象に関する情報である。例えば、風量・降雨量・降雪量等のアメダスデータ、台風詳細情報やアメダス予測データ、紫外線情報、気温情報、花粉情報、熱中症情報、火山情報、津波や地震情報等を指し、情報の種類についてはこれらに限られない。また、サーバ1が受信する気象情報は1種類とは限らず、複数の情報を受信してもよい。
【0035】
気象情報配信サーバ4は、日本気象協会等が提供する、主として天気予報やアメダス等の気象情報、地震や津波、各種注意報や警報等その他天気や気象に関する情報を配信するサーバである。また、気象情報配信サーバ4は1つに限られず、複数であってもよい。さらに、天気や気象に関する情報だけでなく、渋滞や事故等の交通情報や、自車の位置又は行き先の地域に関する情報を配信するサーバであってもよい。
【0036】
サーバ1は、気象情報配信サーバ4から気象情報の配信を受けて、車載ナビゲーション装置2a、車両2bに気象情報を配信するために、地域区分毎の地域気象データを作成する。そして、車載ナビゲーション装置2a、車両2bから受信した位置情報及び/又は経路情報から、その位置や経路上の地域区分を判断し、該当する地域気象データを選択して、車載ナビゲーション装置2a、車両2bに送信するなどの処理を行う。サーバ1は、図2にあるように、制御部10、通信部20、気象情報データベース22、地図データデータベース24を少なくとも有する。また、気象情報は、気象情報配信サーバ4からの配信を受信して得るだけでなく、サーバ1がCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体の読取装置を備えて、記憶媒体から読み込むようにして得るようにしてもよい。
【0037】
ここで、地域気象データとは、所定の地域区分毎の配信する気象情報の集まりのことをいう。まず、地域気象データ作成部16が、サーバ1が受信する気象情報の種類によって配信する地域区分を定める。例えば、図3のように、Aの範囲にアメダスのデータを配信し、Bの範囲に天気予報のデータを配信するように設定する。また、aの範囲とbの範囲とが重複する場合は、優先度によりどの情報を優先的に配信するかをさらに判断する。例えば、図4のように、Aの地域では、アメダスデータ、天気予報データ、警報注意報データの3種類のデータを送信し、アメダスデータの配分を大きくする。また、Bの地域では、アメダスデータ、アメダス予測データ、天気予報データ、警報注意報データの4種類のデータを送信し、アメダスデータとアメダス予測データの配分を比較的大きくする。また、Cの地域では、アメダスデータ、台風詳細情報データ、天気予報データ、警報注意報データの4種類のデータを送信する等である。このように、「台風がよく来る」、「積雪量が多い」等のように地域の特性に合わせてデータの種類を組み合わせて地域気象データを構成する。さらに、例えば、全国に同じデータ量で配信する場合には、データの中で地域区分毎に構成比率を変化させて構成する。
【0038】
気象情報データベース22は、気象情報配信サーバ4から受信した気象情報を記憶するデータベースである。また、後述する対応テーブル(図6)を記憶する。また、地図データデータベース24は、地図データと共に、所定の地域区分に分割した地域区分データを記憶するデータベースである。この地域区分は、任意の単位で分割したものであってよいし、例えば、経緯線で地域を系統的に分割した標準地域メッシュを使用してもよい。また、使用するメッシュとしては、全国を経度1度、緯度40分ごとに分割した第1次地域区画、1次地域区画を縦横に8分割したいわゆる2次地域区画、2次地域区画をさらに縦横に10分割した3次地域区画(いわゆる1Kmメッシュ、基準地域メッシュ)等、任意に選択可能である。尚、これらの各データベースは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、RAM(Random Access Memory)のような不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体により構成されるものとする。また、これらのデータベースは必ずしもサーバ1の内部に設ける必要は無く、別体であってもよく、もしくは専用の装置を設けてもよい。
【0039】
また、標準地域メッシュとは,経緯度法とも呼ばれ,一定の経線、緯線で全国の地域を網の目状に区画する方法で、第1次、第2次及び第3次地域メッシュがあり、経緯度に基づくコードが設定されている。これが国土数値情報の位置情報となっている。一般に第3次地域区画(一辺がほぼ1キロメートルの方形)を基準地域メッシュと呼ぶ。
【0040】
通信部20は、通信回線3を介して気象情報サーバや車載ナビゲーション装置2a、車両2bと通信を行う。通信部20は、例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続可能なインターフェースで構成される。
【0041】
制御部10は、サーバ1全体の処理を制御すると共に、気象情報サーバや車載ナビゲーション装置2a、車両2bとの通信を、通信部20を介して行う。また、受信した各種情報に基づいて処理を行い、車載ナビゲーション装置2a、車両2bからの要求に応じてデータを送信する処理を行う。制御部10は、配信地域判定部12と配信データ選択部14、地域気象データ作成部16と通信制御部18を有し、それぞれバスにより接続されている。また、制御部10は、メモリ及びCPU(中央処理演算装置)を備えたコンピュータシステムであって、上記の各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよいし、また、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。尚、配信地域判定部12及び地域気象データ作成部16は、車載ナビゲーション装置2a、車両2bが地域気象データを指定して要求する場合は、必須の構成でなくてもよい。
【0042】
制御部10の配信地域判定部12は、気象情報配信サーバから受信した気象情報を、所定の種類の気象情報について、配信する地域を定める。例えば、図5のテーブルのように、気象情報と配信地域とを関連付けておき、アメダスデータであれば、東京都や大阪府、天気予報データは全国、というように配信地域を判断する。尚、図5では、地域の指定に東京都や大阪府等、実際の地域名で指定してあるが、この指定をメッシュコードによって行ってもよい。そして、これらのメッシュは、第1次、第2次、第3次のいずれの単位を使用してもよく、また、地域によって可変であってもよい。また、指定単位も都道府県単位ではなく、例えば23区等の「市区町村」や「東京都外」のような単位でもよい。
【0043】
ここで、メッシュコードとは、標準地域メッシュによる区画において、各区画を特定するために付されているコード番号のことをいう。第1次地域メッシュを示す数字は、区画の南端緯度を1.5倍して得られる度数を示す2けたの数字および西端経度を示す数字から100を減じて得られる2けたの数字をこの順に組み合わせた4けたの数字である。また、第2次地域区画を示す数字は、第1次地域メッシュを経線方向および緯線方向に8等分して得られる各区画に、経線方向については南から、緯線方向については西から、それぞれ0から7までの数字を付し、これを経線方向に付した数字、緯線方向に付した数字の順に組み合わせた2けたの数字である。さらに第3次地域メッシュを示す数字は、第2次地域メッシュを経線方向および緯線方向に10等分して得られる各区画に、経線方向については南から、緯線方向については西から、それぞれ0から9までの数字を付し、これを経線方向に付した数字、緯線方向に付した数字の順に組み合わせた2けたの数字である。
【0044】
制御部10の地域気象データ作成部16は、地図データデータベース24に記憶されている地域区分と、配信地域判定部12が判定した各気象情報の配信範囲(図5)及び対応テーブル(図6)をそれぞれ読み出して、これらに基づいて、各地域区分に配信する地域気象データを作成する。対応テーブルとは、例えば、図6の様に、地域区分と各気象情報が関連付けられており、各気象情報の構成比率が記載されているテーブルである。たとえば、メッシュコード5339では、アメダスデータが60%、天気予報データが30%、アメダス予測及び台風情報は配信せず、警報・注意報は10%の比率で配信することを示している。そして、各区分について定められる。尚、この構成表は季節や月によって可変であってよく、また、標準の構成を定めておき、特定の地域のみ特に構成を設定して、他の地域は標準構成を使用してもよい。また、図6では、地域区分をメッシュコードにて指定しているが、「東京都」や「沖縄県」等の都道府県や、「関東地方」等の地方単位、市区町村といった、具体的な地名等で指定してもよい。
【0045】
制御部10の配信データ選択部14は、通信部20が受信した、車載ナビゲーション装置2a、車両2bの位置情報及び/又は経路情報を受け取り、車載ナビゲーション装置2a、車両2bに送信する地域気象データを選択する。具体的には、まず位置情報と経路情報が示す位置について、地域区分データデータベースから該当する地域区分を求める。そして当該地域区分と関連付けられている地域気象データを選択する。また、車載ナビゲーション装置2a、車両2bが地域気象データを指定して要求する場合は、車載ナビゲーション装置2a、車両2bの位置情報及び/又は経路情報と共に、車載ナビゲーション装置2a、車両2bが指定する所定の気象情報の種類や構成情報を受信する。そしてまず位置情報と経路情報が示す位置について、地域区分データデータベースから該当する地域区分を求め、指定された構成情報に従って、気象情報データベース22に記憶する気象情報を選択する。尚、構成情報を指定せず、気象情報の種類を指定するのみであってもよい。
【0046】
制御部10の地域気象データ抽出部17は、配信データ選択部14が選択した地域気象データ又は気象情報を、気象情報データベース22から読み出して、車載ナビゲーション装置2a、車両2bに送信するために通信制御部18に渡す。
【0047】
制御部10の通信制御部18は、通信部20を介して気象情報配信サーバ4や車載ナビゲーション装置2a、車両2bから情報を受信して、受信した情報を気象情報データベース22や配信データ選択部14等に振り分ける。また、制御部10の各部が処理をしたデータ等について、通信部20を介して送信する制御を行う。
【0048】
車載ナビゲーション装置2a、車両2bは、図7にあるように、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信部42及びGPS用のアンテナ43、通信部44及び通信部用アンテナ45、制御部30、記憶部46、入力操作部48、音声出力部50、表示部52、地図データデータベース54を少なくとも有する。尚、車両2bは、車載ナビゲーション装置2aと同様の構成を有している。
【0049】
車載ナビゲーション装置2a、車両2bの通信部44は、制御部30からの指令に基づいて、サーバ1と通信回線3を通じて通信するための通信装置であり、無線もしくは有線であってよい。また、携帯端末を接続し、携帯端末を介して通信部44として構成してもよい。
【0050】
車載ナビゲーション装置2a、車両2bの制御部30は、車載ナビゲーション装置2a車両2bの動作を制御し、経路探索部32、気象情報指定部33、通信制御部34、時刻制御部36、音声出力制御部38、表示制御部40を少なくとも有する。そして、GPS受信部42が受信した自車の位置情報及び/又は経路情報から、サーバ1に要求する気象情報を指定し、指定した気象情報をサーバ1に送信する。また、制御部30は、メモリ及びCPU(中央処理演算装置)を備えたコンピュータシステムであって、上記の各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよいし、また、専用のハードウェアにより実現されるものであってよい。
【0051】
経路探索部32は、入力操作部48から利用者によって入力される行き先について、地図データデータベース54から地図データを読み出し、案内する経路を求める。利用者からの入力を受け付ける際には、表示制御部40を介して地図データを表示部52に表示し、利用者からの経路決定についての補助をしてもよい。
【0052】
気象情報指定部33は、GPS受信部42が受信した自車の位置情報及び/又は経路探索部32で求めた経路情報から、自車の位置及び/又は経路において必要な気象情報を選択し、指定する。これは、例えば、まず自車の位置情報及び/又は経路情報と、地域区分データと、図8及び図9のテーブルとをそれぞれ読み出して、これらを基に、地図データデータベース54から、当該位置情報と関連する地域区分を特定し、その特定した地域区分と予め関連付けられた気象情報を選択する。例えば、まず、図8のテーブルで、ある地域区分のときに要求するデータの種類を決定する。図8のテーブルは、気象情報の各種類と、サーバ1から地域気象データを受信したい地域区分を示すメッシュコードとが関連付けられている。そして、アメダスデータは、メッシュコード5339、4830の地域区分のときに、サーバ1に要求することを示す。他の天気予報データ、警報注意報データ等も同様に種類別に、サーバ1に要求を行うメッシュコードが関連付けられている。そこで、位置情報の示す位置が、メッシュコード5339の地域区分であるときはアメダスデータと天気予報データと警報・注意報データをサーバ1に要求することになる。次に、あるデータ量における各気象情報の比率を指定する。例えば、図9の対応テーブルでは、メッシュコードと気象情報の交わるマス80に記載している数字を記入して、構成比率を指定する。メッシュコード5339の地域区分では、所定のデータ容量において、アメダスデータを60%、天気予報データを30%、警報注意報データを10%という比率で構成したデータをサーバ1に要求することを示している。図8では、全体のデータ量に対する相対値で示したが、バイト数等の実際のデータ量で表してもよい。そして、サーバ1に要求する気象情報の種類や構成を表す情報(以下、構成情報と表記する。)をサーバ1に送信する。尚、この気象情報指定部33は、サーバ1において車載ナビゲーション装置2a、車両2bに必要な気象情報を判断する場合は、必須の構成ではない。
【0053】
音声出力制御部38は、経路誘導を行う際に、表示部52に表示して行うだけでなく、音声においても経路誘導をするために、記憶部46から該当する音声データを読み出して、音声出力部50から出力する音声を制御する。また、音声で出力するのは、経路誘導だけでなく、サーバ1から送信される警告・注意報や交通情報、その他の情報であってもよい。
【0054】
表示制御部40は、地図データデータベース54から地図データを読み出し、経路案内中や経路決定時、その他入力操作部48等からの要求受付に応じて表示部52に地図を表示する。また、記憶部46から気象情報や警告情報に対応したシンボルデータを読み出し、表示部52に各種シンボルを表示する。
【0055】
また、制御部30には、記憶部46と地図データデータベース54が接続されており、記憶部46は、サーバ1から受信した地域気象データや、制御部30が使用する一時的なデータ、経路情報やその他入力操作部48等からの入力を受け付けた各種設定、気象情報や警告情報に対応したシンボルデータ、音声データを記憶する。また、地図データデータベース54は、経路案内等に使用される地図データや、地図を所定の区分に区分けした地域区分データを記憶する。制御部30は、記憶部46や地図データデータベース54に記憶されているデータを読み込むことにより、各種データを取得する。
【0056】
さらに、制御部30には、入力操作部48や音声出力部50、表示部52が接続されている。入力操作部48は、利用者が車載ナビゲーション装置2a、車両2bを操作するためのキーパッドやボタン、ポインティングデバイス等から構成される。また、音声出力部50は、経路案内をする際に表示部52に表示するだけでなく、音声で経路等の表示内容を出力する。表示部52は、液晶画面等の文字や地図を表示するための装置で構成され、車載ナビゲーション装置2a、車両2b本体と一体であってもよいし、別途表示装置を接続して表示部52としてもよい。
【0057】
次に、本発明の一実施形態である車載ナビゲーション装置2a、車両2b及びサーバ1の動作及び処理手順について図面を用いて説明する。図10は、本発明の一実施形態であるサーバ1の動作及び処理手順を示したフローチャートである。
【0058】
まず、サーバ1の制御部10は通信部20を介して車載ナビゲーション装置2a、車両2bから位置情報及び/又は経路情報や、又は気象情報の構成情報を受信する(ステップS100)。そして、サーバ1の制御部10は、同時に受信した車載ナビゲーション装置2a、車両2bの位置情報及び/又は経路情報、又は気象情報の構成情報を受け付ける(ステップS105)。この車載ナビゲーション装置2a、車両2bの位置情報及び/又は経路情報の受付、又は気象情報の構成情報については、同時に受信するのではなく、車載ナビゲーション装置2a、車両2bから配信要求信号等の信号をサーバ1の制御部10が受け付けた後、車載ナビゲーション装置2a、車両2bが位置情報及び/又は経路情報、又は気象情報の構成情報を送信するようにしてもよい。尚、気象情報の構成情報は、車載ナビゲーション装置2a、車両2bが気象情報の種類や構成等を指定する場合に受信する情報である。気象情報の種類や構成等を指定しない場合には、受信しなくてもよい。
【0059】
位置情報及び/又は経路情報、又は気象情報の構成情報を取得した後、サーバ1の配信データ選択部14は、まず位置情報と経路情報が示す位置について、地域区分データデータベースから該当する地域区分を求める。そして、対応テーブル(図6)により、当該地域区分に関連付けられている地域気象データを選択する(ステップS110)。また、ステップS100で気象情報の構成情報を受信している場合には、ステップS110では、配信データ選択部14は、気象情報の構成情報で示されている地域区分を求め、受信した気象情報の構成情報に従って気象情報を選択する。そして、地域気象データ抽出部17は、気象情報データベース22から該当する地域気象データを読み出す(ステップS115)。そして、通信制御部18は、通信部20を介して車載ナビゲーション装置2a、車両2bに地域気象データを配信する(ステップS120)。
【0060】
図11は、本発明の一実施形態である車載ナビゲーション装置2a、車両2bの動作及び処理手順を示したフローチャートである。
【0061】
まず、車載ナビゲーション装置2a、車両2bの制御部30は、GPS受信部42から自車の現在位置を取得する。さらに、利用者により、行き先の設定があった場合には、車載ナビゲーション装置2a、車両2bの制御部30は、設定された行き先までの経路情報を経路探索部32により取得する(ステップS200)。次に、制御部30は、サーバ1に対して気象情報の要求を行うか否かを判断する(ステップS205)。この判断は、ステップS200において、経路探索部32により経路情報を取得した時にサーバ1に接続するとしてもよいし、また、時刻制御部36により、所定の時間間隔でサーバ1に接続要求するようにしてもよい。この所定の時間間隔は、予め決められた時間であってもよいし、入力操作部48を介して利用者により設定可能であってよい。この判断において、サーバ1に気象情報の要求をしないと制御部30が判断した場合には、ステップS200に処理を戻し、サーバ1に気象情報の要求をすると制御部30が判断した場合には、次のステップに処理を移す。
【0062】
次に、制御部30の気象情報指定部33は、GPS受信部42が受信した自車の経路探索部で求めた経路情報を元に、地図データデータベース54の地域区分から該当する地域区分を求める。そして、当該地域区分から、自車の位置と経路において必要な気象情報を選択し、指定する(ステップS210)。これは、図8にあるように、各種の気象情報と地域区分を示すメッシュコードとを関連付けた表を使用して、指定してもよい。さらに図9の様に、サーバ1に要求する気象情報の構成比率やデータ量を指定してもよい。尚、ステップS210は、サーバ1において車載ナビゲーション装置2a、車両2bに必要な気象情報を判断する場合は、必須の構成ではなく、サーバに位置情報及び/又は経路情報を送信するのみとして、省略してもよい。
【0063】
次に制御部30は、ステップS210の処理を行った場合は、要求する気象情報の構成情報を、また、ステップS210を省略した場合は、ステップS200において取得した位置情報及び/又は経路情報を通信部44を介してサーバ1へ送信する(ステップS215)。その後、サーバ1から配信された気象情報(以下、地域気象データという)を受信する(ステップS220)。受信できない場合は、ステップS215に処理を戻し、再度サーバ1に気象情報の要求を行う。これは、時刻制御部36により、所定の時間間隔で気象情報の要求を行ってもよいし、また、気象情報の要求を所定の回数おこなっても受信できない場合は、終了としてもよい。
【0064】
サーバ1から地域気象データを受信すると、制御部30は、受信した地域気象データを記憶部46に記憶する(ステップS225)。そして、制御部30は、GPS受信部42により特定する現在位置と、地域区分を基に、該当する地域区分に対応する気象情報を表示部52に表示する(ステップS230)。この表示する気象情報は、天気を示すシンボルであってよいし、また、警報・注意報であれば文章で示してもよく、音声出力部を介して音声によって出力をしてもよい。また、表示制御部40が表示部52に表示している地図データに重畳するように天気シンボルや警報等を表示してもよい。表示するシンボルは天気シンボルに限られない。音声による出力は、警報・注意報等に限らず、経路案内や交通案内、地域情報その他の音楽や無線放送であってもよい。
【0065】
制御部30は、車載ナビゲーション装置2a、車両2bを終了するか否かを判断する(ステップS235)。判断するには、例えば、車載ナビゲーション装置2aの電源のオフ又は車両2bのイグニッションのオフにより終了と判断する。もしくは、目的地に到着し、経路誘導の終了を持って終了としてもよい。終了ではないと判断した場合は、ステップS200に処理を戻す。
【0066】
以上説明したように、サーバ1は、受信した気象情報について、その種類毎に送信範囲を定めておくことにより、不要な情報を送信する必要が無くなり、配信するデータ量を低減することができ、かつ地域に適した気象情報を提供することができる。さらに、送信するデータの構成比率も指定することができるので、必要な気象情報をより効率的に提供することが可能となる。
【0067】
また、車載ナビゲーション装置2a、車両2bにおいて、現在位置と経路から、必要な気象情報を選択し指定しておくことで、サーバ1から配信される気象情報のデータ量を低減することができる。不要な情報が配信されることを防止することができるからである。これにより、受信する際の通信時間や通信料金を節約することが期待できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定しない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載された効果に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1及び車載ナビゲーション装置2a、車両2bのシステムの概略構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の概略構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の地域気象データの選択例を示す概略図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の地域気象データの選択例を示す概略図である。
【図5】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の気象情報の選択例を示す概略図である。
【図6】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の気象情報の選択例を示す概略図である。
【図7】本発明の好適な実施形態の一例に係る車載ナビゲーション装置2a、車両2bの概略構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の好適な実施形態の一例に係る車載ナビゲーション装置2a、車両2bの気象情報の選択例を示す概略図である。
【図9】本発明の好適な実施形態の一例に係る車載ナビゲーション装置2a、車両2bの気象情報の選択例を示す概略図である。
【図10】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の好適な実施形態の一例に係るサーバ1の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 サーバ
2a 車載ナビゲーション装置
2b 車両
3 通信回線
4 気象情報配信サーバ
10 制御部
12 配信地域判定部
14 配信データ選択部
16 地域気象データ作成部
17 地域気象データ抽出部
18 通信制御部
20 通信部
22 気象情報データベース
24 地図データデータベース
30 制御部
32 経路探索部
33 気象情報指定部
34 通信制御部
36 時刻制御部
38 音声出力制御部
40 表示制御部
44 通信部
46 記憶部
48 入力操作部
50 音声出力部
52 表示部
54 地図データデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と通信可能なサーバであって、
気象情報を記憶する気象情報記憶部と、
所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部と、
前記気象情報が所定の気象情報であることに応じて、前記気象情報を配信する前記地域区分の範囲を定める配信地域判定部と、
前記配信地域判定部が定めた範囲に対応した前記気象情報に関する地域気象データを作成する地域気象データ作成部と、
前記車両の位置情報及び/又は経路情報を受信する車両情報受信部と、
前記受信に応じて、前記位置情報及び/又は前記経路情報に対応した地域区分の前記地域気象データを選択する、配信データ選択部と、
前記配信データ選択部が選択した前記地域気象データを配信する配信部と、
を備えるサーバ。
【請求項2】
前記地域気象データ作成部は、前記地域区分に応じた構成内容及び/又は量の異なる地域気象データを作成する、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
車両と通信可能なサーバであって、
気象情報を記憶する気象情報記憶部と、
前記車両が指定する前記気象情報が所定の気象情報であること、前記車両の現在位置及び/又は前記車両の経路情報に応じた地域区分の気象情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両情報受信部が受信する気象情報に応じた気象情報を選択する配信データ選択部と、
前記配信データ選択部が選択した前記気象情報を配信する配信部と、
を備えるサーバ。
【請求項4】
自車の現在位置を特定可能な位置特定部と、
サーバとの通信を行う通信部と、
前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車載ナビゲーション装置であって、
前記車載ナビゲーション装置は、前記位置特定部が特定した自車の位置情報及び/又は前記経路の経路情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部と、
前記通信部が前記サーバから受信した、前記自車の位置情報及び/又は経路情報に対応した所定の地域区分に関する地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部と、を備える車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
自車の現在位置を特定可能な位置特定部と、
サーバとの通信を行う通信部と、
前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車載ナビゲーション装置であって、
所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部と、
気象情報が所定の気象情報であること、前記位置特定部が特定した自車の現在位置及び/又は前記経路の経路情報に応じた地域区分の気象情報を指定する、気象情報指定部と、
前記気象情報指定部が指定した前記気象情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部と、
前記通信部が前記サーバから受信した、地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部と、を備える車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記気象情報指定部は、前記地域区分に応じた構成内容及び/又は量の異なる気象情報を指定する、請求項5に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
自車の現在位置を特定可能な位置特定部と、
サーバとの通信を行う通信部と、
前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車両であって、
前記車両は、前記位置特定部が特定した自車の位置情報及び/又は前記経路の経路情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部と、
前記通信部が前記サーバから受信した、前記自車の位置情報及び/又は経路情報に対応した所定の地域区分に関する地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部と、を備える車両。
【請求項8】
自車の現在位置を特定可能な位置特定部と、
サーバとの通信を行う通信部と、
前記自車の行き先に対する経路を探索し、地図データを表示部に表示して経路誘導を行う車両であって、
所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部と、
気象情報が所定の気象情報であること、前記位置特定部が特定した自車の現在位置及び/又は前記経路の経路情報に応じた気象情報を指定する、気象情報指定部と、
前記気象情報指定部が指定した前記気象情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部と、
前記通信部が前記サーバから受信した地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを前記表示部に表示する表示制御部と、を備える車両。
【請求項9】
前記気象情報指定部は、前記地域区分に応じた構成内容及び/又は量の異なる気象情報を指定する、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
サーバと、車両と、が通信可能な気象情報配信システムであって、
前記サーバは、
気象情報を記憶する気象情報記憶部と、
所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部と、
前記気象情報が所定の気象情報であることに応じて、前記気象情報を配信する前記地域区分の範囲を定める配信地域判定部と、
前記配信地域判定部が定めた範囲に対応した前記気象情報に関する地域気象データを作成する地域気象データ作成部と、
前記車両の位置情報及び/又は経路情報を受信する車両情報受信部と、
前記受信に応じて、前記位置情報及び/又は前記経路情報に対応した地域区分の前記地域気象データを選択する、配信データ選択部と、
前記配信データ選択部が選択した前記地域気象データを配信する配信部と、
を備え、
前記車両は、
自車の現在位置を特定可能な位置特定部と、
サーバとの通信を行う通信部と、
前記自車の行き先に対する経路を探索する経路探索部と、
前記車両は、前記位置情報及び/又は前記経路情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部と、
前記サーバから受信した、前記地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する表示制御部と、を備える気象情報配信システム。
【請求項11】
サーバと、車両と、が通信可能な気象情報配信システムであって、
前記サーバは、
気象情報を記憶する気象情報記憶部と、
前記車両が指定する前記気象情報が所定の気象情報であること、前記車両の現在位置及び/又は前記車両の経路情報に応じた地域区分の気象情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両情報受信部が受信する気象情報を選択する配信データ選択部と、
前記配信データ選択部が選択した前記気象情報を配信する配信部と、
を備え、
前記車両は、
自車の現在位置を特定可能な位置特定部と、
サーバとの通信を行う通信部と、
前記自車の行き先に対する経路を探索する経路探索部と、
所定の単位で地域を分割した地域区分を示す地域区分データを記憶する地域区分データ記憶部と、
気象情報が所定の気象情報であること、前記位置特定部が特定した自車の現在位置及び/又は前記経路の経路情報に応じた気象情報を指定する、気象情報指定部と、
前記気象情報指定部が指定した前記気象情報を前記サーバに前記通信部を介して送信する通信制御部と、
前記通信部が前記サーバから受信した地域気象データに含まれる気象情報に対応した表示シンボルを表示部に表示する表示制御部と、
を備える気象情報配信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−102586(P2007−102586A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292931(P2005−292931)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】