説明

シール部材及びシール方法、テーブル及びステージ装置、並びに露光装置

【課題】 所定の隙間からの液体の流入を効果的に防止するとともに、部材変形を低減することができるシール部材及びシール方法、当該シール部材を備えるテーブル及びステージ装置、並びに当該ステージ装置を備える露光装置を提供する。
【解決手段】 本発明のシール部材10は、部材12aと部材12bとの間の隙間14をシールするものであり、可撓性を有し、部材12a及び部材12bとの間に密閉空間16a,16bを形成して密着する吸着部10a,10bを備える。吸着部10a,10bは必要に応じて何れか一方のみであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の隙間をシールするシール部材及びシール方法、当該シール部材を備えるテーブル及びステージ装置、並びに当該ステージ装置を備える露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶表示素子、撮像装置(CCD(charge Coupled Device)等)、薄膜磁気ヘッド等のデバイスは、マスクに形成されたパターンを感光基板(レジストが塗布された半導体ウェハ又はガラスプレート等)上に転写する、所謂フォトグラフィーの手法により製造される。このフォトグラフィー工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと、感光基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写する装置である。
【0003】
近年においては、デバイスに形成するパターンのより一層の高集積化に対応するために、投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は使用する露光光の波長が短くなるほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。このため、露光装置で使用される露光光の波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。現在主流の露光装置は、光源としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)を備えているが、更に短波長のArFエキシマレーザ(波長193nm)を備える露光装置も実用化されつつある。
【0004】
また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R及び焦点深度δは、それぞれ以下の(1)式及び(2)式で表される。
R= k・λ/NA ……(1)
δ=±k・λ/NA ……(2)
ここで、λは露光光の波長、NAは投影光学系の開口数、k,kはプロセス係数である。
【0005】
上記(1)式及び(2)式から、解像度Rを高めるために露光光の波長λを短波長化して開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。焦点深度δが狭くなりすぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難になり、露光動作時のマージンが不足する虞がある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば以下の特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。
【0006】
この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たし、液体中での露光光の波長が、空気中の1/n(nは液体の屈折率で、通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図12に示す通り、ウェハである基板Pの中央付近に設定されたショット領域SHに対する露光処理に加えて、投影光学系の投影領域100に基板Pのエッジ領域Eを配置して基板Pのエッジ領域Eを露光する場合がある。図12は、従来の課題を説明するための模式図である。例えば、露光工程よりも後の工程で行われるCMP(化学的機械的研磨)処理時においてCMP装置の研磨面に対する基板Pの片当たりを防止するために基板Pのエッジ領域Eにも露光処理を施してパターンを形成する場合、又は基板Pを有効活用するためにエッジ領域Eにも小さなデバイスパターンを形成する場合がある。
【0008】
かかる場合には、投影領域100の一部が基板Pの外側に配置されるため、露光光が基板Pを保持する基板テーブル120にも照射されることになる。液浸法による露光の場合には、投影領域100を覆うように液体の液浸領域が形成されるが、エッジ領域Eを露光するときには、投影領域100と同様に、液浸領域の一部が基板Pの外側の基板テーブル120上に配置される。また、図12では不図示であるが、基板テーブル120上の基板Pの周囲には、各種の計測部材及び計測用センサが配置されており、こららの計測部材又は計測センサを使用する場合にも、計測部材又は計測センサの外側の基板テーブル120上に液浸領域が配置されることがある。
【0009】
液浸領域の一部が基板P又は計測部材等の外側の基板テーブル120上に配置されると、液浸領域から液体が流出する虞がある。流出した液体は基板テーブルに設けられている隙間から基板ステージ内の内部に流入し、基板ステージに設けられた部品を腐食させる虞がある。かかる腐食が生ずると、基板ステージの位置決め精度に悪影響が及んで露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度、線幅誤差等)が悪化する一因になるとともに、腐食した部品の交換のために露光装置を停止させなければならず、稼働率低下の一因になってしまう。
【0010】
そこで従来は、図13(a)に示す通り、部材12a,12b間の隙間14をシールするために、ゴム等の弾性を有するシール部材20を部材12aと部材12bとの間の隙間に挟み込んでいた。このシール部材20は、それ自身よりも狭い隙間に挟まれることによって変形し、図13(a)に示す通り、復元力f1,f2を生ずる。この復元力f1,f2は、シール部材20と部材12a,12bとを密着させ、これにより部材12a,12b間の隙間がシールされる。
【0011】
上記のシール部材20の復元力f1,f2は、部材12a,12bに対して図13(a)に示す通り作用するため、三角印18a,18bで示す箇所で部材12a,12bの各々が拘束されていると、図13(b)に示す通り、部材12a,12bは復元力f1,f2により変形する。尚、図13(b)は部材12a,12bの変形を例示した図であり、どのように変形するかは、部材の形状及び固定方法等によって異なる。仮に、図13(c)に示す通り、部材12aが円形平板状であって、部材12bが円形の穴部13を備える板状形状であり、シール部材20が部材12aの直径と同程度の内径を有し、部材12aと部材12bとの隙間をシールするOリングである場合には、端部から中心に向かうシール部材20の復元力が部材12aに全体的に作用し、部材12aを変形させ、又は平面度若しくは平行度を悪化させてしまう。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の隙間からの液体の流入を効果的に防止するとともに、部材変形を低減することができるシール部材及びシール方法、当該シール部材を備えるテーブル及びステージ装置、並びに当該ステージ装置を備える露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
上記課題を解決するために、本発明のシール部材は、第1部材(12a)と第2部材(12b、12c)との間の隙間(14)をシールするシール部材(10、30、32)であって、可撓性を有し、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方との間に密閉空間(16a、16b)を形成して密着する吸着部(10a、10b)を備えることを特徴としている。
この発明によると、シール部材が備える吸着部によって第1部材及び第2部材の少なくとも一方との間に密閉空間が形成された状態で、第1部材と第2部材との間の隙間がシールされる。
上記課題を解決するために、本発明のシール方法は、第1部材(12a)と第2部材(12b)との間の隙間(14)をシールするシール方法であって、前記第1部材及び前記第2部材にシール部材を接触させる工程と、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方と前記シール部材との間に密閉空間を形成し、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方と前記シール部材とを密着させる工程とを含むことを特徴としている。
この発明によると、シール部材を第1部材及び第2部材に接触させて第1部材及び第2部材の少なくとも一方とシール部材との間に密閉空間を形成し、第1部材及び第2部材の少なくとも一方とシール部材とを密着させることにより第1部材と第2部材との間の隙間がシールされる。
本発明の第1の観点によるテーブルは、物体(P)を保持する保持部材(42)を備えるテーブル(40)であって、前記保持部材の周囲に配置された周辺部材(43)と、前記保持部材と前記周辺部材との間に配置され、前記保持部材と前記周辺部材との間の隙間をシールするシール部材(30)とを備え、前記シール部材は、前述のシール部材であることを特徴としている。
また、本発明の第2の観点によるテーブルは、物体(P)を保持する保持部材(42)を備えるテーブル(40)であって、前記保持部材の周囲に配置された周辺部材(43)と、前記保持部材と前記周辺部材との間に配置され、前記保持部材と前記周辺部材との間の隙間をシールするシール部材(10、30、32、34、36)とを備え、前記シール部材は可撓性を有し、前記保持部材と前記周辺部材との少なくとも一方に吸着されて前記隙間をシールすることを特徴としている。
本発明のステージ装置は、上記の何れかに記載のテーブルと、前記テーブルを所定面内で移動させる駆動源(73)とを備えることを特徴としている。
本発明の露光装置は、マスク(M)を保持するマスクステージ(MST)と、基板(P)を保持する基板ステージ(PST)とを備え、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上に転写する露光装置(EX)において、前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方として上記のステージ装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸着部によって第1部材及び第2部材の少なくとも一方との間に密閉空間が形成された状態で、第1部材と第2部材との間の隙間がシールされるため、シール部材と第1部材又は第2部材との間に作用する力を、その接触部分においてのみ作用する局所的で閉じたものとすることができる。これにより、第1部材又は第2部材を変形させ、又は平面度若しくは平行度を悪化させることなく、第1部材と第2部材との間の隙間からの液体の流入を効果的に防止することができる。
また、本発明によれば、基板を保持する保持部材の変形又は平面度若しくは平行度を悪化させることがなく、保持部材と周囲部材との間の隙間をシールすることができるため、露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度、線幅誤差等)を向上させることができる。この結果として、所期の機能を有するデバイスを高い歩留まりで、且つ高稼働率で効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるシール部材及びシール方法、テーブル及びステージ装置、並びに露光装置について詳細に説明する。
【0016】
〔シール部材及びシール方法〕
図1は、本発明の一実施形態によるシール部材の断面図である。本実施形態のシール部材10は、第1部材としての部材12aとの間に密閉空間16bを形成して密着する吸着部10aと、第2部材としての部材12bとの間に密閉空間16bを形成して密着する吸着部10bと、吸着部10a,10bを連結する梁部10cとを備えており、部材12aと部材12bとの間の隙間14に配置される。吸着部10a,10bの断面形状は略半弧形状であり、梁部10cの断面形状は略直線形状である。
【0017】
吸着部10a,10b及び梁部10cは、可撓性を有するフッ素系のゴムにより一体形成されている。尚、ここでは、吸着部10a,10bと梁部10cとが一体形成されている場合を例に挙げて説明するが、これらが異なる部材から形成されて組み立てられている構成でも良い。また、フッ素系のゴムを用いるのは、部材12a,12bの上面に水等の液体が供給されるときに、シール部材10から液体への不純物の溶出を極力避けるためである。
【0018】
尚、図1において、符号18aを付して示す三角印は部材12aを拘束する拘束位置を示しており、同様に符号18bを付して示す三角印は部材12bを拘束する拘束位置を示している。つまり、部材12aは三角印18aで示す箇所で拘束されて位置が固定され、部材12bは三角印18bで示す箇所で拘束されて位置が固定される。
【0019】
以上の構成のシール部材10を用いた隙間14のシールは、以下の手順で行う。まず、シール部材10を部材12a,12b間の隙間14に配置する。次に、シール部材10の吸着部10aの開口部を部材12aの側壁に向けて接触させるとともに、吸着部10bの開口部を部材12bの側壁に向けて接触させて密閉空間16a,16bをそれぞれ形成する。次いで、これら密閉空間16a,16b内を排気(減圧)して吸着部10a,10bを部材12a,12bのそれぞれに密着させる。これにより隙間14がシールされる。
【0020】
吸着部10a,10b及び梁部10cは可撓性を有しているため、隙間14の幅に応じて吸着部10a,10b及び梁部10cが伸縮又は変形することによりシール部材14と部材12a,12bとの間に隙間が生ずることなく部材12a,12bとの間の隙間14がシールされる。尚、ここでは、吸着部10a,10bを部材12a,12bのそれぞれに密着させるときに密閉空間16a,16b内を排気(減圧)しているが、排気以外の方法で密着させても良い。例えば、吸着部10a,10bに力を加えて各々を変形させた状態で部材12a,12bに接触させ、その後に吸着部10a,10bに加えている力を開放すれば、吸着部10a,10bの復元力によって密閉空間16a,16bが減圧された状態になって吸着部10a,10bが部材12a,12bのそれぞれに密着する。
【0021】
本実施形態のシール部材10は、シールを行った際の部材の変形、又は部材の平面度若しくは平行度の悪化を抑制するものである。図2は、シール部材10と部材12aとの間に作用する力を説明するための図である。尚、シール部材10と部材12bとの間に作用する力も同様であるため、ここではシール部材10と部材12aとの間に作用する力を例に挙げて説明する。図2に示す通り、シール部材10は、吸着部10aの開口部を部材11a側に向けた状態で吸着部10aを部材12aに接触させ、吸着部10aと部材12aとにより形成される密閉空間16a内を排気することにより部材12aに密着する。
【0022】
吸着部10aが部材12aに密着することにより、吸着部10aから部材12aに作用する力として、図2に示す力f11、f12が生ずる。しかしながら、密閉空間16a内は排気されて周囲よりも圧力が低いため、部材12aには吸着部10aに向かう方向の力f13も生ずる。これらの力f11,f12と力f13とが部材12aに作用することにより部材12aの変形が生ずるが、吸着部10aと部材12aとの間で作用する力は部材12bの端部においてのみ作用する局所的で閉じたものとすることができるので、部材12aに生じる変形を小さく抑えることができる。
【0023】
図3は、環状のシール部材10を示す斜視図である。図13(c)に示すシール部材20(Oリング)に代えて図3に示すシール部材10を用いて図13(c)に示す円形平板状の部材12aと円形の穴部13を備える板状形状である部材12bとの間の隙間をシールすると、部材12aについては端部においてのみシール部材10との間における力が局所的に作用する。また、シール部材10は吸着によってシールを行っており、従来のシール部材20(Oリング等)のように与圧により生じる弾性力(復元力)を用いていないため、端部から中心に向かう図13(c)に示した力(部材12aの全体に作用する力)は従来技術と比較して非常に小さい。この結果として、図13に示すシール部材20を用いてシールする場合に比べて、部材12aの変形、又は部材12aの平面度若しくは平行度の悪化を抑制することができる。
【0024】
次に、シール部材10の吸着部10a,10bと部材12a,12bとによって形成される密閉空間16a,16b内を排気する方法について説明する。図4は、密閉空間16a内の排気方法を説明するための断面図である。第1の方法は、図4(a)に示す通り、吸着部10aの中央部から梁部10c内を介して吸着部10bの中央部に連通するとともに、梁部10cに形成された排気口24に接続された給排気路22が形成されたシール部材10を用いる。このシール部材10を部材12aと部材12bとの間の隙間に配置し、吸着部10aを部材12aに接触させるとともに吸着部10bを部材12bに接触させた後で排気口24に真空ポンプ等の減圧手段を接続することで、密閉空間16a,16b内が排気される。尚、梁部10cを介して吸着部10a,10bに連通する給排気路を設けずに、排気口を吸着部10a,10bに直接形成して密閉空間16a,16b内を個別に排気する構成であってもよい。
【0025】
第2の方法は、図4(b)に示す通り、密閉空間16aを形成する部材12aの壁面に吸引口27を形成するとともに、この吸引口27に接続される給排気路26を部材12aの内部に形成する。シール部材10(図4(a)に示す給排気路22が形成されていないもの)の吸着部10aを部材12aの壁面に接触させた後で排気口28に真空ポンプ等の減圧手段を接続することで、密閉空間16a内が排気される。尚、不図示の密閉空間16b内を排気する場合も同様に、密閉空間16bを形成する部材12bの壁面に吸引口を形成するとともに、この吸引口に連通する給排気路を部材12b内の内部に形成する。尚、部材12aの内部に形成される給排気路と部材12bの内部に形成される給排気路とが接続されており、密閉空間16a,16b内を同時に排気するようにしても良い。
【0026】
尚、以上説明したシール部材10は、部材12a,12bの各々との間に密閉空間16a,16bをそれぞれ形成して密着する吸着部10a,10bを備えた構成であったが、吸着部10a,10bの何れか一方のみを備える構成であってもよい。かかる構成の場合であって、シールする隙間14の間隔が狭いときには、更に梁部10cを省略した構成(つまり、吸着部10aのみ、又は吸着部10bのみの構成)であっても良い。
【0027】
図5は、本発明の実施形態によるシール部材の変形例を示す断面図である。尚、図5において、図1に示す部材等と同一の部材等については同一の符号を付してある。図5(a)に示すシール部材30は、吸着部10aと梁部10cとを備える構成である。つまり、図1に示すシール部材10から吸着部10bを除いたものである。かかる構成のシール部材30を用いる場合には、図1に示す部材12bに代えて梁部10cの端部10c付近が嵌合される嵌合部15が形成された部材12cを用いる必要がある。部材12cと部材12aとの間の隙間をシールするには、まず部材12cに形成された嵌合部15にシール部材30の梁部10cを嵌合させる。次いで、シール部材30の吸着部10aを部材12aに接触させ、吸着部10aと部材12aとによって形成される密閉空間16a内を排気する。また、図5(b)に示すように、図5(a)に示すシール部材30から梁部10cを除き、吸着部10aのみからなるシール部材32としてもよい。
【0028】
図6は、本発明の実施形態によるシール部材の他の変形例を示す断面図である。以上説明したシール部材10,30,32は吸着部を必須の構成としていたが、図6に示すシール部材は吸着部を備えない構成である。図6(a)に示すシール部材34は略T字形状の断面形状であり、図6(b)に示すシール部材36は略I字形状又は略L字形状の断面形状である。これらのシール部材34,36は、図5(a)に示した部材12aと部材12cとの間の隙間をシールするために用いられる。但し、部材12aには、図4(b)に示した給排気路26が形成されている必要がある。
【0029】
図6(a)に示す通り、シール部材34は一端(T字の足部)が部材12cに形成された嵌合部15に嵌合されており、他端(T字の頭部)が部材12aの給排気路26に接続された吸引口27に吸着される。同様に、図6(b)に示す通り、シール部材36は一端が部材12cに形成された嵌合部15に嵌合されており、他端が部材12aの給排気路26に接続された吸引口27に吸着される。このように、図6に示す例では、一端が部材12cの嵌合部15に嵌合されたシール部材34,36を、部材12に吸着することにより、部材12aと部材12cとの間をシールしている。
【0030】
このとき、シール部材34,36の引っ張り力及び復元力が大きいと部材12a,12cが変形し、又は部材12a,12cの平面度若しくは平行度が悪化する虞が考えられる。このため、変形等を避ける場合には、極力柔らかな材料(可撓性の高い材料)で形成されているシール部材34,36を用いることが望ましい。尚、図6に示す例では、シール部材34,36の一端が部材12cに形成された嵌合部15に嵌合されている場合を例に挙げて説明したが、部材12cに代えて給排気路26が形成されている部材12bが配置されている場合には、部材12a,12bの両側からシール部材34,36を吸着するようにしても良い。
【0031】
〔テーブル〕
次に、本発明の一実施形態によるテーブルについて説明する。図7は、本発明の一実施形態によるテーブルの概略構成を示す図であって、(a)はテーブルの外観を示す斜視図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿った断面矢視図である。図7(a),(b)に示す通り、本実施形態のテーブル40は、基台41と、基台41上に配置された基板ホルダ42及び周辺部材としてのプレート部材43とを含んで構成され、基板Pは基板ホルダ42上に載置される。基板ホルダ42は、基台41上であって、プレート部材43に形成された凹部43a内に配置される。基板ホルダ42は、基板ホルダ42上に基板Pを配置したときに、基板P表面の高さ位置がプレート部材43の上面の高さ位置と同程度になるように形成されている。
【0032】
基板ホルダ42の径は、載置する基板Pの径と同程度に設定されている。尚、基板Pの外形形状はほぼ円形である。基板ホルダ42(基板P)は、プレート部材43に形成された凹部43aの内径より小さい径に形成されており、その間隔Gは0.1mm〜1.0mm程度に設定され、本実施形態では0.3mm程度である。また、プレート部材43は、撥液性を有するポリ四フッ化エチレン製等により形成され、又はその上面が撥液処理(撥水処理)処理されているため、基板P上又はプレート部材43の上面に液体が供給されても、テーブル10内への液体の流入を防止することができる。
【0033】
尚、テーブル10内への液体の流入をより効果的に防止するために基板Pの側面も撥液処理を施すことが望ましい。基板Pに切欠部が形成されている場合には、その切欠部に応じてプレート部材43に突起部を設ける等、プレート部材43を切欠部に応じた形状にすればよい。かかる形状とすることで、基板Pの切欠部においても基板Pとプレート部材43との間でギャップGを確保することができる。
【0034】
基板ホルダ42の周壁部42aに囲まれた空間44は、吸引装置BC1によって負圧にされる。吸引装置BC1は、基板ホルダ42の上面に設けられた複数の吸引口45と、テーブル40外部に設けられた真空ポンプを含むバキューム部46と、基板ホルダ42の内部に形成され、複数の吸引口45のそれぞれとバキューム部46とを接続する流路47とを含んで構成される。吸引口45は基板ホルダ42の上面のうち支持部42b及び周壁部42a以外の複数の所定位置にそれぞれ設けられている。吸引装置BC1は、周壁部42aと支持部42bとに支持された基板Pとの間に形成された空間44内部のガス(空気)を吸引してこの空間44を減圧することで、基板Pを支持部42bに吸着保持する。
【0035】
また、本実施形態のテーブル40は、シール部材30を基板ホルダ42の側壁に密着させるための吸引装置BC2を備えている。吸引装置BC2は、基板ホルダ42の側壁の所定位置に設けられた複数の吸引口48と、テーブル40外部に設けられた真空ポンプを含むバキューム部49と、基板ホルダ42の内部に形成され、複数の吸引口48のそれぞれとバキューム部49とを接続する流路50とを含んで構成される。吸引装置BC2は、シール部材30の吸着部10a(図8参照)と基板ホルダ42の側壁との間に形成される密閉空間16a内部のガス(空気)を吸引してこの密閉空間16aを減圧することで、シール部材30を基板ホルダ42に密着させる。
【0036】
シール部材30は、プレート部材43の内壁の一部を切り欠いて形成された切り欠き部43bに配置されている。本実施形態のテーブル40では、基板ホルダ42とプレート部材43との間の隙間をシールするために、図5(a)に示したシール部材30を用いている。図8は、テーブル40に用いられているシール部材30の斜視図である。図8に示す通り、シール部材30は、吸着部10aと梁部10cとを備えた可撓性を有する環状のものであり、その内径は基板ホルダ42の径と同程度に設定されている。尚、ここでは基板ホルダ42の形状が円板状であるため円環状のシール部材を用いているが、基板ホルダ42の形状に応じた形状を有する環状のシール部材を用いればよい。
【0037】
シール部材30は、図7(b)に示す通り、梁部10cが切り欠き部43bに沿って形成された嵌合部43cに嵌合され、吸着部10aが基板ホルダ42の側壁に密着した状態で、プレート部材43の切り欠き部43bに配置されている。これにより、基板ホルダ42の全周に亘って基板ホルダ42とプレート部材43との間がシール部材30によってシールされることになり、基板ホルダ42とプレート部材43との間の隙間Gから液体が流入したとしても、シール部材30により液体のテーブル10内への流入を防止することができる。
【0038】
次に、以上説明したステージ40のシール方法について説明する。図9は、本発明の一実施形態によるシール方法を説明するための図である。まず、図9(a)に示す通り、基台41上にプレート部材43が配置された状態で、図8に示すシール部材30をプレート部材43に形成された凹部43aに導き入れて切り欠き部53bに配置する。シール部材30は可撓性を有するため、容易に凹部43aに導き入れることができる。次に、シール部材10の梁部10cをプレート部材43に形成された嵌合部43cに押し込み、図9(b)に示す通り、梁部10cをシール部材10全周に亘って嵌合部43cに嵌合させる。
【0039】
尚、ここでは、プレート部材43が基台41上に配置された状態で、シール部材30の梁部10cをプレート部材43の嵌合部43cに押し入れるとしている。しかしながら、プレート部材43が基台41上に配置されていない状態でシール部材30の梁部10cをプレート部材43の嵌合部43cに押し入れ、シール部材30の全周に亘って梁部10cが嵌合部43cに嵌合した状態のプレート部材43を基台41上に配置して図9(b)に示す状態にしても良い。
【0040】
次に、プレート部材43の孔部43aに基板ホルダ42を配置する。前述した通り、シール部材30の内径は基板ホルダ42の径と同程度であるため、図9(c)に示す通り、基板ホルダ42の全周に亘ってシール部材30の吸着部10aが接触した状態になり、基板ホルダ42とシール部材30の吸着部10aとの間に密閉空間が形成される。また、図9に示す通り、基板ホルダ42の側壁に形成された複数の吸引口48がこの密閉空間内に配置される状態になる。次いで、吸引装置BC2のバキューム部49を作動させて吸引口48及び流路50を介して密閉空間を減圧すると、シール部材30の吸着部10aが基板ホルダ42に密着する。これによって基板ホルダ42とプレート部材43との間がシールされる。
【0041】
尚、上記の説明においては、内周部のみに吸着部10aが形成されたシール部材30を用い、吸着部10aを基板ホルダ42の側壁に密着させる場合を例に挙げて説明したが、外周部のみに吸着部が形成されたシール部材を用いてもよい。かかるシール部材を用いるには、側壁に沿ってプレート部材43に形成された嵌合部43cと同様の嵌合部が形成された基板ホルダを用いるとともに、基板ホルダ42に形成された吸引口48と同様の吸引口及びこの吸引口とバキューム部49とを接続する流路とが形成されたプレート部材43を用いる。そして、内周部の梁部を基板ホルダ42の嵌合部に嵌合させるとともに、シール部材の外周部に形成された吸着部をプレート部材43に密着させることになる。
【0042】
また、内周部に吸着部10aが形成されており、外周部に吸着部10bが形成されているシール部材10(図3参照)を用いることもできる。このシール部材10を用いる場合には、基板ホルダ42に形成された吸引口48と同様の吸引口及びこの吸引口とバキューム部49とを接続する流路とが形成されたプレート部材43を用い、シール部材10の内周部に形成された吸着部10aを基板ホルダ42に密着させ、外周部に形成された吸着部10bをプレート部材43に密着させることになる。
【0043】
更に、上述したシール部材30に代えて、図5(b)に示す吸着部10aのみからなるシール部材32を用いることもでき、図6(a),(b)に示す吸着部を備えないシール部材を用いることもできる。また、前述の説明においては、シール部材の吸着部と基板ホルダ42によって形成される密閉空間16a内を排気する方法として、図4(b)を用いて説明した方法と同様の方法を用いていたが、図4(a)に示す給排気路22が形成されたシール部材を用いる方法を用いることもできる。
【0044】
〔ステージ装置及び露光装置〕
次に、本発明の一実施形態によるステージ装置及び露光装置について説明する。図10は、本発明の一実施形態による露光装置の全体構成を模式的に示す側面図である。図10に示す露光装置EXは、マスクMを保持するマスクステージMSTと、基板Pをテーブルとしての基板テーブルPTを介して支持するステージ装置としての基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPST上に保持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを含んで構成される。
【0045】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体Lqを供給する液体供給機構60aと、基板P上の液体Lqを回収する液体回収機構60bとを備えている。本実施形態において、液体Lqには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターンを基板P上に転写している間、液体供給機構60aから供給した液体Lqにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に(局所的に)液浸領域AR2を形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの先端部の光学素子GLと基板Pの表面(露光面)との間に液体Lqを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体Lq及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影し、基板Pを露光する。
【0046】
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向において互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びY軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸周りの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。尚、ここにいう「基板」は半導体ウェハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。
【0047】
照明光学系ILはマスクステージMST上に保持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を含んで構成される。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。
【0048】
照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体Lqは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
【0049】
マスクステージMSTはマスクMを保持するものであって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、即ちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上には移動鏡70が設けられている。また、移動鏡70に対向する位置にはレーザ干渉計71が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計71によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計71の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
【0050】
投影光学系PLはマスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)GLを含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4或いは1/5の縮小系である。尚、投影光学系PLは等倍系及び拡大系の何れでもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子GLは鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられており、光学素子GLには液浸領域AR2の液体Lqが接触する。
【0051】
光学素子GLは螢石で形成されている。螢石は水との親和性が高いので、光学素子GLの液体接触面のほぼ全面に液体Lqを密着させることができる。即ち、本実施形態においては光学素子GLの液体接触面との親和性が高い液体(水)Lqを供給するようにしているので、光学素子GLの液体接触面と液体Lqとの密着性が高く、光学素子GLと基板Pとの間の光路を液体Lqで確実に満たすことができる。尚、光学素子GLは水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子GLの液体接触面に親水化(親液化)処理を施して、液体Lqとの親和性をより高めるようにしてもよい。また、鏡筒PKは、その先端付近が液体(水)Lqに接することになるので、少なくとも先端付近はTi(チタン)等の錆びに対して耐性のある金属で形成される。
【0052】
基板ステージPSTは基板Pを支持するものであって、基板Pを基板ホルダ42を介して保持するZステージ72と、Zステージ72を支持するXYステージ73と、XYステージ73を支持するベース74とを備えている。基板テーブルPTは基板Pを保持するものであって、Zステージ72と基板ホルダ42とを含んで構成されている。基板ステージPST(Zステージ72)上に設けられている。基板ステージPSTはリニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。
【0053】
Zステージ72を駆動することにより、基板ホルダ42に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置が制御される。また、XYステージ73を駆動することにより、基板PのXY方向における位置(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向の位置)が制御される。即ち、Zステージ72は、基板Pのフォーカス位置及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込み、XYステージ73は基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。尚、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。オートフォーカス・レベリング検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。
【0054】
基板テーブルPT(Zステージ72)上には移動鏡75が設けられている。また、移動鏡75に対向する位置にはレーザ干渉計76が設けられている。基板ステージPST(基板テーブルPT)上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計76によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計76の計測結果に基づいて基板ステージ駆動装置PSTDを駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板Pの位置決めを行う。
【0055】
基板テーブルPTの近傍には、基板P上のアライメントマーク或いは基板テーブルPT上に設けられた基準マーク(後述)を検出する基板アライメント系77が配置されている。また、マスクステージMSTの近傍には、マスクMと投影光学系PLとを介して基板テーブルPT上の基準マークを検出するマスクアライメント系78が設けられている。尚、基板アライメント系77の構成としては、特開平4−65603号公報に開示されているものを用いることができ、マスクアライメント系78の構成としては、特開平7−176468号公報に開示されているものを用いることができる。
【0056】
基板テーブルPTは、図7を用いて説明したテーブルと同様の構成である。但し、図7中に示した基台41に代えてZステージ72が用いられている。図7に示した基板ホルダ42及びプレート部材43は、Zステージ72に対して着脱可能に設けられており、交換可能である。プレート部材43は、基板ホルダ42に保持された基板Pの表面とほぼ面一の平坦面(平坦部)を有している。この平坦面は、基板ホルダ42に保持された基板Pの周囲に配置されている。基板ホルダ42とプレート部材43との間は、図8に示すシール部材30によりシールされている。このため、基板ホルダ42とシール部材30との間においては、基板ホルダ42の端部において局所的な力が作用するものの、基板ホルダ42に全体的に作用する力が生じないため、基板ホルダ42を変形させ、又は平面度若しくは平行度を悪化させることはない。尚、ここではシール部材30を用いているが、前述したシール部材10等を用いてもよい。
【0057】
液体供給機構60aは所定の液体Lqを基板P上に供給するものであって、液体Lqを供給可能な第1液体供給部61及び第2液体供給部62と、第1液体供給部61に流路を有する供給管61aを介して接続され、この第1液体供給部61から送出された液体Lqを基板P上に供給する供給口63aを有する第1供給部材63と、第2液体供給部62に流路を有する供給管62aを介して接続され、この第2液体供給部62から送出された液体Lqを基板P上に供給する供給口64aを有する第2供給部材64とを備えている。第1,第2供給部材63,64は基板Pの表面に近接して配置されており、基板Pの面方向において互いに異なる位置に設けられている。具体的には、液体供給機構60aの第1供給部材63は投影領域AR1に対して走査方向一方側(−X側)に設けられ、第2供給部材64は他方側(+X側)に設けられている。
【0058】
第1,第2液体供給部61,62のそれぞれは、液体Lqを収容するタンク及び加圧ポンプ等を備えており、供給管61a,62a及び供給部材63,64のそれぞれを介して基板P上に液体Lqを供給する。また、第1,第2液体供給部61,62の液体供給動作は制御装置CONTにより制御され、制御装置CONTは第1,第2液体供給部61,62による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量をそれぞれ独立して制御可能である。また、第1,第2液体供給部61,62のそれぞれは液体の温度調整機構を有しており、装置が収容されるチャンバ内の温度とほぼ同じ温度(例えば23℃)の液体Lqを基板P上に供給するようになっている。
【0059】
液体回収機構60bは基板P上の液体Lqを回収するものであって、基板Pの表面に近接して配置された回収口68a,69aを有する第1,第2回収部材68,69と、この第1,第2回収部材68,69に流路を有する回収管66a,67aを介してそれぞれ接続された第1,第2液体回収部66,67とを備えている。第1,第2液体回収部66,67は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、気液分離器、及び回収した液体Lqを収容するタンク等を備えており、基板P上の液体Lqを第1,第2回収部材68,69及び回収管66a,67aを介して回収する。第1,第2液体回収部66,67の液体回収動作は制御装置CONTにより制御され、制御装置CONTは第1,第2液体回収部66,67による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。
【0060】
本実施形態において、基板Pを走査露光する際、走査方向に関して投影領域AR1の手前から供給する単位時間あたりの液体供給量が、その反対側で供給する液体供給量よりも多く設定される。例えば、基板Pを+X方向に移動しつつ露光処理する場合、制御装置CONTは、投影領域AR1に対して−X側(即ち供給口63a)からの液体量を+X側(即ち供給口64a)からの液体量より多くする。一方、基板Pを−X方向に移動しつつ露光処理する場合、投影領域AR1に対して+X側からの液体量を−X側からの液体量より多くする。また、走査方向に関して、投影領域AR1の手前での単位時間あたりの液体回収量が、その反対側での液体回収量よりも少なく設定される。例えば、基板Pが+X方向に移動しているときには、投影領域AR1に対して+X側(即ち回収口24A)からの回収量を−X側(即ち回収口23A)からの回収量より多くする。
【0061】
図11は、基板Pを保持した基板テーブルPTを上方から見た平面図である。図11に示す通り、平面視矩形状の基板テーブルPTの互いに垂直な2つの縁部に移動鏡75が配置されている。また、基板テーブルPTのほぼ中央部(プレート部材43のほぼ中央部)に凹部43aが形成されており、この凹部43aに、基板テーブルPTの一部を構成する基板ホルダ42が配置されており、基板Pは基板ホルダ42に保持される。
【0062】
基板Pの周囲には、基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)の平坦面を有するプレート部材43が設けられている。このプレート部材43は、基板ホルダ42(基板P)を囲むように配置されており、例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等の撥液性を有する材料によって形成されている。基板Pの周囲に、基板P表面とほぼ面一の平坦面を有するプレート部材43を設けたので、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液浸領域AR2を良好に形成することができる。
【0063】
また、プレート部材43の所定位置には、複数の開口部H1,H2,H3が形成されている。開口部H1には、基準部材81が配置されている。基準部材81には、基板アライメント系77により検出される基準マークPFMと、マスクアライメント系78により検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。また、基準部材81の上面はほぼ平坦面となっており、フォーカス・レベリング検出系の基準面として使ってもよい。更に、基準部材81の上面は、基板Pの表面及びプレート部材43の表面(平坦面)とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。また、基準部材81は平面視において矩形状に形成されており、開口部H1に配置された基準部材81とプレート部材43との間にはギャップG1が形成される。本実施形態において、ギャップG1は例えば0.3mm程度である。
【0064】
開口部H2には、光学センサとして例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ82が配置されている。照度ムラセンサ82の上面はほぼ平坦面となっており、基板Pの表面及びプレート部材43の表面とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。照度ムラセンサ82の上面には、光を通過可能なピンホール部82aが設けられている。照度ムラセンサ82の上面のうち、ピンホール部82a以外はクロム等の遮光性材料で覆われている。また、照度ムラセンサ82(上板82a)は平面視において矩形状に形成されており、開口部H2に配置された照度ムラセンサ82(上板82a)とプレート部材43との間にはギャップG2が形成されている。本実施形態において、ギャップG2は例えば0.3mm程度である。
【0065】
開口部H3には、光学センサとして例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ83が設けられている。空間像計測センサ83の上板83bの上面はほぼ平坦面となっており、フォーカス・レベリング検出系の基準面として使ってもよい。そして、基板P表面及びプレート部材43の表面とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。空間像計測センサ83の上面には、光を通過可能なスリット部83aが設けられている。空間像計測センサ83の上面のうち、スリット部83a以外はクロム等の遮光性材料で覆われている。また、空間像計測センサ83(上板83b)は平面視において矩形状に形成されており、空間像計測センサ83(上板83b)と開口部H3との間にはギャップG3が形成されている。本実施形態において、ギャップG3は基板Pの外形の製造公差と同程度、例えば0.3mm程度にする。このように、基板Pを保持する基板テーブルPTの上面は、全面でほぼ面一となっている。また、不図示ではあるが、基板テーブルPTには、例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)も設けられており、プレート部材43に形成された開口部に配置されている。
【0066】
前述した通り、プレート部材43は撥液性を有するポリ四フッ化エチレン製等により形成され、又はその上面が撥液処理(撥水処理)処理されており、以上説明した基準部材81とプレート部材43との間に形成されるギャップG1、照度ムラセンサ82(上板82a)とプレート部材43との間に形成されるギャップG2、及び空間像計測センサ83(上板83b)と開口部H3との間に形成されるギャップG3は、0.3mm程度であるため、キャップG1〜G3からの液体の流入を防止することはできる。しかしながら、基板テーブルPT内への液体の流入を完全には防止することは難しいため、前述したシール部材10,30等を用いて基準部材81、照度ムラセンサ82(上板82a)、及び空間像計測センサ83(上板83b)とプレート部材43との間にそれぞれ形成されるギャップG1,G2,G3をシールすることが好ましい。
【0067】
次に、上述した構成の露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。露光動作が開始されると、まず制御装置CONTは、不図示のマスクローダに制御信号を出力して所定のマスクMを搬送させてマスクステージMST上に保持させるとともに、不図示の基板ローダに制御信号を出力して基板Pを搬送させて基板テーブルPT上に保持させる。尚、ここで基板テーブルPT上に保持された基板Pには、例えば第1層目のパターンが形成されているものとする。
【0068】
次に、制御装置CONTは液体供給機構60a及び液体回収機構60bを制御して液体Lqの供給を行うとともに回収を行い、基板テーブルPT上に保持された基板Pと投影光学系PLとの間に液体Lqの液浸領域AR2を形成する。そして、マスクアライメント系78と基板アライメント系77とを用いてマスクMと基板ステージPSTとの相対位置の位置合わせ(アライメント)を行った上で、基板アライメント系77を用いて基板P上に設定された複数のショット領域の内の所定の数個(例えば、3〜9個程度)のショット領域に形成されたアライメントマークの位置計測が行われる。
【0069】
次いで、この計測結果を用いてEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)演算が行われ、基板P上の全ショット領域の配列座標が求められる。以上の処理が終了すると、制御装置CONTは、マスクステージ駆動装置MSTDに制御信号を出力してマスクステージMSTを加速開始位置に移動させる。また、制御装置CONTは、EGA演算結果に基づいて基板ステージ駆動装置PSTDに制御信号を出力して基板Pの最初に露光すべきショット領域が加速開始位置に配置されるよう基板ステージPSTを移動させる。
【0070】
次に、制御装置CONTはマスクステージ駆動装置MSTD及び基板ステージ駆動装置PSTDに制御信号を出力し、例えばマスクステージMSTの+Y方向への加速を開始させるとともに、基板ステージPSTの−Y方向への加速を開始させる。マスクステージMST及び基板ステージPSTの加速が開始されてから各々のステージが所定の速度に達すると、制御装置CONTは照明光学系ILから露光光ELを照射させてマスクMを照明し、投影光学系PLと液体Lqとを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影露光(転写)する。このとき、制御装置CONTは、基板Pを保持している基板ステージPSTを移動しながら液浸露光を行う。これにより、基板P上に既に形成されている第1層目のパターンに第2層目のパターンが重ね合わされる。
【0071】
最初に露光すべきショット領域に対する露光処理が終了すると、制御装置CONTはマスクステージ駆動装置MSTDに制御信号を出力してマスクステージMSTを加速開始位置に移動させる。また、制御装置CONTは基板ステージ駆動装置PSTDに制御信号を出力して基板Pの次に露光すべきショット領域が加速開始位置に配置されるよう基板ステージPSTを移動させる。次いで、制御装置CONTはマスクステージ駆動装置MSTD及び基板ステージ駆動装置PSTDに制御信号を出力し、例えばマスクステージMSTの−Y方向への加速を開始させるとともに、基板テーブルPTの+Y方向への加速を開始させる。
【0072】
マスクステージMST及び基板テーブルPTの加速が開始されてから各々のステージが所定の速度に達すると、再度照明光学系ILから露光光ELが射出されてマスクMと基板Pとが相対的に移動している状態で液浸露光が行われる。以下同様に、順次基板P上に設定されたショット領域が露光され、全てのショット領域が露光されると、基板テーブルPT上に保持されている基板Pが搬出されるとともに、新たな基板Pが搬入されて基板テーブルPT上に保持され、露光処理が行われる。
【0073】
波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いる場合には、基板P上では1/n、即ち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。また、焦点深度は空気中に比べて約n倍、即ち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0074】
以上説明した通り、本実施形態では液浸領域AR2を形成しつつ露光処理を行っている訳であるが、例えば基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときには液浸領域AR2が基板Pとプレート部材43とに跨って形成されることになる。プレート部材43及び基板Pに対して撥液処理(撥水処理)を行っていれば、基板Pとプレート部材43との間のギャップGから液体Lqが基板ステージPST内に流入することをある程度防止することができるが完全には防止するのは困難である。前述したシール部材30等を用いてプレート部材43と基板ホルダ42との間をシールすることにより、基板ステージPST内への液体Lqの流入を完全に防止することができる。また、本実施形態のシール部材30等を用いることにより基板ホルダ42を変形させ、又は平面度若しくは平行度を悪化させることはない。
【0075】
更に、前述したアライメントを行う場合には液浸領域AR2が基準部材81上に形成され、基板P上に照射される露光光ELの照度ムラを計測する場合には液浸領域AR2が照度ムラセンサ82上に形成され、また投影光学系PLによる投影像を計測する場合には液浸領域AR2が空間像計測センサ83上に形成される。このため、基準部材81とプレート部材43との間に形成されるギャップG1、照度ムラセンサ82(上板82a)とプレート部材43との間に形成されるギャップG2、及び空間像計測センサ83(上板83b)と開口部H3との間に形成されるギャップG3から液体Lqが流入する虞がある。
【0076】
しかしながら、本実施形態のシール部材30等を用いてシールすることにより、これらのギャップG1〜G3からの液体Lqの流入を完全に防止することができる。また、前述した通り、基準部材81の上面又は空間像計測センサ83の上板83bの上面はフォーカス・レベリング検出系の基準面として用いられることがある。本実施形態のシール部材30等を用いることにより、これらを変形させ、又は平面度若しくは平行度を悪化させることがないため、フォーカス・レベリング検出系の検出誤差を少なくすることができる。この結果として、露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度、線幅誤差等)を向上させることができ、所期の機能を有するデバイスを高い歩留まりで効率よく製造することができる。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更することができる。例えば、上記実施形態では本発明のステージ装置を露光装置の基板ステージPSTに適用した場合を例に挙げて説明したが、露光装置に設けられる基板ステージのみならず、物体を保持するテーブルと、このテーブルを移動させる駆動源とを備えるステージ一般に適用することができる。
【0078】
また、上記実施形態ではマスクMと基板Pとを同期移動させてマスクMのパターンを基板上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)を例に挙げて説明したが、本発明は、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを基板P上に一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用可能である。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0079】
また、前述した実施形態では、液体Lqが水である場合を例に挙げて説明したが、液体Lqは水以外の液体であってもよい。例えば、露光光ELの光源がFレーザである場合には、Fレーザ光は水を透過しないため、液体LqとしてはFレーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体Lqと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体Lqとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体Lqの極性に応じて行われる。
【0080】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置にも適用可能である。
【0081】
また、本発明の露光装置は、半導体素子の製造に用いられる露光装置、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。
【0082】
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報等に開示されているような、基板Pを保持する基板ステージ(基板テーブル)を2つ搭載した、ツインステージ型の露光装置にも適用することができる。このツインステージ型の露光装置では、一方のステージで液浸露光処理中に、他方のステージで基板交換又は計測処理を行うことができるので、露光処理のスループットを向上させることができる。
【0083】
更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。尚、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0084】
尚、上記実施形態の露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合には、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料から基板Pを形成するステップ、上述した実施形態の露光装置によりマスクMのパターンを基板Pに露光するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態によるシール部材の断面図である。
【図2】シール部材10と部材12aとの間に作用する力を説明するための図である。
【図3】環状のシール部材10を示す斜視図である。
【図4】密閉空間16a内の排気方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施形態によるシール部材の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態によるシール部材の他の変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるテーブルの概略構成を示す図である。
【図8】テーブル40に用いられているシール部材30の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態によるシール方法を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態による露光装置の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図11】基板Pを保持した基板テーブルPTを上方から見た平面図である。
【図12】従来の課題を説明するための模式図である。
【図13】一般的なシール方法を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
10 シール部材
10a,10b 吸着部
12a 部材(第1部材)
12b,12c 部材(第2部材)
14 隙間
16a,16b 密閉空間
22 給排気路
27 吸引口
30,32 シール部材
34,36 シール部材
40 テーブル
42 基板ホルダ(保持部材)
43 プレート部材(周辺部材)
48 吸引口
73 XYステージ(駆動源)
EX 露光装置
M マスク
MST マスクステージ
P 基板(物体)
PST 基板ステージ(ステージ装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材との間の隙間をシールするシール部材であって、
可撓性を有し、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方との間に密閉空間を形成して密着する吸着部を備えることを特徴とするシール部材。
【請求項2】
前記シール部材は、前記吸着部と連通する給排気路を備えることを特徴とする請求項1記載のシール部材。
【請求項3】
前記シール部材は環状であり、
前記吸着部は、前記シール部材の内周及び外周の少なくとも一方の周に沿って形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシール部材。
【請求項4】
前記シール部材は、フッ素系のゴムから形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のシール部材。
【請求項5】
第1部材と第2部材との間の隙間をシールするシール方法であって、
前記第1部材及び前記第2部材にシール部材を接触させる工程と、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方と前記シール部材との間に密閉空間を形成し、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方と前記シール部材とを密着させる工程と
を含むことを特徴とするシール方法。
【請求項6】
前記密閉空間を減圧する工程を有することを特徴とする請求項5記載のシール方法。
【請求項7】
物体を保持する保持部材を備えるテーブルであって、
前記保持部材の周囲に配置された周辺部材と、
前記保持部材と前記周辺部材との間に配置され、前記保持部材と前記周辺部材との間の隙間をシールするシール部材とを備え、
前記シール部材は、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のシール部材であることを特徴とするテーブル。
【請求項8】
物体を保持する保持部材を備えるテーブルであって、
前記保持部材の周囲に配置された周辺部材と、
前記保持部材と前記周辺部材との間に配置され、前記保持部材と前記周辺部材との間の隙間をシールするシール部材とを備え、
前記シール部材は可撓性を有し、前記保持部材と前記周辺部材との少なくとも一方に吸着されて前記隙間をシールすることを特徴とするテーブル。
【請求項9】
前記シール部材は、前記保持部材と前記周辺部材との少なくとも一方との間に密閉空間を形成する吸着部を備え、
前記保持部材と前記周辺部材との少なくとも一方は、前記吸着部との間で形成された前記密閉空間の空気を吸引する吸引孔を備えることを特徴とする請求項8記載のテーブル。
【請求項10】
請求項7から請求項9の何れか一項に記載のテーブルと、
前記テーブルを所定面内で移動させる駆動源とを備えることを特徴とするステージ装置。
【請求項11】
マスクを保持するマスクステージと、基板を保持する基板ステージとを備え、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上に転写する露光装置において、
前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方として請求項10記載のステージ装置を備えることを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−200562(P2006−200562A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10091(P2005−10091)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】