説明

スラグの利用プロセス

製鋼産業に由来し、酸化鉄粒子を含むスラグ(2,2')を利用するプロセスにおいて、還元剤(29)が追加され、スラグ(2,2')の酸化鉄粒子及び任意的に設けられる他の金属酸化物が前記還元剤(29)によって還元される。 小さいエネルギー消費と低い投資で可能となる効率的なスラグ還元を達成するために、本プロセスは以下のように実行される: − 反応容器(7)内の溶解炭素を含有している残留溶融鉄(25)上に、前記スラグ(2,2')を、ゆっくりと連続的に長時間に亘って充填するステップと、 − 前記スラグ(2)、前記残留溶融鉄、及び新たに形成された溶融鉄(17)を長時間に亘って電気的に加熱するステップと、 − 炭素を含有している還元剤(29)を不活性ガスと共に、前記スラグ(2)と前記溶融鉄(25)との間の境界面(26)に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄(25)内へ、ランス(11)によって長時間に亘って噴出させるステップと、 − 前記溶融鉄(25)内の前記還元剤(29)の前記炭素を溶解させるステップと、 − 金属鉄及び一酸化炭素を形成しつつ、前記スラグ(2)の酸化鉄粒子を長時間に亘って還元させるステップと、 − 結果として生じる一酸化炭素によって発泡スラグ(2')を長時間に亘って形成させるステップと、 − 酸素含有ガス若しくは酸素を前記発泡スラグ(2')に導入して、長時間に亘って一酸化炭素を二酸化炭素へと後燃焼させるステップと、 − 前記反応容器(7)の底部を不活性ガスで長時間に亘って洗浄するステップと、− 前記処理されたスラグ(16)を排出するステップと、 − その後任意的に、溶融鉄(17)を排出し、これにより、溶解炭素を含有している残留溶融鉄(25)が前記反応容器(7)内に残されるステップと、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鋼産業に由来し、還元剤が添加された酸化鉄粒子を含むスラグ(slag)、並びに、このスラグの酸化鉄粒子、及び、任意的に設けられ、前記還元剤によって還元される他の金属酸化物を利用するプロセス、及び、このプロセスを実行するための装置(installation)に関する。
【背景技術】
【0002】
製鋼産業から発生するスラグの選鉱プロセスは、環境に適合するスラグを形成することを目的としており、特に経済的に利用可能であること、例えばコンクリートのクリンカー(clinker)の代替物を生産するための素材として使用可能であることが要求される。
【0003】
この種のプロセスは例えば特許文献1若しくは特許文献2から公知である。 従って、製鋼スラグのような酸化鉄を含有しているスラグは、鉄鉱石、基本的に脆弱な鉱石(basic weak ores)、圧延スケール(rolling mill scale)若しくは冶金学的なダスト、及び、石灰のような酸化鉄担持体と混合され、そしてこのように形成されたフェライトスラグは還元炉内で還元され、これにより、燃焼される炭素と共に鉄浴と焼結相とがそれぞれ形成され、若しくは熱風が噴出される。
【0004】
これら公知のプロセスの欠点は、前記浴の下方からの残留材料及び石炭の噴出に起因する大量の排ガス及びダストのロスである。 別な欠点は、スラグの酸化鉄粒子の還元が、化学的に若しくは熱風によって、すなわち炭素の燃焼によって化学的に補償される際の吸熱還元反応によって生じる熱損失である。 これらの手段は高い乱流を生じ、このため、より高いダスト含有量(dust content)及び大量の排ガスにより大きな炭素ロスをもたらす。 炭素燃焼によって生じる化学的な加熱によって化学平衡、ひいてはスラグの処理の際のプロセスの方向性にも影響が及ぼされる。 高い二酸化炭素排出を生じることが避けられないと、間もなく支払うべき二酸化炭素税の観点から経済的に不利を伴う上、地球に優しいプロセスのトレンドにも沿わないものである。 更には、スラグの利用は、複雑な設計で高い投資コストを要する変換炉若しくは静置式の還元反応炉で行う必要がある。
【0005】
公知のプロセスの別な欠点は、作動が不連続であるということである。 すなわち処理されるスラグは充填されて処理を終え、且つ、その後、それぞれ流し込むか取り出さなければならない。 これにより、各々のスラグバッチについて、反応容器内に存在している化学組成の実質的な変化に伴う激しい反応が生じ、次いで、反応容器、すなわち変換炉若しくは静置式の還元反応炉の耐火性の内張りに高い応力を生じてしまう。 この高い応力は上述した化学的な加熱によって更に増大されてしまう。
【特許文献1】国際公開第96/24696号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/46717号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した欠点及び困難性を解消し、冒頭に記載した種類のプロセスと、このプロセスを実施するための装置を、簡単な手段で得ると共に、安価な投資コストだけで提供することを目的としている。 更には、ダストのロスをできるだけ回避し、軽微な保守作業及び修理作業のみを必要とする、すなわち、反応容器内に存在している化学組成が、スラグの充填とダストの噴出によっても連続的に、全体的にはごく僅かだけ変化するようにすることを目的としている。 本発明の別な要点は、スラグの選鉱が熱の導入、すなわちエネルギーの供給によって影響を受けることなく行われるように、吸熱還元の際に生じる熱消費が、化学平衡の変化を全く生じさせない熱の供給によって補償されている点にある。 この種の熱の供給によって、将来的に支払うべき二酸化炭素税の観点から、二酸化炭素節約という利点を利用することができるようにするために、前述した従来技術よりも低い二酸化炭素排出量がもたらされる。 また、従来技術と比較して低減された排ガス量によって、ダストの噴出がより低くなり、これにより導入された材料をより効率的に利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記目的は以下の特徴を組み合わせることによって達成される:
− 反応容器、好ましくは傾斜可能なパン型反応器内の溶解炭素を含有している残留溶融鉄上に、前記スラグを、ゆっくりと連続的に長時間に亘って充填するステップと、
− 前記スラグ、前記残留溶融鉄、及び新たに形成された溶融鉄を長時間に亘って電気的に加熱するステップと、
− 炭素を含有している還元剤を、ガス、好適には不活性ガスと共に、前記スラグと前記溶融鉄との間の境界面に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄内へ、ランスによって長時間に亘って噴出させ、これにより、炭素を前記溶融鉄内で溶解させると共に、前記溶融鉄と前記スラグとを混合させるステップと、
− 前記溶融鉄内の前記還元剤の前記炭素を溶解させるステップと、
− 金属鉄及び一酸化炭素を形成しつつ、前記スラグの酸化鉄粒子を長時間に亘って還元させるステップと、
− 結果として生じる一酸化炭素によって発泡スラグを長時間に亘って形成させるステップと、
− 酸素含有ガス若しくは酸素を前記発泡スラグに導入して、長時間に亘って一酸化炭素を二酸化炭素へと後燃焼させるステップと、
− 前記反応容器(7)の底部を不活性ガスで長時間に亘って洗浄するステップと、
− 前記処理されたスラグを排出するステップと、
− その後任意的に、溶融鉄を排出し、これにより、溶解炭素を含有している残留溶融鉄が前記反応容器内に残されるステップと、
を備えていることを特徴としている。
【0008】
液状スラグの充填は、製鋼変換炉(例えばステンレス製鋼所におけるLD変換炉若しくはAOD変換炉)のチャージ時間、及び、これにより生成される液状スラグの量を調整することによって行われる。 総体のサイズ及びチャージ速度は、製鋼変換炉において累積しているスラグの量が、本発明による還元炉内での取り出しの間の時間内に処理され得るように調整されている。 そのようにすると、また、スラグの量は2以上の変換バッチから収集され、そして還元炉内に連続的に充填され得る。
【0009】
スラグは長時間に亘ってゆっくりと連続的に導入されるという事実によって、比較的少量の処理されるべきスラグは、既に存在していた量に基づいて、反応容器内に存在している相の組成がほんの僅かしか変化しないように、反応容器内に単位時間当たり導入される。 従って、遅くとも反応容器の最大能力に至った時点では、たとえ処理されるべきスラグの充填が、常に不連続に行われるとしても、いわば"擬似連続的な(quasi-continuous)"作動、すなわち使用される物質の連続的な変換が保証される。
【0010】
"擬似連続性"は、連続的に量を増しているスラグ、残留溶融鉄及び新たに形成された溶融鉄を長時間に亘って電気的に加熱することによっても保証される。 更に、化学反応は前記加熱処理によっては影響されていない。 これにより、化学反応をより簡単に制御することができ、排出された生産物、すなわち処理されたスラグ及び処理された溶融鉄の品質に良い影響を及ぼすという利点を有している。
【0011】
別の本質的な利点は、炭素を含有している還元剤を直接的に前記溶融鉄内へ、若しくは前記スラグと前記溶融鉄との間の境界面に近接する領域内へ、それぞれ噴出させることに由来しており、なぜならば、これにより、前記溶融鉄内へ噴出された炭素のほぼ全量が必然的に溶解され、更には、上昇するブローガスを介して溶融鉄とスラグとを混合させ、最適な形態での直接還元を引き起こすからである。 これによって、炭素を含有している金属液滴が金属酸化物を含有しているスラグと直接的に接触することにより、重要な役割、すなわち還元のために利用可能な大きな接触面(interface)がそのようにして形成されるという役割を果たしている。 その結果、スラグの還元能を有する金属酸化物が、前記金属溶融物内に溶解している炭素で直接的に還元される。
【0012】
ランス(lance)による還元剤の導入も同様に重要である。 それは特に、この方法においては、底部羽口とは異なり、プロセスのための理想的な設定(特定高さの調整)を行うことができる可能性とされているからである。 底部羽口は、注入ガスを伴う排出ガス流内へのいわゆる吹き込み(blowing through)によって、添加剤を上方に吹き上げ、添加剤の実質的なロスを招き、ひいてはダストの大きな堆積の原因となる。 更にランスを用いれば、還元剤が金属浴内でより長時間滞留し、従って、金属浴内で還元剤からの炭素をより効率的に分離することができる。
【0013】
また、残留材料、特に、作業場の廃棄残留物、ガスを純化するプロセスから生じる酸化鉄を含有しているダスト及び懸濁液、並びにスケール等のような冶金学的な残留材料が、ガス、好適には不活性ガスと共に、前記スラグと前記溶融鉄との間の境界面に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄内へ、ランスによって、前記溶融鉄と前記スラグとを混合させながら、長時間に亘ってゆっくりと連続的に噴出されることが好ましい。
【0014】
また、このプロセスは、ボーキサイト、有利にはレッドスラッジ(red sludge)のようなボーキサイトから抽出される残留材料、及び/若しくは、石灰粒子、及び/若しくは、ケイ素担体、有利にはフライアッシュ(fly ash)、コールドロン・アッシュ(cauldron ashes)若しくは消費された鋳物砂のようなケイ素を含有している残留材料を、ガス、好適には不活性ガスを介して、前記スラグ(2')と前記溶融鉄(25)との間の境界面(26)に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄(25)内へ、ランス(11)によって長時間に亘ってゆっくりと連続的に噴出させ、これにより、いずれの場合にも、前記溶融鉄(25)と前記スラグ(2')とが混合される
【0015】
スラグの処理のために、残留材料及び/若しくは補助剤が、前記還元剤とは異なる高さ、好適には前記還元剤が噴出される高さよりも高い位置、例えば、前記溶融鉄と該溶融鉄の上に形成されている前記発泡スラグとの間の境界層領域内へ直接的に噴出されることが有利である。
【0016】
好適な実施形態によれば、炭素を含有している還元剤及び/若しくは残留材料及び/若しくは補助剤の噴出は、前記反応容器内に存在している溶融鉄と該溶融鉄の上方に位置している前記スラグとの間の境界面に対して横断するように行われる。
【0017】
本発明による目的のため、長時間に亘って実行されるべきプロセスのステップは、基本的には、前記スラグ及び任意的に溶融鉄を排出してから、次のスラグの排出まで実行され、従って、本質的に同調している。
【0018】
処理されるべき冶金学的な残留材料内の鉱物材料の量は、特にスラグ及びダスト内では、還元可能な金属酸化物の量よりも多いので、処理される鉄溶融物よりも処理されるスラグの生成の方がずっと大規模なとなり、その結果、スラグが連続して数回排出されてから後にのみ、鉄溶融物が流入されるであろう。 長時間に亘って実行されるべきプロセスのステップが、各々の場合において、2回のスラグの連続する排出の間の時間内、任意的に鉄溶融物の排出及びその後のスラグの排出の後に生じる場合、処理されるべき残留材料、すなわち特にスラグ及びダストは、単位時間当たりできるだけ少ない量で添加することが可能とされる。 これは製鋼所のロジスティック、すなわち生成され単位時間当たりで処理すべき液状スラグのロジスティックに一致するものである。 しかしながら、例えば、空になったスラグ容器を満タンの容器と交換したり、中間サンプルを取り出したり、一時的に補助剤等を増量することによってスラグの組成を調整する目的のために、スラグの導入及び/若しくは残留材料及び/若しくは還元剤の噴出を一時的に中断する必要が生じる場合もあろう。 本発明のプロセスによれば、かかる充填及び噴出の中断だけでなく電気的な加熱の中断も互いに独立して実現可能であり、これにより要求に対する理想的な調整が、2回のスラグの取り出しの間の時間内に行われる。
【0019】
炭素が排ガス内に吹き込まれることを防止すると共に、発泡スラグの上部領域内の酸化ゾーンにおける炭素の燃焼を防止するために、炭素を含有している還元剤の噴出は、前記溶融鉄内で炭素の最大飽和限度に達するまでの間だけ実行されることが好ましい。
【0020】
還元の際に形成されている一酸化炭素の一部を効率的に後燃焼させることを保証するために、この後燃焼は還元工程に悪影響を及ぼすものではないが、前記スラグへの酸素含有ガス若しくは酸素の導入は、前記スラグの高さの上半分で、有利には上端から3分の1の高さで実行される。
【0021】
特に補助剤及び/若しくは残留材料を、前記スラグと前記溶融鉄との間の境界面の両側であって、前記スラグの全高さの最大25%を超えて延在する高さ領域に、若しくは、好適には、前記スラグの全高さの最大10%をそれぞれ超えて延びる前記溶融鉄内の同一高さ領域に、(あるいは左右を入れ替えて)注入することが有利であることが明らかとなった。
【0022】
特に導入物質の迅速な変換のために、これらの物質は、略水平方向に、若しくは、理想的には平坦な前記境界面に向けて僅かに横方向に、前記ランスの排出開口部を介して噴出される。
【0023】
電気的な加熱は、電気アークを介して生じさせるか、及び/若しくは、形成されている発泡スラグによって電気アークによる燃焼が不可能である場合には、抵抗加熱を介して生じさせることが好ましい。
【0024】
前記スラグは、少なくとも部分的に液状状態で充填される。
【0025】
特定のプロセスの特徴は、金属酸化物の還元が、特に、酸素を用いて炭素を燃焼させて一酸化炭素を生成するよりも、むしろ前記金属溶融物内に溶解されている炭素による直接還元を介して一次的に行われる点にある。
【0026】
例えばMnO、Cr、Pのような還元性の低い化合物を、処理されたスラグにおいて適宜所望されるように低価に還元するために、アルミニウム、フェロシリコン、カルシウムカーバイド等のような炭素に対してより強力な還元剤を、処理された前記スラグの排出に先立って、還元の最終段階で使用することが好ましい。
【0027】
処理されたスラグの特性を追加的に調整するために、必要であれば、還元剤の追加が完了した際に、補助剤が更に追加される。 本発明で可能となる前記追加は、一時的に独立して制御された方式で行われることができ、このような追加には、とりわけ、MnO若しくはPのような酸化物のより効率的な還元が、より低い塩基強度(basic strength)で初期的に生じ、その後にのみスラグ組成が所望の塩基強度にまで調整されるという利点がある。
【0028】
更には、本発明のプロセスにより、微粒鉱石、クロム鉄鉱石等のような酸化鉄を含有している鉱石の導入が、同様に有利なことに噴出ランスを介して可能となる。
【0029】
本発明によれば、可能な限り大きな高さの発泡スラグが形成されると考えられ、それゆえに、使用される還元炉容器の高さは、発泡スラグの高さよりも大きくなるように選択される。 この理由のため、前記スラグの高さを測定し、最大許容高さを超え、且つ、前記スラグ高さの限界値が不足している場合には矯正手段を講じられる。
【0030】
前記スラグからの液滴の堆積は、残留材料及び/若しくは補助剤及び/若しくは還元剤が導入される後まで待たれ、且つ、前記処理されたスラグの排出に先立って行われる。
【0031】
前記反応容器内の耐火性材料に対する損傷を避けるため、前記反応容器内での前記スラグの処理は、前記スラグの造粒化のための温度よりも低い温度で実行される。
【0032】
また本発明は、プロセスを実行するための装置であって、
− 内部の高さが最大径を超える傾斜可能なパン型反応器を備え、該パン型反応器が、
− ガス、好適には不活性ガスを供給する底部羽口及び/若しくは底部洗浄レンガと、
− 酸素を供給すると共に前記パン型反応器に上方から挿入可能とされた少なくとも1つのランスであって、
− 炭素を含有している還元剤を供給すると共に、前記パン型反応器に上方から挿入可能とされた少なくとも1つのランスと、
− 電気加熱装置、好適には上方から挿入可能とされた電気アーク電極と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0033】
処理されるべきスラグを長時間に亘って反応容器内に導入するために、液状スラグのための、ゆっくりと傾斜可能なスラグ充填装置が設けられ、この場合において、傾斜させる速度は、一次的な技術単位(technical units)、特に変換炉(通常は、ステンレス製鋼所の場合、それぞれLD変換炉若しくはAOD変換炉)から発生する液状スラグの充填期間に従って調整される。
【0034】
固形状のスラグを導入するために、別な充填装置、好適には振動樋若しくは注ぎ口として設計されているスラグ充填装置を備えていることが便宜であることが明らかとなった。
【0035】
前記パン型反応器は、残留材料及び/若しくは補助剤を噴出するために、上方から挿入可能な少なくとも一つのランスを備えていることが有利である。
【0036】
廃物パッケージのような比較的大きな塊状の供給材料をも供給できるようにするために、前記反応容器は、この供給を可能にするような開口部を備えている。 該開口部は、前記反応容器の蓋に形成されており、排ガス吸入のための負圧を維持するようにも機能している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
好適な実施形態では、前記ランスが、前記還元剤のための少なくとも1つの排出開口部(28)と、より高位に設けられた、残留材料及び/若しくは補助剤のための少なくとも1つの排出開口部とを備えている。
【0038】
以下において、本発明は図1に示された流れ図及びいくつかの典型的な実施形態によって更に詳細に説明されている。 図2は、本発明の反応容器の側面図であり、図3は、この反応容器の平面図である。 図4は、挿入時の反応容器の断面図である。
【0039】
製鋼用の反応炉が参照符号1で示されており、一方、スラグ2(図示されている場合においてはLDスラグである)は、スラグレードル3に流入され、他方、鋼4が排出されている。 前記スラグレードル3からは、スラグ2が搬送レードル5を介して傾斜スタンド6に至り、前記搬送レードル5を傾けることによって、液状スラグ2は、直立した傾斜可能なパン型反応器7内にゆっくりと連続的に流れ込むように取り扱われている。
【0040】
スラグ2の充填は好適には、この種の充填が物流的に可能であると共に妥当であるよう、液状状態で行われる。 このことは例えば変換スラグ(それぞれ、C鋼についてはLDスラグ、ステンレス鋼についてはAODスラグ)について可能である。 この種の充填が好適とされる理由は、液状スラグ2の高い熱含有量の結果としてのエネルギー的な利点があり、従って、金属酸化物を加熱・還元するためのエネルギー必要量を小さくすることができるからである。
【0041】
残留している溶融鉄25は、スラグ2を最終的に取り出した後も依然としてパン型反応器7内に含まれている。 前記溶融鉄は修理作業の場合にのみ完全に取り出されるものであって、それ以外では、十分な高さ(典型的には少なくとも0.6m)を有する少なくとも一の金属の溶融溜め(sump)が、反応容器7内に常時存在している。 典型的には、5番目毎のスラグ取り出しの後、その間に金属酸化物の還元の結果として形成される追加的な金属浴も、該金属浴の最大高さ(典型的には約1.25m)を超えず、その結果、発泡スラグの形成のために十分な余裕高(freeboard)を維持するために取り出される。
【0042】
液状スラグ2を充填している期間では、含有されている金属酸化物(初期的にはFeO、また追加的にはMnO;また、ステンレススラグの場合には十分な量のCr及びNiO)の還元は既に、前記金属中に含まれている溶解炭素との反応の結果として生じている。
【0043】
傾斜可能なパン型反応器7は、その最大内径8を超える高さ9を有している。 電極加熱手段10、並びに、保存容器12から供給された還元剤、補助剤、及び/若しくは残留材料、及び/若しくは鉱石のような供給材料を不活性ガスと共に噴出を生じさせるために上方から挿入可能とされている一以上のランス11が設けられている。 また、サンプル抽出のためのデバイス13も設けられている。 これらランス11は、その端部で、物質を導入するために横方向に配列された排出開口部と共に設けられている。 窒素ガスのような不活性ガスを導入するための洗浄用羽口14が、パン型反応器7の底部に設けられている。 更に、ランス15が酸素を噴出するために設けられている。 該ランスはパン型反応器の内部空間の上部まで、すなわち形成されている発泡スラグ内までにしか延在されていない。
【0044】
処理されたスラグ16及び処理された溶融鉄17を排出するために、パン型反応器7は傾斜されており、処理されたスラグ16は搬送レードル18内に押し込まれ、次いで造粒装置19'まで搬送される。 溶融鉄17が排出される場合には、同じくスラグ16を排出した後にパン型反応器7を傾斜させることによって達成され、溶融鉄17は任意的に搬送レードル19によってレードル処理スタンド20まで移送され、次いで、変換炉1まで移送される。
【0045】
図2及び図3から理解されるように、電極10はパン型反応器7の排ガスを吸入するための蓋21の中心を貫通されており、一方、酸素を供給しているランス15は、蓋21に形成されている開口部23の側部に設けられており、排出ライン22に接続されていると共にバーナー23'を備えている。
【0046】
図1に概略的に示されているように、例えば振動樋(vibrating chute)24のような移送手段が固化されたスラグを導入するために設けられており、この振動樋により、固体の塊状スラグが長時間に亘って、好適には2回の流入工程の間に亘ってパン型反応器7にも導入され得る。
【0047】
図4は、パン型反応器7の内部における処理の様子を示している。 前記反応器内には、新たに形成された溶融鉄によって補充された(銑鉄の)残留溶融鉄25が存在している。 発泡状態のスラグ2'は溶融鉄25の上方に位置している。 ランス11はパン型反応器7の内部の深部に至っており、その下端側で、還元剤29を導入するための排出開口部28が側面に形成されている。 ランス11の前記端部は、デュアルポートのランスが溶融鉄25内へ前進して押し込まれるように構成されている。 それに加えて、溶融鉄25とスラグ2'との境界面26に近接して、ランス11には、補助剤及び/若しくは残留材料27及び任意的に鉱石を導入するための別な排出開口部30が形成されている。 固体状のスラグ2"は同じく図4に示されている。
【0048】
酸素供給ランス15は、発泡状態のスラグ2'の上部領域内に突出されており、スラグの還元を行う際に一酸化炭素の後燃焼を行うものである。 前記上部領域において、酸化ゾーン32が還元ゾーン31の上方に形成されている。
【0049】
反応を加速するために、不活性ガス(好適には窒素)がパン型反応器7の底部に挿入された洗浄用羽口14を介して噴出されている。
【0050】
発泡スラグの高さを制御するために、例えばカメラ、レーザ若しくは超音波といった手段により、この発泡スラグの高さを測定するための装置が設けられている。
【0051】
本発明の装置の動作は以下の2つの実施例によって示されている。
【0052】
[実施例A]
ここに示したスラグ及び残留材料の量は、前記LDプロセスに従って1トンの液状の鋼(LS:liquid steel)、炭素鋼(たとえば構造鋼)を生産する際に、それらスラグ及び残留材料が堆積する典型的な特定の量である。
【0053】
そのために必要とされる還元剤29、補助剤27及び電気的なエネルギーの量も示されている。
【0054】
【表1】

【0055】
[表1]に示されている組成の110[kg/t LS]の液状LDスラグ2は、LD変換炉1からスラグレードル3へと流入される。 該スラグレードル3の内容物(content)は搬送レードル5内へ移される。 それに続いて、前記搬送レードル5は傾斜スタンド6に取り付けられ、液状スラグ2は、傾斜可能なパン炉状の反応器7内の銑鉄金属浴25上へゆっくりと連続して注ぎ込まれる。
【0056】
12[kg/t LS]のパン炉スラグ2"及び8[kg/t LS]の脱硫(De−S−:desulphurization)スラグが、振動樋24及び注ぎ口を介してパン型反応器7内にゆっくりと連続して充填される(組成も[表1]に記載されている)。
【0057】
スラグ2、2"を加熱すると共に熱損失を補償し、溶解酸素によって吸熱反応で金属酸化物(特に酸化鉄)を直接的に還元するための(90[kWh/t LS]の)エネルギーが3つの電極10を介して導入されている。
【0058】
導入されたスラグ2、2"の金属酸化物の還元は、液状の銑鉄25内に溶解している炭素を使用して、直接還元を介する充填及び同時に生じる加熱の際に既に生じている。 消費された炭素は、還元剤29、すなわち4.7[kg/t LS]の石炭のダスト及び2[kg/t LS]のコークスを金属浴25内に深く注入することによって置換されている(解析:[表2]参照)。
【0059】
【表2】

【0060】
還元剤29に加えて、典型的にはC製鋼工程において堆積される残留材料27、すなわち17[kg/t LS]のLDダスト、15[kg/t LS]の高炉ダスト、及び5[kg/t LS]のスケールが、噴出ランス11を介してN2と共に噴出される([表1]に組成を示す)。 これら酸化鉄を含有している残留材料の噴出は、溶融鉄25/スラグ2の境界層26の表面を増大させるために該境界層の近くで発生している。
【0061】
クリンカーの代替物としての水硬性バインダー(hydraulic binder)のための最適なスラグの組成を調整するために、35[kg/t LS]のフライアッシュがSiO2供給源として追加的に噴出されている。
【0062】
6[NmN/t LS]が空圧的による噴出及び底部洗浄のために必要とされる。
【0063】
還元は1420℃で生じる。 この温度範囲では、還元の際に一酸化炭素が生じることにより、発泡スラグ2'が生成される。 金属酸化物内に選択的に分散されている金属液滴と金属酸化物との大きな接触面積によって、前記金属液滴内に溶解している炭素を介して効率の良い直接還元が行われる。 エネルギーバランスを改善すると共にここに示した電気的な加熱能力値を達成するために、還元の際に生成する一酸化炭素の部分的な後燃焼がO2によって発生している。 4[kg/t LS]の酸素が、発泡スラグ2'の上部の3分の1のところでO2ランス15を介して噴出され、25%の一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させている。 この比較的低い度合いの後燃焼は容易に制御可能であり、放出されたエネルギーの効率的な熱移動をもたらし、これによりエネルギーは発泡スラグ2'及び金属溶融物25内に戻される。 O2の噴出は、前記酸化ゾーン32が前記還元ゾーン31とできるだけ混合しないように行われ、還元ゾーン31内で金属酸化物粒子の還元が生じている。
【0064】
その後の完全燃焼の結果として、排ガス中には、具体的には45[kg/t LS]の二酸化炭素のみが見られる。 これは好ましい直接還元と電気的な加熱とによってのみ達成され得る非常に低い値であり、従って、近い将来の二酸化炭素税の観点からも有利である。
【0065】
1[kg/t LS]では、石炭の深部までの注入及び発泡スラグ2'のフィルタ効果によって、ダスト含有量は極めて低くなっており、フィルタのダストの排出を回避する点からも有利となっている。
【0066】
LDスラグ2の全量が変換された後、残っている残留材料27及び還元剤29の噴出が完了し、還元が完了すると、スラグサンプルが取り出され、事前に計算された解析による適合性がチェックされる。 生成された125[kg/t LS]のスラグ16の達成目標解析が[表3]に含まれている。
【0067】
【表3】

【0068】
次に、一方では処理されたスラグ16の造粒化のための温度を得るために、及び、他方では低減された粘度の結果として発泡スラグからの分散された金属液滴の堆積を促進するために、温度が1450℃まで上昇される。 この目的のために、5分の待ち時間が設けられる。
【0069】
その後、残存している量を除いたスラグは、反応容器7を傾斜させることによって搬送レードル18に注ぎ込まれる。 搬送レードル18の内容物は、乾燥造粒装置19'内に充填される。 迅速なガラス状への固化を伴う造粒化は、スラグ噴流を回転ディスク上の微粒液滴へと分離させると共に、該微粒液滴を空気流内で速やかに冷却することによって生じる。
【0070】
還元(解析:[表4]参照)から得られる54[kg/t LS]の金属を含む金属浴25は、パン型反応器7内でのスラグ処理毎に取り出すことはせず、十分な余裕高が無くなるまで発泡スラグ2'は反応器内に残存している。 典型的には、取り出しは5回の処理の後に行われるが、必要であれば、パン型反応器7の形状によって変更することができる。
【0071】
【表4】

【0072】
その後、パン型反応器7は処理位置まで戻され、LDスラグ2の次のバッチが再びゆっくりと連続的に加えられる。 以後の処理ステップが上述したパターンに従って繰り返される。
【0073】
5回の処理に続いて、金属浴25も少なくとも0.6mの高さの金属の溶融溜めを除いて取り出され、脱燐処理(De-P treatment)を受ける。 その結果、前記金属浴は、総合的な冶金工場で利用可能な銑鉄量を増大させ、ひいては生産量を増大させるか、または、一次的なコークス化設備及び高炉設備における素材、エネルギー、及び二酸化炭素生成量を節減させる。
【0074】
[実施例B]
ここに示したスラグ及びダストの量は、典型的には1トンの液状ステンレス鋼を生産する際に堆積する特定の量である。
【0075】
そのために必要とされる還元剤29、補助剤27及び電気的なエネルギーの量も計算されて示されている。
【0076】
【表5】

【0077】
[表5]に示されるような組成を有する317[kg/t LS]の液状ステンレス(AOD)のスラグ2が、AOD変換炉1からスラグレードル3に流入される。 前記スラグレードル3の内容物は、搬送レードル5内へ移される。 それに続いて、前記搬送レードル5は傾斜スタンド6に取り付けられ、液状スラグ2は、傾斜可能なパン炉状の還元ユニット7内のクロム/ニッケルを含有している残留金属浴25上へゆっくりと連続して注ぎ込まれる。
【0078】
スラグ2を加熱すると共に熱損失を補償し、溶解酸素によって吸熱反応で金属酸化物(特に酸化鉄だけでなく多量のクロム酸化物及びニッケル酸化物)を直接還元するための(204[kWh/t LS]の)エネルギーが3つの電極10を介して導入されている。
【0079】
導入されたスラグ2の金属酸化物の還元は、合金化された銑鉄内に溶解している炭素を使用して、直接還元を介する充填及び同時に生じる加熱の際に既に生じている。 消費された炭素は、還元剤29、すなわち6.1[kg/t LS]の石炭のダスト及び2.0[kg/t LS]のコークスを金属浴25内に深く注入することによって置換されている(解析:[表6]参照)。
【0080】
【表6】

【0081】
還元剤29に加えて、典型的にはステンレス製鋼工程において堆積される残留材料27、すなわち多量のクロム及びニッケルを含有している36[kg/t LS]のステンレスダストが、噴出ランス11を介して噴出される([表5]に組成も示す)。 噴出は、溶融鉄25/スラグ2'の境界層26の表面を増大させるために該境界層の近くで発生している。
【0082】
クリンカーの代替物としての水硬性バインダーのための最適なスラグの組成を調整するために、70[kg/t LS]のフライアッシュがSiO2供給源として追加的に噴出されている。 有利なことに、比較的高い炭素を含有しているフライアッシュが使用されている。
【0083】
7[NmN/t LS]が空圧的による噴出及び底部洗浄のために必要とされる。
【0084】
還元は炭素と共に1430℃で生じる。 この温度範囲では、還元の際に一酸化炭素が生じることにより、発泡スラグ2'が生成される。 金属酸化物内に選択的に分散されている金属液滴と金属酸化物との大きな接触面積によって、前記金属液滴内に溶解している炭素を介して効率の良い直接還元が行われる。
【0085】
エネルギーバランスを改善すると共にここに示した電気的な加熱能力値を達成するために、還元の際に生成する一酸化炭素の部分的な後燃焼がO2によって発生している。 4.0[kg/t LS]の酸素が、発泡スラグ2'の上部の3分の1のところでO2ランス15を介して噴出され、25%の一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させている。 この比較的低い度合いの後燃焼は容易に制御可能であり、放出されたエネルギーの効率的な熱移動をもたらし、これによりエネルギーは発泡スラグ2'及び金属溶融物25内に戻される。 O2の噴出は、前記酸化ゾーン32が前記還元ゾーン31とできるだけ混合しないように行われ、還元ゾーン31内で金属酸化物粒子の還元が生じている。
【0086】
その後の完全燃焼の結果として、排ガス中には、具体的には44[kg/t LS]の二酸化炭素のみが見られる。 これは好ましい直接還元と電気的な加熱とによってのみ達成され得る非常に低い値であり、従って、近い将来の二酸化炭素税の観点からも有利である。
【0087】
1.2[kg/t LS]では、石炭の深部までの注入及び発泡スラグ2'のフィルタ効果によって、ダスト含有量は極めて低くなっており、フィルタのダストの排出を回避する点からも有利となっている。
【0088】
ステンレススラグ2、ステンレスダスト27及びフライアッシュを充填する段階の後、及び金属浴25内に溶解している炭素による還元の後、ここでは炭素は還元剤29の噴出によって置換されているのであるが、スラグサンプルが取り出され、事前に計算された解析による適合性がチェックされる。 その後、還元性の低い内容物、特にCrを還元するために、1[kg/t LS]のFe75Siが、より強力な還元剤として追加され、5分の待ち時間が設けられる。 生成された354[kg/t LS]のスラグ16の達成目標解析が[表7]に含まれている。
【0089】
【表7】

【0090】
次に、一方では処理されたスラグ16の造粒化のための温度を得るために、及び、他方では低減された粘度の結果として発泡スラグ2'からの分散された金属液滴の堆積を促進するために、温度が1460℃まで上昇される。 この目的のために、5分の待ち時間が設けられる。
【0091】
その後、残存している量を除いたスラグは、パン型反応器7を傾斜させることによって搬送レードル18に注ぎ込まれる。 搬送レードル18の内容物は、乾燥造粒装置19'内にる充填される。 迅速なガラス状への固化を伴う造粒化は、スラグ噴流を回転ディスク上の微粒液滴へと分離させると共に、該微粒液滴を空気流内で速やかに冷却することによって生じる。
【0092】
還元(解析:[表8]参照)から得られる50[kg/t LS]の金属を含む金属浴25は、パン型反応器7内でのスラグ処理毎に取り出すことはせず、十分な余裕高が無くなるまで発泡スラグ2'は反応器内に残存している。 典型的には、取り出しは5回の処理の後に行われるが、必要であれば、パン型反応器7の形状によって変更することができる。
【0093】
【表8】

【0094】
その後、パン型反応器は処理位置まで戻され、LDスラグ2の次のバッチが再びゆっくりと連続的に加えられる。 以後の処理ステップが上述したパターンに従って繰り返される。
【0095】
5回の処理に続いて、金属浴25も少なくとも0.6mの高さの金属の溶融溜めを除いて取り出され、必要であれば脱燐処理を受ける。 その結果、前記金属浴は、総合的な冶金工場で利用可能な銑鉄量を増大させ、ひいては生産量を増大させるか、または、一次的なコークス化設備及び高炉設備における素材、エネルギー、及び二酸化炭素生成量を節減させる。
【0096】
本発明によるプロセスの主要な利点は種々の残留材料、及び、必要であれば補助剤を噴出させることにより、生成されたスラグの選択的な微調整を行うことが可能となる点にある。 好適には、種々の供給材料についての必要量は、当該供給材料の公知の解析に基づいて処理モデル内で計算され、それぞれの量が噴出設備のパラメータを制御することによって噴出される。 試験は、スラグ及び金属浴のサンプルを抽出することによって行われる。
【0097】
一方では、温度は自動化された温度ランス(浸漬熱電対)を用いることによって決定され得る。 他方では、温度は適宜に、好適には連続的にパイロメータによって制御され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の典型的な実施形態の流れ図である。
【図2】図1に示されている反応容器の側面図である。
【図3】図1に示されている反応容器の平面図である。
【図4】ランス挿入時の反応容器の断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 反応炉
2,2',2" スラグ
3 スラグレードル
4 鋼
5 搬送レードル
6 傾斜スタンド
7 パン型反応器
8 最大内径
9 高さ
10 電極加熱手段
11,15 ランス
12 保存容器
13 サンプル抽出のためのデバイス
14 洗浄用羽口
16 処理されたスラグ
17,25 溶融鉄
18,19 搬送レードル
19' 造粒装置
20 レードル処理スタンド
21 蓋
22 排出ライン
23 開口部
23' バーナー
24 振動樋
26 境界面
27 残留材料
28,30 排出開口部
29 還元剤
31 還元ゾーン
32 酸化ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼産業に由来し、還元剤(29)が添加された酸化鉄粒子を含むスラグ(2,2')、並びに、該スラグ(2,2')の酸化鉄粒子、及び、任意的に設けられ、前記還元剤(29)によって還元される他の金属酸化物を利用するプロセスであって、
− 反応容器(7)、好ましくは傾斜可能なパン型反応器(7)内の溶解炭素を含有している残留溶融鉄(25)上に、前記スラグ(2,2')を、ゆっくりと連続的に長時間に亘って充填するステップと、
− 前記スラグ(2)、前記残留溶融鉄、及び新たに形成された溶融鉄(17)を長時間に亘って電気的に加熱するステップと、
− 炭素を含有している還元剤(29)を、ガス、好適には不活性ガスと共に、前記スラグ(2)と前記溶融鉄(25)との間の境界面(26)に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄(25)内へ、ランス(11)によって長時間に亘って噴出させ、これにより、炭素を前記溶融鉄(25)内で溶解させると共に、前記溶融鉄(25)と前記スラグ(2)とを混合させるステップと、
− 前記溶融鉄(25)内の前記還元剤(29)の前記炭素を溶解させるステップと、
− 金属鉄及び一酸化炭素を形成しつつ、前記スラグ(2)の酸化鉄粒子を長時間に亘って還元させるステップと、
− 結果として生じる一酸化炭素によって発泡スラグ(2')を長時間に亘って形成させるステップと、
− 酸素含有ガス若しくは酸素を前記発泡スラグ(2')に導入して、長時間に亘って一酸化炭素を二酸化炭素へと後燃焼させるステップと、
− 前記反応容器(7)の底部を不活性ガスで長時間に亘って洗浄するステップと、
− 前記処理されたスラグ(16)を排出するステップと、
− その後任意的に、溶融鉄(17)を排出し、これにより、溶解炭素を含有している残留溶融鉄(25)が前記反応容器(7)内に残されるステップと、
を備えていることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
残留材料(27)、特に、作業場の廃棄残留物、ガスを純化するプロセスから生じる酸化鉄を含有しているダスト及び懸濁液、並びにスケール等のような冶金学的な残留材料を、ガス、好適には不活性ガスと共に、前記スラグ(2')と前記溶融鉄(25)との間の境界面(26)に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄(25)内へ、ランス(11)によって、前記溶融鉄(25)と前記スラグ(2')とを混合させながら、長時間に亘ってゆっくりと連続的に噴出させるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ボーキサイト及び/若しくは石灰粒子及び/若しくはケイ素担体のような補助剤(27)を、ガス、好適には不活性ガスを介して、前記スラグ(2')と前記溶融鉄(25)との間の境界面(26)に近接する領域内へ、若しくは直接的に前記溶融鉄(25)内へ、ランス(11)によって長時間に亘ってゆっくりと連続的に噴出させ、これにより、いずれの場合にも、前記溶融鉄(25)と前記スラグ(2')とが混合されるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
残留材料(27)及び/若しくは補助剤(27)を、前記還元剤(29)とは異なる高さ、好適には前記還元剤(29)が噴出される高さよりも高い位置で、前記反応容器(7)内へ噴出させるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載のプロセス。
【請求項5】
炭素を含有している還元剤(29)及び/若しくは残留材料(27)及び/若しくは補助剤(27)の噴出が、前記反応容器(7)内に存在している溶融鉄(25)と該溶融鉄の上方に位置している前記スラグ(2')との間の境界面(26)に対して横断するように行われるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
長時間に亘って実行されるべきプロセスのステップが、基本的には、前記スラグ(2')及び任意的に溶融鉄(25)を排出してから、次のスラグ(2')の排出まで実行され、従って、本質的に同調されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
炭素を含有している還元剤(29)の噴出を、前記溶融鉄(25)内で炭素の最大飽和限度に達するまでの間だけ実行するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記スラグ(2')への酸素含有ガス若しくは酸素の導入を、前記スラグ(2')の高さの上半分で、有利には上端から3分の1の高さで実行するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
残留材料(27)及び/若しくは補助剤(27)を、前記スラグと前記溶融鉄との間の境界面(26)の両側であって、前記スラグの全高さの最大25%を超えて延在する高さ領域に、若しくは、好適には、前記スラグ(2')の全高さの最大10%をそれぞれ超えて延びる前記溶融鉄(25)内の同一高さ領域に、(あるいは左右を入れ替えて)注入されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
噴出されるべき物質(27,29)を、略水平方向に、若しくは、理想的には平坦な前記境界面(26)に向けて僅かに横方向に、前記ランス(11)の排出開口部(28,30)を介して噴出させるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記電気的な加熱を電気アーク及び/若しくは抵抗加熱を介して生じさせるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記スラグ(2)を、少なくとも部分的に液状状態で充填するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記金属酸化物の還元を、前記金属溶融物内に溶解している炭素による直接還元を介して行うステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
アルミニウム、フェロシリコン、カルシウムカーバイド等のような炭素に対してより強力な還元剤を、好適には処理された前記スラグ(2')の排出に先立って、還元の最終段階で使用するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
還元剤(29)の追加が完了した際に、スラグの特性を調整するための前記補助剤(27)を追加するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
微粒鉱石、クロム鉄鉱石のような酸化鉄を含有している鉱石を更に用いるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記スラグ(2')の高さを測定し、最大許容高さを超え、且つ、前記スラグ高さの限界値が不足している場合に矯正手段を講ずるステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記スラグ(2')からの液滴の堆積を、残留材料(27)及び/若しくは補助剤(27)及び/若しくは還元剤(29)が導入される後まで待ち、且つ、前記処理されたスラグ(2')の排出に先立って行うステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記反応容器(7)内での前記スラグ(2)の処理を、前記スラグ(2')の造粒化のための温度よりも低い温度で実行するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載のプロセスを実行するための装置であって、
− 内部の高さ(9)が最大径(8)を超える傾斜可能なパン型反応器(7)を備え、該パン型反応器が、
− ガス、好適には不活性ガスを供給する底部羽口(14)及び/若しくは底部洗浄レンガと、
− 酸素を供給すると共に前記パン型反応器(7)に上方から挿入可能とされた少なくとも1つのランス(15)であって、
− 炭素を含有している還元剤を供給すると共に、前記パン型反応器に上方から挿入可能とされた少なくとも1つのランス(11)と、
− 電気加熱装置(10)、好適には上方から挿入可能とされた電気アーク電極(10)と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項21】
液状スラグ(2)のための、ゆっくりと傾斜可能なスラグ充填装置(5,6)を備えていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
固体状スラグ(2')のための、好適には振動樋若しくは注ぎ口として設計されているスラグ充填装置を備えていることを特徴とする請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
残留材料(27)及び/若しくは補助剤(27)を噴出するための、前記パン型反応器(7)に上方から導入可能なランス(11)を備えていることを特徴とする請求項20から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記反応容器(7)が、塊状、好適にはブロック状の鉄含有供給材料を充填するための開口部を備えていることを特徴とする請求項20から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記ランス(11)が、前記還元剤(29)のための少なくとも1つの排出開口部(28)と、より高位に設けられた、残留材料(27)及び/若しくは補助剤(27)のための少なくとも1つの排出開口部(30)とを備えており、前記ランス及び前記排出開口部へ供給するために、少なくとも2つの別々のダクトが設けられていることを特徴とする請求項20から24のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−528732(P2006−528732A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529419(P2006−529419)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000161
【国際公開番号】WO2004/101828
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(301041586)ヴォエスト・アルピーネ・インデュストリーアンラーゲンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コ (41)
【Fターム(参考)】