ダブルクラッドファイバを有する内視鏡撮像プローブ
光学イメージングについての方法及び関連する装置、特に3次元表面測定を実行するための方法及び関連する装置。その装置は、ダブルクラッドまたはマルチクラッドファイバを有する。ファイバを通じてサンプルへ光を透過させ、サンプルで反射された光をファイバ内に集光する幾つかの変形例が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にオプティカルイメージングに関し、特に、3次元表面測定を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、光ファイバ内視鏡は、代表的には、時にファイバ束と呼ばれるファイバのアレイを通じてイメージを伝送することによって実現される。様々な医療用途及び非医療用途についての成功の一方で、イメージを形成するためのファイバアレイの利用には、イメージングデバイスのコスト、直径、柔軟性に対する制約が課されてきた。
【0003】
これらの欠点を解消しようとして、単一の光ファイバを採用する複数のアプローチが、小型で、柔軟性のある内視鏡のために提案されてきた。例えば、単一のファイバを備えた共焦点イメージングについての一つの技術が、光源と検出装置の両方としてシングルモードファイバのコアを利用することによって実装されている。また、小型の共焦点顕微鏡プローブ及び内視鏡が、シングルモードファイバの先端に機械的なマイクロスキャナを加えることにより構築されている。スペクトル符号化と呼ばれる、他の小型内視鏡についての単一ファイバの方法は、サンプル内の横軸線にわたって反射率をスペクトル的に符号化するために、広帯域光源と回折格子を使用する。このことは、ターネイ等によって、オプティクスレター27巻の412ページ(2002年)に記載されている。このスペクトル的に符号化された線をゆっくりとスキャンすることで2次元画像を形成すること、及び干渉計のサンプルアームにプローブを配置することで3次元画像が得られることが、エーリン等によって、オプティクスレター28巻の2321ページ(2003年)に記載されている。シングルモードファイバのコアは、これらの全ての技術において光源と検出装置の両方として機能する。
【0004】
また公知のように、単一ファイバ内視鏡についての重要な設計パラメータの一つは、光ファイバのモードプロファイルである。シングルモード光ファイバは、小型で柔軟性のあるイメージングプローブとともに高解像度イメージングを可能にするが、相対的に光量のスループットが小さいという難点がある。さらに、シングルモードファイバの小さなコアは、自由空間共焦点顕微鏡のピンホールと同様に機能し、焦点外の光の検出を妨げる。顕微鏡用途において、大きな視野深度、大きなワーキングディスタンス、広い視野が代表的には望ましいため、この光学セクショニングは望ましくない場合がある。顕微鏡用途において、光学セクショニングは、光量スループットの向上のために犠牲にされることもある。
【0005】
コヒーレント光源によって照明される場合、シングルモードファイバを介したイメージングは、スペックルノイズと呼ばれるものをもたらす。それはイメージの有効な解像度及び品質を著しく低下させる。シングルモードファイバを相対的に大きな直径を有するマルチモード光ファイバに置き換えることは、光量スループットをより高くし、スペックルを減らすことを可能にする。残念なことに、大きな直径を有するマルチモードファイバの利用は、システムの点像分布関数を大幅に悪化させ、高感度及び3次元検出に対する干渉計の使用を妨げる。
【0006】
近年、ダブルクラッド(デュアルクラッドとも呼ばれる)光ファイバを利用した高出力ファイバレーザの開発において飛躍的な進展がなされてきた。これらのファイバは、内側のクラッドを通じたマルチモードの伝播とともにコアを通じたシングルモードの伝播をサポートする能力を有するという点で、ユニークなものである。
【発明の開示】
【0007】
本発明によれば、コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法は、(a)光ファイバのコアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップと、(b)サンプルで散乱された光を光ファイバの少なくとも一つのクラッド領域のうちの少なくとも第1のクラッド領域に集光するステップとを含む。照明用にファイバのコアを使用し、信号収集用に内側のクラッドを使用することで、イメージのスペックルを減少させ、視野深度の向上及び信号効率を増加させる(すなわち、より多くの光の集光を可能にする)。照明用のファイバコアと信号収集用の内側クラッドは、視野深度を増加させる。集光開口の直径の増加が視野深度を増加させ、集光開口の直径の増加がその開口を通じて検出できる光量を増加させるためである。これは、無論内側クラッドの集光開口の直径がコアの直径よりも大きいことを仮定している。この効果のモデルを図3B及び図3Cに示す。
【0008】
本発明の他の観点によれば、コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法は、(a)少なくとも一つのクラッド領域のうちの少なくとも一つを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップと、(b)サンプルで散乱された光を光ファイバのコアに集光するステップとを含む。この特定の構成を備えた技術では、ダブルクラッドファイバ(若しくはマルチクラッドファイバ)の内側クラッドは、照明光を届けるために使用され、コアは光を集光するために使用される。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはキセノンランプなどの光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、イメージ解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによるイメージスペックルの低減及び大きな視野深度を支える。信号の収集効率は、上記のコア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。
【0009】
本発明の他の観点によれば、サンプルのイメージングシステムは、ダブルクラッド光ファイバのコアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送する光源を有し、サンプルで散乱された光をダブルクラッド光ファイバの少なくとも第1のクラッド領域に集光する。実施態様によっては、ファイバのコアとクラッド領域の両方で光を集光することが好ましい。
【0010】
この特定の構成とともに、照明用にファイバのコアを利用し、信号収集用にファイバの内側クラッドを使用するイメージングシステムが提供される。これは、イメージのスペックルを減少させ、視野深度の向上及び信号効率を増加させる技術をもたらす。すなわち、照明用にファイバのコアを使用し、信号収集用に内側クラッドを使用することは、イメージのスペックルを減少させ、視野深度の向上及び信号効率を増加させる。しかし、ダブルクラッドファイバを逆のアプローチを採用することによっても使用できることは明らかである。すなわち、内側クラッドを照明光を届けるために使用し、コアを光の集光に使用できる。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、イメージ解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによるイメージスペックルの低減及び大きな視野深度を支える。信号の収集効率は、上述したように、コア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。実施態様によっては、照明光がコアまたはクラッドの何れを通じて届けられるかにかかわらず、コアとクラッド領域の両方を通じて収集された情報を処理することが好ましい。コアとクラッドの両方を通じて個別に情報を収集することにより、一方の情報源(例えば、コアを通じたもの)から提供された情報を、他方の情報源(例えば、クラッドを通じたもの)から収集された情報を強調するために使用することができる。各チャンネル(例えば、コア伝送/コア収集チャンネル、コア伝送/クラッド収集チャンネル)を通じて収集された情報を、単一のチャンネルの何れかで収集された情報から容易に得られないか、明らかとならないサンプルに関する情報を提供するために処理し、組み合わせることができる。コアを通じて戻ってきた光は、クラッドを通じて集光された光よりも高い横空間周波数を持つため、コアとクラッドの光のそのような組み合わせの一例は、クラッドを通じて受信した情報をシャープにするためにコアを通じて得られた情報を利用することである。さらに、コアから検出された光は、干渉計とともに使用される場合、3次元または位相に感度のある情報が得られることを可能にするシングルモードである。この情報は、内側クラッドを通じて検出された光により提供される空間的にインコヒーレントな情報に重ね合わされた位相または3次元情報のオーバーレイ若しくは擬似カラー表現という形式で、内側クラッドにより受信されたインコヒーレント情報を強調するために利用することができる。
【0011】
同様に、クラッド伝送/コア収集チャンネル及びクラッド伝送/クラッド収集チャンネルを通じて収集された情報を、単一のチャンネルの何れかで収集された情報から容易に得られないか、明らかとならないサンプルに関する情報を提供するために処理し、組み合わせることができる。そのような処理の一例では、コアによって収集されたイメージ情報を、内側クラッドによって受信されたイメージ情報をシャープにするために利用できる。
【0012】
まとめると、イメージングシステムにおけるダブルクラッド光ファイバの使用は、単一の光ファイバベースのイメージングに多くの利点を提供する。画像品質の向上に対してさらに、ダブルクラッドファイバの利用は、空間フィルタリングとともに検出用ビームスプリッタを組み込むことにより、シングルモード及びマルチモード検出の両方を備えた単一モード照明の実装を可能にする。この強化は、マルチモード検出を拡散強調画像を得るために使用できる場合及びシングルモード検出を3次元スペクトル符号化内視鏡によって採用されるような干渉検出に使用できる場合、デュアルモードイメージングを可能にする。
【0013】
ダブルクラッド光ファイバを、スペックルがなく、信号効率の良い、スペクトル符号化画像を得るために使用できることが分かった。広帯域照明光をファイバのコアのみにカップリングし、反射光を内側クラッドで集光することにより(以下では、シングルモード−マルチモードまたはSM−MMとして参照される構成)、シングルモード照明の利点にマルチモード信号収集の長所を結合することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明そのものとともに本発明の上記特徴は、図とともに以下の説明から、より全体的に理解されるであろう。
【0015】
ここで図1を参照すると、ダブルクラッドファイバを備えたスペクトル符号化イメージング光学システム10は、ビームスプリッタ(BS)14へ光を伝える広帯域光源12を有する。光の第1の部分は、ダブルクラッドファイバ(DCF)16の方へ向けられる。その光は、DCF16を透過し、コリメータレンズ18を透過して小型イメージングプローブ19へ伝播する。
【0016】
図1では、小型イメージングプローブ19は、レンズ20及び格子22から提供されるコンパクトレンズ格子設計を用いてシミュレートされる。プロセッサ34によって制御されるガルバノ光学スキャナ24は、ゆっくりと軸上スキャンを実行する。そのスキャナは、サンプル25の表面へ光を向ける。
【0017】
サンプル25で散乱された光は、DCF16の内側クラッド、コア、または内側クラッドとコアの両方にカップリングされ、ビームスプリッタ(BS)14で分光計29へ偏向される。この実施態様では、分光計29は、レンズ28と、回折格子30と、高速ラインスキャンカメラ32とを含む。そして画像は、コンピュータ34またはイメージを表示し、蓄積できる他の処理システムに提供される。
【0018】
一つの実施態様では、光源12は、KLM Ti:Al2O3レーザ(750nm-950nm)などの広帯域光源であってもよく、NA=0.4の顕微鏡対物レンズを用いてダブルクラッドファイバ16のコアにカップリングされる。ダブルクラッドファイバ16は、NA=0.19、コア直径3.7μm(モードフィールド直径4.1μm)、NA=0.23、90μm直径のクラッドを持ち、ファイバコアリミテッド(Fibercore Limited)を通じて利用可能なタイプで、SUMM900として識別されるものとすることができる。DCF16のコアを透過した光は、NA=0.4の顕微鏡対物レンズ18を用いてビーム直径約2mmにコリメートされる。
【0019】
シングルモード検出及び集光(SM−SMと表される)を用いたイメージングは、ダブルクラッドファイバ(すなわち図1のDCF16)とビームスプリッタ(すなわち図1のBS14)をシングルモード50/50ファイバ−スプリッタ(例えば、グールドエレクトロニクスにより提供されるタイプのシングルモード50/50ファイバ−スプリッタ、コーニングHl780-5/125ファイバ、NA=0.14)に置き換えることで達成される。一つの実施態様では、小型イメージングプローブは、ビームが最初にレンズ20(L1、f=65mm)によって焦点を結び、そしてサンプルの表面にラインを形成するように格子22(G1、1000lines/mm)の透過によって回折される、コンパクトレンズ−格子設計を用いてシミュレートされる。他の実施態様では、小型イメージングプローブは、DCFの遠位端に取り付けられた、屈折率分布(GRIN)レンズなどの対物レンズを備えたDCFを有する。他の実施態様では、スペーサ及び傾斜格子が、DCFに取り付けられたGRINレンズの遠位端に加えられる。さらに他の実施態様では、ピトリス C、ボウマ BE、シスコフ M、ターネイ GJ、「スペクトル符号化共焦点顕微鏡用GIRSMベースのプローブ」、オプティクスエクスプレス、2003年、第11巻、p120-124に記載されているように、プローブは、DCF、レンズ、デュアルプリズムGRISM及び対物レンズからなる。
【0020】
レンズ28(L2)は、f=40mmとし、回折格子30(G2)は、1200lines/mmとし、カメラ32は、Basler L104Kなどの高速ラインスキャンカメラとすることができる。これらの部品で、サンプル上のパワーは2mWであった。
【0021】
ダブルクラッドファイバを用いたスペクトル符号化イメージングをデモンストレーションするために、小さな人形の顔を、3次元ファイバベースの照明−検出構成を用いて撮像した。これらの3次元ファイバベースの照明−検出構成の結果を、図2B−図2Dに示し、以下に説明する。
【0022】
ここで図2Aを参照すると、白色光照明及びCCDカメラを用いて得られた人形の顔の画像が示されている。スケールバー(図2Aの右側下の角)は、2mmを表す。この画像は、図2B−図2Dに示した画像との比較のために提示した。
【0023】
図2Bは、シングルモード照明及びシングルモード検出(SM−SMで表される)を用いて得られた人形の顔の画像である。
【0024】
図2Cは、シングルモード照明及びマルチモード検出(SM−MMで表される)を用いて得られた人形の顔の画像である。
【0025】
図2Dは、励起光が主として内側クラッドにカップリングされた場合の、マルチモード照明及びマルチモード検出(MM−MMで表される)を用いて得られた人形の顔の画像である。
【0026】
SM−SM画像(図2B)は、相対的に高い解像度と高いコントラストを有しているが、スペックルノイズによって劣化している。一方、SM−MM画像(図2C)は、SM−MM画像と比較して解像度で僅かに劣るものの、その外観はより自然で、白色光参照画像(図2A)により近いものとなっている。また、視野深度の増加により、SM−MM画像では、人形の首と肩も見えているが、SM−SM画像では小さなコア直径がこれらの領域から来る信号をカットしている。
【0027】
MM−MM画像(図2D)は、スペックルノイズを含まず、最も視野深度が深くなっている。しかし、SM−SM画像またはSM−MM画像の解像度と比較して、劇的に解像度が低下してしまっている。また、図2C及び図2Dの、マルチモード集光を利用した画像は、SM−SM画像よりもかなり明るい。
【0028】
これらの結果を導く根本的なプロセスについてよりよく理解するために、横方向及び軸上解像度、収集された信号強度、スペックルコントラストを含む、様々なイメージングパラメータを、内側クラッド直径を変えて数値的にシミュレートし、SM−SM構成及びSM−MM構成について実験的に測定した。
【0029】
ここで図3Aを参照すると、数値シミュレーションで使用した、ダブルクラッドファイバ41の信号収集の配置が示される。図1に示された格子G1とガルバノスキャナは、簡単化のため、及びスキームの一般性を保つため、この図からは省略した。コア44から放射された空間的にコヒーレントな光(破線で示された光42)は、サンプル46の粗い表面46a上に小さなスポットを結ぶ。なお、サンプル表面46aからの光は、全ての方向に均等に散乱されると仮定した。様々なサンプル、例えば、紙、かみそりの刃、ボランティアの指を照明して得られた拡散光スポットを結像することにより、その拡散光によってカバーされる領域は、代表的に約200mmの大きさにまで拡がることが分かった。散乱光50(点線)は、ファイバ面上へ戻って結像され、主として内側クラッド52にカップリングされる。
【0030】
点像分布関数を計算するために、ダブルクラッドファイバ41を、共焦点イメージングシステムとして扱い、内側クラッド54は、有限サイズのピンホールとしてシミュレートすることにより、上記のシステムで得られた結果と以前に公開された共焦点顕微鏡の計算との対応を評価した。内側クラッド54における伝播モード数の離散的性質により、この近似の妥当性は特定のファイバパラメータに依存する。例えば、NA=0.23のクラッドに対して、直径6μmのファイバは、波長0.85μmにおいて13個の伝播モードをサポートする。この数は、クラッド領域に対して比例的に増加する。その結果、我々の90μm直径の内側クラッドに対しては、誘導されるモードが3000個近くになることが予想される。多数のモードがSMM900の内側クラッドで誘導されるので、ピンホールモデルは、このダブルクラッドファイバについての実験測定結果に対応すると予想される。
【0031】
ここで図3Bを参照する。フレネル積分を数値的に解くことにより、点像分布関数の半値幅(FWHM)が計算される。図3Bは、クラッドの直径がコアの直径と等しい場合を1として正規化した、横方向スポットサイズ及び軸上スポットサイズをそれぞれ実線、破線で示す。横方向スポットサイズは、係数が1.4になるまでは増加し、それよりも大きなクラッド直径に対しては一定となる。一方、軸上スポットはほぼ線形に増加する。横方向の点像分布関数は、解像力チャート(air-force resolution chart)におけるエッジからの信号の微分係数を求めることによって測定した。測定された点像分布関数の半値幅(FWHM)は、SM−SM構成を用いた場合、17.4±1.5μmであった(画像上の35点の平均)。またSM−MM構成(図3Bでは塗りつぶされた円で示される)については、27.7±2.9μmであった。焦点を通り光軸に沿ってミラーをスキャンすることによって得られた、測定信号のFWHMは、SM−SM構成及びSM−MM構成に対して、それぞれ約2.1±0.3mm及び約18.5mm±3mmと測定された。これらの測定結果の比は、8.8であり、我々のシミュレーションで得られた比10.5よりも僅かに低かった。
【0032】
効率的な信号収集は、高い信号ノイズ比を持つイメージングのために重要である。検出される信号強度を、200μmの強度のガウシアンエンベロープ内で均一に分布したランダムな振幅及び位相を持つ1000個の粗い表面(サンプル上の各点が一つのランダムな表面)をシミュレートすることにより計算した。
【0033】
ここで図3Cを参照する。図3は、内側クラッドで収集されたトータルの信号強度の正規化したもののプロットを破線で示す。全てのSM−MMの値は、SM−SMの場合の値に対して正規化され、エラーバーが標準偏差を表すことは明らかであろう。クラッドの直径が小さい場合、収集される信号は、クラッド領域とともに増加する。クラッドが散乱光の広がり全体をカバーするようになると、収集される信号のトータルは、水平状態に達する。物体面でよく散乱する紙からの信号のトータルを測定し、SMM900の内側クラッドで収集された信号は、SM−SMの場合で収集された信号よりも35倍強いことが分かった(図3Cのダイヤモンド)。この測定結果は、シミュレーションで得られた35という比と良好に一致した。
【0034】
スペックルノイズは、多くのコヒーレントイメージング技術における制限要因の一つである。それは有効な解像度を低下させ、画像のアーティファクトを生じ、不自然に見える画像を作る。検出された信号強度についての上記のシミュレーションを用いて、スペックルノイズを、画像の標準偏差をその平均で割ることにより計算した。図3Cにおいて、得られたスペックルコントラストを実線でプロットした。得られたスペックルコントラストは、クラッドの直径が増加するにつれて急激に減少する。アルミニウムの粗い表面の画像の50本の線について、スペックルコントラストを測定した。SM−SM構成については、スペックルコントラストは0.76±0.09となり、SM−MM構成の場合には、1/7.6にスペックルが減衰することに対応し、スペックルコントラストは0.1±0.15となることが分かった(プロット上の塗りつぶされた円で示される)。この比は、9.4となったシミュレーションの比と良好な一致を示した。
【0035】
これらの実験及びシミュレーションは、単一ファイバ内視鏡についてのSM−MM構成の利点を示す。予想されるように、内側クラッドの直径がコアの直径と等しい場合(SM−SM)、その結果はコヒーレントまたは共焦点の挙動を示した。この場合の画像は、最も高い解像度とコントラストを持つものの、スペックルノイズ、低い信号パワー及び相対的に限られる視野深度に難点がある。ダブルクラッドファイバによって提供されるSM−MM構成は、自由空間共焦点顕微鏡におけるピンホール開口と類似する。クラッド領域が大きいことは、検出効率を向上させ、視野深度を増加させ、スペックルノイズを減少させ、自然な外観の内視鏡画像をもたらす。
【0036】
クラッドの直径の最適な選択は、用途特有の要件に依存する。クラッドの直径が、コアの直径よりも僅かに大きい、10-20μm前後であれば、横方向と深さの解像度の両方における僅かばかりの低下とともに、スペックルを減少させ、信号を増加させる。共焦点内視鏡イメージング、例えば、光学セクショニングを得るために焦点外光の排除を行うものについて、そのような構成が好ましい。光学セクショニングが不要な場合、あるいは、深い視野深度が必要とされる場合、上記のワークに示されたように、直径の大きなクラッドを使用することができる。
【0037】
ダブルクラッド光ファイバを、他の幾つかのファイバベースのイメージングシステム及び非イメージングシステム、特に、蛍光ファイバプローブ及びラマンファイバプローブのような、コヒーレント信号の検出を必要とせず、信号及び視野深度を増加することに利点があるシステムに使用することができる。
【0038】
ここで図4Aを参照する。図4Aは、ダブルクラッドファイバを用いて、蛍光信号またはラマン信号を収集するシステム60を示す。光61はダブルクラッドファイバ64のコア62から放射され、レンズ66を透過してサンプル68の表面68aへ向けられる。サンプルで反射された光69はレンズ66を透過してファイバ面上へ戻り、ファイバ64の内側クラッド70に主としてカップリングされる。
【0039】
ここで図4Bを参照する。図4Bは、ダブルクラッドファイバプローブを用いて蛍光信号またはラマン信号を収集するシステム60’を示す。光61はダブルクラッドファイバ64’のクラッド領域70’から放射され、レンズ66’を透過してサンプル68の表面68aへ向けられる。サンプルで反射された光69’はレンズ66’を透過してファイバ面上へ戻り、ファイバ64’のコア62’に主としてカップリングされる。
【0040】
このように、ダブルクラッドファイバを図4Aに示したものと反対のアプローチを採用することによっても使用できる。具体的には、図4Bに示すように、内側クラッドを照明光を届けるために使用し、コアを光を集光するために使用することができる。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはキセノンランプなどの光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、画像解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによる画像スペックルの低減を支える。信号の収集効率は、上記のコア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。
【0041】
ここで図5Aを参照する。図5Aは、コヒーレント光とインコヒーレント光の両方の集光(すなわち、コアのみを通じたコヒーレント光の集光及び内側クラッドのみを通じたインコヒーレント光の集光)を行うためにダブルクラッドファイバ(DCF)を使用するシステム72を示す。そのシステム72は、ダブルパス高速走査型光ディレイライン(RSOD)に結合された第1のポートと、ダブルクラッドファイバ(DCF)78に結合された第2のポートを持つファイバカップラ76を通じて光を伝播させる広帯域光源74を含む。光はDCFを通じてサンプル80へ伝播する。コヒーレント光はコアを通じて伝送され、ファイバスプリッタ82内へ戻り結合される。参照アームにおけるこの光とディレイラインからの光との干渉パターンを、単一のディテクタ(図示されるようなもの)、チャージカップルドデバイス(CCD)アレイ、または現在公知若しくは将来発見される他の技術及び装置を用いて検出することができる。
【0042】
DCFを蛍光検出に使用する場合、蛍光はコヒーレントではないため、コヒーレント検出の手法を利用する必要はないことに注意すべきである。従来の蛍光及び反射に加えて、他のイメージングモダリティはファイバの第2のクラッドによって、2次高調波、3次高調波、2フォトン蛍光、ラマン散乱、コヒーレントアンチストークスラマン(CARS)、表面増強ラマン散乱(SERS)などを含む、微弱光の集光から利点を得られることもある。
【0043】
ダブルクラッドファイバにより提供される利点、すなわち、スペックルの減少、視野深度の向上及び信号収集効率の向上は、異なるファイバまたは導波路の設計でも得ることができることは明らかである。イメージングシステムで許容可能な解像スポットを提供する光線でサンプルが照明される如何なる構成、ファイバの大きい方の開口で行われる集光も、同様の利点を提供し得ることは明らかである。
【0044】
図6A−図6Eは、幾つかの可能なプローブデザインを示した一連の断面図である。
【0045】
ここで図6Aを参照する。プローブを、コア90、第1のクラッド層92及び第2のクラッド層94を持つダブルクラッドファイバとして提供することができる。
【0046】
次に図6Bを参照する。プローブを、コア96と複数のクラッド領域98a−98cを持つマルチクラッドファイバとして提供することができる。
【0047】
次に図6Cを参照する。図6Cは、コア100と任意のクラッド形状を有するクラッド102を持つダブルクラッドファイバを示す。この実施態様はダブルクラッドファイバとして示されるが、任意の形状を持つクラッド層を備えたマルチクラッドファイバも提供できることは明らかである。
【0048】
次に図6Dを参照する。プローブは、シングルモードファイバ104とマルチモードファイバ106を有する。
【0049】
次に図6Eを参照する。図6Eに示すように、プローブは、コア108と、照明用のシングルモードファイバ110a−110fと、コア108について配置した信号収集用のマルチモード導波路を有する。
【0050】
上記のプローブ及びファイバ構成によって提供される利点の全てに加えて、コヒーレント検出をシングルモードの照明コアか、プローブ内の他の何れかのシングルモード導波路によって行えることも理解されたい。コヒーレント検出は、深さ方向の感度を与え、微弱信号の検出を可能とするヘテロダイン検出手法の使用についても可能にする。
【0051】
本発明のほんの幾つかの実施態様を上記で詳細に説明してきた。当業者は、本発明の新規な技術及び長所から本質的に離れることなく、例示の実施態様に多くの修正を行うことが可能であることは容易に明らかとなるであろう。例えば、上記のように、照明用ファイバコアと信号収集用内側クラッドを用いることは、画像スペックルを減少させ、視野深度を向上し、信号効率を増加させる。しかし、ダブルクラッドファイバを、逆のアプローチにより使用できることも明らかである。すなわち、内側クラッドを照明光を届けるために使用し、コアを光を集光するために使用できる。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはキセノンランプなどの光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、画像解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによる画像スペックルの低減を支える。信号の収集効率は、上記のコア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。
【0052】
したがって、そのような全ての修正は、請求項に定義されたような、本発明の範囲に含まれることが意図される。さらに、ここに参照された如何なる特許、出願及び公報もその全体が参照として組み込まれることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】ダブルクラッドファイバを備えたスペクトル符号化イメージングの光学システムのブロック図である。
【図1B】図1Aのダブルクラッドファイバの拡大断面図である。
【図2A】人形の顔の標準的な白色光画像の写真である。
【図2B】シングルモード照明とシングルモード集光(SM−SM)を用いたスペクトル符号化イメージングを使用して生成された、図2Aの人形の顔の画像である。
【図2C】シングルモード照明とマルチモード集光(SM−MM)を用いたスペクトル符号化イメージングを使用して生成された、図2Aの人形の顔の画像である。
【図2D】マルチモード照明とマルチモード集光(MM−MM)を用いたスペクトル符号化イメージングを使用して生成された、図2Aの人形の顔の画像である。
【図3A】レンズが散乱光を内側クラッド層の表面上へ結像するダブルクラッドファイバ(DCF)を使用した信号収集システムのブロック図である。
【図3B】内側クラッドの直径の関数としてプロットされた、正規化されたSM−MM横軸スポットサイズ(実線)と軸上スポットサイズのプロットである。
【図3C】スペックルのコントラストと正規化されたトータル信号強度のプロットである。
【図4A】レンズが散乱光を内側クラッド層の表面上へ結像するダブルクラッドファイバの使用を示す信号収集システムのブロック図である。
【図4B】レンズが散乱光をコアの表面上へ結像するダブルクラッドファイバを使用した信号収集システムのブロック図である。
【図5A】コヒーレント光の集光(コアのみを通じた光の集光)及びインコヒーレント光の集光(内側クラッドのみを通じた光の集光)の両方についてダブルクラッドファイバを利用するシステムのブロック図である。
【図6A】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6B】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6C】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6D】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6E】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にオプティカルイメージングに関し、特に、3次元表面測定を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、光ファイバ内視鏡は、代表的には、時にファイバ束と呼ばれるファイバのアレイを通じてイメージを伝送することによって実現される。様々な医療用途及び非医療用途についての成功の一方で、イメージを形成するためのファイバアレイの利用には、イメージングデバイスのコスト、直径、柔軟性に対する制約が課されてきた。
【0003】
これらの欠点を解消しようとして、単一の光ファイバを採用する複数のアプローチが、小型で、柔軟性のある内視鏡のために提案されてきた。例えば、単一のファイバを備えた共焦点イメージングについての一つの技術が、光源と検出装置の両方としてシングルモードファイバのコアを利用することによって実装されている。また、小型の共焦点顕微鏡プローブ及び内視鏡が、シングルモードファイバの先端に機械的なマイクロスキャナを加えることにより構築されている。スペクトル符号化と呼ばれる、他の小型内視鏡についての単一ファイバの方法は、サンプル内の横軸線にわたって反射率をスペクトル的に符号化するために、広帯域光源と回折格子を使用する。このことは、ターネイ等によって、オプティクスレター27巻の412ページ(2002年)に記載されている。このスペクトル的に符号化された線をゆっくりとスキャンすることで2次元画像を形成すること、及び干渉計のサンプルアームにプローブを配置することで3次元画像が得られることが、エーリン等によって、オプティクスレター28巻の2321ページ(2003年)に記載されている。シングルモードファイバのコアは、これらの全ての技術において光源と検出装置の両方として機能する。
【0004】
また公知のように、単一ファイバ内視鏡についての重要な設計パラメータの一つは、光ファイバのモードプロファイルである。シングルモード光ファイバは、小型で柔軟性のあるイメージングプローブとともに高解像度イメージングを可能にするが、相対的に光量のスループットが小さいという難点がある。さらに、シングルモードファイバの小さなコアは、自由空間共焦点顕微鏡のピンホールと同様に機能し、焦点外の光の検出を妨げる。顕微鏡用途において、大きな視野深度、大きなワーキングディスタンス、広い視野が代表的には望ましいため、この光学セクショニングは望ましくない場合がある。顕微鏡用途において、光学セクショニングは、光量スループットの向上のために犠牲にされることもある。
【0005】
コヒーレント光源によって照明される場合、シングルモードファイバを介したイメージングは、スペックルノイズと呼ばれるものをもたらす。それはイメージの有効な解像度及び品質を著しく低下させる。シングルモードファイバを相対的に大きな直径を有するマルチモード光ファイバに置き換えることは、光量スループットをより高くし、スペックルを減らすことを可能にする。残念なことに、大きな直径を有するマルチモードファイバの利用は、システムの点像分布関数を大幅に悪化させ、高感度及び3次元検出に対する干渉計の使用を妨げる。
【0006】
近年、ダブルクラッド(デュアルクラッドとも呼ばれる)光ファイバを利用した高出力ファイバレーザの開発において飛躍的な進展がなされてきた。これらのファイバは、内側のクラッドを通じたマルチモードの伝播とともにコアを通じたシングルモードの伝播をサポートする能力を有するという点で、ユニークなものである。
【発明の開示】
【0007】
本発明によれば、コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法は、(a)光ファイバのコアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップと、(b)サンプルで散乱された光を光ファイバの少なくとも一つのクラッド領域のうちの少なくとも第1のクラッド領域に集光するステップとを含む。照明用にファイバのコアを使用し、信号収集用に内側のクラッドを使用することで、イメージのスペックルを減少させ、視野深度の向上及び信号効率を増加させる(すなわち、より多くの光の集光を可能にする)。照明用のファイバコアと信号収集用の内側クラッドは、視野深度を増加させる。集光開口の直径の増加が視野深度を増加させ、集光開口の直径の増加がその開口を通じて検出できる光量を増加させるためである。これは、無論内側クラッドの集光開口の直径がコアの直径よりも大きいことを仮定している。この効果のモデルを図3B及び図3Cに示す。
【0008】
本発明の他の観点によれば、コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法は、(a)少なくとも一つのクラッド領域のうちの少なくとも一つを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップと、(b)サンプルで散乱された光を光ファイバのコアに集光するステップとを含む。この特定の構成を備えた技術では、ダブルクラッドファイバ(若しくはマルチクラッドファイバ)の内側クラッドは、照明光を届けるために使用され、コアは光を集光するために使用される。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはキセノンランプなどの光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、イメージ解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによるイメージスペックルの低減及び大きな視野深度を支える。信号の収集効率は、上記のコア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。
【0009】
本発明の他の観点によれば、サンプルのイメージングシステムは、ダブルクラッド光ファイバのコアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送する光源を有し、サンプルで散乱された光をダブルクラッド光ファイバの少なくとも第1のクラッド領域に集光する。実施態様によっては、ファイバのコアとクラッド領域の両方で光を集光することが好ましい。
【0010】
この特定の構成とともに、照明用にファイバのコアを利用し、信号収集用にファイバの内側クラッドを使用するイメージングシステムが提供される。これは、イメージのスペックルを減少させ、視野深度の向上及び信号効率を増加させる技術をもたらす。すなわち、照明用にファイバのコアを使用し、信号収集用に内側クラッドを使用することは、イメージのスペックルを減少させ、視野深度の向上及び信号効率を増加させる。しかし、ダブルクラッドファイバを逆のアプローチを採用することによっても使用できることは明らかである。すなわち、内側クラッドを照明光を届けるために使用し、コアを光の集光に使用できる。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、イメージ解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによるイメージスペックルの低減及び大きな視野深度を支える。信号の収集効率は、上述したように、コア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。実施態様によっては、照明光がコアまたはクラッドの何れを通じて届けられるかにかかわらず、コアとクラッド領域の両方を通じて収集された情報を処理することが好ましい。コアとクラッドの両方を通じて個別に情報を収集することにより、一方の情報源(例えば、コアを通じたもの)から提供された情報を、他方の情報源(例えば、クラッドを通じたもの)から収集された情報を強調するために使用することができる。各チャンネル(例えば、コア伝送/コア収集チャンネル、コア伝送/クラッド収集チャンネル)を通じて収集された情報を、単一のチャンネルの何れかで収集された情報から容易に得られないか、明らかとならないサンプルに関する情報を提供するために処理し、組み合わせることができる。コアを通じて戻ってきた光は、クラッドを通じて集光された光よりも高い横空間周波数を持つため、コアとクラッドの光のそのような組み合わせの一例は、クラッドを通じて受信した情報をシャープにするためにコアを通じて得られた情報を利用することである。さらに、コアから検出された光は、干渉計とともに使用される場合、3次元または位相に感度のある情報が得られることを可能にするシングルモードである。この情報は、内側クラッドを通じて検出された光により提供される空間的にインコヒーレントな情報に重ね合わされた位相または3次元情報のオーバーレイ若しくは擬似カラー表現という形式で、内側クラッドにより受信されたインコヒーレント情報を強調するために利用することができる。
【0011】
同様に、クラッド伝送/コア収集チャンネル及びクラッド伝送/クラッド収集チャンネルを通じて収集された情報を、単一のチャンネルの何れかで収集された情報から容易に得られないか、明らかとならないサンプルに関する情報を提供するために処理し、組み合わせることができる。そのような処理の一例では、コアによって収集されたイメージ情報を、内側クラッドによって受信されたイメージ情報をシャープにするために利用できる。
【0012】
まとめると、イメージングシステムにおけるダブルクラッド光ファイバの使用は、単一の光ファイバベースのイメージングに多くの利点を提供する。画像品質の向上に対してさらに、ダブルクラッドファイバの利用は、空間フィルタリングとともに検出用ビームスプリッタを組み込むことにより、シングルモード及びマルチモード検出の両方を備えた単一モード照明の実装を可能にする。この強化は、マルチモード検出を拡散強調画像を得るために使用できる場合及びシングルモード検出を3次元スペクトル符号化内視鏡によって採用されるような干渉検出に使用できる場合、デュアルモードイメージングを可能にする。
【0013】
ダブルクラッド光ファイバを、スペックルがなく、信号効率の良い、スペクトル符号化画像を得るために使用できることが分かった。広帯域照明光をファイバのコアのみにカップリングし、反射光を内側クラッドで集光することにより(以下では、シングルモード−マルチモードまたはSM−MMとして参照される構成)、シングルモード照明の利点にマルチモード信号収集の長所を結合することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明そのものとともに本発明の上記特徴は、図とともに以下の説明から、より全体的に理解されるであろう。
【0015】
ここで図1を参照すると、ダブルクラッドファイバを備えたスペクトル符号化イメージング光学システム10は、ビームスプリッタ(BS)14へ光を伝える広帯域光源12を有する。光の第1の部分は、ダブルクラッドファイバ(DCF)16の方へ向けられる。その光は、DCF16を透過し、コリメータレンズ18を透過して小型イメージングプローブ19へ伝播する。
【0016】
図1では、小型イメージングプローブ19は、レンズ20及び格子22から提供されるコンパクトレンズ格子設計を用いてシミュレートされる。プロセッサ34によって制御されるガルバノ光学スキャナ24は、ゆっくりと軸上スキャンを実行する。そのスキャナは、サンプル25の表面へ光を向ける。
【0017】
サンプル25で散乱された光は、DCF16の内側クラッド、コア、または内側クラッドとコアの両方にカップリングされ、ビームスプリッタ(BS)14で分光計29へ偏向される。この実施態様では、分光計29は、レンズ28と、回折格子30と、高速ラインスキャンカメラ32とを含む。そして画像は、コンピュータ34またはイメージを表示し、蓄積できる他の処理システムに提供される。
【0018】
一つの実施態様では、光源12は、KLM Ti:Al2O3レーザ(750nm-950nm)などの広帯域光源であってもよく、NA=0.4の顕微鏡対物レンズを用いてダブルクラッドファイバ16のコアにカップリングされる。ダブルクラッドファイバ16は、NA=0.19、コア直径3.7μm(モードフィールド直径4.1μm)、NA=0.23、90μm直径のクラッドを持ち、ファイバコアリミテッド(Fibercore Limited)を通じて利用可能なタイプで、SUMM900として識別されるものとすることができる。DCF16のコアを透過した光は、NA=0.4の顕微鏡対物レンズ18を用いてビーム直径約2mmにコリメートされる。
【0019】
シングルモード検出及び集光(SM−SMと表される)を用いたイメージングは、ダブルクラッドファイバ(すなわち図1のDCF16)とビームスプリッタ(すなわち図1のBS14)をシングルモード50/50ファイバ−スプリッタ(例えば、グールドエレクトロニクスにより提供されるタイプのシングルモード50/50ファイバ−スプリッタ、コーニングHl780-5/125ファイバ、NA=0.14)に置き換えることで達成される。一つの実施態様では、小型イメージングプローブは、ビームが最初にレンズ20(L1、f=65mm)によって焦点を結び、そしてサンプルの表面にラインを形成するように格子22(G1、1000lines/mm)の透過によって回折される、コンパクトレンズ−格子設計を用いてシミュレートされる。他の実施態様では、小型イメージングプローブは、DCFの遠位端に取り付けられた、屈折率分布(GRIN)レンズなどの対物レンズを備えたDCFを有する。他の実施態様では、スペーサ及び傾斜格子が、DCFに取り付けられたGRINレンズの遠位端に加えられる。さらに他の実施態様では、ピトリス C、ボウマ BE、シスコフ M、ターネイ GJ、「スペクトル符号化共焦点顕微鏡用GIRSMベースのプローブ」、オプティクスエクスプレス、2003年、第11巻、p120-124に記載されているように、プローブは、DCF、レンズ、デュアルプリズムGRISM及び対物レンズからなる。
【0020】
レンズ28(L2)は、f=40mmとし、回折格子30(G2)は、1200lines/mmとし、カメラ32は、Basler L104Kなどの高速ラインスキャンカメラとすることができる。これらの部品で、サンプル上のパワーは2mWであった。
【0021】
ダブルクラッドファイバを用いたスペクトル符号化イメージングをデモンストレーションするために、小さな人形の顔を、3次元ファイバベースの照明−検出構成を用いて撮像した。これらの3次元ファイバベースの照明−検出構成の結果を、図2B−図2Dに示し、以下に説明する。
【0022】
ここで図2Aを参照すると、白色光照明及びCCDカメラを用いて得られた人形の顔の画像が示されている。スケールバー(図2Aの右側下の角)は、2mmを表す。この画像は、図2B−図2Dに示した画像との比較のために提示した。
【0023】
図2Bは、シングルモード照明及びシングルモード検出(SM−SMで表される)を用いて得られた人形の顔の画像である。
【0024】
図2Cは、シングルモード照明及びマルチモード検出(SM−MMで表される)を用いて得られた人形の顔の画像である。
【0025】
図2Dは、励起光が主として内側クラッドにカップリングされた場合の、マルチモード照明及びマルチモード検出(MM−MMで表される)を用いて得られた人形の顔の画像である。
【0026】
SM−SM画像(図2B)は、相対的に高い解像度と高いコントラストを有しているが、スペックルノイズによって劣化している。一方、SM−MM画像(図2C)は、SM−MM画像と比較して解像度で僅かに劣るものの、その外観はより自然で、白色光参照画像(図2A)により近いものとなっている。また、視野深度の増加により、SM−MM画像では、人形の首と肩も見えているが、SM−SM画像では小さなコア直径がこれらの領域から来る信号をカットしている。
【0027】
MM−MM画像(図2D)は、スペックルノイズを含まず、最も視野深度が深くなっている。しかし、SM−SM画像またはSM−MM画像の解像度と比較して、劇的に解像度が低下してしまっている。また、図2C及び図2Dの、マルチモード集光を利用した画像は、SM−SM画像よりもかなり明るい。
【0028】
これらの結果を導く根本的なプロセスについてよりよく理解するために、横方向及び軸上解像度、収集された信号強度、スペックルコントラストを含む、様々なイメージングパラメータを、内側クラッド直径を変えて数値的にシミュレートし、SM−SM構成及びSM−MM構成について実験的に測定した。
【0029】
ここで図3Aを参照すると、数値シミュレーションで使用した、ダブルクラッドファイバ41の信号収集の配置が示される。図1に示された格子G1とガルバノスキャナは、簡単化のため、及びスキームの一般性を保つため、この図からは省略した。コア44から放射された空間的にコヒーレントな光(破線で示された光42)は、サンプル46の粗い表面46a上に小さなスポットを結ぶ。なお、サンプル表面46aからの光は、全ての方向に均等に散乱されると仮定した。様々なサンプル、例えば、紙、かみそりの刃、ボランティアの指を照明して得られた拡散光スポットを結像することにより、その拡散光によってカバーされる領域は、代表的に約200mmの大きさにまで拡がることが分かった。散乱光50(点線)は、ファイバ面上へ戻って結像され、主として内側クラッド52にカップリングされる。
【0030】
点像分布関数を計算するために、ダブルクラッドファイバ41を、共焦点イメージングシステムとして扱い、内側クラッド54は、有限サイズのピンホールとしてシミュレートすることにより、上記のシステムで得られた結果と以前に公開された共焦点顕微鏡の計算との対応を評価した。内側クラッド54における伝播モード数の離散的性質により、この近似の妥当性は特定のファイバパラメータに依存する。例えば、NA=0.23のクラッドに対して、直径6μmのファイバは、波長0.85μmにおいて13個の伝播モードをサポートする。この数は、クラッド領域に対して比例的に増加する。その結果、我々の90μm直径の内側クラッドに対しては、誘導されるモードが3000個近くになることが予想される。多数のモードがSMM900の内側クラッドで誘導されるので、ピンホールモデルは、このダブルクラッドファイバについての実験測定結果に対応すると予想される。
【0031】
ここで図3Bを参照する。フレネル積分を数値的に解くことにより、点像分布関数の半値幅(FWHM)が計算される。図3Bは、クラッドの直径がコアの直径と等しい場合を1として正規化した、横方向スポットサイズ及び軸上スポットサイズをそれぞれ実線、破線で示す。横方向スポットサイズは、係数が1.4になるまでは増加し、それよりも大きなクラッド直径に対しては一定となる。一方、軸上スポットはほぼ線形に増加する。横方向の点像分布関数は、解像力チャート(air-force resolution chart)におけるエッジからの信号の微分係数を求めることによって測定した。測定された点像分布関数の半値幅(FWHM)は、SM−SM構成を用いた場合、17.4±1.5μmであった(画像上の35点の平均)。またSM−MM構成(図3Bでは塗りつぶされた円で示される)については、27.7±2.9μmであった。焦点を通り光軸に沿ってミラーをスキャンすることによって得られた、測定信号のFWHMは、SM−SM構成及びSM−MM構成に対して、それぞれ約2.1±0.3mm及び約18.5mm±3mmと測定された。これらの測定結果の比は、8.8であり、我々のシミュレーションで得られた比10.5よりも僅かに低かった。
【0032】
効率的な信号収集は、高い信号ノイズ比を持つイメージングのために重要である。検出される信号強度を、200μmの強度のガウシアンエンベロープ内で均一に分布したランダムな振幅及び位相を持つ1000個の粗い表面(サンプル上の各点が一つのランダムな表面)をシミュレートすることにより計算した。
【0033】
ここで図3Cを参照する。図3は、内側クラッドで収集されたトータルの信号強度の正規化したもののプロットを破線で示す。全てのSM−MMの値は、SM−SMの場合の値に対して正規化され、エラーバーが標準偏差を表すことは明らかであろう。クラッドの直径が小さい場合、収集される信号は、クラッド領域とともに増加する。クラッドが散乱光の広がり全体をカバーするようになると、収集される信号のトータルは、水平状態に達する。物体面でよく散乱する紙からの信号のトータルを測定し、SMM900の内側クラッドで収集された信号は、SM−SMの場合で収集された信号よりも35倍強いことが分かった(図3Cのダイヤモンド)。この測定結果は、シミュレーションで得られた35という比と良好に一致した。
【0034】
スペックルノイズは、多くのコヒーレントイメージング技術における制限要因の一つである。それは有効な解像度を低下させ、画像のアーティファクトを生じ、不自然に見える画像を作る。検出された信号強度についての上記のシミュレーションを用いて、スペックルノイズを、画像の標準偏差をその平均で割ることにより計算した。図3Cにおいて、得られたスペックルコントラストを実線でプロットした。得られたスペックルコントラストは、クラッドの直径が増加するにつれて急激に減少する。アルミニウムの粗い表面の画像の50本の線について、スペックルコントラストを測定した。SM−SM構成については、スペックルコントラストは0.76±0.09となり、SM−MM構成の場合には、1/7.6にスペックルが減衰することに対応し、スペックルコントラストは0.1±0.15となることが分かった(プロット上の塗りつぶされた円で示される)。この比は、9.4となったシミュレーションの比と良好な一致を示した。
【0035】
これらの実験及びシミュレーションは、単一ファイバ内視鏡についてのSM−MM構成の利点を示す。予想されるように、内側クラッドの直径がコアの直径と等しい場合(SM−SM)、その結果はコヒーレントまたは共焦点の挙動を示した。この場合の画像は、最も高い解像度とコントラストを持つものの、スペックルノイズ、低い信号パワー及び相対的に限られる視野深度に難点がある。ダブルクラッドファイバによって提供されるSM−MM構成は、自由空間共焦点顕微鏡におけるピンホール開口と類似する。クラッド領域が大きいことは、検出効率を向上させ、視野深度を増加させ、スペックルノイズを減少させ、自然な外観の内視鏡画像をもたらす。
【0036】
クラッドの直径の最適な選択は、用途特有の要件に依存する。クラッドの直径が、コアの直径よりも僅かに大きい、10-20μm前後であれば、横方向と深さの解像度の両方における僅かばかりの低下とともに、スペックルを減少させ、信号を増加させる。共焦点内視鏡イメージング、例えば、光学セクショニングを得るために焦点外光の排除を行うものについて、そのような構成が好ましい。光学セクショニングが不要な場合、あるいは、深い視野深度が必要とされる場合、上記のワークに示されたように、直径の大きなクラッドを使用することができる。
【0037】
ダブルクラッド光ファイバを、他の幾つかのファイバベースのイメージングシステム及び非イメージングシステム、特に、蛍光ファイバプローブ及びラマンファイバプローブのような、コヒーレント信号の検出を必要とせず、信号及び視野深度を増加することに利点があるシステムに使用することができる。
【0038】
ここで図4Aを参照する。図4Aは、ダブルクラッドファイバを用いて、蛍光信号またはラマン信号を収集するシステム60を示す。光61はダブルクラッドファイバ64のコア62から放射され、レンズ66を透過してサンプル68の表面68aへ向けられる。サンプルで反射された光69はレンズ66を透過してファイバ面上へ戻り、ファイバ64の内側クラッド70に主としてカップリングされる。
【0039】
ここで図4Bを参照する。図4Bは、ダブルクラッドファイバプローブを用いて蛍光信号またはラマン信号を収集するシステム60’を示す。光61はダブルクラッドファイバ64’のクラッド領域70’から放射され、レンズ66’を透過してサンプル68の表面68aへ向けられる。サンプルで反射された光69’はレンズ66’を透過してファイバ面上へ戻り、ファイバ64’のコア62’に主としてカップリングされる。
【0040】
このように、ダブルクラッドファイバを図4Aに示したものと反対のアプローチを採用することによっても使用できる。具体的には、図4Bに示すように、内側クラッドを照明光を届けるために使用し、コアを光を集光するために使用することができる。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはキセノンランプなどの光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、画像解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによる画像スペックルの低減を支える。信号の収集効率は、上記のコア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。
【0041】
ここで図5Aを参照する。図5Aは、コヒーレント光とインコヒーレント光の両方の集光(すなわち、コアのみを通じたコヒーレント光の集光及び内側クラッドのみを通じたインコヒーレント光の集光)を行うためにダブルクラッドファイバ(DCF)を使用するシステム72を示す。そのシステム72は、ダブルパス高速走査型光ディレイライン(RSOD)に結合された第1のポートと、ダブルクラッドファイバ(DCF)78に結合された第2のポートを持つファイバカップラ76を通じて光を伝播させる広帯域光源74を含む。光はDCFを通じてサンプル80へ伝播する。コヒーレント光はコアを通じて伝送され、ファイバスプリッタ82内へ戻り結合される。参照アームにおけるこの光とディレイラインからの光との干渉パターンを、単一のディテクタ(図示されるようなもの)、チャージカップルドデバイス(CCD)アレイ、または現在公知若しくは将来発見される他の技術及び装置を用いて検出することができる。
【0042】
DCFを蛍光検出に使用する場合、蛍光はコヒーレントではないため、コヒーレント検出の手法を利用する必要はないことに注意すべきである。従来の蛍光及び反射に加えて、他のイメージングモダリティはファイバの第2のクラッドによって、2次高調波、3次高調波、2フォトン蛍光、ラマン散乱、コヒーレントアンチストークスラマン(CARS)、表面増強ラマン散乱(SERS)などを含む、微弱光の集光から利点を得られることもある。
【0043】
ダブルクラッドファイバにより提供される利点、すなわち、スペックルの減少、視野深度の向上及び信号収集効率の向上は、異なるファイバまたは導波路の設計でも得ることができることは明らかである。イメージングシステムで許容可能な解像スポットを提供する光線でサンプルが照明される如何なる構成、ファイバの大きい方の開口で行われる集光も、同様の利点を提供し得ることは明らかである。
【0044】
図6A−図6Eは、幾つかの可能なプローブデザインを示した一連の断面図である。
【0045】
ここで図6Aを参照する。プローブを、コア90、第1のクラッド層92及び第2のクラッド層94を持つダブルクラッドファイバとして提供することができる。
【0046】
次に図6Bを参照する。プローブを、コア96と複数のクラッド領域98a−98cを持つマルチクラッドファイバとして提供することができる。
【0047】
次に図6Cを参照する。図6Cは、コア100と任意のクラッド形状を有するクラッド102を持つダブルクラッドファイバを示す。この実施態様はダブルクラッドファイバとして示されるが、任意の形状を持つクラッド層を備えたマルチクラッドファイバも提供できることは明らかである。
【0048】
次に図6Dを参照する。プローブは、シングルモードファイバ104とマルチモードファイバ106を有する。
【0049】
次に図6Eを参照する。図6Eに示すように、プローブは、コア108と、照明用のシングルモードファイバ110a−110fと、コア108について配置した信号収集用のマルチモード導波路を有する。
【0050】
上記のプローブ及びファイバ構成によって提供される利点の全てに加えて、コヒーレント検出をシングルモードの照明コアか、プローブ内の他の何れかのシングルモード導波路によって行えることも理解されたい。コヒーレント検出は、深さ方向の感度を与え、微弱信号の検出を可能とするヘテロダイン検出手法の使用についても可能にする。
【0051】
本発明のほんの幾つかの実施態様を上記で詳細に説明してきた。当業者は、本発明の新規な技術及び長所から本質的に離れることなく、例示の実施態様に多くの修正を行うことが可能であることは容易に明らかとなるであろう。例えば、上記のように、照明用ファイバコアと信号収集用内側クラッドを用いることは、画像スペックルを減少させ、視野深度を向上し、信号効率を増加させる。しかし、ダブルクラッドファイバを、逆のアプローチにより使用できることも明らかである。すなわち、内側クラッドを照明光を届けるために使用し、コアを光を集光するために使用できる。広く、高い開口数(NA)の内側クラッドは、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはキセノンランプなどの光源からの空間的にインコヒーレントな照明光を効率良くカップリングすることを可能とする。このアプローチは、画像解像度のわずかな低下と引き換えに、複数の照明角度を持つことによる画像スペックルの低減を支える。信号の収集効率は、上記のコア照明、クラッド集光の手法と比較して低いものの、励起光の増加が信号を増やすことによってそのことを補償できる。
【0052】
したがって、そのような全ての修正は、請求項に定義されたような、本発明の範囲に含まれることが意図される。さらに、ここに参照された如何なる特許、出願及び公報もその全体が参照として組み込まれることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】ダブルクラッドファイバを備えたスペクトル符号化イメージングの光学システムのブロック図である。
【図1B】図1Aのダブルクラッドファイバの拡大断面図である。
【図2A】人形の顔の標準的な白色光画像の写真である。
【図2B】シングルモード照明とシングルモード集光(SM−SM)を用いたスペクトル符号化イメージングを使用して生成された、図2Aの人形の顔の画像である。
【図2C】シングルモード照明とマルチモード集光(SM−MM)を用いたスペクトル符号化イメージングを使用して生成された、図2Aの人形の顔の画像である。
【図2D】マルチモード照明とマルチモード集光(MM−MM)を用いたスペクトル符号化イメージングを使用して生成された、図2Aの人形の顔の画像である。
【図3A】レンズが散乱光を内側クラッド層の表面上へ結像するダブルクラッドファイバ(DCF)を使用した信号収集システムのブロック図である。
【図3B】内側クラッドの直径の関数としてプロットされた、正規化されたSM−MM横軸スポットサイズ(実線)と軸上スポットサイズのプロットである。
【図3C】スペックルのコントラストと正規化されたトータル信号強度のプロットである。
【図4A】レンズが散乱光を内側クラッド層の表面上へ結像するダブルクラッドファイバの使用を示す信号収集システムのブロック図である。
【図4B】レンズが散乱光をコアの表面上へ結像するダブルクラッドファイバを使用した信号収集システムのブロック図である。
【図5A】コヒーレント光の集光(コアのみを通じた光の集光)及びインコヒーレント光の集光(内側クラッドのみを通じた光の集光)の両方についてダブルクラッドファイバを利用するシステムのブロック図である。
【図6A】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6B】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6C】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6D】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【図6E】ダブルクラッドファイバを利用したプローブの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法であって、
(a)前記光ファイバの前記コアを通じて第1の伝播光を前記サンプルへ伝送するステップと、
(b)前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記少なくとも一つのクラッド領域のうちの少なくとも第1のクラッド領域に集光するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記光ファイバは複数のクラッド領域を有し、かつ前記方法は、前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの該複数のクラッド領域の二つ以上に集光するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの各クラッド領域に集光するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記コアに集光するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光ファイバは複数のクラッド領域を有し、かつ前記方法は、前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記クラッド領域の二つ以上に集光するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバの前記コアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップは、
前記ファイバの前記コアを通じて空間的にコヒーレントな光を伝送するステップと、
前記空間的にコヒーレントな光にサンプルの表面上のスポットを結ばせるステップと、
前記サンプルの表面で散乱された光を前記ファイバの内側クラッド領域に集光するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記光ファイバの前記コアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップは、
空間的にコヒーレントな光にサンプルの表面上のスポットを結ばせるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法であって、
(a)前記光ファイバの前記少なくとも一つのクラッド領域の少なくとも一つの領域を通じて光の第1の伝播モードを前記サンプルへ伝送するステップと、
(b)前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記コアに集光するステップと、
を特徴とする方法。
【請求項9】
前記光ファイバは複数のクラッド領域を有し、かつ前記方法は、前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの各クラッド領域に集光するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
所定の解像スポットを持つ光線でサンプルを照明するように光が伝播する光透過開口を持ち、光ファイバ及び光導波路の一つとして提供される光伝送路と、
前記光透過開口よりも大きな開口を持ち、前記光伝送路と分離した集光路と、
を有することを特徴とするプローブ。
【請求項11】
前記光伝送路は、ファイバコア及びファイバクラッド領域の一方に対応し、
前記光集光路は、ファイバコア及びファイバクラッド領域の他方に対応する、請求項10に記載のプローブ。
【請求項12】
前記光集光路は、ファイバコア及びファイバクラッド領域の両方で提供される、請求項11に記載のプローブ。
【請求項13】
前記プローブは、
(a)ダブルクラッドファイバと、
(b)マルチクラッドファイバと、
(c)一つのシングルモードファイバ及び一つのマルチモードファイバと、
(d)照明用シングルモードファイバ及び一つ以上の信号収集用マルチモード導波路と、
(e)照明用の複数のシングルモードファイバ及び一つ以上の信号収集用マルチモード導波路と、
の何れか一つからなる、請求項11に記載のプローブ。
【請求項14】
前記プローブは、不整形なクラッド層を持つ、請求項11に記載のプローブ。
【請求項15】
コヒーレント検出を行えるように、前記シングルモード照明コア及び前記プローブ内の前記シングルモード導波路の少なくとも何れか一つから信号を受信するように前記プローブと結合されるコヒーレント検出手段をさらに有する、請求項14に記載のプローブ。
【請求項16】
ダブルクラッドファイバを備えたスペクトル符号化イメージング光学システム(10)であって、
光源(12)と、
前記光源から伝送される光を遮るように配置されたビームスプリッタ(BS)(14)と、
ダブルクラッドファイバであって、前記ビームスプリッタで該ダブルクラッドファイバへ向けられた光を遮るように配置され、該ダブルクラッドファイバの光伝送路に沿って光が伝播することを可能にするダブルクラッドファイバ(DCF)(16)と、
前記ダブルクラッドファイバからの光を遮るように配置されたコリメータレンズ(18)と、
イメージングプローブであって、前記コリメータレンズから該イメージングプローブへ向けられた光を受光するように配置され、サンプルへ光を向ける光伝送路と、該サンプルで反射された光を受光する光集光路とを有するイメージングプローブと、
を有することを特徴とする光学システム。
【請求項17】
前記光源は広帯域光源として提供され、
前記イメージングプローブは小型イメージングプローブとして提供される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記光源は、前記光ファイバのコアまたは前記光ファイバのクラッド領域の何れか一つを通じて、空間的にコヒーレントな光の第1の伝播モードを前記サンプルへ伝送し、
前記イメージングプローブは前記空間的にコヒーレントな光にサンプルの表面上のスポットを結ばせ、
前記イメージングプローブは、ファイバのクラッド領域または該ファイバのコア領域の何れか一つで光を前記サンプルへ伝送し、かつ、
前記イメージングプローブは、ファイバのクラッド領域または該ファイバのコア領域の何れか一つで前記サンプルで反射された光を集光する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記光源は広帯域光源として提供され、
前記イメージングプローブは小型イメージングプローブとして提供される、請求項17に記載のシステム。
【請求項1】
コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法であって、
(a)前記光ファイバの前記コアを通じて第1の伝播光を前記サンプルへ伝送するステップと、
(b)前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記少なくとも一つのクラッド領域のうちの少なくとも第1のクラッド領域に集光するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記光ファイバは複数のクラッド領域を有し、かつ前記方法は、前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの該複数のクラッド領域の二つ以上に集光するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの各クラッド領域に集光するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記コアに集光するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光ファイバは複数のクラッド領域を有し、かつ前記方法は、前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記クラッド領域の二つ以上に集光するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバの前記コアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップは、
前記ファイバの前記コアを通じて空間的にコヒーレントな光を伝送するステップと、
前記空間的にコヒーレントな光にサンプルの表面上のスポットを結ばせるステップと、
前記サンプルの表面で散乱された光を前記ファイバの内側クラッド領域に集光するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記光ファイバの前記コアを通じて光の第1の伝播モードをサンプルへ伝送するステップは、
空間的にコヒーレントな光にサンプルの表面上のスポットを結ばせるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コアと少なくとも一つのクラッド領域を有する光ファイバを通じてサンプルを撮像する方法であって、
(a)前記光ファイバの前記少なくとも一つのクラッド領域の少なくとも一つの領域を通じて光の第1の伝播モードを前記サンプルへ伝送するステップと、
(b)前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの前記コアに集光するステップと、
を特徴とする方法。
【請求項9】
前記光ファイバは複数のクラッド領域を有し、かつ前記方法は、前記サンプルで散乱された光を前記光ファイバの各クラッド領域に集光するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
所定の解像スポットを持つ光線でサンプルを照明するように光が伝播する光透過開口を持ち、光ファイバ及び光導波路の一つとして提供される光伝送路と、
前記光透過開口よりも大きな開口を持ち、前記光伝送路と分離した集光路と、
を有することを特徴とするプローブ。
【請求項11】
前記光伝送路は、ファイバコア及びファイバクラッド領域の一方に対応し、
前記光集光路は、ファイバコア及びファイバクラッド領域の他方に対応する、請求項10に記載のプローブ。
【請求項12】
前記光集光路は、ファイバコア及びファイバクラッド領域の両方で提供される、請求項11に記載のプローブ。
【請求項13】
前記プローブは、
(a)ダブルクラッドファイバと、
(b)マルチクラッドファイバと、
(c)一つのシングルモードファイバ及び一つのマルチモードファイバと、
(d)照明用シングルモードファイバ及び一つ以上の信号収集用マルチモード導波路と、
(e)照明用の複数のシングルモードファイバ及び一つ以上の信号収集用マルチモード導波路と、
の何れか一つからなる、請求項11に記載のプローブ。
【請求項14】
前記プローブは、不整形なクラッド層を持つ、請求項11に記載のプローブ。
【請求項15】
コヒーレント検出を行えるように、前記シングルモード照明コア及び前記プローブ内の前記シングルモード導波路の少なくとも何れか一つから信号を受信するように前記プローブと結合されるコヒーレント検出手段をさらに有する、請求項14に記載のプローブ。
【請求項16】
ダブルクラッドファイバを備えたスペクトル符号化イメージング光学システム(10)であって、
光源(12)と、
前記光源から伝送される光を遮るように配置されたビームスプリッタ(BS)(14)と、
ダブルクラッドファイバであって、前記ビームスプリッタで該ダブルクラッドファイバへ向けられた光を遮るように配置され、該ダブルクラッドファイバの光伝送路に沿って光が伝播することを可能にするダブルクラッドファイバ(DCF)(16)と、
前記ダブルクラッドファイバからの光を遮るように配置されたコリメータレンズ(18)と、
イメージングプローブであって、前記コリメータレンズから該イメージングプローブへ向けられた光を受光するように配置され、サンプルへ光を向ける光伝送路と、該サンプルで反射された光を受光する光集光路とを有するイメージングプローブと、
を有することを特徴とする光学システム。
【請求項17】
前記光源は広帯域光源として提供され、
前記イメージングプローブは小型イメージングプローブとして提供される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記光源は、前記光ファイバのコアまたは前記光ファイバのクラッド領域の何れか一つを通じて、空間的にコヒーレントな光の第1の伝播モードを前記サンプルへ伝送し、
前記イメージングプローブは前記空間的にコヒーレントな光にサンプルの表面上のスポットを結ばせ、
前記イメージングプローブは、ファイバのクラッド領域または該ファイバのコア領域の何れか一つで光を前記サンプルへ伝送し、かつ、
前記イメージングプローブは、ファイバのクラッド領域または該ファイバのコア領域の何れか一つで前記サンプルで反射された光を集光する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記光源は広帯域光源として提供され、
前記イメージングプローブは小型イメージングプローブとして提供される、請求項17に記載のシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【公表番号】特表2008−506426(P2008−506426A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520418(P2007−520418)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023664
【国際公開番号】WO2006/014392
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023664
【国際公開番号】WO2006/014392
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]