説明

チオアリール置換された亜鉛プロテアーゼのインヒビターおよびその使用

亜鉛メタロプロテイナーゼのインヒビターとして、治療において有用な下記一般式(I)で示される化合物を有する化合物およびその医薬的に許容しうる塩を記載する。式中、E、X、m、q、R1、R2、nおよびZBGは、発明の詳細な説明に記載の意味を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸潤性の高い転移性の腫瘍において、ならびに炎症性または免疫性ベースにおける変性過程において、高発現される亜鉛プロテイナーゼの活性を阻害、調節および/または調整するように設計された画期的な治療薬として合成された化合物に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、高い作用選択性で、性質の異なる変性組織において高発現される、細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)のいくつかのイソ型、およびADAMs(ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ)およびADAMTs(トロンボスポンジンI型リピートを含むディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ)などのアダマリシン(Adamalysin)のいくつかのイソ型のみを阻害することができる、アリールスルフィド、アリールスルホキシドおよびアリールスルホンなどのチオアリール置換された亜鉛プロテイナーゼインヒビター(プロテアーゼインヒビターとも呼ばれる)に関する。
【0003】
本発明はまた、治療有効量の本発明のインヒビターを含む医薬組成物ならびにMMPsおよび/またはADAMsおよび/またはADAMTsの活性に関連する状態、特に病的状態を予防、治療または発見することができる医薬の製造のためのそのようなインヒビターの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
細胞外マトリックス(ECM)は、突起を有する細胞が、物理的、化学的および電気的連結をもつ複合三次元ネットワークとしてその中に構築される重要な形態上の構造を表す。このネットワークにおいて、細胞は、組織の形成、維持および修復において、細胞間および細胞内シグナル伝達において、ならびに細胞接着において、重要な役割を果たすプロテアーゼを産生する。
【0005】
たとえば、神経、心臓、血管、骨関節、肺、肝臓、腎臓組織、皮膚、粘膜および腺組織における変性腫瘍組織、炎症組織などの特定の病的状態において、ネットワークのコントロールの正常なメカニズムが失われるとき、種々のファミリーに属する亜鉛プロテアーゼの幾つかの高発現が観察されることが多い。それらの中で、MMPs、ADAMsおよびADAMTsが、重要な役割を果たす。
【0006】
病的状態において、正常な組織の修復は、遺伝子発現および/またはタンパク質活性化という、MMPs、ADAMsおよびADAMTsの発現を調節する2つの重要なメカニズムのコントロール下にある。これらの亜鉛メタロプロテイナーゼのタンパク質分解活性は、数種類の天然のインヒビター、主として、MMPsおよびまたADAMsおよびADAMTsの活性の調節において重要な役割を発揮するTIMPs(メタロプロテイナーゼの組織インヒビター)によって、組織レベルで調節される。
【0007】
ECMにおけるこれらの亜鉛メタロプロテイナーゼの1つの組織レベルを調節することができるコントロールのメカニズムの喪失は、異なるタイプの細胞の存在および無制限増殖によっても特徴付けられる、正常な組織形態学の変化を超えた、重篤な変性過程の発生が原因であることが多い。結果として生じる変化は、その正常な特徴を完全に喪失し、非生理的な方法において発展する組織をもたらす。
【0008】
該変化は、侵攻性の高い腫瘍および急性慢性の炎症性または免疫学的病変の両方において特有のものである。したがって、高レベルのこれらの亜鉛メタロプロテイナーゼは、急速に増殖する腫瘍組織および転移ガン、ならびに中枢および末梢神経系、心臓血管、胃腸、筋骨格、呼吸器、視覚系、皮膚および粘膜のいくつかの病変の両方において、観察される。いくつかの亜鉛メタロプロテイナーゼのタンパク質分解活性のコントロールの喪失に関連する特定の病理学的役割を実証されている疾患として、たとえば、単に腫瘍性の血管形成ではなく転移性の高い腫瘍、発作および低酸素症および心臓虚血に関連する様々な程度の重篤性をもつ発作、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、冠動脈血栓症、拡張型心筋症、大動脈瘤、耳硬化症、タンパク尿症、多発性硬化症、関節リウマチ、骨関節炎、敗血症性関節炎、褥瘡性潰瘍、肺線維症、肺気腫、歯周病ならびにいくつかの感染性疾患などが挙げられる。
【0009】
ECMに存在する亜鉛メタロプロテイナーゼのいくつかは、排卵、産褥子宮退縮、ベータアミロイド前駆体のレベルにおけるアミロイド斑の破壊およびアルファ1プロテアーゼインヒビター(アルファ1-PI)の不活化 などの他の生物過程にも関与する。したがって、このような亜鉛メタロプロテイナーゼの阻害は、受精能のコントロールのメカニズムならびに肺気腫および肺、炎症性および加齢関連疾患などの病的状態の予防のために、アルファ1-PIのレベルを増加させることができるメカニズムを表す。
【0010】
20年間もの長い間、腫瘍をブロックするために、細胞増殖抑制的治療方策においてMMPsのインヒビターを使用することが可能であると考えられている。そこから、MMPsインヒビターの2世代が、治験まで到達したが、ごく最近になって、いくつかのMMPsのインヒビターが、治療において実際にもちいることができるという可能性がと予測されている[Abbenante Medicinal Chemistry、2005、Vol.1、No.1、72]。
【0011】
たとえば、IlonastatまたはBatimastなどの第1世代のインヒビターは、極めて有効であったが、完全に非選択的な MMPsのペプチド模倣インヒビターであった。
【0012】
そのようなものとして、それらは、経口投与を介して生体適用性ではなかったので、不適当に終わった。異なるMMPsに対して適度に選択的である分子をもつインヒビターの次の世代が開発された;これらのインヒビターのいくつかは、侵攻性の高いガンの治療のための臨床試験において第3相に到達した。それにもかかわらず、いくつかの研究において広範に報告されているように、両方のクラスでなされるおびただしい努力に代わって、ガンの療法におけるMMPsインヒビターの適用における治験は、落胆する結果に終わった [Zucker、S.Oncogene、2000、19、6642;Coussens LM、Science、2003、295、2387;Overall CM、et al Nat Rev Cancer、2002、2、657;Fingleton B、Exp Opin Ther Target、2003、7、385]。
【0013】
最近は、この薬理学的クラスに属する2つの分子のみが、開発下にある:MMP1/MMP2のインヒビターとして歯周病の治療のために提案された周知のテトラサイクリンであるドキシサイクリンおよびペリオスタット;および骨関節炎においてMMP8のインヒビターとして提案された周知の薬物である硫酸グルコサミン。
【0014】
この医薬的クラスの薬物が、今日まで成功していない理由の1つは、異なるMMPsに対する選択性の低さである。
【0015】
現在では、実際には、24種類の異なるMMPsが同定されている。それにもかかわらず、ごく最近になって、ゲノミクス、プロテオミクスおよび薬理ゲノミクスの高度な技術を用いることによって、それらの単一の機能および生理的および病理的役割にしたがって、異なるMMPsを分類することが可能になっており、異なるタイプの病変における、治療ターゲットまたはアンチターゲットとしてそれらが再分類されている。同じ根拠で、過去の臨床試験から得られた結果のいくつかをじっくりと再分析することが可能になっている。ターゲットまたはアンチターゲットとしての種々のMMPsの再分類は、インヒビターの第3世代を想像できるようにすることによって、治験の分野を再び開いている。これまでに獲得した知識に基づいて、MMP2などの細胞外マトリックスの変性病変に対する信頼できるターゲットとなるMMPsに対して実際に選択性が高い薬物を設計することが実際に可能であるようにみえる。さらに詳しくは、ターゲットとしてMMP2を用い、高侵攻性腫瘍の細胞モデルにおいて顕著な抗浸潤および抗血管形成特性を示す、高いMMP1/MMP2選択比をもつ新規な有効なインヒビターを設計し、合成することが今日可能である。これらに基づいて、我々は、今日、MMPiターゲット療法と呼ぶことができる。
【0016】
ADAMsおよびADAMTsもまた、画期的薬物の開発のために、ECMレベルにおいて重要な細胞ターゲットとなる。これらの酵素は、非常に大きなファミリーを構成する:少なくとも40種類のADAMsが、特徴決定されており(そのうち20種類がホモサピエンスのものである)、10種類近くのADAMTsが、ヒトから単離され、配列決定されている。複数の生理的役割を有するこれらのアダマリシンは、組織における多くの細胞機能の調節に寄与する。より周知のMMPsに厳密に相関するこれらの酵素は、亜鉛メタロプロテイナーゼ自体であり、ほとんど常に、ECMに曝露される膜の表面に固定され、大部分のタンパク質分解作用をECM内で行う。
【0017】
それらの主な機能として、膜タンパク質、成長因子、サイトカインの放出および排出、受容体の活性化ならびに細胞接着過程の調節が挙げられる。それらは、ごく最近になって単離されているので、多くのそれらの作用はまだ不明である。それにもかかわらず、それらの機能的および構造的特徴ゆえに、それらは、MMPsと相関し、そのうちのいくつかは、TIMPsと呼ばれる、MMPsのタンパク質分解作用を調節する同じ組織インヒビターによって阻害される。これらのアダマリシンのいくつかの高発現は、重篤な病状の発達に関係がある。最もよく知られている例は、通常、アルファ−TNFおよび種々のサイトカインの受容体を活性化し、また、高発現してTNFの増加をもたらし、関節リウマチ、免疫疾患、多発性硬化症およびガンなどの種々の病状を引き起こす、ADAM17(腫瘍壊死因子アルファコンバターゼ)である。
【0018】
この場合もまた、たとえば、ガン、関節リウマチ、発作、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、心筋発作および他の心臓血管疾患などの疾患の治療にとって可能性のある薬物であることが求められる強力で、特に選択性のあるインヒビターを設計するために、単一のアダマリシンの構造的特徴および生物学的特性における、より最近に得られた知識を活用することが必要である。
【0019】
したがって、これまでに説明した治療に基づくMMPiターゲットの治療的アプローチをアダマリシンにも広げ、したがって、特定の病状に対して非選択的であったMMPsインヒビターの使用によって知られている問題および不利点を回避するための努力が投入されている。
【0020】
現在のところ、数種類の合成MMPsインヒビターが、当業界で知られている[たとえば、Skiles J W Curr.Med.Chem.2005、11、2911;Maskos、K Biochim.2005、87、249;Fisher、J Fら、Cancer Metastasis Rev。2006、25、115などを参照]。また、これらのインヒビターのいくつかは、研究され、ADAMs[たとえば、Levin J I Curr.Top.Med.Chem.2004、4、1289;Skiles J W Curr.Med.Chem.2005、11、2911などを参照]およびADAMTs[たとえば、Yao、Wら、J.Med.Chem.2001、44、3347;WO01/87870; WO00/69839;Gavin、J.C.Curr.Pharm.Biotechn.2006、7、25などを参照]を阻害するように変更されている。さらに、亜鉛メタロプロテイナーゼインヒビターに関する広範な特許文献が存在する。
【0021】
最も研究され、記載されたインヒビターは、通例、種々のクラスで共有される一般的構造的特徴(ターゲットタンパク質の骨格との水素結合およびS1、S1'、S2'およびいくつかの場合S3'における基質の認識のための近くのポケットとの疎水性の相互作用を付与することができる、触媒的亜鉛原子に対するキレート基(ZBGs 亜鉛結合基)の存在)を示す。
【0022】
今までのところ、数多くのタイプのZBGsが研究されているが、最も広範に知られているものは、亜鉛との2つの配位結合を付与し、他のキレート基と比べて非常に強力なインヒビターをもたらすヒドロキサム基である[たとえば、WO 95/2982、WO 97/24117、WO 97/49679、EP 0780386、WO 90/05719、WO 93/20047、WO 06074、WO 00/46221、WO 00/44709、WO 99/25687、WO 00/50396、WO 00/69821、WO 04/071384、WO 99/41246、US 6750228、US 2004/0127524、WO 2004/052840、WO 01/02369、WO 2004/000811、US 2003/0073845、およびFisher、J Fら、Cancer Metastasis Rev.2006、25、115などを参照]。たとえば、カルボキシレート、ホスホネート、チオールなどの他のキレート基[たとえば、EP 1331224;EP 107736;WO 95/12389;WO 96/11209;US 6500811;Fisher、J Fら、Cancer Metastasis Rev.2006、25、115;Breuer、Eら、Export Opin.Ther.Patents、2005、253などを参照]および多くの他のもの[たとえば、Puerta、D Tら、J.Am Chem.Soc、2004、126、8388などを参照]が、報告されている。
【0023】
これら亜鉛メタロプロテイナーゼの医薬組成物の研究におけるごく最近の研究は、メカニズムベースインヒビターの開発およびアロステリックインヒビターの開発に関する[たとえば、Kruger、A.ら、Cancer Res.2005、65、3523;US 2003/0129672およびUS 2005/0004177などを参照]。
【0024】
MMPs阻害活性を有するスルホニル誘導体は、WO 00/69819およびWO 98/38859にも開示されている。そこで例示された化合物のうち、いくつかは、直接または任意に置換されたメチレン基を介してのいずれかで、フェニレン部分に連結したカルボキシレートまたはヒドロキサム基を架橋するフェニル−スルホニル−フェニル系の存在によって特徴付けられる。
【0025】
今日、ECMの決定された変性病状において特異的に産生される亜鉛メタロプロテイナーゼを阻害する能力がある薬物を開発するために、対象の病状に関与するそれらの特異的メタロプロテイナーゼに対して非常に特異的な様式で標的化される選択性の高いインヒビターを得ることが必要であることが明確になっている。たとえば、前に指摘したように、抗ガン療法のために設計される可能性のあるインヒビターの場合、その阻害が、膝蓋骨において繊維増殖性効果をともなう筋骨格症候群を引き起こすことが知られているMMP-1[たとえば、Hutchinson、J.Wら、 Bone Joint Surgery 1998、80、907;18;Holmbeck、K.ら、Cell 1999、99、81;Steward、W.P.Cancer Chemother.Pharmacol.1999、43、S56などを参照]に対して、およびこの種の療法に対するアンチターゲットとして最近確認されているMMP-3、MMP-8およびMMP-9[たとえば、などを参照Overall CMら、Nature Rew Cancer、2006、6、227]に対して、低い阻害特性をもつと同時に、MMP-2およびMMP-13に向かう高レベルの作用選択性を得るのが好ましい。
【0026】
一方、変性非腫瘍病状において用いられる亜鉛メタロプロテイナーゼインヒビターの分野においては、MMP2、MMP8、MMP9、MMP13およびMMP14[たとえば、Ishikawa、Tら、Br.J.Pharm.2005、144、133;Martel-Pelletier、Jら、Best Pract.& Res.Clin.Rheum.、2001、805-829などを参照]に対して、およびTACE(ADAM17)およびADAMTs-4(アグリカナーゼ-1)としてのアダマリシン[たとえば、US 2004/0110805;US 5770624;WO 00/44709;US 2004/0110805;US 6500811;Martel-Pelletier、Jら、Best Pract.& Res.Clin.Rheum.、2001、805-829などを参照]に対して、高レベルの選択性を得た方がよい。
【0027】
さらに、ヒドロキサム基(ZBG)を、毒性の低い、代謝においてより安定な、より生物学的に利用可能な、そして経口投与において吸収性のよい、異なるクラスターと置き換えるのが好ましい[たとえば、Fisher、J Fら、Cancer Metastasis Rev.2006、25、115;Breuer、Eら、Exp.Opin.Ther.Patents 2005、15、253;US 2005/6953788などを参照]。最後に、近年、たとえば、MMP2、MMP8、MMP9、MMP13、MMP14、TACEおよびADAMTs1およびADAMTs4などの亜鉛メタロプロテイナーゼの機能亢進による特異性の高い変性組織を発見することができるPET(ポジトロン放出断層撮影法)、SPECT(単一光子放出型断層撮影法)、MRI(磁気共鳴映像法)、OI(光学的映像法)およびRxなどの非侵襲性技術のための適当な診断機器を開発する必要性が強調されている。[たとえば、Schafers、M.ら、Basic Science Rep.2004、11、2554;Zheng、Qi-Hら、Nucl.Med.Biol.2002、29、761;Fei、Xら、Bioorg.& Med.Chem.Lett.2003、13、2217;Zheng、Qi-Hら、Nucl.Med.Biol.2003、30、753;Kopta、Kら、Nucl.Med.Biol.2004、31、257;Li、W Pら、Q.J Nucl.Med.2003、47、201;Haumber、R Curr.Pharm.Des.2004、10、1439;WO 2005/049005などを参照]。
【発明の概要】
【0028】
正常な組織形態学の破壊、およびECMにおける制御の生理的メカニズムの喪失により引き起こされる異なる性質の細胞の存在および無制御の増殖を特徴とする病的状態の予防、治療および/または診断における亜鉛メタロプロテイナーゼのインヒビターの関連性を仮定すれば、そしてまた、既知の亜鉛メタロプロテイナーゼインヒビターにおける臨床試験において獲得された知識を考慮すると、種々の病状において特異的に高発現されるいくつかのプロテアーゼに対して高い選択性および有効性をもって作用することができる分子の新規なクラスを得ることが非常に重要である。
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
MMP1に向かう阻害活性、および病状によってはMMP14に向かう阻害活性もできるだけ欠如している、特に、MMP2、MMP13もしくはMMP16のための、またはMMP2およびMMP14(MMP)のための、またはTACE(ADAMs)のための、または再度ADAMTs1およびADAMTs4(ADAMTs)のための選択性が高く強力なインヒビターを得ることが非常に重要である。
【0030】
同時に、当業界で既知のインヒビターを超える、毒性の低い、代謝においてより安定な、より生物学的に利用可能な、そして経口投与において吸収性のよい、インヒビターを得るのが非常に望ましい。
これらおよびその他の目的は、本発明のチオアリール置換亜鉛プロテイナーゼインヒビターによって達成されている。
【0031】
該化合物は、実際に、種々の変性疾患において高発現される、特定のMMPs(MMP2、MMP9、MMP13、MMP14またはMMP16など)および/またはADAMs(TACEなど)および/またはADAMTs(ADAMTs1またはADAMTs4など)の活性化を阻害することができる。
【0032】
本発明化合物は、チオアリールエーテル型の構造を共有する。スルフィド、スルホキシドまたはスルホン(それぞれ、-S-、-SO-または-SO2-)としてイオウ原子の酸化状態;亜鉛キレート基(ZBG)の性質ならびにP1、P1'およびP2'においてそれに結合する基の性質などの化合物自体の構造的特徴によれば、この種類の構造は、種々の亜鉛プロテアーゼにわたって阻害作用の選択性を調節することを可能にする。
【0033】
一般に、本発明化合物は、MMP1、MMP3、MMP8およびMMP14などのいくつかのMMPsに向かっては不活性またはほとんど活性がなく、したがって、これらの酵素がアンチターゲットとして定義されているいくつかの腫瘍病状に関連する治療上のリスクの減少を有利に提供する[たとえば、Overall CMら、Brit J of Cancer、2006、1;およびOverall CMら、Nature Rew Cancer、2006、6、227を参照]。
【0034】
さらに、それらの著しい作用選択性の結果として、本発明化合物は、当業界で既知の亜鉛プロテイナーゼのインヒビターよりも細胞毒性が低い。
【0035】
以下に記載するように、したがって、本発明化合物は、予防、治療および美容上の目的に使用することができ、また、医薬および獣医の両方の分野において、診断および治療的作用剤の両方の可能な担体として使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
(発明の詳細な記載)
したがって、本発明の第1の目的は、式(I):

[式中、
qは、0、1または2である;
nは、0または1である;
ZBGは、触媒亜鉛原子に対するキレート部分であり、下記から選ばれる:
ヒドロキサメート -CONHOH;
カルボキシレート -COOH;
カルボキサミド -CONHR4、-CON(R4)2または-CONR6R7
ホスホネート -P(=O)(R4)OH;
スルホンイミド -CONHSO2(R'4);
スルホンアミド -SO2NHR4
チオール -SH;
または式:

で示される基;
R4は存在毎に独立して、水素、ヒドロキシル、直鎖または分枝鎖のC1-C10アルキルまたはフルオロアルキル、任意に置換されるアリールまたはN、NH、OまたはSから選ばれる1〜2個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する5〜6員のヘテロアリールから選ばれる;またはR4は、-(CHR)p-COOH、-(CHR)p-CO-NHR'、-(CHR)p-NH2、-(CHR)p-NH-COR'、-(CHR)p-CH2-OHまたは-(CH2)p-CHR-OHから選ばれる基である;
pは、1〜8の整数である;
R'は、直鎖または分枝鎖のC1-C6アルキルであるか、または前記と同意義の任意に置換されるアリールまたはヘテロアリール基である;
Rは、水素、ヒドロキシル,-ONO2,-NR6R7,-COOH,-CONHR'',-NHCOR'',C1-C6アルコキシから選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されるC1-C10の飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖のいずれかの炭素原子鎖または前記と同意義の任意に置換されるアリールまたはヘテロアリール基から選ばれる;
R6およびR7はそれぞれ独立して、水素、前記と同意義のアリールまたはヘテロアリール基で任意に置換されるか、または-CO-アルキル,-CO-アリール,-CO-ヘテロアリール,-CONH-アルキル,-CONH-アルキル-ONO2,-CONH-アシル,-CONH-アシル-ONO2,-CONH-アリール,-CONH-ヘテロアリール,-SO2-アルキル,-SO2NH2,-SO2NH-アルキル,-SO2NH-アリール,-SO2NH-ヘテロアリールから選ばれる基で任意に置換されるC1-C6の飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖のいずれかの炭素原子鎖から選ばれる基から選ばれる;
または、それらが連結する窒素原子と一緒になって、R6およびR7は、N、NH、OまたはSから選ばれるさらなるヘテロ原子またはヘテロ原子基を任意に含み、任意に置換および/またはベンゾ縮合される5〜6員の複素環式環を形成する;
R''は、直鎖または分枝鎖のC1-C6アルキル、アルキル-O-NO2 またはアシル基から選ばれるか、または任意に置換されるアリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アシルアリールまたはアシルヘテロアリール基である;
R'4は存在毎に独立して、水素以外はR4の意義から選ばれる;
R1およびR2はそれぞれ独立して、Rの意義から選ばれるか、またはそれらが連結する炭素原子と一緒になって、R1およびR2は、N、NH、N-COR''、OまたはSから選ばれる1〜2個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する、任意に置換される3〜6員の炭素環式または複素環式環を形成する;
mは、0または1である;
Xは、酸素(-O-)またはイオウ(-S-)原子であるか、または-S-S-(ジスルフィド)、-SO-(スルホキシド)、-SO2-(スルホン)、-NH-(アミノ)、-NH-アシル-、炭化水素鎖に1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、-O-アルキレン、-O-アルケニレンまたは-O-アルキニレンから選ばれる二価の基である;
Eは、炭化水素鎖に1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基であるか、またはN、NH、OまたはSから選ばれる1〜2個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する、任意に置換および/またはベンゾ縮合される、脂環式または芳香族のいずれかの、5〜6員の炭素環式また1または2は複素環式環である;
ただし、qが2である場合、ZBGはヒドロキサメート[-CONHOH]またはカルボキシレート[-COOH]以外である]
で示される化合物およびその医薬的に許容しうる塩である。
【0037】
式(I)で示される化合物は、1つ以上の不斉炭素原子(キラル炭素原子ともいう)を有してもよく、したがって、単一のエナンチオマー、ラセミ化合物、ジアステレオ異性体およびそのいずれかの混合物の形態で存在することができ、すべてが本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0038】
本明細書において、他に特記しない限り、式(I)で示される化合物において、パラメーターqは、それぞれスルフィド、スルホキシドまたはスルホンを生じさせるように、0、1または2に対応する。
【0039】
パラメーターnに関する限りは、ZBGで定義される基が、直接(n=0)または任意に置換されるメチレン-C(R1)(R2)-基を介して(n=1)、フェニレン環に連結する式(I)で示される化合物を生じさせるように、0または1に対応することができる。
【0040】
実質的に類似の考慮が、パラメーターMに適用される;式(I)において、実際に、Eは、直接(m=0)またはXを介して(m=1)、フェニレン環に連結することができる。
【0041】
本明細書において、他に特記しない限り、ZBG基は、先に報告されたものとして定義され、上記の5または6員の複素環のいずれかの意義をもつ。すでに述べたように、該複素環式基は、直接または任意に置換されるメチレン-C(R1)(R2)-基を介するかのいずれかで、分子の残りの部分に連結することができる。
【0042】
さらなる言及として、ZBGがカルボキサミド基-CON(R4)2を表す場合、同じR4基は独立して、互いから選ばれ、したがって、前記R4と同意義のいずれかである。
【0043】
他に特記しない限り、R4の意義において、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシルなどの1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基が含まれる。
【0044】
これらのうち、直鎖または分枝鎖のC1-C4アルキル基が特に好ましく、メチルおよびエチルがより好ましい。
【0045】
用語フルオロアルキル鎖は、他に特記しない限り、フッ素化またはペルフッ素化アルキル基を生じさせるように、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置き換えられる上記C1-C10アルキル基のいずれかを意味することを意図する。これらのうち、直鎖または分枝鎖のC1-C4のペルフッ素化アルキル基が特に好ましく、トリフルオロメチルがより好ましい。
【0046】
用語アリールまたはヘテロアリール基は、他に特記しない限り、いずれかの従来既知の炭素環式または複素環式(5または6員)の芳香族炭化水素を意味することを意図する。
【0047】
したがって、本発明のアリールまたはヘテロアリール基の典型例は、フェニルおよびフラン、チオフェン、1H-ピロール、1H-イミダゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジンなどの芳香族複素環を含む。
【0048】
アリールまたはヘテロアリール基のうち、フェニル、ピリジルおよびチエニルが特に好ましい。
【0049】
上述したように、該アリールまたはヘテロアリール基は、1つ以上の置換基(以降、R5基という)で任意に置換されてよい。
【0050】
したがって、フェニル基は、オルト、メタおよび/またはパラ位でモノ、ジまたはトリ置換されてよい。同様の考慮がヘテロアリール基に適用され、それらの自由な位置のいずれかにおいて1つ以上のR5置換基で置換されてよい。
【0051】
したがって、該アリールまたはヘテロアリール基にとって適当な置換基として、たとえば、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2OH、-CH2ONO2、-(CH2)rCO2H、-(CH2)rCONH-アルキル、-(CH2)rCONH-アリール、-(CH2)rCONH-ヘテロアリール、-(CH2)rNH2、-(CH2)rNHCO-アルキル、-(CH2)rNHCO-アリール、-(CH2)rNHCO-ヘテロアリール、-(CH2)rCH2OH(r=1-8)、-CF3、-NO2、OH、F、Cl、Br、I、-OCH3、-OCH(CH3)2、-O(CH2)rCOOH、-O(CH2)rNH2、-O(CH2)rCH2OH(r=1-8)、-SOsCH3、-SOsCH(CH3)2、-SOs(CH2)rCOOH、-SOs(CH2)rNH2、-SOs(CH2)rCH2OH(r=1-8およびs=0-2)、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-NH-アルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NHCO-アルキル、-NHSO2-アルキル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリールなどが挙げられる。
【0052】
したがって、上記アリールまたはヘテロアリール基の特に好ましい置換基として、C1-C4アルコキシ、アルキルチオおよびアルキルスルホニル基が挙げられる。
【0053】
これらのうち、メトキシ、メチルチオおよびメチルスルホニルがより好ましい。
【0054】
R'の意義に関する限り、それは、前記と同意義のアルキル基または任意に置換されるアリールまたはヘテロアリール基を表す。
【0055】
他に特記しない限り、式(I)におけるRの意義において、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和のいずれかのC1-C10炭化水素鎖が含まれる。
【0056】
明らかに、飽和鎖は、上記C1-C10アルキル基に対応することが分かっているので、いずれかの不飽和鎖は、たとえば、ビニル、アリル、プロピニル、ブテニル、ブチニル、ヘキセニルなどのC2-C10アルケニルまたはアルキニル基のいずれかを含む。
【0057】
さらに、該飽和または不飽和のC1-C10炭化水素鎖は、前記Rと同意義で任意に置換されてもよい。
【0058】
式(I)におけるR6およびR7に関する限り、アルキル、アリールまたはヘテロアリールの意義についての前記説明が同様に適用される。
【0059】
用語アシルについては、他に特記しない限り、Alk(CO)-基(ここで、Alk残基は、いずれかの直鎖または分枝鎖のC1-C6アルキル基を表す)として従来確認しうる基のいずれかを意図する。
【0060】
したがって、アシル基の適当な例として、アセチル(CH3CO-)、プロピオニル(CH3CH2CO-)、ブチリル[CH3(CH2)2CO-]、イソブチリル[(CH3)2CHCO-]、バレリル[CH3(CH2)3CO-]などが挙げられる。
【0061】
上記に加えて、R6およびR7は、それらが連結する窒素原子とともに5〜6員の複素環式環を形成してもよい。
【0062】
さらに、該複素環は、ベンゾ縮合および/またはたとえば、C1-C4アルキルまたはアルコキシ基またはオキソ基(たとえば、カルボニル基)などの1つ以上の基で置換されてもよい。
【0063】
したがって、該-NR6R7複素環の適当な例は、以下を含む:

【0064】
式(I)におけるR”の意義に関して、アルキル、アシル、アリールまたはヘテロアリール基に関する前述の定義が当てはまる。
【0065】
上記から、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルなどのいずれかの合成物名も、当業者にとって明確である。
【0066】
単なる例として、他に特記しない限り、用語アルキルアリールに関して、アルキルでさらに置換されるアリール基が意図される;用語アリールアルキルに関しては、アリールでさらに置換されるアルキル基が意図される。
【0067】
式(I)におけるR'4の意義に関して、水素以外は、R4のために挙げた基のいずれかを意味する。
【0068】
R1およびR2の意義に関する限り、それらは、Rのために挙げた基のいずれかに対応するか、または、それらは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素環式または複素環式環を形成してもよい。
【0069】
該環が、たとえば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリン、ヘキサヒドロピリミジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、“tiano”、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピランなどのC3-C6シクロアルキルまたはC4-C6複素環式脂肪族環から選ばれるのが好ましい。
【0070】
該炭素環式または複素環式環は、たとえば、C1-C6の飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖のいずれかの炭化水素鎖、またはアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-COOH、-COO-アルキル、-COO-アリール、-COO-heteroアルキル、-COO-アルキルアリール、-COO-アルキルヘテロアリール、-CO-アルキル、-CO-アリール、-CO-ヘテロアリール、-CONH-アルキル、-CONH-アルキル-ONO2、-CONH-アシル、-CONH-アシル-ONO2、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2NH-アリールまたは-SO2NH-ヘテロアリール基から選ばれる基などの1つ以上の置換基(以降、簡単にR8基という)で任意に置換されてもよい。
【0071】
該(>CR1R2)環の好ましい例として、以下が挙げられる:

【0072】
式(I)におけるXの意義に関して、もし存在するならば(m=1)、Eをフェニレン環と連結する二価の基を表すことは、当業者にとって明確である。
【0073】
本明細書におけるXの意義として、たとえば、-CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH=CH-、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH-、-CH2-CH2-C=C-、-CH2-C=C-CH2-、-O-CH2-、-O-CH2-CH2-CH2-などのC1-C6アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、-O-アルキレン、-O-アルケニレンおよび-O-アルキニレン鎖も挙げられる。
【0074】
式(I)におけるEの意義に関して、それは、前記と同意義のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基のいずれかを表してもよく、または、それは、前述の脂肪族または芳香族の炭素環式または複素環式のいずれかの5〜6員環を表す。
【0075】
また、該環は、自由な位置のいずれかにおいて、1つ以上の置換基(以降、簡単にR3基という)によってさらに置換されてもよい。
【0076】
したがって、該R3置換基の適当な例として、が挙げられる。
直鎖または分枝鎖のC1-C8アルキル(カルボン酸、アミノ酸またはオキシドリル酸(oxydrilic)基で任意に置換される)、オキシドリル(oxydril)、C1-C7アルコキシ(カルボン酸、アミノ酸またはオキシドリル酸基で任意に置換される)、フェノキシ、トリフルオロメチル(-CF3)、ニトロ、(-NO2)、F、Cl、Br、I、-NH2、-NH-アルキル、-NH-アシル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NHCONH2、-NHSO2-アルキル、-NH-SO2-アリール、-NH-SO2-ヘテロアリール、-S-アルキル、-SO-アルキル、-SO2-アルキル(ここで、アルキル部分は、カルボン酸、アミノ酸またはオキシドリル酸基、または、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、任意に置換されるフェニル、ピリジル、チエニル、モルホリル、ピペリジニルまたはピペラジニルで任意に置換されてもよい)。
【0077】
前述のすべてから、したがって、-(X)m-E系の好ましい例として、メトキシまたはメチルチオなどのアルコキシまたはアルキルチオ基;2-ブチニルオキシなどのアルキニルオキシ基;フェニル、ピリジルまたはチエニルなどの芳香族の炭素環式または5または6員複素環式;メトキシフェニルまたはメチルチオフェニルなどの置換芳香環;フェノキシまたはメトキシフェノキシなどの任意に置換されるアリールオキシ基が挙げられる。
【0078】
前述のように、本発明化合物は、それ自体または無機もしくは有機酸または塩基で得られる塩誘導体として用いることができる。特定の化合物に基づいて、得られる塩は、様々な温度および湿度における医薬的安定性の増大または水性もしくは油性媒体における溶解度の改良などの1つ以上の物理的特性による利点を提供する。いくつかの場合では、化合物の塩を、化合物の単離、精製および/または分割中に用いてもよい。もし、塩が患者に投与される予定になっているならば(または塩がインビトロまたはインビボアッセイに用いられる予定になっているならば)、好ましくは、許容しうる医薬的形態でなければならない。医薬的に許容しうる塩は、アルカリ金属との塩および遊離酸または塩基との塩を含む。一般に、これらの塩は、本発明化合物と適当な酸または塩基とを反応させることによる慣例の方法で製造することができる。本発明化合物の医薬的に許容しうる塩は、無機または有機酸から製造することができる。塩の製造に使用可能な無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸である。使用可能な有機酸は、たとえば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸などである。
【0079】
本発明化合物の塩を形成するための医薬的に許容しうる塩基は、無機または有機であってよい。好ましい金属塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属との塩または生理的に許容しうる他の塩である。塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛と形成されてもよい。好ましい有機塩は、第三級アミンおよび第四級アンモニウム塩から製造することができる。
【0080】
好ましい本発明化合物は、qが0、1または2である;nが0または1である;存在するならば、R1およびR2の両方が水素原子であるか、またはそれらの一方が水素であり、他方が任意に置換される直鎖または分枝鎖のC1-C4アルキルまたはアルケニル基から選ばれるか、またはそれらが連結する炭素原子と一緒になって、R1およびR2が、任意に置換される炭素環式または複素環式の4〜6員環を形成する;ZBGが、-CONHOH、-COOH、-CONHR4、-CONR6R7、-CONHSO2(R'4)、-SO2NHR4、-SH、-P(=O)(R4)(OH)(ここで、R4、R'4、R6およびR7は、前記と同意義である)から選ばれる基である;またはZBGが以下の基:

である;
mが0または1である;Xが、存在するときはいつも、-O-、-S-または-O-アルキレンである;およびEが、C1-C6アルキル、アルケニルまたはアルキニル基のいずれかであるか、または前述の任意に置換および/またはベンゾ縮合される5〜6員の環である、式(I)で示される化合物の誘導体である。
【0081】
したがって、第1の本発明の好ましい態様は、q、nおよびmがすべて0であり、EおよびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0082】
さらなる本発明の好ましい態様は、qおよびnが0であり、mが1であり、X、EおよびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0083】
さらなる本発明の好ましい態様は、qが0であり、nが1であり、mが0であり、E、R1、R2およびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0084】
さらなる本発明の好ましい態様は、qが0であり、nおよびmの両方が1であり、X、E、R1、R2およびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0085】
したがって、さらなる本発明の好ましい態様は、qが1であり、nおよびmの両方が0でありEおよびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0086】
さらなる本発明の好ましい態様は、nが0であり、mが1であり、X、EおよびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表されるqが1であり、。
【0087】
さらなる本発明の好ましい態様は、qが1であり、nが1であり、mが0であり、E、R1、R2およびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0088】
さらなる本発明の好ましい態様は、q、nおよびmがすべて1であり、X、E、R1、R2およびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0089】
したがって、さらなる本発明の好ましい態様は、qが2であり、nおよびmの両方が0であり、EおよびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0090】
さらなる本発明の好ましい態様は、qが2であり、nが0であり、mが1であり、X、EおよびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0091】
さらなる本発明の好ましい態様は、qが2であり、nが1であり、mが0であり、E、R1、R2およびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0092】
さらなる本発明の好ましい態様は、qが2であり、nおよびmの両方が1であり、X、E、R1、R2およびZBGが前記と同意義である式(I)で示される化合物によって表される。
【0093】
上記の化学種において、
ZBGが、-CONHOH、-COOH、-CONHSO2CH3、-CONHSO3H、-CONHSO2CF3、-P(=O)(OH)2、-CONH2、-SO2NH2、-SH、下記式:

を有する-CONR6R7基または式:

で示される基から選ばれる;
Xが、存在する場合はいつも、-O-、-S-、-O-CH2-CH2-CH2-から選ばれる;
Eが、メチル、2-ブチニル、メトキシフェニル、メチルチオフェニル、メチルスルホニルフェニル、メチルスルホンフェニル、チエニル、ピリジルまたはフタルイミドから選ばれる;
R1およびR2が、存在する場合はいつも、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、2-プロペニル、アミノエチル、-CH2-COOH、-(CH2)2-NH-COOH、-(CH2)2-COOHまたは-(CH2)2-フタルイミドから選ばれるか、またはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、式:

を形成する、式(I)で示される化合物がより好ましい。
【0094】
q、E、m、X、n、R1およびR2が前記と同意義であり、ZBGが、-COOH、-CONHSO2CH3、-CONHSO3H、-CONHSO2CF3、-P(=O)(OH)2、-CONH2、-SO2NH2、-SH、下記式:

を有する-CONR6R7基または式:

で示される基から選ばれる基である、式(I)で示される化合物がさらにより好ましい。
【0095】
本発明の亜鉛プロテイナーゼのインヒビターの特定の例を下記の実験の項に記載する。
【0096】
製造手順
本発明のさらなる態様は、以下の記載のとおり、式(I)で示される化合物およびその塩の製造方法を提供する。
本発明の他の化合物および塩は、これらの例に説明した方法を、単独または当業界で周知の他の方法と組み合わせて用いて製造することができる。
【0097】
該方法として、特に、特許出願WO 99/25687、WO 00/50396、WO 00/69821、WO 00/69839、WO 02/092588、WO 04/000811、EP 1515951およびUS 2006/074243に報告されているものが挙げられ、これらは、全体として参照することにより本発明に援用される。
【0098】
以下の記載は、例示のみを目的として提供される、化学変換を介した、いくつかの例示的本発明化合物の一般的製造方法を報告する。
下記の一般的反応工程式は、式(I)で示されるインヒビターの合成に有用な一般的合成方法を提供する。
一般的反応工程式

【0099】
一般反応工程式において、当業者には明らかであるが、以下の略語が用いられている:Aloは、ハロゲン、好ましくはCl、BrまたはIである;Bは、F、Cl、BrまたはIなどのハロゲンであるか、またはオキシドリルまたはボロン酸[-B(OH)2]である;パラメーターまたは基n、q、m、X、E、R1およびR2のいずれかと同様に、ZBGは、一般式(I)で記載した意義を有する。
【0100】
特に、適当な2-ハロ-フェニル置換カルボン酸(a)から出発して、適切な反応条件(たとえば、ウルマン反応のために知られているものなど)を選択することによって、タイプ(b)のジフェニルスルフィドが得られるように、Alo基を適当なパラ置換チオフェノールと置換することが可能である。
【0101】
Bが、BrまたはIであるか、またはO-トリフレート基(OTf)でさえある適当な誘導体(b)から出発することによって、そして、公知の方法[たとえば、Kota S.ら、Tetrahedron、2002、58、9633を参照]にしたがって処理することによって、対応するボロン酸誘導体(b1)を得ることができる。
【0102】
適当な条件下でBをE-B(OH)2またはE-Aloと置き換えることによって、中間体(b)を誘導体(c)[q=0]に変換してもよい。したがて、スルフィド(c)自体が、ZBGがカルボキシルである式(I)で示される化合物を表す。
【0103】
さらに、公知の方法にしたがって、適切な条件下で様々な性質の適当な酸化剤を用いることによって、誘導体(c)を酸化して、光学的にも活性のあるスルホキシド(c1)[q=1]にすることができ、あるいは、スルホン(c2)[q=2]にすることができる。
【0104】
次いで、適当な反応物および縮合剤の存在下、公知の方法で処理することによって、カルボン酸誘導体(c、c1およびc2)を、カルボキシレート以外のZBGを有する他の式(I)で示される化合物の誘導体に変換することができる。
【0105】
たとえば、ヒドロキサメート[-CONHOH]に対応するZBGを有する誘導体(それぞれ0、1または2に対応するqを有するd、d1およびd2)への変換が、カルボン酸を、たとえば、EDCまたはDCCなどの縮合剤の存在下、たとえば、O-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンなどの適当なヒドロキシルアミン誘導体と反応させることによって得られる。
【0106】
同様に、カルボキシレート以外の先の基に対応するZBGを有する誘導体へのカルボン酸の変換も起こりうる;たとえば、[-CONHSO2R'4]に対応するZBGを有する化合物(それぞれ0、1または2に対応するqを有するe、e1およびe2)の製造を参照のこと。
【0107】
カルボン酸を、公知の方法にしたがって、ZBGが、基[-CONHR4、-CON(R4)2および-CONR6R7]のいずれかである対応するアミドに、変換してもよい。これらのカルボキサミドのいくつかを、公知の方法にしたがって、対応するアシルアミノスルホン酸[-CONHSO3H]としてZBGを有する化合物(それぞれ0、1または2に対応するqを有するf、f1およびf2)にスルホニル化してもよい。
【0108】
さらに、ZBGがカルボキシレートであり、nが0である式(I)で示される化合物を、公知の方法にしたがって、次いで、対応するホスホネート誘導体に変換される対応するベンジルアルコールに還元することができる。
【0109】
変換は、適当な縮合剤の存在下でベンジルアルコール自体を反応させるか、またはハロゲン(Cl、BrまたはI)化ベンジルまたはメシレートなどのその誘導体を適当な亜リン酸アルキルまたはリン酸アルキルと反応させるかのいずれかによって起こってもよい。ホスホネートの加水分解を介して、ZBGがホスホン酸[-P(OH)3]である式(I)で示される化合物(それぞれ0、1または2に対応するqを有するg、g1およびg2)を得てもよい。
【0110】
n=1であるカルボン酸(c、c1およびc2)またはそのエステルを、エナンチオ選択的条件下で、適当なR1および/またはR2置換基をもつ式(I)で示される化合物(それぞれ0、1または2に対応するqを有するh、h1またはh2)が得られるように、適当なキラル補助剤を用いることによってアルキル化してもよい。
【0111】
上述のように、次いで、これらの後者の化合物を、カルボキシレート以外のZBG基、たとえば、ヒドロキサメート[-CONHOH](l、l1またはl2)、アシルメタンスルホンアミド[-CONHSO2R4](m、m1またはm2)、アシルアミノスルホン酸[-CONHSO3H](n、n1またはn2)をもつ化合物(すべて、それぞれ、qが0、1または2である)が得られるように変換してもよい。
【0112】
最後に、R1および/またはR2で置換される、-P(OH)3であるZBGを有するホスホン酸誘導体(それぞれ0、1または2に対応するqを有するo、o1またはo2)が得られるように、n=1であるホスホン酸(g、g1、g2)またはその適当なエステルを、エナンチオ選択的条件下で適当な補助剤の存在下、適当にアルキル化してもよい。
【0113】
以下の反応工程式1-7は、代表的な本発明化合物の製造に用いている合成方法をより詳しく説明する。
反応工程式1

上記反応工程式1には、2の4-(X)m-E 置換N-ヒドロキシ-2-(4-フェニルスルホニル)-ベンズアミド化合物の合成のための合成経路が記載されている。
【0114】
2-ヨード安息香酸と適当な4-(X)m-E-チオールとの間のマイクロ波アシスト「ウルマン」型反応によってカルボン酸1を得、O-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとのカップリング反応および続いてのトリフルオロ酢酸による脱保護によって対応するヒドロキサム酸2に変換することが可能である。カルボキシレートからヒドロキサメートを製造する他の方法が、当業界で公知であり、同様に本発明化合物の製造に用いることができる。
【0115】
さらに、上記反応工程式1およびそのコメントから、上記方法を、特に、以下:-C6H4-CR1R2-COOH → → -C6H4-CR1R2-CONHOHのように、ZBG基が任意に置換されるメチレン(-CR1R2-)基を介してフェニレンに連結している、本発明のヒドロキサメートの製造に適用しうることが当業界には明らかである。
【0116】
反応工程式2
【化1】

【0117】
上記反応工程式2に示すように、n=0である安息香酸誘導体(a)およびn=1であるフェニル酢酸誘導体(b)の合成のために、実質的に類似の合成経路を適用することができる。カルボン酸誘導体3a,3b(それぞれ、nが0または1である)は、前記反応工程式1に記載のように、「ウルマン」型反応を用いて得られる。適当な置換ボロン酸誘導体[E-B(OH)2]または適当なE-ハライド(BrまたはCl)(ここで、Eは、式(I)における定義と同意義である)との反応を介して、これらの後者の誘導体を、対応する化合物4aおよび4bに変換することができる。Eがアリールまたはヘテロアリール基を表す場合、いずれかのフリーである位置において1つ以上の前述の基によってさらに置換されうる。したがって、単なる例としてであるが、Eは、オルト、メタまたはパラ位の1つ以上において、任意にモノ、ジまたはトリ置換されるフェニル基を表してもよい。
【0118】
上記反応は、当業界で公知であり、アセトン/水の還流下、炭酸カリウムの存在下、酢酸銅(II)などの適当な触媒の存在下で行うことができる。次いで、このように得られた化合物4a,4bを、一連の異なる生成物:反応工程式1の要に処理することによってヒドロキサム酸6a,6b;アルキルスルホンアミド[R4SO2NH2]とのカップリング反応を介してN-アシルメタンスルホンアミド5a,5b;およびベンジルブロミドおよび炭酸セシウムとの反応を介して対応するベンジルエステル誘導体7a,7b;に変換することができる。さらに、次いで、後者の誘導体7a,7bを、オキソン(登録商標)で酸化して、対応するスルホニル化合物8a,8b(式(I)で示される化合物に関し、q=2である)にしてもよい。
【0119】
式8a,8bで示される化合物を加水分解して、対応するN-アシルスルホンアミド10a,10bが得られる誘導体9a,9bにしてもよい。別の方法において、酸化剤としてジクロロメタンまたはクロロホルム中、m-ペルオキシ安息香酸(MCPB);たとえば、水/クロロホルムなどの非混和性溶媒の存在下などの相間移動条件下、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4);酢酸中、過ホウ素酸ナトリウム(NaBO3)または過酸化水素;メタノール中、チタン(III)-過酸化水素などを用いることによって、ベンジルエステル7a,7bを酸化して、スルホキシド(q=1)にしてもよい。
【0120】
当業界で公知の方法のように、マイクロ波を用いることによる酸化もまた好ましい。さらに、カガン(Kagan)反応条件下、適当なキラル補助剤の存在下、たとえば、Ti(O-iPr)4/酒石酸ジエチルといったようなTi(IV)イソプロポキシドなどを用いて所望の(R)-または(S)-スルホキシドをもたらすように、エナンチオ選択的酸化が起こってもよい。[参考文献として、Kagan、Hら、J Org Chem 1995、60、8086;およびRenaud、P、Tetrahedron Asymm.1999、1051を参照]。
【0121】
反応工程式3
【化2】

【0122】
上記反応工程式3には、反応工程式2において記載された化合物に類似するが、ビフェニル部分をもたない化合物、すなわち、m=0であり、Eが任意に置換されるフェニル基を表す式(I)で示される化合物の合成経路が記載される。前記反応工程式1に記載のように、安息香酸およびフェニル酢酸化合物11a,11b[前述と同様に、「a」および「b」は、それぞれ、n=0またはn=1である式(I)で示される化合物を表す]を得てもよい。次いで反応工程式2に記載のように、それらを対応するベンジルエステル12a,12bに変換する。次いで、ビフェニル誘導体13a,13bが得られるように、これらの後者を、スズキ反応において基質として用いてもよい。公知の方法にしたがって、リン酸カリウムの存在下、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを用いることによって反応を行う。次いで、このようにして得られるベンジルエステル13a,13bを加水分解して、対応するカルボン酸14a,14bを得、たとえば、O-ベンジルヒドロキシルアミンとのカップリング反応および続いてのトリメチルシリルトリフレートによる脱保護を介して、さらに対応するヒドロキサメート15a,15bに変換することができる。前述の方法にしたがって、化合物14a,14bを対応するN-アシルメタンスルホンアミド17a,17bまたはN-アシルトリフルオロメタンスルホンアミド 16a,16bに変換してもよい。前記反応工程式2において記載したように、ベンジルエステル13a,13bを酸化して、対応するスルホキシドまたはスルホン18a,18b(ここで、式(I)で示される化合物に関して、それぞれ、qは1または2である)を得てもよい。ベンジルエステル18a,18bの加水分解により、化合物19a,19bを得、次いで、アルキルスルホンアミドとカップリングさせて、所望の化合物20a,20bを得ることができる。
【0123】
反応工程式4
【化3】

【0124】
反応工程式3のように製造した14bのカルボン酸[n=1である式(I)で示される化合物]を、ベンジルアミンとのカップリング反応によるベンズアミド誘導体21の合成およびN-アシルスルファミン酸誘導体24の合成の両方に用いることができる。これらの後者は、アミド23の形成およびクロロスルホン酸および2-ピコリンとの反応を介してのその24への変換を介して得られる。
【0125】
反応工程式5
【化4】

【0126】
反応工程式5では、ヒドロキサム酸28の合成手順が記載される。スズキ反応を介して、ベンジルエステル12bから出発すること、および塩基として炭酸ナトリウムを用いることによって、ベンジルエステル25を得ることが可能である。次いで、先の記載のように処理することによって、これらの後者を、加水分解して、化合物26を得、さらに対応するヒドロキサム酸28に変換してもよい。
【0127】
反応工程式6
【化5】

【0128】
上記反応工程式6のとおり、ヒドロキサメート38またはN-アシルスルホンアミド誘導体40および43のいずれかに対応するZBGを有する、n=1であり、R1およびR2がアルキルまたはスピロシクロアルキル基である式(I)で示される化合物の誘導体の可能な合成を示す。これらの誘導体の合成は、メチル置換誘導体によって例示される。したがって、まず、公知の方法によるn-BuLiを用いるベンジルカルバにオンの初期形成、次いで、たとえば、ヨウ化メチルなどの適当なメチル化剤との反応を介して、ベンジルエステル13bをメチル化して、36にする。n-BuLi、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシリルアミド(LHMDS)、ナトリウムヘキサメチルジシリルアミド(NaHMDS)などの適当な塩基の存在下、またはその他の適当な塩基(B-)を用いて、公知の方法にしたがって、ベンジルカルバにオンを得てもよい。
【0129】
次いで、このようにして得られたカルバニオンを、光学的観点から純粋なエナンチオマーの製造を可能にする適当なキラル補助剤の存在下、たとえば、アルキルまたはジアルキルハライドであるR1AloまたはR2Aloなどのいずれかの適当なアルキル化剤と反応させる[たとえば、Fadel、A Syn.Lett.、1992、48;Evans、D.A.ら、J Am。Chem.Soc、1981、103、2127などを参照]。この同じ方法は、反応工程式2に記載の構造式にも適用可能である。このような経路は、さらに、スピロ環式脂肪族または複素環式系の合成も提供する[参考文献として、US 2003/0191317;およびVenkatesan A.M.ら、J.Med.Chem.、2004、47、6255を参照]。いったん得られると、次いで、得られるエステル36を加水分解して、カルボン酸37にし、ヒドロキサメート38またはN-アシルスルホンアミド40の製造のための一般的中間体としてさらに用いてもよい。代わりに、ベンジルエステル36から出発して、先に述べたように酸化して、スルホキシドまたはスルホン誘導体39にして、スルホン酸誘導体43を得てもよい。先に述べたように、39の加水分解により、カルボン酸42を得、次いで、スルホン酸誘導体43に変換することができる。
【0130】
反応工程式7
【化6】

【0131】
上記反応工程式7には、エーテルを含む構造(c化合物)およびビフェニル構造(d化合物)の両方のホスホン酸誘導体を得るために用いる合成経路が記載される。これらの誘導体を得るために、カルボン酸4a[mが1であり、Xが酸素である式(I)で示される化合物である、エーテルを含む化合物]および14a[mが0である式(I)で示される化合物である、ビフェニル化合物]を、たとえば、THF中のボランの存在下で、または他の適当な還元剤によって還元して、対応するアルコール44c,44dを得ることができる。
【0132】
次いで、ホスホン酸エステル46c,46dを得るために、トルエン中の塩化チオニルによる処理、次いで、亜リン酸トリエチルとの反応を介して、これらの後者を、塩化物誘導体45c,45dに変換してもよい。次いで、酸化条件を適当に選択することによって、先の経路で述べたように、スルホキシドまたはスルホン47c,47dを得ることができ、次いで、アルキル化して化合物50c,50dを得る。
【0133】
別法として、まず、46c,46dをアルキル化して、化合物49c,49dを得、さらに酸化して、化合物50c,50dを得る。選択した化合物のアルキル化を、先の反応工程式6において記載したとおり、そして、別の公知の方法[参考文献として、Bennani、Y Lら、Tetrahedron、1996、52、13837-13866;Denmark、S.E.ら、J Am.Chem.Soc.、1995、117、11879-11897;またはGoulioukina、N Sら、Tetrahedron Asymmetry、12、319-237を参照]にしたがって、カルバニオン形成を介して行ってもよい。の加水分解を、たとえば、塩酸の存在下で行って、対応するホスホン酸誘導体48c,48dを得ることができる。49c,49dの直接加水分解を介して、q=0である式(I)で示される化合物である対応するホスホン酸誘導体51c,51dが得られるのは明らかである。
【0134】
たとえば、上述の反応工程式およびその変形のように、本発明の式(I)で示される化合物の製造のための出発物質は、すべて公知であるか、または公知の方法にしたがって製造することができる。
【0135】
最終的に、遊離酸性基(たとえば、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン基など)または遊離アミノ基を対応する医薬的に許容しうる塩に適切に変換することによって、式(I)で示される化合物の任意の塩化(salification)を行ってもよい。この場合も、本発明化合物の任意の塩化のために用いている動作条件は、すべて当業者の常識の範囲内である。
【0136】
上述のすべてから、本発明の適当な式(I)で示される化合物の製造のための上述の過程、その変形の包括が、場合によっては、たとえば、適当な縮合剤、溶媒および保護基を選ぶことによって、反応条件を特定の要求に適合させるように都合よく変更されうることが、当業者には明白であるべきである。
【0137】
このように、いずれかの適当な出発物質またはその中間体のうち、場合によっては、いずれかの特定の残基または基は、そのようなものとして存在してよく、あるいは、いずれかの適当に保護された態様で存在してもよい。
【0138】
さらに詳しくは、出発物質および/または適当な中間体のいずれかに存在しており、望ましくない副反応および副産物を引き起こしうる官能基は、所望の反応が起こる前に、適切に保護される必要がある。同様に、同じ保護された基の次に続く脱保護が、該反応の完了に続いて起こってもよい。
【0139】
本発明において、他に特記しない限り、用語「保護基」は、それが結合する基の機能を保存することに適合された基を意味する。特に、保護基は、アミノヒドロキシルまたはカルボキシル官能基を保存するために用いられる。したがって、適切な保護基として、たとえば、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アルキルまたはベンジルエステルまたはこのような官能基の保護に通例用いられるその他の置換基が挙げられ、これらはすべて当業者に公知である[一般的参考文献として、T.W.Green;Protective Groups in Organic Synthesis(Wiley、N.Y.1981)を参照]。
【0140】
同様に、いずれかの該基(たとえば、カルボキシル、ヒドロキシルおよびアミノ基など)の選択的保護および脱保護は、すべて、有機合成化学において通例用いられる非常に公知の方法にしたがって達成されうる。
【0141】
本発明化合物の選択性
本発明にしたがって、マトリックスメタロプロテアーゼに対する阻害活性をもつ式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩が提供され、したがって、該酵素の調節が変性される病変の治療に有用である。
【0142】
生物学的結果に関するセクションにおいて実証されるように、本発明の式(I)で示される化合物およびその塩は、プロテアーゼに対して選択的阻害活性を示す。
【0143】
さらに詳しくは、本発明化合物のいくつかは、都合のよいことに、MMP1および/またはMMP3および/またはMMP8および/またはMMP14に対して、ほとんど活性がない。これらの同じ化合物は、対照的に、MMP2、MMP9、MMP13またはADAM17、ADAMTs1およびADAMTs4のインヒビターとして特に活性がある。
【0144】
本発明のもう1つの有利な態様において、本発明化合物のいくつかは、MMP2を阻害することにおいて特に選択性があり、MMP1、MMP3、MMP8、MMP9、MMP13、MMP14、TACEおよびADAMTs1およびADAMTs4に対する阻害活性が実質的にない。
【0145】
この点において、MMP2および/またはMMP9および/またはMMP13および/またはADAM17またはADAMTs1および/またはADAMTs4に関する本発明化合物の阻害活性を評価する場合、nMまたはμMで表される対応するIC50値は、MMP1および/またはMMP14に対して測定される値よりも少なくとも一桁低い。
【0146】
本発明化合物またはその塩のIC50値は、後記実験セクションにおいて記載するように、インビトロ法で決定される。別法として、たとえば、文献に記載のものなどの特定の酵素に対する阻害活性を評価するための公知の技術を適用してもよい[MMPsに対する阻害活性評価の例として:Rossello A.ら、Bioorg.& Med.Chem.、2004、12、2411;Rossello A.ら、Bioorg.& Med.Chem.Lett. 2005、15、1327;Rossello A.ら、Bioorg.& Med.Chem.Lett. 2005、15、2311;Rossello .ら、Bioorg.& Med.Chem.、2006、14、4260;またはTACEおよび他のADAMsに対する阻害活性評価の例として:Jin、G.ら Anal Biochemistry 2002、269;Amour、Aら、Febs Lett.、2000、275;English、W Rら、J.Biol.Chem.2000、14046;Fourie、A Mら、J.Biol.Chem.2003、30469;または種々の本発明かのADAMTsに対する阻害活性評価の例として:Rodriguez-Manzaneque、J Cら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、2002、501;Anderson、P Jら、J.Biol.Chem.2006、850;Kokame、Kら、Br.J Haem.、2005、93;Miller J Aら、Anal.Biochem.、2003、260;Noe、M Cら、Bioorg.& Med.Chem.Lett.、2005、2808;US 2006/0014233を参照]。
【0147】
本発明化合物およびその塩の標的病変
これまでに記載したように、本発明は、医薬として用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩に関する。さらなる態様において、哺乳動物(たとえば、ヒトまたは愛玩動物、家畜、実験動物、動物園の動物)における亜鉛メタロプロテイナーゼの異常な活性を伴う病的状態の治療に有用な医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩の使用も本発明に含まれる。
【0148】
したがって、病的状態は、たとえば、組織破壊、線維性疾患、マトリックスの病的崩壊、傷害の修復不良、心臓血管疾患または肺,腎臓,肝臓,眼の同等の疾患、または中枢神経系の同等の疾患を特徴とする状態などを含む。このような状態の特定の例は、骨関節炎、関節リウマチ、敗血症性関節炎、腫瘍浸潤、腫瘍転移、腫瘍血管新生、褥瘡性潰瘍、胃潰瘍、角膜潰瘍、眼球血管新生、黄斑変性、角膜瘢痕形成、歯周病、強膜炎、AIDS、敗血症おび敗血症性ショック、肝硬変、糖尿病、肺線維症、耳硬化症、アテローム性動脈硬化症(プラークの破損にいたるプラーク不安定化の現象も含む)、多発性硬化症、表皮潰瘍形成、傷害修復不良、粘着現象、傷害の瘢痕形成、心不全、拡張型心筋症、脳卒中後における、冠動脈血栓症における、大動脈および脳動脈瘤における、再狭窄における、骨粗鬆症、慢性閉塞性冠動脈疾患における、肺気腫における、移植臓器の拒絶の病変における、喘息アレルギー反応における、タンパク尿における、骨の病変における、アルツハイマー病における、およびニトロソ化および酸化的ストレスを伴う中枢神経系疾患(例として:発作、脳虚血、頭蓋外傷、脊髄損傷および他の急性または慢性神経変性病変が挙げられる)における、自己免疫疾患、ハンチントン病、パーキンソン病、偏頭痛、抑うつ、末梢神経障害、痛み、脳アミロイド血管症、向精神または認識促進、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症などを含む。
【発明を実施するための形態】
【0149】
したがって、さらなる態様において、本発明は、治療薬として使用するための式(I)で示される化合物を提供する。さらに、本発明の範囲には、変性疾患、特に腫瘍の治療のための医薬の製造における式(I)で示される化合物の使用も含まれる。
【0150】
さらに別の態様において、本発明は、活性成分として、医薬有効量の式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、一種以上の医薬的に許容しうる担体または賦形剤とともに含む医薬組成物に関する。
さらに別の態様において、本発明は、治療を必要とする哺乳動物への治療有効量の式(I)で示される化合物投与を含む変性疾患の治療方法を提供する。
上述のすべてから、本発明化合物が、治療において広範な適用を有し、したがって、意図する投与経路、すなわち、局所、経口および非経口投与のための慣例の方法にしたがって適切に製剤されうることを容易に予測することができる。
【0151】
さらに、特定のプロテアーゼに対するそれらの選択性ゆえに、本発明化合物は、公知の方法のとおり、たとえば、いずれかの適当な治療薬または診断薬などと組み合わせて、適切に機能的にされうる。
この点に関して、いったん上記の組み合わせたものが投与されると、本発明の式(I)で示される化合物は、上記の治療薬または診断薬部を、選ばれたプロテアーゼの過剰発現が起こりうる身体の特定の組織/部分にもたらすように、価値のある担体として働く。
【0152】
何らかの限定を加えることなく、本発明をより詳しく説明するために、以下の実施例を記載する。したがって、この点に関して、当業者には明白である製造方法への可能な変形を含むさらなる適用は、本発明の範囲内に含まれるとみなされるべきである。
【実施例1】
【0153】
2-(4-メトキシフェニルチオ)安息香酸(1)およびN-ヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニルチオ)ベンズアミド(2)

(1)脱イオン水(2 mL)中のo-ヨード安息香酸(1 g、4.03 mmol)、4-メトキシチオフェノール(565 mg、4.03 mmol)、KOH(451 mg、8.1 mmol)および銅粉末(25.6 mg、0.403 mmol)の懸濁液を、180ワット(Tmax=100℃、Pmax=100 psi)の力にて、照射中圧縮空気流でサンプルを冷却しながら、それぞれ6分間のマイクロ波サイクルに2回付す。得られる懸濁液をKOHの2N水溶液に溶解し、濾過する。濾液を1N HClで酸性化し、形成した沈澱を濾過し、減圧乾燥する(T=50℃)。得られる固体をアセトンでトリチュレートして精製して、生成物1(850 mg、81%、白色固体)を得る。
H1-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 3.82(s、3H)、6.63(d、1H)、7.06-7,20(m、3H)、7.30-7.40(m、1H)、7.45-7.49(d、2H)、7.91(dd、1H)。
【0154】
(2)CH2Cl2無水物(3 mL)中のカルボン酸1(100 mg、0.38 mmol)およびO-tert-ブチルジメチルシリルヒドロキシルアミン(TBDMSI、56 mg、0.38 mmol)の溶液に、不活性雰囲気下、EDC(72.2 mg、0.38 mmol)を加える。反応物を室温にて一夜撹拌する。このようにして、溶液をCH2Cl2で希釈し、水および1N HClで洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。
【0155】
得られる粗生成物(72 mg)をさらに精製することなく、CH2Cl2無水物(7.5 mL)中のTFA(0.79 μg、57当量)と室温にて24時間反応させて、脱保護する。溶媒およち過剰のTFAを減圧蒸発し、得られる粗生成物をCHCl3およびn-ヘキサンでトリチュレートして精製する。18 mgの2(17%、白色固体)を得る。
H1-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 3.79(s、3H)、6.78(d、1H)、7.00-7.44(m、7H)、9.20(br s、1H)、11.02(s、1H)。
【実施例2】
【0156】
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)安息香酸(4)およびN-ヒドロキシ-2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)ベンズアミド(5)

(3)1の製造で記載した手順と同様にして、2-ヨード安息香酸(1.5 g、6.05 mmol)および4-メルカプトフェノール(763 mg、6.05 mmol)から出発して、化合物3を合成する。アセトンでトリチュレートして精製を行い、生成物3(1.11 g、75%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 6.65(d、1H)、6.68(d、2H)、7.09-7,20(m、1H)、7.29-7.40(m、3H)、7.90(d、1H)、9.98(br。s、1H)。
【0157】
(4)無水CH2Cl2(16 mL)中の3(400 mg、1,63 mmol)、p-メトキシフェニルボロン酸(494 mg、3.26 mmol)、Cu(OAc)2(324 mg、1.63 mmol)および4オングストロームモレキュラーシーブス粉末(650 mg)の懸濁液に、トリエチルアミン(5当量)を加える。懸濁液を室温にて一夜撹拌した後、濾過し、濾液を1N HClで処理する。生成物をCH2Cl2で抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。得られる粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶離液:MeOH:H2O 3:7)により精製する。90 mgの4(33%、褐色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):δ 3.76(s、3H)、6.69(dd、1H)、6.98-7.20(m、7H)、7.32-7.52(m、3H)、7.90(d、1H)、13.2(br。s、1H)。
【0158】
(5)2の製造で記載した手順と同様にして、化合物4(130 mg、0.37 mmol)から出発して、化合物5を合成する。得られる生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH 9:1)により精製して、20 mgの5(15%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):δ3.76(s、3H)、6.85-7.23(m、6H)、7.28-7.52(m、6H)、9.20(br s、1H)、11.03(s、1H)。
【実施例3】
【0159】
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルフィニル)安息香酸(6)およびN-ヒドロキシ-2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルフィニル)ベンズアミド(7)

(6)無水DCM(50 mL)中の酸4(1 mmol)の溶液を、メタクロロペルオキシ安息香酸(1.5 mmol)に1時間にわたって加える。反応混合物を室温にて24時間撹拌し、濾過し、蒸発乾固する。酢酸エチルを加えた残渣をNaHCO3(2x20 mL)の飽和溶液、水で洗浄し、濾過し、r.p.にて蒸発して、実質的に純粋なスルホキシドの本質的に(R,S)-6の混合物からなる黄色油状物を得る
H1-NMR(d6-DMSO、200MHz):δ 3.72(s、3H)、6.80-7.07(m、6H)、7.20-8.01(m、6H)、12.8(br。s、1H)。2つのスルホキシドの混合物を以下のステップに用いる。
【0160】
(7)2の製造で記載した手順と同様にして、化合物6から出発して、ヒドロキサメート(R,S)-7を合成する。得られる生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH 12:1)により精製して、12 mgの7(20%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):δ 3.73(s、3H)、6.81-7.04(m、6H)、7.21-8.11(m、6H)、11.03(s、1H)。
【実施例4】
【0161】
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(8)

【0162】
(8)無水CH2Cl2(2.8 mL)中のカルボン酸4(100 mg、0.28 mmol)、メタンスルホンアミド(34 mg、0.37 mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)(45 mg、0.37 mmol)の溶液に、不活性雰囲気下、EDC(70.7 mg、0.37 mmol)を加える。反応物を室温にて4時間撹拌する。溶液をCH2Cl2で希釈し、1N HClおよび食塩水で3回洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。得られる粗生成物をジエチルエーテルでトリチュレートすることにより精製して、41.7 mgの8を収率34%で得る。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz)δ 3.37(s、3H)、3.76(s、3H)、6.92-7.11(m、7H)、7.22-7.30(m、1H)、7.38-7.48(m、3H)、7.64(m、1H)、12.30(br s、1H)。
【実施例5】
【0163】
2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)フェニル)酢酸(11)およびN-ヒドロキシ(2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)フェニル)アセトアミド(13)

(10)1の製造で記載した手順と同様にして、o-ヨードフェニル酢酸(1 g、3.82 mmol)および4-メルカプトフェノール(482 mg、3.82 mmol)から出発して、化合物10を合成する。得られる生成物をアセトンでトリチュレートすることにより精製して、2.5 gの10(84%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 3.73(s、2H)、6.77-6.81(m、2H)、6.92-7.00(m、1H)、7.14-7.32(m、5H)、9.80(s、1H)、12.38(s、1H)。
【0164】
(11)4の製造で記載した手順と同様にして、化合物10(1.9 g、7.3 mmol)および4-メトキシフェニル ボロン酸(2.2 g、7.3 mmol)から出発して、化合物11を合成する。得られる生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:Et2O 9:1、CH2Cl2:Et2O 8:2、CH2Cl2:MeOH 9:1)により精製して、840 mgの11(黄色固体)を収率31%で得る。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 3.75(s、5H)、6.88-7.06(m、6H)、7.12-7.36(m、6H)、12.34(s、1H)。
【0165】
(12)無水CH2Cl2(44 mL)中のカルボン酸11(800 mg、2.18 mmol)およびEDC(460 mg、2.40 mmol)の溶液に、不活性雰囲気下、無水CH2Cl2(22 mL)中のO-ベンジルオキシヒドロキシルアミンクロロハイドレート(383 mg、2.40 mmol)およびNMM(264 μL、2.40 mmol)の溶液を加える。溶液を室温にて5時間撹拌する。次いで、溶液をCH2Cl2で希釈し、1N HCl、NaHCO3飽和溶液およびNaCl飽和溶液でそれぞれ洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、乾固する。得られる生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン:AcOEt 2:1)により精製する。645 mgの12(62%、白色固体)を得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):δ 3.64(s、2H)、3.80(s、3H)、4.85(s、2H)、6.81-7.01(m、6H)、7.12-7.31(m、11H)、8.08(br.s、1H)。
【0166】
(13)CH2Cl2無水物(1 mL)中の化合物12(100 mg、0.212 mmol)およびトリメチルシリルトリフレート(384 μL、2.12 mmol)の溶液を、不活性雰囲気下、36時間撹拌する。溶液をH2Oで処理し、生成物をCH2Cl2で抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、乾固する。得られる化合物をジイソプロピルエーテルでトリチュレートすることにより精製して、20 mgの13(25%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.51(s、2H)、3.75(s、3H)、6.89-7.28(m、12H)、8.85(br.s、1H)、10.64(s、1H)。
【実施例6】
【0167】
2-(2-ビフェニル-4-イルチオ)フェニル)酢酸(19a)、2-(2-(4-メトキシフェニルチオ)フェニル)酢酸(19b)、2-(2-ビフェニル-4-イルチオ)フェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(21a)、N-ヒドロキシ-2-(2-(4-メトキシフェニルチオ)フェニル)アセトアミド(21b)および2-(2-(4-(ブト-2-イニルオキシ)フェニルチオ)フェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(21c)。
【化7】

【0168】
(16)10の製造で記載した手順と同様にして、o-ヨードフェニル酢酸(5 g、19.08 mmol)および4-ブロモベンゼンチオール(2.4 g、19.08 mmol)から出発して、それぞれ1 gの5部にし、化合物16を合成する。得られる懸濁液を集め、2N KOHで希釈する。得られる懸濁液を濾過し、1N HClで酸性化する。形成した沈澱を50℃にて減圧乾燥する。4.37 gの16(88%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.74(s、2H)、7.07(d、J=8Hz、2H)、7.30-7.42(m、4H)7.49(d、J=8Hz、2H)、12.34(br.s、1H)。
【0169】
(17)無水DMF中のカルボン酸16(3.3 g、10.21 mmol)の溶液に、無水および冷雰囲気下、0℃にて、Cs2CO3(3.326 g、10.21 mmol)を加える。懸濁液を40分間撹拌し、次いで、ベンジルブロミド(1.2 mL、10.21 mmol)を加え、懸濁液を0℃にて30分間、次いで室温にて12時間撹拌する。
【0170】
反応混合物に、H2Oを加え、生成物をエチルエーテルで抽出する。有機相を水およびNaClの飽和溶液で洗浄し、次いで、乾燥(硫酸ナトリウム)し、乾固する。4.09 gの生成物17(97%、黄色油状物)を得、さらに精製することなく次の反応に用いる。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.87(s、2H)、5.01(s、2H)、6.95-7.00(m、2H)、7.27-7.44(m、11H)。
【0171】
(18)無水トルエン(21 mL)中の17(4.09 g、9.9 mmol)の溶液に、不活性雰囲気下、Pd(PPh3)4(171 mg、0.148 mmol)を加え、溶液を室温にて10分間撹拌し、次いで、無水ジオキサン(8 mL)中のフェニルボロン酸(1.45 g、11.88 mmol)の溶液およびH2O(7.6 mL)中のNa2CO3(2.15 g、20.30 mmol)の溶液を加える。溶液を5時間還流する。次いで、1N HClで中和し、生成物をEtOAcで抽出する。有機相をNaClの飽和溶液で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、乾固する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン:CH2Cl2 6:4)により精製して、2.95 gの18(72%、黄色油状物)を得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.93(s、2H)、5.01(s、2H)、7.20-7.56(m、18H)。
【0172】
(19a)H2O(3.4 mL)中の18(500 mg、1.13 mmol)およびKOH(190 mg 3.39 mmol)の懸濁液を、18時間還流する。次いで、反応物を冷却し、で酸性pHにする。生成物をCH2Cl2で抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、乾固する。生成物をEt2O/n-ヘキサンでトリチュレートすることにより精製する。292 mgの19a(88% 白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.95(s、2H)、7.43-7.62(m、8H)、7.86-7.98(m、4H)、8.10-8.17(m、1H)、12.39(br s.、1H)。
【0173】
(19b)上記化合物19aの製造と同様にして、上記16の製造で用いた4-ブロモベンゼンチオールの代わりに4-メトキシチオールを用いることにより、2-(2-(4-メトキシフェニルチオ)フェニル)酢酸19bを製造する。
H1-NMR(CDCl3、200MHz):3.78(s、3H)、3.87(s、2H)、6.82-6.86(m、2H)、7.16-7.30(m、6H)。
【0174】
(20)12の製造で記載した手順と同様にして、化合物19a(200 mg、0.62 mmol)から出発して、化合物20を合成する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液 n-ヘキサン:AcOEt 1:2)により精製して、186 mgの20(67%、黄色固体)を回収する。
H1-NMR(CDCl3、200MHz):3.64(s、2H)、4.81(s、2H)、6.94-6.99(m、2H)、7.12-7.50(m、16H)、8.14(br s、1H)。
【0175】
(21a)13の製造で記載した手順と同様にして、20(180 mg、0.41 mmol)から出発して、化合物21aを合成する。得られる生成物をCH2Cl2およびジイソプロピルエーテルでトリチュレートすることにより精製する。25 mgの21a(17%、白色固体)を回収する。
H1-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.55(s、2H)、7.21-7.49(m、9H)、7.61-7.65(m、4H)、8.85(s、1H)、10.64(s、1H)。
【0176】
(21b)上記21aの製造と同様にして、4-ブロモベンゼンチオールの代わりに4-メトキシチオールを用いて、N-ヒドロキシ-2-(2-(4-メトキシフェニルチオ)フェニル)アセトアミド21bを製造する(82%、白色固体)。M.p.=84℃。
H1-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.50(s、2H)、3.76(s、3H)、6.95-6.99(m、2H)、7.14-7.34(m、6H)、、8.84(s、1H)、10.63(s、1H)。
【0177】
(21c)化合物16の製造と同様にして、4-ブロモチオフェノールの代わりに4-(ブト-2-イニルオキシ)チオフェノールを用いて対応するカルボン酸を得、さらに、対応する2-(2-(4-(ブト-2-イニルオキシ)フェニルチオ)フェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド 21c(35%、白色固体)に変換する。M.p.=105℃。
H1-NMR(CDCl3、200MHz):1.86(t,J=2.2Hz、3H)、3.69(s、2H)、4.63(q、J=2.4Hz、2H)、6.91-6.95(m、2H)、7.12-7.29(m、6H)。
【実施例7】
【0178】
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)酢酸(22)およびN-ヒドロキシ-2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)アセトアミド(24)
【化8】

(21)無水ジオキサン(63 mL)/H2O(10 mL)中の17(2.60 g、6.29 mmol)、K3PO4(3.07 g、14.47 mmol)、p-メトキシフェニルボロン酸(1.62 g、10.7 mmol)およびPd(PPh3)4(363 mg、0.31 mmol)の混合物を、85℃にて2時間保持する。次いで、冷却し、NaHCO3で処理し、生成物をAcOEtで抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、乾固する。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン:AcOEt 9:1)により精製し、生成物21(1.9 g、68%、黄色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.85(s、3H)、3.93(s、2H)、5.10(s。2H)、6.93-6.98(m、2H)、7.19-7.50(m、15H)。
【0179】
(22)19aの製造で記載した手順と同様にして、ベンジルエステル21(300 mg、0.681 mmol)から出発して、化合物22を合成する。得られる生成物22(214 mg、95%、白色固体)をさらに精製することなく、次の反応に用いる。
H1-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.77-3.79(m、5H)、6.98-7.03(m、2H)、7.20-7.25(m、2H)、7.30-7.39(m、4H)、7.56-7.61(m、4H)。
【0180】
(23)12の製造で記載した手順と同様にして、カルボン酸22(200 mg、0.57 mmol)から出発して、化合物23を合成する。得られる生成物フラッシュクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt:n-ヘキサン 1:2)により精製して、164 mg(63%、白色固体)の23を得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.65(s、2H)、3.85(s、3H)、4.82(s、2H)、6.94-6.99(m、2H)、7.14-7.18(m、2H)、7.29-7.50(m、13H)、8.08(br s、1H)。
【0181】
(24)13の製造で記載した手順にしたがって、化合物23(164 mg、0.36 mmol)から出発して、ヒドロキサム酸24を得る。得られる粗生成物をCH2Cl2 およびトルエンでトリチュレートして精製して、26 mgの24(20%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.55(s、2H)、3.78(s、3H)、6.99-7.03(m、2H)、7.22-7.36(m、6H)、7.57-7.61(m、4H)、8.86(s、1H)、10.64(s、1H)。
【実施例8】
【0182】
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(25)

(25)化合物8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸22(100 mg、0.285 mmol)から出発して、化合物25を合成する。得られる生成物をEt2Oおよびn-ヘキサンでトリチュレートして精製して、67 mgの25(55%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.16(s、3H)、3.79(s、3H)、3.87(s、2H)、6.99-7.03(m、2H)、7.17-7.23(m、2H)、7.32-7.41(m、4H)、7.56-7.60(m、4H)、11.88(br s、1H)。
【実施例9】
【0183】
N-ヒドロキシ-2-(2-(4-(チオフェン-3-イル)フェニルチオ)フェニル)アセトアミド(30)
【化9】

(28)化合物23の製造で記載した手順にしたがって、酸16(3 g、9.28 mmol)から出発して、化合物28を合成する。得られる生成物を、プレパックカラムSPEを用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン 100%、次いで:n-ヘキサン:AcOEt 5:1)により精製して、2.49 gの生成物28(63%、白色固体)を回収する。
H1-NMR(CDCl3、200MHz):3.59(s、2H)、4.82(s、2H)、6.93-6.97(m、2H)、7.27-7.39(m、11H)、8.07(br s、1H)。
【0184】
(29)化合物21の製造で記載した手順にしたがって、化合物28(400 mg、0.934 mmol)から出発して、化合物29を合成する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン:AcOEt 3:1)により精製して、235 mgの29(58%、白色固体)を得る。
H1-NMR(d6- CDCl3、200MHz):3.63(s、2H)、4.81(s、3H)、7.12-7.16(m、2H)、7.28-7.50(m、14H)、8.08(br s、1H)。
【0185】
(30)化合物23の製造で記載した手順にしたがって、化合物29(208 mg、0.48 mmol)から出発して、ヒドロキサム酸30を得る。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH:n-ヘキサン 9:1:7)により精製して、84 mgの30(51%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.53(s、2H)、7.10-7.36(m、8H)、7.53-7.56(m、1H)、7.62-7.71(m、2H)、7.87-7.89(m、1H)、8.86(s、1H)、10.64(s、1H)。
【実施例10】
【0186】
N-ヒドロキシ-2-[2-(4'-メチルチオ-ビフェニル-4-イルチオ)-フェニル]-アセトアミド(32)
【化10】

(31)化合物29の製造で記載した手順にしたがって、化合物28(400 mg、0.934 mmol)から出発して、化合物31を合成する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2 100%、次いで、n-ヘキサン:EtOAc:CH2CH2 2:5:7;CH2CH2:MeOH 9:1)により精製して、428 mgの31(97%、白色固体)を得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):2.51(s、3H)、3.64(s、2H)、4.81(s、3H)、7.14-7.18(m、3H)、7.28-7.48(m、14H)、8.06(br s、1H)。
【0187】
(32)化合物30の製造で記載した手順にしたがって、化合物31(208 mg、0.48 mmol)から出発して、化合物32を合成する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH:n-ヘキサン 9:1:7)により精製して、84 mgの32(51%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.53(s、2H)、7.10-7.36(m、8H)、7.53-7.56(m、1H)、7.62-7.71(m、2H)、7.87-7.89(m、1H)、8.86(s、1H)、10.64(s、1H)。
【実施例11】
【0188】
N-ヒドロキシ-2-(2-(4-ピリジン-4-イル-フェニルチオ)-フェニル)-アセトアミド(34)
【化11】

(33)化合物29の製造で記載した手順にしたがって、化合物28(350 mg、0.817 mmol)から出発して、化合物33を合成する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:EtOAc:n-ヘキサン 2:1)により精製して、284 mgの33(81%、白色固体)を得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.63(s、2H)、4.81(s、2H)、7.13-7.18(m、2H)、7.28-7.34(m、5H)、7.39-7.71(m、9H)、8.29(br s、1H)、8.60(br s、1H)。
【0189】
(34)化合物30の製造で記載した手順にしたがって、化合物33(260 mg、0.61 mmol)から出発して、ヒドロキサム酸34を合成する。得られる粗生成物をCH2Cl2/n-ヘキサンでトリチュレートして精製して、60 mgの34(29%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.54(s、2H)、7.23-7.42(m、6H)、7.67-7.78(m、4H)、8.60-8.63(m、2H)、8.84(s、1H)、10.62(s、1H)。
【実施例12】
【0190】
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)安息香酸(37)および2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(38)
【化12】

(35)17の製造で記載した手順にしたがって、酸4(162 mg、0.46 mmol)から出発して、ベンジルエステル35を得る。183 mgの35(91% 黄色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.82(s、3H)、5.40(s、2H)、6.78-6.82(m、1H)、6.90-7.13(m、7H)、7.21-7.30(m、1H)、7.34-7.51(m、7H)、8.00-8.05(m、1H)。
【0191】
(36)THF/MeOH(1:1、4mL)中の35(180 mg、0.41 mmol)の溶液に、H2O(7mL)中のオキソン(登録商標)(1.5 g、2.46 mmol)の溶液を加える。反応物を1日撹拌し、さらに3 gのオキソン(登録商標)を加え、反応物を5日間撹拌する。次いで、有機溶媒を減圧蒸発して除去し、得られる懸濁液をH2Oで希釈し、生成物をEtOAcで抽出する。148 mgの36(77%、白色固体)を得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.82(s、3H)、5.40(s、2H)、6.83-6.99(m、6H)、7.32-7.46(m、5H)、7.53-7.61(m、3H)、7.84-7.89(m、2H)、8.05-8.09(m、1H)。
【0192】
(37)18の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル36(140 mg、0.295 mmol)から出発して、カルボン酸37を合成する。得られる粗生成物を精製せずに、106 mg(94%、黄色油状物)の37を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.80(s、3H)、6.87-7.00(m、5H)、7.31-7.42(m、1H)、7.63-7.75(m、3H)、7.90-7.95(m、2H)、8.16-8.20(m、1H)。
【0193】
(38)8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸37(100 mg、0.26 mmol)から出発して、化合物38を合成する。得られる生成物フラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH 98:2)により精製して、29 mgの38(24%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.32(s、3H)、3.77(s、3H)、6.98-7.12(m、6H)、7.51-7.55(m、1H)、7.64-7.76(m、2H)、7.94-8.09(m、3H)、12.50(br s、1H)。
【実施例13】
【0194】
2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(39)

(39)25の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸11(100 mg、0.285 mmol)から出発して、化合物39を合成する。得られる生成物をEt2Oおよびn-ヘキサンでトリチュレートして精製して、67 mgの39(55%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.16(s、3H)、3.79(s、3H)、3.87(s、2H)、6.99-7.03(m、2H)、7.17-7.23(m、2H)、7.32-7.41(m、4H)、7.56-7.60(m、4H)、11.88(br s、1H)。
【実施例14】
【0195】
2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(43)
【化13】

【0196】
(40)17の製造で記載した手順にしたがって、酸11(1.56 g、4.267 mmol)から出発して、ベンジルエステル40を得る。1.762 gの40(97% 黄色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.80(s、3H)、3.90(s、2H)、5.12(s、2H)、6.78-7.00(m、6H)、7.17-7.32(m、11H)。
【0197】
(41)36の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル40(200 mg、0.438 mmol)から出発して、化合物41を得る。206 mgの41(96%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.81(s、3H)、4.08(s、1H)、5.03(s、2H)、6.87-6.99(m、6H)、7.30-7.35(m、5H)、7.43-7.59(m、3H)、7.72-7.78(m、2H)、8.11-8.16(m、1H)。
【0198】
(42)18の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル41(200 mg、0.41 mmol)から出発して、生成物42を合成する。得られる粗生成物をEt2O/n-ヘキサンでトリチュレートして精製して、133 mg(81%、白色固体)の42を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.76(s、3H)、3.91(s、2H)、6.98-7.13(m、6H)、7.41-7.59(m、3H)、7.79-7.83(m、2H)、8.01-8.05(m、1H)、12.33(s、1H)。
【0199】
(43)8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸42(80 mg、0.201 mmol)から出発して、生成物43を合成する。得られる生成物をEt2Oでトリチュレートして精製して、66 mgの43(70%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.18(s、3H)、3.77(s、3H)、4.00(s、2H)、6.98-7.12(m、6H)、7.40-8.06(m、6H)、11.93(br s、1H)。
【実施例15】
【0200】
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)-N-(メチルスルホニルベンズアミド(48)および2-(4'-メトキシビフェニル-4-イル-スルホニル)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(106)
【化14】

(44)1の製造で記載した手順にしたがって、2-ヨード-安息香酸(3 g、16.1 mmol)および4-ブロモベンゼンチオール(2.2 g、16.1 mmol)から出発して、化合物44を合成する。得られる粗生成物をアセトンでトリチュレートして精製して、3.1 gの44(82%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 6.65(d、1H)、6.68(d、2H)、7.09-7,20(m、1H)、
7.29-7.40(m、3H)、7.90(d、1H)、9.98(br。s、1H)。
【0201】
(45)17の製造で記載した手順にしたがって、酸44(3 g、9.7 mmol)から出発して、化合物45を合成する。3.7 gの45(94%、黄色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 6.65(d、1H)、6.68(d、2H)、7.09-7,20(m、1H)、7.29-7.40(m、3H)、7.90(d、1H)、9.98(br。s、1H)。
【0202】
(46)29の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル45(1.55 g、3.9 mmol)から出発して、化合物46を合成する。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン:CH2Cl2 3:7、n-ヘキサン:CH2Cl2 4:6)、により精製し、得られる生成をEt2O/n-ヘキサンでトリチュレートしてさらに精製する。1.29 gの46(78%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.87(s、3H)、5.41(s、2H)、6.89-7.61(m、16H)、8.01-8.06(m、1H)。
【0203】
(47)22の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル46(1.01 g、2.37 mmolから出発して、化合物47を合成する。得られる生成物をEt2O/n-ヘキサンでトリチュレートして精製する。693 mgの47(87%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.81(s、3H)、6.80-6.84(m、1H)、7.04-7.08(m、2H)、7.18-7.25(m、1H)、7.36-7.43(m、1H)、7.55-7.60(m、2H)、7.67-7.78(m、4H)、7.92-7.95(m、1H)、13.22(br s、1H)。
【0204】
(48)8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸47(70 mg、0.208 mmol)から出発して、化合物48を合成する。75 mgの48(89%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz):δ 3.35(s、3H)、3.80(s、3H)、7.01-7.15(m、3H)、7.33-7.49(m,4H)、7.63-7.70(m、5H)、12.30(br s、1H)。
【0205】
実質的に同様の方法で処理し、対応するスルホニル誘導体から出発することによって、化合物2-(4'-メトキシビフェニル-4-イル-スルホニル)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(106)も得られる。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.35(s、3H)、3.80(s、3H)、7.01-7.15(m、3H)、7.33-7.49(m、4H),7.63-7.70(m、5H)、12.30(br s、1H)。
【実施例16】
【0206】
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)-N-(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズアミド(49)

(49)8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸47(80 mg、0.228 mmol)から出発して、メタンスルホンアミドの代わりにトリフルオロメタンスルホンアミドを用い、化合物49を合成する。得られる生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH 98:2、CH2Cl2:MeOH 95:5)により精製して、33 mgの49(30%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.78(s、5H)、6.99-7.03(m、2H)、7.19-7.36(m、6H)、7.55-7.61(m、4H)。
【実施例17】
【0207】
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-スルホニル)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(52)
【化15】

(50)36の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル21(306 mg、0.695 mmol)から出発して、生成物50を合成する。271 mgの50(85%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.86(s、3H)、4.10(s、1H)、4.97(s、2H)、6.96-7.02(m、2H)、7.21-7.35(m、5H)、7.44-7.60(m、7H)、7.85-7.89(m、2H)、8.19-8.24(m、1H)。
【0208】
(51)18の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル50(250 mg、0.53 mmol)から出発して、化合物51を合成する。得られる粗生成物をEt2O/n-ヘキサンでトリチュレートして精製して、191 mg(94%、白色固体)の51を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.80(s、3H)、3.94(s、2H)、7.04-7.08(m、2H)、7.42-7.71(m、5H)、7.81-7.86(m、4H)、8.08-8.13(m、1H)、12.36(s、1H)。
【0209】
(52)8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸51(80 mg、0.209 mmol)から出発して、化合物52を合成する。得られる生成物をEt2Oでトリチュレートして精製して、68 mgの52(71%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):3.16(s、3H)、3.80(s、3H)、4.04(s、2H)、7.04-7.08(m、2H)、7.42-7.47(m、1H)、7.55-7.71(m、4H)、7.82-7.99(m、4H)、8.09-9.13(m、1H)、11.88(br s、1H)。
【実施例18】
【0210】
N-ヒドロキシ-2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)プロパンアミド(56a)および下記式で示される類縁体(56b)
【化16】

(53)無水THF(16 mL)中のベンジルエステル50(1.15 g、2.61 mmol)の溶液に、不活性雰囲気(窒素)下、-78℃にて1時間にわたって、無水THF中の1M ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS、2.87 mL)を滴下する。溶液を78℃にて1時間撹拌し、次いで、ヨウ化メチル(813 μL、13.06 mmol)を加え、溶液を-78℃にて1時間および-50℃にてさらに2時間維持する。次いで、反応混合物にEt2O(10.4 mL)中の、 CH3COOH(448 μL、7.83 mmol)の溶液を加えて反応を停止する。形成した沈澱をセライト(登録商標)で濾過し、濾液を減圧蒸発する。得られる粗生成物を濾過クロマトグラフィー(溶離液:AcOEt:n-ヘキサン 8:2)により精製して、950 mgの53(80%、黄色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):1,48(d、J=7.14Hz、3H)、3.85(s、3H)、4.55(q、J=7.14Hz、1H)、5.06(s、1H)、5.07(s、1H)、6.93-6.98(m、2H)、7.17-7.48(m、15H)。
【0211】
(54)18の製造で記載した手順にしたがって、ベンジルエステル53(400 mg、0.880 mmol)から出発して、生成物54を合成する。得られる粗化合物をEt2O/n-ヘキサンでトリチュレートして精製して、250 mgの54(80%、白色固体)を得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):1.34(d、J=7.08、3H)、3.79(s、3H)、4.27(q、J=7.08Hz、1H)、6.98-7.03(m、2H)、7.22-7.40(m、6H)、7.57-7.61(m、4H)、12.37(br s、1H)。
【0212】
(55)無水CH2Cl2(11 mL)中のカルボン酸54(80 mg、0.219 mmol)およびO-tブチルジメチルシリルヒドロキシルアミン(t-BDMS-O-NH2、32 mg、0.219 mmol)の溶液に、不活性雰囲気(窒素)下に維持しながら、EDC(42 mg、0.219 mmol)を加える。溶液を室温にて18時間撹拌し、次いで、CH2Cl2で希釈し、H2Oおよび1N HClで洗浄する。106 mgの55(98%、黄色油状物)を回収し、さらに精製することなく次の反応に用いる。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):0.04(d、J=2.75Hz、6H)、0.85(s、9H)、1,46(d、J=7.14Hz、3H)、3.84(s、3H)、4.17(q、J=7.14Hz、1H)、6.94-6.99(m、2H)、7.18-7.63(m、10H)。
【0213】
(56a)無水CH2Cl2(313 μL)中の55(100 mg、0.203 mmol)の溶液に、不活性雰囲気(窒素)下に維持しながら、0℃にて、トリフルオロ酢酸(TFA、313 μL)を加える。室温までゆっくりと戻しながら、溶液を5時間撹拌する。次いで、溶液を乾固し、残渣を数回エーテルで回収し、減圧乾固する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2:MeOH 97:3)により精製し、次いで、Et2Oでトリチュレートして、35 mgの56a(45%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):1.30(d、J=7.08、3H)、3.79(s、3H)、4.10(q、J=7.08Hz、1H)、6.99-7.03(m、2H)、7.25-7.36(m、6H)、7.58-7.62(m、4H)、8.12(s、1H)。
【0214】
53の製造において、ヨウ化メチルの代わりに選ばれたハロゲン(下記の詳細を参照)を用い、同様の方法で処理して、次の化合物も得られる。
【0215】
アリルブロミドを用いて、N-ヒドロキシ-2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)ペント-4-エンアミド(56b)が得られる:

1H-NMR(CDCl3、200MHz):7.51-7.19(m、10H);6.96(d、J= 8.5 Hz 2H);5.72(m、1H);4.98(m、2H);4.52(t、J= 7.5 Hz、1H);3.84(s、3H);2.8(五重、J= 7 Hz、1H);2.45(五重、J= 7 Hz、1H)。
元素分析:計算値:C24H23NO3S(MW= 405.5):C 71.09;H 5.72;O 11.84;S 7.91。
【実施例19】
【0216】
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)-N-(メチルスルホニル)プロパンアミド(57)

(57)8の製造で記載した手順にしたがって、カルボン酸54(80 mg、0.219 mmol)から出発して、化合物57を合成する。84 mgの57(80%、白色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):1.48(d、J=7.00、3H)、3.12(s、3H)、3.85(s、3H)、4.30(q、J=7.00Hz、1H)、6.95-6.99(m、2H)、7.24-7.40(m、5H)、7.48-7.54(m、5H)。
【実施例20】
【0217】
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)ベンジルホスホン酸(70)および2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸(72)
【化17】

(67)固体化合物4(220 mg、0.624 mmol)に、不活性雰囲気下、0℃にて、THF中のBH3の1M溶液(321 μL、0.312 mmol)を加える。溶液を室温にて5時間撹拌し、次いで、さらに500 μLのBH3の1M溶液を加え、溶液をさらに2時間撹拌する。次いで、反応物にMeOH(5 mL)を加えて反応を停止し、一夜撹拌する。次いで、溶液を乾固し、残渣を CH2Cl2で回収する。次いで、溶液をNaHCO3の飽和溶液で処理し、生成物をCH2Cl2で抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。260 mgの67(97%、黄色油状物)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.81(s、3H)、4.80(s、2H)、6.86-7.02(m、6H)、7.20-7.29(m、5H)、7.44-7.48(m、1H)。
【0218】
(68)無水CH2Cl2中の67(190 mg、0.561 mmol)の溶液に、塩化チオニルおよび一滴のピリジンを加える。溶液を室温にて30分間撹拌する。反応物にH2Oを加えて反応を停止し、生成物をEt2Oで抽出する。次いで、有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。185 mgのジ68(93%、黄色油状物)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):3.81(s、3H)、4.80(s、2H)、6.86-7.03(m、6H)、7.12-7.35(m、5H)、7.42-7.47(m、1H)。
【0219】
(69)-18℃トラップに連結した冷却器を備えた二口フラスコにて、化合物68(180 mg、0.504 mmol)を亜リン酸トリエチル(216 μL、1.26 mmol)に溶解し、140℃に保持する。2時間後、亜リン酸トリエチル(216 μL、1.26 mmol)をさらに添加し、反応混合物を140℃にてさらに2時間撹拌する。過剰の亜リン酸エステルを留去(Teb=160℃)し、残渣をエーテルで回収し、再度乾固する。225 mgの69(97% 黄色油状物)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):1.26(t、J=6.9Hz、6H)、3.48(d、J=22.0Hz、2H)、3.80(s、3H)、3.98-4.12(m、4H)、6.85-7.00(m、6H)、7.13-7.25(m、5H)、7.41-7.47(m、1H)。
【0220】
(70)37%HCl(12.2 mL)中の69(200 mg、0.408 mmol)の溶液を、一夜還流し、所望のホスホネート70を得る。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz)δ 3.46(d、J=22.2 2H)、3.76(s、3H)、7.01-7.12(m、6H)、7.40-8.02(m、6H)。
【0221】
(71)36の製造で記載した手順にしたがって、69から出発して、化合物71を得る。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt:n-ヘキサン 6:4)により精製する。200 mgの71(87%、黄色固体)を回収する。
1H-NMR(CDCl3、200MHz)δ:1.19(t、J=7.1Hz、6H)、3.69(d、J=22.7Hz、2H)、3.82(s、3H)、3.91-4.07(m、4H)、6.88-7.00(m、6H)、7.37-7.57(m、2H)、7.69-7.85(m、3H)、8.08-8.12(m、1H)。
【0222】
(72)70の製造で記載した手順にしたがって、化合物71から出発して、化合物72を得る。
1H-NMR(d6-DMSO 200MHz)δ:3.39(d、J=22.2 2H)、3.79(s、3H)、7.06-7.12(m、6H)、7.45-8.12(m、6H)。
【実施例21】
【0223】
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)ベンジルホスホン酸(85);2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルスルホニル)ベンジルホスホン酸(86)

(85、86)この一連の化合物の合成に必要な2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)安息香酸47を実施例15で製造し、実施例20に記載の条件下で処理し、誘導体85および86を得る。
(85):1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):2.60(s、2H)、3.83(s、3H)、4.80(brs、2H)、6.80-6.84(m、1H)、7.04-7.08(m、2H)、7.18-7.25(m、1H)、7.36-7.43(m、1H)、7.55-7.60(m、2H)、7.67-7.78(m、4H)、7.92-7.95(m、1H)。
(86):1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):2.58(s、2H)、3.81(s、3H)、4,80(brs、2H)、7.02-7.24(m、5H)、7.65(m、2H)、7.77(m、2H)、7.96(m、2H)。
【実施例22】
【0224】
化合物(5-bis)、(7a-bis)および(7b-bis)
これまでに製造した化合物のいずれかとの曖昧さを避けるために、以下の誘導体を「-bis」として、識別する。
【化18】

【0225】
(1-bis)水2 mL中の2-ヨードフェニル 酢酸(1g、3.82 mmol)、4-ブロモベンゼンeチオール(0.722 g、3.82 mmol)、KOH(0.427 g、7.63 mmol)および銅粉末(24 mg、0.38 mmol)の懸濁液をマイクロ波(条件:2x6分、180 W、Tmax=100℃、P max=100 psi)で反応させる。得られる懸濁液を2N KOH水溶液に溶解し、次いで、濾過する。濾液を1N HCl水溶液で酸性化する。白色沈澱を濾過し、減圧乾燥し、アセトンでトリチュレートして精製して、純粋な酸1-bisを白色固体(1.16g、94%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):7.44(d、J= 7Hz、1H);7.36-7.26(m、5H);7.01(d、J= 8.4Hz、2H);3.86(s、2H)。
元素分析:計算値:C14H11BrO2S(MW=323.2):C 52.03;H 3.43;Br 24.72;O 9.90;S 9.92。
【0226】
(2-bis)EtOH(30 ml)および40% エタノール性HCl(20 ml)中の1-bis(3 g、9.28 mmol)の溶液を、3時間還流する。反応混合物を室温にし、次いで、水(30 ml)を注ぎ入れ、CH2Cl2で抽出する。抽出物を合わせ、水および食塩水で洗浄し、次いで、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、エチルエステル2-bis(2.8 g、86%)を無色油状物で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):7.44-7.24(m、6H);7.02(m、2H);4.08(q、J= 7.1Hz、2H);3.81(s、2H);1.21(t、J= 7.1Hz)。
元素分析:計算値:C16H15BrO2S(MW=351.3):C 54.71;H 4.30;Br 22.75;O 9.11;S 9.13。
【0227】
(3-bis)二口丸底フラスコにて、トルエン(14 ml)中の2-bis(2.65 g、7.5 mmol)の溶液に、Pd(PPh3)4(130 mg、0.113 mmol)を加え、混合物を室温にて10 分間撹拌し、次いで、トルエン(6 ml)およびNa2CO3の水溶液(1,63 g、6.5 mlの水中)に溶解したフェニルボロン酸(1.1 g、9 mmol)を加える。反応混合物wp5時間還流し、次いで、室温まで温め、1N HClで中和する。生成物をEtOAcで抽出する。有機相を水および食塩水で洗浄し、次いで、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、化合物3-bisを(2.27 g、87%)白色固体で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):7.57-7.22(m、13H);4.1(q、J= 7.1Hz、2H);3.87(s、2H);1.21(t、J= 7.1Hz、6H)。
元素分析:計算値:C22H20O2S(MW=348.5):C 75.83;H 5.79;O 9.18;S 9.20。
【0228】
(4-bis)無水THF(3 ml)中の3-bis(200 mg、0.574 mmol)の溶液に、NaHMDS(0.63 ml、0.63 mmol)の1M溶液を-78℃にて滴下する。-78℃にて1時間撹拌した後、BrCH2COOEt(0.32 ml、2.87 mmol)をすべて一度に加える。混合物を-78℃にて1時間および-40℃にて2時間撹拌し、酢酸(0.1 mlの氷酢酸、3 mlのEt2O中)を加えて反応を停止し、セライトで濾過する。濾液を濃縮し、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、化合物4-bisを黄色油状物(243 mg、98%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):7.57-7.23(m、13H);4.12(m、4H);3.10(dd、J= 9.9Hz、1H);2.56(dd、J= 9.9Hz、1H);1.20(m、6H)。
元素分析:計算値:C25H25O4S(MW=421.5):C 71.23;H 5.98;O 15.18;S 7.61。
【0229】
(5-bis)ジエチルエステル4-bis(745 mg、1.71 mmol)およびKOH(962 mg、17.1 mmol、7 mlの水中)の乳濁液を15時間還流する。反応混合物を室温に温め、次いで、1N HCl水溶液で酸性化する。生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を水、食塩水で洗浄し、次いで、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。粗生成物 をCH2Cl2/Et2Oでトリチュレートすることにより精製して、5-bisを白色固体(608 mg、94%)で得る。
1H-NMR((CD3)2O、200MHz):7.64(m、4H);7.45(m、9H);4.92(dd、J= 4.5Hz、10.2Hz、1H);3.1(dd、J= 10.2Hz、1H);2.54(dd、J= 4.4Hz、1H)。
ESI(+)401(M+Na)100%;417(M+K)。
元素分析:計算値:C22H18O4S(MW=378.4):C 69.82;H 4.79;O 16.91;S 8.47。
【0230】
(6a-bis)MeOH/THF(1:1、2.8 ml)中の4-bis(100 mg、0.23 mmol)の溶液に、「オキソン」(登録商標)(1.42 g、2.3 mmol)、次いで、水(5.6 ml)を加える。反応混合物を室温にて1日間撹拌する。有機溶媒を蒸発し、水層をEtOAcで抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発して、6a-bisを無色油状物(51mg、49%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):8.08(d、J=7.7 Hz、1H);7.67(q、J=8.6 Hz、4H);7.58-7.31(m、9H);4.56(dd、J=4、11 Hz、1H);4.08(m、4H);2.95(dd、J=11Hz、1H);1.84(dd、J=4 Hz、1H);1.17(t、J=7.2 Hz、3H);1.16(t、J=7.2 Hz、3H)
API-EI(+)473(M+Na)100%;489(M+K)。
元素分析:計算値:C26H26O5S(MW=450.5):C 69.31;H 5.82;O 17.76;S 7.12。
【0231】
(6b-bis)MeOH/THF(1:1、5.6 ml)中の4-bis(100 mg、0.23 mmol)の溶液に、「オキソン」(登録商標)(2.83 g、4.6 mmol)、次いで、水(2.8 ml)を加える。反応混合物を室温にて2日間撹拌する。有機溶媒を蒸発し、水層をEtOAcで抽出する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発して、6b-bisを無色油状物(100 mg、93%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):8.36(d、J=7.9、1H);8.01(d、J=8.4、2H);7.74(d、J=8.4、2H);7.61-7.38(m、8H);5.01(dd、J=3.3、11 Hz、1H);4.16(m、2H);3.92(m、2H);2.96(dd、J=11Hz 、1H);2.47 J=3.3Hz 、1H);1.23( m、6H)。
元素分析:計算値:C26H26O6S(MW=466.1):C 66.93;H 5.92;O 20.58;S 6.87。
【0232】
(7a-bis)6a-bis(110 mg、0.244 mmol)およびKOHの水溶液4 ml(136.9 mg、2.44 mmol)の乳濁液を15時間還流する。反応混合物を室温に温め、次いで、1N HCl水溶液で酸性化する。白色沈澱を濾過し、Et2Oで洗浄して、純粋な生成物7a-bisを白色固体(84 mg、87%)で得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):12.55(br s、OH);7.89-7.67(m、7H);7.52-7.37(m、6H);4.55(dm、1H);2.95(m、1H);2.54(m、1H)。
ESI(+)395(M+1)80%、417(M+Na)100%;433(M+K)20%。
元素分析:計算値:C22H18O5S(MW=394.4):C 66.99;H 4.60;O 20.28;S 8.13。
【0233】
(7b-bis)(380 mg、0.81 mmol)およびKOHの水溶液5 ml(450 mg、8.1 mmol)の乳濁液を15時間還流する。反応混合物を室温に温め、次いで、1N HCl水溶液で酸性化する。白色沈澱を濾過し、Et2Oで洗浄して、純粋な生成物7b-bisを白色固体(322 mg、96%)で得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200MHz):12.4(br s、1H);8.2(d、J= 7.5Hz、1H);7.9-7.2(m、12H);4.85(d、J= 8Hz、10.8Hz、1H);2.96(dd、J= 10.8Hz、1H);1.89(d、J= 16.8Hz、1H)。
ESI(+)433(M+Na)20%;449(M+K)100%。
元素分析:計算値:C22H18O6S(MW=410.4):C 69.38;H 4.42;O 23.39;S 7.81。
【実施例23】
【0234】
化合物(8-bis)および(10-bis)
【化19】

(8-bis)0.5 mlのトルエン中のウレア(107 mg、1.78 mmol)および酸 4-bis(150 mg、0.396 mmol)の混合物を、180℃にて2時間攪拌する。冷却後、褐色固体をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH)により精製して、生成物を定量的収率にて白色泡状物で得る。
1H-NMR(CDCl3、200MHz):8.15(br s、1H);7.58-7.22(m、13H);4.66(dd、J= 6Hz、9.8Hz、1H);3.16(dd、J= 9.8Hz);2.73(dd、J= 6Hz)。
ESI(+)382(M+Na)100%。
元素分析:計算値:C22H17NO2S(MW=359.4):C 73.51;H 4.77;N 3.90;O 8.90;S 8.92。
【0235】
(10-bis)酸 4-bis(150 mg、0.396 mmol)、4オングストロームモレキュラーシーブス(300 mg)および酢酸無水物(3 ml)の混合物を、120℃にて15時間攪拌する。反応混合物を濾過し、残渣をEtOAcで洗浄する。濾液を濃縮して、生成物9を白色固体(105 mg、74%)で得る。この得られる無水物9(100 mg、0.28 mmol)に、5 mlの水-ジオキサン(1:1)に溶解したヒドロキシルアミン塩酸塩(21.4 mg、0.308 mmol)およびNaOH(12 mg)を加える。溶液を室温にて15分間、次いで、60℃にて2時間攪拌する。水およびジオキサンを減圧蒸発し、次いで、145℃にて5分間減圧加熱する。生成物をEtOAcで抽出する。抽出物を合わせ、蒸発する。生成物をEt2Oで洗浄し、減圧乾燥し、次いで、フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH)により精製して、10-bisを白色泡状物(65mg、62%)で得る。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):7.56-7.20(m、13H);4.57(dd、J= 4.76 Hz、9.16Hz、1H);3.10(dd、J= 9.16Hz);2.61(dd、J= 4.76Hz)。
ESI(+)398(M+Na)100%、414(M+K)20%。
元素分析:計算値:C22H17NO3S(MW=375.4):C 70.38;H 4.56;N 3.73;O 12.78;S 8.54。
【実施例24】
【0236】
化合物(11-bis)および(13-bis)
【化20】

(11-bis)0.3 mlのトルエン中のウレア(53 mg、1.22 mmol)および酸 7b-bis(100 mg、0.245 mmol)の混合物を、180℃にて2時間攪拌する。冷却後、褐色固体をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製して、11-bisを白色泡状物(75 mg、78%)で得る。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):8.2-7.31(m、13H);8.13(br s、NH);5.17(dd、J= 6Hz、9.7Hz、1H);3.32(dd、J= 9.7Hz),2.67(dd、J= 6Hz)。
ESI(+)414(M+Na)100%、430(M+K)60%。
元素分析:計算値:C22H17NO2S(MW=359.4):C 73.51;H 4.77;N 3.90;O 8.90;S 8.92。
【0237】
(13-bis)7b-bis(120 mg、0.292 mmol)、4オングストロームモレキュラーシブス(250 mg)および酢酸無水物(2.3 ml)の混合物を、120℃にて15時間攪拌する。反応混合物を濾過し、残渣をEtOAcで洗浄する。濾液を濃縮して、生成物を白色固体(75 mg、66%)で得る。この得られる無水物12-bis(70 mg、0.187 mmol)に、4 mlの水-ジオキサン(1:1)に溶解したヒドロキシルアミン塩酸塩(15.0、0.214 mmol)およびNaOH(8 mg)を加える。溶液を室温にて15分間、次いで、60℃にて2時間攪拌する。水およびジオキサンを減圧蒸発し、次いで、残渣を145℃にて5分間減圧加熱する。生成物をEtOAcで抽出する。抽出物を合わせ、乾燥し、蒸発する。生成物をEt2Oで洗浄し、減圧乾燥し、次いで、フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH)により精製して、13-bisを白色泡状物(20 mg、26%)で得る。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):8.13-7.45(m、13H);5.07(br s、1H);3.14(m、1H),2.48(m、1H)。
ESI(+)430(M+Na)100%。
元素分析:計算値:C22H17NO5S(MW=407.4):C 64.85;H 4.21;N 3.44;O 19.63;S 7.87。
【実施例25】
【0238】
化合物15-bis、17a-bis、17b-bis
【化21】

冷水浴(5℃)で冷却した(14-bis)tBuOH/DMF(4:1、7.5 ml)中の3-bis(500 mg、1.43 mmol)の溶液に、エチルアクリレート(186 μl、1.86 mmol)を加え、NaH(24 mg、1 mmol)で処理する。混合物5℃をにて15分間、次いで、室温にて2時間撹拌し、次いで、0.5 mlの氷酢酸を加える。有機生成物をエーテルに抽出し、水(4x)、飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄する。有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮し、次いで、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、化合物14-bisを白色油状物(822 mg、64%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):7.55-7.19(m、13H);4.45(t、1H、J=7.2 Hz);4.04(q、J=7.4 Hz、4H);2.45-1.96(m、4H);1.15(t、J=7.2 Hz、6H)。
元素分析:計算値:C27H28O4S(MW= 448.6):C 72.29;H 6.29;O 14.27;S 7.15。
【0239】
(15-bis)ジエチルエステル14-bis(140 mg、0.31 mmol)およびKOHの水溶液(261 mg、4.65 mmol、7 mlの水中)の乳濁液を、40時間還流する。反応混合物を室温に温め、次いで1N HCl水溶液で酸性化する。白色沈澱を濾過し、水で洗浄し、次いで、DCM/ヘキサンでトリチュレートすることにより精製して、酸 15-bisを白色固体(95 mg、79%)で得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200 MHz):12.29(br s、1H);7.66-7.61(m、4H);7.49-7.27(m、9H);4.26(t、J= 7.4 Hz、1H);2.15(m、3H);1.89(m、1H)。
元素分析:計算値:C23H20O4S(MW= 392.5):C 70.39;H 5.14;O 16.31;S 8.17。
【0240】
(16a-bis)MeOH/THF(1:1、5 ml)中の14-bis(230 mg、0.49 mmol)の溶液に、「オキソン」(登録商標)(3.04 g、4.94 mmol)、次いで、水(20 ml)を加える。反応混合物を室温にて7時間撹拌する。有機溶媒を蒸発し、水層をEtOAcで抽出する。有機相を乾燥し、減圧蒸発し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、、16a-bisを無色油状物(100 mg、42%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):7.97(m、1H);7.75-7.62(m、4H);7.57-7.37(m、8H);4.35(t、J= 6.8 Hz、1H);4.27-3.89(m、4H);2.52-2.06(m、4H);1.26(t、J=7 Hz 、6H)。
元素分析:計算値:C27H2O5S(MW= 464.6):C 69.80;H 6.07;O 17.22;S 6.90。
【0241】
(16b-bis)MeOH/THF(1:1、6 ml)中の14-bis(100 mg、0.22 mmol)の溶液に、「オキソン」(登録商標)(2.74 g、4.45 mmol)、次いで、水(2 ml)を加える。反応混合物を室温にて2日間撹拌する。有機溶媒を蒸発し、水層をEtOAcで抽出する。有機相を乾燥し、減圧蒸発し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、、16b-bisを黄色油状物(80 mg、75%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):8.30(dd、J=6.6、1.4 Hz、1H);7.91(dt、J=8.6、2.0 Hz、2H);7.69(dt、J=8.8、1.8 Hz、2H);7.65-7.37(m、8H);4.65(t、J=7.2 Hz、1H);4.05(q、J=7.2 Hz、2H);3.84(m、2H);2.44-2.21(m、2H);2.18-1.81(m、2H);1.19(t、J=7.2 Hz、3H);0.92(t、J=7.2 Hz、3H)。
元素分析:計算値:C27H28O6S(MW= 480.6):C 67.48;H 5.87;O 19.98;S 6.67。
【0242】
(17a-bis)THF(0.5 ml)中の16a-bis(100 mg、0.215 mmol)の溶液に、5 mlのKOHの水溶液(136.9 mg、2.44 mmol)を加え、混合物を、20時間還流する。反応溶液を室温に温め、1N HCl水溶液で酸性化する。沈澱を濾過し、水で洗浄し、トリチュレート(アセトン/ヘキサン)することにより精製して、生成物17a-bisを白色固体(67mg、76%)で得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200 MHz):12.45(br s、2H);7.86-7.32(m、13H);4.28(dm、1H);2.4-1.56(m、4H)。
元素分析:計算値:C23H20O5S(MW= 408.5):C 67.63;H 4.94;O 19.58;S 7.85。
【0243】
(17b-bis)0.5 mlのTHFに溶解した16a-bis(100 mg、0.215 mmol)および5 mlのKOHの水溶液(109 mg、1.95 mmol)の混合物を、24時間還流する。反応混合物を室温に温め、1N HCl水溶液で酸性化する。沈澱を濾過し、水で洗浄し、トリチュレート(Et2O/CH2Cl2/ヘキサン)することにより精製して、生成物17b-bisを白色固体(43 mg、60%)で得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200 MHz):12.24(br s、2H);8.2(d、J=7.8 Hz、1H);7.9(m、4H);7.77-7.47(m、8H);4.47(d、J=6.8、10.8 Hz、1H);2.11-1.51(m、4H)。
元素分析:計算値:C23H20O6S(MW= 424.5):C 65.08;H 4.75;O 22.62;S 7.55。
【実施例26】
【0244】
化合物(20-bis)、(22-bis)および(23-bis)
【化22】

(18-bis)実施例22の3-bisの製造で記載した手順と同様にして、化合物2-bisから出発し、p-メトキシフェニルボロン酸を用いて、化合物18-bisを合成する。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):7.5-7.2(m、10H);6.96(d、J= 9 Hz、2H);4.1(q、J= 7 Hz、2H);3.86(s、2H);3.84(s、3H);1.21(t、J= 7。Hz、3H)。
元素分析:計算値:C23H22O3S(MW=378.5):C 72.99;H 5.86;O 12.68;S 8.47。
【0245】
(19-bis)無水ジオキサン(1.5 ml)中のNaH(60%懸濁液/パラフィン油、25 mg、1.04 mmol)および炭酸ジエチル(430 ml、3.64 mmol)の懸濁液を100-110℃に加熱しジオキサン(1 ml)中のエチルエステル18-bis(120 mg、0.26 mmol)の溶液を、滴下する。100℃にて24時間、次いで、室温にて3日間撹拌を継続する。混合物に氷水を注ぎ、ジエチルエーテルで抽出する。合わせた有機層を水および食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮する。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、マロン酸エステル 19-bisを白色油状物(65 mg、56%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):7.6-7.26(m、8H);7.18(d、J= 7.2 Hz、2H);6.96(d、J= 7.6 Hz、2H);5.53(s、1H);4.12(m、4H);3.84(s、1H);1.20(t、J= 7.2 Hz、6H)。
元素分析:計算値:C25H25O5S(MW= 450.5):C 69.31;H 5.82;O 17.76;S 7.12。
【0246】
(20-bis)ナトリウム(6.2 mg、0.27 mmol)をエタノール(6 ml)に溶解し、この溶液にウレア(14 mg、0.27 mmol)を加える。エタノール(1 ml)中のマロン酸エステル 19-bis(60 mg、0.13 mmol)の溶液を滴下し、反応混合物を6時間還流する。室温に冷却した後、混合物に氷水を注ぎ入れ、希HClを用いてpH2に調節する。沈澱を吸引濾過により集め、減圧乾燥する。粗生成物をジエチルエーテルでトリチュレートすることにより精製する。生成物20-bisを非晶質白色固体(43 mg、76%)で得る。
1H-NMR(d6-DMSO、200M Hz):7.58(d、J= 8 Hz、4H);7.34(m、4H);7.22(d、J= 8.2 Hz、2H);7.0(d、J= 8.2 Hz、2H);3.78(s、3H);3.76(s、1H)。
ESI(-):(M-H)- 417.4
元素分析:計算値:C23H18N2O4S(MW= 418.5):C 66.01;H 4.34;N 6.68;O 15.29;S 7.66。
【0247】
(21-bis)無水DMF(2 ml)中のエステル 18-bis(111 mg、0.24 mmol)の溶液に、NaH(23 mg、0.95 mmol)を加える。黄色懸濁液を90℃にて30分間加熱し、次いで、DMF(1 ml)に溶解したN-(3-ブロモプロピル)フタルアミド(128 mg、0.48 mmol)を加える。混合物を30分間還流し、次いで、室温にし、2日間撹拌する。EtOAc を加え、有機相を飽和NH4Cl溶液および水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮し、クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製する。化合物21-bisを無色油状物(100 mg、74%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):7.77(m、2H);7.68(m、2H);7.48-7.24(m、8H);7.2(d、J= 8.8 Hz、2H);6.96(d、J= 8.8 Hz、2H);4.43(t、J= 7.4 Hz、1H);4.02(m、2H);3.84(s、3H);3.64(t、J= 6.8 Hz);2.09(m、1H);1.72(m、3H);1.11(t、J= 8 Hz、3H)。
元素分析:計算値:C34H31NO5S(MW= 565.7):C 72.19;H 5.52;N 2.48;O 14.14;S 5.67。
【0248】
(23-bis)ナトリウム(8.5 mg、0.37 mmol)をエタノール(1 ml)に溶解し、この溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(17.2 mg、0.247 mmol)を加える。エタノール(1 ml)中のエチルエステル21-bis(70 mg、0.124 mmol)の溶液を滴下し、反応混合物を20時間還流する。室温に冷却した後、混合物に氷水を注ぎ入れ、希HClで酸性化する。沈澱を吸引濾過により集め、減圧乾燥する。粗生成物をジエチルエーテル/ヘキサンでトリチュレートすることにより精製する。生成物23-bisを白色固体(40 mg、83%)で得る。
1H-NMR(CDCl3、200 MHz):7.53-7.17(m、10H);6.97(d、J= 8.6 Hz、2H);6.18(s、1H);4.2(m、1H);3.84(s、3H);3.43(m、2H);2.1-1.83(m、4H)。
元素分析:計算値:C24H23NO2S(MW= 389.5):C 74.00;H 5.95;N 3.60;O 8.22;S 8.23。
【0249】
(22-bis)化合物56a(実施例18)の製造で記載した手順にしたがって、化合物21-bisから、ヒドロキサム酸 22-bisを容易に製造することができる。
【実施例27】
【0250】
化合物(10a-ter)および(10b-ter)の製造
以下の反応工程式に記載の化合物の番号付けは、これまでに製造した化合物とのあいまいさをさけるために、後記実験セクションにおいて、同じ番号+「-ter」で簡便に識別される。
【0251】

【0252】
試薬および条件:i:KOH、Cu、H2O、MW(180 W、6分間、140℃)。ii:1)Cs2CO3、DMF、0℃、30分間。2)BnBr、0℃、30分間、室温、20時間。iii:a)フェニルボロン酸 b)4-メトキシフェニル ボロン酸;Pd(PPh3)4、K3PO4、ジオキサン、H2O、85℃、16h,。iv:KOH、H2O、還流、16時間。v:1)BH3・THF 1M、0℃、16h;2)MeOH、室温、3h vi:SOCl2、CH2Cl2、Py、室温、1時間。vii:AcSK、EtOH、還流、4時間。viii:KOH、H2O、EtOH、還流、30分間。ix:H2SO4、NaClO 13%、0℃、30分間。x:NH3 aq、CH3CN、0℃〜室温、10分間。
【0253】
(1-ter)2 mlの水中の2-ヨード安息香酸(1,00 g、4.03 mmol)、4-ブロモベンゼンeチオール(762 mg、4.03 mmol)、KOH(451.36 mg、8.06 mol)、Cu粉末(25.6 mg、0.40 mmol)の懸濁液を、マイクロ波照射する(MW条件:2x6分間、180 W、Tmax=100℃、Pmax=100 psi)。次いで、懸濁液を水で希釈し、KOHで塩基性化し、減圧濾過する。濾液を1N HClで酸性化し、再度濾過して、1-terを白色固体(1,11 g、y:88.9%)で得る。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:6.75-6.79(m、1H);7.19-7.27(m、1H);7.35-7.49(m、3H);7.65-7.70(m、2H);7.89-7.93(m、1H);13.25(s、1H)。
【0254】
(2-ter)無水DMF(61.2 ml)中の1-ter(6.37 g、20.59 mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、0℃にて、Cs2CO3(6.71 g、20.59 mmol)を加え、溶液を30分間撹拌し、次いで、BnBr(2.45 ml、20.59 mmol)を加える。反応混合物を0℃にて30分間および室温にて20時間保持する。反応物に水を加えて反応を停止し、生成物をジエチルエーテルで2回抽出する。有機層を合わせ、水で2回および食塩水で1回洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発して、2-terを白色固体(8.27 g、y:定量的)で得る。
1H-NMR(CDCl3)δ:5.39(s、2H);6.81-6.86(m、1H);7.10-7.18(m、1H);7.23-7.57(m、10H);7.99-8.04(m、1H)。
【0255】
水(45 ml)および無水ジオキサン(207 ml)中の2-ter(8.27 g、20.68 mmol)の溶液に、フェニルボロン酸(22.75 mmol)およびK3PO4(10 g、47.56 mmol)とともに(3a-ter)Pd(PPh3)4(716.5 mg、3%)を加える。反応混合物を、窒素雰囲気下、85℃にて一夜撹拌し、次いで、室温にて冷却し、NaHCO3を加えて反応を停止する。生成物をAcOEtで抽出し、有機相を合わせ、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、粗生成物を得る。
褐色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン 4:CH2Cl2 1)により精製して、1.90 gの3a-terを白色固体(y:28.5%)で得る。
1H-NMR(CDCl3)δ:5.41(s、2H);6.89-6.94(m、1H);7.09-7.17(m、1H);7.23-7.51(m、9H);7.59-7.69(m、6H);8.01-8.05(m、1H)。
【0256】
(3b-ter)3a-terの製造で記載した手順と同様にして、フェニルボロン酸の代わりに、4-メトキシフェニル ボロン酸(22.75 mmol)を用いて、粗生成物をエタノール、次いで、フラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン 18:AcOEt 1)により精製して、3b-terを白色固体(y:75%)で得る。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.86(s、3H);5.41(s、2H);6.88-6.92(m、1H);6.98-7.02(m、2H);7.08-7.15(m、1H);7.22-7.60(m、12H);8.01-8.05(m、1H)。
【0257】
(4a-ter、4b-ter)水(27.5 ml)中の3a-ter(または3b-ter)(6.5 mmol)およびKOH(1.01 g、19.53 mmol)の懸濁液を、一夜加熱還流する。反応混合物を冷却し、1N HClで酸性化し、CH2Cl2で抽出する。溶媒を蒸発し、ジエチルエーテルでトリチュレートして、純粋な化合物を得る。
(4a-ter)(y:78%)
1H-NMR(DMSO-d6)δ:6.82-6.86(m、1H);7.19-7.63(m、8H);7.72-7.82(m、4H);7.91-7.95(m、1H)。
(4b-ter)白色固体として(y:60%)
1H-NMR(DMSO-d6)δ:3.81(s、3H);6.80-6.84(m、1H);7.03-7.07(m、2H);7.17-7.25(m、1 H);7.35-7.43(m、1H);7.55-7.59(m、2H);7.66-7.77(m、4H);7.89-7.93(m、1H)。
【0258】
(5a-ter、5b-ter)窒素雰囲気下、0℃にて、酸 4a-ter(または4b-ter)(3.86 mmol)に、1M BH3・THF(3.86 ml)を加え、溶液を室温にて16時間攪拌する。反応物にMeOHを加えて反応を停止し、3時間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発し、CH2Cl2を加え、反応混合物をNaHCO3で洗する。最後に生成物をCH2Cl2で抽出する。
(5a-ter)as a 白色固体(y:80.9%)
1H-NMR(CDCl3)δ:4.79(s、2H);7.22-7.55(m、13H)。
(5b-ter)白色固体として(y:70%)
1H-NMR(CDCl3)δ:3.85(s、3H);4.82(s、2H);6.94-6.98(m、2H);7.24-7.54(m、10H)。
【0259】
(6a-ter、6b-ter)アルコール 5a-ter(または5b-ter)(2.67 mmol)を窒素雰囲気下、無水CH2Cl2(14 ml)に溶解し、溶液に塩化チオニル(0.25 ml、3.47 mmol)およびピリジン(一滴)を加える。反応物を1時間撹拌し、次いで、水を加えて反応を停止し、Et2Oで抽出する。有機層を食塩水で2回洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。
(6a-ter)白色固体として(y:91%)
1H-NMR(CDCl3)δ:4.74(s、2H);7.17-7.50(m、13H)。
(6b-ter)白色固体として(y:89%)
1H-NMR(CDCl3)δ:3.85(s、3H);4.82(s、2H);6.95-6.99(m、2H);7.29-7.34(m、5H);7.45-7.54(m、5H)。
【0260】
(7a-ter、7b-ter)化合物6a-ter(または6b-ter)(1.49 mmol)を無水EtOH(15.33 ml)に溶解し、KSAc(547 mg、4.79 mmol)を加える。反応混合物を85℃にて4時間加熱還流する。溶液を冷却し、NaHCO3を加えて反応を停止し、懸濁液をAcOEtで抽出する。次いで、有機層をNaHCO3および水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧蒸発する。
(7a-ter)黄色油状物として(y:85%)
1H-NMR(CDCl3)δ:2.32(s、3H);4.32(s、2H);7.25-7.59(m、13H)。
(7b-ter)明黄色固体として(y:96%)
1H-NMR(CDCl3)δ:2.32(s、3H);3.85(s、3H);4.31(s、2H);6.93-7.00(m、2H);7.19-7.36(m、5H);7.43-7.54(m、5H)。
【0261】
(8a-ter、8b-ter)EtOH(3.9 ml)および水(3.9 ml)の溶液を、窒素で40分間パージし、次いで、KOH(260 mg、4.62 mmol)を加える。溶液を再度窒素で20分間パージし、次いで、化合物7a-ter(または7b-ter)(0.483 mmol)を加え、溶液を再度窒素で10分間パージする。反応混合物を窒素下、30分間還流加熱し、次いで、1N HClで注意して中和する。生成物をCH2Cl2で抽出し、溶媒を蒸発して、所望のチオールを得る。
(8a-ter)褐色油状物として(y:95%)
1H-NMR(CDCl3)δ:3.96(s、2H);7.19-7.89(m、13H)。
(8b-ter)粗生成物(黄色固体)をフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン 7:CH2Cl2 2)により精製して、白色固体(y:18%)を得る。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.84(s、3H);3.96(s、2H);6.93-6.97(m、2H);7.20-7.30(m、5H);7.43-7.56(m、5H)。
【0262】
(9a-ter、9b-ter)H2SO4(1 ml)に、チオール8a-ter(または8b-ter)(0.34 mmol)を加え、0℃に冷却する。NaClO 13%(2.12 ml、3.4 mmol)を滴下し、反応物を0℃にて30分間攪拌する。溶液を水で希釈し、CH2Cl2 を加え、層を分離する。水層をCH2Cl2で2回抽出し有機層を合わせ、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、粗生成物9a-terを黄色固体で(または9b-terを褐色油状物で)得る。
【0263】
(10a-ter、10b-ter)アセトニトリル(0.03 ml)中の9a-ter(または9b-ter)(0.29 mmol)の冷溶液に、NH3(水性)(0.1 ml)を、0℃にて3分間にわたって滴下する。得られる混合物を室温にて10分間攪拌する。反応混合物をCHCl3で抽出し、有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧濃縮する。
(10a-ter)粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン 3:AcOEt 2)により精製し、n-ヘキサンおよびジエチルエーテルでトリチュレートして明褐色固体(y:4%)を得る。
1H-NMR [(CD3)2CO-d6)] δ:4.96(s、2H);6.13(s、2H);7.44-7.55(m、3H);7.62-7.81(m、5H);7.88-7.92(m、2H);8.01-8.09(m、2H);8.18-8.21(m、1H)。
元素分析:計算値:C19H17NO4S2(MW:387,47):C、58.90;H、4.42;N、3.61;O、16.52;S、16.55。
(10b-ter)粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン 1:AcOEt 1)により精製して、褐色固体(y:10.6%)を得る。
1H-NMR [(CD3)2CO-d6)] δ:3.85(s、3H);4.95(s、2H);6.14(s、2H);7.03-7.08(m、1H);7.23-7.27(m、1H);7.67-7.91(m、5H);8.00-8.06(m、3H)。
元素分析:計算値:C20H19NO5S2 (MW:417.5):C、57.54;H、4.59;N、3.35;O、19.16;S、15.36。
【実施例28】
【0264】
亜鉛メタロプロテイナーゼのインビトロ阻害活性の分析:MMMPsのインビトロ阻害
ヒト組換えプロゼラチナーゼA(pro-MMP-2),B(pro-MMP-9)、MMP-14cd and MMP-16cdは、Prof.Gillian Murphy(Oncology Department、Cambridge University、UK)により提供された;pro-MMP-1、pro-MMP-3、pro-MMP-7、pro-MMP-8、pro-MMP-13およびpro-MMP-14は、Calbiochemから購入した。酵素前駆体は、使用前に、酢酸p-アミノフェニル第二水銀(APMAは、MMP-1、MMP-2およびMMP-8について、2 mM、1時間、37℃にて;MMP-9およびMMP-7について、1 mM、1時間、37℃にて;MMP-13について、1 mM、30分間、37℃にて)で迅速に活性化した。Pro-MMP-14およびpro-MMP-3は、トリプシン5 μg/mlで、15分間、37℃にて、次いで、大豆トリプシンインヒビター(SBTI)で、pro-MMP-14について、23 μg/mlおよびpro-MMP-3について62 μg/mlで活性化した。MMP-14およびMMP-16の触媒ドメインは、活性化せずに用いた。
【0265】
アッセイ測定のために、各MMPについて、蛍光分析アッセイ用の緩衝液(FAB:トリス 50 mM、pH=7.5、NaCl 150 mM、CaCl2 10 mM、Brij 35 0.05%およびDMSO 1%)中で、インヒビターのストック溶液(DMSO、100 mM)を7種の異なる濃度(0.01 nM-300 μM)にさらに希釈する。活性化した酵素(最終濃度:MMP-2について2.9 nM、MMP-9について2.7 nM、MMP-7について2.4 nM、MMP-14およびMMP-3について1 nM、 MMP-8 and MMP-16cdについて1.5 nM、MMP-14cdについて0.84 nM、MMP-13について0.66 nM、およびMMP-1について0.20 nM)およびインヒビターの溶液を、アッセイ緩衝液中で25℃にて4時間インキュベートする。DMSO中、蛍光発生基質(200 μMの、MMP-3についてMca-Arg-Pro-Lys-Pro-Val-Glu-Nva-Trp-Arg-Lys(Dnp)-NH2(Sigma)および他のすべての酵素についてMca-Lys-Pro-Leu-Gly-Leu-Dpa-Ala-Arg-NH2(Bachem))の溶液を添加した後(最終濃度2 μM)、Molecular Device SpectraMax Gemini XS プレートリーダーで蛍光(λex=325 nm、λem=400 nm)の増加を記録して、20分間にわたって15秒ごとに加水分解をモニターする。微量滴定用96ウエルプレート(Corning、black、NBS)において、ウエル当たり200 μlの総体積でアッセイを3回行う。コントロールウエルは、インヒビターを含まない。
【0266】
MMPの阻害活性は、相対的蛍光単位(RFU)で表される。阻害のパーセンテージは、インヒビターなしのコントロール反応を用いて計算される。
IC50は、式:Vi/Vo=1/(1+[I]/IC50)[ここで、Viは、濃度[I]でのインヒビターの存在下における基質切断の初速度であり、Voは、インヒビターの不在下における該初速度である]を用いて決定される。結果をSoftMax ProソフトウェアおよびGraFitソフトウェアで分析する。
【実施例29】
【0267】
ADAMSの阻害:TACE(ADAM17)における活性
方法1:(TACEのみ)
CalBiochem製のヒト組換えTACEを、ストック溶液として、200 μg/mL(2.85 μM)の濃度で、FAB緩衝液(トリス50 mM、pH=7.5、NaCl 150 mM、CaCl2 10 mM、Brij 35 0.05%およびDMSO 1%)に溶解する。アッセイ測定のために、インヒビターのストック溶液(DMSO、100 mM)を、FAB緩衝液中の7種の異なる濃度(0.01 nM-300 μM)にさらに希釈する。酵素の溶液(最終濃度3 nM)および異なる濃度のインヒビターの溶液をFAB中25℃にて20分間インキュベートする。DMSO中の基質Mca-Lys-Pro-Leu-Gly-Leu-Dap(Dnp)-Ala-Arg-NH2(Bachem)の200 μM溶液を添加した後(最終濃度2 μM)、Molecular Device SpectraMax Gemini XS プレートリーダーで蛍光(λex=325 nm、λem=400 nm)の増加を記録して、20分間にわたって加水分解をモニターする。96ウエルプレート(Corning、black、NBS)において、ウエル当たり200 μlの総体積でアッセイを3回行う。TACEの阻害活性は、相対的蛍光単位(RFU)で表される。阻害のパーセンテージは、インヒビターなしのブランクコントロールに基づいて計算される。
IC50は、式:Vi/Vo=1/(1+[I]/IC50)[ここで、Viは、濃度[I]でのインヒビターの存在下における加水分解の初速度であり、Voは、インヒビターの不在下における該初速度である]を用いて決定される。結果をSoftMax ProソフトウェアおよびGraFitソフトウェアを用いて分析する。
【0268】
方法2:TACEおよび他のADAMs
TACEおよび他のADAMsのために、文献に記載の方法も用いることができる。たとえば、Jin、Gら、Anal Biochemistry 2002、269;Amour、Aら、Febs Lett.、2000、275;English、W Rら、J.Biol.Chem.2000、14046;およびFourie、A Mら、J.Biol.Chem.2003、30469を参照。
【実施例30】
【0269】
ADAMTSの阻害
異なるADAMTsのために、用いる方法は、Rodriguez-Manzaneque、J Cら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、2002、501;Anderson、P Jら、J.Biol.Chem.2006、850;Kokame、Kら、Br.J Haem.、2005、93;Miller J Aら、Anal.Biochem.、2003、260;Noe、M Cら、Bioorg.& Med.Chem.Lett.、2005、2808;US 2006/0014233に記載されている。
【0270】
以下の表I〜IVは、本発明のいくつかの代表的化合物についての生物活性の得られる結果をまとめたものである。
【0271】
表I:選択されたプロテアーゼ(たとえば、MMP-1、MMP-2およびMMP-9など)に対する代表的な式(I)で示される化合物の阻害活性
【表1】

【表2】

【0272】
表Iに記載されているデータは、本発明化合物が、MMP-2およびMMP-9に対する著しい阻害活性を有するが、MMP-1の阻害活性はほとんどないという証拠を明らかに提供する。
さらに、いくつかの本発明の式(I)で示される化合物の活性は、特に、パラメーターEがフェニレン環に直接連結する化合物(たとえばm=0である同じ化合物)の活性は、MMP-9よりもMMP-2を阻害する選択性が有利にもたらされる。
【0273】
表II:選択されたプロテアーゼ(たとえば、MMP-2、MMP-9およびMMP-14など)に対する代表的な式(I)で示される化合物の阻害活性
【表3】

【表4】

【0274】
表IIに記載されているデータは、本発明化合物が、MMP-2および/またはMMP-9に対する著しい阻害活性を有するが、MMP-14の阻害活性はほとんどないという証拠を明らかに提供する。
【0275】
表III:選択されたプロテアーゼ(たとえば、MMP-2、MMP-9およびMMP-14など)に対する代表的な式(I)で示される化合物の阻害活性
【表5】

【表6】

【0276】
表IIIに記載されているデータは、本発明化合物が、MMP-2およびMMP-9に対する著しい阻害活性を有するが、MMP-14の阻害活性はほとんどないという証拠を明らかに提供する。
【0277】
表IV:選択されたプロテアーゼ(たとえば、MMP-2、MMP-9およびTACEなど)に対する代表的な式(I)で示される化合物の阻害活性
【表7】

【0278】
表IVに記載されているデータは、本発明化合物が、MMP-2およびMMP-9に対する著しい阻害活性を有するが、TACEの阻害活性はほとんどないという証拠を明らかに提供する。
【0279】
しかしながら、著しいことに、Xが酸素原子であり、Eが炭素環式または複素環式環であるよりもむしろアルケニレン部分であるもう1つの本発明の代表的な式(I)で示される化合物、すなわち、下記式を有する化合物(21c)は、上記メタロプロテイナーゼに対して試験されたところ、MMP-2 [(IC50 nM):1450+33]よりも、TACEに対する選択的阻害活性[(IC50 nM):462+21]が高いことが明らかになった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):

[式中、
qは、0、1または2である;
nは、0または1である;
ZBGは、触媒亜鉛原子に対するキレート部分であり、下記から選ばれる:
ヒドロキサメート -CONHOH;
カルボキシレート -COOH;
カルボキサミド -CONHR4、-CON(R4)2または-CONR6R7
ホスホネート -P(=O)(R4)OH;
スルホンイミド -CONHSO2(R'4);
スルホンアミド -SO2NHR4
チオール -SH;
または式:

で示される基;
R4は存在毎に独立して、水素、ヒドロキシル、直鎖または分枝鎖のC1-C10アルキルまたはフルオロアルキル、任意に置換されるアリールまたはN、NH、OまたはSから選ばれる1〜2個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する5〜6員のヘテロアリールから選ばれる;またはR4は、-(CHR)p-COOH、-(CHR)p-CO-NHR'、-(CHR)p-NH2、-(CHR)p-NH-COR'、-(CHR)p-CH2-OHまたは-(CH2)p-CHR-OHから選ばれる基である;
pは、1〜8の整数である;
R'は、直鎖または分枝鎖のC1-C6アルキルであるか、または前記と同意義の任意に置換されるアリールまたはヘテロアリール基である;
Rは、水素、ヒドロキシル,-ONO2,-NR6R7,-COOH,-CONHR'',-NHCOR'',C1-C6アルコキシから選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されるC1-C10の飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖のいずれかの炭素原子鎖または前記と同意義の任意に置換されるアリールまたはヘテロアリール基から選ばれる;
R6およびR7はそれぞれ独立して、水素、前記と同意義のアリールまたはヘテロアリール基で任意に置換されるか、または-CO-アルキル,-CO-アリール,-CO-ヘテロアリール,-CONH-アルキル,-CONH-アルキル-ONO2,-CONH-アシル,-CONH-アシル-ONO2,-CONH-アリール,-CONH-ヘテロアリール,-SO2-アルキル,-SO2NH2,-SO2NH-アルキル,-SO2NH-アリール,-SO2NH-ヘテロアリールから選ばれる基で任意に置換されるC1-C6の飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖のいずれかの炭素原子鎖から選ばれる基から選ばれる;
または、それらが連結する窒素原子と一緒になって、R6およびR7は、N、NH、OまたはSから選ばれるさらなるヘテロ原子またはヘテロ原子基を任意に含み、任意に置換および/またはベンゾ縮合される5〜6員の複素環式環を形成する;
R''は、直鎖または分枝鎖のC1-C6アルキル、アルキル-O-NO2 またはアシル基から選ばれるか、または任意に置換されるアリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アシルアリールまたはアシルヘテロアリール基である;
R'4は存在毎に独立して、水素以外はR4の意義から選ばれる;
R1およびR2はそれぞれ独立して、Rの意義から選ばれるか、またはそれらが連結する炭素原子と一緒になって、R1およびR2は、N、NH、N-COR''、OまたはSから選ばれる1〜2個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する、任意に置換される3〜6員の炭素環式または複素環式環を形成する;
mは、0または1である;
Xは、酸素(-O-)またはイオウ(-S-)原子であるか、または-S-S-(ジスルフィド)、-SO-(スルホキシド)、-SO2-(スルホン)、-NH-(アミノ)、-NH-アシル-、炭化水素鎖に1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、-O-アルキレン、-O-アルケニレンまたは-O-アルキニレンから選ばれる二価の基である;
Eは、炭化水素鎖に1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基であるか、またはN、NH、OまたはSから選ばれる1〜2個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する、任意に置換および/またはベンゾ縮合される、脂環式または芳香族のいずれかの、5〜6員の炭素環式また1または2は複素環式環である;
ただし、qが2である場合、ZBGはヒドロキサメート[-CONHOH]またはカルボキシレート[-COOH]以外である]
で示される化合物およびその医薬的に許容しうる塩。
【請求項2】
q、nおよびmがすべて0であり、EおよびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項3】
qおよびnが0であり、、mが1であり、X、EおよびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項4】
qが0であり、nが1であり、mが0であり、E、R1、R2およびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項5】
qが0であり、nおよびmの両方が1であり、X、E、R1、R2およびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項6】
qが1であり、nおよびmの両方が0であり、EおよびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項7】
qが1であり、nが0であり、mが1であり、X、EおよびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項8】
qが1であり、nが1であり、mが0であり、E、R1、R2およびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項9】
q、nおよびmがすべて1であり、X、E、R1、R2およびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項10】
qが2であり、nおよびmの両方が0であり、EおよびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項11】
qが2であり、nが0であり、mが1であり、X、EおよびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項12】
qが2であり、nが1であり、mが0であり、E、R1、R2およびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項13】
qが2であり、nおよびmの両方が1であり、X、E、R1、R2およびZBGが請求項1と同意義である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項14】
アリールまたはヘテロアリール基のいずれかが、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2OH、-CH2ONO2、-(CH2)rCO2H、-(CH2)rCONH-アルキル、-(CH2)rCONH-アリール、-(CH2)rCONH-ヘテロアリール、-(CH2)rNH2、-(CH2)rNHCO-アルキル、-(CH2)rNHCO-アリール、-(CH2)rNHCO-ヘテロアリール、-(CH2)rCH2OH(r=1-8)、-CF3、-NO2、OH、F、Cl、Br、I、-OCH3、-OCH(CH3)2、-O(CH2)rCOOH、-O(CH2)rNH2、-O(CH2)rCH2OH(r=1-8)、-SOsCH3、-SOsCH(CH3)2、-SOs(CH2)rCOOH、-SOs(CH2)rNH2、-SOs(CH2)rCH2OH(r=1-8およびs=0-2)、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-NH-アルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NHCO-アルキル、-NHSO2-アルキル、-NHSO2-アリールおよび-NHSO2-ヘテロアリールから選ばれる1つ以上のR5基で任意に置換される請求項1〜13のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項15】
アリールまたはヘテロアリール基のいずれかが、C1-C4アルコキシ、アルキルチオおよびアルキルスルホニル基から選ばれる1つ以上のR5基で任意に置換される請求項1〜13のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項16】
アリールまたはヘテロアリール基のいずれかが、メトキシ、メチルチオおよびメチルスルホニルから選ばれる1つ以上のR5基で任意に置換される請求項1〜13のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項17】
R6およびR7の意義の範囲内で、任意に置換される5〜6員の複素環式環が、

から選ばれる請求項1〜13のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項18】
R1およびR2の意義の範囲内において、それらが連結する炭素原子と一緒になって形成されてもよい炭素環または複素環式環が、C1-C6飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖のいずれかの炭化水素鎖、またはアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-COOH、-COO-アルキル、-COO-アリール、-COO-heteroアルキル、-COO-アルキルアリール、-COO-アルキルヘテロアリール、-CO-アルキル、-CO-アリール,-CO-ヘテロアリール、-CONH-アルキル、-CONH-アルキル-ONO2、-CONH-アシル、-CONH-アシル-ONO2、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2NH-アリールまたは-SO2NH-ヘテロアリール基から選ばれる基から選ばれる1つ以上のR8基で任意に置換される請求項1〜13のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項19】
R1およびR2の意義の範囲内において、それらが連結する炭素原子と一緒になって形成されてもよい任意に置換される炭素環または複素環式環が、

から選ばれる請求項1〜13のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項20】
ZBGが、-CONHOH、-COOH、-CONHSO2CH3、-CONHSO3H、-CONHSO2CF3、-P(=O)(OH)2、-CONH2、-SO2NH2、-SH、下記式:

を有する-CONR6R7基または式:

で示される基から選ばれる;
Xが、存在する場合はいつも、-O-、-S-、-O-CH2-CH2-CH2-から選ばれる;
Eが、メチル、2-ブチニル、メトキシフェニル、メチルチオフェニル、メチルスルホニルフェニル、メチルスルホンフェニル、チエニル、ピリジルまたはフタルイミドから選ばれる;
R1およびR2が、存在する場合はいつも、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、2-プロペニル、アミノエチル、-CH2-COOH、-(CH2)2-NH-COOH、-(CH2)2-COOHまたは-(CH2)2-フタルイミドから選ばれるか、またはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、式:

を形成する、前記請求項のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項21】
ZBGが、-COOH、-CONHSO2CH3、-CONHSO3H、-CONHSO2CF3、-P(=O)(OH)2、-CONH2、-SO2NH2、-SH、下記式:

を有する-CONR6R7基または式:

で示される基から選ばれる基である、請求項20に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項22】
qが0、1または2である;nが0または1である;存在するならば、R1およびR2の両方が水素原子であるか、またはそれらの一方が水素であり、他方が任意に置換される直鎖または分枝鎖のC1-C4アルキルまたはアルケニル基から選ばれるか、またはそれらが連結する炭素原子と一緒になって、R1およびR2が、任意に置換される炭素環式または複素環式の4〜6員環を形成する;ZBGが、-CONHOH、-COOH、-CONHR4、-CONR6R7、-CONHSO2(R'4)、-SO2NHR4、-SH、-P(=O)(R4)(OH)(ここで、R4、R'4、R6およびR7は、請求項1と同意義である)から選ばれる基である;またはZBGが以下の基:

である;
mが0または1である;Xが、存在するときはいつも、-O-、-S-または-O-アルキレンである;およびEが、C1-C6アルキル、アルケニルまたはアルキニル基のいずれかであるか、または前述の任意に置換および/またはベンゾ縮合される5〜6員の環である、請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項23】
2-(4-メトキシフェニルチオ)安息香酸(1);
N-ヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニルチオ)ベンズアミド(2);
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)安息香酸(4);
N-ヒドロキシ-2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)ベンズアミド(5);
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルフィニル)安息香酸(6);
N-ヒドロキシ-2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルフィニル)ベンズアミド(7);
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(8);
2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)フェニル)酢酸(11);
N-ヒドロキシ(2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)フェニル)アセトアミド(13);
2-(2-ビフェニル-4-イルチオ)フェニル)酢酸(19a);
2-(2-(4-メトキシフェニルチオ)フェニル)酢酸(19b);
2-(2-ビフェニル-4-イルチオ)フェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(21a);
N-ヒドロキシ-2-(2-(4-メトキシフェニルチオ)フェニル)アセトアミド(21b);
2-(2-(4-(ブト-2-イニルオキシ)フェニルチオ)フェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(21c);
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)酢酸(22);
N-ヒドロキシ-2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)アセトアミド(24);
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(25);
N-ヒドロキシ-2-(2-(4-(チオフェン-3-イル)フェニルチオ)フェニル)アセトアミド(30);
N-ヒドロキシ-2-[2-(4'-メチルチオ-ビフェニル-4-イルチオ)-フェニル]-アセトアミド(32);
N-ヒドロキシ-2-(2-(4-ピリジン-4-イル-フェニルチオ)-フェニル)-アセトアミド(34);
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(38);
2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(39);
2-(2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(43);
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)安息香酸(47);
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(48);
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イル-スルホニル)-N-(メチルスルホニル)ベンズアミド(106);
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)-N-(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズアミド(49);
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-スルホニル)フェニル)-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(52);
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)プロピオン酸(54);
N-ヒドロキシ-2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)プロパンアミド(56a);
N-ヒドロキシ-2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)ペント-4-エンアミド(56b);
2-(2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)フェニル)-N-(メチルスルホニル)プロパンアミド(57);
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルチオ)ベンジルホスホン酸(70);
2-(4-(4-メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸(72);
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルチオ)ベンジルホスホン酸(85);
2-(4'-メトキシビフェニル-4-イルスルホニル)ベンジルホスホン酸(86);
から選ばれるか、または以下の式:














のいずれか1つを有する、請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項24】
医薬としての使用のための請求項1に記載の式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩。
【請求項25】
哺乳動物における亜鉛メタロプロテイナーゼの異常な活性を伴う病的状態の治療のための医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩の使用。
【請求項26】
病的状態が、組織破壊、線維性疾患、マトリックスの病的崩壊、傷害の修復不良、心臓血管疾患または肺,腎臓,肝臓,眼の同等の疾患、または中枢神経系の同等の疾患を特徴とする状態である請求項25に記載の使用。
【請求項27】
病的状態が、骨関節炎、関節リウマチ、敗血症性関節炎、腫瘍浸潤、腫瘍転移、腫瘍血管新生、褥瘡性潰瘍、胃潰瘍、角膜潰瘍、眼球血管新生、黄斑変性、角膜瘢痕形成、歯周病、強膜炎、AIDS、敗血症おび敗血症性ショック、肝硬変、糖尿病、肺線維症、耳硬化症、アテローム性動脈硬化症(プラークの破損にいたるプラーク不安定化の現象も含む)、多発性硬化症、表皮潰瘍形成、傷害修復不良、粘着現象、傷害の瘢痕形成、心不全、拡張型心筋症、脳卒中後における、冠動脈血栓症における、大動脈および脳動脈瘤における、再狭窄における、骨粗鬆症、慢性閉塞性冠動脈疾患における、肺気腫における、移植臓器の拒絶の病変における、喘息アレルギー反応における、タンパク尿における、骨の病変における、アルツハイマー病における、およびニトロソ化および酸化的ストレスを伴う中枢神経系疾患(例として:発作、脳虚血、頭蓋外傷、脊髄損傷および他の急性または慢性神経変性病変が挙げられる)における、自己免疫疾患、ハンチントン病、パーキンソン病、偏頭痛、抑うつ、末梢神経障害、痛み、脳アミロイド血管症、向精神または認識促進、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症から選ばれる請求項26に記載の使用。
【請求項28】
変性疾患、特に腫瘍の治療のための医薬の製造における請求項1に記載の式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩の使用。
【請求項29】
活性成分として、医薬有効量の一種以上の式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、一種以上の医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項30】
治療を必要とする哺乳動物への治療有効量の請求項1に記載の式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩の投与を含む、哺乳動物における亜鉛メタロプロテイナーゼの活性障害をともなう病的状態の治療方法。
【請求項31】
哺乳動物が、ヒトであり、病的状態が、腫瘍などの変性疾患である請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2009−545556(P2009−545556A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522222(P2009−522222)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057661
【国際公開番号】WO2008/015139
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(504448162)ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】